JP2023552675A - 分割式流動分析のためのシステムおよび方法 - Google Patents

分割式流動分析のためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、分割式流動分析のためのシステムおよび方法を提供する。より具体的に、本開示は、分割式流動分析のために液体サンプルおよび分割液体を輸送毛細管の中に導入することに関し、液体サンプルおよび/または分割液体は、別々の液滴として輸送毛細管の中に分注される。一実施形態において、分割液体は、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72)から成る群から選択される。

Description

(関連出願)
本願は、その全内容が本明細書に参照することによって本明細書に組み込まれる2020年11月30日に出願された米国仮出願第63/119279号からの優先権の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、分割された流動を利用する分析のためのシステムおよび方法に関する。
分割式流動分析は、質量分析および高速液体クロマトグラフィ等の分析技法に関するサンプル分散を制御するための一般的なマイクロ流体アプローチである。分割式流動分析中、典型的に、キャリア液体と混合されたサンプルは、分割液体の連続的流動を搬送する輸送毛細管の中に出射/分注される。捕捉液体と不混和性である分割液体は、毛細管を通して進行するサンプル液滴の分散および希釈を効果的に防止する。
分割式流動装填は、特に困難であり、大量の分割液体を要求する。最も不混和性の分割液体の油性、典型的に、フッ素化炭化水素の油性は、特に、nL/分を上回る流量が使用されるとき、下流のイオン化源および質量分析計の汚染を引き起こし得る。さらに、ある条件下では、サンプル分散および希釈は、質量分析、HPLC、および他の分析技法に関するサンプルマトリクス効果を防止すること、または低減させることによって、下流分析に利益をもたらすことができる。
分割液体体積を低減させ、出射/分注されたサンプルの制御された分散および希釈を可能にする分割式流動分析のための新規のシステムおよび方法が、本明細書において説明される。
本開示は、概して、分割式流動分析のシステムおよび方法を提供する。種々の側面および実施形態では、本開示によって提供される分割式流動のシステムおよび方法は、サンプル中の1つ以上の分子を検出すること、特性評価すること、識別すること、分離すること、および/または精製することを行うために一般的に使用される任意の種々の分析器具および技法と併せて使用され得る。
一側面では、サンプルの分割式流動分析のためのシステムは、(a)サンプルおよび分割液体を受け取るための輸送毛細管と、(b)サンプルおよび分割液体を輸送毛細管に提供するための液滴分注器であって、サンプルおよび分割液体は、別々の液滴として輸送毛細管の中に分注される、液滴分注器と、(c)捕捉液体を輸送毛細管に提供する輸送毛細管に流体的に接続された導管とを含むことができる。
いくつかの実施形態では、分割された流動の中にサンプルを装填するためのシステムが、提供される。システムは、少なくとも1つの液体サンプルおよび分割液体の流動を受け取るための輸送毛細管と、少なくとも1つの液体サンプルを輸送毛細管の開放端における分割液体の中に分注するための液滴分注器と、分割液体を開放端に提供する輸送毛細管に流体的に接続された導管とを含み得る。
実施形態では、分割液体は、サンプルおよび捕捉液体と不混和性である(例えば、選択は、極性、疎水性、親水性、水性、有機性等における差異から生じる不混和性に基づくことができる)。例示的分割液体は、例えば、炭化水素(例えば、ヘプタン、オクタン等、例えば、アルカンおよびシクロアルカン)およびハロゲン化溶媒(例えば、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72))を含み得る。いくつかの側面では、捕捉液体は、メタノールである。
いくつかの側面では、液滴分注器は、音響液滴分注器、重力分注器、静電分注器、圧電分注器、機械的駆動装置、または空気圧分注器を備えている。
いくつかの実施形態では、システムは、輸送毛細管から排出されるときにサンプルおよび捕捉液体をイオン化するイオン化源および/または結果として生じるサンプルイオンに対して質量分析を行うように動作する質量分析計をさらに含むことができる。ある側面では、輸送毛細管は、典型的な幾何学形状および寸法を有し、いくつかの実施形態では、約250μmの内径を備え得る。
実施形態では、出射されるサンプル液滴の体積は、約1~10ナノリットル、数十ナノリットル、または数百ナノリットルであり得る。いくつかの実施形態では、出射されるサンプル液滴の体積は、ピコリットルの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、サンプル液滴の体積は、約2.5nLであり得る。
本開示は、サンプルの分割式流動分析のための方法をさらに提供し、方法は、(a)サンプルを輸送毛細管の開放端の中に出射することと、(b)分割液体を輸送毛細管の開放端の中に出射することであって、サンプルおよび分割液体は、輸送毛細管の中に交互に出射される、ことと、(c)輸送毛細管を通して捕捉液体を流し、サンプルおよび分割液体を輸送毛細管のサンプル出口に向かって搬送することとを含むことができる。
いくつかの実施形態では、サンプルの分割式流動分析のための方法が、提供される。方法は、分割液体を輸送毛細管の開放端に供給することと、第1の液体サンプルを開放端における分割液体の中に分注することと、分析デバイスへの送達のために、輸送毛細管を通して分割液体および第1の液体サンプルを引き込むこととを含み得る。
方法の実施形態では、分割液体は、サンプルおよび捕捉液体と不混和性である。方法の実施形態では、いくつかの例示的分割液体は、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72)を含む。方法のいくつかの側面では、捕捉液体は、メタノールである。
いくつかの実施形態では、分注することは、音響液滴エジェクタ(ADE)を使用して、接触液滴装填によって実施され得る。いくつかの実施形態では、サンプルおよび分割液体の各々は、1つ以上の別々の液滴として別個に出射される。
いくつかの実施形態では、方法は、複数の異なるサンプルを輸送毛細管の開放端の中に出射することと、サンプルのそれぞれの間で分割液体を交互に出射することとをさらに含み得る。
いくつかの側面では、方法は、輸送毛細管内で搬送されるサンプルをイオン化することをさらに含み、イオン化方法は、電子衝突イオン化(EI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、またはマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)であり得る。いくつかのさらなる実施形態では、方法は、ESIを備えている。
いくつかの側面では、方法は、サンプルに対して質量分析を実施することをさらに含む。
いくつかの側面では、方法は、輸送毛細管の内部を毛細管表面と分割液体との間の接触相互作用を増加させる湿潤剤を備えている動的または恒久的表面コーティングと接触させることをさらに含む。フッ素化分割液体を備えている実施形態では、表面コーティングは、例えば、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル)シラン等の誘導化剤を備え得る。
いくつかの側面では、方法は、捕捉液体の体積を調節し、輸送毛細管を通して進行するサンプルの分散および希釈を制御することをさらに含む。
図1は、分割液体の連続的流動を使用する分割式流動分析を図示する。
図2は、輸送毛細管を通して進行するサンプル液滴の分散を図示する。
図3は、本開示のいくつかの側面による分割式流動分析を図示する。
図4Aおよび4Bは、サンプル液滴と分割液体液滴との間の距離の関数としてサンプル液滴の分散を比較する。
図5は、本開示のいくつかの側面による質量分析のための分割式流動システムを図示する。
図6Aおよび6Bは、本開示のいくつかの側面による複数のサンプルの分割式流動分析を図示する。
図7Aは、OPIのサンプリング端に関する同軸幾何学形状を図示する。
図7Bは、OPIのサンプリング端に関する共線幾何学形状を図示する。
図7Cは、OPIのサンプリング端に関する先の尖った幾何学形状を図示する。
図7Dは、OPIのサンプリング端に関する横幾何学形状を図示する。
図8A-8Bは、本開示のいくつかの例示的側面および実施形態による開放ポート界面(OPI)サンプリング界面および音響液滴出射(ADE)デバイスを図示する。 図8A-8Bは、本開示のいくつかの例示的側面および実施形態による開放ポート界面(OPI)サンプリング界面および音響液滴出射(ADE)デバイスを図示する。
分割式流動分析のために装置の中にサンプルおよび液体または溶媒を装填するシステムおよび方法が、本明細書において説明される。本明細書に使用されるような「分割式流動分析」、「分割式流動送達」、または「SFA」は、第1の機能を有する第1の装置の輸送管類、毛細管、またはコイルの中へのサンプルの導入を指し、サンプルは、別々のまたは切り離された区分として輸送され、第2の機能を有する第2の装置に送達される。本明細書に説明される方法は、複数の異なる液体サンプル、および液体サンプルの捕捉液体と不混和性である分割液体の輸送または捕捉液体の連続的流動の中への独立した液滴出射を伴うことができ、それによって、各液体サンプルは、分割液体の液滴または体積によって分離される。液体サンプルの各々は、1つ以上の別々の液滴として出射されることによって、捕捉液体の中に出射され、他の液体サンプルからある体積の分割液体によって分離されたある体積の液体サンプルを作り出し得る。
本明細書に議論されるように、好適な分割液体が、液体サンプルおよび捕捉液体とのその不混和性に基づいて選択されることができる。いくつかの実施形態では、分割液体の選択は、分割液体および/または液体サンプルと捕捉液体との間の極性、疎水性、親水性、水性成分、有機成分等における差異から生じる不混和性に基づくことができる。極性(すなわち、水性)液体サンプルおよび液体サンプルと混和性である捕捉液体を備えている実施形態では、例示的分割液体は、炭化水素(例えば、アルカンおよびシクロアルカン、例えば、ヘプタン、オクタン等)およびハロゲン化溶媒(例えば、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72))を含むことができる。いくつかの側面では、捕捉液体は、低級アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール等のC1-C3アルコール)を備え得る。
いくつかのさらなる実施形態では、分割液体は、本明細書に開示される分割式流動システムと結合される分析デバイスとのその適合性に基づいて選択され得る。例えば、そのような実施形態では、選択される分析デバイス/技法は、1つ以上の利用可能な分割液体に対して「盲目的」であり得、分割液体は、分析のために分析器具に送達されるときに信号を殆どまたは全く発生させないその能力に基づいて選択され得る(例えば、分割液体は、所与の波長内で殆どまたは全く吸光度を有しないように選択され、イオン化しない/イオンが検出可能ではない等)。
任意の種々の輸送管類、毛細管、またはコイルが、本開示の側面および実施形態に従って使用され得る。いくつかの実施形態では、管類、毛細管、またはコイルは、スケール、用途、および/または、本明細書に開示される方法およびシステムに組み込まれ、またはそれらと組み合わせられる技法に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態は、概して、当業者に公知であり、利用可能である寸法および材料を備えている毛細管(すなわち、「輸送毛細管」)を備えている。いくつかの実施形態では、毛細管は、約50μm~約500μm(例えば、約60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または約500μm)、または約50~250μm、または約100~250μmの内径を備えている。
いくつかの実施形態では、毛細管材料は、ステンレス鋼、ガラス、溶融シリカ、または当技術分野で公知であるようなポリマー(例えば、プラスチック、PEEK等)を備えている。本開示の種々の側面および実施形態によると、分割液体と輸送毛細管の内壁との間の適正な接触および相互作用(例えば、湿潤性)は、適正な分割式流動が達成されることを確実にすることに役立つことができる。いくつかの実施形態では、システムおよび方法は、輸送毛細管の内部を動的または恒久的表面コーティングと接触させることを含むことができ、動的または恒久的表面コーティングは、毛細管表面と分割液体との間の接触相互作用を増加させる湿潤剤を備えている。任意の好適な湿潤剤または誘導化剤が、そのような実施形態に従って使用され得、毛細管、管類、またはコイル材料、およびそれが備え得る任意の既存の表面修正、および/または分割液体(例えば、フッ素化分割液体)に基づいて選択され得る。フッ素化分割液体を備えているいくつかの実施形態では、表面コーティングは、例えば、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル)シラン等、内面とフッ素化分割液体との間の湿潤性を強化する誘導化剤を備え得る。
輸送毛細管へのサンプルおよび/または分割液体の(すなわち、液滴分注器を用いた)液滴出射または送達のための方法、機器、および手段は、例えば、音響液滴エジェクタ(すなわち、ADE)または分注器、重力分注器、静電分注器、圧電分注器、機械的駆動装置分注器、および空気圧分注器等を含む種々の液滴分注器を含むことができる。いくつかの実施形態では、重力分注器が、より大きいサンプル体積(例えば、≧1μL)を分注するために使用されることができる。他の実施形態では、静電、圧電、機械的駆動装置、または空気圧分注器が、より小さいサンプル体積(例えば、≧1nL、1.0nL~100nL等)を分注するために使用されることができる。例示的空気圧分注器は、例えば、要求に応じた即時の液滴技術(I-DOT;Dispendix)を含む。
本明細書に説明される側面および実施形態によると、液滴分注器および輸送毛細管は、輸送毛細管への液体サンプル液滴および/または分割液体の送達を可能にする任意の好適な配置および向きを備え得る。いくつかの実施形態では、液滴分注器は、輸送毛細管(例えば、輸送毛細管の開放端)から反対に、約180度の角度(すなわち、上方または下方、左または右等)に向けられ得る。いくつかの実施形態では、液滴分注器および輸送毛細管は、概して、互いに(例えば、約20~160度に及ぶ角度において)隣接する向きにおいて配置され得る。また他の実施形態では、液滴分注器および輸送毛細管は、例えば、分注器から輸送毛細管への統合された接続を用いて、直接流体連通し得る。
いくつかの側面および実施形態によると、システムおよび方法は、マイクロタイタプレート等のサンプル源から液体サンプルを分注し、SFAのために液体サンプルを送達する、音響液滴分注器を備えていることができる。そのような実施形態および液体サンプルの非接触液滴送達を提供する他の実施形態では、方法およびシステムは、低サンプル体積を使用して動作し、高圧ポンプおよびエジェクタ弁の必要性を排除する。実施形態は、サンプル間の液体サンプル飛沫同伴および汚染の潜在性をさらに低減させ、任意の後続および分析プロセスから分注および送達を分離することができる。本明細書に使用されるように、「非接触液滴装填」または「非接触サンプル送達」は、ピペット、管類、またはエジェクタポンプ等のサンプルに接触する中間デバイスの使用を伴わないサンプル源から輸送毛細管への液体サンプルの直接送達を指す。例示的液滴発生器は、低サンプル体積(20~120pL)を分注する圧電PolyPico分注ヘッド(PolyPico Technologies Ltd.)と、nLの桁の体積における液滴を音響的に分注し得るLabcyte Echo(登録商標)とを含む。いくつかの特定の実施形態では、方法およびシステムは、開放ポート界面(OPI)および100~1,000μL/分で流動する捕捉液体の中に直接nLの範囲内の液滴を分注するように動作するSciex Echo(登録商標)MSシステムを備えていることができる。OPIおよび輸送毛細管は、液体サンプルおよび分割液体を備えている分割された流動を質量分析のために従来のエレクトロスプレーイオン源に送達することができる。
別の側面では、本開示は、液体クロマトグラフィシステム(例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC))、電気泳動、GC-MS、ICP-MS、UV-Vis、または他の分析システムおよび技法等の化学分析のための他のタイプの二次デバイスおよびシステムへの液体サンプルの分割式流動送達に関する。
SFAは、出射されたサンプルが毛細管を通して進行するとき、出射されたサンプルの拡散または分散および希釈を防止するために、または低減させるために使用されることができる。図1に図示されるように、ある実施形態では、サンプル液滴10は、サンプルウェル50から、輸送毛細管20の開放端の捕捉領域の中に出射され、捕捉領域は、供給導管40内に格納される分割液体30の連続的流動に流体的に接続されている。サンプル液滴10の溶媒または液体キャリアと不混和性である、分割液体30は、液滴が毛細管を通して進行するとき、分散および希釈を防止する。そのような構成は、サンプル濃度を保全し、分析デバイスの移送毛細管における詰まったサンプルスタッキングを促進するために、かつサブnL/分の流量を利用する分析デバイスのために有利である。
しかしながら、ある条件下では、サンプル分散および希釈(図2は、捕捉液体70中のサンプル液滴60の分散を図示する)は、下流分析に利益をもたらすことができ、図1の構成は、理想的ではない。例えば、サンプル分散および希釈は、質量分析、HPLC、および他の分析技法に関するサンプルマトリクス効果を防止し、排除し、または低減させ、サンプル調製の障害を回避するために使用されることができる。本明細書に使用されるように、「サンプルマトリクス効果」は、標的サンプル中の意図しない、または汚染分析物または他の干渉物質の存在に起因する標的サンプル応答における直接または間接的改変または干渉を指す。さらに、毛細管の幾何学形状に応じて、分散を伴わない分割式流動は、下流分析に関して速すぎる流量をもたらす(例えば、サンプルが、質量分析検出に関して過剰に迅速に溶出する)。
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、捕捉されたサンプルの分散および希釈を制御するために、変調するために、または操作するために使用されることができる。制御された分散および希釈の利点は、サンプルマトリクス効果を排除すること、または低減させることである。代替SFA実施形態では、図3に図示されるように、システムは、供給導管150内に格納される捕捉液体140に流体的に接続された毛細管130の中にサンプル液滴110および分割液体120の液滴を選択的に出射するように動作し得る。サンプルウェル160からの液滴出射または非接触液滴装填は、音響液滴分注器等の液滴出射デバイス170によって達成されることができる。サンプル液滴110および分割液体120の液滴は、各サンプル液滴出射が分割液体の液滴によって分離されるように、輸送毛細管の開放端における捕捉領域の中に出射される。結果は、輸送毛細管130内の一続きのサンプル液滴希釈液110aまたは「プラグ」であり、サンプル液滴希釈液110aまたは「プラグ」の各々は、分割液体プラグ120aによって互いに物理的に分離されている。分割液体プラグ120aは、もはや輸送毛細管130内で液滴の形態ではないが、概して、各サンプル液滴希釈液プラグ110aの間に障壁を画定する。本開示の好適な分割液体120は、サンプル液滴110の溶媒または液体キャリア(例えば、水)と不混和性であり、限定ではないが、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72)等のフッ素化分割液体を含む。分割液体120は、同様に、捕捉液体140(例えば、メタノール)と不混和性である。いくつかの実施形態では、メタノールの流量は、約300μL/分である。
制御された分散および希釈に加えて、図3の分割式流動は、それが下流イオン化源に送達される分割液体の体積を低減させるので、図1の分割式流動より有利である。分割液体の特性に応じて、大きい体積は、特に、より高い(例えば、ナノスプレーを上回る)流量において、下流イオン化源および質量分析計の汚染を引き起こし得る。図3に図示されるシステムは、低減させられた分割液体体積によって下流汚染を回避すること、または少なくとも最小化することができる。
図4Aおよび4Bは、サンプル液滴プラグの分散体積および希釈が、サンプル液滴と分割液体液滴との間の距離の関数であることを図示する。図4Aに示されるように、詰まった分割式流動(すなわち、サンプル液滴希釈液210a-cおよび分割液体液滴220a-cは、毛細管230内で一緒により近接する)は、それによって、それらが輸送毛細管を通して捕捉液体240とともに進行するとき、サンプル液滴希釈液における分散を防止する(または、低減させる)。代替として、図4Bに示されるように、緩い分割式流動(すなわち、サンプル液滴希釈液310a、bと分割液体液滴320a、bとは、毛細管330内でより遠くに離されている)は、イオン化源への送達の前に捕捉液体340を通して進行するサンプル液滴の制御された分散および希釈を可能にする。液体液滴希釈液310bは、例えば、それが毛細管330を通して進行するときの制御されたサンプル分散(分割液体液滴320a、bによって境を限られる引き延ばされた外周によって示される)を例証する。
いくつかの実施形態では、方法は、液滴の一続きまたはパターン、例えば、検出され得る分割液体液滴、液体サンプル液滴、および/または捕捉流体を備えている一続きまたはパターンを提供するように適合されることができる。そのような実施形態では、一続きまたはパターンは、検出されるSFAの1つ以上の特徴(例えば、液体サンプル液滴または2つ以上の液体サンプル液滴の混合物の間の遷移、捕捉液体への液滴送達に関するタイミング、捕捉液体流量に関する調節、液体サンプルおよび/または分割流体液滴サイズおよび/またはパターンに関する調節、等)を識別するために使用されることができる。一続きまたはパターンは、検出可能な信号または検出可能な信号がないことによって識別されることができ、それらのうちのいずれも、その特定の識別を可能にする特徴的な「シグネチャ」パターンを有するであろう。このタイプの「バーコード」パターン認識に関するそのような実施形態は、サンプルの消費に基づいて設定を再較正する必要性を伴わずに、実験設定の変動を可能にすることができる。
サンプル間に導入される分割液体の体積は、移送毛細管の内径に及び、イオン化源への輸送の間に連続した境界を維持するために十分であるべきである。例えば、250μmの内径を有する移送毛細管は、サンプル間に一貫した分割を提供するために、約8~10nLの最小分割液体体積を要求する。本明細書に説明されるように、分割液体は、特定の毛細管の直径全体を横断してサンプル液滴および/または捕捉流体間の完全な分離を提供するために効果的な量において輸送毛細管(または管、コイル等)に送達される。分割液体と毛細管(または管、コイル等)の内面との間の相互作用は、本明細書に開示され、当技術分野で公知であり得るような表面修正技法を使用して強化されることができる。
出射されたサンプルの分散および希釈を制御または変調するために、分割液滴間の捕捉液体の体積は、変動させられること、操作されることができる。一般に、捕捉液体が溶媒である場合、サンプルの分散および希釈は、溶媒のタイプ、移送毛細管内の速度勾配または乱流、移送の距離等に伴って変動し得る。いくつかの実施形態では、サンプル分散および希釈は、より乱流ではない流動を提供し、移送距離を低減させることによって、緩和され得る。
サンプルおよび分割液体が、マイクロタイタプレートから出射されるとき、サンプル液滴希釈液と範囲を定める分割液体液滴との間の間隔は、エジェクタまたは分注器がサンプルと分割液体ウェルとの間で進行し得る率によって定義されることができる。いくつかの実施形態では、サンプル液滴および分割液滴をそれらのそれぞれのウェルから分注する時間は、約マイクロ秒または秒、例えば、約1~1,000またはそれを上回るm秒であり得る。図示の目的のために、図4は、約300m秒の分注時間(図4Aに「A」として図示される)を含み、分割する時間または分割液滴の間の推定ピーク幅(図4Bに「B」として図示される)を300m秒にする本開示の実施形態による例を描写する。
本明細書に議論されるように、液体サンプル液滴サイズは、分割液体液滴サイズと同様に変動し得る。複数のサンプル液滴または分割液体液滴は、捕捉液体中に捕捉されるより大きい体積を構成するように急速に出射され得る。いくつかの例示的実施形態では、サンプル液滴体積は、ピコリットルの範囲内である。いくつかの例示的実施形態では、サンプル液滴体積は、約1.0nL~約10.0nLであり、輸送毛細管サイズに応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、サンプル液滴は、約2.5nLであり得、250μmの内径を有する移送毛細管において約168μmの結果として生じる半径を伴う。いくつかの実施形態では、液体サンプル液滴分散は、制御され得る。例えば、液体サンプル液滴分散は、分割する時間が増加するにつれて増加し得、それは、分割液体の異なる領域の間のサンプル分散をもたらし、そのように観察され得る。
図5は、輸送毛細管420の中へのサンプル液滴410および分割液体(液滴は図示せず)の非接触液滴装填(NCDL)のための音響液滴分注器400を含む質量分析のための分割式流動システムの実施形態を図示する。捕捉液体430は、エジェクタまたはポンプ440を用いて供給導管450の中に導入される。捕捉液体430は、サンプル液滴410および分割液体液滴を毛細管420の中に輸送する。サンプル液滴410は、続けて、イオン化区域460に送達され、イオン化区域460において、イオン化源470は、分析のために下流質量分析計に送達されるイオン化蒸気480を生成する。図5は、サンプルイオン化のためのエレクトロスプレーイオン化(ESI)を描写するが、他のイオン化方法が、本明細書に説明されるシステムとの使用のために好適であり、電子衝突イオン化(EI)、高速原子衝撃(FAB)、大気圧化学イオン化(APCI)、およびマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)を含むことを理解されたい。
別の側面では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、分割液体体積間に2つ以上のサンプル体積を出射するために使用されることができる。図6Aおよび6Bに図示されるように、それぞれ一意のサンプル識別を表すサンプル体積希釈液510a、b、512、および514が、毛細管530の中に順次出射された。サンプル体積希釈液510b、512、および514は、分割液体体積520a、bの間に集合的に配置されている(図6A)。サンプル体積希釈液は、それらが毛細管530を通して進行するとき、分散、希釈、および混合し得る(図6Bの希釈されたサンプル体積510b’、514’、および512’の集合的分散として図示される)。いくつかの側面では、サンプル液滴希釈液は、SFA中のオンライン反応を可能にする反応物質を備え得る。分割液体体積520a、bは、サンプル体積希釈液510b、512、および514が隔離され、サンプル体積希釈液510a等の後続サンプル体積希釈液と混ざり合うことなく混合および反応し得る反応空間の範囲を定める。分割液体体積が、分散の程度を限定するので、流量および/または毛細管長は、イオン化源への送達に先立って、有用である場合、反応時間を増加させるために増加させられることができる。
図7A-7Dは、OPIのサンプリング端に関する異なる幾何学的構成を図示する。これらの実施形態はまた、サンプリングプローブの開放端が、上方から送達される出射された体積/液滴を受け取るために、上に向くように向けられる代替配置を図示する。上記に示されるように、サンプリングプローブは、本説明に提供される2つの例を含む種々の方向に向けられることができる。いくつかの好ましい側面では、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、サンプル装填のために同軸幾何学形状(図7A)を使用する。
別の側面では、本開示は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、光学検出器、または質量分析等の化学分析のための二次装置にサンプルの分割式流動を送達するためのシステムに関する。特定の側面では、本明細書に開示されるシステムは、後続質量分析のためにイオン化源に分割されたサンプルを送達する。そのようなシステムは、第US 9,632,066号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示されるような開放ポートサンプル界面(OPSIまたはOPI)と結合されること、またはそれに統合されることができる。いくつかの実施形態では、OPIは、イオン化および後続質量分析のためのイオン源への後続希釈および移送のために毛細管溶媒流の中にサンプルを移送するための連続的流動開放界面である。いくつかの実施形態では、システムは、音響出射質量分析のためにEcho(登録商標)MS(SCIEX)に結合されることができる。Echo(登録商標)MSは、OPSI/OPIを使用し、マイクロタイタプレートの個々のウェルから低(例えば、nL)体積の音響的に発生させられたサンプル液滴を捕捉し、それらを質量分析のためにイオン化源に移送する。例示的AEMSシステムが、例えば、第WO2019/104235号(その全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。
本開示によると、開示される方法および構成の側面および例示的実施形態において利用され得る代表的システムが、図8Aに図示される。同様の部分が同様の番号によって参照される本明細書に参照される全ての図のように、図8Aは、縮尺通りではなく、ある寸法は、提示の明確化のために誇張される。図8Aでは、液滴分注器は、音響液滴分注器または音響液滴出射(ADE)デバイスとして提示され、概して、11において示され、概して、51において示される連続的流動サンプリングプローブ(本明細書では、開放ポート界面(OPI)とも称され得る)に向かって、かつそのサンプリング先端53における開放端の中に液滴49を出射する。サンプリングプローブは、開放端捕捉領域(図1-6Bにおけるように下に向く、図7A-7Dにおけるように上に向く、側面に向く、または上記のある組み合わせ)を提供することを含む種々の構成において向けられ得る。
音響液滴出射デバイス11は、少なくとも1つのリザーバを含み、第1のリザーバが、13において示され、随意の第2のリザーバが、31において示される。いくつかの実施形態では、さらなる複数のリザーバが、提供され得る。各リザーバは、流体表面を有する流体サンプル、例えば、それぞれ、17および19において示される流体表面を有する第1の流体サンプル14および第2の流体サンプル16を格納するように構成される。2つ以上のリザーバが、使用されるとき、図8Aに図示されるように、リザーバは、両方、好ましくは、実質的に同一であり、実質的に音響的に区別がつかないが、同一構造は、要件ではない。
ADEは、音響エジェクタ33を備、音響エジェクタ33は、音響放射発生器35と、流体表面の近傍の流体サンプル内の焦点47に発生させられる音響放射を集束させるための集束要素37とを含む。図8Aに示されるように、集束要素37は、音響放射を集束させるための凹状面39を有する単一の固体片を備え得るが、集束要素37は、下記に議論されるような他の方法で構築され得る。音響エジェクタ33は、リザーバ13および15に結合されると、したがって、流体14および16に音響的に結合されると、それぞれ、流体表面17および19の各々から流体の液滴を出射するように、音響放射を発生および集束させるように適合される。音響放射発生器35および集束要素37は、デバイスの所望の性能に応じて、単一のコントローラによって制御される単一のユニットとして機能し得るか、または、それらは、独立して制御され得る。
音響液滴エジェクタ33は、各リザーバの外面と直接接触するか、または間接接触するかのいずれかであり得る。直接接触では、エジェクタをリザーバに音響的に結合するために、直接接触が、効率的な音響エネルギー移動を確実にするために完全に形状一致していることが好ましい。すなわち、エジェクタおよびリザーバは、篏合接触のために適合される対応する表面を有するべきである。したがって、音響結合が集束手段を通してエジェクタとリザーバとの間で達成される場合、リザーバが、集束手段の表面プロファイルに対応する外面を有することが望ましい。形状一致接触を伴わないと、音響エネルギー移動の効率および精度は、損なわれ得る。加えて、多くの集束手段は、湾曲面を有するので、直接接触アプローチは、特別に形成された反形曲面を有するリザーバの使用を必要とし得る。
最適に、音響結合は、図8Aに図示されるように、間接接触を通してエジェクタとリザーバの各々との間に達成される。図では、音響結合媒体41が、エジェクタ33とリザーバ13の基部25との間に設置され、エジェクタとリザーバとは、互いに所定の距離に位置する。音響結合媒体は、音響結合流体、好ましくは、音響集束手段37とリザーバの下側との両方と形状一致接触する音響的に均質な材料であり得る。加えて、流体媒体が流体媒体自体と異なる音響性質を有する材料を実質的に有しないことを確実にすることが、重要である。示されるように、第1のリザーバ13は、音響集束手段37に音響的に結合され、それによって、音響放射発生器によって発生させられた音響波は、集束手段37によって音響結合媒体41の中に方向づけられ、そして、音響結合媒体41が、音響放射をリザーバ13の中に伝達する。
動作時、デバイスのリザーバ13および随意のリザーバ15は、図8Aに示されるように、それぞれ、第1および第2の流体サンプル14および16を用いて充填される。音響エジェクタ33は、リザーバ13の真下に位置付けられ、エジェクタとリザーバとの間の音響結合が、音響結合媒体41を用いて提供される。最初に、音響エジェクタは、サンプリング先端がリザーバ13内の流体サンプル14の表面17に向くように、OPI51のサンプリング先端53の真下に位置付けられる。エジェクタ33およびリザーバ13が、サンプリング先端53の下方で適切に整列すると、音響放射発生器35は、集束手段37によって第1のリザーバの流体表面17の近傍の焦点47に方向づけられる音響放射を生成するためにアクティブにされる。結果として、液滴49は、流体表面17から、捕捉領域の中に、OPI51のサンプリング先端53の開放端における液体境界50に向かって、その中に出射され、液滴49は、流動プローブ53内の捕捉液体と結合する。いくつかの実施形態では、捕捉液体は、分析デバイスに送達され得る分析物-溶媒希釈液を作成するために、捕捉されたサンプルと結合するための溶媒であり得る。サンプリング先端53における液体境界50のプロファイルは、開放端への捕捉流体の供給と比較した開放端からの流体の相対的吸引に応じて、サンプリング先端53を越えて延びていることから、OPI51の中に内向きに突出することまで変動し得る。複数リザーバシステムでは、リザーバユニット(図示せず)、例えば、マルチウェルプレートまたは管ラックが、次いで、別のリザーバがエジェクタと整列させられ、次の流体サンプルの液滴が出射され得るように、音響エジェクタに対して位置変更されることができる。流動プローブ内の捕捉液体は、プローブを通して連続的に循環し、液滴出射事象の間の「飛沫同伴」を最小化する(または、排除さえする)。流体サンプル14および16は、分析器具への移送が所望される任意の流体のサンプルであり、用語「流体」は、本明細書の前述で定義されるようなものである。
OPI51の構造も、図8Aに示される。図8Aに見られ得るように、OPI51のサンプリング先端53は、リザーバ13内の流体表面17から間隔を置かれ、それらの間に間隙55を伴う。間隙55は、空隙または不活性ガスの間隙であり得るか、または、それは、ある他のガス状物質を含み得、サンプリング先端53をリザーバ13内の流体14に接続するいかなる液体ブリッジも、存在しない。OPI51は、捕捉液体源から捕捉液体を受け取るための捕捉液体入口57と、捕捉液体入口57からサンプリング先端53に捕捉液体流動を輸送するための捕捉液体輸送毛細管59とを含み、サンプリング先端53で、分析物含有流体サンプル14の出射された液滴49は、捕捉液体と結合する。捕捉液体が溶媒を備えている実施形態では、分析物-溶媒希釈液が、作成される。捕捉液体ポンプ(図示せず)が、捕捉液体輸送毛細管の中への捕捉液体流動の率、したがって、捕捉液体輸送毛細管59内の捕捉液体流動の率も同様に制御するために、捕捉液体入口57に動作可能に接続され、それと流体連通する。
OPI51内の流体流動は、分析器具への後続移送のために、輸送毛細管61のサンプル出口63に向かって内側毛細管73によって提供されるサンプルまたは分析物-溶媒希釈液をサンプル輸送毛細管61を通して搬送する。サンプル輸送毛細管61に動作可能に接続され、それと流体連通するサンプリングポンプ(図示せず)が、出口63からの出力率を制御するために提供されることができる。好ましい実施形態では、容積式ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)が、捕捉液体ポンプとして使用され、サンプリングポンプの代わりに、吸引霧化システムが、使用され、それによって、サンプルまたは分析物-溶媒希釈液は、ベンチュリ効果によってサンプル出口63から引き出され、ベンチュリ効果は、それがサンプル出口63の外側にあふれ出るように、ガス入口67(吸引ネブライザの特徴が当技術分野で周知である限りにおいて、図8Aに簡略化形態において示される)によってネブライジングガス源65から導入されるネブライジングガスの流動によって引き起こされる。捕捉液体は、次いで、ネブライジングガスがサンプル出口63の上を覆って通るとき、発生させられる圧力降下によってサンプル輸送毛細管61を通して上向きに引き込まれ、サンプル輸送毛細管61から退出する流体と結合する。ガス圧力調整器が、ガス入口67を介したシステムの中へのガス流の率を制御するために使用される。好ましい様式では、ネブライジングガスは、シース流動タイプ様式でサンプル出口63またはその近傍でサンプル輸送毛細管61の外側の上を覆って流動し、それは、捕捉液体がサンプル出口63を横断して流動するように、サンプル輸送毛細管61を通して捕捉液体を引き込む(捕捉液体は、ネブライザガスとの混合時、サンプル出口における吸引を引き起こす)。
捕捉液体輸送毛細管59およびサンプル輸送毛細管61は、外側毛細管71およびその中に実質的に同軸に配置された内側毛細管73によって提供され、内側毛細管73は、サンプル輸送毛細管を画定し、内側毛細管73と外側毛細管71との間の環状空間は、捕捉液体輸送毛細管59を画定する。
システムは、外側毛細管71および内側毛細管73に結合された調節器75を含むこともできる。調節器75は、外側毛細管先端77および内側毛細管先端79を互いに対して縦方向に移動させるために適合されることができる。調節器75は、内側毛細管73に対して外側毛細管71を移動させることが可能な任意のデバイスであり得る。例示的調節器75は、限定ではないが、電気モータ(例えば、ACモータ、DCモータ、静電モータ、サーボモータ等)、油圧モータ、空気圧モータ、平行移動ステージ、およびそれらの組み合わせを含むモータであり得る。本明細書に使用されるように、「縦方向に」は、プローブ51の長さに延びる軸を指し、内側および外側毛細管73、71は、図8に示されるように、プローブ51の縦方向軸の周囲に同軸に配置されることができる。
加えて、図8Aに図示されるように、OPI51は、概して、安定性および容易な取り扱いのために、略円筒形保持器81内に取り付けられ得る。
図8Bは、OPI51の開放端内に受け取られる分析物をイオン化し、質量分析するための、本開示の種々の側面による例示的システム110の実施形態を図式的に描写し、システム110は、液滴49をリザーバからOPI51の開放端の中に出射するように構成される、音響液滴出射デバイス11を含む。図8Bに示されるように、例示的システム110は、概して、1つ以上のサンプル分析物を含む液体を(例えば、エレクトロスプレー電極164によって)イオン化チャンバ112の中に排出するためのネブライザ支援イオン源160と流体連通するOPI51と、イオン源160によって発生させられるイオンの下流処理および/または検出のためのイオン化チャンバ112と流体連通する質量分析器170とを含む。流体取り扱いシステム140(例えば、1つ以上のポンプ143および1つ以上の導管を含む)が、捕捉液体リザーバ150からOPI51への液体の流動、およびOPI51からイオン源160への液体の流動を提供する。例えば、図8Bに示されるように、捕捉液体リザーバ150(例えば、液体、脱離溶媒を含む)が、供給導管を経てOPI51に流体的に結合されることができ、それを通して、液体は、全て非限定的例として、ポンプ143(例えば、往復ポンプ、回転、ギヤ、プランジャ、ピストン、蠕動、ダイヤフラムポンプ等の容積式ポンプ、または重力、衝撃、空気圧、電気運動、および遠心ポンプ等の他のポンプ)によって選択された体積率において送達されることができる。下記に詳細に議論されるように、OPI51の内外への液体の流動は、1つ以上の液滴が、サンプル先端53において液体境界50の中に導入され、続けてイオン源160に送達され得るように、開放端におけるアクセス可能なサンプル空間内で起こる。示されるように、システム110は、音響液滴出射デバイス11を含み、音響液滴出射デバイス11は、リザーバ(図8Aに描写されるような)を用いて含まれた液体に印加される音響エネルギーを発生させるように構成され、音響エネルギーは、1つ以上の液滴49がリザーバからOPI51の開放端の中に出射されるようにする。コントローラ180が、音響液滴出射デバイス11に動作的に結合されることができ、液滴をOPI51の中に出射するように、または別様に本明細書に議論されるように実質的に連続的に、または非限定的例として実験プロトコルの選択された部分に関して、音響液滴出射デバイス110の任意の側面(例えば、集束手段、音響放射発生器、音響放射発生器と整列するように1つ以上のリザーバを位置付けるための自動化手段等)を動作させるように構成されることができる。
図8Bに示されるように、例示的イオン源160は、高速ネブライジングガス流を供給する加圧ガス(例えば、窒素、空気、または希ガス)の源65を含み、高速ネブライジングガス流は、エレクトロスプレー電極164のサンプル出口を包囲し、それから排出される流体と相互作用し(例えば、高速ネブライジング流と液体サンプル(例えば、分析物-溶媒希釈液)のジェットの相互作用によって)、サンプルプルームの形成および114bおよび116bによるサンプリングのためのプルーム内のイオン放出を強化することができる。ネブライザガスは、種々の流量において、例えば、約0.1L/分~約20L/分の範囲内で供給されることができ、それは、コントローラ180の影響下で(例えば、弁163の開放および/または閉鎖によって)制御されることもできる。本開示の種々の側面によると、ネブライザガスの流量が調節され得ること(例えば、コントローラ180の影響下で)を理解されたい。それによって、OPI51内の液体の流量は、例えば、分析物-溶媒希釈液がエレクトロスプレー電極164から排出されているときのネブライザガスと分析物-溶媒希釈液との相互作用によって発生させられる吸込み/吸引力に基づいて調節され得る(例えば、ベンチュリ効果に起因する)。
描写される実施形態では、イオン化チャンバ112は、大気圧において維持されることができるが、いくつかの実施形態では、イオン化チャンバ112は、大気圧より低い圧力まで排気されることができる。分析物-溶媒希釈液がエレクトロスプレー電極164から排出されるときに分析物がイオン化され得るイオン化チャンバ112は、カーテンプレート開口114bを有するプレート114aによってガスカーテンチャンバ114から分離される。示されるように、質量分析器170を格納する真空チャンバ116は、真空チャンバサンプリングオリフィス116bを有するプレート116aによってカーテンチャンバ114から分離される。カーテンチャンバ114および真空チャンバ116は、1つ以上の真空ポンプポート118を通した排気によって選択された圧力(例えば、同一または異なる低大気圧、イオン化チャンバより低い圧力)において維持されることができる。
当業者によって、本明細書の指針に照らして、質量分析器170が種々の構成を有し得ることも、理解されるであろう。概して、質量分析器170は、イオン源160によって発生させられるサンプルイオンを処理(例えば、濾過、分類、分離、検出等)するように構成される。非限定的例として、質量分析器170は、三連四重極質量分析計または当技術分野で公知であり、本明細書の教示に従って修正される任意の他の質量分析器であり得る。本明細書に開示されるシステム、デバイス、および方法の種々の側面に従って修正され得る他の非限定的例示的質量分析計システムは、例えば、「Product ion scanning using a Q-q-Qlinear ion trap(Q TRAP(登録商標))mass spectrometer」と題され、James W. HagerおよびJ. C. Yves Le Blancによって著され、Rapid Communications in Mass Spectrometry(2003; 17:1056-1064)において公開された論文、および「Collision Cell for Mass Spectrometer」と題された米国特許第7,923,681号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。限定ではないが、本明細書に説明されるもの、および当業者に公知であるその他を含む他の構成も、本明細書に開示されるシステム、デバイス、および方法と併せて利用されることができる。例えば、他の好適な質量分析計は、単一四重極、三連四重極、ToF、トラップ、およびハイブリッド分析器を含む。例えば、イオン化チャンバ112と質量分析器170との間に配置され、それらの質量/電荷比ではなく、高および低電場内のドリフトガスを通したそれらの移動度に基づいてイオンを分離するように構成されるイオン移動度分析計(例えば、微分移動度分析計)を含む任意の数の追加の要素が、システム110内に含まれ得ることをさらに理解されたい。加えて、質量分析器170が、分析器170を通して通過するイオンを検出し得、例えば、検出される1秒あたりのイオンの数を示す信号を供給し得る検出器を備え得ることを理解されたい。
(実施例1)
表1は、250μmまたは127μmの内径を有する毛細管の中に出射された2.5nLのサンプル液滴の流量および溶出時間を比較する。サンプルは、分割液体の連続(すなわち、非離散)流動の中に出射された。
(実施例2)
表2は、250μmの内径を有する毛細管の中に出射された種々のサンプル体積の希釈係数を比較する。値は、250μL/分のメタノール流量および分割液滴の間の600m秒間隔に基づく。
本説明される技術は、それが関連する当業者がそれを実践することを可能にするような完全、明確、簡潔、かつ厳密な用語においてここで説明される。前述が、技術の好ましい側面を説明し、修正が、添付される請求項に記載されるような本発明の精神または範囲から逸脱することなく、それにおいて行われ得ることを理解されたい。

Claims (28)

  1. 分割された流動の中にサンプルを装填するためのシステムであって、前記システムは、
    a)少なくとも1つの液体サンプルおよび分割液体を受け取るための開放端を有する輸送毛細管と、
    b)前記少なくとも1つの液体サンプルと前記分割液体とを前記開放端に別個に分注するための液滴分注器であって、前記少なくとも1つの液体サンプルと前記分割液体とは、別々の液滴として前記開放端の中に交互に分注される、液滴分注器と、
    c)前記輸送毛細管に流体的に接続された導管と
    を備え、
    前記導管は、捕捉液体を前記輸送毛細管の開放端に提供する、システム。
  2. 前記分割液体は、前記少なくとも1つの液体サンプルおよび前記捕捉液体と不混和性である、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記分割液体は、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72)から成る群から選択される、請求項1または請求項2に記載のシステム。
  4. 前記液滴分注器は、音響液滴エジェクタ、重力分注器、機械的駆動装置、静電分注器、圧電分注器、および空気圧分注器から成る群から選択される、請求項1-3のいずれか1項に記載のシステム。
  5. 前記液滴分注器は、音響液滴エジェクタである、請求項1-4のいずれか1項に記載のシステム。
  6. 前記捕捉液体は、メタノールである、請求項1-5のいずれか1項に記載のシステム。
  7. 前記輸送毛細管内で搬送される前記少なくとも1つの液体サンプルをイオン化する、イオン化源をさらに備えている、請求項1-6のいずれか1項に記載のシステム。
  8. 質量分析計をさらに備えている、請求項1-7のいずれか1項に記載のシステム。
  9. 前記輸送毛細管は、250μmの内径を有する、請求項1-8のいずれか1項に記載のシステム。
  10. 分注される液体サンプル液滴の体積は、約1~10nLの範囲内である、請求項1-9のいずれか1項に記載のシステム。
  11. 前記輸送毛細管の開放端は、下に向くように向けられ、前記液滴分注器は、前記開放端の中へ上にサンプル液滴を出射するように動作する、請求項1-10のいずれか1項に記載のシステム。
  12. サンプルの分割式流動分析のための方法であって、前記方法は、
    a)輸送毛細管の開放端の中に第1の液体サンプルを分注することと、
    b)前記輸送毛細管の前記開放端の中に分割液体を分注することであって、
    前記第1の液体サンプルと前記分割液体とは、別々の液滴として前記開放端の中に交互に分注される、ことと、
    c)前記輸送毛細管を通して捕捉液体を流し、前記第1の液体サンプルと前記分割液体とを前記輸送毛細管のサンプル出口に向かって輸送することと
    を含む、方法。
  13. 前記分割液体は、前記第1の液体サンプルおよび前記捕捉液体と不混和性である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記分割液体は、パーフルオロデカリン、Novec HFE 7500、Fluorinet 40(FC-40)、およびパーフルオロオクタノール(FC-72)から成る群から選択される、請求項12または請求項13に記載の方法。
  15. ステップa)は、音響液滴エジェクタを用いた前記第1の液体サンプルと前記分割液体との非接触液滴装填を含む、請求項12-14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記捕捉液体は、メタノールである、請求項12-15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記輸送毛細管内で搬送される前記第1の液体サンプルをイオン化することをさらに含む、請求項12-16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記イオン化することは、電子衝突イオン化(EI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、およびマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)から成る群から選択される、イオン化方法を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の液体サンプルに対して質量分析を実施することをさらに含む、請求項12-18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 湿潤剤を備えている動的または恒久的コーティングを用いて前記輸送毛細管の内面において前記輸送毛細管を処理することをさらに含む、請求項12-19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記コーティングは、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル)シランを備えている、請求項20に記載の方法。
  22. 前記捕捉液体の体積を調節し、前記輸送毛細管を通して進行する前記第1の液体サンプルの分散および希釈を制御することをさらに含む、請求項12-21のいずれか1項に記載の方法。
  23. a)は、前記輸送毛細管の前記開放端の中に第2の液体サンプルを分注することをさらに含む、請求項12-21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記第2の液体サンプルは、前記第1の液体サンプルの後、前記分割液体の前に分注される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記第1の液体サンプルと第2の液体サンプルとを反応させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記第2の液体サンプルは、前記第1の液体サンプルおよび前記分割液体の後に分注される、請求項23に記載の方法。
  27. 分割された流体の中にサンプルを装填するためのシステムであって、前記システムは、
    a)少なくとも1つの液体サンプルおよび分割液体の流動を受け取るための輸送毛細管と、
    b)前記少なくとも1つの液体サンプルを前記輸送毛細管の開放端における前記分割液体の中に分注するための液滴分注器と、
    c)前記輸送毛細管に流体的に接続された導管と
    を備え、
    前記導管は、前記分割液体を前記開放端に提供する、システム。
  28. サンプルの分割式流動分析のための方法であって、前記方法は、
    a)分割液体を輸送毛細管の開放端に供給することと、
    b)第1の液体サンプルを前記開放端における前記分割液体の中に分注することと、
    c)分析デバイスへの送達のために、前記輸送毛細管を通して前記分割液体および第1の液体サンプルを引き込むことと
    を含む、方法。
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