JP2024057814A - 光学材料用化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、機能性色素の優れた性能を実現可能な光学材料用化合物を提供することにある。【解決手段】実施形態によると、式(I)に表される光学材料用組成物が提供される。式(I)において、p及びqは、それぞれ独立に、2以上26以下である。p+qは、4以上28以下である。R1は、式(Ia)、又は、(Ib)で表される2価の基である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用化合物に関する。
機能性色素は、可視光線の選択的吸収能を有する化合物、並びに、光、熱、電場、又は圧力等のエネルギーにより発色、消色、又は変色する化合物を含む。このような機能性色素は、特定の条件下で構造変化することにより、特定の機能を発揮し得る。一般的に、プラスチック硬化体のマトリックスは、剛直な構造を有する。そのため、硬化体中の機能性色素は、溶液中と比較して構造変化を生じにくく、その機能が制限され得る。機能性色素の優れた性能を発揮させるために、重合性組成物に種々の高分子化合物を添加することが検討されている。
国際公開第2021/241596号公報
本発明の目的は、機能性色素の優れた性能を実現可能な光学材料用化合物を提供することにある。
実施形態によると、下記式(I)に表される光学材料用化合物が提供される。
Figure 2024057814000001
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立に、2以上26以下である。p+qは、4以上28以下のブロック付加体である。Rは、下記式(Ia)、又は、(Ib)で表される2価の基である。
Figure 2024057814000002
式(Ia)において、R11は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)である。aは、1以上9以下である。m及びnは、それぞれ独立に、1以上19以下である。m+nは、2以上20以下のブロック付加体である。
Figure 2024057814000003
式(Ib)において、R14は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)である。bは、1以上9以下である。cは、2以上20以下であるのランダム付加体である。
本発明によると、機能性色素の優れた性能を実現可能な光学材料用化合物が提供される。
[光学材料用化合物]
実施形態に係る光学材料用化合物を含む硬化性組成物の硬化体においては、式(I)に表される光学材料用化合物によりミクロ相分離構造が形成されるため、機能性色素の性能を高めることができる。この理由について、以下に説明する。
先ず、機能性色素は、可視光線の選択的吸収能を有する化合物、並びに、光、熱、電場、又は圧力等のエネルギーにより発色、消色、又は変色する化合物を含む。このような機能性色素は、特定の条件下で構造変化することにより、特定の機能を発揮し得る。一般的に、プラスチック硬化体のマトリックスは、剛直な構造を有する。そのため、硬化体中の機能性色素は、溶液中と比較して構造変化を生じにくく、その機能が制限され得る。
式(I)に表される光学材料用化合物において、R部は、R部の両端に配置される添え字p及びqが添えられた繰り返し構造部、すなわち、CHCHO部の各々よりも炭素数が多い。したがって、R部は、CHCHO部よりも高い疎水性を示す。親水性の比較的高いマトリックス中においては、疎水性の比較的高いR部同士が凝集し、疎水性ドメインを形成すると考えられる。この疎水性ドメインは、周囲の親水性マトリックスと比較して柔軟な領域である。そして、比較的疎水性である機能性色素は、この疎水性ドメイン内に配置され易くなるため、剛直な親水性マトリックス内に位置する場合と比較して、構造変化が妨げられにくく、優れた機能性を発揮できる。ここで、R部の凝集が過剰に生じると、硬化体に白濁が生じ、光学特性が失われ得る。式(I)に表される光学材料用化合物は、R部がR11O部、CHCH(CH)O部、若しくは、R14O部及びCHCH(CH)O部を含む構造、すなわち、2種類の繰り返し構造を有するため、R部の過剰な凝集が抑制される。また、R部の両端に親水性の比較的高いCHCH(CH)O部が配置されることにより、親水性の比較的高いマトリックスとの相溶性が高まり、R部の過剰な凝集を抑制できる。疎水性の比較的高いマトリックス中においては、上記とは反対に、R部が疎水性マトリックスとの相溶性を高め、CHCHO部が親水性ドメインを形成できると考えられる。
親水性の比較的高いマトリックスとして、ポリウレタンを一例に挙げて、より具体的に説明する。
先ず、ポリウレタンは、重付加反応性基であるイソシアネート基(-N=C=O)と、重付加反応性基と反応する反応性基であるヒドロキシル基(-OH)とが重付加することにより生成するウレタン結合(-OC(=O)N(H)-)を複数含む樹脂である。イソシアネート基を両末端に有するジイソシアネートと、ヒドロキシル基を両末端に有するジオールとが重付加反応すると、ウレタン結合を複数含む直鎖状の高分子鎖が形成される。ポリウレタンにおいては、この高分子鎖の複数のウレタン結合のアミン部位(-N(H)-)において、高分子鎖間で水素結合が生じ、これにより強い分子間相互作用が生じるため、剛直なマトリックスを形成すると考えられる。ここで、ジオールの一種として、式(I)に表される光学材料用化合物が含まれると、R部及びCHCHO部からなる水素結合が生じない部位を含む直鎖状の高分子鎖が形成される。R部は、疎水性が比較的高いため、ポリウレタン内で互いに凝集し易い。そのため、複数の高分子鎖が互いに水素結合で結ばれた構造内に、R部及びCHCHO部からなる水素結合が生じない部位が凝集した疎水性ドメインが形成される。この疎水性ドメインは、内部に水素結合が存在しないため、高分子鎖が互いに水素結合で結ばれたウレタンマトリックスと比較して、より柔軟である。そして、上述したように、比較的疎水性である機能性色素は、この疎水性ドメイン内に配置され易くなるため、構造変化が妨げられにくく、優れた機能性を発揮できる。
式(I)に表される光学材料用化合物は、例えば、レンズ、フィルター、フィルム、窓材等の光学物品形成用の化合物として使用し得る。この光学材料用化合物は、常温下において、例えば、無色透明ないしは半透明な液状である。この光学材料用化合物は、ジオールである。光学材料用化合物の構造は、例えば、核磁気共鳴分光分析で同定できる。
Figure 2024057814000004
式(I)において、p及びqは、繰り返し単位CHCHOの繰り返し数である。p及びqは、それぞれ独立に、2以上26以下である。p及びqは、3以上であってもよく、5以上であってもよく、7以上であってもよい。p及びqは、10以下であってもよく、15以下であってもよく、20以下であってもよい。
p+qは、4以上28以下である。pは、qと同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。p及びqの値が大きいと、光学材料用化合物の親水性が高まる傾向にあり、(チオ)ウレタンマトリックス内における光学材料用化合物の相溶性が高まる傾向にある。p+qは、6以上であってもよく、7以上であってもよく、10以上であってもよい。p+qは、15以下であってもよく、20以下であってもよい。
は、下記式(Ia)、又は、(Ib)で表される2価の基である。
付加形態はブロックである。
Figure 2024057814000005
式(Ia)において、R11は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)である。
aは、1以上9以下である。aの数が大きいと、光学材料用化合物の疎水性が高まる傾向にある。aは、2以上であってもよく、3以上であってもよい。aは、5以下であってもよい。
m及びnは、それぞれ独立に、1以上19以下である。m及びnの数が大きいと、光学材料用化合物の疎水性が高まる傾向にある。m及びnは、2以上であってもよく、3以上であってもよく、5以上であってもよく、7以上であってもよい。m及びnは、10以下であってもよく、13以下であってもよく、15以下であってもよい。mは、nと同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。
m+nは、2以上20以下である。m+nは、4以上であってもよく、6以上であってもよく、7以上であってもよく、10以上であってもよい。m+nは、15以下であってもよい。付加形態はブロックである。
Figure 2024057814000006
式(Ib)において、R14は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)である。R14は、上述したR11と同様の基であり得る。
bは、1以上9以下である。bの数が大きいと、光学材料用化合物の疎水性が高まる傾向にある。bは、2以上であってもよく、3以上であってもよく、5以上であってもよい。bは、7以下であってもよい。
cは、2以上20以下である。cの数が大きいと、光学材料用化合物の疎水性が高まる傾向にある。cは、3以上であってもよく、5以上であってもよく、7以上であってもよい。cは、10以下であってもよく、13以下であってもよく、15以下であってもよい。付加形態はランダムである。
光学材料用化合物の具体例は、下記のとおりである。
Figure 2024057814000007
Figure 2024057814000008
Figure 2024057814000009
光学材料用化合物の数平均分子量は、例えば、500以上2000以下である。数平均分子量が大きい光学材料用化合物を用いると、硬化体のフォトクロミック性能が向上する傾向にある。数平均分子量が小さな光学材料用化合物を用いると、硬化体の光学特性が向上する(白濁が抑制される)傾向にある。光学材料用化合物の数平均分子量は、800以上1600以下であることが好ましい。数平均分子量は、JIS K 1557-1:2007による水酸基価から算出できる。
光学材料用化合物の数平均分子量に対して、ポリエチレンオキシド鎖(CHCHO)の数平均分子量の合計が占める割合は、例えば、4%以上97%以下である。この割合が高い光学材料用化合物は、親水性が高い傾向にある。この割合は、10%以上70%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい。CHCHO部の数平均分子量は、光学材料用化合物の数平均分子量と、核磁気共鳴(NMR)法とを組み合わせることにより算出できる。
基の数平均分子量は、例えば、300以上1500以下である。R基の数平均分子量が高い光学材料用化合物は、疎水性が高い傾向にある。R基の数平均分子量は、450以上1300以下であることが好ましく、600以上1000以下であることがより好ましい。R基の数平均分子量は、光学材料用化合物の数平均分子量と、NMR法とを組み合わせることにより算出できる。
光学材料用化合物の数平均分子量に対して、R基の数平均分子量が占める割合は、例えば、3%以上96%以下である。この割合が高い光学材料用化合物は、疎水性が高い傾向にある。この割合は、30%以上90%以下であることが好ましく、40%以上70%以下であることがより好ましい。
基の数平均分子量に対して、R11O鎖若しくはR14O鎖の数平均分子量が占める割合は、例えば、3%以上100%以下である。この割合が高い光学材料用化合物は、親水性が高い傾向にある。この割合は、5%以上60%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましい。R11O鎖及びR14O鎖の数平均分子量は、光学材料用化合物の数平均分子量と、NMR法とを組み合わせることにより算出できる。ここで、R11O鎖及びR14O鎖とは、それぞれ、R11O基及びR14O基を繰り返し数分繰り返してなるドメインを意味する。
光学材料用化合物は、例えば、以下の方法で製造できる。
先ず、出発物質として第1化合物を準備する。第1化合物としては、HO-R11O-OH等の式(Ia)におけるR11O構造を有する化合物を用いる。
この第1化合物と、プロピレンオキシドとを反応させて、第2化合物を得る。反応条件は、例えば、窒素置換されたオートクレーブ中、反応温度を100℃以上150℃以下とし、反応圧力を0.1MPa以上1MPa以下とし、反応時間を1時間以上10時間以下とする。この反応は、触媒存在下で行われることが好ましい。触媒としては、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いる。触媒の量は、例えば、1gの第1化合物に対して、0.01g以上1g以下とする。
1gの第1化合物に対するプロピレンオキシドの量は、例えば、0.1g以上10g以下とする。この量を調整することにより、式(I)におけるaの値及びm+nの値を調整できる。
第2化合物は、例えば、HO-(CHCH(CH)O)m-(R11O)a-(CHCH(CH)O)n-Hで表され得る。a、m、及びnは、式(Ia)におけるものと同義である。
次に、第2化合物とエチレンオキシドとを反応させることにより、式(I)に表される光学材料用化合物が得られる。反応条件は、例えば、窒素置換されたオートクレーブ中、反応温度を100℃以上150℃以下とし、反応圧力を0.1MPa以上1MPa以下とし、反応時間を1時間以上10時間以下とする。
1gの第1化合物に対するエチレンオキシドの量は、例えば、0.1g以上10g以下とする。この量を調整することにより、式(I)におけるp+qの値を調整できる。
[硬化性組成物]
実施形態に係る光学材料用化合物は、(チオ)ウレタン若しくは(チオ)ウレタンウレア樹脂形成用のジオールとして使用し得る。ウレタン系樹脂形成用の硬化性組成物は、実施形態に係る式(I)に表される光学材料用化合物と、ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、任意に活性水素化合物、機能性色素、及び添加剤とを含む。
硬化性組成物において、光学材料用化合物が占める割合は、例えば、5質量%以上60質量%以下である。この割合は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。この割合は、例えば、NMR法により算出できる。
(ポリイソ(チオ)シアネート化合物)
「ポリイソ(チオ)シアネート化合物」は、イソシアネート基を2以上有する化合物、イソチオシアネート基を2以上有する化合物、又は、イソシアネート基及びイソチオシアネート基を各1以上有する化合物である。
ポリイソシアネート化合物には、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、含硫黄複素環イソシアネート化合物、含硫黄脂肪族イソシアネート化合物、脂肪族スルフィド系イソシアネート化合物、芳香族スルフィド系イソシアネート化合物、脂肪族スルホン系イソシアネート化合物、芳香族スルホン系イソシアネート化合物、スルホン酸エステル系イソシアネート化合物、芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート化合物等が含まれる。
硬化性組成物におけるポリイソ(チオ)シアネート化合物の量は、100質量部の活性水素含有化合物に対して10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、50質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
脂肪族イソシアネート化合物としては、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4,4,-トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、1,2-ビス(2-イソシアナトエチルチオ)エタン等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
好ましい脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(o-,m-,p-)、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン 、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタンが挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
脂肪族イソチオシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソチアシネート、1,2-ジイソチオシアネートエタン、1,3-ジイソチオシアネートプロパン、1,4-ジイソチオシアネートブタン、1,6-ジイソチオシアネートヘキサン、2,4,4,-トリメチルヘキサンメチレンジイソチアシネート、チオビス(3-イソチオシアネートプロパン)、チオビス(2-イソチオシアネートエタン)、ジチオビス(2-イソチオシアネートエタン)などが挙げられる。
脂環族イソチオシアネート化合物、芳香族イソチオシアネート化合物としては、p-フェニレンジイソプロピリデンジイソチオシアネート、1,2-ジイソチオシアネートベンゼン、1,3-ジイソチオシアネートベンゼン、1,4-ジイソチオシアネートベンゼン、2,4-ジイソチオシアネートトルエン、イソホロンジイソチオシアネート、キシレンジイソチオシアネート(o-,m-,p-)、2,4-トリレンジイソチオシアネート、2,6-トリレンジイソチオシアネート、シクロヘキサンジイソチオシアネートなどが挙げられ、また、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネートベンゼン)、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート2-メチルベンゼン)、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート3-メチルベンゼン)などが挙げられる。
また、好ましい脂環族イソチオシアネート化合物としては、2,4-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、3,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、ノルボルナンジイソチアネートなどが挙げられる。
好ましい含硫黄複素環イソシアネート化合物としては、チオフェン-2,5-ジイソチオシアネート、1,4-ジチアン-2,5-ジイソチオシアネート、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,3-ジチオランなどが挙げられる。
(活性水素含有化合物)
活性水素含有化合物としては、脂肪族ポリ(チ)オール化合物、芳香族ポリ(チ)オール化合物、多官能ポリチオール化合物等が挙げられる。
「ポリ(チ)オール化合物」は、2以上の水酸基(-OH)を有する化合物、2以上のチオール基(-SH)を有する化合物、及び、1以上の水酸基及び1以上のチオール基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
硬化性組成物における活性水素含有化合物の量は、20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。活性水素含有化合物の量は、100質量部のポリイソ(チオ)シアネート化合物に対して10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、80質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
脂肪族ポリ(チ)オール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリト-ルヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
多官能ポリチオール化合物としては、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、1,1,1,1-テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,7-ビスメルカプトメチル-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオール、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン等が挙げられる。
好ましいポリ(チ)オール化合物として、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、トリス-{(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル}-イソシアヌレート、であることが好ましく、その中でも、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)のうち少なくとも1つを用いることがより好ましい。
(機能性色素)
機能性色素は、例えば、フォトクロミック化合物、紫外線吸収剤、青色光吸収剤、赤外線吸収剤、及びエレクトロミック化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
フォトクロミック化合物としては、例えば、クロメン化合物、フルギド化合物、及びスピロオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。フォトクロミック化合物としては、クロメン化合物を用いることが好ましい。クロメン化合物は、1-ベンゾピラン骨格を有する化合物、スピロピラン骨格を含むスピロピラン化合物、及び、ナフトピラン骨格を有するナフトピラン化合物を含む。ナフトピラン化合物には、インデノナフトピラン骨格を有するインデノナフトピラン化合物が含まれる。クロメン化合物は、インデノ〔2,1-f〕ナフト〔1,2-b〕ピラン骨格を有するインデノナフトピラン化合物を含むことが好ましい。インデノ〔2,1-f〕ナフト〔1,2-b〕ピラン骨格を有するクロメン化合物を含む硬化体は、耐久性に優れる傾向にある。
紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線(UV)領域において吸収波長を有する。紫外線吸収剤は、330nm以上380nm以下の領域に最大吸収波長を有してもよく、250nm以上330nm未満の領域に最大吸収波長を有してもよい。紫外線吸収剤としては、有機化合物を用い得る。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ベンゾトリアゾール誘導体、及びトリアジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン誘導体、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、及び、ベンゾトリアゾール誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
青色光吸収剤としては、吸収スペクトルにおいて、400nm超450nm以下の波長領域に吸収ピークを有する化合物を用い得る。このような化合物としては、例えば、ペリレン系化合物、ポルフィリン系化合物、カロテノイド系化合物、及び、シアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。青色光吸収剤としては、ポルフィリン系化合物を用いることが好ましく、テトラアザポルフィリン化合物を用いることがより好ましい。
高エネルギー可視光線吸収剤は、400nm超420nm以下の波長領域に吸収ピークを有する青色光吸収剤である。高エネルギー可視光線吸収剤としては、青色光吸収剤と同様のものを用い得る。
染料は、吸収スペクトルにおいて、540nm以上650nm以下の波長領域に吸収ピークを有する化合物を含むことが好ましく、550nm以上600nm以下の波長領域に吸収ピークを有する化合物を含むことがより好ましい。このような化合物を含むと、硬化体の防眩性を高められる。このような化合物としては、ニトロ系化合物、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、スレン系化合物、ポルフィリン系化合物、希土類金属化合物等が挙げられる。このような化合物としては、テトラアザポルフィリン化合物及びネオジム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
エレクトロミック化合物としては、ビオロゲン等の有機物、エレクトロミック性を有するポリマー、d原子を有する金属塩錯体等が挙げられる。
硬化性組成物の固形分において、機能性色素が占める割合は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、1質量%以上5質量%以下である。
(その他添加剤)
硬化性組成物は、効果を損なわない範囲で各種添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、重合促進剤、重合開始剤、機能性色素、紫外線吸収剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の添加剤、溶剤、レベリング剤、内部離型剤、さらには、t-ドデシルメルカプタン等のチオール類等の重合調整剤を、必要に応じて配合することができる。
(硬化促進剤)
硬化性組成物は、上述した成分の種類に応じて、その重合硬化を速やかに促進させるために各種の重合硬化促進剤をさらに含んでよい。水酸基及びチオール基と、イソシアネート基及びイソチアシアネート基との反応に用いるウレタン或いはウレア用反応触媒や縮合剤が、重合硬化促進剤として使用される。
このウレタン或いはウレア用反応触媒は、ポリイソ(チオ)シアネートと、ポリオール又はポリチオールとの反応によるポリ(チオ)ウレタン結合生成において用いられる。これらのウレタン或いはウレア用反応触媒は、3級アミン類およびこれらに対応する無機または有機塩類、ホスフィン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、ルイス酸類、または有機スルホン酸を挙げることが出来る。この具体例としては、以下のものを例示することができる。また、選択する上述の化合物の種類により、触媒活性が高すぎる場合は、3級アミンとルイス酸を混合して用いることにより触媒活性を抑えることが可能である。
3級アミン類;トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N,N′,N′-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、4,4′-トリメチレンビス(1-メチルピペリジン)、1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-7-ウンデセン
ホスフィン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィ、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン
4級アンモニウム塩類;テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド
4級ホスホニウム塩類;テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド
ルイス酸;トリフェニルアルミ、ジメチルスズジクロライド、ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルスズマレエ-ト、ジブチルスズマレエートポリマー、ジブチルスズジリシノレート、ジブチルスズビス(ドデシルメルカプチド)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマー、ジオクチルスズビス(ブチルマレエート)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジリシノレート、ジオクチルスズジオレエート、ジオクチルスズジ(6-ヒドロキシ)カプロエート、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジドデシルスズジリシノレート
有機スルホン酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸
縮合剤としての具体例は、以下のものを例示することができる。
無機酸;塩化水素、臭化水素、硫酸やリン酸等。
有機酸;p-トルエンスルホン酸、カンファ-スルホン酸等。
酸性イオン交換樹脂;アンバ-ライト、アンバ-リスト等。
カルボジイミド;ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノピロリル)-カルボジイミド
上記した各種の重合促進剤は、それぞれ、1種単独でも、2種以上を併用することもできるが、その使用量は、所謂触媒量でよく、例えば、上記ポリイソ(チオ)シアネート化合物及びポリオール化合物の合計100質量部に対して、0.001~10質量部、特に0.01~5質量部の範囲の少量でよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル-フェノール、BASFジャパン株式会社製IRGANOX245:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トルイル]プロピオネート]、BASFジャパン株式会社製IRGANOX1076:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASFジャパン株式会社製IRGANOX1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASFジャパン株式会社製のIRGANOX1035、1075、104、3790、5057、565等を用い得る。
レベリング剤としては、シリコーン界面活性剤、フッ素含有界面活性剤等を用い得る。具体的には、ダウ・東レ株式会社製L-7001、L-7002、L-7604、FZ-2123、DIC株式会社製メガファックF-470、メガファックF-1405、メガファックF-479、スリーエムジャパン株式会社製フローラッドFC-430等を用い得る。
(光安定剤)
光安定剤としては、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル骨格を有するヒンダートアミン系の化合物を使用することが好ましく、市販のものを使用できる。例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-4-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。商品名としては、株式会社ADEKA社製アデカスタブ(登録商標)LAシリーズ(LA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-81,LA-82など)、BASFジャパン株式会社製のTINUVIN(登録商標)シリーズ(TINUVIN123,TINUVIN171,TINUVIN249,TINUVIN292,TINUVIN765,TINUVIN622SFなど)、Chimassorb(登録商標)シリーズ(Chimassorb2020FDL,Chimassorb944FDL)等が挙げられる。
(内部離型剤)
また、光学物品の離型性が悪い場合には、内部離型剤を使用することができる。このような内部離型剤としては、離型性の効果があり樹脂の透明性などの物性を損なわないものであればいずれでも使用可能であるが、好ましくは界面活性剤が使用される。その中でも、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。ここでいう内部離型剤は、前述の各種触媒のうち離型効果を示すものをも含み、例えば4級アンモニウム塩類および4級ホスホニウム塩類をも含むことがある。これら内部離型剤は、モノマーとの組合せ、重合条件、経済性、取り扱いの容易さより適宜選ばれる。リン酸エステルの内部離型剤の具体例は、以下のとおりである。
アルキルアシッドホスフェート;リン酸モノ-n-ブチル、リン酸モノ-2-エチルヘキシル、リン酸モノ-n-オクチル、リン酸モノ-n-ブチル、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェ-ト、リン酸ジ(2-エチルヘキシル)、リン酸ジ-n-オクチル、リン酸ジ-n-ブチル、ブチルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、エチルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、ブトキシエチルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、イソトリデンアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、テトラコシルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、ステアリルアシッドホスフェイト(モノ-、ジ-混合物)、
その他のリン酸エステル;オレイルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、ジブチルピロホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)、ブトキシエチルアシッドホスフェート(モノ-、ジ-混合物)等が例示できる。
[硬化体]
硬化性組成物を硬化させることにより、硬化体が得られる。硬化方法としては、例えば、熱重合が挙げられる。
硬化体は、例えば、レンズ、家屋や自動車の窓ガラス、液晶ディスプレイ、サンバイザー、時計等の光学物品として使用し得る。レンズは、セミフィニッシュドレンズ及びフィニッシュドレンズを含む。
光学物品は、特に、フォトクロミック光学物品に好適に用いられる。フォクロミック光学物品は、フォトクロミック化合物を含む硬化性組成物の硬化体を含む。フォトクロミック光学物品としては、フォトクロミックレンズが挙げられる。フォトクロミックレンズは、練り込み法等の公知の方法で製造できる。
練り込み法による光学物品は、例えば、注型重合法により製造できる。先ず、エラストマーガスケット又はスペーサで保持されているガラスモールド間に、硬化性組成物を注入し、十分に脱泡する。次いで、空気炉中、もしくは水中で加熱して、硬化体を得る。
以下に例示するいくつかの実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に、本発明を説明するためのものであり、本発明の精神及び範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
[光学材料用化合物の合成]
(実施例1:化合物1の合成)
オートクレーブに1,4-ブタンジオール(70g)と触媒としての水酸化カリウム(1.2g)を加え、オートクレーブ中の空気を窒素置換した後、撹拌しながら120℃で触媒を溶解させて、第1溶液を得た。この第1溶液を120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)とし、プロピレンオキシド(550g)を滴下させ3時間撹拌して第2溶液を得た。120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、第2溶液にエチレンオキシド(440g)を滴下させ1時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸でpHを6~7とし、含有する水分を除去するため110℃で1時間減圧乾燥した(ゲージ圧:0.095MPa)。その後、生成した塩を除去するためにろ過を行なうことで、下記式(I-1)に表される化合物1を得た。
Figure 2024057814000010
得られた化合物1について、JIS K1557-1:2007に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価から数平均分子量を算出し、その値から式(I-1)におけるm+n、p+qの値を特定した。各付加モル数a、m+n、p+qの値を表1に示した。
また、得られた化合物について、重水素化クロロホルムに溶解した後、H-核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子製JNM-ECA400II、400MHz、基準物質:TMS)を用いて測定した。各ユニットの数平均分子量を算出することで、得られた化合物の数平均分子量に対する、ポリエチレンオキシド鎖の数平均分子量の割合、R鎖の数平均分子量、及び、化合物の数平均分子量におけるR鎖の数平均分子量の割合、さらにR鎖の数平均分子量に対するR11O鎖の数平均分子量の割合を表2に示した。
(実施例2~5:化合物2~5の合成)
出発物質ならびにプロピレンオキシド、エチレンオキシドの各付加量を変更したこと以外は化合物1と同様の方法で、上記式(I-1)に表される化合物2、4及び5並びに下記式(I-2)に表される化合物3を合成した。各付加モル数a、m+n、p+qの値を表1に示した。
Figure 2024057814000011
(実施例6:化合物6の合成)
オートクレーブに1,4-ブタンジオール(70g)と触媒としての水酸化カリウム(1.4g)を加え、オートクレーブ中の空気を窒素置換した後、撹拌しながら120℃で触媒を溶解させ、第1溶液を得た。次に、この第1溶液を120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)とし、プロピレンオキシド(135g)及びテトラヒドロフラン(560g)の混合物を滴下させ5時間撹拌し、第2溶液を得た。続いて、120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、第2溶液にエチレンオキシド(550g)を滴下させ1時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸でpHを6~7とし、含有する水分を除去するため110℃で1時間減圧乾燥した(ゲージ圧:0.095MPa)。その後、生成した塩を除去するためにろ過を行なうことで、下記式(I-3)に表される化合物6を得た。各付加モル数b、c、及びp+qの値を表1に示した。
Figure 2024057814000012
Figure 2024057814000013
Figure 2024057814000014
表2において、「数平均分子量」と表記した列には、各光学材料用化合物の数平均分子量を、「EO(%、Mn/Mn)」と表記した列には、光学材料用化合物の数平均分子量におけるポリエチレンオキシド鎖の数平均分子量が占める割合を、「R基数平均分子量」と表記した列には、R基の数平均分子量を、「R基(%、Mn/Mn)」と表記した列には、光学材料用化合物の数平均分子量においてR基の数平均分子量が占める割合を、「R11O鎖/R基(%、Mn/Mn)」と表記した列には、R基の数平均分子量に対するR11O鎖の数平均分子量の割合をそれぞれ記載している。
[硬化性組成物及び硬化体]
化合物1~6を用いて、光学物品を製造した。用いた材料及び評価方法は、以下のとおりである。
〈ウレタン系硬化性組成物及び硬化体の製造〉
<機能性色素>
FD1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製アデカスタブLA-32)
FD2:ポルフィリン系青色光吸収剤(山田化学工業社製FDB-001)
FD3:下記式で表される化合物
Figure 2024057814000015
<ポリイソシアネート化合物>
NBDI:ノルボルナンジイソシアネート
<活性水素含有化合物>
PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
<光学材料用化合物>
化合物(1)~(6)
L-31:下記に表される平均分子量1100のジオール。x及びzの平均値は1であり、yの平均値は17である。
Figure 2024057814000016
<添加剤>
酸化防止剤:BASFジャパン株式会社製 Irganox245(0.1質量部)
紫外線吸収剤:BASFジャパン株式会社製 Uvinul MC80(0.6質量部)
硬化促進剤:ジメチルクロル錫(0.05質量部)
なお、上記添加剤は、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物と光学材料用化合物の合計を100質量部とした時の配合割合である。
(実施例7)
表3に示すとおりに各成分を混合した硬化性組成物を調製した。
調製した硬化性組成物を十分に脱泡した後、2mmの隙間を設けたガラスモールドの中に注入し、注型重合により硬化性組成物を重合した。重合は空気炉を用い、27℃から120℃まで徐々に昇温させながら18時間かけて行った。重合後、硬化体をガラスモールドから取り外し、厚み2mmの硬化体(光学物品)を得た。
(実施例8~14、比較例1)
表3に示した配合に変更したこと以外は、実施例7と同様の方法で硬化体を作製した。
(実施例15、比較例2)
表4に示した配合に変更したこと以外は、実施例7と同様の方法でフォトクロミック硬化体(フォトクロミック光学物品)を作製した。
〔評価方法〕
〈白濁〉
得られた硬化体の濁り度合いを目視にて評価した。この結果を表3に示す。
1:集光器による評価において、白濁なしと認められる。
2:集光器による評価において、白濁が認められるが透明性はある。
3:集光器による評価において、白濁が認められ透明性なし。
4:蛍光灯下、目視による評価において、透明性なし。
〈フォトクロミック特性〉
実施例15及び比較例2で得られたフォトクロミック硬化体について、以下に示す方法により評価を行った。この結果を表4に示す。
大塚電子株式会社製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD3000)を用いて、下記の値を測定した。
極大吸収波長(λmax):発色後の極大吸収波長である。
発色濃度:前記極大吸収波長における、23℃で300秒間光照射した後の吸光度(A300)と光未照射時の吸光度(A)との差である。
退色半減期〔τ1/2(sec)〕:23℃において、300秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{A300-A}の1/2まで低下するのに要する時間である。
〈耐久性〉
残存率(%)=〔(A96)/(A)×100〕:スガ試験機社製キセノンウェザーメーターX25を用いて、フォトクロミック硬化体を96時間促進劣化させた。発色濃度の評価を促進劣化試験前後で行ない、試験前のフォトクロミック硬化体の発色濃度(A)および試験後のフォトクロミック硬化体の発色濃度(A96)の比(A96/A)を残存率とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高いことを意味する。この結果を表4に示す。
Figure 2024057814000017
Figure 2024057814000018
なお、表3及び表4において括弧内の数字は質量部を意味する。

Claims (6)

  1. 下記式(I)に表される光学材料用化合物:
    Figure 2024057814000019
    上記式(I)において、
    p及びqは、それぞれ独立に、2以上26以下であり、
    p+qは、4以上28以下のブロック付加体であり、
    は、下記式(Ia)、又は、(Ib)で表される2価の基であり、
    Figure 2024057814000020
    上記式(Ia)において、
    11は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)であり、
    aは、1以上9以下であり、
    m及びnは、それぞれ独立に、1以上19以下であり、
    m+nは、2以上20以下のブロック付加体であり、
    Figure 2024057814000021
    上記式(Ib)において、
    14は、ノルマルブチレン基又はイソブチレン基(-CHCH(CHCH)-)であり、
    bは、1以上9以下であり、
    cは、2以上20以下のランダム付加体である。
  2. JIS K 1557-1:2007による水酸基価から算出される数平均分子量が、500以上2000以下である請求項1に記載の光学材料用化合物。
  3. 前記光学材料用化合物の数平均分子量に対して、水酸基価から算出される前記光学材料用化合物の数平均分子量と核磁気共鳴(NMR)法から算出される、上記式(I)中のポリエチレンオキシド鎖の数平均分子量が占める割合は、4%以上97%以下である請求項1又は2に記載の光学材料用化合物。
  4. 水酸基価から算出される前記光学材料用化合物の数平均分子量と核磁気共鳴(NMR)法から算出されるR鎖の数平均分子量は、300以上1500以下である請求項1又は2に記載の光学材料用化合物。
  5. 前記光学材料用化合物の数平均分子量に対して、R鎖の数平均分子量が占める割合は、3%以上96%以下である請求項1又は2に記載の光学材料用化合物。
  6. 鎖の数平均分子量に対して、水酸基価から算出される前記光学材料用化合物の数平均分子量と核磁気共鳴(NMR)法から算出されるR11O鎖の数平均分子量が占める割合は、3%以上100%以下である請求項1又は2に記載の光学材料化合物。

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