JP2024005126A - ハイブリッド車の制御装置 - Google Patents

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克也 佐々木
Katsuya Sasaki
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Abstract

【課題】エンジン停止時の歯打ち音が抑制されつつ燃費が向上させられるハイブリッド車の制御装置を提供する。【解決手段】エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTにダンパー26が設けられ、動力伝達経路PTのうちダンパー26と駆動輪14との間に第1電動機MG1が動力伝達可能に接続されたハイブリッド車10の、電子制御装置90であって、エンジン12が停止状態である場合に第1電動機MG1からダンパー26にトルクが入力されることで計測されたダンパー26のヒステリシストルクThysが大きい場合には、小さい場合に比較してエンジン走行中においてエンジン12の停止を禁止する車速Vの上限値である停止禁止上限車速値V_stopを低く設定する。【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路にダンパーが設けられたハイブリッド車の、制御装置に関する。
エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路にダンパーが設けられ、動力伝達経路のうちダンパーと駆動輪との間に電動機が動力伝達可能に接続されたハイブリッド車が知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車がそれである。
特開2018-79849号公報
特許文献1に記載されたハイブリッド車では、ダンパーについての入力トルクと捻り角との関係において、捻り角の増加時と減少時との入力トルクの偏差であるヒステリシストルクを計測すること、及び、ヒステリシストルクの特性に基づいて動力性能や振動、騒音等を改善するための所定の制御が実行されること、が開示されているが、所定の制御について具体的にどのような制御が実行されるかまでは開示されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン停止時の歯打ち音が抑制されつつ燃費が向上させられるハイブリッド車の制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路にダンパーが設けられ且つ前記動力伝達経路のうち前記ダンパーと前記駆動輪との間に電動機が動力伝達可能に接続されたハイブリッド車の、制御装置であって、(a)前記ダンパーにおける前記エンジン側の回転部材をロックした状態で、前記電動機から前記ダンパーにトルクを入力して前記ダンパーのヒステリシストルクを計測し、(b)前記ヒステリシストルクが大きい場合には、小さい場合に比較してエンジン走行中において前記エンジンの停止を禁止する車速の上限値である停止禁止上限車速値を低く設定することにある。
本発明のハイブリッド車の制御装置によれば、ヒステリシストルクが大きい場合には、小さい場合に比較してエンジンの停止禁止上限車速値が低く設定される。ヒステリシストルクが大きいほど、エンジン停止時に歯打ち音を発生させる要因となる、ダンパーでの共振が減衰しやすい。このように、ヒステリシストルクが大きいほど、車速が低くなって暗騒音が小さくなっても、エンジン停止時の歯打ち音は暗騒音によってかき消されて運転者を含む乗員に認識されにくくなるので、ヒステリシストルクが大きいのに応じてエンジンを停止できる車速範囲をより低車速域まで広く設定することができるため、エンジン停止時の歯打ち音が抑制されつつ燃費が向上させられる。
本発明が適用されるハイブリッド車の概略構成を説明する図であるとともに、ハイブリッド車における各種制御のための制御機能の要部を説明する図である。 ダンパーのヒステリシス特性の一例と、ヒステリシストルクとエンジンの停止を禁止する車速の上限値である停止禁止上限車速値との関係である。 図1に示す電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートの一例である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車10の概略構成を説明する図であるとともに、ハイブリッド車10(以下、単に「車両10」と記す。)における各種制御のための制御機能の要部を説明する図である。車両10は、動力源として機能する、エンジン12、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2を備えたハイブリッド車である。車両10は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTにおいて、エンジン12側から順に、ダンパー26、差動機構30、出力歯車42、大径歯車46、噛合式クラッチ44、小径歯車48、デフリングギヤ50、終減速装置20、及び左右一対の車軸22が連結され、これらはいずれも周知の構成である。また、車両10は、油圧制御回路58、インバータ60、及び電子制御装置90を備える。
エンジン12は、周知の内燃機関である。第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、例えば発動機としての機能及び発電機としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。なお、第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、発動機としての機能を有していれば、発電機としての機能を有さない回転電気機械であっても良い。
ダンパー26は、エンジン12のトルク変動を吸収する装置である。ダンパー26は、エンジン12のクランク軸24に連結された第1回転要素26aと、入力軸28を介して差動機構30に連結された第2回転要素26bと、を備える。クランク軸24は、ダンパー26におけるエンジン12側の回転部材であり、入力軸28は、ダンパー26における第1電動機MG1側の回転部材である。第1回転要素26aと第2回転要素26bとの間には、例えば複数種類のスプリング32及び摩擦機構34が介在させられ、ダンパー26の捻り角φ[rad]の変化に対するダンパー26に入力される入力トルクTin[Nm]の変化に対応する剛性値(ばね定数)が段階的に変化させられるとともに、捻り角φの増加時と減少時とで入力トルクTinについて所定のヒステリシス(履歴現象ともいう)が付与されるようになっている。また、ダンパー26の外周端部にはトルクリミッタ36が設けられている。
差動機構30は、例えばシングルピニオン型の遊星歯車装置で、サンギヤS、リングギヤR、及びキャリアCAに、第1電動機MG1、入力軸28、及び出力歯車42がそれぞれ連結されている。第1電動機MG1は、動力伝達経路PTのうちダンパー26と駆動輪14との間に設けられた差動機構30に動力伝達可能に接続されている。なお、第1電動機MG1は、本発明における「電動機」に相当する。
大径歯車46は、差動機構30の出力回転部材である出力歯車42及び第2電動機MG2の出力回転部材である出力歯車52にそれぞれ噛み合わされている。大径歯車46と小径歯車48との間には、その間の動力伝達を断接可能な噛合式クラッチ44が設けられている。
パーキングギヤ54は、小径歯車48等を介して駆動輪14に連結され駆動輪14とともに回転するギヤである。車両10は、不図示の周知のパーキングブレーキにより、パーキングギヤ54を回転不能とすることができる。
クランク軸24は、噛合式ブレーキ38を介して非回転部材であるハウジング40に連結され、回転が阻止されるようになっている。噛合式ブレーキ38は、クランク軸24に設けられた噛合歯24aと、ハウジング40に設けられた噛合歯40aと、噛合歯24a,40aに跨がって噛み合い可能なスリーブ38aと、を有する。スリーブ38aが軸方向へ移動させられることにより、噛合式ブレーキ38が係合状態(=接続状態)とされてクランク軸24がハウジング40に対して相対回転不能とされ、或いは、噛合式ブレーキ38が解放状態(=切断状態)とされてクランク軸24がハウジング40に対して相対回転可能とされて回転自在とされる。
油圧制御回路58は、不図示の機械式オイルポンプや電動オイルポンプから吐出された作動油の油圧を元圧として、噛合式ブレーキ38や噛合式クラッチ44の断接を制御する油圧をそれらの油圧アクチュエータにそれぞれ供給する。
インバータ60は、第1電動機MG1及び第2電動機MG2と不図示のバッテリとの間に設けられ、電子制御装置90によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、電子制御装置90によってインバータ60が制御されることにより、第1電動機MG1の出力トルクであるMG1トルクTmg1[Nm]及び第2電動機MG2の出力トルクであるMG2トルクTmg2[Nm]がそれぞれ制御される。
車両10は、走行モードとして、例えばエンジン12を動力源に用いず第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方を動力源に用いた電動機走行を行う電動機走行モードと、少なくともエンジン12を動力源に用いたエンジン走行を行うエンジン走行モードと、が選択可能である。エンジン走行モード或いは電動機走行モードでの走行中は、例えば噛合式ブレーキ38が解放状態とされ、噛合式クラッチ44が係合状態とされる。車両10では、電動機走行中にエンジン12を作動させてエンジン走行に切り替えられたり、エンジン走行中にエンジン12を停止させて電動機走行に切り替えられたりする、エンジン12の間欠動作が実行される。
車両10は、例えば不図示のシフトレバーの操作により「Pレンジ(=駐車レンジ)」、「Rレンジ(=後進走行レンジ)」、「Nレンジ(=ニュートラルレンジ)」、及び「=Dレンジ(前進走行レンジ)」の各シフトレンジを選択することができる。
電子制御装置90は、車両10内の各部を制御する制御装置を含むコントローラであって、例えばCPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータを含んで構成されている。なお、電子制御装置90は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば、車速センサ70、入力軸回転センサ72など)による検出値に基づく各種信号等(例えば、車速V[km/h]、入力軸28の回転位置を表す捻り角φなど)が、それぞれ入力される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン12、インバータ60、油圧制御回路58など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、第1電動機MG1及び第2電動機MG2を制御するための電動機制御信号Smg、噛合式ブレーキ38や噛合式クラッチ44の断接を制御する油圧制御信号Sclなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、特性計測部92、停止要求判定部94、車速判定部96、及び停止制御部98を機能的に備える。
特性計測部92は、ダンパー26のヒステリシス特性を計測できる車両状態であるか否かを判定する。ヒステリシス特性を計測できる車両状態は、好適にはシフトレンジがPレンジ、エンジン12が停止状態、且つ車速Vが零である場合である。計測タイミングは、車両点検時、所定の走行距離或いは走行時間毎など、種々の態様が可能である。
特性計測部92は、ヒステリシス特性を計測できる車両状態であると判定すると、ダンパー26のヒステリシス特性を計測する。
特性計測部92は、噛合式ブレーキ38を係合させてクランク軸24を回転不能にロックし、噛合式クラッチ44を解放状態にし、且つ第1電動機MG1を力行制御してダンパー26にトルク(入力トルクTin)を加えてレゾルバ等の入力軸回転センサ72により捻り角φを計測する。なお、クランク軸24は、本発明における「エンジン側の回転部材」に相当し、捻り角φを計測する際にダンパー26に入力されるMG1トルクTmg1[Nm]は、本発明における「電動機からダンパーに入力されるトルク」に相当する。なお、厳密には、第1電動機MG1とダンパー26との間には差動機構30が設けられているため、第1電動機MG1から出力されるMG1トルクTmg1とダンパー26に入力される入力トルクTinとは差動機構30の変速比に応じて大きさが異なるが、発明の理解を容易とするため、以下同一として説明する。
図2は、ダンパー26のヒステリシス特性の一例と、ヒステリシストルクThys[Nm]とエンジン12の停止を禁止する車速Vの上限値である停止禁止上限車速値V_stop[km/h]との関係である。特性計測部92により、例えば図2(a)に示すようなダンパー26のヒステリシス特性が計測される。ここで、ヒステリシストルクThysとは、捻り角φの増加時と減少時との入力トルクTinの偏差である。
図1に戻り、停止要求判定部94は、エンジン走行中にエンジン停止の要求があるか否かを判定する。エンジン走行中とは、エンジン走行モードによる走行中である。
停止要求判定部94によりエンジン走行中にエンジン停止の要求があると判定された場合、車速判定部96は、車速Vが停止禁止上限車速値V_stop未満であるか否かを判定する。停止禁止上限車速値V_stopは、エンジン停止時における歯打ち音が許容範囲内となるように、ヒステリシストルクThysに応じて、実験的に或いは設計的に予め定められたエンジン12の停止を禁止する車速Vの上限値である。例えば、図2(b)に示すように、停止禁止上限車速値V_stopは、ヒステリシストルクThysが増加するに従って低く設定される。
図1に戻り、車速判定部96により車速Vが停止禁止上限車速値V_stop未満であると判定された場合、停止制御部98は、エンジン12の停止を禁止する。車速判定部96により車速Vが停止禁止上限車速値V_stop以上であると判定された場合、停止制御部98は、エンジン12の停止を許可する。
図3は、図1に示す電子制御装置90の制御作動の要部を説明するフローチャートの一例である。図3のフローチャートは繰り返し実行される。
まず、特性計測部92の機能に対応するステップS10(以下、「ステップ」を省略する。)において、シフトレンジがPレンジ、エンジン12が停止状態、且つ車速Vが零であるか否かが判定される。S10の判定が肯定された場合、特性計測部92の機能に対応するS20及びS30において、それぞれダンパー26のヒステリシス特性が計測され、ヒステリシストルクThysの大きさに応じて停止禁止上限車速値V_stopが設定される。S10の判定が否定された場合及びS30の実行後、停止要求判定部94の機能に対応するS40において、エンジン走行中にエンジン停止の要求があるか否かが判定される。S40の判定が肯定された場合、車速判定部96の機能に対応するS50において、車速Vが停止禁止上限車速値V_stop未満であるか否かが判定される。S50の判定が否定された場合、停止制御部98の機能に対応するS60において、エンジン12の停止が許可される。S50の判定が肯定された場合、停止制御部98の機能に対応するS70において、エンジン12の停止が禁止される。S40の判定が否定された場合及びS60,S70の実行後、リターンとなる。
本実施例によれば、ヒステリシストルクThysが大きい場合には、小さい場合に比較して停止禁止上限車速値V_stopが低く設定される。ヒステリシストルクThysが大きいほど、エンジン停止時に歯打ち音を発生させる要因となる、ダンパー26での共振が減衰しやすい。このように、ヒステリシストルクThysが大きいほど、車速Vが低くなって暗騒音が小さくなっても、エンジン停止時の歯打ち音は暗騒音によってかき消されて運転者を含む乗員に認識されにくくなるので、ヒステリシストルクThysが大きいのに応じてエンジン12を停止できる車速範囲をより低車速域まで広く設定することができるため、エンジン停止時の歯打ち音が抑制されつつ燃費が向上させられる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車、12:エンジン、14:駆動輪、24:クランク軸(エンジン側の回転部材)、26:ダンパー、90:電子制御装置(制御装置)、MG1:第1電動機(電動機)、PT:動力伝達経路、Thys:ヒステリシストルク、V:車速、V_stop:停止禁止上限車速値

Claims (1)

  1. エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路にダンパーが設けられ且つ前記動力伝達経路のうち前記ダンパーと前記駆動輪との間に電動機が動力伝達可能に接続されたハイブリッド車の、制御装置であって、
    前記ダンパーにおける前記エンジン側の回転部材をロックした状態で、前記電動機から前記ダンパーにトルクを入力して前記ダンパーのヒステリシストルクを計測し、
    前記ヒステリシストルクが大きい場合には、小さい場合に比較して、エンジン走行中において前記エンジンの停止を禁止する車速の上限値である停止禁止上限車速値を低く設定する
    ことを特徴とするハイブリッド車の制御装置。
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