JP2024017359A - 光学デバイスおよび分光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー光の波長よりも十分に短い間隔で波長範囲の広い測定光の強度をサンプリングすることを可能にする光学デバイス、および、高い分解能でより広帯域のスペクトル情報を取得できる分光装置を提供すること。【解決手段】第1光学系と第2光学系とを備え、第1光学系は、第1光源から射出される測定光を分割、混合する第1光分割素子と、一方の測定光の入射方向に移動し、かつ、反射させることにより、第1変調信号を付加する第1ミラーと、他方の測定光を反射させる第2ミラーと、試料由来信号および第1変調信号を含む測定光を受光し、第1受光信号を出力する第1受光素子と、を備え、第2光学系は、レーザー光を射出する第2光源と、レーザー光に第2変調信号を付加する光変調器と、第1ミラーでの反射により生成された変位信号および第2変調信号を含むレーザー光を受光し、第2受光信号を出力する第2受光素子と、を備える光学デバイス。【選択図】図1

Description

本発明は、光学デバイスおよび分光装置に関するものである。
特許文献1には、試料が放射または吸収する光のスペクトル情報を取得し、それに基づいて試料中の成分等を分析する分光分析に用いられる光学デバイスが開示されている。この光学デバイスは、ミラーユニットと、ビームスプリッターユニットと、第1光検出器と、第2光源と、第2光検出器と、を備えている。ミラーユニットは、所定方向に移動する可動ミラーと、位置が固定された固定ミラーと、を含んでいる。このような光学デバイスでは、ビームスプリッターユニット、可動ミラーおよび固定ミラーによって、測定光およびレーザー光がそれぞれ入射される干渉光学系が構成される。
第1光源から測定対象を介して入射した測定光は、ビームスプリッターユニットにおいて分割される。分割された測定光の一部は、可動ミラーで反射されてビームスプリッターユニットに戻る。分割された測定光の残部は、固定ミラーで反射されてビームスプリッターユニットに戻る。ビームスプリッターユニットに戻った測定光の一部および残部は、干渉光として第1光検出器によって検出される。
一方、第2光源から出射されたレーザー光は、ビームスプリッターにおいて分割される。分割されたレーザー光の一部は、可動ミラーで反射されてビームスプリッターユニットに戻る。分割されたレーザー光の残部は、固定ミラーで反射されてビームスプリッターユニットに戻る。ビームスプリッターユニットに戻ったレーザー光の一部および残部は、干渉光として第2光検出器によって検出される。
このような光学デバイスでは、レーザー光の干渉光の検出結果に基づいて、可動ミラーの位置の計測が可能になる。そして、可動ミラーの位置の計測結果および測定光の干渉光の検出結果に基づいて、測定対象についての分光分析が可能になる。具体的には、可動ミラーの各位置における測定光の強度を求めることにより、インターフェログラムと呼ばれる波形が得られる。このインターフェログラムをフーリエ変換することにより、測定対象についてのスペクトル情報を求めることができる。
特開2020-129116号公報
特許文献1に記載の光学デバイスでは、可動ミラーの位置は、レーザー光の干渉光の強度変化に基づいて捉えることができる。具体的には、レーザー光の干渉光の強度が最大値または最小値のような特徴点をとるとき、その特徴点に基づいて可動ミラーの位置を特定する。
しかしながら、特徴点の間隔は、レーザー光の波長に依存するという制約を伴い、最小の間隔は波長の1/4である。このため、レーザー光の強度変化をトリガーとした場合、測定光の強度を十分に短い間隔でサンプリングすることが困難である。測定光の強度のサンプリング間隔を短くできない場合、インターフェログラムの分解能を十分に高めることができない。その結果、フーリエ変換後のスペクトル情報の分解能を十分に高めることができないという課題がある。
また、測定光の強度のサンプリング間隔は、スペクトル情報を取得可能な波数や波長の範囲に影響する。このため、短波長の測定光への対応といった測定光の広帯域化を十分に図ることができないという課題もある。
本発明の適用例に係る光学デバイスは、
第1光学系と、第2光学系と、を備える光学デバイスであって、
前記第1光学系は、
第1光源から射出される測定光を一方および他方に分割した後、一方の前記測定光および他方の前記測定光を混合する第1光分割素子と、
前記第1光分割素子に対して一方の前記測定光の入射方向に移動し、かつ、一方の前記測定光を反射させることにより、一方の前記測定光に第1変調信号を付加する第1ミラーと、
他方の前記測定光を反射させる第2ミラーと、
前記測定光と試料との作用により生成された試料由来信号、および、前記第1変調信号、を含む前記測定光を受光し、第1受光信号を出力する第1受光素子と、
を備え、
前記第2光学系は、
レーザー光を射出する第2光源と、
駆動信号により駆動され、前記レーザー光に第2変調信号を付加する光変調器と、
前記第1ミラーでの反射により生成された変位信号、および、前記第2変調信号を含む前記レーザー光を受光し、第2受光信号を出力する第2受光素子と、
を備える。
本発明の適用例に係る分光装置は、
本発明の適用例に係る光学デバイスと、
前記駆動信号および基準信号を出力する信号生成部と、
前記基準信号に基づいて、前記第2受光信号に演算を行うことにより、前記第1ミラーの位置を示す移動ミラー位置信号を生成する移動ミラー位置演算部と、
前記第1受光信号および前記移動ミラー位置信号に基づいて、前記第1ミラーの各位置における前記第1受光信号の強度を表す波形を生成する測定光強度演算部と、
前記波形にフーリエ変換を行い、スペクトル情報を取得するフーリエ変換部と、
を備える。
第1実施形態に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。 図1の第1光学系、第2光学系、信号生成部および演算装置の各主要部を示す模式図である。 第1受光信号F(t)および移動ミラー位置信号X(t)の一例を示す図である。 インターフェログラムF(x)の一例を示す図である。 測定光として波長400nmの光(可視光)を用いた場合の、移動ミラーの位置の計測誤差とスペクトル情報における分光波数の誤差(分光波数精度)および分光波長の誤差(分光波長精度)との関係を示すグラフである。 測定光として波長200nmの光(紫外線)を用いた場合の、移動ミラーの位置の計測誤差とスペクトル情報における分光波数の誤差(分光波数精度)および分光波長の誤差(分光波長精度)との関係を示すグラフである。 移動ミラーの計測間隔とスペクトル情報における最大計測波数または最小計測波長との関係を示すグラフである。 第1実施形態の第1変形例に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。 第1実施形態の第2変形例に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。 第1実施形態の第3変形例に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。 第1実施形態の第4変形例に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。 第1実施形態の第5変形例に係る分光装置が備える第1光学系、第2光学系、信号生成部および演算装置の各主要部を示す模式図である。 第1実施形態の第6変形例に係る分光装置が備える第1光学系、第2光学系、信号生成部および演算装置の各主要部を示す模式図である。 図13に示す模式図のうち、補正処理部について詳細に示す図である。 光変調器からの出力信号を取得する回路の一例を示す図である。 第1実施形態の第7変形例に係る分光装置が備える第1光学系、第2光学系、信号生成部および演算装置の各主要部を示す模式図である。 図16に示す模式図のうち、信号生成部について詳細に示す図である。 第2実施形態に係る分光装置の概略構成を示す概略構成図である。
以下、本発明の光学デバイスおよび分光装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る光学デバイスおよび分光装置について説明する。
図1は、第1実施形態に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
図1に示す分光装置100では、入射された測定光L1を被検体である試料9に照射させ、試料9から放射された測定光L1をマイケルソン型干渉光学系に通し、得られた干渉光の強度変化を検出することにより、インターフェログラムを取得する。取得したインターフェログラムをフーリエ変換することにより、スペクトル情報を取得する。測定光L1の波長を選択することにより、図1に示す分光装置100は、例えば試料9に対する赤外分光分析、可視光分光分析、紫外分光分析等に適用可能である。
分光装置100は、光学デバイス1と、信号生成部8と、演算装置7と、を備える。
光学デバイス1には、試料9に照射され、放射された測定光L1が、入射光学系5を介して入射する。図1に示す光学デバイス1は、干渉光の強度を取得する第1光学系3と、レーザー干渉法により、第1光学系3が備える移動ミラー33(第1ミラー)の位置を計測する第2光学系4と、を備える。図1に示す光学デバイス1では、測定光L1を2つの光束に分けた後、一方を移動ミラー33で反射させ、他方を第1光学系3が備える固定ミラー34(第2ミラー)で反射させる。そして、反射光を再び混合させ、得られた干渉光の強度を取得する。
信号生成部8は、第2光学系4が備える光変調器43に向けて駆動信号Sdを出力する機能、および、演算装置7に向けて基準信号Ssを出力する機能を有する。
演算装置7は、第1光学系3から出力された干渉光の強度を表す信号および第2光学系4から出力された移動ミラー33の位置を表す信号に基づいて、移動ミラー33の各位置における干渉光の強度を表す波形、すなわちインターフェログラムを求める機能、および、波形にフーリエ変換を行い、スペクトル情報を取得する機能を有する。
また、分光装置100は、入射光学系5を備える。入射光学系5は、測定光L1を試料9に照射する機能、および、試料9から放射された測定光L1を光学デバイス1に入射させる機能を有する。
以下、分光装置100の各部の構成について順次説明する。
1.1.入射光学系
図1に示す入射光学系5は、第1光源51および光ファイバー52、53を備える。
第1光源51は、例えば白色光、すなわち幅広い波長の光が集まった光を測定光L1として射出する光源である。測定光L1の波長域、つまり第1光源51の種類は、試料9に対して行う分光分析の目的に応じて適宜選択される。赤外分光分析を行う場合には、第1光源51としては、例えば、ハロゲンランプ、赤外ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。可視光分光分析を行う場合には、第1光源51としては、例えば、ハロゲンランプ等が挙げられる。紫外分光分析を行う場合には、第1光源51としては、例えば、重水素ランプ、UV-LED(紫外線発光ダイオード)等が挙げられる。
なお、測定光L1の波長として100nm以上760nm未満を選択することにより、紫外分光分析または可視光分光分析を行い得る分光装置100を実現することができる。また、測定光L1の波長として760nm以上20μm以下を選択することにより、赤外分光分析または近赤外分光分析を行い得る分光装置100を実現することができる。さらに、測定光L1の波長として30μm以上3mm以下を選択することにより、テラヘルツ波分光分析を行い得る分光装置100を実現することができる。
光ファイバー52は、第1光源51から射出された測定光L1を導き、試料9に向けて照射する。光ファイバー53は、試料9から放射された測定光L1を受光し、光学デバイス1に導く。光ファイバー52、53の構成材料は、測定光L1の波長域に応じて適宜選択される。なお、本明細書における「測定光」は、第1光源51から射出された光、第1光源51から射出された光が試料9に照射され、試料9との作用によって放射された光、または、分割された測定光同士の干渉光、を指す。このうち、試料9から放射された光としては、例えば、試料9に照射された後、試料9での吸収を経た反射光または透過光、試料9に照射され、ラマン散乱によって試料9から放射されたラマン散乱光、試料9に照射され、試料9から放射された蛍光等が挙げられる。
以上、入射光学系5について説明したが、試料9の配置は図1に示す配置に限定されず、後述するように、例えば第1光学系3が備えるビームスプリッターと第1受光素子との間であってもよい。また、入射光学系5の構成は、上記の構成に限定されず、例えば光ファイバー52、53が他の光学要素で置き換えられていてもよい。さらに、入射光学系5の全体または一部が、後述する光学デバイス1に含まれていてもよい。
1.2.光学デバイス
図1に示す光学デバイス1は、第1光学系3および第2光学系4を備える。
1.2.1.第1光学系
図1に示す第1光学系3は、マイケルソン型干渉光学系であり、コリメートレンズ31、ビームスプリッター32(第1光分割素子)、移動ミラー33、固定ミラー34、集光レンズ35、および、第1受光素子36を備える。なお、コリメートレンズ31および集光レンズ35は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。また、第1光学系3は、上記以外の光学要素を備えていてもよいし、上記の光学要素が同等の機能を有する他の光学要素で置換されていてもよい。
コリメートレンズ31は、入射光学系5から入射される測定光L1を平行光に変換する。
ビームスプリッター32は、測定光L1を2つの測定光L1a、L1bに分割する非偏光型のビームスプリッターである。具体的には、ビームスプリッター32は、測定光L1の一部を測定光L1aとして移動ミラー33に向けて反射させ、測定光L1の他部を測定光L1bとして固定ミラー34に向けて透過させることにより、測定光L1を2つに分割する。
ビームスプリッター32の種類としては、例えば、図1に示すプリズム型素子(キューブ型素子)の他、プレート型素子、積層型素子等が挙げられる。プレート型のビームスプリッター32を用いた場合には、測定光L1aと測定光L1bとで波長分散が生じるので、必要に応じて、ビームスプリッター32と固定ミラー34との間に、波長分散補償板を配置するようにしてもよい。波長分散補償板は、硝材の光路長差による波長分散を補償する光学要素である。本実施形態では、ビームスプリッター32としてプリズム型素子が用いられているので、この波長分散補償板は不要である。プリズム型素子は、プリズム同士の間に光学薄膜が挟まれた形態の素子である。また、積層型素子は、2枚の透明平板の間に光学薄膜が挟まれた形態の素子である。積層型素子でも、プリズム型素子と同様、波長分散補償板を不要にできる。また、プリズム型素子や積層型素子では、光学薄膜が露出しないので、ビームスプリッター32の長期信頼性を高めることができる。
また、ビームスプリッター32は、移動ミラー33で反射された測定光L1aを第1受光素子36に向けて透過させ、固定ミラー34で反射された測定光L1bを第1受光素子36に向けて反射させる。したがって、ビームスプリッター32は、分割された測定光L1a、L1bを混合する機能を有する。
移動ミラー33は、ビームスプリッター32に対して測定光L1aの入射方向に移動し、かつ、測定光L1aを反射させる鏡である。移動ミラー33で反射した測定光L1aは、移動ミラー33の位置に応じた変位信号を含む。したがって、移動ミラー33は、測定光L1aに第1変調信号を付加する。
移動ミラー33を移動させる図示しない移動機構としては、特に限定されないが、例えば、1軸リニアステージ、ピエゾ駆動装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたマイクロアクチュエーター等が挙げられる。このうち、1軸リニアステージは、例えば、ボイスコイルモーター(VCM)またはボールねじ駆動部とリニアガイド機構とを備えることで、移動ミラー33の移動において良好な並進性を実現することができる。
固定ミラー34は、ビームスプリッター32に対して位置が固定され、測定光L1bを反射させる鏡である。固定ミラー34で反射した測定光L1bは、ビームスプリッター32で測定光L1aと混合され、干渉光として第1受光素子36に受光される。第1光学系3では、移動ミラー33の位置に応じて、測定光L1aの光路と、測定光L1bの光路と、の間に光路差が生じる。このため、干渉光の干渉状態は、移動ミラー33の位置に応じて変化する。
なお、移動ミラー33および固定ミラー34は、それぞれ平板ミラーであってもよいし、コーナーキューブミラーであってもよい。各ミラーの反射面には、Al、Au、Agのような金属を用いたメタルコート、誘電体多層膜等が成膜されていてもよい。また、移動ミラー33について、「測定光の入射方向に移動」は、測定光の入射方向の成分を含む方向に移動することを含む。したがって、移動ミラー33は、入射方向に対して斜めに傾いた方向(非平行な方向)に移動してもよい。その場合、演算装置7は、移動ミラー33が測定光の入射方向に対して斜めに傾いた影響を除去する機能を有していればよい。さらに、固定ミラー34も移動するように構成されていてもよい。その場合、演算装置7は、固定ミラー34が移動した影響を除去する機能を有していればよい。
集光レンズ35は、干渉光、すなわち混合された測定光L1a、L1bを第1受光素子36に集光させる。
第1受光素子36は、干渉光を受光し、その強度を取得する。そして、強度に応じた信号を第1受光信号F(t)として出力する。この第1受光信号F(t)は、測定光L1と試料9との相互作用により生成された試料由来信号と、前述した第1変調信号と、を含む信号である。試料由来信号とは、試料9との相互作用で特定の波長の光が吸収等されたとき、それを示す第1受光信号F(t)の波形変化のことをいう。第1変調信号とは、移動ミラー33の移動に伴って生じる第1受光信号F(t)の波形変化のことをいう。
第1受光素子36としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター等が挙げられる。このうち、フォトダイオードとしては、例えば、InGaAs系フォトダイオード、Si系フォトダイオード、アバランシェ型フォトダイオード等が挙げられる。
1.2.2.第2光学系
図1に示す第2光学系4は、マイケルソン型干渉光学系であり、第2光源42、光変調器43、ビームスプリッター44(第2光分割素子)、第2受光素子45、1/2波長板46、1/4波長板47、1/4波長板48、および、検光子49を備える。なお、第2光学系4は、上記以外の光学要素、例えばコリメートレンズ、集光レンズ、アパーチャー等を備えていてもよい。また、上記光学要素が同等の機能を有する他の光学要素で置換されていてもよい。
第2光源42は、可干渉性を有するレーザー光L2を射出する光源である。第2光源42としては、例えば、He-Neレーザーのようなガスレーザー、DFB-LD(Distributed FeedBack - Laser Diode:分布帰還型レーザーダイオード)、FBG-LD(Fiber Bragg Grating付き Laser Diode:ファイバーブラッググレーティング付きレーザーダイオード)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザーダイオード)、FP-LD(Fabry-Perot Laser Diode:ファブリーペロー型半導体レーザーダイオード)のような半導体レーザー素子等が挙げられる。
第2光源42は、特に半導体レーザー素子であるのが好ましい。これにより、第2光源42を特に小型化することが可能になり、光学デバイス1の小型化および軽量化を図ることができる。
光変調器43は、周波数シフター型の光変調器であり、駆動信号により振動する振動素子30を備える。光変調器43については後述する。
ビームスプリッター44は、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる偏光型ビームスプリッターである。レーザー光L2は、1/2波長板46を通過することにより、P偏光とS偏光とを含む直線偏光になり、ビームスプリッター44でP偏光とS偏光の2つに分割される。S偏光であるレーザー光L2aは、1/4波長板48で円偏光に変換され、光変調器43に入射する。光変調器43は、レーザー光L2aを反射させることにより、周波数をシフトさせる。これにより、光変調器43は、レーザー光L2aに第2変調信号を付加する。光変調器43で反射したレーザー光L2aは、ビームスプリッター44に戻る。このとき、レーザー光L2aは、1/4波長板48でP偏光に変換される。P偏光であるレーザー光L2bは、1/4波長板47で円偏光に変換され、移動ミラー33に入射する。移動ミラー33は、レーザー光L2bを反射させる。これにより、移動ミラー33は、レーザー光L2bに移動ミラー33の位置に応じた変位信号を付加する。移動ミラー33で反射したレーザー光L2bは、ビームスプリッター44に戻る。このとき、レーザー光L2bは、1/4波長板47でS偏光に変換される。
また、ビームスプリッター44は、光変調器43で反射されたレーザー光L2aを第2受光素子45に向けて透過させ、移動ミラー33で反射されたレーザー光L2bを第2受光素子45に向けて反射させる。したがって、ビームスプリッター44は、分割されたレーザー光L2a、L2bを混合する機能を有する。混合されたレーザー光L2a、L2bは、検光子49を透過し、第2受光素子45に入射する。
光変調器43が備える振動素子30としては、例えば、水晶振動子、シリコン振動子、セラミック振動子、ピエゾ素子等が挙げられる。このうち、振動素子30は、水晶振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子であるのが好ましい。これらの振動子は、その他の振動子、例えばピエゾ素子等とは異なり、共振現象を利用した振動子であるため、Q値が高く、固有振動数の安定化を容易に図ることができる。
また、振動素子30を備える光変調器43は、従来の光変調器に比べて、体積や重量を大きく削減することができる。このため、光学デバイス1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。
なお、光変調器43としては、例えば、特開2022-38156号公報に開示されている光変調器が挙げられる。この公報には、振動素子30として水晶AT振動子が挙げられている。また、振動素子30には、SCカット水晶振動子、音叉型水晶振動子、水晶表面弾性波素子等が用いられてもよい。
シリコン振動子は、単結晶シリコン基板からMEMS技術を用いて製造される単結晶シリコン片と、圧電膜と、を備える振動子である。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、微小電気機械システムのことである。単結晶シリコン片の形状としては、例えば、2脚音叉型、3脚音叉型等の片持ち梁形状、両持ち梁形状等が挙げられる。シリコン振動子の発振周波数は、例えば1kHzから数100MHz程度である。
セラミック振動子は、圧電セラミックスを焼き固めて製造される圧電セラミック片と、電極と、を備える振動子である。圧電セラミックスとしては、例えば、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BTO)等が挙げられる。セラミック振動子の発振周波数は、例えば数100kHzから数10MHz程度である。
第2受光素子45は、混合されたレーザー光L2a、L2bを干渉レーザー光として受光し、その強度を取得する。そして、強度に応じた信号を第2受光信号S2として出力する。この第2受光信号S2は、移動ミラー33の変位信号と、前述した第2変調信号と、を含む信号である。変位信号とは、移動ミラー33の位置に応じて第2受光信号S2に付加される波形変化のことをいう。第2変調信号とは、光変調器43が備える振動素子30の振動等に伴って生じる第2受光信号S2の波形変化のことをいう。
第2受光素子45としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター等が挙げられる。
なお、第2光学系4は、上記の構成に限定されない。例えば、第2光学系4は、分割された一方のレーザー光が第2受光素子に入射し、他方のレーザー光が光変調器および移動ミラーを介して、第2受光素子に入射するように構成されていてもよい。また、振動素子30に付属した回折格子や反射膜等でレーザー光L2を反射させてもよいが、本明細書ではこのような場合も「振動素子30での反射」に含む。
以上、第1光学系3および第2光学系4について説明したが、これらが備える各光学要素のうち、光を入射させる必要がある光学要素については、反射防止処理が施されているのが好ましい。これにより、第1受光信号F(t)および第2受光信号S2のS/N比(信号対雑音比)を高めることができる。
1.3.信号生成部
図1に示す信号生成部8は、光変調器43に入力される駆動信号Sd、および、演算装置7に入力される基準信号Ssを出力する。
図2は、図1の第1光学系3、第2光学系4、信号生成部8および演算装置7の各主要部を示す模式図である。
本実施形態では、図2に示すように、信号生成部8が発振回路81を備えている。発振回路81は、振動素子30を信号源として動作し、精度の高い周期信号を生成する。分光装置100では、発振回路81で生成された周期信号を、駆動信号Sdおよび基準信号Ssとして出力する。これにより、駆動信号Sdおよび基準信号Ssは、外乱を受けた場合、互いに同じ影響を受けることになる。そうすると、駆動信号Sdにより駆動された光変調器43を介して付加される第2変調信号、および、基準信号Ssも、互いに同じ影響を受ける。このため、変位信号および基準信号Ssが、演算装置7における演算に供されたとき、演算の過程で、双方が含む外乱の影響を互いに相殺または低減させることができる。その結果、演算装置7では、外乱を受けても、移動ミラー33の位置を精度よく求めることができる。
発振回路81としては、例えば、特開2022-38156号公報に開示されている発振回路が挙げられる。
1.4.演算装置
図1および図2に示す演算装置7は、移動ミラー位置演算部72、測定光強度演算部74、および、フーリエ変換部76を有する。これらの機能部が発揮する機能は、例えば、プロセッサー、メモリー、外部インターフェース、入力部、表示部等を備えるハードウェアによって実現される。具体的には、メモリーに格納されているプログラムをプロセッサーが読み出し、実行することによって実現される。なお、これらの構成要素は、内部バスによって互いに通信可能になっている。
プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等が挙げられる。なお、これらのプロセッサーがソフトウェアを実行する方式に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が上述した機能を実現する方式を採用するようにしてもよい。
メモリーとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等が挙げられる。
外部インターフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等が挙げられる。
入力部としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド等の各種入力装置が挙げられる。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル等が挙げられる。
なお、外部インターフェース、入力部および表示部は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
1.4.1.移動ミラー位置演算部
移動ミラー位置演算部72は、信号生成部8から出力された基準信号Ssに基づいて、第2受光信号S2に演算を行う。これにより、移動ミラー33の位置を示す移動ミラー位置信号X(t)を生成する。つまり、移動ミラー位置演算部72は、レーザー干渉計の技術により、移動ミラー33の位置を特定し、その結果に基づいて、移動ミラー位置信号X(t)を生成する。具体的には、周波数がわずかに異なる2つの光(レーザー光L2a、L2b)を干渉させ、干渉光から位相情報を取り出すことにより、移動ミラー33の位置を算出する。このような方法を光ヘテロダイン干渉法という。光ヘテロダイン干渉法によれば、干渉光の位相情報から移動ミラー33の位置を特定するとき、外乱の影響、特にノイズとなる周波数の迷光の影響を受けにくく、光学デバイス1に高いロバスト性が与えられる。
図2に示す移動ミラー位置演算部72は、前処理部722、復調処理部724、および、移動ミラー位置信号出力部726を有する。前処理部722および復調処理部724には、例えば、特開2022-38156号公報に開示されている前処理部および復調部が適用できる。
前処理部722は、基準信号Ssに基づいて第2受光信号S2に前処理を行う。復調処理部724は、前処理部722から出力された前処理済み信号S(t)から、基準信号Ssに基づいて移動ミラー33の位置に応じた変位信号を復調する。
移動ミラー位置信号出力部726は、復調処理部724が復調した移動ミラー33の変位信号に基づいて、移動ミラー位置信号X(t)を生成し、出力する。移動ミラー33は、測定光L1aの入射方向に沿って例えば往復移動するため、移動ミラー位置信号X(t)は、時刻ごとに変化する移動ミラー33の位置を表す信号となる。第2受光信号S2が含む移動ミラー33の変位信号は、レーザー光L2の波長よりも十分に狭い間隔で移動ミラー33の変位を捉えている。具体的には、レーザー光L2の波長が例えば数100nmであっても、変位信号が示す移動ミラー33の位置分解能として10nm未満が達成可能である。このため、後述する測定光強度演算部74でも、従来に比べてより細かな間隔で、波形を生成することができる。
1.4.2.測定光強度演算部
測定光強度演算部74は、第1受光信号F(t)および移動ミラー位置信号X(t)に基づいて、移動ミラー33の位置に対する干渉光の強度を表す波形(インターフェログラムF(x))を生成する。
第1受光信号F(t)は、時刻ごとに第1受光素子36に入射する干渉光の強度を表す信号である。また、第1受光信号F(t)は、前述したように、試料由来信号および第1変調信号を含んでいる。第1変調信号は、前述したように、移動ミラー33の移動が反映された波形変化であるため、測定光強度演算部74では、この第1変調信号と、第2光学系4から取得した移動ミラー位置信号X(t)と、を関係づけることにより、試料由来信号が反映された波形を取り出す。具体的には、測定光強度演算部74では、第1受光信号F(t)の時刻と、移動ミラー位置信号X(t)の時刻と、を揃える。そして、測定光強度演算部74は、同時刻における移動ミラー33の位置と第1受光信号F(t)の強度とにより、インターフェログラムF(x)を生成する。
図3は、第1受光信号F(t)および移動ミラー位置信号X(t)の一例を示す図である。図3の横軸は、時刻であり、縦軸は、第1受光素子36に入射する干渉光の強度または移動ミラー33の位置である。
図4は、インターフェログラムF(x)の一例を示す図である。図4の横軸は、移動ミラー33の位置から求めた第1光学系3内の光路差であり、縦軸は、測定光L1a、L1bの干渉光の強度である。なお、第1光学系3内の光路差とは、ビームスプリッター32と移動ミラー33との光路長およびビームスプリッター32と固定ミラー34との光路長の差であり、図4では、光路差ゼロを横軸の原点としている。
前述したように、本実施形態では、移動ミラー33の位置を示す移動ミラー位置信号X(t)を高い精度(高い位置分解能)で取得できる。このため、それに基づいてインターフェログラムF(x)を生成することにより、データ点数の多いインターフェログラムF(x)が得られる。データ点数の多さは、インターフェログラムF(x)のサンプリング間隔が短く、精度が高いことを意味する。したがって、このようにして得られたインターフェログラムF(x)を用いることで、最終的に、高い分解能のスペクトル情報を取得することができる。
また、サンプリング間隔を短くできることで、より波長の短い(より波数の大きい)測定光L1を用いても、十分なデータ点数を持つインターフェログラムF(x)を得ることができる。これにより、より広い波長範囲(広い波数範囲)のスペクトル情報、すなわち、より広帯域のスペクトル情報を取得することができる。
1.4.3.フーリエ変換部
フーリエ変換部76は、インターフェログラムF(x)にフーリエ変換を行う。これにより、スペクトル情報を取得する。
以上のように、本実施形態では、十分に短い光路差間隔で、インターフェログラムF(x)のデジタルデータを取得することができる。これにより、インターフェログラムF(x)のデータ点数を十分に多くすることができる。そして、インターフェログラムF(x)にフーリエ変換を行うことで、より波長の短い(より波数の大きい)測定光L1を用いた場合でも、波数分解能または波長分解能が十分に高いスペクトル情報を取得することができる。
得られたスペクトル情報には、測定光が試料9に作用して生成された高精度の試料由来信号が反映されている。このため、スペクトル情報に基づいて、試料9の特性を精度よく分析することができる。つまり、精度の高い分光分析を可能にする分光装置100を実現することができる。
1.4.4.移動ミラー位置の計測精度と分光波数精度および分光波長精度との関係
上述したように、本実施形態では、移動ミラー位置信号X(t)を高い精度で取得できるので、波数分解能または波長分解能が十分に高いスペクトル情報を取得することができる。
特に、第2光学系4におけるビームスプリッター44と光変調器43との物理的距離と、ビームスプリッター44と移動ミラー33との物理的距離と、の差をゼロに近づけることにより、移動ミラー位置信号X(t)の精度をより高めることができる。
第2光学系4で移動ミラー33の位置を計測するとき、計測誤差Δdは、下記式(I)で表される。
Figure 2024017359000002
上記式(I)において、物理的距離の差WDをゼロに近づけることにより、計測誤差Δdにおいてノイズ成分となり得る右辺第2項および第3項を小さくすることができる。これにより、計測誤差Δdが小さくなるため、移動ミラー位置信号X(t)の精度をより高めることができる。
具体的には、第2光学系4におけるビームスプリッター44と光変調器43との光路長をLrefとし、ビームスプリッター44と移動ミラー33との光路長をLsとするとき、|Ls-Lref|≦100mmであることが好ましい。これにより、上記式(I)の物理的距離の差WDを十分に小さくすることができ、1nmオーダーまたはそれ以下の計測誤差Δdを達成することができる。
一方、移動ミラー33が往復移動するときの移動距離(振幅)をLmとしたとき、この移動距離Lmを踏まえると、|Ls-Lref|≦Lm/2であるのが好ましい。これにより、移動ミラー33の移動距離Lmを考慮しながら、計測誤差Δdを特に小さくすることができる。
また、前述した|Ls-Lref|≦100mmを踏まえると、移動ミラー33の移動距離Lmの最大値は、200mmと考えることもできる。したがって、移動ミラー33の移動距離Lmは、200mm以下であることが好ましい。これにより、移動ミラー33の計測誤差Δdを特に小さくすることができる。
図5は、測定光L1として波長400nmの光(可視光)を用いた場合の、移動ミラー33の位置の計測誤差δLとスペクトル情報における分光波数の誤差(分光波数精度)または分光波長の誤差(分光波長精度)との関係を示すグラフである。図6は、測定光L1として波長200nmの光(紫外線)を用いた場合の、移動ミラー33の位置の計測誤差δLとスペクトル情報における分光波数の誤差(分光波数精度)または分光波長の誤差(分光波長精度)との関係を示すグラフである。なお、図5および図6に示す例では、移動ミラー33の移動距離Lを1mmとし、その計測誤差をδLとしている。
一般的には、移動ミラー33の移動距離Lを長くすることで波数分解能Δνを高めることができる。例えば、移動距離Lが1mmであるとき、従来の方法でインターフェログラムをサンプリングして得られたスペクトル情報から計算される波数分解能Δνは、5cm-1となる。
図5および図6に示す例では、移動ミラー33の移動距離Lを1mmとしたときの、計測誤差δLと分光波数精度δνまたは分光波長精度δλとの関係を示している。図5では、例えば計測誤差δLが100nmであるとき、分光波数精度δνは約2.5cm-1となり、分光波長精度δλは約0.04nmとなることを示している。また、図6では、例えば計測誤差δLが100nmであるとき、分光波数精度δνは約5.0cm-1となり、分光波長精度δλは約0.02nmとなることを示している。100nmという計測誤差δLは、本実施形態に係る光学デバイス1を用いることで、容易に達成できる。そうすると、図5および図6の結果から、測定光L1としてより短波長の光を用いても、前述した波数分解能Δνやそこから計算される波長分解能に比べて、少なくとも同等程度の分光波数精度δνおよび分光波長精度δλが得られることがわかる。よって、本実施形態に係る光学デバイス1を用いて計測誤差δLを小さくすることにより、測定光L1の波長によらず、換言すれば、波長範囲の広い測定光L1を用いても、分光波数精度δνおよび分光波長精度δλを維持または向上させることができる。
1.4.5.移動ミラー位置の計測間隔と最大計測波数および最小計測波長との関係
図7は、移動ミラー33の位置の計測間隔Δxとスペクトル情報における最大計測波数または最小計測波長との関係を示すグラフである。図7に示すように、計測間隔Δxが小さいほど、最大計測波数は大きく、最小計測波長が短くなる。したがって、計測間隔Δxを小さくすることにより、より広い波数範囲(波長範囲)のスペクトル情報(広帯域のスペクトル情報)を取得することができるようになる。なお、安定した計測間隔Δxを実現するためには、計測誤差Δdが計測間隔Δxの1/10以下であることが好ましい。そうすると、前述した1nmオーダーの計測誤差Δdは、図7において計測間隔Δx=10nmを実現可能な計測精度であるといえる。
2.第1実施形態の第1変形例
次に、第1実施形態の第1変形例に係る光学デバイスおよび分光装置について説明する。
図8は、第1実施形態の第1変形例に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
図8に示す分光装置100は、光学デバイス1および入射光学系5の構成が異なること以外、図1に示す分光装置100と同様である。
図8に示す入射光学系5は、試料9を介さない経路で測定光L1を光学デバイス1に導くよう構成されている。具体的には、図8に示す入射光学系5は、第1光源51、集光レンズ54、アパーチャー55、曲面ミラー56およびカットフィルター57を備える。
集光レンズ54は、第1光源51から射出される測定光L1を集光し、その集光位置でアパーチャー55を通過させる。曲面ミラー56は、発散光を平行光に変換しながら光路を切り替える。カットフィルター57は、目的とする波長域以外の光をカットするフィルターである。
図8に示す光学デバイス1は、ビームスプリッター32と第1受光素子36との間に試料9が設けられるように構成されている。つまり、図8に示す光学デバイス1は、ビームスプリッター32で混合された測定光L1a、L1bが試料9を透過し、集光レンズ35を介して第1受光素子36に入射するように構成されている。
以上のような第1変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
3.第1実施形態の第2変形例
次に、第1実施形態の第2変形例に係る光学デバイスおよび分光装置について説明する。
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
図9に示す分光装置100は、光学デバイス1および入射光学系5の構成が異なること、および、試料9に対するラマン分光分析、蛍光分光分析等に適用可能な形態であること以外、図1に示す分光装置100と同様である。
図9に示す入射光学系5は、第1光源51、バンドパスフィルター61、1/2波長板62、ビームスプリッター63、1/4波長板64、集光レンズ65および減光フィルター66を備える。
図9に示す第1光源51は、ラマン分光や蛍光分光等の目的に応じて適宜選択される。例えばラマン分光の場合、スペクトル線幅の狭い光を測定光L1として射出する光源が用いられる。また、蛍光分光の場合、試料9の種類に応じて、最適な光源が用いられる。ラマン分光の場合には、第1光源51として、例えば、He-Neレーザー、Arレーザーのようなガスレーザー、DFB-LD、FBG-LD、VCSEL、FP-LDのような半導体レーザー素子、固体レーザー等が用いられる。蛍光分光の場合には、第1光源51として、例えば、キセノンランプ、水銀灯等が用いられる。なお、図9では、第1光源51がレーザー光源である場合の入射光学系5を図示している。
バンドパスフィルター61は、第1光源51から出射される余分な波長の光をカットし、測定光L1として透過させる。1/2波長板62を通過した測定光L1は、P偏光とS偏光とを含む直線偏光になり、偏光ビームスプリッターであるビームスプリッター63でP偏光とS偏光の2つに分割される。P偏光である測定光L1は、1/4波長板64で円偏光に変換され、集光レンズ65を経て試料9に入射する。試料9から放射された測定光L1は、ラマン散乱光や蛍光等とともに、集光レンズ65を経て1/4波長板64でS偏光に変換され、ビームスプリッター63で反射される。そして、測定光L1は、減光フィルター66を通過するとき、そのほとんどが選択的に減光され、測定光L1とともに伝搬するラマン散乱光や蛍光等が選択的に透過する。つまり、測定光L1の波長を「第1波長」とするとき、減光フィルター66は、第1波長の光を減衰させ、試料由来信号を含む光を通過させる。これにより、試料由来信号を含む光の強度が微弱である場合でも、第2受光素子45において高いS/N比の第2受光信号を出力させることができる。このような減光フィルター66としては、例えば、光学濃度(OD値)が6.0以上のノッチフィルター、ラマンロングパスフィルター等が挙げられる。
また、図9に示す光学デバイス1が備える第1受光素子36には、特にアバランシェ型フォトダイオードが好ましく用いられる。これにより、ラマン散乱光や蛍光等をより適切に受光することができる。
以上のような第2変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
4.第1実施形態の第3変形例
次に、第1実施形態の第3変形例に係る光学デバイスおよび分光装置について説明する。
図10は、第1実施形態の第3変形例に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
図10に示す分光装置100は、光学デバイス1および入射光学系5の構成が異なること以外、図9に示す分光装置100と同様である。
図10に示す入射光学系5は、第1光源51、バンドパスフィルター61、反射ミラー67a、67b、ノッチフィルター68、集光レンズ65および減光フィルター66を備える。
第1光源51から射出された測定光L1は、バンドパスフィルター61を透過、反射ミラー67aで反射され、ノッチフィルター68に入射する。ノッチフィルター68は、例えば光学濃度6.0以上を有し、測定光L1を選択的に反射する機能を有する。ノッチフィルター68で反射された測定光L1は、集光レンズ65を経て試料9に入射する。試料9で反射した測定光L1は、集光レンズ65を経た後、ノッチフィルター68で選択的に反射される。一方、測定光L1とともに伝搬するラマン散乱光や蛍光等は、ノッチフィルター68を透過するようになっている。ノッチフィルター68を透過したこれらの光は、反射ミラー67bで反射され、減光フィルター66を通過して光学デバイス1に入射される。この場合、減光フィルター66としては、ラマンロングパスフィルターが用いられる。
また、図10に示す光学デバイス1では、ビームスプリッター32として無偏光型ビームスプリッターを用いる。図10に示す入射光学系5では、測定光L1としてレーザー光が用いられる場合があり、その場合には、第1光学系3の構成を上記のようにすることで、適切な干渉光を得ることができる。
以上のような第3変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
5.第1実施形態の第4変形例
次に、第1実施形態の第4変形例に係る光学デバイスおよび分光装置について説明する。
図11は、第1実施形態の第4変形例に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
図11に示す分光装置100は、光学デバイス1および入射光学系5の構成が異なること以外、図10に示す分光装置100と同様である。
図11に示す入射光学系5は、第1光源51、バンドパスフィルター61、貫通孔付き非軸放物面ミラー69および減光フィルター66を備える。
第1光源51から射出された測定光L1は、バンドパスフィルター61を透過し、貫通孔付き非軸放物面ミラー69を通過して試料9に入射する。試料9から放射された測定光L1は、貫通孔付き非軸放物面ミラー69でコリメートされるとともに反射され、減光フィルター66を通過して光学デバイス1に入射される。
以上のような第4変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、以上の第1実施形態およびその変形例において、光学デバイス1が入射光学系5を備えていてもよい。
6.第1実施形態の第5変形例
次に、第1実施形態の第5変形例に係る分光装置について説明する。
図12は、第1実施形態の第5変形例に係る分光装置100が備える第1光学系3、第2光学系4、信号生成部8および演算装置7の各主要部を示す模式図である。
図12に示す分光装置100は、信号生成部8の構成が異なること以外、図2に示す分光装置100と同様である。
図12に示す信号生成部8は、ファンクションジェネレーター82を備える。ファンクションジェネレーター82は、高精度な波形、すなわち高安定で低ジッターの信号を出力する信号発生器である。したがって、図12に示す信号生成部8は、より高精度の駆動信号Sdおよび基準信号Ssを出力することができ、最終的に、演算装置7において移動ミラー33の位置をより精度よく求めることができる。なお、ファンクションジェネレーター82は、シグナルジェネレーターと呼ばれる信号発生器であってもよい。
以上のような第5変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
7.第1実施形態の第6変形例
次に、第1実施形態の第6変形例に係る分光装置について説明する。
図13は、第1実施形態の第6変形例に係る分光装置100が備える第1光学系3、第2光学系4、信号生成部8および演算装置7の各主要部を示す模式図である。
図13に示す分光装置100は、信号生成部8および演算装置7の構成が異なること以外、図2に示す分光装置100と同様である。
本変形例では、図13に示すように、信号生成部8が、電圧制御発振器83、増幅器84および補正処理部85を備える。また、演算装置7は、移動ミラー位置演算部72、測定光強度演算部74およびフーリエ変換部76を有する。さらに、移動ミラー位置演算部72は、前処理部722、直交信号発生部723、復調処理部724、および、移動ミラー位置信号出力部726を有する。
7.1.信号生成部
まず、図13に示す信号生成部8について説明する。
7.1.1.信号生成部の構成
電圧制御発振器83は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)であり、入力される電圧信号に基づいて、出力される周期信号の周波数を制御する機能を有する。これにより、電圧制御発振器83は、目的とする周波数の基準信号Ssを生成し、増幅器84および演算装置7に向けて出力する。なお、電圧制御発振器83は、出力される周期信号の周波数を調整可能な発振器であれば、VCOに限定されない。
増幅器84は、入力される制御信号に基づいて、出力される周期信号の振幅を制御する機能を有する。これにより、増幅器84は、入力される基準信号Ssを増幅し、目的とする振幅の駆動信号Sdを生成し、光変調器43に向けて出力する。
補正処理部85には、図13に示すように、電圧制御発振器83から出力された基準信号Ss、および、光変調器43の駆動に対応して出力される出力信号Smが入力される。また、補正処理部85は、電圧制御発振器83に向けて周波数制御信号Sf1(補正信号)を出力する。さらに、補正処理部85は、増幅器84に向けて増幅率制御信号Sam(補正信号)を出力する。
補正処理部85は、例えばFPGA等に実装され、光変調器43の近傍に配置されることが好ましい。これにより、光変調器43と補正処理部85との物理的距離を短くすることができ、例えば電磁ノイズの影響による出力信号SmのS/N比の低下を抑制することができる。
図14は、図13に示す模式図のうち、補正処理部85について詳細に示す図である。
光変調器43からの出力信号Smは、図14に示すオフセット除去部851に入力される。オフセット除去部851は、DC(直流)成分を除去し、AC(交流)成分を取り出す機能を有する。オフセット除去部851を経た出力信号Smは、補正処理部85に入力される。
電圧制御発振器83からの基準信号Ssは、図14に示すオフセット除去部852に入力される。オフセット除去部852は、DC(直流)成分を除去し、AC(交流)成分を取り出す機能を有する。オフセット除去部852を経た基準信号Ssは、補正処理部85および直交信号発生部723に入力される。
図14に示す補正処理部85は、絶対値演算器853と、乗算器854と、乗算器855と、ローパスフィルター856と、ローパスフィルター857と、振幅ゲイン設定部858と、周波数設定部859と、を備えている。
絶対値演算器853は、オフセット除去部851を通過した出力信号Smの絶対値を算出する。
乗算器854、855は、2つの入力信号の積に比例した信号を出力する回路である。このうち、乗算器854では、2つの入力信号がいずれも出力信号Smである。このため、乗算器854は、出力信号Smの2乗に比例した信号を出力する。一方、乗算器855では、2つの入力信号が、出力信号Smおよび基準信号Ssである。このため、乗算器855は、出力信号Smと基準信号Ssの積に比例した信号を出力する。
乗算器854、855は、例えば、ギルバートセルのような素子を用いてもよいし、入力される2つの信号をオペアンプ等で対数変換した後、加減算を行い、その後、逆対数変換を行う回路であってもよい。
ローパスフィルター856、857は、入力信号について高域の周波数帯の信号をカットするフィルターである。ローパスフィルター856、857の透過周波数帯域は、駆動信号Sdの周波数の2倍以上を除去できる帯域であればよく、駆動信号Sdの周波数以上を除去できる帯域であるのが好ましい。
乗算器854から出力され、ローパスフィルター856を通過した信号は、後述するように、出力信号Smの振幅に対応した値を持つ信号となる。振幅ゲイン設定部858は、この信号に基づいて、駆動信号Sdに設定されるべき振幅(目標振幅)を求める機能を有する。そして、振幅ゲイン設定部858は、駆動信号Sdの振幅が目標振幅になるように、信号生成部8の増幅器84に設定すべきゲイン(増幅率)の制御を行う。制御ロジックとしては、例えば、PI制御やPID制御のようなフィードバック制御が挙げられる。振幅ゲイン設定部858は、設定すべきゲインに対応する増幅率制御信号Samを増幅器84に向けて出力する。
増幅器84では、増幅率制御信号Samに基づいて、駆動信号Sdの振幅を増幅する。これにより、駆動信号Sdの振幅が補正される。
乗算器855から出力され、ローパスフィルター857を経て周波数設定部859に入力される信号は、後述するように、出力信号Smと基準信号Ssとの位相差に対応した値を持つ信号となる。ここで、出力信号Smの位相は、駆動信号Sdの位相に対応している。また、駆動信号Sdの位相は、基準信号Ssの位相に対応している。そこで、周波数設定部859は、基準信号Ssに設定されるべき周波数(目標周波数)を求める機能を有する。そして、周波数設定部859は、基準信号Ssの周波数が目標周波数になるように、信号生成部8の電圧制御発振器83に設定すべき電圧の制御を行う。制御ロジックとしては、例えば、PI制御やPID制御のようなフィードバック制御が挙げられる。周波数設定部859は、設定すべき周波数に対応する周波数制御信号Sf1を電圧制御発振器83に向けて出力する。
電圧制御発振器83では、周波数制御信号Sf1に対応する周波数の基準信号Ssを発生させる。これにより、基準信号Ssの周波数が補正される。また、これにより、駆動信号Sdの周波数も補正される。
7.1.2.光変調器からの出力信号の取得
図15は、光変調器43からの出力信号Smを取得する回路の一例を示す図である。
出力信号Smは、光変調器43が備える振動素子30に流れる電流を検出して得られる信号であってもよく、振動素子30に印加される電圧を検出して得られる信号であってもよい。例えば、振動素子30に流れる電流を検出して得られる信号を出力信号Smとする場合、図15に示すように、振動素子30に流れる電流値を、電流シャントモニター39を用いて検出する。図15に示す電流シャントモニター39は、シャント抵抗391およびオペアンプ392を備え、振動素子30に流れる電流値を電圧値に変換して検出する。これにより、電圧信号である出力信号Smが得られる。得られた出力信号Smは、デジタル信号に変換され、補正処理部85に向けて出力される。
なお、振動素子30に流れる電流を検出する方法としては、上記の方法以外に、ホール素子を用いる方法、電流路にコイルを巻いて起電力を検出する方法等が挙げられる。
7.1.3.補正処理
次に、補正処理部85における補正処理について説明する。補正処理とは、補正処理部85から出力される補正信号に基づいて、電圧制御発振器83および増幅器84の設定値を変更し、駆動信号Sdおよび基準信号Ssを補正することをいう。
光変調器43からの出力信号Smが例えば電圧信号である場合、オフセット除去部851を通過する前の出力信号Smは、下記式(II)で表される。
Figure 2024017359000003
上記式(II)において、VQOMは、出力信号Smの電圧値である。また、Aは、出力信号Smの振幅に対応する係数であり、αm1は、出力信号Smの基準信号Ssに対する位相差であり、-π/2<αm1<π/2を満たす。さらに、OQOMは、出力信号SmのDC成分である。
そうすると、オフセット除去部851を通過した後の出力信号Smは、下記式(II-1)で表される。
Figure 2024017359000004
一方、オフセット除去部852を通過する前の基準信号Ssは、下記式(III)で表される。
Figure 2024017359000005
上記式(III)において、VOSCは、基準信号Ssの電圧値である。また、vOSCは、基準信号Ssの振幅に対応する係数であり、OOSCは、基準信号SsのDC成分である。
そうすると、オフセット除去部852を通過した後の基準信号Ssは、下記式(III-1)で表される。
Figure 2024017359000006
オフセット除去部851を通過した出力信号Smは、2つに分割される。そして、一方の出力信号Smは、絶対値演算器853を経た後、乗算器854で2乗された結果、下記式(II-2)で表される。
Figure 2024017359000007
その後、ローパスフィルター856を通過することにより、上記式(II-2)の右辺第1項のみが取り出される。これにより、ローパスフィルター856を通過した後の出力信号Smは、下記式(II-3)で表される。
Figure 2024017359000008
上記式(II-3)で表されるように、振幅ゲイン設定部858に入力される入力信号VQOM は、時間変化がない信号となる。そこで、振幅ゲイン設定部858では、上記式(II-3)で表される出力信号Smについて、目標とする係数Aを上記式(II-3)に代入した値を制御目標値としてフィードバック制御を行う。そして、制御目標値に対応する増幅率制御信号Samを信号生成部8の増幅器84に向けて出力する。これにより、増幅器84における振幅のゲインを変化させ、駆動信号Sdの振幅を目標とする振幅に補正することができる。
2つに分割された他方の出力信号Smには、乗算器855で基準信号Ssが乗算される。これにより、乗算器855から出力される信号は、下記式(IV)で表される。
Figure 2024017359000009
その後、ローパスフィルター857を通過することにより、上記式(IV)の右辺第1項のみが取り出される。これにより、ローパスフィルター857を通過した後の出力信号Smは、下記式(IV-2)で表される。
Figure 2024017359000010
上記式(IV-2)で表されるように、周波数設定部859に入力される入力信号VQOM・VOSCは、右辺に係数Am、係数vOSCおよび位相差αm1を含む信号である。このうち、係数vOSCは、既知である。一方、係数Aは、0<Aを満たし、上記のように目標とする係数Aに収束するように制御される。このため、入力信号VQOM・VOSCも、時間変化がない信号となる。そこで、周波数設定部859では、例えば、目標とする位相差αm1を上記式(IV-2)に代入した値を制御目標値としてフィードバック制御を行う。そして、制御目標値に対応する周波数制御信号Sf1を信号生成部8の電圧制御発振器83に向けて出力する。これにより、電圧制御発振器83から出力される基準信号Ssの周波数を変化させ、基準信号Ssの周波数を目標とする周波数に補正することができる。また、駆動信号Sdの周波数も目標とする周波数に補正することができる。
なお、目標とする位相差αm1は、例えば、機械的共振周波数で振動する振動素子30において、駆動信号Sdと出力信号Smとの位相差の関係に基づいて決定できる。具体的には、このような振動素子30では、入力される駆動信号Sdに対し、出力信号Smの位相が約90[deg]遅れることが知られている。また、出力信号Smが補正処理部85に入力されるまでの過程では、位相遅延δ[deg]が発生する場合がある。これらを考慮すると、目標とする位相差αm1は、例えば90+δ[deg]とできる。位相遅延δは、実験やシミュレーションにより求めることができる。
なお、温度変化等が生じると、機械的共振周波数が変化するとともに、振動素子30の入力された電力を振動に変換する効率が変化する場合がある。この変換効率が変化すると、振動素子30の振動の振幅が変化することになる。そこで、補正処理では、まず、基準信号Ssの周波数および駆動信号Sdの周波数の補正を優先して行う。その後、必要に応じて、駆動信号Sdの振幅を補正する。このような順序で補正処理を実行することにより、前述した周波数と振幅をそれぞれ目的とする値に効率よく制御することができる。
また、上述した周波数設定部859での制御を踏まえると、振幅ゲイン設定部858に入力される信号の制御を、周波数設定部859に入力される信号の制御よりも早く収束させることが望ましい。これにより、周波数設定部859における目標制御値の不安定化が抑制されるため、補正処理が不安定になるのを抑制することができる。
なお、振幅ゲイン設定部858および周波数設定部859は、それぞれ、例えばPID制御のようなフィードバック制御動作を行うようにオペアンプ等を組み合わせて構築される。この場合、振幅ゲイン設定部858に入力される信号の制御を、周波数設定部859に入力される信号の制御よりも早く収束させるためには、振幅ゲイン設定部858の動作における制御ループの開ループ伝達関数の交差周波数を、周波数設定部859の動作における制御ループの開ループ伝達関数の交差周波数よりも高く設定しておけばよい。
以上のような補正処理を行うことにより、次のような効果が得られる。
振動素子30の機械的共振周波数が、周囲の温度変化、重力変化、振動、ノイズ等、外乱の影響を受けて変化した場合、振動素子30の振動の周波数や振幅が変化し、変調信号のS/N比が低下する。これにより、移動ミラー33の変位信号の復調精度が低下するという問題があった。
これに対し、上記のような補正処理を行うことにより、温度変化等の外乱が加わった場合でも、振動素子30の振動の周波数および振幅をそれぞれ一定に維持することができる。つまり、温度変化等の外乱が加わった場合でも、振動素子30の振動の周波数や振幅が変化しないように補正することができる。これにより、第2変調信号のS/N比の低下を抑制することができる。その結果、温度変化等の外乱が加わった場合でも、演算装置7における前処理や復調処理の精度を高めることができ、移動ミラー33の位置の計測誤差Δdを抑制することができる。
また、発振回路による駆動とは異なり、温度変化等の外乱が加わって機械的共振周波数が変化した場合でも、駆動信号Sdの周波数を追従させることができるので、振動素子30の機械的共振周波数の近傍で振動素子30を駆動し続けることができる。これにより、振動素子30の駆動効率が高まるため、光学デバイス1の低消費電力化を図ることができる。
7.2.演算装置
次に、図13に示す演算装置7について説明する。
図13に示す演算装置7は、移動ミラー位置演算部72、測定光強度演算部74およびフーリエ変換部76を有する。さらに、移動ミラー位置演算部72は、前処理部722、直交信号発生部723、復調処理部724、および、移動ミラー位置信号出力部726を有する。
直交信号発生部723は、信号生成部8から出力された基準信号Ssおよび前処理部722から出力された信号に基づいて、互いに直交する波形である余弦波信号および正弦波信号を生成する機能を有する。なお、以下の説明では、余弦波信号および正弦波信号を併せて直交信号ともいう。また、生成した直交信号は、復調処理部724において復調処理に用いられる。さらに、余弦波信号は、前処理部722にフィードバックされ、前処理部722から出力される信号の位相を調整する。これにより、位相のずれに伴う復調処理の精度低下が抑制され、移動ミラー33の位置の計測誤差Δdを抑制することができる。
なお、直交信号発生部723は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。その場合、基準信号Ssおよびその位相をπ/2だけシフトさせた信号を、直交信号として用いればよい。
8.第1実施形態の第7変形例
次に、第1実施形態の第7変形例に係る分光装置について説明する。
図16は、第1実施形態の第7変形例に係る分光装置が備える第1光学系3、第2光学系4、信号生成部8および演算装置7の各主要部を示す模式図である。図17は、図16に示す模式図のうち、信号生成部8について詳細に示す図である。
図16に示す分光装置100は、信号生成部8の構成が異なること以外、図2に示す分光装置100と同様である。
本変形例では、図16に示すように、信号生成部8が、数値制御発振器86、増幅器84および補正処理部85を備える。このうち、補正処理部85は、図17に示すように、乗算器871、872と、ローパスフィルター873と、ローパスフィルター874と、振幅位相演算部875と、周波数設定部876と、振幅ゲイン設定部877と、を備える。
8.1.信号生成部
図17に示す信号生成部8について説明する。
数値制御発振器86は、正弦波や余弦波の1周期分の数値を収容したROMテーブルから、規則的なクロック間隔で加算されるアドレスのデータを読み出すことにより、正弦波や余弦波等の周期信号を発生させる。これにより、数値制御発振器86は、目的とする周波数の基準信号Ssを高精度に生成し、DAC89に向けて出力する。DAC89は、デジタル-アナログ変換器であり、入力されたデジタルの基準信号Ssに基づいて、アナログの基準信号Ssを生成する。
数値制御発振器86は、累積加算器861と、絶対値演算器865と、ローパスフィルター866と、位相量設定部867と、加算器862と、第1周期信号発生器863と、第2周期信号発生器864と、を備える。
累積加算器861は、補正処理部85の周波数設定部876から出力された周波数制御信号Sf2を累積加算する。周波数制御信号Sf2は、後述するが、基準信号Ssに設定されるべき周波数に対応する、単位時間ステップあたりの位相進み量である。累積加算器861では、この位相進み量を累積して加算し、累積加算値を算出する。得られた累積加算値を第1周期信号発生器863に向けて出力する。
第1周期信号発生器863は、正弦波および余弦波の1周期分の数値を収容したROM(Read Only Memory)を含む。第1周期信号発生器863では、累積加算値に該当するアドレスの数値が読み出される。これにより、周波数制御信号Sf2に応じた周波数の正弦波信号および余弦波信号を発生させることができる。余弦波信号は、基準信号SsとしてDAC89および補正処理部85の乗算器871に向けてそれぞれ出力される。正弦波信号は、基準信号Ss’として補正処理部85の乗算器872に向けて出力される。
絶対値演算器865は、前処理部722から出力された前処理済み信号S(t)の絶対値を算出する。算出結果は、ローパスフィルター866を介して位相量設定部867に入力される。
位相量設定部867では、前述したように、加算器862で累積加算値に加算すべき位相量aを設定する。加算器862では、累積加算値と位相量aとの和を算出する。得られた累積加算値と位相量aとの和を第2周期信号発生器864に向けて出力する。
第2周期信号発生器864は、正弦波および余弦波の1周期分の数値を収容したROM(Read Only Memory)を含む。第2周期信号発生器864では、累積加算値と位相量aとの和に該当するアドレスの数値が読み出される。これにより、周波数制御信号Sf2に応じた周波数で、位相量aの位相オフセットが加わった正弦波信号sin(θ(t))および余弦波信号cos(θ(t))を発生させることができる。余弦波信号cos(θ(t))は、前処理部722および後述する復調処理部724に向けて出力され、正弦波信号sin(θ(t))は、復調処理部724に向けて出力される。
以上、数値制御発振器86の構成例について説明したが、数値制御発振器86の構成は、上記に限定されない。
8.2.補正処理部
補正処理部85には、図16に示すように、光変調器43の駆動に対応して出力される出力信号Smが入力される。補正処理部85では、直交検波により、出力信号Smと基準信号Ssとの位相差、および、出力信号Smの振幅を取得する。
また、補正処理部85は、数値制御発振器86に向けて周波数制御信号Sf2(補正信号)を出力する機能、および、増幅器84に向けて増幅率制御信号Sam(補正信号)を出力する機能を有する。
光変調器43からの出力信号Smは、デジタル信号に変換された後、図17に示すように、2つに分割される。そして、一方の出力信号Smは、乗算器871で基準信号Ssと乗算される。乗算器871から出力された信号は、ローパスフィルター873を通過することにより、信号Iとして振幅位相演算部875に入力される。他方の出力信号Smは、乗算器872で基準信号Ss’と乗算される。乗算器872から出力された信号は、ローパスフィルター874を通過することにより、信号Qとして振幅位相演算部875に入力される。
ローパスフィルター873およびローパスフィルター874の透過周波数帯域は、駆動信号Sdの周波数以上を除去できる帯域であるのが好ましい。
振幅位相演算部875は、atan(Q/I)の演算を行い、出力信号Smの位相を算出する。振幅位相演算部875は、出力信号Smと基準信号Ssとの位相差を周波数設定部876に向けて出力する。また、振幅位相演算部875は、(I+Q1/2の演算を行い、出力信号Smの振幅を算出する。振幅位相演算部875は、算出した振幅を振幅ゲイン設定部877に向けて出力する。振幅位相演算部875には、例えば、復調回路であるCORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)が用いられるが、これに限定されない。
周波数設定部876は、基準信号Ssの目標周波数を求める機能を有する。そして、周波数設定部876は、基準信号Ssの周波数が目標周波数になるように、周波数制御信号Sf2の制御を行い、数値制御発振器86に向けて周波数制御信号Sf2を出力する。
数値制御発振器86では、周波数制御信号Sf2に基づいて、基準信号Ssを発生させる。これにより、基準信号Ssの周波数が補正される。
振幅ゲイン設定部877は、駆動信号Sdの目標振幅を求める機能を有する。そして、振幅ゲイン設定部877は、駆動信号Sdの振幅が目標振幅になるように、増幅率制御信号Samの制御を行い、増幅器84に向けて増幅率制御信号Samを出力する。
増幅器84では、増幅率制御信号Samに基づいて、駆動信号Sdの振幅を増幅する。これにより、駆動信号Sdの振幅が補正される。
以上のような補正処理を行うことにより、次のような効果が得られる。
温度変化等の外乱が加わった場合でも、振動素子30の機械的共振周波数や振動振幅の変化に駆動信号Sdの周波数や振幅を追従させることができる。これにより、振動素子30の振動の周波数および振幅を一定に維持することができる。その結果、第2変調信号のS/N比の低下を抑制することができる。その結果、外乱が加わった場合でも、移動ミラー33の位置の計測誤差Δdを抑制することができる。
また、発振回路による駆動とは異なり、振動素子30の機械的共振周波数の近傍で振動素子30を駆動することができるので、光学デバイス1の低消費電力化を図ることができる。
また、本実施形態では、補正処理部85が、直交検波により、出力信号Smと基準信号Ssとの位相差、および、出力信号Smの振幅を取得する。直交検波によれば、位相差および振幅を瞬時に取得することができる。このため、補正処理をリアルタイムに行うことができる。
また、本実施形態では、信号生成部8が数値制御発振器86を有する。数値制御発振器86によれば、ROMテーブルから読み出した数値に基づいて周期信号を発生させることができる。このため、数値制御発振器86では、ノイズ等の影響を受けることなく、高精度の基準信号Ss、Ss’、ならびに、高精度の余弦波信号cos(θ(t))および正弦波信号sin(θ(t))を出力することができる。これにより、演算装置7における前処理や復調処理の精度を特に高めることができる。
9.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る分光装置について説明する。
図18は、第2実施形態に係る分光装置100の概略構成を示す概略構成図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図18に示す分光装置100は、第2光学系4の構成が異なること以外、図1に示す分光装置100と同様である。
図18に示す第2光学系4は、マッハツェンダー型干渉光学系であり、第2光源42、光変調器43、ビームスプリッター44(第2光分割素子)、第2受光素子45、1/2波長板46、1/4波長板47、および、検光子49を備える。また、第2光学系4は、さらに、ビームスプリッター401(第2光分割素子)、ミラー402、403、および、1/2波長板404を備える。
第2光源42から射出されたレーザー光L2は、1/2波長板46を通過した後、ビームスプリッター401でP偏光とS偏光の2つに分割される。
S偏光であるレーザー光L2aは、ビームスプリッター401で反射され、ミラー402、光変調器43、ミラー403および1/2波長板404を介して、P偏光としてビームスプリッター44に入射する。光変調器43は、図示しない音響光学変調器434(AOM)を有する。音響光学変調器434をレーザー光L2aが透過するとき、周波数がシフトする。これにより、光変調器43は、レーザー光L2aに第2変調信号を付加する。その後、レーザー光L2aは、ビームスプリッター44を透過し、検光子49を介して第2受光素子45に入射する。
P偏光であるレーザー光L2bは、ビームスプリッター401を透過し、ビームスプリッター44に入射する。レーザー光L2bは、ビームスプリッター44を透過し、1/4波長板47を介して移動ミラー33に入射する。移動ミラー33は、レーザー光L2bを反射させることにより、周波数をシフトさせる。これにより、移動ミラー33は、レーザー光L2bに移動ミラー33の移動に由来する変位信号を付加する。移動ミラー33で反射したレーザー光L2bは、その後、1/4波長板47を通過し、S偏光としてビームスプリッター44で反射され、検光子49を介して第2受光素子45に入射する。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、音響光学変調器434に代えて、電気光学変調器(Electro-Optic Modulator:EOM)を用いるようにしてもよい。
10.各実施形態が奏する効果
以上のように、実施形態に係る光学デバイス1は、第1光学系3と、第2光学系4と、を備える。
第1光学系3は、ビームスプリッター32(第1光分割素子)と、移動ミラー33(第1ミラー)と、固定ミラー34(第2ミラー)と、第1受光素子36と、を備える。ビームスプリッター32は、第1光源51から射出される測定光L1を一方および他方に分割した後、一方の測定光L1aおよび他方の測定光L1bを混合する。移動ミラー33は、ビームスプリッター32に対して一方の測定光L1aの入射方向に移動し、かつ、一方の測定光L1aを反射させることにより、一方の測定光L1aに第1変調信号を付加する。固定ミラー34は、他方の測定光L1bを反射させる。第1受光素子36は、測定光と試料9との作用により生成された試料由来信号、および、第1変調信号、を含む測定光L1a、L1bを受光し、第1受光信号F(t)を出力する。
第2光学系4は、第2光源42と、光変調器43と、第2受光素子45と、を備える。第2光源42は、レーザー光L2を射出する。光変調器43は、駆動信号Sdにより駆動され、レーザー光L2に第2変調信号を付加する。第2受光素子45は、移動ミラー33での反射により生成された変位信号、および、第2変調信号、を含むレーザー光L2a、L2bを受光し、第2受光信号S2を出力する。
このような構成によれば、レーザー干渉計の技術によって、レーザー光L2の波長よりも十分に狭い間隔で移動ミラー33の位置を捉えることができる。このため、従来に比べてより短い間隔で第1受光信号F(t)の強度をサンプリングすることができ、位置分解能の高いインターフェログラムF(x)を生成可能な光学デバイス1が得られる。これにより、波数分解能または波長分解能の高いスペクトル情報を取得することができる。
また、移動ミラー33の位置の計測間隔をより小さくすることができるので、スペクトル情報における最大計測波数をより大きく、最小計測波長をより短くすることができる。これにより、光学デバイス1は、より広帯域のスペクトル情報を取得可能な分光装置100の実現に寄与することができる。
また、光学デバイス1では、光変調器43が、振動素子30を備えることが好ましい。振動素子30は、駆動信号Sdにより振動する素子である。そして、光変調器43は、振動する振動素子30でレーザー光L2aを反射させることにより、第2変調信号を付加する。
このような構成によれば、光学デバイス1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。このため、可搬性に優れる光学デバイス1および分光装置100を実現することができる。
また、光学デバイス1では、振動素子30が、水晶振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子であることが好ましい。これらの振動子は、その他の振動子、例えばピエゾ素子等とは異なり、共振現象を利用した振動子であるため、Q値が高く、固有振動数の安定化を容易に図ることができる。このため、第2変調信号のS/N比を高めることができる。
また、光学デバイス1では、移動ミラー33(第1ミラー)の移動距離が、200mm以下であることが好ましい。これにより、移動ミラー33の計測誤差Δdを特に小さくすることができる。その結果、より広帯域のインターフェログラムをより高い分解能で生成し得る光学デバイス1を実現することができる。
また、光学デバイス1では、第2光学系4が、ビームスプリッター44(第2光分割素子)を備えることが好ましい。ビームスプリッター44は、レーザー光L2を分割した後、分割されたレーザー光L2a、L2bを混合し、混合されたレーザー光L2a、L2bを第2受光素子45に入射させる。そして、ビームスプリッター44と光変調器43との光路長をLrefとし、ビームスプリッター44と移動ミラー33との光路長をLsとするとき、|Ls-Lref|≦100mmであることが好ましい。
これにより、移動ミラー33の位置の計測誤差Δdを1nmオーダーまたはそれ以下に下げることができる。これにより、より広帯域のインターフェログラムをより高い分解能で生成し得る光学デバイス1を実現することができる。
また、光学デバイス1では、測定光L1が第1波長の光であるとき、第1光学系3が、第1波長の光を減衰させる減光フィルター66を備えることが好ましい。
これにより、第1波長の光が第2受光素子45に入射することが抑制されるので、試料由来信号を含む光の強度が微弱である場合でも、第2受光素子45において高いS/N比の第2受光信号を出力させることができる。
また、測定光L1の波長は、100nm以上760nm未満であってもよい。この場合、光学デバイス1を、紫外分光分析または可視光分光分析を行い得る分光装置100に用いることができる。
また、測定光L1の波長は、760nm以上20μm以下であってもよい。この場合、光学デバイス1を、赤外分光分析または近赤外分光分析を行い得る分光装置100に用いることができる。
また、第1光学系3は、第1光源51をさらに備えていてもよい。これにより、前述した光学デバイス1と第1光源51との接続作業が不要になるため、操作性および可搬性に優れる分光装置を実現することができる。
また、実施形態に係る分光装置100は、実施形態に係る光学デバイス1と、信号生成部8と、移動ミラー位置演算部72と、測定光強度演算部74と、フーリエ変換部76と、を備える。信号生成部8は、駆動信号Sdおよび基準信号Ssを出力する。移動ミラー位置演算部72は、基準信号Ssに基づいて、第2受光信号に演算を行うことにより、移動ミラー33(第1ミラー)の位置を示す移動ミラー位置信号X(t)を生成する。測定光強度演算部74は、第1受光信号F(t)および移動ミラー位置信号X(t)に基づいて、移動ミラー33の各位置における第1受光信号F(t)の強度を表す波形(インターフェログラムF(x))を生成する。フーリエ変換部76は、インターフェログラムF(x)にフーリエ変換を行い、スペクトル情報を取得する。
このような構成によれば、レーザー干渉計の技術により、レーザー光L2の波長よりも十分に狭い間隔で移動ミラー33の位置を捉えることができる。このため、従来に比べてより短い間隔で第1受光信号F(t)の強度をサンプリングすることができ、広帯域で分解能の高いインターフェログラムを生成することができる。これにより、広帯域で分解能の高いスペクトル情報を取得可能な分光装置100を実現することができる。
また、分光装置100では、光変調器43が、振動素子30を備えることが好ましい。振動素子30は、駆動信号Sdにより振動する素子である。光変調器43が、振動する振動素子30でレーザー光L2を反射させることにより、第2変調信号を付加するように構成されているとき、信号生成部8は、振動素子30を信号源として動作する発振回路81を備えていてもよい。
このような構成によれば、光学デバイス1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。このため、可搬性に優れる分光装置100を実現することができる。
また、分光装置100では、発振回路81で駆動信号Sdおよび基準信号Ssが生成されるため、これらの信号が外乱を受けた場合、互いに同じ影響を受けることになる。そうすると、駆動信号Sdにより駆動された光変調器43を介して付加される移動ミラー33の位置に応じた変位信号、および、基準信号Ssも、互いに同じ影響を受ける。このため、変位信号および基準信号Ssが、演算装置7における演算に供されたとき、演算の過程で、双方が含む外乱の影響を互いに相殺または低減させることができる。その結果、演算装置7では、外乱を受けても、移動ミラー33の位置を精度よく求めることができるので、より優れたロバスト性を有する分光装置100を実現することができる。
以上、本発明の光学デバイスおよび分光装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明の光学デバイスおよび分光装置は、前記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換されていてもよいし、他の任意の構成物が付加されていてもよい。例えば、本発明の分光装置は、第1光源、第2光源、信号生成部、演算装置等の動作を制御する制御装置を備えていてもよい。
また、本発明の光学デバイスおよび分光装置は、前記実施形態やその変形例のうち、2つ以上を含み合わせたものであってもよい。さらに、本発明の光学デバイスや分光装置が備える各機能部は、複数の要素に分割されていてもよく、複数の機能部が1つに統合されていてもよい。
また、前記各実施形態や変形例では、第1光学系がいわゆるマイケルソン型干渉光学系であるが、第1光学系は、他の方式の干渉光学系であってもよい。
さらに、試料の配置は、図示した配置に限定されない。試料由来信号は、試料と測定光との作用によって生成されるので、第1光学系のビームスプリッターよりも第1光源側、または、ビームスプリッターよりも第1受光素子側の、任意の位置に試料を配置することで、試料に対して測定光を作用させることができる。
1…光学デバイス、3…第1光学系、4…第2光学系、5…入射光学系、7…演算装置、8…信号生成部、9…試料、30…振動素子、31…コリメートレンズ、32…ビームスプリッター、33…移動ミラー、34…固定ミラー、35…集光レンズ、36…第1受光素子、39…電流シャントモニター、42…第2光源、43…光変調器、44…ビームスプリッター、45…第2受光素子、46…1/2波長板、47…1/4波長板、48…1/4波長板、49…検光子、51…第1光源、52…光ファイバー、53…光ファイバー、54…集光レンズ、55…アパーチャー、56…曲面ミラー、57…カットフィルター、61…バンドパスフィルター、62…1/2波長板、63…ビームスプリッター、64…1/4波長板、65…集光レンズ、66…減光フィルター、67a…反射ミラー、67b…反射ミラー、68…ノッチフィルター、69…貫通孔付き非軸放物面ミラー、72…移動ミラー位置演算部、74…測定光強度演算部、76…フーリエ変換部、81…発振回路、82…ファンクションジェネレーター、83…電圧制御発振器、84…増幅器、85…補正処理部、86…数値制御発振器、89…DAC、100…分光装置、391…シャント抵抗、392…オペアンプ、401…ビームスプリッター、402…ミラー、403…ミラー、404…1/2波長板、434…音響光学変調器、722…前処理部、723…直交信号発生部、724…復調処理部、726…移動ミラー位置信号出力部、851…オフセット除去部、852…オフセット除去部、853…絶対値演算器、854…乗算器、855…乗算器、856…ローパスフィルター、857…ローパスフィルター、858…振幅ゲイン設定部、859…周波数設定部、861…累積加算器、862…加算器、863…第1周期信号発生器、864…第2周期信号発生器、865…絶対値演算器、866…ローパスフィルター、867…位相量設定部、871…乗算器、872…乗算器、873…ローパスフィルター、874…ローパスフィルター、875…振幅位相演算部、876…周波数設定部、877…振幅ゲイン設定部、I…信号I、L1…測定光、L1a…測定光、L1b…測定光、L2…レーザー光、L2a…レーザー光、L2b…レーザー光、F(t)…第1受光信号、F(x)…インターフェログラム、Q…信号Q、S2…第2受光信号、Sam…増幅率制御信号、Sd…駆動信号、Sf1…周波数制御信号、Sf2…周波数制御信号、Sm…出力信号、Ss…基準信号、Ss’…基準信号、S(t)…前処理済み信号、X(t)…移動ミラー位置信号

Claims (11)

  1. 第1光学系と、第2光学系と、を備える光学デバイスであって、
    前記第1光学系は、
    第1光源から射出される測定光を一方および他方に分割した後、一方の前記測定光および他方の前記測定光を混合する第1光分割素子と、
    前記第1光分割素子に対して一方の前記測定光の入射方向に移動し、かつ、一方の前記測定光を反射させることにより、一方の前記測定光に第1変調信号を付加する第1ミラーと、
    他方の前記測定光を反射させる第2ミラーと、
    前記測定光と試料との作用により生成された試料由来信号、および、前記第1変調信号、を含む前記測定光を受光し、第1受光信号を出力する第1受光素子と、
    を備え、
    前記第2光学系は、
    レーザー光を射出する第2光源と、
    駆動信号により駆動され、前記レーザー光に第2変調信号を付加する光変調器と、
    前記第1ミラーでの反射により生成された変位信号、および、前記第2変調信号、を含む前記レーザー光を受光し、第2受光信号を出力する第2受光素子と、
    を備えることを特徴とする光学デバイス。
  2. 前記光変調器は、前記駆動信号により振動する振動素子を備え、振動する前記振動素子で前記レーザー光を反射させることにより、前記第2変調信号を付加する請求項1に記載の光学デバイス。
  3. 前記振動素子は、水晶振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子である請求項2に記載の光学デバイス。
  4. 前記第1ミラーの移動距離は、200mm以下である請求項1または2に記載の光学デバイス。
  5. 前記第2光学系は、前記レーザー光を分割した後、分割された前記レーザー光を混合し、混合された前記レーザー光を前記第2受光素子に入射させる第2光分割素子を備え、
    前記第2光分割素子と前記光変調器との光路長をLrefとし、前記第2光分割素子と前記第1ミラーとの光路長をLsとするとき、|Ls-Lref|≦100mmである請求項1または2に記載の光学デバイス。
  6. 前記測定光は、第1波長の光であり、
    前記第1光学系は、前記第1波長の光を減衰させる減光フィルターを備える請求項1または2に記載の光学デバイス。
  7. 前記測定光の波長は、100nm以上760nm未満である請求項1または2に記載の光学デバイス。
  8. 前記測定光の波長は、760nm以上20μm以下である請求項1または2に記載の光学デバイス。
  9. 前記第1光学系は、前記第1光源をさらに備える請求項1または2に記載の光学デバイス。
  10. 請求項1に記載の光学デバイスと、
    前記駆動信号および基準信号を出力する信号生成部と、
    前記基準信号に基づいて、前記第2受光信号に演算を行うことにより、前記第1ミラーの位置を示す移動ミラー位置信号を生成する移動ミラー位置演算部と、
    前記第1受光信号および前記移動ミラー位置信号に基づいて、前記第1ミラーの各位置における前記第1受光信号の強度を表す波形を生成する測定光強度演算部と、
    前記波形にフーリエ変換を行い、スペクトル情報を取得するフーリエ変換部と、
    を備えることを特徴とする分光装置。
  11. 前記光変調器は、前記駆動信号により振動する振動素子を備え、振動する前記振動素子で前記レーザー光を反射させることにより、前記第2変調信号を付加するように構成されており、
    前記信号生成部は、前記振動素子を信号源として動作する発振回路を備える請求項10に記載の分光装置。
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