JP2024016804A - pH算出装置、磁気共鳴イメージング装置、およびpH算出方法 - Google Patents

pH算出装置、磁気共鳴イメージング装置、およびpH算出方法 Download PDF

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【課題】算出されるpH値の正確性(精度)を向上すること。【解決手段】本実施形態に係るpH算出装置は、被検体に対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得する取得部と、前記複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出する算出部と、前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択する選択部と、前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定するpH値決定部と、を備える。【選択図】図4

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、pH算出装置、磁気共鳴イメージング装置、およびpH算出方法に関する。
従来の技術として、化学交換飽和移動(以下、CEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)と呼ぶ)を用いたMRIによるイメージング手法が提唱されている。水に溶けている溶質のプロトンは、水のプロトンと化学的に交換される。このような化学交換の速度は、温度やpHに依存している。一方で、プロトンの共鳴周波数は、プロトンの状態によって変化する。このようなプロトンの共鳴周波数の変化は、ケミカルシフトと呼ばれている。これらのことから、溶質のプロトンに特異的な周波数に設定して飽和RFパルスを送信することで、本来は飽和していないはずの水のプロトンが飽和状態になってしまう現象が発生する。このような現象を化学交換飽和移動(CEST)と呼ぶ。CEST現象を利用したイメージング手法は、CESTイメージングと呼ばれる。このとき、CEST現象を実現する物質(CEST物質)が、CESTイメージングにおいて用いられる。
CEST現象は、上述のように、温度やpHなどの物質の特性を反映している。このため、例えば、2つのプロトンプールを持つCEST物質とレシオメトリック(Ratiometric)法という手法を組み合わせることで、CEST物質の濃度に依らずにpHを撮像するpHイメージングが可能とされている。しかしながら、レシオメトリック法によるpHの算出は、CESTイメージングにおいて実行された飽和パルスの強度(実行飽和パルス強度と呼ぶ)および温度が一定等の制約がある。生体内では温度は概ね37℃で一定であると言えるが、実行飽和パルス強度は、CESTイメージング中において一定であるとは言えない場合がある。このため、算出されたpH値は正確ではない恐れがある。
特表2019-505248号公報
K.M. Ward and R.S. Balaban Determination of pH Using Water Protons and Chemical Exchange Dependent Saturation Transfer (CEST)、 Magnetic Resonance in Medicine 44:799-802 (2000)
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、算出されるpH値の正確性(精度)を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係るpH算出装置は、取得部と、算出部と、選択部と、pH値決定部とを備える。取得部は、被検体に対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得する。算出部は、前記複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出する。選択部は、前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択する。pH値決定部は、前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定する。
図1は、第1実施形態に係るMRI装置の構成を示すブロック図。 図2は、第1実施形態に係り、造影剤を用いたCESTイメージングに関する概要の一例を示す概要図。 図3は、第1実施形態に係り、B値に応じた複数の検量線の一例を示す図。 図4は、第1実施形態に係り、pH値決定処理の手順の一例を示すフローチャート。 図5は、第2実施形態に係り、pH算出装置の構成の一例を示す図。 図6は、第3実施形態に係り、ファントムの温度が25℃である場合の3つのpH値に応じた3つのZスペクトルの一例を示す図。 図7は、第3実施形態に係り、ファントムの温度が36℃である場合の3つのpH値に応じた3つのZスペクトルの一例を示す図。 図8は、第3実施形態に係るpH値決定処理の手順の一例を示すフローチャート。 図9は、第4実施形態に係るpH値決定処理の手順の一例を示すフローチャート。
以下、図面を参照しながら、pH算出装置、当該pH算出装置を搭載した磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と呼ぶ)、およびpH算出方法の実施形態について説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るMRI装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、送信コイル107と、送信回路108と、受信コイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120と、コンピューター130(画像処理装置とも称される)とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路120及びコンピューター130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
静磁場磁石101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御回路106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御回路106は、コンピューター130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信回路108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号と呼ぶ)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路110へ出力する。
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信コイル107及び受信コイル109は、送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されてもよい。
受信回路110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信回路110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信回路110は、生成したMRデータをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、受信回路110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
シーケンス制御回路120は、コンピューター130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報であって、シーケンス条件とも称される。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が送信コイル107に供給するRFパルスの強度やRFパルスを印加するタイミング、受信回路110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。
例えば、シーケンス制御回路120は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。シーケンス制御回路120は、シーケンス制御部に相当する。例えば、シーケンス制御回路120は、後述のCEST撮像とは異なる撮像(例えば、後述のマップイメージング)とCEST撮像とを実行する。
なお、シーケンス制御回路120は、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路110からMRデータを受信すると、受信したMRデータをコンピューター130へ転送する。
コンピューター130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。コンピューター130は、記憶回路132、入力装置141、ディスプレイ143、処理回路150を備える。処理回路150は、インタフェース機能131、制御機能133、画像生成機能134、取得機能136、特定機能138、算出機能140、選択機能142、及びpH値決定機能144を備える。
インタフェース機能131、制御機能133、画像生成機能134、取得機能136、特定機能138、算出機能140、選択機能142、及びpH値決定機能144にて行われる各処理機能は、コンピューター130によって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132へ記憶されている。処理回路150はプログラムを記憶回路132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。
なお、図1においては単一の処理回路150にて、インタフェース機能131、制御機能133、画像生成機能134、取得機能136、特定機能138、算出機能140、選択機能142、及びpH値決定機能144にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路150が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイFPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、記憶回路132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、寝台制御回路106、送信回路108、受信回路110等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信し、シーケンス制御回路120からMRデータを受信する。また、インタフェース機能131を有する処理回路150は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路132に格納する。インタフェース機能131を実現する処理回路150は、インタフェース部に相当する。処理回路150における他の機能については、後ほど説明する。
記憶回路132は、インタフェース機能131を有する処理回路150によって受信されたMRデータや、取得機能136により取得された各種データ、画像生成機能134により生成された各種画像データ、算出機能140において用いられる演算処理、演算処理により算出されたpH依存値、選択機能142において用いられる複数の検量線、pH値決定機能144により決定されたpH値などを記憶する。複数の検量線各々は、pH依存値に対するpH値を示すものであって、複数のB値に応じて異なる。記憶回路132は、例えば、複数の対応表(LUT:Look Up Table)の形式で、複数の検量線を、複数のB値と対応付けて記憶する。
複数の検量線は、例えば、ファントムなどにより予め計測された実測値により予め用意されて、記憶回路132に記憶される。実測値は、例えば、B値、pH依存値、pH値などである。複数の検量線は、実測に基づくデータ、シミュレーションで計算されたデータ、または当該実測値から補間されたデータで、予め用意されたデータであってもよい。本実施形態における補間は、隣接する2つのB値の間を補間して検量線を算出することにある。
また、記憶回路132は、制御機能133によってk空間に配置されたMRデータ(k空間データとも称される)を記憶する。これらの記憶される各種データについては、後ほど説明する。例えば、記憶回路132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等で実現される。
入力装置141は、ユーザからの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置141は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力装置141は、処理回路150に電気的に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。
なお、本明細書において入力装置141は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品(入力インタフェース)を備えるものだけに限られない。例えば、MRI装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力装置141の例に含まれる。
ディスプレイ143は、制御機能133を有する処理回路150による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像生成機能134を有する処理回路150によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ143は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイ、モニタ等の表示デバイスにより実現される。
本実施形態に関する化学交換飽和移動(CEST:Chemical Exchange Saturation Trasfer)効果について簡単に説明する。自由水(バルク水)におけるプロトンと化合物のプロトンとは、交換される。例えば、アミド基(-NH)、ヒドロキシル基(-OH)、及びアミノ基(-NH2)等の、化合物のプロトンは、交換性プロトンである。CEST効果は、「Zスペクトル」や、「MTRasymスペクトル」と呼ばれる量を用いて記述される。CEST効果に関する撮像は、アミド基(-NH)、ヒドロキシル基(-OH)、及びアミノ基(-NH2)等のプロトンと自由水におけるプロトンとが交換されることを利用したMRイメージング手法(以下、CESTイメージングと呼ぶ)である。
CEST効果に関する磁気共鳴イメージング手法(以下、CEST撮像と呼ぶ)において、シーケンス制御回路120は、自由水の共鳴周波数から離れた周波数(off-resonanceな周波数)であって、交換性プロトン(例えば、化合物のプロトン)の共鳴周波数で、周波数選択RF(Radio Frequency)パルスである飽和パルスを、MR信号の収集前において被検体Pに対して印加する。飽和パルスは、プリサチュレーションパルス(Presaturation pulse)とも称される。具体的には、CEST撮像は、複数の飽和パルスの印加と複数の飽和パルスに応じた複数の磁気共鳴信号(MR信号)の収集とを実行する磁気共鳴イメージング手法である。
本実施形態に関するCESTイメージングについて、図2を用いて説明する。図2は、造影剤を用いたCESTイメージングに関する概要の一例を示す概要図である。造影剤は、ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む。以下、説明を具体的にするために、造影剤は、イオパミドールであるものとする。このとき、ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質は、4.2ppmのケミカルシフトに対応する2つのアミド基と、5.6ppmのケミカルシフトに対応する1つのアミド基との2種の物質に相当する。なお、造影剤は、イオパミドールに限定されず、例えば、イオプロミドであってもよい。
以下、説明を具体的にするために、CESTイメージングに用いられる複数の飽和パルスの周波数は、-8ppmから8ppmの範囲において、0.1ppm刻みであるものとする。例えは、静磁場強度が3Tである場合、0ppmに対応する飽和パルスの周波数は、静磁場強度に基づく自由水の共鳴周波数(以下、中心周波数と呼ぶ)であって、128MHzである。このとき、+8ppmに対応する飽和パルスの周波数は、(128MHz+128×8Hz)となる。一方、-8ppmに対応する飽和パルスの周波数は、(128MHz-128×8Hz)となる。
図2に示すように、CESTイメージングによれば、中心周波数を0ppmとして-8ppmから8ppmまで0.1ppm刻みの複数の飽和パルスの印加に伴ってMR画像を取得する。161枚のMR画像に基づいて、B(静磁場)不均一の補正および当該補正後の正確なケミカルシフトにおける化学交換飽和移動(CEST)の効果の影響を示すZスペクトルが生成される。
図2に示す領域NCRは、造影剤では造影されていない領域(以下、非造影ROI(Region of Interest:関心領域)とよぶ)を示している。非造影ROIにおけるZスペクトルNCZでは、MR信号の低下は、飽和パルスの周波数(0ppm)を中心とする所定の周波数の範囲で生じている。一方、図2に示す領域CRは、造影剤により造影された領域(以下、造影ROIとよぶ)を示している。図2に示すZスペクトルCZは、ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCESTイメージング(以下、造影CESTイメージングと呼ぶ)により生成されたZスペクトル(以下、造影Zスペクトルと呼ぶ)を示している。造影ROIにおけるZスペクトルCZでは、MR信号の低下は、飽和パルスの周波数(0ppm)を中心するとする所定の周波数の範囲に加えて、4.2ppmと5.6ppmとの位置で生じている。
図2において、造影ROIに関する造影ZスペクトルCZにおける点線NCCは、造影ROIと同一のROIに対して造影剤を用いずにCESTイメージング(以下、非造影CESTイメージングと呼ぶ)を実行することで生成されたZスペクトル(以下、非造影Zスペクトルと呼ぶ)を示している。図2に示すように、造影ROIに関するZスペクトルCZと点線NCCとの差は、両矢印で示されている。造影ROIに関するZスペクトルCZに関して、4.2ppmと5.6ppmとの位置における両矢印は、造影剤の成分のイオパミドールにおける2種類のアミド基に対応する信号値の低下を示している。ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤としてイオパミドールが用いられる場合、pH依存値は、図2に示すような4.2ppmと5.6ppmとの位置における信号値の低下の成分を用いて、算出機能140により算出される。
図3は、B値に応じた複数の検量線の一例を示す図である。検量線(標準曲線:Standard Curve)は、校正曲線:Calibration Curveと称されてもよい。B値は、例えば、シーケンス情報として設定されたRFパルスの強度を基準としたずれを、マイクロテスラ(μT)の単位で示した値である。すなわち、B値は、被検体PにRFパルスを照射して得られる。このため、B値は、被検体Pから取得された情報に対応する。図3に示すように、複数の検量線各々は、pH依存値に対するpH値を示している。複数の検量線各々は、既知のpHを有するファントムを撮影して算出されたpH依存値と当該pHとを用いて決定され、記憶回路132に予め記憶される。B値を撮像領域に亘って配置したBマップの生成については後ほど説明する。
図3に示すように、縦軸をpH依存値として横軸をpHとする座標系において、検量線の傾きは、B値が増加するにつれて減少する。換言すれば、検量線の傾きは、B値が減少するにつれて増加する。図3では、4つのB値にそれぞれ対応する4つの検量線が示されているが、記憶回路132に記憶される検量線の数は4つに限定されない。また、複数の検量線に関する複数のB値は、図3では0.5μTの等間隔で示されているが、複数のB値の間隔は、不等間隔であってよい。
処理回路150は、制御機能133により、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、制御機能133を有する処理回路150は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件により設定された飽和パルスの条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、制御機能133を有する処理回路150は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。制御機能133を実現する処理回路150は、制御部に相当する。本実施形態では、制御機能133は、非造影CESTイメージングのシーケンス情報と、BマップおよびBマップの生成に関するMRデータを収集するMR撮像(以下、マップイメージングと呼ぶ)のシーケンス情報と、造影CESTイメージングのシーケンス情報をそれぞれシーケンス制御回路120へ送信する。
処理回路150は、画像生成機能134により、k空間データを記憶回路132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。例えば、画像生成機能134は、マップイメージングにより収集されたMRデータ(以下、マップMRデータと呼ぶ)に基づいて、BマップおよびBマップを生成する。Bマップは、撮像領域における静磁場(B)の不均一性を示すマップである。Bマップは、撮像領域亘ってB値を配置したマップである。Bマップは、撮像領域における飽和パルスの強度(実行飽和パルス強度ともいう)の不均一性を示している。BマップおよびBマップの生成は、既知の手法を適宜利用可能であるため、説明は省略する。
処理回路150は、画像生成機能134により、非造影CESTイメージングにより収集されたMRデータ(以下、非造影データと呼ぶ)に基づいて、複数のMR画像(以下、非造影MR画像と呼ぶ)を生成する。画像生成機能134は、複数の非造影MR画像とBマップとに基づいて、飽和パルスの位置の補正(以下、B補正と呼ぶ)を伴って、非造影Zスペクトルを生成する。なお、B補正は、非造影MR画像に対して実行されてもよい。このとき、画像生成機能134は、B補正が実施された複数の非造影MR画像に基づいて、非造影Zスペクトルを生成する。
処理回路150は、画像生成機能134により、造影CESTイメージングにより収集されたMRデータ(以下、造影データと呼ぶ)に基づいて、複数のMR画像(以下、造影MR画像と呼ぶ)を生成する。画像生成機能134は、複数の造影MR画像とBマップとに基づいて、B補正を伴って、造影Zスペクトルを生成する。なお、B補正は、造影MR画像に対して実行されてもよい。このとき、画像生成機能134は、B補正が実施された複数の造影MR画像に基づいて、造影Zスペクトルを生成する。以上のことから、実施形態におけるZスペクトルは、異なる撮像により生成されたBマップに基づいてCEST撮像における飽和パルスの位置が補正されたスペクトルデータである。画像生成機能134を実現する処理回路150は、画像生成部に相当する。
処理回路150は、取得機能136により、ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像により生成され当該複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイント(または極小値)を含む少なくとも一つのZスペクトルと、被検体Pに関する情報とを取得する。本実施形態において、被検体Pに関する情報は、例えば、Bマップである。すなわち、Bマップは、被検体Pから取得された情報である。このとき、取得機能136は、少なくとも一つのZスペクトルとBマップとを取得する。具体的には、取得機能136は、画像生成機能134から、例えば、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、Bマップとを取得する。被検体Pに関する情報のうちBマップとは異なる情報については、第3実施形態において説明する。
処理回路150がMRI装置100とは別個のpH算出装置などに搭載される場合、処理回路150は、取得機能136により、他のMRI装置から、例えば、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、Bマップとを取得する。この場合においても、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとは、Bマップを用いたB補正が実施されたZスペクトルである。取得機能136を実現する処理回路150は、取得部に相当する。
処理回路150は、特定機能138により、Zスペクトルに対応する、Bマップ上の位置でのB値を特定する。具体的には、特定機能138は、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとが生成されたBマップ上の位置を特定し、当該特定された位置でのB値を特定する。例えば、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとが、図2に示す造影ROIについて1つずつ生成された場合、特定機能138は、造影ROIに含まれる複数の画素の位置を特定する。次いで、特定機能138は、特定された複数の画素に対応する複数のB値に対して平均を計算することにより、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとに対応するB値を特定する。
また、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとが、図2に示す造影ROIに含まれる複数の画素各々に対して生成された場合についても、特定機能138は、造影ROIに含まれる複数の画素の位置を特定する。次いで、特定機能138は、画素の位置に従って造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとに対応付けて、特定された複数の画素に対応する複数のB値各々を特定する。特定機能138により、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとは、B値と対応付けられる。特定機能138を実現する処理回路150は、特定部に相当する。
処理回路150は、算出機能140により、複数の信号値の低下ポイント(または極小値)に対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出する。例えば、算出機能140は、複数のMR信号値の低下ポイントのうち少なくとも2つのMR信号値を用いて、pH依存値を算出する。このとき、pH依存値は、上記2つのMR信号値の比を含む。pH依存値は、pHに依存する値である。より詳細には、算出機能140は、レシオメトリック(Ratiometric)法を用いて、pH依存値を算出する。なお、pH依存値の算出方法は、レシオメトリック法に限定されず、既知の手法が適宜利用可能である。
具体的には、算出機能140は、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとにより、複数の信号値の低下ポイントにおいて、複数種の物質に対応する複数の信号値の低下を算出する。例えば、造影剤がイオパミドールである場合、複数種の物質として2種のアミド基に関する周波数(4.2ppmと5.6ppm)が、複数の信号値の低下に関する複数の周波数に該当する。すなわち、当該複数の周波数(4.2ppmと5.6ppm)は、図2に示すように、イオパミドールに関する低下ポイントに対応する。このとき、算出機能140は、図2に示すように4.2ppmと5.6ppmとの位置における信号値の低下を、造影Zスペクトルと非造影ZスペクトルとにおけるMR信号値の差分(以下、低下信号値と呼ぶ)によりそれぞれ算出する。次いで、算出機能140は、4.2ppmに対応する低下信号値と5.6ppmに対応する低下信号値との比を用いて、例えば、レシオメトリック法により、pH依存値を算出する。算出機能140は、pH依存値の算出で用いられたZスペクトルに関して特定されたB値を、当該算出されたpH依存値と関連付ける。算出機能140を実現する処理回路150は、算出部に相当する。
処理回路150は、選択機能142により、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、被検体Pに関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pに関する情報に応じて選択する。本実施形態においては、被検体Pに関する情報は、Bマップである。このとき、選択機能142は、検量線を、B値に応じて予め用意された複数の検量線から、Bマップに基づくB値(例えば、特定機能138により特定されたB値)に応じて選択する。具体的には、選択機能142は、pH依存値に関連するB値と同一のB値に関する検量線を、記憶回路132に記憶された複数の検量線から選択する。選択機能142による処理は、算出されたpH依存値の数に対応するB値に応じて繰り返し選択される。選択機能142を実現する処理回路150は、選択部に相当する。
処理回路150は、pH値決定機能144により、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。具体的には、pH値決定機能144は、選択された検量線におけるpH依存値と、算出されたpH依存値とを照合することで、照合されたpH依存値に対応するpH値を決定する。pH値決定機能144による処理は、pH依存値の数に応じて繰り返し決定される。例えば、pH依存値の総数が、造影ROIまたは撮像領域全域に含まれる複数の画素の総数に対応する場合、pH値決定機能144は、B値に応じて選択された複数の検量線と複数のpH依存値との照合により、複数のpH依存値にそれぞれ対応する複数のpH値を決定する。pH値決定機能144は、決定されたpH値を、pH依存値に対応する画素の位置と関連づけて、記憶回路132に記憶させる。pH値決定機能144を実現する処理回路150は、pH値決定部に相当する。
以上、第1実施形態に係るMRI装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1実施形態に係るMRI装置100は、非造影CESTイメージング、マップイメージング、造影CESTイメージングを実行し、各々のイメージングで収集されたMRデータと、B値を用いて決定された検量線とを用いてpH値を決定する処理(以下、pH値決定処理と呼ぶ)実行する。以下、pH値決定処理に関する手順について、図4を参照して説明する。図4は、pH値決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、説明を具体的にするために、静磁場強度は3Tであって、造影および非造影CESTイメージングにおいて複数の飽和パルスが印加される周波数の範囲は、-8ppmから8ppmの範囲であるものとする。このとき、0ppmに対応する飽和パルスの周波数、すなわち中心周波数は、128MHzである。また、非造影CESTイメージング、マップイメージング、および造影CESTイメージングに関するシーケンス情報は、予め設定されているものとする。上記シーケンス情報の設定としては、既知の手法が適用可能であるため、説明は省略する。また、pH値決定処理において、非造影CESTイメージング、マップイメージング、および造影CESTイメージングは、同一の対象を撮像対象としている。すなわち、非造影CESTイメージング、マップイメージング、および造影CESTイメージングにおける撮像対象部位は、同一である。
(pH値決定処理)
(ステップS401)
処理回路150は、インタフェース機能131により、非造影CESTイメージング、マップイメージング、および造影CESTイメージングに関するシーケンス情報を、シーケンス制御回路120に送信する。シーケンス制御回路120は、非造影CESTイメージングに関するシーケンス情報に従って、被検体Pに対して非造影CESTイメージングを実行する。処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス制御回路120から非造影データを受信する。処理回路150は、画像生成機能134により、非造影データに基づいて、複数の非造影MR画像を生成する。画像生成機能134は、生成された複数の非造影MR画像を、記憶回路132に記憶させる。
(ステップS402)
シーケンス制御回路120は、マップイメージングに関するシーケンス情報に従って、被検体Pに対してマップイメージングを実行する。処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス制御回路120からマップMRデータを受信する。処理回路150は、画像生成機能134により、マップMRデータに基づいて、BマップとBマップとを生成する。画像生成機能134は、生成されたBマップとBマップとを、記憶回路132に記憶させる。なお、本ステップの処理は、以下のステップS403の後に実行されてもよい。
(ステップS403)
本ステップに先立って、被検体Pに造影剤が注入される。このとき、注入される造影剤は、ケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤である。以下、説明を具体的にするために、造影剤は、イオパミドールであるものとする。なお、当該造影剤は、イオプロミドであってもよい。シーケンス制御回路120は、造影CESTイメージングに関するシーケンス情報に従って、被検体Pに対して造影CESTイメージングを実行する。処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス制御回路120から造影データを受信する。処理回路150は、画像生成機能134により、造影データに基づいて複数の造影MR画像を生成する。画像生成機能134は、生成された複数の造影MR画像を、記憶回路132に記憶させる。
(ステップS404)
ディスプレイ143は、制御機能133による制御の元で、複数の非造影画像と複数の造影MR画像とのうち少なくとも一つを、表示する。入力装置141は、ユーザの指示により、ディスプレイ143に表示された画像に対して複数の非造影画像のうち少なくとも一つの非造影MR画像に対してROIを入力する。これにより、複数の非造影MR画像と複数の造影MR画像とのうち少なくとも一つに対してROIが設定される。なお、pH値の決定の対象となる画素が、撮像領域全域にわたる場合、本ステップにおける処理は不要となる。
(ステップS405)
処理回路150は、画像生成機能134により、複数の非造影MR画像とBマップとに基づいて、B補正を適用して、非造影Zスペクトルを生成する。具体的には、画像生成機能134は、設定されたROIに関して、非造影Zスペクトルを生成する。このとき、ROIに含まれる複数の画素各々に対してpH値を決定すること(例えば、pHマップの生成など)が入力装置141を介したユーザの指示により入力されていれば、画像生成機能134は、設定されたROIに含まれる複数の画素にそれぞれ対応する複数の非造影Zスペクトルを生成する。以下、説明を簡単にするために、設定されたROIに対して、一つの非造影Zスペクトルが生成されるものとする。画像生成機能134は、生成された非造影Zスペクトルを、記憶回路132に記憶させる。
(ステップS406)
処理回路150は、画像生成機能134により、複数の造影MR画像とBマップとに基づいて、B補正を適用して、複数種の物質に対応する複数の信号値の低下をそれぞれ含む造影Zスペクトルを生成する。具体的には、画像生成機能134は、設定されたROIに関して、造影Zスペクトルを生成する。このとき、ROIに含まれる複数の画素各々に対してpH値を決定すること(例えば、pHマップの生成など)が入力装置141を介したユーザの指示により入力されていれば、画像生成機能134は、設定されたROIに含まれる複数の画素にそれぞれ対応する複数の造影Zスペクトルを生成する。設定されたROIに対して一つの非造影Zスペクトルが生成され場合、画像生成機能134は、設定されたROIに対して一つの造影Zスペクトルを生成する。画像生成機能134は、生成された造影Zスペクトルを、記憶回路132に記憶させる。なお、ステップS405の処理とステップS406の処理との順番は逆であってもよい。
(ステップS407)
処理回路150は、取得機能136により、記憶回路132から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、被検体Pに関する情報に対応するBマップとを取得する。なお、処理回路150がMRI装置100とは別個のpH算出装置などに搭載される場合、取得機能136は、例えば他のMRI装置から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、Bマップとを取得する。
(ステップS408)
処理回路150は、特定機能138により、非造影Zスペクトルおよび造影Zスペクトルに関して、Bマップ上での位置でのB値を特定する。ROIに対して1つの非造影Zスペクトルおよび1つの造影Zスペクトルが生成された場合、特定機能138は、Bマップ上でのROIに対応する領域に含まれる複数のB値の和を、ROIに含まれる画素数で除算することにより、非造影Zスペクトルおよび造影Zスペクトルに対応するB値を特定する。すなわち、1つの非造影Zスペクトルの生成および1つの造影Zスペクトルの生成において複数の画素が関連している場合、特定機能138は、当該複数の画素の位置に対応する複数のB値の平均を演算することで、1つの非造影Zスペクトルおよび1つの造影Zスペクトルに対応するB値を特定する。なお、本ステップにおける処理は、後述のステップS409の後に実行されてもよい。
なお、複数の画素に応じて複数の非造影Zスペクトルおよび複数の造影Zスペクトルが生成された場合、特定機能138は、当該複数の画素各々に対応するBマップ上での位置でのB値を、特定する。例えば、撮像領域の全域に亘る複数の画素ごとに非造影Zスペクトルおよび造影Zスペクトルが生成された場合、特定機能138は、非造影Zスペクトルの生成および造影Zスペクトルの生成に関する画素の位置を用いて、非造影Zスペクトルおよび造影Zスペクトルに対応するB値を、Bマップから特定する。
(ステップS409)
処理回路150は、算出機能140により、造影Zスペクトルと非造影Zスペクトルとに基づいて、pH依存値を算出する。具体的には、算出機能140は、造影スペクトルにおける複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値と、非造影Zスペクトルにおける当該複数の周波数に対応する複数のMR信号値とを用いて、4.2ppmと5.6ppmとにおける2つの低下信号値を算出する。次いで、算出機能140は、2つの低下信号値の比の演算を含む所定の演算処理により、pH依存値を算出する。所定の演算処理は、例えば、レシオメトリック(Ratiometric)法における演算の処理である。
(ステップS410)
処理回路150は、選択機能142により、記憶回路132に記憶された複数の検量線から、算出されたpH依存値に対するpH値を示す検量線を、特定されたB値に応じて選択する。検量線の選択は、例えば、特定されたB値の数に応じて複数回実行される。なお、特定されたB値に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、特定されたB値に最も近いB値に対応する検量線を、複数の検量線から選択してもよい。
また、特定されたB値に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、特定されたB値に近い2つのB値に対応する2つの検量線を、複数の検量線から選択してもよい。このとき、算出機能140は、選択された2つの検量線に関する2つのB値と特定されたB値との差に基づいて、選択された2つの検量線から、特定されたB値に対応する検量線を、例えば重みづけ加算、平均などの補間処理により計算する。これらにより、選択機能142は、計算された検量線を、特定されたB値に対応する検量線として、複数の検量線から選択する。
(ステップS411)
処理回路150は、pH値決定機能144により、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。具体的には、pH値決定機能144は、選択された検量線において、算出されたpH依存値に対応するpH値を、pH依存値の算出に用いられた造影Zスペクトルに関する画素の位置におけるpH値として決定する。算出されたpH依存値が複数である場合、pH値決定機能144は、pH依存値の決定を、造影Zスペクトルの数に対応する回数に亘って繰り返し実行する。
(ステップS412)
処理回路150は、制御機能133による制御の元で、決定されたpH値をディスプレイ143に表示する。例えば、処理回路150は、画像生成機能134により、1つの造影MR画像または1つの非造影画像などにおけるMR画像において、pH依存値が算出された画素の位置に、決定されたpH値を重畳した重畳画像を生成する。重畳画像におけるpH値は、例えば、pHの値に応じたカラースケールまたはグレースケールで表される。処理回路150は、制御機能133により、重畳画像をディスプレイ143に表示する。
また、複数の画素にそれぞれ対応する複数のpH値が決定された場合、処理回路150は、画像生成機能134により、複数のpH値に対応する複数の画素の位置に当該複数のpH値を配列することで、pHマップを生成してもよい。pHマップにおけるpH値は、例えば、pHの値に応じたカラースケールまたはグレースケールで表される。また、画像生成機能134は、上記MR画像にpHマップを重畳してもよい。処理回路150は、制御機能133により、pHマップが重畳された重畳画像および/またはpHマップを、ディスプレイ143に表示する。
以上に述べた第1実施形態に係るMRI装置100は、被検体Pに対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像と、CEST撮像とは異なる撮像とを実行し、異なる撮像により収集されたMRデータに基づいてBマップを生成し、CEST撮像により収集されたMRデータに基づいてZスペクトルを生成し、複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、B値に応じて予め用意された複数の検量線から、Bマップに基づくB値に応じて選択し、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。
また、第1実施形態に係るMRI装置100は、複数のMR信号値のうち少なくとも2つのMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値は、2つのMR信号値の比を含む。また、第1実施形態に係るMRI装置100は、レシオメトリック(Ratiometric)法を用いてpH依存値を算出する。また、第1実施形態に係るMRI装置100におけるZスペクトルは、異なる撮像により生成されたBマップに基づいてCEST撮像における飽和パルスの位置が補正されたスペクトルデータである。
これらのことから、第1実施形態に係るMRI装置100によれば、複数のB値に対応する複数の検量線を予め記憶回路132に記憶することで、Bマップにおいて特定されたB値に対応する検量線を用いて、pH依存値からpH値を決定することができる。このため、第1実施形態に係るMRI装置100によれば、B不均一性によるpH値のズレを小さく補正することができる。
以上のことから、第1実施形態に係るMRI装置100によれば、B不均一性によらずに、より正確なpH値を決定することができるため、被検体Pに対する診断の正確性を向上させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、pH値決定処理におけるステップS407以降の処理を、pH算出装置で実現することにある。図5は、pH算出装置1の構成の一例を示す図である。第1実施形態との相違は、制御機能133における処理と取得機能136における処理とにある。制御機能133と取得機能136とを除く他の構成は、MRI装置3特有の処理を除き第1実施形態と同様なため、説明は省略する。制御機能133は、pH算出装置1の全体を制御する。また、取得機能136は、例えば他のMRI装置3から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、被検体Pに関する情報とを取得する。被検体Pに関する情報は、例えば、Bマップである。また、本実施形態により実現されるpH値決定処理は、ステップS407以降の処理が実行されることにある。pH算出装置1によるステップS407以降の処理は、第1実施形態と同様なため、説明は算出する。
第2実施形態に係るpH算出装置1は、被検体Pに対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像により生成され複数種の物質に対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、CEST撮像とは異なる撮像により生成されたBマップとを取得し、複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、B値に応じて予め用意された複数の検量線から、前記Bマップに基づくB値に応じて選択し、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。pH算出装置1の各種構成要素のおける処理およびpH算出装置1により実現されるpH値決定処理による効果等は、第1実施形態と同様なため、説明は省略する。
(第3実施形態)
本実施形態は、被検体Pに関する情報として、Bマップと被検体Pの温度とを用いることにある。第1実施形態および第2実施形態では、被検体Pに関する情報として、Bマップを用いて説明した。第1実施形態および第2実施形態では、被検体Pの温度は、例えば、概ね37℃と仮定している。一方、被検体Pの温度(体温)は、個体差がある。加えて、同一の被検体Pであっても被検体Pの体調により、体温が異なることがある。また、ROI内に癌が存在する場合、癌の温度は、被検体Pの体温と異なること(例えば、体温より低温または体温より高温)がある。CEST効果におけるプロトンの交換速度は、温度とpHとに依存する。
図6は、ファントムの温度が25℃である場合の3つのpH値(pH7、pH7.2、pH7.4)に応じた3つのZスペクトルの一例を示す図である。図7は、ファントムの温度が36℃である場合の3つのpH値(pH6.4、pH6.6、pH6.8)に応じた3つのZスペクトルの一例を示す図である。図6および図7における複数のZスペクトルは、温度およびpHを除いて、略同一の撮像条件によりMR信号に基づいて、プロットされている。
図6および図7に示すように、図6におけるpH7、pH7.2、pH7.4に対応するZスペクトルの形状は、図7におけるpH6.4、pH6.6、pH6.8に対応するZスペクトルの形状と酷似している。Zスペクトルの形状の酷似は、水素原子の化学交換速度の酷似に対応する。例えば、図6および図7に示すように、25℃のときのpH7の時の水素原子の化学交換速度と、36℃のときのpH6.4の時の水素原子の化学交換速度とは酷似している。このため、例えば、図6における25℃、pH7に対応するZスペクトルがCEST撮像により取得された場合、被検体Pの温度が36℃であればpH値は6.4であるにもかかわらず、25℃の検量線を用いてpH値を決定するとpH値は7となる。
これらのことから、被検体Pの温度(体温)を一定と仮定した第1実施形態および第2実施形態では、pH値の精度が低下する可能性がある。このため、本実施形態では、被検体Pに関する情報として、Bマップに加えて被検体Pの温度を用いる。すなわち、本実施形態では、Bマップと被検体Pの温度とを取得し、被検体Pの温度とB値とに応じた検量線を用いてpH値を決定する。
記憶回路132は、複数のB値および複数の温度に応じた複数の検量線を記憶する。記憶回路132は、例えば、複数の対応表(LUT:Look Up Table)の形式で、複数の検量線を、複数のB値と複数の温度と対応付けて記憶する。複数の検量線は、例えば、実施形態と同様にファントムなどにより予め計測された実測値により予め用意されて、記憶回路132に記憶される。本実施形態における実測値は、例えば、B値、温度、pH依存値、pH値などである。複数の検量線は、実測に基づくデータ、シミュレーションで計算されたデータ、または当該実測値から補間されたデータで、予め用意されたデータであってもよい。本実施形態における補間は、隣接する2つのB値の間および隣接する2つの温度の間を補間して検量線を算出することにある。複数の検量線は、複数のB値および複数の温度により分類された検量線のデータベースに相当する。
処理回路150は、取得機能136により、少なくとも一つのZスペクトルと、被検体Pに関する情報として被検体Pの温度とBマップとを取得する。被検体Pの温度は、pH値を決定する処理の実行中にモニタリングされてもよいし、当該処理の実行前に取得されてもよい。
処理回路150は、選択機能142により、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、被検体Pに関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pに関する情報に応じて選択する。本実施形態においては、被検体Pに関する情報は、Bマップと被検体Pの温度である。このとき、選択機能142は、検量線を、B値と被検体Pの温度とに応じて予め用意された複数の検量線から、Bマップに基づくB値(例えば、特定機能138により特定されたB値)と被検体Pの温度とに応じて選択する。具体的には、選択機能142は、pH依存値に関連するB値と同一のB値に関する検量線であって、被検体Pの温度と同一の温度に対応する検量線を、記憶回路132に記憶された複数の検量線から選択する。
本実施形態に係るMRI装置100は、非造影CESTイメージング、マップイメージング、造影CESTイメージングを実行し、各々のイメージングで収集されたMRデータとB値と被検体Pの温度とを用いて決定された検量線とを用いてpH値を決定するpH値決定処理を実行する。以下、本実施形態に係るpH値決定処理に関する手順について、図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係るpH値決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、第1実施形態および第2実施形態におけるpH値決定処理のステップS406に続く処理の手順に相当する。すなわち、図8におけるステップS801の処理は、ステップS406の後に実行される。
(pH値決定処理)
(ステップS801)
被検体Pの温度が計測される。被検体Pの温度は、例えば体温である。被検体Pの温度は、例えば、既知の温度計、CESTイメージングまたはマップイメージングにより収集された位相画像における位相差に基づく既知の温度計測手法などにより、計測される。被検体Pの温度の計測は、pH値決定処理におけるCESTイメージングの実施前に実行されてもよいし、CESTイメージング中に実施されてもよい。
(ステップS802)
処理回路150は、取得機能136により、記憶回路132から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、被検体Pに関する情報に含まれるBマップおよび被検体Pの温度とを取得する。なお、処理回路150がMRI装置100とは別個のpH算出装置1などに搭載される場合、取得機能136は、例えば他のMRI装置から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、Bマップと、被検体Pの温度とを取得する。なお、被検体Pの温度は、他のMRI装置の代わりに既知の温度計から取得されてもよい。
(ステップS803)
処理回路150は、特定機能138により、非造影Zスペクトルおよび造影Zスペクトルに関して、Bマップ上での位置でのB値を特定する。本ステップの処理は、ステップS408と同様なため、説明は省略する。
(ステップS804)
処理回路150は、算出機能140により、造影スペクトルにと非造影Zスペクトルとに基づいて、pH依存値を算出する。本ステップの処理は、ステップS409と同様なため、説明は省略する。
(ステップS805)
処理回路150は、選択機能142により、記憶回路132に記憶された複数の検量線から、算出されたpH依存値に対するpH値を示す検量線を、特定されたB値および取得された被検体Pの体温に応じて選択する。検量線の選択は、例えば、特定されたB値の数および取得された被検体Pの体温の数に応じて複数回実行される。なお、特定されたB値および取得された被検体Pの体温に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、特定されたB値に最も近いB値および取得された被検体Pの体温に最も近い温度に対応する検量線を、複数の検量線から選択してもよい。
また、特定されたB値および取得された被検体Pの温度に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、特定されたB値に近い2つのB値に対応する2つの検量線と、取得された被検体Pの温度に近い2つの温度に対応する2つの検量線とを、複数の検量線から選択してもよい。このとき、算出機能140は、例えば、選択された4つの検量線に関する4つのB値と特定されたB値との差および4つの検量線に関する4つの温度と取得された温度との差に基づいて、選択された4つの検量線から、特定されたB値および取得された温度に対応する検量線を、例えば重みづけ加算、平均などの補間処理により計算する。これらにより、選択機能142は、計算された検量線を、特定されたB値および取得された温度に対応する検量線に対応する検量線として、複数の検量線から選択してもよい。
(ステップS806)
処理回路150は、pH値決定機能144により、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。本ステップの処理は、ステップS411と同様なため、説明は省略する。
(ステップS807)
処理回路150は、制御機能133による制御の元で、決定されたpH値をディスプレイ143に表示する。本ステップの処理は、ステップS412と同様なため、説明は省略する。
以上に述べた第3実施形態に係るMRI装置100は、被検体Pに対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像と、CEST撮像とは異なる撮像とを実行し、異なる撮像により収集されたMRデータに基づいてBマップを生成し、被検体Pの温度を取得し、CEST撮像により収集されたMRデータに基づいてZスペクトルを生成し、複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、B値および温度に応じて予め用意された複数の検量線から、Bマップに基づくB値および被検体Pの温度に応じて選択し、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。
第3実施形態に係るMRI装置100によれば、複数のB値および複数の温度に対応する複数の検量線を予め記憶回路132に記憶することで、Bマップにおいて特定されたB値および被検体Pから取得された被検体Pの体温に対応する検量線を用いて、pH依存値からpH値を決定することができる。このため、第3実施形態に係るMRI装置100によれば、B不均一性によるpH値のズレを小さく補正し、かつ温度により生じるpH値のズレを補正することができる。
以上のことから、第3実施形態に係るMRI装置100によれば、B不均一性および被検体Pの温度によらずに、より正確なpH値を決定することができる。このため、第3実施形態に係るMRI装置100によれば、被検体Pの体調および癌の有無に依らず、pHの測定精度をより向上させ、被検体Pに対する診断の正確性を向上させることができる。
なお、本実施形態の変形例として、本実施形態における技術的特徴は、pH算出装置1により実現されてもよい。pH算出装置1の各種構成要素のおける処理およびpH算出装置1により実現されるpH値決定処理による効果等は、第3実施形態と同様なため、説明は省略する。
(第4実施形態)
本実施形態は、被検体Pに関する情報として、被検体Pの温度を用いることにある。記憶回路132は、複数の温度に応じた複数の検量線を記憶する。記憶回路132は、例えば、複数の対応表(LUT:Look Up Table)の形式で、複数の検量線を、複数の温度と対応付けて記憶する。複数の検量線は、例えば、実施形態と同様にファントムなどにより予め計測された実測値により予め用意されて、記憶回路132に記憶される。本実施形態における実測値は、例えば、温度、pH依存値、pH値などである。複数の検量線は、実測に基づくデータ、シミュレーションで計算されたデータ、または当該実測値から補間されたデータで、予め用意されたデータであってもよい。本実施形態における補間は、隣接する2つの温度の間を補間して検量線を算出することにある。複数の検量線は、複数の温度により分類された検量線のデータベースに相当する。
処理回路150は、取得機能136により、少なくとも一つのZスペクトルと、被検体Pに関する情報として被検体Pの温度を取得する。被検体Pの温度は、pH値を決定する処理の実行中にモニタリングされてもよいし、当該処理の実行前に取得されてもよい。
処理回路150は、選択機能142により、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、被検体Pに関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pの温度に応じて選択する。このとき、選択機能142は、検量線を、被検体Pの温度に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pの温度に応じて選択する。具体的には、選択機能142は、被検体Pの温度と同一の温度に対応する検量線を、記憶回路132に記憶された複数の検量線から選択する。
本実施形態に係るMRI装置100は、非造影CESTイメージング、マップイメージング、造影CESTイメージングを実行し、各々のイメージングで収集されたMRデータと被検体Pの温度を用いて決定された検量線とを用いてpH値を決定するpH値決定処理を実行する。以下、本実施形態に係るpH値決定処理に関する手順について、図9を用いて説明する。
図9は、本実施形態に係るpH値決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、第1実施形態および第2実施形態におけるpH値決定処理のステップS406に続く処理の手順に相当する。すなわち、図9におけるステップS901の処理は、ステップS406の後に実行される。なお、本実施形態において、ステップS402におけるBマップの生成は不要である。
(pH値決定処理)
(ステップS901)
被検体Pの温度が計測される。本ステップにおける処理は、ステップS801と同様なため、説明は省略する。
(ステップS902)
処理回路150は、取得機能136により、記憶回路132から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、被検体Pに関する情報としての被検体Pの温度を取得する。なお、処理回路150がMRI装置100とは別個のpH算出装置1などに搭載される場合、取得機能136は、例えば他のMRI装置から、非造影Zスペクトルと、造影Zスペクトルと、被検体Pの温度とを取得する。なお、被検体Pの温度は、他のMRI装置の代わりに既知の温度計から取得されてもよい。
(ステップS903)
処理回路150は、算出機能140により、造影スペクトルにと非造影Zスペクトルとに基づいて、pH依存値を算出する。本ステップの処理は、ステップS409と同様なため、説明は省略する。
(ステップS904)
処理回路150は、選択機能142により、記憶回路132に記憶された複数の検量線から、算出されたpH依存値に対するpH値を示す検量線を、取得された被検体Pの体温に応じて選択する。検量線の選択は、例えば、取得された被検体Pの体温の数に応じて複数回実行される。なお、取得された被検体Pの体温に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、取得された被検体Pの体温に最も近い温度に対応する検量線を、複数の検量線から選択してもよい。
なお、取得された被検体Pの温度に対応する検量線が記憶回路132に記憶されていない場合、選択機能142は、取得された被検体Pの温度に近い2つの温度に対応する2つの検量線を、複数の検量線から選択してもよい。このとき、算出機能140は、例えば、選択された2つの検量線に関する2つの温度と取得された温度との差に基づいて、選択された2つの検量線から、取得された温度に対応する検量線を、例えば重みづけ加算、平均などの補間処理により計算する。これらにより、選択機能142は、計算された検量線を、取得された温度に対応する検量線に対応する検量線として、複数の検量線から選択してもよい。
(ステップS905)
処理回路150は、pH値決定機能144により、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。本ステップの処理は、ステップS411と同様なため、説明は省略する。
(ステップS906)
処理回路150は、制御機能133による制御の元で、決定されたpH値をディスプレイ143に表示する。本ステップの処理は、ステップS412と同様なため、説明は省略する。
以上に述べた第4実施形態に係るMRI装置100は、被検体Pに対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST撮像を実行し、被検体Pの温度を取得し、CEST撮像により収集されたMRデータに基づいてZスペクトルを生成し、複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、温度に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pの温度に応じて選択し、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。
第4実施形態に係るMRI装置100によれば、複数の温度に対応する複数の検量線を予め記憶回路132に記憶することで、被検体Pから取得された被検体Pの体温に対応する検量線を用いて、pH依存値からpH値を決定することができる。このため、第4実施形態に係るMRI装置100によれば、温度により生じるpH値のズレを補正することができる。
以上のことから、第4実施形態に係るMRI装置100によれば、B不均一性が極めて小さい場合であっても、被検体Pの温度によらずに、正確なpH値を決定することができる。このため、第4実施形態に係るMRI装置100によれば、被検体Pの体調および癌の有無に依らず、pHの測定精度を向上させ、被検体Pに対する診断の正確性を向上させることができる。
なお、本実施形態の変形例として、本実施形態における技術的特徴は、pH算出装置1により実現されてもよい。pH算出装置1の各種構成要素のおける処理およびpH算出装置1により実現されるpH値決定処理による効果等は、第4実施形態と同様なため、説明は省略する。
実施形態における技術的思想をpH算出方法で実現する場合、当該pH算出方法は、被検体Pに対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、被検体Pに関する情報とを取得し、複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いてpH依存値を算出し、pH依存値に対するpH値を示す検量線を、被検体Pに関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、被検体Pに関する情報に応じて選択し、選択された検量線とpH依存値とに基づいて、pH値を決定する。pH算出方法により実行されるpH値決定処理の手順および効果は、第1乃至第4実施形態と同様なため、説明は省略する。
以上説明した少なくとも一つの実施形態等によれば、算出されるpH値の正確性(精度)を向上することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以上の実施形態等に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
被検体に対しpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントまたは極小値を含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得する取得部と、
前記複数の信号値の低下ポイントまたは極小値に対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出する算出部と、
前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択する選択部と、
前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定するpH値決定部と、
を備えるpH算出装置。
(付記2)
前記被検体に関する情報は、前記CEST撮像とは異なる撮像により生成されたBマップと前記被検体の温度とのうち少なくとも一つであってもよい。
(付記3)
前記算出部は、前記複数のMR信号値のうち少なくとも2つのMR信号値を用いて、前記pH依存値を算出してもよく、
前記pH依存値は、前記2つのMR信号値の比を含んでもよい。
(付記4)
前記算出部は、レシオメトリック(Ratiometric)法を用いて前記pH依存値を算出してもよい。
(付記5)
前記Zスペクトルは、前記CEST撮像とは異なる撮像により生成されたBマップに基づいて前記CEST撮像における飽和パルスの位置が補正されたスペクトルデータであってもよい。
(付記6)
前記造影剤は、イオパミドールまたはイオプロミドであってもよい。
(付記7)
前記複数の検量線は、シミュレーションで計算されたデータ、または実測値から補間されたデータであってもよい。
(付記8)
付記1に記載のpH算出装置と、
前記CEST撮像を実行する制御部と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
(付記9)
被検体に対しpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントまたは極小値を含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得し、
前記複数の信号値の低下ポイントまたは極小値に対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出し、
前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択し、
前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定すること、
を備えるpH算出方法。
1 pH算出装置
100 磁気共鳴イメージング装置
101 静磁場磁石
102 静磁場電源
103 傾斜磁場コイル
104 傾斜磁場電源
105 寝台
105a 天板
106 寝台制御回路
107 送信コイル
108 送信回路
109 受信コイル
120 シーケンス制御回路
130 コンピューター
131 インタフェース機能
132 記憶回路
133 制御機能
134 画像生成機能
136 取得機能
138 特定機能
140 算出機能
141 入力装置
142 選択機能
143 ディスプレイ
144 pH値決定機能
150 処理回路

Claims (9)

  1. 被検体に対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得する取得部と、
    前記複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出する算出部と、
    前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択する選択部と、
    前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定するpH値決定部と、
    を備えるpH算出装置。
  2. 前記被検体に関する情報は、前記CEST撮像とは異なる撮像により生成されたBマップと前記被検体の温度とのうち少なくとも一つである、
    請求項1に記載のpH算出装置。
  3. 前記算出部は、前記複数のMR信号値のうち少なくとも2つのMR信号値を用いて、前記pH依存値を算出し、
    前記pH依存値は、前記2つのMR信号値の比を含む、
    請求項1に記載のpH算出装置。
  4. 前記算出部は、レシオメトリック(Ratiometric)法を用いて前記pH依存値を算出する、
    請求項3に記載のpH算出装置。
  5. 前記Zスペクトルは、前記CEST撮像とは異なる撮像により生成されたBマップに基づいて前記CEST撮像における飽和パルスの位置が補正されたスペクトルデータである、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のpH算出装置。
  6. 前記造影剤は、イオパミドールまたはイオプロミドである、
    請求項1に記載のpH算出装置。
  7. 前記複数の検量線は、シミュレーションで計算されたデータ、または実測値から補間されたデータである、
    請求項1に記載のpH算出装置。
  8. 請求項1に記載のpH算出装置と、
    前記CEST撮像を実行するシーケンス制御部と、
    を備える磁気共鳴イメージング装置。
  9. 被検体に対しケミカルシフトイメージングにおけるpHに対する応答性が互いに異なる複数種の物質を含む造影剤を用いたCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)撮像により生成され前記複数種の物質にそれぞれ対応する複数の信号値の低下ポイントを含む少なくとも一つのZスペクトルと、前記被検体に関する情報とを取得し、
    前記複数の信号値の低下ポイントに対応する複数のMR信号値を用いて、pH依存値を算出し、
    前記pH依存値に対するpH値を示す検量線を、前記被検体に関する情報に応じて予め用意された複数の検量線から、前記被検体に関する情報に応じて選択し、
    前記選択された検量線と前記pH依存値とに基づいて、pH値を決定すること、
    を備えるpH算出方法。
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