JP2024059347A - 火災検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】監視エリアで収音される音響データに基づいて、炎が発生したか否かをより高精度に検知する。【解決手段】監視エリアで発生する音を音響データとして収音するマイクと、音響データを周波数解析することで周波数スペクトルおよびピーク周波数を算出する周波数解析部と、周波数スペクトルおよびピーク周波数に基づいて炎が発生したことを検知する炎検知部とを備え、炎検知部は、周波数スペクトルに関して1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定し、1/f揺らぎ特性が含まれている場合には、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を算出し、レベル誤差がレベル閾値以下の場合には、低域におけるピーク周波数のレベル推移に関する時系列データについて変動量を算出し、変動量が判定変動量以下である場合には、監視エリアで炎が発生したことを検知する。【選択図】図1

Description

本開示は、音響データに基づいて監視エリアで炎が発生したことを検知する火災検知装置に関する。
監視エリアにおいて炎が発生したことを検知するために、種々の火災感知器が用いられている。具体的なタイプとしては、例えば、差動式スポット型感知器、定温式スポット型感知器、光電式スポット型感知器などが挙げられる。
また、火災時に物が燃焼する際に発生する音を検知する火災検知装置もある(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1では、燃焼時の音の特徴をとらえるための燃焼実験を実施し、その音の周波数分析に基づいて火災時と平常時を区別し、火災と判断する方法が開示されている。
特に、非特許文献1では、特定の周波数およびレベルを追いかけるのではなく、ある周波数範囲を指定して、その全体のパワー(レベル)の積分値の時間変化をもとに燃焼現象の有無を識別する方法が妥当であることが記載されている。
「燃焼音の周波数分析について(第2報)」、消防科学研究所報 31号(平成6年)
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
非特許文献1では、暗騒音と燃焼音をより確実に分離できる方策として、音のパワースペクトルの積分値の時間変化という考え方を導入している。
一般的に、火災検知にあたっては、暗騒音と燃焼音とを識別するだけでは足りず、監視エリア内で発生する燃焼音とは異なる他のノイズとの識別をより確実に行うことで、誤報を抑制することが望まれる。
換言すると、音響データに基づく火災検知を実用化するにあたっては、燃焼時に発生する燃焼音と、燃焼音以外の音とを定量的に分離することができる特徴量を見出し、火災を誤認することなしに検知精度を高めることが重要となる。
本開示は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、監視エリアで収音される音響データに基づいて、炎が発生したか否かをより高精度に検知することができる火災検知装置を得ることを目的とする。
本開示に係る火災検知装置は、監視エリアで発生する音を音響データとして収音するマイクと、マイクで収音された音響データを周波数解析することで周波数スペクトルを算出するとともに、周波数スペクトルに関してピーク周波数を算出する周波数解析部と、周波数解析部により算出された周波数スペクトルおよびピーク周波数に基づいて監視エリアで炎が発生したことを検知する炎検知部とを備え、炎検知部は、周波数スペクトルに関して1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定し、1/f揺らぎ特性が含まれていると判定した場合には、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を算出し、算出したレベル誤差があらかじめ設定したレベル閾値以下の場合には、あらかじめ設定した低域におけるピーク周波数のレベル推移に関する時系列データについて変動量を算出し、変動量があらかじめ設定した判定変動量以下である場合には、監視エリアで炎が発生したことを検知するものである。
また、本開示に係る火災検知装置は、監視エリアで発生する音を音響データとして収音するマイクと、マイクで収音された音響データを周波数解析することで周波数スペクトルを算出するとともに、周波数スペクトルに関してピーク周波数を算出する周波数解析部と、周波数解析部で算出された周波数スペクトルに関して1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定し、1/f揺らぎ特性が含まれていると判定した場合には、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を算出し、算出したレベル誤差があらかじめ設定したレベル閾値以下の場合には、あらかじめ設定した低域におけるピーク周波数のレベル推移に関する時系列データについて変動量を算出し、算出した変動量を炎発生の判断に用いる特徴量として出力する特徴量算出部と、検出対象である炎をあらかじめ発生させた際に収集された種々の音響データ、および誤報要因も含めた炎が発生していない際に収集された種々の音響データ、のそれぞれに対して、周波数解析部による周波数解析結果に基づいて特徴量算出部で算出された特徴量をパラメータとして用いることで、炎が発生したか否かを判定するための機械学習モデルを作成するモデル作成部と、監視エリアの監視時において、特徴量算出部で算出された特徴量を機械学習モデルの入力とし、炎が発生したか否かを判定する炎検知部とを備えるものである。
本開示によれば、監視エリアで収音される音響データに基づいて、炎が発生したか否かをより高精度に検知することができる火災検知装置を得ることができる。
本開示の実施の形態1に係る火災検知装置の全体構成を示した説明図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出処理に関する検証実験を行った際の、監視エリアの一例を示した説明図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関する説明図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関して、図3とは異なるサイズの監視エリアにおける周波数スペクトルを示した説明図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関して、図3にける暗騒音と、図4における暗騒音とを対比して示した説明図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において、暗騒音、炎、換気扇の3種の音響データに関する周波数スペクトルを示した比較図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において、暗騒音、炎、換気扇の3種の音響データに関する周波数スペクトルを示した比較図である。 本開示の実施の形態1に係る炎検知部によって算出された平均レベル誤差を示した図である。 本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。 本開示の実施の形態2に係る火災検知装置の全体構成を示した説明図である。 本開示の実施の形態2に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。 本開示の実施の形態3において、種々の環境条件における1/f揺らぎ特性を検証した周波数スペクトルを示した図である。 本開示の実施の形態3において、炎が発生した際の音響データに基づくスペクトログラムと、ドア開閉が発生した際の音響データに基づくスペクトログラムとを対比して示した説明図である。 本開示の実施の形態3において、炎が発生した際の音響データに基づく周波数スペクトルと、ドア開閉が発生した際の音響データに基づく周波数スペクトルとを対比して示した説明図である。 本開示の実施の形態3において、低域におけるピーク周波数のレベル推移に基づいて燃焼音とドア開閉音とを識別する手法を示した説明図である。 本開示の実施の形態3に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。 本開示の実施の形態4に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。
以下、本開示の火災検知装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本開示は、監視エリアで収音された音響データに基づく周波数解析結果から、炎特有の特徴量を抽出して炎発生の有無を判定する点に技術的特徴を有し、誤報要因を抑制して炎検知の高精度化を実現するものである。
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置の全体構成を示した説明図である。本実施の形態1における火災検知装置は、マイク10と、コンピュータ20とを備えて構成されている。
マイク10は、炎の監視エリアに設置され、監視エリア内で発生する音を音響データとして収音する収音装置である。なお、マイク10は、監視エリア内に複数台設置することも考えられる。
マイク10を用いて収音した音響データに基づいて炎の有無を判断する場合には、低域の圧力変動にフォーカスすることとなるため、減衰が起こりにくい。従って、例えば、締め切った部屋を監視エリアとする場合であれば、火災場所によらず、燃焼の検知が可能となり、マイク10の設置位置を選ばないメリットがある。さらに、マイク10は、煙感知器のように天井に設置する必要がなく、設置場所を決める際の自由度がある。
コンピュータ20は、マイク10で収音された音響データに対して演算処理を施すことで、監視エリアで炎が発生したか否かを判断するコントローラであり、周波数解析部21および炎検知部22を備えている。
図2は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出処理に関する検証実験を行った際の、監視エリアの一例を示した説明図である。図2では、幅12m×奥行11mの部屋を監視エリアとして、監視エリアの中央でヘプタンを50cm×50cmの火皿で燃焼させ、火源から3m隔てた地点にマイク10を設置して音響データを収集した場合が例示されている。
周波数解析部21は、マイク10で収音された音響データを周波数解析することで周波数スペクトルを算出する。炎検知部22は、周波数解析部21で算出された周波数スペクトルに関して定在波以下の周波数帯域において1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定する。さらに、炎検知部22は、1/f揺らぎ特性が含まれていると判定した場合には、監視エリアで炎が発生したことを検知する。
なお、本開示における「定在波以下の周波数帯域」とは、定在波以下の帯域内に含まれる所望の周波数帯域を意味する。例えば、定在波が14.4Hzであったとすると、f1=2.1Hzからf2=10.0Hzの周波数帯域を、「定在波以下の周波数帯域」として選定することができる。
そこで、周波数解析部21および炎検知部22による具体的な処理内容について、図3~図8を用いて詳細に説明する。図3は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関する説明図である。
図3では、炎を発生させない状態において監視エリア内で収音された暗騒音に相当する音響データと、ヘプタンによる炎を発生させた状態において監視エリア内で収音された音響データとのそれぞれについて、周波数解析部21によって周波数スペクトルを算出した結果を比較して示している。
図3において、点線の楕円で示した部分は、定在波の領域である。ここで、「定在波」とは、閉空間の音場において、その形状や大きさに応じて、放射された音の強さが大きく増幅され易い共振周波数にて生じる波のことである。
この定在波は、監視エリアのサイズに応じて概略値が算出でき、図2に示したサイズの監視エリアでは、14.4kHが定在波の周波数となる。図3では、定在波以下の周波数帯域が、長方形の枠として示されている。
また、定在波は、事前に監視エリアとなる場所でのインパルス計測を行って算出することもできる。さらに、定在波が複数ある場合には、最も低い定在波を採用することで、より正確に火災検知処理を行うことができる。
定在波以下の周波数帯域に着目すると、炎が発生した際の周波数スペクトルは、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と近似したパワースペクトルとなっている。一方、暗騒音における周波数スペクトルは、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と近似したパワースペクトルとなっていない。
また、楕円部分である定在波の領域に着目すると、炎が発生した際の周波数スペクトルと暗騒音における周波数スペクトルとは、レベルの違いはあるものの、大きな差異がない。従って、定在波以下の周波数帯域において、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と近似したパワースペクトルとなる周波数スペクトルが得られた場合には、炎が発生したと検知することができる。
図4は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関して、図3とは異なるサイズの監視エリアにおける周波数スペクトルを示した説明図である。図3では、監視エリアの幅が12mの場合を示したが、図4では、監視エリアの幅が14mの場合を示している。
図4において、定在波以下の周波数帯域に着目すると、炎が発生した際の周波数スペクトルは、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と近似したパワースペクトルとなっている。一方、暗騒音における周波数スペクトルは、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と近似したパワースペクトルとなっていない。
図5は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置による炎検出方法に関して、図3にける暗騒音と、図4における暗騒音とを対比して示した説明図である。具体的には、図5では、幅14mの部屋を監視エリアとした場合と、幅12mの部屋を監視エリアとした場合とにおける、暗騒音に関する周波数スペクトルが比較して示されている。
いずれの周波数スペクトルも、定在波以下の周波数帯域に着目すると、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性との誤差が大きくなっていることがわかる。従って、定在波以下の周波数帯域において、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性と周波数スペクトルとの誤差を定量的に算出することで、監視エリアのサイズに依存せずに、暗騒音と炎とを識別できることがわかる。
次に、誤報要因として、換気扇の音に関する検証結果を示す。図6は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において、暗騒音、炎、換気扇の3種の音響データに関する周波数スペクトルを示した比較図である。図6に示すように、換気扇による音響データに基づく周波数スペクトルについても、定在波以下の周波数帯域では、ピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性との誤差が大きくなっていることがわかる。
図7は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において、暗騒音、炎、換気扇の3種の音響データに関する周波数スペクトルを示した比較図である。具体的には、図7(A)では、定在波以下の周波数帯域としてf1=2.1Hzからf2=10.0Hzの周波数帯域において、暗騒音、炎、換気扇のそれぞれについてピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性を示している。
また、図7(B)では、定在波を含む周波数帯域として、f1=2.1Hzからf2=20.0Hzの周波数帯域において、炎についてピーク周波数を通る1/f揺らぎ特性を示している。
図7(A)に示したように、定在波以下の周波数帯域においては、炎に関する周波数スペクトルは、1/f揺らぎ特性に近似しているが、暗騒音および換気扇に関する周波数スペクトルは、1/f揺らぎ特性に近似していない。
また、図7(B)に示したように、定在波を含む周波数帯域においては、炎に関する周波数スペクトルに関しても、10.0Hz以上の周波数帯域でピーク周波数が存在するため、1/f揺らぎ特性に近似しなくなることがわかる。
そこで、本実施の形態1では、周波数スペクトルから1/f揺らぎ特性を算出するとともに、周波数スペクトルと1/f揺らぎ特性との近似度を定量的に特定する指標として、平均レベル誤差を導入する。そこで、1/f揺らぎ特性および平均レベル誤差の算出法について、数式を用いて具体的に説明する。
炎検知部22は、周波数解析部21で算出された周波数スペクトルを用いて、下式(1)に基づいて、1/f揺らぎ特性Y(f)[dB]を算出する。
上式(1)における各記号は、以下を意味している。
f:周波数[Hz]
fmax:炎の周波数スペクトルの定在波以下の周波数帯域におけるピーク周波数[Hz]
Pmax:炎のピーク周波数fmaxのパワー
α:1~2の実数値としてあらかじめ設定される重み係数
なお、重み係数αを大きい値にするほど、1/fゆらぎ特性は、高域になるにつれてレベル減衰勾配が急峻になることとなる。重み係数αは、監視エリアのサイズ、監視エリアにおいて定在波以下の周波数帯域として発生する炎、暗騒音、ノイズの計測結果に応じて、適切な値を設定することも可能である。
さらに、炎検知部22は、算出した揺らぎ特性Y(f)および周波数解析部21で算出された周波数スペクトルを用いて、下式(2)に基づいて、平均レベル誤差Lave[dB]を算出する。
上式(2)における各記号は、以下を意味している。
X(f):周波数fにおける周波数スペクトルの値
Y(f):周波数fにおける1/f揺らぎ特性の値
f1:定在波以下の周波数帯域におけるピーク周波数fmax、またはピーク周波数fmaxよりも低い値
f2:定在波の周波数、あるいは定在波より1~2Hz程度低い周波数
図8は、本開示の実施の形態1に係る炎検知部22によって算出された平均レベル誤差Laveを示した図である。図8の左側に示した「暗騒音」、「炎」、「換気扇」のそれぞれに関する平均レベル誤差は、図7(A)に示した周波数スペクトルにおいて、定在波以下の周波数帯域として、f1=2.1Hz~f2=10.0Hzで規定された範囲について、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性Y(f)を算出した後に、上式(2)を用いて平均レベル誤差Laveを求めた結果に対応している。
また、図8の右側に示した「炎(従来)」に関する平均レベル誤差は、図7(B)に示した周波数スペクトルにおいて、定在波を含む周波数帯域として、f1=2.1Hz~f2=20.0Hzで規定された範囲について、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性Y(f)を算出した後に、上式(2)を用いて平均レベル誤差Laveを求めた結果に対応している。
図8に示すように、定在波以下の周波数帯域に限定して平均レベル誤差Laveを求めることで、例えば、判定閾値=4dBとして、平均レベル誤差Laveが4dB以下になっているか否かを判定することで、暗騒音および換気扇と識別して、炎が発生したことを検知できる。ただし、炎といえども、定在波を含む周波数帯域において求めた平均レベル誤差Laveは、判定閾値よりも大きくなり、1/f揺らぎ特性に近似しない結果となっている。
従って、炎検知部22は、定在波以下の周波数帯域において、ピーク周波数を検出し、ピーク周波数を通過する1/f揺らぎ特性を算出し、さらに、平均レベル誤差を算出することで、検知対象である炎を高精度に検出することができる。
次に、フローチャートを用いて、本実施の形態1に係る火災検知装置において実行される一連処理について説明する。図9は、本開示の実施の形態1に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。
まず初めに、ステップS901において、周波数解析部21は、監視エリアに設置されたマイク10を介して、監視エリア内で発生する音響データの収音処理を実行する。次に、ステップS902において、周波数解析部21は、マイク10で収音された音響データに対して周波数解析処理を施すことで周波数スペクトルを算出する。
次に、ステップS903において、炎検知部22は、定在波以下の周波数帯域において1/f揺らぎ特性検出処理を実行する。具体的には、炎検知部22は、ピーク周波数Pmaxを算出するとともに、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性を算出する。
次に、ステップS904において、炎検知部22は、ステップS902で算出した周波数スペクトルと、ステップS903で算出した1/f揺らぎ特性とのレベル誤差を算出する。炎検知部22は、レベル誤差算出処理の一例として、上式(2)を用いて算出した平均レベル誤差Laveをレベル誤差として用いることができる。
なお、レベル誤差としては、上式(2)には限定されず、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルの誤差を定量的に求める指標であれば、[Y(f)-X(f)]の2乗誤差平均を算出するなど、他の指標値を用いることも可能である。
次に、ステップS905において、炎検知部22は、ステップS904で算出したレベル誤差が、あらかじめ設定された判定閾値以下であるか否かを判定する。そして、炎検知部22は、レベル誤差が判定閾値以下である場合には、定在波以下の周波数帯域における周波数スペクトルに1/f揺らぎ特性が含まれており、炎が発生したと判断し、ステップS906に進む。
一方、炎検知部22は、レベル誤差が判定閾値を超える場合には、定在波以下の周波数帯域における周波数スペクトルに1/f揺らぎ特性が含まれておらず、炎が発生していないと判断し、一連処理を終了する。
ステップS906に進んだ場合には、炎検知部22は、炎検出報知処理を実行する。例えば、炎検知部22は、火災受信機に炎の発生を検知したことを知らせる火災信号を送信することで、消火設備の起動、シャッタ等の防排煙機器の連動動作の起動、非常放送設備等への移報などを実施させることができる。
以上のように、実施の形態1によれば、監視エリアで収音された音響データに基づく周波数解析結果から炎特有の特徴量を算出し、監視エリア内で炎が発生したか否かを定量的に判断することができる。具体的には、定在波以下の周波数帯域に着目し、1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として使用することで、炎が発生したか否かを、誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
特に、本実施の形態1に係る火災検知装置は、監視エリア内で収音された音響データに基づく演算処理により炎が発生したか否かを判断する点に技術的特徴があり、以下のような効果が得られる。
効果1:マイクの設置位置に自由度があり、後付けで、あるいは一時的に火災監視機能を付加したい場合にも、容易に対応することができる。すなわち、比較的簡単な構成で、種々の監視エリアにおける火災検知処理を実現できる。
効果2:火災によって副次的に発生する煙を監視するのではなく、燃焼そのものに起因して発生する音響データにフォーカスして火災検知処理を行っているため、より迅速に火災検知できる。
効果3:本開示による火災検知方法と、他のセンサによる火災検知方法を組み合わせることで、誤報要因を抑制して、炎が発生したか否かをより高精度に検知することができる。例えば、他の火災検知方法で火災の可能性があることが検知された際に、さらに本開示の火災検知方法を適用し、1/f揺らぎ特性が検知されない場合には、誤報源であると判断することができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、定在波以下の周波数帯域において、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として算出し、特徴量があらかじめ設定した判定閾値以下になることでの炎が発生したことを検知する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、算出した特徴量を学習モデルの入力として、炎が発生したか否かを判定する場合について説明する。
図10は、本開示の実施の形態2に係る火災検知装置の全体構成を示した説明図である。本実施の形態2における火災検知装置は、マイク10と、コンピュータ20とを備えて構成されている。
マイク10は、炎の監視エリアに設置され、監視エリア内で発生する音を音響データとして収音する。コンピュータ20は、マイク10で収音された音響データに対して演算処理を施すことで、監視エリアで炎が発生したか否かを判断するコントローラであり、周波数解析部21、および炎検知部22を備えている。
本実施の形態2における図10の構成と、先の実施の形態1における図1の構成とを比較すると、本実施の形態2では、炎検知部22が、内部構成として特徴量算出部23とサポートベクタマシン24とを有している点が異なっている。そこで、実施の形態1と実施の形態2との相違点を中心に、以下に説明する。
先の実施の形態1では、炎検知部22により、以下の機能1~機能3をすべて実施していた。
機能1:周波数解析部21で算出された周波数スペクトルに関して定在波以下の周波数帯域において1/f揺らぎ特性を算出する機能。
機能2:1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として算出する機能。
機能3:特徴量とあらかじめ設定された判定閾値とを比較し、特徴量が判定閾値以下である場合には、周波数解析部21で算出された周波数スペクトルに関して定在波以下の周波数帯域において1/f揺らぎ特性が含まれており、監視エリアで炎が発生したとする判定結果を出力する機能。
これに対して、本実施の形態2では、機能1および機能2により特徴量を算出する部分までを、特徴量算出部23で実施している。さらに、本実施の形態2におけるサポートベクタマシン24では、特徴量を入力パラメータとする学習モデルをあらかじめ作成するとともに、学習モデルに対して、特徴量算出部23で算出した特徴量を入力として、機械学習により炎が発生したか否かを判定している。
すなわち、本実施の形態2では、あらかじめ判定閾値を設定しておく代わりに、特徴量を入力パラメータとした学習モデルを作成しておくことで、炎が発生したか否かを判定している。そこで、サポートベクタマシン24について、以下に補足説明する。
サポートベクタマシン24は、教師あり学習を用いる識別手法の1つであり、既知の学習モデルである。本実施の形態2では、炎が発生しているか否かを識別するために、種々の状況における特徴量の算出結果に基づく学習モデルの作成を行う。
すなわち、検出対象である炎が実際に発生した際の音響データに基づく特徴量と、誤報要因も含め、炎が発生していない際の音響データに基づく特徴量とを入力パラメータとして用いて、サポートベクタマシン24による学習モデルの作成をあらかじめ行っておく。
この結果、炎検知部22内のサポートベクタマシン24は、特徴量算出部23で算出された特徴量を入力として、監視エリア内で炎が発生しているか否かを、機械学習により特定することが可能となる。
このような構成を備えることにより、本実施の形態2に係る火災検知装置は、あらかじめ学習モデルを作成しておき、監視時において収音された音響データから算出した特徴量を学習済みのサポートベクタマシン24への入力パラメータとして適用することで、監視エリア内で炎が発生したか否かを、誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
次に、フローチャートを用いて、本実施の形態2に係る火災検知装置において実行される一連処理について説明する。図11は、本開示の実施の形態2に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。
まず初めに、ステップS1101において、周波数解析部21は、監視エリアに設置されたマイク10を介して、監視エリア内で発生する音響データの収音処理を実行する。次に、ステップS1102において、周波数解析部21は、マイク10で収音された音響データに対して周波数解析処理を施すことで周波数スペクトルを算出する。
次に、ステップS1103において、炎検知部22内の特徴量算出部23は、定在波以下の周波数帯域において1/f揺らぎ特性検出処理を実行する。具体的には、特徴量算出部23は、ピーク周波数Pmaxを算出するとともに、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性を算出する。
次に、ステップS1104において、特徴量算出部23は、ステップS1102で算出した周波数スペクトルと、ステップS1103で算出した1/f揺らぎ特性とのレベル誤差を算出する。特徴量算出部23は、レベル誤差算出処理の一例として、上式(2)を用いて算出した平均レベル誤差Laveを特徴量であるレベル誤差として用いることができる。
なお、特徴量であるレベル誤差としては、上式(2)には限定されず、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルの誤差を定量的に求める指標であれば、[Y(f)-X(f)]の2乗誤差平均を算出するなど、他の指標値を用いることも可能である。
次に、ステップS1105において、サポートベクタマシン24は、あらかじめ学習モデルを作成しておき、ステップS1104で特徴量として算出したレベル誤差を入力として、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行する。
次に、ステップS1106において、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行した結果、炎が発生したと判断した場合には、ステップS1107に進む。
一方、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行した結果、炎が発生していないと判断した場合には、一連処理を終了する。
ステップS1107に進んだ場合には、炎検知部22は、炎検出報知処理を実行する。例えば、炎検知部22は、火災受信機に炎の発生を検知したことを知らせる火災信号を送信することで、消火設備の起動、シャッタ等の防排煙機器の連動動作の起動、非常放送設備等への移報などを実施させることができる。
以上のように、実施の形態2によれば、監視エリアで収音された音響データに基づく周波数解析結果から炎特有の特徴量を算出し、事前に学習した機械学習モデルを用いて、監視エリア内で炎が発生したか否かを定量的に判断することができる。具体的には、定在波以下の周波数帯域に着目し、1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として使用することで、炎が発生したか否かを、誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
換言すると、あらかじめ判定閾値を設定しておく代わりに、学習モデルを作成しておくことによっても、定在波以下の周波数帯域に着目し、1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として使用することで、炎が発生したか否かを、高精度に検知でき、先の実施の形態1と同様に、効果1~効果3を実現できる。
なお、先の図10では、炎検知部22の中に特徴量算出部23およびサポートベクタマシン24を有する構成を示したが、特徴量算出部23およびサポートベクタマシン24を炎検知部22とは独立した構成とすることも可能である。
この場合には、特徴量算出部は、特徴量の算出に特化し、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルの事前生成に特化し、炎検知部22は、監視エリアの監視時において、特徴量算出部23で算出された特徴量を、サポートベクタマシン24で事前生成された機械学習モデルに対する入力パラメータとし、炎が発生したか否かを判定することに特化することとなる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、定在波以下の周波数帯域に着目し、1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として算出し、この特徴量を用いた炎検出処理を行っていた。これに対して、本実施の形態3では、特定の帯域(低域)において燃焼音に近似した特性を検知した際に、時間的なレベル変動が少ない条件をさらに考慮することで、誤報要因を抑制する場合について説明する。
なお、本実施の形態3に係る火災検知装置の全体構成は、先の実施の形態1における図1に示した全体構成と同じであり、説明を省略する。
図12は、本開示の実施の形態3において、種々の環境条件における1/f揺らぎ特性を検証した周波数スペクトルを示した図である。具体的には、図12では、以下の4種の周波数スペクトルに関する波形が示されている。
第1の波形:燃焼実験室において火災を発生させた際に収音した音響データに基づく周波数スペクトル波形
第2の波形:燃焼実験室において火災を発生させた際に収音した、第1の波形を得たときとは異なる音響データに基づく周波数スペクトル波形
第3の波形:ドア開閉が行われた際に収音した音響データに基づく周波数スペクトル波形
第4の波形:移動天井の開閉が行われた際に収音した音響データに基づく周波数スペクトル波形
図12では、第1の波形から第4の波形のそれぞれについて、低域の特定の周波数帯域おけるピーク周波数を通過する1/f揺らぎ特性があわせて表示されている。ドアあるいは移動天井の開閉音は、低域における周波数スペクトルが、1/f揺らぎ特性に似た変動を示し、炎が発生した場合として誤検出してしまうおそれが考えられる。
そこで、本実施の形態3では、時間的なレベル変動が少ない条件をさらに考慮することで、ドア等の開閉音を誤検出してしまうことを抑制しており、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下では、炎が発生した場合と、ドア開閉音が発生した場合とを対比して、具体的に説明する。
図13は、本開示の実施の形態3において、炎が発生した際の音響データに基づくスペクトログラムと、ドア開閉が発生した際の音響データに基づくスペクトログラムとを対比して示した説明図である。
具体的には、図13(A)は、実験室においてヘプタンによる燃焼音を収音した際に求めたスペクトログラムであり、図13(B)は、ドアの開閉音を収音した際に求めたスペクトログラムである。図13(A)、(B)に示したスペクトログラムは、縦軸を対数目盛の周波数、横軸を時間として、周波数成分の経時変化を輝度の連続として表している。
図14は、本開示の実施の形態3において、炎が発生した際の音響データに基づく周波数スペクトルと、ドア開閉が発生した際の音響データに基づく周波数スペクトルとを対比して示した説明図である。図14では、10Hz以下の低域において算出された1/f揺らぎ特性も合わせて示している。
図14に示したように、炎による周波数スペクトルとドア開閉による周波数スペクトルは、低域における周波数スペクトルに大きな違いがなく、1/f揺らぎ特性を有しているか否かだけを基準に火災検出処理を行おうとすると、ドア開閉時も火災が発生したと誤検出するおそれがある。
一方、図13に示したように、炎によるスペクトログラムとドア開閉によるスペクトログラムは、64Hz以下の低域における周波数成分の経時変化が大きく異なっている。そこで、本実施の形態3では、このような差異に着目し、低域におけるピーク周波数に関して、時間経過に伴うレベル推移を求めることで、ドア開閉音と燃焼音とを定量的に識別している。
図15は、本開示の実施の形態3において、低域におけるピーク周波数のレベル推移に基づいて燃焼音とドア開閉音とを識別する手法を示した説明図である。図15(A)は、先の図13(A)に示した燃焼音と、先の図13(B)に示したドアの開閉音とに関する低域におけるピーク周波数のレベル推移であり、低域におけるピーク周波数レベルの時間推移を示している。
なお、レベル推移は、スペクトログラムから抽出する以外にも、バンドパスフィルタで所望の低域帯だけを通過させるように帯域制限した後、ピーク周波数の時系列波形を抽出することによっても対応できる。
図15(A)では、ピーク周波数の時系列データに対して、1秒ごとの移動平均化処理を行い、120秒間にわたるレベル推移を求めた場合を例示している。ドアの開閉音や燃焼音におけるピーク周波数は、超低周波(1~10Hz以下)で発生する。このため、分解能を上げ過ぎると、特徴的な変動が抽出しにくくなる。そこで、本実施の形態3では、レベル推移を抽出した後に、例えば1秒ごとの移動平均化処理を行うことで、レベル変動をより抽出し易くしている。
燃焼音に関するレベル推移は、図15(A)中の実線に相当し、ドアの開閉音に関するレベル推移は、図15(A)中の実線に相当する。両者の波形を比較すると、ドアの開閉音は、燃焼音と比較するとレベル推移の変動ばらつきが大きいことがわかる。
図15(B)は、図15(A)のレベル推移の波形から標準偏差を算出することで、レベル推移の変動ばらつきを示す指標値として、レベル変動量を算出したものである。図15(A)、図15(B)に示したように、低域におけるピーク周波数のレベル推移に基づいて算出したレベル変動量を指標値とし、この指標値があらかじめ設定した判定変動量以下であれば監視エリアで炎が発生したと判定することで、ドアの開閉音などの誤検出要因を排除することができる。
事前にノイズ源の変動幅を算出しておくことで、判定変動量として適切な値を設定することができる。例えば、図15(B)の例では、判定変動量を6dBと設定することができる。
また、低域の時間的なレベル変動が判定変動量以下である場合に限らず、徐々に変動量が大きくなる場合にも、誤検出要因ではなく、炎が発生したと判断することができる。
なお、本実施の形態3における低域としては、先の実施の形態1、2で用いた定在波以下の周波数帯域として設定することもできるが、定在波を含む領域としても設定することができる。例えば、定在波が14.4Hzであったとすると、f1=2.1Hzからf2=15.0Hzの周波数帯域を、「低域の特定の周波数帯域」として選定することができる。
次に、フローチャートを用いて、本実施の形態3に係る火災検知装置において実行される一連処理について説明する。図16は、本開示の実施の形態3に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。
まず初めに、ステップS1601において、周波数解析部21は、監視エリアに設置されたマイク10を介して、監視エリア内で発生する音響データの収音処理を実行する。次に、ステップS1602において、周波数解析部21は、マイク10で収音された音響データに対して周波数解析処理を施すことで周波数スペクトルを算出する。
次に、ステップS1603において、炎検知部22は、低域の特定の周波数帯域において1/f揺らぎ特性検出処理を実行する。具体的には、炎検知部22は、ピーク周波数Pmaxを算出するとともに、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性を算出する。
次に、ステップS1604において、炎検知部22は、ステップS1602で算出した周波数スペクトルと、ステップS1603で算出した1/f揺らぎ特性とのレベル誤差を算出する。炎検知部22は、レベル誤差算出処理の一例として、上式(2)を用いて算出した平均レベル誤差Laveをレベル誤差として用いることができる。
なお、レベル誤差としては、上式(2)には限定されず、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルの誤差を定量的に求める指標であれば、[Y(f)-X(f)]の2乗誤差平均を算出するなど、他の指標値を用いることも可能である。
次に、ステップS1605において、炎検知部22は、ステップS1604で算出したレベル誤差が、あらかじめ設定されたレベル閾値以下であるか否かを判定する。そして、炎検知部22は、レベル誤差がレベル閾値以下である場合には、ステップS1606に進む。
一方、炎検知部22は、レベル誤差がレベル閾値を超える場合には、低域の特定の周波数帯域における周波数スペクトルに1/f揺らぎ特性が含まれておらず、炎が発生していないと判断し、一連処理を終了する。
ステップS1606に進んだ場合には、炎検知部22は、低域におけるピーク周波数に関して、時間経過に伴うレベル推移の変動量をさらに算出するために変動量算出処理を実行する。
次に、ステップS1607において、炎検知部22は、ステップS1606で算出した変動量が、あらかじめ設定された判定変動量以下であるか否かを判定する。そして、炎検知部22は、変動量が判定変動量以下である場合には、炎が発生したと判断し、ステップS1608に進む。
一方、炎検知部22は、変動量が判定変動量を超える場合には、炎が発生していないと判断し、一連処理を終了する。
ステップS1608に進んだ場合には、炎検知部22は、炎検出報知処理を実行する。例えば、炎検知部22は、火災受信機に炎の発生を検知したことを知らせる火災信号を送信することで、消火設備の起動、シャッタ等の防排煙機器の連動動作の起動、非常放送設備等への移報などを実施させることができる。
以上のように、実施の形態3によれば、監視エリアで収音された音響データに基づく周波数解析結果から炎特有の特徴量を算出し、監視エリア内で炎が発生したか否かを定量的に判断することができる。具体的には、低域における1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を第1の特徴量として使用するとともに、低域におけるピーク周波数のレベル推移に着目し、レベル変動量を第2の特徴量として使用することで、炎が発生したか否かを、ドア開閉音などの誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
特に、本実施の形態3に係る火災検知装置は、先の実施の形態1、2で説明した効果1~効果3を得ることができるとともに、以下のような固有の効果4が得られる。
効果4:音響データに関して、周波数分析に基づく火災検知処理と、時系列データ分析による火災検知処理とを組み合わせることで、ドアや窓の開閉音、風切り音など、1/f揺らぎ特性に似た周波数スペクトルを有する音を、誤検出してしまうことを抑制することができる。
実施の形態4.
先の実施の形態3では、第1の特徴量であるレベル誤差がレベル閾値以下であり、かつ、第2の特徴量である変動量が判定変動量以下になることでの炎が発生したことを検知する場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、算出した第1の特徴量および第2の特徴量を学習モデルの入力として、炎が発生したか否かを判定する場合について説明する。実施の形態3と実施の形態4との相違点を中心に、以下に説明する。
なお、本実施の形態4に係る火災検知装置の全体構成は、先の実施の形態2における図10に示した全体構成と同じであり、説明を省略する。
先の実施の形態3では、炎検知部22により、以下の機能1~機能4をすべて実施していた。
機能1:周波数解析部21で算出された周波数スペクトルに関して低域の特定の周波数帯域において1/f揺らぎ特性を算出する機能。
機能2:1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を第1の特徴量として算出する機能。
機能3:第1の特徴量とあらかじめ設定されたレベル閾値とを比較し、第1の特徴量がレベル閾値以下である場合には、低域におけるレベル推移の変動量算出処理をさらに実施し、変動量を第2の特徴量として算出する機能。
機能4:第2の特徴量が判定変動量以下である場合には、監視エリアで炎が発生したとする判定結果を出力する機能。
これに対して、本実施の形態4では、機能1および機能2により第1の特徴量を算出する部分、および機能3のうちの第2の特徴量を算出する部分を、特徴量算出部23で実施している。さらに、本実施の形態4におけるサポートベクタマシン24では、第1の特徴量および第2の特徴量を入力パラメータとする学習モデルをあらかじめ作成するとともに、学習モデルに対して、特徴量算出部23で算出した第1の特徴量および第2の特徴量を入力として、機械学習により炎が発生したか否かを判定している。
すなわち、本実施の形態4では、あらかじめレベル閾値および判定変動量を設定しておく代わりに、第1の特徴量および第2の特徴量を入力パラメータとした学習モデルを作成しておくことで、炎が発生したか否かを判定している。そこで、サポートベクタマシン24について、以下に補足説明する。
サポートベクタマシン24は、教師あり学習を用いる識別手法の1つであり、既知の学習モデルである。本実施の形態4では、炎が発生しているか否かを識別するために、種々の状況における第1の特徴量および第2の算出結果に基づく学習モデルの作成を行う。
すなわち、検出対象である炎が実際に発生した際の音響データに基づく第1の特徴量および第2の特徴量と、誤報要因も含め、炎が発生していない際の音響データに基づく第1の特徴量および第2の特徴量とを入力パラメータとして用いて、サポートベクタマシン24による学習モデルの作成をあらかじめ行っておく。
この結果、炎検知部22内のサポートベクタマシン24は、特徴量算出部23で算出された第1の特徴量および第2の特徴量を入力として、監視エリア内で炎が発生しているか否かを、機械学習により特定することが可能となる。
このような構成を備えることにより、本実施の形態4に係る火災検知装置は、あらかじめ学習モデルを作成しておき、監視時において収音された音響データから算出した第1の特徴量および第2の特徴量を学習済みのサポートベクタマシン24への入力パラメータとして適用することで、監視エリア内で炎が発生したか否かを、誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
次に、フローチャートを用いて、本実施の形態2に係る火災検知装置において実行される一連処理について説明する。図17は、本開示の実施の形態4に係る火災検知装置において実行される火災検知方法に関する一連処理を示したフローチャートである。
まず初めに、ステップS1701において、周波数解析部21は、監視エリアに設置されたマイク10を介して、監視エリア内で発生する音響データの収音処理を実行する。次に、ステップS1702において、周波数解析部21は、マイク10で収音された音響データに対して周波数解析処理を施すことで周波数スペクトルを算出する。
次に、ステップS1703において、炎検知部22内の特徴量算出部23は、低域の特定の周波数帯域において1/f揺らぎ特性検出処理を実行する。具体的には、特徴量算出部23は、ピーク周波数Pmaxを算出するとともに、上式(1)を用いて1/f揺らぎ特性を算出する。
次に、ステップS1704において、特徴量算出部23は、ステップS1702で算出した周波数スペクトルと、ステップS1703で算出した1/f揺らぎ特性とのレベル誤差を算出する。特徴量算出部23は、レベル誤差算出処理の一例として、上式(2)を用いて算出した平均レベル誤差Laveを第1の特徴量であるレベル誤差として用いることができる。
なお、第1の特徴量であるレベル誤差としては、上式(2)には限定されず、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルの誤差を定量的に求める指標であれば、[Y(f)-X(f)]の2乗誤差平均を算出するなど、他の指標値を用いることも可能である。
次に、ステップS1705において、炎検知部22は、低域におけるピーク周波数に関して、時間経過に伴うレベル推移の変動量を第2の特徴量としてさらに算出するために変動量算出処理を実行する。
次に、ステップS1706において、サポートベクタマシン24は、あらかじめ学習モデルを作成しておき、ステップS1704で第1の特徴量として算出したレベル誤差と、ステップS1705で第2の特徴量として算出した変動量を入力として、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行する。
次に、ステップS1707において、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行した結果、炎が発生したと判断した場合には、ステップS1708に進む。
一方、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルを用いた炎検出処理を実行した結果、炎が発生していないと判断した場合には、一連処理を終了する。
ステップS1708に進んだ場合には、炎検知部22は、炎検出報知処理を実行する。例えば、炎検知部22は、火災受信機に炎の発生を検知したことを知らせる火災信号を送信することで、消火設備の起動、シャッタ等の防排煙機器の連動動作の起動、非常放送設備等への移報などを実施させることができる。
以上のように、実施の形態4によれば、監視エリアで収音された音響データに基づく周波数解析結果から炎特有の特徴量を算出し、事前に学習した機械学習モデルを用いて、監視エリア内で炎が発生したか否かを定量的に判断することができる。具体的には、定在波以下の周波数帯域に着目し、1/f揺らぎ特性を算出し、1/f揺らぎ特性に対する周波数スペクトルのレベル誤差を特徴量として使用することで、炎が発生したか否かを、誤報要因と識別してより高精度に検知することができる。
換言すると、あらかじめレベル閾値および判定変動量を設定しておく代わりに、学習モデルを作成しておくことによっても、実施の形態3と同様に炎が発生したか否かを、高精度に検知でき、実施の形態3と同様の効果1~効果4を実現できる。
なお、先の図10では、炎検知部22の中に特徴量算出部23およびサポートベクタマシン24を有する構成を示したが、特徴量算出部23およびサポートベクタマシン24を炎検知部22とは独立した構成とすることも可能である。
この場合には、特徴量算出部は、第1の特徴量および第2の特徴量の算出に特化し、サポートベクタマシン24は、機械学習モデルの事前生成に特化し、炎検知部22は、監視エリアの監視時において、特徴量算出部23で算出された第1の特徴量および第2の特徴量を、サポートベクタマシン24で事前生成された機械学習モデルに対する入力パラメータとし、炎が発生したか否かを判定することに特化することとなる。
なお、上述した実施の形態2および実施の形態4では、機械学習モデルを作成するモデル作成部として、サポートベクタマシンを用いる場合について説明したが、モデル作成部は、これに限定されるものではない。ニューラルネットワークなど、他の手段によってモデル作成部を構成して機械学習モデルを作成することによっても、同様の効果を実現できる。
10 マイク、20 コンピュータ、21 周波数解析部、22 炎検知部、23 特徴量算出部、24 サポートベクタマシン(モデル作成部)。

Claims (4)

  1. 監視エリアで発生する音を音響データとして収音するマイクと、
    前記マイクで収音された前記音響データを周波数解析することで周波数スペクトルを算出するとともに、前記周波数スペクトルに関してピーク周波数を算出する周波数解析部と、
    前記周波数解析部により算出された前記周波数スペクトルおよび前記ピーク周波数に基づいて前記監視エリアで炎が発生したことを検知する炎検知部と
    を備え、
    前記炎検知部は、
    前記周波数スペクトルに関して1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定し、前記1/f揺らぎ特性が含まれていると判定した場合には、前記1/f揺らぎ特性に対する前記周波数スペクトルのレベル誤差を算出し、
    算出した前記レベル誤差があらかじめ設定したレベル閾値以下の場合には、あらかじめ設定した低域における前記ピーク周波数のレベル推移に関する時系列データについて変動量を算出し、前記変動量があらかじめ設定した判定変動量以下である場合には、前記監視エリアで炎が発生したことを検知する
    火災検知装置。
  2. 前記炎検知部は、前記周波数スペクトルに関して前記1/f揺らぎ特性が含まれているか否か判定する際に、定在波以下の周波数帯域において前記1/f揺らぎ特性が含まれているか否か判定する
    請求項1に記載の火災検知装置。
  3. 前記炎検知部は、前記時系列データに移動平均化処理を施すことで前記変動量を算出する
    請求項1または2に記載の火災検知装置。
  4. 監視エリアで発生する音を音響データとして収音するマイクと、
    前記マイクで収音された前記音響データを周波数解析することで周波数スペクトルを算出するとともに、前記周波数スペクトルに関してピーク周波数を算出する周波数解析部と、
    前記周波数解析部で算出された前記周波数スペクトルに関して1/f揺らぎ特性が含まれているか否かを判定し、前記1/f揺らぎ特性が含まれていると判定した場合には、前記1/f揺らぎ特性に対する前記周波数スペクトルのレベル誤差を算出し、算出した前記レベル誤差があらかじめ設定したレベル閾値以下の場合には、あらかじめ設定した低域における前記ピーク周波数のレベル推移に関する時系列データについて変動量を算出し、算出した前記変動量を炎発生の判断に用いる特徴量として出力する特徴量算出部と、
    検出対象である炎をあらかじめ発生させた際に収集された種々の音響データ、および誤報要因も含めた炎が発生していない際に収集された種々の音響データ、のそれぞれに対して、前記周波数解析部による周波数解析結果に基づいて前記特徴量算出部で算出された特徴量をパラメータとして用いることで、前記炎が発生したか否かを判定するための機械学習モデルを作成するモデル作成部と、
    前記監視エリアの監視時において、前記特徴量算出部で算出された前記特徴量を前記機械学習モデルの入力とし、炎が発生したか否かを判定する炎検知部と
    を備える火災検知装置。
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