JP2024051504A - 処理装置、システム、方法およびプログラム - Google Patents

処理装置、システム、方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】全散乱データと構造モデルのデータを含む構造因子を計算する処理装置、システム、方法およびプログラムを提供する。【解決手段】構造因子を処理する処理装置400であって、実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する構造因子取得部410と、前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するデータ変換部420と、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する散乱強度計算部430と、を備える。【選択図】図7

Description

本発明は、構造因子を処理する処理装置、システム、方法およびプログラムに関する。
材料機能の深い理解には、3次元の構造情報が必要不可欠である。従来の材料の多くは結晶性材料であり、結晶構造の決定により目的を達成できていた。しかし、近年の電池やエレクトロニクス分野などの材料は、目的の機能・物性の最大化のために、積極的に規則性を低下させた結晶性材料も多くなってきている。
従来は、結晶性材料の局所構造推定には回折ピークを計算するために、ユーザによる複雑なパラメータ設定が必要だった。そこで、複雑なパラメータの設定が不要な結晶性材料の局所構造推定法が求められている。
非特許文献1は、RMCPOW法を使った回折ピークの計算方法が開示されている。非特許文献2は、RMCProfile法を使った回折ピークの計算方法が開示されている。特許文献1は、測定値によるPDFを再現する結晶構造モデルと構造パラメータを導出する方法が開示されている。
A. Mellergard, R.L. McGreevy, Acta Crystallogr Acta Crystallogr. 55 (1999) 783-789. M.G. Tucker, M.T. Dove, D.A. Keen, J. Appl. Crystallogr. 34 (2001) 630-638.
特開2020-94945号公報
しかしながら、非特許文献1は、散乱ベクトルQの分解能関数をどのように設定するかは記載されておらず、処理がうまく進むパラメータをユーザが適切に設定する必要があった。また、非特許文献2は、プロファイル関数のパラメータを別途GSASをというソフトウェアを使って計算しなければならなかった。この操作はコンバーターを介さなければならず、通常のRietveld解析を実行することと同様の計算コストがかかっていた。
また、特許文献1記載の方法は、分解能関数や原子散乱因子などの波数依存性を有するパラメータについて、厳密な取り扱いをすることとしているため、種々のパラメータをユーザが設定する必要があり、計算コストがかかっていた。すなわち、非特許文献1、非特許文献2、および特許文献1の方法は、いずれもユーザが複雑で多くのパラメータを設定する必要があり、実測データを説明できる構造モデルを作成することが容易でなかった。また、計算コストがかかっていた。
本発明者らは、鋭意研究の結果、実測した全散乱データと構造モデルのデータを含む構造因子を計算することで、試料の局所構造を推定するときにユーザが設定するパラメータを簡易にすることができ、計算コストを低減できること、また、全散乱データと構造モデルの両方の特徴を併せて解析することができること、さらに、実測データを説明できる精度のよい構造モデルを作成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、全散乱データと構造モデルのデータを含む構造因子を計算する処理装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の処理装置は、構造因子を処理する処理装置であって、実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する構造因子取得部と、前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するデータ変換部と、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する散乱強度計算部と、を備えることを特徴としている。
(2)また、本発明の処理装置において、前記短距離相関と前記長距離相関の境界の値は、前記構造モデルの領域のサイズおよび形状に基づいて決定されることを特徴としている。
(3)また、本発明の処理装置は、前記第1の構造因子と前記第2の構造因子の一致度または乖離度を計算する構造評価部をさらに備えることを特徴としている。
(4)また、本発明の処理装置は、前記構造モデルを作成する構造推定部をさらに備え、前記構造評価部は、前記一致度または乖離度が所定の条件を満たす前記構造モデルを出力することを特徴としている。
(5)また、本発明の処理装置において、前記構造評価部は、前記短距離相関と前記長距離相関の境界の値に基づいて決定された下限値以上の範囲で前記第1の構造因子と前記第2の構造因子の前記一致度または乖離度を計算することを特徴としている。
(6)また、本発明の処理装置において、前記構造推定部は、RMC法により前記構造モデルを作成することを特徴としている。
(7)また、本発明の処理装置は、試料の全散乱データを取得し、前記全散乱データの線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数に基づいて前記第1の構造因子を算出する構造因子算出部をさらに備え、前記構造因子取得部は、前記構造因子算出部が算出した前記第1の構造因子を取得することを特徴としている。
(8)また、本発明のシステムは、X線を発生させるX線発生部と、X線を検出する検出器と、試料の回転を制御するゴニオメータと、を備えるX線回折装置と、上記(1)から(7)のいずれかに記載の処理装置と、を備えることを特徴としている。
(9)また、本発明の方法は、構造因子を処理する方法であって、実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する構造因子取得ステップと、前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するデータ変換ステップと、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する散乱強度計算ステップと、を含むことを特徴としている。
(10)また、本発明のプログラムは、構造因子を処理するプログラムであって、実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する処理と、前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離する処理と、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴としている。
第1の構造因子Fobs(Q)の一例を示すグラフである。 第1の構造因子Fobs(Q)、短距離相関F obs(Q)、および長距離相関F obs(Q)の一例を示すグラフである。 構造モデルの短距離散乱強度F cal(Q)の一例を示すグラフである。 第1の構造因子Sobs(Q)、第2の構造因子Scal(Q)、およびその残差の一例を示すグラフである。 出力された構造モデルの一例を示す模式図である。 X線回折測定のシステムの構成の一例を示す概念図である。 制御装置および処理装置の構成の一例を示すブロック図である。 制御装置および処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 制御装置および処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。 処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。 処理装置の動作の変形例を示すフローチャートである。 処理装置の動作の変形例を示すフローチャートである。 実測値、実施例、および比較例のPDFおよび残差を示すグラフである。 本発明の方法で作成した構造モデルから計算した変位量のヒストグラムである。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[原理]
試料の局所構造推定法として、RMC法(Reverse Monte Carlo)がある。RMC法は、与えられた構造モデルの原子配置を乱数を使って移動させ、実測値を再現する構造モデルを推定する方法である。RMC法による局所構造推定は、局所構造を推定する材料の結晶相が分かっていること、および回折ピークの幅を決めるパラメータの値が分かっていることが前提となっており、回折ピークを計算するためのパラメータやQの分解能関数はユーザが毎回設定しなければいけなかった。
また、構造モデルから回折ピークを計算するためには、構造モデルから全散乱データを計算する必要があり、コンピュータのメモリやCPU等の能力、計算時間等の計算コストがかかっていた。
本発明の方法は、構造モデルから直接回折ピークを計算しないため、回折ピークを計算するためのパラメータや散乱ベクトルQの分解能関数をユーザが設定する必要がない。また、構造モデルから計算するものは短距離散乱データだけであるため、長距離相関を含む全散乱データを計算する必要がなく、計算コストを低減することができる。
本発明の方法は、まず、実測した全散乱データを取得し、第1の構造因子を作成する。全散乱データは、例えば、X線による全散乱データ、放射光による全散乱データ、中性子線や電子線等の粒子線による全散乱データを使用することができる。構造因子は物質中の電子密度分布(または核密度分布)の空間相関のフーリエ変換として定義され、弾性散乱または干渉性散乱強度を求める際に用いられる値である。第1の構造因子とは、実測した全散乱データから作成した構造因子である。次に、第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離する。短距離相関および長距離相関とは、構造因子をフーリエ変換して得られた実空間上の相関関数を所定の境界の値で分離したものである。よって、短距離相関と長距離相関の境界の値は、距離の次元の値である。
次に、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを作成、取得し、構造モデルの短距離散乱強度を計算する。構造モデルとは、有限領域内の原子配列を示すデータであり、例えば、立方体、直方体、または平行六面体内の有限個の原子の配列を示す。短距離散乱強度とは、有限領域内の原子配列から計算される散乱強度である。構造モデルから実測の全散乱データを再現するためには、長距離相関を含めた計算が必要となるため、大きな構造モデルが必要である。一方、短距離散乱強度は長距離相関を含まないため、小さな構造モデルでも計算が可能である。構造モデルの大きさと計算コストは相関関係があるので、短距離散乱強度を計算するための計算コストは実測の全散乱データを計算するための計算コストよりも小さくなる。すなわち、本発明は、従来の技術よりも計算コストを低減できる。
次に、構造モデルの短距離散乱強度と第1の構造因子の長距離相関から全散乱データと構造モデルのデータを含む第2の構造因子を計算する。第2の構造因子とは、実測した全散乱データと構造モデルのデータの両方を含む構造因子である。次に、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算する。第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度とは、第1の構造因子と第2の構造因子の近さの度合いを示す指標である。そして、一致度または乖離度が所定の条件を満たさない場合、構造モデルを再度作成して、第2の構造因子を計算する。一致度または乖離度が所定の条件を満たす場合、処理を終了する。
上記のように計算した第2の構造因子は、実測した全散乱データと構造モデルのデータの両方を含むため、これを解析することで、与えられた構造モデルが実測した全散乱データをどの程度再現しているかを確かめることができる。また、一致度または乖離度が所定の条件を満たす構造モデルは、実測データを説明できる精度のよい構造モデルであるといえる。本発明の詳しい処理方法は、実施形態で詳述する。
[実施形態]
以下で、本発明の処理方法を詳細に説明する。以下では、X線回折装置で測定された全散乱データに基づく第1の構造因子を処理し、全散乱データと構造モデルのデータを含む第2の構造因子を計算する方法、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算する方法、および一致度または乖離度が所定の閾値以下となる構造モデルを出力する方法を説明する。しかし、本発明を適用できる全散乱データは、X線回折装置で測定した全散乱データに限られず、これに類似するプローブで測定された全散乱データに適用できる。具体的には、例えば、放射光による全散乱データや、中性子線、電子線等の粒子線による全散乱データに対して適用することができる。また、本発明は、必ずしも全散乱データを取得する必要はなく、全散乱データから算出された第1の構造因子を最初のデータとしてもよい。
最初に、X線回折装置で測定された全散乱データを取得する。全散乱データを最初のデータとする場合、全散乱データの線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数等、全散乱データに基づいて構造因子を算出するために必要な情報も取得することが好ましい。これらの情報は、あらかじめ記憶されたものであってもよいし、X線回折装置から取得したものであってもよい。また、ユーザに入力されたものでもよい。
次に、全散乱データに基づいて第1の構造因子Fobs(Q)を算出する。第1の構造因子Fobs(Q)の算出は、全散乱データの線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数等に基づいて算出することが好ましい。図1は、第1の構造因子Fobs(Q)の一例を示すグラフである。
次に、第1の構造因子Fobs(Q)を、短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)に分離する。第1の構造因子Fobs(Q)は、短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)を用いて以下の数式(1)のように表される。図2は、第1の構造因子Fobs(Q)と、短距離相関F obs(Q)、および長距離相関F obs(Q)の一例を示すグラフである。図2の短距離相関F obs(Q)および長距離相関F obs(Q)は、図1の第1の構造因子Fobs(Q)を分離したグラフを示している。
Figure 2024051504000002
短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値は、構造モデルの領域のサイズおよび形状に基づいて決定されることが好ましい。例えば、構造モデルに含まれる最大の球の半径をrmaxとしたとき、rmaxを短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値とすることが好ましい。以下では、rmaxを短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値とするが、他の値を用いることもできる。
第1の構造因子Fobs(Q)を短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)へ分離する方法は、どのような方法を用いてもよい。例えば、第1の構造因子Fobs(Q)をフーリエ変換したPDF(Pair Distribution Function)Gobs(r)を算出して、Gobs(r)を用いて行うことが簡便で好ましい。Gobs(r)の算出は、第1の構造因子Fobs(Q)の最小値Qminおよび最大値Qmaxを取得し、以下の数式(2)により行う。QminおよびQmaxは、第1の構造因子Fobs(Q)を算出する際に付随するものである。QminおよびQmaxは、ユーザに入力されたものでもよい。
Figure 2024051504000003
以下の数式(3)のように、Gobs(r)を逆変換することで第1の構造因子Fobs(Q)となる。そのため、短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値をrmaxとすると、第1の構造因子Fobs(Q)は、以下の数式(4)のように分離することができる。
Figure 2024051504000004
Figure 2024051504000005
したがって、第1の構造因子Fobs(Q)の分離をGobs(r)を用いて行う場合、例えば、短距離相関F obs(Q)を以下の数式(5)により定義することができる。また、数式(5)により求めた短距離相関F obs(Q)を用いて、以下の数式(6)により、長距離相関F obs(Q)を求めることができる。
Figure 2024051504000006
Figure 2024051504000007
次に、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、構造モデルの短距離散乱強度F cal(Q)を計算する。構造モデルは、試料に応じて、例えば、立方体、直方体、または平行六面体内の有限個の原子の配列を示すデータとして与えることができる。構造モデルの短距離散乱強度F cal(Q)の計算は、例えば、以下の数式(7)により行うことができる。なお、数式(7)において、Nは構造モデル内の原子の個数である。rijは、構造モデルの原子配列n(x,y,z)に対して、i番目の原子配列をn(x,y,z)、j番目の原子配列をn(x,y,z)として、数式(8)で定義される。fおよびfは、それぞれi番目とj番目の原子散乱因子である。Qは、散乱ベクトルである。図3は、構造モデルの短距離散乱強度F cal(Q)の一例を示すグラフである。
Figure 2024051504000008
Figure 2024051504000009
そして、構造モデルの短距離散乱強度F cal(Q)と第1の構造因子の長距離相関F obs(Q)から全散乱データと構造モデルのデータを含む第2の構造因子Fcal(Q)を計算する。第2の構造因子Fcal(Q)の計算は、例えば、以下の数式(9)により行うことができる。これにより、第2の構造因子Fcal(Q)を用いて全散乱データと構造モデルの両方の特徴を併せて解析することができる。また、第2の構造因子の用途によっては、第2の構造因子をScal(Q)として計算してもよい。第2の構造因子Scal(Q)の計算は、例えば、以下の数式(10)により行うことができる。
Figure 2024051504000010
Figure 2024051504000011
与えられた構造モデルが実測された全散乱データをどの程度再現しているかを確かめるためには、第1の構造因子Fobs(Q)と第2の構造因子Fcal(Q)の一致度または乖離度を計算することが好ましい。一致度または乖離度の計算は、第1の構造因子Fobs(Q)と第2の構造因子Fcal(Q)を含み、近さの度合いを示す値であればどのようなものであってもよい。一致度は、値が大きい方が近さの度合いが大きい。乖離度は、値が小さい方が近さの度合いが大きい。乖離度は、例えば、以下の数式(11)のRP,S(Q)により計算することができる。数式(11)内のwは重み係数であり、例えばw=1/Nを使う。また、Sobs(Q)=Fobs(Q)+1、Scal(Q)=Fcal(Q)+1である。数式(11)のように、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度の計算は、Sobs(Q)やScal(Q)を使用してもよい。図4は、第1の構造因子Sobs(Q)、第2の構造因子Scal(Q)、およびその残差の一例を示すグラフである。一致度または乖離度を計算する数式は、数式(11)に限られない。
Figure 2024051504000012
第1の構造因子Fobs(Q)と第2の構造因子Fcal(Q)の一致度または乖離度を計算する場合、短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値に基づいて決定された下限値以上の範囲で一致度または乖離度の計算をすることが好ましい。実測した第1の構造因子Fobs(Q)からGobs(r)への計算は、上記数式(2)により行うことができるが、これは、以下の数式(12)、数式(13)を合わせたものである。α(Q)はステップ関数であり、第1の構造因子Fobs(Q)の短距離側および長距離側のデータをカットオフする関数の一例である。
Figure 2024051504000013
Figure 2024051504000014
PDF Gobs(r)から逆変換した第1の構造因子Fobs(Q)は、ステップ関数の影響が現れる。Qminの打切り誤差の影響はGobs(r)の境界の値(上記の数式(4)では、rmax)に関係しており、QminのQの分解能ΔQ’はrmaxを使うと、以下の数式(14)のように表される。
Figure 2024051504000015
したがって、逆変換した第1の構造因子Fobs(Q)のQminの次の測定点Q’を以下の数式(15)のように定めることで、打切り誤差による影響を十分に低減することができる。すなわち、短距離相関F obs(Q)と長距離相関F obs(Q)の境界の値に基づいて決定された下限値をQ’として、Q’以上の所定の範囲で一致度または乖離度の計算をすることが好ましい。なお、Qminは実測したQの下限値としてもよい。
Figure 2024051504000016
以下では、本発明の方法を用いて、より適切な構造モデルを作成する場合について説明する。構造モデルは、何らかの方法で繰り返し作成できるとする。一致度または乖離度に基づいて構造モデルを繰り返し作成し、一致度または乖離度が所定の条件を満たす構造モデルを出力することが好ましい。図5は、出力された構造モデルの一例を示す模式図である。例えば、数式(11)の乖離度を用いる場合、乖離度の値が5%以下となることを所定の条件として採用することができる。
構造モデルを繰り返し作成する場合、構造モデルを作成する方法はどのような方法であってもよいが、例えば、RMC法により作成することが好ましい。RMC法は、広い探索空間をもち、大域的極小解が得られるため、複雑な最適化問題の解法として有効だからである。そのため、本発明にRMC法を適用すると、実測した散乱データを再現する構造モデルが得られる可能性が高くなる。RMC法では、構造モデルの原子配列をランダムに移動させ、操作後の一致度または乖離度が操作前の一致度または乖離度よりも良い(近さの度合いが大きい)場合、その原子配列を元にさらにランダムな移動を行う。一方、操作後の一致度または乖離度が操作前の一致度または乖離度よりも良くない(近さの度合いが大きくない)場合、操作を取り消して、操作前の原子配列から再度ランダムな移動を行う。このような操作を、一致度または乖離度が所定の条件を満たすまで行う。なお、構造モデルを作成する方法は、MD法(Molecular Dynamics method)やMC法(Monte Carlo method)であってもよい。
このようにして、実測された全散乱データを十分な精度で再現する構造モデルを作成することができる。
[全体のシステム]
図6は、X線回折測定のシステム100の構成の一例を示す概念図である。システム100は、X線回折装置200、制御装置300、および処理装置400を有している。X線回折装置200は、X線を試料に入射させ、試料から生じた回折X線を検出する光学系を構成し、光学系にはゴニオメータを有する。なお、図6に示す構成は一例であり、その他様々な構成が採られうる。
制御装置300は、X線回折装置200に接続され、X線回折装置200の制御および取得されたデータの処理、記憶を行う。処理装置400は、構造因子の処理を行う。制御装置300および処理装置400は、CPUおよびメモリを備える装置であり、PC端末であってもよいし、クラウド上のサーバであってもよい。また、全体の装置だけでなく、一部の装置や装置内の一部の機能がクラウド上に設けられてもよい。入力装置510は、例えばキーボード、マウスであり、制御装置300や処理装置400への入力を行う。表示装置520は、例えばディスプレイであり、構造因子、PDF、構造モデルなどを表示する。
このようなシステム100を使用することにより、全散乱データを測定し、全散乱データから算出された構造因子を処理することができる。また、構造モデルを作成し、全散乱データと構造モデルのデータを含む第2の構造因子を計算することができる。その結果、試料の局所構造を推定することができる。
なお、図6では、制御装置300と処理装置400を同一のPCとして記載している。しかし、上記の説明のように、本発明の方法は、X線回折装置200や制御装置300とは無関係に、全散乱データまたは構造因子を取得して、処理を行うことができる。そのため、図7のように、処理装置400は、制御装置300とは異なる装置として構成されていてもよい。図7は、制御装置300および処理装置400の構成の一例を示すブロック図である。また、図8のように、処理装置400は制御装置300に含まれる一部の機能として構成されてもよい。また、図9のように、処理装置400と制御装置300は一体的な装置として構成されてもよい。図8および図9は、制御装置300および処理装置400の構成の変形例を示すブロック図である。以下では、制御装置300と処理装置400は異なる装置として構成されている場合を説明する。
[X線回折装置]
X線回折装置200は、X線焦点すなわちX線源からX線を発生するX線発生部210と、入射側光学ユニット220と、ゴニオメータ230と、試料を設置する試料台240と、出射側光学ユニット250と、X線を検出する検出器260と、を含んで構成される。X線回折装置200を構成するX線発生部210、入射側光学ユニット220、ゴニオメータ230、試料台240、出射側光学ユニット250、および検出器260は一般的なものであればよいので、説明は省略する。
[制御装置]
制御装置300は、CPU(Central Processing Unit/中央演算処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メモリをバスに接続してなるコンピュータによって構成されている。制御装置300は、X線回折装置200に接続され情報を受け取る。
制御装置300は、制御部310、装置情報記憶部320、測定データ記憶部330、および表示部340を備える。各部は、制御バスLにより情報を送受できる。入力装置510および表示装置520は適宜のインターフェースを介してCPUに接続されている。
制御部310は、X線回折装置200の動作を制御する。装置情報記憶部320は、X線回折装置200から取得した装置情報を記憶する。装置情報には、装置名、線源の種類、波長、バックグラウンド等のX線回折装置200に関する情報が含まれる。その他、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数等、全散乱データに基づいて構造因子を算出するために必要な情報が含まれてもよい。
測定データ記憶部330は、X線回折装置200から取得した測定データを記憶する。測定データには、全散乱データが含まれる。全散乱データと合わせて、線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数等、全散乱データに基づいて構造因子を算出するために必要な情報が含まれてもよい。なお、バックグラウンドが低い場合は、構造因子を算出するために必要な情報に、バックグラウンドを含めなくてもよい。表示部340は、測定データを表示装置520に表示させる。これにより、測定データをユーザが確認することができる。また、ユーザが測定データに基づいて制御装置300、処理装置400等に指示、指定をすることができる。
[処理装置]
処理装置400は、CPU、ROM、RAM、メモリをバスに接続してなるコンピュータによって構成されている。処理装置400は、制御装置300を介してX線回折装置200に接続されてもよい。
処理装置400は、構造因子取得部410、データ変換部420、および散乱強度計算部430を備える。各部は、制御バスLにより情報を送受できる。処理装置400と制御装置300が別の構成である場合、入力装置510および表示装置520は適宜のインターフェースを介して処理装置400のCPUにも接続されている。この場合、入力装置510および表示装置520は、制御装置300に接続されるものとは異なっていてもよい。
構造因子取得部410は、実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する。構造因子取得部410は、X線回折装置200が実測した全散乱データに基づいて別の機器が算出した第1の構造因子を取得してもよい。構造因子取得部410は、実測した全散乱データに基づいて、後述する構造因子算出部405が算出した第1の構造因子を取得してもよい。
データ変換部420は、第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離する。データ変換部420は、構造因子取得部410が取得した第1の構造因子からPDF(Pair Distribution Function)を算出し、PDFを用いて第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離することが好ましい。データ変換部420は、PDFを用いない方法で第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離してもよい。
データ変換部420が第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するときの短距離相関と長距離相関の境界の値は、構造モデルの領域のサイズおよび形状に基づいて決定されることが好ましい。
散乱強度計算部430は、有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、構造モデルの短距離散乱強度を計算する。散乱強度計算部430は、短距離散乱強度と長距離相関から第2の構造因子を計算する。散乱強度計算部430は、別の機器が作成した構造モデルを取得してもよい。散乱強度計算部430は、後述する構造推定部450が作成した構造モデルを取得してもよい。
図10は、処理装置400の構成の変形例を示すブロック図である。図10に示されるように、処理装置400は、構造評価部440を備えていることが好ましい。構造評価部440は、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算する。これにより、構造モデルが実測された全散乱データをどの程度再現しているかを確かめることができる。
構造評価部440は、短距離相関と長距離相関の境界の値に基づいて決定された下限値以上の範囲で第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算することが好ましい。
図11は、処理装置400の構成の変形例を示すブロック図である。図11に示されるように、処理装置400は、構造推定部450を備えていることが好ましい。構造推定部450は、構造モデルを作成する。構造推定部450は、構造モデルのサイズ、形状、原子配列等に基づいて、計算領域を確保し、構造モデルを作成することが好ましい。構造モデルのサイズ、形状、初期の原子配列等は、ユーザが指定する構成としてもよい。処理装置400が構造推定部450を備える場合、構造評価部440は、一致度または乖離度が所定の条件を満たす構造モデルを出力することが好ましい。
構造推定部450は、RMC法により構造モデルを作成することが好ましい。
図12および図13は、処理装置400の構成の変形例を示すブロック図である。図12または図13に示されるように、処理装置400は、構造因子算出部405を備えていることが好ましい。構造因子算出部405は、試料の全散乱データを取得し、全散乱データの線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数に基づいて第1の構造因子を算出する。なお、バックグラウンドが低い場合は、これを使用しないで第1の構造因子を算出してもよい。処理装置400が構造因子算出部405を備える場合、構造因子取得部410は、構造因子算出部405が算出した第1の構造因子を取得する。図10のブロック図で、さらに構造因子算出部405が備えられていてもよい。
[測定方法]
X線回折装置200に試料Sを設置し、制御装置300の制御に基づいて、所定の条件でゴニオメータを駆動させる。また、X線を試料に入射させ、試料から生じた回折X線を検出する。これにより、回折データを取得する。X線回折装置200は、装置情報等および取得された回折データを測定データとして制御装置300に送信する。
[処理方法]
(第2の構造因子を計算するまでのフローの説明)
図14は、処理装置400の動作の一例を示すフローチャートである。図14は、第2の構造因子を計算するまでの動作の一例を示している。まず、処理装置400は、第1の構造因子を取得する(ステップS1)。次に、第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離する(ステップS2)。次に、構造モデルを取得する(ステップS3)。次に、構造モデルの短距離散乱強度を計算する(ステップS4)。そして、短距離散乱強度と長距離相関から第2の構造因子を計算(ステップS5)して、終了する。必要に応じて、第2の構造因子や構造モデルを出力してもよい。このようにして、全散乱データと構造モデルのデータを含む第2の構造因子を計算することができ、第2の構造因子を用いて全散乱データと構造モデルの両方の特徴を併せて解析することができる。
(第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算するまでのフローの説明)
図15は、処理装置400の動作の変形例を示すフローチャートである。図15は、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算するまでの動作の一例を示している。以降のフローチャートの説明では、特徴的な動作を詳細に説明し、すでに説明した動作の説明は省略する場合がある。第1の構造因子の取得(ステップT1)から第2の構造因子の計算(ステップT5)までは、上記のステップS1からステップS5と同様である。そして、処理装置400は、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を計算(ステップT6)して、終了する。必要に応じて、第2の構造因子や構造モデル、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を出力してもよい。これにより、構造モデルが実測された全散乱データをどの程度再現しているかを確かめることができる。
(条件を満たす構造モデルを出力するまでのフローの説明)
図16は、処理装置400の動作の変形例を示すフローチャートである。図16は、条件を満たす構造モデルを出力するまでの動作の一例を示している。第1の構造因子の取得(ステップU1)、第1の構造因子の分離(ステップU2)は、上記のステップと同様である。次に、構造モデルを作成する(ステップU3)。構造モデルは、処理装置400が作成してもよいし、他の装置または機能により作成されたものを使用してもよい。
構造モデルの取得(ステップU4)から第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度の計算(ステップU7)までは、上記のステップと同様である。次に、処理装置400は、一致度または乖離度が設定した所定の条件を満たすかどうかを判断し、所定の条件を満たさない場合(ステップU8-NO)、ステップU3に戻り、ステップU7までの処理を再び行う。一方、一致度または乖離度が設定した所定の条件を満たす場合(ステップU8-YES)、構造モデルを出力(ステップU9)して、終了する。必要に応じて、第2の構造因子、第1の構造因子と第2の構造因子の一致度または乖離度を出力してもよい。これにより、所定の条件を満たす構造モデルを作成し、出力することができる。
なお、上記のフローチャートでは、いずれも第1の構造因子を最初のデータとして、第1の構造因子を取得するステップから始めているが、全散乱データを最初のデータとして、第1の構造因子を取得するステップの前に全散乱データを取得するステップと全散乱データから第1の構造因子を作成するステップを含んでいてもよい。
[実施例]
上記のように構成されたシステム100を用いて、Niの全散乱データを測定した。これを用いて、第1の構造因子およびPDFを算出した。次に、本発明の方法を用いて、第1の構造因子と第2の構造因子の乖離度が十分に小さくなるまで、RMC法により構造モデルの作成を繰り返した。次に、乖離度が所定の条件を満たしたときの第2の構造因子からPDFを作成した。そして、第1の構造因子から作成したPDFと第2の構造因子から作成したPDFの乖離度を確かめた。乖離度は、以下の数式(16)に示されるRP,G(r)を用いて確かめた。数式(16)内のwは重み係数であり、例えばw=1/Nを使う。また、Gobs(r)は第1の構造因子から作成したPDFを、Gcal(r)は構造モデルのデータを含む構造因子から作成したPDFを示す。なお、乖離度RP,G(r)は、値が小さいほど2つのPDFの近さの度合いが大きくなる指標である。
Figure 2024051504000017
また、比較例として、第1の構造因子から従来法であるPDFguiで構造モデルを作成し、それを用いて構造因子およびPDFを作成した。そして、第1の構造因子から作成したPDFとPDFguiで作成したPDFの乖離度RP,G(r)を確かめた。
図17は、実測値である第1の構造因子から作成したPDF、本発明の方法で作成した第2の構造因子から作成したPDF、および比較例の方法で作成したPDFと、それぞれの残差を示すグラフである。なお、Obsが第1の構造因子から作成したPDFを、RMCが本発明の方法で作成したPDFを、PDFguiが比較例の方法で作成したPDFを示している。
本発明の方法で作成したPDFの乖離度RP,G(r)の値は6.55%であった。一方、比較例の方法で作成したPDFの乖離度RP,G(r)の値は8.20%であった。これにより、本発明の方法は、比較例の方法よりも実測したデータに基づくPDFに近いPDFが作成できることが確かめられた。また、本発明の方法で作成した構造モデルは、比較例の方法で作成した構造モデルよりも実測データを説明できる精度のよい構造モデルであることが確かめられた。
また、本発明の方法およびRietveld解析で精密化する前後のNiの原子配置から計算した変位量のヒストグラムおよびその標準偏差を確認した。図18は、本発明の方法で作成した構造モデルから計算した変位量のヒストグラムである。変位量の標準偏差は、本発明の方法で求めた場合は0.0920Åであるのに対し、Rietveld解析で求めた場合は0.0756Åであった。これにより、本発明の方法で作成した構造モデルから計算した変位量は、Rietveld解析と同程度であることが確かめられた。
以上の結果により、本発明の処理装置、システム、方法およびプログラムは、試料の局所構造を推定するときにユーザが設定するパラメータを簡易にすることができ、計算コストを低減できる。また、全散乱データと構造モデルの両方の特徴を併せて解析することができる。さらに、実測データを説明できる精度のよい構造モデルを作成できる。
本発明は、上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。本発明の範囲は、本発明の技術的思想に含まれる様々な変形および均等物に及ぶ。また、各図面に示された構成要素の名称、構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
100 システム
200 X線回折装置
210 X線発生部
220 入射側光学ユニット
230 ゴニオメータ
240 試料台
250 出射側光学ユニット
260 検出器
300 制御装置
310 制御部
320 装置情報記憶部
330 測定データ記憶部
340 表示部
400 処理装置
405 構造因子算出部
410 構造因子取得部
420 データ変換部
430 散乱強度計算部
440 構造評価部
450 構造推定部
510 入力装置
520 表示装置

Claims (10)

  1. 構造因子を処理する処理装置であって、
    実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する構造因子取得部と、
    前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するデータ変換部と、
    有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する散乱強度計算部と、を備えることを特徴とする処理装置。
  2. 前記短距離相関と前記長距離相関の境界の値は、前記構造モデルの領域のサイズおよび形状に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  3. 前記第1の構造因子と前記第2の構造因子の一致度または乖離度を計算する構造評価部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  4. 前記構造モデルを作成する構造推定部をさらに備え、
    前記構造評価部は、前記一致度または乖離度が所定の条件を満たす前記構造モデルを出力することを特徴とする請求項3記載の処理装置。
  5. 前記構造評価部は、前記短距離相関と前記長距離相関の境界の値に基づいて決定された下限値以上の範囲で前記第1の構造因子と前記第2の構造因子の前記一致度または乖離度を計算することを特徴とする請求項3記載の処理装置。
  6. 前記構造推定部は、RMC法により前記構造モデルを作成することを特徴とする請求項4記載の処理装置。
  7. 試料の全散乱データを取得し、前記全散乱データの線源の種類、波長、バックグラウンド、試料の形状、配置、構成元素の種類、組成、および吸収係数に基づいて前記第1の構造因子を算出する構造因子算出部をさらに備え、
    前記構造因子取得部は、前記構造因子算出部が算出した前記第1の構造因子を取得することを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  8. X線を発生させるX線発生部と、X線を検出する検出器と、試料の回転を制御するゴニオメータと、を備えるX線回折装置と、
    請求項1から請求項7のいずれかに記載の処理装置と、を備えることを特徴とするシステム。
  9. 構造因子を処理する方法であって、
    実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する構造因子取得ステップと、
    前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離するデータ変換ステップと、
    有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する散乱強度計算ステップと、を含むことを特徴とする方法。
  10. 構造因子を処理するプログラムであって、
    実測した全散乱データに基づく第1の構造因子を取得する処理と、
    前記第1の構造因子を短距離相関と長距離相関に分離する処理と、
    有限領域内の原子配列を示す構造モデルを取得し、前記構造モデルの短距離散乱強度を計算し、前記短距離散乱強度と前記長距離相関から第2の構造因子を計算する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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