JP2024053926A - 潅水システムおよび制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる潅水システムおよび制御装置を提供する。【解決手段】潅水システムは、pFセンサと、VWCセンサと、潅水運転を制御する制御装置とを備える。制御装置は、pFセンサで検出されたpF値とVWCセンサで検出された体積含水率とを用いて、潅水運転を制御する。制御装置は、検出されたpF値と開始用閾値とに基づいて潅水運転の開始タイミングを制御する。制御装置は、検出された体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である潅水運転の停止タイミングを制御する。制御装置は、検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。【選択図】図4

Description

この明細書における開示は、圃場への潅水の供給を制御する潅水システムおよび制御装置に関するものである。
特許文献1は、圃場における土壌の水分および圃場に対する日射量を計測せずに潅水のタイミングを定める技術を開示している。自動潅水システムは、播種を行った後の所定期間において、所定期間の開始時に1回目の潅水を行い、翌日以降で所定期間の終了までに2回目以降の潅水を行う。処理部は、1回目の潅水における水の供給量である第1の供給量を最大潅水量から減算した値と消失量とを用いて、2回目以降の潅水のタイミングを定める。
特開2015-130802号公報
特許文献1に記載の技術では、土壌状態に適した潅水運転制御を実施する点において、改善の余地がある。
この明細書における開示の目的は、土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる潅水システムおよび制御装置を提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
開示された潅水システムの一つは、植物に対して放出するための水が供給されている給水経路と、土壌状態に関する環境値であるpF値を検出するpFセンサ(312)と、土壌状態に関する環境値である体積含水率を検出するVWCセンサ(311)と、pFセンサによって検出されたpF値とVWCセンサによって検出された体積含水率とを用いて、給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する制御装置(200)と、を備え、
制御装置は、検出されたpF値と開始用閾値とに基づいて潅水運転の開始タイミングを制御し、検出された体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である潅水運転の停止タイミングを制御し、制御装置は、検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。
これによれば、土壌状態の環境値として有用なpF値を用いてVWCに係る停止用閾値を更新することにより、潅水の応答性が良いVWCに反映させた潅水運転を提供できる。したがって、この潅水システムは、pF値とVWCとを関連付けた潅水停止タイミングの制御により、土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる。
開示された制御装置の一つは、pFセンサ(312)によって検出された、土壌状態に関する環境値であるpF値と、VWCセンサ(311)によって検出された、土壌状態に関する環境値である体積含水率とを取得する取得部(331)と、
pFセンサによって検出されたpF値とVWCセンサによって検出された体積含水率とを用いて、給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する処理部(334)と、を備え、
処理部は、検出されたpF値と開始用閾値とに基づいて潅水運転の開始タイミングを制御し、検出された体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である潅水運転の停止タイミングを制御し、処理部は、検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。
この制御装置によれば、土壌状態の環境値として有用なpF値を用いてVWCに係る停止用閾値を更新することにより、潅水の応答性が良いVWCに反映させた潅水運転を提供できる。したがって、この制御装置は、pF値とVWCとを関連付けた潅水停止タイミングの制御により、土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる。
第1実施形態の潅水システムの構成図である。 制御装置の一例である監視部を示すブロック図である。 給水弁、各種センサを示す給水経路図である。 潅水システムの作動の一例を示すフローチャートである。 潅水開始および停止に係る制御を示すタイムチャートである。 測定値から求められた水分保持特性情報の一例を示す図である。 測定値から求められた水分保持特性情報の一例を示す図である。 第2実施形態の潅水システムの作動を示すフローチャートである。 第3実施形態の給水弁、各種センサを示す給水経路図である。 第4実施形態の給水弁、各種センサを示す給水経路図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
第1実施形態
潅水システムの一例を開示する第1実施形態について図1~図7を参照しながら説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、z方向と示す。この明細書ではx方向とy方向とによって規定される平面が水平面に沿っている。z方向が鉛直方向に沿っている。
<圃場>
潅水システム1は丘や平野に開墾された野外の圃場20に適用される。図1に示すように、潅水システム1が平野に開墾された圃場20に適用された形態を説明する。圃場20にはx方向に延びる畝などの生育場所が複数設けられている。これらx方向に延びる複数の生育場所がy方向で離間して並んでいる。これら複数の生育場所それぞれに植物の種や苗が埋められる。潅水システム1は、ハウスなどの室内に設けられている圃場20に適用される構成でもよい。したがって、この明細書における圃場20は、屋外、屋内のいずれに設けられている土壌にも適用可能である。
1つの生育場所で複数の植物が生育される。1つの生育場所は、複数の植物が生育される畝である。複数の植物はx方向で並んで1つの列を成している。以下においてはこのx方向で列を成して並ぶ複数の植物を植物群と示す。圃場20では複数の植物群がy方向で離間して並んでいる。複数の植物群のy方向の最短離間距離は、1つの植物群に含まれる複数の植物のx方向の最短離間距離よりも長くなっている。複数の植物群のy方向の離間間隔は生育する植物の種類や圃場20の起伏と気候に応じて種々変更される。仮に植物の枝葉がy方向に生い茂ったとしても、少なくとも人が2つの植物群の間をx方向に移動できる程度の幅が確保されている。
<潅水システム>
潅水システム1は給水装置100と制御装置200を備えている。給水装置100は潅水を圃場20の植物に供給する。制御装置200は潅水期間において給水装置100から植物に供給される潅水の供給時刻と量を決定する。制御装置200は給水装置100の潅水スケジュールを決定する。
<給水装置>
給水装置100は、ポンプ110、給水配管130などを有する。ポンプ110は潅水を給水配管130に流下させる給水源である。
<ポンプ>
ポンプ110は、常時駆動状態になっている。あるいは、ポンプ110は昼間駆動状態になっている。ポンプ110の駆動および停止は、制御装置200によって制御される。ポンプ110はタンクやため池に貯水されている潅水を汲み出し、それを給水配管130に供給する。潅水は、例えば、井戸水、河川水、雨水、市水などである。給水配管130には、圃場20に吐水させる潅水の流量を制御可能な複数の給水弁15が設けられている。これらの給水弁15が閉状態であり、かつ、給水配管130からの潅水の漏れが生じていない場合、給水配管130は潅水で満たされる。この際、給水配管130内の水圧は、ポンプ110の吐出能力に依存した値(以下、ポンプ圧)になる。給水弁15が閉状態から開状態になると、給水配管130から圃場20に潅水が吐出される。潅水の吐水量が時間平均的に安定すると、給水配管130内の水圧は、ポンプ圧よりも水圧の低い流動圧になる。
<給水配管>
給水配管130は主配管を含む。主配管はポンプ110に連結されている。ポンプ110は、主配管に潅水を供給する。潅水は主配管を介して圃場20に供給される。
<主配管>
主配管は、縦配管131と第1連結管132とを含む。縦配管131はy方向に延びている。第1連結管132はx方向に延びている。縦配管131と第1連結管132は互いに連結されている。係る構成のために潅水は主配管内をy方向およびx方向に流れる。図1に示す一例では、1つのポンプ110に1つの縦配管131が連結されている。このy方向に延びる縦配管131から複数の第1連結管132が延びている。
図1、図3に示す給水経路の構成は、潅水に係る通路構成の一例に過ぎない。圃場20に設けられる、ポンプ110と縦配管131の数、1つのポンプ110に連結される縦配管131の数、1つの第1連結管132に連結される縦配管131の数、および、第1連結管132と縦配管131のz方向の位置は、特に限定されない。
複数の第1連結管132はy方向で離間して並んでいる。複数の第1連結管132のy方向の最短離間距離は、複数の植物群のy方向の最短離間距離と同等に設定されている。第1連結管132の1つは植物群の1つに対応して設けられている。第1連結管132は植物群に含まれる複数の植物の並ぶ方向に沿って延びている。この第1連結管132には、供給用配管が連結されている。
潅水システム1は、第1連結管132よりも給水経路の下流に、潅水を放出する複数の分配チューブ133を有している。各分配チューブ133は、圃場20の植物に対して潅水を供給する供給用配管の一例である。各分配チューブ133は、圃場20に設けられた畝に対して潅水を供給できる位置に設置されている。分配チューブ133は、水圧変化にかかわらず一定の吐水量を実現するような圧力補正機構を有する構成でもよいし、圧力補正機構を有しない構成でもよい。
分配チューブ133には、潅水が流動するチューブの内部と外部とを連通する複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔は、各チューブにおいて、チューブの軸方向に所定間隔をあけて並んで設けられている。また、貫通孔は、各チューブにおいて、チューブの周方向に所定間隔をあけて並んで設けられている構成でもよい。複数の貫通孔の軸方向(例えばx方向)における離間間隔は、複数の植物のx方向における離間間隔と同等になっている。また、複数の貫通孔の離間間隔と複数の植物の離間間隔は異なっていてもよい。
<潅水の流動>
ポンプ110によって縦配管131に供給された潅水は、縦配管131内を流れる。この潅水は、縦配管131に連結された各第1連結管132に供給される。潅水は複数の第1連結管132内のそれぞれを流れる。第1連結管132内を流れる潅水は、分岐管132aを介して分配チューブ133に流下する。潅水は、分配チューブ133における各貫通孔から吐出されて、植物に供給される。分配チューブ133の各貫通孔から供給された潅水は主として植物の幹やその根本に供給される。貫通孔は、例えば、各分配チューブ133において地面と面している部分よりも高い位置に設けられている。この場合には、貫通孔から吐出された潅水は、分配チューブ133の中心軸に対して放射する方向に広がり、チューブから離れた位置に散水することができる。
<給水弁>
給水弁15は、給水経路において、分配チューブ133よりも上流に設けられている。給水弁15が開状態になると、給水配管130と分配チューブ133の各貫通孔とが連通する。これにより貫通孔から潅水が吐出される。逆に、給水弁15が閉状態になると、給水配管130と分配チューブ133の各貫通孔との連通が遮断される。これにより貫通孔からの潅水の吐出が止まる。
給水弁15は、制御装置200によってバルブ開度が制御されることにより、分配チューブ133の貫通孔から吐水する潅水の流量を制御する。制御装置200は、給水弁15のバルブ開度を所定の開度から全開の間にわたって任意の値に制御する。給水弁15は、下流または上流の圧力を調整して、通過する流量を精密に可変できる流量調整バルブまたは圧力調整バルブである。所定の開度は、少し開いた開度、または開度0%、つまり全閉を含む値に設定される。
制御装置200は、給水弁15のバルブ開度を制御することにより、分配チューブ133の各貫通孔から吐出される単位時間当たりの吐出流量、または吐出流速を制御する。制御装置200は、分配チューブ133から吐出される潅水が分配チューブ133から離間して着地する距離である飛水距離または吐出量を制御することができる。飛水距離は、貫通孔を通じて分配チューブ133から飛び出した潅水の土壌着地点と分配チューブ133との距離である。この飛水距離を制御する技術によれば、潅水を必要としている場所への効率的な潅水を実施でき、節水にも寄与する。給水弁15は、給水の流下と給水の遮断とを制御する開閉弁であるとともに、給水流量を制御可能な流量調整弁として機能する。
例えば、給水弁15のバルブ開度は、植物が根を広く張ったり、作土層が浅く広範囲であったりする場合に、飛水距離を大きくするように制御される。また、給水弁15のバルブ開度は、植物が根を深く張ったり、作土層が分配チューブ133の近くに位置したりする場合に、飛水距離を小さく抑えるように制御される。飛水距離は潅水距離と言い換えることができる。
<水圧センサ>
水圧センサ14は、給水配管130に含まれる配管に設けられている。水圧センサ14は、配管内の水圧を検出する圧力センサである。水圧センサ14で検出された水圧は制御装置200に出力される。水圧センサ14は、給水経路において分配チューブ133よりも上流部位に設置されている。さらに水圧センサ14は、給水経路において分配チューブ133よりも下流部位に設置されている構成でもよい。
給水弁15が閉状態になり、配管内が潅水で満たされると、水圧センサ14でポンプ圧が検出される。給水弁15が閉状態から開状態になると、分配チューブ133から潅水が吐出される。潅水の吐水量が時間平均的に安定すると、水圧センサ14で流動圧が検出される。給水弁15が開状態から閉状態になると、給水配管130からの潅水の吐出が止まる。給水配管130内の水圧は流動圧からポンプ圧へと徐々に回復する。水圧センサ14ではこの流動圧からポンプ圧へと徐々に回復する過渡期の水圧が検出される。潅水システム1は、水圧センサ14の代わりに、通路を流れる流体の流量を検出する流量センサを備える構成としてもよい。潅水システム1は、水圧センサ14や流量センサの検出値を用いて、給水弁15のバルブ開度をフィードバック制御する。
<制御装置>
図1、図2に示すように制御装置200は、監視部300、統合通信部400、情報格納部500、および統合演算部600を含んでいる。図面では統合通信部400をICDと表記している。制御装置200は監視部300を複数有する。複数の監視部300のそれぞれは、圃場20において割当てられた所定の分割エリアに対応している。分割エリアには、例えば単数または複数の畝が割り当てられている。
監視部300には水圧センサ14で検出された水圧が入力される。監視部300は、圃場20の環境に関わる物理量である環境値を検出している。各監視部300は、水圧と環境値とを統合通信部400に無線通信によって出力している。
統合通信部400は各監視部300から入力された水圧と環境値を情報格納部500に無線通信によって出力する。情報格納部500はこれら水圧と環境値とを格納する。情報格納部500の一例は、いわゆるクラウドである。統合演算部600は情報格納部500に格納された水圧と環境値などの諸情報を読み出す。統合演算部600は読み出した諸情報を適宜処理し、諸情報や処理結果をユーザのスマートフォンやパソコンのモニタ700に表示する。
統合演算部600はユーザのスマートフォンやパソコンなどに含まれている。統合演算部600は情報処理演算機器610、メモリ620、および通信装置630を有する。図面では情報処理演算機器610をIPCE、メモリ620をMM、通信装置630をCDと表記している。情報処理演算機器610にはプロセッサが含まれている。情報処理演算機器610は潅水運転制御処理に関わる演算処理を行う。係る機能は情報処理演算機器610に潅水アプリケーションプログラムがダウンロードされることで実現される。統合演算部600は、クラウド上に実装される演算装置であってもよい。この場合、統合演算部600と情報格納部500とを合わせてクラウド上に実装する構成としてもよい。
メモリ620はコンピュータやプロセッサによって読み取り可能な各種プログラムと各種情報を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリ620は揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。メモリ620は通信装置630に入力された諸情報や情報処理演算機器610の処理結果を記憶する。情報処理演算機器610は、メモリ620に記憶された情報を用いて各種演算処理を実行する。
通信装置630は無線通信機能を備えている。通信装置630は受信した無線信号を電気信号に変換して情報処理演算機器610に出力する。通信装置630は情報処理演算機器610の処理結果を無線信号として出力する。以下、情報処理演算機器610、メモリ620、および通信装置630を総称とする統合演算部600を用いて本実施形態の技術内容を説明する。情報処理演算機器610は処理演算部に相当する。
ユーザは、潅水運転制御処理に関わるユーザ指示を、タッチパネルやキーボードなどの入力機器800を用いて統合演算部600に入力する。統合演算部600は、このユーザ指示、情報格納部500から読み出した諸情報に基づいて、潅水運転制御処理指令を出力する。ユーザからの指示がない場合、統合演算部600は諸情報に基づいて潅水開始、潅水終了を決定する。統合演算部600は、潅水スケジュールが到来した場合に、潅水開始条件の成立に伴って潅水開始を決定する。統合演算部600は、潅水実施中に、潅水停止条件の成立に伴って潅水停止を決定する。
統合演算部600は、強制的な潅水運転制御処理指令を検出したり、潅水開始条件が成立したと判定したりすると、給水弁15を制御する指示信号を情報格納部500に出力する。この指示信号は情報格納部500から統合通信部400を介して監視部300に入力される。監視部300は指示信号に基づいて給水弁15への給水信号の出力と非出力を制御する。これにより給水弁15の開閉状態が制御される。この結果、圃場20への潅水の供給が制御されたり、潅水停止が制御されたりする。
<分割エリア>
監視部300は、1個の分配チューブ133につき1個設けられている。監視部300は、所定数の分配チューブ133に対応して1個設けられている構成でもよい。監視部300は、1つの畝ごとに対応して設けられている構成でもよい。図1に示すように、複数の監視部300は、給水弁15および水圧センサ14とともに、圃場20においてx方向を行方向、y方向を列方向として行列状に配置されている。係る構成により、行方向と列方向とによって区切られる各分割エリアについて、監視部300は個別に監視する。各分割エリアにおける潅水の供給は、対応する監視部300によって個別に制御される。
<監視部>
図2に示すように監視部300は、制御部320などを有している。VWCセンサ311、pFセンサ312、給水弁15、水圧センサ14などは、制御部320に電気的に接続されている。図面ではVWCセンサ311をVWCS、pFセンサ312をpFS、給水弁15をWV、水圧センサ14をWPSと表記している。給水弁15は、給水経路に設けられた具体的な装置として、給水弁150、給水弁151を含んでいる。水圧センサ14は、給水経路に設けられた具体的な装置として、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142を含んでいる。
VWCセンサ311は、所定の分割エリアに対応して、圃場20に配置されている。pFセンサ312は、所定の分割エリアに対応して、圃場20に配置されている。VWCセンサ311、pFセンサ312は、対応する分割エリアの土壌状態に関する環境値を検出する。VWCセンサ311、pFセンサ312は、土壌センサの一つである。水圧センサ142は、各分割エリアの水圧を検出する。検出された各分割エリアの土壌状態に関する環境値および水圧は、情報格納部500に格納される。
制御部320は、マイコン330、通信部340、RTC350、および発電部360を含む。マイコンはマイクロコンピュータの略である。RTCはReal Time Clockの略である。図面では通信部340をCDPと表記している。マイコン330には土壌状態に関する環境値と水圧が入力される。マイコン330はこの環境値と水圧を、通信部340を介して統合通信部400に出力する。マイコン330には統合通信部400から指示信号が入力される。マイコン330はこの指示信号に基づいて給水信号を給水弁15に出力する。マイコン330は演算処理部に相当する。マイコン330は、給水弁15の作動を制御する制御装置である。マイコン330は動作モードとしてスリープモードと通常モードを有する。スリープモードはマイコン330が演算処理を停止している状態である。通常モードはマイコン330が演算処理を実行している状態である。通常モードはスリープモードよりも消費電力が多くなっている。
通信部340は統合通信部400と無線通信を行っている。通信部340はマイコン330から出力された電気信号を無線信号として統合通信部400に出力する。それとともに通信部340は統合通信部400から出力された無線信号を受信して電気信号に変換する。通信部340はその電気信号をマイコン330に出力する。電気信号に指示信号が含まれている場合、マイコン330はスリープモードから通常モードに切り換わる。マイコン330は、電気信号を受信する前にウェイクアップしている形態でもよい。
RTC350は、時を刻む時計機能と時間を計測するタイマ機能を有する。RTC350は予め設定された時刻になった場合、または予め設定された時間が経過した場合、マイコン330にウェイクアップ信号を出力する。このウェイクアップ信号がスリープモードのマイコン330に入力されると、マイコン330はスリープモードから通常モードに切り換わる。
発電部360は、太陽電池361によって取得した光エネルギーを電気エネルギーに変換している。発電部360は監視部300の電力供給源として機能している。電力供給は、発電部360からRTC350に絶えず行われている。これによりRTC350の時計機能とタイマ機能が損なわれることが抑制されている。太陽電池361は、一次電池、二次電池に置き換えられる構成でもよい。発電部360は、光エネルギー以外の自然エネルギー、例えば風力や水力などを電気エネルギーに変換する構成でもよい。
<土壌状態に関する環境値>
潅水システム1は、土壌状態に関する環境値を検出し、この環境値に応じて、潅水の開始および停止を制御する。潅水システム1は、VWCセンサ311やpFセンサ312が検出する環境値を用いて潅水の開始タイミングおよび停止タイミングを制御する。これにより、所定の分割エリア毎の土壌水分量が個別に制御される。
植物は圃場20の作土層に根を張っている。植物の生育はこの作土層の土壌に含まれる水分量に依存している。土壌水分量が成長阻害水分点を上回ると植物に病害が発生する。土壌水分量が永久しおれ点を下回ると植物のしおれが回復しなくなる。これら成長阻害水分点と永久しおれ点とは植物の種類に応じて異なり、これらの値は情報格納部500に記憶されている。
モニタ700には、図5に示すような、VWCセンサ311によって検出された土壌の体積含水率VWCの変化を示すグラフが表示される。モニタ700には、図5に示すような、pFセンサ312によって検出された土壌のpF値の変化を示すグラフが表示される。図5は、潅水運転制御に関する、pF値のタイムチャートとVWCのタイムチャートを示している。モニタ700には、図6、図7に示すような、体積含水率VWCとpF値とを用いて求められた土壌の水分保持特性情報が表示される。係る表示処理は、例えば統合演算部600で行われる。pF値は、土壌中の水が土壌の毛管力によって引き付けられている強さの程度を表す値であり、土壌の湿り具合を表す値である。pF値は、土壌水分量張力を示している。pF値が高いと土壌は乾燥している状態であり、pF値が低いと土壌は湿っている状態である。
VWCセンサ311、pFセンサ312は、土壌状態に関する環境値の現在値を検出する。この現在値は、現在値からの増加および減少の予測に関わる予測値を求める土壌情報として活用される。これらの情報は、情報格納部500に格納される。情報格納部500には、植物の成長阻害水分点と永久しおれ点、および植物が単位時間あたりに水分を吸収する吸水量と土壌の水分保持能力が格納されている。上記したユーザからの指示であるユーザ指示は情報格納部500に格納される。このように、情報格納部500には潅水運転制御を決定するための諸情報が格納される。潅水システム1は、リアルタイムにVWCセンサ311およびpFセンサ312の検出値を確認し、検出値が閾値に到達した場合に潅水の開始、停止を実施する制御を行う。
<マイコン>
図2に示すようにマイコン330は、取得部331、信号出力部332、記憶部333、および処理部334を備えている。図面では取得部331をAD、信号出力部332をSOU、記憶部333をMU、処理部334をPUと表記している。取得部331にはVWCセンサ311、pFセンサ312で検出された環境値が入力される。取得部331には水圧センサ14で検出された水圧が入力される。取得部331と、VWCセンサ311、pFセンサ312および水圧センサ14のそれぞれとは、電気的に接続されている。
信号出力部332は給水弁15と電気的に接続されている。給水弁15のバルブ開度を制御するための制御信号(給水信号)は、信号出力部332から給水弁15に出力される。給水信号の未入力時に給水弁15は閉状態になっている。給水信号の入力時に給水弁15は開状態になっている。給水弁15は、給水信号の入力なしの場合、現状を維持し、入力ありの場合、その入力内容に従って、開閉するように構成されてもよい。例えば、制御信号未入力時は、給水弁15のバルブ開度は維持され、入力時に入力された開度指示の制御信号に応じて給水弁15のバルブ開度を調整される。
記憶部333はコンピュータやプロセッサによって読み取り可能なプログラムとデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶部333は揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。記憶部333には処理部334が演算処理を実行するためのプログラムが記憶されている。このプログラムには上記した潅水アプリケーションプログラムの少なくとも一部が含まれている。記憶部333には処理部334が演算処理を実行する際のデータが一時的に記憶される。記憶部333には、取得部331および通信部340のそれぞれに入力される各種データと、その各種データの取得時刻とが記憶される。
処理部334はRTC350からウェイクアップ信号が入力されるとスリープモードから通常モードになる。通常モードにおいて処理部334は、記憶部333に記憶されているプログラムと各種データとを読み込んで演算処理を実行する。この演算処理は、分配チューブ133の貫通孔を通じて飛水した水を所望の潅水位置に到達させるために必要なバルブ開度の演算を含む。処理部334は演算部に相当する。この演算は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
処理部334は、取得部331に入力された各種センサ信号を読み出し、通信部340に入力された指示信号の取得時刻をRTC350から読み出している。処理部334は指示信号と取得時刻とを記憶部333に記憶させる。取得時刻の読み出しは、統合通信部400が各監視部300から無線でデータを受信した際に統合通信部400にデータ取得時刻を記録させる構成でもよい。また、情報格納部500が統合通信部400から無線でデータを受信した際に情報格納部500にデータ取得時刻を記録させる構成でもよい。
処理部334は、VWCセンサ311、pFセンサ312および水圧センサ14から入力された環境値と水圧、およびそれらの取得時刻を通信部340と統合通信部400とを介して情報格納部500に格納する。処理部334は、情報格納部500、統合通信部400および通信部340を介して統合演算部600から入力された指示信号に基づいて、信号出力部332を介して給水弁15に給水信号を出力する。
<通信部>
通信部340は処理部334から入力された電気信号を無線信号に変換する。通信部340はこの無線信号を統合通信部400に出力する。通信部340は統合通信部400から出力された無線信号を電気信号に変換する。通信部340はこの電気信号を処理部334に出力する。通信部340が出力する無線信号には、アドレスとデータとが含まれている。複数の通信部340と統合通信部400との間では、無線信号の送受信が行われる。無線信号に含まれるアドレスは、複数の通信部340のうちのいずれから出力されたかを示す識別コードである。換言すれば、無線信号に含まれるアドレスは、複数の処理部334のうちのいずれから出力されたかを示す識別コードである。複数の記憶部333それぞれに固有のアドレスが保存されている。
統合通信部400から出力される無線信号にもアドレスが含まれている。この無線信号のデータには指示信号が含まれている。この無線信号を各通信部340が受信する。この無線信号は各通信部340で電気信号に変換される。そしてこの電気信号は各処理部334に入力される。複数の処理部334のうち、その電気信号に含まれるアドレスと同一のアドレスを保有する処理部334のみが、その電気信号に基づく演算処理を実行する。マイコン330はスリープモードと通常モードとを交互に繰り返す間欠駆動をする。そのために通信部340と統合通信部400との間での無線通信は頻繁には行われない。
<発電部>
発電部360は太陽電池361、蓄電部362、電圧センサ363、および電力センサ364を含む。図面では太陽電池361をSB、蓄電部362をESU、電圧センサ363をCS、電力センサ364をPSと表記している。太陽電池361は光エネルギーを電気エネルギーに変換する。蓄電部362はその電気エネルギー(電力)を蓄電する。蓄電部362に蓄電された電力は、監視部300の駆動電力として活用される。
電圧センサ363は太陽電池361から蓄電部362に出力される電圧値を検出する。電力センサ364は蓄電部362から出力される電力を検出する。処理部334は、検出された電流値と電力値を、通信部340と統合通信部400を介して情報格納部500に格納している。監視部300の駆動電力は発電部360で発電された電力に依存している。このため、発電部360に入射する光量が少ないと、監視部300の駆動電力が不足することがある。これを避けるために監視部300のマイコン330は間欠駆動を行っている。電圧センサ363は、太陽電池361から蓄電部362に出力される電流を検出する電流センサに置き換える構成としてもよい。また、発電部360は電圧センサや電流センサを備えていない構成でもよい。
<RTC>
RTC350は、上記した間欠駆動の時間間隔(駆動周期)が経過するごとにウェイクアップ信号をマイコン330に出力している。これによりマイコン330はスリープモードと通常モードとを交互に繰り返している。上記の駆動周期は、蓄電部362に蓄電された電力量(蓄電量)に応じて統合演算部600によって決定される。間欠駆動間隔は、蓄電量に応じて統合演算部600によって決定される。
統合演算部600は情報格納部500に格納された電力に基づいて蓄電量を算出する。統合演算部600は蓄電量が少ないほどに間欠駆動間隔を長く設定する。統合演算部600は蓄電量が多いほどに間欠駆動間隔を短く設定する。統合演算部600は間欠駆動間隔を指示信号に含ませる。この指示信号をマイコン330の処理部334が取得すると、処理部334は間欠駆動間隔を調整する。処理部334はRTC350の駆動周期を調整する。
<潅水システムの駆動>
潅水システム1では、複数の監視部300と統合演算部600との間での信号の送受信、および情報格納部500への各種データの保存が行われている。複数の監視部300と統合演算部600のそれぞれは、駆動周期毎に処理するサイクルタスクと、突発的に処理するイベントタスクとを実行する。
これらサイクルタスクとイベントタスクとには処理の優先順位がある。これらタスクの処理タイミングが同一になった場合、サイクルタスクよりもイベントタスクの処理が優先される。サイクルタスクとして、各監視部300は、各種センサ信号の取得に係るセンサ処理を実行する。統合演算部600は更新処理を実行する。イベントタスクとして各監視部300は、監視処理と給水処理を実行する。統合演算部600は、潅水運転制御処理、ユーザ更新処理、および強制更新処理を実行する。監視処理、給水処理、および潅水運転制御処理のそれぞれは、監視部300の駆動電力の枯渇を避けるために、昼間に実行される。昼間か否かの判定は、現在時刻と日射センサで検出される日射量などによって検出することができる。
<監視処理>
監視処理の前において、各監視部300のマイコン330はスリープモードになっている。マイコン330には、無線通信によって統合演算部600から指示信号が入力される。この結果、マイコン330は、スリープモードから通常モードに切り換わり、監視処理を実行し始める。
まず、入力された指示信号とそれの取得時刻を記憶する。次に、指示信号に給水弁15を閉状態から開状態にする給水指示が含まれているか否かを判定する。給水指示が指示信号に含まれている場合、給水処理を実行する。給水処理においてマイコン330は、給水指示にしたがって、給水弁15に給水信号を出力する。さらにマイコン330は、潅水停止条件が成立しているか否かを判定する。潅水停止条件が成立していない場合、給水弁15に対する給水信号の出力を継続する。潅水停止条件が成立した場合、給水信号の出力を停止して給水処理を終了する。
給水指示が指示信号に含まれていない場合、給水処理を実行せず、指示信号に間欠駆動間隔の更新指示が含まれているか否かを判定する。間欠駆動間隔の更新指示は、統合演算部600または情報格納部500から各監視部300に指示信号として定期的または不定期的に出力されている。間欠駆動間隔の更新指示が指示信号に含まれている場合、処理部334は、RTC350のウェイクアップ信号を出力する時間間隔を調整する。
間欠駆動間隔の更新指示が指示信号に含まれていない場合、センサ処理を実行する。給水処理を実行した場合、センサ処理において潅水供給後の環境値が検出される。給水処理を実行しなかった場合、センサ処理において潅水が供給されていないときの環境値が検出される。この環境値は情報格納部500に格納される。センサ処理を実行し終えるとマイコン330はスリープモードに移行し、監視処理を終了する。監視処理の開始条件は、統合演算部600からの指示信号に限定されない。RTC350がマイコン330を起動してから、マイコン330が処理後、センサデータを統合演算部600に送る。そして、統合演算部600からバルブの開度指示とともに次の間欠駆動のタイミングの指示を送る構成でもよい。
<潅水運転制御処理>
統合演算部600は、潅水運転制御処理を、各監視部300において、潅水を供給するタイミングになるごとに実行する。潅水を供給するタイミングは、潅水開始条件が成立した場合、またはユーザの操作による潅水命令が発生した場合である。統合演算部600は、まず複数の監視部300のうち、潅水を供給する予定である分割エリアの監視部300に向けて、給水指示を含む給水信号を出力する。給水指示には、給水信号の出力開始と給水信号の出力時間(給水時間)とが含まれている。この給水指示を受信した監視部300は、前述した監視処理を実行する。
統合演算部600は、監視部300の監視処理が終了するまで待機状態になる。監視処理が終了した場合、更新処理を実行する。監視処理が終了したか否かの判断は、例えば、監視処理が終了することが見込まれる時間だけ経過したか否かに基づいて行う。監視処理が終了したか否かの判断は、監視部300に対して問い合わせることによって行うことができる。監視処理の終了判断方法については特に限定されない。
<ユーザ更新処理>
統合演算部600は、ユーザ更新処理を、潅水スケジュールや間欠駆動間隔の調整に関わるユーザ指示が入力機器800から入力された際に実行する。統合演算部600は、まず、入力されたユーザ指示を情報格納部500に格納する。次に、前述した更新処理を実行する。以上により、ユーザ指示に基づいて、潅水スケジュールや間欠駆動間隔が更新される。
<強制更新処理>
統合演算部600は、強制更新処理を、潅水スケジュールと間欠駆動間隔の更新に関わるユーザ指示が入力された際に実行する。統合演算部600は、まずセンサ処理の実行を要求する要求指示を含む要求信号を出力する。この要求信号は無線通信によって監視部300に出力される。次に、更新処理は、監視部300のセンサ処理が終了するまで待機状態になる。
センサ処理が終了した場合、前述した更新処理を実行する。センサ処理が終了したか否かの判断は、例えば、センサ処理が終了することが見込まれる時間だけ経過したか否かに基づいて行うことができる。また、センサ処理が終了したか否かを監視部300に対して問い合わせることによって行うことができる。センサ処理の終了判断方法については特に限定されない。潅水スケジュールと間欠駆動間隔は、ユーザの更新要求時の各種データに基づいて更新される。
<個別潅水運転制御処理>
以上のように、統合演算部600は、複数の分割エリアそれぞれにおいて潅水スケジュールを決定する。統合演算部600は、各潅水スケジュールに基づく潅水の供給を制御する。また、各分割エリアでの潅水スケジュールが統合演算部600によって決定されるものの、各潅水スケジュールに基づく潅水の供給を各監視部300によって個別に制御する構成を採用してもよい。
<独立更新>
さらに例示すると、各分割エリアにおける潅水スケジュールを、対応する監視部300が独立して決定する構成を採用してもよい。係る構成においては、各監視部300は前述した更新処理を実行する。
<天気予報>
情報格納部500には、土壌水分量の現在値と減少変化の予測値、およびユーザ指示が格納される。情報格納部500には植物の成長阻害水分点と永久しおれ点、植物が単位時間あたりに水分を吸収する吸水量と土壌の水分保持能力が格納されている。これらの他に、情報格納部500には外部情報源1000から出力配信される圃場20の天気予報が格納される。統合演算部600は、更新処理において、この天気予報を含む諸情報を情報格納部500から読み出す。
例えば外部情報源1000から1週間分の天気予報が情報格納部500に格納される場合、統合演算部600は1週間分の潅水スケジュールを決定する。この1週間の間において、天気予報によって何ら降雨予報がない場合、土壌水分量の推定値は時間経過とともに漸次低下することが予想される。この土壌水分量の推定値の単位時間あたりの減少量は、作土層の土壌水分量の減少変化の予測値に基づいて決定される。以下、表記を簡便とするため、必要に応じて、土壌水分量の推定値を、単に推定値と表記する。
上記のように、潅水スケジュールは、環境値などに基づく土壌水分量の推定値と天気予報とに基づいて決定される。これによれば、降雨や乾燥などの天候変化によって野外の分割エリアの土壌水分量が植物にとって不適になることを抑制できる。
給水弁15に適用可能なバルブ装置の一例は、いわゆるロータリ式のバルブ装置である。このバルブ装置は、1個の流体流入部と3個の流体流出部を備えている。流体流入部に上流の配管を接続し、いずれか1個の流体流出部に分配チューブ133を接続することにより、このバルブ装置は潅水システム1に搭載される。さらに分配チューブ133を接続しない流体流出部には閉塞部材を装着することにより、通路を塞ぐように構成すればよい。このバルブ装置は、ハウジング、バルブ、駆動部、駆動部カバー等を備えている。バルブ装置は、バルブがシャフトの軸心を中心に回転することにより、バルブ装置の開閉動作を行うボールバルブとして構成されている。
給水弁15の作動について説明する。マイコン330は、分配チューブ133に対して必要な流量を給水するためのバルブの回転角度、すなわちモータの回転角度を算出する。マイコン330は、算出したモータの回転角度の情報を給水弁15に送信する。このとき、分配チューブ133に接続しない2個の流体流出部には閉塞部材を装着している。モータの回転角度の演算は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
給水弁15は、マイコン330から受信した回転角度の情報に基づいて、モータを回転させる。給水弁15は、モータを回転させることで、ギア部およびシャフトを介してバルブを回転させ、3個の流体流出部のうち閉塞されていない開口部から必要な流量の流体を流出させる。給水弁15は、回転角センサがギア部の回転角度を検出し、検出した回転角度の情報をマイコン330にフィードバックすることによって、モータの回転角度を調整する。以上のように、回転角度に応じて、各バルブの開度が変移して各バルブから流出する流体流量が変化するようになる。潅水システム1における各給水弁15は、3個のバルブのうちの一つのみから流体を供給する構成により、回転角度に応じて圃場20への飛水距離および給水量を制御する。
以下に、植物の生育にとって適切な潅水を実施するための潅水システム1の作動について図を用いて説明する。図3は、給水弁および水圧センサが設けられた給水経路と、土壌に設置されたVWCセンサ311、pFセンサ312の一例を示している。図3に示す例では、VWCセンサ311、pFセンサ312は、圃場20において並んでいる複数の畝のうち、所定の畝に設置されて当該畝の土壌状態を検出する。
図3に示す潅水システム1は、複数並んでいる分配チューブ133の一方端部側の通路に設けられている給水弁15、水圧センサ14等を備える。各分配チューブ133は、複数の貫通孔を介して、対応する畝に対して潅水を吐水できる位置に設けられている。一方端部側の通路は、給水源からの給水が流下する縦配管131と分配チューブ133の一方端部とを連通している通路である。給水弁15は、分配チューブ133の一方端部から他方端部へ向けて流下する一方端部側からの給水の圧力を制御する。給水弁15は、給水弁150、複数の給水弁151を含んでいる。水圧センサ14は、水圧センサ140、水圧センサ141、複数の水圧センサ142を含んでいる。
縦配管131は、各給水弁の入口ポートに至る通路に連結されている。各分配チューブ133は、各給水弁における流体流出部の一つに至る通路に連結されている。この場合、他の流体流出部は、閉塞部材によって閉塞されている。信号出力部332は、下流末端において検出された給水情報を用いたフィードバック制御によってバルブ開度を制御する制御信号を給水弁に出力する。信号出力部332は、上流通路において検出された給水情報を用いたフィードバック制御によってバルブ開度を制御する制御信号を給水弁に出力する。
縦配管131は、複数の分配チューブ133の一方端部に至る複数の通路に連通している。縦配管131には、第1連結管132との接続部よりも上流の通路を開閉する給水弁150が設けられている。複数の通路には、隣合う2つの分配チューブ133の一方端部へそれぞれ分岐する複数の分岐管132aを含んでいる。複数の分岐管132aは、第1連結管132から分岐する複数の通路を構成する。第1連結管132は、上流部位において縦配管131に接続され、下流部位において分岐管132aに接続されている。
複数の分岐管132aは、複数の分配チューブ133と第1連結管132とを連結する通路である。各分岐管132aは、隣合う2つの分配チューブ133の一方端部と第1連結管132とを連結する。分岐管132aの下流部位には、給水弁151が設けられている。1個の分岐管132aは、1つのグループをなす所定数の分配チューブ133への給水を流下するように設けられている構成である。1個の分岐管132aに連結される分配チューブ133は、1個または3個以上でもよい。つまり、所定数は、1個または3個以上でもよい。
給水弁151は、1個の流体流入部と2個の流体流出部とを有し、2個に分岐する通路のそれぞれの開度を制御できる。給水弁151は、第1連結管132の下流部位の通路を開閉するとともに、1つのグループをなす所定数の分配チューブ133への流下する流量を制御する。潅水システム1は、給水弁150および各給水弁151のバルブ開度を制御することにより、複数のグループに対して同時に潅水を実施することができる。潅水システム1は、給水弁150および各給水弁151のバルブ開度を制御することにより、所定1つのグループに対して同時に潅水を実施することができる。
縦配管131には、第1連結管132との接続部よりも上流の通路において給水圧力を検出する水圧センサ140が設けられている。水圧センサ141は、分岐管132aよりも上流に位置する第1連結管132の部位において給水圧力を検出する。水圧センサ142は、各分配チューブ133における貫通孔よりも上流部位において給水圧力を検出する。制御装置200は、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142のそれぞれが検出する給水圧力を用いて、各部における流量を求めることができる。
1つのグループをなす所定数の分配チューブ133に対応する畝には、VWCセンサ311とpFセンサ312とが設置されている。図3に示す潅水システム1では、1つのグループをなす分配チューブ133が潅水する土壌に対して、VWCセンサ311とpFセンサ312とが設置されている。また、VWCセンサ311やpFセンサ312は、分配チューブ133毎に設置されている構成でもよい。この構成の場合、より精度の高い、土壌状態に関する環境値を検出することができる。
図2に示すように、監視部300のマイコン330には、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142によって検出された給水圧力が出力される。マイコン330には、VWCセンサ311によって検出された土壌の体積含水率VWCが出力される。マイコン330には、pFセンサ312によって検出された土壌のpF値が出力される。処理部334は、VWCセンサ311が検出したVWCとpFセンサ312が検出したpF値と用いて、潅水の開始と停止の各タイミングを判定する。信号出力部332は、潅水の開始と停止とに係る判定結果に応じて、バルブ開度を制御する制御信号を給水弁150、151のそれぞれに出力する。ここで記載するバルブ開度の制御は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
潅水システム1は、潅水運転制御処理を行う際に、図4に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。図4は、潅水命令時の作動の一例を示すフローチャートである。潅水命令は、潅水スケジュールが到来した場合、ユーザによる潅水命令が発生した場合、タイマによる潅水時刻が到来した場合に実行される。制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図4に示す処理を実行する。以下、代表して監視部300が各処理を実行する例について説明する。
統合演算部600は、潅水を実施する分割エリアに対応する監視部300に対して潅水命令を出力する。この状態では給水弁150は、閉状態に制御されている。統合演算部600から出力された潅水運転制御処理に係る信号を受信した監視部300のマイコン330は、図4に示す処理を実行する。図4に示す処理は、ユーザ指示による潅水命令が発生したタイミングで、または潅水時刻が到来するタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。取得部331は、VWCセンサ311によって検出されたVWCとpFセンサ312によって検出されたpF値とを取得する。
処理部334は、ステップS100において、pFセンサ312によって検出されたpF値が潅水の開始用閾値を上回るか否かを判定する。ステップS100は、潅水運転制御処理において、潅水開始条件が成立するか否かを判定する判定処理である。開始用閾値は、記憶部333または情報格納部500にあらかじめ記憶されている。開始用閾値は、作物の種類または/および土壌の種類に応じて設定されている値である。開始用閾値は、季節、温度、または/および日射量に応じて、更新される値であってもよい。また、開始用閾値は、ユーザによって入力機器800を用いて統合演算部600に入力された指示値を構成してもよい。処理部334は、必要に応じて更新された開始用閾値を用いて、ステップS100の判定処理を実行する。
pF値が潅水の開始用閾値を上回らず潅水開始条件が成立していないと判定すると、潅水を開始しないでフローチャートを終了する。所定時間経過後、再びステップS100の判定処理を実行する。pF値が潅水の開始用閾値を上回ると潅水開始条件が成立していると判定すると、ステップS110で潅水開始前に各種データを記録し、表示する処理を実行する。各種データの記録は、記憶部333または情報格納部500に保存することにより実施される。各種データの表示は、携帯端末機やコンピュータのモニタ700に表示することにより実施される。携帯端末機やコンピュータのモニタ700は、ユーザが閲覧可能な表示部に含まれる。これにより、潅水開始前の土壌状態に関する環境値を潅水運転制御に活用可能になり、ユーザは潅水開始前の土壌状態を確認できる。
潅水開始条件が成立した場合に、さらにマイコン330はステップS120で潅水を開始する処理を実行する。マイコン330は、複数の給水弁151のうち、潅水を実施する分割エリアに対応する給水弁151を開状態にする制御信号を出力する。また、マイコン330は、潅水を実施しない分割エリアに対応する給水弁151を閉状態にする制御信号を出力する。開状態に制御された給水弁151の下流に位置する分配チューブ133からの潅水は、目標の潅水量や目標の飛水距離を満たすようにバルブ開度が制御されて、開始される。なお、この状態でポンプ110は駆動しており、給水源からの給水は給水配管130を流下している。ステップS120により、給水が分配チューブ133の一方端部から他方端部へ一斉に流下し、対応する畝に向けて各貫通孔から吐水する潅水が行われる。
この潅水は、ステップS130で処理部334が潅水の停止条件が成立すると判定するまで継続される。潅水の停止条件は、VWCセンサ311によって検出されたVWCが潅水の停止用閾値を上回ると成立する。停止用閾値は、処理部334や統合演算部600の演算によって更新される値である。処理部334や統合演算部600は、pF値の変化に基づいて停止用閾値を決定する。処理部334や統合演算部600は、直前の潅水停止後のpF値に基づいて停止用閾値を決定する。処理部334や統合演算部600は、pF値の変化範囲を学習していき、この学習値に基づいて、VWCと比較する停止用閾値を決定する。このようにして処理部334や統合演算部600は、pF値を検知しながらVWCと比較する停止用閾値を決定する。
ステップS130で潅水の停止条件が成立していない場合は、ステップS132で潅水運転制御を継続する処理を実行する。さらにステップS134で潅水中に各種データを記録して、表示する処理を実行し、ステップS130に進む。各種データの記録、表示は、ステップS110と同様の方法によって行われる。このステップにより、潅水中の土壌状態に関する環境値を潅水運転制御に活用可能になり、ユーザは潅水中に現在の土壌状態を確認できる。
ステップS130で潅水の停止条件が成立する場合は、ステップS40で潅水を停止する処理を実行する。マイコン330は給水弁15を全閉状態に制御して一方端部から他方端部への給水による潅水を終了する。さらにステップS150で潅水停止後の各種データを記録して、表示する処理を実行する。さらにステップS160では、S110、S134およびS150の各種データを、情報格納部500に保存し、また外部のコンピュータ、携帯端末機などに送信する。ユーザは、潅水に関する環境値などの各種データを、手元のコンピュータや携帯端末機などの画面を見て、随時確認することができる。ステップS160の実行後に、図8に示すフローチャートを終了し、次の潅水命令の発生後、再びステップS100の判定処理を実行する。
以上のように繰り返される潅水運転制御では、一例として図5に示すタイムチャートのように、pF値とVWCのそれぞれが変化する。pF値の変化とVWCの変化は、土壌の性質によって異なるpF値とVWCとの関係性に基づいて決まる特性を有する。図5の上のタイムチャートは、横軸を時間Tとし縦軸をpF値として、pF値の変化を示している。pF値が大きくなるほど、土壌が乾燥しており、pF値が低いほど土壌が湿潤している。pF値は、図5に示すS1とS2の間をpF値が変位することが好ましい。潅水システム1は、pF値がこの制御範囲を超過しないように土壌状態を制御する潅水運転制御を実施する。S1はpF値の制御上限値であり、S2はpF値の制御下限値である。
pF値の制御範囲は、pF値に関する適切な変動範囲として設定されている。pF値の制御範囲は、作物の種類に応じて、記憶部333または情報格納部500にあらかじめ記憶されている。pF値の制御範囲は、作物の種類または/および土壌の種類に応じて設定されている値である。pF値の制御範囲は、季節、温度、または/および日射量に応じて、更新される値であってもよい。また、pF値の制御範囲は、ユーザによって入力機器800を用いて統合演算部600に入力された範囲に設定される構成でもよい。
潅水システム1は、時間T2と時間T3の間に示すようにpF値がこの制御範囲を超過すると、このpF値に基づいて以後のpF値の変化が制御範囲に収まるように停止用閾値を決定する。このように決定された停止用閾値によれば、次の潅水運転時間を、土壌状態が過乾燥または過湿潤の状態にならないように、調整することができる。
図6を参照して、潅水運転時間、開始用閾値、停止用閾値、pF値およびVWCの関係を示しながら、潅水運転制御の一例を説明する。時間T1でpF値が開始用閾値を上回ると第1の潅水運転を開始する。その後、pF値は少し上昇してから低下していきVWCは上昇していって土壌の水分が増加していく。VWCが停止用閾値を上回ると第1の潅水運転を停止する。T1からT2までの時間は第1の潅水運転時間である。pF値は、潅水停止中であるT2とT3の間において上記の制御範囲を下回って超過している。つまり、土壌状態は、過湿潤状態になっている。処理部334や統合演算部600は、下回ったpF値に基づいて以後のpF値の変化が制御範囲に収まるように停止用閾値を低い値に決定して更新する。
次に、T3でpF値が開始用閾値を上回ると第2の潅水運転を開始する。その後、pF値は少し上昇してから低下していきVWCは上昇していって土壌の水分が増加していく。VWCが、低い値に更新された停止用閾値を上回ると第2の潅水運転を停止する。T3から時間T4までの時間は第2の潅水運転時間である。第2の潅水運転時間は、第1の潅水運転時間よりも短くなっている。潅水停止中であるT4と時間T5の間においてpF値は、上記の制御範囲に収まるように制御されている。このため、土壌状態は湿潤状態から乾燥状態側へ変化して改善されている。
ただし、pF値は、潅水停止中において上記の制御範囲のうち高い値を変位している。処理部334や統合演算部600は、比較的高い値であるpF値に基づいて以後のpF値の変化が制御範囲の低い値になるように停止用閾値を高い値に決定して更新する。
次に、T5でpF値が開始用閾値を上回ると第3の潅水運転を開始する。第3の潅水運転において、pF値は少し上昇してから低下していきVWCは上昇していって土壌の水分が増加していく。VWCが、高い値に更新された停止用閾値を上回ると第3の潅水運転を停止する。T5から時間T6までの時間は第3の潅水運転時間である。第3の潅水運転時間は、第2の潅水運転時間よりも長くなっている。このため、土壌状態は第2の潅水運転後よりも湿潤状態側へ変化して改善されている。
次に、時間T7でpF値が開始用閾値を上回ると第4の潅水運転を開始する。その後、pF値は少し上昇してから低下していきVWCは上昇していって土壌の水分が増加していく。VWCが、停止用閾値を上回ると第4の潅水運転を停止する。T7から時間T8までの時間は第4の潅水運転時間である。潅水停止中であるT8以降においてpF値は、上記の制御範囲に収まるように制御されている。
また、pF値が潅水停止中においてpF値の制御範囲を上回って超過している場合には、土壌状態は、過乾燥状態になっている。この場合、処理部334や統合演算部600は、上回ったpF値に基づいて以後のpF値の変化が制御範囲に収まるように停止用閾値を高い値に決定して更新する。
図6は、pF値およびVWCの測定値から求められた水分保持特性情報の一例であり、砂質が多めの土壌の場合を示している。図7は、pF値およびVWCの測定値から求められた水分保持特性情報の一例であり、シルトが多めの土壌の場合を示している。この水分保持特性情報は、土壌が有する水分保持曲線とも呼ばれる。処理部334や統合演算部600は、測定されたpF値およびVWCの測定値を用いて、土壌に関する水分保持特性情報を求める。処理部334や統合演算部600は、図4のフローチャートに含まれる処理として、pF値およびVWCの測定値から水分保持特性情報を算出する処理を実行してもよい。
この水分保持特性情報は、記憶部333または情報格納部500に保存される。この水分保持特性情報は、携帯端末機やコンピュータのモニタ700に表示される。この処理により、土壌特有の水分保持特性情報をユーザが知ることができ、ユーザは圃場にどの程度の潅水を行えばいいか理解できる。また、ユーザは、圃場を耕した後にどれぐらい土が固くなっているかを知ることができ、狙いとする土壌からのずれを把握できる。また、ユーザは、土壌特有の水分保持特性情報を、今後土壌を改善するデータとして活用することができる。
第1実施形態の潅水システム1は、植物に対して放出するための水が供給されている給水経路と、pFセンサ312と、VWCセンサ311と、制御装置200とを備える。制御装置200は、pFセンサ312が検出したpF値とVWCセンサ311が検出した体積含水率とを用いて、給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する。制御装置200は、検出されたpF値と開始用閾値とに基づいて潅水運転の開始タイミングを制御する。制御装置200は、検出された体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である潅水運転の停止タイミングを制御する。制御装置200は、検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。
このシステムによれば、土壌状態の環境値として有用なpF値を用いてVWCに係る停止用閾値を更新する。このため、潅水の応答性が良いVWCに反映させた潅水運転を提供できる。また、潅水システム1は、pF値の変動をVWCの変動に置き換えて運転時間を制御する潅水運転制御を提供できる。したがって、この潅水システム1は、pF値とVWCとを関連させて制御した潅水停止タイミングにより、土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる。さらにこのシステムによれば、最低限の潅水量で土壌状態に適した潅水運転制御を実施できるので、節水に寄与する潅水を提供できる。
取得部331は、pFセンサ312によって検出された、土壌状態に関する環境値であるpF値と、VWCセンサ311によって検出された、土壌状態に関する環境値である体積含水率とを取得する。処理部334は、pFセンサによって検出されたpF値とVWCセンサによって検出された体積含水率とを用いて、植物に対して放水する潅水運転を制御する。処理部334は、検出されたpF値と開始用閾値とに基づいて潅水運転の開始タイミングを制御する。処理部334は、検出された体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である潅水運転の停止タイミングを制御する。処理部334は、検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。
この制御装置200によれば、土壌状態の環境値として有用なpF値を用いてVWCに係る停止用閾値を更新する。このため、制御装置200は、潅水の応答性が良いVWCに反映させた潅水運転を提供できる。また、制御装置200は、pF値の変動をVWCの変動に置き換えて運転時間を制御する潅水運転制御を提供できる。したがって、制御装置200は、pF値とVWCとを関連させて制御した潅水停止タイミングにより、土壌状態に適した潅水運転制御を実施できる。
上記構成の潅水システム、制御装置200によれば、pF値のみを用いた制御やVWCのみを用いた制御における、以下の課題を解消できる。pF値のみを用いた制御の場合は、水に対するpF値の応答が遅いため、潅水運転停止後もpF値が変動を続けるので、適切な潅水停止タイミングの判断が困難である。このため、土壌に対して水を余分にまいたり、あるいは水が不足したりして、作物成長の歩留まりが低下することになる。VWCとpF値の相関は土壌の性質次第であるため、VWCのみを用いた制御の場合はシステム設置後に土壌分析を実施しないとVWCでpF値を制御することは難しい。さらに、時間とともに土壌の性質が変化するため、一度土壌分析を実施するだけでは不十分であり、複数回の土壌分析を実施するとコストや労力を要してしまう。
制御装置200は、検出されたpF値が、土壌状態が湿潤する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が短くなるように停止用閾値を更新する。例えば、制御装置200は、検出されたpF値が、土壌状態が湿潤する方向に変動する場合には停止用閾値を低い値に更新する。これにより、次回の潅水運転時間が短くなって土壌の湿潤状態を緩和できるため、作物に対して適切な、体積含水率およびpF値に近づけて環境改善を図ることができる。
制御装置200は、検出されたpF値の変動が、土壌状態が乾燥する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が長くなるように停止用閾値を更新する。例えば、制御装置200は、検出されたpF値が、土壌状態が乾燥する方向に変動する場合には停止用閾値を高い値に更新する。これにより、次回の潅水運転時間が長くなって土壌の乾燥状態を緩和できるため、作物に対して適切な、体積含水率およびpF値に近づけて環境改善を図ることができる。
制御装置200は、潅水運転停止中において検出されたpF値の変動に基づいて停止用閾値を更新する。これによれば、VWCに対して応答性が悪いpF値について潅水運転停止中に検出する。このため、精度の高い潅水運転の停止タイミングを求めることに寄与するpF値を採用できる。
制御装置200は、適切な変動範囲として設定されたpF値の制御範囲に対して、検出されたpF値が下回って逸脱する場合に、停止用閾値をより低い値に更新する。これによれば、次回の潅水運転においてpF値が適切な制御範囲で変動する状態を実現でき、過湿潤状態から適切な土壌状態に迅速に復帰させることができる。
制御装置200は、適切な変動範囲として設定されたpF値の制御範囲に対して、検出されたpF値が上回って逸脱する場合に、停止用閾値をより高い値に更新する。これによれば、次回の潅水運転においてpF値が適切な制御範囲で変動する状態を実現でき、過乾燥状態から適切な土壌状態に迅速に復帰させることができる。
第2実施形態
第2実施形態について図8を参照して説明する。第2実施形態の潅水システム1は、潅水運転制御処理を行う際に、図8に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。第2実施形態の潅水システム1は、第1実施形態の図4に示す処理に代わりに、図8に示す処理を実行する点が相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
潅水システム1は、潅水運転制御処理を行う際に、図8に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。図8は、潅水命令時の作動の一例を示すフローチャートである。図8において図4に示すステップと同符号のステップは、第1実施形態と同様の処理が実行される。
制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図8に示す処理を実行する。例えば、処理部334は、最初にステップS10において、タイマによる潅水時刻が到来したか否かを判定する。
ステップS10でタイマによる潅水時刻が到来していないと判定すると、潅水を開始しないでフローチャートを終了する。第2実施形態の潅水運転制御では、タイマによる潅水時刻が到来するまで土壌のpF値を確認しない。ステップS10でタイマによる潅水時刻が到来したと判定すると、pF値をチェックしてステップS100で潅水開始条件が成立しているか否かを判定する。以降の処理は、第1実施形態で説明した潅水運転制御と同様の処理が行われる。
第3実施形態
第3実施形態について図9を参照して説明する。第3実施形態の潅水システム1は、第1実施形態に対して、pFセンサ312とVWCセンサ311とを統合した統合センサ装置313を備える点が相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
統合センサ装置313は、対応する分割エリアの土壌状態に関する環境値を検出する。統合センサ装置313は、土壌状態に関するpF値とVWCの両方を検出し、取得部331に出力する。取得部331に出力されたpF値とVWCは、前述の実施形態で説明したとおり、潅水運転制御に使用される。
第4実施形態
第4実施形態について図10を参照して説明する。第4実施形態の潅水システム1は、第1実施形態に対して、図10に示す位置に、pFセンサ312とVWCセンサ311とが設置されている点が相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
図10に示すように、pFセンサ312とVWCセンサ311は、圃場20において並んでいる複数の畝のそれぞれに対応するように設置されている。VWCセンサ311、pFセンサ312は、各畝の土壌状態を検出する。この構成により、畝ごとに土壌状態を判定可能になり、土壌状態に適した潅水を個別に管理することができる。
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
図1や図2に示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散、統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散、統合して構成することが可能である。
本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
技術的思想の開示
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
技術的思想1
植物に対して放出するための水が供給されている給水経路と、
土壌状態に関する環境値であるpF値を検出するpFセンサ(312)と、
土壌状態に関する環境値である体積含水率を検出するVWCセンサ(311)と、
前記pFセンサによって検出された前記pF値と前記VWCセンサによって検出された前記体積含水率とを用いて、前記給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する制御装置(200)と、
を備え、
前記制御装置は、検出された前記pF値と開始用閾値とに基づいて前記潅水運転の開始タイミングを制御し、検出された前記体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である前記潅水運転の停止タイミングを制御し、
前記制御装置は、検出された前記pF値の変動に基づいて前記停止用閾値を更新する潅水システム。
技術的思想2
前記制御装置は、検出された前記pF値が、土壌状態が湿潤する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が短くなるように前記停止用閾値を更新する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想3
前記制御装置は、検出された前記pF値が、土壌状態が乾燥する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が長くなるように前記停止用閾値を更新する技術的思想1または技術的思想2に記載の潅水システム。
技術的思想4
前記制御装置は、潅水運転停止中において検出された前記pF値の変動に基づいて前記停止用閾値を更新する技術的思想1から技術的思想3のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想5
前記制御装置は、適切な変動範囲として設定された前記pF値の制御範囲に対して、検出された前記pF値が下回って逸脱する場合に、前記停止用閾値をより低い値に更新する技術的思想1から技術的思想4のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想6
前記制御装置は、適切な変動範囲として設定された前記pF値の制御範囲に対して、検出された前記pF値が上回って逸脱する場合に、前記停止用閾値をより高い値に更新する技術的思想1から技術的思想5のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想7
前記制御装置は、潅水運転中および潅水運転停止中において、検出された前記pF値および前記体積含水率を記憶し、またはユーザに閲覧可能な表示部(700)に表示する技術的思想1から技術的思想6のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想8
前記制御装置は、検出された前記pF値と検出された前記体積含水率とを用いて、土壌状態を示す水分保持特性情報を求め、
前記制御装置は、前記水分保持特性情報を記憶し、またはユーザに閲覧可能な表示部(700)に表示する技術的思想1から技術的思想6のいずれか一項に記載の潅水システム。
200…制御装置、 311…VWCセンサ、 312…pFセンサ
331…取得部、 334…処理部、 700…モニタ(表示部)

Claims (9)

  1. 植物に対して放出するための水が供給されている給水経路と、
    土壌状態に関する環境値であるpF値を検出するpFセンサ(312)と、
    土壌状態に関する環境値である体積含水率を検出するVWCセンサ(311)と、
    前記pFセンサによって検出された前記pF値と前記VWCセンサによって検出された前記体積含水率とを用いて、前記給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する制御装置(200)と、
    を備え、
    前記制御装置は、検出された前記pF値と開始用閾値とに基づいて前記潅水運転の開始タイミングを制御し、検出された前記体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である前記潅水運転の停止タイミングを制御し、
    前記制御装置は、検出された前記pF値の変動に基づいて前記停止用閾値を更新する潅水システム。
  2. 前記制御装置は、検出された前記pF値が、土壌状態が湿潤する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が短くなるように前記停止用閾値を更新する請求項1に記載の潅水システム。
  3. 前記制御装置は、検出された前記pF値が、土壌状態が乾燥する方向に変動する場合には次の潅水運転時間が長くなるように前記停止用閾値を更新する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  4. 前記制御装置は、潅水運転停止中において検出された前記pF値の変動に基づいて前記停止用閾値を更新する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  5. 前記制御装置は、適切な変動範囲として設定された前記pF値の制御範囲に対して、検出された前記pF値が下回って逸脱する場合に、前記停止用閾値をより低い値に更新する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  6. 前記制御装置は、適切な変動範囲として設定された前記pF値の制御範囲に対して、検出された前記pF値が上回って逸脱する場合に、前記停止用閾値をより高い値に更新する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  7. 前記制御装置は、潅水運転中および潅水運転停止中において、検出された前記pF値および前記体積含水率を記憶し、またはユーザが閲覧可能な表示部(700)に表示する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  8. 前記制御装置は、検出された前記pF値と検出された前記体積含水率とを用いて、土壌状態を示す水分保持特性情報を求め、
    前記制御装置は、前記水分保持特性情報を記憶し、またはユーザに閲覧可能な表示部(700)に表示する請求項1または請求項2に記載の潅水システム。
  9. pFセンサ(312)によって検出された、土壌状態に関する環境値であるpF値と、VWCセンサ(311)によって検出された、土壌状態に関する環境値である体積含水率とを取得する取得部(331)と、
    前記pFセンサによって検出された前記pF値と前記VWCセンサによって検出された前記体積含水率とを用いて、給水経路を介して植物に対して放水する潅水運転を制御する処理部(334)と、
    を備え、
    前記処理部は、検出された前記pF値と開始用閾値とに基づいて前記潅水運転の開始タイミングを制御し、検出された前記体積含水率と停止用閾値とに基づいて運転中である前記潅水運転の停止タイミングを制御し、
    前記処理部は、検出された前記pF値の変動に基づいて前記停止用閾値を更新する制御装置。
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