JP2024055213A - 運搬車両の管理システム - Google Patents

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健二 水谷
卓弥 松田
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Abstract

【課題】汎用性の高い情報に基づいて、運搬車両の機器の劣化状態を判定し、その判定結果を出力可能な運搬車両の管理システムを提供する。【解決手段】運搬車両の管理システムは、運搬車両の機器の劣化状態を判定する処理装置を備える。処理装置は、少なくとも運搬車両の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、運搬車両の走行時における運搬車両の消費エネルギである車両エネルギを算出し、パワートレインが作動しているときの車両エネルギおよび運搬車両の投入エネルギに基づいて、パワートレインの効率を算出し、パワートレインの効率と、補機が作動しているときの運搬車両の投入エネルギとに基づいて、補機が作動しているときの運搬車両の消費エネルギである補機エネルギを算出し、補機エネルギに基づいて、補機を含む補機システムの劣化状態を判定し、補機システムの劣化状態の判定結果を通知装置に出力する。【選択図】図3

Description

本発明は、作業現場で鉱石等を運搬するダンプトラック等の運搬車両を管理する管理システムに関する。
作業現場で作業を行う作業機械の稼働情報を収集し、作業機械に搭載される機器のメンテナンスの時期に関する情報を算出する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、作業機械のエンジン、メインポンプ、油圧アクチュエータのうちの少なくとも1つの機器についての積算仕事量を演算し、演算した積算仕事量に基づいて、機器のメンテナンスの時期に関する情報を算出するメンテナンス情報管理装置が開示されている。
このメンテナンス情報管理装置は、エンジンの出力トルクおよびエンジンの出力回転数に基づいて、エンジンの仕事率を算出する。また、メンテナンス情報管理装置は、油圧ポンプの吐出流量および吐出圧力に基づいて、油圧ポンプの仕事率を算出する。メンテナンス情報管理装置は、算出した各仕事率に関してそれぞれ経過時間で積算して、各機器の仕事量(積算仕事量)を算出する。メンテナンス情報管理装置は、積算仕事量が交換基準仕事量を超えた場合に、メンテナンス情報として、交換を促す旨の表示を表示装置に表示させる。
特開2012-25521号公報
しかしながら、エンジンの出力トルクおよび出力回転数、ならびに油圧ポンプの吐出流量などは、機器の特性の分析に利用可能な秘匿性の高い情報である。このため、管理システムにおいて、これらの秘匿性の高い情報を収集できない場合がある。この場合、特許文献1に記載の技術では、機器の仕事率を算出することができず、メンテナンス時期に関する情報を算出することができない。
本発明は、容易に取得が可能な汎用性の高い情報に基づいて、運搬車両の機器の劣化状態を判定し、その判定結果を出力可能な運搬車両の管理システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様による運搬車両の管理システムは、動力源を含むパワートレインと、前記動力源により駆動される補機とを備える運搬車両を管理する運搬車両の管理システムにおいて、前記運搬車両の機器の劣化状態を判定する処理装置を備え、前記処理装置は、少なくとも前記運搬車両の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、前記運搬車両の走行時における前記運搬車両の消費エネルギである車両エネルギを算出し、前記パワートレインが作動しているときの前記車両エネルギおよび前記運搬車両の投入エネルギに基づいて、前記パワートレインの効率を算出し、前記パワートレインの効率と、前記補機が作動しているときの前記運搬車両の投入エネルギとに基づいて、前記補機が作動しているときの前記運搬車両の消費エネルギである補機エネルギを算出し、前記補機エネルギに基づいて、前記補機を含む補機システムの劣化状態を判定し、前記補機システムの劣化状態の判定結果を通知装置に出力する。
本発明によれば、容易に取得が可能な汎用性の高い情報に基づいて、運搬車両の機器の劣化状態を判定し、その判定結果を出力可能な運搬車両の管理システムを提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る鉱山管理システムの全体像を示す図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る鉱山管理システムおよび鉱山管理システムの管理対象であるダンプトラックの構成の一例を示す図である。 図3は、鉱山管理システムの処理装置の機能ブロック図である。 図4は、ダンプトラックの状態変化の一例を示す図である。 図5は、ホイストシリンダの上げ動作時の燃料噴射量、およびボディアングルの時系列変化の一例について示す図である。 図6は、車両エネルギの算出方法の一例を示す図である。 図7は、劣化している機器の特定方法について説明する図である。 図8は、本発明の第1実施形態に係る処理装置により実行される劣化判定処理の流れの一例について示すフローチャートである。 図9Aは、表示端末装置に表示される画面例であり、複数のダンプトラックの補機エネルギの棒グラフを示す。 図9Bは、表示端末装置に表示される画面例であり、複数のダンプトラックの空荷パワトレ効率の棒グラフを示す。 図10Aは、表示端末装置に表示される画面例であり、補機エネルギのトレンドを示す。 図10Bは、表示端末装置に表示される画面例であり、空荷パワトレ効率のトレンドを示す。 本発明の第1実施形態の変形例1に係る処理装置により実行される劣化判定処理の一例について示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態の変形例2に係る鉱山管理システムの管理対象であるダンプトラックの構成の一例を示す図である。 図13は、本発明の第2実施形態に係る鉱山管理システムの管理対象であるダンプトラックの構成の一例を示す図である。 図14は、本発明の第2実施形態に係る処理装置により実行される劣化判定処理の一例について示すフローチャートである。 図15は、本発明の第2実施形態に係る処理装置により実行される劣化判定処理の別の例について示すフローチャートである。 図16は、劣化状態の判定結果の出力例を示す図であり、複数の運搬車両の補機エネルギ、空荷パワトレ効率、およびトロリパワトレ効率を示す。 図17は、劣化状態の判定結果の出力例を示す図であり、複数の運搬車両の劣化部位を示す。
<第1実施形態>
図1から図10Bを用いて、本発明の第1実施形態に係る鉱山管理システム200について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る鉱山管理システム200の全体像を示す図である。鉱山管理システム200は、複数の鉱山機械(作業機械)101~103を管理する。鉱山管理システム200は、まとめて管理される同一の鉱山エリア100を走行する複数の鉱山機械101~103からそれぞれの位置情報および稼働情報を収集し、記憶するデータベース201(例えばデータベース)と、各鉱山機械101~103の位置情報および稼働情報を基に鉱山の生産性指標を算出するとともに、鉱山機械101~103の機器の劣化状態を判定する処理装置202(例えばサーバ)と、生産性指標および劣化状態等の情報をダッシュボード形式で表示画面に表示する表示端末装置203(例えばノートパソコン)と、を備えている。表示端末装置203は、鉱山管理システム200のユーザに対して、鉱山機械101~103の機器の劣化状態の判定結果を通知する通知装置として機能する。
図1では、鉱山機械101がダンプトラックであり、鉱山機械102が油圧ショベルであり、鉱山機械103がホイールローダである例について示す。鉱山エリア100では、複数のダンプトラック101、複数の油圧ショベル102、および複数のホイールローダ103が作業を行っている。ダンプトラック101は、鉱石等の運搬物が積載される荷台(ベッセル)109を備え、積載された運搬物を所定の場所に運搬する運搬車両である。油圧ショベル102およびホイールローダ103は、例えば、鉱石等を掘削し、ダンプトラック101の荷台109に積み込む。
ここで、各鉱山機械101~103の稼働データ(稼働情報)は鉱山管理システム200に逐次送信されることが望ましいが、通信状況および通信コストを考えると必ずしも逐次送信できるとはかぎらない。そこで本実施形態に係る処理装置202は、ある程度まとまった量の稼働データをバッファリングした後に処理を開始する。ある程度まとまった量とは、例えば、積荷から次の積荷までの過去最長サイクルに相当する時間あるいは、最長サイクルに相当するデータ量によって決めることができる。
鉱山管理システム200のユーザは、表示端末装置203に表示される情報(ダッシュボード情報)を用いて鉱山の生産性低下を早期に検知し、生産性の低下要因に基づいた対策を実施することで鉱山の生産性を維持・管理できる。例えば、鉱山の運行計画者301は、ダッシュボード情報を用いて、鉱山エリア100に存在する複数のダンプトラック101の運行計画を修正できる。オペレータ指導者302は、ダッシュボード情報から運転を改善すべきオペレータを発見し、そのオペレータに対して運転指導を行うことができる。路面点検者303は、ダッシュボード情報から生産性低下につながっている路面個所を早期に特定して修理を行うことができる。機器保守員304は、ダッシュボード情報から鉱山機械101~103の機器の劣化や故障を特定し、キャリブレーションや修理を行うことができる。また、インターネット400を介して取得した天候情報(履歴・予測)や鉱物価格(履歴・予測)とダッシュボード情報とを組み合わせることにより、採掘責任者305は、採掘・保守計画の修正を行うことができる。また、採掘責任者305は、運行計画者301、オペレータ指導者302、路面点検者303、機器保守員304に生産低下を防止するための改善指示を出すことができる。なお、表示端末装置203の表示形式はダッシュボード形式に限られず、レポート形式やメール形式であっても良い。
図1では、鉱山管理システム200は、鉱山機械101~103の機器の劣化状態の判定結果だけでなく、生産性指標を表示端末装置203に表示可能なシステムである例について示している。しかしながら、鉱山機械101~103の機器の劣化状態の判定結果のみを表示端末装置203に表示させるシステムと、生産性指標を表示端末装置203に表示させるシステムとは、個別に設けられていてもよい。
図2は、鉱山管理システム200および鉱山管理システム200の管理対象であるダンプトラック101の構成の一例を示す図である。図2に示すように、鉱山管理システム200の処理装置202は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ211、メモリ212、入出力インタフェース213、および、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。これらのハードウェアは、協働してソフトウェアを動作させ、複数の機能を実現する。なお、処理装置202は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
メモリ212は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリとを有している。不揮発性メモリには、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリは、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体(記憶装置)である。揮発性メモリは、プロセッサ211による演算結果および入出力インタフェース213から入力された信号を一時的に記憶する記憶媒体(記憶装置)である。プロセッサ211は、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリに展開して演算実行する装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース213およびメモリ212から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
処理装置202は、表示端末装置203および通信装置204に接続される。入出力インタフェース213は、表示端末装置203および通信装置204から入力された信号をプロセッサ211で演算可能なデータに変換する。また、入出力インタフェース213は、プロセッサ211での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を表示端末装置203および通信装置204に出力する。
ダンプトラック101は、自車両の稼働情報を収集し、通信装置131を介して、稼働情報を鉱山管理システム200に送信する車載コントローラ140を備えている。車載コントローラ140は、鉱山管理システム200の処理装置202と同様、CPU等のプロセッサ141、メモリ142、入出力インタフェース144、および、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。これらのハードウェアは、協働してソフトウェアを動作させ、複数の機能を実現する。なお、車載コントローラ140は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
車載コントローラ140は、時間の計測を行うRTC(リアルタイムクロック)143をさらに備えている。ダンプトラック101の通信装置131は、ネットワークNTに接続される中継器RPと無線通信可能な無線通信装置であって、例えば2.1GHz帯等の帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。通信装置131は、ネットワークNTを介して、鉱山管理システム200と情報の授受を行う。中継器RPは、例えば無線LANアクセスポイント、ルータ、基地局等である。ネットワークNTは例えばインターネットである。
車載コントローラ140は、自車両の稼働情報の時系列データを、ダンプトラック101に固有の車両IDとともに、通信装置131を介して鉱山管理システム200に送信する。稼働情報の時系列データとは、後述する車速、積載量、路面勾配、燃料噴射量等の稼働情報がRTC32で計測された時刻データに紐付けられたデータである。
鉱山管理システム200の処理装置202は、ネットワークNTに接続されている通信装置204を介して、ダンプトラック101の稼働情報の時系列データを取得し、データベース201に格納する。データベース201には、ダンプトラック101の車両ID毎に、稼働情報の時系列データが記憶される。処理装置202は、後述する劣化状態の判定結果、劣化状態の判定に用いるパラメータ(補機エネルギ-、パワートレインの効率等)、劣化状態の判定を行ったダンプトラック101の車両ID等の情報を表示端末装置203に出力する。
また、処理装置202は、表示端末装置203に出力する情報と同様の情報を通信装置204を通じて機器保守員304等が所持している携帯端末310に送信する。携帯端末310は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットPCなどである。つまり、通信装置204および携帯端末310は、鉱山管理システム200のユーザ(機器保守員304等)に対して、鉱山機械101~103の機器の劣化状態の判定結果を通知する通知装置として機能する。
図2に示すように、ダンプトラック101は、パワートレイン110を構成する複数の機器(111~114)と、補機システム(油圧システム)120を構成する複数の機器(121~123)と、を備えている。
パワートレイン110は、動力源であるエンジン111と、エンジン111に燃料を供給する燃料噴射装置119と、エンジン111に機械的に接続されエンジン111が出力するトルクによって駆動される発電機112と、発電機112により発生する電力により回転駆動される電気モータ(以下、走行モータとも記す)114と、入力される直流電力を交流電力に変換して走行モータ114に供給するインバータ(電力変換装置)113と、を備える。エンジン111は、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される原動機である。なお、図示しないが、発電機112とインバータ113との間には、発電機112により発生する交流電力を直流電力に変換して出力する整流回路が設けられている。インバータ113は、整流回路から出力される直流電力を交流電力に変換して走行モータ114に出力する。インバータ113は、ダンプトラック101に搭載されている車載コントローラ140から出力される指令に基づいて、走行モータ114のトルクを制御する。発電機112、インバータ113および走行モータ114は、エンジン111の動力によりダンプトラック101を走行させる走行電動システム115を構成する。
補機システム120は、エンジン111および発電機112に機械的に接続される油圧ポンプ121と、ダンプトラック101の荷台109を昇降駆動させる油圧シリンダであるホイストシリンダ123と、油圧ポンプ121からホイストシリンダ123に供給される作動油の流量および方向を制御する制御弁122と、を備える。
油圧ポンプ121は、エンジン111が出力するトルクによって駆動されて作動油を吐出する補機である。油圧ポンプ121は、斜板あるいは斜軸の傾転角を制御することにより、吐出容量を変更可能な可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ121の吐出容量は、図示しないレギュレータによって制御される。油圧ポンプ121から吐出された作動油は、図示しない油圧回路に設けられている制御弁122を通じてホイストシリンダ123に供給される。ホイストシリンダ123のボトム側油室に作動油が供給され、ロッド側油室から作動油が排出されると、ホイストシリンダ123が伸長する。これにより、荷台109のダンプ動作、すなわち荷台109の前部が上昇する動作が行われ、荷台109の後部から鉱石等の運搬物が放出される。
ダンプトラック101は、燃料噴射装置119、インバータ113、油圧ポンプ121および制御弁122を制御する車載コントローラ140と、車載コントローラ140に接続される複数のセンサ(車速センサ132、積載量センサ133、傾斜角センサ134、燃料噴射量センサ135)および測位装置136と、車速、積載量、路面勾配、燃料噴射量、およびダンプトラック101の位置に関する情報を鉱山管理システム200に送信する通信装置131と、を備えている。
燃料噴射装置119は、車載コントローラ140から出力される燃料噴射指令に基づいて、燃料噴射量を制御し、エンジン111を動作させる。燃料噴射量センサ135は、燃料噴射量を算出可能なパラメータを検出するセンサである。車載コントローラ140は、燃料噴射量センサ135の検出結果に基づき燃料噴射量を算出する。
インバータ113は、車載コントローラ140から出力されるモータ駆動指令に基づいて、走行モータ114を動作させる。油圧ポンプ121のレギュレータは、車載コントローラ140から出力されるポンプ駆動指令に基づいて、油圧ポンプ121の吐出容量を制御する。
制御弁122は、車載コントローラ140からの制御指令に応じたスプール駆動圧を生成する電磁比例弁と、電磁比例弁により生成されたスプール駆動圧に応じて変位するスプール(弁体)と、を有している。制御弁122は、車載コントローラ140から電磁比例弁に出力される制御指令に応じて、油圧ポンプ121とホイストシリンダ123とを接続する油路に設けられたスプールが動作する。
車速センサ132は、自車両(ダンプトラック101)の車輪速を検出する車輪速センサ、または、ドップラー効果を利用して走行面に対する自車両(ダンプトラック101)の相対速度を検出するミリ波レーダ等であり、検出結果を表す信号を車載コントローラ140に出力する。車載コントローラ140は、車速センサ132の検出結果に基づき車速を算出する。
積載量センサ133は、例えば、サスペンションシリンダの圧力を検出する圧力センサであり、検出結果を表す信号を車載コントローラ140に出力する。なお、積載量センサ133には、積載された運搬物の重量に応じた車体フレームの変形量を検出する歪みゲージを用いることもできる。車載コントローラ140は、積載量センサ133の検出結果に基づき、ダンプトラック101の荷台109に積載されている運搬物の積載量を算出する。
傾斜角センサ134は、基準面(例えば、水平面)に対するダンプトラック101の前後方向の傾斜角(ピッチ角)を検出し、検出結果を表す信号を車載コントローラ140に出力する。傾斜角センサ134には、例えば、IMU等の加速度センサを用いることができる。車載コントローラ140は、傾斜角センサ134の検出結果に基づき、ダンプトラック101が走行する路面の勾配である路面勾配を算出する。
測位装置136は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機であり、人工衛星STから受信したアンテナ位置のデータを車載コントローラ140に出力する。車載コントローラ140では、アンテナ位置とダンプトラック101の既知の機体寸法データから、地球座標系(独自に規定した座標系でも良い)におけるダンプトラック101の基準点(例えば車体重心)の位置が算出される。
図2に示すパワートレイン110では、燃料噴射装置119からエンジン111に燃料が投入され、エンジン111が駆動されることによって、発電機112が回転し、発電機112で電力が発生する。発電機112で発生した電力は、インバータ113を介して走行モータ114に供給される。走行モータ114の回転トルクは、図示しない動力伝達装置を介して車輪(駆動輪)に伝達され、ダンプトラック101が走行する。
補機システム120では、燃料噴射装置119からエンジン111に燃料が投入され、エンジン111が駆動されることによって、油圧ポンプ121が回転し、油圧ポンプ121から作動油が吐出される。油圧ポンプ121から吐出された作動油は、制御弁122を通じてホイストシリンダ123に供給される。ホイストシリンダ123が伸長することにより、荷台109のダンプ動作(ホイスト上げ動作)が行われる。
荷台109のダンプ動作(ホイスト上げ動作)が行われるときには、ダンプトラック101は停車している。つまり、ダンプトラック101の車体が走行面に対して動かないように、ブレーキ(不図示)がかけられている。このため、荷台109のダンプ動作が行われているときには、エンジン111に投入された燃料によって生成されるエネルギの大部分が、油圧ポンプ121を介してホイストシリンダ123で消費される。一方、荷台109のダンプ動作によって運搬物を放出した後、空荷状態(運搬物が荷台109に積載されていない状態)で走行しているときには、エンジン111に投入された燃料によって生成されるエネルギの大部分が、発電機112およびインバータ113を介して走行モータ114で消費される。
本実施形態に係る処理装置202では、このエネルギフローの違いを利用して、ダンプトラック101に搭載されている機器の劣化状態を判定し、劣化部位の特定を行う。処理装置202は、少なくともダンプトラック101の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、後述する方法でダンプトラック101の走行時におけるダンプトラック101の消費エネルギである車両エネルギを算出する。処理装置202は、パワートレインが作動しているときの車両エネルギ、およびエンジン111への投入エネルギ(燃料量×低位発熱量)に基づいて、パワートレイン110の効率(車両エネルギ÷投入エネルギ)を算出する。また、処理装置202は、補機システム120への制御指令(ホイスト上げ指令)に基づき、ホイスト上げ動作時(補機が作動しているとき)のエンジン111への投入エネルギを算出する。さらに、処理装置202は、ホイスト上げ動作時の投入エネルギと、パワートレインの効率に基づいて、ホイスト上げ動作時に補機システム120で消費される補機エネルギ(パワートレインの効率×投入エネルギ)を算出する。そして、処理装置202は、算出したパワートレイン110の効率および補機エネルギに基づいて、パワートレイン110および補機システム120の劣化状態を判定する。本実施形態の特徴は、パワートレイン110の効率を用いて補機エネルギを算出し、その結果を用いて機器の劣化状態の判定および劣化機器の特定を行うことにある。以下、機器の劣化状態の判定に用いられる補機エネルギおよびパワートレイン110の効率の算出方法、および、補機エネルギおよびパワートレイン110の効率に基づく機器の劣化状態の判定方法について、詳しく説明する。
図3は、鉱山管理システム200の処理装置202の機能ブロック図である。処理装置202は、状態判定部202aと、投入エネルギ算出部202bと、車両エネルギ算出部202cと、効率算出部202dと、補機エネルギ算出部202eと、劣化判定部202gと、パラメータ校正部202fと、を有する。処理装置202は、メモリ212に記憶されたプログラムを実行することにより各部の機能を実現する。
状態判定部202aは、車速に基づいて、ダンプトラック101が走行中か停車中かを判定し、その判定結果に応じた走行フラグを設定する。状態判定部202aは、車速が予め定められた車速閾値未満である場合、ダンプトラック101は停車中であると判定し、走行フラグを0に設定する(走行フラグオフ)。状態判定部202aは、車速が予め定められた車速閾値以上である場合、ダンプトラック101は走行中であると判定し、走行フラグを1に設定する(走行フラグオン)。車速閾値は、処理装置202のメモリ212に記憶されている。
図4は、ダンプトラック101の状態変化の一例を示す図である。図4の上段には、運搬物(鉱石)の積載量(積載重量)の時系列変化が示され、図4の下段には、走行フラグの設定状態(0または1)の時系列変化が示されている。
図4に示すように、ダンプトラック101の運搬サイクル(以下、サイクル)は、「積荷」、「積荷走行」、「放土」、「空荷走行」の4つの状態(作業)に分割できる。積荷では、停車しているダンプトラック101の荷台109に、油圧ショベル102等によって鉱石等の運搬物が積み込まれる。積荷走行では、荷台109に運搬物を積載したダンプトラック101が目的地(放土目的地)まで走行する。放土では、停車しているダンプトラック101において荷台109のダンプ動作(ホイストシリンダ123の上げ動作)が実行され、運搬物が放出される。空荷走行では、荷台109に運搬物を積載していない空荷状態のダンプトラック101が目的地(積込目的地)まで走行する。
状態判定部202aは、積載量と走行フラグに基づいて、ダンプトラック101の4状態を判別する。走行フラグが0であるときに積載量が予め定められた積荷判定閾値W1以上になると、状態判定部202aは、車両の状態を「積荷」と判定する(時点T1)。車両の状態が「積荷」であると判定された後、走行フラグが1に変化すると、状態判定部202aは、車両の状態を「積荷走行」と判定する(時点T2)。車両の状態が「積荷走行」であると判定された後、走行フラグが0に設定され、かつ、積載量が予め定められた放土判定閾値W2未満になると、状態判定部202aは、車両の状態を「放土」と判定する(時点T3)。車両の状態が「放土」と判定された後、走行フラグが1に変化すると、車両の状態を「空荷走行」と判定する(時点T4)。走行フラグが0であるときに積載量が再び積荷判定閾値W1以上になると、状態判定部202aは、車両の状態を「積荷」と判定する(時点T5)。なお、状態判定部202aは、車両の状態の判定とともに、積荷から空荷走行までの一連の動作(4状態)が終了した場合に、1サイクルが終了したと判定し、サイクル数のカウントも行う。
図5を参照して、ホイストシリンダ123の上げ動作時の燃料噴射量、およびボディアングルの時系列変化の一例について説明する。図5の上段には、ホイストシリンダ123を上げ動作させるために、車載コントローラ140から制御弁122に出力される制御指令であるホイスト上げ指令の時系列変化が示されている。図5の中段には、エンジン111に投入される燃料噴射量の時系列変化が示されている。図5の下段には、荷台109の基準姿勢からの傾斜角度であるボディアングルが示されている。
ダンプトラック101の運転室には、運転者により操作されるホイスト操作装置(レバーあるいはスイッチ)が設けられている。車載コントローラ140は、ホイスト操作装置の操作位置に応じた制御指令を油圧ポンプ121および制御弁122に出力する。停車中に、運転者によりホイスト操作装置が上げ位置に操作されると、車載コントローラ140からホイスト上げ指令(制御指令)が出力される(時点Ta)。
ホイスト上げ指令が油圧ポンプ121のレギュレータに入力されると、油圧ポンプ121の吐出容量が0から増加し始める。また、ホイスト上げ指令が制御弁122の電磁比例弁に入力されると、制御弁122のスプールが上げ位置に切り換えられ、ホイストシリンダ123のボトム側油室と油圧ポンプ121とが連通するとともにホイストシリンダ123のロッド側油室とタンクとが連通する。したがって、ホイスト上げ指令が出力されると、エンジン111への燃料噴射量が増加するとともに、油圧ポンプ121から吐出される作動油の流量が増加する。これにより、ホイストシリンダ123が伸長し、ボディアングルが増加する。
なお、燃料噴射量は、ホイスト上げ指令が出力された後、急激に上昇し、ホイストシリンダが動き始めると、緩やかに減少し、運搬物の多くが放出されることにより急減している。
荷台109内の運搬物の放出が完了した後、運転者によりホイスト操作装置が下げ位置に操作されると、車載コントローラ140からホイスト下げ指令(制御指令)が出力される(時点Tb)。
ホイスト下げ指令が油圧ポンプ121のレギュレータに入力されると、油圧ポンプ121の吐出容量が減少する。また、ホイスト下げ指令が制御弁122の電磁比例弁に入力されると、制御弁122のスプールが下げ位置に切り換えられ、ホイストシリンダ123のロッド側油室と油圧ポンプ121とが連通するとともにホイストシリンダ123のボトム側油室とタンクとが連通する。したがって、ホイスト下げ指令が出力されると、エンジン111に投入される燃料噴射量が減少するとともに、油圧ポンプ121から吐出される作動油の流量が減少する。これにより、ホイストシリンダ123が収縮し、ボディアングルが減少する。
状態判定部202aは、ホイスト上げ指令が出力されている状態(ホイスト上げ状態)を判定する。図5に示す例では、状態判定部202aは、時点Taから時点Tbまでをホイスト上げ状態として特定する。
図3に示す投入エネルギ算出部202bは、燃料噴射量に基づいて、エンジン111への投入エネルギ[MJ]を算出する。また、投入エネルギ算出部202bは、状態判定部202aにより判定された状態(空荷走行状態、ホイスト上げ状態)での投入エネルギを算出する。具体的な算出方法は、以下のとおりである。
投入エネルギ算出部202bは、空荷走行を行っているとき(図4の時点T4から時点T5まで)にエンジン111に投入される燃料噴射量を積算することにより、空荷走行時の積算燃料量を算出する。また、投入エネルギ算出部202bは、ホイスト上げ指令が出力されているとき(図5の時点Taから時点Tbまで)にエンジン111に投入される燃料噴射量を積算することにより、ホイスト上げ動作時の積算燃料量を算出する。
投入エネルギ算出部202bは、空荷走行時にエンジン111で消費される燃料量(積算燃料量)と燃料の低位発熱量に基づいて、空荷走行時のエンジン111への投入エネルギ(すなわち、積算燃料熱量)を算出する。同様に、投入エネルギ算出部202bは、ホイスト上げ動作時にダンプトラック101で消費される燃料量(積算燃料量)と燃料の低位発熱量に基づいて、ホイスト上げ動作時のエンジン111への投入エネルギである燃料熱量(積算燃料熱量)を算出する。
車両エネルギ算出部202cは、少なくともダンプトラック101の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、ダンプトラック101の走行時におけるダンプトラック101の消費エネルギである車両エネルギを算出する。車両エネルギは、車両走行時の運動エネルギに相当する。以下、図6を参照して、車両エネルギの算出方法について詳しく説明する。
図6は、車両エネルギの算出方法の一例を示す図である。車両エネルギ算出部202cは、ダンプトラック101に作用する空気抵抗、加速抵抗、勾配抵抗、および転がり抵抗の合計値である走行抵抗を算出する。車両エネルギ算出部202cは、走行抵抗に車速を乗算した値に、ベース消費エネルギを加算することにより、車両エネルギを算出する。ベース消費エネルギとは、エンジンアイドル運転時のダンプトラック101の消費エネルギ、空冷ファンやキャビン空調装置などの補機を動作させるために必要なベース電力(以下、補機電力とも記す)を加算することにより得られる。
車両エネルギ算出部202cは、車速に基づき空気抵抗および加速抵抗を算出する。なお、空気抵抗は、車速だけでなく、天候に応じて変化する空気密度にも依存する。しかしながら、ダンプトラック101の最高速度は50[km/h]程度であるため、空気抵抗の影響は転がり抵抗およびベース消費エネルギと比較して小さい。このため、本実施形態では、空気抵抗は、車速のみに応じて決まる値としている。なお、空気抵抗は、ダンプトラック101の走行経路における高度によって決まる一定値としても良い。
車両エネルギ算出部202cは、車体重量に積載量を加えた車体総重量と路面勾配に基づき勾配抵抗を算出する。なお、本実施形態では、ダンプトラック101に設けられた傾斜角センサ134の検出結果から算出された路面勾配に基づき勾配抵抗を算出する例について説明するが、勾配抵抗の算出方法はこれに限られない。
例えば、車両エネルギ算出部202cは、ダンプトラック101の高度(鉛直方向の位置情報)の時間変化から路面勾配を算出し、算出した路面勾配に基づき勾配抵抗を算出してもよい。なお、ダンプトラック101の高度は、ダンプトラック101から送信されたダンプトラック101の2次元座標系での位置座標と、予め記憶装置に記憶されている高度マップとのマッチングにより算出可能である。また、ダンプトラック101の高度は、ダンプトラック101から送信されたダンプトラック101の3次元座標系での位置情報に含まれる高度情報に基づいて算出してもよい。さらに、ダンプトラック101の高度は、ダンプトラック101に設けられた気圧センサによって検出される気圧に基づいて算出してもよい。
図3に示すパラメータ校正部202fは、転がり抵抗の算出に用いるパラメータである路面係数、ならびにベース消費エネルギの算出に用いるパラメータである補機電力を、実際の稼働データに基づき校正する。これにより、ダンプトラック101の機種に関わらず、車両エネルギの算出精度(推定精度)を高めることができる。
パラメータ校正部202fは、例えば、後述する劣化状態の判定処理において正常と判定されている場合であって、パワートレイン110の効率が路面係数の増加補正判定値未満であるときには、路面係数を増加側に補正する。一方、パラメータ校正部202fは、劣化状態の判定処理において正常と判定されている場合であって、パワートレイン110の効率が路面係数の減少補正判定値以上であるときには、路面係数を減少側に補正する。路面係数の増加補正判定値および減少補正判定値は、路面係数を補正するか否かを決定するための閾値であり、予めメモリ212に記憶されている。なお、路面係数の補正は、パワートレイン110の効率がほぼ一定となる運転領域で行うことが好ましい。パラメータ校正部202fは、例えば、荷台109に運搬物が積み込まれた状態で、登り坂を走行しているとき(積荷登坂走行)のパワートレイン110の効率に基づいて、路面係数を補正することができる。ダンプトラック101が積荷登坂走行を行っているかどうかは、ダンプトラック101の位置情報および積載量の情報から判定可能である。
パラメータ校正部202fは、例えば、劣化状態の判定処理において正常と判定されている場合であって、エンジンアイドル運転時の空調装置等の補機の効率(以下、アイドル運転時効率)が補機電力の増加補正判定値未満であるときには、補機電力を増加側に補正する。一方、パラメータ校正部202fは、劣化状態の判定処理において正常と判定されている場合であって、エンジンアイドル運転時の空調装置等の補機の効率が補機電力の減少補正判定値以上であるときには、補機電力を減少側に補正する。補機電力の増加補正判定値および減少補正判定値は、補機電力を補正するか否かを決定するための閾値であり、予めメモリ212に記憶されている。なお、補機電力の補正は、補機の消費電力が支配的になるアイドル運転時に行うことが好ましい。
車両エネルギ算出部202cは、状態判定部202aにより判定された所定の走行状態(例えば、空荷走行状態)での車両エネルギを算出する。
効率算出部202dは、パワートレイン110が作動しているとき、すなわちダンプトラック101が走行しているときの車両エネルギおよびダンプトラック101のエンジン111への投入エネルギに基づいて、パワートレイン110の効率(以下、パワトレ効率とも記す)を算出する。
本実施形態に係る効率算出部202dは、以下の式(1)により、空荷走行時のパワトレ効率をサイクル毎に算出する。
パワトレ効率=車両エネルギ÷投入エネルギ …(1)
式(1)の「車両エネルギ」は、車両エネルギ算出部202cで算出された空荷走行時の車両エネルギ[MJ]であり、式(1)の「投入エネルギ」は、投入エネルギ算出部202bで算出された空荷走行時の投入エネルギ[MJ]である。以下では、空荷走行時の車両エネルギと投入エネルギに基づき算出されたパワトレ効率を、空荷パワトレ効率とも記す。
補機エネルギ算出部202eによる補機エネルギの算出方法について説明する。エンジン111により駆動される補機である油圧ポンプ121により消費される補機エネルギは、ホイスト上げ動作時(図5の時点TaからTbまでの間)の投入エネルギ(=積算燃料量×低位発熱量)と、エンジン効率とを乗算することによって算出できる。
エンジン効率を計算するためには、エンジントルクが必要である。しかしながら、エンジントルクは、エンジンの特性の分析に利用可能な秘匿性の高い情報である。このため、ダンプトラック101から鉱山管理システム200に送信される稼働情報に、エンジントルクが含まれていないことがある。また、過渡のエンジントルクを正確に推定することが技術的に困難であるため、仮にエンジントルクを取得することが可能であっても、補機エネルギを正確に推定することができないおそれがある。
そこで、本実施形態では、パワトレ効率をエンジン効率に代用する。この理由は、エンジン効率、発電効率、インバータ効率、およびモータ効率を乗算した値がパワトレ効率に相当するが(パワトレ効率=エンジン効率×発電効率×インバータ効率×モータ効率)、エンジン効率が他の効率と比較して最も低く、かつ他の効率は1に近いため、パワトレ効率をエンジン効率の近似値とみなせるためである。
補機エネルギ算出部202eは、油圧ポンプ121が作動しているとき、すなわち油圧ポンプ121の吐出流量が0(ゼロ)でないときの補機エネルギをサイクル毎に算出する。ダンプトラック101では、車体を停止させた状態で荷台109を動作させるため、ホイスト上げ指令が出力されている間は、ダンプトラック101での消費エネルギが補機エネルギに相当する。
補機エネルギ算出部202eは、油圧ポンプ121が作動しているとき、すなわち油圧ポンプ121から吐出される作動油によりホイストシリンダ123によって荷台109をダンプ動作させるホイスト上げ指令が出力されているときの補機エネルギを算出する。
補機エネルギ算出部202eは、以下の式(2)により、パワトレ効率と、ホイスト上げ動作時のエンジン111への投入エネルギとに基づいて、補機エネルギ[MJ]を算出する。
補機エネルギ=パワトレ効率×投入エネルギ …(2)
式(2)の「パワトレ効率」は、効率算出部202dにより算出されたパワトレ効率である。式(2)の「投入エネルギ」は、投入エネルギ算出部202bで算出された油圧ポンプ121が作動しているとき(すなわち、ホイスト上げ動作時)のエンジン111への投入エネルギ(積算燃料熱量)[MJ]である。
劣化判定部202gは、補機エネルギ算出部202eにより算出された補機エネルギに基づいて、補機システム120およびパワートレイン110の走行電動システム115の劣化状態を判定する。さらに、劣化判定部202gは、補機エネルギ算出部202eにより算出された補機エネルギ、および効率算出部202dにより算出されたパワトレ効率に基づいて、エンジン111の劣化状態を判定する。つまり、劣化判定部202gは、補機エネルギおよびパワトレ効率に基づいて、補機システム120およびパワートレイン110の劣化状態を判定する。
図7は、劣化している機器の特定方法について説明する図である。図7では、補機エネルギおよびパワトレ効率と、パワートレイン110の走行電動システム115およびエンジン111、ならびに補機システム120の劣化との関係の一例が示されている。
図7において、縦軸は補機エネルギ、横軸は空荷パワトレ効率について示している。油圧ポンプ121が劣化すると、油圧ポンプ121の吐出効率が低下する。吐出効率が低下すると、燃料噴射量が増加し、補機エネルギが正常時に比べて大きくなる。また、補機システム120を構成する各油圧機器(油圧ポンプ121、制御弁122、およびホイストシリンダ123)あるいは油圧配管の経年劣化が進むと、油圧系統における油圧機器あるいは油圧配管において作動油のリークが発生する。油圧系統において作動油のリークが発生すると、燃料噴射量が増加し、補機エネルギが正常時に比べて大きくなる。このため、本実施形態に係る劣化判定部202gは、補機エネルギが予め定められた第1エネルギ閾値P1以上である場合には、補機システム120が劣化していると判定する。
走行電動システム115の発電機112および走行モータ114の劣化には、例えば、発電機112および走行モータ114に用いられている磁石の磁力の低下、発電機112および走行モータ114の構成部品の摩耗が挙げられる。発電機112が劣化すると、発電機112の効率(発電効率)が低下する。走行モータ114が劣化すると、走行モータ114の効率(モータ効率)が低下する。また、走行電動システム115のインバータ113が劣化すると、インバータ113の効率(インバータ効率)が低下する。また、インバータ113の劣化により、内部抵抗値は増加し、排熱量が増加する。したがって、走行電動システム115を構成する機器のいずれかの効率が低下すると、パワトレ効率が低下するとともに補機エネルギ(=投入エネルギ×パワトレ効率)が低下する。このため、劣化判定部202gは、補機エネルギが予め定められた第2エネルギ閾値P2未満である場合には、走行電動システム115が劣化していると判定する。
第1エネルギ閾値P1は、補機システム120の機差および積載量のばらつきによる補機エネルギの分布を考慮して設定される。第1エネルギ閾値P1は、例えば、新車相当の実験用の複数のダンプトラックで、複数回算出された補機エネルギから得られる補機エネルギ分布の上限値を元に定められる。第2エネルギ閾値P2は、第1エネルギ閾値P1よりも小さい値であり、例えば、前述の補機エネルギ分布の下限値を元に定められる。第1エネルギ閾値P1および第2エネルギ閾値P2は、処理装置202のメモリ212に予め記憶されている。
パワトレ効率は、エンジン効率を含んでいる。このため、エンジン111が劣化し、エンジン効率が低下するとパワトレ効率も低下する。なお、エンジン効率が低下すると、燃料噴射量が増加するため、補機エネルギは低下しない。このため、劣化判定部202gは、補機エネルギが第1エネルギ閾値P1未満、第2エネルギ閾値以上であり、かつ、空荷走行時のパワトレ効率が予め定められた第1効率閾値η1未満である場合には、エンジン111が劣化していると判定する。
第1効率閾値η1は、例えば、前述と同様、新車相当の実験用の複数のダンプトラックで、複数回算出された空荷走行時のパワトレ効率から得られるパワトレ効率分布の下限値を元に定められる。なお、第1効率閾値η1は、エンジン111、発電機112、インバータ113、および走行モータ114の仕様値から定めてもよい。また、第1効率閾値η1は、鉱山の生産性を考慮して、実際に稼働しているダンプトラック101の稼働情報から得られる空荷走行時のパワトレ効率分布を参考に定めてもよい。
このように、パワトレ効率の低下とともに補機エネルギが低下する場合には、走行電動システム115の劣化と判定することができ、パワトレ効率が低下するものの補機エネルギが低下しない場合には、エンジン111の劣化と判定することができる。
劣化判定部202gは、補機システム120およびパワートレイン110の劣化状態の判定結果を通信装置204に出力し、通信装置204を介して劣化状態の判定結果を携帯端末310に送信する。図8のフローチャートを参照して、処理装置202(劣化判定部202g)による劣化判定処理の流れの一例について説明する。
図8に示すように、ステップS801において、劣化判定部202gは、補機エネルギが第1エネルギ閾値P1以上であるか否かを判定する。補機エネルギが第1エネルギ閾値P1以上であると判定された場合には、処理がステップS802に進む。一方、補機エネルギが第1エネルギ閾値P1未満であると判定された場合には、処理がステップS803に進む。
ステップS802において、劣化判定部202gは、補機システム120が劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図8のフローチャートに示す処理を終了する。携帯端末310は、補機システム120が劣化していることを表す画像を表示画面に表示する。ステップS803において、劣化判定部202gは、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であるか否かを判定する。補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であると判定された場合には、処理がステップS804に進む。一方、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2以上であると判定された場合には、処理がステップS805に進む。
ステップS804において、劣化判定部202gは、走行電動システム115が劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図8のフローチャートに示す処理を終了する。携帯端末310は、走行電動システム115が劣化していることを表す画像を表示画面に表示する。ステップS805において、劣化判定部202gは、パワトレ効率が第1効率閾値η1未満であるか否かを判定する。パワトレ効率が第1効率閾値η1未満であると判定された場合には、処理がステップS806に進む。一方、パワトレ効率が第1効率閾値η1以上であると判定された場合には、処理がステップS807に進む。
ステップS806において、劣化判定部202gは、エンジン111が劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図8のフローチャートに示す処理を終了する。携帯端末310は、エンジン111が劣化していることを表す画像を表示画面に表示する。ステップS807において、劣化判定部202gは、正常であると判定する。すなわち、劣化判定部202gは、劣化している機器は存在していないと判定する。ステップS807において、劣化判定部202gは、正常であると判定されると、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図8のフローチャートに示す処理を終了する。携帯端末310は、ダンプトラック101が正常であることを表す画像を表示画面に表示する。なお、携帯端末310は、正常であることを表す判定結果を取得したときには、そのことを表す画像を表示しないように設定されていてもよい。
携帯端末310から機器保守員304への通知方法(画像の表示方法)は、プッシュ通知であってもよいし、プル通知であってもよい。このように、本実施形態では、機器が劣化していると判定された際の自動通知機能により、機器保守員304は、どの車両のどの部分が劣化しているのかを適切に把握できる。これにより、機器保守員304は、検査および修理を適切なタイミングおよび適切な方法で行うことができる。機器保守員304は、劣化状態を検査で確認し、整備あるいは部品交換を行うことで、劣化の進展による故障を未然に防止できる。補機システム120の故障が防止されることにより、ダンプ動作が実行できなくなる不具合の発生が防止される。走行電動システム115の故障が防止されることにより、ダンプトラック101が走行できなくなる不具合の発生が防止される。
処理装置202は、複数のダンプトラック101から送信される稼働情報に基づき、ダンプトラック101毎に劣化状態の判定を行う。なお、機器の劣化状態は、サイクル毎のパラメータ(補機エネルギ、パワトレ効率)に基づき判定することができる。しかしながら、積載量や運転のばらつきの影響を低減するために、パラメータ(補機エネルギ、パワトレ効率)の所定期間あるいは所定回数の平均値や中央値を用いて、機器の劣化状態を判定することが望ましい。
またここでは、補機エネルギおよびパワトレ効率に基づき、劣化の判定を行う例について説明したが、補機エネルギおよびパワトレ効率に基づき、異常の判定を行ってもよい。なお、劣化とは、ダンプトラック101の運行には問題はないが、生産性が低下しており、他の車両よりも優先して保守(点検、整備、部品交換)が必要な状態である。異常とは、ダンプトラック101の生産性が極端に低下し、突発故障がすぐに起こる可能性が高く早急に保守が必要な状態である。
処理装置202は、複数のダンプトラック101の劣化状態の判定に用いたデータ(補機エネルギ、パワトレ効率)を表示端末装置203に出力する。表示端末装置203は、複数のダンプトラック101の補機エネルギおよびパワトレ効率を表示画面に表示する。その際、表示端末装置203は、測位装置136からダンプトラック101が稼働する現場における位置情報を取得して、稼働現場の地図情報におけるダンプトラック101の現在地を表すアイコンと上記データ(補機エネルギ、パワトレ効率)とを関連付けて表示画面に表示してもよい。これにより、複数のダンプトラック101ごとの情報を一元的に把握することが可能になる。
図9A~図10Bを参照して、表示端末装置203に表示される画面例について説明する。図9Aに示す画面例では、複数のダンプトラック101の補機エネルギの棒グラフが示されている。画面には、補機エネルギの所定期間での平均値が大きい順に、左側から右側に向かって車両IDとその車両の補機エネルギが並べて表示されている。また、画面には、第1エネルギ閾値P1および第2エネルギ閾値P2を示す破線が表示されている。なお、図9Aにおいて、各車両IDおよび補機エネルギの具体的な数値の図示は省略している。もちろん、数字の表示は任意に制御しうる。また破線の代わりに、たとえば、第1エネルギ閾値P1と第2エネルギ閾値P2を超えている棒グラフの色を、それぞれ赤、黄などで示し、色で識別表示することとしてもよい。これによって、劣化の進行度合いを色で直感的に識別することが可能になる。なお赤、黄は一例であって緊急度がわかるのであれば、他の色であってもよい。つまり、棒グラフにおいて、第1エネルギ閾値P1以上の部分、第1エネルギ閾値P1未満であって第2エネルギ閾値P2以上の部分、および第2エネルギ閾値P2未満の部分のそれぞれの色が、異なっていればよい。
機器保守員304は、図9Aに示す画面から左側の車両ほど補機システム120(油圧ポンプ、油圧回路、制御弁、ホイストシリンダ)の劣化が進んでいること、右の車両ほど走行電動システム115(発電機、走行モータ、インバータ)の劣化が進んでいることを確認できる。これにより、機器保守員304は、保守を優先すべき車両の判断および検査場所の絞り込みを適切に行うことができる。なお車両IDに対応する棒グラフの最大表示件数は任意に設定可能である。車両IDは表示件数が多くなるほど一画面で判別しづらくなる。このため、表示端末装置203上で対象の棒グラフが指定された場合に、その棒グラフの横にポップアップのウィンドウで車両IDが表示されるようにしてもよい。また、最大表示件数に応じて画面の表示形式は任意に変更することとしてもよい。
図9Bに示す画面例では、複数のダンプトラック101の空荷パワトレ効率の棒グラフが示されている。画面には、空荷パワトレ効率の所定期間での平均値が大きい順に、左側から右側に向かって車両IDとその車両の空荷パワトレ効率が並べて表示されている。また、画面には、第1効率閾値η1を示す破線が表示されている。なお、図9Bにおいて、各車両IDおよび空荷パワトレ効率の具体的な数値の図示は省略している。
機器保守員304は、図9Bに示す画面から右側の車両ほどパワートレイン110(エンジン、発電機、インバータ、走行モータ)の劣化が進んでいることを確認できる。機器保守員304は、第1効率閾値η1よりも小さい車両(右端の2台)であって、補機エネルギが正常範囲にある車両では、エンジン111が劣化していると判断できる。
このように、本実施形態では、表示端末装置203に、複数の車両の補機エネルギを一の画面上に同時に表示させる。また、表示端末装置203は、複数の車両の空荷パワトレ効率を一の画面上に同時に表示させる。なお、図9Aに示す棒グラフと図9Bに示す棒グラフを一の画面上に同時に表示させてもよい。これにより、機器保守員304は、複数の車両の補機エネルギや空荷パワトレ効率を比較することで、劣化の進行度合いを相対的に把握することができる。その結果、機器保守員304は、どの車両を優先して保守するかを適切に判断することができる。
図10Aは、補機エネルギのトレンドを示す画面例であり、縦軸は補機エネルギを表し、横軸はホイスト動作回数(ダンプ動作回数)と相関が高いサイクル数を表している。図10Aに示すように、車両Aと車両Bの現在(折れ線グラフの右端部)の補機エネルギは同レベルである。しかしながら、車両Bのサイクル数は車両Aのサイクル数に比べて少ない。しかも車両Aと比較し車両Bは、急激に補機エネルギが上昇している。このように、表示端末装置203の表示画面に、サイクル数に応じた補機エネルギのトレンドを表示させることで、機器保守員304は、車両Bの補機システム120の点検時期を車両Aよりも早めるか否かを適切に判断できる。
図10Bは、空荷パワトレ効率のトレンドを示す画面例であり、縦軸は空荷パワトレ効率を表し、横軸はパワートレインの劣化と相関が高い走行距離を表している。図10Bに示すように、車両Aと車両Bの現在(折れ線グラフの右端部)の空荷パワトレ効率は同レベルである。しかしながら、車両Bの走行距離は車両Aの走行距離に比べて短い。しかも車両Aと比較して車両Bは、急激に空荷パワトレ効率が低下している。このように、表示端末装置203の表示画面に、走行距離に応じた空荷パワトレ効率のトレンドを表示させることで、機器保守員304は、車両Bのパワートレイン110の点検時期を車両Aよりも早めるか否かを適切に判断できる。なお、図10Bの横軸は、走行距離に代えて、走行距離と同様、パワートレイン110の劣化と相関が高い走行時間、あるいは総燃料噴射量にしても良い。
なお、図9A~図10Bでは、表示端末装置203に表示される画面例について説明したが、同様の画面を携帯端末310に表示させる構成としてもよい。また表示形式は棒グラフ、折れ線グラフに限られるものではなく、劣化が進行している車両を特定できるのであれば、たとえばテキストメッセージであってもよい。表示形式は、機器保守員304によって任意に設定しうる。たとえば表示先の媒体が携帯端末310の場合、表示領域に制約がある。このため、携帯端末310の表示形式は、劣化が進行している上位3件の車両IDと、測位装置136および車載コントローラ140から得られた現在の位置情報のみを表示するなどの簡易的な表示形式であってもよい。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)鉱山管理システム(運搬車両の管理システム)200は、エンジン(動力源)111を含むパワートレイン110と、エンジン111により駆動される油圧ポンプ(補機)121とを備えるダンプトラック(運搬車両)101を管理する。鉱山管理システム200は、ダンプトラック101の機器の劣化状態を判定する処理装置202を備える。処理装置202は、少なくともダンプトラック101の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、ダンプトラック101の走行時におけるダンプトラック101の消費エネルギである車両エネルギを算出する。処理装置202は、パワートレイン110が作動しているときの車両エネルギおよびダンプトラック101の投入エネルギに基づいて、パワートレイン110の効率を算出する。なお、ダンプトラック101の投入エネルギ(エンジン111への投入エネルギ)は、エンジン111で消費される燃料量と燃料の低位発熱量に基づいて算出される。処理装置202は、パワートレインの効率と、油圧ポンプ121が作動しているときのダンプトラック101の投入エネルギとに基づいて、油圧ポンプ121が作動しているときのダンプトラック101の消費エネルギである補機エネルギを算出する。処理装置202は、補機エネルギに基づいて、油圧ポンプ121を含む補機システム120の劣化状態を判定し、補機システム120の劣化状態の判定結果を通知装置(表示端末装置203、通信装置204、携帯端末310)に出力する。
ダンプトラック101の車両エネルギの算出に用いる車速、路面勾配、および積載量は、鉱山管理システム200において、容易に取得が可能な汎用性の高い情報である。また、投入エネルギの算出に用いる燃料量も容易に取得が可能な汎用性の高い情報である。鉱山管理システム200の処理装置202は、これら汎用性の高い情報に基づき、運転状況に応じた車両エネルギおよび投入エネルギを算出し、これらの情報に基づきパワートレイン110の効率を算出することができる。さらに、処理装置202は、パワートレイン110の効率をエンジン111の効率として代用することで補機エネルギを算出し、補機エネルギに基づき補機システム120の劣化状態を判定する。
このように、本実施形態によれば、補機システム120の劣化状態の判定に、エンジン111の出力トルク等の秘匿性の高い情報を用いる必要がない。つまり、本実施形態によれば、容易に取得が可能な汎用性の高い情報に基づいて、運搬車両の機器(補機システム120)の劣化状態を判定し、その判定結果を出力可能な鉱山管理システム200を提供することができる。
(2)鉱山管理システム200の処理装置202は、補機エネルギとパワートレイン110の効率に基づいて、パワートレイン110の劣化状態を判定し、パワートレイン110の劣化状態の判定結果を通知装置(表示端末装置203、通信装置204、携帯端末310)に出力する。
この構成によれば、容易に取得が可能な汎用性の高い情報(車速、路面勾配、および積載量)に基づいて、補機システム120だけでなく、パワートレイン110の劣化状態を判定し、その判定結果を出力可能な鉱山管理システム200を提供することができる。
(3)処理装置202は、油圧ポンプ121から吐出される作動油によりホイストシリンダ(油圧シリンダ)123によって荷台109をダンプ動作させる指令(ホイスト上げ指令)が出力されているときの投入エネルギに基づいて、補機エネルギを算出する。荷台109のダンプ動作時には、ダンプトラック101は停止状態が維持されているため、補機エネルギを精度よく算出することができる。その結果、ダンプトラック101の機器の劣化状態を精度よく判定することができる。
(4)処理装置202は、ダンプトラック101が空荷走行しているときのダンプトラック101の車速、路面勾配および積載量に基づいて、空荷パワトレ効率の算出に用いる車両エネルギを算出する。ここで、処理装置202は、ダンプトラック101が積荷走行しているときの車速、路面勾配および積載量に基づいて車両エネルギを算出してもよいが、この場合、積載量の算出誤差が大きくなると、車両エネルギおよびパワトレ効率の算出誤差も大きくなってしまう。本実施形態では、空荷走行時の積載量を用いて車両エネルギを算出するため、車両エネルギの算出誤差を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、積荷走行時の積載量に基づいて車両エネルギを算出する場合に比べて、車両エネルギおよびパワトレ効率の算出精度を高めることができる。
以上のとおり、本実施形態に係る鉱山管理システム200は、一般的に提供される情報(データ)からパワートレイン110および補機システム120の劣化状態を判定し、劣化部位を特定することができる。劣化状態の判定結果は、通知装置(表示端末装置203や携帯端末310)を介して、鉱山管理システム200のユーザに通知される。これにより、ユーザは、速やかに劣化した機器を有する運搬車両101の整備、部品の交換等を実施することで、鉱山の生産性を維持したり、改善したりできる。また、本実施形態によれば、パワトレ効率が低下した車両を速やかに検査、修理を実施することで、運搬車両が走行不能となってしまうようなパワートレイン110の故障の発生を防止することができる。また、検査や修理によって、パワトレ効率を改善することにより、当該車両の燃料ロスおよびCO2排出量を低減することができる。また、本実施形態によれば、補機システム120の劣化に伴う故障等の異常を未然に防止できる。その結果、補機システム120の故障等の異常に起因した生産性の低下を防止できる。さらに、本実施形態に係る鉱山管理システム200は、鉱山エリア(作業現場)100に存在する複数の運搬車両101の機器の劣化状態の判定結果を収集することで、無駄な検査や部品交換が生じることを防止することができ、鉱山エリア100の全体において効率のよいメンテナンス計画を容易に立てることができる。
<第1実施形態の変形例1>
劣化状態の判定方法は、上述の例に限定されない。例えば、図11に示すように、ステップS802において補機システム120が劣化していると判定された後、処理がステップS803に進むようにしてもよい。つまり、処理装置202は、補機エネルギが第1エネルギ閾値P1以上であり、かつ、パワトレ効率が第1効率閾値η1未満である場合に、補機システム120およびエンジン111の双方が劣化していると判定し、その判定結果を表示端末装置203および通信装置204に出力する。この構成によれば、補機システム120およびエンジン111の双方が劣化していることを判定することができる。
<第1実施形態の変形例2>
第1実施形態では、図2に示すように、エンジン111によって走行電動システム115の発電機112および補機システム120の油圧ポンプ121が駆動されるダンプトラック101について説明した。しかしながら、ダンプトラック101の構成は、これに限定されない。例えば、ダンプトラック101は、図12に示すように、動力源をバッテリ519とするパワートレイン510および補機システム520を備えていてもよい。パワートレイン510は、充放電可能なバッテリ(動力源)510と、バッテリ510の電圧を降圧するDC/DCコンバータ511と、DC/DCコンバータ511から出力される直流電力を三相交流電力に変換して走行モータ114に供給するインバータ113と、インバータ113から供給される電力により回転する走行モータ114と、を備える。補機システム520は、油圧ポンプ121を駆動する電気モータ(以下、ポンプモータとも記す)525と、DC/DCコンバータ511から出力される直流電力を三相交流電力に変換してポンプモータ525に供給するインバータ(電力変換装置)524と、を備える。
本変形例において、処理装置202は、バッテリ510の電力量に基づいてダンプトラック101の投入エネルギを算出し、算出した投入エネルギに基づいてパワトレ効率および補機エネルギを算出する。このように、本変形例によれば、補機システム520が電動化されたダンプトラック101において、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第2実施形態>
図13~図17を参照して、本発明の第2実施形態に係る鉱山管理システム200について説明する。なお、第1実施形態および第1実施形態の変形例1で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る鉱山管理システム200の管理対象であるダンプトラック101の構成の一例を示す図である。
本第2実施形態に係るダンプトラック101は、走行電動システム115に集電装置(パンタグラフ)610が設けられている点が第1実施形態との相違点である。本第2実施形態では、集電装置610を介してトロリ線から供給される電力によって走行モータ114が駆動される。つまり、第2実施形態に係る運搬車両101は、車両本体に設けられた昇降可能な集電装置610を道路に沿って設けられたトロリ線に接触させ、トロリ線から電力を受けて走行可能なダンプトラックである。以下、この集電装置610を利用した走行時(トロリ走行時)は、エンジン111が停止あるいはアイドリング状態になることに着目した劣化判定方法について説明する。
図14は、図8および図11と同様の図であり、第2実施形態に係る処理装置202(劣化判定部202g)により実行される劣化判定処理の一例について示すフローチャートである。図14のフローチャートでは、図11のフローチャートのステップS804の処理に代えて、ステップS1401~S1403の処理が実行される。
図14に示すように、ステップS803において、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であると判定されると、処理がステップS1401に進む。ステップS1401において、劣化判定部202gは、後述するトロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満であるか否かを判定する。トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満であると判定された場合には、処理がステップS1402に進む。一方、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2以上であると判定された場合には、処理がステップS1403に進む。
ステップS1402において、劣化判定部202gは、集電装置610、インバータ113、および走行モータ114の少なくともいずれかが劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図14のフローチャートに示す処理を終了する。ステップS1403において、劣化判定部202gは、発電機112が劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図14のフローチャートに示す処理を終了する。
トロリパワトレ効率は、ダンプトラック101のトロリ走行時のパワートレイン110の効率であって、効率算出部202dにより以下のようにして算出される。
本第2実施形態に係る効率算出部202dは、トロリ線から集電装置610を介してパワートレイン110の走行モータ114に電力が供給されることによりダンプトラック101が走行しているとき、すなわちトロリ走行時のダンプトラック101の車両エネルギおよび投入エネルギに基づいて、トロリパワトレ効率を算出する。具体的には、効率算出部202dは、式(1)により、トロリパワトレ効率をサイクル毎に算出する。ここで、式(1)の「車両エネルギ」は、車両エネルギ算出部202cで算出されたトロリ走行時の車両エネルギであり、式(1)の「投入エネルギ」は、投入エネルギ算出部202bで算出されたトロリ走行時の投入エネルギである。
投入エネルギ算出部202bは、トロリ走行時にエンジン111で消費される燃料量(積算燃料量)と燃料の低位発熱量に基づいて、積算燃料熱量を演算する。さらに、投入エネルギ算出部202bは、トロリ走行時にトロリ線から集電装置610を介して供給されるトロリ電力を積算することにより、積算トロリ電力を演算する。投入エネルギ算出部202bは、トロリ走行時の積算燃料熱量と積算トロリ電力量とを加算することにより、トロリ走行時のダンプトラック101の投入エネルギを算出する。
つまり、トロリパワトレ効率は、トロリ走行中の車両エネルギ÷(積算燃料量×低位発熱量+積算トロリ電力)によって計算される。第2効率閾値η2は、例えば、新車相当の実験用の複数のダンプトラックで、複数回算出されたトロリ走行時のパワトレ効率から得られるトロリパワトレ効率分布の下限値を元に定められる。なお、第2効率閾値η2は、インバータ113および走行モータ114の仕様値から定めてもよい。また、第2効率閾値η2は、鉱山の生産性を考慮して、実際に稼働しているダンプトラック101の稼働情報から得られるトロリ走行時のパワトレ効率分布を参考に定めてもよい。
第1実施形態と同様、補機エネルギの算出には、空荷パワトレ効率が用いられる。補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満である場合、空荷パワトレ効率の低下が要因と考えられるため、発電機112、インバータ113および走行モータ114のうちの少なくともいずれかが劣化していると判定できる。ここで、トロリ走行時には、発電機112が使用されないため、トロリパワトレ効率は発電機112の効率の影響を受けない。したがって、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満になる場合、その要因は発電機112以外にある。換言すれば、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であって、かつ、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2以上である場合には、補機エネルギの低下の要因が発電機112にあるといえる。
なお、図14に示す劣化判定処理のフローチャートでは、車両エネルギの算出に積載量が加味されている。ダンプトラック101において、積載量センサが故障しているなど、積載量センサにより検出された積載量が異常値である場合、例えば、積載量が実際の値よりも小さい値として検出されてしまっている場合には、積載量センサが異常であることを起因としてステップS1401において肯定判定されてしまう。このため、積載量センサが正常であるか否かを判定した上で、図14に示す劣化判定処理を実行することが好ましい。
また、第2実施形態に係る劣化判定処理の流れは、図14のフローチャートに示す例に限定されない。例えば、図15に示すフローチャートに基づいて、劣化判定処理が行われてもよい。図15は、図14と同様の図であり、第2実施形態に係る処理装置202により実行される劣化判定処理の別の例について示すフローチャートである。図15のフローチャートでは、図14のフローチャートのステップS1402の処理に代えて、ステップS1404~S1406の処理が実行される。
図15に示すように、ステップS1401において、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満であると判定されると、処理がステップS1404に進む。ステップ1404において、劣化判定部202gは、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1未満であるか否かを判定する。空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1未満であると判定された場合には、処理がステップS1405に進む。一方、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1以上であると判定された場合には、処理がステップS1406に進む。
ステップS1405において、劣化判定部202gは、インバータ113および走行モータ114の少なくともいずれかが劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図15のフローチャートに示す処理を終了する。ステップS1406において、劣化判定部202gは、集電装置610が劣化していると判定し、その判定結果と車両IDを通信装置204を介して携帯端末310に送信し、図15のフローチャートに示す処理を終了する。
図15に示す劣化判定処理では、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満である場合に、さらなる劣化機器の特定のための処理が行われている。空荷走行時には集電装置610を利用しておらず、空荷パワトレ効率が高いにも関わらずトロリパワトレ効率が低ければければ集電装置610の劣化と判断できるからである。集電装置610の劣化としては集電板の摩耗等が考えられる。機器保守員304は、集電装置610が劣化していると判断した場合、適切なタイミングで集電装置610の検査、部品の交換を実施できる。
図16は、劣化状態の判定結果の出力例を示す図である。図16は、表示端末装置203の表示画面に出力されている劣化状態の判定結果について示す。劣化箇所を特定するための診断指標として、表示画面の上段に補機エネルギ、中段に空荷パワトレ効率、下段にトロリパワトレ効率が、車両ごとに示されている。また、画面には、第1エネルギ閾値P1、第2エネルギ閾値P2、第1効率閾値η1、および第2効率閾値η2を示す破線が表示されている。
車両Aの補機エネルギは、第1エネルギ閾値P1と第2エネルギ閾値P2の間の値である。また、車両Aの空荷パワトレ効率は第1効率閾値η1よりも大きく、車両Aのトロリパワトレ効率は第2効率閾値η2よりも大きい。したがって、機器保守員304は、車両Aの各機器は、正常に動作していると判断できる。
車両Bの補機エネルギは、正常範囲(第2エネルギ閾値P2以上第1エネルギ閾値P1未満)内にあるが、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1よりも低い。したがって、機器保守員304は、車両Bのエンジン111が劣化していると判断できる。なお、トロリパワトレ効率はエンジン111の影響をほとんど受けない。このため、車両Bのトロリパワトレ効率は、第2効率閾値η2よりも大きい。
車両Cの補機エネルギは、第1エネルギ閾値P1を超えている。したがって、機器保守員304は、車両Cの補機システム120(油圧系統)が劣化していると判断できる。
車両Dの補機エネルギは、第2エネルギ閾値P2よりも小さく、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1よりも大きく、かつトロリパワトレ効率が第2効率閾値η2よりも大きい。したがって、機器保守員304は、車両Dの発電機112が劣化していると判断できる。この理由は、上述したように、補機エネルギの低下は電動系の効率の低下が原因であるもののトロリパワトレ効率が低下していないことから集電装置610、走行モータ114およびインバータ113は正常と判断でき、残った発電機112の効率が低下していると判断できるからである。
車両Eの補機エネルギは、第2エネルギ閾値P2よりも小さい。したがって、機器保守員304は、車両Dと同様、車両Eでは走行電動システム115が劣化していると判断できる。また、車両Eのトロリパワトレ効率は、第2効率閾値η2よりも低い。したがって、機器保守員304は、走行電動システム115のうち、発電機112ではなく残りの集電装置610、走行モータ114およびインバータ113のいずれかの劣化と判断できる。さらに、車両Eの空荷パワトレ効率は、第1効率閾値η1よりも大きい。したがって、機器保守員304は、走行電動システム115のうち、集電装置610が劣化していると判断できる。
なお、図16に示す出力例では、劣化状態の判定に用いたパラメータを車両IDごとに示す例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図17に示すように、表示端末装置203や携帯端末310の表示画面に、処理装置202によって特定された劣化部位を表示させてもよい。この構成によれば、機器保守員304は、劣化部位を容易に認識することができる。
以上のとおり、本第2実施形態では、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であり、かつ、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満である場合には、集電装置610、インバータ113および走行モータ114のいずれかが劣化していると判定される。また、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であり、かつ、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2以上である場合には、発電機112が劣化していると判定される。したがって、機器保守員304等の鉱山管理システム200のユーザに発電機112が劣化していることを通知することができる。その結果、ユーザは、発電機112の保守、部品の発注を適切に行うことができる。また、劣化した発電機112の継続使用が防止されることにより、燃料ロスやCO2排出量の低減効果が期待できる。
また、本第2実施形態では、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であり、かつ、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満であり、かつ、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1未満である場合には、インバータ113および走行モータ114のいずれかが劣化していると判定される。また、補機エネルギが第2エネルギ閾値P2未満であり、かつ、トロリパワトレ効率が第2効率閾値η2未満であり、かつ、空荷パワトレ効率が第1効率閾値η1以上である場合には、集電装置610が劣化していると判定される。したがって、機器保守員304等の鉱山管理システム200のユーザに集電装置610が劣化していることを通知することができる。その結果、ユーザは、集電装置610の保守、部品の発注を適切に行うことができる。また、劣化した集電装置610の継続使用が防止されることにより、トロリ線からの電力供給量の低減効果が期待できる。
このように、本第2実施形態に係る処理装置202は、トロリパワトレ効率に基づいて、発電機112または集電装置610の劣化状態を判定し、その判定結果を通知装置(表示端末装置203、携帯端末310)に出力する構成である。これにより、鉱山管理システム200のユーザは、トロリ線から電力の供給を受けて走行するダンプトラック101に搭載される機器の劣化状態を適切に管理することができる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
<変形例1>
上記実施形態では、荷台109から運搬物を放出するダンプ動作時の燃料噴射量を積算し、積算燃料流量と低位発熱量に基づいて、ダンプ動作時の投入エネルギを算出する例について説明した。しかしながら、空荷でホイスト上げ動作が行われた場合、積算燃料量が減少し、補機エネルギが通常のダンプ動作時に比べて小さくなる。したがって、空荷でホイスト上げ動作が行われた場合の稼働情報では、適切に劣化状態の判定を行うことができないおそれがある。
そこで、本変形例に係る処理装置202は、運搬物の積載量(積載重量)が所定の重量閾値以上であるときに限り、補機エネルギを算出する。重量閾値は、メモリ212に予め記憶されている。
例えば、図3に示す状態判定部202aは、積載量が重量閾値以上である状態において、ホイスト上げ指令(制御指令)が出力された場合に、運搬物を放出するダンプ動作が開始されたと判定し(図5の時点Ta)、その後、ホイスト上げ指令が出力されなくなった場合に、ダンプ動作が終了したと判定する(図5の時点Tb)。
投入エネルギ算出部202bは、積載量が重量閾値以上である状態において、ホイスト上げ指令が出力されたときの、ホイスト上げ動作時にダンプトラック101で消費される燃料量(積算燃料量)と燃料の低位発熱量に基づいて、ホイスト上げ動作時のエンジン111への投入エネルギである燃料熱量(積算燃料熱量)を算出する。
補機エネルギ算出部202eは、積載量が重量閾値以上である状態でのホイスト上げ動作時の積算燃料量に基づいて、補機エネルギを算出する。一方、本変形例では、運搬物の積載量が重量閾値未満である状態において、ホイスト上げ指令が出力された場合には、空荷でホイスト上げ動作が実行されたものとして、ホイスト上げ動作時の投入エネルギおよび補機エネルギの算出は行わない。
このように、本変形例1に係る処理装置202は、積載量が重量閾値以上であるか否かを判定する。また、処理装置202は、積載量が重量閾値以上である状態で、荷台109をダンプ動作させる指令(ホイスト上げ指令)が出力されたときには、空荷パワトレ効率と、補機システム120が作動しているとき(油圧ポンプ121が作動しているとき)のダンプトラック101の投入エネルギとに基づいて、補機エネルギを算出する。一方、処理装置202は、積載量が重量閾値未満である状態で、荷台109をダンプ動作させる指令(ホイスト上げ指令)が出力されたときには、補機エネルギを算出しない。この構成によれば、補機エネルギを用いた劣化状態の判定を精度よく行うことができる。
<変形例2>
鉱山管理システム200が、鉱山機械101~103の機器の詳細情報(エンジントルク、エンジン出力回転速度等)を取得できる場合、処理装置202は、取得した詳細情報をさらに加味することにより、より詳細な劣化状態の判定を行うことができる。また、鉱山管理システム200の処理装置202は、取得した詳細情報から推定した劣化判定結果と、汎用的に取得可能な情報から推定した劣化判定結果とを比較し、その比較結果を通知装置(表示端末装置203、携帯端末310)に出力してもよい。これにより、鉱山管理システム200のユーザは、汎用的に取得可能な情報(車速、積載量、路面勾配、燃料量)を検出するセンサ(車速センサ132、積載量センサ133、傾斜角センサ134、燃料噴射量センサ135)に不具合が生じている可能性があることについて認識することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。なお、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100…鉱山エリア(作業現場)、101…ダンプトラック(運搬車両、鉱山機械)、102…油圧ショベル(運搬車両、鉱山機械)、103…ホイールローダ(運搬車両、鉱山機械)、109…荷台(ベッセル)、110…パワートレイン、111…エンジン(動力源)、112…発電機、113…インバータ(電力変換装置)、114…走行モータ(電気モータ)、115…走行電動システム、119…燃料噴射装置、120…補機システム、121…油圧ポンプ(補機)、122…制御弁、123…ホイストシリンダ(油圧シリンダ)、131…通信装置、132…車速センサ、133…積載量センサ、134…傾斜角センサ、135…燃料噴射量センサ、136…測位装置、140…車載コントローラ、141…プロセッサ、142…メモリ、144…入出力インタフェース、200…鉱山管理システム、201…データベース、202…処理装置、202a…状態判定部、202b…投入エネルギ算出部、202c…車両エネルギ算出部、202d…効率算出部、202e…補機エネルギ算出部、202f…パラメータ校正部、202g…劣化判定部、203…表示端末装置(通知装置)、204…通信装置(通知装置)、211…プロセッサ、212…メモリ、213…入出力インタフェース、310…携帯端末(通知装置)、510…パワートレイン、510…バッテリ(動力源)、511…DC/DCコンバータ、519…バッテリ(動力源)、520…補機システム、524…電力変換装置、525…ポンプモータ(電気モータ)、610…集電装置(パンタグラフ)

Claims (7)

  1. 動力源を含むパワートレインと、前記動力源により駆動される補機とを備える運搬車両を管理する運搬車両の管理システムにおいて、
    前記運搬車両の機器の劣化状態を判定する処理装置を備え、
    前記処理装置は、
    少なくとも前記運搬車両の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、前記運搬車両の走行時における前記運搬車両の消費エネルギである車両エネルギを算出し、
    前記パワートレインが作動しているときの前記車両エネルギおよび前記運搬車両の投入エネルギに基づいて、前記パワートレインの効率を算出し、
    前記パワートレインの効率と、前記補機が作動しているときの前記運搬車両の投入エネルギとに基づいて、前記補機が作動しているときの前記運搬車両の消費エネルギである補機エネルギを算出し、
    前記補機エネルギに基づいて、前記補機を含む補機システムの劣化状態を判定し、
    前記補機システムの劣化状態の判定結果を通知装置に出力する
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  2. 請求項1に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記処理装置は、
    前記補機エネルギと前記パワートレインの効率に基づいて、前記パワートレインの劣化状態を判定し、
    前記パワートレインの劣化状態の判定結果を前記通知装置に出力する
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  3. 請求項2に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記処理装置は、
    前記動力源がエンジンである場合、前記エンジンで消費される燃料量と燃料の低位発熱量に基づいて、前記投入エネルギを算出し、
    前記動力源がバッテリである場合、前記バッテリの電力量に基づいて、前記投入エネルギを算出する
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  4. 請求項3に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記運搬車両は、荷台と、前記荷台を駆動させる油圧シリンダと、前記油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、を備え、
    前記補機は前記油圧ポンプであり、
    前記補機が作動しているときとは、前記油圧ポンプから吐出される作動油により前記油圧シリンダによって前記荷台をダンプ動作させる指令が出力されているときである
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  5. 請求項4に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記処理装置は、前記運搬車両が空荷走行しているときの前記運搬車両の車速、路面勾配、および積載量に基づいて、前記車両エネルギを算出する
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  6. 請求項5に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記運搬車両は、車両本体に設けられた昇降可能な集電装置を道路に沿って設けられたトロリ線に接触させ、前記トロリ線から電力を受けて走行可能なダンプトラックであり、
    前記パワートレインは、前記動力源としてのエンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機と、前記発電機により発生する電力によって駆動される走行モータと、を有し、
    前記処理装置は、
    前記トロリ線から前記集電装置を介して前記パワートレインに電力が供給されることにより前記運搬車両が走行しているときの前記車両エネルギおよび前記投入エネルギに基づいて、前記運搬車両のトロリ走行時の前記パワートレインの効率であるトロリパワトレ効率を算出し、
    前記トロリパワトレ効率に基づいて、前記発電機または前記集電装置の劣化状態を判定し、その判定結果を前記通知装置に出力する
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
  7. 請求項4に記載の運搬車両の管理システムにおいて、
    前記処理装置は、
    前記積載量が重量閾値以上であるか否かを判定し、
    前記積載量が前記重量閾値以上である状態で、前記荷台をダンプ動作させる指令が出力されたときには、前記パワートレインの効率と、前記補機が作動しているときの前記投入エネルギとに基づいて、前記補機エネルギを算出し、
    前記積載量が前記重量閾値未満である状態で、前記荷台をダンプ動作させる指令が出力されたときには、前記補機エネルギを算出しない
    ことを特徴とする運搬車両の管理システム。
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