JP2024000844A - 二酸化炭素回収システム - Google Patents

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陽介 中村
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Abstract

【課題】システムが正常に動作して、期待される二酸化炭素回収量が得られているかを容易に判定することが可能な二酸化炭素回収システムを提供する。【解決手段】制御装置17は、センサ15を用いて検出された二酸化炭素の回収量を実際に電気化学セルの吸着材によって吸着された実二酸化炭素吸着量とみなす。そして、制御装置17は、二酸化炭素最大吸着量と最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値に対する、実二酸化炭素吸着量と吸着モードの実行時間との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定する。及び/又は、制御システム17は、二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される回収量の閾値に対する、センサ15を用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定する。【選択図】図1

Description

本開示は、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムに関する。
特許文献1には、電気化学反応によって、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離するガス分離システムが提案されている。このガス分離システムでは、二酸化炭素を含む混合ガスが、電気化学セルが配置された筐体内に導入される。電気化学セルの負極に電子を向かわせる充電モードにおいて、負極に設けられた電気活性材料が還元される。このため、負極における電気活性材料と二酸化炭素との結合が生じて、混合ガスから二酸化炭素が分離される。一方、充電モード中の電子流とは逆方向に電子流を生じさせる放電モードにおいて、負極における電気活性材料が酸化される。これにより、負極の電気活性材料から二酸化炭素が放出される。
特表2018-533470号公報
上述したようなシステムにおいて、例えば、電気化学セルが劣化していたり、筐体内に導入される混合ガスが十分ではなかったりすると、電気化学セルにおいて、所望の二酸化炭素吸着量が得られない可能性がある。その結果、期待される二酸化炭素の回収量を得ることが困難になる。しかし、電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量、もしくは、電気化学セルから脱離した二酸化炭素の脱離量を直接的に検出することは難しい。このため、システムが正常に動作しているか、すなわち、電気化学セルが所望の量の二酸化炭素の吸着、離脱を行い、その結果、期待される二酸化炭素回収量が得られているかを、容易に確認できる手法の確立が望まれている。
本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、システムが正常に動作して、期待される二酸化炭素回収量が得られているかを容易に判定することが可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示による二酸化炭素回収システムは、
電気化学反応によって、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムであって、
回収した二酸化炭素を蓄えるための二酸化炭素回収タンク(16)と、
二酸化炭素を吸着可能な吸着材を含む作用極と、作用極と対をなす対極とを有する電気化学セルと、電気化学セルを収容する筐体とを有する回収器(12)と、
吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離する際に、吸着材から脱離された二酸化炭素を回収器から吸引し、二酸化炭素回収タンクへ向けて排出するポンプ(13)と、
回収器から二酸化炭素回収タンクへと回収される二酸化炭素の回収量を検出するためのセンサ(15)と、
作用極と対極との間に第1の電位を印加して、吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着モード、及び、作用極と対極との間に第2の電位を印加するとともに、ポンプが二酸化炭素の吸引、排出を行なうようにポンプを制御して、吸着材が吸着した二酸化炭素を二酸化炭素回収タンクに回収する回収モードを実行する制御装置(17)と、
吸着モードの実行時に、吸着材による二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す吸着量変化データを記憶する記憶部(18)と、を備え、
制御装置は、吸着量変化データに基づいて、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着モードの実行時間を定め、当該実行時間の間、前記吸着モードを実行し、
制御装置は、センサを用いて検出された二酸化炭素の回収量を実際に吸着材によって吸着された実二酸化炭素吸着量とみなし、電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量と、当該二酸化炭素吸着量に対応する実行時間である最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値に対する、実二酸化炭素吸着量と実行時間との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、及び/又は、二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される回収量の閾値に対する、センサを用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定するように構成される。
上述したように、本開示による二酸化炭素回収システムでは、記憶部(18)に、吸着量変化データが記憶されている。吸着量変化データは、吸着モードの実行時に、吸着材による二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す。制御装置(17)は、この吸着量変化データを参照して、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着モードの実行時間を定める。そして、制御装置は、定めた実行時間の間、吸着モードを実行する。このため、システムの動作が正常である場合、吸着モードの実行により、電気化学セルの吸着材には、目標二酸化炭素吸着量に相当する量の二酸化炭素が吸着されているはずである。
そして、制御装置は、センサ(15)を用いて検出された二酸化炭素の回収量を実際に吸着材によって吸着された実二酸化炭素吸着量とみなす。従って、制御装置は、二酸化炭素最大吸着量と最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値に対する、実行時間と実二酸化炭素吸着量との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定することができる。及び/又は、制御システムは、二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される回収量の閾値に対する、センサを用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定することができる。
上記括弧内の参照番号は、本開示の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本開示の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上記した本開示の特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
実施形態に係る、二酸化炭素回収システムの構成を示す図である。 二酸化炭素回収のための一連の制御シーケンスを実行するための制御装置における処理を示すフローチャートである。 図2のフローチャートに示す処理が実施されたときの、各部の動作を示すタイムチャートである。 (a)-(c)は、一連の制御シーケンスに含まれる、吸着モード、掃気モード、及び脱離・回収モードについて説明するための説明図である。 吸着量変化マップデータの一例を示す図である。 吸着量変化マップデータを作成するマップ作成処理を示すフローチャートである。 (a)-(c)は、電気化学セルの二酸化炭素最大吸着量及び最大吸着量時間の推定方法の手順の一例を説明するための説明図である。 吸着量変化マップデータを用いた目標二酸化炭素吸着量の変更、及び変更した目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着モードの実行時間を設定する処理を示すフローチャートである。 図10のIX部分の拡大図である。 一連の制御シーケンスのサイクル数の増加に伴い、目標二酸化炭素吸着量が低下するように変更される一例を示す図である。 (a)、(b)は、サイクル数の増加に伴って電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したときに、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きの2種類の変化を説明するための説明図である。 サイクル数の増加に伴って電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが、図11に示す2種類の変化のどちらに従うのかを自己学習する処理を示すフローチャートである。 サイクル数の増加に伴って二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、図11(a)に示す関係に従って変化する場合に、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きに対して設定される、制御ずれ及び異常(兆候)発生を判定するための第1及び第2の閾値を示す図である。 サイクル数の増加に伴って二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、図11(b)に示す関係に従って変化する場合に、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きに対して設定される、制御ずれ及び異常(兆候)発生を判定するための第1及び第2の閾値を示す図である。 二酸化炭素回収量に対して設定される、制御ずれ及び異常(兆候)発生を判定するための第3及び第4の閾値、並びにセル交換判定値を示す図である。 二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを診断し、制御ずれや動作異常などが生じている場合に、適切な処置を取るためのシステム状態診断処理を示すフローチャートである。 制御ずれ調整処理の一部を示すフローチャートである。 図17のフローチャートに続く、制御ずれ調整処理の残部を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施形態に係る二酸化炭素回収システムが、図面を参照して、詳細に説明される。なお、複数の図面にわたって、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号が付されている。本実施形態に係る二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を含有する混合ガス(例えば、大気ガス)から二酸化炭素を回収するものである。二酸化炭素が除去された混合ガスは外部(大気)に排出される。図1は、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10の構成を示している。
図1に示す二酸化炭素回収システム10は、流路開閉弁11、回収器12、ポンプ13、流路切替弁14、センサ15、CO回収タンク16、制御装置17、送風機19、及び外部サーバ20を備えている。
流路開閉弁11は、制御装置17によって開閉状態が制御される。流路開閉弁11が開かれると、外部(大気)と回収器12内とを連通する流路配管を介して、二酸化炭素を含有した混合ガスが回収器12内に導入可能となる。一方、流路開閉弁11が閉じられると、外部と回収器12内とを連通する流路配管が遮断され、回収器12は外部から密閉される。
送風機19は、流路開閉弁11が開かれているときに制御装置17によって駆動されて、外部と回収器12内とを連通する流路配管を介して、二酸化炭素を含有した混合ガスを回収器12内に送り込む。ただし、送風機19は省略されても良い。あるいは、送風機19の役割を、ポンプ13が兼ねても良い。すなわち、流路開閉弁11が開かれているときに、ポンプ13を駆動して、上記の流路配管を介して、二酸化炭素を含有する混合ガスが外部から回収器12内に引き込まれても良い。従って、送風機19もしくはポンプ13が、送風手段に相当する。
回収器12は、例えば金属製の筐体の内部に配置された電気化学セルを備える。電気化学セルは、電気化学反応によって、二酸化炭素を吸着して、混合ガスから二酸化炭素を分離したり、吸着した二酸化炭素を脱離して、ポンプ13により、脱離した二酸化炭素をCO回収タンク16に蓄積させたりすることが可能なものである。回収器12は、2つの開口部を有している。開口部の1つは、外部から二酸化炭素を含む混合ガスを回収器12の筐体内部に導入するための導入口である。開口部のもう1つは、二酸化炭素が除去された混合ガスや、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を排出するための排出口である。上述した外部と回収器12内とを連通する流路配管が導入口に接続され、ポンプ13が設けられた流路配管が排出口に接続される。なお、回収器12内とは、筐体の内部と同意である。
回収器12の筐体内部には、複数の電気化学セルが積層して配置されている。複数の電気化学セルの積層方向は、混合ガスの流れ方向に直交する方向となっている。個々の電気化学セルは板状に構成されており、板面がセル積層方向と交差するように配置されている。隣接する電気化学セルの間には、所定の隙間が設けられている。隣接する電気化学セルの間に設けられた隙間は、混合ガスが流れるガス流路となる。
各電気化学セルは、例えば、作用極集電層、作用極、セパレータ、対極、及び対極集電層などが、記載された順序で積層されて構成されている。なお、作用極は負極であり、作用極と対をなす対極は正極である。これら作用極と対極との間に印加する電位差を変化させることにより、作用極に電子を与えて、作用極の二酸化炭素吸着材に二酸化炭素を吸着させたり、作用極から電子を放出させて、吸着した二酸化炭素を脱離させたりすることができる。
作用極集電層は、二酸化炭素を含んだ混合ガスが通過可能な孔を有する多孔質の導電性材料からなる。作用極集電層は、ガス透過性と導電性を有していればよく、作用極集電層の形成材料として、例えば金属材料や炭素質材料を用いることができる。
作用極は、二酸化炭素吸着材、導電性物質、バインダなどを混合した材料から形成される。二酸化炭素吸着材は、電子を受け取ることで二酸化炭素を吸着し、電子を放出することで吸着していた二酸化炭素を脱離する性質を有する。二酸化炭素吸着材としては、例えばポリアントラキノンを用いることができる。導電性物質は、二酸化炭素吸着材への導電路を形成する。導電性物質としては、例えばカーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン等の炭素材料を用いることができる。バインダは、二酸化炭素吸着材や導電性物質を保持するためのものである。バインダとしては、例えば導電性樹脂を用いることができる。導電性樹脂は、例えば、導電性フィラーとしてAg等を含有するエポキシ樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂等を用いることができる。
対極は、電気活性補助材、導電性物質、バインダなどを混合した材料から形成される。対極の導電性物質、バインダは、作用極の導電性物質、バインダと同様であるため説明を省略する。対極の電気活性補助剤は、電子供与剤となる活物質を有する材質で構成される。対極の電気活性補助材は、作用極の二酸化炭素吸着材との間で電子の授受を行う補助的な電気活性種である。電気活性補助材としては、例えば金属イオンの価数が変化することで、電子の授受を可能とする金属錯体を用いることができる。このような金属錯体としては、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン等のシクロペンタジエニル金属錯体、あるいはポルフィリン金属錯体等を挙げることができる。これらの金属錯体は、ポリマーでもモノマーでもよい。対極集電層は、作用極集電層と同様に、金属材料や炭素質材料などの導電性材料にて形成される。
セパレータは、作用極と対極との間に配置され、作用極と対極とを分離する。セパレータは、作用極と対極との物理的な接触を防いで電気的短絡を抑制するとともに、イオンを透過させる絶縁性イオン透過膜である。セパレータとして、セルロース膜やポリマー、ポリマーとセラミックの複合材料等を用いることができる。
なお、電気化学セルには、電解質が作用極及び対極にまたがるように設けられている。電解質は、例えばイオン液体を用いることができる。イオン液体は、常温常圧下で不揮発性を有する液体の塩である。
ポンプ13は、回収器12内に残された残留混合ガスを回収器12から吸引して外部に放出(すなわち、回収器12内の残留混合ガスを掃気)したり、二酸化炭素吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離する際に、脱離された二酸化炭素を回収器12から吸引して、CO回収タンク16へ向けて排出したりする。ポンプ13が、回収器12内の残留混合ガスを掃気するとき、上記の流路開閉弁11は、外部と回収器12内とを連通する流路配管を遮断する。このため、回収器12内の残留混合ガスの掃気は、ポンプ13による真空引きによって行われる。また、その後に行われる二酸化炭素のCO回収タンク16への排出も、大気よりも真空に近い状態で行われる。
流路切替弁14は、ポンプ13の下流側の配管を流れるガスの流路を切り替える三方弁である。流路切替弁14の流路の切り替えは、制御装置17によって制御される。具体的には、制御装置17は、回収器12に二酸化炭素を含む混合ガスが導入されるとき、及び回収器12内の残留混合ガスがポンプ13によって掃気されるとき、ポンプ13の下流側の配管を外部(大気)に連通するように流路切替弁14を制御する。これにより、二酸化炭素が除去された混合ガスや、回収器12内の残留混合ガスは、外部へ放出される。一方、制御装置17は、二酸化炭素吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離する際に、ポンプ13が、脱離された二酸化炭素を回収器12から吸引して排出するとき、ポンプ13の下流側の配管をCO回収タンク16側に連通するように流路切替弁14を制御する。これにより、回収器12が回収した二酸化炭素をCO回収タンク16に蓄積することができる。
センサ15は、CO回収タンク16に接続された配管を流れるガスの二酸化炭素濃度及び流量を所定の時間間隔で検出する。制御装置17は、センサ15によって検出された二酸化炭素濃度及び流量から、CO回収タンク16に回収された二酸化炭素回収量を算出(検出)することができる。この二酸化炭素回収量は、センサ15を用いた検出結果に相当する。なお、二酸化炭素回収量は、センサ15が算出してもよい。この場合、センサ15は、二酸化炭素回収量を制御装置17に出力する。
制御装置17は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺装置から構成されている。周辺装置には、外部サーバ20などと通信を行う送受信部、記憶媒体を有する記憶部18などが含まれる。記憶部18は、吸着量変化マップデータを記憶する。吸着量変化マップデータは、吸着量変化データに相当する。吸着量変化マップデータは、図5に示すように、目標二酸化炭素吸着量と吸着モードの実行時間(吸着時間)との関係を示すものである。なお、吸着量変化マップデータは、後に詳細に説明する。
制御装置17は、ROM等の記憶媒体に記憶された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行い、流路開閉弁11、回収器12、ポンプ13、流路切替弁14、送風機19などの各種制御対象機器の作動を制御する。さらに、制御装置17は、送受信部を介して、外部サーバ20と通信を行う。なお、図1に示していないが、流路開閉弁11を介して、回収器12内に導入される混合ガスのガス流量又はガス流速度を検出するセンサが設けられている。電気化学セルの作用極と対極との間に印加される電圧に応じた電流を検出するセンサが設けられている。ポンプ13による吸引圧力又は吸引速度を検出するセンサが設けられている。さらに、大気(混合ガス)の温度を検出するセンサ、大気の湿度を検出するセンサ、大気の二酸化炭素濃度を検出するセンサなどが設けられている。制御装置17は、制御ずれが生じた場合に、これらのセンサによる検出値に基づいて、調整動作を行う。制御ずれ、及び調整動作については、後に詳細に説明する。
本実施形態の制御装置17は、二酸化炭素回収システム10において、吸着モード、掃気モード、脱離・回収モードを少なくとも含む、二酸化炭素回収のための一連の制御シーケンスが実行されるように、各種制御対象機器の作動を制御する。なお、脱離・回収モードは、脱離モードと回収モードを一つのモードとしていることを示している。
以下に、二酸化炭素回収システム10において実行される、吸着モード、掃気モード、及び脱離・回収モードを少なくとも含む、二酸化炭素回収のための一連の制御シーケンスについて説明する。図2は、制御シーケンスを実行するため、制御装置17において実施される処理を示すフローチャートである。図3は、図2のフローチャートに示す処理が実施されたときの、各部の動作を示すタイムチャートである。図4は、一連の制御シーケンスに含まれる、吸着モード、掃気モード、及び脱離・回収モードについて説明するための説明図である。
図2のフローチャートに示すように、制御装置17は、まず、ステップS100において、一連の制御シーケンスの最初の動作モードである吸着モードを開始する。この吸着モードでは、図3に示すように、二酸化炭素を含有する混合ガスを回収器12内に導入可能とするため、流路開閉弁11が開かれる。送風機19を設けている場合には、送風機19を予め定められた一定の回転速度で駆動して、定められた量の混合ガスが回収器12に導入されるようにする。ポンプ13が送風機19の役割を兼ねる場合には、図示しないモータを所定の回転速度で駆動することにより、ポンプ13を駆動して混合ガスを吸引し、外部から回収器12内に混合ガスを引き込む。この場合、ポンプ13は、単に外部から混合ガスを吸引するために駆動されるだけであるので、その吸引に要するエネルギーは、後述する掃気モードや脱離・回収モードでの真空引きのためのポンプ駆動に比較して、必要となるエネルギーは少なくて済む。
また、吸着モードでは、図3に示すように、回収器12の電気化学セルの作用極と対極との間に、作用極の二酸化炭素吸着材が二酸化炭素を吸着可能となる吸着電位(第1の電位に相当)が印加される。この吸着電位は、予め定められた一定の電位である。さらに、吸着モードでは、図3に示すように、流路切替弁14が、ポンプ13の下流側の配管を外部に連通するように制御される。
このような流路開閉弁11、回収器12の電気化学セル、及び流路切替弁14などの制御により、吸着モードにおいては、図4(a)に点線矢印で示すように、二酸化炭素を含有した混合ガス(大気ガス)が、流路開閉弁11を通過して、回収器12内に進入する。回収器12内に進入した混合ガスに含まれる二酸化炭素は、複数の電気化学セルに吸着される。その結果、混合ガスから二酸化炭素が除去される。二酸化炭素が除去された混合ガスは、ポンプ13を通過し、流路切替弁14にて外部へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、外部に放出される。
図2のフローチャートのステップS110では、制御装置17が、吸着モード実行時間が経過したか否かを判定する。吸着モード実行時間は、後述するマップ作成処理における電気化学セルの二酸化炭素最大吸着量と、その二酸化炭素最大吸着量を得るための吸着モード実行時間である最大吸着量時間を推定するため、及び、経年劣化などによって電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が変化した場合に、目標二酸化炭素吸着量を変更する(低下させる)ためなどの理由から、一定ではなく変化する。この変化する吸着モード実行時間は、制御装置17によって設定される。ステップS110では、設定された吸着モード実行時間が経過したか否かが判定される。
ステップS110の判定処理において、設定された吸着モード実行時間が経過したと判定されるとステップS120に進む。一方、設定された吸着モード実行時間が経過していないと判定されると、吸着モード実行時間が経過するまで、ステップS110の判定処理が繰り返し実行される。
ステップS120では、吸着モード終了処理が実行される。具体的には、制御装置17は、流路開閉弁11を閉じて、外部から回収器12に流入する混合ガスを遮断する。また、送風機19を設けている場合には、制御装置17は、送風機19の駆動を停止する。制御装置17は、吸着モード実行時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなども行なう。
ここで、吸着モード実行時間は、図5に示すような、吸着量変化マップデータから得ることができる。例えば、制御装置17は、初期的に、電気化学セルの二酸化炭素最大吸着量を目標二酸化炭素吸着量とすることができる。そして、制御装置17は、吸着量変化マップデータを参照することにより、目標二酸化炭素吸着量(二酸化炭素最大吸着量)に対応する吸着モードの実行時間(最大吸着量時間に対応する吸着時間)を得ることができる。例えば、電気化学セルの二酸化炭素最大吸着量が100[g]として推定された場合、図5に示す例において、目標二酸化炭素吸着量は100[g]であるため、対応する吸着時間は100[s]として求めることができる。
ステップS130では、制御装置17は、一連の制御シーケンスの2番目の動作モードである掃気モードを開始する。この掃気モードでは、図3に示すように、流路開閉弁11が閉じられたままとなる。回収器12の電気化学セルの作用極と対極との間に印加されている吸着電位は、そのまま維持される。流路切替弁14による、ポンプ13の下流側の配管と、外部との連通も維持される。
掃気モードでは、図3に示すように、ポンプ13の駆動が開始される。上述したように、流路開閉弁11は閉じられているので、ポンプ13の上流側において、回収器12は密閉された状態となっている。この状態でポンプ13が駆動されると、密閉された回収器12内に残された、二酸化炭素が除去された残留混合ガスが、回収器12内から吸引され、外部に放出される。これにより、回収器12内の残留混合ガスを掃気することができる。
なお、ポンプ13の上流側の回収器12は密閉されているので、回収器12内の残留混合ガスの掃気は、ポンプ13による真空引きによって行われる。このため、例えば、ポンプ13が送風機19の役割を兼ねる場合には、ポンプ13の駆動は継続されるが、その駆動出力は、掃気モードの開始により、吸気モードよりも高められる。
このような流路開閉弁11、回収器12の電気化学セル、ポンプ13及び流路切替弁14の制御により、掃気モードにおいては、図4(b)に点線矢印で示すように、回収器12内の、二酸化炭素が除去された残留混合ガスが、ポンプ13を通過し、流路切替弁14にて外部へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、外部に放出される。
図2のフローチャートのステップS140では、制御装置17が、掃気モード実行時間が経過したか否かを判定する。この掃気モード実行時間は、回収器12内の残留混合ガスを掃気するのに十分な時間に予め定められている。
ステップS140の判定処理において、予め定められた掃気モード実行時間が経過したと判定されるとステップS150に進む。一方、設定された掃気モード実行時間が経過していないと判定されると、掃気モード実行時間が経過するまで、ステップS140の判定処理が繰り返し実行される。
ステップS150では、掃気モード終了処理が実行される。具体的には、制御装置17は、掃気モード実行時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなどを行なう。
ステップS160では、制御装置17は、一連の制御シーケンスの3番目の動作モードである脱離・回収モードを開始する。この脱離・回収モードでは、図3に示すように、流路開閉弁11は閉じた状態に維持される。また、ポンプ13も、電気化学セルの吸着材から脱離された二酸化炭素の吸引を大気よりも真空に近い状態で行うため、掃気モードと同等の駆動出力による駆動が継続される。
一方、回収器12の電気化学セルの作用極と対極との間には、作用極から電子を放出させて、作用極の二酸化炭素吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離可能となる脱離電位(第2の電位に相当)が印加される。この吸着電位は、予め定められた一定の電位である。さらに、脱離・回収モードでは、図3に示すように、流路切替弁14が、ポンプ13の下流側の配管をCO回収タンク16に連通するように制御される。
このような流路開閉弁11、回収器12の電気化学セル、ポンプ13及び流路切替弁14の制御により、脱離・回収モードにおいては、図4(c)に点線矢印で示すように、電気化学セルの吸着材から脱離された二酸化炭素が、ポンプ13を通過し、流路切替弁14にてCO回収タンク16へ向かう流路配管に導かれ、その流路配管を介して、CO回収タンク16に蓄積される。この際、CO回収タンク16に向かって流路配管を流れる二酸化炭素の濃度及び流量が、センサ15によって検出される。制御装置17は、センサ15の検出結果に基づき、一連の制御シーケンスの実行によってCO回収タンク16に回収された二酸化炭素回収量を算出することができる。なお、CO回収タンク16に向かって流路配管を流れる二酸化炭素の濃度は、通常、100%に近い濃度となる。このため、センサ15として、二酸化炭素の流量を検出することだけが可能なセンサを用いても良い。
また、脱離・回収モードは、二酸化炭素の脱離・回収を同時に行なうのではなく、電気化学セルからの二酸化炭素の脱離を先行して行い、二酸化炭素の脱離から所定時間経過後に、脱離された二酸化炭素の回収を開始しても良い。すなわち、脱離モードと回収モードとを分離し、回収モードの実行開始時間を脱離モードの実行開始時間よりも遅らせることにより、回収モードの実行時間を脱離モードの実行時間よりも短縮しても良い。この場合、脱離モードの開始時に、一旦、ポンプ13の駆動が停止される。そして、ポンプ13を停止したまま、電気化学セルの作用極と対極との間に脱離電位を印加して、作用極の二酸化炭素吸着材から二酸化炭素を脱離させる。脱離モードの開始から所定時間が経過し、ある程度、二酸化炭素の脱離が進行した状態で、回収モードを開始して、ポンプ13を再駆動する。これにより、ポンプ13は回収モードで駆動されるだけで済むので、ポンプ13を効率的に駆動することが可能となる。ただし、ポンプ13が駆動される回収モード中も、電気化学セルの作用極と対極との間には脱離電位が印加され、電気化学セルから二酸化炭素の脱離が継続される。すなわち、回収モードが実行されるとき、脱離モードの実行も継続されており、回収モードと脱離モードとが同時に実行される。
図2のフローチャートのステップS170では、制御装置17が、脱離・回収モード実行時間又は回収モード実行時間(以下、回収モード実行時間と記載)が経過したか否かを判定する。回収モード実行時間は、繰り返しの使用(経年劣化)や環境変化などによって電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が変化した場合に、二酸化炭素回収量と消費エネルギーとの最適化を図るためなどの理由から、一定ではなく変化する。この変化する回収モード実行時間は、制御装置17によって設定される。例えば、制御装置17は、吸着モードの実行時間の長さに比例するように、回収モードの実行時間を定めても良い。ステップS170では、設定された回収モード実行時間が経過したか否かが判定される。
ステップS170の判定処理において、設定された回収モード実行時間が経過したと判定されるとステップS180に進む。一方、設定された回収モード実行時間が経過していないと判定されると、回収モード実行時間が経過するまで、ステップS170の判定処理が繰り返し実行される。
ステップS180では、回収モード終了処理が実行される。具体的には、制御装置17は、流路開閉弁11を開いて、回収器12を外部に連通させる。制御装置17は、電気化学セルへの脱離電位の印加を停止する。制御装置17は、ポンプ13の駆動を停止する。制御装置17は、流路切替弁14を切り替えて、ポンプ13の下流側の配管を外部に連通させる。さらに、制御装置17は、回収モード実行時間をカウントするカウンタのカウント値のリセットなども行なう。
ここで、上述した電気化学セルの二酸化炭素吸着性能は、温度、湿度、大気中の二酸化炭素濃度などの外部環境の変化や、経年劣化などによって変化するものと考えられる。しかしながら、電気化学セルが二酸化炭素を吸着可能な上限量を直接的に検出することはできない。このため、電気化学セルの二酸化炭素吸着量が上限に達したにも係わらず、吸着モードの実行を継続したり、電気化学セルから脱離した二酸化炭素の回収が実質的に終了したにも係わらず、回収モードの実行を継続したりする可能性も否定できない。
このように、二酸化炭素の回収量を最大化しようとして、例えば、常に、電気化学セルが吸着可能な二酸化炭素量上限量を吸着するのに十分な時間だけ吸着モードを実行し、電気化学セルが吸着した二酸化炭素をすべて回収するのに十分な時間だけ回収モードを実行した場合、二酸化炭素回収システム10において、二酸化炭素の回収量に対して過大なエネルギーが消費されてしまう可能性がある。
そのため、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10では、制御装置17の記憶部18が、吸着モードが実行されるときに、電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す吸着量変化マップデータを記憶するように構成される。以下に、吸着量変化マップデータに関して、詳細に説明する。まず、図6のフローチャートに基づいて、吸着量変化マップデータを作成するマップ作成処理に関して説明する。
ステップS200において、制御装置17は、異なる吸着モード実行時間(吸着時間)にて、複数回の吸着モードを実行し、各吸着モードに対応して実行する複数回の回収モードでの二酸化炭素回収量をセンサ15を用いて検出する。例えば、図3には、異なる吸着モード実行時間にて、3回の吸着モードを実行させる例が示されている。なお、複数回の吸着モードの実行回数は2回であっても良い。
図3において、1回目の吸着モードの実行時間は、比較的短く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量が上限値(二酸化炭素最大吸着量に相当)に達しないように設定されている。このため、1回目の吸着モードに対応する回収モードが実行されたときに検出される二酸化炭素回収量は、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の上限値未満の量である。
2回目の吸着モードの実行時間は、比較的長く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量がほぼ上限値に達するように設定されている。このため、2回目の吸着モードに対応する回収モードが実行されたときに検出される二酸化炭素回収量は、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の上限値にほぼ等しい量である。
3回目の吸着モードの実行時間は、最も長く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量が上限値に達した後も、ある程度の時間、吸着モードが実行されるように設定されている。このため、3回目の吸着モードに対応する回収モードが実行されたときに検出される二酸化炭素回収量は、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の上限値に等しい量である。
ステップS210では、制御装置17は、上述した3回の回収モードによる二酸化炭素回収量に基づいて、マップ作成条件を満たすか否かを判定する。例えば、制御装置17は、マップ作成条件として、1つの吸着量変化マップに、上述した3回の回収モードによる二酸化炭素回収量のプロットが可能であることを判定する。また、制御装置17は、マップ作成条件として、3回の回収モードによる二酸化炭素回収量の中で、同一直線上にプロットされない二酸化炭素回収量の最大値が存在することを判定しても良い。なお、同一直線上にプロットされるか否かを判定する際、同一直線には、公差を含んでいても良い。制御装置17は、マップ作成条件を満たすと判定するとステップS220へ進み、満たさないと判定するとステップS250へ進む。
ステップS250では、再度、異なる吸着モード実行時間(吸着時間)にて、複数回の吸着モードを実行し、各吸着モードに対応して実行する複数回の回収モードでの二酸化炭素回収量をセンサ15を用いて検出する。この際、制御装置17は、3回目の吸着モードの実行時間を、以前の3回目の吸着モードの実行時間よりも長くすることが望ましい。
そして、制御装置17は、ステップS250で得られた二酸化炭素回収量に基づいて、S210において、マップ作成条件を満たすか否かを判定する。制御装置17は、ステップS200でYES判定するまで、ステップS250及びS210を繰り返し実行する。
上述した複数回の吸着モード、及びそれぞれの吸着モードに対応する複数回の回収モードが実行される間のセンサ検出結果に基づいて、電気化学セルの最大吸着量、及びその最大吸着量を得るための吸着モード実行時間である最大吸着量時間を推定する。電気化学セルの最大吸着量及び最大吸着量時間の推定方法の具体例を示す図7(a)、(b)、(c)を参照しつつ、以下に、最大吸着量及び最大吸着量時間の推定方法の手順を説明する。
ステップS220では、吸着量変化マップにおいて、最大吸着量と最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きを求める。図7(a)は、1回目の吸着モードに対応する回収モードが実行されたときに検出される二酸化炭素回収量に基づく、電気化学セルの二酸化炭素吸着量、及び1回目の吸着モードの実行時間を示すグラフである。なお、電気化学セルの二酸化炭素吸着量は、検出された二酸化炭素回収量に等しいとみなす。上述したように、1回目の吸着モードの実行時間は、比較的短く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量が上限値に達しないように設定されている。このため、図7(a)に示すように、1回目の吸着モードの実行による電気化学セルの二酸化炭素吸着量に基づき、吸着モードの実行時間が長くなるほど、二酸化炭素吸着量も直線的に増加するものと仮定して、増加勾配線を定めることができる。
ステップS230では、二酸化炭素最大吸着量を算出する。図7(b)は、2回目及び3回目の吸着モードに対応する回収モードが実行されたときに検出される二酸化炭素回収量に基づく、それぞれの電気化学セルの二酸化炭素吸着量、及び2回目と3回目の吸着モードの実行時間を示すグラフである。上述したように、2回目の吸着モードの実行時間は、比較的長く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量がほぼ上限値に達するように設定され、3回目の吸着モードの実行時間は、最も長く、電気化学セルの二酸化炭素吸着量が上限値に達した後も、ある程度の時間、吸着モードが実行されるように設定されている。このため、図7(b)に示すように、2回目と3回目の吸着モードの実行による電気化学セルの二酸化炭素吸着量に基づき、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の上限線を定めることができる。上限線に対応する二酸化炭素吸着量が、電気化学セルの吸着材が吸着可能な最大吸着量に相当する。
なお、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の上限線は、1回の吸着モード、及びその1回の吸着モードに対応する回収モードの実行を通じて得られる、電気化学セルの二酸化炭素吸着量に基づいて定められても良い。
ステップS240では、図7(c)に示すように、図7(a)の増加勾配線と図7(b)の上限線との交点から、二酸化炭素の最大吸着量を得るための吸着モード実行時間である最大吸着量時間を決定することができる。
このようにして、制御装置17は、複数回の吸着モード、及びそれぞれの吸着モードに対応する複数回の回収モードが実行される間のセンサ検出結果に基づいて、電気化学セルの二酸化炭素最大吸着量、及びその最大吸着量を得るための吸着モード実行時間である最大吸着量時間を推定することができる。そして、制御装置17は、推定した二酸化炭素最大吸着量及び最大吸着量時間から、図5に示すような、電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す吸着量変化マップデータを得ることができる。得られた吸着量変化マップデータは、ステップS240において、記憶部18に保存される。
次に、図8のフローチャートを参照して、吸着量変化マップデータを用いた目標二酸化炭素吸着量の変更、及び変更した目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着モードの実行時間の設定処理について説明する。制御装置17は、図8のフローチャートを実行することで、目標二酸化炭素吸着量を現状の値に保持するか、変更するかを決定する。
電気化学セルは使用を繰り返すことで、二酸化炭素吸着性能が徐々に低下する。このような経年劣化に係わらず、電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量に対応する吸着時間分だけ吸着モードを実行しても、図9に示すように、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量は、二酸化炭素最大吸着量に相当する量よりも徐々に少なくなっていく。換言すれば、電気化学セルの繰り返しの使用による二酸化炭素の回収量の低下は、電気化学セルが、吸着性能の低下により、目標二酸化炭素吸着量(初期的には、二酸化炭素最大吸着量)よりも少ない量の二酸化炭素しか吸着することができないことを示していると言える。電気化学セルの吸着性能が低下したにも係わらず、目標二酸化炭素吸着量を変更することなく、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間分だけ吸着モードを実行すると、無駄にエネルギーを消費することになる。
そのため、本実施形態では、図5、9、10に示すように、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量が、目標二酸化炭素吸着量を基準として設定される更新閾値(第5の閾値に相当)よりも低下すると、制御装置17は、目標二酸化炭素吸着量を、例えば更新閾値に相当する量だけ低下させるように変更する。換言すると、図9に示すように、目標二酸化炭素吸着量から更新閾値までの範囲は、目標二酸化炭素吸着量の保持領域であり、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量が、この保持領域に属していれば、目標二酸化炭素吸着量は現状の値に保持される。しかし、図9に示すように、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量が、更新閾値よりも低下して、目標二酸化炭素吸着量の更新領域に入ると、目標二酸化炭素吸着量は、例えば、更新閾値分だけ低下するように変更される。
図8のフローチャートのステップS300では、制御装置17は、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量が、目標二酸化炭素吸着量の保持領域に属しているか否かを判定する。検出された二酸化炭素の回収量が保持領域に属していれば、制御装置17はステップS310の処理に進む。検出された二酸化炭素の回収量が保持領域に属していない、すなわち、更新領域に入っている場合には、制御装置17はステップS320の処理に進む。
ステップS310では、制御装置17は、目標二酸化炭素吸着量を変更せず、現状の値に保持する。一方、ステップS320では、制御装置17は、目標二酸化炭素吸着量を、例えば、更新閾値分だけ低下するように変更する。そして、制御装置17は、ステップS330において、吸着量変化マップデータに基づいて、保持又は変更した(低下させた)目標二酸化炭素吸着量に対応するように、吸着モードの実行時間(吸着時間)を更新する。これにより、制御装置17は、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能の低下に係わらず、適切な吸着モードの実行時間を定めることができる。
なお、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能の低下が進んで、センサ15を用いて検出される二酸化炭素の回収量が、図10に示すセル交換判定値(第6の閾値に相当)を下回ると、制御装置17は、電気化学セルの交換時期が到来したことを示す信号を出力しても良い。この信号により、例えば、図示しないランプが点灯したり、交換を促すメーセージがモニタに表示されたりする。これにより、ユーザは、電気化学セルの交換時期が到来したことを知ることができる。なお、セル交換判定値は、電気化学セルの初期の最大二酸化炭素吸着量に基づいて設定することができる。
上述した例では、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係は、図11(a)に示すように、初期の二酸化炭素最大吸着量と最大吸着量時間との関係によって定まる直線(増加勾配線)によって決まるもの、すなわち、増加勾配線上を移動するものとみなしていた。しかしながら、経年劣化により電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、図11(b)に示すように、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが、二酸化炭素最大吸着量と最大吸着量時間との関係を示す増加勾配線の傾きよりも低下することも考えられる。
そのため、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、増加勾配線上を移動するものであるのか、それとも、増加勾配線の傾きよりも低下した傾きの直線によって示されるものであるのかを判別しても良い。そして、その判別結果に基づき、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したときの、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係に従い、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を求めても良い。
以下に、経年劣化により電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、増加勾配線上を移動するものであるのか、それとも、増加勾配線の傾きよりも低下した傾きの直線によって示されるものであるのかを判定することにより、適切な二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係に従い、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を算出するための手法の一例が説明される。
制御装置17は、例えば、検出された二酸化炭素回収量が図9などに示す更新閾値よりも低下して、目標二酸化炭素吸着量を変更した場合に、その目標二酸化炭素吸着量を変更した直後(例えば、1回目の回収モードで二酸化炭素回収量を検出したとき)に、図12のフローチャートに示す自己学習処理を実行する。なお、目標二酸化炭素吸着量の変更が、図11(a)に示す関係に従ってなされた場合であっても、図11(b)に示す関係に従ってなされた場合であっても、図12に示す手法により、用いた関係が適切であったか否かを判定することができる。
ステップS400では、検出された二酸化炭素の回収量が目標二酸化炭素吸着量の保持領域内であるか否かを判定する。なお、この判定は、複数回の回収モードの検出結果に基づいて実行しても良い。制御装置17は、検出された二酸化炭素の回収量が保持領域内であると判定するとステップS410へ進み、吸着量保持領域内でないと判定するとステップS420へ進む。
制御装置17は、上述したステップS400の処理によって、目標二酸化炭素吸着量の変更が、電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したときの二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係として、適切な関係に従ってなされたか否かを判定することができる。適切な関係に従って目標二酸化炭素吸着量が変更された場合、その変更直後に検出される二酸化炭素の回収量は、変更された目標二酸化炭素吸着量に応じて定められる保持領域内に留まると考えられる。一方、適切では無い関係に従って目標二酸化炭素吸着量が変更された場合には、その変更直後においてさえ、検出される二酸化炭素の回収量は、保持領域から逸脱する可能性が高くなる。このため、ステップS400において、検出された二酸化炭素の回収量が保持領域内であると判定された場合、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係は適切であるとみなすことができる。逆に、ステップS400において、検出された二酸化炭素の回収量が保持領域外であると判定された場合、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係は適切ではないとみなすことができる。
ステップS410では、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係は適切であるため、その現在の関係を維持する。すなわち、図11(a)に示す関係が、次回、目標二酸化炭素吸着量が変更されたときに、その変更後の目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を決定するための関係として継続使用することを決定する。また、ステップS410は、次回、目標二酸化炭素吸着量が変更されるまで、現在の吸着時間を保持することを決定する。これにより、吸着モードは、その保持した吸着時間だけ実行されることになる。
一方、ステップS420では、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係は適切ではないので、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を現在の関係から切り替える。すなわち、現在、図11(a)に示す関係に従って、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を求めている場合、図11(b)に示す関係に切り替える。逆に、現在、図11(b)に示す関係に従って、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を求めている場合、図11(a)に示す関係に切り替える。
そして、ステップS440では、切替後の関係に従って、目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を算出する。これにより、吸着モードは、算出された吸着時間だけ実行されることになる。
例えば、図11(a)に示す関係から、図11(b)に示す関係に切り替える場合、算出される吸着時間は、以前の吸着時間よりも長くなるように変更される。図11(a)に示す関係に従って、低下された目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を算出すると、その吸着時間は、二酸化炭素最大吸着量に対応する最大吸着量時間よりも短くなる。しかし、図11(b)に示す関係に従って、低下された目標二酸化炭素吸着量に対応する吸着時間を算出する場合、目標二酸化炭素吸着量の変化によらず、最適吸着時間は同じである。すなわち、図11(b)の関係に従う吸着時間は、最大吸着量時間と同じである。従って、図11(a)に示す関係から、図11(b)に示す関係に切り替える場合、吸着時間は、以前の吸着時間よりも長くなるように変更されるのである。逆に、図11(b)に示す関係から、図11(a)に示す関係に切り替える場合、吸着時間は、以前の吸着時間よりも短くなるように変更される。
ここまで説明してきたように、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10は、吸着モード、掃気モード、脱離・回収モードを少なくとも含む、一連の制御シーケンスを実行することにより、混合ガスから二酸化炭素を分離して回収する。一連の制御シーケンスに含まれる各モードにおいて、送風機19、電気化学セル、ポンプ13などの各種制御対象機器は、事前に規定された、それぞれの各種制御対象機器のための制御目標値や信号値に従って駆動される。例えば、吸着モードにおいて、二酸化炭素を含む混合ガスを回収器12内に十分に導入することが可能な風量を実現するように、送風機19を駆動する回転数が予め規定され、送風機19は規定された回転数となるように駆動される。また、電気化学セルに関しては、吸着モードにおいて、電気化学セルが十分に二酸化炭素吸着性能を発揮できるように、吸着電位が規定され、脱離モードにおいて、吸着した二酸化炭素をほぼ完全に脱離することができるように、脱離電位が規定されている。さらに、ポンプ13に関しては、掃気モードにおいて、残留混合ガスをほぼ完全に排出できるように、また回収モードにおいて、脱離された二酸化炭素をもれなく回収できるように、それぞれの吸引圧力が規定されている。そして、それぞれの吸引圧力を実現するように、ポンプ13を作動させるモータが駆動される。
しかしながら、それぞれの各種制御対象機器のための制御目標値や信号値に従って駆動しても、風、温度、湿度、大気中の二酸化炭素濃度などの外部環境の変化などにより制御ずれを起こし、二酸化炭素回収システム10は、所望の二酸化炭素回収量を確保できず、正常に動作しえないことが起こり得る。例えば、外部環境における風向きが、送風機19による送風の向きと逆向きのために、十分な量の大気を回収器12に送り込むことができない場合、電気化学セルにおける二酸化炭素の吸着量が目標とする吸着量に達しないかもしれない。また、外部環境温度が低下又は上昇すると、電気化学セルの作用極と対極との間の電位差が所望の吸着電位や脱離電位となるように電圧を印加しても、回路各部の抵抗変化などにより、所望の吸着電位や脱離電位からずれるかもしれない。さらに、大気の湿度が上昇したり、大気中の二酸化炭素濃度が減少したりして、大気品質が低下すると、目標二酸化炭素吸着量を実現するには、決定した吸着モードの実行時間では不足するかもしれない。このように、本実施形態では、外部環境の変化によって、所望の二酸化炭素回収量を確保できない状態を制御ずれと呼ぶ。さらに、各種制御対象機器の動作異常や異常の兆候としての動作の不調などがあると、所望の二酸化炭素回収量とは大きく異なる二酸化炭素しか回収することができない可能性がある。
なお、上述した経年劣化による電気化学セルの二酸化炭素吸着性能は、電気化学セルの使用回数とともに徐々に低下するものであり、この二酸化炭素吸着性能の低下は、二酸化炭素回収システム10の正常な動作の範疇に含まれる。一方、上述した制御ずれや動作異常による二酸化炭素回収量の低下は、より短いスパンで、かつより大きな変化として現れる。
そのため、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10は、上述した吸着量変化マップデータを利用して、所望の二酸化炭素回収量を確保するように、正常に動作しているか否か、すなわち、制御ずれや動作異常などを起こしていないかを判定するように構成される。さらに、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10は、正常に動作していないと判定した場合に、制御ずれによるものであるか、異常もしくは異常の兆候によるものであるかを判別して、それぞれ適切な処置を取るように構成される。
まず、本実施形態に係る二酸化炭素回収システム10が、吸着量変化マップデータを利用して、正常に動作しているか否かを判定する手法の幾つかの具体例を説明する。
二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、図11(a)に示すように、増加勾配線上を移動するものである場合、経年劣化により電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下しても、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きは、増加勾配線の傾きと同一である。このため、二酸化炭素回収システム10が正常に動作している限り、図13に示すように、電気化学セルの使用回数(吸着モードの実行回数)、すなわち、二酸化炭素回収システム10における一連の制御シーケンスのサイクル数が増加しても、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きは変化しない。
逆に言えば、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係が、図11(a)に示すように、増加勾配線上を移動するものである場合に、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが大きく低下した場合、二酸化炭素回収システム10は正常な動作から逸脱して、制御ずれや動作異常などを起こしているとみなすことができる。このため、図13に示すように、増加勾配線の傾きに基づいて、傾きの閾値として、第1の閾値及び第2の閾値を規定する。第1の閾値は、増加勾配線の傾きから第1の基準値だけ低い値として設定される。第2の閾値は、増加勾配線の傾きから第2の基準値だけ低い値として設定される。第2の基準値は第1の基準値よりも大きい。
そして、制御装置17は、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きを算出し、算出された傾き(判定値とも呼ばれる)と第1の閾値及び第2の閾値との大小関係を判定する。算出された傾き(判定値)が、第1の閾値よりも小さく、第2の閾値以上である場合、すなわち、第1の閾値から第2の閾値までの範囲に属する場合、制御装置17は、制御ずれが生じていると判定する。算出された傾き(判定値)が、第2の閾値よりも小さい場合、制御装置17は、動作異常又は異常の兆候による動作不調が生じていると判定する。
また、図11(b)に示すように、経年劣化により電気化学セルの二酸化炭素吸着性能が低下したとき、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが、二酸化炭素最大吸着量と最大吸着量時間との関係を示す増加勾配線の傾きよりも低下する場合、図14に示すように、二酸化炭素回収システム10における一連の制御シーケンスのサイクル数の増加に伴い、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す傾きは徐々に低下していく。しかし、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが、経年劣化による傾きの低下の範囲を超えて突発的に大きく低下した場合、二酸化炭素回収システム10は正常な動作から逸脱して、制御ずれや動作異常などを起こしているとみなすことができる。
図14に示す例においても、図13の例と同様に、制御ずれ又は動作異常の発生を判定するため、傾きの閾値として、第1の閾値及び第2の閾値が規定される。ただし、図14に示す例では、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きが、経年劣化によって徐々に低下するので、第1の閾値及び第2の閾値も、二酸化炭素回収システム10における一連の制御シーケンスのサイクル数の増加とともに低下するように設定される。例えば、第1の閾値は、増加勾配線の傾きから第1の基準値だけ低く、さらにサイクル数の増加に応じて増加する変数(=係数A×サイクル数)だけ低い値として算出される。また、第2の閾値は、例えば、増加勾配線の傾きから第2の基準値だけ低く、さらにサイクル数の増加に応じて増加する変数(=係数A×サイクル数)だけ低い値として算出される。第2の基準値は第1の基準値よりも大きい。また、図14に示すように、所定のサイクル数までは、変数をゼロとして算出しても良い。
そして、図14に示す例においても、制御装置17は、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きを算出し、算出された傾き(判定値)と第1の閾値及び第2の閾値との大小関係を判定する。算出された傾き(判定値)が、第1の閾値よりも小さく、第2の閾値以上である場合、すなわち、第1の閾値から第2の閾値までの範囲に属する場合、制御装置17は、制御ずれが生じていると判定する。算出された傾き(判定値)が、第2の閾値よりも小さい場合、制御装置17は、動作異常又は異常の兆候による動作不調が生じていると判定する。
なお、図13、図14では、二酸化炭素吸着量と吸着時間との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システム10が正常に動作しているか否かを判定した。しかし、二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される閾値に対する、センサ15を用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システム10が正常に動作しているか否かを判定することもできる。
図15は、二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される閾値に対する、センサ15を用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システム10が正常に動作しているか否かを判定する例を示している。図15に示す例においても、図13、14の例と同様に、制御ずれ又は動作異常の発生を判定するため、回収量の閾値として、第3の閾値及び第4の閾値が規定される。そして、制御装置17は、検出された二酸化炭素回収量(判定値)が、第3の閾値よりも小さく、第4の閾値以上である場合、すなわち、第3の閾値から第4の閾値までの範囲に属する場合、制御ずれが生じていると判定する。また、制御装置17は、検出された二酸化炭素回収量(判定値)が、第4の閾値よりも小さい場合、動作異常又は異常の兆候による動作不調が生じていると判定する。
図15に示す例では、電気化学セルの二酸化炭素吸着量は、経年劣化によって徐々に低下するので、図14に示す例と同様に、第3の閾値及び第4の閾値も、二酸化炭素回収システム10における一連の制御シーケンスのサイクル数の増加とともに低下するように設定される。例えば、第3の閾値は、二酸化炭素最大吸着量から第3の基準値だけ低く、さらにサイクル数の増加に応じて増加する変数(=係数B×サイクル数)だけ低い値として算出される。また、第4の閾値は、例えば、二酸化炭素最大吸着量から第4の基準値だけ低く、さらにサイクル数の増加に応じて増加する変数(=係数B×サイクル数)だけ低い値として算出される。第4の基準値は第3の基準値よりも大きい。また、図15に示すように、所定のサイクル数までは、変数をゼロとして算出しても良い。
次に、二酸化炭素回収システム10が正常に動作しているか否かを診断し、制御ずれや動作異常などが生じている場合に、適切な処置を取るためのシステム状態診断処理が、図16のフローチャートを参照して説明される。システム状態診断処理は、例えば、回収モードが実行されて、センサ15を用いて二酸化炭素回収量が得られるごとに制御装置17によって実行される。
ステップS500では、センサ15を用いて検出された二酸化炭素回収量を取得する。及び/又は、取得した二酸化炭素回収量を電気化学セルの吸着材によって実際に吸着された実二酸化炭素吸着量とみなして、実二酸化炭素吸着量と吸着モードの実行時間との関係を示す直線の傾きを算出する。
ステップS510では、ステップS500で取得した二酸化炭素回収量及び/又は実二酸化炭素吸着量と吸着モードの実行時間との関係を示す直線の傾きを判定値として、上述した第1の閾値~第4の閾値の各閾値と比較する。この比較の結果、判定値として直線の傾きが、第1の閾値よりも小さく、第2の閾値以上である場合、制御ずれが生じているとみなして、ステップS530の処理に進む。一方、判定値としての直線の傾きが、第1の閾値以上であるか、第2の閾値より小さい場合、ステップS540の処理に進む。及び/又は、判定値としての二酸化炭素回収量が第3の閾値よりも小さく、第4の閾値以上である場合も、制御ずれが生じているとみなして、ステップS530の処理に進む。一方、判定値としての二酸化炭素回収量が、第3の閾値以上であるか、第4の閾値より小さい場合、ステップS540の処理に進む。
ステップS530では、制御装置17は、各種のセンサによる検出値に基づいて、制御ずれの調整処理を行う。この制御ずれの調整処理は、後に、図17及び図18のフローチャートに基づいて、詳細に説明される。
ステップS540では、判定値としての直線の傾きが、第2の閾値よりも小さいか判定する。及び/又は、判定値としての二酸化炭素回収量が、第4の閾値よりも小さいか判定する。ステップS540の判定処理において、判定値としての直線の傾きが、第2の閾値よりも小さいと判定されると、ステップS550の処理に進む。一方、判定値としての直線の傾きが、第2の閾値より小さくないと判定されると、第1の閾値以上であり、正常に動作していると考えられるため、ステップS560の処理に進む。及び/又は、判定値としての二酸化炭素回収量が、第4の閾値よりも小さいと判定されると、ステップS550の処理に進む。一方、判定値としての二酸化炭素回収量が、第4の閾値より小さくないと判定されると、第3の閾値以上であり、正常に動作していると考えられるため、ステップS560の処理に進む。
ステップS550では、動作異常又は異常の兆候による動作不調が生じていると考えられるため、制御装置17は、二酸化炭素回収システム10の動作を停止するとともに、警告表示を行う。ステップS560では、二酸化炭素回収システム10は正常に動作していると考えられるため、後述する制御ズレの調整処理にてカウントアップされる各制御ずれカウンタのカウント値を初期化する。
次に、制御ずれの調整処理が、図17及び図18のフローチャートを参照して説明される。
ステップS600では、各種のセンサによる検出値を読み出す。各種のセンサには、回収器12内に導入される混合ガスのガス流量又はガス流速度を検出するセンサ、電気化学セルの作用極と対極との間に印加される電圧に応じた電流を検出するセンサ、ポンプ13による吸引圧力又は吸引速度を検出するセンサ、大気(混合ガス)の温度を検出するセンサ、大気の湿度を検出するセンサ、大気の二酸化炭素濃度を検出するセンサなどが含まれる。
ステップS610では、送風量にずれが生じているかを判定する。上述したように、吸着モードにおいて、二酸化炭素を含む混合ガスを回収器12内に十分に導入することが可能な風量を実現するように、送風機19を駆動する回転数が予め規定され、送風機19は規定された回転数となるように駆動される。しかし、外部環境における風向きによっては、送風機19から回収器12内に向かう風量が、狙いとする風量に対して不足したり、過剰となったりすることがある。このような送風量のずれが生じている場合、ステップS620の処理に進み、送風量のずれが生じていない場合、ステップS630の処理に進む。なお、実際の風量が、狙いとする風量に基づく目標範囲に収まっていれば、制御ずれは生じていないと判定され、その目標範囲を外れている場合に、制御ずれが生じていると判定される。
ステップS620では、狙いとする風量に対する実際の風量の差に応じて、吸着モードでの送風機19に風量を増加又は減少するように、送風機19の駆動回転数を設定する。これにより、次回以降、送風機19の駆動回転数が再設定されるまで、吸着モードにおいて、設定された駆動回転数で送風機19が駆動される。なお、外部環境の風向きが送風機19による送風の向きと合致して、風量が狙いとする風量よりも増加している場合、送風機19の駆動回転数の設定は行わず、現状の駆動回転数を維持しても良い。さらに、ステップS620では、制御ずれカウンタの1つである風量カウンタをカウントアップする。制御ずれカウンタは、制御ずれ調整処理を行ったにも係わらず、制御ずれ状態が解消されず、制御ずれ状態が継続する期間の長さを計測するためのものである。
ステップS630では、吸着電位にずれが生じているかを判定する。吸着モードにおいて、電気化学セルが十分に二酸化炭素吸着性能を発揮できるように、電気化学セルの作用極と対極との間に印加される吸着電位が規定されている。しかし、規定の吸着電位となるように、作用極と対極との間に電圧が印加された場合であっても、外部環境における温度の低下や上昇により、実際の吸着電位が所望の吸着電位からずれてしまうかもしれない。このため、ステップS630では、センサによって検出された電気化学セルの作用極と対極との間の印加電圧の大きさ又は印加電圧による通電電流に基づいて、吸着電位が、狙いとする吸着電位に基づく目標範囲からずれているか否かを判定する。吸着電位にずれが生じている場合、ステップS640の処理に進み、吸着電位にずれが生じていない場合、ステップS650の処理に進む。
ステップS640では、狙いとする吸着電位に対する実際の吸着電位の差に応じて、吸着モードにおいて、電気化学セルの作用極と対極との間に印加する電圧を上昇又は低下するように、吸着電位のための印加電圧を設定する。これにより、次回以降、吸着電位のための印加電圧が再設定されるまで、吸着モードにおいて、設定された吸着電位のための印加電圧が電気化学セルの作用極と対極との間に印加される。さらに、ステップS640では、制御ずれカウンタの1つである吸着電位カウンタをカウントアップする。
ステップS650では、脱離電位にずれが生じているかを判定する。脱離モードにおいて、電気化学セルが吸着した二酸化炭素をほぼ完全に脱離することができるように、電気化学セルの作用極と対極との間に印加される脱離電位が規定されている。しかし、規定の脱離電位となるように、作用極と対極との間に電圧が印加された場合であっても、吸着電位の場合と同様に、外部環境における温度の低下や上昇により、実際の脱離電位が所望の脱離電位からずれてしまうかもしれない。このため、ステップS650では、センサによって検出された電気化学セルの作用極と対極との間の印加電圧の大きさ又は印加電圧による通電電流に基づいて、脱離電位が、狙いとする脱離電位に基づく目標範囲からずれているか否かを判定する。脱離電位にずれが生じている場合、ステップS660の処理に進み、脱離電位にずれが生じていない場合、ステップS660の処理に進む。
ステップS660では、狙いとする脱離電位に対する実際の脱離電位の差に応じて、脱離モードにおいて、電気化学セルの作用極と対極との間に印加する電圧を上昇又は低下するように、脱離電位のための印加電圧を設定する。これにより、次回以降、脱離電位のための印加電圧が再設定されるまで、脱離モードにおいて、設定された脱離電位のための印加電圧が電気化学セルの作用極と対極との間に印加される。さらに、ステップS660では、制御ずれカウンタの1つである脱離電位カウンタをカウントアップする。
ステップS670では、ポンプ13の吸引圧力にずれが生じているかを判定する。ポンプ13に関しては、掃気モードにおいて、回収器12内の残留混合ガスをほぼ完全に排出できるように、また回収モードにおいて、電気化学セルの吸着材から脱離された二酸化炭素をもれなく回収できるように、それぞれの吸引圧力が規定されている。そして、それぞれの吸引圧力を実現するように、ポンプ13を作動させるモータが駆動される。しかし、なんらかの原因でポンプ13の可動部の動作やモータの動作が不調であると、ポンプ13の吸引圧力にずれが生じる可能性がある。このため、ステップS670では、センサによって検出された吸引圧力又は吸引速度に基づいて、掃気モード及び/又は回収モードの吸引圧力が、狙いとする吸引圧力に基づく目標範囲からずれているか否かを判定する。吸引圧力にずれが生じている場合、ステップS680の処理に進み、吸引圧力にずれが生じていない場合、ステップS690の処理に進む。
ステップS680では、狙いとする吸引圧力に対する実際の吸引圧力の差に応じて、掃気モード及び/又は回収モードにおいて、ポンプ13の吸引圧力を上昇又は低下するように、ポンプ13を作動させるモータの駆動回転数を設定する。これにより、次回以降、ポンプ13を作動させるモータの駆動回転数が再設定されるまで、掃気モード及び/又は回収モードにおいて、設定された駆動回転数にてモータが駆動され、当該モータによってポンプ13が作動される。さらに、ステップS680では、制御ずれカウンタの1つであるポンプカウンタをカウントアップする。なお、ポンプ13の作動は、二酸化炭素の回収に与える影響が大きいため、実際の吸引圧力が狙いとする吸引圧力からずれている場合、調整処理を行うことなく、異常とみなして、二酸化炭素回収システム10の動作を停止させても良い。
ステップS690では、大気の湿度を検出するセンサや、大気の二酸化炭素濃度を検出するセンサなどの検出結果に基づいて、大気品質が低下しているか否かを判定する。例えば、湿度が第1所定値以上に上昇したり、二酸化炭素濃度が第2所定値以下に低下したりした場合に、大気品質が低下したと判定することができる。大気品質が低下している場合、ステップS700の処理に進み、大気品質が低下していない場合、ステップS710の処理に進む。
大気の湿度が上昇したり、大気中の二酸化炭素濃度が減少したりして、大気品質が低下すると、目標二酸化炭素吸着量を実現するには、決定した吸着モードの実行時間では不足する可能性が生じる。そのため、ステップS700では、吸着量変化マップデータに基づいて決定された吸着時間を所定時間延長する。これにより、大気品質の低下が改善され、吸着時間の延長が解除されるまで、吸着モードは、延長された吸着時間だけ実行される。一方、ステップS710では、大気品質は低下していないため、吸着時間の延長が解除される。ステップS700又はS710の処理を実行した後は、制御装置17は、図18のフローチャートのステップS720の処理に進む。
ステップS720では、いずれかの制御ずれカウンタのカウント値が異常判定値よりも大きいか否かを判定する。上述した調整処理を行ったにも係わらず、制御ずれ状態が解消されない場合、制御ずれカウンタは、図16のフローチャートのステップS560で初期化されず、制御ずれ調整処理の繰り返し数のカウントを継続する。すなわち、制御ずれカウンタは、制御ずれ状態が継続する期間の長さを計測するものであると言える。そして、制御ずれカウンタのカウント値が異常判定値よりも大きくなると、制御ずれが解消されない期間が長期間に渡ることを意味する。このため、ステップS720にて、いずれかの制御ずれカウンタのカウント値が異常判定値よりも大きいと判定されると、制御装置17は、二酸化炭素回収システム10の異常とみなして、ステップS730において、二酸化炭素回収システム10の動作を停止するとともに、警告表示を行う。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
例えば、前述した実施形態では、電気化学セルを収容する筐体の個数には言及されていない。この筐体の個数は、1つのみであっても良いし、複数であっても良い。それぞれ電気化学セルを収容する筐体が複数設けられる場合、複数の筐体は、CO回収タンク16に対して並列に接続される。そして、制御装置17は、複数の筐体の各々の電気化学セルから個別に二酸化炭素を回収する個別回収モードと、少なくとも2個以上の筐体の各々の電気化学セルから同時に二酸化炭素を回収する同時回収モードとを実行可能に構成されても良い。同時回収モードは、例えば、複数の筐体の電気化学セルの二酸化炭素の最大吸着量の合計が所定値以下に低下したことや、二酸化炭素回収システム10の使用時間が所定時間に達したことなどに応じて実行されても良い。
上述した実施形態では、時間経過に伴う、電気化学セルの二酸化炭素吸着量の変化を示す吸着量変化マップデータは、マップ作成処理によって作成されたが、外部サーバ20から取得しても良い。さらに、二酸化炭素回収システム10の動作に影響を与える環境要因の値(例えば、湿度、温度、二酸化炭素濃度、風速、風向きなど)を検出し、その検出値を外部サーバ20に送信しても良い。外部サーバ20は、受信した環境要因の検出値に基づいて、二酸化炭素回収システム10において、送風機19、電気化学セル、ポンプ13などの制御ずれ調整処理の対象となる機器の制御目標範囲を求めて、二酸化炭素回収システム10に返送することができる。二酸化炭素回収システム10は、受信した制御目標範囲に基づいて各機器を制御するとともに、当該制御範囲を、制御ずれが生じているかを判定する際の目標値に基づく目標範囲として用いることができる。
上述した実施形態では、記憶部18が制御装置17の内部に設けられていたが、記憶部18は、制御装置17の外部に設けられても良い。あるいは、記憶部18は、外部サーバ20に設けられても良い。さらに、制御装置17の少なくとも一部の処理が、外部サーバ20によって実行されても良い。
最後に、この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
(技術的思想1)
電気化学反応によって、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムであって、
回収した二酸化炭素を蓄えるための二酸化炭素回収タンク(16)と、
二酸化炭素を吸着可能な吸着材を含む作用極と、前記作用極と対をなす対極とを有する電気化学セルと、前記電気化学セルを収容する筐体とを有する回収器(12)と、
前記吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離する際に、前記吸着材から脱離された二酸化炭素を前記回収器から吸引し、前記二酸化炭素回収タンクへ向けて排出するポンプ(13)と、
前記回収器から前記二酸化炭素回収タンクへと回収される二酸化炭素の回収量を検出するためのセンサ(15)と、
前記作用極と前記対極との間に第1の電位を印加して、前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着モード、及び、前記作用極と前記対極との間に第2の電位を印加するとともに、前記ポンプが二酸化炭素の吸引、排出を行なうように前記ポンプを制御して、前記吸着材が吸着した二酸化炭素を前記二酸化炭素回収タンクに回収する回収モードを実行する制御装置(17)と、
前記吸着モードの実行時に、前記吸着材による二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す吸着量変化データを記憶する記憶部(18)と、を備え、
前記制御装置は、前記吸着量変化データに基づいて、目標二酸化炭素吸着量に対応する前記吸着モードの実行時間を定め、当該実行時間の間、前記吸着モードを実行し、
前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素の回収量を実際に前記吸着材によって吸着された実二酸化炭素吸着量とみなし、前記電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量と、当該二酸化炭素吸着量に対応する前記実行時間である最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値に対する、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、及び/又は、前記二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される回収量の閾値に対する、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定するように構成される、二酸化炭素回収システム。
(技術的思想2)
前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値は、第1の閾値を含み、
前記制御装置は、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きが、前記第1の閾値を超えて低下したとき、制御ずれが発生しているとみなし、前記制御ずれを解消するための調整処理を実行する、技術的思想1に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想3)
前記第1の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第1の基準値だけ低い値として設定される、技術的思想2に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想4)
前記第1の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第1の基準値だけ低く、さらに前記吸着モードの実行回数の増加に応じて増加する変数だけ低い値として算出される、技術的思想2又は3に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想5)
前記制御装置は、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きが、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに対して、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を超えて低下したとき、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、技術的思想2乃至4のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想6)
前記第2の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第2の基準値だけ低い値として設定される、技術的思想5に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想7)
前記第2の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第2の基準値だけ低く、さらに前記吸着モードの実行回数の増加に応じて増加する変数だけ低い値として算出される、技術的思想5又は6に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想8)
前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記二酸化炭素最大吸着量に対して、前記回収量の閾値に含まれる第3の閾値を超えて低下したとき、制御ずれが発生しているとみなし、前記制御ずれを解消するための調整処理を実行する、技術的思想1乃至7のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想9)
前記第3の閾値は、前記吸着モードの実行回数の増加に応じて徐々に低下する、技術的思想8に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想10)
前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記二酸化炭素最大吸着量に対して、前記第3の閾値よりも小さい第4の閾値を超えて低下したとき、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、技術的思想8又は9に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想11)
前記第4の閾値は、前記吸着モードの実行回数の増加に応じて徐々に低下する、技術的思想10に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想12)
前記吸着モードの実行時に、前記回収器に二酸化炭素を含有する混合ガスを送風する送風手段をさらに備え、
前記調整処理は、前記送風手段による送風量もしくは送風速度の調整を含む、技術的思想2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想13)
前記調整処理は、前記第1の電位の調整を含む、技術的思想2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想14)
前記調整処理は、前記第2の電位の調整を含む、技術的思想2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想15)
前記調整処理は、前記ポンプによる吸引力もしくは吸引速度の調整を含む、技術的思想2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想16)
前記調整処理は、混合ガスの品質が低下したときに、前記吸着モードの実行時間を延長することを含む、技術的思想2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想17)
調整対象とする物理量に関連する物理量を検出する物理量検出器をさらに備え、
前記制御装置は、前記調整処理として、前記物理量検出器によって検出された物理量に基づいて、前記調整対象とする物理量が目標範囲に収まるように調整する、技術的思想2乃至16のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想18)
前記二酸化炭素回収システムの動作に影響を与える環境要因の値を検出する環境要因検出部と、
前記環境要因検出部によって検出された前記環境要因の検出値を外部サーバに送信する送信部と、
送信した前記環境要因の検出値に基づく、前記調整対象とする物理量の目標範囲を前記外部サーバから受信する受信部と、をさらに備える技術的思想17に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想19)
前記制御装置は、前記調整動作を所定回数繰り返しても、前記制御ずれが解消しない場合、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、技術的思想2乃至18のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想20)
前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記吸着モードの実行回数の増加に伴って徐々に低下することにより、前記目標二酸化炭素吸着量に基づく第5の閾値を超えて低下すると、前記目標二酸化炭素吸着量を低下させるとともに、前記吸着量変化データに基づいて、低下させた前記目標二酸化炭素吸着量に対応するように前記実行時間を更新する、技術的思想1乃至19のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
(技術的思想21)
前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量から第6の閾値を超えて低下すると、前記電気化学セルの交換時期が到来したことを示す信号を出力する、技術的思想20に記載の二酸化炭素回収システム。
10:二酸化炭素回収システム10a~10c:サブシステム11,11a~11c:流路開閉弁12,12a~12c:回収器13:ポンプ14:流路切替弁15:センサ16:CO2回収タンク17:制御装置18:記憶部19:送風機20a~20c:切替弁

Claims (21)

  1. 電気化学反応によって、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムであって、
    回収した二酸化炭素を蓄えるための二酸化炭素回収タンク(16)と、
    二酸化炭素を吸着可能な吸着材を含む作用極と、前記作用極と対をなす対極とを有する電気化学セルと、前記電気化学セルを収容する筐体とを有する回収器(12)と、
    前記吸着材が吸着した二酸化炭素を脱離する際に、前記吸着材から脱離された二酸化炭素を前記回収器から吸引し、前記二酸化炭素回収タンクへ向けて排出するポンプ(13)と、
    前記回収器から前記二酸化炭素回収タンクへと回収される二酸化炭素の回収量を検出するためのセンサ(15)と、
    前記作用極と前記対極との間に第1の電位を印加して、前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着モード、及び、前記作用極と前記対極との間に第2の電位を印加するとともに、前記ポンプが二酸化炭素の吸引、排出を行なうように前記ポンプを制御して、前記吸着材が吸着した二酸化炭素を前記二酸化炭素回収タンクに回収する回収モードを実行する制御装置(17)と、
    前記吸着モードの実行時に、前記吸着材による二酸化炭素の吸着量の時間経過に伴う変化を示す吸着量変化データを記憶する記憶部(18)と、を備え、
    前記制御装置は、前記吸着量変化データに基づいて、目標二酸化炭素吸着量に対応する前記吸着モードの実行時間を定め、当該実行時間の間、前記吸着モードを実行し、
    前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素の回収量を実際に前記吸着材によって吸着された実二酸化炭素吸着量とみなし、前記電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量と、当該二酸化炭素吸着量に対応する前記実行時間である最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値に対する、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きの低下度合に基づいて、及び/又は、前記二酸化炭素最大吸着量に基づいて設定される回収量の閾値に対する、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量の低下度合に基づいて、二酸化炭素回収システムが正常に動作しているか否かを判定するように構成される、二酸化炭素回収システム。
  2. 前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに基づいて設定される傾きの閾値は、第1の閾値を含み、
    前記制御装置は、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きが、前記第1の閾値を超えて低下したとき、制御ずれが発生しているとみなし、前記制御ずれを解消するための調整処理を実行する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
  3. 前記第1の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第1の基準値だけ低い値として設定される、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
  4. 前記第1の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第1の基準値だけ低く、さらに前記吸着モードの実行回数の増加に応じて増加する変数だけ低い値として算出される、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
  5. 前記制御装置は、前記実二酸化炭素吸着量と前記実行時間との関係を示す直線の傾きが、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きに対して、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を超えて低下したとき、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
  6. 前記第2の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第2の基準値だけ低い値として設定される、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
  7. 前記第2の閾値は、前記二酸化炭素最大吸着量と前記最大吸着量時間との関係を示す直線の傾きから第2の基準値だけ低く、さらに前記吸着モードの実行回数の増加に応じて増加する変数だけ低い値として算出される、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
  8. 前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記二酸化炭素最大吸着量に対して、前記回収量の閾値に含まれる第3の閾値を超えて低下したとき、制御ずれが発生しているとみなし、前記制御ずれを解消するための調整処理を実行する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
  9. 前記第3の閾値は、前記吸着モードの実行回数の増加に応じて徐々に低下する、請求項8に記載の二酸化炭素回収システム。
  10. 前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記二酸化炭素最大吸着量に対して、前記第3の閾値よりも小さい第4の閾値を超えて低下したとき、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、請求項8に記載の二酸化炭素回収システム。
  11. 前記第4の閾値は、前記吸着モードの実行回数の増加に応じて徐々に低下する、請求項10に記載の二酸化炭素回収システム。
  12. 前記吸着モードの実行時に、前記回収器に二酸化炭素を含有する混合ガスを送風する送風手段をさらに備え、
    前記調整処理は、前記送風手段による送風量もしくは送風速度の調整を含む、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  13. 前記調整処理は、前記第1の電位の調整を含む、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  14. 前記調整処理は、前記第2の電位の調整を含む、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  15. 前記調整処理は、前記ポンプによる吸引力もしくは吸引速度の調整を含む、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  16. 前記調整処理は、混合ガスの品質が低下したときに、前記吸着モードの実行時間を延長することを含む、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  17. 調整対象とする物理量に関連する物理量を検出する物理量検出器をさらに備え、
    前記制御装置は、前記調整処理として、前記物理量検出器によって検出された物理量に基づいて、前記調整対象とする物理量が目標範囲に収まるように調整する、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  18. 前記二酸化炭素回収システムの動作に影響を与える環境要因の値を検出する環境要因検出部と、
    前記環境要因検出部によって検出された前記環境要因の検出値を外部サーバに送信する送信部と、
    送信した前記環境要因の検出値に基づく、前記調整対象とする物理量の目標範囲を前記外部サーバから受信する受信部と、をさらに備える請求項17に記載の二酸化炭素回収システム。
  19. 前記制御装置は、前記調整動作を所定回数繰り返しても、前記制御ずれが解消しない場合、異常とみなして、前記二酸化炭素回収システムの動作を停止する、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
  20. 前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記吸着モードの実行回数の増加に伴って徐々に低下することにより、前記目標二酸化炭素吸着量に基づく第5の閾値を超えて低下すると、前記目標二酸化炭素吸着量を低下させるとともに、前記吸着量変化データに基づいて、低下させた前記目標二酸化炭素吸着量に対応するように前記実行時間を更新する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
  21. 前記制御装置は、前記センサを用いて検出された二酸化炭素回収量が、前記電気化学セルの初期の二酸化炭素最大吸着量から第6の閾値を超えて低下すると、前記電気化学セルの交換時期が到来したことを示す信号を出力する、請求項20に記載の二酸化炭素回収システム。
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