JP2024006736A - フリクションドライブローラ方式ウインチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 負荷に接続されたテザーの引き出しと巻取りのためのフリクションドライブローラ方式ウインチに於いて、フリクションドライブローラ(FDR)-スプール間のテザーにバックテンションが作用している状態でも負荷-FDR間のテザーの張力を0以上の所望の張力に制御できる構成を提供する。【解決手段】 テザー3を巻き付けて収納するスプール5と、負荷2とスプールとの間にてテザーが巻回されるFDR6とを含むウインチ4に於いて、スプールとFDRとの間にて所定値以上のバックテンションが作用するように、スプール側へテザーを巻き取る方向にスプールに回転トルクを発生させ、負荷とFDRとの間のテザーの張力が目標張力に一致するように、負荷側への目標張力が第一の張力を上回るときには、FDRにテザーを巻き取る方向に、負荷側への目標張力が第一の張力を下回るときには、FDRにテザーを送り出す方向に、回転トルクを発生させる。【選択図】 図3

Description

本発明は、カイトシステムに於けるカイト(凧)やバルーン等の係留飛行体を地上と接続するテザーの送出し及び巻取りに利用可能なウインチに係り、より詳細には、フリクションドライブローラ(キャプスタンドラム)方式ウインチの張力制御技術に係る。
カイトシステムに於いて係留飛行体を地上と接続する長大なテザーを、その運用高度の高低と距離の長短に伴って高張力~低張力に亙って種々変化する条件にて、出し入れするための地上設備として、連続運転可能なウインチが有用である。ウインチの構造として、単一のスプールのみでテザーの収納と張力発生・制御を行う方式や、フリクションドライブローラ方式又はキャプスタンドラム方式(以下、「FDR方式」と称する。)が知られている。FDR方式とは、スプールと負荷との間に、キャプスタンドラム又はフリクションドライブローラと称される動力付きのプーリが配置され、かかるプーリが牽引する張力の発生を行う方式である。前者の構造の例として、特許文献1には、ロープ巻胴(スプール)が電動機で回転駆動されるウインチであって、ロープの張力検出装置から得られるロープ張力が目標張力になるように電動機が制御される構成が開示されている。また、FDR方式のウインチとして、特許文献2に於いては、ワイヤの巻き込み時にキャプスタンに於いて、常時、バックテンションを付与する手段を機械的に構成して、キャプスタンへのワイヤ等の巻き乱れを防止する構成が提案されている。また、特許文献3は、ビデオテープレコーダに於けるテープを供給リールから再生ヘッドを通って巻取りリールへ送り出す方向にトルクを発生するキャプスタンを有する構成を開示しており、そこに於いて、キャプスタンから供給リール側へテープに常にバックテンションを発生する機構が設けられ、テープの送り出しが間欠的に停止されるモードに於いては、テープの送り出しの停止時にもキャプスタンにバックテンションを相殺するトルクを発生させて、テープの走行を安定されることを提案している。
特開昭60-252593号公報 特開平2-255431号公報 特開平10-3713
上記の如き係留飛行体と地上とを接続するテザーのためのウインチに於いては、負荷である係留飛行体との間の張力の変動が大きいので、フリクションドライブローラにより張力を発生するFDR方式のウインチが有利に用いられる。FDR方式ウインチの場合、フリクションドライブローラ(以下、「FDR」と称する。)よりもスプール側(上流側)のテザーに適当な張力を常に作用させておく必要がある。これは、なぜならば、もしFDRの上流側のテザーのバックテンションが作用していないと、テザーがFDRの周面上に押さえつけられず、テザーとFDRの周面との間に十分な摩擦力が発生しないことから、テザーがFDRの周面上でスリップしてしまい、所望の張力を負荷とFDRとの間に発生できなくなるためである。また、バックテンションが無い場合、負荷が高い張力にてテザーを引き出すことによりスプールが高速にて回転している状態に於いて負荷の張力が急に低下した場合に、スプールが慣性によって必要以上に回転することでテザーがスプールから余分に送り出され、テザーのFDR上からの浮き上りやテザーの絡まりが発生し易くなり得る。
ところで、上記のカイトシステムに於いては、地上から係留飛行体の高度・距離の大幅に変動するので、テザーの張力と、テザーの送出されている長さが大幅に変化し、また、係留飛行体に接続されるテザーの張力が0にさせるべき場合もある(例えば、係留飛行体の滑空時又は着陸時など)。一方、従前の一般的なFDR方式のウインチは、基本的には、殆ど変化しない負荷を定常的に牽引するように構成されている。その場合、FDR-スプール間のテザーにバックテンションが作用させている状態では、常に負荷側のテザーにも張力が作用するので、張力を0にすることができない。また、負荷側の張力がバックテンションを下回るときに、負荷側に於ける所望の張力の低減に合わせてバックテンションも変化させることも困難である(上記の如く、バックテンションを下げ過ぎると、テザーのFDR上からの浮き上りやテザーの絡まりが発生する。)。従って、FDR方式のウインチをカイトシステムに用いる場合、FDR-スプール間のテザーにバックテンションが作用している状態でも、負荷-FDR間のテザーの張力を0以上の所望の張力に制御できる構成があると有利である。
かくして、本発明の一つの目的は、上記の如きFDR方式のウインチに於いて、FDR-スプール間のテザーにバックテンションが作用している状態でも負荷-FDR間のテザーの張力を0以上の所望の張力に制御できる構成を提供することである。
本発明によれば、上記の課題は、負荷に接続されたテザーの送出しと巻取りのためのフリクションドライブローラ方式のウインチであって、
前記テザーを巻き付けて収納するスプールと、
前記スプールに回転トルクを付与するスプール回転トルク付与装置と、
前記負荷と前記スプールとの間にて前記テザーが巻回されるフリクションドライブローラと、
前記フリクションドライブローラに回転トルクを付与するドライブローラ回転トルク付与装置と、
前記負荷と前記フリクションドライブローラとの間のテザーの張力が目標張力に一致するように前記スプール回転トルク付与装置と前記ドライブローラ回転トルク付与装置とにより付与される前記回転トルクを制御する制御装置と
を含み、
前記制御装置が、前記スプールと前記フリクションドライブローラとの間にて前記所定値以上の第一の張力が発生するよう前記スプール側へ前記テザーを巻き取る方向に前記スプール回転トルク付与装置に回転トルクを発生させ、前記負荷側への前記目標張力の大きさが前記第一の張力の大きさを上回るときには、前記ドライブローラ回転トルク付与装置により前記スプール側へ前記テザーを巻き取る方向に回転トルクを発生させ、前記負荷側への前記目標張力の大きさが前記第一の張力の大きさを下回るときには、前記ドライブローラ回転トルク付与装置に前記スプール側から前記テザーを送り出す方向に回転トルクを発生させるよう構成されたウインチによって達成される。
上記の構成に於いて、「負荷」とは、テザーに接続されてウインチを介して任意の位置にて係留若しくは保持される任意の物体であってよく、例えば、ウインチがカイトシステムに於いて用いられる場合には、係留飛行体であってよいが、これに限定されない。「スプール」とは、円筒状又は円柱状の形状を有し、その周面上に、上記の如くテザーが巻き付けられて、負荷の保持位置までの距離に応じて長さが調節されるテザーを収納するためのリールの如き部材である。「フリクションドライブローラ(FDR)」とは、キャプスタンドラムとも称されるローラであり、その周面にて負荷とスプールとの間に接続されたテザーが、数回、巻き付けられて、周面とテザーとの間に作用する摩擦力と、負荷との間の張力とをバランスさせて、テザーに於ける負荷との間の張力及びスプールとの間の張力を調節する機能を有する部材である。「スプール回転トルク付与装置」と「ドライブローラ回転トルク付与装置」とは、それぞれ、スプールとFDRとに回転トルクを付与する任意の装置であってよく、典型的には、モータであってよい。「目標張力」とは、負荷を牽引する張力の目標値であり、負荷によって適宜決定されてよい。例えば、負荷が係留飛行体の場合には、目標張力は、高度の目標値と実際値、上昇・下降速度の目標値と実際値等に基づいて、適宜決定されてよい。「制御装置」は、負荷とFDRとの間のテザーの張力が目標張力に一致するように、スプール回転トルク付与装置とドライブローラ回転トルク付与装置とに於いて発生させる回転トルクを制御する任意の装置であってよく、電子制御装置或いはコンピュータ装置であってよい。負荷とFDRとの間のテザーの張力、FDRとスプールとの間の張力は、それぞれ、張力センサにより検出されてよい。
そして、上記の本発明の構成に於いては、まず、スプールに於いて、スプールとFDRとの間にて所定値以上の第一の張力(即ち、バックテンション)が発生するように、スプール回転トルク付与装置によってスプール側へテザーを巻き取る方向に回転トルクを発生させられ、これにより、スプールとFDRとの間のテザーにバックテンションが発生される。第一の張力に対する所定値は、テザーをFDRの周面に押し付けて、テザーとFDRの周面との間に於けるFDRの円周方向のスリップを抑制するのに十分な摩擦力が発生する張力であり、第一の張力は、かかる所定値以上の適宜設定された値であってよい。一方、FDRに於いては、負荷側への目標張力の大きさが第一の張力の大きさ、即ち、バックテンションの大きさ、を上回るときには、ドライブローラ回転トルク付与装置によりテザーを巻き取る方向に回転トルクが発生させられるところ、負荷側への目標張力の大きさが第一の張力の大きさを下回るときには、ドライブローラ回転トルク付与装置にテザーを送り出す方向に回転トルクが発生させられる。即ち、本発明に於いては、常に、スプールとFDRとの間のテザーに所定値以上のバックテンションを発生させた状態で、FDRの前後のテザーの張力の差分が目標張力からバックテンションを差し引いた値となるように、FDRに於いて発生させるトルクの大きさと向きが決定される。かかる構成に於いては、スプールとFDRとの間のテザーに於いて、FDRの周面に対してテザーを巻き付けるバックテンションが常に作用した状態で、FDRの回転トルクは、テザーの巻取り方向だけでなく、テザーの送出し方向にも発生されて調節されるようになっている。従って、負荷に接続されているテザーに要求されている張力がバックテンションを下回るときには、テザーの送出し方向のFDRの回転トルクがバックテンションを相殺できることとなり、これにより、負荷に接続されているテザーの張力は、バックテンションを上回る範囲だけでなく、バックテンションを下回る範囲に於いても適宜調節できることとなる。
上記の本発明の構成によれば、負荷に接続されているテザーの張力の目標張力が0であるときには、スプールとFDRとの間のテザーに第一の張力が発生した状態で負荷とFDRとの間のテザーの張力が0に設定されるようにFDRにテザーを送り出す方向に回転トルクが付与される。即ち、負荷に接続されたテザーの張力が0であってもスプールとFDRに於いてテザーに張力が作用し、テザーがそれぞれの周面に押し付けられる力が発生しているので、スプールとFDRとに於けるテザーの浮き上がりが防止され、テザーの絡まりの発生が回避できることとなる。
実施の態様に於いて、スプールに発生させる回転トルクTspoolは、バックテンション(の目標値)Fbacksideと、スプールのテザーの巻き付け半径rspoolと、慣性モーメントIspoolと、角加速度d2θspool/dt2とを用いて、下記の式で与えられてよい(テザーの巻取り方向が>0。スプール上でのテザーの滑りがないものと仮定。以下、同様。)。
spool=rspool・Fbackside+Ispool・d2θspool/dt2 …(1a)
即ち、スプールに発生させる回転トルクTspoolは、バックテンションを発生するトルクに慣性項を加算した値であってよい。ただし、慣性項は、回転速度が一定の間は、0であるので、回転トルクTspoolの目標値は、rspool・Fbacksideにより与えられてよい。一方、FDRに発生させる回転トルクTdriveは、バックテンション(の目標値)Fbacksideと、負荷側の張力Ffrontsideと、FDRのテザーの巻き付け半径rdriveと、慣性モーメントIdriveと、角加速度d2θdrive/dt2とを用いて、下記の式で与えられてよい。
drive=rdrive・(Ffrontside-Fbackside) +Idrive・d2θdrive/dt2 …(1b)
即ち、FDRに発生させる回転トルクTdriveは、負荷側の張力からバックテンションを差し引いた張力を発生する回転トルクに慣性項を加算した値であってよい。ただし、慣性項は、回転速度が一定の間は、0であるので、回転トルクTdriveの目標値は、rdrive・(Ffrontside-Fbackside)であってよい。式(1b)から理解される如く、(回転速度が一定のとき)、Ffrontside<Fbacksideのときには、Tdrive<0、即ち、回転トルクは、テザーの送出し方向に与えられる。
上記の本発明の構成に於いて、バックテンションは、スプールとFDRとに対してテザーが適度な押圧力にて押し付けられるように設定されればよく、一つの態様に於いては、負荷とFDRとの間のテザーの張力によらず、バックテンションは、一定に維持されてよい。また、別の態様に於いて、ドライブローラ回転トルク付与装置にテザーを送り出す方向に回転トルクを発生させるときには、スプールとFDRとの間のテザーの張力が所定値を下回らないようにスプール回転トルク付与装置にテザーを巻き取る方向に発生させる回転トルクが低減されてよい。ドライブローラ回転トルク付与装置にテザーを送り出す方向に回転トルクを発生させるとき、即ち、負荷とFDRとの間のテザーの張力の大きさがバックテンションの大きさより小さいときには、負荷方向への張力が低いので、テザーがスプール側へ巻き込まれ易い状態となる。そこで、その場合には、上記の如く、バックテンションを低減して、テザーのスプール側への過剰な巻き取りが抑制されるようになっていてよい。
かくして、上記の本発明の構成によれば、FDR方式ウインチに於いて、スプール-FDRの間のテザーにバックテンションをかけた状態で、負荷-FDRの間のテザーの張力をバックテンションよりも低く制御できることとなる。既に触れた如く、カイトシステムに於いては、テザーの接続された係留飛行体の高度・距離や移動速度の変動が大きく、テザーに発生させるべき張力の大きさが、0以上の範囲で変動することとなる。そのようなシステムの場合、上記の本発明によるウインチであれば、テザーに発生させるべき張力を適宜調節できる一方で、スプール-FDRの間のテザーにバックテンションをかけたままにすることができるので、テザーの絡まりなどのウインチトラブルの発生を抑制できることが期待される。なお、本発明のウインチの構成は、カイトシステムに限らず、任意の用途に利用されてよい。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本実施形態によるウインチが適用されるカイトシステムの模式図である。図1(B)は、本実施形態によるウインチに於けるスプールとFDRの回転トルクを制御する制御装置の構成をブロック図の形式で表わした図である。 図2は、本実施形態によるウインチのスプールとFDRに於けるテザーの張力と回転トルクとの関係を説明する図である。 図3(A)、(B)は、本実施形態によるウインチに於ける負荷との間のテザーに於ける張力(目標値)Ffrontsideに対する、スプールとFDRのそれぞれに於いて発生させる張力Fをグラフの形式にて表わした図である。(A)は、第一の実施形態であり、(B)は、第二の実施形態である。 図4は、本実施形態による複数のFDRを有するウインチのスプールとFDRに於けるテザーの張力と回転トルクとの関係を説明する図である。
1…カイトシステム
2…係留飛行体(カイト)
3…テザー
4…ウインチ
5…スプール
5m…スプールの回転モータ(スプール回転トルク付与装置)
6…フリクションドライブローラ(FDR)
6m…フリクションドライブローラ(FDR)の回転モータ(ドライブローラ回転トルク付与装置)
7…プーリ
10…スプール-FDR間のテザーの張力センサ
11…FDR-負荷間のテザーの張力センサ
20…回転トルクの制御装置
ウインチの基本構成
本実施形態のウインチは、例えば、図1(A)に模式的に描かれている如きカイトシステム1に於いて、カイト(凧)やバルーンなどの飛行体2に接続されて、飛行体2を空中に係留するためのテザー3の引出しと巻取りとを行うためのウインチ4として用いられてよい。かかるウインチ4は、端的に述べれば、テザー3を巻き取って収納するスプール5と、該スプール5と係留飛行体2との間に於いてテザー3が巻き付けられ回転駆動されるフリクションドライブローラ6(以下、「FDR」と称する。)とを有するFDR方式のウインチである。かかるウインチ4を用いたシステムに於いては、端的に述べれば、スプール5の周面に巻回されたテザー3の一方の端がスプール5から引出されて、FDR6の周面に数回巻き付けられた後、係留飛行体2へ接続された状態となっている(テザーは、適当な位置に設けられたプーリ7に巻き掛けられていてよい。)。この構成に於いて、テザー3とFDR6の周面との間に摩擦力が作用するので、係留飛行体2が風力にて上空に揚げられる際に、FDR6から係留飛行体2の側のテザー3に作用する張力は、そのまま、スプール5には伝わらず、FDR6とスプール5との間のテザー3には、テザー3とFDR6の周面との間の摩擦力によって作用する回転トルクによって生ずる張力が差し引かれた張力が作用することとなる。これにより、スプール5から係留飛行体2までの距離に応じてテザー3の長さを調節するべく、スプール5でのテザー3の引出しと巻取りをする際に、スプール5の周面へのテザー3の巻き付け力が安定し、テザー3の損傷や絡みを防止できることとなる。
回転トルク制御装置の構成
上記のウインチの構成に於いて、スプール5とFDR6とには、それぞれ、回転モータ5m、6mが接続され、これらのモータから回転トルクが付与される。負荷に接続されるテザー3の張力は、スプール5とFDR6に付与される回転トルクを制御することによって調節されることとなる。図1(B)を参照して、スプール5とFDR6とに於ける回転トルクは、回転トルク制御装置20によって制御される。制御装置20は、電子制御装置或いはコンピュータ装置であってよい。制御装置20に於いては、先ず、負荷(係留飛行体2)の状態(要求高度と実際高度との差、移動速度など)に基づいて、目標張力決定部20aにて、負荷に接続されたテザー3を牽引する張力の目標値(目標張力)Ff_tが決定される。そして、目標張力Ff_tを参照して、制御司令決定部20bに於いて、後述の如く、回転モータ5m、6mにより発生されるべき回転トルクの大きさと向きが決定され、それらの回転トルクについての制御指令Cspool、Cdriveが、回転モータ5m、6mへ与えられ、回転モータ5m、6mによって、スプール5とFDR6とに於いて回転トルクが付与される。なお、回転トルク制御は、目標張力Ff_tに基づくフィードフォワード制御であってもよいが、テザー3に於ける張力の実際値を参照して、フィードバック制御により実行されてもよい。その場合には、スプール5とFDR6との間のテザー3の張力を検出する張力センサ10、FDR6と負荷2と間のテザー3の張力を検出する張力センサ11が設けられ、それらの張力センサに於ける検出値を用いて、回転トルクが制御されてよい。
上記のウインチ4の構成に於いて、発明の概要の欄にて触れたように、テザー3をFDR6周面へ押し付けて、テザー3とFDR6周面との間にFDR6の回転トルクをテザー3へ伝達するための摩擦力を発生させるためと、スプール5のテザーの送出し方向の過回転の防止のために、スプール5とFDR6との間に於いて、テザー3の巻取り方向に、常に、バックテンションを作用させることが好ましい。従って、上記の回転トルクの制御に於いては、制御司令決定部20bは、更に、スプール5とFDR6との間のテザー3に於いて発生させるべきバックテンションFb_tを参照して、回転モータ5m、6mにより発生されるべき回転トルクを決定するよう構成される。
FDR6に於ける回転トルク制御の改良
(a)概要
上記の如く、スプール5とFDR6との間のテザー3に於いてバックテンションを、常時、付与する場合、FDR6と負荷2との間のテザーの張力にバックテンションが常に加算されることとなる。この点に関し、従前のウインチ、例えば、林業等の現場で木材を牽引するためのウインチの場合、負荷の牽引に要求される張力が大幅に変動することがなく、負荷の牽引中にその張力がバックテンションを下回る状況は発生しない。これに対し、カイトシステムの係留飛行体2を牽引する場合、空中で係留飛行体2は、静止、上昇、降下、前進、後退、滑空など、多様な状態をとるので、係留飛行体2に接続されてそれを牽引するテザー3に要求される張力(目標張力)は、大幅に変動することとなる。そして、特に、カイトシステムの係留飛行体2に接続されたテザー3に於いては、バックテンションを下回る目標張力が要求される状況も発生する。従って、カイトシステムの係留飛行体2を係留するテザーのためのウインチに於いては、既に触れた如く、スプール5とFDR6との間のテザー3に於いてバックテンションを常に発生させた状態で、目標張力が0以上の範囲で任意に設定できるようになっていることが好ましい。そこで、本実施形態に於いては、スプール5に於いてテザーの巻取り方向に回転トルクを常に付与して、スプール5とFDR6との間のテザー3に於いてバックテンションを作用させた状態で、FDR6に付与する回転トルクをテザーの巻取り方向だけでなく、テザーの送り出し方向にも付与するようにして、FDR6と負荷2との間のテザーの張力を0以上の範囲で任意に設定することが可能とされる。
(b)スプールとFDRに於ける回転トルク制御
本実施形態に於けるスプール5とFDR6に付与する回転トルクは、以下の如く制御されてよい。
図2を参照して、まず、スプール5に於いて、テザー3に発生させる張力(バックテンション)Fbacksideと回転トルクTspoolの関係は、下記の運動方程式により与えられる(テザーの巻取り方向を正とする。以下同様)。
spool・d2θspool/dt2=Tspool-rspool・Fbackside …(2a)
ここで、Ispoolは、スプールの慣性モーメントであり、d2θspool/dt2は、スプールの角加速度であり、rspoolは、スプールのテザーの巻き付け面の半径である。バックテンションFbacksideは、テザー3がFDR6の周面上で周方向に実質的に滑らないようにする適宜設定される張力の目標値であり、実験等により予め決定しておくことが可能である。従って、スプール5に付与される回転トルクは、
spool=rspool・Fbackside+Ispool・d2θspool/dt2 …(1a)
となる。なお、角加速度d2θspool/dt2は、角速度が定速とみなせる場合には、0となるので、スプール5に付与される回転トルクTspoolの目標値は、
spool=rspool・Fbackside …(3a)
により、与えられてよい。
一方、FDR6に於いて、負荷側のテザー3に発生させる張力FfrontsideとバックテンションFbacksideと回転トルクTdriveの関係は、下記の運動方程式により与えられる。
drive・d2θdrive/dt2=Tdrive-rdrive・(Ffrontside-Fbackside)…(2b)
ここで、Idriveは、FDRの慣性モーメントであり、d2θdrive/dt2は、FDRの角加速度であり、rdriveは、FDRのテザーの巻き付け面の半径である。負荷側のテザー3に発生させる張力Ffrontsideは、目標張力Ff_tであり、既に触れた如く、係留飛行体2の要求高度と実際高度との差、移動速度など、負荷の状態に基づいて、適宜設定される。従って、FDR6に付与される回転トルクは、
drive=rdrive・(Ffrontside-Fbackside) +Idrive・d2θdrive/dt2 …(1b)
となる。なお、角加速度d2θdrive/dt2は、角速度が定速とみなせる場合には、0となるので、FDR6に付与される回転トルクTdriveの目標値は、
drive=rdrive・(Ffrontside-Fbackside) …(3b)
により、与えられてよい。式(3b)から理解される如く、負荷側のテザー3に発生させる張力FfrontsideがバックテンションFbacksideを上回るときには、回転トルクTdriveは、>0となり、テザーの巻取り方向に付与されるのに対し、負荷側のテザー3に発生させる張力FfrontsideがバックテンションFbacksideを下回るときは、回転トルクTdriveは、<0となり、テザーの送り出す方向に付与される。
図3(A)を参照して、上記の如く、スプールとFDRとに回転トルクに付与した場合、スプールとFDRとの間のテザーの張力は、図中点線にて示されている如く、Tspool/rspoolとなり、負荷を牽引する目標張力Ffrontsideは、更に、FDRにより与えられる張力Tdrive/rdrive(図中、太実線)が加算されて、Tspool/rspool+Tdrive/rdrive(図中、細実線)となる。図示の如く、FDRにより与えられる張力Tdrive/rdriveは、目標張力Ffrontside=Fbacksideとなる張力Fcに於いて0となり、Ffrontside<Fbacksideとなる範囲で、<0となり、Ffrontside=0となるとき、Tdrive/rdrive=-Fbacksideとなる。即ち、目標張力が0のときには、スプールの回転トルクにより発生する張力を、FDRの回転トルクにより発生する張力が相殺するように、FDRに回転トルクが付与されてよい。
上記の構成に於いて、図3(A)に描かれている如く、バックテンションFbacksideは、負荷側のテザー3に発生させる目標張力Ffrontsideによらず、一定であってよい。この点に関し、目標張力FfrontsideがバックテンションFbacksideを下回る範囲では、目標張力Ffrontsideは比較的小さくなり、テザーがスプールへ巻き取られ易くなる。そこで、テザーがスプールへ過剰に巻き取られることを防止するために、図3(B)に描かれている如く、Ffrontside<Fbacksideとなる範囲で、目標張力Ffrontsideの低減と共に、バックテンションFbacksideが低減されてよい。バックテンションFbacksideの最小値Foは、FDR周面上でのテザーのスリップの防止に十分な押圧力がテザーに付与される張力になるように実験等を通じて設定されてよい。
(c)複数のFDRを用いた構成
本実施形態のウインチに於いて、FDR(6_1、6_2)は、複数設けられていてもよい。この場合、図4に示されている如く、各FDR6_1、6_2に於けるテザーの下流側(負荷側)の張力は、上流側(スプール側)の張力に、Tdrive(i)/rdrive(i)が加算された大きさとなる(iは、FDRの番号)。FDRにて加算される張力の総計は、Ffrontside-Fbacksideであるところ、各FDRに於いて付与される回転トルクの分配は、任意の方法で決定されてよい。
(d)スプールのテザーの巻取り半径の推定
上記の回転トルクの制御に於いて、FDRのテザーの巻き付け面の半径rdriveは、殆ど変化しないが、スプールのテザーの巻き付け面の半径rspool(及び慣性モーメントIspool)は、巻かれたテザーの量に応じて変化する。この点に関し、より精度よく回転トルクを制御するために、rspoolは、センサ等で検出された値が用いられてよいし、或いは、スプールの運動履歴から推定されてもよい。
具体的には、テザーが巻かれていない状態のスプールの半径ro、慣性モーメントIo、スプールの幅d、テザーの密度ρを用いて、テザーが巻かれたスプールの慣性モーメントIspoolは、
spool=Io+1/2・ρ・d・(rspool 4-ro4) …(4)
により与えられる。また、Ispoolは、式(2a)により
spool=(Tspool-rspool・Fbackside)/(d2θspool/dt2) …(5)
によっても与えられる。ここで、rspool以外のパラメータは、既知値又は計測値であるので、式(4)、(5)から慣性モーメントIspoolを消去して得られた式を満たすrspool(>ro)が数値的に算出することが可能である。
かくして、本実施形態に於いては、負荷を牽引するテザーの張力の目標値が、スプールとFDRとの間のテザーのバックテンションを下回るときには、FDRにテザーを送り出す方向の張力を付与することで、スプールとFDRとの間のテザーに、常に、バックテンションをかけた状態で、負荷を牽引するテザーの張力を0以上の範囲にて調節することが可能となる。かかる構成によれば、負荷との間のテザーの張力が大幅に変動する場合でも、FDRにテザーが安定的に巻き付けられた状態が保持され、テザーの絡まりなどのトラブルを抑制できることとなる。上記の本実施形態のウインチは、カイトシステムに限らず、任意の用途のFDR方式のウインチに用いられてよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとって多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (3)

  1. 負荷に接続されたテザーの送出しと巻取りのためのフリクションドライブローラ方式のウインチであって、
    前記テザーを巻き付けて収納するスプールと、
    前記スプールに回転トルクを付与するスプール回転トルク付与装置と、
    前記負荷と前記スプールとの間にて前記テザーが巻回されるフリクションドライブローラと、
    前記フリクションドライブローラに回転トルクを付与するドライブローラ回転トルク付与装置と、
    前記負荷と前記フリクションドライブローラとの間のテザーの張力が目標張力に一致するように前記スプール回転トルク付与装置と前記ドライブローラ回転トルク付与装置とにより付与される前記回転トルクを制御する制御装置と
    を含み、
    前記制御装置が、前記スプールと前記フリクションドライブローラとの間にて前記所定値以上の第一の張力が発生するよう前記スプール側へ前記テザーを巻き取る方向に前記スプール回転トルク付与装置に回転トルクを発生させ、前記負荷側への前記目標張力の大きさが前記第一の張力の大きさを上回るときには、前記ドライブローラ回転トルク付与装置により前記スプール側へ前記テザーを巻き取る方向に回転トルクを発生させ、前記負荷側への前記目標張力の大きさが前記第一の張力の大きさを下回るときには、前記ドライブローラ回転トルク付与装置に前記スプール側から前記テザーを送り出す方向に回転トルクを発生させるよう構成されたウインチ。
  2. 請求項1のウインチであって、前記目標張力が0であるとき、前記スプールと前記フリクションドライブローラとの間のテザーに前記第一の張力が発生した状態で前記負荷と前記フリクションドライブローラとの間のテザーの張力が0に設定されるように前記フリクションドライブローラに前記テザーを送り出す方向に回転トルクが付与されるウインチ。
  3. 請求項1又は2のウインチであって、前記ドライブローラ回転トルク付与装置に前記テザーを送り出す方向に回転トルクを発生させるとき、前記スプールと前記フリクションドライブローラとの間のテザーの張力が前記所定値を下回らないように前記スプール回転トルク付与装置に前記テザーを巻き取る方向に発生させる回転トルクを低減するウインチ。
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