JP2024016497A - 絶縁性微粒子及び被覆粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】導通信頼性及び絶縁性をさらに高めることのできる絶縁性微粒子及びそれを用いた被覆粒子を提供すること。
【解決手段】架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子とで構成される非対称構造を有し、前記金属が配位可能な部位に無機金属塩が配位している絶縁性微粒子である。前記絶縁性微粒子は、架橋高分子微粒子に金属が配位可能な部位を有するモノマーを含むモノマー成分を含侵させる工程、前記モノマー成分を重合させて、架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子とで構成される非対称構造を有する微粒子を得る工程、及び、前記微粒子の金属が配位可能な部位に無機金属塩を配位させる工程により製造することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、絶縁性微粒子及び該絶縁性微粒子を含む絶縁層で導電性粒子を被覆した被覆粒子に関する。
芯材粒子の表面にニッケルや金などの金属皮膜を形成させた導電性粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として使用されている。
近年、電子機器類の一層の小型化に伴い、電子回路の回路幅やピッチはますます小さくなっている。それに伴い、上述の導電性材料に用いられる導電性粒子として、その粒径が小さなものが求められている。このような小さな粒径の導電性粒子を使用した場合、その接続性を高めるためには導電性材料中の導電性粒子の配合量を増加させなければならない。しかし、導電性粒子の配合量を増加させると、意図しない方向への導通、すなわち対向電極間とは異なる方向への導通によって短絡が生じてしまい、意図しない方向における絶縁性が得難いことが問題となっている。
前記問題を解決するために、導電性粒子の表面を、絶縁性の物質で被覆して、導電性粒子の金属皮膜同士の接触を防止した絶縁層被覆導電性粒子が提案されている。このような構成の被覆粒子は、通常、該被覆粒子を電極間で熱圧着することで絶縁層の絶縁性微粒子が溶融、変形又は剥離して導電性粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通が可能となるが、該絶縁性微粒子の構成成分を検討することにより、導通信頼性などの特性を改良する技術が知られている。
絶縁性微粒子としては、スチレン樹脂やアクリル樹脂といった樹脂微粒子、またはシリカやアルミナといった無機微粒子が使用されているが、絶縁性や耐溶剤性といった特性向上を目的に、有機物と無機物を複合させた有機無機複合微粒子についても検討されている(例えば、特許文献1~5参照)。
特許文献1~5で開示されている絶縁性微粒子を用いた被覆導電性粒子は、優れた絶縁性を有するものの、電極間の熱圧着時に機械的な力により電極からずれてしまうため、導通信頼性に劣る問題があった。この問題を解決するために、特許文献6では、疎水性部位と親水性部位とを有するブロックコポリマーからなり、表面に疎水性領域と親水性領域とを有する斑状粒子の親水性領域に無機化合物が担持された絶縁性微粒子が提案されている。絶縁性微粒子の親水性領域に担持された無機化合物が電極へ首尾よく突き刺さり、導電性粒子が電極に固定されやすくなることで、導通信頼性及び絶縁性に優れた被覆粒子が得られると考えられている。
特表2007-537570号公報 国際公開第2012/002508号パンフレット 特開2015-187984号公報 特開2011-65750号公報 特開2013-108026号公報 特開2022-41178号公報
前述したように、電極間で熱圧着することで絶縁層の絶縁性微粒子が溶融、変形又は剥離して導電性粒子の金属表面が露出することにより、電極間での導通が可能となるが、絶縁層を有する導電性粒子であっても、近接する導電性粒子間でこのような現象、すなわち短絡が生じることがある。本発明者らの検討により、これは、絶縁層が熱圧着時の機械的な力に耐えることができず破壊されてしまうため、導電性粒子の金属表面が露出してしまうことが原因であることが分かった。
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決し、導通信頼性及び絶縁性をさらに高めることのできる絶縁性微粒子及びそれを用いた被覆粒子を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、絶縁性微粒子の構成材料として金属が配位可能な部位を有する高分子を用い、前記金属が配位可能な部位に無機金属塩を配位させることで、従来よりも機械的強度が増した絶縁層を形成できること、さらには、このような絶縁性微粒子を用いて絶縁層を形成することで、電極への固定化が可能であり、より絶縁性に優れるとともに、導通信頼性にも優れる被覆粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子(以下、「高分子A」という。)とで構成される非対称構造を有し、前記金属が配位可能な部位に無機金属塩が配位している絶縁性微粒子を提供するものである。
また、本発明は、芯材の表面に金属皮膜が形成された導電性粒子と、該導電性粒子を被覆する絶縁層とを備え、前記絶縁層が前記絶縁性微粒子を含む被覆粒子を提供するものである。
さらに、本発明は、架橋高分子微粒子に金属が配位可能な部位を有するモノマーを含むモノマー成分(以下、「モノマー成分A」という。)を含侵させる工程、前記モノマー成分を重合させて、架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子とで構成される非対称構造を有する微粒子(以下、「非対称微粒子」という。)を得る工程、及び非対称微粒子の金属が配位可能な部位に無機金属塩を配位させる工程からなる絶縁性微粒子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、導通信頼性及び絶縁性に優れた被覆粒子を提供することができる。
図1は、被覆粒子の一実施形態を示す断面の模式図である。 図2は、絶縁性微粒子の一実施形態を示す模式図である。 図3(a)及び(b)は、被覆粒子の一実施形態を示す断面の模式図である。 図4は、実施例1で得られた非対称微粒子のSEM写真である。 図5は、実施例1で得られた非対称微粒子のTEM写真である。 図6は、実施例1で得られた非対称微粒子のFT-IRスペクトルである。 図7は、実施例1で得られた絶縁性微粒子のSEM写真である。 図8は、実施例1で得られた絶縁性微粒子のTEM写真である。
以下、本発明の絶縁性微粒子及びそれを用いた被覆粒子を、その好ましい実施形態に基づき説明する。図1に示すように、被覆粒子1は、表面が導電性を有する導電性粒子5と、導電性粒子5を被覆する絶縁層6とを備える。導電性粒子5は、芯材の表面に金属皮膜が形成され、表面が導電性を有する粒子である。
絶縁層6は、導電性粒子5の表面を被覆している。図1に示す被覆粒子1は、金属皮膜3の表面に絶縁層6が配されて、導電性粒子5の表面を被覆する形態となっている。
絶縁層6は、本発明の絶縁性微粒子を含んでいる。絶縁性微粒子の一例を図2に示した。絶縁性微粒子7は、架橋高分子微粒子7aと高分子A7bとで構成される非対称構造を有し、高分子A7bの金属が配位可能な部位に無機金属塩7cが配位したものである。非対称構造とは、架橋高分子微粒子と高分子Aとが複合化しており、架橋高分子微粒子が露出した表面と、高分子Aが露出した表面とを有する構造を指す。絶縁性微粒子に無機金属塩が配位していることによって、従来よりも機械的強度が増した絶縁層が形成可能となり、強い分散力が被覆粒子に加わったとしても絶縁層が破壊され難く、かつ加圧接続時に電極への物理的な食い込みが生じて導電性粒子を電極に固定できるようになるため、絶縁性及び導通信頼性を高めることができる。
所望の方向への絶縁性と導通信頼性とを両立して優れたものとする観点から、絶縁性微粒子の平均粒子径は、好ましくは50nm以上3000nm以下、更に好ましくは80nm以上2000nm以下である。また同様の観点から、導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下、更に好ましくは0.5μm以上30μm以下である。
上述した平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて、測定対象の粒子を200個測定したときの粒子径の平均値である。走査型電子顕微鏡画像において測定対象の粒子が球状でない場合、粒子径は、粒子の二次元投影像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)をいう。本形態における絶縁層の厚みは、絶縁性微粒子のうち、最も平均粒子径が大きい絶縁性微粒子の平均粒子径を絶縁層の厚みとみなすことができる。
本発明の絶縁性微粒子を構成する架橋高分子微粒子は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを含むモノマー成分を重合して得られる架橋高分子からなるものである。その形状は、特に制限はなく、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよい。球状以外の形状としては例えば、繊維状、中空状、板状又は針状が挙げられる。得られる絶縁性微粒子の導電性粒子への付着性の点や合成の容易性の点で架橋高分子微粒子は球状であることが好ましい。
前記架橋高分子微粒子を構成する非架橋性モノマーとしては、スチレン、o-,m-又はp-メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン及びクロロスチレン等の核置換スチレン;α-メチルスチレン、α-クロロスチレン及びβ-クロロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン及びプロピレン等のオレフィンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸フェニル等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル;酢酸ビニルが挙げられる。
架橋性モノマーとしては、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメテロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能ビニル系単量体;ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン含有系単量体;トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル等が挙げられる。
前記架橋高分子のモノマー成分としては、球状粒子を形成し易く、導電性粒子の表面との密着性にも優れることから、スチレン系モノマーを用いることが好ましく、スチレン及びジビニルベンゼンを用いることがより好ましい。
前記架橋高分子のモノマー成分中の架橋性モノマーの割合は、合成の容易さや機械物性の点から1~30モル%であることが好ましく、3~25モル%であることがより好ましい。
前記架橋高分子微粒子は、電荷を持つ官能基を有することが好ましく、電荷を持つ官能基を有するモノマーを用いて得られる架橋高分子からなることが好ましい。電荷を持つ官能基を有することで、得られる絶縁性微粒子が導電性粒子への密着性が向上したものとなり、また配位した金属塩が被覆粒子の最表面に位置しやすくなることから、より導電性粒子を電極に固定する効果が期待できる。
電荷を有する官能基としては、例えば、ホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等のオニウム系官能基が挙げられる。これらのうち、導電性粒子との密着性を高めて、絶縁性と導通信頼性とを高いレベルで兼ね備えた被覆粒子を形成する観点から、アンモニウム基又はホスホニウム基であることがより好ましく、ホスホニウム基であることが更に好ましい。
オニウム系官能基は、下記一般式(1)で表されるものが好ましく挙げられる。

(式中、Xはリン原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、Rは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、又はアリール基である。nは、Xが窒素原子、リン原子の場合は1であり、Xが硫黄原子の場合は0である。*は結合手である。)
オニウム系官能基における対アニオンとしては、例えばハロゲン化物イオンが挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
式(1)中、Rで表される直鎖状のアルキル基としては、例えば炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表される分岐鎖状のアルキル基としては、例えば炭素数3以上8以下の分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表される環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といったシクロアルキル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表されるアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
一般式(1)中、Rは、炭素数1以上12以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基であることが更に好ましい。また、一般式(1)中、Rが直鎖状アルキル基であることも更に好ましい。オニウム系官能基がこのような構成となっていることによって、絶縁性微粒子と導電性粒子との密着性を高めて絶縁性を確保するとともに、熱圧着時における導通信頼性を一層高めることができる。
モノマーの入手及び架橋高分子微粒子の調製を容易にする観点から、架橋高分子微粒子を構成する架橋高分子は、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。

(式中、X、R及びnは前記一般式(1)と同義である。mは0以上5以下の整数である。Anは一価のアニオンを示す。)

(式中、X、R及びnは前記一般式(1)と同義である。Anは一価のアニオンを示す。mは1以上5以下の整数である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
一般式(2)及び一般式(3)中のRの例としては、上述した一般式(1)中のRの官能基の説明が適宜適用される。イオン性基は、一般式(2)のベンゼン環のCH基に対しパラ位、オルト位、メタ位の何れに結合していてもよく、パラ位に結合することが好ましい。一般式(2)及び一般式(3)中、一価のAnとしてはハロゲン化物イオンが好適に挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
また、一般式(2)において、mは0以上2以下の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。一般式(3)においてmは1以上3以下が好ましく、1又は2がより好ましく、2が最も好ましい。
電荷を持つ官能基を有する架橋高分子は、例えばオニウム系官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有するモノマーに由来する成分を含んで構成されることが好ましい。
オニウム系官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム基含有モノマー;メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等のスルホニウム基を有するモノマー;4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリブチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリオクチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリメチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリエチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリブチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリオクチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリフェニルホスホニウムクロライド等のホスホニウム基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの非架橋性モノマーは、単独で又は二種以上含まれていてもよい。
架橋高分子において、電荷を有する官能基を含むモノマーの割合は、0.01モル%以上20モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上10モル%以下であることがより好ましい。電荷を有する官能基を含むモノマー成分の割合が多いと、球状粒子を形成し難くなり好ましくない。
架橋高分子微粒子は、上述のモノマーを用いた懸濁重合及び乳化重合等の公知の方法で、容易に製造することができる。
本発明の絶縁性微粒子における高分子Aは、金属が配位可能な部位を有する高分子である。金属が配位可能な部位としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアネート基、イソシアネート基、ホスフィノ基、チオール基、などの孤立電子対を有する官能基、又はβ-ジケトン構造、エナミン構造、β-ケトイミナート構造等が挙げられる。これらのうち、無機金属塩を容易に配位させることが可能な点から、金属が配位可能な部位はβ-ジケトン構造であることが好ましい。
高分子Aは、金属が配位可能な部位を有するモノマーに由来する成分を含んで構成されることが好ましく、そのようなモノマーとして、例えば金属が配位可能な部位を有し且つエチレン性不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。
金属が配位可能な部位を有し且つエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、3-アセチルプロピオン酸、5-ヘキセン酸、8-ノネン酸、9-デセン酸、10-ウンデセン酸、メタクリル酸2-イソシアナトエチル、アクリル酸2-イソシアナトエチル、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-アミノスチレン、アセト酢酸アリール、アリルマロン酸ジエチル、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル等が挙げられる。
高分子Aにおいて、金属が配位可能な部位を有するモノマーの割合は、配位させる無機金属塩の量を調整しやすい点から0.1~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
本発明の絶縁性微粒子は、架橋高分子微粒子に金属が配位可能な部位を有するモノマーを含むモノマー成分(モノマー成分A)を含侵させる工程1、前記モノマー成分Aを重合させて、架橋高分子微粒子と高分子Aとで構成される非対称微粒子を得る工程2、及び、前記微粒子の金属が配位可能な部位に無機金属塩を配位させる工程3、からなる方法により製造することができる。
前記工程1において架橋高分子微粒子にモノマー成分Aを含侵させる方法としては、例えば水のような分散媒に架橋高分子微粒子を分散させた分散液を調製し、ここにモノマー成分Aを添加して架橋高分子微粒子にモノマー成分を吸収させる方法が挙げられる。
前記方法においては、架橋高分子微粒子が凝集するのを防止するため、分散液に硝酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム等の二次粒子形成防止剤を添加することが好ましい。
また、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、スルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-25、オレイン酸グリセリル、ラウリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の界面活性剤を添加することで、架橋高分子微粒子にモノマー成分Aが吸収されやすくなる。
前記工程2におけるモノマー成分Aの重合は、公知の重合開始剤を用いて常法に従って行えばよいが、工程1において、さらに重合開始剤、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)等も添加して、モノマー成分Aと共に重合開始剤も架橋高分子微粒子に吸収させ、その後、分散液を加熱して重合を開始する方法で行うことができる。
モノマー成分Aを架橋高分子微粒子に含侵させた状態で重合することによって、架橋高分子微粒子と高分子Aとが複合化し、且つ、オニウム系官能基により親水性が付与された架橋高分子微粒子の表面近傍に、同じく親水基を有するモノマー成分Aが局在化して重合が進行するため、架橋高分子微粒子と高分子Aとで構成される非対称微粒子が生成する。
前記工程3において無機金属塩を配位させる方法としては、工程2で得られた非対称微粒を分散した分散液に所望の無機金属塩を添加して、高分子Aの金属が配位可能な部位に配位させる方法が挙げられる。
また、工程2で得られた非対称微粒子を分散した分散液に、所望の無機金属塩を形成可能な原料を添加して、高分子Aの金属が配位可能な部位に無機金属塩を析出させる方法も挙げられる。例えば、リン酸金属塩を配位させる場合、金属塩及びリン酸塩を分散液に加えてリン酸金属塩を生成させると共に高分子Aの金属が配位可能な部位に配位させることができる。
以上のようにして得られる絶縁性微粒子の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記計算式(I)で示される変動係数(Coefficient of Variation、以下「C.V.」とも記載する)により表わされる。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100・・・(I)
このC.V.が大きいということは粒度分布に幅があることを示し、一方、C.V.が小さいということは粒度分布がシャープであることを示す。本発明の絶縁性微粒子は、C.V.が好ましくは0.1%以上20%以下、より好ましくは0.5%以上19%以下のであることが望ましい。C.V.がこの範囲であることにより、後述する被覆粒子において、絶縁性微粒子を含む絶縁層の厚みを均一にできる利点がある。
本発明の被覆粒子は、芯材の表面に金属皮膜が形成された導電性粒子と、該導電性粒子を被覆する絶縁層とを備え、前記絶縁層が、上述した本発明の絶縁性微粒子を含むものである。
前記芯材の構成成分としては、無機物及び有機物を特に制限なく用いることができる。芯材の形状は特に制限はないが、好ましくは粒子状である。粒子状の芯材の形状は、例えば、球状、繊維状、中空状、板状、針状、不定形状等が挙げられる。これらのうち、粒子の充填性及び芯材への金属皮膜の形成を効率よく行う観点から、好ましくは球状である。芯材は、その表面に複数の突起を有するものであってもよい。以下の説明では、特に断りのない限り、芯材として、粒子状の芯材(芯材粒子)を用いた実施形態として説明する。
芯材に用いられる無機物としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、パラジウム等の金属又はこれらの合金、ハンダ等の金属化合物、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物の無水物又は含水物、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
芯材に用いられる有機物としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
芯材は、上述した無機物又は有機物のいずれか一方からなる材質で構成されていてもよく、これに代えて、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていてもよい。芯材2が無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている場合、芯材2における無機物及び有機物の存在態様としては、例えば、無機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する有機物からなるシェルとを備える態様、あるいは、有機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様等のコアシェル型の構成等が挙げられる。これらのほか、一つの芯材2の粒子中に、無機物と有機物とが混合されているか、あるいはランダムに融合しているブレンド型の構成等が挙げられる。
特に、芯材は、有機物からなる材質を主成分として構成されていることが好ましく、該有機物は樹脂を用いることがより好ましく、熱可塑性樹脂を用いることが更に好ましい。このような材質からなる芯材を用いることによって、粒子どうしの分散安定性を高めることができ、また、電子回路の電気的接続の際に、適度な弾性を発現させて導通性を高めることができる。また、構成成分として、金属粒子、セラミック、シリカ等の無機物を副成分とすることにより耐熱性を高めることもできる。
芯材として有機物を用いる場合、ガラス転移温度を有しないか、或いは、そのガラス転移温度は100℃超であることが、異方導電接続工程において芯材粒子の形状が維持されやすいことや金属皮膜を形成する工程において芯材粒子の形状を維持しやすい点から好ましい。また芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、200℃以下であることが、異方導電接続において導電性粒子が軟化しやすく接触面積が大きくなることで導通が取りやすくなる点から好ましい。この観点から、芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、100℃超180℃以下であることがより好ましく、100℃超160℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
芯材粒子として有機物を用いる場合において、その有機物が高度に架橋した樹脂であるときは、ガラス転移温度は下記実施例に記載の方法にて200℃まで測定を試みても、ほとんど観測されない。本明細書中ではこのような粒子を、ガラス転移点を有しない粒子ともいう。前記のこのようなガラス転移温度を有しない芯材粒子材料の具体例としては、前記で例示した有機物を構成する単量体に架橋性の単量体を併用して共重合させて得ることができる。
同様の観点から、芯材がガラス転移温度を有する場合、絶縁層のガラス転移温度と芯材のガラス転移温度との差は、160℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。また、絶縁層のガラス転移温度と芯材のガラス転移温度との差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
ガラス転移温度の測定方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
示差走査熱量計「STAR SYSTEM」(METTLER TOLEDO社製)を用いて、試料0.04~0.06gを、200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで25℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度5℃/minで昇温し、熱量を測定した。ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
導電性粒子の表面に導電性を発現させるための金属皮膜に用いられる導電性材料としては、例えば金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン等の金属又はこれらの合金、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。これらの材料は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
導電時の電気抵抗を低くしつつ、後述する絶縁層との密着性を高める観点から、金属皮膜は、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム及びハンダから選ばれる少なくとも一種の導電性材料を含んで構成されることが好ましく、ニッケル、パラジウム、金、ニッケル合金及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一種の導電性材料を含むことが更に好ましい。
導電性粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。導電性粒子の形状としては、例えば、球状、繊維状、中空状、板状、針状、不定形状等が挙げられる。これらのうち、充填性及び接続性を優れたものとする観点から、球状であるか、又は表面に突起を有する形状であることが好ましい。導電性粒子が表面に突起を有する形状である場合、表面に複数の突起を有することが好ましく、球の表面に複数の突起を有することが更に好ましい。導電性粒子が複数の突起を有する形状である場合、その突起は、複数の突起を有する芯材粒子によって形成されていてもよく、芯材粒子が突起を有さず、金属皮膜が複数の突起を有することによるものであってもよい。
導電性粒子がその表面に突起を有する場合、突起の高さは、好ましくは20nm以上500nm以下、更に好ましくは50nm以上400nm以下である。突起の数は、導電性粒子の粒径にもよるが、導電性粒子一つ当たり、好ましくは1個以上20000個以下、更に好ましくは5個以上5000個以下であることが、導電性粒子の導電性を一層向上させる点で有利である。また、突起の基部の長さは、好ましくは5nm以上500nm以下、更に好ましくは10nm以上400nm以下である。突起の基部の長さは、粒子の断面視における電子顕微鏡像を用いて測定したときに、突起が形成されている部位における導電性粒子の表面に沿う長さをいい、突起の高さは、突起の基部から突起頂点までの最短距離をいう。なお、一つの突起に複数の頂点がある場合は、最も高い頂点をその突起の高さとする。突起の基部の長さ及び突起の高さは、電子顕微鏡により観察された20個の異なる粒子について測定した算術平均値とする。
芯材に金属皮膜を形成する場合、金属皮膜の厚さは、好ましくは0.001μm以上2μm以下、更に好ましくは0.01μm以上1.5μm以下である。金属皮膜が複数層からなる積層構造である場合、金属皮膜の積層構造全体の厚さが上述した範囲であればよい。また、導電性粒子が後述する突起を有する場合、突起の高さは、ここでいう金属皮膜の厚さに含まないものとする。金属皮膜の厚さは、例えば測定対象の被覆粒子を2つに切断し、その切り口の断面をSEM観察して測定することができる。
絶縁層は、導電性粒子の表面を被覆している。図1に示す被覆粒子1は、金属皮膜3の表面に絶縁層6が配されて、導電性粒子5の表面を被覆する形態となっている。
絶縁層は、上述した本発明の絶縁性微粒子を含む。該絶縁性微粒子に無機金属塩が配位していることによって、加圧接続時に電極への物理的な食い込みが生じて導電性粒子を電極に固定できるようになるため、絶縁性及び導通信頼性を高めることができる。
絶縁層は、導電性粒子の表面全体を満遍なく連続して被覆していてもよく、或いは導電性粒子の表面の一部のみを被覆していてもよい。前者の場合、導電性粒子は、金属皮膜の表面全域が絶縁層によって完全に被覆されて、導電性粒子の表面が露出していない状態になっている。後者の場合、導電性粒子は、その表面が下地である芯材及び金属皮膜の少なくとも一種からなる部位と、絶縁層からなる部位とから構成される。絶縁層が導電性粒子の表面の一部のみを被覆している場合、被覆部位が連続していてもよく、海島状に不連続に被覆していてもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。
詳細には、被覆粒子における絶縁層の形成態様は、例えば以下に示す(i)及び(ii)の形態が挙げられる。
(i)図3(a)に示すように、高分子A7bに無機金属塩7cが配位している絶縁性微粒子7が、導電性粒子5の表面に層状に配置された形態。
(ii)図3(b)に示すように、絶縁性材料8と絶縁性微粒子7からなる層状の絶縁層6が、導電性粒子5の表面に配置された形態。
図3(b)に示すように、絶縁層6が層状である場合の絶縁性材料8は、溶融又は溶媒に溶解させて流動性が高い状態にすることが可能で、導電性粒子5の表面を膜状に被覆できる性質を有するものであればよく、例えば、スチレン系及びアクリル系の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、絶縁層6は、連続していてもよく、海島状に不連続であってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。
以下に、被覆粒子の製造方法について説明する。
まず、芯材の表面に金属皮膜が形成された導電性粒子を用意する。芯材の表面に金属皮膜を形成する方法としては、例えば、芯材粒子に対して、蒸着法、スパッタ法、メカノケミカル法、ハイブリダイゼーション法等を利用する乾式法、電解めっき法、無電解めっき法等を利用する湿式法が挙げられ、これらの方法は単独で又は複数組み合わせて行うことができる。これに代えて、導電性粒子は、市販のものを用いてもよい。
次に、上述の絶縁性微粒子と導電性粒子とを混合して、導電性粒子の表面に絶縁性微粒子からなる絶縁層を備える被覆粒子を得る。例えば、絶縁性微粒子と、導電性粒子とを混合して、導電性粒子の表面に、絶縁性微粒子を含む絶縁層を備える被覆粒子を形成させることができる。
絶縁性微粒子と導電性粒子との混合は、分散媒中にこれらの粒子を加えて分散液とすることが好ましい。分散媒としては、水、有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられ、水、エタノール、又はエタノールと水との混合液が好ましく用いられる。
分散液は無機塩、有機塩又は有機酸を含有することが、絶縁層の被覆率が一定以上の被覆粒子を得やすい点から好ましい。無機塩、有機塩又は有機酸としては、陰イオンを解離するものが好適に用いられる。陰イオンとしては、Cl、F、Br、I、SO 2-、CO 2-、NO 、COO、RCOO(Rは有機基)等が好適である。無機塩としては、例えばNaCl、KCl、LiCl、MgCl、BaCl、NaF、KF、LiF、MgF、BaF、NaBr、KBr、LiBr、MgBr、BaBr、NaI、KI、LiI、MgI、BaI、NaSO、KSO、LiSO、MgSO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、LiCO、LiHCO、MgCO、NaNO、KNO、LiNO、MgNO、BaNO等を用いることができる。また有機塩としては、シュウ酸Na、酢酸Na、クエン酸Na、酒石酸Na等を用いることができる。有機酸としてはグリシン等のアミノ酸や、コハク酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。
好ましい無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は、導電性粒子表面積において絶縁性微粒子が占める被覆面積としてどの程度とするかにより異なるが、導電性粒子混合後の分散液中において、例えば、0.1mmol/L以上100mmol/L以下となる濃度であると、好適な被覆率を有し、また絶縁性微粒子が単層である被覆粒子を得やすいために好ましい。この観点から、当該分散液中の無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は1.0mmol/L以上80mmol/L以下であることが特に好ましい。
絶縁性微粒子と導電性粒子とを含む分散液において、導電性粒子は質量基準で100ppm以上100000ppm以下含有されていることが好ましく、500ppm以上80000ppm以下含有されていることがより好ましい。また、絶縁性微粒子は、質量基準で10ppm以上50000ppm以下含有されていることが好ましく、250ppm以上30000ppm以下含有されていることがより好ましい。
品質が一定な被覆粒子を得る観点から、分散液の温度は、絶縁性微粒子と導電性粒子との混合時において、20℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上100℃以下であることが更に好ましい。特に、最も低いガラス転移温度を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、分散液の温度は、Tg-30℃以上Tg+30℃以下であることが好ましい。この範囲であると、絶縁性微粒子がその形状を維持しながら導電性粒子の表面に密着しやすくなる。特に、絶縁性微粒子と、導電性粒子との親和性をより一層高めることができるので、被覆率が十分に高い被覆粒子を製造することができる。
分散液における分散時間は、好ましくは0.1時間以上24時間以下とすることによって、絶縁性微粒子と導電性粒子とを十分に付着させることができる。この間、分散液を撹拌することが好ましい。この後、必要に応じて、分散液の固形分を、洗浄、乾燥することによって、絶縁性微粒子が導電性粒子の表面に付着した被覆粒子が得られる。このようにして得られた被覆粒子は、導電性粒子の表面に、絶縁性微粒子が複数付着した絶縁層が形成されているものである。
図3(b)に示すような層状の絶縁層を形成する場合には、まず絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子を用いて、これらが導電性粒子の表面に複数付着した被覆粒子を製造する。その後、この被覆粒子に対して、有機溶媒による処理を行うか、又は加熱処理を行うことによって、絶縁性材料からなる微粒子を流動性が高い状態にして、絶縁性微粒子と共に導電性粒子の表面を膜状に被覆する絶縁層を形成することができる。絶縁層を膜状に形成することによって、絶縁層と導電性粒子との密着性をより高くすることができ、絶縁性がより高いものとなる。
絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子が導電性粒子表面に付着した被覆粒子は、その分散液に有機溶剤を添加することによっても、絶縁性材料からなる微粒子を流動状態にすることができるため、導電性粒子表面を膜状に被覆することができる。絶縁性材料からなる微粒子を融解させる場合、この有機溶剤としてはテトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミド等を用いることができる。有機溶剤の添加量としては、絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、分散液中の被覆粒子1質量部に対して1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。添加温度としては、絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子が脱落することなく均一な膜を形成しやすい点から、10℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましい。また添加してから膜状にさせる時間としては、均一な膜を形成させる点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。このようにして、図3(b)に示すような、層状の絶縁層を好適に形成することができる。
被覆粒子を加熱する方法としては、絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子を導電性粒子表面に付着させた後の分散液を加温する方法や、得られた被覆粒子を水などの溶媒中に再度分散させて、該溶媒中で加温する方法、得られた被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子及び絶縁性材料からなる微粒子が脱落することなく均一な膜を形成しやすい点から、絶縁性材料のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、Tg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましく、Tg+15℃超であることが最も好ましい。加熱時間としては、均一な膜を形成しやすい点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。また、被覆粒子を気相中で加温する場合、その圧力条件は大気圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。このようにして、図3(b)に示すような、層状の絶縁層を好適に形成することができる。
導電性粒子表面を層状の絶縁層で被覆した被覆粒子は、絶縁層をより安定化させるために、アニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の方法としては、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性材料のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、Tg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましい。加熱雰囲気としては特に制限されず、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は空気等の酸化性雰囲気において、大気圧下、減圧下又は加圧下の何れの条件で行うこともできる。
以上のようにして得られた被覆粒子は、無機金属塩が配位した絶縁層を有することで、従来よりも機械的強度が増した絶縁層となり、強い分散力が被覆粒子に加わったとしても絶縁層が破壊され難く、かつ電極間で熱圧着した際に無機金属塩により被覆粒子が電極に固定化されやすくなるので導通信頼性が高まったものとなる。本発明の被覆粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として好適に使用される。これらの導電性材料は、本発明の被覆粒子と、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂とを含んでおり、好ましくはこれらが混合されてなる。導電性材料は、必要に応じて、樹脂硬化剤や有機溶剤を更に含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]
冷却管、撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後スチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)27.8mmol、ジビニルベンゼン(DVB―960、日鉄ケミカル&マテリアル社製)2.2mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(VBTEPC、日本化学工業(株)社製)0.03mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V-50、東京化成工業(株)社製)2.7mgを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄した。得られた架橋高分子微粒子の粒子径は260~280nmであり、C.V.が3.9%であった。
次いで、冷却管、撹拌羽根を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、前記架橋高分子微粒子0.25gと純水を50mL投入した。次にスチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)11.7mmol、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル(AAEM、東京化成工業(株)社製)0.15mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、東京化成工業(株)社製)40mgを投入した。さらに水相での二次粒子形成防止剤として硝酸ナトリウム(NaNO、関東化学(株)社製)100mg、モノマー吸収補助剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB、東京化成工業(株)社製)7.5mgを添加した。室温で24時間攪拌して前記架橋高分子微粒子にスチレンモノマー、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を吸収させた。その後、窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、80℃に昇温し、24時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄することで、非対称微粒子を得た。得られた非対称微粒子のSEM写真を図4に、TEM写真を図5に示す。また得られた非対称微粒子のフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)社製、FT/IR-6600)を測定した結果を図6に示す。
SEM写真及びTEM写真で確認された形状、並びにFT-IRスペクトルの1720~1750cm-1付近にカルボニル基由来のC=O伸縮振動が見られたことから、得られた非対称微粒子は、架橋高分子微粒子とAAEMに由来するβ-ジケトン構造を有する高分子とで構成されたものであることが確認された。
[無機金属塩が配位した絶縁性微粒子の製造]
次いで、5mLサンプル瓶に前記非対称微粒子25mg、硝酸カルシウム四水和物(Ca(NO・HO、関東化学(株)社製)18.7mg、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO、関東化学(株)社製)3.1mg、及び純水10mLを加え、アンモニア水を添加してpHを10に調整して、撹拌しながら室温で24時間放置した。その後、遠心分離により粒子を分離し、純水へ再分散する操作を4回繰り返して精製し、絶縁性微粒子を得た。得られた絶縁性微粒子の粒子径は260~280nmであり、C.V.が3.9%であった。
得られた絶縁性微粒子のSEM写真を図7に、TEM写真を図8に示す。これらの写真から析出したリン酸カルシウムが絶縁性微粒子表面に担持されていることが確認された。
[被覆粒子の製造]
芯材として、架橋アクリル樹脂(ガラス転移温度:120℃)からなる球状粒子を用い、該芯材粒子の表面に厚さが0.150μmのニッケルからなる金属皮膜を有する、平均粒子径が5.3μmであり、表面が平滑な導電性粒子(Niめっき粒子;日本化学工業株式会社製)を用意した。前記Niめっき粒子5.0gに純水100mLを投入し、撹拌してNiめっき粒子の分散液を得た。1質量%のベンゾトリアゾールの水溶液10mLをこの分散液に投入して5分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、ベンゾトリアゾールの層を表面に有するNiめっき粒子を回収した。このNiめっき粒子を純水100mLに分散した分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、固液分離して新たな純水を加え洗浄する操作を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例2〕
[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]
実施例1と同じ方法で、架橋高分子微粒子及び非対称微粒子を得た。
[無機金属塩が配位した絶縁性微粒子の製造]
実施例1と同じ方法で、絶縁性微粒子を得た。
[非架橋高分子微粒子の製造]
冷却管、撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後スチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)30.0mmol、アクリル酸n-ブチル(nBA、関東化学(株)社製)5.3mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(VBTEPC、日本化学工業(株)社製)0.03mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V-50、東京化成工業(株)社製)2.7mgを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄した。得られた非架橋高分子微粒子の平均粒子径は245nmであり、C.V.が3.6%であった。
[被覆粒子の製造]
実施例1で使用したものと同じベンゾトリアゾールの層を表面に有するNiめっき粒子5.0gを、純水100mLに分散した分散液に、絶縁性微粒子、非架橋高分子微粒子及びNaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子、非架橋高分子微粒子及びNaSOの投入後の分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で8,000ppmであり、非架橋高分子微粒子の固形分濃度は質量基準で2,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、固液分離して新たな純水を加え洗浄する操作を3回繰り返して、洗浄済み粒子を得た。前記洗浄済み粒子を純水80mL中に投入して分散させ、この分散液にテトラヒドロフラン20mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例3〕
実施例2の[被覆粒子の製造]において、洗浄済み粒子5.0gを、純水100mLに投入して分散液とし、該分散液を95℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例4〕
実施例1の[被覆粒子の製造]において、表面が平滑な導電性粒子に替えて、平均高さ0.1μmの多数の突起部を有する導電性粒子(突起付きNiめっき粒子;日本化学工業(株)社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様に被覆粒子を製造した。被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例5〕
[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]
冷却管、撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後スチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)27.8mmol、ジビニルベンゼン(DVB―960、日鉄ケミカル&マテリアル社製)2.2mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルアンモニウムクロライド(VBTEPC、日本化学工業(株)社製)0.03mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V-50、東京化成工業(株)社製)2.7mgを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄した。得られた架橋高分子微粒子の粒子径は260~280nmであり、C.V.が3.9%であった。
次いで、冷却管、撹拌羽根を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、前記架橋高分子微粒子0.25gと純水を50mL投入した。次にスチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)11.7mmol、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル(AAEM、東京化成工業(株)社製)0.15mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、東京化成工業(株)社製)40mgを投入した。さらに水相での二次粒子形成防止剤として硝酸ナトリウム(NaNO、関東化学(株)社製)100mg、モノマー吸収補助剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB、東京化成工業(株)社製)7.5mgを添加した。室温で24時間攪拌して前記架橋高分子微粒子にスチレンモノマー、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を吸収させた。その後、窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、80℃に昇温し、24時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄することで、非対称微粒子を得た。
[無機金属塩が配位した絶縁性微粒子の製造]
次いで、5mLサンプル瓶に前記非対称微粒子25mg、硝酸カルシウム四水和物(Ca(NO・HO、関東化学(株)社製)18.7mg、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO、関東化学(株)社製)3.1mg、及び純水10mLを加え、アンモニア水を添加してpHを10に調整して、撹拌しながら室温で24時間放置した。その後、遠心分離により粒子を分離し、純水へ再分散する操作を4回繰り返して精製し、絶縁性微粒子を得た。得られた絶縁性微粒子の粒子径は260~280nmであり、C.V.が3.9%であった。
[被覆粒子の製造]
芯材として、架橋アクリル樹脂(ガラス転移温度:120℃)からなる球状粒子を用い、該芯材粒子の表面に厚さが0.150μmのニッケルからなる金属皮膜を有する、平均粒子径が5.3μmであり、表面が平滑な導電性粒子(Niめっき粒子;日本化学工業株式会社製)を用意した。前記Niめっき粒子5.0gに純水100mLを投入し、撹拌してNiめっき粒子の分散液を得た。1質量%のベンゾトリアゾールの水溶液10mLをこの分散液に投入して5分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、ベンゾトリアゾールの層を表面に有するNiめっき粒子を回収した。このNiめっき粒子を純水100mLに分散した分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、固液分離して新たな純水を加え洗浄する操作を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例6〕
[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]
実施例5と同じ方法で、架橋高分子微粒子及び非対称微粒子を得た。
[無機金属塩が配位した絶縁性微粒子の製造]
実施例5と同じ方法で、絶縁性微粒子を得た。
[非架橋高分子微粒子の製造]
冷却管、撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後スチレンモノマー(St、関東化学(株)社製)30.0mmol、アクリル酸n-ブチル(nBA、関東化学(株)社製)5.3mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルアンモニウムクロライド(VBTEPC、日本化学工業(株)社製)0.03mmol、および重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V-50、東京化成工業(株)社製)2.7mgを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行した。氷浴にて冷却後、遠心機にて微粒子の固形分を沈降させ上澄み液を除去し、純水を加えて洗浄した。得られた非架橋高分子微粒子の平均粒子径は245nmであり、C.V.が3.6%であった。
[被覆粒子の製造]
実施例5で使用したものと同じベンゾトリアゾールの層を表面に有するNiめっき粒子5.0gを、純水100mLに分散した分散液に、絶縁性微粒子、非架橋高分子微粒子及びNaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子、非架橋高分子微粒子及びNaSOの投入後の分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で8,000ppmであり、非架橋高分子微粒子の固形分濃度は質量基準で2,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、固液分離して新たな純水を加え洗浄する操作を3回繰り返して、洗浄済み粒子を得た。前記洗浄済み粒子を純水80mL中に投入して分散させ、この分散液にテトラヒドロフラン20mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例7〕
実施例6の[被覆粒子の製造]において、洗浄済み粒子5.0gを、純水100mLに投入して分散液とし、該分散液を95℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔実施例8〕
実施例5の[被覆粒子の製造]において、表面が平滑な導電性粒子に替えて、平均高さ0.1μmの多数の突起部を有する導電性粒子(突起付きNiめっき粒子;日本化学工業株式会社製)に変更した他は、実施例5と同様に被覆粒子を製造した。被覆粒子の平均粒子径は5.4nmであった。
〔比較例1〕
実施例1において、[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]で得られたホスホニウム基を有する架橋高分子微粒子をそのまま絶縁性微粒子としてNiめっき粒子を被覆して被覆粒子を得たこと以外は、実施例1と同じ方法で被覆粒子を得た。被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔比較例2〕
実施例1の[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]において得られるホスホニウム基を有する架橋高分子微粒子と、実施例2の[非架橋高分子微粒子の製造]において得られるホスホニウム基を有する非架橋高分子微粒子とを、そのまま絶縁性微粒子としてNiめっき粒子を被覆して被覆粒子を得た。この被覆粒子5.0gを、純水80mL中に投入して分散させ、この分散液にテトラヒドロフラン20mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、ホスホニウム基を有する架橋高分子微粒子からなる絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔比較例3〕
実施例1において、[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]で得られたホスホニウム基を有する架橋高分子微粒子をそのまま絶縁性微粒子として使用したこと、及び[被覆粒子の製造]で使用した表面が平滑な導電性粒子に替えて、平均高さ0.1μmの多数の突起部を有する導電性粒子(突起付きNiめっき粒子;日本化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で被覆粒子を得た。被覆粒子の平均粒子径は5.4nmであった。
〔比較例4〕
実施例5において、[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]で得られたアンモニウム基を有する架橋高分子微粒子をそのまま絶縁性微粒子としてNiめっき粒子を被覆して被覆粒子を得たこと以外は、実施例5と同じ方法で被覆粒子を得た。被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔比較例5〕
実施例5の[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]において得られるアンモニウム基を有する架橋高分子微粒子と、実施例6の[非架橋高分子微粒子の製造]において得られるアンモニウム基を有する非架橋高分子微粒子とを、そのまま絶縁性微粒子としてNiめっき粒子を被覆して被覆粒子を得た。この被覆粒子5.0gを、純水80mL中に投入して分散させ、この分散液にテトラヒドロフラン20mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して50℃で真空乾燥して、アンモニウム基を有する架橋高分子微粒子からなる絶縁性微粒子と、非架橋高分子微粒子が融解し膜状となった高分子層とが複合して形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。得られた被覆粒子の平均粒子径は5.4μmであった。
〔比較例6〕
実施例5において、[架橋高分子微粒子、及び非対称微粒子の製造]で得られたアンモニウム基を有する架橋高分子微粒子をそのまま絶縁性微粒子として使用したこと、及び[被覆粒子の製造]で使用した表面が平滑な導電性粒子に替えて、平均高さ0.1μmの多数の突起部を有する導電性粒子(突起付きNiめっき粒子;日本化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例5と同じ方法で被覆粒子を得た。被覆粒子の平均粒子径は5.4nmであった。
〔被覆率の評価〕
実施例及び比較例で得られた被覆粒子の被覆率を以下の方法によって算出した。すなわち、被覆粒子のSEM写真画像の反射電子組成(COMPO)像を自動画像解析装置(株式会社ニレコ製、ルーゼックス(登録商標)AP)に取り込み、前記COMPO像における20個の被覆粒子を対象として被覆粒子の被覆率を算出した。被覆率が高いほど、絶縁層が緻密に形成されていることを示す。結果を表1に示す。
〔導通性及び絶縁性の評価〕
実施例及び比較例の被覆粒子を用いて導通性及び絶縁性の評価を以下の方法で行った。
[導通性の評価]
エポキシ樹脂100質量部、硬化剤150質量部及びトルエン70質量部を混合した絶縁性接着剤と、実施例及び比較例で得られた被覆粒子15質量部とを混合して、絶縁性ペーストを得た。このペーストをシリコーン処理ポリエステルフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、その後、ペーストを乾燥させて、フィルム上に薄膜を形成した。得られた薄膜形成フィルムを、全面がアルミニウムを蒸着させたガラス基板と、銅パターンが50μmピッチに形成されたポリイミドフィルム基板との間に配して、電気接続を行った。この基板間の導通抵抗を測定することで、被覆粒子の導通性を室温下(25℃・50%RH)で評価した。抵抗値が低いほど被覆粒子の導通性が高いものであると評価できる。被覆粒子の導通性評価は、抵抗値が2Ω未満であるものを「非常に良好」(表1中、記号「○」で示す。)とし、抵抗値が2Ω以上5Ω未満であるものを「良好」(表1中、記号「△」で示す。)とし、抵抗値が5Ω以上であるものを「不良」(表1中、記号「×」で示す。)とした。結果を表1に示す。
[絶縁性の評価]
微小圧縮試験機MCTM-500(株式会社島津製作所製)を用いて、20個の被覆粒子を対象として、負荷速度0.5mN/秒の条件で実施例及び比較例の被覆粒子を圧縮し、抵抗値が検出されるまでの圧縮変位を測定することで被覆粒子の絶縁性を評価した。抵抗値が検出されるまでの圧縮変位が大きいほど、被覆粒子の絶縁性が高いものであると評価できる。被覆粒子の絶縁性評価は、抵抗値が検出されるまでの圧縮変位の算術平均値が10%以上であるものを「非常に良好」(表1中、記号「○」で示す。)とし、圧縮変位の算術平均値が3%超10%未満であるものを「良好」(表1中、記号「△」で示す。)とし、圧縮変位の算術平均値が3%以下であるものを「不良」(表1中、記号「×」で示す。)とした。結果を表1に示す。
Figure 2024016497000005
表1に示すように、本発明の絶縁性粒子を用いた被覆粒子は、絶縁層の機械的強度が高く形成されており、かつ無機金属塩により電極に固定されやすくなるので、絶縁性に優れるとともに、導通信頼性にも優れていることが判る。
1 被覆粒子
2 芯材
3 金属皮膜
5 導電性粒子
6 絶縁層
7 絶縁性微粒子
7a 架橋高分子微粒子
7b 高分子A
7c 無機金属塩
8 絶縁性材料

Claims (10)

  1. 架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子とで構成される非対称構造を有し、前記金属が配位可能な部位に無機金属塩が配位している絶縁性微粒子。
  2. 前記架橋高分子微粒子が、電荷を持つ官能基を有する、請求項1に記載の絶縁性微粒子。
  3. 前記電荷を持つ官能基が、アンモニウム基又はホスホニウム基である、請求項2に記載の絶縁性微粒子。
  4. 前記金属が配位可能な部位が、β-ジケトン構造である、請求項1に記載の絶縁性微粒子。
  5. 前記無機金属塩が、リン酸アルカリ金属塩及びリン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも一種のリン酸金属塩である、請求項1に記載の絶縁性微粒子。
  6. 芯材の表面に金属皮膜が形成された導電性粒子と、該導電性粒子を被覆する絶縁層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1~5の何れか一項に記載の絶縁性微粒子を含む、被覆粒子。
  7. 前記絶縁層が、膜状である、請求項6に記載の被覆粒子。
  8. 前記金属皮膜を構成する金属が、ニッケル、パラジウム、金、ニッケル合金、パラジウム合金及び金合金から選ばれる少なくとも一種である、請求項6に記載の被覆粒子。
  9. 架橋高分子微粒子に金属が配位可能な部位を有するモノマーを含むモノマー成分を含侵させる工程、
    前記モノマー成分を重合させて、架橋高分子微粒子と金属が配位可能な部位を有する高分子とで構成される非対称構造を有する微粒子を得る工程、及び、
    前記微粒子の金属が配位可能な部位に無機金属塩を配位させる工程、
    からなる絶縁性微粒子の製造方法。
  10. 前記無機金属塩が、リン酸アルカリ金属塩及びリン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも一種のリン酸金属塩であり、
    前記無機金属塩を配位させる工程が、前記微粒子の存在下で金属塩とリン酸塩とを反応させて前記リン酸金属塩を生成させると共に前記微粒子の金属が配位可能な部位に前記リン酸金属塩を配位させる工程である、請求項9に記載の絶縁性微粒子の製造方法。
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