JP2024053153A - 重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法 - Google Patents

重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性を担う物質を非熱伝導性物質に複合化ないしは混合する従来技術を用いず、新たな材料を用い、新たな製法で表面が絶縁性の熱伝導性物質を作成する。
【解決手段】2枚の平行平板電極対の間隙に黒鉛粒子の集まりを敷き詰め、電極対をメタノールに浸漬させ、電極間隙に電位差を与え、黒鉛粒子の黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を同時に破壊し、グラフェンの集まりをメタノールに析出させる。メタノール中に分散したグラフェンの集まりに3方向の振動加速度を加え、面を上にしてグラフェンを重ね合わせる。重ね合わせたグラフェンの集まりの表面全体を均等に圧縮し、グラフェン接合体2を作成する。絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりがアルコールに分散した懸濁液でグラフェン接合体を覆う。アルコールを気化させた後に、グラフェン接合体の表面全体を均等に圧縮し、摩擦圧接した粉体の集まりでグラフェン接合体が覆われた熱導電性シートを作成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、面を上にしてグラフェンを重ね合わせ、重ね合わせたグラフェンの集まりの表面全体を均等に圧縮し、グラフェン接合体を作成する。次に、作成したグラフェン接合体を、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりがアルコールに分散した懸濁液で覆う。さらに、アルコールを気化させた後に、グラフェン接合体の表面全体を均等に圧縮し、グラフェン接合体の表面と接触する粉体の集まりを、グラフェン接合体の表面に摩擦圧接させるとともに、粉体同士が互いに接触する部位で摩擦圧接し、摩擦圧接した粉体の集まりでグラフェン接合体が覆われた表面が絶縁性の熱導電性シートを作成する方法に関わる。
本発明に依れば、グラフェン接合体の厚みがサブミクロンで、摩擦圧接した粉体の集まりの厚みが数個であるため、熱導電性シートの重量は、従来の熱導電性シートの重量より2桁少ない。また、粉体がミクロンサイズと小さく、粉体の多くが並列接続するため、熱導電性シートの絶縁抵抗は、従来の熱導電性シートの絶縁抵抗より2桁以上大きい。さらに、金属より熱伝導性に優れたグラフェン接合体を、熱伝導性の微細な粉体で覆うため、熱導電性シートの熱伝導性は、従来の熱導電性シート熱伝導性より優れる。
なお、本発明者は、特願2019-090295(令和元年5月12日出願)として、銀、銅、金、ないしはアルミニウムのいずれかの金属からなる金属微粒子の集まりで、グラフェンの扁平面同士を結合したグラフェン接合体を製造する製造方法を既に出願している。本発明は、グラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法に関する。
近年、エレクトロニクス技術の発展に伴い、電子機器の小型化、軽量化、高密度化、高出力化が進み、これによって、電子回路の高密度化に伴う絶縁性に係わる信頼性の向上や、電子デバイスの発熱と高密度実装とによる電子機器の熱劣化防止に役立つ放熱性の向上などが強く求められている。
いっぽう、エレクトロニクス分野では、絶縁材の多くは熱伝導性に劣る高分子材料が用いられている。このため、高分子材料の熱伝導性を高めるために、固体の熱伝導性粒子を熱伝導の担い手として高分子材料に充填する方法が用いられている。この方法では、熱伝導性粒子の集まりが、高分子材料の内部に熱伝導経路を形成することで、優れた熱伝導性が実現する。いっぽう、熱伝導性粒子が高分子材料の内部に熱伝導経路を形成するには、熱伝導性粒子の充填率を高めることが必要になるが、融解した高分子材料に熱伝導性粒子を充填させる割合は粘度の上昇によって限度がある。この結果、固体の熱伝導性粒子を高分子材料に充填させる従来の方法では、高分子材料の熱伝導性の向上には限界がある。
熱伝導性を付与する技術には様々な方法がある。
例えば、特許文献1には、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの絶縁性で熱伝導性の球状粒子を有機結着剤で凝集させた凝集体の製造技術が記載されている。つまり、熱伝導性粒子同士を有機結着剤を介して凝集させた凝集体を熱伝導の担い手とする。
また、特許文献2には、熱伝導性、制振性、緩衝性を兼備したエラストマー材料の製造技術が記載されている。つまり、熱可塑性エラストマーの重量に対し、3-10倍の軟化剤を加えることで、制振性と緩衝性とを確保し、また、熱伝導性の担い手としてピッチ系炭素繊維を用い、成形体の体積の10-40%の体積割合でピッチ系炭素繊維を充填することで、制振性と緩衝性とを犠牲にすることなく熱伝導性を確保する、としている。
さらに、特許文献3には、ポリフェニレンサルファイド系樹脂とポリアミド系樹脂とからなる2種類の樹脂のうちの一方の樹脂を島状構造とし、他方の樹脂を海状構造とする三次元網目構造を形成し、熱伝導性付与剤を海状構造の樹脂中に偏在させることで、機械的強度及び成形性を低下させることなく、熱伝導率が向上する樹脂組成物の製造技術が記載されている。つまり、熱伝導性付与剤を海状構造樹脂中に充填させることで、海状構造樹脂の熱伝導性を高め、海状構造の部分に沿って熱を伝導させ、これによって、樹脂組成物の熱伝導性を高める、としている。
また、特許文献4には、電気絶縁性を低下させることなく、機械的強度、耐熱性、寸法精度、薄肉成形性に優れ、且つ熱伝導性の熱硬化性樹脂の成形材料の製造技術が記載されている。つまり、第一のフィラーとして針状形状で、モース硬度が4.5-5.0の値を持つウォラストナイトを充填することで、引張強度と曲げ強度とを確保し、また、ウォラストナイトの熱膨張係数が6.5×10-6/℃と小さいため、寸法安定性と薄肉成形性が確保される。さらに、ウォラストナイトの融点が1540℃と高いため耐熱性が得られる。また、第二のフィラーとして絶縁性で熱伝導性であるアルミナの球状粒子を用いることで、熱硬化性樹脂の電気絶縁性を低下させることなく、熱導電性を向上させる構成としている。
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、熱伝導性を向上させるうえで次の2つの問題点を持つ。第一に、溶剤によって有機結着剤を溶解させ、溶解した有機結着剤に熱伝導性粒子の集まりを分散させたスラリー液を作成した後に、溶剤を気化させて易変形性凝集体と呼ぶ物質を作成する。この易変形性凝集体における熱伝導性の大きさは、熱伝導性粒子が互いに接近した構造を取ることに大きく依存する。なぜならば、熱伝導性粒子のみが熱伝導の担い手になるからである。熱伝導性粒子同士を互いに接近させるには、有機結着剤に対する熱伝導粒子の混合割合を著しく高めることが必要になるが、熱伝導粒子の混合割合を高めるほど、易変形性凝集体における有機結着剤の割合が減少し、有機結着剤を介して球状の熱伝導粒子を結合させることが困難になるという問題点を持つ。第二に、易変形性凝集体を熱伝導性に劣るバインダー樹脂と混合し、この混合物を圧縮することで、熱硬化性のシートを製作する。なぜならば、易変形性凝集体のみでは熱伝導性シートの製造できないため、バインダー樹脂と混合することで、易変形性凝集体の集まりを結合させ、バインダー樹脂で結合した易変形性凝集体の集まりを圧縮することで、熱伝導性シートが製作できる。しかしながら、バインダー樹脂は非熱伝導性であるため、バインダー樹脂の混合割合を低下させなければ、易変形性凝集体の熱伝導性が熱伝導シートに反映されない。いっぽう、バインダー樹脂の混合割合を低下させるほど、易変形性凝集体同士の結合が困難になり、熱伝導シートの製作ができないという問題点を持つ。
さらに、特許文献1に記載された技術は、分断された複数の製作工程によって、熱伝導シートを製造するため製造費用が高価になる。また、原料として用いる熱伝導性粒子が、高価な球状微粒子でかつ使用量が少量でないため、高い付加価値、例えば、金属並みの熱伝導性を持ち、かつ、絶縁性であればよいが、本技術で得られた熱伝導性は、金属の熱伝導性より1桁以上低いため、本技術が適応できる製品分野は制限される。
また、特許文献2に記載された技術は、ピッチ系炭素繊維の体積割合に応じて、エラストマー材料における熱伝導性が増大するが、非常に高価なピッチ系炭素繊維を50%体積割合まで増大させても、熱伝導率は8.21W/(m・K)であり、製造費用が極めて高い割には熱伝導率が低い。これは、ピッチ系炭素繊維の熱伝導率が異方性を持っており、繊維軸方向の熱伝導率が500W/(m・K)という大きな熱伝導率を持つが、ピッチ系炭素繊維を繊維軸方向に配向させてエラストマー材料に充填することが困難であることに依る。さらに、ピッチ系炭素繊維は、体積抵抗率が2×10-5cmからなる導電性を持ち、ピッチ系炭素繊維の充填率を高めるほどエラストマー材料は導電性を示す。このため、エラストマー材料が電気絶縁性を保って他の部品と組み合わせる場合は、電気絶縁性で非熱伝導性の接着剤を用いることになり、エラストマー材料の熱伝導性が非熱伝導性の接着層によって損なわれる。また、ピッチ系炭素繊維の体積割合が増えるほど、エラストマー材料の硬度が増大し、制振性と緩衝性が低下する。従って、本技術についても、適応できる製品分野は限定される。
さらに、特許文献3に記載された技術は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂に特殊な相溶化剤を混合した第1のマスターバッチを調製する工程と、ポリアミド系樹脂に表面が改質された熱伝導性付与剤を混合した第2のマスターバッチを調製する工程と、第1のマスターバッチと第2のマスターバッチを溶融混練する工程との3つの製造工程から樹脂成形体が製造される。従って、本技術は3つの分断された工程から樹脂成形体が製造され、また、特殊な相溶化剤を事前に調整する複雑な処理工程と、さらに、熱伝導性付与剤の表面を事前に改質する処理工程とが必要となるため、樹脂成形体の製造費用は高価なものになる。いっぽう、熱伝導性を担う粒子を60%重量割合で充填させても、樹脂成形体の熱伝導率は1-2W/(m・K)と低い。これは、熱伝導性付与剤である熱伝導性粒子をフィラーとして海状構造の樹脂中に充填する割合が、樹脂溶解時の粘度の増大によって制限され、フィラーを互いに接近させることが困難であることに依る。また、熱伝導性粒子が導電性を持つ場合は、海状構造の樹脂中に熱伝導性粒子の充填率を高めるほど、海状構造の樹脂の導電性が増大し、樹脂が海状構造であるため、樹脂成形体の導電率が増大する。このため、樹脂成形体が電気絶縁性を保って他の部品と組み合わせる場合は、電気絶縁性で非熱伝導性の接着剤を用いることになり、樹脂成形体の熱伝導性が非熱伝導性の接着層によって損なわれる。従って、本技術についても、適応できる製品分野は限定される。
また、前記した特許文献4に記載された技術は、第一のフィラーとしてウォラストナイトの針状粒子を用いることに大きな特徴があるが、第二のフィラーとしてアルミナの粒子を用いることは、従来の導電性フィラーとしてアルミナ粒子を樹脂に充填させる技術と変わりない。このため、アルミナ粒子を充填させる割合は、熱硬化性樹脂の溶解時の粘度の上昇から80%重量割合に制限され、80%重量割合でアルミナ粒子を充填しても、アルミナ粒子同士を互いに熱硬化性樹脂に接近させることは困難であるため、得られた熱硬化性樹脂の成形体の熱伝導度は1W/(m・K)程度に過ぎない。従って、本技術についても、適応できる製品分野は限定される。
ここで、熱伝導性を付与する従来技術に係わる課題を整理する。
熱伝導性を担う物質が、連続した構造ないしは近接した構造が取れれば、熱伝導経路が熱伝導性物質に形成され、熱伝導性が著しく増大する。いっぽう、従来技術においては、熱伝導性を担う物質の間に必ず非熱伝導性の物質が介在し、これによって、熱伝導を妨げる抵抗が形成され、熱伝導性の向上が抑制された。このため、第一の課題は、熱伝導性物質において、熱伝導性を担う絶縁性の物質が、連続した構造ないしは近接した構造を取ることである。従って、熱伝導性を担う絶縁性の物質を、非熱伝導性の物質に複合化するないしは混合する従来技術では、この課題を解決することはできない。
第二の課題は、熱伝導性を担う物質の分散性である。つまり、熱伝導性を担う物質の体積占有率が増大するほど、熱伝導性物質の内部で、熱伝導性を担う物質同士が互いに接触ないしは近接する確率が高くなり、これによって、熱伝導性を担う物質が連続した構造ないしは近接した構造が取りやすくなり、この結果、熱伝導性物質の熱伝導性が増大する。しかしながら、熱伝導性を担う物質が固体である場合は、熱伝導性物質の内部に分散できる割合には限度がある。すなわち、従来技術で説明したように、熱伝導性粒子の充填率を高めるほど、融解した高分子材料の粘度が高まり、融解した高分子材料が押出や射出といった成形加工ができなくなる。また、特許文献2の問題点で説明したように、融解した高分子材料にピッチ系炭素繊維を繊維軸方向に配向させて分散することは困難である。また、特許文献4における針状粒子を針状方向に配向させて分散することも困難である。このため、固体からなる熱伝導性を担う物質を、非熱伝導性の物質に複合化するないしは混合する従来技術では、熱伝導性を担う物質の分散性の課題を解決することはできない。
第三の課題は、熱伝導性を担う物質の凝集である。つまり、特許文献1、特許文献3および特許文献4には、熱伝導性粒子を融解した高分子材料に充填する技術が記載されているが、粒子が微細になるほど、また、粒子が対称形状であるほど、粒子が凝集しやすくなる。粒子の凝集が起こると、熱伝導性物質の内部で粒子が偏在し、結果として前記した分散性と同様の問題が起こる。従って、微細な粒子や球状粒子を、融解した高分子材料に充填する従来技術では、熱伝導性を担う物質の凝集の課題を解決することはできない。
第四の課題は、熱伝導性物質の性質が、熱伝導性が金属に近く、かつ、優れた絶縁性であることである。特に、エレクトロニクス分野に用いる製品は、こうした性質が必要となる。つまり、熱伝導性物質に金属に近い熱伝導性が付与されたとしても、導電性である場合は、電気絶縁性を確保することが必要になり、多くの場合は電気絶縁性で非熱伝導性である安価な接着剤を用いるが、非熱伝導性の接着層によって、熱伝導性物質同士の熱伝導性を伴った接合ができない。なお、絶縁性で熱伝導性が高いほど、熱伝導性物質が持つ付加価値は高い。前記した従来技術の熱伝導性は、金属の熱伝導性に比べ1桁以上熱伝導性が低いため、付加価値は低い。
第五の課題は、安価な製造方法で絶縁性の熱伝導性物質が作成できることである。特に、エレクトロニクス分野に用いる製品は、安価な部品ないしは安価な基材が採用される。従って、前記した従来技術のように、分断された複数の工程からなる製法や、非常に高価な原料を用いる製法や、原料に事前処理が必要になる製法を伴う場合は、製造費用が高騰し、安価な工業用製品を製造する製法として適切でない。
第六の課題は、絶縁性の熱伝導性物質が、容易に他の部品や基材に組み付けられることである。つまり、安価な製造方法で絶縁性の熱伝導性物質が作成できても、容易に他の部品や基材に組み付けられなければ、熱伝導性物質の付加価値は低い。
第七の課題は、絶縁性の熱伝導性物質が、軽量で厚みが薄いことである。特に、エレクトロニクス分野における製品は、小型化、軽量化および薄肉化が進んでいるため、重量がかさみ、厚みを占有する部品ないしは基材の付加価値は低い。
特開2014-03261号公報 特開2011-63716号公報 特開2009-263476号公報 特開2009-221308号公報 特許第6166860号
前記した熱伝導性物質の課題の多くは、固体の熱伝導性を担う物質を非熱伝導性物質、例えば融解した高分子材料に複合化ないしは混合することで起こる。従って、固体の熱伝導性を担う物質を非熱伝導性物質に複合化ないしは混合する製法を用いる限り、これらの課題は解決できない。このため、従来の熱伝導性物質の製法に係わる概念を払拭する全く新たな考えに基づき、新たな材料を用い、新たな製法で絶縁性の熱伝導性物質を作成しない限り、これらの課題は解決できない。このように、全く新たな考え方に基づく絶縁性の熱伝導性物質を作成する技術が強く求められている。
本発明が解決しようとする課題は、絶縁性の熱伝導性物質を作成するに際し、8段落で説明した7つの課題が同時に解決される全く新たな考えに基づき新たな材料を用い、新たな製法で絶縁性の熱伝導性物質を作成する技術を実現することにある。
重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、
2枚の平行平板電極からなる一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に敷き詰め、該一方の平行平板電極を、第一の容器に充填したメタノール中に浸漬させ、他方の平行平板電極板を、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記2枚の平行平板電極からなる電極板対を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該電極板対の間隙に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記電極板対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記電極板対の間隙に前記基底面からなるグラフェンの集まりが析出する、この後、前記電極板対の間隙を拡大し、該電極板対を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記第一の容器に左右、前後、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記電極板対の間隙から前記メタノール中に移動させる、この後、前記第一の容器から前記2枚の平行平板電極を取り出し、前記第一の容器内にメタノールに分散したグラフェンの集まりを作成する第一の工程と、
前記第一の容器内で超音波方式のホモジナイザー装置を稼働させ、前記メタノールを介して前記グラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加え、該グラフェンの集まりを、前記メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離させる、この後、前記第一の容器から前記ホモジナイザー装置を取り出し、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を前記第一の容器内に作成する第二の工程と、
前記懸濁液の予め決めた重量を第二の容器に注入し、該第二の容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせ、さらに、前記第二の容器の内側の大きさと同じ大きさの第一の平板を、前記第二の容器内の懸濁液と接触するように被せ、さらに、前記第二の容器を前記メタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、この後、前記第一の平板の表面全体を均等に圧縮する、これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体が、前記第二の容器の底面に該底面の形状として形成される、この後、前記第二の容器の底面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第二の容器の底面から剥がし、さらに、前記第一の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度より小さな衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第一の平板から剥がし、該グラフェン接合体を取り出す第三の工程と、
20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコールの重量比が2で、絶縁性でかつ熱伝導性である粉体の集まりの重量比が1より少ない予め決めた重量比によって、前記アルコールと前記粉体の集まりを秤量し、該秤量したアルコールと粉体とを第三の容器に注入し、該第三の容器内の前記アルコールを撹拌し、前記粉体の集まりが前記アルコール中に分散した新たな懸濁液を作成する第四の工程と、
前記取り出したグラフェン接合体を前記新たな懸濁液中に浸漬し、該グラフェン接合体に前記新たな懸濁液を付着させ、この後、該グラフェン接合体を前記新たな懸濁液中から取り出す第五の工程と、
前記グラフェン接合体の表面全体が第二の平板に重なり合うように、該グラフェン接合体を前記第二の平板の上に重ね合わせ、さらに、該第二の平板と同じ大きさの第三の平板を前記グラフェン接合体の表面全体に被せ、さらに、前記アルコールの沸点に昇温し、前記グラフェン接合体に付着した前記新たな懸濁液からアルコールを気化させ、該グラフェン接合体の表面全体を前記粉体の集まりで覆う、この後、前記第三の平板の表面全体を均等に圧縮する、これによって、前記グラフェン接合体の表面と接触する前記粉体の集まりが、該グラフェン接合体の表面に摩擦圧接するとともに、該粉体同士が互いに接触する部位で摩擦圧接し、該摩擦圧接した粉体の集まりで前記グラフェン接合体が覆われる、この後、前記第二の平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第二の平板から剥がし、さらに、前記第三の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度と同等の衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第三の平板から剥がし、該グラフェン接合体を取り出す第六の工程からなり、
これら6つの工程を連続して実施することによって、重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートが作成される、表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
本発明は、極めて簡単な次の6つの工程からなる。
第一の工程は、容器内にグラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液を作成する工程である。このため、最初に、2枚の平行平板電極の間隙に敷き詰められた鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを、絶縁体であるメタノール中に浸漬させ、2枚の平行平板電極間に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加させる。これによって、電位差を2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生する。この電界は、前記した黒鉛粒子の全てに対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与える。これによって、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。つまり、π電子に作用するクーロン力が、π軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に与えられると、π電子はπ軌道の拘束から解放されて自由電子になる。この結果、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子が、π軌道上に存在しなくなり、黒鉛粒子の全てについて、黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。これによって、2枚の平行平板電極の間隙に、基底面の集まり、すなわちグラフェンの集まりが瞬時に作成される。作成されたグラフェンは、不純物がなく、黒鉛結晶のみからなる真性な物質である。なお、2枚の平行平板電極がメタノール中に浸漬しているため、2枚の平行平板電極の間隙に析出したグラフェンの集まりは飛散しない。なお、電界の印加によって、鱗片状黒鉛粒子または塊状黒鉛粒子における黒鉛結晶の層間結合を同時に破壊してグラフェンの集まりを製造する技術は、本発明者による特許文献5に記載されている。
すなわち、絶縁体であるメタノール中に浸漬した2枚の平行平板電極間に、電位差を印加させると、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する。なお、メタノールは比抵抗が3MΩ・cm以上で、誘電率が33の絶縁体である。また、エタノールも誘電率が24からなる絶縁体である。なお、エタノールの電気導電率は7.5×10-6S/mで、鱗片状黒鉛粒子の電気伝導度が43.9S/mである。従って、エタノールは、導電体である鱗片状黒鉛粒子に比べ、電気導電度が1.7×10倍低い絶縁体である。
なお、黒鉛粒子は、鉱物としての天然の黒鉛結晶を用い、精製した黒鉛粒子に、鱗片状黒鉛粒子、塊状黒鉛粒子(鱗状黒鉛粒子とも言う)、土状黒鉛粒子の3種類が存在する。土状黒鉛粒子は、他の2種類の黒鉛粒子に比べ、黒鉛結晶の結晶性が劣るため、土状黒鉛粒子の層間結合を破壊して得られるグラフェンの量が、他の2種類の黒鉛粒子に比べ少ない。また、鱗片状黒鉛粒子は、塊状黒鉛粒子に比べ、アスペクト比が大きい扁平状の粒子である。このため、鱗片状黒鉛粒子の層間結合を破壊すると、塊状黒鉛粒子よりアスペクト比が大きいグラフェンが得られる。いっぽう、塊状黒鉛粒子は、鱗片状黒鉛粒子に比べ、粒子が大きい。このため、塊状黒鉛粒子の層間結合を破壊することで、鱗片状黒鉛粒子より多くのグラフェンが得られる。この理由から、黒鉛粒子として、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子を用いた。
次に、グラフェンの集まりを、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動させる。このため、2枚の平行平板電極の間隙を、メタノール中で拡大させ、さらに、メタノール中で傾斜させ、この後、メタノールが充填された容器に、容器の大きさに応じて、0.2-0.3Gからなる3方向の振動加速度を順番に繰り返し加える。これによって、グラフェンの集まりが、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動する。この後、2枚の平行平板電極を容器から取り出す。この結果、容器内に、グラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液が作成される。
第二の工程は、容器内にメタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を作成する工程である。このため、グラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液中で、ホモジナイザー装置を稼働させる。つまり、メタノールを介してグラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加える。これによって、グラフェンの集まりが、メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離され、分離されたグラフェンの集まりがメタノールに分散する。つまり、超音波方式のホモジナイザー装置を懸濁液中で稼働させると、グラフェンの扁平面よりさらに1桁以上小さい極微細で莫大な数からなる気泡の発生と消滅とが、超音波の振動周波数の周期に応じてアルコール中で連続して繰り返され(この現象をキャビテーションという)、気泡がはじける際の衝撃波が、殆ど質量を持たないグラフェンの集まりに繰り返し加わり、グラフェンの集まりが、短時間で1枚1枚のグラフェンにメタノール中で分離する。この結果、1枚1枚のグラフェンンに分離されたグラフェンの集まりが、メタノール中に分散する。すなわち、ホモジナイザー装置によって、低粘度で低密度のメタノールに加えた衝撃波は、メタノールの分子振動に消費される割合は少なく、多くの衝撃波が殆ど質量を持たないグラフェンの集まりに加わる。グラフェン同士が重なり合ったグラフェン同士の接合力が極めて小さいため、重なり合ったグラフェンに衝撃波が加わると、メタノール中で短時間に、かつ、確実に、グラフェン同士の重なり合いが解除され、1枚1枚のグラフェンに分離される。この結果、前記懸濁液が、1枚1枚のグラフェンに分離したグラフェンがメタノールで覆われた該グラフェンの集まりが、メタノールに分散した懸濁液となる。
第三の工程は、グラフェン接合体を、第二の容器の底面に該底面の形状として形成させ、この後、グラフェン接合体を第二の容器の底面から剥がし、さらに、グラフェン接合体を、第一の平板から剥がし、グラフェン接合体を取り出す工程である。このため、懸濁液の予め決めた重量を第二の容器に注入し、さらに、第二の容器に、容器の大きさに応じて、0.3-0.4Gからなる前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に0.3-0.4Gからなる上下方向の振動加速度を加え、グラフェンの集まりを、面を上にしてメタノール中でランダムに並ばせる。つまり、メタノールで覆われ、メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離したグラフェンに振動加速度を加えると、殆ど質量を持たないグラフェンが振動方向に移動する。いっぽう、グラフェンは、厚みが0.332nmと極めて薄いため、厚みに対する面積の比率であるアスペクト比が極めて大きい。このため、グラフェンがメタノール中で振動加速度を受けると、面を上にしてメタノール中を移動するのが、グラフェンに最も負荷が加わらない。従って、グラフェンの集まりが3方向の振動加速度を繰り返し受けると、1枚1枚のグラフェンが、メタノール中で面を上にしてランダムに並んで積層する。最後に、上下方向の振動加速度を加え、1枚1枚のグラフェンが、メタノール中で面を上にしてランダムに並んだグラフェンの集まりが確実に形成される。
この後、第二の容器の内側の大きさと同じ大きさの第一の平板を、第二の容器内の懸濁液に被せる。さらに、第二の容器をメタノールの沸点に昇温し、懸濁液からメタノールを気化させる。これによって、面を上にしてグラフェン同士が重なり合う。この後、第一の平板の表面全体を均等に圧縮する。これによって、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体が、第二の容器の底面に該底面の形状として形成される。この後、第二の容器の底面の複数個所に、容器の大きさに応じて、0.6-0.8Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を第二の容器の底面から剥がす。さらに、第一の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度より小さな衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を、第一の平板から剥がし、この後、グラフェン接合体を取り出す。つまり、グラフェンの集まりからメタノールが気化すると、面を上にしてランダムに並んだグラフェンの集まりが、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりになる。このグラフェンの集まりの全体を均等に圧縮すると、全てのグラフェンが面を上にして互いに重なり合っているため、重なり合った面でグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄いグラフェン接合体になり、第二の容器の底面に該底面の形状として形成される。グラフェン接合体を作成する際に、第二の容器の底面に垂直な方向に圧縮応力を加えたため、グラフェン接合体と第二の容器との接合力は一定の大きさを持つ。いっぽう、グラフェン接合体の重量は、第二の容器の重量に比べて著しく少ない。このため、第二の容器の底面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加えると、衝撃力は衝撃加速度に質量を掛け合わせた値になるため、グラフェン接合体が受ける衝撃力は、第二の容器が受ける衝撃力に比べると著しく小さい。従って、第二の容器の底面の複数個所に、容器の大きさに応じて、0.6-0.8Gからなる衝撃加速度を同時に加えると、グラフェン接合体と第二の容器との底面との接合部が優先して剥がれ、グラフェン接合体が第二の容器の底面から剥がれる。また、第一の平板の重量は、第二の容器の重量に比べると少ないが、グラフェン接合体の重量に比べると著しく多い。このため、第一の平板の側面の複数個所に、第二の容器の底面に加えた衝撃加速度より小さな衝撃加速度を同時に加えると、グラフェン接合体と第一の平板の底面との接合部が優先して剥がれ、グラフェン接合体が第一の平板の底面から剥がれる。
第四の工程は、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりを、20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコール中に分散した新たな懸濁液を作成する工程である。このため、アルコールの重量比が2で、粉体の集まりの重量比が1より少ない予め決めた重量比によって、アルコールと粉体の集まりを秤量し、秤量したアルコールと粉体とを第三の容器に注入し、アルコールを撹拌し、粉体の集まりがアルコール中に分散した新たな懸濁液を作成する。
第五の工程は、新たな懸濁液を該懸濁液の粘度に応じた厚みで、グラフェン接合体に付着させる工程である。このため、新たな懸濁液中にグラフェン接合体を浸漬し、この後、グラフェン接合体を取り出す。なお、アルコールの粘度が4-6mPa・秒と比較的低いため、グラフェン接合体に付着する懸濁液の厚みは数ミクロン程度である。
第六の工程は、摩擦圧接した粉体の集まりで、グラフェン接合体の表面を覆った熱導電性シートを作成する工程である。このため、最初に、グラフェン接合体の表面全体が第二の平板に重なり合うように、グラフェン接合体を第二の平板の上に重ね合わせる。さらに、第二の平板と同じ大きさの第三の平板を、グラフェン接合体の表面全体に被せる。この後、アルコールの沸点に昇温し、グラフェン接合体に付着した新たな懸濁液からアルコールを気化させる。これによって、新たな懸濁液の粘度に応じた厚みで、粉体の集まりがグラフェン接合体の表面全体を覆う。さらに、第三の平板の表面全体を均等に圧縮する。これによって、グラフェン接合体の表面と接触する粉体の集まりが、グラフェン接合体の表面に摩擦圧接するとともに、粉体同士が互いに接触する部位で摩擦圧接し、摩擦圧接した粉体の集まりでグラフェン接合体が覆われた熱導電性シートが作成される。この後、第二の平板の側面の複数個所に、平板の大きさに応じて、0.4-0.6Gからなる衝撃加速度を同時に加え、第二の平板を熱導電性シートから剥がし、さらに、第三の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度と同等の衝撃加速度を同時に加え、熱導電性シートを第三の平板から剥がし、熱導電性シートを取り出す。つまり、第三の工程における第二の容器の重量に比べると、第二の平板ないしは第三の平板の重量は少ないが、グラフェン接合体の重量に比べると著しく多い。このため、第二の平板ないしは第三の平板の側面の複数個所に、第二の容器の底面に加えた衝撃加速度より小さな衝撃加速度を同時に加えると、グラフェン接合体と第二の平板の底面ないしは第三の平板の底面との接合部が優先して剥がれ、グラフェン接合体が第二の平板の底面ないしは第三の平板の底面から剥がれる。従って、第二の容器の重量に比べると、第二の平板ないしは第三の平板の重量は少ないため、第三の工程において加えた衝撃加速度より小さい0.4-0.6Gからなる衝撃加速度を同時に、第二の平板ないしは第三の平板の側面の複数個所に加え、グラフェン接合体を第二の平板ないしは第三の平板から剥がす。
なお、粉体の集まりで覆われたグラフェン接合体を圧縮する際に、グラフェン接合体の厚みが、粉体の大きさに比べ1桁小さいため、グラフェン接合体の表面と裏面の端部に付着した粉体が圧縮されると、粉体がグラフェン接合体の端部からはみ出し、はみ出した粉体同士が摩擦圧接する。このため、グラフェン接合体の表面と裏面の端部も、摩擦圧接した粉体で絶縁化される。
これら6つの工程を連続して実施することによって、重ね合わせたグラフェンの集まりを摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートが作成される。
以上に説明した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作用効果を説明する。
第一に、表面が絶縁性の熱伝導性シートの表面が、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆われ、粉体の絶縁性と熱伝導性とに基づき、熱伝導性シートに絶縁性と熱伝導性とが付与される。例えば、摩擦圧接した粉体が、体積抵抗率が1014Ω・cmで、直径が1μmの円板とすると、粉体の抵抗値は、体積抵抗率に2/(π・半径)を掛けた値になり、体積抵抗率に0.64×10を掛けた0.64×1018になる。いっぽう、熱伝導性シートに電位差が加わる場合は、電位差は熱伝導性シートの面に平行な方向に加わる。この際、グラフェン接合体の表面に接合した絶縁性の粉体が抵抗器として作用する。この抵抗器の集まりが形成する抵抗値は、次の3種類で構成される。第一に、粉体がシートの面方向に接続した粉体の集まりは、粉体からなる抵抗器が直列接続し、直列接続した粉体の数からなる抵抗値を形成する。第二に、粉体がシートの面に垂直な方向に積み重なった僅かな数の粉体は、粉体の抵抗器が並列接続し、並列接続した粉体の僅かな数からなる抵抗値を形成する。第三に、並列接続した粉体が、シートの面方向に互いに隣接して接合することで、並列接続した粉体がさらに莫大な数として並列接続し、さらに並列接続した粉体の集まりからなる抵抗値を形成する。これら3種類の抵抗値が合算した抵抗値を粉体の集まりが形成する。いっぽう、第三の抵抗値が、第一及び第二の抵抗値に比べ圧倒的に大きいため、1個の抵抗器が0.64×1018Ωとすると、粉体の集まりの絶縁抵抗は1018Ωを優に超える。このため、グラフェン接合体が極めて優れた導電性シートであるが、熱伝導性シートの表面の絶縁性を確保するため、多くの絶縁性の粉体を積み重ねる必要はなく、数個程度の絶縁性の粉体を摩擦圧接で積み重ねるだけで、極めて大きな絶縁抵抗が得られる。なお、グラフェンの厚みが0.332nmと極めて薄く、グラフェンのアスペクト比が極めて大きいため、グラフェンの厚み方向の導電性は極めて小さく、面方向に電子が優先して移動するため、面方向の導電性は高い。ちなみに、グラフェンの体積固有抵抗率は1.3μΩcmで、金属の中で最も体積固有抵抗率が小さい銀の体積固有抵抗率である1.6μΩcmよりさらに小さい。
第二に、一定の面積を有するグラフェン接合体が、表面が絶縁性の熱伝導性シートの内部を構成し、グラフェン接合体の表面を覆う粉体の集まりが、表面が絶縁性の熱伝導性シートの外部を構成する。いっぽう、積み重ねた粉体の厚みが数個程度であるため、熱伝導性シートの性質に、グラフェン接合体の性質が反映される。また、全てのグラフェン同士が面を上にして重なり合い、重なり合ったグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりで、グラフェン接合体を構成するため、グラフェン接合体はグラフェンに近い性質を持つ。いっぽう、グラフェンの厚みが0.332nmと極めて薄く、グラフェンのアスペクト比が極めて大きいため、グラフェンの厚み方向の熱伝導率は極めて小さく、面方向に熱が優先して伝わる。グラフェンの熱伝導率は1880W/(m・K)で、金属の中で最も熱伝導率が高い銀の熱伝導率の4.5倍に相当する熱伝導率を持つ。従って、全てのグラフェンが面同士で接合したグラフェン接合体は、グラフェンに近い熱伝導率を持つ。このため、表面が絶縁性の熱伝導性シートは、1018Ωを優に超える極めて大きな絶縁抵抗を持つとともに、グラフェンに近い熱伝導率を持つ。従来の熱伝導性シートは、熱伝導性を担う物質が導電性であるため、絶縁抵抗の大きさと熱伝導性とは相反する性質であったが、本発明の表面が絶縁性の熱伝導性シートは、これまでの常識を覆す2つの性質を兼備する。
第三に、全てのグラフェン同士が面を上にして重なり合い、重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接する際に、重なり合ったグラフェンの面に短時間であるが、高温の摩擦熱が発生する。なお、グラフェンは3000℃を超える耐熱性を持つ。これによって、重なり合ったグラフェンの面に存在する不純物が瞬間的に気化し、重なり合ったグラフェンの面が清浄化される。清浄化したグラフェンの面同士が摩擦圧接するため、グラフェン同士の接合力は大きい。また、重なり合ったグラフェンの面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差しかない。このため、鏡面仕上げより平坦度が高い平面が摩擦圧接するため、平面同士が強固に摩擦圧接する。さらに、グラフェンは、破断強度が42N/mであり、鋼の100倍を超える強度を持ち、ヤング率が1020GPaと極めて大きい強靭な素材である。このため、重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接する際に、グラフェンは破壊しない。これに対し、一部の金属窒化物の粉体を除き、絶縁性と熱導電性とを兼備する粉体のモース硬度は8以上と硬い。従って、粉体は加えられた圧縮応力によって容易に破砕せず、相対的に大きな圧縮応力を加え、粉体同士を摩擦圧接することができる。このため、粉体の集まりに相対的に大きな圧縮応力を加えると、粉体同士が互いに接触する接触部に高温の摩擦熱が発生し、接触部に存在する不純物が瞬間的に気化し、清浄化された接触部で摩擦圧接し、また、グラフェンに接する粉体の接触部に摩擦熱が発生し、接触部に存在する不純物が瞬間的に気化し、清浄化された接触部でグラフェンに摩擦圧接する。
なお、グラフェンは、モース硬度が10であるダイヤモンドより硬い。従って、第六の工程で粉体の集まりを圧縮する際に、過大な圧縮応力を加え、粉体が破砕しても、粉体と接触するグラフェンは破壊しない。いっぽう、粉体が破砕する過大な圧縮応力を粉体に加え、粉体を破砕すると、粉体の集まりにおける空隙を埋めるように、破砕した粉体が移動し、破砕した粉体の集まりが高密度で重なり合う。また、粉体が破砕されると、粉体同士の接触部の数が増える。粉体の破砕が限界になると、過大な圧縮応力が破砕した粉体に直接加わり、破砕した粉体同士が互いに接触する接触部に高温の摩擦熱が発生し、接触部で粉体同士が摩擦圧接する。また、グラフェンに接する破砕した粉体の集まりが、グラフェンと接触する接触部に高温の摩擦熱が発生し、接触部でグラフェンに摩擦圧接する。この際、破砕した粉体同士の接触部と、破砕した粉体がグラフェンに接触する部位に、過大な圧縮応力に応じた高い温度の摩擦熱が発生する。これによって、破砕した粉体同士の接触部と、破砕した粉体がグラフェンに接触する部位に存在する不純物が瞬間的に気化し、破砕した粉体同士の接触部と、破砕した粉体がグラフェンに接触する部位が清浄化される。清浄化した粉体の接触部同士が、また、清浄化した粉体が清浄化したグラフェンに接触する部位同士が、摩擦圧接するため、また、破砕した粉体同士の接触部の数が増大し、さらに、粉体の破砕を限界まで進めた過大な圧縮応力が接触部に加わるため、破砕が進んだ粉体同士の接合力と、破砕が進んだ粉体とグラフェンとの接合力は最も大きくなる。いっぽう、過大な圧縮応力を粉体の集まりで覆われたグラフェン接合体に加えると、粉体の集まりで覆われたグラフェン接合体に重ね合わせた平板と、摩擦圧接した粉体で覆われたグラフェン接合体との接合力も増大する。従って、平板と熱導電性シートとを引きはがす際に、さらに大きな衝撃加速度を平板に加える必要がある。
第四に、グラフェン接合体の厚みがサブミクロンで、粉体の集まりが積み重なった厚みは数ミクロンである。従って、熱伝導性シートの重量は、従来の熱伝導性シートの重量に比べ、2桁以上重量が軽い。いっぽう、粉体同士を摩擦圧接させ、また、粉体をグラフェン接合体の表面に摩擦圧接させる際に、硬度が高い粉体が容易に破砕しないため、相対的に大きな圧縮応力を粉体に加えることができる。粉体の集まりに相対的に大きな圧縮応力を加えると、粉体同士が互いに接触する接触部に、圧縮応力に応じた温度の摩擦熱が発生し、接触部に存在する不純物が瞬間的に気化し、清浄化された接触部で摩擦圧接する。また、グラフェンに接する粉体の接触部にも高温の摩擦熱が発生し、接触部に存在する不純物が瞬間的に気化し、清浄化された接触部でグラフェンに摩擦圧接する。重量が僅かである粉体同士の接触部が清浄化され、清浄化した接触部が高温で摩擦圧接するため、また、重量が僅かである粉体とグラフェンとの接触部が清浄化され、清浄化した接触部が高温で摩擦圧接するため、摩擦圧接の接合強度が大きい。このため、本発明の熱伝導性シートは、従来の熱伝導性シートより機械的強度が大きい。従来の熱伝導性シートは、基材の軽量化と基材の機械的強度とは相反する性質であったが、本発明の表面が絶縁性の熱伝導性シートは、これまでの常識を覆す2つの性質を兼備する。
第五に、表面が絶縁性の熱伝導性シートは、耐熱性に優れ、酸およびアルカリと反応せず、長期に亘って経時変化しない。すなわち、グラフェンは、融点が3000℃を超える単結晶材料で、耐熱温度が3000℃を超える。また、酸およびアルカリと反応しない極めて安定した物質である。従って、グラフェンの集まりが摩擦圧接したグラフェン接合体も、グラフェンに近い耐熱性と、酸およびアルカリと反応しない性質を持つ。また、絶縁性で熱伝導性の粉体は、金属酸化物ないしは金属窒化物で構成されるため、耐熱温度は900℃以上で、一部の金属窒化物の粉体を除き、酸およびアルカリと反応しない性質を持つ。このため、熱伝導性シートは、耐熱性に優れるとともに、酸およびアルカリと反応せず、屋外の環境でも長期に亘って経時変化しない。
第六に、表面が絶縁性の熱伝導性シートは、極めて簡単な6つの工程を連続して実施することで作成できる。また、黒鉛粒子と粉体は汎用的な工業用素材であり、アルコールは汎用的な有機化合物である。従って、従来の熱伝導性シートに比べると、極めて安価な費用で優れた性質を兼備する熱伝導性シートが作成できる。
以上に説明したように、本発明の表面が絶縁性の熱伝導性シートは、従来の熱伝導性シートとは材料の構成と製法とが全く異なる新たな考えに基づくため、画期的な作用効果をもたらす。これによって、8段落に記載した7つの課題が解決される。
11段落に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、11段落に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体が、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素ないしは窒化アルミニウムからなるいずれか1種類の粉体であり、該粉体を11段落に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体として用い、11段落に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法に従って表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成する、11段落に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
つまり、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素ないしは窒化アルミニウムからなる粉体は、絶縁性の粉体の中では、いずれも熱伝導率が大きく、かつ、体積抵抗率も大きい。
すなわち、アルミナは、純度に応じて33-41W/(m・K)の熱伝導率を持ち、体積抵抗率は1014-15Ω・cmである。窒化ホウ素は、製法に応じて36-63W/(m・K)の熱伝導率を持ち、体積抵抗率は1015Ω・cmより大きい。窒化ケイ素は、製法に応じて20-28W/(m・K)の熱伝導率を持ち、体積抵抗率は1014Ω・cmより大きい。窒化アルミニウムは、170W/(m・K)の熱伝導率を持ち、体積抵抗率は1014Ω・cmより大きい。これらの金属酸化物と金属窒化物は、絶縁物の中で優れた熱伝導率を持つが、グラフェンの熱伝導率である1880W/(m・K)に比べると著しく小さい。
従って、一定の面積を有するグラフェン接合体が熱伝導性シートの内側を構成し、数個の粉体が重なり合って接合した粉体の集まりが熱伝導性シートの表面を構成することで、熱伝導性シートにグラフェン接合体の性質が反映され、金属に近い熱伝導率を持つ。
また、体積抵抗率が1014Ω・cmである粉体が、直径が1μmの円板であるとすると、抵抗値は体積抵抗率に2/π・半径を掛けた値になり、体積抵抗率に0.64×10を掛けた値になる。いっぽう、熱伝導性シートに電位差が加わる場合は、電位差は熱伝導性シートの面に平行な方向に加わる。この際、グラフェン接合体の表面に接合した絶縁性の粉体が抵抗器として作用し、13段落に記載したように、抵抗器の集まりが形成する抵抗値は、次の3種類で構成される。第一に、粉体がシートの面方向に接続した粉体の集まりは、粉体からなる抵抗器が直列接続し、直列接続した粉体の数からなる抵抗値を形成する。第二に、粉体がシートの面に垂直な方向に積み重なった僅かな数の粉体は、粉体の抵抗器が並列接続し、並列接続した粉体の僅かな数からなる抵抗値を形成する。第三に、並列接続した粉体が、シートの面方向に互いに隣接して接合することで、並列接続した粉体がさらに莫大な数として並列接続し、さらに並列接続した粉体の集まりからなる抵抗値を形成する。これら3種類の抵抗値が合算した抵抗値を粉体の集まりが形成する。いっぽう、第三の抵抗値が、第一及び第二の抵抗値に比べ圧倒的に大きいため、1個の抵抗器が0.64×1018Ωとすると、粉体の集まりの絶縁抵抗は1018Ωを優に超える。
さらに、アルミナのモース硬度は8-9と大きいが、窒化ホウ素のモース硬度は2より小さく、窒化ケイ素のモース硬度は8.3-9と大きく、窒化アルミニウムのモース硬度は9-10と大きい。従って、11段落に記載した第六の工程で、粉体の集まりを圧縮する際に、窒化ホウ素以外の粉体は容易に破砕しない。このため、粉体同士の接触部と、粉体がグラフェンと接触する接触部に、高温の摩擦熱が発生し、粉体同士が摩擦圧接し、粉体がグラフェンの表面に摩擦圧接する。いっぽう、グラフェンのモース硬度は、ダイヤモンドのモース硬度10より大きい。さらに、アルミナのヤング率は330GPaで、窒化ケイ素のヤング率は310GPaで、窒化アルミニウムのヤング率は320GPaである。これに対し、グラフェンのヤング率は1020GPaと極めて大きい。また、グラフェンの破断強度は42N/mと極めて大きい。従って、11段落に記載した第六の工程で粉体の集まりを圧縮する際に、過大な圧縮応力を加え、粉体を限界まで破砕しても、グラフェン接合体は破壊しない。いっぽう、過大な圧縮応力を加えて粉体が破砕すると、破砕した粉体が移動し、粉体の集まりにおける空隙を埋める。これによって、破砕した粉体の集まりが高密度で重なり合うとともに、破砕した粉体同士の接触部が増大する。粉体の破砕が限界になると、破砕した粉体に過大な圧縮応力が直接加わり、破砕した粉体同士の接触部と、破砕した粉体がグラフェン接合体に接触する部位に、過大な圧縮応力に応じた温度の摩擦熱が短時間発生する。これによって、破砕した粉体同士の接触部と、破砕した粉体がグラフェン接合体に接触する部とに存在する不純物が瞬間的に気化し、清浄化される。清浄化した接触部が摩擦圧接するため、また、摩擦圧接する際の接触部に加わる圧縮応力が最も大きくなるため、破砕した粉体同士の接合力と、破砕した粉体がグラフェン接合体に接合する接合力は最も大きくなる。いっぽう、過大な圧縮応力を粉体の集まりで覆われたグラフェン接合体に加えると、粉体の集まりで覆われたグラフェン接合体に重ね合わせた平板と、摩擦圧接した粉体で覆われたグラフェン接合体との接合力も増大する。従って、平板と熱導電性シートとを引きはがす際に、さらに大きな衝撃加速度を平板に加える必要がある。
また、アルミナの大気雰囲気の耐熱温度は1500℃で、窒化ホウ素の大気雰囲気の耐熱温度は950℃で、窒化ケイ素の大気雰囲気の耐熱温度は1200℃で、窒化アルミニウムの大気雰囲気の耐熱温度は900℃で、いずれも耐熱温度が高い。さらに、窒化アルミニウムを除く粉体は、酸とアルカリに反応しない。なお、窒化アルミニウムは、アルカリを伴う水と反応し、アルミナとアンモニアに分解する。従って、窒化アルミニウムを除く粉体は、酸とアルカリに反応せず、屋外の環境でも長期に亘って経時変化しない。
以上に説明したように、11段落に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体として、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素ないしは窒化アルミニウムからなるいずれか1種類の粉体を用いることで、13段落に記載したように、表面が絶縁性の熱伝導性シートに、画期的な作用効果をもたらす。
11段落に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、11段落に記載した20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコールが、2-ペンタノール、3-メチル―1-ブタノール、ターシャルアミルアルコール、2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-ヘプタノール、イソブチルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、3-ペンタノールないしは2-オクタノールからなるいずれか1種類のアルコールであり、該アルコールを11段落に記載したアルコールとして用い、11段落に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法に従って表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成する、請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
つまり、2-ペンタノール、3-メチル―1-ブタノール、ターシャルアミルアルコール、2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-ヘプタノール、イソブチルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、3-ペンタノールないしは2-オクタノールからなるアルコールは、20℃における粘度が4-6mPa・秒である。また、これらアルコールの中で最も沸点が高いアルコールは、沸点が178℃の2-オクタノールである。従って、11段落の第六の工程においてアルコールを気化させる温度は、高くて178℃であるため、第六の工程における熱処理は容易である。
すなわち、2-ペンタノールは、20℃における粘度は3.5mPa・秒で、沸点が119℃のアルコールで、示性式はCH(CH)CH(OH)CHである。
3-メチル―1-ブタノールは、20℃における粘度は3.7mPa・秒で、沸点が131℃のアルコールで、示性式は(CHCH(CHOHである。
ターシャルアミルアルコールは、25℃における粘度は3.8mPa・秒で、沸点が103℃のアルコールで、示性式はCHCHCOH(CHである。
2-ブタノールは、20℃における粘度は3.9mPa・秒で、沸点が99℃のアルコールで、示性式はCHCHCH(OH)CHである。
2-メチル-1-ブタノールは、20℃における粘度は4.0mPa・秒で、沸点が108℃のアルコールで、示性式はCHCHCH(CH)CHOHである。
2-ヘプタノールは、20℃における粘度は4.0mPa・秒で、沸点が159℃のアルコールで、示性式はCH(CHCH(OH)CHである。
イソブチルアルコールは、20℃における粘度は4.0mPa・秒で、沸点が108℃のアルコールで、示性式は(CHCHCHOHである。
4-メチル-2-ペンタノールは、20℃における粘度は4.1mPa・秒で、沸点が132℃のアルコールで、示性式は(CHCHCHCHOHCHである。
3-ペンタノールは、20℃における粘度は6.4mPa・秒で、沸点が116℃のアルコールで、示性式はCHCHCH(OH)CHCHである。
2-オクタノールは、20℃における粘度は6.2mPa・秒で、沸点が178℃のアルコールで、示性式はCH(CHCH(OH)CHである。
これらのアルコールは、いずれも汎用的なアルコールであり、11段落の第四の工程における処理が安価で済む。また、アルコールの粘度が4-6mPa・秒と比較的低いため、15段落に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体は、アルコールを撹拌するだけで、粉体がアルコール中によく分散する。また、11段落の第五の工程において、アルコール中に粉体が分散した懸濁液中にグラフェン接合体を浸漬させ、グラフェン接合体を取り出すと、懸濁液の粘度に応じた厚みで、グラフェン接合体の表面全体に懸濁液が付着している。
さらに、11段落の第六の工程において、グラフェン接合体と同じ大きさの平板をグラフェン接合体に被せ、さらに、平板が被さったグラフェン接合体をアルコールの沸点に昇温しアルコールを気化させると、グラフェン接合体の表面全体が、粉体の集まりで覆われる。この後、平板の表面全体を均等に圧縮する。これによって、グラフェン接合体の表面と接触する粉体の集まりが、グラフェン接合体の表面に摩擦圧接するとともに、粉体同士が互いに接触する部位で摩擦圧接し、摩擦圧接した粉体の集まりでグラフェン接合体が覆われた表面が絶縁性の熱導電性シートが作成される。
11段落に記載した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートを、部品ないしは基材に一体化させる方法は、
11段落に記載した方法に従って表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成し、該熱伝導性シートの表面に部品ないしは基材を重ね合わせ、該部品ないしは該基材の表面全体を均一に圧縮する、これによって、前記熱伝導性シートの表面を覆う絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、前記部品ないしは前記基材の表面に摩擦圧接し、前記熱伝導性シートと前記部品ないしは前記基材とが一体化される、11段落に記載した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートを、部品ないしは基材に一体化させる方法。
つまり、11段落に記載した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートの表面は、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆われている。従って、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、部品ないしは基材に熱伝導性シートを摩擦圧接させる手段になる。
すなわち、表面が絶縁性の熱伝導性シートの表面に部品ないしは基材を重ね合わせ、該部品ないしは該基材の表面全体を均一に圧縮する。最初に、表面が絶縁性の熱伝導性シートの表面を覆う絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、部品ないしは基材の表面と接触し、次に、接触部に摩擦熱が発生し、さらに、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりと、部品ないしは基材の表面との接触部が摩擦圧接する。この結果、熱伝導性シートと部品ないしは基材とが、絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりを介して接合される。なお、絶縁性で熱伝導性の粉体は、金属酸化物ないしは金属窒化物で構成され、窒化ホウ素を除き、モース硬度が8以上の硬い粉体である。このため、熱伝導性シートの表面に重ね合わせた部品ないしは基材の表面全体を均一に圧縮すると、熱伝導性シートの表面を覆う絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、部品ないしは基材の表面に食い込み、さらに、粉体の集まりと部品ないしは基材の表面との接触部に高温の摩擦熱が発生し、接触部が摩擦圧接する。このため、部品ないしは基材と、表面が絶縁性の熱伝導性シートとの接合強度が高い。
例えば、表面が絶縁性の熱伝導性シートにプリント基板を重ね合わせ、プリント基板の表面全体を均一に圧縮すると、熱伝導性シートの表面を覆う絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、プリント基板の表面に食い込み、さらに、粉体の集まりが、プリント基板の表面に摩擦圧接する。この結果、表面が絶縁性の熱伝導性シートとプリント基板とは、粉体の集まりを介して接合される。これによって、プリント基板の熱が粉体の集まりを介して効率よく熱伝導性シートに伝達され、熱伝導性シートから大気に放出される。従って、表面が絶縁性の熱伝導性シートは優れたヒートシンクの機能を持ち、プリント基板に多くの発熱素子を実装しても、プリント基板に実装された半導体素子が熱劣化することはない。
また、表面が絶縁性の熱伝導性シートに金属箔を重ね合わせ、金属箔の表面全体を均一に圧縮すると、熱伝導性シートの表面を覆う粉体の集まりが、金属箔の表面に食い込み、さらに、粉体の集まりが、金属箔の表面に摩擦圧接する。この結果、表面が絶縁性の熱伝導性シートと金属箔とは、粉体の集まりを介して接合される。この後、金属箔を導体パターンが形成されたプリント配線に加工とすると、プリント基板が作成される。なお、熱伝導性シートを覆う粉体が、金属酸化物ないしは金属窒化物で構成され、窒化アルミニウムを除くと、化学的に極めて安定であるため、粉体の集まりは化学変化しない。このプリント基板においては、プリント配線の熱が、効率よく熱伝導性シートに伝達され、熱伝導性シートから大気に放出される。従って、プリント配線に多くの発熱素子を実装しても、プリント配線に実装された半導体素子が熱劣化することはない。
なお、発熱素子としては、例えば、発光ダイオード素子、ワイドギャップ半導体からなるICチップないしはIGBTチップないしはパワーMOSFETなどの素子が挙げられる。
グラフェン接合体の表面が窒化アルミニウムの粉体で覆われた熱伝導性シートの側面の一部を拡大して模式的に示した図である。
実施例1
本実施例は、11段落に記載した方法に従って、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を容器内に作成する。
最初に、5リットルのメタノールを、2.2m×2.2mの底面をもち、底が浅い容器に充填した。
次に、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する電極の有効面積が、2m×2mである平行平板電極を用意し、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で重ね合わせ、この間隙に黒鉛粒子を満遍なく引き詰め、メタノール中に浸漬する。なお、黒鉛粒子を粒径が25μmの球と仮定し、2枚の平行平板電極で作られる100μmの間隙に、黒鉛粒子を満遍なく引き詰めた場合、2.6×10個の黒鉛粒子が存在する。この黒鉛粒子の集まりに、10.6キロボルト以上の直流電圧を印加すると、全ての黒鉛粒子の基底面の層間結合が同時に破壊される。この際、7.6×1013個のグラフェンの集まりが得られ、用いる黒鉛粒子の集まりは、僅かに4.72gである。
電界が発生する電極の有効面積が2m×2mである平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子(例えば、伊藤黒鉛工業株式会社のXD100)の50gを重ねて引き詰めた。この平行平板電極を、メタノールが充填された容器に浸漬し、さらに、もう一方の平行平板電極を前記の平行平板電極の上に重ね合わせ、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で離間させ、12キロボルトの直流電圧を電極間に加えた。次に、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、さらに、2枚の平行平板電極をメタノール中で傾斜させ、0.2Gからなる3方向の振動加速度を容器に繰り返し加え、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出した。さらに、容器内のメタノールに、超音波ホモジナイザー装置(ヤマト科学株式会社の製品LUH300)によって20kHzの超音波振動を2分間加えた。この後、超音波ホモジナイザー装置を、容器から取り出した。この後、容器内にあるメタノール中に分散したグラフェンの集まりを撹拌した。
次に、作成した試料の一部を取り出し、電子顕微鏡を用いて、試料の観察と分析を行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は、100ボルトからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。
試料の表面からの反射電子線の900-1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。メタノール中に分散した物質は、厚みが極めて薄い扁平な物質であることが確認できた。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理した結果、炭素原子のみ存在した。このため、物質は、グラフェンであることが確認できた。
これによって、2枚の平行平板電極の間隙に、鱗片状黒鉛粒子の集まりを引き詰め、電極間に直流の電位差を与え、この電位差を2枚の平行平板電極対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生し、この電界によって、全ての黒鉛粒子に対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与えられ、この結果、黒鉛結晶の層間結合の全てが同時に破壊され、黒鉛結晶からなる基底面、すなわち、グラフェンの集まりが製造できることが確認された。
実施例2
本実施例は、11段落に記載した方法に従って、グラフェン接合体を作成する。
実施例1で作成した懸濁液を、容積が10cm×10cm×3cm(深さ)からなる底が浅い立方体からなる容器に、容器の容積の1/2を占める量として注入した。この後、容器に、前後、左右、上下の3方向の0.3Gからなる振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の0.3Gからなる振動加速度を加えた。
次に、10cm×10cm×2cm(厚み)の平板を、容器内の懸濁液と接触するように被せ、さらに、容器をメタノールの沸点に昇温し、懸濁液からメタノールを気化させた。なお、気化したメタノールを回収し、再利用する。
さらに、平板の表面に、10kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、5秒後に、全ての重りを平板から外した。
さらに、容器の底面の等間隔に離間した5個所に、0.6Gからなる衝撃加速度を同時に加え、容器をグラフェン接合体から剥がした。さらに、平板の各々の側面の4個所に、0.5Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を平板から剥がした。なお、グラフェン接合体の側面を観察した結果、グラフェン接合体の厚みは、僅かに0.1μmであった。このグラフェン接合体を5枚作成した。
次に、作成したグラフェン接合体の平面の複数個所の表面抵抗を、表面抵抗計(シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST―4)によって測定した。表面抵抗値は、いずれも1×10Ω/□であったため、グラフェン接合体は導電性に優れた金属の表面抵抗と同等である。
実施例3
本実施例は、17段落に記載したアルコールとして2-ペンタノールを用い、15段落に記載した粉体として窒化アルミニウムを用い、新たな懸濁液を作成する。さらに、新たな懸濁液に、実施例2で作成したグラフェン接合体を浸漬する。
2-ペンタノールの800gを秤量し、また、窒化アルミニウム(東洋アルミニウム株式会社の製品TFZ-N01P)の300gを秤量し、両者を容器に入れ、2-ペンタノールを撹拌し、新たな懸濁液を作成した。用いた窒化アルミニウムは、粒状の粒子で、粒子の大きさはD50が1.2μmで、熱伝導率は170W/(m・K)で、体積抵抗率は1013Ω・cmより大きく、密度は3.3g/cmである。この新たな懸濁液に、実施例2で作成したグラフェン接合体を浸漬し、この後、グラフェン接合体を取り出した。こうしたグラフェン接合体を5枚作成した。
実施例4
本実施例は、窒化アルミニウムの粉体が表面に吸着したグラフェン接合体を圧縮し、グラフェン接合体の表面を、摩擦圧接した窒化アルミニウムの粉体の集まりで覆う。
実施例3で作成したグラフェン接合体を、11cm×11cm×2cm(厚み)の平板の上に重ね合わせ、さらに、グラフェン接合体の上に、11cm×11cm×2cm(厚み)の平板を被せ、120℃に昇温し、この後、6kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、5秒後に全ての重りを平板から外した。
次に、グラフェン接合体を重ね合わせた平板の側面の4個所に、0.4Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を平板から剥がした。さらに、グラフェン接合体に被せた平板の側面の4個所に、0.4Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を平板から剥がした。この後、窒化アルミニウムの粉体で覆われたグラフェン接合体を取り出した。こうした試料を5枚作成した。
次に、作成した試料の熱伝導率を測定した。試料の熱伝導率は、非定常法の一種である周期加熱法に基づく周期加熱法拡散率測定装置(アドバンス理工社製FTC-1)を用いて行った。試料の20℃における熱伝導率は、240±10W/(m・K)であった。窒化アルミニウムより優れた熱伝導率を持った。
また、試料の絶縁抵抗を、絶縁抵抗計(日置電機株式会社の製品IR4082)を用いて測定した。4000MΩを超える高い抵抗値を示した。
さらに、作成した試料の機械的強度を、落下衝撃から測定した。試料を2mの高さから繰り返し5回自然落下させたが、試料の変化は認められなかった。さらに、4mの高さから試料を繰り返し5回自然落下させたが、試料の変化は認められなかった。このため、作成した試料は優れた衝撃強度を持つ。
また、試料の側面の粉体を剥ぎ落し、側面を観察した結果、試料は2ないし3個の窒化アルミニウムの粉体が重なり合っていた。図1に、試料の側面の一部を拡大して模式的に示す。1は窒化アルミニウムの粉体で、2はグラフェン接合体である。
実施例は一例に過ぎない。つまり、実施例2で作成したグラフェン接合体の大きさと厚さは、懸濁液を注入した容器の大きさと、注入した懸濁液の量によって、様々に変わる。また、実施例3で作成した新たな懸濁液は、2-ペンタノールに限らず、17段落に記載した様々なアルコールを用いることができる。また、熱伝導性に優れた粉体も、15段落に記載した様々な粉体を用いることができる。さらに、実施例4で作成した熱伝導性シートの熱導電性は、粉体の材質と、実施例3で作成した新たな懸濁液の粘度によって変わる。また、実施例4で作成した熱伝導性シートの絶縁抵抗は、実施例3で作成した新たな懸濁液の粘度によって変わる。さらに、実施例4で作成した熱伝導性シートの機械的強度は、実施例4における平板に加える圧縮荷重の大きさによって変わる。
いっぽう、実施例4で作成した熱伝導性シートの熱導電率は、従来の熱伝導性シートの熱導電率より2桁大きい。これに対し、実施例4で作成した熱伝導性シートの絶縁抵抗は、従来の熱伝導性シートの絶縁抵抗より2桁大きい。また、実施例4で作成した熱伝導性シートの衝撃強度が優れているが、重量は従来の熱伝導性シートの重量より2桁少ない。このように、本発明の熱伝導性シートは、材料の構成とシートの作成方法が、従来の熱伝導性シートと全く異なる新規な材料と新規な製法とに基づくため、従来の熱伝導性シートの性質を圧倒的に凌ぐ性質を持つ。
1 窒化アルミニウムの粉体 2 グラフェン接合体

Claims (4)

  1. 重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、
    2枚の平行平板電極からなる一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に敷き詰め、該一方の平行平板電極を、第一の容器に充填したメタノール中に浸漬させ、他方の平行平板電極板を、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記2枚の平行平板電極からなる電極板対を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該電極板対の間隙に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記電極板対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記電極板対の間隙に前記基底面からなるグラフェンの集まりが析出する、この後、前記電極板対の間隙を拡大し、該電極板対を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記第一の容器に左右、前後、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記電極板対の間隙から前記メタノール中に移動させる、この後、前記第一の容器から前記2枚の平行平板電極を取り出し、前記第一の容器内にメタノールに分散したグラフェンの集まりを作成する第一の工程と、
    前記第一の容器内で超音波方式のホモジナイザー装置を稼働させ、前記メタノールを介して前記グラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加え、該グラフェンの集まりを、前記メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離させる、この後、前記第一の容器から前記ホモジナイザー装置を取り出し、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を前記第一の容器内に作成する第二の工程と、
    前記懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を第二の容器に注入し、該第二の容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせ、さらに、前記第二の容器の内側の大きさと同じ大きさの第一の平板を、前記第二の容器内の懸濁液と接触するように被せ、さらに、前記第二の容器を前記メタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、この後、前記第一の平板の表面全体を均等に圧縮する、これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体が、前記第二の容器の底面に該底面の形状として形成される、この後、前記第二の容器の底面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を前記第二の容器の底面から剥がし、さらに、前記第一の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度より小さな衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を前記第一の平板から剥がし、該グラフェン接合体を取り出す第三の工程と、
    20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコールの重量比が2で、絶縁性でかつ熱伝導性である粉体の集まりの重量比が1より少ない予め決めた重量比によって、前記アルコールと前記粉体の集まりを秤量し、該秤量したアルコールと粉体とを第三の容器に注入し、該第三の容器内の前記アルコールを撹拌し、前記粉体の集まりが前記アルコール中に分散した新たな懸濁液を作成する第四の工程と、
    前記取り出したグラフェン接合体を前記新たな懸濁液中に浸漬し、該グラフェン接合体に前記新たな懸濁液を付着させ、この後、該グラフェン接合体を前記新たな懸濁液中から取り出す第五の工程と、
    前記グラフェン接合体の表面全体が第二の平板に重なり合うように、該グラフェン接合体を前記第二の平板の上に重ね合わせ、さらに、該第二の平板と同じ大きさの第三の平板を前記グラフェン接合体の表面全体に被せる、さらに、前記アルコールの沸点に昇温し、前記グラフェン接合体に付着した前記新たな懸濁液からアルコールを気化させ、該グラフェン接合体の表面全体を前記粉体の集まりで覆う、この後、前記第三の平板の表面全体を均等に圧縮する、これによって、前記グラフェン接合体の表面と接触する前記粉体の集まりが、該グラフェン接合体の表面に摩擦圧接するとともに、該粉体同士が互いに接触する部位で摩擦圧接し、該摩擦圧接した粉体の集まりで前記グラフェン接合体が覆われる、この後、前記第二の平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第二の平板から剥がし、さらに、前記第三の平板の側面の複数個所に、前記衝撃加速度と同等の衝撃加速度を同時に加え、前記グラフェン接合体を、前記第三の平板から剥がし、該グラフェン接合体を取り出す第六の工程からなり、
    これら6つの工程を連続して実施することによって、重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接で接合したグラフェン接合体を絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりで覆った表面が絶縁性の熱伝導性シートが作成される、表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
  2. 請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、請求項1に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体が、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素ないしは窒化アルミニウムからなるいずれか1種類の粉体であり、該粉体を請求項1に記載した絶縁性で熱伝導性の粉体として用い、請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法に従って、表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成する、請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
  3. 請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法は、請求項1に記載した20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコールが、2-ペンタノール、3-メチル―1-ブタノール、ターシャルアミルアルコール、2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-ヘプタノール、イソブチルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、3-ペンタノールないしは2-オクタノールからなるいずれか1種類のアルコールであり、該アルコールを、請求項1に記載した20℃における粘度が4-6mPa・秒であるアルコールとして用い、請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法に従って、表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成する、請求項1に記載した表面が絶縁性の熱伝導性シートの作成方法。
  4. 請求項1に記載した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートを、部品ないしは基材に一体化させる方法は、
    請求項1に記載した方法に従って、表面が絶縁性の熱伝導性シートを作成し、該熱伝導性シートの表面に部品ないしは基材を重ね合わせ、該部品ないしは該基材の表面全体を均一に圧縮する、これによって、前記熱伝導性シートの表面を覆う絶縁性で熱伝導性の粉体の集まりが、前記部品ないしは前記基材の表面に摩擦圧接し、前記熱伝導性シートと前記部品ないしは前記基材とが一体化される、請求項1に記載した方法で作成した表面が絶縁性の熱伝導性シートを、部品ないしは基材に一体化させる方法。
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