JP2024037282A - 腐食モニタリング方法、および腐食モニタリング装置 - Google Patents

腐食モニタリング方法、および腐食モニタリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】精度よく腐食状態をモニタリングすること。【解決手段】腐食モニタリング方法は、蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部内の凝縮水のpH、凝縮水の塩化物イオン濃度、および隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定し、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位からシミュレーションにより、隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する。また、腐食モニタリング装置は、蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部を有する凝縮水貯留部と、隙間模擬部の凝縮水のpHを測定するpHセンサーと、凝縮水の塩化物イオン濃度を測定する塩化物イオンセンサーと、隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定する腐食電位センサーと、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位からシミュレーションにより蒸気タービンが有する隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する予測装置と、を備える。【選択図】図9

Description

本開示は、腐食モニタリング方法、および腐食モニタリング装置に関する。
金属製のタービンを用いた地熱発電および火力発電が広く知られている。地熱発電および火力発電では、高温の蒸気がタービンに導入され、当該蒸気でタービンが回転することで発電する。また、仕事を終えた蒸気は冷却され、凝縮水になる。
当該蒸気および凝縮水には、塩化物および硫化水素等の金属を腐食させる腐食成分が含まれる。タービンを構成する部材の腐食が進行すると、当該部材に応力腐食割れ等の割れが発生するおそれがある。特に、隙間腐食等の局部腐食は、全面腐食に比べて腐食の発生および速度が予測し難い。かかる隙間腐食による損傷を防ぐためには、凝縮水の水質を測定することによりタービンの腐食状態をモニタリングすることが効果的である。しかし、タービンは高速回転体であるため、運転中のダービン内に存在する凝縮水の水質を直接測定することは極めて難しい。また、例えば定期点検によるタービンの運転停止は、一般的に数年に一度程度である。このため、定期点検までの期間におけるタービンの腐食状態を把握することが難しい。かかる問題の解決方法として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1では、実機のタービンの隙間を模擬した隙間模擬部を有する構造体を用いて、実機のタービン内の蒸気を冷却して得られる凝縮水を当該構造体に導入する。そして、構造体の材料の電位、構造体内の凝縮水の塩化物イオン濃度、および構造体内の凝縮水のpHを継続的に測定することにより、構造体の腐食状態を把握する。構造体の腐食状態を把握することで、実機タービンの腐食状態を疑似的に把握することができる。
特開2012-168118号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、構造体の材料の電位、構造体内の凝縮水の塩化物イオン濃度、および凝縮水のpHの計測結果から腐食状態を直接的に予測するため、腐食状態を精度よく判断することが難しい。
上記課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る腐食モニタリング方法は、蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部内の凝縮水のpH、前記凝縮水の塩化物イオン濃度、および前記隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定し、前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位からシミュレーションにより、前記隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する。
また、本開示の好適な態様に係る腐食モニタリング装置は、蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部を有する凝縮水貯留部と、前記隙間模擬部の凝縮水のpHを測定するpHセンサーと、前記凝縮水の塩化物イオン濃度を測定する塩化物イオンセンサーと、前記隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定する腐食電位センサーと、前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位からシミュレーションにより前記蒸気タービンが有する前記隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する予測装置と、を備える。
本開示によれば、精度よく腐食状態をモニタリングすることができる。
第1実施形態の腐食モニタリング装置および蒸気タービンを概念的に示す図である。 センサブロックの一例を示す断面図である。 図2中の領域Aの拡大図である。 図2中のB-B線に対応する断面図である。 図2中の下方からセンサブロックを見た図である。 図2に示すセンサヘッドをセンサヘッド受け部に対して軸方向に回転させた状態を示す図である。 予測装置の構成を示すブロック図である。 予測装置が実現する機能を示すブロック図である。 第1実施形態の予測モニタリング方法の流れを示す図である。 図9に示す予測モニタリング方法の詳細を示す図である。 第2実施形態の腐食モニタリング方法の流れを示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
1.第1実施形態
1-1.腐食モニタリング装置10および蒸気タービン20の概略
図1は、第1実施形態の腐食モニタリング装置10および蒸気タービン20を概念的に示す図である。図1に示す腐食モニタリング装置10は、蒸気タービン20を備える発電設備において、蒸気タービン20内の凝縮水の水質、具体的には凝縮水中の腐食因子を測定することにより、蒸気タービン20の腐食状態をモニタリングする装置である。なお、以下の例では、蒸気タービン20が地熱タービンである場合を例に説明するが、蒸気タービン20はガスタービン等であってもよい。また、腐食因子としては、pH、塩化物イオン、およびタービン材の腐食電位が挙げられる。
図1に示すように、蒸気タービン20は、ケーシング21とタービン翼22とを有する。ケーシング21は、タービン翼22を収容する。蒸気タービン20は、例えば、地熱タービン装置である。蒸気タービン20は、地熱蒸気の持つ熱エネルギーを回転エネルギーに変える。図示はしないが、地熱蒸気は、生産井から供給され、高圧セパレータで蒸気と熱水とに分離され、分離された蒸気は洗浄された後、スクラバーを介して蒸気タービン20に供給される。蒸気タービン20に供給された蒸気によってタービン翼22が回転する。また、図示はしないが、仕事を終えた蒸気は、復水器で冷却されて凝縮水になる。当該蒸気および凝縮水には、硫化水素および塩化物等の金属を腐食させる腐食性成分が含まれる。
蒸気タービン20は、例えば、蒸気の流入する順に高圧部および低圧部を有する。タービン翼22のうち、高圧部に存在する翼が高圧翼と称され、低圧部に存在する翼が低圧翼と称される。また、詳細な図示しないが、タービン翼22の低圧翼は、ケーシング21に固定された静翼と、タービンローターに固定された動翼とを有する。
蒸気タービン20が有する部材の材料としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)等の金属および合金が挙げられる。具体的には例えば、ケーシング21およびタービンローターは、1%CrMoV鋼で形成される。タービン翼22は、13%Cr鋼で形成される。なお、蒸気タービン20が有する部材とは、ケーシング21、タービン翼22およびタービンローター等である。
かかる蒸気タービン20では、蒸気タービン20が有する部材同士に隙間が存在する。例えば、動翼とタービンローターとの接合部分に隙間が生じる。具体的には、タービンローターには溝が設けられており、当該溝に動翼の脚部が挿入されている。このタービンローターの溝を形成する部分と動翼の脚部との間に、隙間が存在する。
隙間が存在すると、隙間に存在する凝縮水の塩化物イオン濃度の増加およびpHの低下が生じる。このため、隙間が存在すると、隙間を形成する部材に隙間腐食が発生し、加速する。隙間腐食が加速すると、隙間を形成する部材に応力割れが生じるおそれがある。応力割れの発生を防ぐためには、現在の腐食量の把握、および隙間腐食の進行度すなわち将来の腐食量の予測し、対策を講じることが重要である。腐食モニタリング装置10によれば、現在の腐食量の把握、および将来の腐食量の予測を行うことができる
図1に示す腐食モニタリング装置10は、蒸気タービン20の外部に設置される。腐食モニタリング装置10は、蒸気抽出部11と、凝縮水貯留部12と、センサー群13と、蒸気冷却部14と、予測装置15と、を有する。
蒸気抽出部11は、例えば、蒸気タービン20の低圧部内の蒸気を抽出する。蒸気抽出部11は、ケーシング21の内部から外部に延び、蒸気が通過する管を有する。蒸気抽出部11に抽出された蒸気は、蒸気抽出部11で冷却され、凝縮水になる。また、凝縮水貯留部12は、蒸気抽出部11に接続される。凝縮水貯留部12は、凝縮水を貯留する隙間模擬部34を有する。隙間模擬部34は、蒸気タービン20の有する前述の隙間を模擬している。
センサー群13は、凝縮水中の腐食因子を測定する。センサー群13は、pHセンサー13aと、塩化物イオンセンサー13cと、腐食電位センサー13bとを有する。pHセンサー13aを用いて蒸気抽出部11内の凝縮水のpHが測定される。塩化物イオンセンサー13cを用いて蒸気抽出部11内の凝縮水の塩化物イオン濃度が測定される。腐食電位センサー13bを用いて隙間模擬部34を形成する部材の腐食電位が測定される。pHは、凝縮水中の水素イオンの増加により酸性側に傾く。pHが酸性側に傾くほど、腐食し易くなる。塩化物イオン濃度の上昇は、塩化物の生成、および水素イオン濃度の上昇をもたらす。塩化物イオン濃度が上昇するほど、腐食し易くなる。腐食電位は、蒸気タービン20が有する部材に接する凝縮水に対する腐食性を表す。腐食電位が大きいほど、自然電位から離れ、腐食し易くなる。
また、腐食モニタリング装置10は、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13cおよび腐食電位センサー13bの隙間模擬部34内の凝縮水への接触と非接触とを切替えることが可能なよう構成されている。このため、腐食モニタリング装置10では、各センサーによる測定が可能なセンシング状態と、各センサーによる測定が行われない非センシング状態とを切り替えることができる。すなわち、腐食モニタリング装置10は、各センサーによる間欠測定が可能なよう構成されている。
蒸気冷却部14は、蒸気抽出部11に接続されており、蒸気抽出部11内の蒸気を冷却する。なお、蒸気冷却部14は、凝縮水貯留部12に接続されていてもよく、この場合、凝縮水貯留部12で蒸気は凝縮水になる。蒸気冷却部14は、例えば冷却水循環装置を有する。また、予測装置15は、センサー群13からの測定結果に基づき、蒸気タービン20の将来の腐食量を予測する。予測装置15による将来の腐食量の予測は、センサー群13の測定毎に実行される。予測装置15は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成される。
1-2.腐食モニタリング装置10が有するセンサブロック30の構成
図2は、センサブロック30の一例を示す断面図である。図3は、図2中の領域Aの拡大図である。図4は、図2中のB-B線に対応する断面図である。図5は、図2中の下方からセンサブロック30を見た図である。図6は、図2に示すセンサヘッド33をセンサヘッド受け部32に対して軸方向に回転させた状態を示す図である。
図2に示すセンサブロック30は、ほぼ円筒状の構造体である。図2に示すように、センサブロック30は、蓋体31と、センサヘッド受け部32と、センサヘッド33と、センサー群13とを有する。図2および図3に示すように、蓋体31およびセンサヘッド受け部32は、前述の凝縮水貯留部12を構成する。蓋体31とセンサヘッド受け部32との間には隙間模擬部34が存在する。隙間模擬部34は、例えば、タービン翼22の脚部とタービンローターとの間の隙間を模擬している。なお、隙間模擬部34が模擬する隙間はこれに限定されない。
また、センサヘッド受け部32およびセンサヘッド33は、センシング状態と非センシング状態とを切り替える切替部300を構成する、センサヘッド33は、センサヘッド受け部32に対して軸方向に回転可能に構成される。センサヘッド受け部32に対するセンサヘッド33の回転により、図2に示すセンシング状態と図6に示す非センシング状態とを切り替えることができる。
センサブロック30の材料は、蒸気タービン20が有する部材の材料との違いによる腐食状態の違いを排除するよう、蒸気タービン20が有する部材の材料と同様であることが好ましい。例えば、蓋体31は、1%CrMoV鋼で形成され、センサヘッド受け部32およびセンサヘッド33は、13%Cr鋼で形成される。なお、蓋体31、センサヘッド受け部32およびセンサヘッド33の各材料はこの具体例に限定されない。以下、センサブロック30の各部について説明する。
図2に示すように、蓋体31は、ほぼ円柱状の部材である。図3に示すように、蓋体31は、一方の端面31Aと他方の端面31Cとを有する。蓋体31の一方の端面31Aは、外縁部に対して中央部が突出するよう段加工されている。
図2に示すように、蓋体31には、凝縮水供給部311と、凝縮水排出部312と、熱電対313とが接続される。凝縮水供給部311は、管状の部材であり、蒸気抽出部11が有する管に接続される。凝縮水排出部312は、管状の部材であり、例えば図示しない復水器に接続される。凝縮水供給部311、および凝縮水排出部312のそれぞれは、蓋体31を貫通する貫通孔内に設けられており、図3に示すように、端面31Aの外縁部に開口している。また、図2に示すように、熱電対313は、蓋体31を貫通する貫通孔内に設けられる。熱電対313は、温度センサーとして機能する。熱電対313は、隙間模擬部34内の凝縮水の温度を測定する。なお、熱電対313は、蓋体31以外の部材に設けられてもよい。
センサヘッド受け部32は、有底円筒状の部材である。図2または3に示すように、センサヘッド受け部32は、底面32Bと、内側底面32Eと、内側側面32Dとを有する。図3に示すように、底面32Bは、蓋体31の端面31Aに対向する。底面32Bは、外縁部に対して中央部が凹むよう段加工されている。底面32Bの凹んだ中央部と、端面31Aの突出した中央部とが嵌合した状態で、蓋体31とセンサヘッド受け部32とはネジ41で固定される。また、内側側面32Dおよび内側底面32Eは、後述のセンサヘッド33に接触する。
図4に示すように、センサヘッド受け部32の底部には、複数の貫通孔321a、321b、321cおよび321dが設けられる。貫通孔321a、321b、321cおよび321dは、図3に示す隙間模擬部34に連通している。
図3に示すように、隙間模擬部34は、底面32Bの凹んだ中央部と、端面31Aの突出した中央部との間に形成される。隙間模擬部34は、底面32Bの凹んだ中央部と端面31Aの突出した中央部との間に形成された空間である。別の言い方をすると、隙間模擬部34は、蓋体31とセンサヘッド受け部32との間に形成される。したがって、蓋体31およびセンサヘッド受け部32のそれぞれは、「隙間模擬部34を形成する部材」に相当する。また、隙間模擬部34の高さは、ほぼ一定である。なお、隙間模擬部34の高さとは、底面32Bの凹んだ中央部と、端面31Aの突出した中央部との間の距離である。当該高さは、例えば、0.05mm以上0.3mm以下である。
また、底面32Bの凹んだ中央部の径は、端面31Aの突出した中央部の径よりも大きい。このため、隙間模擬部34の周囲には、隙間模擬部34の高さよりも高い環状流路35が設けられている。環状流路35は、隙間模擬部34の外周を囲んでいる。また、環状流路35は、その全周で隙間模擬部34と連通している。なお、環状流路35は、端面31Aの外縁部と、底面32Bの凹んだ中央部と、端面31Aの突出した中央部と外縁部とを接続する壁面31Bと、底面32Bの凹んだ中央部と外縁部とを接続する壁面32Cとで囲まれた空間である。
凝縮水供給部311からセンサブロック30内に供給された凝縮水は、環状流路35から隙間模擬部34に供給される。また、隙間模擬部34に存在する凝縮水は、環状流路35を通過して凝縮水排出部312へと流れる。
隙間模擬部34の高さは環状流路35の高さに比べて非常に小さい。このため、隙間模擬部34は、環状流路35に比べて酸素の供給が乏しい。それゆえ、隙間模擬部34は、環状流路35に比べて溶存酸素濃度が低下し易い。溶存酸素濃度が低下すると、隙間模擬部34を形成する蓋体31およびセンサヘッド受け部32に含まれる鉄等の金属が、凝縮水中で陽イオンになり易い。この結果、蓋体31およびセンサヘッド受け部32のうち隙間模擬部34を形成する部分、すなわち凝縮水に接触する部分に腐食が発生する。さらに、凝縮水に含まれる塩化物イオン等の陰イオンは、当該陽イオンに引き寄される。この結果、蓋体31およびセンサヘッド受け部32のうち隙間模擬部34を形成する部分の腐食が加速する。
図2に示すセンサヘッド33は、ほぼ円柱状である。センサヘッド33は、センサヘッド受け部32の内側に回転可能にはめ込まれている。また、図5に示すように、センサヘッド33には、レバー332が設けられる。レバー332を操作することで、センサヘッド33をセンサヘッド受け部32に対して軸周りに回転させることができる。また、図2または図3に示すように、センサヘッド33は、外側面33Aと、一方の端面33Bと、他方の端面33Cとを有する。外側面33Aは、センサヘッド受け部32の内側側面32Dに接触している。一方の端面33Bは、センサヘッド受け部32の内側底面32Eに接触している。
図2または図5に示すように、センサヘッド33は、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、腐食電位センサー13bおよび参照電極13dを保持する。pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、腐食電位センサー13bおよび参照電極13dのそれぞれは、センサヘッド33を貫通する貫通孔内に設けられる。各貫通孔は、センサヘッド33の軸方向に平行である。図2、5または6に示すように、各貫通孔は、2段階に構成される。pHセンサー13aが設けられる貫通孔は、凝縮水流入部331aと、これに連通するセンサー保持部333aとを有する。塩化物イオンセンサー13cが設けられる貫通孔は、凝縮水流入部331cと、これに連通するセンサー保持部333cとを有する。腐食電位センサー13bが設けられる貫通孔は、凝縮水流入部331bと、これに連通するセンサー保持部333bとを有する。参照電極13dが設けられる貫通孔は、凝縮水流入部331dと、これに連通するセンサー保持部333dとを有する。
図2または図6に示すように、凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dは、センサー保持部333a、333b、333cおよび333dよりもセンサヘッド受け部32の近くに位置する。凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dの各径は、センサー保持部333a、333b、333cおよび333dの各径よりも小さい。凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dの各径は、例えば1.5mm以上3mm以下である。また、凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dは、センサヘッド受け部32が有する貫通孔321a、321b、321cおよび321dに対応している。
図2または図6に示すように、センサー保持部333a、333b、333cおよび333dは、対応するセンサーを着脱可能に保持する。センサー保持部333a、333b、333cおよび333dの各径は、対応するセンサーの径に適合する大きさであればよい。また、各センサーの基部は、交換可能なよう、センサヘッド33の端面33Cから突出している。また、各センサーは、前述の予測装置15に電気的に接続される。
また、pHセンサー13aの先端部は、凝縮水流入部331aに流入する凝縮水に接触可能な位置に設けられる。参照電極13dの先端部は、凝縮水流入部331dに流入する凝縮水に接触可能な位置に設けられる。同様に、塩化物イオンセンサー13cの先端部は、凝縮水流入部331bに流入する凝縮水に接触可能な位置に設けられる。腐食電位センサー13bの先端部は、凝縮水流入部331cに流入する凝縮水に接触可能な位置に設けられる。
かかるセンサヘッド33には、前述のように、レバー332が設けられる。当該レバー332を操作することで、センサブロック30をセンシング状態と非センシング状態とに切り替えることができる。具体的には、図5の実線で示す状態から2点鎖線で示す状態にレバー332を動かすことで、図2に示す状態から図6に示す状態にセンサヘッド33を回転させることができる。
図2に示すセンシング状態では、貫通孔321aと凝縮水流入部331aとが連通し、貫通孔321dと凝縮水流入部331dとが連通する。同様に、貫通孔321bと凝縮水流入部331bとが連通し、貫通孔321cと凝縮水流入部331cとが連通する。前述のように貫通孔321a、321b、321cおよび321dは、隙間模擬部34に連通している。このため、センシング状態では、隙間模擬部34内の凝縮水が、凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dに流入する。この結果、各センサーが凝縮水に接触し、センシングが可能になる。
図6に示す非センシング状態では、貫通孔321bと凝縮水流入部331bとは連通していない状態であり、貫通孔321cと凝縮水流入部331cとは連通していない状態である。同様に、貫通孔321aと凝縮水流入部331aとは連通していない状態であり、貫通孔321dと凝縮水流入部331dとは連通していない状態である。したがって、凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dの各開口は、センサヘッド受け部32により閉塞される。このため、各センサーは凝縮水に接触しない。よって、センシングが行われない。
なお、センサヘッド33の回転は、レバー332により手動に行なわれてもよいが、モーター等により自動で行われてもよい。なお、自動である場合、モーターの制御は、予測装置15で行われる。
また、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、腐食電位センサー13b、および参照電極13dの配置関係は、図5に示す配置に限定されない。また、センサー群13は、センサー群13は、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、および腐食電位センサー13b以外のセンサーを有してもよい。また、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、および腐食電位センサー13bの各構成によっては、参照電極13dは省略してもよい。なお、貫通孔321a、321b、321cおよび321dと凝縮水流入部331a、331b、331cおよび331dとは、それぞれセンサーに対応して配置される。したがって、当該貫通孔の数および凝縮水流入部の数は、センサーの数と等しければ、いくつであってもよい。
pHセンサー13aを用いたpHの測定様式、塩化物イオンセンサー13cを用いた塩化物イオンの測定様式、および腐食電位センサー13bを用いた腐食電位の測定様式は、特に限定されない。本実施形態では、例えば、pHセンサー13aは金属電極を含み、当該金属電極と参照電極13dとの電位差に基づいてpHが算出される。同様に、塩化物イオンセンサー13cは金属電極を含み、当該金属電極と参照電極13dとの電位差に基づいて塩化物イオン濃度が算出される。また、腐食電位センサー13bは金属電極を含み、当該金属電極と参照電極13dとの電位差に基づいて腐食電位が算出される。
1-3.予測装置15
図7は、予測装置15の構成を示すブロック図である。予測装置15は例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。図7に示すように、予測装置15は、プロセッサー151と、記憶装置152と、通信装置153と、出力装置154と、入力装置155とを含む。なお、これらは、互いに伝送路で接続されており、互いに通信可能である。
プロセッサー151は、記憶装置152に格納されているプログラムに従って動作し、通信装置153、出力装置154および入力装置155の各動作を制御する。なお、上記プログラムは、フラッシュメモリ等の記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。
記憶装置152は、プロセッサー151が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置152は、各種プログラムおよび各種データを記憶する。記憶装置152は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリ素子とハードディスクドライブ等の外部記憶装置とを含む。また、記憶装置152は、プロセッサー151から入力される演算結果、および通信装置153から入力される情報を格納する。
具体的には、記憶装置152には、予測プログラムP1と、シミュレーションモデルD1と、電位電流密度曲線データD2とが記憶される。予測プログラムP1は、予測装置15に将来の腐食量の算出を実行させる。シミュレーションモデルD1は、蒸気タービン20の隙間を形成する部分の形状および材料を模擬したモデルである。シミュレーションモデルD1は、有限要素法、または熱力学的手法により作成される。電位電流密度曲線データD2は、あらかじめ測定しておいた当該部分の材料の電位電流密度曲線のデータである。
通信装置153は、有線LANまたは無線LANを介して他の装置と通信するためのハードウェアであり、集積回路、コネクタおよびアンテナ等により構成されている。通信装置153は、プロセッサー151の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサー151または記憶装置152に入力し、他の装置に情報を送信する。出力装置154は、外部デバイスへのデータの出力を行う出力コントローラを含む。出力装置154は、例えばGPU(Graphic Processing Unit)を含む。出力装置154は、プロセッサー151の制御に基づいて、画像データを生成し、所望のディスプレイ等に画像を表示させる。入力装置155は、外部デバイスからのデータの入力を受け付ける入力コントローラを含む。当該外部デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力デバイスがある。入力装置155は、プロセッサー151の制御に基づいて、入力デバイスをユーザーが操作することにより入力されるデータを取得する。
図8は、予測装置15が実現する機能を示すブロック図である。図8に示す予測装置15は、機能的に、取得部101、物理量算出部102、シミュレーション実行部103、判定部104、フィードバック部105および通知部106を有する。これら機能部は、主に、予測装置15に含まれるプロセッサーが予測プログラムP1を実行し、必要に応じて出力装置154および入力装置155の動作を制御することにより実現される。
取得部101は、センサー群13から各種測定結果を取得する。具体的には例えば、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、腐食電位センサー13b、および参照電極13dで測定された各電位である。
物理量算出部102は、取得部101が取得した測定結果を基にして腐食因子に関する物理量を演算する。当該物理量としては、凝縮水のpH、凝縮水中の塩化物イオン濃度、および隙間模擬部34を形成する部材の腐食電位が挙げられる。この測定結果を基にした腐食因子に関する物理量を「現在の物理量」と称する。
シミュレーション実行部103は、蒸気タービン20の将来の腐食量の予測等を行う。具体的には、シミュレーション実行部103は、物理量をインプットデータとし、シミュレーションモデルD1により、時間経過に伴って変化する腐食因子に関する物理量の変化を算出する。また、シミュレーション実行部103は、現在の物理量と電位電流密度曲線データD2とを用いて、現在の腐食量を算出する。また、シミュレーション実行部103は、時間経過に伴って変化する腐食因子に関する物理量の変化と現在の物理量と電位電流密度曲線データD2とを用いて、腐食量の変化および将来の腐食量を算出する。
判定部104は、将来の腐食量が所定範囲内であるか否かを判定する。フィードバック部105は、判定結果に応じて蒸気タービン20の運転を継続するか否か等を決定する。通知部106は、フィードバック部105によるフィードバック結果をユーザーに通知する。
以上説明した腐食モニタリング装置10は、隙間模擬部34を有する凝縮水貯留部12と、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、および腐食電位センサー13bと、隙間模擬部34の将来の腐食量を予測する予測装置15と、を備える。また、前述のように、隙間模擬部34は、実機である蒸気タービン20が有する隙間を模擬している。したがって、腐食モニタリング装置10では、凝縮水貯留部12内の凝縮水の腐食因子をモニタリングすることで、実機である蒸気タービン20内の凝縮水の腐食因子を疑似的にモニタリングすることができる。また。腐食モニタリング装置10によれば、隙間模擬部34における将来の腐食量が求まる。この将来の腐食量は、実機である蒸気タービン20が有する隙間における将来の腐食量に相当する。したがって、腐食モニタリング装置10により将来の腐食量を予測することで、実機である蒸気タービン20の腐食量を予測することができる。このため、実機の蒸気タービン20の隙間を模擬した隙間模擬部34を活用することで、蒸気タービン20を停止させることなく、蒸気タービン20の隙間腐食をモニタリングすることができる。
また、本実施形態では、前述のように、予測装置15は、各センサーから測定されたpH、塩化物イオン濃度、および腐食電位を用いて現在の腐食量を求め、かつ将来の腐食量を予測している。このため、隙間模擬部34を形成する部材の現在および将来の腐食状態を精度よく把握することができる。すなわち、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の腐食状態を精度よく把握することができる。具体的には、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の現在の腐食の発生の有無、現在の腐食の進行度合い、および将来の腐食の進行度合いを把握することができる。このため、腐食モニタリング装置10によれば、例えば、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材に応力腐食割れの割れが発生し得る時期を精度よく予測することができる。
これに対し、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位から腐食量を求めずに直接的に現在および将来の腐食量を把握することは難しい。すなわち、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位を測定することだけでは、現在の腐食の発生の有無、現在の腐食の進行度合い、および将来の腐食の進行度合いを把握することが難しい。
また、pHの低下、塩化物イオンの増加、および腐食電位の自然電位からの解離は、特に隙間腐食の進行を加速させる要因である。したがって、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位を用いて将来の腐食量を予測することで、将来の腐食量を高精度に予測することができる。
さらに、腐食モニタリング装置10では、時間経過に伴って変化する腐食因子に関する物理量の変化を予測し、当該物理量の変化を用いて将来の腐食量を予測している。一般的に、隙間腐食は、全面腐食に比べると腐食の発生および速度が予測し難い。溶存酸素の欠乏等により、全面腐食とは異なる腐食の発生および速度を示す。このため、シミュレーションモデルを用いて時間経過に伴って変化する腐食因子に関する物理量の変化を予測することで、将来の腐食量を高精度に予測することができる。
また、腐食モニタリング装置10では、センサー群13による測定が継続的でなく、間欠的に行われる。センサー群13が有する各センサーが継続的に凝縮水に触れた状態では、各センサーが腐食し易くなってしまう。このため、センサー群13による測定は、間欠的に行われることが好ましい。また、センサー群13による測定が間欠的に行われることで、非センシング時に、各センサーをセンサブロック30から取り外して洗浄することができる。洗浄することで、長期間、高精度に腐食モニタリングを実施することができる。
1-4.予測モニタリング方法
図9は、予測モニタリング方法の流れを示す図である。図9に示すように、予測モニタリング方法は、腐食因子を測定するステップS1と、将来の腐食量を予測するステップS2と、将来の腐食量が所定範囲内か否かを判定するステップS3と、判定に応じた処理をするステップS4と、を有する。この将来の腐食量を予測する予測モニタリングは、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位の測定ごとに行われる、
また、本実施形態では、ステップS2において、現在の腐食量を求め、かつ将来の腐食量を予測している。このため、腐食因子から直接的に蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の腐食状態を把握するよりも、当該腐食状態を精度よく把握することができる。
図10は、図9に示す予測モニタリング方法の詳細を示す図である。図9に示すステップS1は、図10に示すステップS11およびS12を含む。具体的にはまず、取得部101が、センサー群13から各種測定結果を取得する(ステップS11)。具体的には、取得部101は、pHセンサー13a、塩化物イオンセンサー13c、腐食電位センサー13b、および参照電極13dで測定された各電位を取得する。
次いで、物理量算出部102は、取得部101が取得した測定結果を基にして腐食因子に関する現在の物理量を演算する(ステップS12)。具体的には例えば、pHセンサー13aからの電位と参照電極13dからの電位との差に基づいて、凝縮水のpHを算出する。また、例えば、塩化物イオンセンサー13cからの電位と参照電極13dからの電位との差に基づいて、凝縮水中の塩化物イオン濃度を算出する。また、例えば、腐食電位センサー13bからの電位と参照電極13dからの電位との差に基づいて、隙間模擬部34を形成する部材の腐食電位を算出する。
なお、上記以外の方法でpH、塩化物イオン濃度および腐食電位を測定してもよい。
図9に示すステップS2は、図10に示すステップS21、S22、S23、S24およびS25を含む。具体的にはまず、シミュレーション実行部103が、記憶装置152からシミュレーションモデルD1を読み出す(S21)。次に、シミュレーション実行部103は、電位電流密度曲線データD2を読み出す(S22)。なお、ステップS21の前にステップS22が実行されてもよく、ステップS21とステップS22とは並行して行われてもよい。また、例えば、ステップS1よりも前にステップS21またはステップS22が実行されてもよい。
次に、シミュレーション実行部103は、ステップS12で得られた物理量をインプットデータとし、シミュレーションモデルD1により、時間経過に伴って変化する腐食因子に関する物理量の変化を演算する(ステップS23)。次に、シミュレーション実行部103は、現在の物理量と電位電流密度曲線データD2とを用いて、ステップS12で求めた現在の腐食量を算出する(ステップS24)。電位電流密度曲線データD2を用いることで、腐食電位から電流密度が算出される。なお、ステップS23の前にステップS24が実行されてもよく、ステップS23とステップS24とは並行して行われてもよい。
次に、シミュレーション実行部103は、将来の腐食量を算出する(ステップS25)。具体的には、ステップS23で求めた物理量の変化と、ステップS24で求めた現在の腐食量と、電位電流密度曲線データD2とを用いて、物理量の変化に応じた腐食量の変化を算出する。腐食量の変化が求まることで、例えば、数年後の将来の腐食量が求まる。したがって、ステップS12で得られた物理量と、シミュレーションモデルD1と、電位電流密度曲線データD2とを用いることで、将来の腐食量を算出することができる。
ステップS3では、ステップS25で求めた将来の腐食量が、所定閾値以上であるか否かを判定する。所定閾値は、例えば、隙間模擬部34を形成する部材、すなわち蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材に応じて設定される。将来の腐食量が所定閾値以上である場合、想定よりも腐食が進行していることを示す。一方、将来の腐食量が所定閾値未満である場合、想定通りまたはそれよりも緩やかに腐食が進行していることを示す。
ステップS4は、ステップS41、S42、S43およびS44を含む。ステップS3での判定結果が所定閾値以上でない、すなわち所定閾値未満である場合(ステップS3、No)、ステップS41に進む。ステップS41では、フィードバック部105は、蒸気タービン20の運転を継続することを決定する。次に、ステップS42では、通知部106は、運転を継続するというフィードバック結果を出力装置154に表示させることにより、運転の継続についてユーザーに通知する。
一方、ステップS3での判定結果が所定閾値以上である場合(ステップS3、Yes)、ステップS43に進む。ステップS43では、フィードバック部105は、蒸気タービン20の運転を停止することを決定する。次に、ステップS44では、通知部106は、運転を停止するというフィードバック結果を出力装置154に表示させることにより、運転の停止についてユーザーに通知する。また、通知部106は、ブザー等によりユーザーに運転の停止を通知してもよい。この場合、ユーザーは、運転を停止し、蒸気タービン20の点検、補修および交換を実施する。
以上説明の腐食モニタリング方法は、ステップS1と、ステップS2とを有する。ステップS1では、隙間模擬部34内の凝縮水のpH、隙間模擬部34内の凝縮水の塩化物イオン濃度、隙間模擬部34を形成する部材の腐食電位を測定する。ステップS2では、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位からシミュレーションにより、蒸気タービン20が有する隙間模擬部34を形成する部材の将来の腐食量を予測する。当該将来の腐食量を予測することは、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の将来の腐食量を予測することに相当する。
本実施形態の腐食モニタリング方法では、各センサーから測定されたpH、塩化物イオン濃度、および腐食電位を用いて現在の腐食量を求め、かつ将来の腐食量を予測している。このため、隙間模擬部34を形成する部材の現在および将来の腐食状態を精度よく把握することができる。すなわち、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の腐食状態を精度よく把握することができる。具体的には、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材の現在の腐食の発生の有無、現在の腐食の進行度合い、および将来の腐食の進行度合いを把握することができる。このため、本実施形態の腐食モニタリング方法によれば、例えば、蒸気タービン20が有する隙間を形成する部材に応力腐食割れの割れが発生し得る時期を精度よく予測することができる。
さらに、前述もように、将来の腐食量の予測をするステップS2では、時間経過に伴う腐食因子の物理量の変化を求め(ステップS23)、当該物理量の変化を用いて将来の腐食量を予測する(ステップS25)。一般的に、隙間腐食は、全面腐食に比べると腐食の発生および速度が予測し難い。溶存酸素の欠乏等により、全面腐食とは異なる腐食の発生および速度を示す。このため、時間経過に伴って変化する腐食因子の物理量の変化を予測することで、将来の腐食量を高精度に予測することができる。
また、前述のように、ステップS11では、取得部101が、センサー群13から各種測定結果を取得する。この測定結果の取得は、継続的ではなく、間欠的に行われる。同様に、センサー群13による測定も継続的でなく、間欠的に行われる。センサー群13が有する各センサーが継続的に凝縮水に触れた状態では、各センサーが腐食し易くなってしまう。このため、センサー群13による測定、およびセンサー群13からの各種測定結果の取得は、間欠的に行われることが好ましい。また、センサー群13による測定が間欠的に行われることで、非センシング時に、各センサーをセンサブロック30から取り外して洗浄することができる。洗浄することで、長期間、高精度に腐食モニタリングを実施することができる。
以上の腐食モニタリング方法によれば、従来よりも長期間、高精度に腐食モニタリングを実施することができる。
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の第1実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図11は、第2実施形態の腐食モニタリング方法の流れを示す図である。本実施形態では、将来の腐食量に基づいて、センサー群13の間欠測定の間隔を決定する。
本実施形態の予測装置15の判定部104は、将来の腐食量がセンサー用の所定範囲内であるか否かを判定する。また、フィードバック部105は、例えば、将来の腐食量が閾値の半分よりも小さいか否かの判定結果に応じてセンサー群13の間欠測定の間隔を決定する。また、通知部106は、間欠測定の間隔をユーザーに通知する。
図11に示すように、本実施形態の腐食モニタリング方法では、ステップS3は、ステップS31とステップS32とを含む。ステップS31では、ステップS25で求めた将来の腐食量が、所定閾値内であるか否かを判定する。ステップS32では、ステップS25で求めた将来の腐食量が、所定閾値の半分以下であるか否かを判定する。将来の腐食量が所定閾値の半分以下である場合、想定よりも腐食が大幅に進行していないことを示す。一方、将来の腐食量が所定閾値の半分を超える場合、想定通りまたはそれよりも緩やかに腐食が進行していることを示す。なお、ステップS32では、将来の腐食量が所定閾値の半分以下であるか否かを判定しているが、判定の基準は、所定閾値の半分以下に限定されない。判定の基準は、例えば、所定閾値の1/3以下、または所定閾値の1/4以下等であってもよい。
ステップS4は、ステップS41、S42、S43、S44、S45、S46、S47、S48およびS49を含む。ステップS32において将来の腐食量が所定閾値の半分以下である場合(ステップS32、Yes)、ステップS41に進む。ステップS41では、フィードバック部105は、蒸気タービン20の運転を継続することを決定する。次に、ステップS45では、フィードバック部105は、センサーによる間欠測定の期間を現状の期間よりも長く設定する。ステップS46では、通知部106は、運転の継続および間欠測定期間の変更を出力装置154に表示させる。
一方、ステップS32において将来の腐食量が所定閾値の半分以下でない、すなわち所定閾値の半分を超える場合(ステップS32、No)、ステップS47に進む。フィードバック部105は、蒸気タービン20の運転を継続することを決定する。次に、ステップS48では、フィードバック部105は、センサーによる間欠測定の期間を現状の期間で維持することを決定する。ステップS49では、通知部106は、運転の継続を出力装置154に表示させる。
このように、本実施形態では、将来の腐食量に応じて、pH、塩化物イオン濃度、および腐食電位の測定間隔が決定される。このため、腐食が想定よりも大幅に進行していない場合には、測定間隔を延ばすことができる。それゆえ、各センサーが腐食することが抑制される。よって、各センサーの洗浄の回数を減らすことができる。また、長期間、高精度に腐食モニタリングを実施することができる。
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
10…腐食モニタリング装置、11…蒸気抽出部、12…凝縮水貯留部、13…センサー群、13a…pHセンサー、13b…腐食電位センサー、13c…塩化物イオンセンサー、13d…参照電極、14…蒸気冷却部、15…予測装置、20…蒸気タービン、21…ケーシング、22…タービン翼、30…センサブロック、31…蓋体、31A…端面、31B…壁面、31C…端面、32…センサヘッド受け部、32B…底面、32C…壁面、32D…内側側面、32E…内側底面、33…センサヘッド、33A…外側面、33B…端面、33C…端面、34…隙間模擬部、35…環状流路、41…ネジ、101…取得部、102…物理量算出部、103…シミュレーション実行部、104…判定部、105…フィードバック部、106…通知部、151…プロセッサー、152…記憶装置、153…通信装置、154…出力装置、155…入力装置、300…切替部、311…凝縮水供給部、312…凝縮水排出部、313…熱電対、321a…貫通孔、321b…貫通孔、321c…貫通孔、321d…貫通孔、331a…凝縮水流入部、331b…凝縮水流入部、331c…凝縮水流入部、331d…凝縮水流入部、332…レバー、333a…センサー保持部、333b…センサー保持部、333c…センサー保持部、333d…センサー保持部、D1…シミュレーションモデル、D2…電位電流密度曲線データ、P1…予測プログラム。

Claims (6)

  1. 蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部内の凝縮水のpH、前記凝縮水の塩化物イオン濃度、および前記隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定し、
    前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位からシミュレーションにより、前記隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する、
    腐食モニタリング方法。
  2. 前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位は、間欠的に測定され、
    前記シミュレーションによる予測は、前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位の測定ごとに行われる、
    請求項1に記載の腐食モニタリング方法。
  3. 前記将来の腐食量に応じて、前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位の測定間隔を決定する、
    請求項2に記載の腐食モニタリング方法。
  4. 前記将来の腐食量の予測では、
    前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位の時間経過に伴う変化を求め、
    前記時間経過に伴う変化を用いて前記将来の腐食量を予測する、
    請求項1に記載の腐食モニタリング方法。
  5. 蒸気タービンが有する部材同士の隙間を模擬した隙間模擬部を有する凝縮水貯留部と、
    前記隙間模擬部の凝縮水のpHを測定するpHセンサーと、
    前記凝縮水の塩化物イオン濃度を測定する塩化物イオンセンサーと、
    前記隙間模擬部を形成する部材の腐食電位を測定する腐食電位センサーと、
    前記pH、前記塩化物イオン濃度、および前記腐食電位からシミュレーションにより前記蒸気タービンが有する前記隙間模擬部を形成する部材の将来の腐食量を予測する予測装置と、を備える、
    腐食モニタリング装置。
  6. 前記pHセンサー、前記塩化物イオンセンサーおよび前記腐食電位センサーの前記凝縮水への接触および非接触を切り替える切替部を、さらに有する、
    請求項5に記載の腐食モニタリング装置。
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