JP2024045789A - 化合物及び金属錯体 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の金属種に対して錯体を形成することが可能な化合物を提供する。【解決手段】式(1)の化合物。JPEG2024045789000086.jpg25149[n:0~5の整数;Z1~Z4:単結合又は2価の連結基;R:2価の連結基;Q1~Q4:式(A1)で表される基等JPEG2024045789000087.jpg34149R2~R6は、独立に、水素原子又は置換基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、化合物及び金属錯体に関する。
種々の金属イオンと錯形成することが可能な化合物及びこのような化合物に由来する配位子を有する金属錯体は、様々な用途に使用され有用である。このような化合物及び金属錯体の用途としては、例えば、金属除去剤、金属触媒、発光錯体、MRI造影剤、放射性核種医薬品、放射性廃棄物の分離等が挙げられる(例えば、特許文献1、2、非特許文献1、2)。
特許第2552714号公報 特表平04-502574号公報
Chem.Soc.Rev.,2014,43,260-290. Inorg.Chem.,2019,58,2275-2285.
本発明は、複数の金属種に対して錯体を形成することが可能な化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、このような化合物に由来する配位子を有する金属錯体を提供することを主な目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、8-ヒドロキシキノリン誘導体を含む部分構造と、カルボン酸、ホスホン酸、又はヒドロキシル基のいずれかを含む部分構造とを有する化合物が複数の金属種に対して錯体を形成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一側面は、化合物に関する。当該化合物は、下記式(1)で表される化合物である。

[式(1)中、nは、0~5の整数を表す。
、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、群Aから選ばれる基、群Bから選ばれる基、又は置換基を表す。ただし、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Aから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Bから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも3個は、群Aから選ばれる基及び群Bから選ばれる基である。
nが2以上である場合、複数存在するQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Q及びQは、互いに結合して、又は、2価の連結基を介して環構造を形成していてもよい。
(群A)
群Aは、下記式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)で表される基からなる群である。

(式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
(群B)
群Bは、下記式(B1)及び式(B2)で表される基からなる群である。

(式(B1)中、QB1は、置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、Xは、炭素原子又はP(OH)を表す。なお、*は、結合手を表す。)

(式(B2)中、QB2は、置換基を有していてもよい2価の窒素原子を含む単環式複素環基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
nが2以上である場合、複数存在するZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Rは、置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
nが2以上である場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
式(1)で表される化合物は、好ましくは、下記式(1A)で表される化合物、下記式(1B)で表される化合物、又は下記式(1C)で表される化合物である。

[式(1A)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。]

[式(1B)中、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。]

[式(1C)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。
n1は、2~5の整数を表す。]
式(1A)で表される化合物は、好ましくは、下記式(1Aa)で表される化合物又は下記式(1Ab)で表される化合物である。

[式(1Aa)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
は、置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。
1a、Z2a、Z3a、及びZ4aは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。]

[式(1Ab)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
は、複素環を有する2価の連結基であり、当該連結基は、置換基を有していてもよい。
1b、Z2b、Z3b、及びZ4bは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。
ただし、Z1b、Z2b、Z3b、及びZ4bの少なくとも1個は、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部が、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されたヒドロカルビレン基である。当該ヒドロカルビレン基は、置換基を有していてもよい。]
式(B1)で表される基は、好ましくは、下記式(10a)、式(10b)、式(10c)、又は式(11)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。

[式(10a)~(10c)中、R7a、R8a、R9a、R7b、R8b、R9b、R7c、R8c、及びR9cは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、R7a、R8a、及びR9aのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7b、R8b、及びR9bのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7c、R8c、及びR9cのうち、少なくとも1個は水素原子である。
は、窒素原子又はCR10aを表す。
10aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。]

[式(11)中、R11は、水素原子又は置換基を表す。
及びXは、それぞれ独立に、CR12、N、NR13、S、又はOを表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R12及びR13が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、式(11)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
式(B2)で表される基は、好ましくは、下記式(12)で表される化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。

[式(12)中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、N、NR14、又はCR15を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R14及びR15が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
は、炭素原子又は窒素原子を表す。
10は、O、OH、又は水素原子を表す。
なお、式(12)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。

[式(2)中、R、R、R、R、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。
1Aは、-CH-又は-C(=O)-を表す。
は、置換基を有していてもよい2価の炭素原子数2~8個である連結基を表す。
-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qは、下記式(15a)、式(15b)、式(15c)、式(15d)、及び式(15e)で表される基からなる群より選ばれる基を表す。ただし、-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qの少なくとも1個は、下記式(15c)、式(15d)、又は式(15e)で表される基である。

(式(15a)、(15b)、(15c)、(15d)、及び(15e)中、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。なお、*は、結合手を表す。)]
本発明の他の一側面は、金属錯体に関する。当該金属錯体は、金属元素と、上記の化合物に由来する配位子とを有する。
本発明によれば、複数の金属種に対して錯体を形成することが可能な化合物が提供される。また、本発明によれば、このような化合物に由来する配位子を有する金属錯体が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、個々に特に説明がない限り、「置換基」は3種類に分類される。
第一は、抗原と親和性のある構造体を有する基である(以下、「置換基A」という場合がある。)。
第二は、抗原と親和性のある構造体と架橋可能な部位を有する基である(以下、「置換基B」という場合がある。)。
第三は、有機化学(有機配位子)の分野で一般的に取り得る基である(以下、「置換基C」という場合がある。)。
置換基A及び置換基Bにおける「抗原」とは、放射線を利用する治療又は診断において利用できる抗原を意味する。「抗原」は、好ましくは、がん細胞に由来する抗原である。
置換基A及び置換基Bにおける「抗原と親和性のある構造体」とは、特定の抗原に対して選択的に相互作用する構造体を意味する。「抗原と親和性のある構造体」は、好ましくは、がん細胞に由来する抗原と親和性のある構造体である。がん細胞に由来する抗原と親和性のある構造体の例としては、抗体、抗体フラグメント、ペプチド鎖、酵素、核酸塩基含有成分(例えば、オリゴヌクレオチド、DNAベクター、RNAベクター、アプタマー)等が挙げられる。
置換基Aは、「抗原と親和性のある構造体」と、置換基Bにおける「抗原と親和性のある構造体と架橋可能な部位」(以下、単に「架橋可能な部位」という場合がある。)とが化学結合した部分構造を含むことが好ましい。
置換基Bにおける「架橋可能な部位」とは、抗原と親和性のある構造体中における「特定部位」(例えば、チオール基、アジド基、末端アミノ基等)に対して選択的に共有結合を形成できる構造を意味する。「架橋可能な部位」の構造は、抗原と親和性のある構造体中における特定部位に対して選択的に共有結合を形成するために一般的に取り得る基として特に限定されない。このような「架橋可能な部位」としては、例えば、下記式(A-1)~(A-12)で表される基が挙げられる。
式(A-1)~(A-12)中、環構造の中央から伸びている直線は、環構造の任意の位置における結合を表す。*は、結合手を表し、後述する式(25)におけるLとの結合部位である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
置換基Aの好ましい態様である、「抗原と親和性のある構造体」と、置換基Bにおける「架橋可能な部位」とが化学結合した部分構造(以下、「架橋構造」という場合がある。)は、例えば、クリックケミストリーによって形成することができる。クリックケミストリーの例としては、下記式(20)で表される、アジド基とアルキニル基とを、触媒存在下で反応させることで、1,2,3-トリアゾール環を形成させる反応が挙げられる。なお、*は、結合手を表す。
クリックケミストリーの別の例としては、下記式(21)で表される、アジド基とシクロオクチン基との反応、又は、下記式(22)で表される、テトラジン基と末端アルキンとの反応が挙げられる。なお、*は、結合手を表す。
また、「架橋構造」を形成するために、「架橋可能な部位」及び「特定部位」からなる群より選ばれる部位を2個以上有する架橋剤を用いることができる。このような架橋剤としては、例えば、下記式(23)で表される架橋剤が挙げられる。架橋剤は、例えば、「架橋可能な部位」及び「特定部位」からなる群より選ばれる部位の一方を、後述の金属錯体における金属元素及び式(1)で表される化合物に由来する配位子の構造含有部位に、「架橋可能な部位」及び「特定部位」からなる群より選ばれる部位のその他の一方を、「抗原と親和性のある構造体」の構造含有部位に、それぞれ結合させる反応に使用することができる。
置換基Aとしては、例えば、下記式(24)で表される基が挙げられる。
式(24)中、Lは、直接結合、置換基Cを有していてもよいヒドロカルビレン基、又は置換基Cを有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Lは、直接結合、C(=O)NRe1、C(=S)NRe2、OC(=O)NRe3、OC(=O)、C(=O)、C(=S)、NRe4、S、又はOを表す。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Lは、上記「架橋構造」を表す。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Spは、上記「抗原と親和性のある構造体」を表す。n20は、1~10の整数を表し、n21は1又は2を表す。なお、*は、結合手を表す。
は、直接結合、置換基Cを有していてもよいヒドロカルビレン基又は置換基Cを有していてもよいヘテロアリーレン基であり、好ましくは直接結合又は置換基Cを有していてもよいヒドロカルビレン基である。
における置換基Cを有していてもよいヒドロカルビレン基のヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。Lは、好ましくはアルキレン基、シクロアルキレン基であり、より好ましくはアルキレン基
である。
のヒドロカルビレン基におけるアルキレン基は、飽和脂肪族炭化水素を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。これらのアルキレン基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは1~8個である。
のヒドロカルビレン基におけるシクロアルキレン基は、シクロアルカンを構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。シクロアルキレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは6個である。
のヒドロカルビレン基におけるアリーレン基は、芳香族炭化水素を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられる。アリーレン基は、好ましくはフェニレン基である。アリーレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは6~12個である。
の置換基Cを有していてもよいヘテロアリーレン基は、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N-アルキルピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソキノリン、キナゾリン等の複素環式化合物を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。ヘテロアリーレン基は、好ましくはピリジレン基である。
は、直接結合、C(=O)NRe1、C(=S)NRe2、OC(=O)NRe3、OC(=O)、C(=O)、C(=S)、NRe4、S、又はOであり、C(=O)NRe1は、L及びLと、-L-C(=O)NRe1-L-で結合してもよく、-L-C(=O)NRe1-L-で結合してもよい。C(=S)NRe2、OC(=O)NRe3、及びOC(=O)も同様である。Re1、Re2、Re3、及びRe4は、それぞれ水素原子又は炭素原子数1~8個のヒドロカルビル基を表す。Re1、Re2、Re3、及びRe4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Lは、好ましくは直接結合又はC(=O)NHである。
e1、Re2、Re3、及びRe4における炭素原子数1~8のヒドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数が1~8個である、アルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。炭素原子数1~8個のヒドロカルビル基は、好ましくは炭素原子数1~8個のアルキル基である。
は、上記「架橋構造」である。Lとしては、例えば、下記式(A-20)~(A-25)で表される2価の基が挙げられる。式(A-20)~(A-25)で表される2価の基は、置換基を有していてもよい。なお、*は、結合手を表す。
n20は1~10の整数であり、好ましくは1~5の整数であり、より好ましくは1である。
n21は1又は2であり、上記式(23)で表される架橋剤等の架橋剤を用いる場合、n21は好ましくは2であり、架橋剤を用いない場合、n21は好ましくは1である。
Spは、「抗原と親和性のある構造体」である。「抗原と親和性のある構造体」は、上記の構造体が例示される。
本実施形態の化合物及び/又は金属錯体は、分子内・分子間を含めた視点で置換基Aを有する構造体が複数ある場合、1個の「抗原と親和性のある構造体」が複数の本願の化合物及び/又は金属錯体と結合していてもよい。この場合、複数の置換基Aにおいて1つの「抗原と親和性のある構造体」が共有されていてもよい。
置換基Bとしては、例えば、下記式(25)で表される基が挙げられる。
式(25)中、L、L、及びn20は、前記と同義である。Lkは、上記「架橋可能な部位」を表す。なお、*は、結合手を表す。
置換基Cとしては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、ホスホン酸基、ヒドロカルビル基、シリル基、ヘテロアリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、シリルオキシ基が挙げられる。置換基Cは、水溶性の液中で溶解して使用し易い観点から、好ましくはヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、又はアルコキシ基である。これらの基の一部はハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、メチル基の水素原子がフッ素置換されてトリフルオロメチル基になっていてもよい。
置換基Cで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
置換基Cで表されるアミノ基において、窒素原子上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。アミノ基としては、例えば、無置換アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基が挙げられる。アミノ基は、好ましくは無置換アミノ基である。
置換基Cで表されるヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。ヒドロカルビル基は、好ましくはアルキル基である。
置換基Cで表されるヒドロカルビル基におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ノルボニル基、ノニル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらのアルキル基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。アルキル基の炭素原子数は、特に限定されないが、入手の容易性及びコストの点から、好ましくは1~8個である。
置換基Cで表されるヒドロカルビル基におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。アリール基は、好ましくはフェニル基である。アリール基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは6~18個である。
置換基Cで表されるヒドロカルビル基におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2-メチルフェニル)メチル基、(3-メチルフェニル)メチル基、(4-メチルフェニル)メチル基、(2,4-ジメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基が挙げられる。アラルキル基は、好ましくはベンジル基である。アラルキル基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは7~18個である。
置換基Cで表されるシリル基において、ケイ素原子上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。このような置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基等の1個の炭素原子数1~18個の炭化水素基で置換された一置換シリル基;ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基等の2個の炭素原子数1~18個の炭化水素基で置換された二置換シリル基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ-n-ブチルシリル基、トリ-tert-ブチルシリル基、トリ-イソブチルシリル基、tert-ブチル-ジメチルシリル基、トリ-n-ペンチルシリル基等の3個の炭素原子数1~18個の炭化水素基で置換された三置換シリル基などが挙げられる。置換シリル基は、好ましくはトリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基である。
置換基Cで表されるヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピロリル基、N-アルキルピロリル基、フリル基、チオフェンニル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソキノリニル基が挙げられる。ヘテロアリール基は、好ましくはピリジル基又はピリミジニル基である。
置換基Cで表されるアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-オクチルオキシ基等が挙げられる。これらのアルキルオキシ基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。アルキルオキシ基は、好ましくはメトキシ基である。アルキルオキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは1~8個である。
置換基Cで表されるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、3-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、2,4-ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基が挙げられる。アリールオキシ基は、好ましくはフェノキシ基である。アリールオキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは6~18個である。
置換基Cで表されるアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2-メチルフェニル)メトキシ基、(3-メチルフェニル)メトキシ基、(4-メチルフェニル)メトキシ基、(2,4-ジメチルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基が挙げられる。アラルキルオキシ基は、好ましくはベンジルオキシ基である。アラルキルオキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは7~18個である。
置換基Cで表されるシリルオキシ基において、ケイ素原子上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。このような置換シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ-n-ブチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基が挙げられる。置換シリルオキシ基は、好ましくはトリメチルシリルオキシ基又はtert-ブチルジメチルシリルオキシ基である。
置換基は、個々に特に説明がない限り、好ましくは置換基B又は置換基C、より好ましくは置換基Cである。
本明細書において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Bnはベンジル基を表す。
本明細書において、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基などの分岐可能な基が直鎖構造、分岐構造の指定なく記載されている場合、これらは直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。これらの基は、好ましくは直鎖構造である。
本明細書において、基の説明において炭素原子数を記載している場合、当該炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まない炭素原子数を意味する。
[化合物]
一実施形態の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。

[式(1)中、nは、0~5の整数を表す。
、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、群Aから選ばれる基、群Bから選ばれる基、又は置換基を表す。ただし、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Aから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Bから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも3個は、群A又は群Bから選ばれる基である。
nが2以上である場合、複数存在するQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Q及びQは、互いに結合して、又は、2価の連結基を介して環構造を形成していてもよい。
(群A)
群Aは、下記式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)で表される基からなる群である。

(式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
(群B)
群Bは、下記式(B1)及び式(B2)で表される基からなる群である。

(式(B1)中、QB1は、置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、Xは、炭素原子又はP(OH)を表す。なお、*は、結合手を表す。)

(式(B2)中、QB2は、置換基を有していてもよい2価の窒素原子を含む単環式複素環基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
nが2以上である場合、複数存在するZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Rは、置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
nが2以上である場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
群Aにおいて、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基である。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。置換基が置換基Cである場合、R、R、R、R、R、及びRのうち、置換基Cの数は、好ましくは0個又は1個である。R、R、R、R、R、及びRは、好ましくは水素原子である。合計5つあるR、R、R、R、R、及びRのうち、水素原子の数は、好ましくは4個又は5個である。
群Aから選ばれる基は、好ましくは、式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、及び式(A5)で表される基からなる群から選ばれる基、より好ましくは式(A1)で表される基である。
群Aから選ばれる基としては、例えば、下記式(AA-1)~下記式(AA-14)で表される基が挙げられる。式(AA-1)~下記式(AA-14)で表される基は、置換基を有していてもよい。なお、*は、結合手を表す。群Aから選ばれる基は、好ましくは、式(AA-1)、又は式(AA-4)~式(AA-14)で表される基である。
群Bにおける式(B1)で表される基において、Xは、炭素原子又はP(OH)であり、好ましくは炭素原子である。
B1は、置換基を有していてもよい2価の複素環基である。QB1としては、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N-アルキルピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソキノリン、キナゾリン等の複素環式化合物の複素環式化合物を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基が挙げられる。複素環式化合物は、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、又はイミダゾールである。
群Bにおける式(B1)で表される基は、好ましくは、下記式(10a)、式(10b)、式(10c)、又は式(11)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。

[式(10a)~(10c)中、R7a、R8a、R9a、R7b、R8b、R9b、R7c、R8c、及びR9cは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、R7a、R8a、及びR9aのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7b、R8b、及びR9bのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7c、R8c、及びR9cのうち、少なくとも1個は水素原子である。
は、窒素原子又はCR10aを表す。
10aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。]

[式(11)中、R11は、水素原子又は置換基を表す。
及びXは、それぞれ独立に、CR12、N、NR13、S、又はOを表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R12及びR13が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、式(11)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
式(10a)において、Xは、窒素原子又はCR10aである。Xは、好ましくはCR10aである。
7a、R8a、R9a、及びR10aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基である。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。R7a、R8a、R9a、及びR10aのうち、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個である。
7a、R8a、R9a、及びR10aは、好ましくは水素原子である。R7a、R8a、R9a、及びR10aのうち、水素原子の数は、好ましくは2~4個である。
群Bにおける式(B1)で表される基は、金属保持力が向上する観点から、好ましくは式(10a)で表される化合物のR9aから水素原子1個を除いた基である。
式(10b)において、R7b、R8b、及びR9bは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基である。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。R7b、R8b、及びR9bのうち、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個である。
7b、R8b、及びR9bは、好ましくは水素原子である。R7b、R8b、及びR9bのうち、水素原子の数は、好ましくは2個又は3個である。
群Bにおける式(B1)で表される基は、金属保持力が向上する観点から、好ましくは式(10b)で表される化合物のR9bから水素原子1個を除いた基である。
式(10c)において、R7c、R8c、及びR9cは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基である。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。R7c、R8c、及びR9cのうち、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個である。
7c、R8c、及びR9cは、好ましくは水素原子である。R7c、R8c、及びR9cのうち、水素原子の数は、好ましくは2個又は3個である。
群Bにおける式(B1)で表される基は、金属保持力が向上する観点から、好ましくは式(10c)で表される化合物のR9cから水素原子1個を除いた基である。
式(11)において、X及びXは、それぞれ独立に、CR12、N、NR13、S、又はOである。Xは、好ましくはCR12である。X及びXの組み合わせは、好ましくは、XがOでありかつXがCR12である組み合わせ、又は、XがCR12でありかつXがNR13である組み合わせである。XがOでありかつXがCR12である組み合わせの化合物は、下記式(11a)で表される化合物であり、XがCR12でありかつXがNR13である組み合わせの化合物は、下記式(11b)で表される化合物である。
11は、水素原子又は置換基である。置換基は、置換基B又は置換基Cであり、好ましくは置換基Cである。
12は、水素原子又は置換基である。R12が置換基である場合、置換基は、置換基B又は置換基Cであり、好ましくは置換基Cである。
13は、水素原子又は置換基である。R13が置換基である場合、置換基としては、例えば、置換基Cにおける、ヒドロカルビル基、ヒドロキシ基、ヘテロアリール基等が挙げられる。置換基は、好ましくはヒドロカルビル基である。
群Bにおける式(B1)で表される基は、好ましくは式(11)で表される化合物のR11から水素原子1個を除いた基である。
群Bにおける式(B1)で表される基は、より好ましくは、式(10a)、式(10b)、又は式(10c)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、さらに好ましくは、式(10a)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。
群Bにおける式(B1)で表される基としては、例えば、下記式(B1-1)~下記式(B1-51)で表される基が挙げられる。これらの中でも、式(10a)、式(10b)、又は式(10c)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基は、式(B1-1)~式(B1-9)、式(B1-27)~式(B1-29)、式(B1-32)~式(B1-38)、式(B1-42)~式(B1-44)、及び(B1-47)~(B1-51)で表される基であり、式(11)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基は、式(B1-18)、式(B1-19)、式(B1-22)~式(B1-24)、式(B1-30)、式(B1-31)、式(B1-45)、及び式(B1-46)で表される基である。なお、*は、結合手を表し、Spは、「抗原と親和性のある構造体」を表す。
式(B2)で表される基は、好ましくは、下記式(12)で表される化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。

[式(12)中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、N、NR14、又はCR15を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R14及びR15が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
は、炭素原子又は窒素原子を表す。
10は、O、OH、又は水素原子を表す。
なお、式(12)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
、X、X、及びXは、それぞれ独立に、N、NR14、又はCR15である。X、X、X、又はXのいずれかがN又はNR14である場合、その隣接するX、X、X、又はXは、好ましくはCR15である。
、X、X、及びXから任意で選ばれる0~2個は、N及びNR14である。N及びNR14の数は、好ましくは0個又は1個であり、より好ましくは0個である。
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。R14及びR15のうち、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個、より好ましくは0個である。
は、炭素原子又は窒素原子であり、好ましくは窒素原子である。
10は、O、OH、又は水素原子であり、好ましくはO又はOH、より好ましくはOである。
式(B2)で表される基は、好ましくは、XがCHである式(12)で表される化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である。
群Bにおける式(B2)で表される基としては、例えば、下記式(B2-1)~下記式(B2-29)で表される基が挙げられる。これらの中でも、式(12)で表される化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基は、式(B2-6)~式(B1-29)で表される基である。
式(B2)で表される基は、好ましくは式(B2-6)、式(B2-10)、式(B2-12)~式(B2-22)、式(B2-24)~式(B2-26)、又は式(B2-29)で表される基、より好ましくは式(B2-6)、式(B2-10)、式(B2-12)~式(B2-18)、式(B2-24)~式(B2-26)、又は式(B2-29)で表される基、さらに好ましくは式(B2-6)、式(B2-10)、式(B2-16)、又は式(B2-17)で表される基である。なお、*は、結合手を表す。
、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、群Aから選ばれる基、群Bから選ばれる基、又は置換基を表す。ただし、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Aから選ばれる基である。Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Bから選ばれる基、好ましくは群Bにおける式(B1)で表される基である。Q、Q、Q、及びQの少なくとも3個は、群A又は群Bから選ばれる基である。Qは、好ましくは群Aから選ばれる基である。Q及びQは、好ましくは群Bから選ばれる基である。Qは、好ましくは群A又は群Bから選ばれる基である。nが2以上である場合、複数存在するQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
及びQは、互いに結合して、又は、2価の連結基を介して環構造を形成していてもよい。2価の連結基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基等のアルキレン基、ピリジレン基などが挙げられる。
Rは、置換基を有していてもよい2価の連結基である。置換基は、置換基B又は置換基Cであり、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個である。
Rにおける2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が挙げられる。2価の連結基は、これらを組み合わせてなる基であってもよい。2価の連結基は、好ましくはアルキレン基である。Rにおける炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは1~18個である。
Rにおけるアルキレン基は、飽和脂肪族炭化水素を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。これらのアルキレン基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは1~8個である。
Rにおけるアリーレン基は、芳香族炭化水素を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられる。アリ-レン基は、好ましくはフェニレン基である。アリーレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは6~18個である。
Rにおけるヘテロアリーレン基は、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N-アルキルピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソキノリン、キナゾリン、ベンズイミダゾール、キノリン等の複素環式化合物を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を2個除いた2価の基である。ヘテロアリーレン基は、好ましくはピリジレン基である。ヘテロアリーレン基の炭素原子数は、特に限定されないが、好ましくは3~18個である。
アルキレン基、アリーレン基、及びヘテロアリーレン基を組み合わせてなる2価の連結基としては、フェニレン基とメチレン基とフェニレン基とが順に結合した組み合わせ、メチレン基とフェニレン基とメチレン基とが順に結合した組み合わせ、ピリジレン基とメチレン基とピリジレン基とが順に結合した組み合わせ、メチレン基とピリジレン基とメチレン基とが順に結合した組み合わせ等が挙げられる。
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、ヒドロカルビレン基などが挙げられる。ヒドロカルビレン基は、Lにおけるヒドロカルビレン基と同様のものが例示できる。置換基は、置換基B又は置換基Cであり、置換基Bの数は、好ましくは0個又は1個である。ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。置換基は、好ましくは置換基B、ヒドロカルビル基、アリール基、又はヘテロアリール基、より好ましくは置換基B又はヒドロカルビル基である。
式(1)で表される化合物は、好ましくは、nが1である下記式(1A)で表される化合物、nが0である下記式(1B)で表される化合物、又はnが2~6である下記式(1C)で表される化合物、より好ましくは下記式(1A)で表される化合物である。

[式(1A)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。]
式(1A)で表される化合物は、好ましくは、下記式(1Aa)で表される化合物又は下記式(1Ab)で表される化合物である。

[式(1Aa)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
は、置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。
1a、Z2a、Z3a、及びZ4aは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。]
におけるヒドロカルビレン基は、Lにおけるヒドロカルビレン基と同様のものが例示できる。
1a、Z2a、Z3a、及びZ4aにおけるヒドロカルビレン基は、Lにおけるヒドロカルビレン基と同様のものが例示できる。
式(1Aa)で表される化合物としては、例えば、下記式(1Aa-1)~下記式(1Aa-23)で表される化合物が挙げられる。なお、Spは、「抗原と親和性のある構造体」を表す。

[式(1Ab)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
は、複素環を有する2価の連結基であり、当該連結基は、置換基を有していてもよい。
1b、Z2b、Z3b、及びZ4bは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。
ただし、Z1b、Z2b、Z3b、及びZ4bの少なくとも1個は、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部が、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されたヒドロカルビレン基である。当該ヒドロカルビレン基は、置換基を有していてもよい。]
における複素環を有する2価の連結基は、ヘテロアリーレン基を有する2価の連結基である。ヘテロアリーレン基としては、Lにおけるヘテロアリーレン基と同様のものが例示できる。2価の連結基は、異なるヘテロアリーレン基同士を組み合わせてなる2価の連結基、ヘテロアリーレン基及びヒドロカルビレン基を組み合わせてなる2価の連結基等であってもよい。ヘテロアリーレン基は、好ましくはピリジレン基である。
ヘテロアリーレン基及びヒドロカルビレン基を組み合わせてなる2価の連結基としては、2個のピリジレン基を直接結合で連結した組み合わせ、ピリジレン基とメチレン基とピリジレン基とが順に結合した組み合わせ、メチレン基とピリジレン基とメチレン基とが順に結合した組み合わせ等が挙げられる。
1b、Z2b、Z3b、及びZ4bにおけるヒドロカルビレン基は、Lにおけるヒドロカルビレン基と同様のものが例示できる。
式(1Ab)で表される化合物としては、例えば、下記式(1Ab-1)~下記式(1Ab-8)で表される化合物が挙げられる。なお、Spは、「抗原と親和性のある構造体」を表す。

[式(1B)中、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。]
式(1B)で表される化合物としては、例えば、下記式(1B-1)~下記式(1B-4)で表される化合物が挙げられる。

[式(1C)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。
n1は、2~5の整数を表す。]
式(1C)で表される化合物としては、例えば、下記式(1C-1)~下記式(1C-13)で表される化合物が挙げられる。なお、中央が窒素原子を有する環状構造になっている化合物は、Q及びQが、互いに結合して、又は、2価の連結基を介して環構造を形成した構造である。
式(1C-10)で表される化合物の具体例としては、下記式(1C-10a)及び下記式(1C-10b)で表される化合物が挙げられる。
式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。

[式(2)中、R、R、R、R、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。
1Aは、-CH-又は-C(=O)-を表す。
は、置換基を有していてもよい2価の炭素原子数2~8個である連結基を表す。
-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qは、下記式(15a)、式(15b)、式(15c)、式(15d)、及び式(15e)で表される基からなる群より選ばれる基を表す。ただし、-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qの少なくとも1個は、下記式(15c)、式(15d)、又は式(15e)で表される基である。

(式(15a)、(15b)、(15c)、(15d)、及び(15e)中、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。なお、*は、結合手を表す。)]
1Aは、-CH-又は-C(=O)-であり、好ましくは-CH-である。
は、置換基を有していてもよい2価の炭素原子数2~8個である連結基である。Rは、好ましくは置換基を有していてもよい2価の炭素原子数2~8個であるヒドロカルビレン基である。Rにおけるヒドロカルビレン基は、Lにおけるヒドロカルビレン基と同様のものが例示できる。
-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qは、式(15a)、式(15b)、式(15c)、式(15d)、及び式(15e)で表される基からなる群より選ばれる基であり、-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qの少なくとも1個は、式(15c)、式(15d)、又は式(15e)で表される基である。
-Z-Q及び-Z-Qは、好ましくは、式(15c)、式(15d)、又は式(15e)で表される基、より好ましくは式(15c)で表される基である。この場合、-Z-Q及び-Z-Qは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
-Z-Qは、好ましくは、式(15a)、式(15b)、又は(15c)で表される基である。
式(15a)、(15b)、(15c)、(15d)、及び(15e)中、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。置換基は、好ましくは置換基B又は置換基Cである。
式(2)で表される化合物は、置換基Bを0個又は1個有することが好ましく、「抗原と親和性のある構造体」と組み合わせて用いることができることから、置換基Bを1個有することがより好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1-1)~下記式(1-38)で表される化合物が挙げられる。これら化合物は置換基を有していてもよい。なお、Spは、「抗原と親和性のある構造体」を表す。式(1)で表される化合物は、好ましくは、式(2)で表される化合物である、式(1-1)~式(1-4)、式(1-6)~式(1-15)、式(1-26)~式(1-34)で表される化合物、より好ましくは、式(1-1)~式(1-3)、式(1-7)、式(1-10)、式(1-11)、式(1-27)、式(1-29)、式(1-30)で表される化合物である。
本実施形態の化合物は、酸又は塩基との相互作用で塩を形成していてもよく、水和していてもよい。塩を形成していてもよい酸の種類としては、例えば、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸、リン酸、酢酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフェニルホウ酸などが挙げられる。酸は、好ましくは塩酸又は臭素酸である。酸による塩構造としては、例えば、本実施形態の化合物中の窒素部位が酸と相互作用している塩構造が挙げられる。
塩を形成していてもよい塩基の種類としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウムの水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。塩基による塩構造としては、例えば、本実施形態の化合物中のカルボン酸部位のプロトンが別のカチオンで置き換わった塩構造が挙げられる。
本実施形態の化合物は、一部のプロトンが分子内で移動していてもよい。例えば、式(1-2)で表される化合物は、カルボン酸のうち1個又は2個のプロトンが、エチレンジアミン構造中の窒素原子又はヒドロキシキノリン構造中の窒素原子の近傍に移動していてもよい。
[化合物の製造方法]
次に、本実施形態の化合物の製造方法について説明する。
式(1)で表される化合物は、Z、Z、Z、及びZとなり得る部位に、それぞれQ、Q、Q、及びQとなり得る化合物を連結することができる公知の手法を適宜組み合わせて製造することができる。
以下では、Z、Z、Z、及びZ(以下、Z、Z、Z、及びZを単に「Z」という場合がある。)となり得る部位に、それぞれQ、Q、Q、及びQとなり得る化合物を連結する方法を具体的に説明する。
例えば、Zが-CH-である結合部位の形成方法としては、下記式(30)に例示するように、アルデヒド構造を有する化合物と、アミノ基を有する化合物とをエタノ-ル等の溶媒中で混合させた後、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を反応させる方法等が挙げられる。
また、Zが-CH-である結合部位の他の形成方法としては、下記式(31)に例示するように、芳香族環にCHCl又はCHBr構造の置換基を有する化合物と、アミノ基を有する化合物とを、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基存在下で反応させる方法等が挙げられる。
式(31)において、得られる化合物のピリジルカルボン酸エステル部位は、カルボン酸がエステル構造で保護されている。エステル部位は、一般的に知られている脱エステル化反応等を行い脱保護することによって、カルボン酸に誘導することができる。
式(31)においては、例えば、フェノールのOH部位をベンジル化して保護しておき、後に脱ベンジル化を行い脱保護することによって、フェノールに誘導することができる。このように、Zの結合部位を形成する場合は、適宜保護基を導入しておいて、後に脱保護を行うことによって、本実施形態の化合物を製造することができる。
が-C(=O)-で表される結合部位の形成方法としては、下記式(32)に例示するように、カルボン酸構造を有する化合物と、アミノ基を有する化合物とを、公知の縮合化剤を用いてDMF等の溶媒中で混合させる方法等が挙げられる。
が-NHC(=O)(CH)-で表される結合部位の形成方法としては、下記式(33)に例示するように、カルボン酸構造を有する化合物と、アミノ基を有する化合物とを、塩化オキサリル等の公知のカルボン酸部位活性化剤を用いてトルエン、ジクロロメタン等の溶媒中で混合させる方法が挙げられる。
が-C(=O)NH(CH)-で表される結合部位の形成方法としては、下記式(34)に例示するように、カルボン酸構造を有する化合物と、アミノ基を有する化合物とを、塩化オキサリル等の公知のカルボン酸部位活性化剤を用いてトルエン、ジクロロメタン等の溶媒中で混合させる方法が挙げられる。式(33)で得られる化合物と式(34)で得られる化合物との構造の違いは、-C(=O)NH(CH)-の-C(=O)-部位及び-NH-部位の位置の違いである。
上記式(30)~式(34)に例示する結合部位の形成方法を例とした公知の手法を組み合わせることによって、式(1)で表される化合物を得ることができる。それぞれの反応における出発物質の例であるカルボン酸構造を有する化合物、及び、アミノ基を有する化合物についても、公知のカルボン酸誘導体の合成法、及び、アミノ化合物誘導体の合成法を適宜組み合わせることで製造することができる。
なお、「抗原と親和性のある構造体と架橋可能な部位」を有する置換基Bを有する式(1)で表される化合物についても、部分的に置換基Bの構造を有する化合物を合成する公知の手法を適宜組み合わせることで製造することができる。
例えば、置換基BがNSC構造(式(A-1)で表される基)を有する化合物の製造方法としては、下記式(35)に例示するように、上記式(30)及び式(31)の原料であるジアミン化合物として、ニトロ基を有する化合物を用い、中間生成物を合成する。続いて、パラジウムと水素を用いる等の一般的な還元剤によって、エタノール等の溶媒中でニトロ部位をアミンに変換した後、クロロホルム等の溶媒中でチオホスゲンと混合することによって、式(A-1)で表される基を有する式(1)で表される化合物を製造することができる。
[金属錯体]
次に、本実施形態の化合物に由来する配位子を有する金属錯体について説明する。
本実施形態の金属錯体は、上記化合物に金属元素が相互作用している。より具体的には、上記化合物中のヘテロ原子と金属元素とが相互作用しており、式(1)で表される化合物におけるヒドロキシキノリン環中の窒素原子及び/又は酸素原子と相互作用している。相互作用は、通常、配位結合である。
金属錯体は、式(1)で表される化合物のヘテロ原子(例えば、窒素含有複素環基中の窒素原子、1~3級アミン中の窒素原子、-OH(-Oを含む)中の酸素原子、-COH(-CO を含む)中の酸素原子等)のいずれかいずれかと配位結合しており、配位結合の数は、好ましくは4~12個、より好ましくは8~10個である。本実施形態の化合物は、金属元素を結合させたときに、三次元的に上述の相互作用を示すことが可能である。なお、配位結合の形成の有無は、普及している3D分子構造をシミュレーションできるソフトウェアを用いた構造最適化計算によって、金属元素とヘテロ原子との距離を特定することにより確認することができる。
金属元素は、無電荷であっても荷電しているイオンであってもよく、好ましくは荷電しているイオンである。金属元素が荷電している場合、好ましくは1~4価であり、より好ましくは2~4価である。
金属元素は、典型金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、又は希土類元素であってよく、放射性元素であっても非放射性元素であってもよい。
非放射性元素である金属元素としては、例えば、Mg、Al、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Biが挙げられる。非放射性元素である金属元素は、好ましくは、安定的に2~4価の金属カチオン状態として使用可能な金属元素である。
放射性元素である金属元素としては、例えば、44Sc、47Sc、51Cr、59Fe、57Co、58Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga,68Ga、75Se、83Sr、86Y、90Y、89Zr、99Mo、94mTc、99mTc、97Ru、103Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110In、111In、114mIn、132La、135La、153Sm、149Tb、60Tb、161Tb、166Ho、167Tm、169Yb、177Lu、186Re、188Re、199Au、201Tl、212Pb、212Bi、213Bi、233Ra、225Ac、227Th、241Am、244Cmが挙げられる。放射性元素である金属元素は、好ましくは、2~4価の金属カチオン状態として使用可能な金属元素である。
金属錯体1分子中に存在する金属元素の数は、1個であっても複数であってもよい。金属錯体1分子中に存在する金属元素の数は、好ましくは1個又は2個、より好ましくは1個である。
金属錯体1分子中に存在する金属元素の種類は、1種類であっても2種類以上であってもよい。金属錯体1分子中に存在する金属元素の種類は、好ましくは1種類である。
金属錯体は、金属錯体を電気的に中性にするための対イオンを含んでいてもよい。金属錯体が正に帯電している場合、これを中和する陰イオンが選ばれる。陰イオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等が挙げられる。陰イオンは、好ましくは塩酸イオン又は酢酸イオンである。金属錯体が負に帯電している場合、これを中和する陽イオンが選ばれる。陽イオンとしては、例えば、プロトン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラリールホスホニウムイオン等が挙げられる。対イオンは複数存在していてもよく、それらは同一であっても異なっていてもよい。
金属錯体は、金属錯体化の反応時又は精製時に使用した溶媒等の中性分子を含んでいてもよい。中性分子としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、N,N-ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ジエチルエーテル、酢酸、プロピオン酸、塩酸等が挙げられる。なお、中性分子は、複数存在していてもよく、それらは同一であっても異なっていてもよい。
金属錯体は、置換基A又は置換基Bを1個有していることが好ましい。
本実施形態の金属錯体の具体例としては、式(K-1)~式(K-38)で表される金属体が挙げられる。金属錯体は、好ましくは、式(K-1)~式(K-4)、式(K-6)~式(K-15)、式(K-26)~式(K-34)で表される金属錯体、より好ましくは、式(K-1)~式(K-3)、式(K-7)、式(K-10)、式(K-11)、式(K-27)、(K-29)、(K-30)で表される金属錯体である。
式中、Mは金属元素を表す。Mとヘテロ原子との破線は、相互作用する可能性があることを表す。なお、Mとヘテロ原子との破線は、便宜的なものであり、必ずしも全ての破線において相互作用が存在することを意味するものではない。また、上記式で表される金属錯体は、上記のとおり、対イオン及び/又は中性分子を有していてもよく、上記の化合物に由来する配位子は置換基を有していてもよい。なお、Spは、「抗原と親和性のある構造体」を表す。
[金属錯体の製造方法]
次に、本実施形態の金属錯体の製造方法について説明する。本実施形態の金属錯体の製造方法は、金属元素を付与する反応剤と式(1)で表される化合物とを混合する工程を備えている。
本実施形態の金属錯体は、例えば、本実施形態の化合物を有機化学的に合成した後、得られた化合物を、金属元素を付与する反応剤(以下、「金属付与剤」という場合がある。)と混合し、反応させることにより得られる。反応させる金属付与剤の量は、目的とする金属錯体に応じて適宜調整することができる。
金属付与剤としては、例えば、上記で例示した金属元素の酢酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、過塩素酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフェニルホウ酸塩等が挙げられる。金属付与剤は、好ましくは金属元素の塩化物又は酢酸塩である。金属付与剤は、水和物であってもよい。
化合物と金属付与剤との反応は、溶媒(すなわち、反応溶媒)中で行うことが好ましい。
反応溶媒としては、例えば、水、酢酸、プロピオン酸、塩酸、アンモニア水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、N,N-ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ジエチルエーテル等が挙げられる。反応溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。反応溶媒は、例えば、反応液のpHを調整するための酸、塩基、緩衝剤等の別成分を含有していてもよい。
反応温度は、通常、-10~200℃であり、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~40℃である。反応時間は、通常、1分~1週間であり、好ましくは1分~24時間、より好ましくは1分~6時間である。
これら反応溶媒、反応温度、反応時間等の条件は、化合物の種類、金属付与剤の種類等に合わせて適宜最適化できる。
金属錯体を単離精製する場合、反応後の精製方法としては、公知の再結晶法、再沈殿法、クロマトグラフィー法等から適宜最適な手段を選択して用いることができる。条件によっては、生成した金属錯体が析出する場合があり、析出した金属錯体をろ過操作により分取しても、金属錯体を単離精製することができる。
なお、通常、化合物と金属付与剤との反応は定量反応であるため、特別な単離精製のための操作は行わなくても溶液状態で比較的純度の高い金属錯体を得ることができる。
置換基Aを有する金属錯体は、置換基Aを有する化合物に対して金属付与剤を反応させることにより得ることができ、置換基Bを有する化合物に対して金属付与剤を反応させ錯体とした後、上記式(20)~(22)に例示する、「抗原と親和性のある構造体」と、「架橋可能な部位」との結合反応を行うことによっても得ることができる。
[化合物及び/又は金属錯体の有用性]
次に、本実施形態の化合物及び/又は金属錯体の有用性について説明する。
本実施形態の化合物は、例えば、Co、Fe、Ni等の酸化還元活性のある金属元素と錯体化させることによって、過酸化水素分解等の反応の触媒、二酸化炭素還元の電極触媒などに利用することができる。
本実施形態のいくつかの形態の化合物は、金属保持力が高いため、非常に低濃度の金属と錯体を形成できる。そのため、例えば、放射性廃棄物中又は海水中から有価金属元素を捕集することができる。いくつかの形態の化合物は、金属元素と強く配位結合を形成するため、例えば、金属粒子の表面被覆材として使用することができる。本実施形態のいくつかの形態の化合物は、特定の金属元素を用いることで発光特性を付与することが可能であり、発光材料として使用することができる。さらに、本実施形態のいくつかの形態の化合物を配位子として用いた場合、放射性金属元素の保持力が高いため、放射性医薬に用いることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)等の公知の方法で、その構造を確認した。
以下において、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーは、日本分析工業社製LC-9104に、カラムとして日本分析工業社製社製のJAIGEL-2H-40とJAIGEL-1H-40とを連結したものを用いた。
NMR測定にはBRUKER社製AV NEO 300MHz NMRスペクトロメーターを用いた。
紫外可視吸収スペクトル分析は島津製作所製UV-2400PCを用いた。
合成例1
<化合物(a-2)の合成>
化合物(a-2)を、非特許文献the Journal of the American Chemical Society, 2018, Vol. 140, p.15487-15500に記載の方法で合成した。
実施例1
<化合物(化合物(1-2))の合成>
反応容器内を窒素ガス雰囲気にした後、化合物(a-2)121mg(0.323mmol)、メチル-6-ブロモメチル-2-ピリジンカルボキシレート163mg(0.710mmol)、炭酸水素ナトリウム163mg(1.937mmol)、アセトニトリル16.14mLを加え、80℃に昇温して還流させながら12時間攪拌した。これを室温まで冷却し、アセトニトリルを濃縮して粗生成物とした。この粗生成物を、クロロホルムを展開相とするゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより精製し、濃縮、減圧乾燥させて化合物(a-3)を得た。
反応容器に化合物(a-3)を79.0mg(0.117mmol)と6規定塩酸0.78mLを加え、100℃に昇温して還流させながら4時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、析出した黄色沈殿をろ過により分取し、減圧乾燥して化合物(1-2)を収率95%で得た。得られた化合物(1-2)の同定データを以下に示す。
H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ(ppm)=4.03(s,4H),4.68(s,4H),4.89(s,4H),7.17(dd,J=7.5and1.2Hz,2H),7.40(dd,J=8.4and1.2Hz,2H),7.50(d,J=7.5Hz,2H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),7.79(dd,J=8.7and4.5Hz,2H),7.87(d,J=4.5Hz,2H),7.88(d,J=7.5Hz,2H),8.36(d,J=8.7Hz,2H).
合成例2
<化合物(a-6)の合成>
反応容器内を窒素ガス雰囲気にした後、8-(ベンジルオキシ)キノリン-2-カルブアルデヒド294mg(1.117mmol)、エチレンジアミン336mg(5.583mmol)、メタノール11.17mLを加え、64℃で還流させながら2時間攪拌した。この反応容器を室温まで徐冷してから水素化ホウ素ナトリウム63.0mg(1.675mmol)を加えた。さらに2時間攪拌してから飽和炭酸水素ナトリウム水溶液22.3mLを加えて反応を終了させ、クロロホルムで分液抽出した。クロロホルム層を濃縮、減圧乾燥させて化合物(a-5)の粗生成物を得た。
反応容器内を窒素ガス雰囲気にした後、化合物(a-5)156mg(0.506mmol)、メチル-6-ブロモメチル-2-ピリジンカルボキシレート388mg(1.687mmol)、炭酸カリウム280mg(2.024mmol)、アセトニトリル16.87mLを加え、80℃に昇温して還流させながら12時間攪拌した。これを室温まで冷却し、アセトニトリルを濃縮して粗生成物とした。この粗生成物を、クロロホルムを展開相とするゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより精製し、濃縮、減圧乾燥させて化合物(a-6)を2工程収率58%で得た。
実施例2
<化合物(化合物(1-1))の合成>
反応容器に化合物(a-6)90.9mg(0.120mmol)と6規定塩酸1.99mLを加え、100℃に昇温して還流させながら24時間攪拌した。反応溶液を濃縮、減圧乾燥して化合物(1-1)を収率61%で得た。得られた化合物(1-1)の同定データを以下に示す。
H-NMR(300MHz,DO):δ(ppm)=3.53(t,J=5.7Hz,2H),3.82(t,J=5.7Hz,2H),4.25(s,2H)4.46(s,2H)4.67(s,4H),7.25(dd,J=7.8and0.9Hz,1H),7.49(dt,J=7.5and1.2Hz,3H),7.61(t,J=7.8Hz,1H),7.68(dd,J=7.8and0.9Hz,1H),7.74(d,J=8.4Hz,1H),7.77-7.82(m,3H),7.83-7.88(m,2H),7.96(t,J=7.8Hz,1H),8.60(d,J=8.4Hz,1H).
実施例3
<化合物(1-2)のLa錯体合成>
緩衝液として0.1mol/LのHEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid))水溶液を調製した(以下、「緩衝液1」という。)。緩衝液1に化合物(1-2)を30μmol/Lの濃度で溶解し、溶液1とした。別の容器にて、緩衝液1にLaClを3mmol/Lの濃度で溶解し、溶液2とした。次いで、溶液1に、化合物(1-2)とLaClが同モル量になるように、溶液2を添加することによって、溶液3を得た。溶液2の添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行ったところ、LaClの添加に伴って264nmに最大吸収波長を示すピークが出現した。このことから、La錯体の形成が確認された。
実施例4
<化合物(1-2)のZr錯体合成>
緩衝液として0.1mol/Lの酢酸ナトリウム水溶液とジメチルスルホキシドの1:1(体積比)混合溶液を調製した(以下、「緩衝液2」という。)。緩衝液2に化合物(1-2)を30μmol/Lの濃度で溶解し、溶液4とした。別の容器にて、0.1mol/Lの塩酸水溶液にZrClを3mmol/Lの濃度で溶解し、溶液5とした。次いで、溶液4に、化合物(1-2)とZrClが同モル量になるように、溶液5を添加することによって、溶液6を得た。溶液4の添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行ったところ、ZrClの添加に伴って274nmにショルダーピークが出現した。このことから、Zr錯体の形成が確認された。
実施例5
<化合物(1-2)のSr錯体合成>
緩衝液として0.01mol/LのHEPES水溶液、金属塩としてSrClを用い、化合物(1-2)の濃度を50μmol/Lとした以外は、実施例2と同様の操作を行い、溶液7を得た。SrClの添加に伴って310nmに最大吸収波長を示すピークが出現した。このことから、Sr錯体の形成が確認された。
参考例1
<化合物(1-2)のLa錯体の金属保持力>
上記溶液3に、化合物(1-2)に対して10当量のエチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと記す)を添加し、添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行った。最大吸収波長である264nmの吸収強度変化から、化合物(1-2)のLa錯体が90%残存していることを確認した。
参考例2
<化合物(1-2)のZr錯体の金属保持力>
上記溶液6に、化合物(1-2)に対して10当量のEDTAを添加し、添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行った。Zr錯体に起因するショルダーピークである274nmの吸収強度変化から、化合物(1-2)のZr錯体が90%残存していることを確認した。
参考例3
<化合物(1-2)のSr錯体の金属保持力>
上記溶液7に、化合物(1-2)に対して1当量のEDTAを添加し、添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行った。最大吸収波長である307nmの吸収強度変化から、化合物(1-2)のSr錯体が93%残存していることを確認した。
実施例6
<化合物(1-1)のLa錯体合成>
上記実施例1で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、実施例1と同様の操作を行ったところ、LaClの添加に伴って267nmに最大吸収波長を示すピークが出現した。このことから、La錯体の形成が確認された。
実施例7
<化合物(1-1)のZr錯体合成>
上記実施例2で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、実施例1と同様の操作を行ったところ、ZrClの添加に伴って265nmに最大吸収波長を示すピークが出現した。このことから、Zr錯体の形成が確認された。
実施例8
<化合物(1-1)のSr錯体合成>
上記実施例3で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、実施例1と同様の操作を行ったところ、SrClの添加に伴って282nmにショルダーピークが出現した。このことから、Sr錯体の形成が確認された。
参考例4
<化合物(1-1)のLa錯体の金属保持力>
参考例1で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、参考例1と同様の操作を行った。最大吸収波長である267nmの吸収強度変化から、化合物(1-1)のLa錯体が93%残存していることを確認した。
参考例5
<化合物(1-1)のZr錯体の金属保持力>
参考例2で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、参考例2と同様の操作を行った。最大吸収波長である265nmの吸収強度変化から、化合物(1-1)のZr錯体が80%残存していることを確認した。
参考例6
<化合物(1-1)のSr錯体の金属保持力>
参考例3で用いた化合物(1-2)の代わりに化合物(1-1)として、参考例3と同様の操作を行った。Sr錯体に起因するショルダーピークである282nmの吸収強度変化から、化合物(1-1)のSr錯体が96%残存していることを確認した。
比較例1
<化合物(a-2)のLa錯体の合成及びその金属保持力>
化合物として化合物(a-2)、緩衝液として0.01mol/LのHEPES水溶液を用い、化合物(a-2)の濃度を50μmol/Lとした以外は実施例2と同様の操作を行い、溶液8を得た。LaClの添加に伴って360nmに最大吸収波長を示すピークが出現した。このことから、La錯体の形成が確認された。溶液8に、化合物(a-2)に対して1当量のEDTAを添加し、添加前後で紫外可視吸収スペクトル分析を行った。最大吸収波長である360nmの吸収は完全に消失し、化合物(a-2)のLa錯体は残存していないことを確認した。
比較例2
<化合物(a-2)のSr錯体の合成検討>
化合物(1-2)を化合物(a-2)に変更した以外は実施例4と同様の操作を行った。SrClを添加しても紫外可視吸収スペクトルに変化は観測されず、Sr錯体の形成が確認されなかった。
以上の結果により、本発明の化合物は、4価の金属種であるZr4+、3価の金属種であるLa3+、及び2価の金属種であるSr2+を含む複数の金属種に対して錯体を形成することが可能であることが確認された。Zr4+、La3+、及びSr2+は、いずれも最外電子殻が閉殻構造をとる金属元素であり、このような閉殻構造の金属元素は一般的に錯体化形成しにくいことで知られている。本発明の化合物は、閉殻構造をとる金属元素と錯形成できることから、閉殻構造ではない他の多くの金属元素に対しても同等以上に錯形成が容易であると推測される。さらに、本発明の金属錯体は、錯体に対してEDTAを添加しても金属を保持したままであった。EDTAはカルボン酸部位を4個有する強いキレート剤であるため、本発明の金属錯体は、金属と相互作用する物質が共存していても安定的に金属を保持できることが判明した。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される、化合物。

    [式(1)中、nは、0~5の整数を表す。
    、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、群Aから選ばれる基、群Bから選ばれる基、又は置換基を表す。ただし、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Aから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも1個は、群Bから選ばれる基であり、Q、Q、Q、及びQの少なくとも3個は、群A又は群Bから選ばれる基である。
    nが2以上である場合、複数存在するQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Q及びQは、互いに結合して、又は、2価の連結基を介して環構造を形成していてもよい。
    (群A)
    群Aは、下記式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)で表される基からなる群である。

    (式(A1)、式(A2)、式(A3)、式(A4)、式(A5)、及び式(A6)中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
    (群B)
    群Bは、下記式(B1)及び式(B2)で表される基からなる群である。

    (式(B1)中、QB1は、置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、Xは、炭素原子又はP(OH)を表す。なお、*は、結合手を表す。)

    (式(B2)中、QB2は、置換基を有していてもよい2価の窒素原子を含む単環式複素環基を表す。なお、*は、結合手を表す。)
    、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
    nが2以上である場合、複数存在するZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    Rは、置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。
    nが2以上である場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
  2. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(1A)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。

    [式(1A)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。]
  3. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(1B)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。

    [式(1B)中、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。]
  4. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(1C)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。

    [式(1C)中、Q、Q、Q、Q、Z、Z、Z、Z、及びRは、前記と同義である。
    n1は、2~5の整数を表す。]
  5. 前記式(1A)で表される化合物が、下記式(1Aa)で表される化合物又は下記式(1Ab)で表される化合物である、請求項2に記載の化合物。

    [式(1Aa)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
    は、置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-に置換されていてもよい。
    1a、Z2a、Z3a、及びZ4aは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。]

    [式(1Ab)中、Q、Q、Q、及びQは、前記と同義である。
    は、複素環を有する2価の連結基であり、当該連結基は、置換基を有していてもよい。
    1b、Z2b、Z3b、及びZ4bは、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部は、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されていてもよい。
    ただし、Z1b、Z2b、Z3b、及びZ4bの少なくとも1個は、ヒドロカルビレン基中の-CH-の一部が、-O-、-C(=O)-、-NHC(=O)-、又は-C(=O)NH-に置換されたヒドロカルビレン基である。当該ヒドロカルビレン基は、置換基を有していてもよい。]
  6. 前記式(B1)で表される基が、下記式(10a)、式(10b)、式(10c)、又は式(11)で表される化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。

    [式(10a)~(10c)中、R7a、R8a、R9a、R7b、R8b、R9b、R7c、R8c、及びR9cは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    ただし、R7a、R8a、及びR9aのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7b、R8b、及びR9bのうち、少なくとも1個は水素原子である。R7c、R8c、及びR9cのうち、少なくとも1個は水素原子である。
    は、窒素原子又はCR10aを表す。
    10aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。]

    [式(11)中、R11は、水素原子又は置換基を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、CR12、N、NR13、S、又はOを表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R12及びR13が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    なお、式(11)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
  7. 前記式(B2)で表される基が、下記式(12)で表される化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。

    [式(12)中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、N、NR14、又はCR15を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R14及びR15が複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    は、炭素原子又は窒素原子を表す。
    10は、O、OH、又は水素原子を表す。
    なお、式(12)において、実線と破線との二重線で表される結合は、それぞれ単結合及び二重結合からなる群から任意に選択される。]
  8. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。

    [式(2)中、R、R、R、R、Q、Q、Q、Z、Z、及びZは、前記と同義である。
    1Aは、-CH-又は-C(=O)-を表す。
    は、置換基を有していてもよい2価の炭素原子数2~8個である連結基を表す。
    -Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qは、下記式(15a)、式(15b)、式(15c)、式(15d)、及び式(15e)で表される基からなる群より選ばれる基を表す。ただし、-Z-Q、-Z-Q、及び-Z-Qの少なくとも1個は、下記式(15c)、式(15d)、又は式(15e)で表される基である。

    (式(15a)、(15b)、(15c)、(15d)、及び(15e)中、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。なお、*は、結合手を表す。)]
  9. 金属元素と、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物に由来する配位子とを有する、金属錯体。
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