JP2024009666A - 電気ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】冗長性の高い電気ユニットを提供する。【解決手段】バッテリ20と高電圧ユニット50との間の正極ライン81及び負極ライン82のそれぞれに設けられるリレー41,42,43と、を備える電動車両用の電気ユニット100が提供される。この電気ユニット100は、リレー41,42,43のそれぞれを個別にスイッチ制御するように、各リレーのスイッチ駆動部412,422,432の上流側のそれぞれに電気的に接続される第1駆動回路11と、リレー41,42,43を一括してスイッチ制御するように、各リレーのスイッチ駆動部412,422,432の下流側を一つに繋ぐライン上に設けられた第2駆動回路53と、を備える。また、第2駆動回路53と並列に接続された電圧検出回路60と、電圧検出回路60に直列に接続された電流制限回路70と、を備え、第2駆動回路53は、高電圧ユニット50内に設けられる。【選択図】図1
Description
本発明は、電気ユニットに関する。
特許文献1は、リレーの駆動コイル(負荷)の上流側と下流側にスイッチング手段と電流検出手段を設けた負荷駆動装置を開示している。この負荷駆動装置では、負荷の上流側と下流側のスイッチング手段がオンの時に、負荷の上流側で検知された電流値と、負荷の下流側で検知された電流値とに基づき故障(異常)診断を行う。
特許文献1に記載の負荷駆動装置では、リレーの駆動コイルの上流側と下流側のスイッチング手段の制御及び故障(異常)診断を一つのユニット(ECU)で行っている。このため、特許文献1の負荷駆動装置では、冗長性が低く、ECUに異常が生じた場合、リレーの制御及び故障(異常)診断を行えなくなる虞がある。
本発明は上記課題に鑑みたものであり、冗長性の高い電気ユニットを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、バッテリと、バッテリに接続される高電圧ユニットと、バッテリと高電圧ユニットとの間の正極ライン及び負極ラインのそれぞれに設けられるリレーと、を備える電動車両用の電気ユニットが提供される。この電気ユニットでは、正極ライン及び負極ラインに設けられたリレーのそれぞれを個別にスイッチ制御するように、各リレーのスイッチ駆動部の上流側のそれぞれに電気的に接続される第1駆動回路と、正極ライン及び負極ラインに設けられたリレーを一括してスイッチ制御するように、各リレーのスイッチ駆動部の下流側を一つに繋ぐライン上に設けられた第2駆動回路と、を備える。また、第2駆動回路と並列に接続された電圧検出回路と、電圧検出回路に直列に接続された電流制限回路と、を備え、第2駆動回路は、高電圧ユニット内に設けられる。
本発明によれば、リレーをスイッチ制御するため、リレーのスイッチ駆動部の上流側に第1駆動回路、及びリレーのスイッチ駆動部の下流側に第2駆動回路と、を備える。また、第2駆動回路と並列に接続された電圧検出回路と、電圧検出回路に直列に接続された電流制限回路と、を備える。このように、第1駆動回路と第2駆動回路という2つの駆動回路によって、上流側と下流側とでそれぞれリレーをスイッチ制御しているため、冗長性を確保することができる。また、リレーの下流側の電圧検出回路により、上流側のスイッチの状態を検出することでリレー上流側の制御系の異常診断を行い、異常時には下流側の第2駆動回路によりリレーをオフにできるため、制御系に異常が生じている状態でリレーを駆動させてしまうことを防止でき、電気ユニットの安全性が高まる。
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態による電気ユニット100のシステム構成を示す概略図である。電気ユニット100は、電動車両(以下、車両ともいう)に搭載される。
図1は、本発明の実施形態による電気ユニット100のシステム構成を示す概略図である。電気ユニット100は、電動車両(以下、車両ともいう)に搭載される。
電気ユニット100は、車両コントロールモジュール(VCM)10、強電バッテリ20、バッテリコントローラ(LBC)30、リレー回路40、インバータ50、電圧検出回路60、電流制限回路70を含む。
電気ユニット100は、強電バッテリ20からインバータ50を介して負荷(駆動モータ)へ電力供給を行うシステムである。強電バッテリ20とインバータ50とは、リレー回路40を介して強電ライン80により電気的に接続され、VCM10とインバータ50とは、リレー回路40を介して弱電ライン90により電気的に接続されている。また、VCM10、LBC30、インバータ50は、通信線(CAN通信線)91により、それぞれ相互に通信可能に接続されている。なお、以下、弱電ライン90に接続されている部品やユニットを制御系ともいう。
強電バッテリ(バッテリ)20は、例えば、リチウムイオンバッテリー(LiB)であり、車両の駆動時等にインバータ50を介して電力を駆動モータに供給する。また、車両の制動時において、強電バッテリ20には、駆動モータで発生した回生電流がインバータ50を介して供給され、これにより強電バッテリ20が充電される。強電バッテリ20の正極端子とインバータ50とは、正極強電ライン(正極ライン)81により接続され、強電バッテリ20の負極端子とインバータ50とは、負極強電ライン(負極ライン)82により接続されている。
LBC30は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータで構成され、強電バッテリ20の動作の制御及び強電バッテリ20の充電状態(SOC:State Of Charge)や温度等の管理を行う。LBC30は、後述のVCM10及びインバータ50と、CAN通信線91により相互に情報交換可能に接続されており、強電バッテリ20のSOCや温度等の情報をVCM10に出力する。また、LBC30は、強電バッテリ20の動作を制御するマイコン31を備え、VCM10からの指令に基づき、強電バッテリ20の充放電等を行う。
リレー回路40は、強電バッテリ20とインバータ50との間に介在し、正極強電ライン81上に設けられた正極側メインリレー41及びプリチャージリレー42と、負極強電ライン82上に設けられた負極側メインリレー43とを含む。各リレー41,42,43は、それぞれスイッチ部411,421,431と、リレーコイルからなるスイッチ駆動部412,422,432とを備える。
正極側メインリレー41は、正極強電ライン81により、スイッチ部411の上流側が強電バッテリ20の正極端子に電気的に接続され、下流側がインバータ50に電気的に接続されている。また、負極側メインリレー43は、負極強電ライン82により、スイッチ部431の上流側が強電バッテリ20の負極端子に電気的に接続され、下流側がインバータ50に電気的に接続されている。正極側メインリレー41のスイッチ部411及び負極側メインリレー43のスイッチ部431がオン状態の時、強電バッテリ20からインバータ50を介して駆動モータに電力が供給され、オフ状態の時、強電バッテリ20から駆動モータへの電力供給が遮断される。
プリチャージリレー42は、正極強電ライン81において、正極側メインリレー41と並列に設けられている。プリチャージリレー42は、正極強電ライン81により、スイッチ部421の上流側が強電バッテリ20の正極端子に電気的に接続され、下流側がインバータ50に電気的に接続されている。プリチャージリレー42のスイッチ部421及び負極側メインリレー43のスイッチ部431がオン状態の時、強電バッテリ20から、インバータ50内のコンデンサ51に電力が充電され、オフ状態の時、プリチャージリレー42を介したインバータ50への電力供給が遮断される。なお、プリチャージリレー42の上流側には、抵抗Rが設けられ、強電バッテリ20からの供給電流が制限されている。
一方、正極側メインリレー41のスイッチ駆動部412、負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432、プリチャージリレー42のスイッチ駆動部422は、それぞれ弱電ライン90により上流側がVCM10に電気的に接続されている。また、正極側メインリレー41のスイッチ駆動部412、負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432、プリチャージリレー42のスイッチ駆動部422の下流側は、弱電ライン90により一つに繋がれて、インバータ50に電気的に接続されている。
各リレー41,42,43におけるスイッチ部411,421,431のオンオフは、スイッチ駆動部412,422,432により操作される。即ち、スイッチ駆動部(リレーコイル)412,422,432にそれぞれ電流が流れると、スイッチ部411,421,431はそれぞれオン状態となり、スイッチ駆動部(リレーコイル)412,422,432に電流が流れていない状態においては、スイッチ部411,421,431はそれぞれオフ状態となる。
インバータ50は、リレー回路40を介して強電バッテリ20と電気的に接続する高電圧ユニットであり、強電バッテリ20から供給される電力を変換して駆動モータに供給し、また、駆動モータからの回生電流を変換し、強電バッテリ20に供給する。インバータ50は、コンデンサ51、モータ駆動回路52、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53、及びマイコン54を備える。
モータ駆動回路52は、コンデンサ51を介して正極強電ライン81及び負極強電ライン82に電気的に接続され、強電バッテリ20から供給される直流電力を、交流電力に変換して、駆動モータに供給する。また、モータ駆動回路52は、駆動モータからの回生電流を直流電流に変換し、強電バッテリ20に供給する。モータ駆動回路52は、マイコン54により制御される。なお、前述のとおり、プリチャージリレー42及び負極側メインリレー43がオン状態の時、強電バッテリ20からの電力がコンデンサ51に充電される。
下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53は、スイッチング素子(アクティブクランプ機能付きスイッチ)531と、スイッチ駆動部532とを含む。スイッチング素子531は、リレー41,42,43のスイッチ駆動部412,422,432を一つに繋ぐ弱電ライン90に接続されている。スイッチ駆動部532は、マイコン54からの制御を受け、マイコン54の指令に基づきスイッチング素子531のオンオフを制御する。スイッチング素子531がオフ状態の場合、スイッチ駆動部412,422,432のいずれにも電流が流れないため、リレー41,42,43のスイッチ部411,421,431は、いずれもオフ状態となる。即ち、スイッチング素子531をオフにすることで、リレー41,42,43を一括してオフにすることができる。
マイコン54は、モータ駆動回路52及び下流側リレー駆動回路53を制御するコンピュータである。マイコン54は、CAN通信線91により、VCM10及びLBC30と相互に情報交換可能に接続されており、VCM10からの指令に基づき、または専用プログラムを実行することで、モータ駆動回路52及び下流側リレー駆動回路53の制御を行う。マイコン54による動作制御により、モータ駆動回路52において電力が変換される。また、マイコン54は、VCM10からの指令及び後述する電圧検出回路60からの信号に基づき、下流側リレー駆動回路53のスイッチ駆動部532を介してスイッチング素子531のオンオフを制御する。即ち、リレー41,42,43のオンオフが、リレー回路40の下流側で、マイコン54により一括制御される。
また、マイコン54は、VCM10及びLBC30とのCAN通信が途絶した等、VCM10及びLBC30に異常が生じている場合、下流側リレー駆動回路53のスイッチング素子531をオフ状態にする。これにより、リレー41,42,43は一括してオフ状態となる。従って、電気ユニット100の制御系(VCM10及びLBC30)に異常がある場合に、リレー41,42,43がオン状態になることが防止され、車両システムの安全性が高まる。
なお、リレー回路40(弱電ライン90)のグランド(GND)は、車体(アース)に接続されるが、突入電流の影響等により、下流側リレー駆動回路53の基板のグランド(GND)と電位差が生じることがある。この場合、マイコン54を駆動する電力を生成する電源(第2電源)と同一の電源によって下流側リレー駆動回路53(スイッチング素子531)に送信する駆動信号を生成すると、駆動信号の電力がスイッチング素子531を駆動するのに必要な電力に満たなくなる虞がある。従って、下流側リレー駆動回路53(スイッチング素子531)に送信する駆動信号を生成する電源(第1電源)と、マイコン54を駆動する電力を生成する電源(第2電源)を異なる電源にし、且つ、第1電源は、第2電源よりも高電圧であることが好ましい。例えば、第1電源は14V、第2電源は5Vに設定される。これにより、リレー回路40(弱電ライン90)のGNDと、下流側リレー駆動回路53の基板のGNDとに電位差があっても、下流側リレー駆動回路53のスイッチング素子531を確実にオンにすることができる。
VCM10は、電気ユニット100が搭載される電動車両全体の動作を統括的に制御する上位装置であり、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータで構成される。VCM10は、特定のプログラムを実行することにより、電動車両のシステムを制御するための処理を実行する。VCM10は、CAN通信線91により、LBC30及びインバータ50と相互に情報交換可能に接続されている。また、VCM10は、リレー回路40をスイッチ制御する上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11と、上流側リレー駆動回路11を制御するマイコン12とを備える。
上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11は、リレー回路40の上流側の弱電ライン90に接続されたスイッチング素子(スイッチ)111,112,113を含み、リレー回路40のリレー41,42,43をスイッチ制御する。スイッチング素子111は、正極側メインリレー41のスイッチ駆動部412の上流側に、スイッチング素子112は、プリチャージリレー42のスイッチ駆動部422の上流側に、スイッチング素子113は、負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432の上流側にそれぞれ電気的に接続されている。下流側リレー駆動回路53のスイッチング素子531がオン状態の時、スイッチング素子111がオン状態になると正極側メインリレー41のスイッチ駆動部(リレーコイル)412に電流が流れ、正極側メインリレー41がオン状態となる。同様に、スイッチング素子112がオン状態になるとプリチャージリレー42のスイッチ駆動部422に電流が流れ、プリチャージリレー42がオン状態となり、スイッチング素子113がオン状態になると負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432に電流が流れ、負極側メインリレー43がオン状態となる。即ち、上流側リレー駆動回路11は、リレー41,42,43のそれぞれを個別にスイッチ制御する。
マイコン12は、上流側リレー駆動回路11を制御するコンピュータであり、スイッチング素子111,112,113のオンオフを制御する。例えば、マイコン12は、車両システムの起動時に、スイッチング素子112及び113をオンに制御する。これにより、プリチャージリレー42及び負極側メインリレー43がオン状態となり、インバータ50のコンデンサ51が充電される。また、コンデンサ51の充電後、マイコン12は、スイッチング素子111及び113をオンに制御し、スイッチング素子112をオフに制御する。これにより、正極側メインリレー41及び負極側メインリレー43がオン状態となり、強電バッテリ20からインバータ50を介して駆動モータに電力が供給される。一方、マイコン12は、車両システムの停止時には、スイッチング素子111,112,113をオフ状態に制御する。その後、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531もオフ状態になると、強電バッテリ20から駆動モータへの電力供給が遮断される。
電圧検出回路60は、インバータ50の下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53と並列に接続され、リレー回路40の下流側の弱電ライン90における電圧を検出する。また、電圧検出回路60には、電流制限回路70が直列に接続されている。
図2は、電圧検出回路60及び電流制限回路70の詳細を示す図である。
図2に示すように、電圧検出回路60は、ツェナーダイオードD1,D2とダイオードD3,D4とにより構成され、リレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113の少なくともいずれかがオン状態となる所定の電圧以上の電圧を検出する。スイッチング素子111,112,113がオン状態となる電圧が検出された場合、電圧検出回路60から、その旨の信号(High信号)がインバータ50のマイコン54に送信される。即ち、電圧検出回路60は、スイッチング素子111,112,113の少なくともいずれかがオン状態であるか否かを検出し、検出した情報をマイコン54に送信する。このように、リレー回路40の下流側に設けられた電圧検出回路60により、リレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113がオン状態であるか否かを検出するため、スイッチング素子111,112,113の誤作動や、故障による短絡、即ち、上流側のスイッチ制御に関する異常を検知することができる。電圧検出回路60によりリレー41,42,43の上流側におけるスイッチ制御の異常が検知された場合、マイコン54は、下流側リレー駆動回路53のスイッチング素子531をオフ状態にする。これにより、リレー41,42,43は一括してオフ状態となる。従って、例えば、リレー41,42,43をオンに切り替える際にも、上流側のスイッチ制御に異常がある場合には、リレー41,42,43のオフ状態が維持されるため、上流側のスイッチ制御に異常がある状態でリレー41,42,43がオン状態になることが防止され、車両システムの安全性が高まる。
なお、電圧検出回路60は、図2に示す回路に限られず、スイッチング素子111,112,113のオン状態を検知できるものであれば、既知の如何なる回路やセンサを用いてもよい。
また、電圧検出回路60に直列に接続される電流制限回路70は、図2に示すように、抵抗R1により構成される。前述のとおり、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531は、リレー回路40のスイッチ駆動部412,422,432を一つに繋ぐ弱電ライン90に接続されている。このため、リレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113が誤作動している場合や、故障により短絡している場合に、下流側のスイッチング素子531をオフにすると、複数のスイッチ駆動部412,422,432のL負荷(誘導負荷)の跳ね返り電圧がスイッチング素子531に集中的に印加する。これにより、跳ね返り電圧が下流側のスイッチング素子531のアクティブクランプ耐量を超え、スイッチング素子531に損傷や故障等が生じる虞がある。これに対し、本実施形態の電気ユニット100では、電圧検出回路60に直列(即ち、スイッチング素子531と並列)に接続された電流制限回路70が設けられているため、電圧検出回路60とリレー回路40の下流側のスイッチング素子531のクランプエネルギーを案分することが可能となる。従って、仮にリレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113が誤作動や故障している場合、下流側のスイッチング素子531がオフされても、跳ね返り電圧がスイッチング素子531に集中的に印加されない。即ち、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531の損傷や故障が防止され、安全にリレー41,42,43をオフすることができる。
なお、電圧検出回路60及び電流制限回路70は、インバータ50の内部構成として設けてもよい。
以上のとおり、本実施形態の電気ユニット100は、強電バッテリ20とインバータ50とがリレー回路40を介して強電ライン80により接続される。また、リレー41,42,43のスイッチ駆動部412,422,432の上流側及び下流側には、リレー41,42,43をスイッチ制御するように、それぞれVCM10内の上流側リレー駆動回路11及びインバータ50内の下流側リレー駆動回路53が接続されている。このように、VCM10とインバータ50という2つのユニットのそれぞれが備える上流側リレー駆動回路11と下流側リレー駆動回路53によって、リレー41,42,43をスイッチ制御しているため、1つのユニットによってリレーを制御する場合に比べ、冗長性が高まる。
また、リレー41,42,43の下流側を一括してスイッチ制御する下流側リレー駆動回路53を、リレー回路40を介した電力供給に関する制御を行うLBC30や、リレー41,42,43の動作に関する制御や指令を行うVCM10ではなく、リレー41,42,43の動作と直接の相関が無いリレー41,42,43の下流側のユニット(以下、リレーに相関の無いユニットともいう)であるインバータ50内に設けている。従って、リレー41,42,43の動作に相関のあるユニット(LBC30及びVCM10,以下、リレーに相関のあるユニットともいう)に異常が発生した場合でも、CAN通信線91や電圧検出回路60を通じてリレーに相関の無いユニット(インバータ50)により異常を検知し、リレー回路40の上流側の指示なしに独立してリレー41,42,43を一括してオフにすることができる。従って、冗長性及び安全性がより高まる。
以下、電気ユニット100におけるリレー制御を説明する。
図3は、電気ユニット100におけるリレー41,42,43をオンにする際(ターンオン時)の制御(リレーのターンオン制御)を説明するフローチャートである。以下の制御は、いずれもVCM10及び/またはインバータ50のマイコン54により実行される。
車両のイグニッションスイッチ(スタートスイッチ)がオンにされる等して、車両のシステムが起動すると、リレーのターンオン制御が開始される。
ステップS101において、VCM10及びマイコン54は、電圧検出回路60が所定の電圧を検出しているか否かにより、リレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113がオフ状態であるか否かを判断する。スイッチング素子111,112,113がいずれもオフ状態の場合、VCM10は、ステップS102の処理を実行する。
ステップS102において、VCM10(マイコン54)は、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオンにする。
スイッチング素子531をオン状態にすると、ステップS103において、VCM10は、プリチャージリレー42のスイッチ駆動部422の上流側に接続するスイッチング素子112、及び負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432の上流側に接続するスイッチング素子113をオンにする。これにより、プリチャージリレー42及び負極側メインリレー43がオン状態になり、強電バッテリ20からの電力がプリチャージリレー42を介してインバータ50のコンデンサ51に充電される。
コンデンサ51が充電される(所定時間が経過する)と、ステップS104において、VCM10は、正極側メインリレー41のスイッチ駆動部412の上流側に接続するスイッチング素子111をオンにする。これにより、正極側メインリレー41及び負極側メインリレー43がオン状態となり、強電バッテリ20からインバータ50を介して駆動モータに電力が供給される。また、VCM10は、正極側メインリレー41がオン状態になった後、プリチャージリレー42のスイッチ駆動部422の上流側に接続するスイッチング素子112をオフに切り替え、リレーのターンオン制御を終了する。
一方、ステップS101において、スイッチング素子111,112,113のいずれかがオン状態の場合、VCM10のスイッチ制御またはリレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113に異常が発生している虞がある。この状態で、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオンにすると、短絡等が生じる虞がある。従って、この場合、ステップS112において、マイコン54は、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオフ状態のままにして、リレーのターンオン制御を終了する。
このように、電圧検出回路60によりリレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113がオフ状態であることを検知した場合にのみ、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオン状態にする。即ち、リレー41,42,43の上流側の制御系に異常がある場合には、リレー41,42,43は駆動されないため、安全性が高まる。
なお、リレーのターンオン制御時に、CAN通信線91に通信途絶等の異常が生じた場合にも、マイコン54は、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオフ状態のまま維持する。
図4は、電気ユニット100におけるリレー41,42,43をオフにする際(ターンオフ時)の制御(リレーのターンオフ制御)を説明するフローチャートである。ターンオン制御と同様に、以下の制御は、いずれもVCM10及び/またはインバータ50のマイコン54により実行される。
車両の運転終了時(車両システムの停止時)等、強電バッテリ20から駆動モータへの電力供給、または駆動モータから強電バッテリ20への回生電力の供給を遮断するシーンにおいて、リレー41,42,43をオフにする制御(リレーのターンオフ制御)が開始される。
ステップS201において、VCM10は、正極側及び負極側のメインリレー41,43をオフにするため、正極側メインリレー41のスイッチ駆動部412の上流側に接続するスイッチング素子111、及び負極側メインリレー43のスイッチ駆動部432の上流側に接続するスイッチング素子113をオフに切り替える。なお、強電バッテリ20から駆動モータ、または駆動モータから強電バッテリ20へ電力供給を行っている状態において、プリチャージリレー42のスイッチ部421はオフ状態である。即ち、正常な制御が行われている場合、ステップS201の処理によって、リレー回路40の上流側のスイッチング素子111,112,113は、いずれもオフ状態となる。
ステップS202において、マイコン54は、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531をオフにし、リレーのターンオフ制御を終了する。
ここで、スイッチング素子531をオフにする際、仮に上流側のスイッチング素子111,112,113が誤作動や故障によりオフされていなかったとしても、電流制限回路70により、スイッチング素子531のクランプエネルギーが案分され、跳ね返り電圧がスイッチング素子531に集中的に印加されることはない。
なお、リレーのターンオフ制御時に、CAN通信線91に通信途絶等の異常が生じた場合は、マイコン54は、リレー回路40の下流側のスイッチング素子531を強制的にオフする。
また、リレーのターンオン時及びターンオフ時以外の場面において、電圧検出回路60による検出結果やCAN通信線91の通信途絶等により、電気ユニット100の制御系(VCM10、LBC30、スイッチング素子111,112,113等)の異常を検知した場合、マイコン54は、下流側リレー駆動回路53のスイッチング素子531をオフにして、リレー41,42,43を一括してオフ状態にする。これにより、電気ユニット100の制御系に異常がある場合に、リレー41,42,43がオン状態になることが防止され、車両システムの安全性が高まる。
上記した実施形態の電気ユニット100によれば、以下の効果を得ることができる。
電気ユニット100は、強電バッテリ(バッテリ)20とインバータ(高電圧ユニット)50とがリレー41,42,43を介して接続される。そして、リレー41,42,43をスイッチ制御するようにリレー41,42,43のスイッチ駆動部412,422,432の上流側に接続される上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11と、リレー41,42,43をスイッチ制御するように、リレー41,42,43のスイッチ駆動部412,422,432の下流側に接続された下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53と、を備える。このように、上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11と下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53という2つの駆動回路によって、上流側と下流側とでそれぞれリレー41,42,43をスイッチ制御しているため、1つのユニットによってリレー41,42,43を制御する場合に比べ、冗長性を確保することができる。
また、電気ユニット100は、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53と並列に接続された電圧検出回路60と、電圧検出回路60に直列に接続された電流制限回路70と、を備える。リレー41,42,43の下流側の電圧検出回路60により、上流側のスイッチング素子(スイッチ)111,112,113の状態を検出することで、リレー41,42,43の上流側の制御系の異常を検知し、異常時には下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53でリレーをオフにできる。このため、制御系に異常が生じている状態でリレー41,42,43を駆動させることを防止でき、電気ユニット100の安全性が高まる。
また、リレー41,42,43の上流側の制御系が誤作動や故障した場合でも、電圧検出回路60に直列に接続された電流制限回路70により、電圧検出回路60とリレー41,42,43の下流側のスイッチング素子(スイッチ)531のクランプエネルギーを案分することが可能となる。従って、リレー41,42,43の上流側の制御系が誤作動や故障した場合においても、スイッチング素子(スイッチ)531の部品耐量を超えることが防止され、スイッチング素子(スイッチ)531の損傷や故障が防止される。
また、電気ユニット100は、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53が、正極強電ライン(正極ライン)81及び負極強電ライン(負極ライン)82に設けられたリレー41,42,43を一括してスイッチ制御するように、各リレー41,42,43のスイッチ駆動部412,422,432の下流側を一つに繋ぐライン(弱電ライン90)上に設けられる。そして、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53は、インバータ(高電圧ユニット)50内に設けられている。従って、上流側の制御系の異常を検知した場合、下流側のインバータ(高電圧ユニット)50が、上流側のユニット(LBC30及びVCM10)からの指令なしに独立してリレー41,42,43を一括してオフにすることができる。従って、冗長性及び安全性がより高まる。
また、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53が、複数のリレー41,42,43を一括してスイッチ制御するため、リレー41,42,43の下流側において、リレー41,42,43を個別にスイッチ制御する場合に比べ、システムが簡素化する。従って、部品数が減り、低コスト化が実現される。
電気ユニット100は、上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11がVCM(車両コントロールモジュール)10内に設けられ、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53が、モータを駆動するインバータ50内に設けられている。これにより、リレー41,42,43は、VCM(車両コントロールモジュール)10とインバータ50という2つのユニットによってスイッチ制御されるため、1つのユニットによってリレーを制御する場合に比べ、冗長性が高まる。
また、リレー41,42,43の下流側を一括してスイッチ制御する下流側リレー駆動回路53を、リレーに相関の無いユニットであるインバータ50内に設けているため、リレーに相関のあるユニット(VCM10及びLBC30)に異常が発生した場合でも、リレーに相関の無いユニット(インバータ50)が独立して、リレー41,42,43を一括してオフにすることができる。従って、冗長性及び安全性がより高まる。
電気ユニット100は、インバータ50が下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53を制御するマイコン54を備え、マイコン54は、VCM(車両コントロールモジュール)10とCAN通信線(通信線)91により相互に通信可能に接続される。そして、マイコン54は、CAN通信線(通信線)91に異常が発生した場合、または電圧検出回路60が上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11のスイッチ制御に関する異常を検出した場合、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53のスイッチング素子(スイッチ)531をオフ状態にする。これにより、電気ユニット100の制御系に異常がある場合に、リレー41,42,43がオン状態になることが防止され、車両システムの安全性が高まる。
電気ユニット100は、VCM(車両コントロールモジュール)10が、リレー41,42,43をオンする場合、VCM(車両コントロールモジュール)10は、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53のスイッチング素子(スイッチ)531を先にオンしてから、上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11のスイッチング素子(スイッチ)111,112,113をオンする。これにより、リレー41,42,43の上流側のスイッチ制御に異常がある場合、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53のスイッチング素子(スイッチ)531をオンする前に、電圧検出回路60により異常を検出できる。従って、電気ユニット100の制御系に異常がある場合には、リレー41,42,43を下流側から一括してオフ状態にし、リレー41,42,43をオン駆動しないようにすることができる。よって、車両システムの安全性がより高まる。
電気ユニット100は、VCM(車両コントロールモジュール)10が、リレー41,42,43をオンする際、CAN通信線(通信線)91に異常が発生した場合、または電圧検出回路60が上流側リレー駆動回路(第1駆動回路)11のスイッチ制御に関する異常を検出した場合、インバータ50のマイコン54が、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路)53のスイッチング素子(スイッチ)531をオフに制御する。このように、リレー41,42,43の上流側の制御系に異常がある場合には、リレー41,42,43はオン駆動されないため、システムの安全性が高まる。
なお、本実施形態においては、リレー回路40がプリチャージリレー42を含むが、必ずしもこれに限られず、リレー回路40が少なくとも正極側メインリレー41及び負極側メインリレー43を含む構成であればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
10、車両コントロールモジュール(VCM),11、上流側リレー駆動回路(第1駆動回路),20、強電バッテリ,30、バッテリコントローラ(LBC),40、リレー回路,41、正極側メインリレー(リレー),42、プリチャージリレー,43、負極側メインリレー(リレー),411、スイッチ部,412、スイッチ部,413、スイッチ部,421、スイッチ駆動部,422、スイッチ駆動部,432、スイッチ駆動部,50、インバータ(高電圧ユニット),53、下流側リレー駆動回路(第2駆動回路),60、電圧検出回路,70、電流制限回路,80、強電ライン,81、正極強電ライン(正極ライン),82、負極強電ライン(負極ライン),90、弱電ライン,100、電気ユニット
Claims (6)
- バッテリと、
前記バッテリに接続される高電圧ユニットと、
前記バッテリと前記高電圧ユニットとの間の正極ライン及び負極ラインのそれぞれに設けられるリレーと、を備える電動車両用の電気ユニットであって、
前記正極ライン及び前記負極ラインに設けられたリレーのそれぞれを個別にスイッチ制御するように、各リレーのスイッチ駆動部の上流側のそれぞれに電気的に接続される第1駆動回路と、
前記正極ライン及び前記負極ラインに設けられたリレーを一括してスイッチ制御するように、各リレーの前記スイッチ駆動部の下流側を一つに繋ぐライン上に設けられた第2駆動回路と、
前記第2駆動回路と並列に接続された電圧検出回路と、
前記電圧検出回路に直列に接続された電流制限回路と、を備え、
前記第2駆動回路は、前記高電圧ユニット内に設けられる、
電気ユニット。 - 請求項1に記載の電気ユニットであって、
前記第1駆動回路は、車両コントロールモジュール内に設けられ、
前記高電圧ユニットは、モータを駆動するインバータである、
電気ユニット。 - 請求項2に記載の電気ユニットであって、
前記インバータは、前記第2駆動回路を制御するマイコンを備え、
前記マイコンは、前記車両コントロールモジュールと、通信線により相互に通信可能に接続され、
前記マイコンは、前記通信線に異常が発生した場合、または、前記電圧検出回路が、前記リレーのスイッチ駆動部の上流側に接続された第1駆動回路のスイッチの制御に関する異常を検出した場合に、前記第2駆動回路のスイッチをオフ状態に制御する、
電気ユニット。 - 請求項2または3に記載の電気ユニットであって、
前記車両コントロールモジュールは、
前記リレーをオンする場合、前記第2駆動回路のスイッチを先にオンしてから、前記第1駆動回路のスイッチをオンし、
前記リレーをオフする場合、前記第1駆動回路のスイッチを先にオフしてから、前記第2駆動回路のスイッチをオフする、
電気ユニット。 - 請求項1または2に記載の電気ユニットであって、
前記正極ラインに設けられるリレーは、前記バッテリから前記高電圧ユニットへの電力供給をオンまたはオフする正極側メインリレーと、
前記正極側メインリレーに並列に接続されたプリチャージリレーと、を含む、
電気ユニット。 - 請求項1または2に記載の電気ユニットであって、
前記第2駆動回路を制御するマイコンと、
前記第2駆動回路に送信する駆動信号を生成する第1電源と、
前記マイコンに供給する電力を生成する第2電源と、
をさらに備え、
前記第1電源は、前記第2電源よりも高電圧である、
電気ユニット。
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2022
- 2022-07-11 JP JP2022111359A patent/JP2024009666A/ja active Pending
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