JP2024055479A - 固液分離装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この脱水処理において、養豚場や牛舎等から排出される原水には、SS濃度が3000~30000mg/リットル程度であるSS濃度が高い高濃度原水が排出される場合がある。このような原水を濾過すると、固形物の大きさが各プレート間の隙間よりも小さい場合であっても固形物に他の固形物が堆積して、濾過部の各プレート上面がすぐに固形物で覆われてしまう。プレート上面が固形物で覆われると、原水中の水分が各プレート間の隙間から落下しなくなり良好な脱水処理が行われなくなるため、可動プレート群に平行運動を行わせている。平行運動により、各プレート間に隙間を生じさせて水分を落下させると共に、固形物を搬送して固形物のない新たな濾過面を再生している。従って、高濃度原水の処理中は濾過部の可動プレート群が常時平行運動を行っている。
また、含まれる固形物として、根菜類(ゴボウやにんじん等)のひげ根や犬や猿等の動物の体毛等の、細くかつ柔らかい物質を含む原水の場合には、流速が高まるに連れて流れ方向に整列し易い傾向、すなわち各プレートの厚み方向に抜け易い傾向がある。このような原水の場合にも、各プレート間より水分と共に固形物が落下してしまい、濾過部のプレート上にほとんど固形物が堆積せず、可動プレート群が常時平行運動を行っても固形物を効果的に除去することができなかった。
本発明は、上述の問題点を解決し、原水中の固形物を効果的に除去することが可能な固液分離装置の提供を目的とする。
図1(a)は本発明の第1の実施形態を適用可能な固液分離装置の概略平面図を、図1(b)は同概略正面図を、図1(c)は同概略側面図をそれぞれ示している。同図において固液分離装置1は、本体架台部2、整流箱3、原水戻りトレイ4、水位調整パイプ5、水位調整ゲート6、ガイド板7、濾過部8、モータ9、排出口10、原水供給管11、送出口12A,12B、ドレン13等を有している。
図1(b)において左右方向を示す矢印Xは固液分離装置1の長さ方向を、図1(b)において奥行き方向を示す矢印Yは固液分離装置1の幅方向を、図1(b)において上下方向を示す矢印Zは固液分離装置1の高さ方向をそれぞれ示している。以下、装置長さ方向X、装置幅方向Y、装置高さ方向Zという。
原水戻りトレイ4の側面には排出口10が設けられており、排出口10には図示しない配管が接続され、排出口10から排出された原水はこの配管を通り図示しない原水槽に戻される。原水戻りトレイ4の上方には原水槽から原水を供給する原水供給管11が、濾過部7の下方に位置する本体架台部2には濾過された濾過水を排出する送出口12A,12Bが、整流箱3の底部にはドレン13がそれぞれ設けられている。
図2に示すように濾過部8は、図1(b)において右側である、原水及び固形物の搬送方向である搬送方向上流側に配置される前段プレート部8Aと、搬送方向下流側に配置される後段プレート部8Bとを有している。前段プレート部8Aと後段プレート部8Bとは、搬送方向において互いに分断されて設けられている。
前段プレート部8Aは、複数のプレートAを一体化した第1プレート群15と、プレートAよりも搬送方向長さが短い複数のプレートBを一体化した第2プレート群16とを有している。後段プレート部8Bは、プレートBよりも搬送方向長さが短い複数のCプレートを一体化した第3プレート群17と、Cプレートと同じ搬送方向長さを有する複数のプレートDを一体化した第4プレート群18とを有している。
ここで、各プレート群15,16,17,18のうち、第1プレート群15と第3プレート群17とが互いに一体的に構成され、第2プレート群16と第4プレート群18とが互いに一体的に構成されている。一体的に構成されたプレート群を区別するため、図2において、第1プレート群15と第3プレート群17とを白抜きで、第2プレート群16と第4プレート群18とをハッチングでそれぞれ示している。
図3において、第1プレート群15を構成する各プレートAと第2プレート群16を構成する各プレートBとは互いに噛み合うように構成されている。また、図示はしていないが同様に、第3プレート群17を構成する各プレートCと第4プレート群18を構成する各プレートDとは互いに噛み合うように構成されている。
上述したように、前段プレート部8Aと後段プレート部8Bとはそれぞれ独立して構成されている。このため、本実施形態で示すように各プレート部8A,8Bで用いられる各ギャップg1,g2に差異を持たせる場合には、前段プレート部8Aで用いられるスペーサ19の長さと後段プレート部8Bで用いられるスペーサ20の長さとを異ならせることにより、容易に各ギャップg1,g2を設定することができる。
本実施形態では、前段プレート部8Aのギャップg1に対して後段プレート部8Bのギャップg2が半分となるように構成されている。また、各プレート部8A,8B間の間隔Sは、処理対象物である原水の搬送が搬送方向において滑らかに進行するように、できる限り小さく設定される。
各側板25,26には、下端部を互いに内方に向けて曲折して形成した底面25b,26bが形成されており、底面25,26b間には隙間31が設けられている。隙間31は、各プレート群16,18によって原水から分離された水分が落下する空間として用いられる。また底面25b,26bには、第2プレートユニット28を後述する固定プレート51に対して固定するための取付穴25c,26cがそれぞれ4個ずつ形成されている。
各側板35,36には、下端部を互いに外方に向けて曲折して形成した底面35a,36aが形成されており、底面35a,36aには、第1プレートユニット27を筐体7に対して固定するための図示しない取付穴がそれぞれ2個ずつ形成されている。
また、第1プレートユニット27を構成する、第1プレート群15を構成する各プレートAと第3プレート群17を構成する各プレートCとは、それぞれの上面が一つの面をなすように側板35,36間に支持されている。同様に、第2プレートユニット28を構成する、第2プレート群16を構成する各プレートBと第4プレート群18を構成する各プレートDとは、それぞれの上面が一つの面をなすように側板25,26間に支持されている。
仕切板30によって区画される第2プレートユニット28の領域に対応して、第2プレートユニット28の下方に配置される本体架台部2の底面2aも仕切板32によって二つの領域に区画されている。底面2aに区画形成された各領域には、前段プレート部8Aから落下して本体架台部2内に収容された処理水を送出する送出口12A、及び後段プレート部8Bから落下して本体架台部2内に収容された処理水を送出する送出口12Bがそれぞれ設けられている。
図5に示すように、駆動軸38よりも搬送方向上流側には、駆動軸38と平行に配置された従動軸41が設けられている。従動軸41は駆動軸38と同様に、本体架台部2の側板の外側に固定された軸受42,43によって回転自在に支持される。
駆動軸38及び従動軸41のモータ9側端部にはそれぞれタイミングプーリ44,45が固定されており、各プーリ44,45間にはタイミングベルト46が掛け回されていて、モータ9の駆動力が従動軸41に伝達されるように構成されている。
用いられるボルト52としては、固定プレート51の厚みよりも大きい長さのものが用いられる。固定プレート51は各偏芯カム49,50の回転に伴い上下動するため、回転駆動力を発生させるモータ9の負荷を小さくするために、その厚みは本実施形態において5~10mm程度に抑えられている。従って、用いられるボルト52の長さは15~25mm程度が望ましい。なお、固定プレート51の厚み及びボルト52の長さは上述した値に限定されず、固液分離装置1の仕様に応じてそれぞれ変更可能である。
図6は、プレート移動手段53が取り付けられた状態を示す本体架台部2の平面図である。同図において本体架台部2の側壁には、第1プレートユニット27を構成する各側板35,36の各底面35a,36aが取り付けられるブラケット状の取付部2bが4箇所設けられている。各取付部2bの本体架台部2の側壁に対する取付面には、装置長さ方向Xに向けて形成された図示しない長穴が設けられている。各取付部2bは、図示しないボルト及びナットによって、本体架台部2の側壁に対して図示しない長穴の範囲内でそれぞれ装置長さ方向Xに向けて位置調整可能に取り付けられる。また各取付部2bは、本体架台部2の側壁との間に図示しない板状のスペーサを設けることにより、それぞれ装置幅方向Yに向けて位置調整可能に取り付けられる。
各取付部2bには、各底面35a,36aに形成された図示しない取付穴と連通する取付穴2cがそれぞれ形成されており、第1プレートユニット27は各底面35a,36aを各取付部2b上に載置した状態で、図3に示すように、ボルト54及びナット55によって本体架台部2に対して締結固定される。
この構成より、各軸38,41が固定された各偏芯カム47,48が中心O2の周りに図8において反時計回り方向に回転すると、各偏芯カム47,48の回転に伴い固定プレート51が変位し、固定側プレート群である第1プレートユニット27に対して可動側プレート群である第2プレートユニット28が平行運動を行う。ここでいう平行運動とは、第2プレートユニット28が、それぞれ前後方向及び左右方向に倒れ込むことなく水平面に対する上面(図2(b)に示す各プレートB,Dの上面)の角度が一定に維持された状態で、各偏芯カム47,48の回転に伴い第1プレートユニット27に対して前後方向及び上下方向に相対的に移動することをいう。
その後、図9(c)に示すように、第2プレートユニット28上の固形物14は、再び上昇することにより第2プレートユニット28と入れ替わった第1プレートユニット27の濾過面に受け渡される。この動作が繰り返し行われることにより、固形物14は徐々に搬送方向下流側へと搬送される。第1プレートユニット27を構成する各プレートA,Cと第2プレートユニット28を構成する各プレートB,Dとは相対的に上下方向に変位するため、固形物14を搬送する濾過面は駆動軸38及び従動軸41の1回転毎に新たな濾過面として現れることとなる。
原水供給管11から供給された原水は、整流箱3で整流されつつオーバーフローして濾過体8の前段プレート部8A上に到達する。前段プレート部8A上に原水が到達した時点でモータ9が作動しており、駆動軸38が図5において反時計回り方向に回転駆動され、この回転がタイミングベルト46を介して従動軸41に伝達されて、駆動軸38と同期して従動軸41が回転駆動される。この回転により、各偏芯カム47,48が各軸38,41の中心O2を中心として図8において偏芯回転し、第2プレートユニット28が平行運動を行う。
脱水工程により濾過体8上に残存した固形物14は、各側板35,36間に固定されたガイド板7によって案内されつつ下方に落下して回収される。
上述の問題点を解決し、原水中の固形物を効果的に除去することが可能な固液分離装置の構成を、本発明の一実施形態として以下に説明する。
制御装置64は、それぞれ図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータであり、各センサ62a,62b,65からの信号を受けて駆動モータ9の作動を制御する。
原水供給管11から整流箱3に原水33が供給されるに先立ち、制御装置64からモータ9に動作指令が送られてモータ9が駆動する。モータ9の駆動により濾過部8の第2プレートユニット28が平行運動を開始すると共に駆動軸38が回転を開始し、駆動軸38と共に回転する被検知部66が位置検知センサ65に検知されると、位置検知センサ65から制御装置64に信号が送られて制御装置64からの指令に基づきモータ9の作動が停止される。これにより濾過部8は、第1プレートユニット27と第2プレートユニット28とが同一平面を形成する第2の態様(または第4の態様)を占める。
その後、原水33が水位検知センサ62aに検知されるとモータ9が再び作動され、以下この動作が繰り返される。第1プレートユニット27と第2プレートユニット28との重なり量が大きければ、換言すると各プレートの高さ方向における高さの差が少ないと(第2の態様または第4の態様)、濾過部8における原水33の流下する流速が抑えられ、原水33からの固形物14の回収率を高くすることができる。
なお、各センサ62a,62bの取付位置は、原水33の性質によって適宜決定される。例えば、原水33のSS濃度が低いほど水位検知センサ62aの設置位置が高くなり、濾過部8に堆積される原水33の量が増加される。
また、本発明の構成によれば、堆積量検知手段62が濾過部8に供給される原水33の位置を検知する水位検知センサ62a,62bであるので、濾過部8上の原水33の堆積量を正確に検知できる。
また、本発明の構成によれば、堆積量調整手段63が第2プレートユニット28の位置を検知する位置検知センサ65であるので、第2プレートユニット28の状態を正確に把握でき、濾過部8上の原水33の堆積量を正確に調整できる。
さらに、濾過部8上に原水33が徐々に堆積されて脱水率が低下していくが、これに伴い上述の傾斜により濾過部8の原水33の水位が上昇することで搬送方向下流側に新たな濾過面を確保している。つまり、連続的に供給される原水33を脱水するため、濾過部8のプレートの長さを活用して濾過面(濾過量)を確保しつつ固形物14の回収を行っている。そして、濾過部8の水位が上昇して水位が上限に達した時点で第2プレートユニット28が平行運動を行うことにより、濾過部8全体の固形物14が一斉に搬送されると共に水位が一気に下降する。
SS濃度が一定量以上である場合には、濾過量と固形物の回収とが一定の範囲で行われるが、経時的にSS濃度が増減する場合や濃度変動が生じる場合には、SS濃度の高い原水に合わせた位置に水位調整ゲート6を調整する必要がある。SS濃度の変動を観察しながら人手により水位調整ゲート6を調整することは現実的にはできず、また原水の水質を安定化させることもできない。そこで、このような原水を対象として、SS濃度変動や夾雑物の一時混入等が生じても、濾過部の濾過面長さを活用する技術が求められる。
また、経時的に夾雑物の量が変化する場合においては、濾過面が固形物14及び夾雑物によって覆われ脱水量が減少した時点で濾過面を強制的に再生でき、脱水量を確保することができる。
[1]複数のプレートがその厚み方向に一定の間隔で配置され一体的に構成された固定側プレート群と、前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがその厚み方向に一定の間隔で配置され一体的に構成された可動側プレート群と、前記可動側プレート群を平行運動させる駆動手段とを有し、前記固定側プレート群の各プレートと前記可動側プレート群の各プレートとが互いの前記間隔に入り込んで、固定側プレート群の各プレートと可動側プレート群の各プレートとの間にギャップを形成し、前記平行運動により前記ギャップから処理対象物の水分を落下させつつ、前記処理対象物から水分が落下した固形物を搬送方向下流側に向けて搬送する濾過部を備えた固液分離装置であって、前記濾過部に堆積される前記処理対象物の量を制御する堆積量制御手段を有する固液分離装置である。
[2]前記堆積量制御手段は、前記濾過部に堆積される前記処理対象物の量を検知する堆積量検知手段と、前記濾過部に堆積された前記処理対象物の量を調整する堆積量調整手段とを有することを特徴とする[1]に記載の固液分離装置である。
[3]前記堆積量検知手段は前記濾過部に供給される前記処理対象物の位置を検知する水位検知センサであることを特徴とする[2]に記載の固液分離装置である。
[4]前記堆積量調整手段は前記可動側プレート群の位置を検知する位置検知センサを有することを特徴とする[2]または[3]に記載の固液分離装置である。
[5]前記可動側プレート群と前記固定側プレート群とは、前記複数のプレートの上面がそれぞれ前記搬送方向下流側に向かうに連れて上方に向かうように傾斜していることを特徴とする[1]ないし[4]の何れか一つに記載の固液分離装置である。
本実施形態では、処理する処理対象物として、畜産糞尿から発生する畜産汚水、食品工場等の排水処理から発生する含油汚泥、下水処理から発生する余剰汚泥、金属加工、メッキ、建設系、食肉加工場、弁当製造等の食品加工等の現場から発生する汚泥等の原水を示したが、処理対象物としてはこれに限られない。原水としては、各種工場等の排水処理から発生する含油汚泥や下水処理から発生する余剰汚泥等を含んだ、水分あるいは水分と固形物とが混在したものであればどのようなものでもよい。好ましくは、給食廃水や野菜カット工場、食肉工場、水産加工工場等の食品工場廃水に適している。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
14 固形物
27 固定側プレート群(第1プレートユニット)
28 可動側プレート群(第2プレートユニット)
33 処理対象物(原水)
60 固液分離装置
61 堆積量制御手段
62 堆積量検知手段
62a,62b 水位検知センサ
63 堆積量調整手段
65 位置検知センサ
原水戻りトレイ4の側面には排出口10が設けられており、排出口10には図示しない配管が接続され、排出口10から排出された原水はこの配管を通り図示しない原水槽に戻される。原水戻りトレイ4の上方には原水槽から原水を供給する原水供給管11が、濾過部8の下方に位置する本体架台部2には濾過された濾過水を排出する送出口12A,12Bが、整流箱3の底部にはドレン13がそれぞれ設けられている。
Claims (5)
- 複数のプレートがその厚み方向に一定の間隔で配置され一体的に構成された固定側プレート群と、
前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがその厚み方向に一定の間隔で配置され一体的に構成された可動側プレート群と、
前記可動側プレート群を平行運動させる駆動手段とを有し、
前記固定側プレート群の各プレートと前記可動側プレート群の各プレートとが互いの前記間隔に入り込んで、固定側プレート群の各プレートと可動側プレート群の各プレートとの間にギャップを形成し、前記平行運動により前記ギャップから処理対象物の水分を落下させつつ、前記処理対象物から水分が落下した固形物を搬送方向下流側に向けて搬送する濾過部を備えた固液分離装置であって、
前記濾過部に堆積される前記処理対象物の量を制御する堆積量制御手段を有する固液分離装置。 - 請求項1記載の固液分離装置において、
前記堆積量制御手段は、前記濾過部に堆積される前記処理対象物の量を検知する堆積量検知手段と、前記濾過部に堆積された前記処理対象物の量を調整する堆積量調整手段と、を有することを特徴とする固液分離装置。 - 請求項2記載の固液分離装置において、
前記堆積量検知手段は前記濾過部に供給される前記処理対象物の位置を検知する水位検知センサであることを特徴とする固液分離装置。 - 請求項2記載の固液分離装置において、
前記堆積量調整手段は前記可動側プレート群の位置を検知する位置検知センサを有することを特徴とする固液分離装置。 - 請求項1ないし4の何れか一つに記載の固液分離装置において、
前記可動側プレート群と前記固定側プレート群とは、前記複数のプレートの上面がそれぞれ前記搬送方向下流側に向かうに連れて上方に向かうように傾斜していることを特徴とする固液分離装置。
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