JP2024049579A - ウエハ被覆用フィルム及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハから剥離することができるウエハ被覆用フィルム、及び該ウエハ被覆用フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハに貼付されるウエハ被覆用フィルムであって、前記ウエハ被覆用フィルムは、基材及び粘着剤層を備えており、前記粘着剤層は、前記突出部及び前記突出部形成面に直接接触し、前記基材は、前記粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有しており、前記粘着剤層は、遊離成分を含有する、ウエハ被覆用フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、ウエハ被覆用フィルム及び半導体装置の製造方法に関する。
近年、いわゆるフェースダウン方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面にバンプ等の突出部を備える半導体チップと、当該半導体チップ搭載用の基板とを、当該半導体チップの回路面と当該基板とが対向するように積層することによって、当該半導体チップを当該基板上に搭載する。
近年、電子機器などのIC組込み製品の小型化及び薄型化が進むにつれ、半導体チップ(以下、「チップ」ともいう。)等の半導体装置の小型化及び薄型化もさらに要求されつつある。そのため、半導体ウエハ(以下、「ウエハ」ともいう。)から半導体装置を製造する過程で、ウエハは数十~数百μmという厚さにまで研削される。前述したような、回路面にバンプ等の突出部を備える半導体ウエハを研削する際には、特に、バンプ等の突出部が存在することにより、研削中にウエハの変形や破損が生じるリスクが高まる。
そこで、例えば、ウエハの突出部が形成されている側の面(以下、「突出部形成面」ともいう。)に対して、所謂、バックグラインドシート(「ウエハ被覆用フィルム」、「保護フィルム」ともいう。)を貼付した後、突出部形成面とは反対側の面(以下、「裏面」ともいう。)を研削する方法が採用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許第6888218号公報 国際公開第2020/175364号公報
しかしながら、特許文献1では、粘着剤層等を介さずに保護フィルムと突出部形成面とが直接接触しているため、突出部形成面への保護フィルムの追従性を優先させると、突出部形成面からの保護フィルムの剥離性が劣る場合があった。この場合、ウエハから保護フィルムを剥離する際に、ウエハが破損したりする等の不具合が生じるという問題がある。また、特許文献2では、裏面研削用粘着シートの粘着剤層が開口部を有し、粘着剤層と突出部とは直接接触していないため、同様の問題がある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハから剥離することができるウエハ被覆用フィルム、及び該ウエハ被覆用フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ウエハ被覆用フィルムが、(i)突出部及び突出部形成面に直接接触すると共に、遊離成分(例えば、未反応状態のエポキシ基含有化合物)を含有する粘着剤層、及び(ii)粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有する基材を備えることによって、突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハからウエハ被覆用フィルムを剥離することができることを着想し、本発明の製造方法を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[5]に関する。
[1] 一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハに貼付されるウエハ被覆用フィルムであって、前記ウエハ被覆用フィルムは、基材及び粘着剤層を備えており、前記粘着剤層は、前記突出部及び前記突出部形成面に直接接触し、前記基材は、前記粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有しており、前記粘着剤層は、遊離成分を含有する、ウエハ被覆用フィルム。
[2] 一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハに貼付されるウエハ被覆用フィルムであって、前記ウエハ被覆用フィルムは、基材及び粘着剤層を備えており、前記粘着剤層は、前記突出部及び前記突出部形成面に直接接触し、前記基材は、前記粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有しており、前記粘着剤層は、未反応状態のエポキシ基含有化合物を含有する、ウエハ被覆用フィルム。
[3] JIS Z 1702:1994に準じて、ダンベルを用いて打ち抜き、幅10mm、標線間距離40mm、引張速度300mm/minで25%伸張した時の引張力が2~30N/10mmである、[1]又は[2]に記載のウエハ被覆用フィルム。
[4] 下記工程(S1)~(S5)をこの順で含む、半導体装置の製造方法。
・工程(S1):一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハの前記突出部及び前記突出部形成面に対して粘着剤層が接触するように、[1]~[3]のいずれかに記載のウエハ被覆用フィルムを積層し、前記ウエハ被覆用フィルムにおける前記第二基材面に硬化性樹脂層(X1)を形成する工程
・工程(S2):前記硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化する工程
・工程(S3):前記硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成する工程
・工程(S4):前記ウエハの前記突出部形成面とは反対側の面を研削する工程
・工程(S5):前記ウエハ被覆用フィルムを前記ウエハから剥離する工程
[5] 少なくとも前記工程(S4)において、前記ウエハは、前記突出部形成面に設けられた溝又はウエハ内部に形成された改質領域を有し、前記工程(S4)において、前記溝又は前記改質領域に沿って前記ウエハを複数のチップに個片化し、前記工程(S5)において、前記ウエハ被覆用フィルムを前記個片化された複数のチップから剥離する、[4]に記載の半導体装置の製造方法。
本発明によれば、突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハから剥離することができるウエハ被覆用フィルム、及び該ウエハ被覆用フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
本発明のウエハ被覆用フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の一態様(第一の製造方法)に係る工程概略図である。 本発明の半導体装置の製造方法の一態様で用いるチップ作製用ウエハの一例を示す上面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の一態様で用いるチップ作製用ウエハの一例を示す概略断面図である。 工程(S1)を経て得られる積層体の一例を示す概略断面図である。 工程(S2)及び(S3)の一態様を説明するための概略図である。 工程(S4)の一態様を説明するための概略図である。 工程(S5)の一態様を説明するための概略図である。 本発明の半導体装置の製造方法の一態様(第二の製造方法)に係る工程概略図である。
本発明書において、「ウエハ被覆用フィルムの引張力」は、JIS Z 1702:1994に準じて、ダンベルを用いて打ち抜き、幅10mm、標線間距離40mm、引張速度300mm/minで25%伸張した時の引張力である。
本明細書において、「半導体装置」とは、チップ及び当該チップを含む装置を指し、当該チップを含む装置とは、例えば、プロセッサ、メモリ、センサ等に用いられる、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。
また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
本発明の半導体装置の製造方法における各工程は、ある工程と、次の工程とを同時に行うことが許容される場合、そのような実施態様をも含むものとする。
[ウエハ被覆用フィルム]
本発明のウエハ被覆用フィルムの一例を示す概略断面図を図1に示す。
図1において、ウエハ被覆用フィルム100は、一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハ(不図示)に貼付され、基材110と粘着剤層120とを備え、必要に応じて、後述する硬化性樹脂層(X1)を備えていてもよい。また、ウエハ被覆用フィルム100は、基材110と粘着剤層120の間に設けられる層として、基材110と粘着剤層120の接着性を改善するアンカーコート層、突出部を吸収するための中間層、帯電防止層、基材110の第二基材面(図1における110b)上に設けられる層として、ブロッキング防止層、帯電防止層等のその他の層をさらに備えていてもよい。
ウエハ被覆用フィルムは、粘着剤層がバンプ等の突出部及び突出部形成面に直接接触して貼付される。粘着剤層が突出部に直接接触することにより、粘着剤層に起因した、突出部形成面からのウエハ被覆用フィルムの剥離性が発揮され、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることを防止することができる。
粘着剤層が基材よりも変形しやすいと、ウエハ被覆用フィルムがバンプ形成面等の突出部形成面の形状に追従することが容易となる。また、基材単体で突出部形成面の形状への追従性を発揮することを要しないことや、基材単体で突出部形成面の形状への追従性と突出部形成面からの剥離性を両立させる必要がないことの結果として、基材として用いる材料の選択の自由度が高まる。
ウエハ被覆用フィルムの引張力としては、特に制限はないが、好ましくは2~30N/10mm、より好ましくは3~15N/10mmである。また、ウエハ被覆用フィルムの引張力を調整することで、ハンドリング性と突出部追従性の両立が可能である。
[[基材]]
基材は、粘着剤層と対向する第一基材面(図1における110a)と、硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面(図1における110b)とを有する。
基材は、シート状又はフィルム状のものであり、その構成材料としては、例えば、以下の各種樹脂が挙げられる。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン系共重合体、塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ウレタン系樹脂、などが挙げられる。
また、基材を構成する樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
基材を構成する樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。基材を構成する樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。基材が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に制限されない。
基材の厚さとしては、特に制限はないが、好ましくは5~1,000μm、より好ましくは10μm~500μm、さらに好ましくは15μm~300μm、さらに好ましくは20μm~150μmである。
前述の構成材料のうち、突出部形成面への追従性を向上させる観点から好ましい材料としては、例えば、ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、エチレン系共重合体、などが挙げられ、ポリオレフィン又は塩化ビニル系樹脂が好ましい。塩化ビニル系樹脂に用いられる塩化ビニル以外のモノマーとしては、塩化ビニリデンモノマー、アクリロニトリル等が挙げられる。エチレン系共重合体を用いる場合、例えば、エチレン系共重合体がアクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体との共重合体であり、カルボキシル基を任意のカチオンで架橋したアイオノマーを基材の構成材料としてもよい。基材を構成する樹脂は、可塑剤を添加して軟質化した樹脂であってもよい。後述するように、可塑剤がウエハ被覆用フィルムの製造後に基材から粘着剤層に移行し、粘着剤層が含有する遊離成分として機能する場合、ウエハ被覆用フィルムの製造前に基材に含まれる可塑剤の量は、基材の主成分となる重合体100質量部に対して、好ましくは10~60質量部、より好ましくは20~50質量部である。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
<硬化性樹脂層(X1)>
以下、基材の第二基材面に形成される硬化性樹脂層(X1)について説明する。なお、硬化性樹脂層(X1)は、ウエハ被覆用フィルムの構成要素でなくてもよく、ウエハ被覆用フィルムの構成要素であってもよい。
硬化性樹脂(x1)により形成される硬化性樹脂層(X1)が硬化されて、研削用硬化物層(p1)が形成される。
また、硬化性樹脂層(X1)の厚さは、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下である。
<<硬化性樹脂(x1)>>
硬化性樹脂層(X1)を形成する硬化性樹脂(x1)としては、熱硬化性又はエネルギー線硬化性のものが挙げられ、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有していてもよい。
硬化性樹脂(x1)を構成する材料は、硬化性樹脂層(X1)を硬化して得られる研削用硬化物層(p1)が、研削時の圧力や振動等から突出部及びウエハを保護する機能を有するように、適宜、選択されればよく、特に制限されない。硬化性樹脂(x1)は、例えば、硬化後に、研削用硬化物層(p1)がゴムのような粘弾性を有するものでもよく、また、剛性があり、硬い状態に達する樹脂でもよい。また、硬化性樹脂(x1)は、粘度調整成分、造膜性成分、接着性調整成分等の、硬化に関与する成分以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、硬化性樹脂(x1)の好適な態様として、「ResiFlat(登録商標)」(商品名、株式会社ディスコ製)、「TEMPLOC(登録商標)」(商品名、デンカ株式会社製)等が挙げられる。
[[粘着剤層]]
粘着剤層は、粘着剤と、遊離成分とを含有し、必要に応じて、その他の成分を含有する。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
<粘着剤>
粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等の樹脂を含むものが挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂を含む粘着剤が好ましい。粘着剤層に含まれる遊離成分が、反応性の官能基を有する化合物である場合、粘着剤層に含まれる樹脂が、遊離成分が有する反応性の官能基と容易に反応する官能基を有していると、反応により遊離成分を消費し、消費された遊離成分はもはや遊離の状態でなくなる可能性がある。そのため、粘着剤層に含まれる樹脂の原料としてこのような官能基を含有するモノマーを配合する場合は、その比率が少ない方がよく、配合しないことが好ましい。例えば、遊離成分が、エポキシ基含有化合物である場合に、粘着剤層に含まれる樹脂がカルボキシル基、アミノ基、フェノール性水酸基等を有している場合、エポキシ基と容易に反応する。一方で、アルコール性水酸基は、穏やかな条件ではエポキシ基と反応しにくいため、エポキシ基含有化合物を消費する可能性が小さい。
粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成される場合、粘着剤層に含まれる樹脂が、エネルギー線反応性の官能基を有するエネルギー線硬化性ポリマーであることが好ましい。エネルギー線反応性の官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエーテル基等の不飽和二重結合を有する官能基が挙げられる。エネルギー線硬化性ポリマーとしては、例えば、側鎖に水酸基を有するアクリル系樹脂に、メタクリロイルオキシエチルアクリレートを反応させ、側鎖にメタクリロイル基を付加したアクリル系樹脂を用いることができる。
<遊離成分>
遊離成分は、低分子量成分であり、粘着剤層中の他の成分と未反応の状態で単体で存在する成分であり、例えば、エステル化合物、エポキシ基含有化合物、シリコーン化合物、などが挙げられる。
遊離成分は、反応性の官能基を有しない化合物であれば、粘着剤中の他の成分の存在にかかわらず、遊離状態が維持される。このような遊離成分としては、例えば、エステル化合物が挙げられる。
また、反応性の官能基を有する化合物であっても、粘着剤層中の他の成分が当該反応性の官能基と反応する官能基を有しておらず、又はその量が少なければ、遊離成分として用い得る。すなわち、反応性の官能基を有する化合物である遊離成分は、未反応の状態で粘着剤層中に含まれる。このような遊離成分としては、例えば、未反応状態のエポキシ基含有化合物が挙げられる。
遊離成分は、粘着剤層を形成するための組成物に直接添加してもよいし、基材に含まれていた遊離成分が、ウエハ被覆用フィルムの製造中、及び/又はウエハ被覆用フィルムの製造後に基材から粘着剤層に移行することによって、遊離成分を構成してもよい。例えば、後述する実施例1に示すように、基材を構成するポリ塩化ビニル系樹脂からなるフィルムに可塑剤として添加されたエステル化合物が、粘着剤層に移行することが知られている。
エステル化合物としては、特に制限はなく、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、混合アルキルフタレート等のフタル酸エステル;トリオクチルトリメリテート、トリオクチルピロメリテート等の芳香族カルボン酸エステル系;アジピン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基性エステル系;シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノナノール、イソノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール等のアルコールとのエステルである脂環式エステル;などが挙げられる。これらの中でも、立体的な安定性の観点から、好ましくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸と炭素数6~12のアルコールとのエステル、より好ましくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸と炭素数8~10のアルコールとのエステル、さらに好ましくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルである。
エポキシ基含有化合物としては、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有し、エポキシ硬化剤により加熱硬化が可能である化合物が挙げられ、例えば、エピクロンEXA-4850-150(DIC(株)製)等のポリアルキレングリコール骨格を含有するエポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;などが挙げられる。
粘着剤層における遊離成分の含有量としては、0質量%を超える限り、特に制限はないが、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは2.5~25質量%である。
遊離成分の分子量としては、特に制限はないが、好ましくは2000以下、より好ましくは300~1500、さらに好ましくは400~1200である。なお、ここで、「分子量」とは、「式量で表される分子量」又は「重量平均分子量」を意味する。「式量で表される分子量」は、遊離成分の化学構造式を特定することにより算出可能である。一方、「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されるポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
上記のような未反応の遊離成分を含む粘着剤層に、半導体ウエハなどの被着体を貼付すると、粘着剤層中の遊離成分が滲み出し、被着体との界面に油膜を形成したような状態となる。この結果、粘着剤層が被着体に過度に密着することがなくなり、被着体に突出部が形成されていても、適度な剥離性が得られる。遊離成分としてエポキシ基含有化合物を用いた場合には、突出部形成面にエポキシ基含有化合物の油膜が残留した場合であっても、最終的な半導体装置においては、アンダーフィル材等に使用される樹脂と一体となるため、残留物による悪影響が生じにくい。
<その他の成分>
その他の成分としては、特に制限はないが、粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成される場合、粘着剤層は光重合開始剤を含むことが好ましい。また、この場合に、粘着剤層がエネルギー線硬化性ポリマーを含まないものであれば、粘着剤層は、エネルギー線反応性の官能基を有するモノマー又はオリゴマーを含有することが好ましい。エネルギー線反応性の官能基を有するモノマー又はオリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーや、ジシクロペンタジエンジアクリレート等のアクリレートモノマー類を例示することができる。なお、粘着剤層がエネルギー線硬化性ポリマーを含む場合に、さらにエネルギー線反応性の官能基を有するモノマー又はオリゴマーを併用してもよい。光重合開始剤及びエネルギー線反応性の官能基を有するモノマー又はオリゴマー以外のその他の成分としては、架橋剤、粘着付与剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、充填材などが挙げられる。なお、遊離成分がエポキシ基含有化合物である場合、粘着剤層には、エポキシ基含有化合物を重合させる作用を有する物質(エポキシ硬化剤)は実質的に含まれない。粘着剤層中にエポキシ硬化剤が含まれると、ウエハ被覆用フィルムの突出部形成面への貼付後、エポキシ基含有化合物が硬化し、突出部形成面と粘着剤層とが接着することがあり、剥離不良の原因となる可能性がある。実質的に含まれることのないエポキシ硬化剤としては、アミン類、有機酸、酸無水物、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリアミドが挙げられる。
後述する半導体装置の製造方法において示されるように、粘着剤層は、ウエハの突出部及び突出部形成面上に直接接触する。これにより、ウエハ被覆用フィルムの突出部形成面からの剥離性を粘着剤層の特性によって制御することが可能となる。粘着剤層がウエハの突出部及び突出部形成面に直接接触するようにする観点から、粘着剤層120は、基材110上に開口部を有さずに形成されていることが好ましく、また、ウエハ被覆用フィルム100の全領域のうち、突出部形成面に貼付される領域に対応する基材110の領域の略全面に、粘着剤層120が形成されていることが好ましい。
粘着剤層の厚さは、好ましくは3~50μmであり、より好ましくは5~30μmである。
[[ウエハ被覆用フィルムの製造方法]]
ウエハ被覆用フィルム100は、少なくとも基材110及び粘着剤層120を順次積層することで製造することができる。
例えば、基材110上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材110上に粘着剤層120を積層することができる。得られた粘着剤層120の露出面を保護する目的で、剥離フィルムがさらに積層されてもよい。
基材110上に塗工する粘着剤組成物が遊離成分を含有する場合には、上記の製造方法により、直ちに遊離成分を含む粘着剤層120が基材110上に形成される。一方、基材110が可塑剤等の遊離成分を含有する場合、基材110及び粘着剤層120を積層した後、基材中の遊離成分を粘着剤層に移行せしめるため、例えば、常温(25℃)の条件下で14~60日間程度保管してエージングを行うことが好ましい。
[第一の半導体装置の製造方法]
本発明の半導体装置の製造方法の一態様(以下、「第一の製造方法」ともいう。)に係る工程概略図を図2に示す。
本発明の半導体装置の製造方法の一態様としては、下記工程(S1)~(S5)をこの順で含む。
・工程(S1):一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハの前記突出部及び前記突出部形成面に対して粘着剤層が接触するように、本発明のウエハ被覆用フィルムを積層し、前記ウエハ被覆用フィルムにおける前記第二基材面に硬化性樹脂層(X1)を形成する工程
・工程(S2):前記硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化する工程
・工程(S3):前記硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成する工程
・工程(S4):前記ウエハの前記突出部形成面とは反対側の面を研削する工程
・工程(S5):前記ウエハ被覆用フィルムを前記ウエハから剥離する工程
また、本発明の半導体装置の製造方法の一態様において、少なくとも前記工程(S4)において、前記ウエハは、前記突出部形成面に設けられた溝又はウエハ内部に形成された改質領域を有し、前記工程(S4)において、前記溝又は前記改質領域に沿って複数のチップに個片化し、前記工程(S5)において、前記ウエハ被覆用フィルムを前記個片化された複数のチップから剥離することが好ましい。
以下、本発明の半導体装置の製造方法について、工程毎に詳述する。
[[工程(S1)]]
工程(S1)では、一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハの突出部及び突出部形成面に対して粘着剤層が接触するように、本発明のウエハ被覆用フィルムを積層し、ウエハ被覆用フィルムにおける第二基材面に硬化性樹脂層(X1)を形成する。
工程(S1)で使用するウエハの一態様としては、例えば、図3及び図4に概略図として示すウエハが挙げられる。当該ウエハの上面概略図を図3に示し、概略断面図を図4に示す。
図3及び図4に示すウエハは、一方の面に突出部としてのバンプ12を備える突出部形成面11aを有するウエハ11の突出部形成面11aに、溝13がウエハ裏面11bに到達することなく形成されているウエハ10-1(以下、「チップ作製用ウエハ10-1」ともいう。)である。
なお、図3中、バンプは図示省略している。また、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図3及び図4に示すチップ作製用ウエハ10-1の突出部形成面11aには、チップ作製用ウエハ10-1を個片化する際の分割予定ラインとして、複数の溝13が格子状に形成されている。複数の溝13は、先ダイシングプロセスを適用する際に形成される切り込み溝であり、ウエハ11の厚さよりも浅い深さで形成され、溝13の最深部がウエハ裏面11bに到達しないようにしている。複数の溝13は、例えば、従来公知の、ダイシングブレードを備えるウエハダイシング装置や、レーザーダイシングを行う装置等を用いたダイシングによって形成することができる。
なお、複数の溝13は、製造するチップが所望のサイズ及び形状になるように形成すればよく、必ずしも図3に示すような格子状に溝13を形成せずともよい。また、チップのサイズは、通常、0.5mm×0.5mm~10mm×10mm程度であるが、このサイズには制限されない。
溝13の幅は、好ましくは10μm~2,000μm、より好ましくは30μm~1,000μm、さらに好ましくは40μm~500μm、さらに好ましくは50μm~300μmである。
溝13の深さは、使用するウエハの厚さと要求されるチップ厚さとに応じて調整され、好ましくは30μm~700μm、より好ましくは60μm~600μm、さらに好ましくは100μm~500μmである。
溝13のアスペクト比は、2~6であってもよく、2.5~5であってもよく、3~5であってもよい。
また、工程(S1)で使用するウエハの一態様としては、例えば、ウエハ内部に形成された改質領域を有するウエハ(以下、「チップ作製用ウエハ10-2」ともいう。図示せず。)が挙げられる。
前記改質領域の形成は、例えば、下記工程(W)を工程(S1)より前に実施することにより行ってもよい。
<工程(W)>
・工程(W):ウエハの内部に、改質領域を形成する工程
改質領域の形成は、ウエハの内部に焦点を合わせたレーザー又はプラズマの照射により行うことができる。レーザー又はプラズマの照射は、ウエハの突出部形成面側から行ってもよく、また、ウエハの裏面側から行ってもよい。工程(W)を工程(S1)より前に実施することで、後述する工程(S4)において、ウエハ11は溝又はウエハ内部に形成された改質領域を有するチップ作製用ウエハ10-2の状態となる。
前述したいずれの態様のウエハであっても、バンプ12の形状は、特に制限されず、チップ搭載用の基板上の電極等に接触させて固定させることが可能であれば、いかなる形状であってもよい。
例えば、本明細書の各図において、バンプ12を球状としているが、バンプ12は回転楕円体であってもよい。
バンプ12の高さは、特に制限はなく、設計上の要求に応じて適宜変更される。
例示すると、好ましくは10μm~300μm、より好ましくは30μm~250μm、さらに好ましくは50μm~200μmである。
なお、「バンプ12の高さ」とは、1つのバンプに着目したときに、突出部形成面11aから最も高い位置に存在する部位での高さを意味する。
バンプ12の個数についても、特に制限はなく、設計上の要求に応じて適宜変更される。
ウエハ11は、例えば、配線、キャパシタ、ダイオード、及びトランジスタ等の回路が表面に形成されたウエハである。当該ウエハの材質は、特に制限されず、例えば、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、及び化合物半導体ウエハ、並びに半導体チップを再配置し、封止したいわゆるファン・アウト-ウエハ・レベル・パッケージ(FO-WLP)のウエハや、パネル・レベル・パッケージ(PLP)のパネル等が挙げられる。
ウエハ11のサイズは、特に制限はないが、直径8インチ(200mm)又は12インチ(300mm)の円形のものが挙げられ、また、各工程に用いる装置や製造方式等に合わせて、適宜選択することができる。
ウエハ11の厚みは、特に制限はないが、第一硬化性樹脂層(X1)を硬化する際の収縮に伴う反りを抑制しやすくする観点、後の工程においてウエハ11の裏面11bの研削量を抑えて裏面研削に要する時間を短くする観点から、好ましくは100~1,000μm、より好ましくは200~900μm、さらに好ましくは300~800μmである。
以下の各工程の説明においては、主として、チップ作製用ウエハ10-1を用いる場合を例にとって説明する。
図5は、工程(S1)を経て得られるチップ作製用ウエハ10-1のバンプ12及び突出部形成面11aに対して粘着剤層120が接触するように、ウエハ被覆用フィルム100を積層し、ウエハ被覆用フィルム100における第二基材面110bに硬化性樹脂層(X1)が形成された積層体の一例を示す概略断面図である。
図5に示す積層体では、バンプ12及び突出部形成面11a上に粘着剤層120が直接形成され、粘着剤層120上に基材110が直接形成され、基材110上に硬化性樹脂層(X1)が直接形成されている。
本明細書において、「直接形成」とは、例えば、図5に示す積層体の場合、(i)粘着剤層120が、他の層等を介さずに、チップ作製用ウエハ10-1のバンプ12及び突出部形成面11aに直接接触するように形成されていること、(ii)基材110が、他の層等を介さずに、粘着剤層120に直接接触するように形成されていること、(iii)硬化性樹脂層(X1)が、他の層等を介さずに、基材110に直接接触するように形成されていること、などを指す。
なお、図5中、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、粘着剤層120が溝13に入り込まないように記載しているが、実際と同じであるとは限らない。
また、図5~図8では、バンプ12の上方には粘着剤層120が存在していないが、バンプ12の頂部と粘着剤層120とが接触するように、ウエハ被覆用フィルム100をチップ作製用ウエハ10-1に積層してもよい。
硬化性樹脂層(X1)を形成する方法としては、特に制限はなく、硬化性樹脂層(X1)を形成するための硬化性樹脂(x1)を、ディスペンサー等で基材110の第二基材面110b上に供給すればよい。また、例えば、ディップコート法等により、コートする方法であってもよい。
また、例えば、後述するように、支持基材上に硬化性樹脂(x1)を塗布してフィルムの形態である硬化性樹脂フィルム(x1f)(以下、「樹脂フィルム(x1f)」ともいう。)をあらかじめ作製し、樹脂フィルム(x1f)を基材110の第二基材面110b上に貼付して形成する方法であってもよい。
また、例えば、後述するように、複合シート(α1)を用いて形成する方法であってもよく、後述する支持基材(Y1)上に柔軟性の硬化性樹脂(x1)を設け、柔軟性の硬化性樹脂(x1)を基材の第二基材面に対向させて、第二基材面を柔軟性の硬化性樹脂(x1)に当接させることにより、第二基材面上に柔軟性の硬化性樹脂(x1)からなる硬化性樹脂層(X1)を形成してもよい。
なお、研削用硬化物層(p1)を形成するための複合シート(α1)の詳細については工程(S2)の説明において後述する。
[[工程(S2)]]
工程(S2)では、硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化する。前記平坦化の方法としては、硬化性樹脂層(X1)上に、さらに支持基材(Y1)を積層する方法が好ましい。
チップ作製用ウエハ10-1を用いた場合の工程(S2)の好適な一態様の概略を図6に示す。図6(a)は、前記工程(S1)後に又は同時に、工程(S2)を経て、硬化性樹脂層(X1)上に、さらに支持基材(Y1)を積層した積層体の概略断面図をあらわす。
例えば、図6(a)に概略断面図として示すように、硬化性樹脂層(X1)の表面(突出部形成面11aとは反対側の面)上に支持基材(Y1)を積層することにより、硬化性樹脂層(X1)の前記表面が平滑となり、後の工程(S3)で硬化性樹脂層(X1)を硬化させて得られる研削用硬化物層(p1)の表面を平滑化できる。研削用硬化物層(p1)の表面が平滑であると、工程(S4)において、ウエハ裏面11bを研削する際、ウエハ11にかかる圧力が均一に分散されやすくなり、ウエハ11が破損するリスクがより低減され、また、より均一な厚さのウエハ11が得やすくなる観点から好ましい。このような観点からは、硬化性樹脂層(X1)の前記表面が、ウエハ裏面11bと平行となるように形成されることがより好ましい。
支持基材(Y1)は、ポリエチレンテレフタレートフィルムのような樹脂フィルムであってもよいし、シリコン、ガラス、又はステンレスのような材質からなる剛性の基板であってもよい。
本発明の半導体装置の製造方法の一態様では、工程(S2)を工程(S1)の後、工程(S3)の前に行ってもよいし、工程(S2)を工程(S1)と同時に行ってもよい。工程(S2)を工程(S1)と同時に行う場合、例えば、支持基材(Y1)と樹脂フィルム(x1f)とが積層された積層構造を有する複合シート(α1)を、前記樹脂フィルム(x1f)を貼付面として、基材110の第二基材面110b上に押圧して貼付する方法を用いることができる。
また、工程(S2)で支持基材(Y1)を用いた場合、支持基材(Y1)を剥離するタイミングは、硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化することができれば、特に制限はないが、工程(S3)で研削用硬化物層(p1)を形成した後に剥離することが好ましい。
<複合シート(α1)>
複合シート(α1)は、硬化性樹脂層(X1)を形成することが可能な構成であれば、特に制限されず、支持基材(Y1)となる支持シート(Z1)と、樹脂フィルム(x1f)とが積層された積層構造を有する。
但し、複合シート(α1)が有する樹脂フィルム(x1f)は、前記の硬化性樹脂(x1)と同様の材質から形成される。
樹脂フィルム(x1f)は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。樹脂フィルム(x1f)が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に制限されない。
樹脂フィルム(x1f)の厚さは、樹脂フィルム(x1f)によって吸収される、突出部に起因した凹凸の大きさに合わせる観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下である。
ここで、「樹脂フィルム(x1f)の厚さ」とは、樹脂フィルム(x1f)全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる樹脂フィルム(x1f)の厚さとは、樹脂フィルム(x1f)を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
以下、複合シート(α1)に用いられる支持シート(Z1)について説明する。
(支持シート(Z1))
支持シート(Z1)は、樹脂フィルム(x1f)を支持するための支持体として機能し、支持基材(Y1)としても機能する。
また、樹脂フィルム(x1f)が熱硬化性である場合、支持シート(Z1)は、熱硬化工程での収縮や溶融を抑制する観点から、耐熱性に優れることが好ましい。
また、樹脂フィルム(x1f)がエネルギー線硬化性である場合、支持シート(Z1)は、エネルギー線透過性を有することが好ましい。
以下、支持シート(Z1)が有する支持シート基材、支持シート(Z1)が有していてもよい支持シート粘着剤層について説明する。
((支持シート基材))
支持シート基材は、シート状又はフィルム状のものであり、その構成材料としては、例えば、以下の各種樹脂が挙げられる。
支持シート基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、エチレン系共重合体、塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
また、支持シート基材を構成する樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
支持シート基材を構成する樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。支持シート基材を構成する樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
支持シート基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。基材が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に制限されない。
支持シート基材の厚さとしては、好ましくは5μm~1,000μm、より好ましくは10μm~500μm、さらに好ましくは15μm~300μm、さらに好ましくは20μm~150μmである。
支持シート基材は、厚さの精度が高いもの、即ち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。前述の構成材料のうち、このような、支持シート基材を構成するのに使用可能な厚さの精度が高い材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン系共重合体等が挙げられる。
支持シート基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する支持シート基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
((支持シート粘着剤層))
支持シート粘着剤層が含有する粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等の樹脂を含むものが挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂を含む粘着剤が好ましい。
支持シート粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤を用いて形成された支持シート粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
次に、複合シート(α1)の製造方法について説明する。
(複合シート(α1)の製造方法)
複合シート(α1)は、前記の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造することができる。
例えば、支持シート(Z1)を製造する際に、支持シート基材上に支持シート粘着剤層を積層する場合には、支持シート基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、支持シート粘着剤層を積層できる。
一方、例えば、支持シート基材上に積層済みの支持シート粘着剤層の上に、さらに硬化性樹脂層(X1)を積層する場合には、支持シート粘着剤層上に、硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工して、樹脂フィルム(x1f)を直接形成することが可能である。
硬化性樹脂層(X1)又は支持シート粘着剤層は、予め塗工により単体で製造しておき、それぞれ、支持シート粘着剤層又は支持シート基材上に積層してもよい。
[[工程(S3)]]
工程(S3)では、硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成する。
チップ作製用ウエハ10-1を用いた場合の工程(S3)の好適な一態様の概略を図6に示す。図6(a)については前述したとおりであり、工程(S3)の好適な一態様としては、図6(a)に示す積層体中の硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成することができる。
図6(b)に示すように、研削用硬化物層(p1)は、基材110の第二基材面110bを被覆するように形成される。研削用硬化物層(p1)は、後の工程(S4)において、ウエハ裏面11bを研削する際に、主として、バンプ12及びウエハ11の損傷リスクを低減するために用いられる。また、研削用硬化物層(p1)を適用することで、研削処理の際に、より厚み精度の高いウエハ及び当該ウエハから個片化されたチップが得易くなる。
なお、研削用硬化物層(p1)は、工程(S4)での研削処理後に、後述する工程(S5)で、ウエハ被覆用フィルム100と共に剥離されることが好ましい。
硬化性樹脂層(X1)の硬化は、硬化性樹脂(x1)に含まれている硬化性成分の種類に応じて、例えば、熱硬化又はエネルギー線硬化を利用することができ、熱硬化及びエネルギー線硬化の両方を行ってもよい。
また、硬化時間の短縮の観点から、硬化性樹脂(x1)は、エネルギー線硬化性樹脂であることが好ましい。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、研削用硬化物層(p1)の厚さは、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下である。
また、工程(S2)において前述した理由から、工程(S3)で形成される研削用硬化物層(p1)の表面(突出部形成面11aとは反対側の面)が平滑であることが好ましく、また、同様の観点から、研削用硬化物層(p1)の表面が、ウエハ裏面11bと平行となるように形成されることがより好ましい。
[[工程(S4)]]
工程(S4)では、前記ウエハの前記突出部形成面とは反対側の面を研削する。この研削により、ウエハを前記溝又は前記改質領域に沿って複数のチップに個片化してもよい。
工程(S4)の一態様として、図7(a)に示すチップ作製用ウエハ10-1を用いて得られた積層体を使用した場合の概略を示し、当該概略図に基づいて、工程(S4)を説明する。
工程(S4)では、まず、図7(a)に示すように、研削用硬化物層(p1)を貼付した状態でチップ作製用ウエハ10-1の裏面11bを研削する。図7(a)中の「BG」とは、バックグラインドを意味する。そして、図7(b)に示すように、チップ作製用ウエハ10-1の溝13の底部が露出するまで研削されることにより、チップ作製用ウエハ10-1が、溝13に沿って複数のチップ20に個片化される。
工程(S4)までの工程を経て、個片化された複数のチップは、例えば、図7(b)に示すように、粘着剤層120、基材110、及び研削用硬化物層(p1)を介した状態で互いに保持されている。
また、前記ウエハとして、改質領域が設けられたチップ作製用ウエハ10-2を用いる場合、ウエハの裏面は、改質領域に起因してチップ作製用ウエハ10-2がへき開することにより個片化される程度まで研削されればよく、ウエハがへき開した後、改質領域が消失する程度まで研削されることが好ましい。チップ作製用ウエハ10-2は、改質領域に起因してへき開することで、前記改質領域に沿って複数のチップに個片化される。
工程(S4)で研削した後のウエハの厚さは、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。また、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。
[[工程(S5)]]
工程(S5)では、前記ウエハ被覆用フィルムを前記ウエハから剥離する。
図8に、チップ作製用ウエハ10-1を用いて得られたチップ20を使用した場合であって、工程(S5)を行う場合の好適な一態様の概略を示す。
具体的には、図8は、複数のチップ20を、粘着シート40を介してリングフレーム50で支持した状態で、工程(S5)を行う場合の一例を示している。
まず、図8(a)に示すように、ウエハ被覆用フィルム100及び研削用硬化物層(p1)が形成された状態で複数のチップ20が準備される。そして、チップ20のウエハ被覆用フィルム100及び研削用硬化物層(p1)が形成されている側の面とは反対側の面に、粘着シート40が貼付される。
当該粘着シート40は、複数のチップ20を支持できるシート状のものであれば、特に制限されないが、例えば、図8に示すように、基材42と、基材42の一方の面に設けられた粘着剤層41とを備え、当該粘着剤層41上に、チップ20が貼付されることが好ましい。
なお、ウエハ被覆用フィルム100を剥離する際、粘着剤層41がエネルギー線照射により硬化する(粘着剤層41がエネルギー線硬化性である)場合は、工程(S5)を行う際に、ウエハ被覆用フィルム100へのエネルギー線照射を任意で行ってもよい。
また、図8(a)に示すように、当該粘着シート40は、複数のチップ20よりも一回り大きいことが好ましい。粘着シート40が、このような態様であることで、その中央領域に複数のチップ20が配置されるとともに、中央領域を取り囲む外周領域に粘着剤層41が露出するため、粘着剤層41を介して、容易にリングフレーム50に貼付することができる。
次に、図8(b)に示すように、複数のチップ20に粘着シート40が貼付されている状態で、ウエハ被覆用フィルム100及び研削用硬化物層(p1)を、個片化された複数のチップ20から剥離する。
前記工程を経て、分割されたチップ(半導体装置)が得られる。なお、ウエハ被覆用フィルム100及び研削用硬化物層(p1)を同時に剥離せずに、研削用硬化物層(p1)のみをウエハ被覆用フィルム100から剥離した後に、ウエハ被覆用フィルム100を複数のチップ20から剥離してもよい。また、支持基材(Y1)が工程(S4)よりも前に研削用硬化物層(p1)から剥離されていない場合、工程(S4)の後に支持基材(Y1)を研削用硬化物層(p1)から剥離してもよいし、研削用硬化物層(p1)又はウエハ被覆用フィルム100の剥離と同時に支持基材(Y1)が剥離されるようにしてもよい。
[第二の半導体装置の製造方法]
また、ウエハとしてチップ作製用ウエハ10-2を用いる場合であって、前記工程(W)における改質領域の形成を、前記工程(S1)よりも前に実施しない場合であっても、前記工程(S4)よりも前に実施することもできる。すなわち、第二の半導体装置の製造方法は、前記工程(W)を実施する順序を前記工程(S1)よりも後に限定した点が、第一の半導体装置の製造方法と異なる。本実施形態において、改質領域が設けられたウエハを取り扱う操作を減らすために、前記工程(W)を前記工程(S3)の後であって前記工程(S4)よりも前に行うことが好ましい。
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法の一態様としては、次の製造方法(以下、「第二の製造方法」ともいう。)を挙げることもできる。また、当該第二の製造方法に係る工程概略図を図9に示す。
本発明に係る第二の製造方法の一態様としては、下記工程(S1)~(S3)をこの順で含み、
・工程(S1):一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハの前記突出部及び前記突出部形成面に対して粘着剤層が接触するように、本発明のウエハ被覆用フィルムを積層し、前記ウエハ被覆用フィルムにおける前記第二基材面に硬化性樹脂層(X1)を形成する工程
・工程(S2):前記硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化する工程
・工程(S3):前記硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成する工程
さらに、工程(S1)の後(工程(S1)と工程(S2)との間、工程(S2)と工程(S3)との間、又は工程(S3)と工程(S4)との間)に、下記工程(W)を含み、
・工程(W):前記ウエハの内部に、改質領域を形成する工程
さらに、工程(S3)及び工程(W)の後に、下記工程(S4)~(S5)をこの順で含む。
・工程(S4):前記ウエハの前記突出部形成面とは反対側の面を研削する工程
・工程(S5):前記ウエハ被覆用フィルムを前記ウエハから剥離する工程
前記第二の製造方法における工程(S1)で使用するウエハの一態様としては、溝及び改質領域を予め有していないこと以外は、前記第一の製造方法における前記工程(S1)で使用するウエハの一態様として説明したウエハと同様のものを用いることができ、その好適な態様も同様である。
ウエハ被覆用フィルムの態様及び形成方法についても、前記第一の製造方法における前記工程(S1)におけるウエハ被覆用フィルムの態様及びその形成方法と同様であり、その好適な態様も同様である。
硬化性樹脂層(X1)の態様及び形成方法についても、前記第一の製造方法における前記工程(S1)における硬化性樹脂層(X1)の態様及びその形成方法と同様であり、その好適な態様も同様である。
前記第二の製造方法における工程(S2)は、前記第一の製造方法において説明した工程(S2)と同様であり、前記平坦化の方法及びその好適な態様も同様である。
前記第二の製造方法における工程(S3)は、前記第一の製造方法において説明した工程(S3)と同様であり、硬化性樹脂層(X1)の硬化方法及び研削用硬化物層(p1)の態様及び形成方法、並びに、それらの好適な態様も同様である。
前記第二の製造方法における工程(W)は、前記第一の製造方法において説明した工程(W)と同様である。工程(W)により、工程(S1)中の前記ウエハの内部に改質領域が形成されて、前記ウエハは、チップ作製用ウエハ10-2となり、少なくとも工程(S4)において、チップ作製用ウエハ10-2の状態となる。
前記第二の製造方法における工程(S4)は、研削するウエハがウエハ内部に形成された改質領域を有するウエハに限定されること以外は、前記第一の製造方法において説明した工程(S4)と同様であり、前記ウエハの研削方法、並びに、それらの好適な態様も同様である。
前記第二の製造方法における工程(S5)は、前記第一の製造方法において説明した工程(S5)と同様であり、前記ウエハ被覆用フィルム及び記研削用硬化物層(p1)を前記ウエハ(個片化された複数のチップ)から剥離する方法及びその好適な態様も同様である。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
以下の実施例の記載において示された重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製「HLC-8020」を用いて、下記の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた値である。
(測定条件)
カラム:「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検出器:示差屈折計
[剥離性評価]
後述する実施例1,2及び比較例1で製造したウエハ被覆用フィルムについて、以下の被着体への貼付及び剥離試験を行い、剥離性を評価した。結果を表1に示す。
<被着体(バンプ形成面を有するウエハ)>
バンプ高さ80μm、ピッチ200μm、直径100μmのSn-3Ag-0.5Cu合金からなる球状バンプ付きウェハ(8インチウェハ、Waltz社製)を準備した。
<ウエハ被覆用フィルムの被着体への貼付>
上記の球状バンプ付きウエハのバンプ形成面に、実施例及び比較例のウエハ被覆用フィルムをラミネート装置(ニッコー・マテリアルズ社製、製品名:V-130)を用い、60℃、100Paの減圧条件で貼付した。なお、実施例1のウエハ被覆用フィルムについては、基材から粘着剤層への可塑剤の移行を完了させるため、ウエハ被覆用フィルムの作製から30日経過後に本評価を行った。
<剥離試験>
ウエハ被覆用フィルムの球状バンプ付きウエハへの貼付により得られた積層体について、UV照射装置(製品名「RAD-2000m/12」、リンテック社製)にてウエハ被覆用フィルム側からUVを照射した。照射条件は、照度:230mW/cm、光量:210mJ/cmに設定した。次いで、ウエハマウンター(製品名「RAD-2700F/12」、リンテック社製)を用いて、球状バンプ付きウエハからウエハ被覆用フィルムを剥離した。ウエハへの粘着剤の残渣が発生したり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハ被覆用フィルムを球状バンプ付きウエハから剥離することができた場合を「A」とし、ウエハ被覆用フィルムを球状バンプ付きウエハから剥離する際に、ウエハへの粘着剤の残渣が発生したり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じた場合を「B」とした。結果を表1に示す。
(実施例1)
<ウエハ被覆用フィルムの製造>
シリコーン系剥離フィルム(リンテック社製)に、後述の粘着剤組成物を塗布した後に、乾燥(オーブンにて100℃、1分間)させ、厚み10μmの粘着剤層を作製した。次いで、後述の基材に粘着剤層を転写し、ウエハ被覆用フィルムを得た。
<<粘着剤組成物>>
アクリル共重合体(2-エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/アクリル酸/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート=18.5/75/1/5/0.5(質量比)、重量平均分子量=60万)100質量部に対し、エネルギー線硬化性化合物としての2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量=8000)60質量部と、エネルギー線硬化性化合物としての6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量=2000)60質量部とを配合したエネルギー線硬化型粘着成分に、光重合開始剤(IGM Resins製、Omnirad184)3質量部及び架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート1.6質量部を配合(すべて固形分換算による配合比)し、粘着剤組成物とした。
<<基材>>
ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度1100)100質量部、可塑剤としての1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(BASF社製、製品名:Hexamoll-DINCH:分子量(式量):424.7、脂環式ジエステル化合物)30質量部、バリウム・亜鉛系安定剤2.8質量部からなる混合物を180℃にてバンバリーミキサーを用いて混練した。この混合物をカレンダーロールで圧延して厚さ50μmの塩化ビニル樹脂製基材を得た。
(実施例2)
<ウエハ被覆用フィルムの製造>
後述の粘着剤組成物をシリコーン系剥離フィルム(リンテック社製)に乾燥後の厚さが8μmとなるように塗布し100℃で1分乾燥した後、後述の基材に積層し、ウエハ被覆用フィルムを製造した。
<<粘着剤組成物>>
エネルギー線硬化型ポリマー100質量部に、光重合開始剤(IGM Resins製、Omnirad184)3.5質量部、エポキシ基含有化合物(DIC(株)製、商品名エピクロンEXA-4850-150、重量平均分子量約900)10質量部、及び架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート1.07質量部を配合(すべて固形分換算による配合比)し、粘着剤組成物とした。
-エネルギー線硬化型ポリマー-
粘着剤をエネルギー線硬化性粘着剤とするため、下記のエネルギー線硬化型ポリマーを用いた。
アクリルポリマー(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=65/20/15(質量比)、重量平均分子量=約50万)に、メタクリロイルオキシエチルアクリレートを80%当量(アクリルポリマー100質量部に対し16質量部)反応させたエネルギー線硬化型ポリマー
<<基材>>
ランダムコポリマーポリプロピレン樹脂からなる樹脂組成物を、小型Tダイ押出機によって押し出し成形し、厚さ50μmのポリプロピレン樹脂フィルムからなる基材を作製した。
(比較例1)
エポキシ基含有化合物を使用しなかった以外は、実施例2と同様にしてウエハ被覆用フィルムを製造した。
表1より、実施例1及び2のウエハ被覆用フィルムは、(i)突出部及び突出部形成面に直接接触すると共に、遊離成分(例えば、未反応状態のエポキシ基含有化合物)を含有する粘着剤層、及び(ii)粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有する基材を備えるので、突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハから剥離することができることが分かった。
本発明によれば、突出部形成面からの剥離性が良好であり、ウエハが破損したりする等の不具合が生じることなく、ウエハから剥離することができるウエハ被覆用フィルム、及び該ウエハ被覆用フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
10-1 チップ作製用ウエハ
11 ウエハ
11a 突出部形成面
11b 裏面
12 バンプ
13 溝
20 チップ(半導体装置)
X1 硬化性樹脂層
Y1 支持基材
p1 研削用硬化物層
40 粘着フィルム
41 粘着剤層
42 基材
50 リングフレーム
100 ウエハ被覆用フィルム
110 基材
110a 第一基材面
110b 第二基材面
120 粘着剤層

Claims (5)

  1. 一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハに貼付されるウエハ被覆用フィルムであって、
    前記ウエハ被覆用フィルムは、基材及び粘着剤層を備えており、
    前記粘着剤層は、前記突出部及び前記突出部形成面に直接接触し、
    前記基材は、前記粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有しており、
    前記粘着剤層は、遊離成分を含有する、ウエハ被覆用フィルム。
  2. 一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハに貼付されるウエハ被覆用フィルムであって、
    前記ウエハ被覆用フィルムは、基材及び粘着剤層を備えており、
    前記粘着剤層は、前記突出部及び前記突出部形成面に直接接触し、
    前記基材は、前記粘着剤層と対向する第一基材面と、硬化して研削用硬化物層(p1)となる硬化性樹脂層(X1)を形成させるための第二基材面とを有しており、
    前記粘着剤層は、未反応状態のエポキシ基含有化合物を含有する、ウエハ被覆用フィルム。
  3. JIS Z 1702:1994に準じて、ダンベルを用いて打ち抜き、幅10mm、標線間距離40mm、引張速度300mm/minで25%伸張した時の引張力が2~30N/10mmである、請求項1又は2に記載のウエハ被覆用フィルム。
  4. 下記工程(S1)~(S5)をこの順で含む、半導体装置の製造方法。
    ・工程(S1):一方の面に突出部を備える突出部形成面を有するウエハの前記突出部及び前記突出部形成面に対して粘着剤層が接触するように、請求項1又は2に記載のウエハ被覆用フィルムを積層し、前記ウエハ被覆用フィルムにおける前記第二基材面に硬化性樹脂層(X1)を形成する工程
    ・工程(S2):前記硬化性樹脂層(X1)の前記突出部形成面とは反対側の表面を平坦化する工程
    ・工程(S3):前記硬化性樹脂層(X1)を硬化させて、研削用硬化物層(p1)を形成する工程
    ・工程(S4):前記ウエハの前記突出部形成面とは反対側の面を研削する工程
    ・工程(S5):前記ウエハ被覆用フィルムを前記ウエハから剥離する工程
  5. 少なくとも前記工程(S4)において、前記ウエハは、前記突出部形成面に設けられた溝又はウエハ内部に形成された改質領域を有し、前記工程(S4)において、前記ウエハを前記溝又は前記改質領域に沿って複数のチップに個片化し、前記工程(S5)において、前記ウエハ被覆用フィルムを前記個片化された複数のチップから剥離する、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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