JP2024011424A - 電力変換装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】3レベルインバータの中性点の電位変動を抑制する。【解決手段】一対の直流端子に並列に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータ及び第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータの出力に接続された第1コンデンサと、前記第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータの出力に接続された第2コンデンサと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点に接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、前記複数の変換セルを制御する制御装置と、を備える、電力変換装置。【選択図】図1
Description
本開示は、電力変換装置及びその制御方法に関する。
従来、電力変換装置の一つとして、SST(Solid State Transformer)が知られている。SSTは、高周波トランスを搭載した絶縁型双方向DC/DCコンバータと、そのDC/DCコンバータの一方の直流側に接続されたインバータとをそれぞれ有する複数のセルを備える(例えば、非特許文献1参照)。各セルの直流出力端は、直流バスに並列に接続されている。SSTは、各セルの交流出力端が直列に接続されることで、昇圧トランスレスで高圧系統に連系できる。
また、3レベル変換器を用いた電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電力変換装置は、直列に接続された2つのコンデンサ(第1コンデンサと第2コンデンサ)の中間接続点に中性点が接続された3レベル変換器と、第1コンデンサの電圧と第2コンデンサの電圧とのバランスを制御する制御回路と、を備える。
Voltage and Power Balance Control for a Cascaded H-Bridge Converter-Based Solid-State Transformer (IEEE Transactions on Power Electronics, Vol.28, No.4, pp.1523-1532)
通常、SSTのインバータは、単相2レベルインバータが適用される。しかし、2レベルインバータは3レベルインバータに比べ出力電圧が低い。そのため、SSTが連系する系統電圧が高くなるほど、セル数が増加し、セル数の増加に伴って装置寸法及びコストが増大する。
一方、SSTのようなセルを直列多重接続する装置において、3レベルインバータを適用した場合、インバータの中性点の電位が変動し、SSTが運転できない場合がある。
本開示は、3レベルインバータの中性点の電位変動を抑制可能な電力変換装置及びその制御方法を提供する。
本開示では、
一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、
前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する制御装置と、を備える、電力変換装置が提供される。
一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、
前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する制御装置と、を備える、電力変換装置が提供される。
また、本開示では、
一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、を備える電力変換装置の制御方法であって、
制御装置は、前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する、電力変換装置の制御方法が提供される。
一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、を備える電力変換装置の制御方法であって、
制御装置は、前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する、電力変換装置の制御方法が提供される。
本開示によれば、3レベルインバータの中性点の電位変動を抑制できる。
以下、実施形態について説明する。なお、"DC","AC"は、それぞれ、"Direct Current","Alternative Current"の略語である。
図1は、一実施形態の電力変換装置の構成例を示す図である。図1に示す電力変換装置1は、3直列の変換セルを相ごとに備えるSSTである。図1は、SSTを、太陽光発電装置と蓄電池を併設するマルチソースの自家消費型再生可能エネルギーシステムに適用した場合を例示する。太陽光発電装置は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池を用いた太陽光発電(PV)を行う。
太陽光発電装置は、DC/DCコンバータ11を介して直流バス13に接続される。蓄電池は、DC/DCコンバータ12を介して直流バス13に接続される。直流バス13は、電力変換装置1の直流出力端に接続される。電力変換装置1は、直流バス13の直流を交流に変換して出力する。電力変換装置1の交流出力端は、電線14を介して、系統15に接続される。電線14には、電線14から電力供給を受ける不図示の重要負荷が接続されている。
この自家消費型システムのメリットとして、非常用電源としての機能がある。系統15の正常時、PVで発電した直流電力は、DC/DCコンバータ11及び直流バス13を介して電力変換装置1に供給され、電力変換装置1により交流電力に変換されて、系統15に出力される。一方、停電時などの系統15の異常時は、系統15が不図示のスイッチで切り離された後、蓄電池は、非常用電源として活用される。非常用電源として機能する蓄電池から出力される直流電力は、DC/DCコンバータ12及び直流バス13を介して電力変換装置1に供給され、電力変換装置1により交流電力に変換されて、電線14に接続される不図示の重要負荷に供給される。
電力変換装置1が系統15に連系するときの運転モードを連系運転と呼び、電力変換装置1が非常電源として動作する運転モードを自立運転と呼ぶ。
図1に示す電力変換装置1は、直流バス13側の直流を系統15側の交流に、又は、系統15側の交流を直流バス13側の直流に双方向に変換するSSTである。電力変換装置1は、U相の3つの変換セルU1,U2,U3と、V相の3つの変換セルV1,V2,V3と、W相の3つの変換セルW1,W2,W3と、これらの変換セルのそれぞれの電力変換動作を制御する制御装置206と、を備える。なお、各相の変換セルの個数は、3つに限られず、一つでも二つ以上の数でもよい。また、各相の変換セルは、同一構成であるので、代表して、U相の変換セルについて以下説明する。
複数の変換セルU1,U2,U3は、それぞれ、直流バス13側の直流を系統15側の交流に、又は、系統15側の交流を直流バス13側の直流に双方向に変換するセル変換器である。複数の変換セルU1,U2,U3は、それぞれ、一対の直流出力端r,s、第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータ210、第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータ220、一対の直流リンクPm,Nm、第1コンデンサ301、第2コンデンサ302、インバータ400及び一対の交流出力端p,qを有する。以下、絶縁型双方向DC/DCコンバータを、単に、コンバータとも称する。
直流出力端r,sは、例えば、コンバータ210,220の各々の一方の直流出力側(直流バス13側)に接続される入出力端子である。高電位側の直流出力端rは、直流バス13の高電位側の第1バスPに接続され、低電位側の直流出力端sは、直流バス13の低電位側の第2バスNに接続される。直流出力端r,sは、後述の1次側ブリッジ回路211,221の直流出力端に接続される。
交流出力端p,qは、例えば、インバータ400の交流出力側(系統15側)に接続される入出力端子である。
複数の変換セルU1,U2,U3は、交流出力端p,qをそれぞれ有し、交流出力端p,qを介して直列に接続される。複数の変換セルU1,U2,U3は、それぞれ、自身の第1交流出力端pが自身に隣接する一方の変換セルの第2交流出力端qに接続され、自身の第2交流出力端qが自身に隣接する他方の変換セルの第1交流出力端pに接続される。交流出力端p,qを介して直列に接続される複数の変換セルのうち、最も高電位側に位置する変換セル(この例では、変換セルU1)の第1交流出力端pは、U相の電線14における連系リアクトルを介して系統15に接続される。一方、交流出力端p,qを介して直列に接続される複数のセルのうち、最も低電位側の変換セル(この例では、変換セルU3)の第2交流出力端qは、中性点16に接続される。
コンバータ210,220は、一対の直流出力端r,sに並列に接続されている。コンバータ210は、一対の直流端子r,sと第1コンデンサ301との間に接続され、一対の直流端子r,sの電圧を第1コンデンサ301の電圧に又は第1コンデンサ301の電圧を一対の直流端子r,sの電圧に変換する絶縁型双方向DC/DCコンバータである。コンバータ220は、一対の直流端子r,sと第2コンデンサ302との間に接続され、一対の直流端子r,sの電圧を第2コンデンサ302の電圧に又は第2コンデンサ302の電圧を一対の直流端子r,sの電圧に変換する絶縁型双方向DC/DCコンバータである。
コンバータ210は、複数の変換セルU1,U2,U3で共通の直流バス13から入力される直流電圧を昇圧又は降圧して、所定の直流電圧を第1直流リンクPmと中性点Mとの間の第1コンデンサ301に出力する。コンバータ210は、第1直流リンクPmと中性点Mとの間の直流電圧を昇圧又は降圧して、所定の直流電圧を直流バス13に出力してもよい。
コンバータ220は、複数の変換セルU1,U2,U3で共通の直流バス13から入力される直流電圧を昇圧又は降圧して、所定の直流電圧を第2直流リンクNmと中性点Mとの間の第2コンデンサ302に出力する。あるいは、コンバータ210は、第2直流リンクNmと中性点Mとの間の直流電圧を昇圧又は降圧して、所定の直流電圧を直流バス13に出力してもよい。
コンバータ210は、例えば、トランス213と、1次側ブリッジ回路211と、2次側ブリッジ回路212とを備える。1次側ブリッジ回路211と2次側ブリッジ回路212とは、トランス213によって磁気的に結合する。一方、コンバータ220は、例えば、トランス223と、1次側ブリッジ回路221と、2次側ブリッジ回路222とを備える。1次側ブリッジ回路221と2次側ブリッジ回路222とは、トランス223によって磁気的に結合する。
1次側ブリッジ回路211,221は、DC/AC変換回路とも称される。2次側ブリッジ回路212,222は、AC/DC変換回路とも称される。トランス213,223は、高周波変圧器とも称される。
例えば、コンバータ210は、トランス213の1次側に設けられた1次側フルブリッジ回路とトランス213の2次側に設けられた2次側フルブリッジ回路とを有するDAB(Dual Active Bridge)コンバータである。同様に、コンバータ220は、トランス223の1次側に設けられた1次側フルブリッジ回路とトランス223の2次側に設けられた2次側フルブリッジ回路とを有するDABコンバータである。1次側フルブリッジ回路は、1次側ブリッジ回路211,221の一例である。2次側フルブリッジ回路は、2次側ブリッジ回路212,222の一例である。DABコンバータは、トランスの漏れインダクタンス又はトランスに直列に接続された外付けリアクトルに電圧が印加されることで、1次側と2次側との間で電力を伝送する。伝送される電力は、1次側のインバータ回路(1次側フルブリッジ回路)の2つの中間接続点から出力される出力電圧V1と、2次側のインバータ回路(2次側フルブリッジ回路)の2つの中間接続点から出力される出力電圧V2との位相差によって制御される。
トランス213,223は、1次側コイルと2次側コイルとを有し、1次側コイルと2次側コイルとが磁気的に結合する変圧器である。
1次側フルブリッジ回路は、1次側第1上アームと1次側第1下アームとが直列に接続される1次側第1ハーフブリッジ回路と、1次側第2上アームと1次側第2下アームとが直列に接続される1次側第2ハーフブリッジ回路とを有する。トランス213の1次側コイルは、1次側第1上アームと1次側第1下アームとの中間接続点と1次側第2上アームと1次側第2下アームとの中間接続点との間に接続される。
2次側フルブリッジ回路は、2次側第1上アームと2次側第1下アームとが直列に接続される2次側第1ハーフブリッジ回路と、2次側第2上アームと2次側第2下アームとが直列に接続される2次側第2ハーフブリッジ回路とを有する。トランス213の2次側コイルは、2次側第1上アームと2次側第1下アームとの中間接続点と2次側第2上アームと2次側第2下アームとの中間接続点との間に接続される。
1次側第1上アーム、1次側第1下アーム、1次側第2上アーム及び1次側第2下アーム等の複数の1次側スイッチ素子は、制御装置206からの制御信号に従ってスイッチ制御される。2次側第1上アーム、2次側第1下アーム、2次側第2上アーム及び2次側第2下アーム等の複数の2次側スイッチ素子は、制御装置206からの制御信号に従ってスイッチされる。
1次側スイッチ素子及び2次側スイッチ素子の具体例として、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子が挙げられる。
第1コンデンサ301及び第2コンデンサ302は、一対の直流リンクPm,Nmの間に直列に接続されている。第1コンデンサ301と第2コンデンサ302の間の中間接続点は、インバータ400中性点M(第1コンデンサ301と第2コンデンサ302の間の中性点)である。
2次側ブリッジ回路212の直流出力端は、第1直流リンクPm及び中性点Mの間の第1コンデンサ301に接続されている。第1コンデンサ301は、第1直流リンクPm及び中性点Mの間の直流電圧(直流中間電圧EdcU11)の平滑用コンデンサである。直流中間電圧EdcU11は、第1コンデンサ301の電圧に相当する。直流中間電圧EdcU11は、第1コンデンサ301によって平滑化される。
2次側ブリッジ回路222の直流出力端は、第2直流リンクNm及び中性点Mの間の第2コンデンサ302に接続されている。第2コンデンサ302は、第2直流リンクNm及び中性点Mの間の直流電圧(直流中間電圧EdcU12)の平滑用コンデンサである。直流中間電圧EdcU12は、第2コンデンサ302の電圧に相当する。直流中間電圧EdcU12は、第2コンデンサ302によって平滑化される。
インバータ400は、コンバータ210,220に一対の直流リンクPm,Nm及び中性点Mを介して接続された回路であり、この例では、単相3レベルインバータである。インバータ400は、一対の直流リンクPm,Nm間の直流中間電圧(=EdcU11+EdcU12)を交流電圧に変換して交流出力端p,qに出力する。インバータ400は、交流出力端p,qから入力される交流を直流に変換して一対の直流リンクPm,Nmに出力してもよい。
インバータ400は、一対の直流リンクPm,Nmの間に接続されるu相アームと、一対の直流リンクPm,Nmの間に接続されるv相アームとを有する。
u相アームは、スイッチ素子Q1,Q2,Q3,Q4及びクランプダイオードD1,D2を有する。スイッチ素子Q1~Q4のそれぞれには、逆並列ダイオードが接続されている。クランプダイオードD1は、アノードが中性点Mに接続され、カソードがスイッチ素子Q1,Q2との間の接続点に接続されている。クランプダイオードD2は、カソードが中性点Mに接続され、アノードがスイッチ素子Q3,Q4との間の接続点に接続されている。スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3との間の接続点は、交流出力端pに接続されている。
v相アームは、スイッチ素子Q5,Q6,Q7,Q8及びクランプダイオードD3,D4を有する。スイッチ素子Q5~Q8のそれぞれには、逆並列ダイオードが接続されている。クランプダイオードD3は、アノードが中性点Mに接続され、カソードがスイッチ素子Q5,Q6との間の接続点に接続されている。クランプダイオードD4は、カソードが中性点Mに接続され、アノードがスイッチ素子Q7,Q8との間の接続点に接続されている。スイッチ素子Q6とスイッチ素子Q7との間の接続点は、交流出力端qに接続されている。
スイッチ素子Q1~Q8は、例えば、IGBTである。しかし、スイッチ素子Q1~Q8は、GCT(Gate Commutated Turn-off)サイリスタやMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの他の半導体スイッチでもよい。
制御装置206は、電力変換装置1の各相の複数の変換セルを制御する。制御装置206は、例えば、メモリとプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit))を有し、制御装置206の各機能は、メモリに記憶されたプログラムによって、プロセッサが動作することにより実現される。制御装置206の各機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよい。
制御装置206は、コンバータ210,220が直流バス13から入力される直流電圧を昇圧又は降圧して所定の直流電圧を一対の直流リンクPm,Nmの間に出力するようにコンバータ210,220を制御する。各相のコンバータ210,220は、相間で同一の制御方法により制御されてよい。一方、制御装置206は、インバータ400が一対の直流リンクPm,Nmの間の直流中間電圧を交流電圧に変換して交流出力端p,qに出力するようにインバータ400を制御する。各相のインバータ400は、相間で同一の制御方法により制御されてよい。
制御装置206は、直列に多重接続された複数のインバータ400のそれぞれに互いに異なる位相で電圧波形を出力させることで、電力変換装置1は、スイッチ素子の耐圧以上の電圧を有し、且つ、高調波が低減されたマルチレベル電圧波形を出力できる。直列に多重接続された複数のインバータ400の両端電圧は、それらの複数のインバータ400の各々の一対の交流出力端p,qに発生する矩形波状の電圧を加算した(重ねた)値になる。そのため、それらの各段のインバータ400が互いに異なる位相で電圧波形を出力することで、高調波の少ないマルチレベル波形を合成することができる。
インバータ400は、上述のような構成にすることで、出力電圧を正弦波化するためのLCフィルタを小型化できる。また、3レベルインバータを適用したことで、1回のスイッチ動作当たりの電圧変動幅が2レベルインバータの半分となるため、半導体スイッチで発生するスイッチング損失を概ね半減できるなどの利点がある。
しかし、単相3レベルインバータでは、中性点Mに流れる電流(中性点電流)によって、中性点Mの電位が変動する場合がある。
一般に、インバータでは、出力電圧の周波数に対して搬送波の周波数を十分高く設定するため、搬送波の周波数帯におけるインバータ出力電力(高調波電力)は、微小であり、これによる中性点電位の変動は小さい。
しかしながら、共振抑制装置のように、搬送波の周波数が比較的低く、更に積極的に高調波を出力する装置の場合、高調波電力による中性点電位変動が大きい。そのため、従来の制御技術で中性点変動を抑制するためには、インバータの電気仕様に十分な余裕を設ける必要があり、装置の大型化を招くおそれがある。また、中性点の電位変動によって、一方のコンデンサ電圧が高くなり、素子耐圧の超過による素子破損を招くおそれがある。
そこで、本実施形態では、制御装置206は、複数の変換セルのそれぞれの第1コンデンサ301の電圧と複数の変換セルのそれぞれの第2コンデンサ302の電圧を同一の電圧値に制御する。第1コンデンサ301の電圧と第2コンデンサ302の電圧がそれぞれ同一の電圧値に制御されることで、中性点Mの電位変動が抑えられる。その結果、電力変換装置1の大型化や素子破損を未然に防ぐことができる。
次に、制御装置206が実行する電力変換装置1の制御方法について説明する。各相のセルは、相間で同一の制御方法で制御されてよいので、代表して、変換セルU1の制御方法について、以下説明する。
図2は、インバータの制御方式を例示する制御ブロック図である。制御装置206は、直流バス13の直流電圧が所定の電圧値になるようにインバータ400を動かすインバータ制御部40を有する。減算器41は、入力される直流バス電圧指令と直流バス電圧Vbusの検出値との差分を算出する。直流バス電圧指令は、直流バス13の直流バス電圧Vbusの指令値である。PI調節器42は、差分をPI調節演算する。DQ逆変換器43は、PI調節器42の出力をDQ逆変換(VD-1)し、出力電流指令Iurefを生成する。出力電流指令Iurefは、系統15側のU相の出力電流Iuの指令値である。減算器44は、出力電流指令Iurefと出力電流Iuの検出値の差分を算出する。P調節器45は、当該差分をP制御した結果を出力する。加算器46は、P調節器45の出力にU相の系統電圧Vuの検出値を加算して、出力電圧指令Vurefを生成する。ゲート指令演算部47は、出力電圧指令Vurefをゲート指令演算することで、インバータ400の各スイッチング素子のゲート信号を生成して、インバータ400を動かす。
図3は、第1の双方向絶縁型DC/DCコンバータの制御方式を例示する制御ブロック図である。制御装置206は、直流中間電圧EdcU11が所定の値になるようにコンバータ210を動かすコンバータ制御部20を有する。減算器21は、入力される第1直流中間電圧指令と直流中間電圧EdcU11の検出値との偏差を算出する。第1直流中間電圧指令は、直流中間電圧EdcU11の指令値である。PI調節器22は、当該偏差をPI調節演算して、コンバータ210の直流電流指令IdcU11rを生成する。直流電流指令IdcU11rは、第1直流バスPmに流れる直流電流の指令値である。減算器23は、直流電流指令IdcU11rと直流電流IdcU11の検出値との差分を出力する。PI調節器24は、当該差分をPI調節演算して、コンバータ210の1次側(直流バス側)出力電圧と2次側(直流中間電圧側)出力電圧との位相差φ1を求める。ゲート指令演算部25は、この位相差に基づいてゲート指令演算することで、コンバータ210の各スイッチング素子のゲート信号を生成して、コンバータ210を動かす。
図4は、第2の双方向絶縁型DC/DCコンバータの制御方式を例示する制御ブロック図である。制御装置206は、直流中間電圧EdcU12が所定の値になるようにコンバータ220を動かすコンバータ制御部30を有する。減算器31は、入力される第2直流中間電圧指令と直流中間電圧EdcU12の検出値との偏差を算出する。第2直流中間電圧指令は、直流中間電圧EdcU12の指令値である。PI調節器32は、当該偏差をPI調節演算して、コンバータ220の直流電流指令IdcU12rを生成する。直流電流指令IdcU12rは、中性点Mに流れる直流電流の指令値である。減算器33は、直流電流指令IdcU12rと直流電流IdcU12の検出値との差分を出力する。PI調節器34は、当該差分をPI調節演算して、コンバータ220の1次側(直流バス側)出力電圧と2次側(直流中間電圧側)出力電圧との位相差φ2を求める。ゲート指令演算部35は、この位相差に基づいてゲート指令演算することで、コンバータ220の各スイッチング素子のゲート信号を生成して、コンバータ210を動かす。
このように、本実施形態によれば、コンバータ210が直流中間電圧EdcU11を制御し、コンバータ220が直流中間電圧EdcU12を制御することで、中性点電位Mの変動を抑制できる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 電力変換装置
11,12 DC/DCコンバータ
13 直流バス
14 電線
15 系統
20,30 コンバータ制御部
40 インバータ制御部
210 第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータ
211,221 1次側ブリッジ回路
212,222 2次側ブリッジ回路
213,223 トランス
220 第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータ
206 制御装置
301 第1コンデンサ
302 第2コンデンサ
400 インバータ
p,q 交流出力端
r,s 直流出力端
U1,U2,U3,V1,V2,V3,W1,W2,W3 変換セル
11,12 DC/DCコンバータ
13 直流バス
14 電線
15 系統
20,30 コンバータ制御部
40 インバータ制御部
210 第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータ
211,221 1次側ブリッジ回路
212,222 2次側ブリッジ回路
213,223 トランス
220 第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータ
206 制御装置
301 第1コンデンサ
302 第2コンデンサ
400 インバータ
p,q 交流出力端
r,s 直流出力端
U1,U2,U3,V1,V2,V3,W1,W2,W3 変換セル
Claims (5)
- 一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、
前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する制御装置と、を備える、電力変換装置。 - 前記制御装置は、前記第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータによって前記第1コンデンサの電圧を制御し、前記第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータによって前記第2コンデンサの電圧を制御する、請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記制御装置は、前記第1コンデンサの電圧が所定の値になるように前記第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータを動かし、前記第2コンデンサの電圧が所定の値になるように前記第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータを動かす、請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記制御装置は、前記一対の直流端子が接続されるバスの直流電圧が所定の電圧値になるように前記3レベルインバータを動かす、請求項3に記載の電力変換装置。
- 一対の直流端子と、一対の直流リンクと、前記一対の直流リンクの間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記一対の直流端子と前記第1コンデンサとの間に接続された第1の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記一対の直流端子と前記第2コンデンサとの間に接続された第2の絶縁型双方向DC/DCコンバータと、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの間の中性点と前記一対の直流リンクとに接続された3レベルインバータと、をそれぞれ有し、前記3レベルインバータの交流出力端を介して直列に接続された複数の変換セルと、を備える電力変換装置の制御方法であって、
制御装置は、前記複数の変換セルの前記第1コンデンサの電圧及び前記複数の変換セルの前記第2コンデンサの電圧を制御する、電力変換装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022113384A JP2024011424A (ja) | 2022-07-14 | 2022-07-14 | 電力変換装置及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024011424A true JP2024011424A (ja) | 2024-01-25 |
Family
ID=89621811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022113384A Pending JP2024011424A (ja) | 2022-07-14 | 2022-07-14 | 電力変換装置及びその制御方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024011424A (ja) |
-
2022
- 2022-07-14 JP JP2022113384A patent/JP2024011424A/ja active Pending
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