JP2024032367A - 水系のインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水系のインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤色の彩度を向上させつつ、目詰まり回復性、及び再溶解性に優れるインクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】C.I.ピグメントレッド150と、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上と、を含む、水系のインクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水系のインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。そのなかで、色再現性の向上について種々の検討がされている。例えば、特許文献1には、インクジェットインクで良好な分散性、保存安定性が得られ、経時においてノズル詰まりがなく、優れた印字品質および色再現性を有し、その他インクジェットインクに要求される特性をバランス良く満たすインクジェットインクを提供することを目的として、着色成分として2種類のアゾ顔料、顔料分散樹脂、水、水溶性溶剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、該2種類のアゾ顔料の構成成分である特定の構造式を有する化合物のインク中の含有量が400ppm以下であることを特徴とし、該水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種である水性インクジェットインク、が開示されている。
特開2012-184334号公報
赤色の画像の印刷を行う場合に、赤色の視認性向上のために、赤色の彩度が高い印刷が求められていた。
より赤色の彩度が高いマゼンタインクを用いた印刷を可能にするための検討がなされてきた中で、赤色の彩度が高い顔料を用いる場合において、インク組成物の乾燥が進んだ場合に、乾燥したインクが再溶解性しにくい問題があった。さらにはインクジェットヘッドの目詰まりが発生する等の傾向もあった。そのため、赤色の彩度を向上させつつ、再溶解性や、目詰まり回復性などにも優れるインクジェットインク組成物が求められていた。
本発明のインクジェットインク組成物は、C.I.ピグメントレッド150と、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上と、を含む、水系のインクジェットインク組成物である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程を含む、インクジェット記録方法である。
インクジェット記録装置の1例の概略斜視図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態に係る水系のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、C.I.ピグメントレッド150と、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上と、を含む、水系のインクジェットインク組成物である。
赤色の画像の印刷を行う場合に、赤色の視認性向上のために、赤色の彩度が高い印刷が求められている。例えば、ビジネスインクジェットプリンタ(以下、「BIJプリンタ」ともいう。)は、ビジネス文書の機密表示や捺印部分の印刷の際の、赤色の視認性向上のために、赤色の彩度が高い印刷が求められている。また、ポップ印刷、及びポスター印刷等の特殊用紙印刷においても赤色の彩度の高い印刷物が望まれている。
また、BIJプリンタは卓上型のものが多く、設置場所に鑑み大型化が難しいことから、赤色の彩度を向上させるためには、レッドインク等の特色インクを追加するよりも、マゼンタインクの彩度を向上させることが好ましい。そのため、より赤色の彩度が高いマゼンタインクを用いた印刷を可能にすることが好ましい。
C.I.ピグメントレッド150(以下、単に「ピグメントレッド150」ともいう。)は、彩度の高い水不溶性アゾ系顔料である。ピグメントレッド150を顔料として用いることで、インクジェットインク組成物中の顔料濃度を必要以上に高くすることなく彩度の高い印刷が可能となる。
一方で、ピグメントレッド150は、インクの乾燥が進んだ場合に、インクジェットヘッドの目詰まりが発生しやすく、目詰まり回復性に劣る傾向にあり、他にも、インクの再溶解性に乏しくインクの相分離を生じさせやすい傾向もある。ピグメントレッド150がこのような特性を有する理由は、特に限定されないが、例えば、顔料合成時の不純物がインク組成物中で析出や結晶化しやすいことや、析出や結晶化した不純物が再溶解し難いことが原因の一つと考えられる。
そこで、本実施形態においては、ピグメントレッド150に加えて1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上を用いることにより、ピグメントレッド150の問題点が緩和され、目詰まり回復性、及び再溶解性等を向上させることができる。これにより、赤色の彩度を向上させることができるピグメントレッド150を、インクジェットインク用途に使用することが可能となる。
目詰まり回復性や再溶解性が向上する技術的メカニズムとしては、以下に限定されないが、上記の1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及び/又はε-カプロラクタムが、水と、その他の成分の相溶性を向上させることができることによるものと考えられる。ここで、その他の成分には、主に疎水性を有する成分が挙げられ、例えば、有機溶剤、界面活性剤、ピグメントレッド150に含まれる不純物が含まれてもよい。1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及び/又はε-カプロラクタムは、このような成分と水とを相溶しやすくすることで、異物化を抑制するものと考えられるが、作用機序はこれに限定されない。
本実施形態のインクジェットインク組成物は、マゼンタインクであることが好ましい。ここで、マゼンタインクとは、通常、シアンインク、イエローインク、及び必要に応じてブラックインクと共にインクセットとして用いられるインクを意味し、特に限定されないが、例えば、市販のインクカートリッジにおいて、一般的にマゼンタインクという名称が付されるインクや、マゼンタインクであることが想起されるインク全般を含む。
本実施形態のマゼンタインクは、例えば、白色のIJ用記録媒体(例えばセイコーエプソン製 写真用紙(光沢))に対して、記録媒体の表面全体にインク組成物が付着して記録媒体の地が残っていないような最少の付着量によりインク組成物を付着させた画像に対して、CIEに準ずるCIELAV表色系で、D50光源、視野角2°で測色したときに、色相角ΔH°が330~360であることが好ましい。上記測定に用いる測色機としては、特に限定されないが、例えば、GretagMacbeth製Spectrolino等が挙げられる。
本実施形態のインクジェットインク組成物は、マゼンタインク以外にも赤色の記録を行うことが可能なインクとして用いてもよい。マゼンタインク以外に、例えばレッドインクなどがあげられる。このうち、マゼンタインクとする場合、シアンインク、イエローインク、及び必要に応じてブラックインクと共に用いる基本色インクとすることで、インクの数を最小限として、赤色の彩度に優れる画像の記録ができ、好ましい。
本実施形態のインク組成物は、インクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに上記インクジェットインク組成物を供給する供給経路と、を備えるインクジェット記録装置であって、上記供給経路が、気液界面が生じる部分を有するインクジェット記録装置、に対して用いられることが好ましい。その中でも、上記気液界面が生じる部分が、フィルタ、弁、インクタンク、及びインク中継タンクからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。本実施形態のインク組成物は、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上を含むことにより、気液界面異物の発生を抑制することができるため、そのようなインクジェット記録装置に対して好適に用いることができる。なお、インクジェット記録装置の詳細については後述するとおりである。
以下、本実施形態のインク組成物の各成分についてそれぞれ詳説する。
1.1. C.I.ピグメントレッド150
C.I.ピグメントレッド150は、赤色の彩度の高い水不溶性アゾ系顔料である。C.I.ピグメントレッド150は、彩度に優れる反面、顔料合成時の不純物が原因となりインク組成物中で当該不純物が乾燥して不純物の析出、結晶化を起こしやすいと考えられる。
ピグメントレッド150の体積平均粒子径D50は、好ましくは60~140nmであり、さらに好ましくは80~120nmであり、より好ましくは85~115nmであり、さらに好ましくは90~110nmである。ピグメントレッド150の体積平均粒子径D50が上記以下であることにより目詰まり回復性に優れる傾向にあり、体積平均粒子径D50が上記以上であることにより、彩度がより向上する傾向にある。また、体積平均粒子径D50が上記以上であることにより、顔料合成時に顔料分散強度を上げ過ぎる必要がなく、それにより、顔料分散強度が高いほど発生する不純物の増加を防止することができる傾向にある。
ピグメントレッド150の体積平均粒子径D50を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、顔料を粉砕する処理や、顔料分散処理における顔料が粉砕される時間を長くすること等により、体積平均粒子径D50のより小さい顔料を得ることができる傾向にある。例えば、より具体的な内容について後述する実施例に記載のとおりである。
また、顔料の体積平均粒子径D50の測定手段としては、特に限定されないが、例えば、粒度分布計による測定等が挙げられる。測定に用いる測定装置としては、特に限定されないが、例えば、Microtrac社製、MT3300EXII等が挙げられる。レーザー回折・散乱法によるものである。
ピグメントレッド150の含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは2.0~8.0質量%である。さらには、好ましくは3.0~7.0質量%であり、より好ましくは4.0~7.0質量%であり、さらに好ましくは5.0~7.0質量%であり、よりさらに好ましくは5.5~6.5質量%である。
ピグメントレッドの含有量が、上記以上であることにより、彩度を向上させることができる傾向にあり、ピグメントレッドの含有量が、上記以下であることにより、目詰まり回復性に優れる傾向にある。
また、インクに含有する色材の総量100質量%に対するピグメントレッド150の質量が80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%でもよい。この場合、彩度をより向上させることができ、インクに含有する色材の総含有量を最小限にでき、好ましい。
1.2. 1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタム
本実施形態において、C.I.ピグメントレッド150と、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上を、ピグメントレッド150と併せて用いることにより、ピグメントレッド150の彩度を維持しつつ、ピグメントレッド150の分散液中の不純物等の析出、結晶化等を防止することができ、それにより、気液界面異物の発生抑制に優れ、また、目詰まり回復性、吐出安定性、再溶解性等に優れる傾向にある。
1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上の総含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは、0.5~15.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~10.0質量%である。さらには、好ましくは2.0~7.0質量%であり、より好ましくは2.5~6.0質量%であり、さらに好ましくは3.0~5.0質量%であり、よりさらに好ましくは3.5~4.5質量%である。1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上の総含有量が上記以上であることにより、気液界面異物の発生抑制に優れ、また、目詰まり回復性、吐出安定性、再溶解性等に優れる傾向にある。また、当該総含有量が上記以下であることにより、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドンやε-カプロラクタムが析出することを抑制でき、目詰まり回復性等に優れる傾向にある。
1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及び前記ε-カプロラクタムのいずれか1種以上の総含有量は、C.I.ピグメントレッド150の1.0質量部に対して、好ましくは0.1~3.0であり、より好ましくは0.2~2.8である。さらには、好ましくは0.3~2.5質量部であり、より好ましくは0.4~2.0質量部であり、さらに好ましくは0.5~1.5質量部であり、よりさらに好ましくは0.6~1.0質量部である。この場合、気液界面異物の発生抑制、目詰まり回復性、吐出安定性、再溶解性等がより優れ好ましい。
1.3.有機溶剤
本実施形態のインク組成物は有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、一価アルコール類、ポリアルコール類、及びグリコールエーテル類等が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一価アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、及び2-メチル-2-プロパノール等が挙げられる。
ポリアルコール類としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは9.0~23質量%であり、より好ましくは11~21質量%であり、さらに好ましくは13~19質量%であり、よりさらに好ましくは15~17質量%である。
有機溶剤は、標準沸点が280℃超の有機溶剤を含むことが好ましい。特にグリセリンを含むことが好ましい。標準沸点が280℃超の有機溶剤の含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、3質量%以上が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましく、12~17質量%が特に好ましい。この場合、目詰まり回復性、吐出安定性などがより優れ好ましい。
1.4.界面活性剤
本実施形態のインク組成物は界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤が相分離を起こすことがあり、吐出安定性等を低下させることがあるが、本実施形態のインク組成物は、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上を含むことにより、インク組成物中における界面活性剤の溶解を促進することができ、相分離を抑制することができる傾向にある。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~7.0質量%である。さらには、好ましくは0.2~6.0質量%であり、より好ましくは0.3~5.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~4.5質量%であり、よりさらに好ましくは1.0~4.0質量%である。
1.5.樹脂
本実施形態のインクジェットインクは、樹脂を含んでいてもよい。樹脂は、水溶性樹脂でも良く、樹脂エマルションの形態にて用いることが好ましい。樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系樹脂は、分子構造中にウレタン結合を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、及び主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系単量体を重合させたものや、スチレンアクリル樹脂等、(メタ)アクリル系単量体と他の単量体とを共重合させたもの等が挙げられる。
樹脂の含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは0.05~3.0質量%であり、より好ましくは0.1~2.0質量%であり、さらに好ましくは0.2~1.5質量%であり、よりさらに好ましくは0.3~1.0質量%である。
1.6.アルカリ
本実施形態のインク組成物はアルカリを含んでいてもよい。アルカリとしては、特に限定されないが、例えば、有機塩基及び無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、特に制限されないが、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が挙げられる。無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリの含有量は、インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~3.0質量%であり、より好ましくは0.2~2.0質量%であり、さらに好ましくは0.4~1.5質量%であり、よりさらに好ましくは0.6~1.0質量%である。
1.7.水
本実施形態のインク組成物に含まれる水は、好ましくはイオン性不純物を極力除去したものであり、そのような水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、及び蒸留水等が挙げられる。その中でも好ましくはイオン交換水である。本実施形態のインクジェットインク組成物は水系のインクである。水系のインクはインクに含有する主要な溶媒成分が少なくとも水を含むインクである。
水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは45質量%以上であり、さらに好ましくは50~95質量%である。さらには、好ましくは55~80質量%であり、より好ましくは60~75質量%であり、さらに好ましくは62.5~72.5質量%であり、よりさらに好ましくは65~70質量%である。
1.8.その他の成分
本実施形態のインク組成物は、上記の各成分の他に、従来のインク組成物に用いられ得る公知の成分を含んでもよい。そのような公知の成分としては、特に限定されないが、例えば、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える所定の金属イオンを捕獲するためのキレート化剤その他の添加剤、及び上記以外の有機溶剤等が挙げられる。その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2.インクジェット記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させる吐出工程を有し、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
吐出工程では、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に付着させる。より具体的には、インクジェットヘッド内に設けられた圧力発生手段を駆動させて、インクジェットヘッドの圧力発生室内に充填されたインクをノズルから吐出させる。このような吐出方法をインクジェット法ともいう。
吐出工程において用いるインクジェットヘッドとしては、ライン方式により記録を行うラインヘッドと、シリアル方式により記録を行うシリアルヘッドが挙げられ、何れも用いることができる。
ラインヘッドを用いたライン方式では、例えば、記録媒体の記録幅以上の幅を有するインクジェットヘッドを記録装置に固定する。そして、記録媒体を副走査方向(記録媒体の搬送方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、例えば、記録媒体の幅方向に移動可能なキャリッジにインクジェットヘッドを搭載する。そして、キャリッジを主走査方向(記録媒体の幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
本実施形態のインクジェット記録方法は、搬送工程を有していてもよい。搬送工程では、記録装置内で所定の方向に記録媒体を搬送する。より具体的には、記録装置内に設けられた搬送ローラーや搬送ベルトを用いて、記録装置の給紙部から排紙部へと記録媒体を搬送する。その搬送過程において、インクジェットヘッドから吐出されたインクが記録媒体に付着し、記録物が形成される。搬送は、連続的に行ってもよいし断続的に行ってもよい。また、吐出工程と搬送工程は同時に行ってもよいし、交互に行ってもよい。
3.インクジェット記録装置
上記本実施形態のインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに上記インクジェットインク組成物を供給する供給経路と、を少なくとも有し、上記インク組成物を上記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成することができるものであれば、特に限定されない。上記供給経路を構成する部分としては、特に限定されないが、例えば、インク収容体、及びその他の部分を含む。
図1は、本実施形態で用いることができるインクジェット記録装置の1例の概略斜視図である。インクジェット記録装置であるプリンター1は、インクジェットヘッド3と、インクジェットヘッド3を搭載するとともにインク収容体であるインクタンク7a~7dを着脱可能に装着するキャリッジ4と、キャリッジ4を媒体幅方向に往復移動させる主走査機構5と、記録媒体2を記録媒体送り方向にあるプラテンに移送するプラテンローラー6と、を有する。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有している。なお、媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)であり、媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8と、タイミングベルト8を駆動するモーター9と、主走査方向に架設された支持部材であるガイド軸10と、を備える。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動して、ガイド軸10に沿って主走査方向に往復移動するものである。
図1の例では、インクタンク7a~7dは、独立した4つのインクタンクからなる。インクタンク7a~7dには、例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの顔料を含有するインクジェットインク組成物がそれぞれ収容されている。図1の例では、インクタンクの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のインクタンクを搭載することができる。インクタンク7a~7dの底部にあるインクタンク内のインクを導出するための導出部(図示せず)から、インクジェットヘッド3へ、インクが供給される。
インクジェットヘッド3は、供給されたインクジェットインク組成物をインクジェットヘッド内に流通させる流路(図示せず)と、該流路に接続されインクを吐出するノズル(図示せず)と、を備える。インクタンクの導出部と、インクジェットヘッドの間は、例えばインク供給路により接続され、インクタンクからインクジェットヘッドにインク組成物が供給される。インクタンクは、図1では、キャリッジに配置されているが、これに限らず、キャリッジ以外の場所に配置されていてもよい。その場合も、インクタンクの導出部とインクジェットヘッドとの間は、インク供給路により接続されている。インク供給路は、2つの部品間を接続し、インク供給路の中をインクが通ることができ、2つの部品間でインクが供給されるものであればよく、例えばインクチューブなどである。
インク収容体としては、特に限定されないが、例えば、インクタンク、インク中継タンクなどがあげられる。
インクタンクは、インク供給路により、インクジェットヘッドと直接的または間接的に接続することが可能な部品であって、該インクタンクよりも上流側に、インクタンクと接続することが可能な部品としてのインク収容体を有さず、インクタンクに収容されたインクが、インクジェットヘッドに供給されるものである。
インクタンクは、例えば、インクカートリッジ、CISSタンク等が挙げられる。
インクカートリッジは、インクジェット記録装置に着脱することが可能な部品であり、インクパックなどであってもよい。
CISSタンクは、インク供給口を有し、CISSタンクとインク供給路で接続されない外部のインク容器から、インク供給口を介し、CISSタンクへインクが供給されるものである。
インク中継タンクは、インク供給路により、インクジェットヘッドと直接的または間接的に接続することが可能な部品であって、インク中継タンクよりも上流側にインク収容体が、インク供給路により接続され、接続されたインク収容体からインクがインク中継タンクに供給され、インク中継タンクからインクジェットヘッドにインクが供給されるものである。
インク収容体の内部は、インク層と空気層を有する場合や、気泡が発生し滞留する場合があり、気液界面が発生しやすい。
その他の部分としては、特に限定されないが、例えば、インク供給路、フィルタ、及び弁等が挙げられる。また、フィルタ及び/又は弁は、特に限定されないが、例えば、インク収容体からインクジェットヘッドまでの間、インク収容体、インクジェットヘッドなどに配置されていればよい。インク供給路に配置されていてもよい。
インクジェットヘッドに配置される場合、インクジェットヘッドにインク組成物が供給される供給口部分やインクジェットヘッド内に備えられていてもよい。なお、上記フィルタや弁は、気泡が滞留し気液界面が発生しやすい。
本実施形態のインクジェット記録装置においては、上記供給経路が、気液界面が生じる部分を有することが好ましく、その中でも、気液界面が生じる部分が、フィルタ、弁、インク収容体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。本実施形態のインク組成物は、気液界面異物発生の抑制等に優れるため、上記インクジェット記録装置が好適に用いられる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置としては、シリアル型およびライン型のいずれでも使用することができる。これらの型のインクジェット記録装置には、インクジェットヘッドが搭載されており、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、インクジェットヘッドのノズル孔からインク組成物の液滴を所定のタイミングで(間欠的に)かつ所定の体積(質量)で吐出させ、記録媒体にインク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
ここで一般に、シリアル型のインクジェット記録装置では、記録媒体の搬送方向と、インクジェットヘッドの往復動作の方向が交差しており、インクジェットヘッドの往復動作と記録媒体の搬送動作(往復動作も含む)との組み合わせによって、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。またこの場合、一般的には、インクジェットヘッドには複数のノズル孔(インク組成物を吐出する孔)が配置され、記録媒体の搬送方向に沿ってノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。また、インクジェットヘッドには、インク組成物の種類や数に応じて、複数のノズル列が形成される場合もある。
また、一般に、ライン型のインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドは往復動作を行わず、記録媒体の搬送によって記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させて、記録媒体とインクジェットヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。この場合においても、一般的には、インクジェットヘッドには、ノズル孔が複数配置され、記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って該ノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。
インクジェット記録装置におけるインクジェット記録方式は、上述したようなシリアル型またはライン型のインクジェット記録装置を用いるものであるが、方式としては、インク組成物を微細なノズル孔より液滴として吐出して該液滴を記録媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、インクジェット記録方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、等を挙げることができる。
なお、本実施形態で用いられるインクジェット記録装置には、特に限定されないが、例えば、加熱ユニット、乾燥ユニット、ロールユニット、巻き取り装置等の公知の構成を制限無く採用することができる。
4.記録媒体
本実施形態で用いる記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、吸収性記録媒体、低吸収性記録媒体、及び非吸収性記録媒体が挙げられる。
吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙等の普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)があげられる。
低吸収性記録媒体は、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムやプレート;鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート;又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート;紙製の基材にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムを接着(コーティング)した記録媒体等が挙げられる。
このうち、卓上型プリンターで多く用いられる点で、吸収性記録媒体が好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1.インクジェットインク組成物の調製
表1~2に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらにメンブランフィルターでろ過することにより実施例及び比較例のインクジェットインク組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。また、表1~2における顔料及び樹脂の含有量(質量%)については、固形分濃度を表す。
表1~2に示す材料は以下の通りである。
<顔料>
・P.R.150:富士色素社製、FUJI FAST CARMINE 522-1D
・P.V.19 :富士色素社製、FUJI VAIOLET 19
・P.R.122:富士色素社製、FUJI FAST RED 9800
<ラクタム化合物>
・HEP:1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン
・ε-CPL:ε-カプロラクタム
・2-ピロリドン
<有機溶剤>
・Gly:グリセリン
・TEG:トリエチレングリコール
・TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
<界面活性剤>
・オルフィンE1010:日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤
・サーフィノール104:エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製、アセチレングリコール系界面活性剤
<樹脂>
・スーパーフレックス420:第一工業製薬製、ウレタン系樹脂エマルション
<アルカリ>
・TEA:トリエタノールアミン
<純水>
・イオン交換水
表1~2に記載の各顔料分散処理方法について以下詳説する。
<処理1:顔料分散強度B>
顔料20質量%、スチレン-アクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物7質量%(酸価175mgKOH/g、分子量10000)に、純水を加え全体を100質量%とし、撹拌混合して混合物を得た。この混合物を、0.3mm径ジルコニアビーズを充填した湿式サンドミルに入れ、6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータにより取り除き、孔径3.0μmセルロースアセテートフィルターでろ過することにより、顔料分散液を作製した。なお、スチレン-アクリル酸共重合体は、一般に顔料の分散剤として用いられる水溶性のポリマーである。上記操作により得られた顔料分散液に対して、粒度分布計(Microtrac社製、MT3300EXII)を用いて体積平均粒子径D50を測定したところ、体積平均粒子径D50は100nmであった。
<処理2:顔料分散強度A>
また、分散処理時間をより長時間にした以外は、処理1と同様にして顔料分散液を作製した。上記操作により得られた顔料分散液に対して、粒度分布計(Microtrac社製、MT3300EXII)を用いて測定したところ、体積平均粒子径D50は80nmであった。
<処理3:顔料分散強度C>
分散処理時間をより短時間にした以外は、処理1と同様にして顔料分散液を作製した。上記操作により得られた顔料分散液に対して、粒度分布計(Microtrac社製、MT3300EXII)を用いて測定したところ、体積平均粒子径D50は120nmであった。
2.評価
2.1.マゼンタ彩度
インクジェット記録装置としてセイコーエプソン社製のインクジェット記録装置PX-S6010改造機を用意した。上記インクジェット記録装置は、インクカートリッジにインクを収容し、インクカートリッジとインクジェットヘッドの間にインク中継タンクを備え、またインクジェットヘッド内に、フィルタと弁を備えるように準備した。
上記インクジェット記録装置を用いて、実施例及び比較例の各インク組成物を充填して、記録媒体(A4サイズのXerox P紙、富士ゼロックス社製コピー用紙、坪量64g/m2、紙厚88μm)に対して、インク付着量4mg/inch2でテストパターンを記録して記録物を得た。上記記録物中の5箇所の彩度(C*)を、X-Rite社製の分光測色計Xrite i1により測定し、その平均値を求め、以下の評価基準に従って評価した。その評価結果を表1~2に示す。
[評価基準]
A:彩度(C*)が、60以上である。
B:彩度(C*)が、55以上60未満である。
C:彩度(C*)が、55未満である。
2.2.レッド彩度
上記インクジェット記録装置を用いて、実施例及び比較例の各インク組成物と、実施例1のインク組成物における顔料をイエロー顔料(C.I.Pigment Yellow 74)に変更した以外は同様の組成のインク組成物と、を100:0~0:100まで5%刻みで変化させ、記録媒体(A4サイズのXerox P紙、富士ゼロックス社製コピー用紙、坪量64g/m2、紙厚88μm)に対して、インク付着量4mg/inch2でテストパターンを記録して記録物を得た。上記記録物のうち、色相角が25°に最も近いものを、評価サンプルとした。上記評価サンプル中の5箇所の彩度(C*)を、X-Rite社製の分光測色計Xrite i1により測定し、その平均値を求め、以下の評価基準に従って評価した。その評価結果を表1~2に示す。
[評価基準]
A:彩度(C*)が、60以上である。
B:彩度(C*)が、55以上60未満である。
C:彩度(C*)が、55未満である。
2.3.気液界面異物測定
実施例及び比較例の各インク組成物をろ過し、ろ過したインク組成物を、50gスクリュー管に30g計量し、60℃で5日恒温放置した後に、常温(25℃)に戻した上、該インク組成物をフィルター通液して、ろ集した。そして、当該フィルター上を顕微鏡にて観察し、角質等の環境異物以外のインク組成物に由来する特異異物が発生していないか否かを確認し、以下の評価基準に従って評価した。その評価結果を表1~2に示す。
A:異物発生が見られない。
B:異物発生が見られる。
2.4.目詰まり回復性
上記インクジェット記録装置のインクカートリッジに、実施例及び比較例の各インク組成物を充填し、全ノズルよりインクが吐出できることを確認した後、インクジェットヘッドがプリンタに備えられたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態で、40℃、湿度20℃の環境下で7日間放置した。
放置後、インクジェットヘッドのクリーニングとしてノズル内のインクの吸引動作を繰り返し、全てのノズルが不吐出なく回復した時のクリーニング回数に基づいて、以下の評価基準により目詰まり回復性を評価した。その評価結果を表1~2に示す。
なお、上記インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドにインクが供給される供給口部分に、弁及びフィルタを備える。弁及びフィルタには気泡が滞留し気液界面となりやすい。
[評価基準]
A:クリーニング2回以内で全ノズルが回復する。
B:クリーニング3~4回で全ノズルが回復する。
C:クリーニング5~6回で全ノズルが回復する。
D:クリーニング6回で回復しないノズルがある。
2.5.吐出安定性
実施例及び比較例の各インク組成物をろ過、及び脱気後にインクパック化した上で、上記インクジェット記録装置にセッティングした。そして当該プリンタを30℃、20%の恒温恒湿槽に設置した。
記録は、上述の記録条件により1日に5時間連続して行い、記録しない間はインクジェットヘッドをキャップして停止した。当該操作を30日行い、30日後にノズル検査を行い、以下の評価基準により吐出安定性を評価した。
[評価基準]
A:吐出不良なノズル数が全ノズル中1.0%以下である。
B:吐出不良なノズル数が全ノズル中1.0%超3.0%以下である。
C:吐出不良なノズル数が全ノズル中3.0%超である。
2.6.再溶解性
実施例及び比較例の各インク組成物をスライドガラス上に2μl×5滴を滴下し、60℃で1日間乾燥させて乾燥インク滴を得た。そして、乾燥インク滴が付着したスライドガラスを容器中のインク組成物に浸漬させて、3分静置した後、当該容器を5回上下にひっくり返した後、上記容器から乾燥インク滴が付着したスライドガラスを取り出して、以下の評価基準により、再溶解性を評価した。
[評価基準]
A:乾燥インク滴がすべて再溶解する。
B:乾燥インク滴が再溶解するが、スライドガラス上に乾燥インク滴の残留が見られる。
C:乾燥インク滴が再溶解せず、スライドガラス状に固形のまま残っている。
2.7.相分離耐性
実施例及び比較例の各インク組成物をガラススクリュー管に入れ、60℃環境にて24時間放置した。その後、60℃環境から取り出し、インク組成物の液面に界面活性剤が分離し浮いているかを目視により確認し、以下の評価基準により、相分離耐性を評価した。
[評価基準]
A:界面活性剤の分離が見られない。
B:一部の界面活性剤が分離し、油浮きのような状態が見られる。
C:界面活性剤が完全に分離し、二層化している状態が見られる。
表1~2の評価結果から、実施例1~14はいずれも、ラクタム化合物を含まない比較例1、又は1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタム以外のラクタム化合物を含む比較例2と比較して、再溶解性に優れることがわかった。さらには、目詰まり回復性、吐出安定性、気液界面異物抑制、相分離耐性などにも優れていた。
また、表1~2において、参考例1~3は、ピグメントレッド150以外の顔料を用いた場合においてはいずれもレッド彩度が劣っていた。また、参考例3から、ピグメントレッド150以外の顔料を用いた場合においては、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上を用いない場合においても目詰まり回復性及び再溶解性が悪化しにくいことがわかった。
1…プリンター、2…記録媒体、3…インクジェットヘッド、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラー、7a~7d…インクタンク、8…タイミングベルト、9…モーター、10…ガイド軸

Claims (10)

  1. C.I.ピグメントレッド150と、
    1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及びε-カプロラクタムのいずれか1種以上と、を含む、
    水系のインクジェットインク組成物。
  2. 前記1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及び前記ε-カプロラクタムのいずれか1種以上の総含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、2.0~7.0質量%である、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記C.I.ピグメントレッド150の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、3.0~7.0質量%である、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  4. マゼンタインクである、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記C.I.ピグメントレッド150の体積平均粒子径D50が、80~120nmである、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン及び前記ε-カプロラクタムのいずれか1種以上の総含有量が、前記C.I.ピグメントレッド150の1質量部に対して、0.3~2.5質量部である、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 界面活性剤をさらに含み、
    前記界面活性剤の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.1~6.0質量%である、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  8. インクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに前記インクジェットインク組成物を供給する供給経路と、を備えるインクジェット記録装置に用いられるものであり、
    前記供給経路が、気液界面が生じる部分を有する、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記気液界面が生じる前記部分が、フィルタ、弁、インク収容体からなる群より選ばれる1種以上である、
    請求項8に記載のインクジェットインク組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程を含む、
    インクジェット記録方法。
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