JP2024017718A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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章林 郭
Zhanglin Guo
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Abstract

【課題】より高い電圧を産する光電変換素子及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置する活性層と、を有する光電変換素子及びその製造方法であって、前記活性層に対し、チオフェン含有化合物を接触させることにより、活性層表面の表面改質処理を行うことによって、容易に高い開放電圧を産する光電変換素子を得ることより、課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。特に好ましくは、ペロブスカイト結晶を用いた半導体化合物を活性層に有する光電変換素子に関する。
近年、ペロブスカイト結晶を用いた半導体デバイスの提案が多くなされ、ペロブスカイト結晶の製造に関する発明も多くなされている。特に、無機メタルハライドペロブスカイト膜が実用上使いやすく、これを均一性高く、かつ容易に製造する方法が望まれている。
例えば、鉛とその他の金属とを用いた無機メタルハライドペロブスカイト膜を製造する場合には、典型的には鉛を供給する鉛含有ヨウ素化合物と、その他の金属を供給する金属ヨウ化物とを、基板の、無機メタルハライドペロブスカイト膜を作りたい面に配置し、これを焼成することにより、鉛とその他の金属とを有する無機メタルハライドペロブスカイト膜を製造することができる。
そしてより特性の良い膜を得るための技術として、例えば特許文献1には、結晶性のペロブスカイトの膜を作成するために、金属又は半金属のカチオンである第1のカチオンと、2個以上の原子を含む犠牲アニオンと、を含む第1の前駆体化合物、及び第2のアニオンと、犠牲アニオンと共に第1の揮発性化合物を形成することができる第2のカチオンと、を含む第2の前駆体化合物を基板上に配置することを含む方法が記載されている。この文献では、第2のカチオンとして金属または半金属のモノカチオンを使用することが記載されている。
また非特許文献1には、CsPbIBr溶液に酢酸鉛を添加し、塗布・加熱し薄膜を形成することによりペロブスカイト結晶の膜を製造する方法が記載されている。
非特許文献2には、CsPbIBr前駆体溶液に微量のCaClを添加することで得られるペロブスカイト結晶を用いた光電変換素子の製造に際し、開放電圧Voc1.32Vが得られることが記載されている。
非特許文献3には、CsPbIBr活性層に対して用いられる中間層として、電子輸送層に酸化スズ(SnO)薄膜を用い、さらに塩化スズSnCl水溶液で表面処理を行うことで、電子輸送層と活性層との間での再結合を抑制し、1.31Vの開放電圧を得られることが記載されている。
特表2017-530546号公報
Advanced Energy Materials 2018,8,1801050 Advanced Functional Materials 2020,1909972 Journal of Materials Chemistry A,2019,7,1227.
しかしながら、例えば特許文献1に記載の方法では、金属または半金属のモノカチオンと犠牲アニオンから合成される化合物は必ずしも蒸発または分解される化合物を形成せず、均一なペロブスカイト膜を作製するという所望の効果が十分には得られていない。また非特許文献1に記載の方法では、酢酸鉛に吸湿性があるため、不活性雰囲気中での製膜が必要であり、吸湿水分を除去するための加熱温度も高いため、製造が難しいという課題がある。
さらに、非特許文献2及び非特許文献3に記載の方法でも、CsPbIBrペロブスカイトのバンドギャップ1.92eVと比較し、光電変換素子における電圧損失はいまだ大きく、十分高い電圧が得られているとは言い難い。
前記電圧損失は、ペロブスカイト型化合物表面に存在する配位不足のPb2+、及び配位不足のハロゲン化物の存在に起因すると考えられる。
本発明は上記問題点を解決するものであり、より高い電圧を産する光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討し、ペロブスカイト活性層表面に対しチオフェン骨格を有する芳香族酸性分子を含む組成物を接触させることにより、ペロブスカイト活性層表面の表面改質処理を行うことで、容易に高い開放電圧を産する光電変換素子が得られることを見出し、発明に到達した。
本発明は以下のものを含む。
[1] 上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置する活性層と、を有する光電変換素子であって、前記活性層が、カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物と接触している、光電変換素子。
[2] 前記チオフェン含有化合物の分子量が、80~500である、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記活性層が、メタルハライドペロブスカイト化合物を含む、[1]~[2]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[4] 前記活性層が、無機メタルハライドペロブスカイト化合物である、[1]~[3]の何れか一項に記載の光電変換素子。
[5] 前記無機メタルハライドペロブスカイト化合物が、CsPbX(式中、複数のXはそれぞれ独立にBr又はIを表す。)型ペロブスカイト化合物である、[4]に記載の光電変換素子。
[6] 前記光電変換素子は、前記活性層と、前記一対の電極のうちいずれか一方の電極と、の間に正孔輸送層を備え、前記正孔輸送層が高分子化合物を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[7] 前記正孔輸送層側の前記活性層の表面が、前記チオフェン含有化合物と接触している、[6]に記載の光電変換素子。
[8] 前記チオフェン含有化合物は前記活性層と前記正孔輸送層の両方に接触している、[6]又は[7]に記載の光電変換素子。
[9] 無機メタルハライドペロブスカイト化合物を含む活性層の少なくとも一方の表面に、カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物を含む溶液を接触させることを含む、光電変換素子の製造方法。
本発明により、開放電圧が向上する光電変換素子を提供できる。
本実施形態の光電変換素子の一形態を模式的に示す図である。 (a)Control; チオフェン含有化合物と接触していない活性層表面のPb2+の状態を示すX線光電子分光法(XPS)スペクトルである。(b)With TDCA; チオフェン含有化合物と接触している活性層表面のPb2+の状態を示すXPSスペクトルである。(c)活性層の紫外光電子分光法(UPS)スペクトルである。Controlは比較例であり、With TDCAは実施例である。(d)エネルギーダイアグラムである。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態は、上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置する活性層と、を有する光電変換素子であって、前記活性層がカルボキシル基を有するチオフェン含有化合物と接触している、光電変換素子である。以下、図1を用いて説明する。
<光電変換素子>
図1は、光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子の構造であるが、本実施形態に係る光電変換素子が図1に示される構造のものに限られるわけではない。
図1に示す光電変換素子100においては、下部電極101、及び上部電極105で構成される一対の電極の間に、活性層103が位置している。また、光電変換素子100において、下部電極101と活性層103との間に、電子輸送層102が配置されており、また、上部電極105と活性層103との間に、正孔輸送層104が配置されている。さらに、図1に示すように、光電変換素子100が、基材106を有してもよく、絶縁体層及び仕事関数チューニング層のようなその他の層を有していてもよい。
<活性層>
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは下部電極101及び上部電極105から取り出される。
本実施形態において、活性層103は通常メタルハライドペロブスカイト化合物を含む層が用いられ、無機メタルハライドペロブスカイト化合物又は有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含む層であることが好ましく、無機メタルハライドペロブスカイト化合物を含むことがより好ましい。本実施形態の活性層103の材料として公知の有機無機ハイブリッド型半導体化合物を適用することができる。
以下、活性層について、説明する。
無機メタルハライドペロブスカイト化合物としては、式(I)で表されるものを例示できる。
(M・・・(I)
なお、式(I)中、Mは第1のカチオンであり、Aは第二のカチオンである。
は、ペロブスカイト結晶が得られる金属元素であれば特段限定されないが、Pbを含むことが好ましく、Pbであることがより好ましい。
は、Cs、Rb、Cu、Pd、Pt、Ag、Au、Rh及びRuから選ばれる1種を含み、好ましくはCs又はRbを含み、より好ましくはCsを含み、更に好ましくはCsである。
式(I)中、Xはハロゲンであり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられ、ヨウ素を含むことが好ましく、ヨウ素と臭素の混合物であることがより好ましい。
式(I)中、aは0.7~1.3であり、0.8~1.2が好ましく、0.9~1.1がより好ましい。
前記無機メタルハライドペロブスカイト化合物は、式(II)で表される化合物であることがより好ましい。
CsPbX・・・(II)
前記無機メタルハライドペロブスカイト化合物を含む膜の製造方法は特段限定されないが、好適例は以下のとおりである。即ち、前記第1のカチオン(M)を含むハロゲン化物と、前記第2のカチオン(A)を含むハロゲン化物と、前記第1のカチオン(M)を含む無機金属化合物と、を基板上に配置するステップ(以下、配置ステップともいう。)、及び前記基板上のハロゲン化物及び無機化合物を加熱するステップ(以下、加熱ステップともいう。)、を含む製造方法である。
有機無機メタルハライドペロブスカイト化合物としては、式(III)で表されるものを例示できる。
(M111111 ・・・(III)
なお、式(III)中、M11は第一のカチオンであり、A11は第二のカチオンである。M11は、2価の金属カチオンであることがより好ましい。
第一のカチオンM11に特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンM11として2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
第二カチオンA11に特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族乃至第16族元素を含むカチオンが好ましく、当該元素を含む1価のカチオンがより好ましくセシウムイオン、ルビジウムイオン、カリウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン及び置換基を有していてもよいホスホニウムイオンから選択される1種のイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられ、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが好ましい。立体障害が小さい観点から、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンA11として2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
1価のカチオンA11の具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルアンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n-プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n-ブチルアンモニウムイオン、t-ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
1価のアニオンX11の例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4-ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、X11は1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。一実施形態において、X11としてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化物イオンX11の例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ化物イオンもしくは臭化物イオンを主に用いることが好ましいが、ヨウ化物イオンと臭化物イオンとを適当な比率で組み合わせてもよい。
式(III)中、bは0.7~1.3であり、0.8~1.2が好ましく、0.9~1.1がより好ましい。
前記有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含む膜の製造方法は特段限定されないが、好適例は以下のとおりである。即ち、前記第1のカチオン(M11)を含むハロゲン化物と、前記第2のカチオン(A11)を含むハロゲン化物と、前記第1のカチオン(M11)を含む有機金属化合物と、を基板上に配置するステップ(以下、配置ステップともいう。)、及び前記基板上のハロゲン化物及び有機金属化合物を加熱するステップ(以下、加熱ステップともいう。)を含む製造方法である。
配置ステップで用いる基板は、上記ハロゲン化物及び有機金属化合物を配置できれば特段限定されず、適宜選択できる。例えば、下部電極及び電子輸送層が製膜されたPENなどの基板上に、上記ハロゲン化物及び有機金属化合物を配置する例が挙げられる。
基板上に配置する第1のカチオンを含むハロゲン化物としては、ヨウ化物もしくは臭化物であることが好ましく、PbIもしくはPbBrとその両方であることがより好ましい。また基板上に配置する第2のカチオンを有するハロゲン化物としては、臭化物もしくはヨウ化物であることが好ましく、CsBrもしくはCsIとその両方であることがより好ましい。
基板上に配置する第1のカチオンを有するハロゲン化物と第2のカチオンを有するハロゲン化物のモル比は特段限定されないが、通常、1:0.10~1:10であり、1:0.10~1:75が好ましく、1:0.20~1:0.50がより好ましい。
また、基板上に配置する第1のカチオンを有するハロゲン化物と、第1のカチオンを含む有機金属化合物のモル比は特段限定されないが、ハロゲン化物/有機金属化合物として通常10以上であり、15以上であることが好ましい。
基板上に配置する有機金属化合物は、例えば、第1のカチオンを含む有機金属化合物が挙げられる。なかでも、第1のカチオンのカルボキシラートが好ましく、より好ましくは、金属プロピオネートである。第1のカチオンは鉛を含むことが好ましいことから、有機金属化合物は、鉛のカルボキシラートであることが好ましく、最も好ましくは鉛のプロピオネートである。なお、カルボキシラートの炭素数は特段限定されないが、通常1以上であり、2以上であってよく、また通常18以下であり、12以下であってよく、6以下であってよい。
基板上にハロゲン化物及び有機金属化合物を配置する方法は特段限定されないが、典型的には塗布法が用いられる。例えば、ハロゲン化物と溶媒とを混合した混合液と、有機金属化合物と溶媒とを混合した混合液と、を混合した塗布液を調製し、この塗布液を塗布することが挙げられる。溶媒としては、ハロゲン化物及び有機金属化合物が溶解するものであれば特に限定されず、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような有機溶媒が挙げられる。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
活性層の厚みは特段限定されないが、通常100nm以上であり、150nm以上であることが好ましく、また通常1000nm以下であり、700nm以下であることが好ましい。
<界面修飾層>
活性層103上には、前記カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物を含む界面修飾層(別名:パッシベーション層)を形成する。図1の光電変換素子100においては、界面修飾層を省略して図示していないが、これは界面修飾層が活性層103等に比べて薄いことを表している。界面修飾層は、活性層103の電子輸送層102側の表面に形成されていてもよいし、活性層103の正孔輸送層104側の表面に形成されていてもよい。界面修飾層は、活性層103の形成時に外部に露出する表面に形成されていることが好ましい。この理由は、活性層103の露出する表面に次に説明する結晶欠陥が形成されやすいからである。
活性層103の表面や結晶粒界には配位不足の中心金属イオン(M2+)、カチオン空孔、ハロゲン化物空孔などの結晶欠陥が存在することが知られている。界面修飾層を形成する材料として、自由な孤立電子対をもつルイス塩基や、カチオン空孔を置換し得る陽イオンとアニオン空孔を置換し得る陰イオンとから構成される有機塩化合物は、これらの欠陥を不働態化するので有効である。例えば、ルイス塩基としてはピリジンやキノリンなどのヘテロ環系化合物などが挙げられ、有機塩化合物としてはフェネチルアミンよう化水素酸塩(PEAI)、ブチルアミンよう化水素酸塩(BAI)などのアンモニウムハライド塩などが挙げられる。界面修飾層(パッシベーション層)は結晶欠陥を低減する役割がある一方で、抵抗成分ともなり得るため、薄く成膜することが好ましい。本実施形態においては、界面修飾層の材料として次に説明するチオフェン含有化合物を用いる。
(チオフェン含有化合物)
前記界面修飾層は、カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物を含有する。界面修飾層に含まれるチオフェン含有化合物は1種でもよいし、2種以上でもよい。
チオフェン含有化合物は、チオフェン、縮環チオフェン及びそれらの誘導体を意味する。前記誘導体は、チオフェン、縮環チオフェンが有する水素原子から選択される任意の1以上の水素原子が、任意の置換基で置換されたものである。任意の置換基の位置は、チオフェン及び縮環チオフェンのα位であることが好ましい。
前記チオフェン含有化合物としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン等が挙げられる。これらの中でもチオフェンが好ましい。
前記カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物は、2-チオフェンカルボン酸、3-チオフェンカルボン酸及び2,5-チオフェンジカルボン酸から選択される1種以上の化合物が好ましく、2,5-チオフェンジカルボン酸がより好ましい。
(分子量)
前記化合物の分子量は、活性層の化合物との相互作用の観点から、80~500が好ましく、100~400がより好ましく、120~300がより好ましく、140~200がより好ましい。
また、本発明の一実施形態は、結晶欠陥を低減することで電荷の再結合を起こりにくくする光電変換素子の製造方法であって、無機メタルハライドペロブスカイト化合物を含む活性層の少なくとも一方の表面に、カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物を接触させ、無機有機界面を形成することを含む、光電変換素子の製造方法である。ここで、「無機有機界面」とは、前述の活性層とその表面に形成した界面修飾層(パッシベーション層)の境界をなす界面をいう。前記チオフェン含有化合物を含む溶液を前記活性層の表面に接触させ、乾燥させることにより界面修飾層を形成することができる。
前記活性層に接触させる前記溶液は、少なくとも前記チオフェン含有化合物と、溶媒とを含む。
前記溶媒は、前記チオフェン含有化合物を溶解し易く、前記活性層を溶解し難いものが好ましく、さらには乾燥が容易であるものがより好ましい。このような溶媒としては、例えば、極性溶媒が挙げられ、なかでもアルコール又はエステルが好ましく、アルコールがより好ましく、1価アルコールがより好ましく、メタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコールがより好ましく、イソプロピルアルコールがさらに好ましい。
前記溶液の総体積に対する前記チオフェン含有化合物の含有量は特に制限されず、例えば、0.01mg~200mg/mLが好ましく、0.1mg~50mg/mLが好ましく、0.5mg~10mg/mLがさらに好ましい。上記範囲であると、光電変換素子の開放電圧の向上に資する界面修飾層を形成し易い。
界面修飾層の成膜方法としては任意の方法を用いることができるが、活性層の表面だけでなく結晶欠陥にも前記溶液が効果的に浸透する点から、スピンコート法、インクジェット法、ドロップキャスティング法、スプレーコート法などの溶液法で形成することが好ましい。スピンコート法は薄膜を均一に成膜することができるため、特に好ましい。
活性層103の表面や結晶粒界に存在する配位不足の中心金属イオン(M2+)、カチオン空孔、ハロゲン化物空孔などの結晶欠陥については、特に限定されないが、X線光電子分光法(XPS)による表面分析などを行うことにより、中心金属イオン(M2+)の化学状態比較等で評価することができる。中心金属イオン(M2+)と配位性分子のルイス塩基―酸相互作用が中心金属イオン(M2+)周辺環境に影響するためである。中心金属イオン(M2+)と配位性分子の相互作用が弱い場合には、中心金属(M)に対応する成分が相対的に強いピークとして現れるが、配位性分子の存在によりこのピークが減じていることが観測されると、中心金属周囲の欠陥が減じていると理解することができる。
活性層103表面に存在する欠陥状態差は、ペロブスカイト表面のバンド構造にも影響として現れるため、紫外光電子分光法(UPS)によっても分析が可能である。表面修復処理(パッシベーション)された活性層の最上価電子帯(Valence Band Maximum,VBM)は、相対的に浅い値を示すことに対応する。
加熱ステップは、基板上に配置した上記ハロゲン化物と有機金属化合物を加熱することで、無機メタルハライドペロブスカイト膜を成膜するステップである。
加熱温度は特に限定されないが、通常350℃以下であり、300℃以下であることが好ましい。下限は限定されないが通常100℃以上であり、150℃以上であることが好ましい。
加熱ステップの加熱雰囲気は特段限定されず、大気中であっても、不活性ガス雰囲気下であってもよい。大気中の場合は、相対湿度30%以下であることが好ましい。
加熱時間も特段限定されず、通常1分以上、5分以上であってよく、また通常60分以下であり、30分以下であってよい。
界面修飾層の厚みは特段限定されないが、通常0.1nm以上であり、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、また通常100nm以下であり、50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
活性層及び界面修飾層の厚さの測定方法としては、通常、触針段差計を用いて測定することができる。
<電極>
電極は、活性層103における光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。一実施形態に係る光電変換素子100は一対の電極を有し、一対の電極のうち一方を上部電極と呼び、他方を下部電極と呼ぶ。光電変換素子100が基材を有するか又は基材上に設けられている場合、基材により近い電極を下部電極と、基材からより遠い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶことができる。また、透明電極を下部電極と、下部電極よりも透明性が低い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶこともできる。図1に示す光電変換素子100は、下部電極101及び上部電極105を有している。
一対の電極としては、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることができる。この場合、光電変換素子100は、下部電極101がアノードであり上部電極105がカソードである順型構成を有していてもよいし、下部電極101がカソードであり、上部電極105がアノードである逆型構成を有していてもよい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光の波長400~750nmの可視光線が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U-4100)で測定できる。
下部電極及び/又は上部電極を透明電極とする場合、下部電極及び/又は上部電極は、上述の可視光線透過率を有してさえいれば、透明導電層又は金属層による単層で形成されていてもよいし、透明導電層及び金属層との積層により形成されていてもよい。しかしながら、透明電極を透明導電層のみで形成すると、抵抗が高く、良好な導電性を示さない傾向があるので変換効率が低下する場合がある。また、透明電極を薄い金属層のみにより形成する場合、金属層は腐食しやすく、経時的に光電変換素子が劣化する傾向があるので、透明電極とする電極は、透明導電層と金属層の積層により形成することが好ましい。
透明導電層に用いられる材料としては、特段の制限はないが、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化インジウム(In)等である。これらの中でも、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とスズの複合酸化物(ZTO)等の非晶質性酸化物を用いることが好ましい。
また、透明導電層は、シート抵抗が100Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下であることがさらに好ましく、一方、0.1Ω/□以上であることが好ましい。
透明導電層が設けられた基材106の材料とその厚さには、特段の制限はなく、基材にはカラス基板、プラスチックチック基板、カーボン製の基板、そのほかの複合材料を用いることができる。その厚さは、0,05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、一方、1mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
金属層の材料は、特段の制限はなく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、クロム、銅、コバルトの等の金属又はその合金が挙げられる。これらのなかでも、金属層を形成する材料は、高い電気伝導性を示すとともに、薄膜における可視光線透過率の高い銀又は銀の合金であることが好ましい。なお、銀の合金としては、硫化又は塩素化の影響を受けにくく薄膜としての安定性を向上させるために、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等が挙げられる。
金属層の膜厚は、透明電極として70%以上の可視光線透過率を維持できる限りにおいて、特段の制限はないが、良好な導電性を得るために1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、一方、光透過率が低下して活性層に入射する光量が低下するのを防ぐために、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
上述の通り、一対の電極は、一方の電極が透明電極であれば、他方の電極は必ずしも透明電極でなくてもよく、非透明電極であってもよい。非透明電極を用いる場合、特段の制限はないが、例えば、上述したような金属層を厚膜化して形成することにより、非透明電極を形成することができる。なお、下部電極及び上部電極を共に透明電極とする場合、下部電極及び上部電極はともに、金属層と透明導電層の積層構造であることが好ましい。
下部電極及び上部電極の全体の厚さは、特段の制限はなく、光学特性及び電気特性を考慮して任意で選択すればよい。なかでも、シート抵抗を抑えるために、下部電極及び上部電極のそれぞれの膜厚は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、一方、高い透過率を維持するために、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
下部電極及び上部電極の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。コーティングにおける膜形成ステップとしては、例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布する湿式法が挙げられる。なお、下部電極及び上部電極に対して表面処理を行うことにより、電気特性や濡れ特性等を改良してもよい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層104は、活性層103と電極105との間に位置する層である。正孔輸送層104は、例えば、活性層103から上部電極105へのキャリア移動効率を向上させるために用いることができる。
正孔輸送層は特段限定されず、公知の正孔輸送材料を用いることができるが、高分子化合物を含むことが好ましく、以下の化学式で表される正孔輸送材料のうち少なくとも1種が含まれていることがより好ましい。より具体的には、特に式(III)、式(IV)、式(V)、又は式(VI)で表される縮合多環式芳香族骨格を含む化合物であることが好ましい。これらの高分子化合物を含む正孔輸送層と活性層の間に前述の界面修飾層が存在すると、開放電圧がより向上しやすくなる。
Figure 2024017718000002
Figure 2024017718000003
Figure 2024017718000004
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Figure 2024017718000013
式(III)、式(IV)、式(V)及び式(VI)中、X及びXはそれぞれ独立して、活性基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基から選択される。
活性基は、1価の酸化数を示す基であれば特に限定されず、水素原子、ハロゲン、炭化水素基、アリール基、種々の有機金属基M-R(但し、Mは金属化合物、Rは1価の有機基である)、などが挙げられる。炭化水素基としては特に限定されないが、炭素数1~16の炭化水素基であることが好ましい。
式(III)中、ZはZ11(R)(R)、Z12(R)又はZ13を示し、Z11は周期表第14族元素から選ばれた原子を示し、R及びRは前記式(III)のR及びRと同義であり、Z12は周期表第15族元素から選ばれた原子を示し、RはR及びRと同義であり、Z13は周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
式(IV)において、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基から選択される。
式(V)において、R~R11はR及びRと同義であり、R12及びR13は前記式(III)のR及びRと同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して、周期表第14族元素から選ばれた原子を示す。
式(VI)において、R14及びR15はR及びRと同義であり、Zは、周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
なお、上記化学式中nは整数であり、5以上であることが好ましく、1,000以下であることが好ましい。
また、上記化学式で表される高分子化合物の数平均分子量Mwが2,000~500,000であることが好ましく、10,000~400,000であることがより好ましく、50,000~400,000がより好ましい。
正孔輸送材料は金属酸化物であってもよい。金属酸化物としては、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、酸化銅、酸化ニッケルが挙げられる。これらの酸化物金属は上記化学式に記載の正孔輸送層の上に積層されていてもよい。
正孔輸送層は、無機メタルハライドペロブスカイト膜と同様、塗布法で形成されることが好ましい。塗布法の詳細は、上記無機メタルハライドペロブスカイト膜の欄で述べたとおりである。
正孔輸送層の厚みは特段限定されないが、通常5nm以上であり、10nm以上であることが好ましく、また通常1000nm以下であり、600nm以下であることが好ましい。
(ドーパント)
正孔輸送層は、正孔輸送層の導電性や正孔輸送能力を前記活性層に対して最適化するために、添加物としてドーパントを有してもよい。
ドーパントとして使用できる物質としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートなどのホウ素化合物、トリス[1-(メトキシカルボニル)-2-(トリフルオロメチル)-エタン-1,2-ジチオレン]モリブデンなどのモリブデン化合物、2,3,4,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンといったテトラシアノキノジメタン骨格を有する有機化合物などが挙げられる。
ドーパントは、正孔輸送層の成膜前または成膜後で、正孔輸送層を構成する少なくとも一つの半導体化合物との間で電荷移動反応を起こすことが好ましい。ドーパントとしては、溶解性に優れ、加熱等により酸化剤として機能する電子受容活性部位を産生する点で、超原子価ヨウ素化合物が好ましい。
この超原子価ヨウ素化合物は、半導体化合物に対するドーパントとして働き、電子受容性(すなわち酸化剤としての働き)を示すことが知られている。また、電子受容性のドーパントは、半導体化合物から電子を奪うことにより、半導体化合物の導電性又は正孔輸送能力を向上させることができる。このように、超原子価ヨウ素化合物は、半導体化合物の電荷輸送特性を向上させることができる。
超原子価ヨウ素化合物とは、超原子価ヨウ素を含む化合物であり、酸化数が+3以上となっているヨウ素を含む化合物と定義される。例えば、ドーパントは、ヨウ素(III)化合物又はヨウ素(V)化合物でありうる。5価のヨウ素を含むヨウ素(V)化合物は、例えば、デス・マーチン・ペルヨージナンのようなペルヨージナン化合物でありうる。また、3価のヨウ素を含むヨウ素(III)化合物としては、(ジアセトキシヨード)ベンゼンのようなヨードベンゼンが酸化された構造を有する化合物、又はジアリールヨードニウム塩が挙げられる。良好な電子受容性を示し、また酸化過程において分子が破壊されると逆反応が起こりにくい点で、ドーパントは、3価のヨウ素を含む有機化合物が好ましく、中でもジアリールヨードニウム塩を用いるのがより好ましい。
ジアリールヨードニウム塩とは、[Ar-I-Ar]X構造を有する塩のことである。ここで、2つのArはそれぞれアリール基を表す。Xは、任意のアニオンを表す。Xとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、又はテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン等でありうる。溶解性が高く、塗布液の生成反応が円滑に進行しうる点で、Xはフッ素原子を有するアニオンであることが好ましい。
ドーパントの含有量は、正孔輸送層のドーパント以外の材料とドーパントの合計量に対して、例えば0.001~10質量%の範囲とすることができる。
ドーパントの含有量を0.001質量%以上とすることによって、正孔輸送層の導電性や正孔輸送能力を活性層に対してより向上できる傾向にある。より好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。
また、ドーパントの含有量を10質量%以下とすることによって、光電変換素子のリーク電流の発生を抑制し、特に低照度領域における発電効率をより向上できる傾向にある。より好ましくは、8質量%以下であり、さらに好ましくは、6質量%以下である。
<電子輸送層>
電子輸送層102は、活性層103と電極101との間に位置する層である。即ち電子輸送層102は、活性層と一対の電極の一方の電極との間に備えられる。電子輸送層102は、例えば、活性層103から下部電極101へのキャリア移動効率を向上させるために用いることができる。
本実施形態において電子輸送層102は、酸化スズ(SnO)を含む。電子輸送層102はSnOを含む限り他の物質を含んでいてもよいが、その表面にSnOを含むことが好ましく、SnO膜であることがより好ましい。また、SnO膜は、SnCl溶液で表面処理されたSnO膜であることが好ましい。また、活性層103と接する表面に、非結晶のSnO膜を含むことが好ましい。
電子輸送層は、無機メタルハライドペロブスカイト膜と同様、塗布法で形成されることが好ましく、塗布法でSnO膜を製膜した後、24時間以上大気暴露されたSnCl溶液でSnO膜を表面処理することがより好ましい。SnO膜をSnCl溶液で表面処理(パッシベーション処理)することが、非特許文献3に開示されており、パッシベーション処理により電子輸送層と活性層との界面における電子の再結合を抑制できる。
塗布法の詳細は、上記無機メタルハライドペロブスカイト膜の欄で述べたとおりである。また、SnO膜を表面処理するためのSnCl溶液のSnCl濃度は特に限定されないが、通常Sn原子換算で0.01mol/L(M)以上であり、0.05mol/L以上であることが好ましく、また1mol/L以下であり、0.5mol/L以下であることが好ましい。SnCl溶液の溶媒は、水性溶媒であっても、有機溶媒であってもよいが、極性溶媒を含む混合溶媒であることが好ましい。
SnCl溶液の大気中への暴露時間は24時間以上であればよく、36時間以上であることが好ましく、また通常240時間以下であり、120時間以下であることが好ましい。
SnCl溶液を用いたSnO膜の表面処理の時間(溶液の接触時間)は特に限定されず、通常1秒以上であり、5秒以上であることが好ましく、また通常10分以下であり、5分以下であることが好ましい。
SnCl溶液を用いたSnO膜の表面処理の処理温度は特に限定されず、室温であってもよい。
電子輸送層の厚みは特段限定されないが、メソポーラスな金属酸化物が用いられる場合は通常20nm以上であり、250nm以下であることが好ましく、また50nm以上であり、150nm以下であることがより好ましい。メソポーラスな層が用いられず、緻密な電子輸送層が用いられる場合は、電子輸送層の厚みは通常10nm以上であり、120nm以下であることが好ましく、また20nm以上であり、80nm以下であることがより好ましい。
また、電子輸送層のバンドギャップは3.9eV以上であることが好ましい。
<光電変換素子>
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材106を有する。基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
光電変換素子100は、その他の層を有していてもよい。例えば、光電変換素子100は、電極の仕事関数を調整する仕事関数チューニング層を、下部電極101と電子輸送層102との間、又は上部電極105と正孔輸送層104との間に有していてもよい。また、光電変換素子100は、下部電極101と活性層103との間、又は上部電極105と活性層103との間に、水分等が活性層103に到達することを抑制する薄い絶縁体層を有していてもよい。また、耐久性を向上させるため、光電変換素子100をさらに封止してもよい。例えば、上部電極105にさらに封止板を積層し、基材106と封止板とを接着剤で固定することにより、光電変換素子100を封止することができる。
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(枚葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。
なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合がある。
また、上部電極105を積層した後に、光電変換素子100を一実施形態において50℃以上、別の実施形態において80℃以上、一方、一実施形態において300℃以下、別の実施形態において280℃以下、さらに別の実施形態において250℃以下の温度範囲において、加熱することができる(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子100の各層間の密着性、例えば電子輸送層102と下部電極101、電子輸送層102と活性層103等の層間の密着性が向上する効果が得られる。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、光電変換素子100に含まれる有機化合物が熱分解する可能性が低くなる。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内において異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、熱分解を抑えながら密着性を向上させるために、一実施形態において1分以上、別の実施形態において3分以上、一方、一実施形態において180分以下、別の実施形態において60分以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることができる。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することができる。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
光電変換素子100の光電変換特性は使用する光源毎に対して次のようにして求めることができる。光電変換素子100に光を照射して、電流-電圧特性を測定する。得られた電流-電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
光電変換特性を求める際に使用する光源は太陽光、および、人工的な光源を用いることができる。人工的な光源は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、白色LEDランプ、電球色LEDランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、および、これらのランプを組合せたものが挙げられる。
一般的に、擬似太陽光としては光源としてキセノンランプやメタルハライドランプが用いられ、AM1.5Gのスペクトルに近似した条件の光を照射強度100mW/cmで光電変換特性を得るための測定光源として使用する。また、低照度光源としては特段の制限はないが、白色LEDランプが用いられ、1~5000Lxの照度での光電変換特性を得るための測定光源として使用する。
光電変換素子100の光電変換効率は、特段の制限はないが、一実施形態において5%以上、別の実施形態において8%以上、さらに別の実施形態において10%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。また、光電変換素子100のフィルファクターは、特段の制限はないが、一実施形態において0.6以上、別の実施形態において0.7以上、さらに別の実施形態において0.75以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として好適に使用され得る。薄膜太陽電池として使用する場合、公知の構成を適用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
(電子輸送層用塗布液の調製)
Alfa Aesar社製酸化スズ・コロイド分散水溶液(15%)に超純水を加えて1/10に希釈することで電子輸送層用塗布液を調製した。
(表面処理用SnCl溶液の調製)
塩化スズ(II)(和光純薬工業製、純度99.9%)189mgをエタノール10mLに溶解させ、さらに36μLの水を加え、大気中で1時間回転撹拌したのち、室温で24時間以上保管することで表面処理用SnCl溶液を調製した。
(活性層用塗布液の調製)
大気中でヨウ素と臭素のモル比が2.25:0.75となるよう、鉛(II)、臭化セシウム、ヨウ化セシウムをバイアル瓶に秤量し、ジメチルスルホキシドを室温で1時間撹拌することで1.0mol/Lのペロブスカイト前駆体溶液を、すなわち活性層用塗布液を作製した。
(界面修飾層(パッシベーション層)用塗布液の調製)
大気中で2,5-チオフェンジカルボン酸(TDCA)を1.0mg/mLとなるようイソプロピルアルコールに溶解させ、80℃で1時間攪拌することでパッシベーション層用塗布液を作製した。
(正孔輸送層用塗布液の調製)
バイアル瓶に7mgの高分子化合物を秤量し、1.0mLの脱水クロロベンゼンを加え60分間超音波をかけ溶解させ、続けて穴径0.45μmのPTFEフィルターを通すことでろ過し、正孔輸送層用塗布液を作成した。高分子化合物としては、以下に構造を示すPDTDT(数平均分子量Mw:320,000、分子量分布PDI:5.2)を用いた。
Figure 2024017718000014
(光電変換素子の作製)
ITO基板を体積濃度2%のアルカリ洗浄剤(Hellmanex III)を加えた水溶液で超音波洗浄し、続けて基板を水ですすいだ後、エタノールで超音波洗浄した。続けてITO基板に10分間のUVオゾン処理を行った。
次に、先に準備した電子輸送層用塗布液を、ITO基板上に5000rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上で150℃40分間加熱した。つづいて表面処理用SnCl溶液を、6000rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上に乗せ、100℃10分間加熱し、さらに180℃1時間加熱し、電子輸送層を製膜した。
前記製膜された電子輸送層の膜厚は、酸化スズ(IV)を含む層及び塩化スズを含む層を合わせて50nmであった。
次に、相対湿度20%以下の大気中で、活性層用塗布液を、電子輸送層を成膜したITO基板に滴下し、1000rpmで10秒、3000rpmで30秒スピンコートし、薄膜を形成した。続けて薄膜を大気中、38℃のホットプレートで10分間加熱したのち、さらにホットプレートで180℃10分間加熱することでペロブスカイトの活性層を形成した。
次に、活性層上に、パッシベーション層用塗布液を滴下し、5000rpmでスピンコートしてからホットプレートに移し、130℃にて10分間加熱した。これにより、活性層の少なくとも表面にTDCAが接触した状態で付着させた。電子顕微鏡で断面や表面を確認していないが、厚さ数nm~数十nmのTDCAを含む界面修飾層が形成されていることが推定された。
前記活性層及びパッシベーション層の膜厚は、合わせて250nmであった。
次に、基板が室温に戻った後、活性層のTDCAが付着した表面上に、正孔輸送層塗布液を3000rpmで30秒間スピンコートし、正孔輸送層を形成した。
前記正孔輸送層の膜厚は、50nmであった。
次に、正孔輸送層上に、抵抗加熱型真空蒸着法により金を蒸着させ、金属層を形成した。以上のようにして、光電変換素子を作製した。
[比較例1]
活性層上に、TDCAを含む溶液を塗布せず、パッシベーション処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製した。
[光電変換素子の評価]
実施例1、及び比較例1で得られた光電変換素子において、下部透明電極(ITO)と上部電極との間における電流-電圧特性を測定した。測定にはソースメーター(ケイスレー社製,2400型)を用い、照射光源としてはエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用いた。この測定結果から、光電変換効率PCE(%)を算出した。光電変換素子を作製した直後の測定結果に基づいて算出されたこれらの値を表1に示す。
Figure 2024017718000015
以上のように、本実施形態で得られた光電変換素子において、活性層の表面を、チオフェン含有化合物を含む溶液で処理することにより、高い開放電圧、および高い光電変換効率を産する光電変換素子を製造できることがわかる。
[実施例2]
実施例1で調製した各種材料を用いて、下記条件で製膜した。
相対湿度20%以下の大気中で、活性層用塗布液を、電子輸送層を成膜したITO基板に滴下し、1000rpmで10秒、3000rpmで30秒スピンコートし、薄膜を形成した。続けて薄膜を大気中、38℃のホットプレートで10分間加熱したのち、さらにホットプレートで180℃10分間加熱することでペロブスカイトの活性層を形成した。これを膜2Aとした。
また、膜2Aの活性層上に、パッシベーション層用塗布液を滴下し、5000rpmでスピンコートしてからホットプレートに移し、130℃にて10分間加熱した、膜2Bを別途製膜した。
図2(a)に膜2AのXPSスペクトル、図2(b)に膜2BのXPSスペクトルを示す。図2(a)では、Pbの4f軌道に帰属されるバンドエネルギー領域において、金属鉛(Pb)に対応する136.3eV及び141.7eVの2つの小さいピークが観測される。これらからPbの割合は約4.3%と算出される。同様に図2(b)では、Pbに帰属できるスペクトルは弱くなり、Pbの割合は約0.8%と算出される。
Pbは非配位性のPb2+の還元によって生成すると考えられる。図2(a)及び(b)に示されるように、界面修飾層(パッシベーション層)を有しない膜2Aに対し、界面修飾層(パッシベーション層)を設けた膜2Bは、表面欠陥に対応する金属鉛(Pb)量が、よりよく抑制されていることがわかる。
図2(c)(上)に膜2AのUPSスペクトルを示し、図2(c)(下)に膜2BのUPSスペクトルを示す。これらの比較から、バンドギャップエネルギーは膜2Bにおいて減少していることが示される。これは活性層の表面欠陥を抑制できているためと考えられる。
図2(d)には膜2A及び膜2Bのエネルギーダイアグラムをまとめて示す。VBMはそれぞれ-5.62eV及び-5.54eVとなるが、正孔輸送材料PDTDTとの間のエネルギー準位差は後者がより近接しており、パッシベーション層を設けた膜2Bの方が、電荷授受に優位であることが示されている。
100 光電変換素子
101 下部電極
102 電子輸送層
103 活性層
104 正孔輸送層
105 上部電極
106 基材

Claims (9)

  1. 上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置する活性層と、を有する光電変換素子であって、
    前記活性層が、カルボキシル基を有するチオフェン含有化合物と接触している、光電変換素子。
  2. 前記チオフェン含有化合物の分子量が、80~500である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記活性層が、メタルハライドペロブスカイト化合物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記活性層が、無機メタルハライドペロブスカイト化合物である、請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 前記無機メタルハライドペロブスカイト化合物が、CsPbX(式中、複数のXはそれぞれ独立にBr又はIを表す。)型ペロブスカイト化合物である、請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記光電変換素子は、前記活性層と、前記一対の電極のうちいずれか一方の電極と、の間に正孔輸送層を備え、前記正孔輸送層が高分子化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  7. 前記正孔輸送層側の前記活性層の表面が、前記チオフェン含有化合物と接触している、請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 前記チオフェン含有化合物は前記活性層と前記正孔輸送層の両方に接触している、請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 無機メタルハライドペロブスカイト化合物を含む活性層の少なくとも一方の表面に、を有してもよいチオフェン含有化合物を含む溶液を接触させることを含む、光電変換素子の製造方法。
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