JP2024030673A - 健常者の神経認知機能を改善させる方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品、医薬品、医薬部外品等としての使用に供した場合に、健常者の神経認知機能改善効果を発揮する、新規かつ安全性の高い神経認知機能改善剤を提供することを目的とする。【解決手段】ウリジル酸は、従来知られている老人性痴呆など老化及び/又は疾患に起因する急激に学習・記憶能が低下した者のみならず、健常者に対しても神経認知機能改善効果を奏する。すなわち、ウリジル酸を有効成分として含有する神経認知機能改善剤、およびウリジル酸を投与することにより、健常者の神経認知機能を改善させる方法を提供する。【選択図】なし

Description

本願発明は、健常者の神経認知機能を改善させる方法に関する。
神経認知機能とは、理解・判断・論理などの知的機能全般であり、日常生活に直結する能力である。神経認知機能の向上は、老若男女に共通の普遍的な欲求であると言える。
神経認知機能の向上に関する研究には、大別して2つの方向性が存在する。一方は、「低下した神経認知機能の維持・回復」であり、他方は「健常者における神経認知機能の向上」である。
神経認知機能の向上に関する研究として、これまで主流であったのは「低下した神経認知機能の維持・回復」であった。
神経認知機能を低下させる要因として、近年最も注目されてきたのは、「認知症」である。「認知症」は、「一度獲得された知的機能が、後天的な脳の機能障害によって全般的に低下し、社会生活や日常生活に支障をきたすようになった状態で、それが意識障害のないときにみられる」と定義される(非特許文献1)。
認知症と並ぶ神経認知機能の低下をきたす要因として、「加齢に伴う正常な神経認知機能低下(生理的健忘)」がある。「加齢に伴う正常な神経認知機能低下(生理的健忘)」については、通常、体験に対する部分的なもの忘れであり、進行しないか、進行がみられても穏やかであること、病識が保たれること、日時の見当識は保たれ、日常生活へ支障をきたすことが少ないこと、といった特徴から、認知症とは区別される(非特許文献2)。
加齢に伴う認知機能の低下について、50代までは視空間認知、言語機能、言語性記憶には機能向上が認められるが、60代以降になると、数的処理、言語性記憶、知覚速度、視空間認知、推論、言語機能が加齢とともに急速に低下することが知られている(非特許文献3)。
これまで神経認知機能の改善に関する数多くの研究がなされてきたが、そのほとんどが神経認知機能の低下からの回復や予防に関わるものであった。すなわち、全世界的な寿命の伸長や健康寿命という考え方の浸透に伴い、上述の「認知症」や「加齢に伴う正常な認知機能低下(生理的健忘)」によって低下した神経認知機能の回復や、「認知症」や「加齢に伴う正常な認知機能低下(生理的健忘)」の予防による総合記憶力の維持について需要が高まり、数多くの研究がされてきた。その一方で、健常な状態からさらに神経認知機能を高めることについては、さほど研究されてこなかった。
しかし、最近になって、「健常者における神経認知機能の向上」について、注目が集まっている。これは、これまで研究されてきたような、低下した神経認知機能の回復や、神経認知機能の維持とは異なり、健常者が元来有する神経認知機能をさらに向上させることを目的とする研究である。
健常者における神経認知機能の向上効果を継続して享受するためには、当該効果を奏する剤/素材を日常的に摂取する必要がある。そのため、日常的な摂取に好適である食品素材による神経認知機能の改善について、盛んに研究が行われている(特許文献1、非特許文献4)。
ウリジル酸はヌクレオチドの一種であり、生体内及び食品に広く含まれ、あるいは添加されている物質であって、極めて安全性が高く、食品への添加に最適な素材である。
特許文献2には、i)ウリジン類など、およびii)ドコサヘキサエン酸などを含む神経心理学的検査バッテリー[NTB]複合スコアを向上させる組成物について記載されている。しかし、特許文献2には、ウリジン類などが単独で効果を発揮するか否かについては、一切の記載がない。加えて、特許文献2に記載された発明は、アルツハイマーまたは認知症患者を対象としたものであり、健常者を対象とした発明ではない。
特許文献3には、i)ウリジン類など、およびii)ドコサヘキサエン酸などを含む実行機能を向上させる組成物について記載されている。しかし、特許文献3には、ウリジン類などが単独で効果を発揮するか否かについては、一切の記載がない。加えて、特許文献3に記載された発明は、アルツハイマーまたは認知症患者を対象としたものであり、健常者を対象とした発明ではない。
特許文献4には、ウリジル酸などを含有する学習・記憶能低下改善剤について記載されている。しかし、特許文献4に記載の発明は、老人性痴呆など老化及び/又は疾患に起因する急激に学習・記憶能が低下した者を対象としたものである。健常者の神経認知機能改善については、一切の記載がない。
従って、ウリジル酸が、単独で、健常者に対し神経認知機能改善効果を有するか否かについては、一切の知見が存在しなかった。
特開2020-188755号公報 特表2014-532696号公報 特表2014-534226号公報 特開2001-233776号公報
現場の疑問に答える もの忘れ診療Q&A 認知症診療ガイドライン2017 Neuropsychol Dev Cogn B Aging Neuropsychol Cogn. 2004 June ; 11(2-3): 304-324. 日本健康開発雑誌2021 年 42 巻 p. 37-48
本願発明は、食品、医薬品、医薬部外品等としての使用に供した場合に、健常者の神経認知機能改善効果を発揮する、新規かつ安全性の高い神経認知機能改善剤を提供することを目的とする。
本願発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ウリジル酸が、従来知られている老人性痴呆など老化及び/又は疾患に起因する急激に学習・記憶能が低下した者のみならず、健常者に対しても神経認知機能改善効果を奏することを初めて見出し、本願発明をなすに至った。
すなわち、本願発明は、ウリジル酸を有効成分として含有する神経認知機能改善剤である。
また、本願発明は、ウリジル酸を投与することにより、健常者の神経認知機能を改善させる方法である。
本願発明の、ウリジル酸を有効成分として含有する神経認知機能改善剤は、健常者の神経認知機能の改善を通じて、QOL改善や知的活動の生産性向上に資する新たな手段を提供することにつながる。
図1は、実施例2に記載の、被験者全体の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。 図2は、実施例3に記載の、60歳未満の被験者の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。図中「*」の記号はp値<0.05であり、プラセボ群に対して有意差があることを示す。 図3は、実施例4に記載の、総合記憶力標準化スコア90点未満の被験者の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。 図4は、実施例5に記載の、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。図中「*」の記号はp値<0.05であり、プラセボ群に対して有意差があることを示す。 図5は、実施例6に記載の、総合記憶力標準化スコア83.5点未満の被験者の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。図中「**」の記号はp値<0.01であり、プラセボ群に対して有意差があることを示す。 図6は、実施例7に記載の、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の被験者の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。縦軸は、各試験群の試験前後におけるNCI標準化スコアの変化量を表す。図中、被験食品群1、被験食品群2、プラセボ群とあるのは、実施例1に記載された、対応する各群であることを意味する。図中「**」の記号はp値<0.01であり、プラセボ群に対して有意差があることを示す。
本願発明は、ウリジル酸を有効成分として含有する神経認知機能改善剤に関する。
本願発明における神経認知機能とは、記憶力・処理速度・実行機能・注意力・認知柔軟性など広範囲の機能領域を総合した知的機能全般をいう。
また、本願発明における神経認知機能は、Cognitrax検査における神経認知インデックス(以下、NCIと表記することもある)標準化スコアを指標として客観的に測定されうるものを意味する。NCI標準化スコアの算出方法については、後述の実施例を参照する。
本願の明細書において、Cognitrax試験の内容については、以下の文献に記載された内容も参酌するものとする。
CNS Vital Signs LLC. CNS Vital Signs Interpretation Guide. 2019.
(https://www.cnsvs.com/WhitePapers/CNSVS-BriefInterpretationGuide.pdf)
本願明細書中、Cognitrax検査と記載する場合も、Cognitraxと同じ意味である。
本願発明における神経認知機能の改善とは、記憶力・処理速度・実行機能・注意力・認知柔軟性など広範囲の機能領域を総合した知的機能の能力向上を意味し、具体的にはCognitrax検査におけるNCI標準化スコアが増加することを意味する。
本願発明における健常者とは、認知機能に障害を生じる疾患に罹患していない者を意味する。本願明細書において、認知機能に障害を生じる疾患とは、以下の疾患を意味する;中枢神経変性疾患であるAlzheimer 型認知症、前頭側頭型認知症、Lewy 小体型認知症/Parkinson 病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、Huntington 病、嗜銀顆粒性認知症、神経原線維変化型老年期認知症。血管性認知症である多発梗塞性認知症、戦略的な部位の単一病変による血管性認知症、小血管病変性認知症、低灌流性血管性認知症、脳出血性血管性認知症、慢性硬膜下血腫。脳腫瘍である原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、癌性髄膜症。正常圧水頭症。頭部外傷。無酸素性あるいは低酸素性脳症。神経感染症である急性ウイルス性脳炎(単純ヘルペス脳炎,日本脳炎など)、HIV 感染症(AIDS)、Creutzfeldt-Jakob 病、亜急性硬化性全脳炎・亜急性風疹全脳炎、進行麻痺(神経梅毒)、急性化膿性髄膜炎、亜急性・慢性髄膜炎(結核,真菌性)、脳膿瘍、脳寄生虫。臓器不全および関連疾患である腎不全、透析脳症、肝不全、門脈肝静脈シャント、慢性心不全、慢性呼吸不全。内分泌機能異常症および関連疾患である 甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症、副甲状腺機能亢進または低下症、Cushing 症候群、反復性低血糖。欠乏性疾患/中毒性疾患/代謝性疾患であるアルコール依存症、Marchiafava-Bignami 病、一酸化炭素中毒、ビタミンB1欠乏症(Wernicke-Korsakoff 症候群)、ビタミンB12欠乏症、ビタミンD欠乏症、葉酸欠乏症、ナイアシン欠乏症(ペラグラ)、薬物中毒、金属中毒(水銀、マンガン、鉛など)、Wilson 病、遅発性尿素サイクル酵素欠損症。脱髄疾患などの自己免疫性疾患である多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、Behcet 病、Sjogren 症候群。蓄積病である遅発性スフィンゴリピド症、副腎白質ジストロフィー、脳腱黄色腫症、神経細胞内セロイドリポフスチン[沈着]症、糖尿病。その他の疾患であるミトコンドリア脳筋症、進行性筋ジストロフィー、Fahr 病。
本願発明における総合記憶力標準化スコアが90点未満の者とは、5歳刻みで被験者をグループ分けしCognitrax検査によって標準化された総合記憶力スコアを算出したとき、総合記憶力スコアが90点未満である者をいう。なお、総合記憶力標準化スコアの算出方法については、後述の実施例を参照する。被験者の総合記憶力標準化スコアが90点未満であることは、平均的な認知機能を有する者と比較して、当該被験者の記憶に関する認知機能が比較的低いことを意味する。
本願発明における総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者とは、上述の方法で標準化された総合記憶力スコアが83.5点未満である者をいう。被験者の総合記憶力標準化スコアが83.5点未満であることは、平均的な認知機能を有する者と比較して、当該被験者の記憶に関する認知機能が相当程度低いことを意味する。
本願発明の神経認知機能改善剤は、ウリジル酸を有効成分として含有する。ウリジル酸は、食品等としての安全性、及び体内への吸収されやすさという点から、本願発明の有効成分として好適である。
ウリジル酸(ウリジン一リン酸、uridine 5'-phosphate、UMP)は、CAS登録番号58-97-9で示される化合物である。本明細書でウリジル酸と記載する場合、ウリジル酸の塩も包含する概念である。
本明細書において、ウリジル酸の質量について記載する場合、ウリジル酸2ナトリウム塩(UMP,2Na)に換算した際の質量を表す。ウリジル酸の濃度(%)について記載する場合、特に記載がなければ質量体積パーセント濃度(w/v%)であることとし、ウリジル酸質量としてはUMP,2Na換算質量を用いる。2ナトリウム塩以外の塩を選択する場合、又は塩を形成しない遊離酸の場合には、ウリジル酸の物質量を基準として、UMP,2Naに換算した場合の質量とする。
本願発明におけるウリジル酸の概念は、前述の通り塩を包含する。ウリジル酸の塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルギニン及びリジン等の塩基性アミノ酸塩;アンモニウム塩及びトリシクロヘキシルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩及びトリイソプロパノールアミン等の各種のアルカノールアミン塩等を挙げることができる。好ましくはナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属塩として、具体的にはウリジル酸1ナトリウム、及びウリジル酸2ナトリウムを例示することができ、取り扱い性の面から、中でもウリジル酸2ナトリウムが好ましい。
本願発明に使用されるウリジル酸は、他の有効成分と組み合わせて使用することもでき、単独で使用することもできる。中でも、ウリジル酸単独で有意な神経認知改善効果が奏されることから、単独で使用されることが好ましい。
本願発明に使用されるウリジル酸の由来には格別の制限はなく、酵母、細菌、魚介類、動物、植物等の天然物由来のものが好適である。
本願発明の神経認知機能改善剤は、飲食品、サプリメント、調製粉乳、経腸栄養剤、健康飲食品(特定保健用食品、機能性表示食品を含む)、医薬品等の組成物として実用に供することができる。
本願発明の剤を飲食品、健康飲食品又は調製粉乳等として供する場合は、前記有効成分を公知の飲食品に適宜添加することにより、神経認知機能改善作用を有する飲食品とすることができる。対象の飲食品としては、乳・乳製品類、調味料類、飲料、菓子類、パン類、麺類、油脂類、畜肉加工品、水産加工品、農産加工品、冷凍食品、即席食品等を挙げることができる。
また、飲食品の原料中に混合して神経認知機能の改善効果を有する新たな飲食品を製造することもできる。対象とする飲食品の形状としては、錠剤状、顆粒状、カプセル状、粉末状、溶液状、シロップ状、乳状、ペースト状等、各種形状のものを選ぶことができる。これらの飲食品の製造においては、本願発明の有効成分のほかに、食品として使用可能な各種の賦形剤、調味成分等を適宜添加すれば良い。
前記飲食品は、神経認知機能改善用との保健用途が表示された飲食品として提供・販売されていてもよい。「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
前記「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、本願発明の神経認知機能改善剤を医薬品、サプリメント、経腸栄養剤等として実用に供する場合、前記有効成分を単独、又は製剤補助剤等と合わせて製剤化することができる。製剤の投与方法としては、経口であっても非経口であってもよいが、経口又は経腸であることが好ましい。
前記製剤の形状としては、経口投与に供するのであれば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粒剤、散剤、溶液剤、シロップ剤、乳剤等とすることができ、非経口に供するのであれば、注射剤、噴霧剤、軟膏剤、貼付剤等とすることができる。
前記製剤においては、本願発明の有効成分の他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の任意の製剤補助剤を、それぞれの供与形態に合わせて適宜組み合わせて用いれば良い。
本願発明の神経認知機能改善剤における前記有効成分の配合量は、使用目的、対象者の年令、投与又は摂取方法、剤型等に応じて、0.1~99%(W/W)の範囲から適宜選定すればよい。
本願発明の神経認知機能改善剤の投与又は摂取量は、対象者の年令、体重、神経認知機能の程度、投与又は摂取方法等に応じて変動するため、適宜選択可能である。好適な投与量の例示としては、1日あたり10mg~1000mgであり、1日あたり50mg~800mgであり、後述の実施例の結果より神経認知機能の改善効果が強く期待されることから、1日あたり100mg~600mgがより好ましく、1日あたり150mg~450mgがより好ましく、中でも後述の実施例において医学的意義をもった顕著な改善が見られることから200mg~400mgがより好ましく、後述する実施例にて顕著かつ有意な効果が実証されている点から、250mg~350mgがより好ましい。
本願発明の神経認知機能改善剤の投与又は摂取期間について、特に制限はないが、有効成分として含有するウリジル酸は食品等としての高い安全性を有していることから、継続的に投与又は摂取することが好ましい。好適な投与又は摂取期間としては、1週間以上が好ましく、2週間以上が好ましく、4週間以上が好ましく、8週間以上が好ましく、後述する実施例にて効果が実証されている点から、12週間以上が好ましい。
本願発明の剤によって神経認知機能を改善する対象者は、認知症など神経認知機能の低下を引き起こす疾患に罹患していない健常者である。
本願発明の剤によって神経認知機能を改善する対象者は、本発明が加齢による神経認知機能の低下が見られない者に対しても神経認知機能の改善効果を奏するという観点から、加齢に伴う正常な神経認知機能低下(生理的健忘)の症状が出ていない者が好ましく、加齢に伴う正常な認知機能低下(生理的健忘)が生じていない蓋然性の高い60歳未満の者が好ましく、後述する実施例において明らかなように、顕著かつ明確な神経認知機能向上効果が見られるという観点から、40代及び50代の者が好ましい。
本願発明の神経認知機能改善剤は、後述する実施例に記載するように、総合記憶力標準化スコアが90点未満の者に対し、顕著かつ有意な効果を奏する。中でも、総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者に対し、より顕著かつ有意な効果を奏する。したがって、本願発明の剤によって神経認知機能を改善する対象者としては、総合記憶力標準化スコアが90点未満の者であることが好ましく、83.5点未満の者であることがより好ましい。
本願発明の一態様は、健常者の神経認知機能全般を改善する方法である。本願発明は、後述の実施例にて実証されているように、健常者の神経認知機能全般を改善することができる。
本願発明の一態様は、健常な60歳未満の対象者の神経認知機能を改善する方法である。
本願発明の一態様は、健常な40代、50代の対象者の神経認知機能を改善する方法である。
本願発明の一態様は、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善する方法である。
本願発明の一態様は、総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の健常者の神経認知機能を改善する方法である。
本願発明の一態様は、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常な60歳未満の対象者の神経認知機能を改善する方法である。
本願発明の一態様は、総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の健常な60歳未満の対象者の神経認知機能を改善する方法である。
以下、本願発明を実施例等により説明するが、本願発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
(実施例1) 試験対象者のスクリーニング及びサブグループへの割り振り
ウリジル酸の総合記憶力向上効果を試験するため、以下の手順で試験対象者のスクリーニング及びサブグループへの割り振りを行った。
[試験対象者のスクリーニング]
試験対象者として、日本人(男女両方)、40歳以上、健常者のいずれの条件も満たす200名から、本試験に不適格と思われる者(例:DHA・EPA、イチョウ葉エキス、トコトリエノール、アスタキサンチン、GABA、ホスファチジルセリン、プラズマローゲン等、認知機能に影響する可能性のある食品やサプリメントを摂取している者、認知機能に影響する可能性がある器具、機器、アプリ等を使用している者、医薬品 (漢方薬を含む) ・サプリメントを常用している者、妊娠中、授乳中、あるいは試験期間中に妊娠する意思のある者など)を除外し、99名の試験対象者を選抜した。
[被験食品群及びプラセボ群の割り振り]
試験対象者を、各年齢層、男女などの属性ができるだけ均等になるように、各33名の3群へと割り振った。割付後の脱落やプロトコルの遵守違反により、各群3名ずつ除外され、最終的に各群30名が解析対象になった。被験食品群1に割り振られた対象者には、5’-UMP含有食品 (4粒/日)を摂取させた。被験食品群2に割り振られた対象者には、5’-UMP含有食品 (2粒/日)、プラセボ (2粒/日)を摂取させた。プラセボ群に割り振られた対象者には、プラセボ (4粒/日)を摂取させた。被験食品及びプラセボの組成表を、以下の表1に示す。被験者は割り当てられた食品を朝食時に水またはぬるま湯とともに摂取した。当該食品摂取を12週間継続して行った。なお、本試験は二重盲検試験となるよう実施した。
Figure 2024030673000001
なお、以下の明細書において、被験食品群1のことを1日あたりのUMP摂取量 600mgの群、被験食品群2のことを1日あたりのUMP摂取量 300mgの群と表記することがある。
[認知機能検査の実施]
CNS Vital Signs社が開発した認知機能検査技術を基盤とし、日本向けにデザインした認知機能検査サービスであるCognitrax試験を用いて7種類のテスト (言語記憶テスト(VBM)、視覚記憶テスト(VIM)、指たたきテスト(FTT)、SDCテスト(SDC)、ストループテスト(ST)、注意シフトテスト(SAT)、持続処理テスト(CPT)) を実施した。本願の明細書において、Cognitrax試験の内容については、以下の文献に記載された内容も参酌するものとする。
CNS Vital Signs LLC. CNS Vital Signs Interpretation Guide. 2019.
[各領域スコアの算出]
上記のCognitrax試験の概要について記載された文献の記載に従い、実施した7種類のテスト (言語記憶テスト、視覚記憶テスト、指たたきテスト、SDCテスト、ストループテスト、注意シフトテスト、持続処理テスト)の結果から、以下の5つの領域スコアを算出した。
総合記憶力、認知機能速度、反応時間、総合注意力、認知柔軟性
なお、各領域スコアの算出方法については、以下の通りである。
[総合記憶力スコアの算出]
言語記憶力と視覚記憶力を総合した記憶力全般の指標となる総合記憶力について、以下の計算式によって算出した。
総合記憶力スコア=VBMの正解ヒット数(即時)+VBMの正解パス数(即時)+VBMの正解ヒット数(遅延)+VBMの正解パス数(遅延)+VIMの正解ヒット数(即時)+VIMの正解パス数(即時)+VIMの正解ヒット数(遅延)+VIMの正解パス数(遅延)
言語記憶テスト(VBM)の概要について以下に説明する。最初に15の単語が表示されるので記憶し、その後、新たな単語も含む30の単語から、記憶した単語を見つける。
視覚記憶テスト(VIM)の概要について以下に説明する。最初に15種類の図形が表示されるので記憶し、その後、新たな図形も含む30の図形から、記憶した図形を見つける。
[認知機能速度スコアの算出]
視覚情報を素早く処理する力の指標となる認知機能速度について、以下の計算式によって算出した。
(認知機能速度スコア)=(FTTの右手平均)+(FTTの左手平均)+(SDCの正解応答)
指たたきテスト(FTT)の概要について以下に説明する。右手と、左手の人差し指でスペースキーをそれぞれ10秒間出来るだけ早く叩く。
SDCテスト(SDC)の概要について以下に説明する。画面の上部に8個のシンボルと対応する数字を表す凡例が、下部には8個の図形と、対応する8個の空欄からなる表が表示される。被験者はシンボルに対応する数字を下の空の表に入力する。
[反応時間スコアの算出]
指示に素早く反応する力の指標となる反応時間について、以下の計算式によって算出した。
(反応時間スコア)=(STの複合反応時間(正解)+STのストループ反応時間(正解))/2
ストループテスト(ST)の概要について以下に説明する。STは3つのパートからなるテストである。第一パートでは、文字が画面に表れたらできるだけ早くスペースキーを押す。第二パートでは、赤、黄、青及び緑の文字が色文字で表示され、文字の色と文字の意味が一致したらスペースキーを押す。第三パートでは、文字の色が文字の意味と一致しないときだけスペースキーを押す。
[総合注意力スコアの計算]
注意を維持し正確に対処する力の指標となる総合注意力について、以下の計算式によって算出した。
総合注意力スコア=STのストループ誤反応+SATの誤答+CPTの誤反応+CPTの正解見過ごし数
なお、本指標においては、値が低いほど総合注意力が高いことを意味し、値が高いほど総合注意力が低いことを意味する。
注意シフトテスト(SAT)の概要について以下に説明する。画面に3つの図形が、上に1つ、下に2つ表示される。図は四角か円で、色は赤か青になっている。上部の図と適合する図を下部から選択するが、ルールは「形」が合っているもの、または「色」が同じものという具合に変化する。
持続処理テスト(CPT)の概要について以下に説明する。5分間画面にランダムに表示される文字の中で、「B」が表示された場合だけ応答する。
[認知柔軟性スコアの計算]
外部環境からの刺激に対して考え方を柔軟に変化させることができる力の指標となる認知柔軟性について、以下の計算式によって算出した。
認知柔軟性スコア=SATの正解応答-SATの誤答-STのストループ誤反応
[各スコアの標準化方法]
以下の方法によって、各テスト実測値及び各指標を標準化スコアへと変換した。
標準化スコア:平均値を100、標準偏差値を15とする正規分布での正規化スコアを実測値より算出した。なお、算出にあたっては、5歳刻みでの年代補正を行った。例えば、実測値が同年代の平均と同じであれば標準化スコアは100、平均より1σ分良ければ115、平均より2σ分良ければ130となる。標準化スコアが10点以上増加または低下することは医学的意義をもって当該認知機能が改善または悪化することを意味する。
[神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの計算]
記憶力・処理速度・実行機能・注意力・認知柔軟性など広範囲の機能領域を総合した知的機能全般の指標となるNCIの標準化スコアについて、下記計算式によって計算した。
NCI標準化スコア=(総合記憶力標準化スコア+認知機能速度標準化スコア+反応時間標準化スコア+総合注意力標準化スコア+認知柔軟性標準化スコア)/5
[統計処理]
上記の方法で得られた各試験群間のスコアについて、平均と標準偏差を計算し、スクリーニング兼摂取前検査時のスコア(ベースライン)を共変量としたANCOVAを用いてプラセボ群との群間比較を行った。すべての統計解析は両側検定で行い、p値が0.05未満なら有意とした。用いるソフトウェアは、SPSS Statisticsのバージョン23以上とし、必要に応じて検証された他の統計ソフトウェアが使用された。
[サブグループの設定]
本試験の結果を詳細に解析するため、UMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが90点未満の者、UMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者、60歳未満(40代、50代)の被験者について、それぞれ試験結果を抽出し、上記と同様の方法にて統計処理を行った。Cognitraxにおいては、一般的に、総合記憶力標準化スコアが90点未満であることは、記憶に関する認知機能が比較的に低い者であることを意味する。総合記憶力標準化スコアが83.5点未満であることは、記憶に関する認知機能が相当程度低い者であることを意味する。60歳未満の被験者(具体的には40代及び50代の被験者)については、非特許文献3に記載の通り、加齢による認知機能の低下が見られない年代の被験者を意味する。
(実施例2)全年齢における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
記憶力・処理速度・実行機能・注意力・認知柔軟性など広範囲の機能領域を総合した知的機能全般の指標となるNCIについて、試験の前後における被験者全体のNCI標準化スコアの変化量を図1及び表2に示す。
Figure 2024030673000002
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMP摂取量 300mgの群)、どちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの摂取前検査からの増加幅が増大する傾向が観察された。
(実施例3)60歳未満の者における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
加齢に伴う正常な神経認知機能低下(生理的健忘)の影響がない者に対して、本願発明がいかなる効果を奏するか検証するために、60歳未満の被験者に着目して解析を行った。
実施例1に記載された方法で実施された試験において、60歳未満の者の神経認知インデックス(NCI)標準化スコアを抽出した。試験前後の60歳未満の被験者におけるNCI標準化スコアの変化量を図2及び表3に示す。
Figure 2024030673000003
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMP摂取量 300mgの群)、どちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加幅が増大する傾向が観察された。
特に、1日あたりのUMP摂取量が300mgの群においては、顕著かつ有意(p値:0.033)な神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果が観察された。
このことから、本願発明の神経認知機能改善剤は、60歳未満の者、具体的には40代、50代の者に対し顕著な効果を奏することが明らかとなった。
中でも、1日あたりのUMP摂取量が300mgであるときに、60歳未満の健常者に対し顕著かつ有意な効果を奏することが明らかとなった。
(実施例4)総合記憶力標準化スコアが90点未満の者における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
記憶に関する認知機能が比較的に低い者に対して、本願発明がいかなる効果を奏するか検証するために、UMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者に着目して解析を行った。
実施例1に記載された方法で実施された試験において、総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者におけるNCI標準化スコアの変化量を、図3及び表4に示す。
Figure 2024030673000004
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMP摂取量 300mgの群)、どちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加幅が増大する傾向が観察された。
特に、1日あたりのUMP摂取量が300mgの群においては、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの変化量が10を超えていた。Cognitraxにおいては、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアが10以上増加するとき、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したと評価される。
このことから、本願発明の神経認知機能改善剤は、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者に対し、顕著な効果を奏することが明らかとなった。
中でも、1日あたりのUMP摂取量が300mgであるときに総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者に対して顕著な効果を奏し、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したことが明らかとなった。
(実施例5)60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の者における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
実施例3にて顕著かつ有意な神経認知機能の向上が確認された60歳未満の群と、実施例4にて顕著かつ有意な神経認知機能の向上が確認されたUMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが90点未満の群について、両属性を有する被験者に対し本願発明がいかなる効果を奏するか検証するために、60歳未満かつUMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者に着目して解析を行った。
実施例1に記載された方法で実施された試験において、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者におけるNCI標準化スコアの変化量を、図4及び表5に示す。
Figure 2024030673000005
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMP摂取量 300mgの群)、どちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加幅が増大する傾向が観察された。
中でも、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の被験者のうち、1日あたりのUMP摂取量 300mgの群において、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加量は、医学的意義をもつとされる10を超える11.8であり、実施例2,3,4よりも神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加量が大きかった。p値は有意差があると判定されるp<0.05の範囲であった。
このことから、本願発明の神経認知機能改善剤は、60歳未満かつUMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが90点未満の者に対し、顕著な効果を奏し、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したことが明らかとなった。
中でも、1日あたりのUMP摂取量が300mgであるときに、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者に対し、顕著かつ有意な効果を奏し、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したことが明らかとなった。
(実施例6)総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
記憶に関する認知機能が平均よりも相当程度劣る者に対して、本願発明がいかなる効果を奏するか検証するために、UMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の被験者に着目して解析を行った。
実施例1に記載された方法で実施された試験において、UMP摂取前の総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の被験者の結果を抽出したものを、図5及び表6に示す。
Figure 2024030673000006
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMPどちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加幅が増大する傾向が観察された。
中でも、1日あたりのUMP摂取量 300mgの群において、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加量は、医学的意義をもつとされる10を大幅に超える15.1であり、p値は極めて有意な差があると判定されるp<0.01の範囲であった。
さらに、1日あたりのUMP摂取量が300mgの群においては、被験者全体について調査した実施例2、及び総合記憶力標準化スコアが90点未満の者について調査した実施例4と比較した際に、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの変化量が増大していた。
このことから、本願発明の神経認知機能改善剤は、総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者に対し、顕著かつ有意な効果を奏し、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したことが明らかとなった。
(実施例7)60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者における神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの向上効果
実施例3にて顕著かつ有意な神経認知機能の向上が確認された60歳未満の群と、実施例6にて顕著かつ有意な神経認知機能の向上が確認された総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の群について、両属性を有する被験者に対し本願発明がいかなる効果を奏するか検証するために、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の被験者に着目して解析を行った。
実施例1に記載された方法で実施された試験において、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の被験者におけるNCI標準化スコアの変化量を、図6及び表7に示す。
Figure 2024030673000007
被験食品群1(1日あたりのUMP摂取量 600mgの群)、被験食品群2(1日あたりのUMPどちらの群においても、プラセボ群と比較したときに神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加幅が増大する傾向が観察された。
中でも、1日あたりのUMP摂取量 300mgの群において、神経認知インデックス(NCI)標準化スコアの増加量は、医学的意義をもつとされる10を大幅に超える15.3であり、p値は極めて有意な差があると判定されるp<0.01の範囲であった。
さらに、1日あたりのUMP摂取量が300mgの群においては、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の者について調査した実施例5、及び総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の者について調査した実施例6と比較した際に、NCI標準化スコアの変化量が増大していた。
このことから、本願発明の神経認知機能改善剤は、総合記憶力標準化スコアが60歳未満かつ83.5点未満の者に対し、より顕著かつ有意な効果を奏し、神経認知機能が医学的意義をもって顕著に改善したことが明らかとなった。

Claims (19)

  1. UMPを有効成分として含有する、健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  2. UMPを有効成分として含有する、60歳未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  3. UMPを有効成分として含有する、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  4. UMPを有効成分として含有する、総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  5. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して100mg以上600mg未満である、健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  6. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満である、健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  7. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満である、60歳未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  8. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満である、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  9. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満である、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  10. UMPを有効成分として含有し、UMPの含有量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満である、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが83.5点未満の健常者の神経認知機能を改善させる用途に用いられることを特徴とする剤。
  11. 12週間以上継続して摂取されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の剤。
  12. UMPを有効成分として含有する剤を投与することにより、健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  13. UMPを有効成分として含有する剤を投与することにより、60歳未満の健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  14. UMPを有効成分として含有する剤を投与することにより、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  15. UMPを有効成分として含有する剤を、UMPの投与量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満となるよう投与することにより、健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  16. UMPを有効成分として含有する剤を、UMPの投与量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満となるよう投与することにより、60歳未満の健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  17. UMPを有効成分として含有する剤を、UMPの投与量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満となるよう投与することにより、総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  18. UMPを有効成分として含有する剤を、UMPの投与量が、1日あたりのUMP投与量に換算して200mg以上400mg未満となるよう投与することにより、60歳未満かつ総合記憶力標準化スコアが90点未満の健常者の神経認知機能を改善させる方法。
  19. UMPを有効成分として含有する剤を12週間以上継続して摂取させることを特徴とする、請求項12から18のいずれか1項に記載の方法。
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