JP2024002460A - 動画像復号装置および動画像符号化装置 - Google Patents

動画像復号装置および動画像符号化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】符号化効率を向上させることができる動画像符号化・復号装置を提供する。【解決手段】動画像復号装置は、対象ブロックの予測動きベクトルに所定の距離及び方向の差分ベクトルを加算することで動きベクトルを得るMMVD予測部と、MMVD候補リストから差分ベクトルを指定するためのインデックスを復号するパラメータ復号部を備え、前記MMVD予測部は、上記所定の距離と方向から特定の距離方向の差分ベクトルを導出し、上記差分ベクトルでテンプレートマッチングコストを導出して探索を行い、上記コストに応じて差分ベクトル候補を挿入してMMVD候補リストを導出し、前記探索において、所定の距離セットに含まれる距離では第1の方向のサブセットのみを探索し、所定の距離セット以外の距離セットに含まれる距離では、第2の方向のサブセットのみを探索することを特徴とする。【選択図】図12

Description

本発明の実施形態は、動画像復号装置および動画像符号化装置に関する。
動画像を効率的に伝送または記録するために、動画像を符号化することによって符号化データを生成する動画像符号化装置、および、当該符号化データを復号することによって復号画像を生成する動画像復号装置が用いられている。
具体的な動画像符号化方式としては、例えば、H.264/AVCやHEVC(High-Efficiency Video Coding)方式などが挙げられる。
このような動画像符号化方式においては、動画像を構成する画像(ピクチャ)は、画像を分割することにより得られるスライス、スライスを分割することにより得られる符号化ツリーユニット(CTU:Coding Tree Unit)、符号化ツリーユニットを分割することで得られる符号化単位(符号化ユニット(Coding Unit:CU)と呼ばれることもある)、及び、符号化単位を分割することより得られる変換ユニット(TU:Transform Unit)からなる階層構造により管理され、CU毎に符号化/復号される。
また、このような動画像符号化方式においては、通常、入力画像を符号化/復号することによって得られる局所復号画像に基づいて予測画像が生成され、当該予測画像を入力画像(原画像)から減算して得られる予測誤差(「差分画像」または「残差画像」と呼ぶこともある)が符号化される。予測画像の生成方法としては、画面間予測(インター予測)、および、画面内予測(イントラ予測)が挙げられる。
また、VVC/H.266には、動きベクトルに所定の距離及び所定の方向の差分ベクトルを加算することで動きベクトルを得るMMVD予測が開示されている。
また、非特許文献1には、すべてのMMVDの差分ベクトル候補について、テンプレートマッチングコスト算出し、コストに応じてソートをすることにより、少ない符号量によって差分ベクトルを導出する技術が開示されている。
"Non-EE2: Template Matching-based Reordering for Extended MMVD Design", JVET-X0085, Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29 24th Meeting, by teleconference
非特許文献1に記載の方法では、すべてのMMVDの差分ベクトル候補についてテンプレートマッチングコストを導出するため、計算量が多いという課題がある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る動画像復号装置は、対象ブロックの予測動きベクトルに所定の距離及び所定の方向の差分ベクトルを加算することで動きベクトルを得るMMVD予測部と、MMVD候補リストから差分ベクトルを指定するためのインデッ
クスを符号化データから復号するパラメータ復号部を備える動画像復号装置であって、
前記MMVD予測部は、上記所定の距離、所定の方向から特定の距離、方向の差分ベクトルを導出し、上記差分ベクトルでのテンプレートマッチングコストを導出することで探索を行い、上記コストに応じて差分ベクトル候補を挿入することでMMVD候補リストを導出することを特徴とし、
前記探索において、所定の距離においては第1の方向のサブセット(DIR1)のみを探索し、所定の距離以外の距離においては、第2の方向のサブセット(DIR2)のみを探索することを特徴とする。
本発明の態様によれば、動画像符号化・復号処理においてMMVD予測にかかる計算量を削減することができる。
本実施形態に係る画像伝送システムの構成を示す概略図である。 符号化ストリームのデータの階層構造を示す図である。 動画像復号装置の構成を示す概略図である。 インター予測画像生成部の構成を示す概略図である。 インター予測パラメータ導出部の構成を示す概略図である。 動画像復号装置の概略的動作を説明するフローチャートである。 MMVDモードにおいて用いられるインデックスの一例を示す図である。(a)は、MMVD候補リストのMMVD候補を示すインデックスmmvd_cand_idxの一例を示す図である。(b)は、対象ブロックに隣接するブロック位置の一例を示す図である。(c)は、mmvd_distance_idxの一例を示す図である。(d)は、mmvd_direction_idxの一例を示す図である。 MMVDモードにおける探索距離の候補数および導出方向の候補数の一例を示す図である。 マージ予測およびMMVD予測におけるシンタックス図である。 MMVD予測の別の構成に関するシンタックス図である。 MMVD予測の別の構成における処理の流れを示すフローチャートである。 MMVD候補リスト導出処理の別の構成における処理の流れを示すフローチャートである。 MMVD候補リスト導出処理の別の構成における処理の流れを示す別のフローチャートである。 MMVD候補において16方向の候補の例を示す図である。 MMVD候補において16方向の候補で4通りの距離を示した図である。 動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。 インター予測パラメータ符号化部の構成を示す概略図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像伝送システム1の構成を示す概略図である。
画像伝送システム1は、対象画像を符号化した符号化ストリームを伝送し、伝送された符号化ストリームを復号し画像を表示するシステムである。画像伝送システム1は、動画像符号化装置(画像符号化装置)11、ネットワーク21、動画像復号装置(画像復号装置)31、及び動画像表示装置(画像表示装置)41を含んで構成される。
動画像符号化装置11には画像Tが入力される。
ネットワーク21は、動画像符号化装置11が生成した符号化ストリームTeを動画像復号装置31に伝送する。ネットワーク21は、インターネット(Internet)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、小規模ネットワーク(LAN:Local Area Network)またはこれらの組み合わせである。ネットワーク21は、必ずしも双方向の通信網に限らず、地上デジタル放送、衛星放送等の放送波を伝送する一方向の通信網であっても良い。また、ネットワーク21は、DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)、BD(Blue-ray Disc:登録商標)等の符号化ストリームTeを記録した記憶媒体で代替されても良い。
動画像復号装置31は、ネットワーク21が伝送した符号化ストリームTeのそれぞれを復号し、復号した1または複数の復号画像Tdを生成する。
動画像表示装置41は、動画像復号装置31が生成した1または複数の復号画像Tdの全部または一部を表示する。動画像表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。ディスプレイの形態としては、据え置き、モバイル、HMD等が挙げられる。また、動画像復号装置31が高い処理能力を有する場合には、画質の高い画像を表示し、より低い処理能力しか有しない場合には、高い処理能力、表示能力を必要としない画像を表示する。
<演算子>
本明細書で用いる演算子を以下に記載する。
>>は右ビットシフト、<<は左ビットシフト、&はビットワイズAND、|はビットワイズOR、|=はOR代入演算子であり、||は論理和を示す。
x?y:zは、xが真(0以外)の場合にy、xが偽(0)の場合にzをとる3項演算子である。
Clip3(a,b,c)は、cをa以上b以下の値にクリップする関数であり、c<aの場合にはaを返し、c>bの場合にはbを返し、その他の場合にはcを返す関数である(ただし、a<=b)。
abs(a)はaの絶対値を返す関数である。
Int(a)はaの整数値を返す関数である。
floor(a)はa以下の最大の整数を返す関数である。
ceil(a)はa以上の最小の整数を返す関数である。
a/dはdによるaの除算(小数点以下切り捨て)を表す。
<符号化ストリームTeの構造>
本実施形態に係る動画像符号化装置11および動画像復号装置31の詳細な説明に先立って、動画像符号化装置11によって生成され、動画像復号装置31によって復号される符号化ストリームTeのデータ構造について説明する。
図2は、符号化ストリームTeにおけるデータの階層構造を示す図である。符号化ストリームTeは、例示的に、シーケンス、およびシーケンスを構成する複数のピクチャを含む。図2の(a)~(f)は、それぞれ、シーケンスSEQを既定する符号化ビデオシーケンス、ピクチャPICTを規定する符号化ピクチャ、スライスSを規定する符号化スライス、スライスデータを規定する符号化スライスデータ、符号化スライスデータに含まれる符号化ツリーユニット、符号化ツリーユニットに含まれる符号化ユニットを示す図である。
(符号化ビデオシーケンス)
符号化ビデオシーケンスでは、処理対象のシーケンスSEQを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。シーケンスSEQは、図2に示すように、ビデオパラメータセット(Video Parameter Set)、シーケンスパラメータセットSPS(Sequence Parameter Set)、ピクチャパラメータセットPPS(Picture Parameter Set)、Adaptation Parameter Set(APS)、ピクチャPICT、及び、付加拡張情報SEI(Supplemental Enhancement Information)を含んでいる。
ビデオパラメータセットVPSは、複数のレイヤから構成されている動画像において、複数の動画像に共通する符号化パラメータの集合および動画像に含まれる複数のレイヤおよび個々のレイヤに関連する符号化パラメータの集合が規定されている。
シーケンスパラメータセットSPSでは、対象シーケンスを復号するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの幅や高さが規定される。なお、SPSは複数存在してもよい。その場合、PPSから複数のSPSの何れかを選択する。
ピクチャパラメータセットPPSでは、対象シーケンス内の各ピクチャを復号するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの復号に用いられる量子化幅の基準値(pic_init_qp_minus26)や重み付き予測の適用を示すフラグ(weighted_pred_flag)が含まれる。なお、PPSは複数存在してもよい。その場合、対象シーケンス内の各ピクチャから複数のPPSの何れかを選択する。
(符号化ピクチャ)
符号化ピクチャでは、処理対象のピクチャPICTを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。ピクチャPICTは、図2に示すように、スライス0~スライスNS-1を含む(NSはピクチャPICTに含まれるスライスの総数)。
なお、以下、スライス0~スライスNS-1のそれぞれを区別する必要が無い場合、符号の添え字を省略して記述することがある。また、以下に説明する符号化ストリームTeに含まれるデータであって、添え字を付している他のデータについても同様である。
(符号化スライス)
符号化スライスでは、処理対象のスライスSを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。スライスは、図2に示すように、スライスヘッダ、および、スライスデータを含んでいる。
スライスヘッダには、対象スライスの復号方法を決定するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータ群が含まれる。スライスタイプを指定するスライスタイプ指定情報(slice_type)は、スライスヘッダに含まれる符号化パラメータの一例である。
スライスタイプ指定情報により指定可能なスライスタイプとしては、(1)符号化の際にイントラ予測のみを用いるIスライス、(2)符号化の際に単方向予測、または、イントラ予測を用いるPスライス、(3)符号化の際に単方向予測、双方向予測、または、イントラ予測を用いるBスライスなどが挙げられる。なお、インター予測は、単予測、双予測に限定されず、より多くの参照ピクチャを用いて予測画像を生成してもよい。以下、P、Bスライスと呼ぶ場合には、インター予測を用いることができるブロックを含むスライスを指す。
なお、スライスヘッダは、ピクチャパラメータセットPPSへの参照(pic_parameter_set_id)を含んでいても良い。
(符号化スライスデータ)
符号化スライスデータでは、処理対象のスライスデータを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。スライスデータは、図2(d)に示すように、CTUを含んでいる。CTUは、スライスを構成する固定サイズ(例えば64x64)のブロックであり、最大符号化単位(LCU:Largest Coding Unit)と呼ぶこともある。
(符号化ツリーユニット)
図2には、処理対象のCTUを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。CTUは、再帰的な4分木分割(QT(Quad Tree)分割)、2分木分割(BT(Binary Tree)分割)あるいは3分木分割(TT(Ternary Tree)分割)により、符号化処理の基本的な単位である符号化ユニットCUに分割される。BT分割とTT分割を合わせてマルチツリー分割(MT(Multi Tree)分割)と呼ぶ。再帰的な4分木分割により得られる木構造のノードのことを符号化ノード(Coding Node)と称する。4分木、2分木、及び3分木の中間ノードは、符号化ノードであり、CTU自身も最上位の符号化ノードとして規定される。また、最下位の符号化ノードは符号化ユニットとして規定される。
(符号化ユニット)
図2は、処理対象の符号化ユニットを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。具体的には、CUは、CUヘッダCUH、予測パラメータ、変換パラメータ、量子化変換係数等から構成される。CUヘッダでは予測モード等が規定される。
予測処理は、CU単位で行われる場合と、CUをさらに分割したサブCU単位で行われる場合がある。CUとサブCUのサイズが等しい場合には、CU中のサブCUは1つである。CUがサブCUのサイズよりも大きい場合、CUはサブCUに分割される。たとえばCUが8x8、サブCUが4x4の場合、CUは水平2分割、垂直2分割からなる、4つのサブCUに分割される。
予測の種類(予測モード)は、イントラ予測(MODE_INTRA)と、インター予測(MODE_INTER)、イントラブロックコピー(MODE_IBC)がある。イントラ予測は、同一ピクチャ内の予測であり、インター予測は、互いに異なるピクチャ間(例えば、表示時刻間、レイヤ画像間)で行われる予測処理を指す。
変換・量子化処理はCU単位で行われるが、量子化変換係数は4x4等のサブブロック単位でエントロピー符号化してもよい。
(予測パラメータ)
予測画像は、ブロックに付随する予測パラメータによって導出される。予測パラメータには、イントラ予測とインター予測の予測パラメータがある。
(インター予測の予測パラメータ)
インター予測の予測パラメータについて説明する。インター予測パラメータは、予測リスト利用フラグpredFlagL0とpredFlagL1、参照ピクチャインデックスrefIdxL0とrefIdxL1、動きベクトルmvL0とmvL1から構成される。predFlagL0、predFlagL1は、参照ピクチャリスト(L0リスト、L1リスト)が用いられるか否かを示すフラグであり、値が1の場合に対応する参照ピクチャリストが用いられる。なお、本明細書中「XXであるか否かを示すフラグ」と記す場合、フラグが0以外(たとえば1)をXXである場合、0をXXではない場合とし、論理否定、論理積などでは1を真、0を偽と扱う(以下同様)。但し、実際の装置や方法では真値、偽値として他の値を用いることもできる。
インター予測パラメータを導出するためのシンタックス要素には、例えば、マージフラグmerge_flag(general_merge_flag)、マージインデックスmerge_idx、merge_subblock_flag、regulare_merge_flag、ciip_flag、merge_gpm_partition_idx、merge_gpm_idx0、merge_gpm_idx1、inter_pred_idc、参照ピクチャインデックスrefIdxLX、mvp_LX_idx、差分ベクトルmvdLX、動きベクトル精度モードamvr_modeがある。merge_subblock_flagはサブブロック単位のインター予測を用いるかを示すフラグである。regulare_merge_flagは通常マージモードあるいはMMVDが使われるかを示すフラグである。ciip_flagはCIIP(combined inter-picture merge and intra-picture prediction)モードを用いるかGPMモード(Geometric partitioning merge mode)を用いるかを示すフラグである。merge_gpm_partition_idxはGPMモードの分割形状を示すインデックスである。merge_gpm_idx0、merge_gpm_idx1はGPMモードのマージインデックスを示すインデックスである。inter_pred_idcはAMVPモードで用いる参照ピクチャを選択するためのインター予測識別子である。mvp_LX_idxは動きベクトルを導出するための予測ベクトルインデックスである。
(参照ピクチャリスト)
参照ピクチャリストは、参照ピクチャメモリ306に記憶された参照ピクチャからなるリストである。個々のCUでは、参照ピクチャリストRefPicListX(X=0または1)中のどのピクチャを実際に参照するかをrefIdxLXで指定する。なお、LXは、L0予測とL1予測を区別しない場合に用いられる記述方法であり、以降では、LXをL0、L1に置き換えることでL0リストに対するパラメータとL1リストに対するパラメータを区別する。
(マージ予測とAMVP予測)
予測パラメータの復号(符号化)方法には、マージ予測(merge)モード(マージモード)とAMVP(Advanced Motion Vector Prediction、適応動きベクトル予測)モードがあり、general_merge_flagは、これらを識別するためのフラグである。マージモードは、動きベクトル差分の一部もしくは全てを省略する予測モードであり、予測リスト利用フラグpredFlagLX、参照ピクチャインデックスrefIdxLX、動きベクトルmvLXを符号化データに含めずに、既に処理した近傍ブロックの予測パラメータ等から導出するモードである。AMVPモードは、inter_pred_idc、refIdxLX、mvLXを符号化データに含めるモードである。なお、mvLXは、予測ベクトルmvpLXを識別するmvp_LX_idxと差分ベクトルmvdLXとして符号化される。また動きベクトル差分を省略・簡素化する予測モードの総称を一般マージモード(general merge mode)と呼び、general_merge_flagによりgeneral merge modeとAMVP予測を選択してもよい。
general_merge_flagが1の場合、図10に示すmerge_data()を伝送し、そこでregular_merge_flagを伝送してもよい。regular_merge_flagが1である場合に、通常マージモードもしくはMMVDを選択し、それ以外の場合にCIIPモードもしくはGPMモードを選択してもよい。CIIPモードはインター予測画像とイントラ予測画像の重み付け和により予測画像を生成する。GPMモードは、対象CUを線分で分割される2つの非矩形の予測単位として、予測画像を生成する。
inter_pred_idcは、参照ピクチャの種類および数を示す値であり、PRED_L0、PRED_L1、PRED_BIの何れかの値をとる。PRED_L0、PRED_L1は、各々L0リスト、L1リストで管理された1枚の参照ピクチャを用いる単予測を示す。PRED_BIはL0リストとL1リストで管理された2枚の参照ピクチャを用いる双予測を示す。
merge_idxは、処理が完了したブロックから導出される予測パラメータ候補(マージ候補)のうち、いずれの予測パラメータを対象ブロックの予測パラメータとして用いるかを
示すインデックスである。
(動きベクトル)
mvLXは、異なる2つのピクチャ上のブロック間のシフト量を示す。mvLXに関する予測ベクトル、差分ベクトルを、それぞれmvpLX、mvdLXと呼ぶ。
(インター予測識別子inter_pred_idcと予測リスト利用フラグpredFlagLX)
inter_pred_idcと、predFlagL0、predFlagL1の関係は以下のとおりであり、相互に変換可能である。
inter_pred_idc = (predFlagL1<<1)+predFlagL0
predFlagL0 = inter_pred_idc & 1
predFlagL1 = inter_pred_idc >> 1
なお、インター予測パラメータは、予測リスト利用フラグを用いても良いし、インター予測識別子を用いてもよい。また、予測リスト利用フラグを用いた判定は、インター予測識別子を用いた判定に置き替えてもよい。逆に、インター予測識別子を用いた判定は、予測リスト利用フラグを用いた判定に置き替えてもよい。
(双予測biPredの判定)
双予測であるかのフラグbiPredは、2つの予測リスト利用フラグがともに1であるかによって導出できる。
あるいは、biPredは、インター予測識別子が2つの予測リスト(参照ピクチャ)を使うことを示す値であるか否かによっても導出できる。
(動画像復号装置の構成)
本実施形態に係る動画像復号装置31(図3)の構成について説明する。
動画像復号装置31は、エントロピー復号部301、パラメータ復号部(予測画像復号装置)302、ループフィルタ305、参照ピクチャメモリ306、予測パラメータメモリ307、予測画像生成部(予測画像生成装置)308、逆量子化・逆変換部311、及び加算部312、予測パラメータ導出部320を含んで構成される。なお、後述の動画像符号化装置11に合わせ、動画像復号装置31にループフィルタ305が含まれない構成もある。
パラメータ復号部302は、さらに、ヘッダ復号部3020、CT情報復号部3021、及びCU復号部3022(予測モード復号部)を備えており、CU復号部3022はさらにTU復号部3024を備えている。これらを総称して復号モジュールと呼んでもよい。ヘッダ復号部3020は、符号化データからVPS、SPS、PPS、APSなどのパラメータセット情報、スライスヘッダ(スライス情報)を復号する。CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。CU復号部3022は符号化データからCUを復号する。TU復号部3024は符号化データからCUを復号する。
TU復号部3024は、TUに予測誤差が含まれている場合、符号化データからQP更新情報と量子化変換係数を復号する。量子化変換係数の導出では複数のモード(例えばRRCモードとTSRCモード)を備えてもよい。RRC(Regular Residual Coding)は変換を用いる予測誤差の復号モード、TSRC(Transform Skip Residual Coding)は変換を実施しない変換スキップモードでの予測誤差の復号モードである。TU復号部3024は、RRCモードでは変換係数のLAST位置を復号し、TSRCモードではLAST位置を復号しなくてもよい。QP更新情報は、量子化パラメータQPの予測値である量子化パラメータ予測値qPpredからの差分値である。
予測画像生成部308は、インター予測画像生成部309(図4)及びイントラ予測画像生成
部310を含んで構成される。
予測パラメータ導出部320は、インター予測パラメータ導出部303(図5)及びイントラ予測パラメータ導出部を含んで構成される。
また、以降では処理の単位としてCTU、CUを使用した例を記載するが、この例に限らず、サブCU単位で処理をしてもよい。あるいはCTU、CUをブロック、サブCUをサブブロックと読み替え、ブロックあるいはサブブロック単位の処理としてもよい。
エントロピー復号部301は、外部から入力された符号化ストリームTeに対してエントロピー復号を行って、個々の符号(シンタックス要素)を復号する。エントロピー符号化には、シンタックス要素の種類や周囲の状況に応じて適応的に選択したコンテキスト(確率モデル)を用いてシンタックス要素を可変長符号化する方式と、あらかじめ定められた表、あるいは計算式を用いてシンタックス要素を可変長符号化する方式がある。
エントロピー復号部301は、復号した符号をパラメータ復号部302に出力する。復号した符号とは、例えば、予測モードpredMode、general_merge_flag、merge_idx、inter_pred_idc、refIdxLX、mvp_LX_idx、mvdLX、amvr_mode等である。どの符号を復号するかの制御は、パラメータ復号部302の指示に基づいて行われる。
(基本フロー)
図6は、動画像復号装置31の概略的動作を説明するフローチャートである。
(S1100:パラメータセット情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからVPS、SPS、PPSなどのパラメータセット情報を復号する。
(S1200:スライス情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからスライスヘッダ(スライス情報)を復号する。
以下、動画像復号装置31は、対象ピクチャに含まれる各CTUについて、S1300からS5000の処理を繰り返すことにより各CTUの復号画像を導出する。
(S1300:CTU情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTUを復号する。
(S1400:CT情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。
(S1500:CU復号)CU復号部3022はS1510、S1520を実施して、符号化データからCUを復号する。
(S1510:CU情報復号)CU復号部3022は、符号化データからCU情報、予測情報、TU分割フラグ、CU残差フラグ等を復号する。
(S1520:TU情報復号)TU復号部3024は、TUに予測誤差が含まれている場合に、符号化データから量子化予測誤差等を復号する。
(S2000:予測画像生成)予測画像生成部308は、対象CUに含まれる各ブロックについて、予測情報に基づいて予測画像を生成する。
(S3000:逆量子化・逆変換)逆量子化・逆変換部311は、対象CUに含まれる各TUについて、逆量子化・逆変換処理を実行する。
(S4000:復号画像生成)加算部312は、予測画像生成部308より供給される予測画像と、逆量子化・逆変換部311より供給される予測誤差とを加算することによって、対象CUの復号画像を生成する。
(S5000:ループフィルタ)ループフィルタ305は、復号画像にデブロッキングフィルタ、SAO、ALFなどのループフィルタをかけ、復号画像を生成する。
ループフィルタ305は、符号化ループ内に設けたフィルタで、ブロック歪やリンギング歪を除去し、画質を改善するフィルタである。ループフィルタ305は、加算部312が生成したCUの復号画像に対し、デブロッキングフィルタ、サンプル適応オフセット(SAO)、適応ループフィルタ(ALF)等のフィルタを施す。
参照ピクチャメモリ306は、加算部312が生成したCUの復号画像を、対象ピクチャ及び対象CU毎に予め定めた位置に記憶する。
予測パラメータメモリ307は、復号対象のCTUあるいはCU毎に予め定めた位置に予測パラメータを記憶する。具体的には、予測パラメータメモリ307は、パラメータ復号部302が復号したパラメータ及びエントロピー復号部301が分離した予測モードpredMode等を記憶する。
予測画像生成部308には、予測モードpredMode、予測パラメータ等が入力される。また、予測画像生成部308は、参照ピクチャメモリ306から参照ピクチャを読み出す。予測画像生成部308は、予測モードpredModeが示す予測モードで、予測パラメータと読み出した参照ピクチャ(参照ピクチャブロック)を用いてブロックもしくはサブブロックの予測画像を生成する。ここで、参照ピクチャブロックとは、参照ピクチャ上の画素の集合(通常矩形であるのでブロックと呼ぶ)であり、予測画像を生成するために参照する領域である。
(インター予測パラメータ導出部の構成)
図5に示すように、インター予測パラメータ導出部303は、パラメータ復号部302から入力されたシンタックス要素に基づいて、予測パラメータメモリ307に記憶された予測パラメータを参照してインター予測パラメータを導出する。また、インター予測パラメータをインター予測画像生成部309、予測パラメータメモリ307に出力する。インター予測パラメータ導出部303及びその内部の要素であるAMVP予測パラメータ導出部3032、マージ予測パラメータ導出部3036、GPM予測部30377、MV加算部3038は、動画像符号化装置、動画像復号装置で共通する手段であるので、これらを総称して動きベクトル導出部(動きベクトル導出装置)と称してもよい。
general_merge_flagが1、すなわち、マージ予測モードを示す場合、merge_idxを導出し、マージ予測パラメータ導出部3036に出力する。
general_merge_flagが0、すなわち、AMVP予測モードを示す場合、AMVP予測パラメータ導出部3032はinter_pred_idc、refIdxLXかmvp_LX_idxからmvpLXを導出する。
(MV加算部)
MV加算部3038では導出されたmvpLXとmvdLXを加算し、mvLXを導出する。
(マージ予測)
マージ予測パラメータ導出部3036は、マージ候補導出部30361、マージ候補選択部30362を備える。なお、マージ候補は、予測パラメータ(predFlagLX、mvLX、refIdxLX)を含ん
で構成され、マージ候補リストに格納される。マージ候補リストに格納されたマージ候補には、所定の規則に従ってインデックスが割り当てられる。
マージ候補導出部30361は、復号済の隣接ブロックの動きベクトルとrefIdxLXをそのまま用いてマージ候補を導出する。それ以外に、マージ候補導出部30361は、後述する空間マージ候補導出処理、時間マージ候補導出処理等を適用してもよい。
空間マージ候補導出処理として、マージ候補導出部30361は、所定の規則に従って、予測パラメータメモリ307が記憶している予測パラメータを読み出し、マージ候補に設定する。例えば、図7(b)に示す下記、A1,B1,B0,A0,B2の位置の予測パラメータを読み出す。
A1: (xCb-1, yCb+cbHeight-1)
B1: (xCb+cbWidth-1, yCb-1)
B0: (xCb+cbWidth, yCb-1)
A0: (xCb-1, yCb+cbHeight)
B2: (xCb-1, yCb-1)
対象ブロックの左上座標を(xCb, yCb)、幅cbWidth、高さcbHeightとする。
時間マージ導出処理として、マージ候補導出部30361は、対象ブロックの右下CBR、あるいは、中央の座標を含む参照画像中のブロックCの予測パラメータを、予測パラメータメモリ307から読み出してマージ候補Colとし、マージ候補リストmergeCandList[]に格納してもよい。
mergeCandList[]に格納する順番は、例えば、空間マージ候補(B1,A1,B0,A0,B2)、時間マージ候補Colである。なお、利用可能でない(ブロックがイントラ予測等)参照ブロックはマージ候補リストに格納しない。
i = 0
if(availableFlagB1)
mergeCandList[i++] = B1
if(availableFlagA1)
mergeCandList[i++] = A1
if(availableFlagB0)
mergeCandList[i++] = B0
if(availableFlagA0)
mergeCandList[i++] = A0
if(availableFlagB2)
mergeCandList[i++] = B2
if(availableFlagCol)
mergeCandList[i++] = Col
さらに、ヒストリマージ候補HmvpCand、ペアワイズ平均候補avgCand、ゼロマージ候補zeroCandmをmergeCandList[]に追加して利用してもよい。
マージ候補選択部30362は、マージ候補リストに含まれるマージ候補のうち、merge_idxが示すマージ候補Nを以下の式で選択する。
N = mergeCandList[merge_idx]
ここでNは、マージ候補を示すラベルであり、A1,B1,B0,A0,B2,Colなどをとる。ラベルNで示されるマージ候補の動き情報は(mvLXN[0], mvLXN[1])、predFlagLXN、refIdxLXNで示される。
merge_idxにより(mvLXN[0], mvLXN[0])、predFlagLXN、refIdxLXNを対象ブロックのインター予測パラメータとして選択する。マージ候補選択部30362は選択したマージ候補のインター予測パラメータを予測パラメータメモリ307に記憶するとともに、インター予測画像生成部309に出力する。
(MMVD予測部30376)
MMVD予測部30376は、MMVD(Merge with Motion Vector Differece)モードにおける処理を行う。マージ予測では、隣接ブロックから得られた動きベクトルを、マージ候補の動きベクトルとして用いる。MMVDモードは、マージ候補の動きベクトルに、所定の距離及び所定の方向の差分ベクトルを加算することで精緻な動きベクトルを得るモードである。MMVDモードにおいては、MMVD予測部30376は、マージ候補を用いるとともに、差分ベクトルの値域を所定の距離(例えば6通り、8通りなど)及び所定の方向(例えば4方向、8方向、16方向など)に制限することで、効率的に動きベクトルを導出する。図8に4方向の例を示す。
MMVD予測部30376は、マージ候補mergeCandList[]とシンタックスmmvd_cand_flag、mmvd_direction_idx、mmvd_distance_idxを用いて動きベクトルmvLX[]を導出する。これらは、符号化データから復号、もしくは、符号化データに符号化されたシンタックスである。さらに、MMVD予測部30376は、距離テーブルを選択するシンタックスdistance_list_idxを符号化もしくは復号して利用してもよい。
MMVD予測部30376は、対象CUに対して、regular_merge_flagが1(通常マージモードあるいはMMVDモードを適用することを示している)の場合、MMVDフラグ(mmvd_merge_flag)を復号する。さらに、MMVD予測部30376は、MMVDフラグがMMVDモードを適用することを示している場合(mmvd_merge_flag=1)、MMVDモードを適用し、mmvd_cand_flag、mmvd_distance_idx、mmvd_direction_idxを符号化もしくは復号する。
MMVD予測部30376は、マージ候補リストmergeCandList[]の先頭から2個のいずれかの予測ベクトルと、この予測ベクトルとの差分ベクトル(MVD:motion vector difference)を用いて、MMVD候補リストを生成し、動きベクトルを導出する。差分ベクトルは、方向および距離に分けて符号化もしくは復号される。さらに、MMVD予測部30376は、予測ベクトルと差分ベクトルから動きベクトルを導出する。
図8は、MMVD予測部30376において導出される差分ベクトルrefineMvLXの候補を示す。図に示す例では、中央の黒丸が予測ベクトルmvLXN(中心ベクトル)の指す位置である。
図7の(a)はmergeCandList[]のインデックスmmvd_cand_flagとmvLXNの関係を示す。mvLXNにはmergeCandList[mmvd_cand_flag]の動きベクトルがセットされる。この中心ベクトルが指す位置(図8の黒丸)と実際の動きベクトルの差が差分ベクトルrefineMvLXである。
図7の(b)は、対象ブロックに隣接するブロックの一例を示す図である。例えば、mergeCandList[]={A1,B1,B0,A0,B2}の場合、復号したmmvd_cand_flagが0を示すと、MMVD予測部30376は図7の(b)に示すブロックA1の動きベクトルを中心ベクトルmvLXNとして選択する。また、復号したmmvd_cand_flagが1を示すと、MMVD予測部30376は図7の(b)に示すブロックB1の動きベクトルを中心ベクトルmvLXNとして選択する。なお、mmvd_cand_flagが符号化データで通知されない場合には、mmvd_cand_flag=0と推定してもよい。
また、MMVD予測部30376は、差分ベクトルrefineMvLXの長さを示すインデックスmmvd_distance_idxおよびrefineMvLXの方向を示すインデックスmmvd_direction_idxを用いてrefineMvLXを導出する。
図7の(c)は、mmvd_distance_idxの一例を示す図である。図7の(c)に示すように、mmvd_distance_idxにおいて、0、1、2、3、4、5、6および7の値は、1/4pel、1/2pel、1pel、2pel、4pel、8pel、16pelおよび32pelの8つの距離(長さ)のそれぞれに対応付けられている。
図7の(d)は、mmvd_direction_idxの一例を示す図である。図7の(d)に示すように、mmvd_direction_idxにおいて、0,1,2および3の値は、x軸が正の方向、x軸が負の方向、y軸が正の方向、y軸が負の方向に各々対応付けられている。MMVD予測部30376は、mmvd_direction_idxから方向テーブルDirectionTableを参照して基本動きベクトル(mvdUnit[0],mvdUnit[1])を導出する。(mvdUnit[0],mvdUnit[1])は、(sign[0],sign[1])と記述されてもよい。
また、MMVD予測部30376は、距離テーブルDistanceTableにおいてmmvd_distance_idxの示す距離DistanceTable[mmvd_distance_idx]から、差分ベクトルの大きさDistFromBaseMV(=MmvdDistance)を下式で導出する。
DistFromBaseMV = DistanceTable[mmvd_distance_idx]
また、フラグに応じて、DistanceTableを以下の2つから選択してもよい。
DistanceTable[] = {1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128}
DistanceTable[] = {4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512}
また、動きベクトルの精度(例えば1/16)を考慮して左シフトにより、中心ベクトルと差分ベクトルの大きさをあわせてもよい。
DistFromBaseMV = DistFromBaseMV << 2
(4方向以外の場合)
上記では、基本動きベクトル(mvdUnit[0], mvdUnit[1])が上下左右の4方向の場合を説明したが、4方向に限定されず8方向でもよい。基本動きベクトルを8方向とする場合の方向テーブルDirectionTableのx成分dir_table_x[]およびy成分dir_table_y[]の例を以下に示す。
dir_table_x[] = { 8, -8, 0, 0, 6, -6, -6, 6 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 8, -8, 6, -6, 6, -6 }
なお、方向テーブルの大きさや順序は上記以外でもよい。
MMVD予測部30376は、mmvd_direction_idxからDirectionTableを参照して基本動きベクトル(mvdUnit[0], mvdUnit[1])を導出する。
mvdUnit[0] = dir_table_x[mmvd_direction_idx]
mvdUnit[1] = dir_table_y[mmvd_direction_idx]
また、例えば以下のような方向テーブルを用いることで、4、6、12、16方向としてもよい。
・6方向の場合(numDir=6)
dir_table_x[] = { 8, -8, 2, -2, -2, 2 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 4, -4, 4, -4 }
もしくは
dir_table_x[] = { 8, -8, 3, -3, -3, 3 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 6, -6, 6, -6 }
・12方向の場合(numDir=12)
dir_table_x[] = { 8, -8, 0, 0, 4, 2, -4, -2, -2, -4, 2, 4 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 8, -8, 2, 4, -2, -4, 4, 2, -4, -2 }
もしくは
dir_table_x[] = { 8, -8, 0, 0, 6, 3, -6, -3, -3, -6, 3, 6 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 8, -8, 3, 6, -3, -6, 6, 3, -6, -3 }
・16方向の場合(numDir=16)
dir_table_x[] = {8, -8, 0, 0, 4, -4, -4, 4, 6, 2, -6, -2, -2, -6, 2, 6 }
dir_table_y[] = {0, 0, 8, -8, 4, -4, 4, -4, 2, 6, -2, -6, 6, 2, -6, -2 }
もしくは
dir_table_x[] = {1, -1, 0, 0, 1, -1, 1, -1, 2, -2, 2, -2, 1, 1, -1, -1 }
dir_table_y[] = {0, 0, 1, -1, 1, -1, -1, 1, 1, 1, -2, -1, 2, -2, 2, -2 } 4方向の場合(numDir=4)
dir_table_x[] = { 1, -1, 0, 0 }
dir_table_y[] = { 0, 0, 1, -1 }
なお、方向テーブルの大きさや順序は上記以外でもよい。
(複数の距離テーブル)
また、距離テーブルは1つに限定されず複数でもよい。例えば、MMVD予測部30376は、符号化データから復号もしくは導出されたdistance_list_idxが示すDistanceTable[]を用いて、差分ベクトルの長さDistFromBaseMVを導出する。これらを参照して第1の距離テーブルDistanceTable1[]と第2の距離テーブルDistanceTable2[]から以下のようにDistFromBaseMVを導出しても良い。
DistanceTable1 [] = {1, 2, 3, 5}
DistanceTable2 [] = {4, 8, 16, 32}
DistanceTable = DistanceTable1 (distance_list_idx == 0)
DistanceTable = DistanceTable2 (distance_list_idx == 1)
DistFromBaseMV = DistanceTable[mmvd_distance_idx]
また、MMVD予測部30376は、2次元テーブルDistanceTable2dを用いて2つの距離テーブルを切り替えてもよい。
DistanceTable2d [] = {{1, 2, 3, 5},{4, 8, 16, 32}}
DistFromBaseMV = DistanceTable2d[distance_list_idx][mmvd_distance_idx]
(差分ベクトルの導出)
MMVD予測部30376は、基本動きベクトルと差分ベクトルの大きさDistFromBaseMVから差分ベクトルrefineMvLXを導出する。中心ベクトルに関するマージ候補NがL0参照ピクチャからの単予測(predFlagL0N=1, predFlagL1N=0)の場合、MMVD予測部30376は、L0の差分ベクトルrefineMvL0を、基本動きベクトルと差分ベクトルの大きさDistFromBaseMVから導出する。
refineMvL0[0] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[0]
refineMvL0[1] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[1]
refineMvL1[0] = 0
refineMvL1[1] = 0
ここでshiftMMVDは、動き補償部3091(補間部)での動きベクトルの精度MVPRECにあうように差分ベクトルの大きさを調整する値である。例えばMVPRECが16、つまり1/16画素の動きベクトル精度で、4方向、つまりmvdUnit[0], mvdUnit[1]が0もしくは1の場合には、2を用いることが適当である。また、shiftMMVDのシフト方向は左シフトに限定されない。例えば、6、8、12、16方向など、mvdUnit[0], mvdUnit[1]が0もしくは1以外の値(例えば8)などを用いる場合には、MMVD予測部30376は、右シフトして正規化してもよい。例えば、MMVD予測部30376は、以下のように基本動きベクトル(mvdUnit[0], mvdUnit[1])を乗算した後で右シフトをしてもよい。
refineMvL0[0] = (DistFromBaseMV * mvdUnit[0]) >> shiftMMVD
refineMvL0[1] = (DistFromBaseMV * mvdUnit[1]) >> shiftMMVD
また、MMVD予測部30376は、動きベクトルの大きさと符号に分けて計算してもよい。以後、差分ベクトルの他の導出方法においても同様である。
refineMvL0[0] = ((DistFromBaseMV * abs(mvdUnit[0])) >> shiftMMVD) * sign(mvdUnit[0])
refineMvL0[1] = ((DistFromBaseMV * abs(mvdUnit[1])) >> shiftMMVD) * sign(mvdUnit[1])
上記以外、中心ベクトルに関するマージ候補NがL1参照ピクチャからの単予測(predFlagL0N=0, predFlagL1N=1)の場合、MMVD予測部30376は、L1の差分ベクトルrefineMvL1を、基本動きベクトルと差分ベクトルの大きさDistFromBaseMVから導出する。
refineMvL0[0] = 0
refineMvL0[1] = 0
refineMvL1[0] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[0]
refineMvL1[1] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[1]
もしくは
refineMvL1[0] = (DistFromBaseMV * mvdUnit[0]) >> shiftMMVD
refineMvL1[1] = (DistFromBaseMV * mvdUnit[1]) >> shiftMMVD
上記以外、中心ベクトルに関するマージ候補Nが双予測(predFlagL0N=1, predFlagL1N=1)の場合、MMVD予測部30376は、第1差分ベクトルfirstMvを、基本動きベクトルと差分ベクトルの大きさDistFromBaseMVから導出する。
firstMv[0] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[0]
firstMv[1] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[1]
もしくは
firstMv = (DistFromBaseMV * mvdUnit[0]) >> shiftMMVD
firstMv = (DistFromBaseMV * mvdUnit[1]) >> shiftMMVD
ここで、firstMvは、対象ピクチャと参照ピクチャのPOC距離(POCの差)が大きい方の参照ピクチャとの差分ベクトルに対応する。つまり、参照ピクチャリストL0と参照ピクチャリストL1の参照ピクチャの内、対象ピクチャと参照ピクチャのPOC距離(POCの差)が大きい方の参照ピクチャを参照ピクチャリストLXの参照ピクチャとする。firstMvはPOC距離(POCの差)が大きいリストLXの参照ピクチャの参照ブロックと対象ピクチャ上の対象ブロックの差分ベクトルである。
続いて、MMVD予測部30376は、firstMvをスケーリングすることで、もう一方の参照ピクチャ(参照リストLY(Y=1-X))の第2動きベクトルsecondMvを導出してもよい。secondMvは、POC距離の小さいリストLYの参照ピクチャに対する差分ベクトルである。
例えば、対象ピクチャcurrPicとL0ピクチャRefPicList0[refIdxLN0]の距離が、対象ピクチャとL1ピクチャRefPicList1[refIdxLN1]との距離以上の場合には、firstMvはL0差分ベクトルrefineMvL0に対応する。さらに、MMVD予測部30376は、firstMvをスケーリングしてL1差分ベクトルrefineMvL1を導出してもよい。
refineMvL0[0] = firstMv[0]
refineMvL0[1] = firstMv[1]
refineMvL1[0] = Clip3(-32768, 32767, Sign(distScaleFactor * firstMv[0]) *
((Abs(distScaleFactor * refineMvL0[0]) + 127) >> 8))
refineMvL1[1] = Clip3(-32768, 32767, Sign(distScaleFactor * firstMv[1]) *
((Abs(distScaleFactor * refineMvL0[1]) + 127) >> 8))
ここでMMVD予測部30376は、スケーリング値distScaleFactorを、currPicとL0参照ピクチャのPOC差とcurrPicとL1参照ピクチャのPOC差から以下のように導出する。
distScaleFactor = Clip3(-4096, 4095, ( tb * tx + 32 ) >> 6) (式scale-1)
tx = (16384 + (Abs(td) >> 1)) / td
td = Clip3(-128, 127, DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList0[refIdxLN0]))
tb = Clip3(-128, 127, DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList1[refIdxLN1]))
DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList0[refIdxLN0]はcurrPicとL0参照ピクチャのPOC差、DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList1[refIdxLN1])はcurrPicとL1参照ピクチャのPOC差である。
上記以外、対象ピクチャcurrPicとL0ピクチャRefPicList0[refIdxLN0]の距離が、対象ピクチャとL1ピクチャRefPicList1[refIdxLN1]との距離未満の場合には、第1ベクトルfirstMvはL1差分ベクトルrefineMvL1に対応する。この場合、MMVD予測部30376は、第1ベクトルfirstMvをスケーリングしてL0差分ベクトルrefineMvL0を導出してもよい。
refineMvL0[0] = Clip3(-32768, 32767, Sign(distScaleFactor * firstMv[0]) *
((Abs(distScaleFactor * firstMv[0]) + 127) >> 8))
refineMvL0[1] = Clip3(-32768, 32767, Sign(distScaleFactor * firstMv[1]) *
((Abs(distScaleFactor * firstMv[1]) + 127) >> 8))
refineMvL1[0] = firstMv[0]
refineMvL1[1] = firstMv[1]
distScaleFactorは、上述の(式scale-1)で導出するが、td、tbで計算する。
td = Clip3(-128, 127, DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList1[refIdxLN1]))
tb = Clip3(-128, 127, DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList0[refIdxLN0]))
なお、上記「距離以上の場合」と「上記以外、・・・距離未満の場合」の分岐は、「距離より大きい場合」と「上記以外、・・・距離以下の場合」の分岐としてもよい
なお、対象ピクチャcurrPicとL0ピクチャRefPicList0[refIdxLN0]の距離が、対象ピクチャとL1ピクチャRefPicList1[refIdxLN1]との距離と等しい場合、MMVD予測部30376はfirstMv[]をスケーリングすることなく、以下の処理(処理Aもしくは処理B)からrefineMvLX[]を設定してもよい。
処理A:
refineMvL0[0] = firstMv[0]
refineMvL0[1] = firstMv[1]
refineMvL1[0] = -firstMv[0]
refineMvL1[1] = -firstMv[1]
処理B:
refineMvL0[0] = firstMv[0]
refineMvL0[1] = firstMv[1]
refineMvL1[0] = firstMv[0]
refineMvL1[1] = firstMv[1]
より具体的には、MMVD予測部30376は、L0参照ピクチャと対象ピクチャcurrPicとL1対象ピクチャとが時間順に並ぶ場合にはrefineMvLX[]を処理Aで導出し、それ以外の場合にはrefineMvLX[]を処理Bで導出する。
なお、時間順に並ぶ場合とは(POC_L0-POC_curr) * (POC_L1-POC_curr)<0の場合、すなわち、下式である。
DiffPicOrderCnt(RefPicList0[refIdxLN0], currPic) * DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList1[refIdxLN1]) > 0
ここで、POC_L0、POC_L1、POC_currは、各々L0参照ピクチャ、L1参照ピクチャ、対象ピクチャのPicture Order Count(POC)を示す。
その逆の場合(時間順序の逆)とは(POC_L0-POC_curr) * (POC_L1-POC_curr)>0の場合、すなわち、下式である。
DiffPicOrderCnt(RefPicList0[refIdxLN0], currPic) * DiffPicOrderCnt(currPic, RefPicList1[refIdxLN1]) < 0
なお、POC間の距離が異なる場合でも、MMVD予測部30376は、処理Aまたは処理BでrefineMvLX[]を導出した後に、参照ピクチャと対象ピクチャのPOC距離に応じてrefineMvLX[]をスケールし最終的なrefineMvLX[]を導出しても構わない。
(中心ベクトルと差分ベクトルの加算)
最終的に、MMVD予測部30376は、差分ベクトルrefineMv[]と中心ベクトルmvLXN[](mvpLX[])とから以下のように、MMVDマージ候補の動きベクトルを導出する。
mvL0[0] = mvL0N[0] + refineMvL0[0]
mvL0[1] = mvL0N[1] + refineMvL0[1]
mvL1[0] = mvL1N[0] + refineMvL1[0]
mvL1[1] = mvL1N[1] + refineMvL1[1]
なお、一時的な動きベクトルとして導出する場合には上記mvLX[]をtempMvLX[]と記載する。
(まとめ)
このように、中心ベクトルが双予測であっても、MMVD予測部30376は、1方の動きベクトルの情報(mmvd_direction_idx、mmvd_distance_idx)だけ通知する。そしてこの情報から2つの動きベクトルを導出する。MMVD予測部30376は、2つの参照ピクチャのそれぞれのPOCと対象ピクチャのPOCとの差から、必要に応じて動きベクトルのスケーリングを行う。POC距離(POCの差)が大きい方の参照ピクチャの参照ブロックと対象ピクチャ上の対象ブロックの差分ベクトルが、第1差分ベクトル(firstMv)である。
firstMv[0] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[0]
firstMv[1] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[1]
MMVD予測部30376は、POC距離の小さい方の参照ピクチャの動きベクトルmvdLY(secondMv)、LY(Y=1-X)を、ピクチャ間のPOC距離の比(POCS/POCL)でスケーリングすることで導出する。
secondMv[0] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[0] *POCS/POCL
secondMv[1] = (DistFromBaseMV<<shiftMMVD) * mvdUnit[1] *POCS/POCL
なお、POC距離の小さい方の参照ピクチャとは、対象ピクチャと参照ピクチャのPOC距離(POCの差)が小さい方に対応する。ここで、POCSは対象ピクチャに近い参照ピクチャと対象ピクチャのPOC差の差分値、POCLは対象ピクチャから遠い参照ピクチャと対象ピクチャのPOC差の差分値である。
以上のように、MMVD予測部30376はmvpLX[](mvLXN[])とrefineMvLX[]を導出し、これらを用いて対象ブロックの動きベクトルmvLX[]を導出する。
mvLX[0] = mvpLX[0]+ refineMvLX[0]
mvLX[1] = mvpLX[1]+ refineMvLX[1]
(動きベクトルの整数丸め)
MMVD予測部30376は、中心ベクトルに加算する差分ベクトルの大きさDistFromBaseMVが所定の閾値よりも大きい場合に、対象ブロックの動きベクトルmvLXを、整数画素位置を示すように修正してもよい。例えば、MMVD予測部30376は、DistFromBaseMVが所定の閾値16以上の場合に整数化(丸め)をおこなってもよい。
また、MMVD予測部30376は、distance_list_idxが特定の距離テーブル(例えばDistanceTable2)であり、かつ、mmvd_distance_idxが特定の範囲(例えばmmvd_distance_idxが2や3)の場合に、整数化をおこなってもよい。distance_list_idxは距離テーブルを選択するインデクスであり、mmvd_distance_idxは距離テーブルの要素を選択する(距離の係数を選択する)インデクスである。例えば、MMVD予測部30376は、distance_list_idx==1かつ、mmvd_distance_idx>=2のとき、以下の式からmvLXを修正してもよい。
mvLX[0] = (mvLX[0] / MVPREC) * MVPREC
mvLX[1] = (mvLX[1] / MVPREC) * MVPREC
またMMVD予測部30376は、シフトを用いてmvLXを導出しても良い。
mvLX[0] = (mvLX[0] >> MVBIT) << MVBIT
mvLX[1] = (mvLX[1] >> MVBIT) << MVBIT
ここでMVBIT = log2(MVPREC)。例えば4。また、正と負を考慮して以下で導出しても良い。
mvLX[0] = mvLX[0]>=0 ? (mvLX[0] >> MVBIT) << MVBIT : -((-mvLX[0] >> MVBIT) << MVBIT)
mvLX[1] = mvLX[1]>=0 ? (mvLX[1] >> MVBIT) << MVBIT : -((-mvLX[1] >> MVBIT) << MVBIT)
このように、動きベクトルを整数に丸めることにより、予測画像生成の演算量を削減することが可能となる。
(シンタックス)
図9は、対象ブロックにおいてマージ予測がオン(general_merge_flag==1)の場合に通知されるmerge_data()のシンタックス例である。general_merge_flagは、対象ブロックがスキップモードでない場合に通知される、対象ブロックの予測パラメータが隣接ブロックから導出されるか否かを示すフラグである。すなわち、マージモードを利用するか否かを示すフラグである。スキップモードの場合、インター予測パラメータ導出部303は、general_merge_flag=1に設定する。merge_data()はマージ予測のパラメータを通知するシンタックス構造である。
merge_subblock_flagは、対象ブロックのサブブロックベースインター予測のパラメータが隣接ブロックから導出されるか否かを示すフラグである。merge_subblock_flagが1である場合、サブブロックベースインター予測が用いられることを示す。merge_subblock_flagが0である場合、サブブロックベースインター予測が用いられないことを示す。
regular_merge_flagは、対象ブロックにおいて通常のマージモードか差分動きベクトルを用いるマージモード(MMVD)が用いられるかを示すフラグである。regular_merge_flagが1である場合、通常のマージモードまたはMMVDが用いられることを示す。regular_merge_flagが0である場合、通常のマージモードとMMVDは用いられないことを示す。
mmvd_merge_flagは、対象ブロックにおいてMMVDが用いられるか否かを示すフラグである。mmvd_merge_flagが1である場合、対象ブロックにおいてMMVDが用いられることを示す。このとき、パラメータ復号部302はmmvd_cand_flag、mmvd_distance_idx、及びmmvd_dir
ection_idxを復号する。mmvd_merge_flagが0である場合、対象ブロックにおいて通常のマージモードが用いられることを示す。さらに、mmvd_distance_idx、及びmmvd_direction_idxからmmvd_cand_idxを導出する。mmvd_cand_idxはMMVD候補リストに含まれるMMVD候補を示すインデックスである。MMVD候補リストはMMVD候補を格納するリストである。
mmvd_cand_idx = mmvd_distance_idx * numDir + mmvd_direction_idx
ここでmmvd_distance_idx=0..numDist-1、mmvd_direction_idx=0..numDir-1。numDirはMMVDにおける差分ベクトルの所定の方向の数(例えば16方向であればnumDir=16)を表す。numDistはMMVDにおける差分ベクトルの所定の距離の数(例えば6通りの距離であればnumDist=6)を表す。mmvd_distance_idx、mmvd_direction_idxは以下dist、dirと省略して記載することもある。
図10はMMVD予測部30376のシンタックステーブルの別の例である。対象ブロックにおいてMMVDが用いられることを示している(mmvd_merge_flag==1)場合、パラメータ復号部302はmmvd_cand_flag、及びmmvd_cand_idxを復号する。mmvd_cand_idxは値として0~maxNumMmvdLUT-1(例えば11)の値を取ってもよい。図10では、図9のmmvd_distance_idx、mmvd_direction_idxをシグナルする代わりに、mmvd_cand_idxをシグナルする例である。パラメータ復号部302は、mmvd_cand_idxをcMax=11、ライスパラメータを1とするTR(Truncated Rice)バイナリ、もしくは、TB(トランケートバイナリ)を用いて符号化、復号してもよい。cMaxはシンタックス要素の取りうる値の上限値である。
(MMVD予測部30376の別の構成)
図11はMMVD予測部の別の構成の処理を示すフローチャートである。
MMVD予測部30376の別の構成について説明する。本実施形態では、MMVD予測部30376は、MMVD予測が用いられる(mmvd_merge_flagが1)とき、MMVD候補リストmmvdLUTを導出し(S301)MMVD候補を示すインデックスmmvd_cand_idxを用いて、差分ベクトル(MVD)を導出する(S302)。MMVD予測部30376はmmvdLUTとmmvd_cand_idxを用いて、MMVD候補を選択し、対象ブロックの動きベクトルを導出する。例えば、MMVD予測部30376はMMVD候補をmmvdLUT[mmvd_cand_idx]によって選択してもよい。
MMVD候補はL0、L1の動きベクトル(MvL0[0], MvL0[1], MvL0[0], MvL0[1])であってもよい。この場合mmvdLUTは以下のようになる。
mmvdLUT[][] = { (MvL0[0], MvL0[1], MvL0[0], MvL0[1]), (MvL0[0], MvL0[1], MvL0[0], MvL0[1]), …}
MMVD予測部30376はmmvdLUTとmmvd_cand_idx(=tempIdx)を用いて、MMVD候補を選択し動きベクトルを導出する
mvL0[0] (= tempMvL0[0]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmvL0[0] (式MMVD-1)
mvL0[1] (= tempMvL0[1]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmvL0[1]
mvL1[0] (= tempMvL1[0]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmvL1[0]
mvL1[1] (= tempMvL1[1]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmvL1[1]
上記は以下のように表現してもよい。
mvL0[0] (= tempMvL0[0]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][0]
mvL0[1] (= tempMvL0[1]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][1]
mvL1[0] (= tempMvL1[0]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][2]
mvL1[1] (= tempMvL1[1]) = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][3]
また、MMVD候補は、差分ベクトル(firstMv[0], firstMv[1])であってもよい。
mmvdLUT[][] = { (fistMv[0], fisetMv[1]), (fistMv[0], fisetMv[1]), (fistMv[0], fisetMv[1]), …}
MMVD予測部30376はmmvdLUTとmmvd_cand_idx(=tempIdx)を用いてMMVD候補を選択し、firstMvを導出し、firstMvから動きベクトルmvLX(=tempMvLX)を導出する。
firstMv[0] = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のfirstMv[0]
firstMv[1] = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のfirstMv[1]
上記は以下のように表現してもよい。
firstMv[0] = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][0]
firstMv[1] = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][1]
firstMvから、動きベクトルtempMvLXの導出方法はすでに説明済みである。
また、MMVD候補は、差分ベクトルの位置(中心ベクトルからの方向と距離)であってもよい。
mmvdLUT[][] = { (mmvd_direction_idx, mmvd_distance_idx), (mmvd_direction_idx, mmvd_distance_idx), (mmvd_direction_idx, mmvd_distance_idx), …}
MMVD予測部30376はmmvdLUTとmmvd_cand_idx(=tempIdx)を用いて、MMVD候補(mmvd_direction_idx, mmvd_distance_idx)を選択してもよい。
mmvd_direction_idx = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmmvd_direction_idx
mmvd_distance_idx = mmvdLUT[mmvd_cand_idx]のmmvd_distance_idx
上記は以下のように表現してもよい。
mmvd_direction_idx = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][0]
mmvd_distance_idx = mmvdLUT[mmvd_cand_idx][1]
mmvd_cand_idx = mmvd_distance_idx * numDir + mmvd_direction_idx
mmvd_cand_idxから(式MMVD-1)によって、動きベクトルmvLX(=tempMvLX)を導出てもよい。
また、MMVD候補は、単にMMVD候補の番号であってもよい。
mmvdLUT[][] = { 0, 1, 2, 3, …}
この場合、最適な番号mmvdLUT[mmvd_cand_idx]もしくはmmvdLUT[tempIdx]からの動きベクトルの導出は、以下のfirstMv[]を用いて行ってもよい。
dist = tempIdx / numDir;
dir = tempIdx - dist * numDir;
firstMv[0] = (dist<<shiftMMVD) * dir_table_x[dir]
firstMv[1] = (dist<<shiftMMVD) * dir_table_y[dir]
本実施形態では、コストの昇順に並べられたmmvd候補リストを用いることにより、差分ベクトル導出に必要な情報(mmvd_distance_idx、mmvd_direction_idxもしくはmmvd_cand_idx)の符号量を削減し、符号化効率を向上させる効果を奏する。
(MMVD候補リスト導出処理)
MMVD予測部30376は、各MMVD候補に対してコストtempCost(テンプレートマッチングコスト)を計算し、コストを昇順に、MMVD候補をソートすることで最終的なMMVD候補リストmmvdLUTを導出する。最初にmmvdLUTの全ての要素を予め導出しておき、コストを用いて、mmvdLUTの候補同士を入れ替えることでmmvdLUT1を導出してもよい。また、MMVD予測部30376は、MMVD候補リストmmvdLUTが空の状態を初期状態として、コストが小さい順にMMVD候補をリストに追加することでMMVD候補リストmmvdLUTを導出してもよい。また、MMVD予測部30376はMMVD候補をリストに追加するとき、追加位置がリストの最大候補数maxNumMmvdLUT(例えば12)を超える場合には、MMVD候補の追加をスキップしてもよい。
ここで、図11のフローチャートの詳細を説明する。
まず、MMVD予測部30376はMMVD候補リストmmvdLUTを初期化する(S3011)。mmvdLUTの要素として全ての候補の動きベクトルを導出してもよい。例えば、tempIdx=0..numDir*numDist-1に対し導出する。
dist = tempIdx / numDir;
dir = tempIdx - dist * numDir;
上式を用いて、{dir, dist}を要素とするmmvdLUTでもよい。{dir, dist}から導出される{firstMv[0], firstMv[1]}を要素とするmmvdLUTでもよい。さらに、firstMvから導出される{mvLX[0], mvLX[1]}を要素とするテーブルでもよい。
ここでMMVD予測部30376は各mmvdMergeCandを示す整数(インデックス)tempIdxから方向(dir)と距離(dist)を求めてもよい。
dist、dirを用いてfirstMvを導出する。
firstMv[0] = (dist<<shiftMMVD) * dir_table_x[dir]
firstMv[1] = (dist<<shiftMMVD) * dir_table_y[dir]
そして(差分ベクトルの導出)と同様の方法で、firstMvからrefineMvL0、refineMvL1を導出し、tempMvLX[](X=0,1)を導出する。
tempMvLX[0] = mvpLX[0] + refineMvLX[0]
tempMvLX[1] = mvpLX[1] + refineMvLX[1]
導出したtempMvLXをmmvdLUTの要素mmvdLUT[tempIdx]として格納する。
次に、MMVD予測部30376は必要な候補の数(例えば、NumMmvdCand = numDir * numDist)だけループしMMVD候補のコストtempCostを導出する(S3012)。
MMVD予測部30376は、各MMVD候補(mmvdMergeCand)に対し、方向(dir)と距離(dist)を求める。そしてMMVD予測部30376はMMVD候補の動きベクトルtempMvLXを求める(S3013)。
次に、MMVD予測部30376は、tempMvLXを用いてテンプレートマッチングを行い、コストを計算する(S3014)。対象ブロックに隣接する左及び上の画素をテンプレート(recテンプレート)とtempMvLxで示される参照ブロックの画素(refテンプレート)とする。MMVD予測部30376は、recテンプレートとrefテンプレートの差(コスト、tempCost)を最小とするrefテンプレート(及び対応する差分ベクトルtempMvLx)を導出するテンプレートマッチングを行ってもよい。また、tempCostとして差分絶対値和(SAD:Sum of Absolute Difference)あるいは差分2乗和(SSD:Sum of Squared Distance)を用いてもよい。
例えば、参照ブロックの左隣領域と対象ブロックの左隣領域の差分絶対値和と、参照ブロックrefSamplesLXの上隣領域と対象ブロックの上隣領域の差分絶対値和の和を、tempCostとしてもよい。
tempCost = Σabs(refSamplesLX[xC+iL+tempMvLX[0]][yC+jL+tempMvLX[1]] - recSamples[xC+i][xC+j])+ Σabs(refSamplesLX[xC+iT+tempMvLX[0]][yC+jT+tempMvLX[1]] - recSamples[xC+i][xC+jT])
ここでX=0または1。
ここでrefSamplesは参照ピクチャ、recSamplesは対象ピクチャ、tempMvLX[2]は、MMVD候補の動きベクトル、xC, yCは対象ブロックの左上座標、nW、nHはブロックの幅、高さである。ΣはiL=-1、jL=0..nH-1、iT=0..nW-1、jT=-1に関する和である。
なお、小数精度を整数精度に直してから上記処理を行なってもよい。
tempMvLX[0] = (abs(tempMvLX[0] >> shiftMMVD) * sign(tempMvLX[0])
tempMvLX[1] = (abs(tempMvLX[1] >> shiftMMVD) * sign(tempMvLX[1])
上記は1/16精度の場合、shiftMMVD=4。
整数精度のfirstMvを導出するために、予め以下でfirstMvを導出してもよい。
firstMv[0] = dist * dir_table_x[dir]
firstMv[1] = dist * dir_table_y[dir]
そして、MMVD予測部30376はS3014で求めたコストに応じて、MMVD候補リストを更新する(S3015)。MMVD予測部30376はコストが昇順になるように、MMVD候補リストをソートしてもよい。なお、以下に示すように、mmvdLUTを挿入する位置insertPosを導出し、insertPos以下のテーブルを更新してもよい。
insertPos = 0
while (insertPos < maxNumMmvdLUT && tempCost < candCostList[endIdx-1-insertPos]){
insertPos++;
}
if (insertPos != 0)
{
for (i = 1; i < insertPos; i++)
{
mmvdLUT[endIdx - i] = mmvdLUT[endIdx - 1 - i]
candCostList[endIdx - i] = candCostList[endIdx - 1 - i]
}
mmvdLUT[endIdx - insertPos] = tempIdx
candCostList[endIdx - insertPos] = tempCost
}
ここでwhile(x){process}は、xが真の間processを繰り返すループ処理である。mmvdLUTはtempIdxを格納するリストである。endIdxはグループの最後のインデックス、例えばendIdx=(tempIdx/grpSize) * grpSize + grpSizeである。ただしgrpSize=1,2,4,8のいずれか。candCostList[idx]はidxで示されるMMVD候補のtempCostのリストである。
MMVD予測部30376はS3013~S3015の処理をMMVDの候補の数だけ行う。以上の処理によって、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
本実施形態によれば、MMVD予測部30376はMMVDの候補すべてに対してテンプレートマッチングを実施し、コスト計算を行う。例えばMMVDの方向が16、距離が6通りであった場合、96回のテンプレートマッチング(コスト導出及びソート処理)を行う。
(MMVD候補リスト導出処理の別の例)
本実施形態では、コスト計算を行うMMVD候補を適応的に取捨選択する。これにより、符号化効率を低下させず、計算量を削減する効果を奏する。
図12は本実施形態における差分ベクトルの方向と距離の決定の処理の流れを表すフロー
チャートである。なお、MMVD予測部30376がmmvdLUTとmmvd_cand_idxを用いて、MMVD候補を選択する(S302)処理については図11の説明と同様である。
まず、MMVD予測部30376はMMVD候補リストの初期化を行う(S4011)。MMVD候補は差分ベクトルの位置(中心ベクトルからの方向と距離)を示す。MMVD候補リストはMMVD候補を格納するリストである。次に、MMVD予測部30376は差分ベクトルとなりうる候補について、候補の数(numDir * numDist)だけコスト導出処理をループする(S4012)。
MMVD予測部30376は、各MMVD候補(mmvdMergeCand)に対応する方向(dir)と距離(dist)を導出する(S4013)。
MMVD予測部30376は現距離(dist)において、mmvdMergeCandの探索方向(dir)を決定する(S4014)。MMVD予測部30376はmmvdMergeCand毎に、導出した探索方向であるか否かを判定し(S4015)、探索方向であれば(S4015でY)、コストを導出する。以下、XXを探索するとはXXを探索候補としてtempCostを導出することを意味する。
探索方向ではないと判定された場合(S4015でN)、MMVD予測部30376はmmvdMergeCandに対するコストは導出せず、次のmmvdMergeCandのコスト導出に移行する。
探索方向である場合(S4015でY)、MMVD予測部30376は探索候補の方向と距離から、現在の一時的な差分ベクトル(firstMv)を求める(S4016)。
次に、MMVD予測部30376は、(MMVD候補リスト導出処理)と同様の方法で導出したtempMvLXを用いてテンプレートマッチングを行い、コストtempCostを計算する(S4017)。そして、MMVD予測部30376はS4017で求めたコストに応じて、MMVD候補リストをコストの昇順に更新する(S4018)。
MMVD予測部30376はS4013~S4018の処理をMMVDの候補の数だけ行う。以上の処理によって、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
また、図13は本実施形態における差分ベクトルの方向と距離を決定する処理の流れを表す別のフローチャートである。なお、MMVD予測部30376がmmvdLUTとmmvd_cand_idxを用いて、MMVD候補を選択する(S302)処理については図11と同様である。
まず、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを初期化する(S5011)。次に、MMVD予測部30376は差分ベクトルとなりうる距離の候補について、候補の数(numDist)だけループする(S5012)。ここで、MMVD予測部30376は現距離(dist)において、探索する差分ベクトルの方向(dir)を決定する(S5013)。詳細な決定方法は後述する。次に、MMVD予測部30376はS5013で探索すると決定した方向の候補について、候補の数だけループする(S5014)。
MMVD予測部30376は差分ベクトルの方向と距離から、MMVD候補の動きベクトルを導出する(S5016)。次に、MMVD予測部30376は、MMVD候補の動きベクトルを用いてテンプレートマッチングを行い、コストを計算する(S5017)。そして、MMVD予測部30376はS5017で求めたコストに応じて、MMVD候補リストをコストの昇順に更新する(S4018)。
MMVD予測部30376はS5016~S5018の処理をMMVD候補に対し探索する方向の候補の数だけ行う。また、MMVD予測部30376はS5013~S5018の処理をMMVD候補に対しの距離の候補の数だけ行う。以上の処理によって、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
(探索方向の決定方法の詳細)
処理S4014やS5013に相当する、mmvdMergeCandの距離(dist)に応じて探索方向を決定する方法について説明する。
<探索方向の決定方法1>
MMVD予測部30376は以下に基づいて、探索する方向を決定してもよい。以下ではnumDir=16(16方向)の場合を説明する。
1:距離が0(dist==0)の場合、方向グループDIR1に含まれる方向のみを探索する。
2:それ以外の距離(dist!=0)の場合、方向グループDIR2に含まれる方向のみを探索する。
ここで方向グループDIR1、DIR2は、各々、MMVD候補の方向のサブセット(一部)である。DIR1は、全方向の1/2個の方向を含んでいてもよい。例えば、dir=0…numDir/2-1となる方向dirであってもよい。例えば、DIR1は水平、垂直、斜め45度方向の8方向を含んでもよい。以下の様に方向を表す整数で示してもよいし、ラベルで示してもよい。
DIR1 = {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}
DIR1 = {上, 右上, 右, 右下, 下, 左下, 左, 左上}
方向グループDIR2は、1つ前の距離distにおいて求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最小のコストを与える方向とそれに隣接する方向の計3方向を含んでもよい。または、方向グループDIR2は、1つ前のdistにおいて求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最も小さいコストを与える2方向とそれぞれに隣接する方向の最大6方向を含んでもよい。方向グループDIR2に含まれる方向は、distごとに更新してもよい。
以降、図12、図13に示す距離に応じて探索する方向を制限する例を、図14、図15を用いて説明する。MMVDにおける差分ベクトルの候補は、距離6通り、方向16通りの計96通りであるとする。方向とインデックスの関係は図14(a)および(b)に示す通りとする。図15はこのときの距離distが3までの探索候補を示す。以下に、MMVD予測部30376がMMVD候補を探索する様子を示す。下記の例において、MMVD予測部30376は23(8+3*5)個の候補を探索する。
以下、「探索した候補をMMVD候補リストに追加し、MMVD候補リストをコストの昇順に更新する」動作を「探索した候補についてmmvdLUTを更新する」と記載する。
<step1>:dist=0のときの動作
方向グループDIR1 = {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}を用いて水平、垂直、斜め45度方向の8方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=5が最小コストとなった。
<step2>:dist=1のときの動作
step1において最小コストを与えたdir=5及び隣接のdir=11,15の3方向を選択し、step2のための方向グループDIR2 = {5, 11, 15}を導出する。DIR2 = {5, 11, 15}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=5が最小コストとなった。
<step3>:dist=2のときの動作
step2の結果より、step3のDIR2 = {5, 11, 15}を導出する。DIR2 = {5, 11, 15}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=15が最小コストとなった。
<step4>:dist=3のときの動作
step3の結果より、step4のDIR2 = {3, 5, 15}を導出する。DIR2 = {3, 5, 15}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=3が最小コストとなった。
<step5>:dist=4のときの動作
step4の結果より、step5のDIR2 = {3, 13, 15}を導出する。DIR2 = {3, 13, 15}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=3が最小コストとなった。
<step6>:dist=5のときの動作
step5の結果より、step6のDIR2 = {3, 13, 15}を導出する。DIR2 = {3, 13, 15}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。
以上のステップから、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
方向グループDIR2が、最も小さいコストを与える2方向とそれぞれに隣接する方向の計6方向から探索候補を構成する場合の例を以下に示す。
<step1>:dist=0のときの動作
方向グループDIR1 = {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}を用いて水平、垂直、斜め45度方向の8方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=5が最小コスト、dir=0が2番目に小さいコストとなった。
<step2>:dist=1のときの動作
step1の結果より、方向グループDIR2 = {5, 11, 15, 0, 8, 10}を用いて6方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=10が最小コスト、dir=11が2番目に小さいコストとなった。
<step3>:dist=2のときの動作
step2の結果より、方向グループDIR2 = {0, 6, 10, 1, 5, 11}を用いて6方向探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。探索した結果、dir=10が最小コスト、dir=0が2番目に小さいコストとなった。
<step4>:dist=3のときの動作
step3の結果より、方向グループDIR2 = {0, 6, 8, 10}を用いて4方向探索する。小さいコストを与える方向が隣り合っている場合、本例のように6方向にならない場合がある。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。以降の処理については省略するが、MMVD予測部30376は<step6>まで同様に処理を行う。
以上のステップから、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
本実施形態では、MMVD候補探索においてコスト計算を行うmmvdMergeCandの距離ごとに取捨選択する。特に、前記探索において、所定の距離においては第1の方向のサブセット(DIR1)のみを探索し、所定の距離以外の距離においては、第2の方向のサブセット(DIR2)のみを探索することを特徴とする。前記探索において、各距離候補に対して、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を探索し、距離候補毎に第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を更新することを特徴とする。
これにより、符号化効率を低下させず、計算量を削減する効果を奏する。
<探索方向の決定方法2>
MMVD予測部30376は複数の距離セットを持つ。この時、MMVD予測部30376は以下に基づいて、探索する方向を決定してもよい。
1:距離セットDIST1に含まれる距離の場合、方向グループDIR1に含まれる方向のみを探索する。
2:それ以外の距離セットに含まれる距離の場合、方向グループDIR2に含まれる方向のみを探索する。
ここで、方向グループDIR1は、<探索方向の決定方法1>の通りでもよい。
方向グループDIR2は、1つ前の距離セットにおいて求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最小のコストを与える方向とそれに隣接する方向の計3方向を含んでもよい。または、方向グループDIR2は、1つ前の距離において求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最も小さいコストを与える2方向と最小コストの方向に隣接する方向の最大4方向を含んでもよい。または、方向グループDIR2は、1つ前の距離において求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最も小さいコストを与える2方向とそれぞれに隣接する方向の最大6方向を含んでもよい。
方向グループDIR2に含まれる方向数は、距離セットごとに更新してもよい。また、方向グループDIR2に含まれる方向の選択方法は距離セットごとに異なっていてもよい。例えば、距離セットDIST2において探索する方向数が6個、距離セットDIST3において探索する方向数が4個あるいは3個であってもよい。
距離セットDIST1は、dist=0のみを含んでもよい。このとき、距離セットDIST2はdist=1,2、距離セットDIST3はdist=3,4,…を含んでもよい。
または、距離セットDIST1は、dist=0,1を含んでもよい。このとき、距離セットDIST2はdist=2,3、距離セットDIST3はdist=4,5,…を含んでもよい。
以下に、MMVD予測部30376がMMVD候補を探索する様子を示す。
<step1>:距離セットDIST1={0}のときの動作
方向グループDIR1 = {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}を用いて水平、垂直、斜め45度方向の8方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。また、探索した結果、dir=5が最小コストとなった。
<step2>:距離セットDIST2={1,2}のときの動作
step1の結果より、方向グループDIR2 = {5, 11, 15}を用いて最小コストを与えたdir=5及び隣接のdir=11,15の3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。また、探索した結果、dir=5が最小コストとなった。
<step3>:距離セットDIST3={3,4,5}のときの動作
step2の結果より、方向グループDIR2 = {5, 11, 15}を用いて3方向探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。
以上のステップから、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
また、方向グループDIR2に含まれる方向の選択方法が距離セットごとに異なる例を示す。以下は、距離セットDIST2において探索する方向数が6個、距離セットDIST3において探索する方向数が3個である例である。
<step1>:距離セットDIST1={0}のときの動作
方向グループDIR1 = {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}を用いて水平、垂直、斜め45度方向の8方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。また、探索した結果、dir=5が最小コスト、dir=0が2番目に小さいコストとなった。
<step2>:距離セットDIST2={1,2}のときの動作
step1の結果より、方向グループDIR2 = {5, 11, 15, 0, 8, 10}を用いて6方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。また、探索した結果、dir=10が最小コストとなった。
<step3>:距離セットDIST3={3,4,5}のときの動作
step2の結果より、方向グループDIR2 = {0, 6, 10}を用いて3方向を探索する。探索した候補についてmmvdLUTを更新する。
以上のステップから、MMVD予測部30376はMMVD候補リストを導出する。
本実施形態では、MMVD候補探索においてコスト計算を行うmmvdMergeCandを距離ごとに取捨選択する。特に、所定の距離セットに含まれる距離においては第1の方向のサブセット(DIR1)のみを探索し、所定の距離セット以外の距離セットに含まれる距離においては、第2の方向のサブセット(DIR2)のみを探索することを特徴とする。また、複数の距離候補を含む距離セットに対して、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を探索し、複数の距離候補を含む距離セット毎に第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を更新することを特徴とする。また、前記探索において、距離セットに応じて、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向の数が異なることを特徴とする。
また、上記では16方向の場合を説明したが、8方向(numDir=8)の場合はdir=0…numDir-1、DIR1=0…numDir/2-1と設定し、距離に応じて探索方向を決定してもよい。また、4方向(numDir=4)の場合はdir=0…numDir-1、DIR1=0…numDir/2-1と設定し、距離に応じて探索方向を決定してもよい。
これにより、符号化効率を低下させず、計算量を削減する効果を奏する。また、複数の距離ごとに探索する方向を選択することで依存性を削減し、並列性を向上させることが可能となり、効率よく計算することが可能となる効果を奏する。
(探索早期打ち切り)
MMVD予測部30376は、各MMVD候補mmvdMergeCandについてテンプレートマッチングコストを算出する。このとき、MMVD予測部30376は、上記コストが以下の条件を満たした場合、探索を終了してもよい。
<探索早期打ち切り条件1>
コストが所定の閾値TH1より小さい。ここで、TH1は、対象ブロックの幅width及び高さheightを用いて以下のように設定してもよい。
TH1 = C * width * height
Cは定数(例えば5)である。すなわち、1画素当たりのコストがC未満を達成した場合、MMVD予測部30376は、探索を終了する。
<探索早期打ち切り条件2>
コストが最小コストの所定の定数TH2倍より大きい。ここで、TH2は、例えば1.05や1.1である。すなわち、距離が大きい候補に対して十分なコスト削減を達成できない場合、MMVD予測部30376は、それ以上大きい距離の候補について探索を行わない。
上記探索早期打ち切りにより、符号化効率を低下させず、計算量を削減する効果を奏する。
(インター予測画像生成部309)
predModeがインター予測を示す場合、インター予測画像生成部309は、インター予測パラメータ導出部303から入力されたインター予測パラメータと参照ピクチャを用いてインター予測によりブロックもしくはサブブロックの予測画像を生成する。
図4は、本実施形態に係る予測画像生成部308に含まれるインター予測画像生成部309の構成を示す概略図である。インター予測画像生成部309は、動き補償部(予測画像生成装置)3091、合成部3095を含んで構成される。合成部3095は、IntraInter合成部30951、GPM合成部30952、BIO部30954、重み予測部3094を含んで構成される。
(動き補償)
動き補償部3091(補間画像生成部3091)は、インター予測パラメータ導出部303から入力された、インター予測パラメータ(predFlagLX、refIdxLX、mvLX)に基づいて、参照ピクチャメモリ306から参照ブロックを読み出すことによって補間画像(動き補償画像)を生成する。参照ブロックは、refIdxLXで指定された参照ピクチャRefPicLX上で、対象ブロックの位置からmvLXシフトした位置のブロックである。ここで、mvLXが整数精度でない場合には、動き補償フィルタと呼ばれる小数位置の画素を生成するためのフィルタを施して、補間画像を生成する。
動き補償部3091は、まず、予測ブロック内座標(x,y)に対応する整数位置(xInt,yInt)および位相(xFrac,yFrac)を以下の式で導出する。
xInt = xPb+(mvLX[0]>>(log2(MVPREC)))+x
xFrac = mvLX[0]&(MVPREC-1)
yInt = yPb+(mvLX[1]>>(log2(MVPREC)))+y
yFrac = mvLX[1]&(MVPREC-1)
ここで、(xPb,yPb)は、bW*bHサイズのブロックの左上座標、x=0…bW-1、y=0…bH-1であり、MVPRECは、mvLXの精度(1/MVPREC画素精度)を示す。例えばMVPREC=16である。
動き補償部3091は、参照ピクチャrefImgに補間フィルタを用いて水平補間処理を行うことで、一時的画像temp[][]を導出する。以下のΣはk=0..NTAP-1のkに関する和、shift1は値のレンジを調整する正規化パラメータ、offset1=1<<(shift1-1)である。
temp[x][y] = (ΣmcFilter[xFrac][k]*refImg[xInt+k-NTAP/2+1][yInt]+offset1)>>shift1
続いて、動き補償部3091は、一時的画像temp[][]を垂直補間処理により、補間画像Pred[][]を導出する。以下のΣはk=0..NTAP-1のkに関する和、shift2は値のレンジを調整する正規化パラメータ、offset2=1<<(shift2-1)である。
Pred[x][y] = (ΣmcFilter[yFrac][k]*temp[x][y+k-NTAP/2+1]+offset2)>>shift2
なお、双予測の場合、上記のPred[][]をL0リスト、L1リスト毎に補間画像PredL0[][]とPredL1[][]を導出し、PredL0[][]とPredL1[][]から補間画像Pred[][]を生成する。
(GPM合成処理)
GPM合成部30952は、ciip_modeが0の場合に、複数のインター予測画像の重み付き和によりGPMモードの予測画像を生成する。
(IntraInter合成処理)
IntraInter合成部30951は、ciip_modeが1の場合に、CIIPモードの予測画像を、インター予測画像とイントラ予測画像の重み付け和により予測画像を生成する。
(BIO予測)
BIO部30954は、双予測モードにおいて、2つの予測画像(第1の予測画像及び第2の予測画像)及び勾配補正項を参照して予測画像を生成する。
(重み予測)
重み予測部3094は、補間画像PredLXに重み係数を乗算することによりブロックの予測画像を生成する。
インター予測画像生成部309は生成したブロックの予測画像を加算部312に出力する。
(動画像符号化装置の構成)
次に、本実施形態に係る動画像符号化装置11の構成について説明する。図16は、本実施形態に係る動画像符号化装置11の構成を示すブロック図である。動画像符号化装置11は、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、逆量子化・逆変換部105、加算部106、ループフィルタ107、予測パラメータメモリ(予測パラメータ記憶部、フレームメモリ)108、参照ピクチャメモリ(参照画像記憶部、フレームメモリ)109、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120、エントロピー符号化部104を含んで構成される。
予測画像生成部101はCU毎に予測画像を生成する。予測画像生成部101は既に説明したインター予測画像生成部309とイントラ予測画像生成部を含んでおり、説明を省略する。
減算部102は、予測画像生成部101から入力されたブロックの予測画像の画素値を、画像Tの画素値から減算して予測誤差を生成する。減算部102は予測誤差を変換・量子化部103に出力する。
変換・量子化部103は、減算部102から入力された予測誤差に対し、周波数変換によって変換係数を算出し、量子化によって量子化変換係数を導出する。変換・量子化部103は、量子化変換係数をパラメータ符号化部111及び逆量子化・逆変換部105に出力する。
変換・量子化部103は、分離変換部(第1の変換部)と、非分離変換部(第2の変換部)と、スケーリング部と、を備えている。
分離変換部は、予測誤差に分離変換を適用する。スケーリング部は、変換係数に対して、量子化マトリックスによるスケーリングを行う。
逆量子化・逆変換部105は、動画像復号装置31における逆量子化・逆変換部311と同じであり、説明を省略する。算出した予測誤差は加算部106に出力される。
パラメータ符号化部111は、ヘッダ符号化部1110、CT情報符号化部1111、CU符号化部1112(予測モード符号化部)を備えている。CU符号化部1112はさらにTU符号化部1114を備えている。以下、各モジュールの概略動作を説明する。
ヘッダ符号化部1110はヘッダ情報、分割情報、予測情報、量子化変換係数等のパラメータの符号化処理を行う。
CT情報符号化部1111は、QT、MT(BT、TT)分割情報等を符号化する。
CU符号化部1112はCU情報、予測情報、分割情報等を符号化する。
TU符号化部1114は、TUに予測誤差が含まれている場合に、QP更新情報と量子化予測誤差を符号化する。
CT情報符号化部1111、CU符号化部1112は、インター予測パラメータ(predMode、general_merge_flag、merge_idx、inter_pred_idc、refIdxLX、mvp_LX_idx、mvdLX)、イントラ予測パラメータ、量子化変換係数等のシンタックス要素をパラメータ符号化部111に供給する。
エントロピー符号化部104には、パラメータ符号化部111から量子化変換係数と符号化パ
ラメータ(分割情報、予測パラメータ)が入力される。エントロピー符号化部104はこれらをエントロピー符号化して符号化ストリームTeを生成し、出力する。
予測パラメータ導出部120は、インター予測パラメータ符号化部112、イントラ予測パラメータ符号化部を含む手段であり、符号化パラメータ決定部110から入力されたパラメータからイントラ予測パラメータ及びインター予測パラメータを導出する。導出されたイントラ予測パラメータ及びインター予測パラメータは、パラメータ符号化部111に出力される。
(インター予測パラメータ符号化部の構成)
インター予測パラメータ符号化部112は図17に示すように、パラメータ符号化制御部1121、インター予測パラメータ導出部303を含んで構成される。インター予測パラメータ導出部303は動画像復号装置と共通の構成である。パラメータ符号化制御部1121は、マージインデックス導出部11211とベクトル候補インデックス導出部11212を含む。
マージインデックス導出部11211は、マージ候補等を導出し、インター予測パラメータ導出部303に出力する。ベクトル候補インデックス導出部11212は予測ベクトル候補等を導出し、インター予測パラメータ導出部303とパラメータ符号化部111に出力する。
(イントラ予測パラメータ符号化部の構成)
イントラ予測パラメータ符号化部は、パラメータ符号化制御部とイントラ予測パラメータ導出部を備える。イントラ予測パラメータ導出部は動画像復号装置と共通の構成である。
ただし、動画像復号装置と異なり、インター予測パラメータ導出部303、イントラ予測パラメータ導出部への入力は符号化パラメータ決定部110、予測パラメータメモリ108であり、パラメータ符号化部111に出力する。
加算部106は、予測画像生成部101から入力された予測ブロックの画素値と逆量子化・逆変換部105から入力された予測誤差を画素毎に加算して復号画像を生成する。加算部106は生成した復号画像を参照ピクチャメモリ109に記憶する。
ループフィルタ107は加算部106が生成した復号画像に対し、デブロッキングフィルタ、SAO、ALFを施す。なお、ループフィルタ107は、必ずしも上記3種類のフィルタを含まなくてもよく、例えばデブロッキングフィルタのみの構成であってもよい。
予測パラメータメモリ108は、符号化パラメータ決定部110が生成した予測パラメータを、対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
参照ピクチャメモリ109は、ループフィルタ107が生成した復号画像を対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
符号化パラメータ決定部110は、符号化パラメータの複数のセットのうち、1つのセットを選択する。符号化パラメータとは、上述したQT、BTあるいはTT分割情報、予測パラメータ、あるいはこれらに関連して生成される符号化の対象となるパラメータである。予測画像生成部101は、これらの符号化パラメータを用いて予測画像を生成する。
符号化パラメータ決定部110は、複数のセットの各々について情報量の大きさと符号化誤差を示すRDコスト値を算出する。RDコスト値は、例えば、符号量と二乗誤差に係数λを乗じた値との和である。符号量は、量子化誤差と符号化パラメータをエントロピー符号化
して得られる符号化ストリームTeの情報量である。二乗誤差は、減算部102において算出された予測誤差の二乗和である。係数λは、予め設定されたゼロよりも大きい実数である。符号化パラメータ決定部110は、算出したコスト値が最小となる符号化パラメータのセットを選択する。符号化パラメータ決定部110は決定した符号化パラメータをパラメータ符号化部111と予測パラメータ導出部120に出力する。
なお、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、例えば、エントロピー復号部301、パラメータ復号部302、ループフィルタ305、予測画像生成部308、逆量子化・逆変換部311、加算部312、予測パラメータ導出部320、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、エントロピー符号化部104、逆量子化・逆変換部105、ループフィルタ107、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、動画像符号化装置11、動画像復号装置31のいずれかに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。動画像符号化装置11、動画像復号装置31の各機能ブロックは個別にプロセッサ化しても良いし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施形態は、画像データが符号化された符号化データを復号する動画像復号装置、および、画像データが符号化された符号化データを生成する動画像符号化装置に好適に適用することができる。また、動画像符号化装置によって生成され、動画像復号装置によって参照される符号化データのデータ構造に好適に適用することができる。
31 動画像復号装置
301 エントロピー復号部
302 パラメータ復号部
3022 CU復号部
3024 TU復号部
303 インター予測パラメータ導出部
30376 MMVD予測部
305、107 ループフィルタ
306、109 参照ピクチャメモリ
307、108 予測パラメータメモリ
308、101 予測画像生成部
309 インター予測画像生成部
311、105 逆量子化・逆変換部
312、106 加算部
320 予測パラメータ導出部
11 動画像符号化装置
102 減算部
103 変換・量子化部
104 エントロピー符号化部
110 符号化パラメータ決定部
111 パラメータ符号化部
112 インター予測パラメータ符号化部
120 予測パラメータ導出部

Claims (8)

  1. 対象ブロックの予測動きベクトルに所定の距離及び所定の方向の差分ベクトルを加算することで動きベクトルを得るMMVD予測部と、MMVD候補リストから差分ベクトルを指定するためのインデックスを符号化データから復号するパラメータ復号部を備える動画像復号装置であって、
    前記MMVD予測部は、上記所定の距離、所定の方向から特定の距離、方向の差分ベクトルを導出し、上記差分ベクトルでのテンプレートマッチングコストを導出することで探索を行い、上記コストに応じて差分ベクトル候補を挿入することでMMVD候補リストを導出することを特徴とし、
    前記探索において、所定の距離においては第1の方向のサブセット(DIR1)のみを探索し、所定の距離以外の距離においては、第2の方向のサブセット(DIR2)のみを探索することを特徴とする動画像復号装置。
  2. 前記第1の方向のサブセット(DIR1)には水平、垂直、斜め45度方向の8方向が含まれることを特徴とする請求項1に記載の動画像復号装置。
  3. 前記第2の方向のサブセット(DIR2)には1つ前の距離において求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最小のコストを与える方向とそれに隣接する方向の計3方向が含まれることを特徴とする請求項1に記載の動画像復号装置。
  4. 前記第2の方向のサブセット(DIR2)には1つ前の距離において求めた、探索個数分のテンプレートマッチングコストの内、最も小さいコストを与える2方向とそれぞれに隣接する方向の最大6方向が含まれることを特徴とする請求項1に記載の動画像復号装置。
  5. 前記探索において、各距離候補に対して、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を探索し、距離候補毎に第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を更新することを特徴とする請求項1に記載の動画像復号装置。
  6. 対象ブロックの予測動きベクトルに所定の距離及び所定の方向の差分ベクトルを加算することで動きベクトルを得るMMVD予測部と、MMVD候補リストから差分ベクトルを指定するためのインデックスを符号化データから復号するパラメータ復号部を備える動画像復号装置であって、
    前記MMVD予測部は、上記所定の距離、所定の方向から特定の距離、方向の差分ベクトルを導出し、上記差分ベクトルでのテンプレートマッチングコストを導出することで探索を行い、上記コストに応じて差分ベクトル候補を挿入することでMMVD候補リストを導出することを特徴とし、
    前記探索において、所定の距離セットに含まれる距離においては第1の方向のサブセット(DIR1)のみを探索し、所定の距離セット以外の距離セットに含まれる距離においては、第2の方向のサブセット(DIR2)のみを探索することを特徴とする動画像復号装置。
  7. 前記探索において、複数の距離候補を含む距離セットに対して、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を探索し、複数の距離候補を含む距離セット毎に第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向を更新することを特徴とする請求項6に記載の動画像復号装置。
  8. 前記探索において、距離セットに応じて、第2の方向のサブセット(DIR2)に含まれる方向の数が異なることを特徴とする請求項7に記載の動画像復号装置。
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