JP2024018100A - 細胞培養基材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の厚さで均一に液膜を形成することができ、細胞を含み均一な形状のハイドロゲル粒子が得られる細胞培養基材の製造方法を提供する。【解決手段】基材の表面にハイドロゲルを介して細胞が固定された細胞培養基材の製造方法は、基材の表面に第1液の膜を形成する工程と、膜に第2液の液滴を吐出する工程と、を含み、ハイドロゲルは第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と高分子が含む水とを有し、第1液は第1固定剤を含む水溶液であり、第2液は第2固定剤と細胞とを含む懸濁液であり、基材において前記膜を形成する位置には凹部が形成され、膜は凹部の内部を充填し、液滴を吐出する工程において、膜を構成する第1液と液滴を構成する第2液との少なくとも一部が混合し、液滴の大きさに対応するハイドロゲルの粒子が形成され、粒子は細胞を内包して基材の表面に付着する。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞培養基材及びその製造方法に関する。
近年、in vitroにおける毒性乃至薬効評価ツールの需要が高まってきている。その理由の1つとして、動物実験の3Rs(「代替(Replacement)」、「削減(Reduction)」、及び「改善(Refinement)」)の促進により、実験動物数の削減、さらに実験動物に替わる代替法が求められていること等が挙げられる。前記動物実験の3Rsの促進以外の理由には、in vitroにおける毒性乃至薬効評価ツールは、動物実験にかかる経費の削減や試験時間の短縮等、多くの利点を有していることが挙げられる。
一方で、組織工学の進展に伴い、複数の細胞からなる組織を人工的に形成する技術の開発が行われている。中でも、バイオプリンターは、固定剤の種類によっては細胞を培養容器底面やゲル上に迅速に固定することができるため、三次元組織モデルの構築において注目されている。しかし、生体における細胞の機能や薬剤への反応の過程をin vitroで完全に再現することは難しく、未だ方法は確立されていない。
そこでin vitroで組織モデルを構築する方法の1つとして、細胞を基材に接着することができる評価用基材の製造方法が特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1には、基材に、固定剤Aを含有する溶液を付与する固定剤A含有溶液付与工程と、前記固定剤Aに対して混合が可能な固定剤B及び細胞を含有する懸濁液を付与する固定剤B及び細胞含有懸濁液付与工程と、を含み、前記固定剤Aと、前記固定剤Bとのそれぞれ少なくとも一部が混合されてハイドロゲルの粒子を形成し、前記細胞が、前記ハイドロゲルを介して前記基材に固定され、前記懸濁液が、細胞が重ならないように配置されるように液滴として付与される、評価用基材の製造方法が開示されている。特許文献1に記載の方法により、細胞を含むハイドロゲル粒子のパターニングが可能であり、該方法がin vitroでの組織モデル構築の重要な手段であることが既に知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法において、固定剤A含有溶液を所望の厚さで均一に塗布することが困難であるという課題を発明者らは見出している。特に、創薬研究で多用されるウェルプレート等の多穴のプレートを用いた場合において、水を主成分とするような低粘度で表面張力が高い固定剤A含有溶液をウェル底面に塗布した際に、表面張力によりウェルの壁面に固定剤A含有溶液が吸い寄せられることで、固定剤A含有溶液を所望の厚さで均一に塗布することが困難である。これにより、ハイドロゲル粒子の形状が不均一となり、細胞がハイドロゲル粒子に内包されず漏れ出たり、ハイドロゲル粒子の形状が扁平な形となり、ハイドロゲル粒子が水分を十分に包含できず乾燥により細胞にダメージを与え、最悪の場合には細胞死を招く虞がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、所望の厚さで均一に液膜を形成することができ、細胞を含み、均一な形状のハイドロゲル粒子が得られる細胞培養基材の製造方法、及び前記製造方法により得られる細胞培養基材を提供する。
細胞培養基材の製造方法は、基材の表面にハイドロゲルを介して細胞が固定された細胞培養基材の製造方法であって、
前記基材の表面に、第1液の膜を形成する工程と、
前記膜に第2液の液滴を吐出する工程と、を含み、
前記ハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有し、
前記第1液は、前記第1固定剤を含む水溶液であり、
前記第2液は、前記第2固定剤と、前記細胞とを含む懸濁液であり、
前記基材において前記膜を形成する位置には凹部が形成され、前記膜は前記凹部の内部を充填し、
前記液滴を吐出する工程において、前記膜を構成する前記第1液と、前記液滴を構成する前記第2液との少なくとも一部が混合し、前記液滴の大きさに対応する前記ハイドロゲルの粒子が形成され、
前記粒子は、前記細胞を内包して前記基材の表面に付着する。
上記態様の細胞培養基材の製造方法によれば、所望の厚さで均一に液膜を形成することができ、細胞を含み、均一な形状のハイドロゲル粒子が得られる。上記態様の細胞培養基材は、前記製造方法により得られ、細胞を含み、均一な形状のハイドロゲル粒子を有する。
本発明の第1実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図1Aに示すI-I’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図2Aに示すII-II’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図3Aに示すIII-III’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の第4実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図4Aに示すIV-IV’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の第5実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図5Aに示すV-V’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の第6実施形態に係る細胞培養基材の平面図である。 図6Aに示すVI-VI’線を通る面で切断した細胞培養基材の断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法で用いられるピエゾ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法で用いられる装置の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法で用いられる装置の変形例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法で用いられる装置の変形例を示す模式図である。 図8の制御手段のハードウェアブロックを例示する図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法のプロセスを示す概略図である。 従来の細胞培養基材の製造方法を96ウェルプレートに適用した場合での第1液の膜の明視野像(上)及びウェルの断面図(下)である。 従来の細胞培養基材の製造方法のプロセスを示す概略図である。 実施例1及び比較例1で製造された細胞培養基材上のハイドロゲル粒子の顕微鏡像である。 実施例1で製造された細胞培養基材上のハイドロゲル粒子の製造直後(day0)及び72時間後(day3)の顕微鏡像である。
以下、本発明の一実施形態に係る(以下、単に「本実施形態の」と称する場合がある)について、必要に応じて特定の実施形態及び図面を参照して説明する。かかる実施形態及び図面は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物や情報は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
≪細胞培養基材の製造方法≫
本実施形態の細胞培養基材の製造方法は、基材の表面にハイドロゲルを介して細胞が固定された細胞培養基材の製造方法であって、以下の工程を含む。
前記基材の表面に、第1液の膜を形成する工程(以下、「膜形成工程」と称する場合がある);
前記膜に第2液の液滴を吐出する工程(以下、「液滴突出工程」と称する場合がある)。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記ハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有する。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記第1液は、前記第1固定剤を含む水溶液である。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記第2液は、前記第2固定剤と、前記細胞とを含む懸濁液である。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記基材において前記膜を形成する位置には凹部が形成され、前記膜は前記凹部の内部を充填する。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記液滴の直径は、前記凹部の深さで規定される前記膜の膜厚と同等以下であることが好ましい。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、液滴突出工程において、前記膜を構成する前記第1液と、前記液滴を構成する前記第2液との少なくとも一部が混合し、前記液滴の大きさに対応する前記ハイドロゲルの粒子が形成される。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法において、前記粒子は、前記細胞を内包して前記基材の表面に付着する。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法は、従来の細胞培養基材の製造方法では、表面張力によりウェル等の壁面に第1液が吸い寄せられることで、第1液を所望の厚さで均一に塗布することが困難であるという問題があるという知見に基づくものである。また、従来の細胞培養基材の製造方法では、上記理由により、第1液を所望の厚さで均一に塗布することが困難であることから、ハイドロゲル粒子の形状が不均一となり、細胞がハイドロゲル粒子に内包されず漏れ出たり、ハイドロゲル粒子の形状が扁平な形となり、ハイドロゲル粒子が水分を十分に包含できず乾燥により細胞にダメージを与えるという問題があるという知見に基づくものである。
上記問題を解決するために、本実施形態の細胞培養基材の製造方法では、基材の表面に凹部を形成し、第1液の膜厚が凹部の深さと同等になるように第1液を添加することで、所望の厚さで均一に第1液の膜を形成することができ、細胞を含み、均一な形状のハイドロゲル粒子が得られる。これにより、ハイドロゲル粒子内で効率的に細胞を増殖させることができる。
<細胞培養基材>
[第1実施形態]
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態に係る細胞培養基材100を示す図である。
図1Aは、細胞培養基材100の平面図である。図1Bは、図1Aに示すI-I’線を通る面で切断した細胞培養基材100の断面図である。
図1A及び図1Bに示すように、細胞培養基材100は、基材1と、基材1の表面に付着し細胞を内包するハイドロゲル粒子3と、を有する。基材1の表面には凹部2が形成されている。ハイドロゲル粒子3は、凹部の底面2aに付着しており、ハイドロゲル粒子の高さRは、凹部の深さDよりも小さい。
後述する本実施形態の細胞培養基材の製造方法によれば、図1A及び図1Bに示すように、ハイドロゲル粒子3、すなわち、細胞が所望の位置に配置された細胞培養基材100を得ることができる。また、図1A及び図1Bに示すように、ハイドロゲル粒子3が凹部の底面2aに付着することにより、ハイドロゲルを介して、細胞を基材1に接着することができる。
(基材)
基材としては、細胞の活性や増殖を阻害しないものであれば、その大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサート等の立体形状;ガラスプレート、スライドガラス、カバーガラス等の平板状;平膜状等が挙げられる。
基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質構造、メッシュ構造、凹凸構造、ハニカム構造等が挙げられる。
基材の材質としては、例えば、有機材料、無機材料等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレート等のアクリル系材料、セルロース等が挙げられる。
無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
(凹部)
凹部2は基材1の表面に形成されている。
凹部2は、基材1にいくつ形成されていてもよいが、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、24、48、96、384、1536等が挙げられる。
凹部2の深さDは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。凹部2の深さDが上記下限値以上であることで、より均一な半球又は略半球形状のハイドロゲル粒子を得ることができる。一方で、凹部2の深さDが上記上限値以下であることで、第1液の膜に含まれる第1固定剤と、第2液の液滴に含まれる第2固定剤との反応によるハイドロゲルの形成速度(硬化速度)がより良好なものとなり、半硬化の状態でハイドロゲル粒子を凹部の底面2aに到達させることができるため、形成されたハイドロゲル粒子を接着させることができる。
凹部を平面視した際の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、略円形、三角形、四角形等が挙げられる。
例えば、凹部2を平面視した際の形状が円形である場合、凹部2の内径は5mm以上100mm以下であることが好ましく、6mm以上20mm以下であることがより好ましい。
細胞培養基材100において、凹部の底面2aは、インクジェット法で第2液を添加する場合において、第2液の液滴の着弾面、すなわち、ハイドロゲル粒子の接着面となる。
細胞培養基材100において、凹部2は、基材1と同じ材料からなり、基材1における凹部2の形成には、目的に応じて選択される任意の加工方法を用いることができる。すなわち、例えば、マシニングセンタ等を用いた穿孔加工、レーザー等を用いた光微細加工、フォトリソグラフィーによる加工、エッチング加工、エンボス加工等により形成することができる。また、例えば、射出成形、プレス成形、ステレオリソグラフィー等により、形成することができる。
これらの中でも、凹部2の形成方法は、レーザー加工が好ましい。凹部2の形成方法がレーザー加工であると、凹部2の形状を簡易に且つ微細に形成することができる。また、基材1に直接接触して加工しないことから、生体適合性を得やすい点で有利である。
細胞培養基材100において、凹部の縁2bは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2bに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2bを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2bが撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
凹部の縁2bにおいて、撥水性表面の水接触角は典型的には90°以上、好ましくは100°以上、より好ましくは105°以上である。水接触角が上記下限値以上であることで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。撥水性表面の水接触角は、好ましくは150°以下である。なお、本明細書において、水接触角とは、23℃において測定される水接触角を指す。
撥水処理は、長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤やフッ素系のシランカップリング剤等でコーティングすることにより実施できる。
撥水性材料としては、例えば、フッ素及び酸素を含有する材料、パーフルオロカーボン材料等が挙げられ、具体的には、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]の共重合体であるナフィオン(登録商標)等のイオン性フッ素高分子等が挙げられる。
(ハイドロゲル粒子)
ハイドロゲル粒子3は、細胞を内包している。
ハイドロゲル粒子3において、細胞は、ハイドロゲルで少なくも一部、好ましくは全体が被覆されており、ハイドロゲル以外に、後述する第1固定剤及び第2固定剤が共存していてもよい。ハイドロゲル粒子3において、ハイドロゲルが、細胞の少なくとも一部を被覆することにより、細胞の乾燥を防止することができる。
ハイドロゲル粒子3を構成するハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有する。第1固定剤、第2固定剤、及び形成される高分子については、後述する細胞培養基材の製造方法について詳細を説明する。
ハイドロゲル粒子3は、凹部の底面2aにいくつ配置されていてもよいが、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、24、48、96、384、1536等が挙げられる。
ハイドロゲル粒子の形状は、半球又は略半球形状である。
ハイドロゲル粒子の高さHは、上記凹部の深さDより小さければよく、例えば、10μm超500μm未満であり、30μm以上400μm以下が好ましい。
ハイドロゲル粒子を平面視した際の直径は、50μm以上400μm以下であることが好ましく、100μm以上200μm以下であることがより好ましい。
(細胞)
ハイドロゲル粒子に内包される細胞は、その種類等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分類学的に、例えば、核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。
真核細胞としては、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞が好ましく、前記細胞が細胞集合体を形成する場合は、細胞と細胞とが互いに接着し、物理化学的な処理を行わなければ単離しない程度の細胞接着性を有する接着性細胞がより好ましい。
接着性細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、未分化の細胞などが挙げられる。
分化した細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;繊維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞等が挙げられる。前記接着性細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、又はそれらを何代か継代させたものでもよい。
未分化の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;iPS細胞等が挙げられる。
本実施形態の細胞培養基材は、第1実施形態に係る細胞培養基材の凹部2に加えて、後述する第2、4、及び6実施形態に係る細胞培養基材に示すような、ウェル4を更に備える。ウェル4を備えることで、ハイドロゲル粒子内の細胞をより長期間安定して培養することができる。また、本実施形態の細胞培養基材は、第1実施形態に係る細胞培養基材の凹部2が、第2~6実施形態に係る細胞培養基材に示すような、凸条部5を配置することで形成されていてもよい。
次いで、各実施形態に係る細胞培養基材について以下に詳細を説明する。
[第2実施形態]
図2A及び図2Bは、本発明の第2実施形態に係る細胞培養基材200を示す図である。図2Aは、細胞培養基材200の平面図である。図2Bは、図2Aに示すII-II’線を通る面で切断した細胞培養基材200の断面図である。図2A及び図2Bに示す細胞培養基材200では、ウェル4を更に備える点が、図1A及び図1Bに示す細胞培養基材100と異なる。細胞培養基材200では、ウェル4を備えることで、収容できる溶液の容量を凹部2のみの場合よりも多くすることができ、乾燥の影響を受けにくい。そのため、ハイドロゲル粒子内の細胞をより長期間安定して培養することができる。
図2Aに示す細胞培養基材200において、基材がウェルプレートであり、ウェルプレートの1以上のウェル4の底部に凹部2が形成されている。
(ウェル)
ウェル4は、基材1にいくつ形成されていてもよいが、例えば、1、2、4、6、12、24、48、96、384、1536等が挙げられる。
ウェル4を平面視した際の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、略円形、三角形、四角形等が挙げられる。
例えば、ウェル4を平面視した際の形状が円形である場合、ウェル4の内径は5mm以上300mm以下であることが好ましく、6mm以上20mm以下であることがより好ましい。
ウェル4の深さDは、凹部2の深さDよりも大きければよく、例えば、1mm以上20mm以下とすることができる。
複数のウェル4の基材1上の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、縦横に等間隔に整列するように配置されていてもよい。
複数のウェル4のうち、1以上のウェル4の底部に凹部が形成されていればよく、全てのウェル4の底部に凹部が形成されていることが好ましい。
ウェル4の容量は、細胞の種類やハイドロゲル粒子の大きさに応じて適宜設定することができるが、例えば、100μL以上1000μL以下とすることができる。ウェル4の容量が上記下限値以上であることで、収容できる溶液の容量を凹部2のみの場合よりも多くすることができ、乾燥の影響を受けにくい。また、液面の制御及び管理を容易に行なうことができ、安定的に細胞を培養することができる。
細胞培養基材200において、凹部2及びウェル4は、基材1と同じ材料からなり、凹部2及びウェル4の形成は、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100に記載の凹部2の形成方法と同様の公知の加工方法により行うことができる。
細胞培養基材200において、凹部の縁2b、又は、図2Aに示すように平面視した際に凹部2の外縁領域にあたるウェルの底面4aは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2b及びウェルの底面4aに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2b及びウェルの底面4aを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2b又はウェルの底面4aが撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
撥水性表面の水接触角、撥水処理方法、及び撥水性材料については、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100において説明したとおりである。
[第3実施形態]
図3A及び図3Bは、本発明の第3実施形態に係る細胞培養基材300を示す図である。図3Aは、細胞培養基材300の平面図である。図3Bは、図3Aに示すIII-III’線を通る面で切断した細胞培養基材300の断面図である。図3A及び図3Bに示す細胞培養基材300では、凹部2が基材1に環状に設けられた凸条部で囲まれた部位である点が、図1A及び図1Bに示す細胞培養基材100と異なる。
(凸条部)
凸条部5は基材1の表面に形成されている。
凸条部5としては、第1液の膜厚を均一に保つことができるものであれば、形状、材質に特に制限はない。
凸条部5は、基材1にいくつ形成されていてもよいが、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、24、48、96、384、1536等が挙げられる。
凸条部5の高さ、すなわち、凹部2の深さDは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。凹部2の深さDが上記下限値以上であることで、より均一な半球又は略半球形状のハイドロゲル粒子を得ることができる。一方で、凹部2の深さDが上記上限値以下であることで、第1液の膜に含まれる第1固定剤と、第2液の液滴に含まれる第2固定剤との反応によるハイドロゲルの形成速度(硬化速度)がより良好なものとなり、半硬化の状態でハイドロゲル粒子を凹部の底面2aに到達させることができるため、形成されたハイドロゲル粒子を接着させることができる。
凸条部5を平面視した際の形状としては、環状であればよく、円環状、略円環状;三角形、四角形等の多角形の環状等が挙げられる。
例えば、凸条部5を平面視した際の形状が円環状である場合、凸条部5の幅は特に制限されず、例えば0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mmなどであってよい。凸条部5の幅は、凸条部を設ける箇所や確保したい凹部2の大きさ等により適宜設定することができる。
また、凸条部5を平面視した際の形状が円環状である場合、凸条部5の内径、すなわち、凹部2の内径は5mm以上100mm以下であることが好ましく、6mm以上20mm以下であることがより好ましい。
細胞培養基材300において、凹部2及び凸条部5は、基材1と同じ材料からなり、凹部2及び凸条部5の形成は、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100に記載の凹部2の形成方法と同様の公知の加工方法により行うことができる。
細胞培養基材300において、凹部の縁2b又は凸条部5の上面5aは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2b又は凸条部5が撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
撥水性表面の水接触角、撥水処理方法、及び撥水性材料については、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100において説明したとおりである。
[第4実施形態]
図4A及び図4Bは、本発明の第4実施形態に係る細胞培養基材400を示す図である。図4Aは、細胞培養基材400の平面図である。図4Bは、図4Aに示すIV-IV’線を通る面で切断した細胞培養基材400の断面図である。図4A及び図4Bに示す細胞培養基材400では、ウェル4を更に備える点が、図3A及び図3Bに示す細胞培養基材300と異なる。細胞培養基材400では、ウェル4を備えることで、収容できる溶液の容量を凹部2のみの場合よりも多くすることができ、乾燥の影響を受けにくい。そのため、ハイドロゲル粒子内の細胞をより長期間安定して培養することができる。
細胞培養基材400において、凹部2、ウェル4及び凸条部5は、基材1と同じ材料からなり、凹部2、ウェル4及び凸条部5の形成は、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100に記載の凹部2の形成方法と同様の公知の加工方法により行うことができる。
細胞培養基材400において、凹部の縁2b又は凸条部5の上面5aは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2b又は凸条部5が撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
撥水性表面の水接触角、撥水処理方法、及び撥水性材料については、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100において説明したとおりである。
[第5実施形態]
図5A及び図5Bは、本発明の第5実施形態に係る細胞培養基材500を示す図である。図5Aは、細胞培養基材500の平面図である。図5Bは、図5Aに示すV-V’線を通る面で切断した細胞培養基材500の断面図である。図5A及び図5Bに示す細胞培養基材500では、凸条部5が基材1と別部材からなる点が、図3A及び図3Bに示す細胞培養基材300と異なる。細胞培養基材300では、凸条部5は基材1に固定されていてもよく、基材から取り外し可能な部材からなってもよいが、基材から取り外し可能な部材からなることが好ましい。凸条部5が基材から取り外し可能な部材からなることで、例えば、基材がスライドガラスである場合には、ハイドロゲル粒子内の細胞の観察の妨げとならないように、観察前に該凸条部5を取り除くことができる。
(凸条部)
凸条部5が基材1と別部材からなる場合に、凸条部5の形状としては、上記第3実施形態において例示されたものと同様のものが挙げられる。
凸条部5の材質としては、シリコーンゴム、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等が挙げられる。凸条部5は、撥水性材料で構成されていてもよい。撥水性材料としては、上記第1実施形態に係る細胞培養基材100において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、凸条部5が取り外し可能な部材である場合には、加工が容易であり、且つ、細胞への毒性がほとんどみられないことから、シリコーンゴムを材料とする部材であることが好ましい。
細胞培養基材500において、凸条部5は、上記材質からなるシートから、打ち抜き加工やレーザー加工等の公知の加工方法により所望の形状となるように加工して作製したものを基材1上に配置することで、形成することができる。
細胞培養基材500において、凹部の縁2b又は凸条部5の上面5aは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2b又は凸条部5が撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
[第6実施形態]
図6A及び図6Bは、本発明の第6実施形態に係る細胞培養基材600を示す図である。図6Aは、細胞培養基材600の平面図である。図6Bは、図6Aに示すVI-VI’線を通る面で切断した細胞培養基材600の断面図である。図6A及び図6Bに示す細胞培養基材600では、ウェル4を更に備える点が、図5A及び図5Bに示す細胞培養基材500と異なる。細胞培養基材600では、ウェル4を備えることで、収容できる溶液の容量を凹部2のみの場合よりも多くすることができ、乾燥の影響を受けにくい。そのため、ハイドロゲル粒子内の細胞をより長期間安定して培養することができる。
細胞培養基材600において、凹部の縁2b又は凸条部5の上面5aは、撥水性を有してもよい。例えば、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aに撥水処理層を配置することで、撥水性を付与することができる。或いは、凹部の縁2b及び凸条部5の上面5aを撥水性材料で構成してもよい。凹部の縁2b又は凸条部5が撥水性を有することで、後述する膜形成工程において添加される第1液が基材1の表面に塗れ広がらず、凹部2内に第1液の膜をより均一な厚みで形成することができる。
上記で説明した実施形態は、各々単独で実施してもよく、あるいはこれらの2種以上を組み合わせて実施してもよい。
本実施形態の細胞培養基材は、図1A~図6Bに示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1A~図6Bに示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図6A及び図6Bに示す細胞培養基材600において、凸条部5はウェル4の壁面に接するように配置されているが、図12に示すように、凸条部5をウェル4の壁面から一定の距離を置いて配置してもよい。このような配置とすることで、凸条部5が取り外し可能な部材からなる場合に、凸条部5の着脱がより容易になる。
例えば、図1A~図6Bに示す細胞培養基材において、凹部2乃至ウェル4の内部を培地で満たしてもよい。これにより、ハイドロゲル粒子の乾燥を予防し、細胞をより長期間安定して培養することができる。
例えば、図1A及び図1B、図3A及び図3B、並びに、図5A及び図5Bに示す細胞培養基材において、細胞培養基材を、培地等を添加した別容器に浸漬することで、ハイドロゲルを介して固定された細胞を培養することも可能である。
本実施形態の細胞培養基材は、in vitroにおける被験物質の毒性乃至薬効の評価用基材として好ましく用いることができる。
次いで、本実施形態の細胞培養基材の製造方法の各工程について以下に詳細を説明する。
<膜形成工程>
膜形成工程では、基材の表面に、第1液の膜を形成する。基材において膜を形成する位置には凹部が形成されており、膜は凹部の内部を充填する。すなわち、膜形成工程において、第1の液の膜厚は凹部の深さで規定されており、第1の液の膜厚が凹部の深さと同等となるように第1液を添加する。
従来では、ウェル等の第1液を収容する溶室の壁面に第1液が引き寄せられて膜厚が安定しない。これに対して、本実施形態の細胞培養基材の製造方法では、第1の液の膜厚が凹部2の深さと同等となるように第1液を添加することで、第1の液の膜厚を均一なものとすることができ、後述する液滴吐出工程において均一な形状のハイドロゲル粒子を形成することができる。なお、ここでいう「第1の液の膜厚が凹部2の深さと同等」とは、第1の液の膜厚が凹部2の深さの80%以上100%以下であることを意味する。第1の液の膜厚は、凹部2の深さによって適宜調整できるが、具体的には、例えば、40μm以上500μm以下とすることができる。
膜形成工程において、第1液を凹部2の内部に添加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイクロピペット等を用いたピペット分注法、マイクロマニピュレーター法、アスピレータ法、液滴吐出法(インクジェット法)、ゲル押し出し法、スクリーン印刷法等の転写法などが挙げられる。
[第1液]
第1液は、第1固定剤を含む水溶液である。
(第1固定剤)
第1固定剤としては、第2固定剤と混合されて架橋構造を形成するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、形成されるハイドロゲルの増粘性を向上するものであることが好ましい。第1固定剤として具体的には、例えば、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、フィブロイン等の生体由来ポリマー;フィブリノーゲン等の凝固因子;フィブロネクチン、ラミニン、リコンビナントペプチド等の接着因子;アルギン酸、ジェランガム等の多糖化合物金属塩;ポリ乳酸、ポリエチレングリコール等の合成ポリマー等が挙げられる。また、これらのポリマーに、チオール基等の官能基を修飾したものを用いることもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チオールゼラチンが好ましい。
(その他の成分)
第1液は、必要に応じて、更にその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培地、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
第1液は、第1固定剤及び必要に応じてその他成分を所望の濃度となるように、水やリン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液に添加して、混合することで調製することができる。
<液滴吐出工程>
液滴吐出工程では、膜6に第2液の液滴9aを吐出する。液滴吐出工程において、膜を構成する第1液と、液滴9aを構成する第2液との少なくとも一部が混合し、液滴9aの大きさに対応するハイドロゲルの粒子3が形成される。粒子3は、細胞を内包しており、基材1の表面に付着する。
液滴吐出工程において、液滴9aの直径は、凹部の深さで規定される膜の膜厚と同等以下である。これにより、凹部の底面に到達するまでに、ハイドロゲルが適度な硬さまで硬化して、均一な形状のハイドロゲル粒子を得ることができる。
液滴9aの直径として具体的には、20μm超500μm以下とすることができ、50μm以上400μm以下であることが好ましい。
液滴吐出工程において、液滴9aを吐出する方法としては、目的に応じて適宜選択することができ、液滴9aを所望の位置に付与できる方法であればよく、例えば、インクジェット方式の吐出方法、マイクロマニピュレーター法、ゲル押し出し法、スクリーン印刷法等の転写法等が挙げられる。中でも、インクジェット方式の吐出方法であることが好ましい。なお、インクジェット方式の吐出方法(以下、「インクジェット法」と称する場合がある)とはノズルより液滴を連続的に滴下させる方法である。
インクジェット法としては、例えば、オンデマンド方式、コンティニュアス方式等が挙げられる。これらの中でも、コンティニュアス方式の場合、安定的な吐出状態に至るまでの空吐出、液滴量の調整、ウェルプレートの各ウェル間を移動する際にも連続的に液滴形成を行い続ける等の理由から、用いる懸濁液のデッドボリュームが多くなる傾向にある。本実施形態では細胞数を調整する観点からデッドボリュームによる影響を低減させることが好ましく、そのため上記2つの方式では、オンデマンド方式の方がより好適である。
オンデマンド方式としては、例えば、液体に圧力を加えることによって液体を吐出する圧力印加方式、加熱による膜沸騰によって液体を吐出するサーマル方式、静電引力によって液滴を引っ張ることによって液滴を形成する静電方式等の既知の複数の方式等が挙げられる。これらの中でも、以下の理由から、圧力印加方式が好ましい。
静電方式は、懸濁液を保持して液滴を形成する吐出部に対向して電極を設置する必要がある。本発明の評価用基材の製造方法では、液滴を受けるための基材が対向して配置されており、基材構成の自由度を上げるため電極の配置は無いほうが好ましい。
サーマル方式は、局所的な加熱が発生するため生体材料である細胞への影響や、ヒーター部への焦げ付き(コゲーション)が懸念される。熱による影響は、含有物や基材の用途に依存するため、一概に除外する必要はないが、サーマル方式よりヒーター部への焦げ付きの懸念がないという点から、圧力印加方式が好ましい。
圧力印加方式としては、ピエゾ素子を用いて液体に圧力を加える方式、電磁バルブ等のバルブによって圧力を加える方式等が挙げられる。第2液の液滴吐出に使用可能な吐出ヘッドの構成例を図7に示す。図7は、ピエゾ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。
ピエゾ方式の吐出ヘッド20では、液室部材21の底面に弾性部材22を介してMEMSチップ23が配置されている。
MEMSチップ23には薄板部位となるメンブレン26が配置されている。メンブレン26の中央にはノズル25が形成されている。メンブレン26の外側表面に薄膜状の圧電素子24が配置されている。MEMSチップ23に配置された圧電素子24に、駆動波形発生供給源(図示せず)から配線27を通して駆動波形が印加されることで、MEMSチップ23のメンブレン26が振動し、液室内の第2液9がノズル25から液滴9aとして吐出される。
液室部材21とノズル25が形成されるメンブレン26とによって形成される液室は、細胞11を含む懸濁液である第2液9を保持する液体保持部である。液室は、下面側には貫通孔であるノズル25が形成されている。液室は、例えば、金属、シリコン、セラミックス等から形成することができる。
メンブレン26は、液室部材21の下端部に固定された膜状部材である。メンブレン26の略中心には貫通孔であるノズル25が形成されており、液室に保持された第2液9はメンブレン26の振動によりノズル25から液滴として吐出される。メンブレン26の振動の慣性により液滴を形成するため、高表面張力(高粘度)の第2液9でも吐出が可能である。メンブレン26の平面形状は、例えば、円形とすることができるが、楕円状や四角形等としてもよい。
メンブレン26の材質としては特に限定はないが、柔らか過ぎるとメンブレン26が簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さがある材質を用いることが好ましい。メンブレン26の材質としては、例えば、金属材料やセラミックス材料、ある程度硬さのある高分子材料等を用いることができる。
特に、細胞を用いる際には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料であることが好ましい。細胞の付着性は一般的に材質の水との接触角に依存性があると言われており、材質の親水性が高い又は疎水性が高いときには細胞の付着性が低い。親水性の高い材料としては各種金属材料やセラミックス(金属酸化物)を用いることが可能であり、疎水性が高い材料としてはフッ素樹脂等を用いることが可能である。
このような材料の他の例としては、例えば、ステンレス鋼やニッケル、アルミニウム等や、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどを挙げることができる。これら以外にも、材料表面をコーティングすることで細胞接着性を低下させることも考えられる。例えば、材料表面を前述の金属又は金属酸化物材料でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば、日油株式会社製、Lipidure)によってコーティングすることが可能である。
ノズル25は、メンブレン26の略中心に実質的に真円状の貫通孔として形成されていることが好ましい。この場合、ノズル25の径としては、特に限定はないが、細胞11がノズル25に詰まることを避けるため、細胞11の大きさの2倍以上とすることが好ましい。細胞11が、例えば、動物細胞、特にヒトの細胞である場合、ヒトの細胞の大きさは一般的に5μm以上50μm以下程度であるため、使用する細胞に合わせて、ノズル25の径は10μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。
一方で、ノズル25の径は、200μm以下であることが好ましい。つまり、吐出ヘッド20においては、ノズル25の径は、典型的には10μm以上200μm以下の範囲となる。
圧電素子24は、メンブレン26の下面側に形成されている。圧電素子24の形状は、メンブレン26の形状に合わせて設計することができる。例えば、メンブレン26の平面形状が円形である場合には、ノズル25の周囲に平面形状が円環状(リング状)の圧電素子24を形成することが好ましい。
圧電素子24に駆動波形発生供給源から駆動波形を供給することにより、メンブレン26を振動させることができる。メンブレン26の振動により、細胞11を含有する液滴を、ノズル25から吐出させることができる。
圧電素子24は、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造とすることができる。この場合、駆動波形発生供給源から圧電素子24の上下電極間に電圧を印加することによって紙面横方向に圧縮応力が加わり、メンブレン26を紙面上下方向に振動させることができる。圧電材料としては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を用いることができる。この他にも、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、或いはこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたもの等、様々な圧電材料を用いることができる。
駆動波形発生供給源は、メンブレン26を振動させて液滴を形成する吐出波形と、液滴を形成しない範囲でメンブレン26を振動させる撹拌波形とを圧電素子24に選択的に(例えば、交互に)付与することができる。
例えば、吐出波形及び撹拌波形を何れも矩形波とし、吐出波形の駆動電圧よりも撹拌波形の駆動電圧を低くすることで、撹拌波形の印加により液滴が形成されないようにすることができる。つまり、駆動電圧の高低により、メンブレン26の振動状態(振動の程度)を制御することができる。
吐出ヘッド20では、圧電素子24がメンブレン26の下面側に形成されているため、圧電素子24によりメンブレン26が振動すると、液室の下部方向から上部方向への流れを生じさせることが可能である。
この時、細胞11の動きは下から上への運動となり、液室内で対流が発生して第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9の撹拌が起きる。液室の下部方向から上部方向への流れにより、沈降、凝集した細胞11が液室の内部に均一に分散する。
つまり、駆動波形発生供給源は、吐出波形を圧電素子24に加え、メンブレン26の振動状態を制御することにより、液室に保持された第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9をノズル25から液滴として吐出させることができる。又、駆動波形発生供給源は、撹拌波形を圧電素子24に加え、メンブレン26の振動状態を制御することにより、液室に保持されたた第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9を撹拌することができる。なお、撹拌時には、ノズル25から液滴は吐出されない。
このように、液滴を形成していない間に第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9を撹拌することにより、細胞11がメンブレン26上に沈降、凝集することを防ぐと共に、細胞11を、第2固定剤を含有する第2液9中にムラなく分散させることができる。これにより、ノズル25の詰まりを抑えることが可能となる。その結果、第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9を、長時間連続して安定的に液滴として吐出することができる。
また、第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9中に気泡が混入する場合がある。この場合でも、吐出ヘッド20においては、液室の上部が開放されているため、第2固定剤及び細胞11を含有する第2液9中に混入した気泡を、液室の上部を通じて外気に排出できる。これによって、気泡排出のために大量の液を捨てることなく、連続して安定的に液滴を形成することが可能となる。
すなわち、ノズル25の近傍に気泡が混入した場合や、メンブレン26上に多数の気泡が混入した場合には吐出状態に影響を及ぼすため、長い時間安定的に液滴の形成を行うためには、混入した気泡を排出する必要がある。通常、メンブレン26上に混入した気泡は、自然に若しくはメンブレン26の振動によって上方に移動するが、液室の上部が開放されているため、混入した気泡を液室の上部から排出可能となる。そのため、液室に気泡が混入しても不吐出が発生することを防止可能となり、連続して安定的に液滴を形成することができる。
なお、液滴を形成しないタイミングで、液滴を形成しない範囲でメンブレン26を振動させ、積極的に気泡を液室の上方に移動させてもよい。
吐出ヘッドとしては、ピエゾ方式及び電磁バルブ方式のいずれも用いることが可能であるが、電磁バルブによる圧力印加方式では高速に繰り返し液滴を形成することができないため、細胞培養基材の製造のスループットを上げるためにはピエゾ方式を用いることが好ましい。ピエゾ方式の吐出ヘッドとしては、Cytena社のシングルセルプリンターなどを好適に用いることができる。
また、一般的な圧電素子を用いたピエゾ方式の吐出ヘッドでは、沈降によって細胞濃度のムラが発生することや、ノズル詰まりが生じることが問題として生じることがある。このため、図7に示すピエゾ方式の吐出ヘッドを好ましく用いることができる。図7の吐出ヘッド20では、図示していない駆動波形発生供給源から圧電素子24に対して配線27を通して駆動波形が印加されることにより、紙面横方向に圧縮応力が加わりメンブレン26を紙面上下方向に変形させることができる。これにより上記問題を解決することができる。
コンティニュアス方式では、液滴を加圧してノズルから押し出す際に圧電素子やヒーターによって定期的なゆらぎを与え、それによって微小な液滴を連続的に作り出すことができる。さらに、飛翔中の液滴の吐出方向に電圧を印加することによって制御することにより、ウェルに着弾させるか、回収部に回収するかを選ぶことも可能である。このような方式は、セルソーター、又はフローサイトメーターで用いられており、例えば、ソニー株式会社製の装置名「セルソーターSH800」を用いることができる。
吐出ヘッドでは、電圧の強弱により、液滴の形成及び第2液の攪拌を行うことができる。液滴を吐出しない期間中に、液滴を吐出するほどには強くない複数のパルスを入力することによって、液質内の懸濁液を撹拌することが可能であり、細胞沈降による濃度分布の発生を抑制することができる。
圧電素子に印加する電圧及び吐出ヘッドにおける液滴形成動作の詳細については、例えば、特許文献1に記載の内容が本実施形態の細胞培養基材の製造方法においても好ましく適用される。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法に用いられる装置について、図8~図10を用いて説明する。
図8は、細胞培養基材の製造装置の一例を示す模式図である。図9及び図10は、図8の細胞培養基材の製造装置の他の変形例を示す模式図である。
図8に示すように、細胞培養基材の製造装置110は、吐出ヘッド(液滴吐出手段)20と、ヘッド搬送手段30と、制御手段40と、を有する。また、細胞培養基材の製造装置110において、圧電素子の駆動波形供給源28が配線27を介して吐出ヘッド20の圧電素子に接続している。
図8に示す細胞培養基材の製造装置110において、液滴の吐出と同期して制御手段40に接続されたヘッド搬送手段30により吐出ヘッド20とウェルプレート12の相対位置を変化させることで、ウェル4の底面への第2液の液滴を任意の位置に配置することができる。
吐出ヘッド20とウェルプレート12の相対位置を変化させる手段は、図8に示すように、吐出ヘッド20にのみ搬送手段を配置してもよく、或いは、図9に示すように、ウェルプレート12にのみ搬送手段を配置してもよく、或いは、図10に示すように、吐出ヘッド20及びウェルプレート12両方の搬送手段を配置してもよい。
例えば、図10に示す細胞培養基材の製造装置130において、紙面左右方向の動作はヘッド搬送手段30で制御し、紙面前後方向の動作はプレート搬送手段50で制御することもできる。
制御手段40は、駆動波形供給源28、ヘッド搬送手段30、プレート搬送手段50を制御する機能を有している。以下、図11を参照し、制御手段40の動作を含有する細胞培養基材の製造装置の動作について説明する。
図11は、図8~図10の制御手段40のハードウェアブロックを例示する図である。
図11に示すように、制御手段40は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、I/F44と、バスライン45とを有している。CPU41、ROM42、RAM43、及びI/F44は、バスライン45を介して相互に接続されている。
CPU41は、制御手段40の各機能を制御する。
記憶手段であるROM42は、CPU41が制御手段40の各機能を制御するために実行するプログラムや、各種情報を記憶している。
記憶手段であるRAM43は、CPU41のワークエリア等として使用される。また、RAM43は、所定の情報を一時的に記憶することができる。
I/F44は、細胞培養基材の製造装置を他の機器等と接続するためのインターフェイスである。細胞培養基材の製造装置は、I/F44を介して、外部ネットワーク等と接続されてもよい。
[第2液]
第2液は、第2固定剤と、細胞とを含む懸濁液である。細胞としては、上記第1実施形態に係る細胞培養基材で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(第2固定剤)
第2固定剤としては、第1固定剤と混合されて架橋構造を形成するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第2固定剤として具体的には、例えば、多糖類、多価金属塩、フィブリノーゲン、トロンビン、フィブロネクチン、ラミニン、リコンビナントペプチド、キトサン、キチン、四官能性ポリエチレングリコール(Tetra-PEG)等が挙げられる。また、これらに、マレイミジル基等の官能基を修飾したものを用いることもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、第1固定剤がチオールゼラチンである場合には、Tetra-PEG-マレイミジルであることが好ましい。
(その他の成分)
第2液は、必要に応じて、更にその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培地、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
第2液は、細胞、第2固定剤、及び、必要に応じてその他成分を所望の濃度となるように、水やリン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液、或いは、培地に添加して、混合することで調製することができる。
[ハイドロゲル]
ハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有する。
1液性のゲルでは、ゲルの硬化に時間がかかるため、すぐに培地を充填するとハイドロゲル粒子が基材の底面に接着しておらず流されてしまう。これに対して、本実施形態の細胞培養基材の製造方法で形成されるハイドロゲルは、膜を構成する第1液と、液滴9aを構成する第2液との少なくとも一部が反応してなる2液性のゲルである。そのため、1液性のゲルよりもゲルの硬化時間が短く、滴下した液滴が基材の底面に到着するまでにゲルを所望の硬さまで硬化させることができる。
例えば、第1固定剤がTetra-PEG-マレイミジルであり、第2固定剤がチオールゼラチンである場合には、マレイミジル基とチオール基の反応によりチオエーテル基が形成されており、Tetra-PEG構成単位と、ゼラチン構成単位とを有する高分子と、該高分子を含む水と、を有するハイドロゲルを用いることができる。
<培地添加工程>
本実施形態の細胞培養基材の製造方法は、上記膜形成工程及び上記液滴吐出工程に加えて、細胞がハイドロゲルを介して基材に固定された後に、ハイドロゲル粒子に培地を添加する工程(以下、「培地添加工程」と称する場合がある)を更に含んでもよい。
培地を添加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイクロピペット等を用いたピペット分注法、マイクロマニピュレーター法、アスピレータ法、インクジェット法、スクリーン印刷法等の転写法等が挙げられる。
[培地]
培地としては、組織体の形成と維持に必要な成分を含み、乾燥を防ぎ、浸透圧等の外部環境を整える溶液であり、当該分野で公知のものを適宜選択することができる。常時培地液内に浸しておく必要のない場合においては適宜除去してもよい。
培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然培地、半合成培地、合成培地等の組成により分類される培地;半固形培地、液体培地、粉末培地(以下、「粉培地」とも称することがある)等の形状により分類される培地等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。細胞が動物由来である場合、動物細胞の培養に用いられる培地であればいずれも用いることができる。
動物細胞の培養に用いられる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す
ることができ、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;D-MEM)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、D-MEM/F12培地、マッコイ5A培地(McCoy’s 5A medium)、イーグルMEM(Eagle’s Minimum Essential Medium;E-MEM)、αMEM(alpha Modified Eagle’s Minimum Essential Medium)、MEM(Minimum Essential Medium)、RPMI1640培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;I-MDM)、MCDB131培地、ウィリアム培地E、IPL41培地、Fischer’s培地、StemPro34(インビトロジェン社製)、X-VIVO 10(ケンブレックス社製)、X-VIVO 15(ケンブレックス社製)、HPGM(ケンブレックス社製)、StemSpan H3000(ステムセルテクノロジー社製)、StemSpanSFEM(ステムセルテクノロジー社製)、StemlineII(シグマアルドリッチ社製)、QBSF-60(クオリティバイオロジカル社製)、StemProhESCSFM(インビトロジェン社製)、Essential8(登録商標)培地(ギブコ社製)、mTeSR1或いは2培地(ステムセルテクノロジー社製)、リプロFF或いはリプロFF2(リプロセル社製)、PSGro hESC/iPSC培地(システムバイオサイエンス社製)、NutriStem(登録商標)培地(バイオロジカルインダストリーズ社製)、CSTI-7培地(細胞科学研究所社製)、MesenPRO RS培地(ギブコ社製)、MF-Medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡株式会社製)、Sf-900II(インビトロジェン社製)、Opti-Pro(インビトロジェン社製)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
培地中の二酸化炭素濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2v/v%以上5v/v%以下が好ましく、3v/v%以上4v/v%以下がより好ましい。前記二酸化炭素濃度が、上記範囲内であると、細胞を好適に培養させることができる。
図12は、本発明の一実施形態に係る細胞培養基材の製造方法のプロセスを示す概略図である。図12を参照しながら、本実施形態の細胞培養基材の製造方法について説明する。
図12の膜形成工程に示すように、第1液をマイクロピペット7によりウェル4の底面形成されている凹部2の内部に、第1液の膜厚が凹部2の深さと同等となるように、添加する。次に、図12の液滴吐出工程に示すように、吐出ヘッド23を用いて、インクジェット法により、第2液9を液滴9aにして吐出し、凹部2の内部に形成された第1液の膜6に接触させる。第2液の液滴9aを第1液の膜6に接触させることにより、第1固定剤及び第2固定剤が反応して、ハイドロゲルの粒子3が形成される。形成されたハイドロゲルを介して、細胞が基材に接着した細胞培養基材を作製することができる。次に、図12の培地添加工程に示すように、ハイドロゲル粒子6の上に、培地10をマイクロピペット7により滴下して、ハイドロゲル粒子の乾燥防止や評価の前準備を行うことができる。
本実施形態の細胞培養基材の製造方法で得られた細胞培養基材は、被験物質の毒性乃至薬効の評価に好適に用いられる。
本実施形態の細胞培養基材を被験物質の毒性乃至薬効の評価に用いる場合は、図12の培地添加工程に示す培地10に、毒性乃至薬効の評価を行う被験物質を事前に添加したものを用いることにより評価を行うことができる。
毒性の評価を行う被験物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、塩化亜鉛、1-ブタノール、安息香酸、エチルバニリン、4-ヒドロキシ安息香酸、スルファニル酸、酒石酸、サリチル酸メチル、サリチル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、乳酸、ベンジルアルコール、デキストラン、ジエチルフタレート、グリセロール、プロピルパラベン、Tween80、ジメチルイソフタレート、フェノール、クロロベンゼン、スルファニルアミド、オクタン酸等が挙げられる。
薬効の評価を行う被験物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、オキサゾロン、ベンゾキノン、2,4-ジニトロコロベンジン、4-フェニレンジアミン、グルタルアルデヒド、ベンゾイルペルオキシド、4-メチルアミノフェノール硫酸塩、ホルムアルデヒド、シンナムアルデヒド、エチレンジアミン、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、イソオイゲノール、硫酸ニッケル(II)、ベンジリデンアセトン、2-ノニン酸メチル、サルチル酸ベンジル、ジエチレントリアミン、チオグリセロール、2-メルカプトベンゾチアゾール、フェニルアセトアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ベンゾイソチアゾリオーネ、シトラール、レゾルシノール、安息香酸フェニル、オイゲノール、アビエチン酸、アミノ安息香酸エチル、ベンジルシンナメート、シンナミルアルコール、ヒドロキシシトロネラール、イミダゾリジニル尿素、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジメタクリラート、グリオキサール、4-ニトロベンジルブロミド等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
特許文献1等の従来の方法では、第1液をウェルやディッシュ等の細胞培養基材に滴下して、第1液の膜を形成する。このとき、図13に示すように、96ウェルプレートに第1液を滴下する場合に、表面張力によりウェルプレートの角及び側面にも第1液が引き寄せられるために、ウェル内に所望の厚さであって均一な第1液の薄膜を形成することは困難であった。また、この方法で形成されるウェルの中央近傍の薄膜は10μm以下であるために、直径100μm程度のハイドロゲル粒子を形成できない。
そこで、細胞培養基材に凹部を形成することで、凹部の深さが障壁となり、第1液がウェルプレートの角及び壁面に吸い寄せされず、所望の厚さであって、均一な第1液の薄膜を形成することが可能になると仮定した。本実施例では、凹部の形成方法の一例として、シリコーンゴムのリングをウェル内に配置することで、細胞培養基材上に凹部を形成することを検討した。
<材料>
[第1液の調製]
リン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies社製;以下、「PBS(-)」と称する場合がある)1mLに、第1固定剤として、チオールゼラチン(Sigma-Aldrich社製、商品名「Thiol functionalized gelatin」)50mgを添加して、50mg/mLのチオールゼラチン水溶液を調製して、第1液を得た。
[第2液の調製]
マウス胎児線維芽細胞株であるNIH/3T3細胞(JCRB0615、JCRB細胞バンクより入手;以下、単に「3T3細胞」と称する場合がある)1×10個をDulbecco’s Modified Eagle Medium(Life Technologies社製、商品名「DMEM(1×)」;以下、「D-MEM」と称する場合がある)30mLに懸濁し、得られた細胞懸濁液を100mmディッシュに添加して、インキュベーター(パナソニック株式会社製、装置名「KM-CC17RU2」、37℃、5%CO環境)内で、72時間培養した。培養後、培養液を除去し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(以下、「DPBS」と称する場合がある)を2mL添加して洗浄した。DPBSを除去し、トリプシン(Life Technologies社製、商品名「0.05% Trypsin-EDTA(1×)」)2mLを加えて、上記インキュベーター内(37℃、5%CO環境)で5分間、トリプシン処理して細胞を単離した。
予め、PBS(-)1mLに、第2固定剤として、Tetra-PEG-マレイミジル(油化産業株式会社製、商品名「SUNBRIGHT PTE-100MA」)10mgを添加して、10mg/mLのTetra-PEG-マレイミジル水溶液を調製した。
おいた。次いで、上記のとおり、単離した細胞を、10mgmg/mLのチオールゼラチン水溶液に、細胞数が1×10個/mLの濃度になるように添加して、第2固定剤及び細胞を含有する第2液を得た。
<細胞培養基材の製造>
[実施例1]
96ウェルプレート(Corning社製、商品名「96well細胞培養用プレート 平底 低蒸発タイプ、フタ付 ポリスチレン」)の各ウェル内に、シリコーンゴムリング(直径5mm、厚み100μm)を配置し、ウェルの底部に凹部が形成された細胞培養基材を得た。シリコーンゴムリングは、シリコーンゴムシート(ケニス社製、300mm×300mm×100μm)を、直径5mm、厚み100μmのリング状となるように打ち抜き加工を行い、作製した。
96ウェルプレートの各ウェルの凹部内に、マイクロピペットを用いて、50mg/mLのチオールゼラチン水溶液2.5μLを添加した(図12の「膜形成工程」参照)。第1液の膜厚は約100μmであった。
次に、第2液をインクジェット法のバイオプリンター(自社開発品、装置名「細胞対応インクジェット装置」)を用いて、細胞を含むハイドロゲル粒子が重ならないように配置されるように、96ウェルプレートのウェルの凹部内に直径100μmの液滴を吐出した(図12の「液滴吐出工程」参照)。第1固定剤であるチオールゼラチンと第2固定剤であるTetra-PEG-マレイミジルとが混合されてハイドロゲルの粒子を形成し、数分の常温静置を経て細胞を含むハイドロゲル粒子を凹部の底面に固定した。ハイドロゲル粒子の高さは、約40μmであり、形状は均一であった。ハイドロゲル粒子が固定されたことを確認した後、溶液を除去して、代わりに、D-MEM0.1mLを添加して、細胞を培養した(図12の「培地添加工程」参照)。
[比較例1]
96ウェルプレート(Corning社製、商品名「96well細胞培養用プレート 平底 低蒸発タイプ、フタ付 ポリスチレン」)の各ウェルに、マイクロピペットを用いて、50mg/mLのチオールゼラチン水溶液15μLを添加した(図14の「従来の膜形成工程」参照)。
次に、第2液をインクジェット法のバイオプリンター(自社開発品、装置名「細胞対応インクジェット装置」)を用いて、細胞を含むハイドロゲル粒子が重ならないように配置されるように、96ウェルプレートのウェル上に直径100μmの液滴を吐出した(図14の「従来の液滴吐出工程」参照)。第1固定剤であるチオールゼラチンと第2固定剤であるTetra-PEG-マレイミジルとが混合されてハイドロゲルの粒子を形成し、数分の常温静置を経て細胞を含むハイドロゲル粒子を凹部の底面に固定した。ハイドロゲル粒子の高さは、約数~10μmとばらつきがあり、形状が不均一であった。ハイドロゲル粒子が固定されたことを確認した後、溶液を除去して、代わりに、D-MEM0.1mLを添加して、細胞を培養した(図14の「従来の培地添加工程」参照)。
実施例1及び比較例1で得られた製造直後の細胞培養基材上のハイドロゲル粒子を、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、装置名「CKX53」)を用いて観察した。結果を図15に示す。
図15に示すように、実施例1で得られた細胞培養基材では、平面視した際の直径が100μm程度であって、細胞が内包されたハイドロゲル粒子が形成されていることが確かめられた。一方で、比較例1で得られた細胞培養基材では、ハイドロゲル粒子が扁平な形状となっており、細胞が乾燥しやすくダメージを受けやすい環境となっていることが明らかとなった。
また、実施例1で得られた細胞培養基材上のハイドロゲル粒子の製造直後(day0)及び72時間後(day3)の顕微鏡像を図16に示す。
図16に示すように、day0からday3までの期間において、ハイドロゲル粒子がウェル内の凹部の底面に固定されたままの状態で、ハイドロゲル粒子の中で3T3細胞が増殖を続けていることが確かめられた。
以上のことから、本実施形態の細胞培養基材の製造方法では、基材の表面に凹部を形成することで、所望の厚さで均一に液膜を形成することができ、細胞を含み均一な形状のハイドロゲル粒子が得られることが明らかとなった。
本発明は以下の態様を含む。
(1) 基材の表面にハイドロゲルを介して細胞が固定された細胞培養基材の製造方法であって、
前記基材の表面に、第1液の膜を形成する工程と、
前記膜に第2液の液滴を吐出する工程と、を含み、
前記ハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有し、
前記第1液は、前記第1固定剤を含む水溶液であり、
前記第2液は、前記第2固定剤と、前記細胞とを含む懸濁液であり、
前記基材において前記膜を形成する位置には凹部が形成され、前記膜は前記凹部の内部を充填し、
前記液滴を吐出する工程において、前記膜を構成する前記第1液と、前記液滴を構成する前記第2液との少なくとも一部が混合し、前記液滴の大きさに対応する前記ハイドロゲルの粒子が形成され、
前記粒子は、前記細胞を内包して前記基材の表面に付着する、細胞培養基材の製造方法。
(2) 前記液滴の直径は、前記凹部の深さで規定される前記膜の膜厚と同等以下である、(1)に記載の細胞培養基材の製造方法。
(3) 前記凹部は、前記基材に環状に設けられた凸条部で囲まれた部位である、(1)又は(2)に記載の細胞培養基材の製造方法。
(4) 前記凸条部は、前記基材から取り外し可能な部材からなる、(3)に記載の細胞培養基材の製造方法。
(5) 前記部材がシリコーンゴムを材料とする、(4)に記載の細胞培養基材の製造方法。
(6) 前記基材がウェルプレートであり、
前記ウェルプレートの1以上のウェルの底部に前記凹部が形成されている、(1)~(5)のいずれか一つに記載の細胞培養基材の製造方法。
(7) 前記液滴を吐出する工程において、インクジェット方式の吐出方法で前記第2液を吐出する、(1)~(6)のいずれか一つに記載の細胞培養基材の製造方法。
(8) 基材と、
前記基材の表面に付着し細胞を内包するハイドロゲル粒子と、を有し、
前記基材の表面には凹部が形成され、
前記ハイドロゲル粒子は、前記凹部の底面に付着し、
前記ハイドロゲル粒子の高さは、前記凹部の深さよりも小さい、細胞培養基材。
1:基材、2:凹部、2a:凹部の底面、2b:凹部の縁、3:ハイドロゲル粒子、4:ウェル、5:凸条部、5a:凸条部の上面、6:第1液の膜、7:ピペット、8:吐出ヘッド、9:第2液、9a:第2液の液滴、10:培地、11:細胞、12:ウェルプレート、20:吐出ヘッド、21:液室部材、22:弾性部材、23:MEMSチップ、24:圧電素子、25:ノズル、26:メンブレン、27:配線、28:圧電素子の駆動波形供給源、30:ヘッド搬送手段、40:制御手段、41:CPU、42:ROM、43:RAM、44:I/F、45:バスライン、50:プレート搬送手段、100,200,300,400,500,600:細胞培養基材、110,120,130:細胞培養基材の製造装置、D:凹部の深さ、D:ウェルの深さ、H:ハイドロゲル粒子の高さ
特許第6977347号公報

Claims (8)

  1. 基材の表面にハイドロゲルを介して細胞が固定された細胞培養基材の製造方法であって、
    前記基材の表面に、第1液の膜を形成する工程と、
    前記膜に第2液の液滴を吐出する工程と、を含み、
    前記ハイドロゲルは、第1固定剤と第2固定剤とが結合して形成される高分子と、前記高分子が含む水と、を有し、
    前記第1液は、前記第1固定剤を含む水溶液であり、
    前記第2液は、前記第2固定剤と、前記細胞とを含む懸濁液であり、
    前記基材において前記膜を形成する位置には凹部が形成され、前記膜は前記凹部の内部を充填し、
    前記液滴を吐出する工程において、前記膜を構成する前記第1液と、前記液滴を構成する前記第2液との少なくとも一部が混合し、前記液滴の大きさに対応する前記ハイドロゲルの粒子が形成され、
    前記粒子は、前記細胞を内包して前記基材の表面に付着する、細胞培養基材の製造方法。
  2. 前記液滴の直径は、前記凹部の深さで規定される前記膜の膜厚と同等以下である、請求項1に記載の細胞培養基材の製造方法。
  3. 前記凹部は、前記基材に環状に設けられた凸条部で囲まれた部位である、請求項1又は2に記載の細胞培養基材の製造方法。
  4. 前記凸条部は、前記基材から取り外し可能な部材からなる、請求項3に記載の細胞培養基材の製造方法。
  5. 前記部材がシリコーンゴムを材料とする、請求項4に記載の細胞培養基材の製造方法。
  6. 前記基材がウェルプレートであり、
    前記ウェルプレートの1以上のウェルの底部に前記凹部が形成されている、請求項1又は2のいずれか一項に記載の細胞培養基材の製造方法。
  7. 前記液滴を吐出する工程において、インクジェット方式の吐出方法で前記第2液を吐出する、請求項1又は2に記載の細胞培養基材の製造方法。
  8. 基材と、
    前記基材の表面に付着し細胞を内包するハイドロゲル粒子と、を有し、
    前記基材の表面には凹部が形成され、
    前記ハイドロゲル粒子は、前記凹部の底面に付着し、
    前記ハイドロゲル粒子の高さは、前記凹部の深さよりも小さい、細胞培養基材。
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