JP2024006835A - Frp補強用部材、frp接続構造体及びfrp成形体 - Google Patents

Frp補強用部材、frp接続構造体及びfrp成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明技術は、FRP等の成形体のボルト締め部やリベット接合部又は極度に曲げ半径が小さい曲げ部等の応力負荷が高い部分や強度が低い部分における割れ発生と割れの進展を抑制する。【解決手段】 樹脂に補強繊維を複合させたFRP層からなり、FRP成形体の局所的な歪み・応力の負荷が加わる位置を含む部分に貼り付けて使用する補強用部材であって、前記補強繊維は前記樹脂内に切れ目なく配列されており、配列の開始側と終了側の両方の端末が、前記局所的な歪み・応力の負荷が直接加わらない位置に設置されている。【選択図】図7

Description

本発明はFRP補強用部材、FRP接続構造体及びFRP成形体に関する。
FRP(繊維強化プラスチック)は、金属材料に比べて軽量かつ強度が高い材料即ち比強度の高い材料である。FRPに使用される補強繊維はガラス繊維や炭素繊維のほか、用途によってはアラミド繊維も使われる。FRPの製法として細かく切断したガラス繊維を均一にまぶす方法やガラス繊維や炭素繊維に樹脂を浸透させる方法等がある。繊維強化プラスチックのマトリックスには、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が使われることが多い。
FRPの製造方法としては、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、SMC(Sheet Molding Compound)プレス法、インジェクションを利用した樹脂高圧注入技術によるRTM(Resin Transfer Molding)法、オートクレーブ法等があり、高品質製品が製作できる段階にある。
最近では、社会インフラ設備の変遷があり、風力発電など採用する発電方式の変化による設備大型化や電車、自動車、飛行機の輸送設備の燃費向上のための大型薄肉軽量化等のニーズが高まっている。大型化に対処可能なFRPは厚さを高め高強度化することが考えられるがより軽量化も望まれている。軽量化のためにはFRPの厚さを薄くすることが考えられるが、FRP成形体自体の強度、FRP成形体同士もしくはFRP成形体と他の材料(例えばプラスチックや金属等)からなる成形体との接続部分の強度が劣化する虞がある。そこで、可能な限りFRP厚さの増大を抑えつつFRP本体並びに接続部の強度向上を図ることが望まれる。このように見ていくと、現状においては、FRPの厚さをできるだけ薄く機械的強度を向上する技術が望まれている。
FRPは薄いと強度が不足するので厚さを大きくすることが行われている。薄いと弱い課題がある。また、FRPを構成する補強繊維の強度は高いが、樹脂だけでは強度が低く割れが発生し易い。特に、ボルト締め穴周辺、あるいはその他の目的であけられた穴周辺に過大な応力が加わる虞がある。また穴がない場合でも曲げ半径が小さい場合等、構造上応力の集中が避けられないケースもあり、最悪の場合割れが発生する虞がある。
1974年以降に日本で公開された特許文献を調べると、ボルト穴周辺の強度向上のためにFRP構造体本体の繊維構造を変えることにより強化する技術(特許文献1、特許文献2)は存在する。また、FRPに関する記載はないが、樹脂製部品のボルト穴に樹脂の補強シートを張り付ける技術(特許文献3)も存在する。さらにボルト穴あるいは割れの可能性がある部分にFRPと同程度の数mm以上の厚さの発明部材を貼り付けて割れの進行を抑制する技術として割れに直角に補強繊維を配置する即ち渦巻き状補強繊維を設置する構造が提案されている(特許文献4)。基礎的なデータを解析することで、ワッペンの破壊には放射状に配列する曲げ剛性を高める構造が提案されている(特許文献5)。調査した範囲では、FRP内部のガラス繊維の端末の影響に関する記述などは認められず、端末処理に注目したFRP補強技術は認められなかった。
また、非特許文献1にはFRP同士の貼り付け接続法やFRPと金属のボルト接続技術が紹介されている。ボルト周辺の応力解析は一部行われており、非特許文献2には、ボルト穴周りで圧縮応力が大きくなることも報告されている。
このような状況において新たにFRP成形体やFRP補強部材を強化する技術検討が必要である。
特開2002-307585号公報 特開2003-225914号公報 特開2017-19311号公報 国際公開番号 WO2021/201298A1 特願2022-66615号公報
FRP成形技能テキスト(新版)財団法人強化プラスチック協会 平成9年(1997)年10月31日発行 FRP部材の接合および鋼とFRPの接着接合に関する先端技術 平成25年(2013)年11月12日発行
FRP成形体の軽量・薄肉化の要望が高まる中、ボルト締め部やリベット接合部又は極度に曲げ半径が小さい曲げ部等における割れ発生と割れの進展を抑制する技術が望まれている。なお、この割れ発生と割れの進展を抑制する技術はFRP成形体だけでなく、一般的なプラスチック成形体や薄い金属材料複合材からなる成形体などにも応用可能である。
本発明の目的は、FRP等の成形体のボルト締め部やリベット接合部又は極度に曲げ半径が小さい曲げ部等の応力負荷が高い部分や強度が低い部分における割れ発生と割れの進展を抑制することができるFRP補強用部材、FRP接続構造体及びFRP成形体を提供することにある。
本発明は、樹脂に補強繊維を複合させたFRP層からなり、FRP成形体の局所的な歪み・応力の負荷が加わる位置を含む部分に貼り付けて使用する補強用部材であって、前記補強繊維は前記樹脂内に切れ目なく配列されており、配列の開始側と終了側の両方の端末が、前記局所的な歪み・応力の負荷が直接加わらない位置に設置されていることを特徴とするFRP補強用部材である(請求項1)。
上記補強繊維は、その配列が渦巻き、同心円または放射状であることが好ましい(請求項2)。
上記FRP層は、複数のFRP層が積層されたものでもよい(請求項3)。
上記FRP層は、上記補強繊維の配列が同心円または渦巻き状のFRP層を上記補強繊維の配列が放射状のFRP層で挟んだ積層体であることが好ましい(請求項4)。
上記FRP層の各層の前記補強繊維は途切れなく3次元に連続していることが好ましい(請求項5)。
上記補強繊維の両端末は上記FRP補強用部材の自由表面に出現していないことが好ましい(請求項6)。
また、本発明は、FRP成形体にプラスチック製、FRP製又は金属製の他の成形体を接続したFRP接続構造体において、上記FRP成形体と上記他の成形体との接続部に上記FRP補強用部材を貼り付けたFRP接続構造体である(請求項7)。
また、本発明は、FRP成形体の表面に形成された凹部又は穴、もしくは急激な曲げ半径の湾曲部に上記FRP補強用部材を貼り付けたFRP成形体である(請求項8)。
上記FRP成形体において、上記補強繊維の両端末は上記FRP補強用部材の自由表面に出現していない請求項8に記載のFRP補成形体である(請求項9)。
本発明のFRP補強用部材、FRP接続構造体及びFRP成形体によれば、ボルト締め部やリベット接合部又は極度に曲げ半径が小さい曲げ部等の応力負荷が高い部分や強度が低い部分における割れ発生と割れの進展を抑制することができる。
ボルト用穴のあるFRP成形体の割れモデル図である。 本発明のFRP補強用部材(以下ワッペンという)の外観例である。 2枚のワッペンを用いて2枚のFRP成形体をボルト締めにより接続したデザイン例である。 FRP片からなる試料の曲げ試験概要と補強繊維の配列方向を変えた3種類のFRP片からなる試料の基本構成及び補強繊維構成角度の定義を示したものである。 補強繊維の配列方向を変えた3種類のFRP片からなる試料の曲げ試験結果の関係を示したものである。 曲げ試験後のa)試料の亀裂の状況を示す図であり、合わせてb)亀裂発生の位置をファイバースコープで拡大した写真を示したものである。 ボルトナット結合の際に、応力が直接負荷されない位置に、補強繊維の端末を黒丸で示した開始部と終点部に配置した、a)亀裂の進展抑制のための同心円状連続した補強繊維の構成図、b)剛性を高める並行配置を含む補強繊維配置構成図である。 亀裂の進展抑制と剛性の両方を高める補強繊維配置構成図である。 3次元プリンターで連続した複合材によりワッペンを作製する構成図である。 ワッペン原料の樹脂被覆補強繊維複合線材と加熱による溶融、複合材形成システムを示したものである。
FRP成形体は、FRP成形体同士又は他の材料(例えばプラスチックや金属)からなる成形体と接続して使うことが多い。また形状も用途により、複雑なものも多い。例えば、ボルトナット又はリベットによる加締め部等その複雑な構造により応力がかかって使用されているものがある。その際、応力が高い部分と低い部分があり、高い部分を強化する必要がある。
図1はボルト用穴のあるFRP成形体の割れモデル図である。約3mmのFRP成形体の表面割れ2はFRP成形体1の穴3からその半径方向へ放射状に進展する放射状の割れであることが予想される。割れ発生伝播を抑制するには割れの抵抗になるように繊維を配置する必要がある。
図2は本発明のFRP補強用部材(以下ワッペン4という)の外観例である。FRP成形体1の穴3の周りに樹脂とガラスなどの補強繊維を適切な構造に貼り付け配置することで、亀裂進展抑制機能を発現できる。
図3は2枚のワッペン4を用いて2枚のFRP成形体をボルト締めにより接続したデザイン例である。4はワッペン、5はワッシャー、6はボルト、7はナットであり、ワッペンを貼り付けることでFRP基材が補強される。
図4はFRP片からなる試料の曲げ試験概要と補強繊維の配列方向を変えた3種類のFRP片からなる試料の基本構成及び補強繊維構成角度の定義を示したものである。a)に示す曲げ試験、(試料8、支点9、荷重10)にて評価する。曲げ試験を行う試料(FRP片)は試料長手方向11に垂直に補強繊維を設置したものは角度θが0度12、試料長手方向11に平行に補強繊維を設置したものは角度θが90度14と定義し、中間の45度13も併せて実施した。
図5は補強繊維の配列方向を変えた3種類のFRP片からなる試料の曲げ試験結果の関係を示したものである。なお、試料の補強繊維にはガラス繊維を用いた。角度θが90度の場合には曲げ剛性は大きく,45度の約2倍以上になっている。したがって剛性向上には90度が望ましい。
図6は、曲げ試験後のa)試料の亀裂の状況を示す図であり、合わせてb)亀裂発生の位置16をファイバースコープで拡大した写真を示したものである。
いずれも補強繊維が試料の自由表面に出現した部分17近傍から破壊が進行することが分かる。
図7は、ワッペンを形成する補強繊維の配置構成デザイン例を示し、(a)すでに公開した国際特許出願(国際公開番号WO2021/201298A1)亀裂の進展方向への伝播を抑制する渦巻きまたは同心円状に配列された補強繊維の配置構成デザイン例、(b)亀裂の進展方向16の剛性を高めるために配置される並行配置の補強繊維の配置構成デザイン例である。(a)には連続したデザイン例配置の為、同心円をつなぐ補強繊維を連続的に配置した連結部180を示してある。すなわち、本実施形態において、「同心円」形状とは言っても基本は「渦巻き」形状であり、渦巻きの途中部分を変形させて、同心円に見えるように成形したものと言うことができる。補強繊維の起点19から始まり、同心円を一周した後、次の同心円状補強繊維への連続的連結部180を経て、同心円状に補強繊維を配置し、さらに連続的連結部180を経てワッペンの穴に向かって次の同心円の補強繊維配置に至る穴の近くの最終同心円に配置した後、終点を直接的に応力の付加がかからないワッペン外周部に設置する構成にする。ここで、補強繊維の起点と終点は、ボルト締め時に応力が直接かからない部分でありワッペン外周部に黒丸で示してある。
また、先の特許文献5で検討した中心穴の円周方向に垂直に配置した補強繊維により、剛性が向上するのでこの方式を使ったが、補強繊維の両方の端末の位置の適正化に新規性がある。図のθ19は45度であり、穴を8分割した角度で配置している。
従来技術を超えるために注目した新規構造は、ボルトナット結合の際に、負荷応力の少ない位置に、補強繊維端末を開始部と終点部に配置した、a)亀裂の進展抑制のための同心円状連続した補強繊維の構成図、b)剛性を高める並行配置を含む補強繊維配置構成図である。同心円状連続した補強繊維18は、応力負荷の少ないワッペン外周に端末、起点19、終点20を設置する構造がよい。
図8は、図7に示す2つの構造を合わせた複合構造とし、これを基本としてワッペンを構成する複合材を作ることが出来る。
一つの製品において、補強繊維が連続して配置する構成になっている。連続した補強繊維配置の為、同心円状に配置した繊維は連続的でありガラス繊維を連続的に配置している連結部180を含んでいる。この連続した補強繊維については、強度を維持するために端末がFRP成形体に直接応力がかからないワッペンの外周部に補強繊維の端末である起点と終点を配置したものである。また、剛性を高める構造においても応力負荷の少ないワッペン外周に端末、起点22、終点23を設置する構造が望ましい。
さらに、補強繊維を切れ目なく設置する新規構造のとしては、図8のc)記載の4つの端末19,20,22,23を連続的に行う為、終点20と起点22を省いて起点19終点22とすることが望ましい。
図9は、三次元プリンターでワッペンを作製する構成図である。ひも状材料送り出しボビン24から送り出した樹脂被覆補強繊維複合材は加熱吐出口25で樹脂が溶融し、成形品26になる。成形品は成形台27の上に製作される。
図10は、ワッペン原料の樹脂被覆補強繊維線材28の加熱による溶融、複合材形成システムを示したものである。樹脂被覆補強繊維線材28は、あらかじめ補強繊維に樹脂29を被覆したものである。
電気炉30にはヒータ31が設置されており、成形材料である樹脂被覆補強繊維線材がこの加熱炉を通過することで、連続した複合材から成る三次元成形体32を作製することが出来る。樹脂は熱可塑性の樹脂である。
補強繊維がガラス繊維の場合、樹脂とガラス繊維の適正重量比は50~80%であり、70%が望ましい。ガラス繊維重量が50%以下では、希望する強度に対して強度が不十分であるためであり、80%以上では空孔殿の欠陥が発生し。成形体が作りにくいためである。カーボン繊維の場合も検討したが、この場合は、理想重量はガラス繊維と異なり、20~50%であり、30~40%が望ましい。この原因は、カーボン繊維の比重は1.8,ガラス繊維の比重は2.5の為、カーボン繊維の体積が大きくなるため作りにくいためである。
この製法には、経済性のある三次元プリンターが望ましい。
本発明のFRP補強用部材及びその製造方法は、市場の軽量化志向に伴う薄い金属材料からなる成形体などにも応用可能であり、高強度の高張力鋼線や共析鋼線材やタングステン線等を繊維素材として基盤となる金属材料に埋め込んだ補強材にも応用可能である。
本発明のFRP補強用部材及びその製造方法、FRP成形体並びにFRP接続構造体は、航空機、軽量小型飛行機、空調設備、産業・介護用ロボット、トラック、乗用車、電車部品、風力発電用設用等の部材、医療機器用筐体、大型ドローン、その他のFRP筐体やFRP部品に適用することができる。
1 FRP成形体基材
2 放射状割れ
3 穴
4 ワッペン
5 ワッシャー
6 ボルト
7 ナット
8 試料
9 支点
10荷重
11試料長手方向
12補強繊維配置0度
13補強繊維配置45度
14補強繊維配置90度
15角度θの定義
16曲げ試験後の亀裂の状態
17亀裂開始部の拡大写真
18同心円状に連続的に配置した補強繊維
180同心円状に配置するための補強繊維の連続的な連結部
19同心円状連続した補強繊維の配置開始部
20同心円状連続した補強繊維の配置終点部
21放射状に連続的に配置した補強繊維
22放射状に連続的に配置する補強繊維の配置開始部
23放射状に連続的に配置する補強繊維の配置終点部
24ひも状材料送り出しボビン
25加熱吐出口
26成形品
27成形台
28補強繊維
29樹脂
30電気炉
31加熱炉内ヒータ
32三次元成形体

Claims (9)

  1. 樹脂に補強繊維を複合させたFRP層からなり、FRP成形体の局所的な歪み・応力の負荷が加わる位置を含む部分に貼り付けて使用する補強用部材であって、前記補強繊維は前記樹脂内に切れ目なく配列されており、配列の開始側と終了側の両方の端末が、前記局所的な歪み・応力の負荷が直接加わらない位置に設置されていることを特徴とするFRP補強用部材。
  2. 前記補強繊維の配列が渦巻き、同心円または放射状である請求項1に記載のFRP補強用部材。
  3. 前記FRP層が複数積層されている請求項1または請求項2に記載のFRP補強用部材。
  4. 前記補強繊維の配列が同心円または渦巻き状のFRP層を前記補強繊維の配列が放射状のFRP層で挟んだ請求項3に記載のFRP補強用部材。
  5. 前記FRP層の各層の前記補強繊維が途切れなく3次元に連続している請求項3に記載のFRP補強用部材。
  6. 前記補強繊維の両端末がFRP補強用部材の自由表面に出現していない前記請求項1に記載のFRP補強用部材。
  7. FRP成形体にプラスチック製、FRP製又は金属製の他の成形体を接続したFRP接続構造体において、前記FRP成形体と前記他の成形体との接続部に請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のFRP補強用部材を貼り付けたFRP接続構造体。
  8. FRP成形体の表面に形成された凹部又は穴、もしくは急激な曲げ半径の湾曲部に請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のFRP補強用部材を貼り付けたFRP成形体。
  9. 前記補強繊維の両端末がFRP補強用部材の自由表面に出現していない請求項8に記載のFRP補成形体。
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