JP2024050498A - ハウジングを形成する方法及びシェルハウジングとロータリーピストンエンジン用のハウジング - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、ロータリーピストンエンジン用のハウジング（１）を形成する方法及びシェルハウジング（３）とロータリーピストンエンジン用のハウジング（１）に関する。【解決手段】硬質金属からなるブッシュが、トロコイド軌道面を備えたシェルハウジング本体（３０）内へ、次のように、すなわちブッシュ（３１）の外周輪郭がトロコイド軌道面を封止するように当接し、かつトロコイド軌道面がブッシュ（３１）によって覆われるように、圧入される。【選択図】図２

Description

本発明は、ロータリーピストンエンジン用のハウジングを形成する方法及びシェルハウジングとロータリーピストンエンジン用のハウジングに関する。

本出願の文脈でロータリーピストンエンジン（ドイツ語Ｋｒｅｉｓｋｏｌｂｅｎｍｏｔｏｒ、略してＫＫＭ）と呼ばれるのは、８の字状のシェルハウジング内で回転する、湾曲した三角形のロータ（略してロータ又はロータリーピストン又はピストンとも呼ばれる）から成る、ワンケルデザインのロータリーピストンエンジンである。シェルハウジングの輪郭は少なくとも実質的にエピトロコイドの形状を有する。シェルハウジングはトロコイドハウジングとも称される。

ロータリーピストンエンジンのためのハウジングは、通常、さらに、シェルハウジングの両側に配置された２つの側方部品を有している。回転中に、ロータは偏心軸を駆動し、同時にロータはその偏心軸上に軸承されている。偏心軸の中心軸線は、シェルハウジングの中心軸線上に位置する。ロータの尖端又はピストンコーナ部に封止ストリップが配置されており、それは可能な限り永続的にシェルハウジングの壁に接触するので、交互に３つの独立した作動室が形成され、ロータが回転する場合にその作動室内で４ストロークプロセスが遂行される。

この種のロータリーピストンエンジンにおいては、重量の理由から、シェルハウジングをアルミニウムから形成することが知られている。アルミニウムからなるトロコイドハウジングの軌道面における摩耗を減少させるために、軌道面に耐摩耗性の表面コーティングを設けることが知られている。特に、ニッケル分散コーティング（例えば、Ｎｉｋａｓｉｌ（商標登録））で被覆することが知られている。

本発明の課題は、シェルハウジングとロータとの間の密閉性に対する高い要請を満足させ、かつ充分な耐摩耗性を有する、ロータリーピストンエンジン用のハウジングを形成する、コスト的に好ましい方法を提供することである。他の課題は、コスト的に好ましい、連続生産可能なシェルハウジング及びロータリーピストンエンジン用のハウジングを提供することである。

第１の態様によれば、トロコイド軌道面を備えたシェルハウジング本体を有する、ロータリーピストンエンジン用のハウジングを形成する方法が提供され、硬質金属からなるブッシュを、シェルハウジング本体内へ、次のように、すなわち外周輪郭がブッシュによって覆われたトロコイド軌道面を封止するように、圧入する。

シェルハウジング本体のロータに面する壁は、本明細書ではトロコイド軌道面と呼ばれる。使用中にロータに固定された封止ストリップが接触する実際の軌道面は、ブッシュの表面によって形成される。

実施形態において、シェルハウジング本体は鋳造で形成される。圧入される硬質金属からなるブッシュは、圧入ブッシュとも称される。圧入ブッシュは、１つの形態において、ステンレス鋼又は工具鋼から形成されている。例えば、圧入ブッシュは、Ｈ１３工具鋼又は１．２７０９工具鋼から形成されている。これらの工具鋼は、高い温度においても、高い耐摩耗性を特徴としている。しかし、本発明はこれらの工具鋼の使用に限定されない。具体的な用途に応じて、ブッシュの材質は当業者によって適切な方法で選択可能であり、特に、関連するロータリーピストンエンジンが運転される燃料に応じて選択可能である。

ブッシュにより、表面コーティングを省略することができる。

１つの形態において、ブッシュは、楕円形の周輪郭を備えた初期形状を有しており、圧入の際にブッシュに力が加わるので、ブッシュは、弾性変形して、外周輪郭がトロコイド軌道面を封止するように当接する。これは、連続生産においてブッシュをコスト的に好ましく形成することができ、及び／又はコスト的に好ましい標準構成部品を使用することができる。本発明は、ブッシュがトロコイド軌道面に接触するためには、ブッシングの弾性変形が必要であるが、トロコイド軌道面に対するブッシュの弾性変形は、ロータ用軌道面としてのブッシュの特性に大きな影響を与えないという驚くべき発見を利用している。ブッシュは、１つの形態において、打ち抜かれたシート部品又はストリップ金属部品から形成され、それが楕円形に変形されて、溶接される。他の形態においては、ブッシュは、深絞り加工又は衝撃押し出し加工によって形成される。圧入する際にブッシュは弾性変形されるので、ブッシュがトロコイド軌道面に接触する。ブッシュの初期形状と称されるのは、圧入する前のブッシュの形状である。初期形状は、諸形態において説明したように、成形と溶接によって形成された中間製品の形状である。

ブッシュは、シェルハウジング本体と材料結合で結合されていない。したがってブッシュが摩耗した場合に、ブッシュは、シェルハウジング本体から取り外され、シェルハウジング本体を交換することなく、交換される。１つの形態において、特に再利用されるハウジングを形成する方法も提供され、その場合に圧入されたブッシュが取り外されて、他のブッシュと交換される。更に、１つの形態において、ブッシュの取り外しと交換とによって、付属のロータリーピストンエンジンを種々の燃料に適合させることができる。

１つの形態において、シェルハウジング本体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、かつアルミニウムダイカスト法で形成される。最近のアルミニウムダイカスト法は、シェルハウジング本体を正確に成形することができるので、ブッシュの圧入後にシェルハウジング本体とブッシュとの確実な結合が保証されている。それぞれ形態に応じて、シェルハウジング本体は、入口及び／又は出口及び／又は冷却用の通路構造のための接続端を有している。１つの形態において、シェルハウジング本体は、いくつかに分かれて形成されており、他の諸形態においては、一体的なシェルハウジング本体が設けられている。

１つの形態において、形成されたハウジングは、さらに、シェルハウジングの両側に配置された２つの側方部品を有しており、側方部品とシェルハウジングとの間にそれぞれ硬質金属からなるスライドプレートが設けられている。スライドプレートとブッシュは、諸形態において、均一な材料から形成されている。他の諸形態においては、スライドプレートとブッシュは同じ材料から形成されている。１つの形態において、２つの側方部品はエンドプレートとして形成されている。他の諸形態において、ハウジングは複数のロータのための複数のシェルハウジングを有しており、少なくとも１つの側方部品が、２つのシェルハウジングの間の中間プレートとして形成されている。１つの形態において、スライドプレートは、ブッシュの端部に接触するので、ブッシュとスライドプレートは使用中にロータリーピストンエンジンの作動室のための封止結合部を形成する。

第２の態様によれば、トロコイド軌道面を備えたシェルハウジング本体を有する、ロータリーピストンエンジン用のシェルハウジングが提供され、硬質金属からなるブッシュが、シェルハウジング本体内へ、次のように、すなわち外周輪郭がトロコイド軌道面を封止し、かつトロコイド軌道面がブッシュによって覆われるように、圧入されている。

それによって、表面コーティングを省くことができるシェルハウジングが形成される。

１つの形態において、ブッシュが楕円形の周輪郭を備えた初期形状を有しており、かつブッシュはトロコイド軌道面を封止して接触するために弾性変形される。

１つの形態において、ブッシュはシェルハウジング本体を破壊せずに交換可能にシェルハウジング本体内に収容される。ブッシュが摩耗した場合には、ブッシュはシェルハウジング本体から取り外され、他のブッシュに交換することができ、又は改修後に再び取りつけることができる。

シェルハウジング本体は、諸形態において、軽金属から、特にアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。

第３の態様によれば、シェルハウジング、側方部品及び硬質金属からなるスライドプレートを有する、ロータリーピストンエンジン用のハウジングが形成され、スライドプレートは側方部品とシェルハウジングとの間に配置されている。

本出願との関連において、「１つの」などという概念は、未定の物品として使用され、かつ数詞としては使用されない。特に諸形態において、シェルハウジングの両側に配置されている、２つの側方部品が設けられている。

側方部品とシェルハウジングは、諸形態において、互いに向き合った平坦な表面を有し、その表面にスライドプレートが支承される。これらのスライドプレートは、使用中にロータリーピストンエンジンの作動室の、かつオイル循環の、確実な封止を許容し、かつそのようにしてロータリーピストンエンジンの耐久性を延長する。

ブッシュ及び２つのスライドプレートの取り外しと交換とによって、付属のロータリーピストンエンジンを種々の燃料に適合させることができる。それによって、それぞれ必要に応じてガソリン、ディーゼル、水素又は他の燃料によって駆動可能な、マルチ燃料エンジンのためのハウジングが提供される。

スライドプレートのための材料と材料厚みは、それぞれ適用場合に応じて、当業者によって適切に選択可能である。スライドプレートは、１つの形態において、約０．８ｍｍから約２．４ｍｍの材料厚みを有している。

本発明の他の利点と態様が、特許請求の範囲から、そして実施例の説明から明らかにされ、その実施例について以下で図を用いて詳細に説明する。その場合に表示は、図式的なものである。

図１は、シェルハウジング、２つの側方部品及び２つのスライドプレートを有する、ロータリーピストンエンジンのハウジングを側面図で示している。 図２は、図１に示すシェルハウジングとその中に収容されたロータを、正面の斜視図で示している。

図１は、シェルハウジング３と、２つの側方部品４と、シェルハウジング３と側方部品４の間に配置されている２つのスライドプレート５とを有する、ロータリーピストンエンジンのハウジングを側面図で示している。側方部品４とシェルハウジング３は、図示される実施例において、互いに向き合った平坦な表面を有し、これらの表面にそれぞれスライドプレート５が接触するように設けられている。

図２は、シェルハウジング３とその中に収容されたロータ２を図式的に示している。

図２に示すロータ２は、図示されない偏心軸を駆動して、図示される中心軸線Ａを中心に回転する。

図２において認識できるように、シェルハウジング３は、トロコロイド軌道面を備えたシェルハウジング本体３０と、硬質金属からなるブッシュ３１を有している。ブッシュ３１は、シェルハウジング本体３０内に、次のように、すなわちブッシュ３１の外周輪郭がトロコロイド軌道面を封止するように、かつトロコロイド軌道面がブッシュによって覆われるように、圧入されている。

ブッシュ３１は、図１に示すスライドプレート５を有する形態において、封止結合部を形成する。

ブッシュ３１の表面を封止するように設けられ、かつロータ２が移動する場合にブッシュ３１の表面に沿って移動する、封止ストリップ２１が、ロータ２のピストンコーナ部２０に設けられている。更に、ロータ２の表面に彎曲ストリップ２２が設けられている。図１に示すスライドプレート５は、彎曲ストリップ２２のための走行面として用いられ、彎曲ストリップ２２はスライドプレート５に封止状態で接する。

このようにして、ブッシュ３１と、スライドプレート５と、封止ストリップ２１と、彎曲ストリップ２２とを用いて、３つの密閉された、大きさが変化する作動室が形成され、その中でロータが回転する場合に４ストロークプロセスが遂行される。

図示される実施例において、入口と出口がそれぞれシェルハウジング３のトロコロイド軌道面に設けられており、ブッシュ３１が対応するギャップ３２を有している。他の形態においては、側方入口及び／又は側方出口が側方部品内に設けられ、これによってスライドプレート５の１つに対応するギャップが設けられている。

圧入されたブッシュ３１を有するシェルハウジング３は、高い耐摩耗性を特徴としており、かつ作動室を確実に封止するための滑らかな表面を有する。初期形態において楕円形の周輪郭を有し、かつシェルハウジング本体３０内へ圧入する際に弾性変形されるブッシュを使用することによって、連続生産における特にコスト的に好ましい製造が可能である。

ブッシュ３１の使用は、スライドプレート５を持たないハウジング１の形態においても、及び／又はスライドプレートが設けられ、それが側方部品及び／又はシェルハウジング本体のギャップに収容されている、ハウジング１の形態においても、効果的である。

ブッシュ３１が摩耗した場合には、シェルハウジング本体３０を破壊せずにブッシュを取り外して、交換することができる。

Claims (12)

1. トロコイド軌道面を備えたシェルハウジング本体（３０）を有する、ロータリーピストンエンジン用のハウジング（１）を形成する方法であって、
   硬質金属からなるブッシュ（３１）が、前記シェルハウジング本体（３０）内へ次のように、すなわち前記ブッシュ（３１）の外周輪郭が前記トロコイド軌道面を封止するように当接し、かつ前記トロコイド軌道面が前記ブッシュ（３１）によって覆われるように圧入される、方法。
2. 前記ブッシュ（３１）が楕円形の周輪郭を備えた初期形状を有し、圧入する際に力が前記ブッシュ（３１）へ加えられ、前記ブッシュ（３１）が弾性的に変形して、前記外周輪郭が前記トロコイド軌道面を封止するように当接する、ことを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記ブッシュ（３１）は損傷又は摩耗した場合に交換される、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の方法。
4. 前記シェルハウジング本体（３０）がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、かつアルミニウムダイカスト法で成形される、ことを特徴とする請求項１、２又は３に記載の方法。
5. 前記ハウジング（１）は、前記シェルハウジング（３）の両側に配置された２つの側方部品（４）を有し、該側方部品（４）と前記シェルハウジング（３）との間にそれぞれ硬質金属からなるスライドプレート（５）が設けられている、ことを特徴とする請求項１～４の何れか一項に記載の方法。
6. トロコイド軌道面を備えたシェルハウジング本体（３０）を有する、ロータリーピストンエンジン用のシェルハウジングにおいて、
   硬質金属からなるブッシュ（３１）が、前記シェルハウジング本体（３０）内へ次のように、すなわち外周輪郭が前記トロコイド軌道面を封止するように当接し、かつ前記トロコイド軌道面が前記ブッシュ（３１）によって覆われるように圧入される、ことを特徴とするシェルハウジング。
7. 前記ブッシュ（３１）は楕円形の周輪郭を備えた初期形状を有し、前記ブッシュ（３１）はが前記トロコイド軌道面に封止して当接するように弾性変形される、ことを特徴とする請求項６に記載のシェルハウジング。
8. 前記シェルハウジング本体（３０）は、軽金属から、特にアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている、ことを特徴とする請求項６又は７に記載のシェルハウジング。
9. 前記ブッシュ（３１）は、前記シェルハウジング本体（３０）を破壊することなしに交換可能に、前記シェルハウジング本体（３０）内に収容されている、ことを特徴とする請求項６、７又は８に記載のシェルハウジング。
10. 請求項６～９の何れか一項に記載のシェルハウジングと、側方部品（４）と、硬質金属からなるスライドプレート（５）とを有する、ロータリーピストンエンジン用のハウジングであって、
    前記スライドプレート（５）は前記側方部品（４）と前記シェルハウジング（３）との間に配置されている、ハウジング。
11. 前記側方部品（４）と前記シェルハウジング（３）が互いに向き合った平坦な表面を有し、該表面に前記スライドプレート（５）が当接する、ことを特徴とする請求項１０に記載のハウジング。
12. 前記スライドプレート（５）が、約０．８ｍｍ～約２．４ｍｍの材料厚みを有している、ことを特徴とする請求項１０又は１１に記載のハウジング。

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