JP2024010235A - 人工歯をデジタル設計する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工歯をデジタル設計するための方法を提供する。【解決手段】コンピュータ支援設計に基づいた、自然に見える機能的な人工歯を設計する方法は、有効な設計のベースとして所定の咬合様式に咬合させた基準歯列を利用する。歯科補綴物の作製において、特に様々な咬合様式にわたって有効な、一貫した機能構成および性能を提供するために、人工臼歯の咬合面はデジタル環境で設計される。【選択図】図1
Description
関連出願への相互参照
本出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる2018年6月1日に出願された米国特許仮出願第62/679,093号の利益およびそれに基づく優先権を主張するものである。
本出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる2018年6月1日に出願された米国特許仮出願第62/679,093号の利益およびそれに基づく優先権を主張するものである。
本発明は、歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工歯をデジタル設計するための方法に関する。より具体的には、発明は、基準臼歯形態の咬合面をデジタル修正することによって、歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工臼歯をデジタル設計することに関する。
補綴学の分野では、義歯床内の人工歯の構成はささいな課題ではない。義歯作製プロセス全体、歯の設計(幅および長さ)、咬合角度、ならびに全体的な歯の配置様式の深い知識を有する当業者を必要とする。正常な装着中の義歯の固定、バランスの悪い咬合、不適切な歯の垂直配置、および概して全体的な適合不良に関する問題は、人工歯の配置に関する共通の問題である。しばしば、歯は、これらの共通の問題を回避するために、適合を改善するように削合される必要がある。患者にとって、良好な適合が確立されるまでかかりつけの歯科医を何度も訪れることは珍しくない。
現在の人工歯に関する重要な問題または欠点の1つは、天然歯と比較した場合の審美性の低下である。これは、自然に見えない歯色および/もしくは半透明性/乳光性、ならびに/または自然に見えない咬合面(歯の噛む表面)の形状もしくは形態的特徴として特に顕著な場合がある。審美性の低下に加えて、咬合面の形状もしくは形態的特徴は、特に、様々な現在利用可能な歯の咬合角度および咬合様式との関連で、使用中の義歯の機能および/または安定性の不足一因にもなり得る。全部床義歯および部分床義歯では、上側(上顎)および下側(下顎)義歯の構成は、義歯の成功に重要な検討事項の1つである。無歯顎患者は、最も快適な方法で機能および審美性を回復させる義歯処置を求める。全部床義歯は無歯顎患者の生活様式を大幅に改善するが、不適合な、またはあまり機能しない義歯は、患者の生活の質を劇的に下げる。
義歯床内の歯の構成は、様々な咬合様式を使用して行われてよい。咬合様式は、天然および人工歯列中の対向する接触歯間の接触の形態および編成と定義される。上顎/下顎咬合面上の接触のパターンおよび場所は、咬合様式の性質によって支配される。長年にわたって、いくつかの異なる咬合様式が、全部床義歯および/またはオーバーデンチャーのために開発された。
様々な義歯構成の歯を記載する「咬合角度」の概念が、歯科学で一般に使用されている。全部床義歯では、様々な「咬合角度」が臼歯に提供される。これらの角度は、典型的には0°~40°の範囲であり、歯形態の近遠心方向で見た場合の、臼歯の咬頭先端と中央溝との間に形成された角度を大まかに説明する。しかしながら、このような不規則な有機的形状では、臼歯の任意の所与の断面について様々な角度が定義され得ることが認められた。この曖昧さのため、「咬合角度」は、様々な機能構成のための歯のプロファイルの尺度には不十分となり、患者の所望の咬合様式の達成へのさらなる試行錯誤による努力につながり得る。
多くの市販の人工臼歯形状が、実在の有形/物理的プロセス内で作業する熟練した職人の設計技術に基づいて作製されている。熟練した職人は、いくらかの所定の咬合角度範囲(例えば、0°、10°、20°、および30°)に従う様々な物理モデル歯形態を彫刻するために、詳細な物理彫刻を苦心して作製および改良する。これらの手作りの物理モデル歯形態は、次いで、歯科補綴物作製者に供給される人工歯の大量生産に使用される「生産用マスター」歯形態モデルを確立するためのベースとなる。しかしながら、この手作りプロセスに頼ることは、著しい不利および欠点を有する。これらの中には主に、多様な患者集団のニーズに対応するために必要なそのような広範囲の個々の物理歯形態を、個々に手作業で作製するのに必要な時間および労力の深刻な投資がある。臼歯の複数のセットまたは群(組み合わされた上側および下側歯列弓の4つの四分円を満たす、2つの大臼歯および2つの小臼歯を各々有する4セット)は、それ自体の特有の咬合形状/構造を各々備え、他方と相補的および調和的に見えかつ機能するように作られなければならない。さらにこのプロセスは、一連の異なる所定の咬合角度だけでなく、一連の異なる歯の幅/大きさにわたっても別個のセットまたは群を提供するために繰り返されなければならない。これは、患者集団に見られる機能構成特徴の多様性に有効に応じるために必要である。したがって、審美的にも好ましく、異なる咬合様式で有効にかつ信頼性高く機能することもできる新しい歯形態を確立するこの物理的プロセスは、現在、非常に困難かつ高価である一方、高度に専門的な技術および経験のセットを必要とする。
したがって、歯科補綴で使用するための、自然に見える機能的な人工歯を設計する方法の改善に対するニーズが存在する。具体的には、歯科補綴物の作製において、特に様々な咬合様式にわたって有効な、一貫した機能構成および性能を提供する、デジタル技術に基づいた、人工臼歯の咬合面を設計するためのより効率的かつ一貫した方法に対するニーズが存在する。
これらのおよび他のニーズを満たす、部分床義歯および全部床義歯などの、歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工歯をデジタル設計する方法が開示される。本開示は、所定の咬合様式に咬合させた基準歯列から開始して、コンピュータ支援設計を使用して歯をデジタル設計する方法を提供する。
歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工臼歯をデジタル設計する方法は、(a)上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態を有する歯列モデルの三次元(3D)デジタルモデルを提供するステップであって、上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態の各々は、複数の基準前歯形態および複数の基準臼歯形態を含み、上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態の両方は、歯列モデルの所定の咬合様式および咬頭嵌合が有効に作成されるように互いに対向して配置される、ステップと、(b)3Dデジタルモデルの各基準臼歯形態の咬合面および咬合下面を識別するステップであって、咬合面は、約5mm以下の0でない咬合深さによって特徴づけられる、ステップと、(c)3Dデジタルモデルの歯列弓形態の1つの中で選択される最初の基準臼歯形態を修正するステップであって、(i)最初の基準臼歯形態の初期基準咬合深さ(ODRef)を確認するステップと、(ii)最初の基準臼歯形態の咬合下面を実質的に変化がないままにしながら、初期基準咬合深さ(ODRef)を異なる標的咬合深さ(ODTarget)に調整することによって最初の臼歯形態の咬合面のジオメトリを修正するステップと、を含む、最初の基準臼歯形態を修正するステップと、(d)最初の基準臼歯形態と同じ3Dデジタルモデルの歯列弓形態の四分円内に位置する各隣接基準臼歯形態を修正するステップであって、(i)各隣接基準臼歯形態の咬合深さを確認するステップと、(ii)咬合深さを、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整することによって、各隣接基準臼歯形態の咬合面のジオメトリを修正するステップと、を含む、各隣接基準臼歯形態を修正するステップと、(e)3Dデジタルモデルの最初の基準臼歯形態に対向して配置された歯列弓形態の対向する四分円内に位置する、各対向する基準臼歯形態を修正するステップであって、(i)各対向する基準臼歯形態の咬合深さを確認するステップと、(ii)咬合深さを、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整することによって、各対向する基準臼歯形態の咬合面のジオメトリを修正するステップと、を含む、各対向する基準臼歯形態を修正するステップとを含んでよい。
3Dデジタルモデルに所定の咬合様式を提供することは、機械式調節性咬合器で上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態を物理的に配置することを含んでよい。あるいは、3Dデジタルモデルに所定の咬合様式を提供することは、仮想調節性咬合器で上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態をデジタル処理で配置することを含んでよい。所定の咬合様式は、リンガライズドオクルージョン、バランスドオクルージョン、リニアオクルージョン、およびそれらの組み合わせから選択されてよい。
一実施形態では、本開示の方法は、上顎および下顎歯列弓形態の残りの四分円内に位置する、各残りの基準臼歯形態を修正するステップであって、(a)各残りの基準臼歯形態の咬合深さを確認するステップと、(b)咬合深さを、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整することによって、各残りの基準臼歯形態の咬合面のジオメトリを修正するステップとを含む、各残りの基準臼歯形態を修正するステップをさらに含んでよい。
本開示の一態様では、基準臼歯形態の咬合面のジオメトリを修正するステップは、咬合面内の複数の咬頭位置および溝位置を定義する複数のデジタル点、非一様有理基底スプライン(NURBS)曲面、および/または細分割(Sub-D)曲面を再配置することによってさらに特徴づけられてよい。
本開示の別の態様では、より小さい標的咬合深さ(ODTarget)への初期基準咬合深さ(ODRef)の低減は、咬頭位置を、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に縮小し、溝位置を、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に減弱させることによって達成されてよい。
本開示の別の態様では、標的咬合深さ(ODTarget)への初期基準咬合深さ(ODRef)の増加は、咬頭位置を、標的咬合深さと基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に拡大し、溝位置を、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に深くすることによって達成されてよい。
別の実施形態では、本開示の方法は、(a)複数のデジタル断面を基準臼歯形態の各々にわたって生成および分配することであって、デジタル断面は、歯列弓形態の近遠心方向に直交して位置する、生成および分配することと、(b)対向する基準臼歯形態の咬合面間の交差または接触の存在についてデジタル断面を検査することと、(c)対向する基準臼歯形態の咬合面間の交差または接触を低減または除去するために、1つ以上の咬頭位置、または1つ以上の溝位置、または両方を歯冠-根尖方向に減弱させることであって、それにより、歯列モデルと同じ咬合様式が維持され、咬合面間距離が歯列モデルと実質的に同じ値に維持される、減弱させることとによって、1つ以上の咬頭位置、または1つ以上の溝位置、または両方を咬合面内で再配置するステップをさらに含んでよい。
さらに別の実施形態では、本開示の方法は、各基準臼歯形態の近遠心幅径を修正するステップであって、(a)各基準臼歯形態の近遠心幅径を確認するステップと、(b)所定の倍率を適用して、各基準臼歯形態の近遠心幅径を、患者特有の歯科補綴物ニーズのための所定の歯形態の大きさに調整するステップとを含む、各基準臼歯形態の近遠心幅径を修正するステップをさらに含んでよい。
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、例示的実施形態、および利点は、以下の説明、付属の請求項、および添付の図面でよりよく理解されるであろう。
上記の概要と、添付図と共に以下に提示する詳細な説明および特許請求の範囲とにおいて、発明の特定の特徴および実施形態が言及される。本明細書での発明の開示は、このような特定の特徴のすべての可能な組み合わせを含むことを理解すべきである。例えば、発明の特定の態様もしくは実施形態または特定の請求項に関連して特定の特徴が開示される場合、その特徴はまた、可能な範囲で、発明の他の特定の態様および実施形態と組み合わせておよび/または関連して、発明において一般に使用することができる。
本明細書で2つ以上の定義されたステップを含む方法に言及する場合、定義されたステップは、(文脈がその可能性を除外する場合を除いて)任意の順序でまたは同時に実行することができ、方法は、(文脈がその可能性を除外する場合を除いて)定義されたステップのいずれかの前に、定義されたステップのうちの2つの間に、またはすべての定義されたステップの後で実行される、1つ以上の他のステップを含むことができる。以下のさらなる定義は、特に明記しない限り、発明の明細書および特許請求の範囲の全体を通して適用されるものとする。
「約」という用語は、本明細書では、指定された値のプラスまたはマイナス5パーセント、好ましくは指定された値のプラスまたはマイナス3パーセント、より好ましくは指定された値のプラスまたはマイナス1パーセントを意味する概算の用語として使用される。
「本質的に」および「実質的に」という用語は、本明細書では、説明されている基本的な性質または優勢な特徴に関連して、必ずしも全体的にまたは完全にではないが大体において、を示す概算の用語として使用される。
数字の前の「少なくとも」という用語は、本明細書では、その数字で始まる範囲(定義される変数に応じて、上限をもつかまたは上限をもたない範囲であり得る)の開始を示すのに使用される。例えば、「少なくとも1つ」は、1つまたは1つよりも多い、を意味する。
数字の前の「多くとも」または「以下」という用語は、本明細書では、その数字で終わる範囲(定義される変数に応じて、その下限として1もしくは0を有する範囲、または下限をもたない範囲であり得る)の終了を示すのに使用される。例えば、「多くとも100」または「100以下」は、100または100未満を意味する。本明細書において、範囲が「(第1の数字)から(第2の数字)」または「(第1の数字)~(第2の数字)」として与えられるとき、これは、その下限が第1の数字であり、その上限が第2の数字である範囲を意味する。例えば、1~5mmは、その下限が1mmであり、その上限が5mmである範囲を意味する。
本明細書で使用される場合の「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせと、代替(「または」)で解釈されるときの組み合わせの欠如とを含む。例えば、「Aおよび/またはB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBとを一緒に、またはそれらの混合物を意味する。
「の下」、「よりも下」、「下に」、「下側」、「の上」、「上側」、「よりも上」、「の上」、「左」、「右」などの方向的または空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に例示された要素または特徴と他の要素(複数可)または特徴(複数可)との関係性を説明するために説明を簡単にするのに使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、装置の異なる配向を包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図中の装置を反転させた場合、他の要素または特徴「よりも上」または「の上」として説明される要素または特徴は、他の要素または特徴「よりも下」または「の下」に配向される。装置は、他の様態に配向(例えば、90度回転または他の配向)されてよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述はそれに応じて解釈される。同様に、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」などの用語は、本明細書では、特に明記しない限り、相対的な説明のみを目的として使用される。
「解剖学的人工歯」(単数および複数)という用語は、所与の歯の種類について、特に咬合面に関して、天然歯(単数および複数)の解剖学的形状および/または形態的特徴を実質的に複製するかまたは類似する歯(単数および複数)形態を指す。解剖学的人工歯は、対向する歯との咬頭嵌合のための実質的な咬頭高または咬頭長、および軽~中程度に摩耗した天然歯に特徴的な咬合面上の咬頭隆起および咬頭傾斜(例えば、典型的には約30°以上の咬頭傾斜)を有する。
「準解剖学的人工歯」(単数および複数)という用語は、解剖学的人工歯(単数および複数)のものと同様のいくつかの特徴を有する歯(単数および複数)形態を指し、対向する歯との咬頭嵌合のための咬頭高または咬頭長を有するが、また同様に天然歯に特徴的な咬合面上の咬頭隆起および咬頭傾斜がより小さい(例えば、約20°以下の咬頭傾斜)。
「非解剖学的人工歯」(単数および複数)という用語は、所与の歯の種類について、特に咬合面に関して、天然歯(単数および複数)の解剖学的形状および/または形態的特徴が欠如した歯(単数および複数)形態を指す。非解剖学的人工歯は、本質的に平坦であり(すなわち、0度または無咬頭とも呼ばれ)、対向する歯との咬頭嵌合のための咬頭高がない実質的に平坦な隆線を有し、天然歯に特徴的な咬合面上の咬頭隆起および咬頭傾斜が欠如している。
歯の「咬合面」という用語は、本発明の文脈では、噛む(咀嚼する)またはすりつぶすために使用される歯の上面領域を指す。これは、対向する顎内の1つ以上の対向する歯の同様の表面と咬合し、接触するかまたはほぼ接触するかのいずれかである歯の上面である。内外両側面領域が機能構成ならびに噛む/すりつぶす性能に寄与するため、本明細書で使用される場合、溝および内側咬頭傾斜の内側面領域(401a、401b)、ならびに上面の外側咬頭傾斜の外側面領域(402a、402b)の両方を含むことを理解すべきである。
歯の「咬合下面(sub-occlusal surface)」(403a、403b)という用語は、本発明の文脈では、歯の「咬合面」のすぐ隣および下の表面を指す。
歯の「近遠心幅径」(203)という用語は、歯列弓形態の近遠心方向(202)にわたって測定した歯形態の幅または直径を指す。
「咬合面間距離」という用語は、上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態が所定の咬合様式を形成するように互いに対向しているときの、対向する上顎および下顎の歯の咬合面間の距離を指す。
歯列モデルの3Dデジタルモデルの提供
本発明では、歯の望ましい審美的および機能的な形態的特徴および配置を備える、歯列弓のセットのための適切な初期基準モデルを確立するのが有利である。したがって、図1に示すような上顎(上側)歯列弓形態(101)および図2に示すような下顎(下側)歯列弓形態(201)を表す歯列モデルの正確な三次元(3D)デジタルモデルの提供または取得が、発明の第1の態様で確立されてよい。
本発明では、歯の望ましい審美的および機能的な形態的特徴および配置を備える、歯列弓のセットのための適切な初期基準モデルを確立するのが有利である。したがって、図1に示すような上顎(上側)歯列弓形態(101)および図2に示すような下顎(下側)歯列弓形態(201)を表す歯列モデルの正確な三次元(3D)デジタルモデルの提供または取得が、発明の第1の態様で確立されてよい。
様々な既知の撮像または走査システムおよび方法(例えば、レーザ光学スキャナ、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ)が、歯列弓および歯列の正確な3Dデジタルモデルを取得するのに利用可能である。発明の一実施形態では、3Dデジタルモデルは、望ましい審美性および機能的な形態的特徴を備える天然歯を有する基準歯列弓形態の物理モデル(例えば、歯科印象の鋳造モデル)の走査から取得されてよい。代替の実施形態では、3Dデジタルモデルは、望ましい審美性および機能的な形態的特徴を備える人工歯を有する基準歯列弓形態の物理モデルの走査から取得されてよい。さらに別の代替の実施形態では、選択された特定の技術およびシステムに応じて、適切な3Dデジタルモデルを、基準となる患者の歯列弓および歯列の口内または顎外走査から直接取得することも可能であってよい。
対応するデジタル基準モデルを提供する撮像または走査は、1つ以上の手法を使用して当業者により達成されてよい。一手法では、当業者は、歯の基準咬合および咬頭嵌合を有効に作成するために、選択または所定の咬合様式の物理歯列弓モデルの物理咬合器「セットアップ」を使用してよく、続いてこのセットアップの走査および個々の歯列弓形態の走査を行う。次いで、ソフトウェアが、個々の歯列弓形態画像を完全な物理セットアップの画像とデジタル処理で整列させるのに使用されてよい。別の手法では、当業者は、物理セットアップを用いずに、個々の歯列弓および/または個々の歯を別々に走査/撮像してよい。これらの走査/画像を取得したら、次いで、当業者は、歯の基準咬合および咬頭嵌合を有効に作成するために、仮想環境で仮想咬合器を備えたソフトウェアを使用して、仮想モデルの様々な要素を選択または所定の咬合様式に構成または整列させることができる。基準歯列モデル用の所定の咬合様式の作成を容易にするために、当該技術分野では、上顎歯列弓形態と下顎歯列弓形態との間の咬合構成を確立するための調節性咬合器の使用が当業者に知られている。調節性咬合器は、上顎および下顎鋳造物が取り付けられてよい上側および下側構成要素を有する機械装置(または仮想環境で使用される場合はその仮想表現)である。咬合器は、(咬頭嵌合位または後方咬合位(RCP)での)患者の上顎骨対下顎骨の静的関係を再現することを意図しており、限られた範囲で側方および前方運動も提供してよい。咬合器は、診断および処置計画のために個々の歯および全歯列弓を研究するのに使用され、固定式および可撤式補綴物ならびに間接歯科修復物の調整を可能とする。
歯科補綴物の設計における一般論として、解剖学的および/または準解剖学的人工歯形態は、非解剖学的(平坦)人工歯形態より好ましい。解剖学的および/または準解剖学的人工歯形態は、向上した審美性および咀嚼能力への影響のため、患者および歯科医による主観的評価および客観的評価の両方において一般に優れているとされる。図3Aおよび図3Bは、解剖学的人工歯形態を有する歯列モデルの例示的3Dデジタルモデルの異なる斜視図を示し、図中、上顎歯列弓形態(301)および下顎歯列弓形態(302)は、歯の咬頭嵌合を有する所定の咬合様式で互いに対向して設定されている。
義歯の成功のための原則論の1つは、咬合である。具体的には、義歯が天然歯と異なる生体力学的特性を示す補綴学の分野で確立されてきた。義歯は1つのユニットとして振る舞い、単一の義歯に加えられた任意の力は残りの義歯に直接伝達されることになる。この制限を克服するために、義歯用のいくつかの咬合概念が長年にわたって登場した。臼歯咬合面形状および咬合様式の変更は、義歯および患者の顎の顎堤に横方向の力を加え得る。義歯は何世紀にもわたって補綴学で使用されてきたが、いずれか1つの咬合様式を支持する有力な根拠を欠いたまま今日に至る。
咬合様式は、天然および人工歯列の咬合接触の形態および配置と定義される。咬合様式の選択は、中心位および下顎骨の機能運動中の対向する歯間の咬合接触のパターンを決定する。義歯では、これらの接触の量および強度は、義歯床を通じて顎堤に伝わる力の量および方向を決定する。したがって、咬合様式は、義歯の設計における重要な要素である。歯科補綴物および/または修復物を作製するためのより一般に受け入れられている咬合様式には、いわゆるリンガライズドオクルージョン、バランスドオクルージョン、およびリニアオクルージョン様式がある。義歯を必要とするすべての患者に適合する1つの一般的な咬合様式はおそらくないと考えられており、多くの場合、2つ以上の咬合様式が適していてよい。熟練した歯科医および歯科技工士は、個々の患者のニーズに最適な咬合様式を決定してよく、様々な一般に知られた咬合様式に汎用性がありかつ容易に対応するように設計された人工歯を有することが、非常に望ましい。
一実施形態では、発明の方法によって設計された人工歯は、特定の咬合様式(例えば、リンガライズドオクルージョンのみ、またはバランスドオクルージョンのみ)で最適な義歯構成および機能のために設計されてよい。好ましい実施形態では、人工歯は、2つ以上の咬合様式(例えば、リンガライズドおよびバランスドオクルージョン、リンガライズド、バランスドおよびリニアオクルージョン)で効率的な、より汎用性の高い義歯構成および機能のために設計されてよい。
コンピュータ支援ソフトウェアでの3Dデジタルモデルの修正
(所定の構成および/または咬合様式を有する)歯列モデルの3Dデジタルモデルを取得または用意した後、当該技術分野で周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアが、3Dデジタルモデルを編集または修正するために使用されてよい。より具体的には、CADソフトウェアは、3Dデジタルモデルの臼歯形態の咬合面の形状および輪郭を迅速に編集または修正するために使用されてよい。したがって、改善された咬合構成特徴を有する人工歯形態の設計は、3Dデジタル環境で、従来の物理モデルへの物理的な修正技術と比較して、より一貫した、信頼性の高い、かつ効率的な方法で改良され得る。さらに、任意選択の方法では、CADソフトウェアは、改善された人工歯形態の設計のために、咬合面の整合性を維持しながら、臼歯形態の近遠心幅径をさらに編集または修正するために使用されてよい。臼歯形態の近遠心幅径の修正は、より幅広い患者集団に適した歯科補綴物のより広範な大きさに対応する様々な歯の大きさを製造するのに有利であり得る。
(所定の構成および/または咬合様式を有する)歯列モデルの3Dデジタルモデルを取得または用意した後、当該技術分野で周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアが、3Dデジタルモデルを編集または修正するために使用されてよい。より具体的には、CADソフトウェアは、3Dデジタルモデルの臼歯形態の咬合面の形状および輪郭を迅速に編集または修正するために使用されてよい。したがって、改善された咬合構成特徴を有する人工歯形態の設計は、3Dデジタル環境で、従来の物理モデルへの物理的な修正技術と比較して、より一貫した、信頼性の高い、かつ効率的な方法で改良され得る。さらに、任意選択の方法では、CADソフトウェアは、改善された人工歯形態の設計のために、咬合面の整合性を維持しながら、臼歯形態の近遠心幅径をさらに編集または修正するために使用されてよい。臼歯形態の近遠心幅径の修正は、より幅広い患者集団に適した歯科補綴物のより広範な大きさに対応する様々な歯の大きさを製造するのに有利であり得る。
それぞれ例示的な大臼歯および小臼歯形態モデルに対する図4Aおよび図4Bに示すように、CADソフトウェアは、3Dデジタルモデルの各基準臼歯形態について「咬合面」(「咬合交差平面」(400a、400b)よりも上の401a、402a、401b、402b面)、および「咬合下面」(「咬合交差平面」よりも下の403a、403b面)を確立するために3Dデジタルモデルと共に使用されてよい。各基準臼歯形態の咬合面は、本明細書で以下に記載される「咬合深さ」測定技術によって決定されるような、約5mm以下の0でない「咬合深さ」を有する。好ましくは、咬合深さは、0mm超かつ約4mm以下である。
咬合深さ
臼歯形態の「咬合角度」の決定と関連する先述の現在の曖昧さまたは不正確さを克服または回避するために、「咬合深さ」に基づいて咬合面プロファイルを特徴づけるより精密なデジタル解法が、本発明で開発された。
臼歯形態の「咬合角度」の決定と関連する先述の現在の曖昧さまたは不正確さを克服または回避するために、「咬合深さ」に基づいて咬合面プロファイルを特徴づけるより精密なデジタル解法が、本発明で開発された。
臼歯形態についての値は、CADソフトウェアで3Dデジタルモデルファイル(例えば、STL、STEP、IGES)にデジタル測定技術を使用して確立されてよい。図5Aおよび図5Bは、それぞれ大臼歯および小臼歯の3Dデジタル歯形態モデルの例を示す。大臼歯および小臼歯形態の「咬合深さ」は、以下に概説される手順の少なくとも1つに従って決定されてよい。
少なくとも3つの咬頭を有する臼歯形態(すなわち、大臼歯型の歯)では、咬頭隆起の各々が、(図5Aに印の付いた点501a、502a、および503aで示すような)咬合面上の3つの最高咬頭点またはピークを有する3つの咬頭を識別するために、視覚的および/またはアルゴリズム的に検査されてよい。これらの咬頭点は、デジタル歯形態モデルの個々の咬頭上の極大または尖部(すなわち、図5Aのz方向に最も高い場所の点)に定義されてよい。最も高い場所の咬頭点の識別および選択を容易にするために、近遠心方向(図5Aのx軸方向)および頬舌方向(図5Aのy軸方向)の両方から(特に、より接近したスケールで画像を拡大して見ることによって)デジタル歯形態モデルを検査するのが有利であってよい。咬頭点が歯冠-根尖方向視から(すなわち、図5Aの上面斜視またはz軸視から見て)最初に決定される場合、これは、真の尖部からわずかなオフセットがあるより低い正確度で設定されている咬頭点をもたらす場合がある。このシナリオでは、咬頭点は、次いで、他の2つの方向からデジタル歯形態モデルを検査することによってより正確に再配置され得る。これらの3つの最高咬頭点またはピークは、咬合面の最上部に配向平面(510a)を定義するのに使用されてよい。この配向平面が確立されたら、次いで、「咬合咬頭平面」(520a)および(図5Aの印の付いた点502aにおける軸系で示すような)デカルト(x-y-z)座標軸系が確立され、デジタル歯形態モデルのこの配向平面と整列されてよいことになる。歯形態について「咬合深さ」を決定するプロセスを容易にするために、x-y-z座標軸系は、x-y-z座標軸系の平面(例えば、図5Aに示すようなx-y平面)が「咬合咬頭平面」(520a)と同一平面上に整列するように、歯形態と共に登録されてよい。x-y-z座標軸系の平面を「咬合咬頭平面」と同一平面上に整列させることによって、1つの軸は、(図5Aのz軸で示すように)歯形態の「咬合咬頭平面」に垂直な配向になり得る。この垂直軸は、以下、「咬合深さ軸」と呼ばれ、「咬合深さ」の決定におけるデジタルモデルのさらなる利用を促進し得、以下の後述の態様で説明される。
2つの咬頭のみを有する臼歯形態(すなわち、小臼歯型の歯)では、代替の手法が、このデジタル歯形態モデルの「咬合咬頭平面」およびデカルト(x-y-z)座標軸系の確立に適用されてよい。この場合、咬頭隆起の各々が、(図5Bに印の付いた点501bおよび502bで示すような)咬合面の咬頭隆起の各々についての最高咬頭点またはピークを識別するために、視覚的および/またはアルゴリズム的に検査されてよい。第3の点は、(図5Bに印の付いた点503bで示すような)歯形態の底部の極値に位置し、配向平面(510b)を定義するために識別および使用されてよい。この場合、配向平面(510b)は、咬合面の最上部に垂直な位置に定義される。したがって、この配向平面が確立されたら、次いで、「咬合咬頭平面」(520b)および(図5Bの印の付いた点502bにおける軸系で示すような)デカルト(x-y-z)座標軸系が、デジタル歯形態モデルのこの配向平面に対して確立されよいことになる。より具体的には、「咬合咬頭平面」(520b)は、「咬合咬頭平面」を配向平面(510b)に垂直に配置することによって、先に識別された最高咬頭点(点501bおよび502b)に確立され得る。さらに、x-y-z座標軸系は、それが「咬合咬頭平面」(520b)と同一平面上に整列するように、歯形態と共に登録されてよい。x-y-z座標軸系の平面を「咬合咬頭平面」と同一平面上に整列させることによって、1つの軸は、(図5Bのz軸で示すように)歯形態の「咬合咬頭平面」に垂直な配向になり得る。この垂直軸は、以下、「咬合深さ軸」とも呼ばれ、「咬合深さ」の決定におけるデジタルモデルのさらなる利用を促進し得、以下の後述の態様で説明される。
「咬合咬頭平面」(520aおよび520b)と整列したx-y-z座標軸系を確立した後、「咬合交差平面」(図5Aまたは図5Bには図示せず)も、最初に確立され、「咬合咬頭平面」と同一平面上に整列されてよい。確立および整列されたら、この「咬合交差平面」は、咬頭点から離れて歯形態の咬合下面の方向に「咬合深さ軸」に沿って垂直に「咬合咬頭平面」からデジタル処理でオフセットされてよい。図6は、「咬合咬頭平面」から「咬合深さ軸」に沿って任意のオフセット距離の「咬合交差平面」(600)の例示的な画像を示す。「咬合交差平面」(600)のオフセット距離が歯形態の咬合下面の方向に(すなわち、歯形態中へ)増加すると、1つ以上の「咬合交差曲線」が生成される(610、620、630、および640)。「咬合交差曲線」は、「咬合交差平面」の所与のオフセット距離での咬合面の輪郭を描く。図6では、「咬合交差曲線」は、咬合面上の咬頭の場所の各々の周りに観察され得る。いくつかの状況では、咬合面の幾何学的輪郭の特性に応じて、「咬合交差平面」のオフセット距離が歯形態の咬合下面の方向に増加すると、複数の「咬合交差曲線」が生成されてよい。他の状況では、「咬合交差平面」のオフセット距離が歯形態の咬合下面の方向に増加すると、1つの「咬合交差曲線」のみが観察されてよい。
「咬合深さ軸」に沿って咬合下面の方向に「咬合交差平面」のオフセット距離を徐々に増加させることによって、1つ以上の「咬合交差曲線」が、所与の深さまたは距離で歯形態上に観察されてよい。図7A~7Cおよび図8A~8Cは、「咬合交差平面」(700a、700b、700c;800a、800b、800c)の深さが咬合下面の方向に移動するときの「咬合交差曲線」の変化を示す一連の例示的な画像を示す。「咬合深さ」は、図7Cおよび図8Cに示すような、咬合面の隆線および/または溝内の「咬合交差曲線」のすべての部分または領域が初めて消える(すなわち、もはや見えない)「咬合交差平面」の「咬合咬頭平面」からの距離によって定義されてよい。したがって、「咬合深さ」は、歯の溝(groove)または溝(sulcus)の内側面領域内の最深または最低点に対応すべきである。
1つの好ましい実施形態では、「咬合深さ」の正確度は、ミリメートル(mm)単位で好適に確立されてよく、少なくとも2桁の有効数字の精度に表される(例えば、3.5mm;0.90mm)。あるいは、「咬合深さ」の正確度は、マイクロメートル(μm)換算単位で好適に確立されてよく、少なくとも2桁の有効数字の精度に表される(例えば、3.5×103μm;0.90×103μm)。より好ましい実施形態では、「咬合深さ」の正確度は、ミリメートル(mm)単位で好適に確立されてよく、少なくとも3桁の有効数字の精度に表される(例えば、3.53mm;0.896mm)。あるいは、「咬合深さ」の正確度は、マイクロメートル(μm)換算単位で好適に確立されてよく、少なくとも3桁の有効数字の精度に表される(例えば、3.53×103μm;0.896×103μm)。
図9は、少なくとも3つの咬頭を有する臼歯形態(すなわち大臼歯)の咬合深さを確立するためのプロセスのステップを概説または要約するフローチャートを示す。
咬合面/咬合深さのジオメトリの修正
3Dデジタルモデルの歯列弓形態(上顎または下顎のいずれか)の1つの中で、最初の基準臼歯形態(小臼歯または大臼歯形態のいずれか)が選択されてよい。先述のデジタル測定技術を使用して、初期基準咬合深さ(ODRef)が、選択された最初の基準臼歯形態について決定されてよい。同じ方法で、上顎および下顎歯列弓形態中の他の基準臼歯形態の各々の初期基準咬合深さが決定されてよい。
3Dデジタルモデルの歯列弓形態(上顎または下顎のいずれか)の1つの中で、最初の基準臼歯形態(小臼歯または大臼歯形態のいずれか)が選択されてよい。先述のデジタル測定技術を使用して、初期基準咬合深さ(ODRef)が、選択された最初の基準臼歯形態について決定されてよい。同じ方法で、上顎および下顎歯列弓形態中の他の基準臼歯形態の各々の初期基準咬合深さが決定されてよい。
最初の基準臼歯形態の咬合面のジオメトリの修正は、デジタル処理で行われてよい。より具体的には、初期基準咬合深さ(ODRef)は、基準臼歯形態の咬合下面を実質的に変化がないままにしながら、実質的に異なる所望の標的咬合深さ(ODTarget)にデジタル調整または変更されてよい。
非限定的な方法では、CADソフトウェアで3D曲面のジオメトリをデジタル修正するためのより一般的な手段としては、非一様有理基底スプライン(NURBS)モデリングおよび細分割曲面モデリング(Sub-DモデリングまたはHyperNURBSモデリングとしても知られる)が挙げられる。NURBSは、曲線および曲面を生成および表現するためにコンピューターグラフィックスで一般に使用される数学的モデルである。解析的形状(共通の数式によって定義される曲面)およびモデル化された形状の両方の取り扱いに高い柔軟性および精度を提供する。NURBSは、コンピュータ支援設計(CAD)、コンピュータ支援製造(CAM)、およびコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)で一般に使用されており、IGES、STEP、ACIS、およびPHIGSなどの多数の業界標準の一部である。NURBSツールは、3Dモデリングおよびアニメーションソフトウェアパッケージにも見られる場合がある。それらはコンピュータプログラムによって効率的に取り扱われ得、さらに、容易なヒューマンインタラクションを可能とする。NURBS曲面は、三次元空間の曲面への2つのパラメータをマッピングした関数である。曲面の形状は制御点によって決定される。NURBS曲面は、単純な幾何形状をコンパクトな形態に表現することができる。線、円、楕円、球、および円環のような標準的な幾何オブジェクト、ならびに車体および人体のような自由形状ジオメトリの両方を正確に表現できる。細分割曲面モデリングは、低解像度「ケージ」モデルを操作し、より滑らかな曲面のために細分割するソフトウェアを使用することによって、高解像度モデルを作るためのモデリング技術である。細分割は、モデル上の頂点の数を増加させ、曲面をより丸くする。細分割曲面は、より粗い区分線形ポリゴンメッシュを指定することによって滑らかな曲面を表現する方法であってよい。滑らかな曲面は、滑らかな曲面をよりよく近似するより小さい面への各ポリゴン面の再帰的細分割の限界として粗いメッシュから計算され得る。細分割曲面は、NURBS曲面と比較して制御点の数を2分の1に低減するため、複雑な有機的形状により有効であってよい。
初期咬合深さとの関連で求められる所望の咬合深さに応じて、咬合面の咬頭位置および溝位置内の複数の点および/または表面は、所望の咬合深さを達成するために修正されてよい。これらの点および/または表面は、初期咬合深さに対して表面の低減または増加のいずれかをもたらすために、歯冠-根尖方向に縮小または拡大するように修正されてよい。図10Bは、例示的基準臼歯形態輪郭(1050および1051の実線輪郭)と修正された標的咬合深さの輪郭(1060および1061の破線輪郭)との断面プロファイル図の比較を示す。
標的咬合深さへの初期基準咬合深さの低減が求められる一態様では、咬頭位置は、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に縮小または減少されてよく、同時に溝位置も、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に減弱させる。例えば、約3.00mmの初期基準咬合深さを約2.00mmの標的咬合深さに低減しようとする場合、咬頭位置は、歯冠-根尖方向に約0.50mm(すなわち、基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差1.00mmの約50%)縮小されてよく、同時に溝位置も、歯冠-根尖方向に約0.50mm(すなわち、差1.00mmの約50%)減弱/低減させる。代替の実施形態では、それぞれ、咬頭位置は、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約35%~約45%(例えば、約45%、または約40%、または約35%)だけ歯冠-根尖方向に縮小されてよく、同時に溝位置を、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約55%~約65%(例えば、約55%、または約60%、または約65%)だけ歯冠-根尖方向に減弱させる。さらに他の代替の実施形態では、それぞれ、咬頭位置は、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約55%~約65%(例えば、約55%、または約60%、または約65%)だけ歯冠-根尖方向に縮小されてよく、同時に溝位置を、初期基準咬合深さと標的咬合深さとの間の差(ODRef-ODTarget)の約35%~約45%(例えば、約45%、または約40%、または約35%)だけ歯冠-根尖方向に減弱させる。
標的咬合深さへの初期基準咬合深さの増加が求められる別の態様では、咬頭位置は、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に拡大されてよく、同時に溝位置も、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約50パーセントだけ歯冠-根尖方向に深くする。例えば、約2.00mmの初期基準咬合深さを約3.00mmの標的咬合深さに増加しようとする場合、咬頭位置は、歯冠-根尖方向に約0.50mm(すなわち、標的咬合深さと基準咬合深さとの間の差1.00mmの約50%)拡大されてよく、同時に溝位置も、歯冠-根尖方向に約0.50mm(すなわち、差1.00mmの約50%)深くする。代替の実施形態では、それぞれ、咬頭位置は、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約35%~約45%(例えば、約45%、または約40%、または約35%)だけ歯冠-根尖方向に拡大されてよく、同時に溝位置を、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約55%~約65%(例えば、約55%、または約60%、または約65%)だけ歯冠-根尖方向に深くする。さらに他の代替の実施形態では、それぞれ、咬頭位置は、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約55%~約65%(例えば、約55%、または約60%、または約65%)だけ歯冠-根尖方向に拡大されてよく、同時に溝位置を、標的咬合深さと初期基準咬合深さとの間の差(ODTarget-ODRef)の約35%~約45%(例えば、約45%、または約40%、または約35%)だけ歯冠-根尖方向に深くする。
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、咬頭および溝位置について等しい大きさの調整(すなわち、咬頭位置の50%の減弱と溝位置の50%の減弱)を使用して咬合深さを低減すること(または代わりに増加させること)は、修正対象であった基準歯形態と最も一致するかまたは実質的に同じ機能的および審美的特徴を有する咬合面を備えた歯形態を生成し得ると考えられる。また、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、咬頭および溝位置について等しくない大きさの調整(例えば、咬頭位置の40%の減弱と溝位置の60%の減弱)を使用して咬合深さを低減すること(または代わりに増加させること)は、咬合様式構成の変化により対応できる咬合面を有する歯形態を生成し得ると考えられる。
最初の基準臼歯形態の咬合深さが標的咬合深さ(ODTarget)に調整された後、最初の基準臼歯形態と同じ歯列弓形態の四分円内に位置する隣接基準臼歯形態の咬合面のジオメトリが、次いで修正されてよい。より具体的には、隣接基準臼歯形態の咬合深さは、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整されてよい。例えば、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)が2/3(例えば、2.00mm/3.00mm)である場合、約2.80mmの初期咬合深さを有する第1の隣接基準臼歯形態は、第1の隣接基準臼歯形態について約1.87mmの調節された咬合深さを確立するために、この2/3の比に従って調整されてよい。同様に、約3.15mmの初期咬合深さを有する第2の隣接基準臼歯形態は、第2の隣接基準臼歯形態について約2.10mmの調節された咬合深さを確立するために、この2/3の比に従って調整されてよい。
同様の方法で、最初の基準臼歯形態に対向して配置された歯列弓形態の対向する四分円内に位置する、各対向する基準臼歯形態の咬合面のジオメトリが、修正されてよい。より具体的には、各対向する基準臼歯形態の咬合深さは、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整されてよい。
別の実施形態では、上顎および下顎歯列弓形態の残りの四分円内に位置する、各残りの基準臼歯形態の咬合面のジオメトリが、修正されてよい。より具体的には、各残りの基準臼歯形態の咬合深さは、最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整されてよい。
さらなる態様では、歯列モデルの3Dデジタルモデルの修正は、各基準臼歯形態の近遠心幅径(203)を調節するために行われてよい。各基準臼歯形態の近遠心幅径の修正は、様々な患者特有の補綴物の大きさ/間隔のニーズによりよく対応するであろう臼歯形態の大きさの設計を可能とする。ここで、各基準臼歯形態の近遠心幅径が確認されてよい。次いで、各基準臼歯形態の近遠心幅径は、初期近遠心幅径に所定の倍率を適用することによって調整されてよい。したがって、より大きい歯科補綴物を必要とする患者に人工歯形態を提供するために比較的大きい/長い近遠心幅径が必要な場合、初期基準歯形態を均一に拡大または伸長するために、拡大倍率が適用されてよい。あるいは、より小さい歯科補綴物を必要とする患者に人工歯形態を提供するために比較的小さい/短い近遠心幅径が必要な場合、初期歯形態を均一に減少または縮小するために、低減倍率が適用されてよい。好ましい実施形態では、選択される倍率を、同じ歯列弓形態内に位置する各基準臼歯形態について実質的に同じ値にすることが有利であってよい(すなわち、同じ倍率が、上顎歯列弓形態内のすべての大臼歯およびすべての小臼歯、ならびに/または下顎歯列弓形態内のすべての大臼歯およびすべての小臼歯に適用される)。
別の実施形態では、発明の方法は、対向する基準臼歯形態の咬合面間の干渉を低減するために、1つ以上の咬頭位置、1つ以上の溝位置、または両方を咬合面内で再配置するステップも含んでよい。CADソフトウェア環境で、複数のデジタル断面(例えば、図10Aに示す1010、1011、1020、1021、1030、1031を参照)が、基準臼歯形態の各々にわたって生成および分配されてよく、図中、デジタル断面は、歯列弓形態の近遠心方向に直交して位置してよい。好ましい実施形態では、少なくとも1つのデジタル断面は、各基準臼歯形態の最大咬頭高に生成および位置してよい。各対向する基準臼歯形態(図10Aの1000および1001など)について、デジタル断面は、対向する基準臼歯形態の咬合面間の干渉を引き起こす交差または接触の存在を検査されてよい。対向する基準臼歯形態の咬合面間に特定された交差または接触(例えば、図10Aに示す1100aおよび1100bを参照)について、デジタル断面に沿った1つ以上の点が、デジタル処理で再配置および移動されてよい。点のデジタル処理での再配置は、それらの交差または接触を低減または除去するために、咬頭位置および/または溝位置を歯冠-根尖方向に減弱させるように行われてよく、それにより、基準歯列モデルと同じ咬合様式が維持されてよく、咬合面間距離が基準歯列モデルと実質的に同じ値に維持されてよい。
デジタルモデルの視覚化、用意、および/または修正のためのコンピュータシステム
本明細書で説明される方法の実施形態の少なくともいくつかに係る3Dデジタルモデルの視覚化、用意、および/または修正のために1つ以上のコンピュータシステムが用いられてよい。例示的なコンピュータシステムに関して様々な実施形態が本明細書で説明されてよいが、この説明を読んだ後で、他のコンピュータシステムおよび/またはアーキテクチャを使用して本開示をどのように実装するかが、当業者には明らかとなるであろう。
本明細書で説明される方法の実施形態の少なくともいくつかに係る3Dデジタルモデルの視覚化、用意、および/または修正のために1つ以上のコンピュータシステムが用いられてよい。例示的なコンピュータシステムに関して様々な実施形態が本明細書で説明されてよいが、この説明を読んだ後で、他のコンピュータシステムおよび/またはアーキテクチャを使用して本開示をどのように実装するかが、当業者には明らかとなるであろう。
本明細書の1つの例示的実施形態では、コンピュータシステムは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ、および少なくとも1つのモデリング装置、モデリングシステム、ユーザインターフェース、および入力ユニットを含んでよく、これらは、本明細書で議論される装置、構成要素、および/またはシステムのいずれかの少なくとも一部を形成してよい。コンピュータプロセッサは、例えば、中央処理装置、複数の処理装置、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)などを含んでよい。プロセッサは、通信インフラストラクチャ(例えば、通信バスまたはネットワーク)に接続されてよい。本明細書の実施形態において、プロセッサは、設計が進行中であるまたは3Dデジタルモデルが使用されているという指示を受信してよく、モデリングシステムのメモリからおよび/またはコンピュータシステムの1つ以上のストレージユニットから、3Dデジタルモデルのビュー/配向の動的調整に関する命令を取得してよい。プロセッサは、次いで、命令をロードし、ロードした命令を実行してよい。この3Dデジタルモデルのビュー/配向の動的調整は、次いで、ディスプレイユニット上でレンダリングされてよい。
ユーザインターフェース(または他の出力インターフェース)は、ビデオグラフィックス、テキスト、および他のデータを、ディスプレイユニット上に表示するために通信インフラストラクチャから(またはフレームバッファから)転送してよい。例えば、ユーザインターフェースは、グラフィックス処理ユニットを備えたビデオカードを含んでよい。
コンピュータシステムはまた、コンピュータプロセッサに情報を送信するためにコンピュータシステムのユーザによって使用されてよい入力ユニットを含んでよい。一実施形態では、入力ユニットは、トラックボール、またはキーボードもしくはスタイラスもしくはジェスチャー認識装置などの他の入力装置であってよい。あるいは、入力ユニットは、タッチスクリーンインターフェース上で使用される指またはスタイラスであってよい。一例では、ディスプレイユニット、入力ユニット、およびコンピュータプロセッサは、集合的にユーザインターフェースを形成してよい。
動的調整を行う1つ以上のステップは、コンピュータ可読プログラム命令の形態で非一時的な記憶装置上に記憶されてよい。手順を実行するために、プロセッサは、記憶装置上に記憶された適切な命令をメモリにロードし、次いで、ロードした命令を実行する。
コンピュータシステムは、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)であり得るメインメモリをさらに備えてよく、二次メモリも含んでよい。二次メモリとしては、例えば、ハードディスクドライブおよび/またはリムーバブル・ストレージドライブ(例えば、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリドライブなど)が挙げられ得る。リムーバブル・ストレージドライブは、リムーバブル・ストレージユニットから周知の様態で読み出すおよび/またはこれに書き込むことができる。リムーバブル・ストレージユニットは、リムーバブル・ストレージドライブによって書き込むおよび読み出すことができる、例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク、フラッシュメモリデバイスなどであってよい。リムーバブル・ストレージユニットは、コンピュータで実行可能なソフトウェア命令および/またはデータを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。
さらなる代替の実施形態では、二次メモリは、コンピュータで実行可能なプログラムまたはコンピュータシステムにロードされるべき他の命令を記憶する他のコンピュータ可読媒体を含んでよい。このような装置としては、リムーバブル・ストレージユニットおよびインターフェース(例えば、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース);リムーバブル・メモリチップ(例えば、消去可能でプログラム可能な読出し専用メモリ(「EPROM」)またはプログラム可能な読出し専用メモリ(「PROM」))および関連するメモリソケット;ならびにリムーバブル・ストレージユニットからコンピュータシステムの他の部分にソフトウェアおよびデータが転送されることを可能とする他のリムーバブル・ストレージユニットおよびインターフェースが挙げられ得る。
コンピュータシステムはまた、ソフトウェアおよびデータがコンピュータシステムと外部装置との間で転送されることを可能とする通信インターフェースを含んでよい。このようなインターフェースとしては、モデム、ネットワーク・インターフェース(例えば、イーサネットカードまたはIEEE 802.11無線LANインターフェース)、通信ポート(例えば、ユニバーサルシリアルバス(「USB」)ポートまたはFireWire(登録商標)ポート)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション(「PCMCIA」)インターフェース、Bluetooth(登録商標)などが挙げられ得る。通信インターフェースを介して転送されるソフトウェアおよびデータは、信号の形態であってよく、通信インターフェースによって送信および/または受信可能な電子信号、電磁気信号、光信号、または別の種類の信号であってよい。信号は、通信経路(例えば、チャネル)を介して通信インターフェースに提供されてよい。通信経路は、信号を搬送し、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話回線、セルラーリンク、無線周波数(「RF」)リンクなどを使用して実装されてよい。通信インターフェースは、コンピュータシステムとリモートサーバまたはクラウドベースのストレージとの間で、ソフトウェアまたはデータまたは他の情報を転送するのに使用されてよい。
1つ以上のコンピュータプログラムまたはコンピュータ制御論理は、メインメモリおよび/または二次メモリに記憶されてよい。コンピュータプログラムはまた、通信インターフェースを介して受信されてよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプロセッサによって実行されるとコンピュータシステムに後述する方法を行わせる、コンピュータで実行可能な命令を含んでよい。したがって、コンピュータプログラムは、3Dデジタルモデルの視覚化、用意、および/または修正のためのコンピュータシステムおよびシステムの他の構成要素を制御し得る。
別の実施形態では、ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、リムーバブル・ストレージドライブ、ハードディスクドライブ、および/または通信インターフェースを使用して、コンピュータシステムのメインメモリおよび/または二次メモリにロードされてよい。制御論理(ソフトウェア)は、プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、より一般には、3Dデジタルモデルの視覚化、用意、および/または修正のためのシステムに、本明細書で説明される方法のすべてまたはいくつかを行わせる。
本明細書で説明される機能を実行するためのこのような他のハードウェア構成の実装は、この説明を考慮すれば、当業者には明白であろう。
発明の先述の実施形態は、現在の人工歯設計の物理的/有形方法より有効かつ効率的な、人工歯のデジタル設計のコンピュータ支援方法を提供する。発明の方法は、多様な患者集団にわたる義歯または他の補綴歯科用装置の作製で使用する広範囲の人工臼歯セットまたは群を設計するための明確な利点を提示する。これらの利点の中で、自然に見え、機能的に有効な臼歯形態のための多種多様なまたは幅広い選択肢が、既存の物理的設計の実践と比較してはるかに迅速かつコスト効率のよい方法で、異なる咬合様式にわたって作成、評価、および改良され得る。発明の方法は、伝統的な物理環境で達成され得るものとは対照的に、新しく検討された設計変更を仮想環境で容易に行い、かつ容易に修正、複製、または取り消し/破棄することを可能とする。さらに、発明の方法は、伝統的な物理的設計手法よりも精密な寸法定義および咬合面形状または形態的特徴の制御ならびに一貫した信頼性の高いプロセスを提供する。
本発明は、すべての好ましいまたは有利な特徴、またはすべての利点が、発明のすべての実施形態に組み込まれることを必要としないことを理解すべきである。本発明は、その特定の好ましいバージョンを参照してかなり詳細に説明されてきたが、発明の範囲内で他のバージョンが可能である。したがって、付属の請求項の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる好ましいバージョンの説明に限定されるべきではない。添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む、本明細書で開示された特徴のすべては、特に明記しない限り、同じ、均等な、または類似の目的を果たす代替の特徴に置き換えられてよい。したがって、特に明記しない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の均等なまたは類似の特徴の単なる一例である。
Claims (1)
- 歯科補綴および/または歯科修復で使用するための人工臼歯をデジタル設計する方法であって、
a.上顎歯列弓形態および下顎歯列弓形態を有する歯列モデルの三次元(3D)デジタルモデルを提供するステップであって、前記上顎歯列弓形態および前記下顎歯列弓形態の各々は、複数の基準前歯形態および複数の基準臼歯形態を含み、前記上顎歯列弓形態および前記下顎歯列弓形態の両方は、歯列モデルの所定の咬合様式および咬頭嵌合が有効に作成されるように互いに対向して配置される、ステップと、
b.前記3Dデジタルモデルの各基準臼歯形態の咬合面および咬合下面を識別するステップであって、前記咬合面は、約5mm以下の0でない咬合深さによって特徴づけられる、ステップと、
c.前記3Dデジタルモデルの前記歯列弓形態の1つの中で選択される最初の基準臼歯形態を修正するステップであって、
i.前記最初の基準臼歯形態の初期基準咬合深さ(ODRef)を確認するステップと、
ii.前記最初の基準臼歯形態の前記咬合下面を実質的に変化がないままにしながら、前記初期基準咬合深さ(ODRef)を異なる標的咬合深さ(ODTarget)に調整することによって前記最初の臼歯形態の前記咬合面のジオメトリを修正するステップと
を含む、最初の基準臼歯形態を修正するステップと、
d.前記最初の基準臼歯形態と同じ前記3Dデジタルモデルの前記歯列弓形態の四分円内に位置する各隣接基準臼歯形態を修正するステップであって、
i.各隣接基準臼歯形態の前記咬合深さを確認するステップと、
ii.前記咬合深さを、前記最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整することによって、各隣接基準臼歯形態の前記咬合面のジオメトリを修正するステップと
を含む、各隣接基準臼歯形態を修正するステップと、
e.前記3Dデジタルモデルの前記最初の基準臼歯形態に対向して配置された前記歯列弓形態の対向する四分円内に位置する、各対向する基準臼歯形態を修正するステップであって、
i.各対向する基準臼歯形態の前記咬合深さを確認するステップと、
ii.前記咬合深さを、前記最初の基準臼歯形態によって確立された標的咬合深さ対初期基準咬合深さの比(ODTarget/ODRef)と実質的に同じ比に従うように調整することによって、各対向する基準臼歯形態の前記咬合面のジオメトリを修正するステップと
を含む、各対向する基準臼歯形態を修正するステップと
を含む、方法。
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