JP2024017143A - 調光器の設計方法および調光器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024017143000001
【課題】後発白内障を予防するための調光器を提供する。
【解決手段】複数の波長および複数の強度の組み合わせごとに、当該組み合わせに係る波長および強度の光を、創傷部を有する眼細胞サンプルに間欠的に照射する。組み合わせごとに、細胞による創傷部の被覆状況、および創傷部における細胞の形態異常の発生状況を観察する。波長ごとに、創傷部の被覆状況および形態異常の発生状況に基づいて、眼球への照射が許容される強度の範囲を決定する。環境光の波長ごとの強度に基づいて、調光器を通った光の強度が、決定された波長ごとの強度の範囲内となるように、調光器の特性を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、後発白内障を予防するための調光器の設計方法および調光器に関する。
白内障は老化に伴いタンパク質が変性し本来透明である水晶体が白く混濁してくることで発症する。白内障は、混濁した水晶体を摘出して水晶体嚢内に眼内レンズを挿入する手術によって治療されることが多い。白内障の手術は、比較的身体にかかる負担が少なく、安全性の高い手術と言われている。しかし、白内障術後の後発白内障を予防することは困難である。後発白内障は、水晶体嚢内に残存した水晶体上皮細胞が眼内レンズ下で移動して再増殖し不規則な形態変化をすることで、嚢の再混濁を引き起こすことにより発症するものである(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006-136409号公報
本発明の目的は、後発白内障を予防するための調光器の設計方法および調光器を提供することにある。
第1の態様によれば、調光器の設計方法は、後発白内障を予防するための調光器の設計方法であって、複数の波長および複数の強度の組み合わせごとに、当該組み合わせに係る波長および強度の光を、創傷部を有する眼細胞サンプルに間欠的に照射する照射ステップと、前記組み合わせごとに、細胞による前記創傷部の被覆状況、および前記創傷部における細胞の形態異常の発生状況を観察する観察ステップと、波長ごとに、前記創傷部の被覆状況および前記形態異常の発生状況に基づいて、眼球への照射が許容される強度の範囲を決定する範囲決定ステップと、環境光の波長ごとの強度に基づいて、前記調光器を通った光の強度が、前記決定された波長ごとの強度の範囲内となるように、前記調光器の特性を決定する特性決定ステップとを備える。
第2の態様によれば、第1の態様に係る調光器の設計方法において、前記照射ステップにおける照射および遮光の周期は24時間であるものであってよい。
第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る調光器の設計方法において、前記範囲決定ステップでは、前記創傷部の被覆速度が遮光時の被覆速度以下であり、かつ前記形態異常が生じない範囲を、前記眼球への照射が許容される強度の範囲に決定するものであってよい。
第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る調光器の設計方法において、前記照射ステップでは、コラーゲンコートされたディッシュに載置された前記眼細胞サンプルに対して、前記光を間欠的に照射するものであってよい。
第5の態様によれば、調光器は、後発白内障を予防するための調光器であって、波長500nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高い。
第6の態様によれば、第5の態様に係る調光器において、波長500nmの光の透過率が、50%以上であって、波長440nmの光の透過率が、28%未満であるものであってよい。
第7の態様によれば、第5または第6の態様に係る調光器において、波長420nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高いものであってよい。
第8の態様によれば、第5から第7の何れかの態様に係る調光器において、波長420nmの光の透過率が、30%以上であるものであってよい。
上記態様によれば、後発白内障を予防するための調光器を提供することができる。
第1の実施形態に係る調光器の設計システムの構成を示す図である。 第1の実施形態に係る調光器の設計方法を示すフローチャートである。 第1の実験の結果を示す図である。 第2の実験において確認された形態異常の例を示す図である。 第2の実験の結果における波長および強度と後発白内障のリスクとの関係を示す図である。 太陽光照射環境下における後発白内障の予防のための調光器の透過率の上限および下限の一例を示す図である。 少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
第1の実施形態では、後発白内障を予防するための調光器の設計方法および当該設計方法に基づいて設計された調光器について説明する。調光器の例としては、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ、スクリーンフィルタなどが挙げられる。後発白内障は、水晶体嚢内に残存した水晶体上皮細胞が眼内レンズ下で移動して再増殖し不規則な形態変化をすることで生じる。つまり、後発白内障を予防するためには、眼内レンズへの細胞の移動を抑制し、かつ形態異常を生じないような強度の光が眼球に入るように調光することが好ましい。
図1は、第1の実施形態に係る調光器の設計システム10の構成を示す図である。第1の実施形態に係る設計システム10では、白内障手術後の眼内の状態を模擬した線状の創傷を形成した眼細胞サンプルSに、概日周期と同等のサイクルで光を照射することで、光の波長および強度と、細胞の移動性および形態との関係を評価し、当該評価結果に基づいて調光器の透過特性を決定する。
《設計システム10の構成》
設計システム10は、インキュベータ11と、撮像装置12と、照明装置13と、制御装置14とを備える。インキュベータ11は、内部を一定温度に保温する装置である。撮像装置12は、インキュベータ11の内部に設けられる。撮像装置12は、平板上に構成され、上面に眼細胞サンプルSを載置したディッシュDが設置可能に構成される。撮像装置12は、上面に設置された物体を撮像する。以下、撮像装置12の上面を撮像面とも呼ぶ。照明装置13は、撮像装置12の上方に設けられ、撮像面に光を照射する。照明装置13は、制御装置14からの指示に従って、所望の波長および強度の単色光を照射する。
制御装置14は、撮像装置12および照明装置13を制御し、撮像装置12が撮像した画像に基づいて、調光器の透過特性を決定する。制御装置14は、例えばコンピュータである。
《眼細胞サンプルSの生成方法》
まず、設計者は、細胞への影響を観察する光の波長及び強度の組み合わせごとに、細胞培養面を細胞外マトリックスによってコートしたディッシュDを用意する。コートするための細胞外マトリックスとしては、例えばヒトコラーゲンIV(Corning)を用いることができる。コラーゲンコートしたディッシュDは、例えばコラーゲン溶液をディッシュDに添加し、常温で静置した後に溶液を吸引し、滅菌リン酸緩衝液などによって洗浄することで得られる。
次に、設計者は、ディッシュDの細胞培養面に2ウェル形のカルチャーインサートを接着させる。設計者は、カルチャーインサートの各ウェルに、眼細胞の細胞懸濁液を播種する。眼細胞としては、ヒト水晶体上皮細胞株 (SRA01/04, RCB1591, RIKEN BRC)を用いることができる。眼細胞がコンフルエントに達するまで静置した後、カルチャーインサートを取り除くことで、線状の創傷部が形成された眼細胞サンプルSを得ることができる。
《調光器の設計方法》
以下、調光器の設計方法について説明する。図2は、第1の実施形態に係る調光器の設計方法を示すフローチャートである。
制御装置14は、起動すると、眼細胞サンプルSに照射する光の波長及び強度の組み合わせを特定する(ステップS1)。例えば、光の波長の選択肢が410nm,420nm,440nm,460nm,480nm,500nm,520nm,540nm,570nmであり、光の強度の選択肢が3W/m,5W/m,7W/mである場合、27通りの組み合わせを特定する。
制御装置14は、特定した組み合わせを1つずつ選択し(ステップS2)、以下のステップS3からステップS11の処理を実行する。
制御装置14は、眼細胞サンプルSを撮像装置12の撮像面上に設置させる指示を表示する(ステップS3)。設計者は、眼細胞サンプルSを撮像装置12の撮像面上に設置する。設計者は、インキュベータ11の戸を閉じると、制御装置14を操作し、設置が完了したことを入力する。
制御装置14は、撮像装置12に眼細胞サンプルSが写った画像を撮像させ、撮像画像を取得する(ステップS4)。制御装置14は、撮像画像のエッジを検出し、眼細胞サンプルSの創傷部の幅(細胞間の距離)を算出する(ステップS5)。つまり、制御装置14は、撮像画像のエッジを検出することで、細胞と創傷部との境界線を2本検出し、境界線間の距離を算出する。
次に、制御装置14は、照明装置13に所定の波長および所定の強度の光を一定時間照射させ、その後一定時間消灯させる点滅サイクル処理を繰り返し実行する(ステップS6)。点滅サイクル処理は、概日周期相当の周期で実行される。例えば、点滅サイクル処理は、光の照射を12時間継続した後に、消灯を12時間継続する、24時間周期の処理であってよい。
制御装置14は、点滅サイクル処理を所定時間実行すると、撮像装置12に眼細胞サンプルSが写った画像を撮像させ、撮像画像を取得する(ステップS7)。制御装置14は、撮像画像のエッジを検出し、眼細胞サンプルSの創傷部の幅(細胞間の距離)を算出する(ステップS8)。制御装置14は、点滅サイクル処理の前後における撮像画像に係る創傷部の幅の変化量に基づいて、創傷部の被覆状況を特定する(ステップS9)。このとき、制御装置14は、予め遮光条件下における眼細胞サンプルSの創傷部の幅の変化量を求めておき、遮光時の変化量と、ステップS9で特定した変化量とを比較することで、被覆状況を特定する。例えば、制御装置14は、遮光時と比較して変化量が十分に小さい(変化量の差が第1閾値未満である)場合、被覆が抑制されたと特定する。制御装置14は、遮光時と比較して変化量に大きな違いがない(変化量の差が第1閾値以上第2閾値未満である)場合、遮光の有無による変化がないと特定する。制御装置14は、遮光時と比較して変化量が大きい(変化量の差が第2閾値以上である)場合、被覆が亢進されたと特定する。なお、上記の第1閾値は負数、第2閾値は正数であり、いずれもゼロの近傍の値である。
制御装置14は、ステップS7で取得した撮像画像のうち、創傷部近傍の細胞に形態異常が生じているか否かを判定する(ステップS10)。例えば、制御装置14は、撮像画像のコントラストを計算し、当該コントラストの大きさが所定の閾値を超える場合に、形態異常が生じていると判定することができる。水晶体の白濁は、眼細胞のクリスタリンタンパク質が凝集して異常に大きくなる形態異常によって生じるものであり、凝集したクリスタリンタンパク質が大きいほど水晶体を通る光が小さくなる。形態異常を呈する細胞はクリスタリンタンパク質の凝集を伴い細胞内の屈折率が変化しかつ光が遮られるため、画像におけるコントラストが大きくなる。したがって、制御装置14は撮像画像のコントラストの計算によって形態異常が生じているか否かを判定することができる。
そして、制御装置14は、波長と強度の1つの組み合わせについての観察が終了したことを設計者に通知する(ステップS11)。
制御装置14は、上記のステップS3からステップS11までの処理を、全ての組み合わせについて実行すると、波長ごとに眼球への照射が許容される強度の範囲を決定する(ステップS12)。眼球への照射が許容される強度の範囲は、形態異常が生じず、かつ被覆状況が遮光時と比べて不変または抑制される範囲である。つまり、眼球への照射が許容される強度の範囲は、創傷部の被覆速度が遮光時の被覆速度以下であり、かつ形態異常が生じない範囲である。なお、被覆状況が抑制される波長および強度の条件は、照射によって後発白内障を抑制することができる条件であるといえる。つまり、制御装置14は、波長ごとに、創傷部の被覆状況および形態異常の発生状況に基づいて、眼球への照射が許容される強度の範囲を決定する。
次に、制御装置14は、環境光(例えばAM1.5における太陽光)の波長ごとの強度を、ステップS12で決定した範囲内の値で除算することで、調光器の各波長における光の透過特性を決定する(ステップS13)。つまり、制御装置14は、環境光の波長ごとの強度に基づいて、調光器を通った光の強度が、決定された波長ごとの強度の範囲内となるように、調光器の特性を決定する。
上述した手順により、設計システム10は後発白内障を予防するための調光器の透過特性を決定することができる。
《第1の実験について》
まず、第1の実施形態に係る設計システム10の着想を得るきっかけとなった実験について説明する。第1の実験は、露光と遮光を繰り返す点滅サイクルと細胞の光毒性との関係を確認する実験である。
第1の実験では、コラーゲンなどのコーティングが施されていないカバーガラス上で培養したヒト間葉系幹細胞に、一定の強度(実測値なし.ソフトウエア上の設定値:1.5%)の光を5秒ごとに8回照射したものと、15分ごとに8回照射したものとを比較した。光の強度および照射回数が同一であれば、光の照射間隔(すなわち暗期の長さ)は細胞の光毒性に影響しない、あるいは照射間隔(暗期の長さ)が長いほど細胞の回復による毒性の低減が認められるとの仮説を立て、第1の実験を行った。
図3は、第1の実験の結果を示す図である。図3に示すように、第1の実験の結果、仮説に反し、照射間隔(暗期の長さ)がより長い15分毎照射においてより強い光毒性を呈することが認められた。図3に示すように、5秒ごとの照射では細胞に変化が認められなかったのに対し、15分ごとの照射では5回目の照射を過ぎたあたりから細胞形態が変化しはじめ、8回目において強い細胞収縮が見られた。強い細胞収縮は損傷した細胞で見られる典型的な特徴の一つである。第1の実験の結果から、発明者は、光照射により細胞に及ぶ影響は明暗の照射パターンにより異なるという知見を得た。発明者は、この知見を踏まえ、後発白内障を予防するための調光条件においても、ヒトの行動サイクルに応じて設定することが重要であるという着想に至った。
なお、従来の仮説である、光の照射間隔が細胞の光毒性に影響しないという前提に立つと、第1の実施形態のように露光と遮光を切り替えながら細胞を観察することは、いたずらに観察期間を伸ばすものであり、効率が悪いと考えられる。そのため、当業者にとって、調光器の設計のために第1の実施形態のように露光と遮光を切り替えながら細胞を観察することを想到することは、容易ではない。
《第2の実験について》
発明者は、第1の実験に着想を得て、波長および強度を変えながら、概日周期と同等の周期に係る点滅サイクルで眼細胞サンプルに光を照射する第2の実験を行った。
第2の実験では、ヒト水晶体上皮細胞株 (SRA01/04, RCB1591, RIKEN BRC)、およびヒトコラーゲンIV(Corning)コート済みの35mmディッシュを使用した。コラーゲンコートは、以下の手順で行った。まず10μg/mLのコラーゲンIV溶液1mLを35mmディッシュに添加した。溶液を添加したディッシュを常温で1時間静置した。その後、溶液を吸引し、滅菌リン酸緩衝液で2回穏やかに洗浄した。
創傷形成は第1の実施形態と同様に、2ウェル形のカルチャーインサートを用いた。まず、35mmディッシュ内の細胞培養面内にインサートを接着させた。つぎに、細胞懸濁液を作製し、1×10個の細胞を各ウェルに播種した。播種は継代のタイミングで行った。細胞播種の翌日、カルチャーインサートを取り除くことで、幅約500μmの線状の創傷部を形成させた。
眼細胞サンプルをインキュベータ庫内に設置した。インキュベータ庫内の条件は、温度37℃、CO2濃度5%である。光照射には狭帯域バンドパスフィルタを設置した光量調節可能なキセノン光源(MAX-350(商標)、朝日分光)を用いた。所望の放射照度及び波長の単色光(410nm、420nm、440nm、460nm、480nm、500nm、520nm、540nm、570nm、及び600nm;半値幅10nm)を12時間照射し12時間休止するサイクルを3回繰り返し、概日周期と同等の光照射を行った。
画像取得にはインキュベーションモニタリングシステム(CM-20(商標)、Olympus)を用い、光照射開始直後から10分間隔で計72時間撮影を行った。創傷部の被覆過程を定量的に評価するため,エッジ間距離を3時間毎に測定した。各時刻の創傷部に対して任意の10か所測の距離を測定し、平均値をその時刻における創傷のエッジ間距離とした。また、目視にて形態異常の有無を判定した。同様の観察を、光を照射しない遮光条件下でも行った。
遮光条件下では、幅500μmの創傷が細胞の移動により30時間で被覆された。創傷形成から30時間後の創傷部被覆を経て72時間経過までを通して細胞形態に異常は認められなかった。
図4は、第2の実験において確認された形態異常の例を示す図である。
光照射下では、創傷部への細胞移動に加え、創傷部へと移動した細胞において形態異常を呈する波長と強度の組み合わせが認められた。例えば、波長480nm、強度5W/mにおいては、暗所と同等の速さである30時間で創傷部が細胞で覆われた。図4に示すように、実験開始直後に認められる創傷部は、72時間後に見えなくなっている。また、図4の拡大図に示すように、創傷部を覆った細胞において形態異常が認められた。これは暗所と比較して後発白内障のリスクが増大することを意味する。他方、第2の実験により、被覆速度が暗所よりも小さくかつ細胞の形態異常は認められない波長と強度の条件も認められた。
図5は、第2の実験の結果における波長および強度と後発白内障のリスクとの関係を示す図である。第2の実験では、形態異常を呈しかつ創傷被覆が暗所と比較して亢進あるいは不変である条件を、後発白内障のリスクが対暗所で「極めて増大」するとした。また、創傷被覆の速さが低下するものの形態異常が起こる場合、および形態異常を呈さないものの創傷被覆が亢進される条件を、後発白内障のリスクが対暗所で「増大」するとした。創傷被覆の速さが抑制され、かつ形態異常を呈さない条件を後発白内障のリスクが対暗所で「低減」するとした。
発明者は、第2の実験の結果において、後発白内障のリスクが「低減」である条件を含み、かつリスクが「極めて増大」または「増大」である条件を除外する放射照度の範囲を設定することで、後発白内障の予防を目的とした場合に眼に入射することが好ましいと考えられる条件を見出した。リスクレベルの境界は、同一波長、太陽光以下の異なる放射照度において異なるリスクレベルが認められた場合(第1基準)と、同一波長、太陽光以下の異なる放射照度において同一のリスクレベルが認められた場合(第2基準)とに分けて設定した。
(第1基準)
同一波長、太陽光以下の異なる放射照度において異なるリスクレベルが認められた場合、リスクレベルの異なる2点間の平均の放射照度をリスクレベルの境界B1とした。境界B1の上方および下方の領域の放射照度の境界B2、B3は、リスクレベルが「低減」の領域と「増加」の領域とに分けて設定した。リスクレベルが「低減」の領域についてはB2、B3ともに領域内の計測値を境界とした.リスクレベルが「増加」の領域については、B2を計測値+0.5W/m、B3を計測値-0.5W/mとした。
(第2基準)
同一波長、太陽光以下の異なる放射照度において同一のリスクレベルが認められた場合、リスクレベルが「低減」の領域については放射照度の2計測値で挟まれる範囲を当該リスクレベルを呈する放射照度範囲とした。リスクレベルが「増加」の領域については、放射照度の計測値の大きい方の値+0.5W/mおよび計測値の小さい方の値-0.5W/mで挟まれる範囲を当該リスクレベルを呈する放射照度範囲とした。
このような基準により、後発白内障の予防のための波長ごとの強度の範囲を得た。強度の上限値は、図5に一点鎖線で描かれる。強度の下限値は、図5に破線で描かれる。各波長の上限値および下限値は、以下に示す基準に基づいて求められた。
発明者は、各波長について得られた強度の上限値および下限値を、AM1.5条件下の太陽光強度(図5の実線)で除したものを、それぞれ太陽光照射環境下における後発白内障の予防のための調光器の透過率の上限および下限として求めた。図6は、太陽光照射環境下における後発白内障の予防のための調光器の透過率の上限および下限の一例を示す図である。
図6によれば、410nmの波長の光の透過率の上限は37%であり、下限は15%である。420nmの波長の光の透過率の上限は37%であり、下限は30%である。440nmの波長の光の透過率の上限は26%であり、下限は0%である。460nmの波長の光の透過率の上限は33%であり、下限は0%である。500nmの波長の光の透過率の上限は66%であり、下限は51%である。520nmの波長の光の透過率の上限は50%であり、下限は0%である。540nmの波長の光の透過率の上限は21%であり、下限は0%である。570nmの波長の光の透過率の上限は21%であり、下限は0%である。600nmの波長の光の透過率の上限は36%であり、下限は0%である。
図6に示す特性において特徴的な点としては、420nmの波長の光の透過率および500nmの光の透過率が挙げられる。つまり、図6に示す特性を有する調光器は、波長500nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高く、また波長420nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高い。
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態では、制御装置14が、照明装置13の制御、創傷部の幅の計算、形態異常の有無の判定、波長ごとの強度の範囲の決定、および調光器の透過率の決定を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る設計システム10においては、上記の処理の一部または全部を設計者の手動で行ってもよい。
また、上述した実施形態に係る点滅サイクルは、点灯12時間、消灯12時間であるが、これに限られない。例えば、点滅サイクルは、調光器の利用者の起床時刻や就寝時刻など、生活リズムに合わせて設定されてもよい。また例えば、調光器の透過率を算出する際に用いられる環境光は、太陽光に限られず、室内灯の光や、ディスプレイのバックライトの光など、調光器の利用目的に応じて異なるものであってもよい。
〈コンピュータ構成〉
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の制御装置14は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。プロセッサ91の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ90は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ91によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
ストレージ93の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
10…設計システム 11…インキュベータ 12…撮像装置 13…照明装置 14…制御装置 90…コンピュータ 91…プロセッサ 92…メインメモリ 93…ストレージ 94…インタフェース D…ディッシュ S…眼細胞サンプル

Claims (8)

  1. 後発白内障を予防するための調光器の設計方法であって、
    複数の波長および複数の強度の組み合わせごとに、当該組み合わせに係る波長および強度の光を、創傷部を有する眼細胞サンプルに間欠的に照射する照射ステップと、
    前記組み合わせごとに、細胞による前記創傷部の被覆状況、および前記創傷部における細胞の形態異常の発生状況を観察する観察ステップと、
    波長ごとに、前記創傷部の被覆状況および前記形態異常の発生状況に基づいて、眼球への照射が許容される強度の範囲を決定する範囲決定ステップと、
    環境光の波長ごとの強度に基づいて、前記調光器を通った光の強度が、前記決定された波長ごとの強度の範囲内となるように、前記調光器の特性を決定する特性決定ステップと
    を備える調光器の設計方法。
  2. 前記照射ステップにおける照射および遮光の周期は24時間である
    請求項1に記載の調光器の設計方法。
  3. 前記範囲決定ステップでは、前記創傷部の被覆速度が遮光時の被覆速度以下であり、かつ前記形態異常が生じない範囲を、前記眼球への照射が許容される強度の範囲に決定する
    請求項1または請求項2に記載の調光器の設計方法。
  4. 前記照射ステップでは、コラーゲンコートされたディッシュに載置された前記眼細胞サンプルに対して、前記光を間欠的に照射する
    請求項1または請求項2に記載の調光器の設計方法。
  5. 後発白内障を予防するための調光器であって、
    波長500nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高い
    調光器。
  6. 波長500nmの光の透過率が、51%以上であって、
    波長440nmの光の透過率が、26%未満である
    請求項5に記載の調光器。
  7. 波長420nmの光の透過率が、波長440nmの光の透過率より高い
    請求項5または請求項6に記載の調光器。
  8. 波長420nmの光の透過率が、30%以上である
    請求項5または請求項6に記載の調光器。
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