JP2023552095A - 有機ポリマーコア、磁性材料を組み込む第1無機酸化物シェル、及びメソポーラス第2無機シェルから成る粒子 - Google Patents

有機ポリマーコア、磁性材料を組み込む第1無機酸化物シェル、及びメソポーラス第2無機シェルから成る粒子 Download PDF

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Abstract

第1無機酸化物シェルによって完全に覆われる有機ポリマーコアを含むコア・シェル粒子であって、第1無機酸化物シェルは、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、又はチタニア(TiO2)を含み;第1無機酸化物シェルは、ポリマーコア上に直接配置された磁性材料の層を含み;メソポーラス第2無機酸化物シェルを更に備え、メソポーラス第2無機酸化物シェルは第1無機酸化物シェルを覆い;メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、又はチタニア(TiO2)を含む、コア・シェル粒子。

Description

本発明は、コア・シェル粒子の設計、及び、多重化アッセイにおけるそれらの使用に関し、特に、ポリマーコア上に配置された無機シェルの設計及び合成に関する。
医療診断、環境モニタリング、安全/セキュリティ、産業衛生、食品業界、更には法医学などの異なる分野において、優先的な分析物の迅速かつ高感度の検出のための方法が重要性を増している。
利用される方法すべての中で、高速反応速度、少量の必要な試料、及び、キャリア材料の様々な可能なアーキテクチャに起因して、ビーズ式アッセイが十分に確立されており、普及している。ビーズ、すなわち粒子は一般に、例えばフローサイトメトリのようなハイスループットの高速自動分析と組み合わされる、異なるマイクロ流体フォーマットで使用される。典型的には、その低いコスト、大きいバッチで商業的に利用可能であること、及び、異なるサイズにより、ポリスチレン又はシリカ粒子がキャリアプラットフォームとして使用される。ポリスチレン粒子は、それらの高い屈折率に起因して、優れた散乱特性を保持し、フローサイトメトリの要件に沿っている。加えて、多重化の目的で蛍光色素を組み込むことは比較的容易であるが、それらの化学修飾は、非常に冗長であり、柔軟性がない。他方で、シリカ粒子は、屈折率が低いが、シラン化合物を介して容易に修飾できる。そのため、既存の粒子が限定されていることに起因して、優れた散乱特性を簡単な修飾と組み合わせるコア・シェル粒子の利用は、非常に望ましく、ポリスチレン/シリカコア・シェル粒子のいくつかの例が、例えば、US6103379A及びDE10 2016 105 122 A1において既に開示されている。しかしながら、それらの粒子は、磁性ではなく、コードされず、単純なシリカシェルだけを含む。
一方、磁性特性の組み込み、及び、メソポーラスシェルの組み込みは、粒子の扱い(単に磁石を使用することによる)、及び、アッセイの感度を非常に促進し、これは、単純なシェルと比較して、メソポーラスシェルにおける表面積が著しく増加し、多くのプローブ又はレポーター分子の付着、及び、送達機能の実装を可能にすることに起因する。
メソポーラスシリカシェルを有する磁性コア・シェル粒子を取得するための異なる手順が報告されている。CN 101236816 Aは、メソポーラス中空球における磁性内側コアの合成を開示し、一方、CN 106710773 Aは、単分散磁性多孔性シリカペレットを開示する。両方のケースにおいて、ポリスチレンコアは無い。したがって、それらを多重化の目的で利用することは限定される。
実施形態によれば、第1無機酸化物シェルによって完全に覆われた、任意選択的にその中に固定された有機色素を含む有機ポリマーコアを含むコア・シェル粒子が示唆される。第1無機酸化物シェルの無機酸化物は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)から選択され、ここで、第1無機酸化物シェルは更に、ポリマーコア上に直接配置される磁性材料の層を含む。コア・シェル粒子は更に、第1無機酸化物シェルを覆うメソポーラス第2無機酸化物シェルを含み、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルはまた、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、又はアルミナ(Al)を含む。
実施形態によれば、上で言及された実施形態のいずれかによるコア・シェル粒子を生産するための方法が示唆される。方法は、有機ポリマー材料を含むコアを提供する段階、ここで、有機ポリマー材料は任意選択的に、コアに固定された有機色素を含む;コアを完全に覆わないコア上に磁性材料を含む第1層を堆積させる段階;磁性材料を含む層上に、及び、磁性材料を含む層によって覆われないポリマーコアの表面上に直接的に、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む第1無機酸化物シェルを生成することにより、シリカ、アルミナ、及びチタニアが、実質的に閉じたシェルとして磁性層を完全に覆うようにする段階;及びメソポーラス第2無機酸化物シェルを生成する段階、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルは第1無機酸化物シェルを覆い、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む、を備える。
実施形態によれば、分析物を検出するための方法が示唆され、ここで、方法は、
請求項1から16のいずれかに記載のコア・シェル粒子を提供する段階;
未知の濃度の分析物を含む試料を用いて粒子を湿らせる段階;及び
メソポーラス第2無機シェルに連結された認識ユニットによる蛍光標識分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階;又は、
メソポーラス第2無機シェルに連結されたレポーターによる分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階、ここで、レポーターは、分析物結合時に、色、蛍光、電気化学的に生成される発光、又は、酸化還元挙動を変化させる;又は、
細孔閉鎖材料による分析物認識時に、メソポーラス第2無機酸化物シェルから放出されるレポーターによって生成されるシグナルを検出する段階
を備える。
最良の形態を含む、本発明の完全かつ当業者にとって実施可能な程度の開示が、添付図面への参照を含む明細書の別の部分でより具体的に説明されている。
示唆されるコア・シェル粒子のアーキテクチャを図示する。特に、1はポリマーコアを示し、2はコア内に封入された又は連結された色素を示し、3はポリマーコアを覆う第1無機シェル内の磁性材料を示し、4はメソポーラス第2無機シェルを示す。
パネルa)は、コア・シェル粒子の第1合成経路を含む第1実施形態を図示する。特に、[i.ポリスチレン及びPVP10又はPVP40、すなわち、平均分子量10kD又は40kDのPVPから合成された粒子(PSXY)(XY=10、40)を色素(I又はII)で任意選択的にドーピングする;]ii.磁性材料(Fe10)を使用して第1シェルを組み立てる;iii.シリカナノ粒子を有する第1シェル(N-Q×@Fe10@PSXY)を安定化する;iv.及びv.TEOSを使用してシリカシェルを収束的に成長させる前に、ミセル形成テンプレート剤(MFT)、及び、指示された場合、構造指向メディエーター(SDM)を使用することによってまずテンプレートを形成することによって第2メソポーラスシリカシェルを組み立てる;及びvi.(Z@Fe10@PSXY)を洗浄することによってMFTを除去する。 パネルb)は、コア・シェル粒子の第2合成経路を含む第2実施形態を図示する。特に、[i.任意選択的にポリスチレン及びPVPから合成された粒子(PSXY)を色素(I又はII)でドーピングする;]ii.及びiii.TEOSを使用してシリカシェルを収束的に成長させる前に、ミセル形成テンプレート剤(MFT)、及び、指示された場合、構造指向メディエーター(SDM)を使用することによってテンプレートをまず形成することによってメソポーラスシリカシェルを組み立てる;及びiv.(Z@PSXY)を洗浄することによってMFTを除去する。
パネルa)コア・シェル粒子の官能基化を含む第1実施形態を図示する。特に、i.洗浄によってMFTを除去する;及び、ii.レポーター分子を内側及び外側細孔表面に連結する。 パネルb)は、コア・シェル粒子の官能基化を含む第2実施形態を図示する。特に、i.洗浄によってMFTを除去する;ii.第1分子、例えばレポーター分子を内側及び外側細孔表面に連結する;及びiii.第2分子、例えば不動態化剤又は防汚剤などの表面特性調節分子を内側及び外側細孔表面に連結する。代替的に、段階ii.及びiii.は交換可能であり得る。 パネルc)は、コア・シェル粒子の官能基化を含む第3実施形態を図示する。特に、i.洗浄によってMFTを除去する;ii.2つの機能性分子、例えば、レポーター分子及び防汚剤を単一ステップで内側及び外側細孔表面に連結する。 パネルd)コア・シェル粒子の官能基化を含む第4実施形態を図示する。特に、i.第1分子、例えば、不動態化剤又は防汚剤などの表面特性調節分子を外側細孔表面だけに連結する;ii.洗浄によってMFTを除去する;及びiii.第2分子、例えばレポーター分子を内側細孔表面だけに連結する。実施形態によれば、6~40エチレングリコール単位、好ましくは6~9個のエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコール(PEG)が防汚剤として使用され得る。それは、例えば6~40個のエチレングリコール単位(PEG6-40-PTMS)を含む(3-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシランから開始して、対応する表面に連結され得る。
パネルa)ゲート制御材料の第1調製方法を含む実施形態を図示する。特に、i.洗浄によってMFTを除去する;ii.細孔にインジケータ分子を装填する;iii.アンカー分子を外側細孔表面だけに連結する;及びiv.細孔閉鎖材料で細孔を閉鎖する。 パネルb)は、ゲート制御材料の調製方法を含む別の実施形態を図示する。特に、i.洗浄によってMFTを除去する;ii.アンカー分子を内側及び外側細孔表面に連結する;iii.細孔にインジケータ分子を装填する;及びiv.細孔を細孔閉鎖材料で閉鎖する。 パネルc)示唆されるゲート制御材料の調製方法を含む別の実施形態を図示する。特にi.第1分子、例えばアンカー分子を外側細孔表面だけに連結する;ii.洗浄によってMFTを除去する;iii.第2分子、例えば不動態化剤などの表面特性調節分子を内側細孔表面だけに連結する;iv.細孔をインジケータ分子で装填する;v.細孔を細孔閉鎖材料で閉鎖する。
分析物検出方法の実施形態を非常に模式的に図示する。それは、粒子アナライザ(例えば、フローサイトメータ又は蛍光活性化セルソータ)における多重化アッセイのコア・シェル粒子の異なる群の個別粒子分析を含む。ここで、参照符号5は、シリカシェル3を含むメソポーラスシリカの細孔を示し;参照符号6-メソポーラスシェルの表面に共有結合し、相補的な標的鎖とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドから成るDNA鎖の対であり、後者は参照符号7-シグナルが検出され得る蛍光標識で標識され、分析物の存在が検出される。粒子ソータの代わりに、他のフロースルー測定ユニット、例えば、並列フロー又は液滴式マイクロ流体における並列又は直列抽出などを用いた単相マイクロ流体分析又は二相性マイクロ流体分析が使用され得る。
は、フローサイトメータを用いて典型的に取得されるSSC(側方散乱光)に対するFSC(前方散乱光)のドットプロットであり、粒子PS40(左)及びPS10(右)の分散度を示す。
か焼(calcinated)されたM-PS10(上)及びM-PS40(下)のTEM顕微鏡写真の複製であり、使用されるPSコアに応じた異なるシェルの種類を示す。
添加されたt-DNAの量に応じたDNA-M-PS40の蛍光を図示する。4つのパラメトリックロジスティックフィットが点線で示される。
プルロニック(登録商標)123(P123)をテンプレートとして、MgSOを構造指向剤として用いて酸性条件下で合成されたSBA-15型シェルを有するS1-PS10(a)及びS1-PS40(b)のSEM顕微鏡写真を示す。
P123及びCTABを用いて酸性条件下で合成されたSBA-15型シェルを有するS2-PS10(a)及びS2-PS40(b)のSEM顕微鏡写真を示す。
P123及びNaClを用いて中性条件下で合成されたSBA-15型シェルを有するS3-PS10(a)及びS3-PS40(b)のSEM顕微鏡写真を示す。
P123及びMgSOを用いて中性条件下で合成されたSBA-15型シェルを有するS4-PS10(a)及びS4-PS40(b)のSEM顕微鏡写真を示す。
添加されたt-DNAの量に応じたDNA-S4-PS10(上)及びDNA-S4-PS40(下)の蛍光を示す。
ドーピングされたPS40a‐d粒子(異なる粒子群の混合物)の1:1:1:1混合物の俯瞰的なSEM顕微鏡写真である。
a)粒子DNA[HPVxy]-S4-PS40a-d(xy=6、11、18、16、「xy」はヒトパピローマウイルス(HPV)クラス6、11、18又は16に対応し、a-dは、ポリスチレンコアにドーピングされた色素の異なる色素濃度に対応する)のFSC及びFL4;b)対応する散乱プロット;c)t-DNA[HPV16]の存在下における色素ドーピングされた粒子を用いた多重化;及び、d)強化された蛍光によって示されるt-DNA[HPV11]を用いた多重化のドットプロットを示す。
異なる濃度のt-DNA[HPVxy]の存在下における(左)、及び、t-DNAの非存在下における(対照;右)、DNA[HPVxy]-S4-PS40a-dを用いた4:4多重化アッセイのドットプロットである。「xy」は、HPVクラス6、11、18又は16に対応し、一方、a-dは、ポリスチレンコアにドーピングされた色素の異なる色素濃度に対応する。
BODIPY色素I、(E)-2-(3-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)-5,5-ジフルオロ-1,7,9-トリメチル-5H-5λ,6λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリニン-10-イル)キノリン-8-オールの化学構造を示す。
M-PS40のN吸脱着等温線(左)及び対応する細孔サイズ分布(右)を示す。
多くの(S5-PS10、左)、及び、少ない(S6-PS10、右)量のMgSOを利用して中性条件下で取得されるSBA-15型シェルのSEM顕微鏡写真を示す。
S4-PS40のN吸脱着等温線(左)及び対応する細孔サイズ分布(右)を示す。
か焼されたS4-PS40粒子のTEM顕微鏡写真(a、b)、S4-PS40粒子のTEM顕微鏡写真(c)、及びSTEMマッピング(d)、(e)S4-PS40粒子のメソポーラス構造を示すTEM顕微鏡写真、及び、(f)S4-PS40粒子のTEM画像からの対応する高速フーリエ変換(FFT)画像である。
基準としてペンチルアミンを利用するニンヒドリン試験較正曲線である。
添加されたt-DNAの量に応じた、コア・シェル粒子DNA-N-PS40(中実の正方形)、DNA-M-PS40(中空の円形)、DNA-S4-PS40(中実の三角形)の蛍光を示す。4つのパラメトリックロジスティックフィットが線として示される。
c9-DNA(左)及びc15-DNA(右)を利用する、t-DNAでハイブリダイズされたコア・シェル粒子DNA'‐S4-PS40の蛍光を示す。
異なるミスマッチを含む添加されたt-DNAの量に応じた、異なるコア・シェル粒子(DNA-S4-PS40)のt-DNAの存在下における最大蛍光強度に正規化された蛍光を示す。
1:1(上)及び4:1(下)アッセイフォーマットにおける、相補的t-DNA[HPVxy]鎖を使用する、ハイブリダイズされたDNA[HPVxy]-S4-PS40a-dの蛍光を示す。「xy」は、HPVクラス6、11、18又は16に対応し、一方、a-dは、ポリスチレンコアにドーピングされた色素の異なる色素濃度に対応する。
乾燥後のFe10のSEM顕微鏡写真である(200nmのスケールバー)。
単一Fe10粒子のSEM顕微鏡写真である(100nmのスケールバー)。
Fe10粒子のTEM顕微鏡写真である。
色素IでドーピングされたPS粒子の散布図である。
蛍光に応じた粒子分布プロットを示し、異なる濃度の色素Iを有する異なるドーピングPSを示し、濃度は1から3に増加する。
ドーピングされたN-3×@Fe10@PS10の散布図である。
N-3×@Fe10@PSの蛍光に応じた粒子分布プロットを示す。
N-1×@Fe10@PS10の散布図分布(上)及びSEM顕微鏡写真(下、100nmのスケールバー)を示す。
N-3×@Fe10@PS10のSEM顕微鏡写真を示し、粒子を俯瞰的に(左、200nmのスケールバー)、及び、シリカシェルの粗度を拡大して(右、30nmのスケールバー)示す。
N-5×@Fe10@PS10のSEM顕微鏡写真を示し、粒子を俯瞰的に(左、200nmのスケールバー)、及び、シリカシェルの粗度を拡大して(右、30nmのスケールバー)示す。
N-3×@Fe10@PS10のTEM顕微鏡写真(左)及び対応するEDXスペクトル(右)である。
Fe含有物の高角度環状暗視野イメージング(HAADF)STEMマッピング(左)及びN-3× @Fe10@PS10のSTEMマッピング(右)を示す。
M@Fe10@PS10のSEM顕微鏡写真である(100nmのスケールバー)。
S1@Fe10@PS10のTEM顕微鏡写真(左)、多孔性シリカシェルの拡大図(中央)、S2@Fe10@PS10のTEM顕微鏡写真(右)である。
(HAADF)STEMマッピングの高角度環状暗視野イメージング(左)及びS1@Fe10@PS10の対応するEDXスペクトル(右)である。
色素II、5,5-ジフルオロ-3,7-ビス((E)-4-メトキシスチリル)-1,9-ジメチル-10-(ペルフルオロフェニル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリンの化学構造を示す。
色素IIを有するドーピングされたPS10のSEM顕微鏡写真である(0.25nMの濃度、300nmのスケールバー)。
S4@Fe10@PS10のSEM顕微鏡写真であり、粒子を俯瞰で(左、100nmのスケールバー)、及び、シリカシェルの多孔性を拡大図で(右、30nmのスケールバー)示す。
S4@Fe10@PS10のTEM顕微鏡写真であり、粒子を俯瞰で(左)、シリカシェルの多孔性を拡大図で(中央)、及び、対応するFFT画像(右)を示す。
(a)cDNAの添加時のハイブリダイゼーションバッファにおけるビーコン-S-PSの520nm(λexc=490nm)における発光強度である。(b)ハイブリダイゼーションバッファにおけるBeacon-PSの520nm(λexc=490nm)における発光強度に対する、様々な微生物、すなわち、真菌カンジダトロピカリスATCC750(中実の正方形)、並びに、細菌シュードモナスエルギノーザATCC15442(中空の円)及びフラボバクテリウムジョンソニアエATCC17061(中実の三角形)からのゲノムDNAの濃度である。
pH変更刺激時の制御放出用途に設計された材料(pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10)、また、Hg(II)(Hg-SRG-M-PS10)及びペニシリン(Pen-SRG-M-PS10)を感知するための2つの異なるゲート制御材料を含む実施形態の動作原理を示すスキームである。
異なる濃度のHg(II)の添加時のPBSバッファ(0.02% w/v)においてHg-SRG-M-PS10の533nm(λexc=488nm)でサイトメータを用いて測定された発光強度である。
a)~b)。pHに応じた、材料a)SRG-M-PS10及びb)pH-SRG-S-PS10についての蛍光光度計を用いて測定された550nm(λexc=520nm)における発光強度である。c)~d)は、pHに応じた、c)SRG-M-PS10及びd)pH-SRG-S-PS10の533nm(λexc=488nm)におけるサイトメータを用いて測定された対応する発光強度である。
異なる濃度のペニシリンの添加時のPBSバッファ(0.02% w/v)においてPen-SRG-M-PS10の533nm(λexc=488nm)でサイトメータを用いて測定された発光強度である。
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面が参照され、それらは、本発明の具体的な実施形態及び特徴を例示として示す。他の実施形態が利用され得、本発明の範囲からの逸脱なく構造的又は論理的な変更が行われ得ることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、請求項及び/又は明細書における「含む」という用語と併せて使用されるとき、「a」又は「an」という単語の使用は、「1」を意味し得るが、「1又は複数」、「少なくとも1」及び「1又は1より大きい」の意味も構成する。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、請求項における「又は」という単語の使用は、代替のみを明示的に指すか、又は、代替が相互に排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、数値の前に使用される単語「約」は、数値の範囲を示し、示される数値から±5%の統計的逸脱を包含する、すなわち含む。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、単語「含む」(並びに、「含み」及び「含ま」など、含むの任意の形態)、「有する」(並びに、「有し」及び「有さ」など、有するの任意の形態)、「備える」(並びに、「備え」及び「備」など、備えるの任意の形態)、「含有する」(並びに、「含有し」及び「含有」など、含有するの任意の形態)、又は、「包含する」(並びに、「包含し」及び「包含」など、包含するの任意の形態)は、包括的又はオープンエンドであり、追加的な列挙されていない要素又は方法の段階を除外するものではない。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、1nm~100nmの算術的に検出可能な平均直径を有する、典型的には球状又は球状に近い形状の中実ボディを包含するものとして理解される。本説明において使用される収束合成手法に起因して、本説明において使用される非磁性ナノ粒子は、相互接続され、コア粒子又はシェルを保持するコア粒子の外部表面上に位置し、それにより、対応する次のシェルを形成する。典型的には、本説明及び請求項において使用される超磁性ナノ粒子は、算術平均直径5nm~20nmを有する、典型的な直径範囲7±2nmを有する酸化鉄粒子;2~40nmである、典型的な直径範囲5±3nmを有する無孔性シリカナノ粒子、20~150nmである、典型的な直径範囲50±10nmを有するメソポーラスMCM-41型粒子、並びに、30~300nmである、典型的な直径範囲150±50nmを有するメソポーラスSBA-15型粒子を含む。本説明において使用される非磁性粒子は、収束合成プロセスに起因してシェルに成長すると、例えば、単一の粒子がシェルにおいて観察可能でないように、無孔性シリカナノ粒子は相互接続される。
酸化鉄粒子については、超常磁性粒子を取得するための上限範囲として、一部の著者は、100nmを主張し、他の著者は50nmを主張していることに留意されたい。我々は、超常磁性特性を保持する粒子について、直径9nm粒子(7±2nm)の典型的な最大直径を取得した。これらの粒子の超常磁性特性については、例えば、酸化鉄ナノ粒子では、単に1つの単一磁性ドメインの存在に依存することに留意されたい。科学的文献におけるサイズ関連情報は多岐にわたり、我々の認識によれば、典型的なサイズは、3nm~150nmの範囲である。典型的には、50nmが従来の上限であるが、より大きいものも説明され、又は、原理的に生産され得る。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、「マイクロ粒子」という用語は、典型的には球状の物体、例えば、算術的に計算されるメディアンが1μm~20μmである外径を有するコア・シェル粒子を包含するものと理解される。ナノ及びマイクロ粒子の外径は典型的には、例えば、電子顕微鏡検査又は光散乱技法を使用することによって検出され得る。
本明細書において使用される場合、「シリカシェル」という用語は、有機ポリマーコアを直接覆うシェル、又は、磁性材料がコアの上に配置される場合、第1無機酸化物シェルとして磁性材料を覆い、シェルのいずれかを示し、従って、例えば単に立体障害によって、磁性材料を例えば、更なる取り扱い中に酸性条件下で溶解から保護し、及び/又は、ポリマーコアに組み込まれ、従って拡散時に希釈され得る色素の漏洩を防止する。典型的には、それは例えば、いわゆるゾルゲル処理、例えばストーバー処理(Stober, W. et al., J Colloid Interface Sci, 1968, 26 (1), 62-69)において、前駆体化合物、例えば、ケイ素を含むオルトケイ酸テトラエチルから加水分解によって形成されるシリカ(SiO)ナノ粒子を含む。代替的に、無機酸化物シェルはまた、アルミナ(Al;例えば、S. M. Nazemosadat et al., Ceram. Int. 2018, 44, 596-604)又はチタニア(例えば、S. Karmaruddin et al., Catal. Today 2011, 161, 53-58)を含むナノ粒子を含み得る。両方のナノ粒子は、ゾルゲル処理において、可溶性前駆体、例えばアルミナの場合はアルミニウムイソプロポキシド、又は、チタニアの場合はチタンn-ブトキシドから同様の手法を使用して生成され得る。従って、有利なことに、第1無機酸化物シェル及びメソポーラス第2無機酸化物シェルは収束合成において調製され得る。
本説明(上及び下)及び請求項において使用される場合、用語「蛍光(fluorescence)」、「蛍光(fluorescent)」、「蛍光測定」、「蛍光色素」、「蛍光部分」、及び、それらに関するいずれかの用語は、例えば、励起波長、発光波長、蛍光強度、蛍光量子収率、蛍光寿命又は減衰、蛍光消光又は退色、及び/又は、それらの値及びその/それらの検出のいずれかの比率などの、光学的特性又はその検出を含むと理解される。
特に、エンティティ、例えば、化学物質又はイオンの蛍光は典型的には、励起波長(又は励起波長範囲)及び発光波長(又は発光波長範囲)によって特徴付けられる。典型的には、示される範囲の各々は少なくとも1つの明確な最大値を有する。従って、本明細書において使用される「第1蛍光」は、「第1励起波長」又は「第1励起波長範囲」及び/又は「第1発光波長」若しくは「第1発光波長範囲」をそれぞれ含み、本明細書において使用される「第2蛍光」は、「第2励起波長」又は「第2励起波長範囲」及び/又は「第2発光波長」又は「第2発光波長範囲」を含む。
本明細書において議論されるコア・シェル粒子のサイズ(直径)については、それらのサイズは、例えば、フロースルー測定のセットアップ又は多重化懸濁液アレイ蛍光イムノアッセイ(SAFIA)などにおいて、単一粒子の取り扱いに適合され、従って、100nm~5μm、好ましくは250nm~あ3μm、好ましくは750nm~1500nmの範囲である。特に、有機ポリマーコアは典型的には、0.05~1.8μm、例えば0.1~1.5μm、0.2~1μm、又は0.5~1.5μmの算術平均直径を有し;無機酸化物を含み磁性層を覆う1つのシェルは、10~200nmの範囲、例えば10、20、25、30、35、40、45、50、55、75、100、125、150、175、190又は200nmの厚さを有し;コア・シェル粒子全体は、0.1~2μm、例えば0.5μm~2.5μm、好まし0.8μm~2μmの算術平均直径を有する。これらのサイズ範囲の算術平均直径は、例えば、使用既知の散乱光技法によって、又は例えば、(走査)電子顕微鏡検査によって、十分に単分散した粒子について決定され得る。
実施形態によれば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、及びチタニア(TiO)から選択される第1無機酸化物シェルが後に続く、ポリマーコア上に直接配置された磁性材料の第1層によって覆われた有機ポリマーコアを含むコア・シェル粒子が示唆される。コア・シェル粒子は更に、第1無機酸化物シェルを覆うメソポーラス第2無機酸化物シェルを含み、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルはまた、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、又はアルミナ(Al)を含む。
有利なことに、色素コードコアの場合に励起及び測定に必要である磁性第1無機シェルの光学的透明性を維持するなどのために、磁性材料の量は調節される。有利なことに、磁性層の上の第1無機シェルは、シリカ、アルミナ、又はチタニアを含む第2メソポーラスシェルが収束的に形成される前に、ミセル形成テンプレート剤(MFT)及び構造指向メディエーター(SDM)と、第1無機シェルの表面との相互作用を可能にする。
実施形態によれば、ポリマーコアは、ポリマーコア又はその構成成分のうちの少なくとも1つに共有結合で連結されているか、又は、有機ポリマーコアを含むポリマーネットワーク内に立体障害的に封入されているかのいずれかである有機蛍光色素を含み、ここで、第1無機酸化物シェル及びメソポーラス第2無機酸化物シェルは、色素の漏洩に対してポリマーコアを、例えば酸性外部環境における溶解に対して磁性材料を、両方とも隔離し、又は保護する。
有利なことに、第1無機酸化物シェルは、任意選択的にメソポーラス第2無機酸化物シェルと共に、任意の直接的な流体の接触を防止することによって、有機ポリマーコア内に包囲される、例えば立体障害的に封入される色素の漏洩から有機ポリマーコアを保護する。更に、第1無機酸化物シェルは、任意選択的にメソポーラス第2無機酸化物シェルと共に、コア上に直接堆積される、第1無機酸化物シェルの下に埋め込まれる磁性材料を、例えば粒子が接触する酸性環境において溶解から保護する。特に、単純な水ではなく、有機溶媒及び酸に対する保護が重要である。なぜなら、典型的に使用される色素は水に浸透しないからである。
実施形態によれば、ポリマーコア内の色素の種類及び/又は濃度は、異なるコア・シェル粒子の群を含む多重化アッセイにおいて使用され得る粒子コードを可能にするなどのために調節され、ここで、典型的には、異なる群の異なるようにコードされた粒子は、異なる分析物についての感度を含む。
有利なことに、色素の異なるタイプによって、又は、コアと関連付けられた色素の異なる濃度によって、コア・シェル粒子がコードされ得る。そのようなコードは、多重化アッセイ、すなわち、異なるようにコードされたコア・シェル粒子の使用を含む、1回の実行の異なる分析物の同時検出の設計を可能にし、同一にコードされた粒子の各群は、別の分析物について特異的である。多重化アッセイは、コストを低減し、分析物検出の性能を強化することを可能にする。コアにおける異なる色素及び/又は異なる色素の濃度の利用によって、大量の分析物の同時検出を可能にし得る大量のコードの取得が可能となる。
実施形態によれば、上で言及された色素は、励起波長及び発光波長を含む蛍光色素である。
有利なことに、異なる励起及び/又は発光波長を有する異なる色素を慎重に選択することによって、混合懸濁液において異なる粒子が認識され得る。そのような混合粒子懸濁液は、多重化アッセイにおける使用に適している(上を参照)。
実施形態によれば、磁性材料はナノ粒子を含み、ここでナノ粒子は、Fe、Fe、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO、NiO/Fe、及びYFe12のうちの少なくとも1つを含む。
有利なことに、磁性材料は、感知粒子の調製中の粒子の取り扱いを容易にし、また、アッセイ中、例えばマイクロ流体アッセイ中に、チャンバにおけるそれらの累積又は事前濃縮を可能にし、同様に、洗浄段階がアッセイのワークフロー又はプロトコルに統合され、アッセイの検出性能及び感度が改善される。
実施形態によれば、磁性ナノ粒子は、Fe又はFeを含み、静電相互作用を通じて有機ポリマーコアに付着される。
下で更に開示されるように、磁性ナノ粒子は、PVPの存在下においても調製され、ここで、PVP分子は、これらの超常磁性ナノ粒子を覆い、可溶化する。したがって、それらはポリスチレンコア上で容易に堆積され、第1無機酸化物シェルの成長を容易にし、更なる取り扱い中の分解から保護する。
有利なことに、第1無機酸化物シェルの収束合成が粒子の周りにおける均一なシェルの形成を可能にする前に、静電相互作用は、ポリマーコア上の磁性層の組み込みを可能にする。
実施形態によれば、第1無機酸化物シェル及びメソポーラス第2無機酸化物シェルの無機酸化物はシリカである。
有利なことに、異なるシリカ前駆体物質が利用可能であり、収束合成によって生成されたシリカシェルの表面特性、特に、化学連結/官能基の連結に利用可能な粗度、従って比表面積が、アッセイフォーマット又は分析物種の現在の要件に従って容易に調整され得る。
実施形態によれば、メソポーラス第2無機シェルはシリカを含み、それらの細孔形状、例えば、(2次元又は3次元の)円筒形又は(3次元の)ケージ型構造のいずれかに従って区別され得る。六方対称の円筒形構造は、MCM-41型材料(約2.5±0.5nmの直径を有する細孔を含む)、SBA-15型材料(約13±7nmの直径の細孔を含む)、UVM-7型材料(約2±0.5nm及び20±10nmの直径を有する細孔の二峰性分布を含む)、HMS型材料(約3±1nmの直径を有する細孔を含む)、FSM-16型材料(約3±1nmの直径を有する細孔を含む)、FDU-15型材料(約7±3nmの直径を有する細孔を含む)、COK-12型材料(約7±2nmの直径を有する細孔を含む)、又は、MSU-X型材料(約4±2nmの直径を有する細孔を含む)、MSU-H型材料(約3±1nmの直径を有する細孔を含む)、MCM-48型材料(約4±1.5nmの直径を有する細孔を含む)、SBA-16型材料(約10±5nmの直径を有する細孔を含む)、FDU-12型材料(約15±5nmの直径を有する細孔を含む)、若しくは、KIT-5型材料(約9±5nmの直径を有する細孔を含む)などの立方体対称を有する構造から選択される。対照的に、FDU-1(Imm)型材料、SBA-1(Pmn)及びAMS-8(Fdm)型材料などのケージ型メソケージ固体は、より小さいケージ接続ウィンドウによって3次元的に接続された球状又は楕円体ケージから成る。これらすべての材料はシリカ系である。
換言すると、実施形態によるメソポーラス第2無機シェルは、シリカを含み、
2次元構造、すなわち、円筒形細孔、又は、3次元構造、すなわち、ケージ型構造、
約2.5±0.5nmの直径を有する細孔を含むMCM-41型材料;
約13±7nmの直径を有する細孔を含むSBA型材料;
約2±0.5nm(第1モード)及び約20±10nm(第2モード)の直径を有する細孔の二峰性分布を含むUVM-7型材料;
約3±1nmの直径を有する細孔を含むHMS型材料;
約3±1nmの直径を有する細孔を含むFSM-16型材料;
(約7±3nmの直径を有する細孔を含む)FDU-15型材料;
(約7±2nmの直径を有する細孔を含む)COK-12型材料;
約4±2nmの直径を有する細孔を含むMSU-Xなどの立方体対称を有する構造;
(約3±1nmの直径を有する細孔を含む)MSU-Hなどの立方体対称を有する構造;
(約4±1.5nmの直径を有する細孔を含む)MCM-48型材料;
(約10±5nmの直径を有する細孔を含む)SBA-16型材料;
(約15±5nmの直径を有する細孔を含む)FDU-12型材料;
(約9±5nmの直径を有する細孔を含む)KIT-5型材料;及び
より小さいケージ接続ウィンドウによって3次元的に接続される球状又は楕円体ケージを各々が含む、FDU-1(Imm)、SBA-1(Pmn)、及びAMS-8(Fdm)などのケージ型メソケージ固体
の1つから選択される。
メソポーラス材料、例えば、上に列挙されたものは、2nm~50nmの、より低いナノメートル範囲における細孔サイズを有する多孔性材料のクラスであり、細孔は一般には、整列された、又は、規則的な配列を示す。整列されたメソポーラス材料は、2nm~50nmの範囲の均一な細孔サイズ、高い細孔体積(0.1~2cm-1)、及び、高い~非常に高い比表面積(100~1300m-1)を有し、それらのメソポーラス細孔は、もっとも一般には、六方、立方、又はラメラ配列で3次元的に整列されている。メソポーラス無機酸化物材料は、高い温度において、化学的に不活性であり、安定であり、それらの合成は、容易な生産のアップスケールを可能にし、既知のアルコキシド官能基化化学を使用して化学的に修飾され得る安価で安全な前駆体を必要とする。従って、そのような材料は、触媒作用、分離、吸着、貯蔵、生体分子固定、生体医療組織再生、薬物送達、化学及び生化学感知において広く使用されてきた。
有利なことに、異なる細孔サイズは、例えば、固定される生体分子のサイズ(又は分子量)に、又は、メソポーラス細孔の内側に保存されるレポーターに対して、アクセス可能表面を調節することを可能にする。異なる細孔サイズはまた、細孔の閉塞を回避できることを保証する。小さい分子レポーターが細孔壁に固定されるとき、小さい細孔サイズは既に、更に小さい分子が細孔内へより深く、妨げられることなく拡散することを保証する。より大きい生体分子レポーターが固定されるとき、より大きい細孔サイズだけが、妨げられることなく拡散することを保証する。メソポーラス材料は、狭い細孔サイズ分布、及び、大きい表面積など、多くの利点を有し、それらの内側及び外側の壁は、簡単な方式で、独立に又は協働して有機分子で官能基化可能であり、一方で生体適合性を有し、低い毒性を保持する。加えて、メソポーラス材料は、感知、薬物送達、吸着、及び触媒作用のための著しい可能性を示す。
実施形態によれば、メソポーラス層は、MCM型材料を含み、MCM型材料の細孔は、3nmから5nmまで拡張され得;又は、メソポーラス層は、SBA型材料を含み、SBA型材料の細孔は、細孔拡張剤、例えば1,3,5-トリメチルベンゼン(TMB)の利用を通じて6nmから20nmまで拡張され得る。
有利なことに、アルカン又はTMBなどの細孔拡張分子の利用は、より大きい直径を有する細孔の生成を可能にし、これは、材料の細孔内における特定の分子の拡散を容易にする。細孔拡張分子は、ミセルの疎水性コアに組み込まれ、より大きい直径を保持するミセルの膨潤をもたらす。
実施形態によれば、収束的に成長したシリカシェルを含むか、収束的に成長したアルミナシェルを含むか、又は、収束的に成長したチタニアシェルを含むかに関わらず、メソポーラス無機酸化物シェルの細孔は、実質的に規則的に配列される。
有利なことに、本明細書においては言及されていない、メソポーラスシェルの実質的に一定の厚さの他に、規則的な配列は、標準化された粒子特性を可能にする。標準化された粒子、又は、換言すれば、標準化された(及び再現可能に取得可能な)アーキテクチャを有する粒子は、より信頼でき再現可能な適用を保証する。
実施形態によれば、メソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔は、インジケータ又は認識ユニット(例えばオリゴヌクレオチド)を含み、ここで、インジケータ又は認識ユニットは、内側細孔表面及び/又は外側細孔表面に移植され;ここで、インジケータは、分析物との相互作用の後のシグナル変化を発生させる、蛍光色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、及び電気化学発光活性物質から選択され;ここで、認識ユニットは、探されている対応する核酸配列と対を形成することが可能である短い核酸オリゴマーから選択され;ここで、インジケータ及びオリゴヌクレオチドは、分析物又は標識された分析物に結合する、及び/又は、それらを示すように適合される。
有利なことに、メソポーラスシェルの高い比表面積は、粒子あたり、著しくより多くのインジケータ又は認識ユニットに付着することを可能にし、より高感度の分析、及び、より低い検出限界をもたらす。有利なことに、光学的又は電気化学的にシグナリングするインジケータが使用されるとき、メソポーラスシェルに付着した上記インジケータは、分析物に直接結合し、それを示し得る。代替的に、認識ユニット自体、例えばオリゴヌクレオチドがシグナリング機能を保持しない場合、標識された分析物に直接結合するために使用され得、認識ユニットへの結合を通じて試料からのメソポーラス第2無機シェル内に濃縮されている、又は、それにあるので、その存在は認識可能である。
実施形態によれば、分析物は、金属イオン、無機陰イオン、糖、ホルモン、薬物、殺虫剤、毒物、化学兵器剤、及びDNA又はRNA鎖から選択される。
医療、生化学、環境、食品、法医学、及び技術的適用の分野において、そのような分析物を感度よく選択的に検出する利点は明らかである。
実施形態によれば、メソポーラス第2無機酸化物シェルは、メソポーラス材料の外側細孔表面及び/又は内側表面に共有結合で連結されたアンカー分子を含む。アンカー分子は、以下から選択される。(a)オリゴヌクレオチド、ハプテン、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、有機チオール(例えば、メルカプトプロピルシラン又はチオール末端オリゴ(エチレングリコール))、ペプチド(例えば、酵素トリガ放出のためい)、及び有機オリゴアミン;ここで、アンカー分子は、細孔閉鎖材料に結合するために適合される;又は、(b)アンカー分子は、オリゴアミン、フォトクロミック分子(例えばスピロピラン)、及び熱応答性分子(例えば、オリゴ-(N-イソプロピルアクリルアミド)から選択され;アンカー分子は、プロトン、光、及び温度から選択される外的刺激との相互作用時に膨潤/解膨潤するよう適合される。
有利なことに、細孔閉鎖材料を選択する柔軟性と併せて、アンカー分子の大きいライブラリからの個別の選択は、目的に合ったアッセイの設計を可能にする。
実施形態によれば、メソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔は、レポーターを含み、レポーターは、色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、及び電気化学発光活性物質から選択される。
有利なことに、細孔のアスペクト比率、すなわち、それらの長さ及び直径の比率は、1を遥かに上回り、典型的には5を上回る。これにより、高い感度を保証する一方で、効果的なレポーター装填容量、及び、アッセイにおける高速放出を可能にする。
実施形態によれば、レポーターが色素であるとき、色素は、色素、特に、蛍光色素、化学発光色素、及び、電気化学発光色素から選択され、すなわち、少なくとも吸収波長を含み、任意選択的に発光波長を含む。
有利なことに、蛍光検出は、断然もっとも高感度な光学検出方法である。これにより、レポーター分子の放出が分析物の存在によってトリガされる、すなわち、細孔閉鎖材料による分析物の結合、従って、細孔の開放という条件で、所与の分析物についてのアッセイ感度を更に強化することが可能となる。
実施形態によれば、細孔はキャッピングされ、すなわち、分析物に特異的に結合するよう適合された細孔閉鎖材料によって閉鎖される。
有利なことに、単一の分析物認識イベント(トリガ)により、大きなシグナル増幅が取得され得る。
実施形態によれば、レポーターを含む細孔が、細孔閉鎖材料又はアンカー分子による分析物への特異的な結合で開放され、これは、周囲の液体相へのレポーターの迅速な放出をトリガする。
有利なことに、細孔閉鎖材料の感度、すなわち、抗体又は抗体断片の結合活性は、数分以内の高速分析物検出を可能にすることなどのために選択され得る。
実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、特異的な分析物に結合又はポリカチオン修飾された細孔表面にポリアニオンとして静電的に結合可能な核酸オリゴマー、有機チオールと反応可能な分子、及び、例えばプロトンなどの分析物種の存在下/非存在下において又は例えば光若しくは温度などの刺激に応答して膨潤/解膨潤する又はコンフォメーションを変更し得る分子又は材料から選択される。
有利なことに、細孔閉鎖材料と同等であるとき、アンカー分子の膨潤/解膨潤、又は、コンフォメーションの変化は、細孔開口に又はその中に分子が存在する空間の変化を発生させる。典型的には、細孔閉鎖材料として作用するそのようなアンカー分子のコンフォメーションは、細孔を効率的に閉鎖する大きいものから、細孔出口に空隙又は開口を残す折り畳まれた又は細いものへ変化し、一方、分子は表面になお共有結合したままであり、レポーターが細孔開口を通じて細孔から拡散することを可能にする。プロトン、光、又は温度などのトリガを使用する利点は、分析アッセイの厳密な環境制御を可能にすることである。有機チオールを使用する更なる利点は、ジスルフィド結合を還元して2つのチオールを形成し、従って、細孔の開放をもたらすことを可能にする酸化還元活性分析物を検出するために使用され得るジスルフィド結合形成を介して細孔閉鎖材料を連結することが可能であることに関する。ナノ粒子に結合されないオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのリン酸骨格に基づいて、ポリアニオンとしての特性に起因して、細孔閉鎖材料として使用され得、ここで、メソポーラス材料の表面上のポリカチオン(例えば、単純なAPTES表面又は共有結合で固定されたオリゴアミン)は、メソポーラス材料の表面上のアンカー分子として作用する。したがって、細孔を閉鎖するために使用される二本鎖を、塩基対形成を介して形成することは、オリゴヌクレオチドの機能ではない。なぜなら、一本鎖及び二本鎖は、細孔を閉鎖する機能において著しく異ならないからである。
更に、これらの異なるタイプの分子は、様々なアッセイの設計を提供し、すなわち、多くの種類の分析物の特異的認識を可能にする。したがって、示唆されるコア・シェル粒子の適用は、医療、生化学、環境、食品、法医学、及び技術的適用の分野に関する。外部のトリガに応答してコンフォメーションを変更する材料は更に、分析アッセイの厳密な環境制御を可能にする。例として、プロトンの非存在下で塩基性pHにおいて細く、プロトン化のときに、正荷電アンモニウム基間の静電反発力に起因して膨潤する有機オリゴアミン、フォトクロミック分子、例えば、無極性中性状態から極性荷電状態に変化するスピロピラン又はアゾベンゼン(UV光で照射されたときの、スピロピランからメロシアニンへの変換(ここで、可視光を用いて元に戻すことが可能である))、並びに、より低い臨界溶液温度(LCST、30~40℃)の下の温度における水和膨潤状態、及び、LCSTより上の温度における非水和折り畳み状態のオリゴ‐(N-イソプロピルアクリルアミド)がある。
実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、2nm~25nmの直径を有する、金又は銀、カーボンナノドット又は量子ドット、又は、半導体ナノ結晶(例えば、CdS、ZnSシェルを有するCdS)を含むナノ粒子から選択され、メソポーラス材料の細孔の直径に一致するように選択され、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー(ここで、アプタマーは、分析物に特異的に結合可能である合成オリゴヌクレオチド又は合成ペプチドを含むとみなされる)、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、探している対応する配列と対形成することが可能又は特異的な分析物に結合することが可能であるな核酸オリゴマー、有機チオールと反応することが可能である分子、並びに、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン及び有機チオールに結合し得る分子で修飾される。
有利なことに、細孔閉鎖材料としてナノ粒子は、作動(例えば、金ナノ粒子の加熱)又は追跡(例えば、カーボンナノドット又は量子ドットの発光)を可能にし、医療、生化学、環境、食品、法医学、及び技術的適用の分野におけるアッセイの設計において、なおより高い柔軟性を提供する。
実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、ハプテン、オリゴヌクレオチド、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、ペプチド、有機チオール、及び有機オリゴアミンから選択される分子によってメソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔開口に又はその近くに固定される。上記固定は、メソポーラス第2無機酸化物シェルのアクセス可能表面における分子の共有結合を含み得る。
有利なことに、細孔閉鎖材料との、又は、メソポーラスシェル材料の表面に付着したアンカー分子との、分析物の相互作用を通じて細孔が開放された場合、色素、電気化学的活性物質、及び、酸化還元活性物質などの堆積されたレポーター分子は、細孔から溶液に拡散し得、この相互作用は、細孔閉鎖材料及びアンカー分子の間の共有又は非非共有結合の破壊、ならびに、メソポーラスシェルからの細孔閉鎖材料の拡散をもたらす。アンカー分子が細孔閉鎖材料として作用するケースでは、細孔閉鎖材料との分析物の相互作用は、細孔閉鎖材料のコンフォメーションの変化をもたらし、細孔を開放し、堆積されたレポーターの、細孔の外への拡散をもたらす。両方のケースは、磁石を用いた粒子の収集後のフローにおいて、又は、粒子からの散乱シグナルに対するゲート制御(gating)後のフローにおいて、遠心分離による分離後の粒子及び/又は溶液のシグナルを測定することによって、メソポーラスシェル材料になお存在するレポーター分子、及び、溶液の内外に拡散したレポーター分子の濃度の変化を検出することを可能にする。細孔閉鎖材料又はアンカー分子との1つの分析物分子の相互作用は一般に、細孔を開放して、数百のレポーター分子が細孔から溶液に拡散することを可能にするために十分であるので、シグナルの強い増幅が結果として生じる。上の定義によって示されるように、認識ユニット(DNAなど)自体は、シグナルを生成せず、分析物が標識されること(標識された分析物)を必要とするので、分析物の濃度について報告できない。
実施形態によれば、上で言及された実施形態のいずれかによるコア・シェル粒子を生産するための方法が示唆される。方法は、有機ポリマー材料を含むコアを提供する段階;コアを完全に覆わないコア上に磁性材料を含む第1層を堆積させる段階;磁性材料を含む層上に、及び、磁性材料を含む層によって覆われないポリマーコアの表面上に直接的に、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む第1無機酸化物シェルを生成することにより、シリカ、アルミナ、及びチタニアが、実質的に閉じたシェルとして磁性層を完全に覆うようにする段階;及びメソポーラス第2無機酸化物シェルを生成する段階、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルは第1無機酸化物シェルを覆い、ここで、メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む、を備える。
有利なことに、シェルの収束合成は、SDMの助けにより、MFTを表面に直接形成することを通じて、均一なシェルを形成し得、これにより、発散方法によって既に事前形成された粒子のアセンブリ中にシェルにおける開口面積又はキャビティなどの不均一性の形成を回避する。
実施形態によれば、有機ポリマー材料を含むコアを提供することは、ポリビニルピロリドンの存在下でモノマーを重合することを含み、ここで、第1無機酸化物シェルを堆積させること、及び、メソポーラス第2無機酸化物シェルを堆積させることは、ポリビニルピロリドンの存在下で、可溶無機酸化物前駆体から無機酸化物ナノ粒子を生成することを含み、ここで、ポリビニルピロリドンは、7000~40000ドルトン、好ましくは、10,000~40,000ドルトンのメディアン分子量を有する。
有利なことに、PVPの分子量を選択することにより、最外無機酸化物シェルの表面特性を調整することが可能である。特に、シェルの比表面積、粗度、形態は調節され得、より低い分子量(10KDaなど)のPVPを有する、より滑らかな表面、中間的な分子量(約40KDa)を有する、より粗い表面、又は、より高い分子量(約360KDa)を有する、いくつかのナノ粒子が遥かに高い粗さを発生させる表面を有する。典型的な実施形態によれば、PVPは、7,000ドルトン~360,000ドルトンの範囲、好ましくは、7,000~40,000ドルトン、より好ましくは10,000~40,000ドルトンの範囲の平均分子量を有するように選択される。
実施形態によれば、モノマーは、スチレン、又は、2つの重合可能基を含むスチレンの誘導体を含み、従って、有機ポリマーコアは、磁性層(その酸化鉄ナノ粒子もPVPでその表面を修飾される)又は第1無機酸化物シェルの堆積中に、収束的に肥大化したナノ粒子として無機酸化物、例えば、シリカ、アルミナ、又はチタニアを含む収束的に成長したシェルで覆われたPVP鎖を用いてその表面で修飾される球状ポリスチレン粒子を含む。
有利なことに、PVP鎖の負電荷は、シェルの比表面積、粗度、又は形態の調節を可能にする収束ルートを通じて、磁性層又は第1無機酸化物シェルの形成を可能にする前駆体、及び、有機ポリマーコアの間の静電相互作用を可能にする。
実施形態によれば、第2無機酸化物シェルを堆積させることは、ミセル形成界面活性剤及びミセル形成ブロックコポリマーから選択されるテンプレート剤を適用すること、及び、任意選択的に、テンプレート剤に加えて、構造指向メディエーター、例えば、NaCl又はMgSOから選択される構造指向剤を適用して、少なくとも実質的に規則的に配列された開放細孔を取得することを含み、一方、典型的には、細孔開口は、コア・シェル粒子を湿らせる流体からアクセス可能である。
関連する科学文献において、「構造指向」は多くの場合、「剤」又は「試薬」と併せて、界面活性剤のためにも使用されることに留意されたい。本明細書において、MFT(ミセル形成テンプレート剤)及びSDM(構造指向メディエーター)を区別する異なる定義に従う。なぜなら、界面活性剤だけでなくブロックコポリマーもMFTであるからである。主に無機塩であるSDMは、従って、「構造指向メディエーター(「剤」ではない)」と呼ばれる。本明細書において使用されるこの用語は、これらの異なる機能を明確に区別することを可能にする。SDMは、表面におけるミセルのアセンブリ(おそらく、ミセル間のアセンブリも)を調節し得る。別の種類の構造指向剤は、下で言及された細孔拡張剤である。明確にするべく、これらは「細孔拡張剤」として示される。有利なことに、構造指向メディエーターの利用は、合成溶液におけるイオン強度を増加させ、互いに対する、ポリマーコアの表面に対する、又は、磁性層を組み込む第1無機酸化物シェルの表面に対する、及び、形成されたミセル間の、ミセル形成テンプレート剤の相互作用を促進し、溶液中ではなく粒子上で直接的に、メソポーラスシリカシェルの収束成長を促進する。
実施形態によれば、上の方法のテンプレート剤は、CTAB及びプルロニック(登録商標)123から選択される。更に、任意選択的に、細孔拡張剤は、第2無機酸化物シェルの堆積中に使用され、ここで、任意選択的に使用される細孔拡張剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンから選択されるアルカンから;N,N-ジメチルヘキサデシルアミン(DMHA)から;1,3,5-トリメチルベンゼン(TMB)から;トリイソプロピルベンゼンから;キシレンから;及びテトラプロポキシシラン(TPOS)から選択される。
有利なことに、TMBなどの細孔拡張分子の利用は、より大きい細孔の形成の可能性を可能にし、これにより、細孔のより速い拡散及びより良いアクセス可能性を可能にし得、より大きい分子のついての立体障害性を防止する。細孔拡張分子は、ミセルの疎水性コアに組み込まれ、より大きい直径を保持するミセルの膨潤をもたらす。
実施形態によれば、示唆される方法は更に、細孔の内側及び/又は外側においてレポーターを堆積させる及び/又は連結する段階、ここで、レポーターは、色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、蛍光インジケータ、又は、蛍光分子プローブから選択される;細孔の内側及び/又は外側に認識ユニットを堆積させる及び/又は連結する段階、ここで、認識ユニットは、探している対応する核酸配列と対形成することが可能な短い核酸オリゴマーから選択される、を更に備える。
有利なことに、細孔の外側及び/又は内側の壁に連結されたレポーター又は認識ユニットは、無孔性粒子に連結する場合より、粒子あたり遥かに多くの数のレポーター又は認識ユニットを取得することを可能にし、粒子あたり遥かに多い分析物又は標識された分析物に結合(認識)することを可能にし、より強い測定可能なシグナル及びより高い感度が結果として生じる。特に、選択された分析物に対する特異的なレセプターユニット、及び、特異性に起因する核酸オリゴマーなどの認識ユニットを含む蛍光インジケータ(分子プローブ)などのレポーターは、分析物特異性及び分析物感度が高いコア・シェル粒子を取得することを可能にする。そのような粒子は、特に、1つの試料/1回の実行における異なる分析物の同時検出を含む多重化アッセイに適している。
レポーターの連結はまた、表面上の分子の事前配向(pre-orientation)という利点を有する。
実施形態によれば、レポーターが堆積されるが細孔の内側に共有結合で連結されない場合において、方法は更に、細孔閉鎖材料を用いて細孔を閉鎖する段階、ここで、細孔閉鎖材料は、分析物に特異的に結合するように適合される;又は、細孔閉鎖材料を用いて細孔を閉鎖する段階、ここで、アンカー分子は、分析物に特異的に結合するよう適合される、を備える。
有利なことに、示される手順は、化学的相互作用及びシグナル生成の間の独立した相関を可能にし、分析物の1つの分子の存在は数百分子の色素の放出を発生させることが可能であるという事実に起因して、シグナルの強い化学的増幅を可能にする。
実施形態によれば、説明されるコア・シェル粒子を生成するための示唆される方法は更に、細孔閉鎖材料についてのアンカー分子として分子を第2無機シェルのメソポーラス表面の表面に移植する段階を備え、ここでアンカー分子は、ハプテン、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、有機チオール、及び有機オリゴアミンから選択される。
有利なことに、上記のアンカー分子は、細孔閉鎖材料の調整された放出挙動を可能にする。特に、それらは、アンカー分子の鎖長を通じて、粒子表面及び調節されるべき細孔閉鎖材料の間の距離を調整することを可能にし、放出システムの認識部位に対する分析物のアクセスを調節することを可能にする。有機オリゴアミンは、プロトンを用いて膨潤することによって細孔閉鎖材料、及び、それらのプロトン化状態において、大きいアニオン種、例えば、それらのリン酸骨格を有するオリゴヌクレオチド鎖についてのアンカー分子の両方として機能し得ることに留意されたい。細孔直径及び分子寸法の選択及び移植密度は、目的に合った手法を選択することを可能にする。
実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、金若しくは銀、カーボンナノドット、量子ドット、及び半導体ナノ結晶(例えば、CdS、ZnSシェルを有するCdS)を含むナノ粒子から選択され、ここで、ナノ粒子の直径は、2nm~25nmの直径を有し、粒子は、メソポーラス第2無機シェルのメソポーラス材料の細孔の直径に一致する直径を有するように選択され、ここで、ナノ粒子は、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、探している対応する配列と対を形成可能又は特異的な分析物に結合可能な核酸オリゴマー、有機チオールと反応可能である分子、並びに、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、及び有機チオールに結合し得る分子を保持している。ここで、「保持」とは、列挙された種、又は吸着された種、又は静電相互作用によって固定された種との(例えば、シラン化合物を介する)共有結合を含み、「保持」は「修飾される」と同等である。
有利なことに、分析物によってトリガされるインジケータ放出を制御することの他に、細孔閉鎖材料は、作動(例えば、金ナノ粒子の加熱)又は追跡(例えば、カーボンナノドット又は量子ドットの発光)を可能にし、追加の制御手段をシステムに与える。
実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、分析物に結合可能な親和性リガンド、特異的な分析物に結合すること、又は、ポリカチオン修飾された細孔表面にポリアニオンとして静電的に結合することが可能な核酸オリゴマー、有機チオールと反応可能な分子、分析物種、例えばプロトンの存在下/非存在下で膨潤/解膨潤し得る分子又は材料など、分析物と相互作用可能な(生体)分子から選択される。本明細書において、アプタマーは、分析物に特異的に結合可能な合成オリゴヌクレオチド又は合成ペプチドを含むとみなされる。外部的化学刺激としてのプロトンへの応答として膨潤/解膨潤し得る分子又は材料はオリゴアミンを含む。換言すると、プロトン又は別の化学刺激の存在下において膨潤し、プロトン及び化学刺激の非存在下において解膨潤し得る分子又は材料は例えばオリゴアミンを含む。外的刺激としての光への応答として膨潤/解膨潤し得る分子又は材料はスピロピラン又はアゾベンゼンを含む。換言すると、特異的な波長又は波長範囲への応答として膨潤し、対応する曝露の非存在下において解膨潤し得る分子又は材料は例えば、スピロピラン又はアゾベンゼンを包含する。外的刺激としての温度への応答として膨潤/解膨潤し得る分子又は材料は、オリゴ-(N-イソプロピルアクリルアミド)を含む。
有利なことに、分析物との(生体)分子の相互作用は、多孔性支持材料の表面に付着するアンカー分子との細孔閉鎖材料の相互作用を妨害し、高感度シグナル生成のための、細孔開口、及び、細孔からのレポーターの放出をもたらす。
実施形態によれば、対応する無機酸化物シェルが、ゾルゲル処理における前駆体として、第1無機酸化物シェル及び/又は第2メソポーラス無機酸化物シェルを生成するためのシリカを含む場合、Si(OCH、Si(OC、Si(O-nC、Si(O-i-C、Si(O-n-C、及びSi(O-i-Cから選択されるケイ素アルコキシドが使用される。
有利なことに、ミセルの周りの、又は、粒子の表面上で組み立てられた凝集ミセルの周りのシランの凝縮は、整列したメソポーラスシリカ材料を含むシェルを取得することを可能にする。シリカシェルは更に、例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、又は(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランなど、広く利用可能な機能性シランをそれらの表面に連結するのに有利であり、幅広い様々な有機又は生体有機分子をシリカ表面に移植することを可能にする。
実施形態によれば、対応する無機酸化物シェルが、ゾルゲル処理における前駆体として第1無機酸化物シェル及び/又は第2メソポーラス無機酸化物シェルを生成するためのアルミナを含む場合、アルミニウムイソプロポキシド、塩化アルミニウム、又は硝酸アルミニウム九水和物から選択される有機アルミニウム化合物が使用される。
対応する無機酸化物シェルが、ゾルゲル処理における前駆体として、第1無機酸化物シェル及び/又は第2メソポーラス無機酸化物シェルを生成するために、チタニアを含む場合において、実施形態によるチタン化合物が使用され、ここで、前駆体は、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH)又はチタンn-ブトキシド(Ti[OC)から選択される。
有利なことに、メソポーラスシリカについて前に列挙された利点の他に、メソポーラスアルミナは、特異的な触媒特性を保持し、メソポーラスチタニアは並外れた不活性性を示す。
実施形態によれば、第1及び/又は第2無機シェルを生成中のpH値は、添加されたアンモニアカチオンに起因してアルカリ性であり、ミセル形成テンプレート剤は、化学式C2nTAによるカチオン性アルキルトリメチルアンモニウム界面活性剤、ここで、n=8~18、例えば、CTABr、CTACl;式C2nSO 2-によるアニオン性アルキルスルホン酸塩界面活性剤、ここで、n=12-18、カチオンはNa、K、Ca2+、及びMgから選択される;及び、式C2nPO 3-によるアルキルリン酸系界面活性剤、ここで、n=12~22、カチオンはNa及びKから選択される、から選択される界面活性剤であり、又は、
磁性第1無機酸化物シェル及び/又はメソポーラス第2無機シェルの生成中のpH値は酸性であり、ミセル形成テンプレート剤は、(PEO)(PPO)(PEO)、EO=CHCHO、及びPO=CH(CH)CHO)などのトリブロックコポリマーを含む、プルロニック(登録商標)から選択され、例えば、P123、F127、及びF108であり;ここで、P及びFは、それぞれ、ペースト及び薄片の物理的形態を表し;又は、ここで、磁性第1及び/又はメソポーラス第2無機シェルを生成中のpH値は中性であり、テンプレート剤は、プルロニック(登録商標)から、好ましくはプルロニック(登録商標)123から選択される。
有利なことに、異なるミセル形成テンプレート剤の利用は、異なる細孔サイズ及び対称性を有する異なるメソポーラス材料の取得を可能にし、意図された適用のために特異的に調整された材料を生成するための様々な官能基化の可能性を提供する。更に、メソポーラス第2無機シェルの収束合成は、化学レセプター又はインジケータが表面に化学的に付着され得る均一なシェルを生じさせ、結果として標準化された粒子を取得するように適合され得る。
実施形態によれば、試料における分析物を検出するための方法が示唆され、ここで、方法は、
上に説明されるコア・シェル粒子を提供する段階;
未知の濃度の分析物を含む試料を用いて上記コア・シェル粒子を湿らせる段階;及び
メソポーラス第2無機シェルに連結された認識ユニットによる蛍光標識分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階;又は、
メソポーラス第2無機シェルに連結されたレポーターによる分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階、ここで、レポーターは、分析物結合時に、色、蛍光、電気化学的に生成される発光、又は、酸化還元挙動を変化させる;又は、
細孔閉鎖材料による分析物認識時に、メソポーラス第2無機酸化物シェルから放出されるレポーターによって生成されるシグナルを検出する段階
を備える。
有利なことに、遥かにより多くの認識ユニットが、遥かにより大きい比表面積を有するメソポーラスシェルに連結し得るので、示される手順は、無孔性粒子に連結された認識ユニットと比較して非常に高感度の検出を可能にし、粒子あたり、既に非常に少量の分析物に結合することを可能にする。更に、示される手順は、分析物の1分子の存在が、閉鎖材料と相互作用すること、及び、以前に装填された数百分子のレポーターがメソポーラスシェルの細孔へ放出されることを可能にするという事実に起因して、シグナルの大きい化学的増幅を可能にする。遠心分離による分離後、磁石を用いた、又は、粒子の散乱シグナルに対するゲート制御による収集後の流体システムにおいて、放出されたレポーターのシグナルは、溶液において測定され得、一方、非開放細孔になお存在するレポーターのシグナルは、例えば、フローサイトメータ又は蛍光活性化セルソータにおける粒子の散乱シグナルと相関し得る。
実施形態によれば、上で示唆された方法は更に、以下のいずれかを含む粒子を分離及び/又はカウントすることを含む。
異なる濃度の色素を有する粒子のコアのコードと関連付けられた、段階的な蛍光シグナル;
異なる粒子群に属する色素コードされた粒子の異なるスペクトル蛍光特性によって提供されるコード(コーディング)と関連付けられた異なる波長範囲に現れる蛍光シグナル;及び/又は、
異なる群の粒子をコーディングするために使用される色素の異なる蛍光寿命によって提供されるコード(コーディング)と関連付けられた異なる蛍光寿命と共に減衰する蛍光シグナル。
換言すると、実施形態によれば、示唆される方法は更に、異なる濃度(濃度又は強度コーディング)の色素を有する粒子のコアのコーディングと関連付けられた段階的蛍光シグナルを含む粒子を分離及び/又はカウントする段階を含み、蛍光シグナルは、異なるスペクトル蛍光特性(色コーディング)を有する色素を有する粒子のコアのコーディングと関連付けられた異なる波長範囲に現れ、又は、粒子のコアをコーディングする異なる蛍光寿命(寿命コーディング)を有する色素を有する粒子のコアのコーディングと関連付けられた異なる蛍光寿命を有する蛍光シグナル減衰を有する。
有利なことに、遥かに多くのレポーターが遥かに大きい比表面積を有するメソポーラスシェルに連結され得、粒子あたり遥かに多くの分析物に結合することを可能にするので、示される手順は、無孔性粒子に連結されたレポーターと比較して強いシグナルを提供する。粒子コーディングは、多重化、従って、複合的な試料のより速い分析を可能にする。
上で説明された各実施形態は、別段の明確な指示が無い限り、任意の他の実施形態又は複数の実施形態と組み合わされ得る。
言及されたコア・シェル粒子の第1及び第2シリカシェルのいずれかを生成するための好適な前駆体が、Si(OCH、Si(OC、Si(O-nC、Si(O-i-C、Si(O-n-C、又はSi(O-i-Cなどのケイ素アルコキシドから選択される。典型的な前駆体はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)である。磁性第1無機シェル及び/又はメソポーラス第2無機シェルがアルミナを含む場合、好適な前駆体が、アルミニウムイソプロポキシド、塩化アルミニウム、及び硝酸アルミニウム九水和物から選択される。磁性第1無機シェル及び/又はメソポーラス第2無機シェルがチタニアを含む場合、好適な前駆体が、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH)、及びチタンn-ブトキシド(Ti[OC)などの有機チタン化合物から選択される。
磁性第1無機シェルとしてシリカシェル又はメソポーラス第2無機シェルとしてシリカシェルを含む実施形態については、ストーバー技法として説明されることが多くポリビニルピロリドン(PVP)の質量平均分子量及びゾルゲル処理において存在するその量に特に依存する、典型的にはTEOS又は別の前駆体の加水分解に基づくゾルゲル処理を使用する反応条件に応じて、構造的無機シェルの粗度及び多孔性、従って、(生体)化学修飾にアクセス可能なその表面は、有利なことに、調整され得る(Sarma et al, Langmuir 2016, 32, 3717-3727)。商業的に利用可能なPVP(例えば、本明細書において使用されるPVP40及びPVP10)について示される平均分子量(MW)は、その常識において定義されるMW、すなわち、質量平均モル質量である。上記常識によれば、モル質量分布(又は分子量分布)は、各ポリマー種のモル数(N)及びその種のモル質量(M)の間の関係を説明する。特に、質量平均モル質量(重量平均モル質量と大まかに呼ばれることが多い)は、ポリマーのモル質量を説明する別の方式である。いくつかの特性は分子サイズに依存するので、より大きい分子は、より小さい分子より大きい貢献を有する。質量平均モル質量は、式
によって計算される。
コア・シェル粒子の(さらにはナノ粒子の)直径を測定するための十分に確立された方法は、例えば、電子顕微鏡検査、特に、走査電子顕微鏡検査又は透過型電子顕微鏡検査である。他の方法は例えば、光散乱、特に動的光散乱を含む。
本明細書において使用される場合、示される粒子サイズは、典型的には、透過型電子顕微鏡検査(TEM)又は走査電子顕微鏡検査(SEM)において生成されるシグナルを使用して電子顕微鏡検査によって検出される値に関する。走査電子顕微鏡検査については、例えば、商業的に利用可能な電子顕微鏡のBSE検出器を用いて測定される反射電子(BSE)によって生成されるシグナルは、粒子直径を確立するために、及び、対応する意味値を計算するために使用され得る。透過型電子顕微鏡検査については、FEI Talos(登録商標)F200S (200 kV)透過型走査電子顕微鏡が使用された。
上で言及された多重化手法については、特定の色素(例えば、色素C1)が、異なる濃度の色素(a、b、c、...、z)を使用して、コアを含む有機ポリマーに組み込まれ得、その結果、コアにおける色素C1の各ドーピング濃度(C1a、C1b、C1c、...、C1z)は、メソポーラスシェルに付着された特定の分析物に対する特異的な認識化学作用に対応する。組み込みについては、コア材料及び状況に応じて、単なる物理的な閉じ込め又は吸着及び共有結合による連結が可能である。しかしながら、本明細書において示唆されるように、有機ポリマーコアに統合される蛍光部分は好ましくは、インジケータ、プローブ、センサ分子、分子センサとの相互作用を通じて、又は、分析物、競合剤、分析物結合分子、一次抗体、二次抗体、オリゴヌクレオチドなどを標識することによって、シェルで又はその中で生じる分析的結合イベントを伝えるために使用される色素Sと区別できるほど異なる蛍光色素である。結合分子(色素S)を示す又は標識するために使用されるこの色素は、分析物との結合分子の相互作用をモニタリングするために使用され得る。
代替的に、コアは、前に説明された手法の異なる濃度の代わりに、メソポーラスシェルに付着した特定の分析物に対する特異的な認識化学作用に対応する、十分異なる蛍光特性を有する異なる色素C1、C2、...、C10でコーディングされ得る。
本願の技術的目的は、簡単な方式でコア粒子がドーピング又はコーディングされ得るビーズプラットフォームを開発することであり、一方、シリカシェルは、(生体)化学結合剤で官能基化されるとき、最高の可能な感度を提供する。この手法では、目的は、多重化手法におけるプラットフォームを使用する、異なる分離アッセイについての、及び/又は、異なる分析物についてのプラットフォームとして機能し得る、異なる濃度のドーピングされた色素、又は、異なる蛍光ドーピング色素を使用することによって異なるタイプの粒子を形成することである。
分析化学及び分子生物学において、特に、フローサイトメトリ及びビーズアレイ又は単一ビーズアレイなどの単一粒子分析に好適な方法において、機能的コア・シェル粒子が非常に求められている。ビーズ(粒子)は、それらの表面上で発生する特異的結合イベントを識別するために対処可能であり使用される。有利なことに、それらは、単一の実行において複数の分析物の容易な多重化検出を可能にする。本願は、シェルが(生体)化学結合剤で官能基化されるときに最高の可能な感度を提供する一方で、簡単な方式でコアがドーピングされ得る(すなわち、少なくとも1種類の色素で標識される)強力なビーズ(コア・シェル粒子)プラットフォームを提供することを目的とする。ポリスチレン粒子は、ゾルゲル処理において可溶性前駆体を介してコア上でシリカシェルが形成される収束成長手法で、異なる種類のメソポーラスシリカシェルで被覆され、その結果、より均一なシェルが生じ、シェル構造及び厚さのより良い制御を可能にする。粒子の化学連結が交互累積法を通じて実行されることが多い発散方法など他の手法は、コアに付着されたシリカエンティティの特性のより良い制御を提供し得、より均一性が低い多層シェルをなおもたらす。
コア粒子上のシリカシェルの合成は、発散又は収束法を通じて実行され得る。発散手法は、多くの場合商業的に利用可能な粒子である事前合成されたコロイドSiO粒子を使用し、化学連結又はレイヤーバイレイヤー(LbL)アセンブリを通じてポリマーコア粒子の表面上でそれらを組み立てる。代替的に、収束法は、ゾルゲル処理における可溶性前駆体を介して、ポリスチレンコア上でのシリカシェルの直接形成を使用する。発散方法は、それ自体でシリカナノ粒子の特性のより良い制御を提供するが、LbL法などの時間及び費用集約的な多段階の手順に依存するか、又は、コア粒子への化学連結の前にシリカナノ粒子の官能基化を必要とするかのいずれかである。第2のケースにおいて、コア上のシェルのアセンブリに必要である、この一次化学官能基化は、シリカシェルの任意の更なる化学修飾を強く制限し、生化学的認識エンティティの固定をより難しくし、したがって、生物学的分析アッセイにおける使用にとって有害である。加えて、LbL法及び化学連結の両方は本質的に多層シェルをもたらす。対照的に、収束法は、より均一なシェルを提供し、シェル構造及び厚さのより良い制御を可能にし、唯一の要件は、コア粒子が、これらがin situで形成されるときにシリカシードと相互作用し、更なる成長及びシェル肥大化のために主に多価静電又は水素結合相互作用を通じてコア粒子の表面に引き付け得る官能基(通常、物理的に吸着される、又は、化学的に移植されるマクロ分子)を保持することである。有利なことに、収束手法は、調整された粗度の薄いシリカシェルを生じさせ、粒子ベースのアッセイプラットフォームの更なるビルドアップ中に、簡単なシラン化合物を通じて任意の他の化学又は生化学機能エンティティの固定に理想的であるネイティブなシリカ表面を維持する。
メソポーラスシェルは、従来の無孔性シェルと比較して、際立って高い表面積を取得することを可能にする。MCM-41及びSBA-15などの狭く広い細孔シリカの可能性をそれぞれ評価する一方で、特に、生体分子固定にとって遥かに好適である後者のシェルの合成が最適化された。ミセル‐テンプレートシェル合成中に適用されるメディエーター又は構造指向塩のpH、並びに、量及び種類の両方を変更することにより、シェルの多孔性が調整され得る。シリカシェルの収束成長中にミセル形成テンプレート剤としてシリカシード及び非イオンブロックコポリマーの間の相互作用の増加を担うので、構造指向メディエーターは主要な役割を果たす。
我々の試験は、最高の性能の材料は、中性条件及びMgSOを構造指向メディエーターとして使用する合成の結果であることを示した。短いオリゴヌクレオチド鎖の個別及び多重化検出についてのそれぞれの官能基化の後、粒子の分析的なポテンシャルが、フローサイトメトリDNAアッセイにおいて確認された。これらの実験は、アミノ末端捕捉DNA(c-DNA)鎖の連結前のアミノシラン及び無水コハク酸によるシリカ表面の2段階修飾が、アミノ化コア・シェル粒子にカルボン酸末端c-DNAを連結することより優れていることを明らかにした。これは、標識された相補的一本鎖標的DNA15マー(t-DNA)を使用するハイブリダイゼーションアッセイについて5pMまでの検出の限界を生じさせる。
例として、多重化分析における粒子の使用の可能性が、それぞれのSBA-15シェル、すなわち、SBA-15型の多孔性に対応する順番に配列された円筒形メソポーラス細孔を含むシェルを保持する色素ドーピングコア粒子の助けを有する実施形態に従って示された。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の特徴的なゲノム配列が、本明細書においてt-DNA分析物として選択された。なぜなら、発がん物質、及び、多くの数の異なる病原体としてのそれらの高い関連性は、重要なモデルケースであるからである。説明されたコア・シェル粒子は、有望な性能を示し、下で更に示されるように、単一の実験の実行において、異なる高及び低リスクHPV型を明白に検出することを可能にした。
一般的に、単一粒子分析又はビーズ式アッセイは、生物学的分析科学、特に、DNA及びRNA診断及びプロファイリングにおいて、ますます重要な役割を果たすようになっている。そのような技法は一般に、異なる検出システム、すなわち、ウェルプレート、プラナアレイ、又はフローサイトメータについて、柔軟かつ個別の方式で調整され得る球状粒子に基づく。ビーズ式アッセイは、それらの高速反応速度、少量の必要な試料、及び、キャリアビーズの様々可能なアーキテクチャに起因して普及している。さらに近年、特にフローサイトメトリは、例えばELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)など従来の方法と比較して、ハイスループットで高速かつ自動化された測定を提供するツールとして人気を獲得している。また、ロバストなサイトメータが実験室環境の外側で使用され得、小型化バージョンが熱心に開発されている。
典型的には、粒子サイズが調整可能であり、低コスト、大きいバッチで生産され得るので、ポリスチレン又はシリカ粒子がキャリアプラットフォームとして使用される。ポリスチレン粒子は、それらの高い屈折率が、フローサイトメトリ又は他の種類の単一粒子分析方法に特に有益である優れた散乱特性を与えるので、一般に、商業用のアッセイにおいて使用される。加えて、容易な色素の組み込みの選択肢は、多重化を可能にし、商業的に確立されている。しかしながら、ポリスチレン粒子は、化学修飾において非常に柔軟性がないので、適用の分野に関して制限をもたらし、又は、調製手順をより複雑にする。他方、シリカ粒子は、劣った散乱特性を有するが、シラン化合物を介してより容易に修飾される。現在、両方の種類の粒子がビーズ式のバイオアッセイに使用されているが、特に、コア・シェル粒子フォーマットにおける両方の材料の有利な特徴の組み合わせは非常に有望である。示唆されるコア・シェル粒子は、ロバストかつ高速でありながら、なお非常に高感度の多重化アッセイを可能にする。コア・シェル粒子は、生物学的分析用途においてますます普及しているが、ポリマーコア及びシリカシェルの組み合わせを使用する例はなお少ない。
上に示されるように、そのような種類の材料の合成は、既にコロイドのSiO粒子が、例えば、レイヤーバイレイヤー手法を通じてポリスチレン粒子の表面上に移される発散方法を通じて実行され得る。代替的に、我々は、ゾルゲル処理において可溶性前駆体を介してコア上にシリカシェルが形成される収束法の利用を示唆する。粒子の化学連結又は交互累積法などの発散方法は、多くの場合、コアに付着されたシリカエンティティの特性のより良い制御を提供する一方、収束法は一般に、より均一なシェルを提供し、シェル構造及び厚さのより良い制御を可能にする。
特にアッセイの感度に関してそのような種類の粒子の性能を改善することを目的として、我々は、メソポーラスシェルの組み込みが有望な方針であると推論した。なぜなら、メソポーラスのスキャフォールドは通常、高い比表面積によって特徴付けられるからである。例えば、無孔性シリカ粒子と比較して、メソポーラスシリカ粒子は、遥かに大きい数のプローブ/レセプターユニットの付着を可能にするであろう少なくとも5~10倍まで増加した表面積を示す。無孔性シリカ粒子は、約10m-1の比表面積を保持する一方、メソポーラス表面を含むシリカ粒子は、その値より最大2桁上の比表面積、例えば1,200m-1を有する。その無孔性アナログと同様に、メソポーラスシリカはまた、高い熱安定性を示し、生体適合性を示す。加えて、メソポーラスシリカが、ミセル‐テンプレート経路を介して合成されるので、それらの多孔性及び粒子サイズは、ミセル形成テンプレート剤の選択及び反応条件の調節によって調整され得る。しかしながら、我々の認識では、ポリスチレンコア/メソポーラスシリカシェル粒子は、現在までに、発散方法だけを通じて調製されてきた。本明細書において、我々は、示唆されたコア・シェル粒子を使用することによる生物学的分析用途の性能の強化のために例示的な実施形態として単一DNA鎖の多重化検出を示す、合成方法最適化を含む、そのようなコア・シェル粒子への収束ルートを示唆する。
実施形態によれば、本明細書において開示されるコア・シェル粒子は、a)色及び/又は蛍光でコーディングされた粒子を生成する目的で、埋め込まれた蛍光色素を含み得るポリスチレンコア、b)アッセイにおける粒子の扱いを容易にすることを目的とする、((超)常磁性ナノ粒子、例えば、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO、NiO/Fe、YFe12)の磁性層(それに加えて、磁性特性は、官能基化手順中に既に粒子の扱いを容易にする)、c)メソポーラスシリカ、アルミナ、又はチタニアシェル(例えばSiOについて、MCM-n(n=41、48)、HMS、MSU-n、MSU-V、FSM-16、FDU-n(n=12、15)、SBA-n(n=1、2、3、8、11~16)、COK-12、UVM-7、KIT-5、Al型MCM-41、TiO型MCM-41又はSBA-15に対応する)を含み得る。この最外シェルは、すべてゾルゲル処理において、異なる前駆体、例えば、アルコキシシラン、アルミナについてはアルミニウムイソプロポキシド、又は、チタニアについてはチタンn-ブトキシドを使用して形成され得、感知部分、ハプテン、オリゴヌクレオチド、又はアプタマーの更なる組み込みのために、オルガノシラン(例えば、無水コハク酸との、アミノ基の環開放リンカ伸長反応による3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)又はカルボン酸基を使用するアミノ基による修飾)を使用して有機基で修飾され得る。他方、このメソポーラスシェルは、その細孔における、色付き、蛍光、化学発光、電気化学発光、電気化学又は酸化還元活性であり得る特定のレポーター又はインジケータ物質、及び、細孔閉鎖材料と共に細孔閉鎖ゲートを形成し、特定の関心ある分析物と相互作用して、ゲート制御放出システムの感知において細孔からのレポーター色素の放出をトリガし得る、表面に付着されたアンカー分子を含むキャリア材料として作用し得る。多孔性シリカ材料からのインジケータの対応するトリガされた放出は、EP3 379 250A1において以前に開示された。
本願への参照によって、EP 3 379 250A1の開示全体が含まれる。それは、細孔を有する多孔性支持材料、及び、多孔性支持材料の細孔に含まれるインジケータ物質を含むインジケータリザーバを説明し、ここで、多孔性支持材料の細孔は細孔閉鎖材料によって閉鎖され、細孔閉鎖材料は、多孔性支持材料との非共有結合を形成し、ここで、細孔閉鎖材料は、液体食品、液体農業試料、及び、非液体食品又は農業産物から分析物を抽出するために使用される液体から選択される液体における分析物と特異的に結合するように選択され、ここで、分析物が細孔閉鎖材料に特異的に結合し非共有結合が外れたときに、インジケータ物質は、閉鎖されていない細孔から放出される。更に、上記参考文献は、細孔閉鎖材料が、多孔性支持材料に付着されたアンカー分子によって多孔性支持材料に非共有結合で結合される実施形態を開示し、ここで、多孔性支持材料に付着される、アンカー分子を例示するこの化合物は、ハプテン、有機分子、有機リガンドと金属との錯体、核酸、核酸の鎖断片、又は、任意のエピトープ又はペプチド分子を含み、及び/又は、細孔閉鎖材料は、抗体、抗体断片、レセプタータンパク質、又はアプタマーを含む。実施形態によれば、細孔閉鎖材料は、毒物、抗生物質、ホルモン又はホルモン効果のある物質、アレルゲン、消化不良を引き起こす物質、プリオン、遺伝子改変生物又はその構成成分、不純物、栄養添加物、又は酵素から選択される分析物物質又は分析物物質の特定の群に特異的に結合するよう適合され、及び/又は、細孔閉鎖材料は、細菌、細菌の胞子、病原体、カビ、酵母、原始動物、人獣共通感染症を障子させる病原体、又はウイルスから選択される分析物の微生物又は分析物の微生物の特定の群に特異的に結合するよう適合され、及び/又は、細孔閉鎖材料は、ヌクレオチドの特定の配列又は特定の配列の群を含む分析物に特異的に結合するよう適合される。
実施形態によれば、立体障害的に装填されるインジケータ物質の代わりに、メソポーラス第2無機シェルの細孔の内側において、インジケータ物質も共有結合で包囲され得、分析物に結合して示すことが可能な細孔の内側の壁に選択的に付着される。
実施形態によれば、利用される合成シーケンスに応じて、内側の細孔に共有結合で付着するインジケータ物質は、ミセル形成テンプレート剤がインジケータ物質の連結の前に除去されたとき、内側の細孔壁全体に均一に分散され得、又は、ミセル形成テンプレート剤がメソポーラス第2シェルの細孔の内側になお存在する状態でインジケータ物質の連結が実行されるとき、細孔開口に優先的に局在化され得る。後者のケースでは、細孔の内側は、例えば、第2のタイプのインジケータ物質で官能基化され得る。
そのため、感知プラットフォームとしてのポリスチレン磁性メソポーラスシリカ材料の設計及び生成が示唆される。一方で(シリカの約2g mL-1と比較して、約1.05g mL-1のより低い密度を有するが、シリカの約1.4と比較して、約1.6のより高い屈折率を有する利用されるポリスチレンコアに起因して)軽い、強く散乱する粒子を、他方で磁性特性に起因してフローサイトメトリ用途のためのより扱いが容易な粒子を取得することを可能にする。磁性特性は、試料処理中の任意の反応又は洗浄段階を遥かに容易にし、集中した、すなわち、磁場によって誘導される検出を発生させることを可能にする。そのため、我々は、単一粒子分析フォーマットにおいて利用可能である、容易に官能基化される、色素ドーピングされた磁性粒子の組み合わせを示唆する。異なるタイプの材料及びシェルの組み合わせは、フローサイトメトリ又はマイクロ流体を使用する、モジュール式の高性能分析感知プラットフォームとして適用可能であるロバストな粒子を提供する。換言すると、示唆されたコア・シェル粒子を用いて、複数の分析物の同時検出、いわゆる多重化分析のための異なるアッセイにおいて適用可能である単一感知プラットフォームが示唆される。
本明細書において提案されるように、ポリスチレンコア、磁性層、及び、その上のメソポーラスシェルにおいて異なる色素を含むコア・シェル粒子を感知プラットフォームとして利用することにより、フローサイトメトリ又はマイクロ流体を利用する、異なる多重化アッセイが実行され得る。
以下のような特別な利点が取得される。
コアとしてのドーピングされたポリスチレンは、異なる色素濃度、異なる色素、異なる発光寿命を有する色素、又は、2又はより多くの色素の異なる比率を有する混合物を介したドーピングを提供する;
磁性層は、磁石を用いて容易に捕捉され得るので、洗浄又は事前濃縮など、異なる官能基化及び/又はアッセイ段階中の粒子の扱いを容易にする;
磁性層は、外部磁場による流体フローにおける粒子の追加的な集中を可能にする;
磁性層は、電極上の粒子のアセンブリを可能にし、電気化学又は電気化学発光感知を可能にする;
磁性層はまた、光学(単一粒子分析)を電気化学感知と組み合わせる可能性を提供する;
単分散粒子は、多重化された分析方法において適用可能な単一感知プラットフォームを提供する;
メソポーラスシェル、すなわち第2シェルは、無孔性シェル(単純なシリカシェル)と比較して、強化された比表面積を提供する。一方で、より多くの感知分子が単一粒子に付着され得、システムの感度が改善し;他方、メソポーラス性は、感知の目的で、ゲート制御されたインジケータ放出材料を調製するために使用され得、報告されたシグナルは、専用の認識化学作用で細孔を閉鎖する前に、メソポーラス細孔内に装填されたインジケータに起因する。そのようなシステムでは、分析物が、細孔開口に付着されたアンカー分子と相互作用する認識反応は、細孔閉鎖材料を放出することによって細孔の開放をもたらし、分析物によってゲートが開放されるとメソポーラス細孔から放出されるインジケータの分析検出とは独立している。一般に、細孔閉鎖材料で細孔開口を閉鎖することを可能にするために必要なアンカー分子より遥かに多くのインジケータがメソポーラス細孔に保存され得るので、少量の分析物分子の結合は、膨大なインジケータの放出をもたらし、増幅された化学検出を示す。結果として、標識、又は、二次結合剤の使用も、シグナルの生成に必要ない。増幅された検出及び集中された検出は、同一の特徴に関連していないことに留意されたい。上で説明されたように、集中は磁性機能を介して、増幅は第2シェルのゲート制御を介して可能となる。言及されたように、ゲート制御されていないメソポーラス第2シェルはまた、真のシグナル増幅より、表面に対する多くの結合ユニットを固定する可能性にも起因して、より高い感度をもたらす。
上記に鑑み、本発明の態様は以下のようにまとめられ得る。
1.以下を含むハイブリッドドーピングポリマーマルチシェル磁性粒子:
a)色素ドーピングされ得るコアとしてのポリマー粒子;
b)ポリマーコアの周りの磁性を有する第1層;
c)磁性層を分解から保護する、シリカ、アルミナ又はチタニアを含む第1シェル;
d)関心のある分析物と相互作用することが可能な特定の感知分子、また、分析物の存在下で特異的に放出されることが可能な細孔に封入されたインジケータを含む多孔性シェルであり得る、シリカ、アルミナ、又はチタニアを含む第2シェル。
2.スチレン又はスチレン誘導体の重合によってポリマーコアが形成される、態様1において説明されたハイブリッド粒子。
3.ポリマーコア及び磁性ナノ粒子がポリビニルピロリドン(PVP)によって安定化され、PVPは、7,000ドルトン~360,000ドルトンの範囲、好ましくは、7,000~40,000ドルトン、より好ましくは10,000~40,000の範囲の平均分子量を有する、態様1において説明されるハイブリッド粒子。
4.ポリマーコアが蛍光色素を含む、態様1において説明されるハイブリッド粒子。
5.静電相互作用を通じてポリマーコアに付着されるγ-Fe又はFeナノ粒子によって磁性層が形成される、態様1において説明されるハイブリッド粒子。
6.第2シェルがメソポーラスシリカ支持材料を含み、メソポーラスシリカシェルは第1シリカシェルの周りに形成され、ミセル形成テンプレート剤(ミセルへの自己アセンブリを経ることが可能な界面活性剤又はブロックコポリマーなど)、イオン性塩構造指向メディエーター(MgSO又はNaClなど)及びシリカ前駆体としてのオルトケイ酸テトラエチルの利用を通じて磁性層を被覆する、態様1において説明されるハイブリッド粒子。上で開示されたように、本明細書における2種類の構造指向補助又は剤、すなわち、メソポーラスシリカ成長のためのテンプレート及びイオン性塩メディエーターが使用される。命名法を考慮するとき、テンプレートのすべてが界面活性剤とみなされるわけではないことに留意するのが重要である(例えば、SBAについてのテンプレート剤は通常、ブロックコポリマーである)。また、上の本開示に関して、以下の命名法が提案される。
ミセルを形成し、それが無ければ、いかなる3次元物体、すなわちシリカ構造も成長できないすべての剤は、ミセル形成テンプレート剤(MFT)、例えば、界面活性剤又はブロックコポリマーとみなされる。
ミセル又はミセルのアセンブリの、粒子表面、特にコア粒子のPVP鎖との間のアセンブリを決定するすべての剤は、構造指向メディエーター(SDM)、例えば、NaCl、MgSOとみなされる。
ミセルを疎水性コアに組み込み、従って、ミセルを膨潤させ、より大きい直径をもたらすことを通じてミセルの直径を調節するすべての剤は、コア拡張剤とみなされ、例えば、TMB、アルカンがある。
7.磁性層及びポリスチレンコアの間の相互作用が、コア粒子及び酸化鉄ナノ粒子の表面において利用可能なPVPエンティティに依存する、態様1において説明されるハイブリッド粒子。PVPは、コア及びFe10粒子の両方の合成において直接利用される。特に、PVP鎖は、粒子の表面に組み込まれ、懸濁液中の粒子を安定化する。PVP鎖は、表面から多かれ少なかれ(「髪」のように)突き出ている。それらの影響は分子量(鎖長)に依存する。コア合成のケースにおいて説明されたように、PVP10鎖は、粒子の表面上で非常に平らに配置され、円滑なシリカシェルを可能にする。それと異なり、PVP40鎖は、表面からある程度突出し、粒子の表面上でシリカナノ粒子のラズベリー状の単層を組み立てることを可能にする。長いPVP360鎖は、むしろ「芝」を形成し、シリカナノ粒子を含む多層のアセンブリをもたらす。本明細書において説明される粒子アーキテクチャについては、PVP40(及び程度は低いがPVP10)が有用であることが分かっている。長い鎖のPVPは、十分に定義された階層アーキテクチャをもたらさないので、従って、本明細書では使用されない。
8.シリカシェルが吸着又は共有結合された異なる感知部分を含み、材料に感知特性を与える、態様1において説明されるハイブリッド粒子(下を参照)。
9.感知材料が、細孔を有する多孔性支持材料、及び、多孔性支持材料の細孔に含まれるレポーター分子を含む、態様1において説明されるハイブリッド粒子。ここで、多孔性支持材料の細孔は、多孔性支持材料と、又は、多孔性支持材料の表面に付着したアンカー分子と共有又は非共有結合を形成している細孔閉鎖材料によって閉鎖され、細孔閉鎖材料は、液体試料における分析物に特異的に結合する(「分析物を感知する」)ように選択され、ここで、光学レポーター分子は、分析物が細孔閉鎖材料に特異的に結合するとき、閉鎖されていない細孔から放出される。
感知部分及び/又は細孔閉鎖材料として使用される分子は、(生体)化学レセプター、例えば、抗体又はそれらの対応する抗原結合断片(Fab、F(ab'))、酵素、又はタンパク質レセプター、また、オリゴヌクレオチド、分子ビーコン、又はアプタマーから選択される。特に、分析物の少なくとも1つのエピトープ及びそれらのFab又はF(ab')断片に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体が使用される。感知部分はまた、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、レクチンなどの炭水化物結合分子、酵素、親和性リガンド、当業者に知られている他のものから選択され得る。細孔閉鎖材料はまた、2nm~25nmの直径を有する、金又は銀、カーボンナノドット又は量子ドット、又は、半導体ナノ結晶(例えば、CdS、ZnSシェルを有するCdS)を含むナノ粒子から選択され、メソポーラス材料の細孔の直径と一致するように選択され得、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、探されている対応する配列と対を形成可能な、又は、特異的な分析物に結合可能な核酸オリゴマーで修飾される。感知部分はまた、蛍光色素分子ユニット及びレセプターユニットを含む、メソポーラスシェル材料の表面に共有結合で連結され得る化学インジケータから選択され得る。また、HPV分析に関する本明細書において説明される実施形態によれば、感知分子はまた、探されている対応する配列と対形成が可能な短い核酸オリゴマーであり得る。
細孔閉鎖材料についてのアンカー分子として使用される分子は、それに対して特定の抗体(又は、その対応する抗原結合断片(Fab、F(ab'))又はタンパク質レセプターが生成されたハプテン、オリゴヌクレオチド、有機チオール(例えば、メルカプトアルカン)、又は、有機オリゴアミン(例えば、(2-アミノエチル)‐エタン‐アミンオリゴマー)から選択される。これらの分子は、シラン(例えば、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル)ジメトキシメチルシラン)として直接、又は、反応性シラン(例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)との反応後にメソポーラス材料の表面に移植され得る。
細孔内に閉じ込められ、細孔開放時に大量に放出されるレポーター分子は、光学レポーター(例えば、フルオレセイン、ローダミン、又はBODIPYの構造を含む物質などの蛍光種)、酸化還元レポーター(例えば、メチレンブルー、フェロセン、アントラキノン、ビオロゲン、atto MB2、又はナイルブルー)、及び/又は、電気化学発光レポーター(例えば、Auナノクラスタ、ルミノール、N-(アミノブチル)-N-(エチルイソルミノール)、(2,2'-ビピリジン)又はトリ-(1,10)の構造を含む3つのリガンド、又は、(2,2':6',2"-テルピリジン)の構造を含む2つのリガンド、及び、2つの対イオンの過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩又はヘキサフルオロリン酸塩の任意の組み合わせを有するルテニウム又はオスミウム錯体、又は、(2,2'-ビピリジン)又はトリ-(1,10-フェナントロリン)の構造を含む第3のリガンド及び対イオンの過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩又はヘキサフルオロリン酸塩の任意の組み合わせを有するビス(2-(ピリジン-2-イル)フェニル)イリジウム錯体を含むように選択され得る。有利なことに、磁性コア・シェル粒子は、電極表面で非常に容易に収集され、従って、対応するレポーター分子の直接検出及び/又は定量化を可能にし得る。
10.シリカを含む第2シェルが、特に酸性条件におけるpH値に対する安定性をハイブリッド粒子に提供し、pH値の変化からの保護を磁性第1無機シェル及びコアに提供する、態様1において説明されるハイブリッド粒子。
説明された実施形態は、医療及び獣医学診断、環境、分析、安全性、セキュリティ、並びに、食品化学及び意訳用途の分野において、小さい分子及び生体分子の検出についての幅広い適用分野を有する。示唆された実施形態の実現可能性を示す目的で、使用される実験方法及び材料を説明するいくつかの例が下で与えられる。
前に知られている粒子と比較した、示唆されるハイブリッドコア・シェル粒子の利点は、以下の組み合わせを含む。
・化学修飾及び/又は特定の認識部分の結合にアクセス可能な磁性特性及び高い比表面積の組み合わせ
・シェルにおける磁性ナノ粒子によって磁性特性が提供され、一方、磁性コアを有する前に知られていた粒子は、重い粒子を結果としてもたらし、これは、その高速沈降に起因してフローサイトメトリ検出に適合されない。
・ロット(群)の粒子を個別にコーディングする異なる選択肢により、混合物における異なるロット(群)の適用を提供し、それらを区別することをなお可能にする、すなわち、多重化のためのプラットフォームとしての適用可能性。
官能基化の高い程度の変動性の選択肢を磁性光学センサ粒子に提供し、コア及びシェルは、確立された技法を使用して修飾され得る。
高い単分散、従って、例えばフロースルーサイトメータに基づく単一粒子ベースの分析方法における優れた適用可能性。
生産及び適用ワークフローの間の粒子の扱いが改善され、すなわち、優れた単分散、優れた散乱及び分散特性、及び、容易なドーピングと組み合わされた連続的及び非連続的な作業(磁性層に起因)が可能となる(ポリマーコアに起因して、特定の濃度の色素が、例えば、膨潤/収縮によってポリマーコア内に含まれ得る)。
プローブ分子の結合のための、又は、インジケータ放出システムにおける使用のための、粒子表面(シェル表面)の比表面積が大幅に増加し、(整列されたメソポーラスシェルに起因して)著しく良い感度を達成する。
マイクロ流体アッセイのフォーマットにおける懸濁状態の示唆された不均一なコア・シェル粒子の適用可能性については、側方フローアッセイ(オンサイト分析に適用可能な別の種類の堅牢なアッセイ)と比較して、以下の利点が取得される。
・単一粒子測定が可能である。
・消費される材料が少ない。
・測定時間が著しく短い。
・洗浄及び処理段階がより容易である。
・多重化がより容易である。
・高い流量の測定が可能であり、ハイスループットの分析が可能になる。
・マイクロ流体又はマイクロサイトメトリに、非常に小さい試料体積だけが必要である。
実施例
示唆されたコア・シェル粒子を取得するためのプロセス、それらの特性評価に使用される方法、取得された結果、及び、用途の例を下で説明する。
材料及び一般的技法
すべての化学薬品及び溶媒は、Sigma-Aldrich, ABCR, Merck and J.T. Bakerから、利用可能な最高の品質で購入された。オリゴヌクレオチドはMetabionから購入され、HPLCによって精製された。バッファは、(イオン交換によって)脱イオン化された水をMilli-Q(登録商標)超純水精製システム(Millipore Synthesis A10)に通すことによって取得された試薬超純水を用いて調製された。50mMのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)HCl及び80mM MgCl(pH8)の混合物が測定に使用された。
UV/可視光吸収分光法、フローサイトメトリ分析、ゼータ電位測定、走査電子顕微鏡検査(SEM)、透過型電子顕微鏡検査(TEM)、及び、N吸着/脱着が、合成された化合物及び材料を特性評価するために利用された。UV/可視光スペクトルがAnalytik JenaからのSpecord 210plusで測定された。励起のための488nm及び635nmレーザを備えたBD Accuri C6でフローサイトメトリ分析が実行された。前方散乱(FSC)及び側方散乱光(SSC)がそれぞれ180°及び90°で収集され、一方、チャネルFL1(青色チャネル、533/30nm;λexc=488nm)における蛍光は、分析シグナルを記録するのに使用され、チャネルFL4(赤色チャネル、675/25nm;λexc=640nm)における蛍光は、多重化実験におけるデコードのために使用された。ゼータ電位測定が、MalvernからのゼータサイザーナノZSで実行された。TEM画像及びSTEM走査、並びにエネルギー分散X線分光法(EDX)分析は、ThermoFisher ScientificのTalos F200S走査/透過電子顕微鏡を用いて実行された。高解像度走査電子顕微鏡検査(SEM)及び透過モードイメージングSEM(T-SEM)が、高解像度カソード(Schottkyフィールドエミッタ)、高解像度モードにおいて使用されるIn-Lens SE二次電子検出器、及び単一ユニット伝送セットアップを備えたZeiss Supra 40で実行された。N吸着/脱着等温線が、Micromeritics ASAP2010自動収着分析器を用いて記録された。検出限界(LOD、DIN 32645:2008-11による)及び定量化限界(LOQ)が、下に説明されるように決定された。
ポリスチレンコアPS10及びPS40の合成
加熱されたカルーセルにおける試験管において重合反応が実行された。簡潔には、試験管において、170mgのポリ(ビニルピロリドン)(PS10の場合はPVP10、又は、PS40の場合はPVP40、すなわち、10kD又は40kDのいずれかの平均分子量のPVP)がエタノール(無水)に溶解され、その後、塩基性酸化アルミニウムを通じて前にフィルタリングされた1mLスチレンが添加され、アルゴンを用いて混合物が30分間流された。反応は、アルゴン雰囲気下で調製された、10mLのメタノールにおける105mgの4,4'‐アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA)の1mLの溶液の添加により開始された。アルゴン雰囲気下で、70℃で撹拌しながら一晩放置し、反応を進行させた。その後、粒子が遠心分離され(10分、RAD 99mm、6000rpm)、20mLメタノールで3回洗浄し、その後、室温で真空中で乾燥させた。
赤色BODIPY色素I、IIを用いたポリスチレンコアのドーピング
BODIPY色素I、(E)-2-(3-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)-5,5-ジフルオロ-1,7,9-トリメチル-5H-5λ,6λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリニン-10-イル)キノリン-8-オール(化学構造については図14を参照されたい)が、Yu et al., Chem. Asian J. 2006, 1, 176-187に従って、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド (39mg、0.26mmol)を加熱することによって調製され、2-(5,5-ジフルオロ-1,3,7,9-テトラメチル-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリニン-10-イル)キノリン-8-オール(78mg、0.2mmol)は、Moon et al., J. Org. Chem. 2004, 69, 181-183に従って、少量の活性化された4-Qモレキュラーシーブの存在下で、トルエン(乾燥、20mL)、氷酢酸(0.7mL)、及びピペリジン(0.8mL)の溶液中で、15時間還流させることによって調製された。混合物は室温に冷却され、溶媒は真空で除去され、粗産物は、酢酸エチル/石油エーテル(20%)を溶出液として用いて、シリカ上で、カラムクロマトグラフィーを通じて単離された。クロロホルム/メタノールから青色の画分が収集及び再結晶化され、青色粉末としてのIを得た。BODIPY色素II、5,5-ジフルオロ-3,7-ビス((E)-4-メトキシスチリル)-1,9-ジメチル-10-(ペルフルオロフェニル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリニン(化学構造については、図39を参照)は、Xu et al., Tetrahedron 2014, 70, 5800-5805に従って、丸底フラスコ中の20mLの乾燥DCMに2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンズアルデヒド(196mg、1mmol)を溶解し、その後、2,4-ジメチルピロール(234mg、2.2mmol)及び2滴のトリフルオロ酢酸を添加することによって調製された。反応混合物は、窒素中において、室温で3時間撹拌された。(TLCによってモニタリングされる)アルデヒドの完全な消費の後に、テトラクロロ-p-ベンゾキノン(270 mg、1.1mmol)が反応混合物に添加された。1時間後、4mLのトリエチルアミン及び5mLのBF‐OEtが混合物に添加され、撹拌が室温で1時間継続された。反応完了後、低減された圧力の下で溶媒が除去され、DCM/ヘキサン(1/6、v/v)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物が精製され、金色の固体として、5,5-ジフルオロ-1,3,7,9-テトラメチル-10-(ペルフルオロフェニル)-5H-4λ,5λ-ジピロロ[1,2-c:2',1'-f][1,3,2]ジアザボリニンを得た。次の段階では、前の生成物(82mg,0.2mmol)及び4-メトキシルベンズアルデヒド(60mg、0.44mmol)が三口丸底フラスコにおける25mLのトルエンに溶解され、その後、窒素の下で2滴のピペリジンが添加された。反応混合物は110℃に加熱され、その後、酢酸を2滴添加した。結果として生じる混合物は4時間還流された。反応完了後、低減された圧力下においてトルエンが除去された。残留物は、DCM/ヘキサン(1/5、v/v)を溶出液として使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製され、緑色の固体としてIIを得た。500mgのPS40を10mLのミリQ水に再分散することによって原液(5%)を調製することによって、色素I及びIIを用いた粒子のドーピングが実行された。1.3mLのこの溶液が130μLのTHFに添加され、すぐにロータ上に載せ、室温で40rpmで1時間動作させた。次に、4つの異なる濃度、すなわち、0.4、0.2、0.1、及び0.05mMの、THFにおける赤色放射BODIPY色素(I又はIIのいずれか)が溶液に添加された。回転を更に2時間継続した後、粒子が遠心分離され、1.6mLミリQ水で2回洗浄され、室温で真空において乾燥された。
無孔性(単純)シリカシェルを用いた、ポリスチレンコアの直接被覆(N-PS40)
ポリマーコアを覆う無孔性シェルの形成が、TEOSを前駆体として用いて、NH触媒ゾルゲル反応において実行された。PSコア粒子の1%(w/v)分散液が、磁性撹拌器を備えた丸底ガラスにおける50mLエタノールにおいて調製された。1mLのミリQ水を添加した後、気泡を除去するために超音波槽において懸濁液が処理され、粒子を均一に分散させた。1.5mLのTEOS及び1.5mLのNHOHが次に添加された。室温で24時間反応させた後、粒子は、遠心分離によって懸濁液から分離され、Sarma, D. et al., Langmuir 2016, 32(15), 3717-3727に従って、水で2回、エタノールで1回洗浄された。粒子は真空で4時間乾燥され、室温で保存された。取得された粒子は参照試料として機能した。
MCM-41型シリカシェル(M-PS10及びM-PS40)を用いたポリスチレンコアの直接被覆
磁性材料層を有しないポリスチレンコアの被覆が、Qi, G. et al., Chem. Mater. 2010, 22 (9), 2693-2695に従って、15mLのバイアルにおける50mgのPS10及びPS40を、1mLエタノール(無水)、1.3mLミリQ水、及び50μLアンモニア(32%)において分散させることによって実行された。この反応混合物に対して10mg CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)が与えられ、分散液は、ソノトロード(Hielscher UP200S、振幅75、サイクル0.5)を用いて5分、10分、又は20分にわたって超音波処理された。その後、20μLのTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)が添加され、反応液は24時間撹拌された。続いて、粒子は遠心分離され(5分、RPM 6000)、20mLエタノールで3回洗浄され、その後、室温で真空において乾燥された。
SBA-15型シリカシェルを用いたポリスチレンコアの直接被覆 (Sn-PS10及びSn-PS40;n=1~6)
磁性材料を含む第1層無しの、すなわち、MCM-41より大きい細孔を保持するメソポーラスシリカSBA-15を直接に用いるポリスチレンコアの直接被覆については、2つの合成経路がSun, Z. et al., J. Mater. Chem. A 2014, 2 (43), 18322-18328; Yang, J. et al., RSC Adv. 2014, 4 (89), 48676-48681; 及びRosenholm, J. M. et al., Microporous Mesoporous Mater. 2011, 145 (1), 14-2から適合された。第1に、酸性経路については、30mLのHCl(2M)における60mgのプルロニック(登録商標)P123の溶液が水で調製された。次に、S1-PSXYのケースでは180mgのMgSO、及び、S2-PSXYのケースでは5.8mg CTAB(XY=10、40)、並びに、150mgのPS10又はPS40のいずれかの粒子が添加された。分散液は、ソノトロード(振幅75、サイクル0.5)を用いて5分間にわたって超音波処理された。激しく撹拌しながら0.160mLのTEOSが添加され、その後、反応混合物の撹拌が室温で24時間継続された。中性合成経路については、40mLミリQ水及び16.09mLエタノール(無水)における、50mgのP123、並びに、S3‐PSXYの場合は0.58g NaCl、及び、S4-PSXY(XY=10、40)の場合は180mgのMgSOの溶液が調製された。後者の手法では、MgSOの濃度は更に修正され、結果として、540mgのMgSOの存在下でS5-PSXY、60mgのMgSOの存在下でS6-PSXYの調製をもたらす。被覆のために、0.1gのPS10又はPS40粒子のいずれかが添加され、分散液は、ソノトロード(振幅75、サイクル0.5)を用いて5分間にわたって超音波処理された。続いて、激しく撹拌した状態で、0.222mLのTEOSが添加され、その後、36℃で更に24時間撹拌された。その後、混合物はテフロン(登録商標)容器に移送され、100℃で24時間にわたって熱水処理され、その後、粒子を遠心分離し(5分、6000rpm)、20mLのエタノールで3回洗浄された。最後の段階では、室温で真空中で再び乾燥させた。アミノ基を用いた官能基化 (NH2-Z-PSXY;XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1~6)
n=1~6である略称Snの使用は、MCM-41型シリカシェルを用いたポリスチレンコアの直接被覆のために、異なるタイプの構造指向メディエーター、及び、既に上で説明されたpHを使用することによってメソポーラスシリカシェルを取得するための6個の異なる手法S1~S6に関する。アミノ基の官能基化については、20mgのN-PS40、M-PSXY、及びSu-PSXY粒子が800μLエタノールにおいて分散された。表面を活性化して、残留界面活性剤を細孔の内側から除去するべく、EtOHにおける1M HCl 400μLが添加され、混合物は、超音波処理槽において5分間にわたって超音波処理された。粒子は、400μLエタノールで2回洗浄され、400μLエタノールにおいて再分散された。アミノ修飾については、4μL(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)が添加され、混合物は、サーモミキサー(800rpm)において、40℃で一晩放置されて反応した。粒子は、EtOH/H2O混合物(1/1)で3回洗浄され、その後、室温で真空において乾燥された。カルボン酸基を用いた官能基化 (COOH-Z-PSXY;XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1~6)
カルボン酸基で修飾された材料COOH-N-PS40、COOH-M-PSXY、及びCOOH-Sn-PSXYを取得するべく、5mgの対応するNH2-N-PS40、NH2-M-PSXY、又はNH2-Sn-PSXY粒子が、2mLエッペンドルフチューブ中の1.5mL EtOH(無水)に分散された。30μLのDMF中の無水コハク酸(10%、100μL中に10mg)が添加され、混合物はサーモミキサー(800rpm)において、40℃で一晩放置されて反応した。その後、粒子はEtOH/H2O混合物(1/1)で3回洗浄された。最後の段階において、500μLのエタノールが添加され、原液として最終濃度1%(w/v)を得た。
粒子に対するc-DNAの連結(DNA-Z-PSXY、DNA'‐S4-PS40;XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1~4)
n=1~4である略称Snの使用は、MCM-41型シリカシェルを用いたポリスチレンコアの直接被覆のために、異なるタイプの構造指向メディエーター、及び、既に上で説明されたpHを使用することによってメソポーラスシリカシェルを取得するための4個の異なる手法S1~S4に関する(S5及びS6の手法は本明細書において使用されなかった)。1%(w/v)原液から、5μLのCOOH-Z-PSXY粒子が100μLの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸バッファ(MESバッファ;pH5、0.1M)において分散された。この分散液に対して、MESバッファにおける、40μLの新たに調製された1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)溶液及び80μLのN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(S-NHS)溶液(両方とも100μLあたり1mg)が添加された。室温で15分後、12μLの一本鎖DNA5'‐C6アミノ-TTT ATG TCG TTT GCT GTA-3'の溶液(c-DNA、0.1mM)が添加され、混合物は、サーモミキサー(1000rpm)において、45℃で一晩放置されて反応し、DNA-N-PS40、DNA-M-PSXY及びDNA-Sn-PSXYが生じた。カルボン酸で修飾されたDNAのケースでは、12μLのDNA溶液5'‐カルボキシC10-TTT ATG TCG TTT GCT GTA-3'(c9-DNA、0.1mM)がEDC及びS-NHS混合物に直接添加され、15分後、NH2-S4-PS40粒子が添加され、DNA'‐S4-PS40が得られた。その後、100μLのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩化物及びラウリル硫酸ナトリウムバッファ(0.05%SDSを有する0.1MのTris‐HCl)が添加され、遠心分離後、混合物は500μLのTris/SDS(0.05%SDSを有する0.1MのTris‐HCl)で2回洗浄された。最終的には、粒子は200μLの0.1MのTris‐HCl(pH8)に再分散され、0.025%の原液濃度に到達した。
FAM標識されたDNAとのハイブリダイゼーション
c-DNAと相補的であり、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で蛍光標識された標的オリゴヌクレオチド鎖(t-DNA)、5'-(6-FAM)-TAC AGC AAA CGA CAT-3'の異なる濃度を含む5μLの溶液の添加前に、体積5μLのc-DNA修飾粒子DNA-Z-PSXY(XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1~4)及びDNA'-S4-PS40の原液が、95μLのハイブリダイゼーションバッファ(50mMのTRIS及び80mM MgCl;pH8)と混合された。使用された濃度は、2、0.2、0.1、0.02、0.01、0.002、0.0002、0.00002、及び0.00001pmol μL-1であった。粒子懸濁液は、測定前に、サーモミキサーにおいて600rpm、室温で30分間インキュベートされた。t-DNAを含まないバッファを用いた対照実験も実行された。
分子ビーコンの移植
5'領域においてレポーター分子としてのFAMで標識され、3'領域においてクエンチャー分子として4-ジメチルアミノアゾベンゼン-4'-スルホニルクロリド(DABCYL)で標識された一本鎖DNAから成る分子ビーコン(DNAビーコン:5'-FAM-TAGAAGGGTTACCTTGTTACGACTTCT[AmCdT]CTA-DABCYL-3')が、DNA-S4-PS粒子について上で説明された同様の手順に従って、相補的ステム配列領域のチミン基に位置するその残留アミノ基を通じて、活性エステル方法を介して、粒子COOH-S4-PSに共有結合で移植された。5μLの1%(w/v)COOH-S4-PS原液が、100μLの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)バッファ(pH5、0.1M)において懸濁され、その後、40μLの新たに調製されたMESバッファにおける1%(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)(EDC)溶液、及び、80μLのMESバッファにおける1%N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)溶液が添加された。室温における15分間の撹拌後、Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)バッファにおける、6μLの0.2mM DNAビーコン溶液が、COOH-S4-PSを含む懸濁液に添加された。混合物は、サーモミキサー(1000rpm)において、45℃で一晩放置されて反応し、0.05%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS;pH8)を有する100μLのTris-HCl 0.1Mが添加された。遠心分離(5分;6000rpm)後、粒子は、同一の500μLのTris/SDS溶液で2回洗浄された。最終的に、粒子は、200μL 0.1MのTris‐HCl(pH8)において分散され、0.25%の濃度のビーコン-S4-PS原液が取得された。粒子は-20℃で保存された。
ビーコンに相補的なDNA鎖(cDNA)とのハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイ条件の最適化及びシステムの性能の評価は、それぞれ、蛍光光度計及びフローサイトメータで実行された。フローサイトメトリアッセイについては、100μLハイブリダイゼーションバッファ(50mM Tris-HCl、MgCl 80mM、pH8)、5μLの0.25%ビーコン-S4-PS原液、及び、ビーコンの配列(rc-DNAビーコン配列:5'-AAGTCGTAACAAGGTAACC-3')に相補的な配列を有する様々な量のDNAを含む5μLハイブリダイゼーションバッファを各ウェルに添加することによってELISAマイクロプレートが調製された。マイクロプレートは、室温で30分間撹拌され、その後、すべてのウェルの懸濁液のアリコートがフローサイトメータに分注され、蛍光が533nm(λexc=488nm)で記録された。蛍光光度計を用いて実行された滴定実験については、20μLの0.25%ビーコン-S4-PS原液が2mLハイブリダイゼーションバッファ(50mM Tris-HCl、MgCl 80mM、pH8)に懸濁され、その後、5μLのrc-DNAビーコン配列5'-AAGTCGTAACAAGGTAACC-3'を添加した。懸濁液は室温で5分間撹拌され、その後、蛍光発光が525nm(λexc=488nm)で測定された。
ゲノムDNAとのハイブリダイゼーションアッセイ
ゲノムDNAの検出については、実験は、cDNAについて説明された同一の手法に従って実行されるが、試料は95℃で5分間にわたって事前加熱され、ゲノムDNAを脱ハイブリダイズした。細菌シュードモナスエルギノーザATCC株15442及びフラボバクテリウムジョンソニアエ株ATCC17061、並びにカンジダトロピカリス真菌ATCC株750からの標準ゲノムDNA抽出物が利用された。
ゲート制御放出材料の合成
SRG色素(SRG-M-PS及びSRG-S-PS)でM-PS及びS-PSを装填する
M-PS及びS-PS材料(50mg)が、2つの異なる15mLファルコンチューブにおいて、EtOHにおける色素スルホローダミンG(SRG)の20mM溶液4mLに懸濁され、懸濁液は、M-PS及びS-PS材料の細孔の最大の装填を達成する目的で、室温で24時間撹拌された。その後、EtOH(1.25%w/v)におけるSRG-M-PSを含む懸濁液が各々、1.3mLの3つの画分に分割され、懸濁液は、ゲート制御される材料Hg-SRG-M-PS、pH-SRG-M-PS、及びNH2-SRG-M-PSの更なる調製のために放置された。SRG-S-PS材料を含む懸濁液(1.25%w/v)が各々、2mLの2つの画分に分割され、ゲート制御される材料pH-SRG-S-PSの更なる調製のために放置された。
pHゲート制御のためのアンカー分子による官能基化 (pH-SRG-M-PS及びpH-SRG-S-PS)
30又は44.4μLの(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(TMPD);5mmolのTMPD g-1 SRG-Z-PS、Z=M、S)が1.3又は2mLのEtOH(1.25%w/v)におけるSRG-M-PS又はSRG-S-PSの懸濁液にそれぞれ添加され、最終混合物は、室温で5.5時間撹拌され、この配列により、細孔へのTMPD基の拡散が妨げられること、及び、TMPDによる官能基化が主に外側表面で生じることを確実にする。その後、材料SRG-M-PS及びSRG-S-PSが遠心分離され(6000rpm、5分)、12mLのEtOHで洗浄され、再び遠心分離され(6000rpm、5分)、その後、40mLのpH3のHOで3回洗浄し、乾燥された。
水銀イオンゲート制御(Hg-SRG-M-PS)のためのアンカー分子による官能基化
20μLの3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTS;5mmol MPTS g-1 SRG-M-PS)が、EtOHにおけるSRG-M-PSの1.3mL懸濁液(1.25%w/v)に添加され、最終混合物は室温で5.5時間撹拌された。この配列は、細孔へのMPTSの拡散が妨げられること、及び、MPTSによる官能基化が主に外側表面で生じることを保証する。その後、材料は遠心分離され(6000rpm、5分間)、4mLのEtOHで洗浄され、再び遠心分離され(6000rpm、5分間)、5:1v/v CHES-EtOH pH9.6の混合物10mLに再懸濁された。その後、1.1mLのスクアライン色素(1,3-ビス(4-(ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミノ)フェニル)-4-オキソシクロブト-2-エン-1-イリウム-2-オラート;EtOHにおいて1.5mM)が懸濁液に添加され、混合物は5分間撹拌された。最終的に、固体Hg-SRG-M-PSが遠心分離され(6000rpm、5分間)、EtOH6(50mL)で6回洗浄され、乾燥された。スクアライン色素は、水を共沸除去しながら、N,N-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アニリン(890mg、3mmol)及び3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(スクアリン酸、171mg、1.5mmol)の混合物をトルエン:ブタノール1:1の溶液において還流することによって調製され、Ros-Lis, J. V. et al, J. Am. Chem. Soc., 2004, 126 (13),4064-4065に従って真空濾過によって単離された青色の固体が生じた。
アミノ基による官能基化(NH2-SRG-M-PS)
20μLの3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES);5mmolのAPTES g-1 SRG-M-PS)がEtOHにおけるSRG-M-PSの1.3mL懸濁液(1.25%w/v)に添加され、最終混合物は、室温で5.5時間撹拌された。その後、材料NH2-SRG-M-PSは遠心分離され(6000rpm、5分)、12mLのEtOHで2回洗浄され、再び遠心分離され(6000rpm、5分)、乾燥された。
粒子に対するアプタマーの連結(Pen-SRG-M-PS)
NH2-SRG-M-PSに共有結合されたアプタマーPen-COOHを含むPen-SRG-M-PS材料が、DNA'-S4-PS40について上で説明された同様の手順に従って、第2の段階において調製された。その目的のために、20μLのPen-COOHアプタマー原液(100μM;水)5'-COOH-C10-TTT TCT GAA TTG GAT CTC TCT TCT TGA GCG ATC TCC ACA-3'が、MESバッファ(100mM;pH5)における新たに調製された100μLの1%(w/v)EDC溶液に添加され、その後、MESバッファにおける100μLのS-NHS溶液が混合物に添加された。試薬が15分間混合された。次に、反応物の混合物が、100μLのMESバッファ(100mM;pH5)における1mgのNH2-SRG-M-PSを含む以前に調製された懸濁液に添加され、混合物はサーモミキサー(1000rpm)において45℃で一晩放置されて反応した。その後、200μLのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩化物及びラウリル硫酸ナトリウムバッファ(0.05%SDSを有する0.1MのTris‐HCl)が添加され、遠心分離後、混合物は500μLのTris/SDS(0.05%SDSを有する0.1MのTris‐HCl)で2回洗浄された。最終的に、粒子Pen-SRG-M-PSが、500μL 0.01Mリン酸バッファ(pH8)において再分散されて0.2%の原液濃度に到達し、8℃で冷蔵庫に保存された。
ポリスチレンコア及び磁性層を含む材料の合成
超常磁性酸化鉄ナノ粒子(Fe10)の合成
丸底フラスコにおいて、0.338gのFeCl×6 HO及び0.172gのFeCl×4 HOが、100mLのミリQ水に溶解された。次に溶液はアルゴンストリームを用いて20分間脱気された。その後、4gのPVP(PVP10)を含む58mLのNH溶液(16%)の溶液が、2分間の期間にわたって滴下によって添加された。反応混合物は、機械的な撹拌器を用いて、150rpmで1.5時間撹拌された。続いて、粒子は磁石で分離され、水で洗浄され、その後、ミリQ水で再分散された。粒子は、約3%(w/v)の濃度で冷蔵庫に保存された。
酸化鉄ナノ粒子シェルを用いたポリスチレンコアの被覆(Fe10@PS10)
超常磁性層で有機ポリマーコアを被覆するべく、ファルコンチューブ内の30mLミリQ水を用いて、60mgのPS10粒子及び2mLのFe10粒子を含む溶液(水において約3%)が調製された。被覆は、40rpmで1.5時間、ロータプレート上でチューブを回転させることによって実行された。次に、粒子は水で2回洗浄され、エタノールで1回洗浄され、その後乾燥された。
無孔性シリカシェルを用いたFe10@PS10の被覆(N-Q×@Fe10@PS、Q=1,3、5)
60mgのFe10@PS10粒子が、30mLエタノール及び1mLミリQ水において分散された。溶液は、150rpmでオーバヘッド撹拌器を用いて撹拌された。次に、N-1×@Fe10@PS10の場合は185μLのNH溶液(32%)、N-3×@Fe10@PS10の場合は555μLのNH溶液(32%)、N-5×@Fe10@PS10の場合は925μLのNH溶液(32%)が添加され、その後、185μL、555μL、又は925μLのTEOSが滴下によって添加された。混合物は38℃で一晩撹拌された。粒子は水及びエタノールで複数回洗浄され、その後、乾燥され、N-Q×@Fe10@PS10(Q=1,3、5)を生じた。MCM-41型シリカシェルを用いたN-3×@Fe10@PS10の被覆(M@Fe10@PS10)
50mgのN-3×@Fe10@PS10粒子が、15mLバイアルにおける1mLエタノール無水、1.3mLミリQ水、及び50μLアンモニア(32%)において分散された。10mg CTABがこの反応混合物に付与され、分散液は超音波槽を用いて10分間超音波処理された。その後、20μLのTEOSが添加され、反応混合物は室温で24時間撹拌された。最終的に、粒子は遠心分離(5分、RPM6000)、20mLエタノールで3回洗浄され、その後、室温で真空中で乾燥された。
SBA-15型シリカシェルを用いたN-3×@Fe10@PS10の被覆(Sn@Fe10@PS、n=1、2)
酸性合成経路において、水における30mLのHCl(0.1M)における60mgのP123の溶液が調製された。これらの酸性条件から磁性材料を保護するべく、N-3×@Fe10@PS10粒子が使用された。下で更に説明されるように、N-3×@Fe10@PS10は、無孔性シェルで被覆されたFe10@PS10のもっとも好適な形態を示した。磁性材料を直接覆う中間シリカ層が無いので、Fe10シェルは酸性条件で溶解する。S1@Fe10@PSのケースでは、150mgのN-3×@Fe10@PS10だけが、ミセル形成テンプレート剤と共に酸性溶液に添加され、S2@Fe10@PS10の場合、150mgのN-3×@Fe10@PS10及び180mgのMgSOがミセル形成テンプレート剤と共に酸性溶液に添加された。分散液は、超音波槽において5分間超音波処理された。0.160mLのTEOSが、激しく撹拌されながら添加され、反応液は、室温で24時間撹拌された。
SBA-15型シリカシェルを用いたN-3×@Fe10@PS10の被覆(S4@Fe10@PS)
中性合成経路では、S4@Fe10@PS10について、40mLのミリQ水及び16.09mLのエタノール(無水)における50mgのP123及び80mgのMgSOの溶液が調製された。次に、0.1gのN-3×Fe10@PS10粒子が添加され、分散液は超音波槽を用いて5分間、超音波処理された(振幅75Hz)。0.222mLのTEOSが、激しく撹拌されながら添加され、反応液は36℃で24時間撹拌された。その後、混合物はテフロン(登録商標)容器に移送され、100℃で24時間熱水処理された。次に、粒子は遠心分離(5分、RPM6000)、20mLエタノールで3回洗浄され、その後、室温で真空中で乾燥された。
アミノ基を用いた官能基化(NH2-N-Q×@Fe10@PS10、Q=1、3、5)
アミノ基を用いたN-Q×@Fe10@PS10(Q=1、3、5)の官能基化は、NH2-Z-PSXY(XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1~6)について上で説明されたものと同一の方法で行われた。
カルボン酸基を用いた官能基化 (COOH-N-Q×@Fe10@PS10、Q=1、3、5)
カルボン酸基を用いたNH2-Z-PSXY(XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1-6)の二次官能基化は、COOH-Z-PSXY;XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1-6)について上で説明されたものと同一の方法で行われた。
材料Z-PSXY、NH2-Z-PSXY、COOH-Z-PSXY、DNA-Z-PSXY、及びDNA'-S4-PS40の特性評価(XY=10、40;Z=N、M、Sn;n=1-6)
走査電子顕微鏡検査及び窒素吸着-脱着等温線
粒子は異なる標準の方法を使用して特性評価された。様々な官能基化段階におけるコア・シェル粒子の0.001%(w/v)懸濁液が水において調製された。これらの溶液(2mL)のゼータ電位がMalvernからのゼータサイザーナノZSで測定された。ポロシメトリーについては、80~180mgのコア・シェル粒子が使用され、ミセル形成テンプレート剤は、超音波槽(400μL、エタノールにおける1M HCl)において、5分間の超音波処理を通じて除去され、その後、N吸収/脱着等温線の測定を行った。エタノールにおける粒子の1%懸濁液について電子顕微鏡写真が記録された。TEM測定については、ポリスチレンコアは、520℃での熱分解を介して除去される必要があった。
図15および17に示される窒素吸着/脱着試験は、そのような材料に典型的なIV型等温線を示す。比表面積(m-1)の値が、評価方法としてBrunauer-Emmett-Teller(BET)式を使用して推定され、一方、細孔サイズ分布は、等温線の脱着枝及びBarrett-Joyner-Halenda(BJH)方法を使用して計算された。外部表面積、マイクロ細孔表面積及び体積が、t-プロット方法によって推定された。細孔サイズは、分布曲線におけるピークの最大値から導出された。結果は下の表1に示される。
表1 BET、BJH、及びt-プロット方法を使用して窒素吸着/脱着試験から導出されたBET、外部及びマイクロ細孔表面積、総細孔及びマイクロ細孔体積、及び、細孔直径。
M-PS40は、吸着/脱着等温線における2つの十分に区別された吸着段階を示し、第1のものは、毛管現象によるメソポーラス細孔内側の窒素凝縮が原因であり、より高いP/P値における第2の段階は、メソポーラスシェルを形成する、外側粒子表面上の窒素吸着が原因である。この区間におけるMCM-41シェルについてのヒステリシスループが存在しないことは、均一な円筒形メソポーラス細孔の存在を支持する。しかしながら、S4-PS40は、P/P=0.7-0.9の領域におけるヒステリシスループを示し、細孔内側の気体保持、及び、空隙のより複雑な形態を通じたより遅い脱着を示す。
ゼータ電位及びニンヒドリン試験
官能基化の成功を決定するべく、異なる材料についてゼータ電位測定が実行された。表2は、コア・シェル粒子の成功した官能基化を示す、材料PSXY、N-PS40、M-PS40 S4-PSXY、NH2-N-PS40、NH2-M-PS40、NH2-S4-PSXY、COOH-N-PS40、COOH-M-PS40、及びCOOH-S4-PSXY(XY=10、40)についてデータをそれぞれ収集する。
表2 調製された異なる材料のゼータ電位
残留イニシエータに起因してコア粒子、及び、シラノール基の存在に起因してシリカシェル粒子M-PS40及びS4-PSXY(XY=10、40)は、際立って負のゼータ電位を示す。アミノ化すると、符号は逆になり、表面上の過剰なプロトン化可能基は、NH2-N-PS40(表面上のより少ない数のアミノ部分(表3)は、弱い正の値を生成することだけ可能である)を除くすべてのケースで強い正の値をもたらす。脱プロトン化可能なカルボン酸基を用いた再官能基化は次に、負のゼータ電位を再び粒子に与えた。一般に、未修飾の及び官能基化されたMCM-41型シェルは、SBA-15型の対応するものより低い絶対値を生じさせた。これは、SBAシェル(表1を参照)と比較した、MCMのより低い量の絶対外部表面積、又は、異なる細孔システムにおける潜在的に荷電した官能基のアクセス可能性の結果であり得る。
コア・シェル粒子の表面上のアミノ基はニンヒドリン試験で定量化された。この試験では、一次アミンがニンヒドリンと反応し、590nmに吸収最大値を有する色素ルーエマン紫を発生させ、UV/可視光吸収分光法によって便利に定量化され得る。懸濁液の色付きの上清は従って、分光光度計を用いて測定され、較正曲線を実行するための標準としてペンチルアミンが使用された。図19は、試験の較正曲線を示し、それぞれの材料について決定された値は下の表3において報告される。
表3 それぞれの材料の表面に固定されたアミノ基の量(mmol g-1 固体)、密度(分子nm-2)、及び平均距離(nm)
非アミノ化粒子について取得された。表6も参照されたい。
決定されていない。
対応するSn-PS40粒子の表面積が計算のために使用された。
見て分かるように、PS10コア上で成長したシェルのアミノ基の密度は、一般に、PS40上で成長したそれぞれのシェルより際立って低い。シェル型に関して、NH2-M-PS40は、NH2-Sn-PS40と比較して、約2倍の数のアミノ基を含み、これはおそらく、より高い壁曲率を有する狭い細孔におけるAPTESのより良い自己触媒凝縮に起因する。加えて、分子密度は、Sn-PS10について同等であった(2.0±0.7分子nm-2)一方で、SDMへの依存性は、PS40コアについて、より明白であった。
ブランク(LOB)、検出(LOD)、及び定量化(LOQ)の限界並びにダイナミックレンジ
ブランク限界(LOB)、検出限界(LOD)、及び定量化限界(LOQ)のパラメータは、分析手順によって高い信頼性で測定され得る試料の最小濃度を説明する。LOBは、分析物の非存在下においてブランク試料の複製が測定されるときに見られると予想される最高の推定上の分析物濃度として定義される。LODは、LOBから高い信頼性で区別できる可能性があり、検出が実行可能である最低の分析物濃度として定義され、一方、LOQは、分析物が高い信頼性で検出されるだけでなく、適切に定量化され得る最低の濃度として定義される。これらのパラメータは、以下の式に従って推定された。
LOB=平均ブランク+1.645(σblank
LOD=Lob+1.645(σlow concentration sample
LOQ=LOB+10(σlow concentration sample
ダイナミックレンジは、最大シグナルの20%(IC20)及び80%(IC80)の間のシグナル強度を保持する濃度の間の濃度範囲として定義された。
表4に列挙された値は、t-DNAで修飾されたコア・シェル粒子を用いて試験された対応する試料についての実施形態に従って検出された。
表4 選択された材料で見られたLOD、LOQ、蛍光の最大シグナル(Smax)、及び、ダイナミック濃度範囲
a) シグナルが飽和されなかった。
b) シグナルが飽和されず、ダイナミックレンジ値が決定されなかった。
見て分かるように、DNA-S4-PS40は、もっとも高感度の材料であり、対応するアナログのDNA-M-PS40及びDNA-N-PS40より感度が少なくとも50倍良かった。材料DNA-S1-PS10及びDNA-S4-PS10は、際立って狭いダイナミックレンジを示し、一方、DNA-S3-PS40は、もっとも広いダイナミックレンジを示した。
DNA'-S4-PS40を用いて実行され、より長い、又はより短い捕捉鎖c9-DNA'-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40を利用するハイブリダイゼーションアッセイが図21に示される。文章中で議論されるように、検出器飽和の点さえ超える粒子表面上の過剰な遊離アミノ/アンモニウム基に対するt-DNA鎖の継続的な非特異的結合は、関連するダイナミックレンジを導出することを不可能にし、著しく高い明らかなSmaxを生じさせる。また、後者にもかかわらず、c9-DNA'-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40を用いて到達され得る感度は、DNA-S4-PS40の場合より悪い。c9-DNA'-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40の間の違い、すなわち、より短い捕捉鎖を有する粒子の性能が遥かに良いことは、おそらく、パートナーのcn-DNA及びNH2-S4-PS40を用いて実行されるアッセイの種類に起因し;本明細書において、COOH-S4-PS40に固定するc-DNAのための粒子表面とは対照的に、DNA鎖上のカルボン酸基は、EDC及びNHSを用いて活性化される。c-DNAが活性化されるとき、より小さく、及び速く動くc9-DNAの使用はおそらく、c15-DNAの使用より高い表面カバレッジをもたらし得る。
表5 使用されたオリゴヌクレオチド配列(すべてのオリゴヌクレオチドは、metabion GmbH, 82152 Planegg/Steinkirchen, Semmelweisstr. 3、ドイツで取得され、使用前にHPLCで精製された)。「番号」という題の列は、付属の配列リストにおける対応する配列(配列番号)の番号を示す。
色素ドーピングされたポリスチレンコアの特性評価
そのコアにドーピングされた色素IIを含むPS10粒子の懸濁液が、フローサイトメトリによって、それらの分散度に関して調査された。図27は、そのようなIIドーピングPS10粒子について、ドットプロットの形態で散布図を示し、前方(FSC)散乱シグナルに対する側方(SSC)散乱シグナルをプロットする。ここで、FSCシグナルは、測定された粒子のサイズに関して高感度であり、SSCシグナルは、表面構造/粗度及び等方性(非球性)に関して高感度である。図40において見て分かるように、ドーピングされたPS10粒子は、色素IIでドーピングした後に単分散し、融合した粒子は見られなかった。図28は、異なる濃度(0.5nM;0.25nM;0.125nM)の色素IIでドーピングされたコアの蛍光に応じた粒子のプロットを示す。3つのすべての試料は、それらの蛍光シグナルによって区別可能である。色素II濃度0.25nMの試料が選択され、Fe10及びシリカを用いて被覆された。
材料Fe10、N-Q×@Fe10@PS10、M@Fe10@PS10、S4@Fe10@PS及びNH2-N-Q×@Fe10@PS10(Q=1、3、5)の特性評価
走査電子顕微鏡検査及びニンヒドリン試験
Fe10粒子
走査又は透過型電子顕微鏡検査で収集された画像は、Fe10粒子の合成においてPVPを使用することにより、粒子の凝集を回避し、水における安定的な酸化鉄ナノ粒子の分散を維持することを示した。図24において、粒子は凝集しているように見える。これはおそらく、電子顕微鏡グリッド上の試料調製中の乾燥に起因する。しかしながら、図25から分かるように、例えば、試料がスピン被覆を介して調製されたとき、粒子はなお分離可能であり、単一粒子を見ることができる。図26は、直径約7nmを有する、単一の分離された粒子を再び示す。
N-Q×@Fe10@PS10粒子、Q=1、3、5
N-Q×@Fe10@PS10(Q=1、3、5)の分散度はまた、フローサイトメトリによって調査された。図29に示されるように、Fe10及びシリカで被覆されると、粒子は、特にSSC-Hチャネルにおいて増加した散乱を示し、PS粒子と比較して、表面のより高い粗度を示す。しかしながら、これらの粒子はなお高度に単分散していることは明らかである。粒子の蛍光測定(図30)は、初期の非被覆粒子(図28)と同一の分布を示し、両方のシェルの形成後、色素IIがPSコアにおいて維持されていることを示す。
図31~図33は、N-1×@Fe10@PS10、N-3×@Fe10@PS10、及びN-5×@Fe10@PS10についてそれらのSEM画像によって行われた、異なる量のTEOS/NHを使用することによって達成可能な異なるシェルの厚さを示す。シリカシェルの厚さが、薄いシリカシェル(図31;N-1×@Fe10@PS10)から中程度に厚いシリカシェル(図32におけるN-3×@Fe10@PS10又は図33におけるN-5×@Fe10@PS10)まで、TEOS:NHの量と共に増加することは明らかである。より薄いシェルをもたらす合成経路について、第1無機酸化物シェルを合成する前にFe10粒子が堆積された位置を見ることができる。なぜなら、第1無機酸化物シェルは、PVP被覆によって媒介されるFe10粒子を組み込むからである。
N-3×@Fe10@PS10は、反応後、最高の被覆、及び最低の量の遊離シリカを示したので、これらの粒子だけが最終アッセイに使用された。N-3×@Fe10@PS10の粒子形態はまた、透過型電子顕微鏡検査及び走査透過型電子顕微鏡検査によって検証された。図34のTEM画像において、PS粒子の表面上のFe10の均等な分布が示されている。また、粒子を覆うSiOシェルが見られる。
図35は、N-3×@Fe10@PS10のSTEMマッピングを示す。PSコア上の顕著なSiOシェル(右側、STEMマッピング)及び粒子全体に均等に分布するFe10粒子の層(左側、高角度環状暗視野イメージング(HAADF)STEMマッピング)が示される。
M@Fe10@PS10
M@Fe10@PS粒子は、M-PS40と同一の手順に従って、N-3×@Fe10@PSから調製され、鉄シェルを保護する。図36に示されるように、磁性鉄ナノ粒子を含む無孔性第1シリカシェル上にメソポーラスシリカシェルが形成された。図36からも分かるように、驚くほど小さいメソポーラスシリカナノ粒子が、第1無機酸化物シェルの成長の後に、収束合成手法を通じて取得された。平均直径45±10nmの相互接続されたメソポーラスMCM-41型粒子が見られ、従来の発散手法で一般に達成され得る最小粒子サイズと比較して約3倍小さかった。小さいサイズにもかかわらず、均一なメソポーラスシェルが、典型的な直径2.2±0.5nmのメソポーラス細孔で達成された。
Sn@Fe10@PS、n=1、2、4
それぞれS1-PS40、S2-PS40、及びS4-PS40と同様の手順に従って塩を添加された、酸性(S1@Fe10@PS及びS2@Fe10@PS)及び中性条件(S4@Fe10@PS)下で実行された材料Sn@Fe10@PSのシェル形成及び細孔構造が、TEM及びSTEMを通じて評価された。Sn@Fe10@PS粒子の調製については、Fe10@PS粒子は、コアとして使用され、第1無機酸化物シェルで被覆された。図37に示されるように、酸性条件により、粒子S1@Fe10@PS(図37、左及び中央)及びS2@Fe10@PS(図37、右)上の粗い多孔性のシリカシェルを取得し、粒子全体を覆うことが可能となった。また、STEMマッピング及びEDXスペクトルを通じて磁性層の存在が示され得る。これにより、鉄原子の存在が確認された(例として、調製された材料S1@Fe10@PSについては図38を参照)。また、STEMマッピングによって、PSコア上のシリカの第1層及び凝集シリカの第2層の区別が観測される、層の異なる分布を観測することが可能となった。S1@Fe10@PSについての部分的に整列された構造、及び、S1@Fe10@PSについてのより整列された細孔構造が観測された、これらの有望な結果にもかかわらず、形成されたシェルは完全に均一でなかった。また、このケースでは、収束合成手法は結果として、120±40nmの平均直径を有する、驚くほど小さいメソポーラスSBA-15型ナノ粒子をもたらした。このサイズは、典型的なSBA-15粒子のサイズが1000±300nmである従来の発散手法と比較して、約10倍も小さい。それらの小さいサイズにもかかわらず、均一なメソポーラスシェルが結果として生じ、7±2nmのメソポーラス細孔を示した。
S2@Fe10@PSについては、S1@Fe10@PSと比較して、より大きいSBA-15型粒子が表面に形成され、これは、225±45nmの直径を有するナノ粒子、及び、600±200×200±50nmのサイズを有するロッド形状の物体の混合物を有する。この材料のTEM画像によって、7.9±0.8nmの六角形単位格子パラメータ、1.9±1nmの壁厚、及び、5.8±1nmの細孔サイズを有する、表面において整列されたSBA-15材料の六方ネットワーク配列のパターンを明確に観測することが可能となった(図37の右を参照)。中性条件が利用されたとき、材料S4@Fe10@PS上で、メソポーラスシェルの遥かに良い均一性が観測された(図41および42を参照)。SEM写真(図41)により、コア全体を完全に覆う均一なシェルの存在を観測することが可能となった一方(個別の粒子は観測できなかった)、規則的メソポーラス性は、TEM画像を通じて観測された(図42、左及び中央)。対応するFFT画像(図42、右)によって、11.9±2.6nmの六角形単位格子パラメータ、3.6±1nmの壁厚、及び、8.3±1nmの細孔サイズを有する、形成されたメソポーラスシェルの周期性も観測することが可能となった。
NH2-N-Q×@Fe10@PS10、Q=1、3、5
更なる粒子官能基化の可能性を評価するべく、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を使用してアミノ基が表面に付着された。表面に共有結合で移植されたアミノ基の量は、上で説明されたニンヒドリン試験を用いて決定された。対応する結果は表6において示されている。ここでは、異なるSiOシェルの厚さ、及び、粒子の表面上のアミノ基の対応する量を有する3つの試料についての吸光度を列挙している。
表6
NH2-N-Q×@Fe10@PS10、Q=1、3、5のニンヒドリン試験。こおで、数「Q」=1、3、5は、シェル成長及び厚さに影響を与えるための、反応液に存在するTEOS/NHの1倍、3倍、及び5倍の体積の増加を示す。
もっとも円滑な種類のシェルを有する粒子は、最低のシグナルを示す。これはおそらく、よりラズベリー状の粒子の表面積がより高いことに起因する。ニンヒドリン試験はまた、酸性条件下でシラノール基が前に活性化された粒子を用いて実行された。活性化及び官能基化の後、粒子はなお磁性を有し、同一の吸光度のシグナルを有した。
結果の考察
MCM-41型シェルを用いたDNAハイブリダイゼーションアッセイ
調製された粒子を使用してDNA定量化を実行するべく、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を使用して、活性エステル経路を介して、捕捉オリゴヌクレオチド(c-DNA)鎖がCOOH-M-PS40に共有結合され、結果としてDNA-M-PS40が生じた。第2の段階において、蛍光標識された標的DNA(6-カルボキシフルオレセイン又はFAM標識されたt-DNA)鎖を用いてDNA-M-PS40がインキュベートされた(t-DNAはc-DNA鎖に相補的である)。粒子に結合されるt-DNAの量は次にフローサイトメトリによって分析された。これについて、異なる濃度のt-DNAを含む5μLの溶液が、5μLの粒子懸濁液(0.025% w/v)及び95μLのハイブリダイゼーションバッファを含むELISAプレートのウェルに添加された。それぞれのバックグラウンド測定が同様に行われた。図5は、t-DNAの濃度に対してプロットされた蛍光強度、及び、対応する4パラメトリックロジスティックフィットを示す。この手順に従い、228±78amol μL-1のLOD及び752±80amol μL-1のLOQが見られた。
この感度を、DNA-N-PS40について取得された感度と比較すると、本ハイブリッドは、2倍高感度であった(表4、図20を参照)。しかしながら、最大シグナルゲインは、DNA-N-PS40よりDNA-M-PS40の方が低かった。我々は暫定的に、M-PS40上に形成されるメソポーラスシリカシェルの2nmという狭い細孔サイズにより、大幅に増加した比表面積の完全な活用が潜在的に妨げられたことが原因であると考える。表3及びSarma, D. et al., Langmuir 2016, 32 (15), 3717-3727によって与えられる官能基化データの比較はこの仮定を支持する。N-PS40は、約10m-1の比表面積及び約6NH基nm‐2の官能基化密度を有する一方で、後者は、約10NH基nm-2のM-PS40について同等であり、一方、メソポーラスシェルは、約100m-1の10倍高い比表面積を保持する(表1、3)。そのため、M-PS40はN-PS40より、際立って多い粒子あたりのアミノ基を提供するが(ゼータ電位においても反映される、表2を参照)、c-DNAとの連結効率又はハイブリダイゼーションの確率のいずれかは、際立って低いように見える。これは、M-PS40の細孔の小さいサイズ(約2nm)に起因する可能性がもっとも高い。c-DNA部分が細孔開口の近くのカルボン酸基に固定され始めるとき、狭い細孔へのc-DNAの拡散は既に妨げられ得る一方で、細孔開口により近いc-DNA部分におけるt-DNAのハイブリダイゼーションは、一本鎖‐二本鎖変換を通じてこれらの物体の剛性を強化し、細孔における拡散を一層妨げる。それにもかかわらず、感度の改善により、我々は次の段階に進み、より広い細孔直径を有するメソポーラス材料を調製した。
SBA-15シェルを有するポリスチレンコア粒子の被覆
メソポーラスシリカにおけるより大きい細孔直径を目指すとき、例えば1,3,5-トリメチルベンゼン(TMB)などの細孔拡張剤が、従来のMCM-41型プロトコルを用いて使用され得る。しかしながら、そのような試薬は、シリカフレームワークを不安定化させ得る。代替的な手法は、サイズがより大きい、及び/又は、より大きいミセルを形成する、他のミセル形成剤、例えば、P123などのトリブロックコポリマーをテンプレートとして使用することである。そのような補助試薬はSBA-15型メソポーラス材料をもたらす。本明細書では後者の種類の2つの手法に従った。第1に、MgSO又はCTABを使用して、コア粒子の表面及びテンプレート分子によって形成されるミセルの間の相互作用を強化することによって、酸性条件下において、P123媒介シリカシェル合成が試みられた。第2のタイプの合成が、MgSO又はNaClを構造指向メディエーターとして、中性条件下で実行された。反応完了後、より大きい細孔を有するシリカフレームワークを安定化するために、一般に熱水処理が実行された。本明細書において、界面活性剤の画分は、エタノールにおける粒子の洗浄中に除去され、一方、エタノール及び希釈塩酸の混合物における表面のシラノール基の活性化中に完全な除去が達成された。MCM-41型シェルと同様の手順に従って、SBA-15型シェルもポロシメトリーによって特性評価された。加えて、より良い可視性のために、走査電子顕微鏡検査(SEM)測定が実行された。上で言及されたように、第1の試みは、P123及びMgSOを伴いPS10及びPS40粒子をコアとして使用する酸性手法であり、材料S1-PS10及びS1-PS40をそれぞれ結果として生じる(図6)。約10nmの厚さの多孔性シェルの成長の成功にもかかわらず、表面は、ワーム状構造の付着したように見える多くのシリカ物体を示し、シェル自体はより大きい開口面積を示した。我々は暫定的に、この挙動の原因は、pH及び補助剤に起因する可能性がもっとも高い、コア粒子の表面上のミセルの最適でないアセンブリであると考える。
第2の試みにおいて、CTABが、P123との共界面活性剤として使用され、それぞれ、材料S2-PS10及びS2-PS40を生じさせた(図7)。結果として生じるシェルは現在、ほとんど完成しているが、なおワーム及びロッド状の特徴を示した。しかしながら、これらの構造は、上のような単に付着した特徴より、表面から突出するシェルの一体部分とみなされた。結果として、シェルの厚さは、約100nmと際立って高かった。S2-PS40のケースでは、この現象は、S2-PS10より明白であった(図7のbに対する図7のa)。しかしながら、ロッド状構造の含有はランダムであり、不均一なシェルが結果として生じた。
シリカ被覆の均一性を改善し、プロトン化に起因する潜在的な色素喪失を回避するべく、疎水性色素がラテックスに、すなわち、疎水性有機ポリマー(コア)粒子に立体障害的に組み込まれているとき、被覆中の酸性環境は結果として、色素損失をもたらし得る。プロトン化は一般に、そのような色素の水溶性が遥かに良くするからである。したがって、中性合成経路が次に試みられた。再び、シリカシード(すなわちナノ粒子)及び非イオンブロックコポリマーの間の相互作用を増加させるための構造指向メディエーター塩の性質及び量が重要な要素であると想定される。NaClなどの塩を反応液に添加すると、無機及び有機種の間の相互作用が強化されると報告されている。Naなどの無機カチオンは、シリカ表面に結合されたシラノール基及び水と配位し得るが、それらはまた、界面活性剤のエーテル型酸素と相互作用し得る。我々のケースでは、コアのPVPもシリカナノ粒子アセンブリ及び肥大化を促進することが知られている支持構造としてポリスチレン粒子を使用するとき、これらの相互作用はまた、構造指向メディエーター塩、ならびに、PVP10及びPVP40の鎖のカルボニル酸素の間の相互作用を含む可能性がもっとも高い。本明細書において、金属イオンの名目上の電荷及び電荷密度が異なる、2つの異なる構造指向メディエーター塩、MgSO及びNaClが使用された。第1手法において、188mM NaCl(14mmのTEOSに対して)を構造指向メディエーターとして使用するS3-PS10及びS3-PS40が調製された(図8)。見て分かるように、S3-PS10及びS3-PS40の両方は、完全に近いシェルを示す。両方のコア粒子上のシェルは均一であったが、シェルの厚さは、わずか約20~30nmと非常に薄かった。
中性合成における構造指向メディエーターとして28mMのMgSO(14mM TEOSに関して)を利用して、S4-PS10及びS4-PS40について、より良い結果が取得された。図9に示されるように、この手法は、Mg2+カチオンのより高い電荷密度におそらく起因して遥かに厚いシェルを生じさせ、コア、ミセル形成テンプレート剤、及びシリカの間のより強い相互作用を潜在的にもたらす。シェルは、S4-PS40の場合、約70±10nm、S4-PS10の場合、約120±40nmの厚さであった。S4-PS40のシェルはS4-PS10より薄いので、より均一であった。
これらの特徴により関心を持ち、反応混合物に存在する構造指向メディエーターの量の影響が、PS10をコアとして使用して試験された。従って、S5-PS10及びS6-PS10は、SDMより3倍高い(85mM MgSO;14mM TEOS)及び3倍低い(9mM MgSO;14mM TEOS)量のMgSOを使用して合成された。SEM画像は、S6-PS10粒子上のシェルが、S5-PS10と比較して、ほとんど薄い又は均一性が低いことを明らかにした。図16に示されるように、S5-PS10の反応条件は、約100nmの厚さのシェルの形成を可能にした。しかしながら、これは、非常に無孔性であり、ロッド状のシリカ物体が溶液中に残った。より多量のMgSOは、コア粒子上のテンプレート組織に負の影響を有すると見られる。対照的に、より低い量の塩を有するS6-PS10は、メソポーラス構造ではあるが、不完全なシェル形成を示した。これらの試験に基づいて、S4-PS40がもっとも均一で制御されないシェルを提供することは明らかである。N吸脱着等温線(図17)は、吸着段階が細孔の内側のN凝縮に関連し得る、典型的なIV型等温線を示した。しかしながら、ヒステリシスループの存在及び広い細孔サイズ分布(図17)から、細孔間の内部接続の存在が確認された。S4-PS40の平均細孔サイズは11.5±6.5nm、比表面積は107.2m-1、細孔体積は0.33cm-1であると決定された。材料のメソポーラス性は、か焼されたS4-PS40の透過型電子顕微鏡検査(TEM)測定によって確認された(図18)。追加のTEM、高速フーリエ変換(FFT)及び走査透過型電子顕微鏡検査(STEM;元素マッピング)測定が実行されて、PSコアの除去前の無傷のシェルが検証され(図18のc、d)、FFTによって図示される対応する回折パターンを有する細孔の周期性も観測され得る(図18のe)。より早い材料のMCM-41型シェルと比較して、S4-PS40上のシェルの細孔は、遥かに大きい直径、及び、より高い細孔体積を有し、拡散するDNA鎖の立体障害の低減に起因して、DNAアッセイ材料としての性能を潜在的に強化する。
従って、S4-PS40を用いてDNAアッセイが実行された。対照の目的で、S4-PS10を用いて同様の実験が実行された。SBA-15型シェルは、MCM-41型シェルについて説明されたものと同一の手順に沿って官能基化された。アミノ基及びカルボン酸基を用いた成功した官能基化は、ゼータ電位測定及びニンヒドリン試験を通じて制御された(表2、3を参照)。SBA-15型材料についてのより大きい細孔サイズ及びより厚いシェルを考慮すると(約2.5nmのMCM-41型材料と比較して、約11nm)、細孔内への、及び、細孔壁上に位置するカルボン酸基への単一c-DNA鎖のより良いアクセスが保証されるべきであり、これは最終的に、より良い感度を結果として生じさせると予想される。SBA型材料のケースにおける典型的な細孔直径は、6nm~20nmの範囲にあり、MCM型材料のケースでは、2nm~3nmの範囲にあると簡潔に言及される。
SBA-15型シェルを用いたDNAハイブリダイゼーションアッセイ
粒子DNA-S4-PS10及びDNA-S4-PS40は、DNA-N-PS40及びDNA-M-PS40と同一のプロトコルに従って調製され、結果として、5'末端にアミノ基を有するc-DNAの同一の配列をCOOH-S4-PS10及びCOOH-S4-PS40に移植する。相補的なt-DNA鎖との対応するハイブリダイゼーションの後、DNA-S4-PS10及びDNA-S4-PS40の懸濁液はフローサイトメータを用いて測定された。図10は、DNA-S4-PS10(上)及びDNA-S4-PS40(下)を用いるDNAアッセイを示す。見て分かるように、DNA-S4-PS40は、DNA-M-PS40と比較して、より良い性能を示した(図5)。より良い比較のために、各シェルタイプ、DNA-N-PS40、DNA-M-PS40、及びDNA-S4-PS40の最高の性能の粒子が、図20における単一プロットにおいて比較され、他と比較して、遥かに良いDNA-S4-PS40の応答を示した。また、DNA-S4-PS10はDNA-M-PS40より良い応答を提供したが、蛍光における全体的なシグナルゲインは、DNA-S4-PS40より2倍低かった。
DNA-S4-PS10及びDNA-S4-PS40の両方の材料のLODはそれぞれ、26±10amol μL-1及び4±2amolμL-1であると、LOQは121±8amol μL-1及び80±7amol μL-1であると決定された。そのため、SBA-15型シェルを用いた検出の限界は、無孔性粒子又はMCM-41型シェルを有する粒子より大幅に低く、また、文献における前の報告と比較して遥かに低い。明らかに、SBA-15型シェルへの段階は、蛍光における全体的なシグナルゲインを増加させるだけでなく、アッセイの感度も改善させ、また、DNA-N-PS40(4~21 fmol μL-1)又はDNA-M-PS40(1~24 fmol μL-1)と比較して、いくらか広いダイナミックレンジ(2~35fmol μL-1)を有する(表5も参照された)。DNA-S4-PS10のケースでは、蛍光の強度が低いだけでなく、測定の不確実性がわずかに高く、ダイナミックレンジが低減されると推定され得る。これの原因は、S4-PS10のシェルの均一性が低いことであると暫定的に考えられる。
DNA連結の前にまずアミノ基をカルボン酸基に変換することによる感度のあり得る喪失は、5'末端にカルボン酸基を有するc-DNAをNH2-S4-PS40粒子に直接連結し、DNA'-S4-PS40を生じさせ、上で報告されたようにDNAアッセイを実行することによって評価された。実験は、DNA'-S4-PS40(図10に対する図21及び表7を参照)と比較して、DNA-S4-PS40がより高感度の応答を示したことを明らかにした。これらのアッセイについて、9(c9-DNA)及び15塩基(c15-DNA)を有するc-DNA鎖が使用された。また、これらのc-DNAの選択により、関連する潜在的な立体の影響に対するより良い洞察を得ることが可能となった。蛍光の強い増加が、両方のアッセイにおいて見られ、単一粒子からのシグナルがより高いt-DNA濃度で検出器を既に飽和しているので、プラトーに到達しなかった。DNA-S4-PS40と比較した、蛍光のこの大きい増加の原因は、アンモニウム形態の過剰な遊離アミノ基に対する、NH2-S4-PS40のc-DNA官能基化後の表面上になお存在する正味の負に荷電されたリン酸骨格を有するt-DNAの非特異的結合である。高い蛍光測定値に到達する一方で、c9-DNA'-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40はそれぞれ、10±5amol μL-1及び100±20amol μL-1のLOD、並びに、50±15amol μL-1及び364±68amol μL-1のLOQを生じさせた。蛍光シグナルの継続的増加に起因して、ダイナミックレンジは、DNA-S4-PS40について推定できない。COOH再官能基化NH被覆S4-PS40粒子、すなわち、DNA-S4-PS40、及び、ネイティブNH被覆S4-PS40粒子、すなわち、DNA'-S4-PS40を用いたアッセイは、同等の感度を示すが、DNA'-S4-PS40のケースにおける主な問題は、t-DNA鎖のより多量の非特異的結合であり、誤検出の数が、DNA-S4-PS40の約2%から、DNA'-S4-PS40の約18%に増加する(表6を参照)。DNA-S4-PS40の低い非特異的結合はおそらく、5'-COOH-c-DNAがNH2-S4-PS40に直接連結されるときより、小さい無水コハク酸分子と共にまず正味の負に荷電した、カルボン酸を発現した表面に変換するとき、正味の正に荷電した残留アミノ基の遮蔽がより良いことに起因する。DNA'-S4-PS40の非反応NH(-NH として)基、及び、DNA骨格上のリン酸基の間の強化された静電相互作用はおそらく、強化された非特異的結合をもたらす。
配列特異性に関して、1、2、及び4塩基ミスマッチを用いる対照実験は、同等の性能をDNA-S4-PS40が示すことを明らかにした。これは、文献において前に報告されたように、対形成対ミスマッチに基づいて核酸ハイブリダイゼーション挙動のみによって決定される(下、表5、図22を参照)。
誤検出試験
検出性能に対する誤検出の影響は、c-DNAで官能基化されなかった粒子を使用することによってのみ、規則的結合試験について説明されたものと同一の方法においてアッセイを実行することによって評価された。そのため、COOH-S4-PS40及びNH2-S4-PS40について、2pmol μL-1のt-DNAの存在下で生成された蛍光は、DNA-S4-PS40及びDNA'-S4-PS40で見られたものと比較された。比較のために、S4-PS40も含められ、未修飾シリカ表面のパッチ又はエリアの影響を例示した(表7)。表7から、シリカ表面の特に末端アミノ修飾は、非特異的結合に対して劇的な影響を有することは明らかである。S-PS40及びCOOH-S4-PS40について低い非特異的結合が観測された一方、NH2-S4-PS40は、その表面にc-DNAが無いにものかかわらず、明白なシグナルを示した。これらの値を考慮すると、約2%及び18%のt-DNAの非特異的結合の貢献がそれぞれ、材料DNA-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40について見られた。これらの値は、材料DNA-S4-PS40及びc15-DNA'-S4-PS40の蛍光総量に応じた、それぞれの前駆体材料COOH-S4-PS40及びNH2-S4-PS40のt-DNAの存在下で蛍光の割合を推定することによって計算された。
表7 異なる粒子を用いたDNAアッセイにおけるフォールスポジティブのシグナル;F=t-DNAの存在下の蛍光シグナル、F=t-DNAの非存在下の蛍光シグナル。
選択性試験
コア・シェル粒子(「感知ビーズ」)の選択性を評価するべく、1又は複数のミスマッチを含む5つの異なるt-DNA鎖を用いた実験が実行された。すべての測定で、同一のc-DNA、すなわち、粒子DNA-S4-PS40が利用された。ミスマッチしたt-DNAは、1つのミスマッチがオリゴヌクレオチド鎖の末端に、1つのミスマッチが鎖の中央に、2つのミスマッチ及び4つのミスマッチが鎖にあるように選択された。それぞれの配列については表5を参照されたい。図22は、t-DNA上にミスマッチが存在しないとき、最高のシグナルが達成され、1つの末端ミスマッチを有する鎖及び中央に1つのミスマッチを有するt-DNAが後に続くことを明らかにする。予想されるように、2つのミスマッチは、著しく低いシグナルをもたらし、一方、4つのミスマッチを有するt-DNAは、ほとんどまったく結合されない。これらの実験は、新たに開発された方法の選択性が、当分野における他のものと同等であり、対形成対ミスマッチに基づく核酸ハイブリダイゼーション挙動によって単純に決定されることを示す。
ヒトパピローマウイルス(HPV)DNA配列を有する多重化アッセイ
取得された結果を考慮すると、異なるc-DNA鎖を保持する複数の粒子が、多重化検出を実行する目的で調製された。本明細書において選択された一本鎖標的DNAは、4つの異なるタイプのヒトパピローマウイルス、HPV6、11、16および18の特定の特異的断片に対応した。その目的で、第1段階において、前駆体ポリスチレンPS40コアは、粒子を蛍光コードする目的で、赤色BODIPY色素の4つの異なる濃度でドーピングされた(例を参照)。このコーディングは、色素濃度が最高のものから最低のものまで、PS40a、PS40b、PS40c、及びPS40dと名付けられたPS粒子のファミリーを生じさせた。BODIPY色素は、最大発光が650nmを中心とする赤色領域において発光し、t-DNA鎖のFAM標識の緑色蛍光から十分に分離され、フローサイトメータの2つの異なる蛍光チャネルにおける便利な測定を可能にする。
THFでコアを膨潤することによって、色素は粒子に組み込まれた。次に、粒子PS40a-dがSEMによって分析された。図11において見て分かるように、ドーピング手順は、粒子の単分散に有害な影響を与えなかった。融合粒子の数が少ないことは、フローサイトメトリアッセイと関係ないことが分かった。また、粒子選別クリーンアップによる分離は容易に可能である。
第1多重化実験において、4:1アッセイフォーマットが実行され、異なるヒトパピローマウイルス種(HPV)の決定のための4つの異なるDNA鎖を含む4種類の粒子(DNA[HPV6]-S4-PS40a、DNA[HPV11]-S4-PS40b、DNA[HPV18]-S4-PS40c及びDNA[HPV16]-S4-PS40d、xy=6、11、18、16;ここで、「xy」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)クラス6、11、18又は16に対応し、a-dは、ポリスチレンコア上にドーピングされた色素の異なる色素濃度に対応する)の混合物が、1種類のHPV t-DNA、すなわちt-DNA[HPV16]だけを含む溶液において混合された。
図12のaは、BODIPY色素FL4の赤色蛍光が記録されたチャネルであるFSC対FL4のドットプロットを示し、図12のbは、対応する前方対側方の散布図を示し、粒子の混合物が、コアに装填された色素の量から独立した同一の散乱特性、従って、同一サイズを有することを明らかにする。図12のaはまた、本明細書において利用されるBODIPY色素の4つの異なる濃度を用いてコーディングするとき、4個の粒子がすべて、互いから明確に分離されていることを示す。この空間的分離により、FL1及びFL4の間のシグナルの相関が、多重化アッセイの動作について可能であった。4つの異なる関心領域が割り当てられ、DNA-S4-PS40a-dによって生成されたシグナルに対応するR1~R4を使用してゲート制御された。
図12のcにおいて見て分かるように、チャネルFL1に記録された、結合したFAM標識t-DNAの蛍光が、コーディング色素(FL4)の蛍光に対してプロットされ、4つの異なる集団の粒子を区別でき、そのうちの1つだけ、すなわちDNA[HPV16]-S4-PS40dが、単一の添加された分析物t-DNA[HPV16]の存在に対応する、FL1におけるより強いシグナルを示す。図12のdは、同様の実験を示すが、ここではt-DNA[HPV11]が添加されるだけであり、DNA[HPV11]-S4-PS40bについてだけ、増加したFL1シグナルをもたらす。この種類のドットプロットは既に、簡単な定量多重化分析を可能にした。
試料の定量分析を実行するために、ドットプロットは、対応するシグナル領域R1-R4を用いてゲート制御される必要がある。この手法を使用すると、1種類のDNA[HPVxy]-S4-PS40z(xy=6、11、18、16及びz=a-d)についてのみ、FL1における蛍光シグナルの直接測定が可能であった。これにより、1種類の粒子及び対応する型のt-DNAを使用して、個別1;1アッセイに関する、4;1多重化アッセイの交差反応性を評価することが可能となる。図23は、それぞれ1:1及び4:1のアッセイの較正曲線を示す(下を参照)。両方の種類のアッセイについて、非常に同様の応答が取得されたことが明らかであるが、ただし、多重化についてのLODが、シングルプレックス手法(約50amol μL-1のLOD)よりわずかに高い。しかしながら、一般に、多重化アッセイは、優れた感度及び無視できる交差反応性を示す(粒子の特徴性能を印象的に示す図12のc、dを参照)。
更なる段階では、試料は、任意の量(アッセイの動作範囲、表8を参照)のDNAで添加された。図13は、上で言及したハイブリダイゼーションプロトコルを実行した後の、全4種類のt-DNA[HPVxy]の存在下におけるすべての異なる種類のDNA[HPVxy]-S4-PS40a-d(左パネル)、及び、ブランク対照(右パネル)を用いる、対応する4:4タイプの多重化アッセイを示す。相補鎖が存在するとき、シグナルにおける明確な変化が見られる。ブランク対照から、図13のFL1におけるバックグラウンドシグナル(右)はすべてのケースにおいて非常に類似し、大幅に低いことは明らかである。図23の較正曲線を使用すると、単一の実験実行における添加されたDNAの量を決定することが可能であった(下の表8を参照)。
表8 4:4多重化実験において取得されたデータ
表8において見て分かるように、高い信頼性で定量化できなかった、本明細書で使用されたDNAの最小量、t-DNA[HPV11]の0.002pmol μL-1を除くすべてのケースにおいて良好な回復が見られた。HPV配列は、著しい塩基対形成/ハイブリダイゼーション分析物クロストークを回避するために十分異なるので(対応する配列については表5を参照)、より低い濃度におけるシグナルの増加の原因は、粒子の表面上の残留アミノ/アンモニウム基に対する少量のt-DNAの非特異的結合である。なぜなら、無水コハク酸を用いたアミノ基の変換は定量化されると予想できない。従って、そのような影響は、より低い濃度でより明白な影響を有する。全体的に、多重化アッセイは、この種類のドーピングされたポリマーコア/官能基化メソポーラスシェル粒子が、単純な単一粒子アッセイフォーマットにおける強力なツールとして使用されることができ、通常はより大きいコア・シェル粒子(3~6μm)に依存し分子ビーコン又はより長い鎖を利用する報告された手法(例えば、Spiro, A. et al. Appl. Environ. Microbiol. 2000, 66 (10), 4258-4265; Thiollet, S. et al, J. Fluoresc. 2012, 22 (2), 685-697)に匹敵し、一方で、より高い単純性、多用途性、及びモジュール性を提供することを証明するのに成功した。本明細書において報告されるコア・シェル粒子などより小さいビーズの使用は、より速い反応速度を伴い、小さい反応体積を可能にし、スループットを増加させ、より経済的である。
示されるように、異なる2種類のメソポーラスシェルは、異なるポリスチレンコア(PS10及びPS40)で合成されるのに成功した。両方の種類のシェルが官能基化され、それらの表面上でDNAの連結を可能にした。これらの粒子により、DNAアッセイが実行され、フローサイトメトリなどの単一粒子分析方法によって、蛍光DNA分析における粒子の性能が決定された。MCM-41及びSBA-15型シェルを比較するとき、SBA-15型シェルがより大きい表面積、より大きい細孔を有し、際立って低い検出限界に到達することを可能にすることが分かった。
さらに、PS40粒子を使用するシェルは、PS10粒子を使用するシェルより再現性が高く、より良い分散度を有した。DNA-S4-PS40について最高の性能が観測され、SBA-15型シェルは、中性条件下において、イオンメディエーターとしてMgSOと共に合成され、無孔性シェル(DNA-N-PS40)と比較して約2桁低い4±2amol μL-1のLODに到達し、より狭い細孔を有するMCM-41型シェル(DNA-M-PS40)と比較して、なお約50倍低い。そのような高い活性の表面積を有する粒子については、移植配列の選択は決定的であることが分かった。なぜなら、アミノ化されたキャリア粒子(NH2-S4-PS40)に対するカルボン酸末端c-DNAの直接連結(DNA'-S4-PS40を結果として生じさせる)はまた、好ましい感度を生じさせるが、遥かに強い非特異的結合という問題があるからである。最終的に、粒子プラットフォームの多用途性は、シェル化(シェルの堆積)及び二次官能基化の前に、異なる濃度の赤色蛍光色素をポリスチレンコアにドーピングし、そのようなコーディングされたビーズ(すなわちコア・シェル粒子)の小さいライブラリをHPV DNAの4つの異なるタイプの多重化決定に使用することによって示された。ドーピング段階は、有機溶媒及びコア粒子の膨潤を伴うが、収束シェル成長及び後の官能基化ワークフローを通じて、更なる被覆に対して有害な影響を与えないことに留意することが重要である。
そのため、多重化アッセイは、メソポーラス粒子が単純であるが高感度のバイオアッセイを保持するポテンシャルを印象的に図示する。この研究の主要な動機は、高感度の生物学的分析プラットフォームの開発であったが、そのようなコア・シェル粒子はまた、メソポーラスシリカシェルの固有の特徴に依存する薬物送達又は感知などの他の用途に有望であると容易に想像できる。
ビーコン-S-PS感知粒子プラットフォーム
ビーコン-S-PS(20μLの0.25%原液)が、2mLのハイブリダイゼーションバッファにおいて懸濁され、増加する量のcDNAが添加された。5分間の混合後、発光強度が測定され、両方のケースにおいて、シグナルは、cDNAの濃度の増加と共に増加し(図43のa)、0.26±0.07nMのLOD及び0.6±0.1nMのLOQを生じさせた。加えて、より現実的な試料も、懸濁液アッセイにおいてビーコン-S-PSで測定され、細菌シュードモナスエルギノーザATCC株15442及びフラボバクテリウムジョンソニアエ株ATCC17061並びにカンジダトロピカリス真菌ATCC株750からの標準ゲノムDNA抽出物が標的とされた。事前加熱されたバッファを用いた対照測定は、蛍光にいかなる変更も生じさせなかった一方で、事前加熱されたゲノムDNA溶液をハイブリダイゼーションバッファ中のビーコン-S-PS懸濁液に添加した結果、ゲノムDNAの濃度に応じて蛍光の増加が生じた。図43のbに示されるように、すべての抽出物は、低濃度において感知材料の同様の応答を結果としてもたらす。次に、飽和は、10mg L-1より高いゲノムDNA濃度において、フラボバクテリウムジョンソニアエについてだけ観測された。マウスからのゲノムDNAに対するビーコン-S-PS応答も評価され、応答は観測されなかった。20±13、43±15および48±20μg L-1のLOD及び60±25、120±20および50±20μg L-1のLOQがそれぞれ、カンジダトロピカリス、シュードモナスエルギノーザ、及びフラボバクテリウムジョンソニアエのゲノムDNAについて見られた。そのような感知粒子は、ディーゼル試料からの水溶性抽出物における微生物汚染の直接検出を可能にするであろう。
薬物放出及び感知用途のための潜在的なスキャフォールドとしてのM-PS及びS-PS
ゲート制御されたインジケータ放出を介する薬物放出及び感知用途のためのスキャフォールドM-PS及びS-PSの適用可能性を実証するべく、pH刺激時のゲート制御放出のために設計された材料(pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10)、並びに、Hg(Hg-SRG-M-PS10)及びペニシリン(Pen-SRG-M-PS10)の感知のためのゲート制御された材料が調製された。図44は、調製された材料の動作原理を用いるスキームを示す。例えば放射線治療など、キャリアからの高速放出が重要であるいくつかの薬物放出用途があるので、対応する放出システムは、感知/分析用途以外に、この分野に適していることがあり得る。
Hg-SRG-M-PS10
Hg(II)の検出のためのスクアラインゲート制御メソポーラス材料の動作原理は以下の通りである。Hg(II)カチオンは、材料に固定されたチオール‐スクアライン部分と反応することが可能であり、チオールは、アンカー分子を例示し、スクアラインは細孔閉鎖材料を例示し、表面からスクアライン色素を脱着し、後続の色素の放出と共に細孔の開放を可能にする(図44を参照)。Hg-SRG-M-PS10は従って、サイトメータ上で、PBSバッファ(80mM;pH7.5)におけるHg(II)の異なる濃度に対して評価された。その目的で、0.2%(w/v)の濃度を有する、3mLのPBSにおける600gのHg-SRG-M-PS10の原液が調製された。Hg-SRG-M-PS10粒子の20μLの原液の画分が、80ppm~0.02ppbの範囲である、異なる濃度のHg(II)を含む180μLのPBSの画分と混合された。Hg(II)の非存在下におけるPBSバッファを用いた対照実験も実行された。懸濁液が800rpmで5分間混合され、その後、懸濁液の蛍光が、サイトメータのFL1チャネル(緑チャネル、533/30nm;λexc=488nm)を用いて評価された。図45において見て分かるように、Hg(II)の濃度に応じた蛍光の減少が観測され、この原因は、粒子から色素が放出され、分析反応後に粒子において維持される色素が少なくなったことであると考えられ、0.4±0.2ppbのLODに到達した。
pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10
pHによって調節されるゲート制御メソポーラス材料の動作原理は以下の通りである。材料は、表面上にアンカー分子として直鎖テトラアミノアルキル部分を含み、これは、酸性pH値においてプロトン化され、アンモニウム鎖の静電反発力に起因して、細孔の効率的な閉塞を可能にする。pHの増加に伴い、アンモニウム基の部分的な脱プロトン化が観測され、細孔からの色素の部分的な放出を可能にした(更なる詳細については、スキーム44を参照)。pHに応じたpH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10の性能は、サイトメータ上で、また、蛍光光度計上で、水において評価された。その目的で、300μLのPBSにおける300μgのpH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10の原液が調製され、1%(w/v)の濃度を有した。pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10粒子の原液の20μLの画分が、pH3からpH4までの範囲の異なるpHにおける300μLの水の複数の画分と混合された。懸濁液は800rpmで5分間混合され、その後、100μLの対応する上清を収集し、蛍光光度計上で550nm(λex 520nm)における色素放出の蛍光を測定する目的で、懸濁液は遠心分離された(10000rpm;2分間)。図46のa及び図46のbはそれぞれ、材料pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10の両方におけるpHに応じた蛍光強化を示し、感知材料pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10の表面上に固定されたアミノ基の脱プロトン化と一致する。我々は、pH-SRG-M-PS10のケースにおける放出が塩基性pHを強く増加させる一方、pH-SRG-S-PS10からの放出が線形的に増加する様子を観測できる。この原因は、材料の細孔サイズが異なることであり得、より小さい細孔を有するほど、より効率的な阻害を有する。
追加的に、粒子の開かれていない細孔に残った色素の蛍光は、サイトメータで測定された。その目的で、遠心分離された材料pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10は、残りの上清で再び再懸濁され、懸濁液は、サイトメータ上で測定され、サイトメータのFL1チャネル(緑チャネル、533/30nm;λexc=488nm)を用いて懸濁液の蛍光を測定する。図46のc及び図46のdにおいて見て分かるように、蛍光は、材料pH-SRG-M-PS10及びpH-SRG-S-PS10についてそれぞれ、pHの増加に応じて減少した。この原因は、粒子からの色素の放出であると考えられる。
Pen-SRG-M-PS10
アプタマーゲート制御されたメソポーラス材料の動作原理は、以下のように、Oroval, M. et al., Chem. Comm. 2013, 49 (48), 5480-5482に従う。ペニシリン及びアプタマーの間の複合体の形成の後、アプタマーの再アセンブリに起因する、ペニシリンの存在下における、Pen-SRG-M-PS10の細孔からの色素の放出を観測する目的で、ペニシリンの検出のためのアプタマーPen-COOH5'-COOH-C10-TTT TCT GAA TTG GAT CTC TCT TCT TGA GCG ATC TCC ACA-3'が、SRG-M-PS10粒子上に固定された。ペニシリンに対するPen-SRG-M-PS10の性能は、サイトメータ上で、5mMのMgClを含むリン酸バッファ(10mm;pH8)において評価された。その目的で、Pen-SRG-M-PS10の30μLの原液(0.2%w/v)の画分が、500ppb~0.05ppbの範囲であるペニシリンの異なる濃度を含む300μLのPBSの画分と混合された。ペニシリンの非存在下でバッファを用いた対照実験も実行された。懸濁液が800rpmで5分間混合され、その後、懸濁液の蛍光が、サイトメータのFL1チャネル(緑チャネル、533/30nm;λexc=488nm)を用いて評価された。図47において見て分かるように、ペニシリンの濃度に応じた蛍光減少が観測された。この原因は、粒子から色素が放出され、結果として、粒子上に維持される色素が少なくなったからであると考えられ、9.5±1ppbのLODに到達した。
略称
ACVA=4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)
APTES=3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン
CTAB=臭化セチルトリメチルアンモニウム
c-DNA=捕捉DNA
ELISA=酵素連結免疫吸着剤アッセイ
EDC=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
FAM=6-カルボキシフルオレセイン
FFT=高速フーリエ変換
FL1-H=サイトメータ上で記録された蛍光;533/30nmにおけるバンドパスフィルタ
FL4-H=サイトメータ上で記録された蛍光;670/20nmにおけるバンドパスフィルタ
FSC、FSC-H=前方散乱
HPV=ヒトパピローマウイルス
LOQ=定量化の限界
LOD=検出の限界
ミリQ水=高度に脱イオン化された超純水、18MΩ cmを超える抵抗性
MCM-41=Mobile Composition of Matter No. 41
MES=2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸
PEO=ポリ(エチレンオキシド)
プルロニック(登録商標)123=PEO、PPO、及びPEOのトリブロックコポリマー
PPO=ポリ(プロピレンオキシド)
PS=ポリスチレン
PVP=ポリ(ビニルピロリドン)
RAD=遠心分離に使用されるロータの半径
RPM=分あたりの回転
SBA-15=Santa Barbara Amorphous Material No. 15
SDS=ドデシル硫酸ナトリウム
S-NHS=N-ヒドロキシスルホスクシンイミド
SSC、SSC-H=側方散乱
SEM=走査電子顕微鏡検査
STEM=走査透過型電子顕微鏡検査
TEM=透過型電子顕微鏡検査
THF=テトラヒドロフラン
t-DNA=標的DNA
TEOS=オルトケイ酸テトラエチル
TRIS=Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン
本発明は、様々な例示的な実施形態及び例を参照して説明された。これらの実施形態及び例は、発明の範囲を制限する意図はなく、発明の範囲は請求項及びその同等物によって定義される。当業者にとって明らかであるように、本明細書において説明される実施形態は、発明されたものの範囲から逸脱することなく様々な方式で実装され得る。実施形態の各々において説明される様々な特徴、態様、及び機能は、他の実施形態において説明される特徴、態様、及び機能と組み合わされ得る。

Claims (35)

  1. 第1無機酸化物シェルによって完全に覆われる有機ポリマーコアを含むコア・シェル粒子であって、前記第1無機酸化物シェルは、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含み;
    前記第1無機酸化物シェルは、前記有機ポリマーコア上に直接配置された磁性材料の層を含み;
    メソポーラス第2無機酸化物シェルを更に備え、前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは前記第1無機酸化物シェルを覆い;
    前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む、
    コア・シェル粒子。
  2. 前記有機ポリマーコアは、前記有機ポリマーコア若しくはその構成成分のうちの少なくとも1つに共有結合で連結されるか、又は、前記有機ポリマーコアを含むポリマーネットワーク内に立体障害的に封入されるかのいずれかである有機蛍光色素を含み、
    前記第1無機酸化物シェル及び前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは前記有機ポリマーコア及び前記磁性材料を外部環境から隔離する、
    請求項1に記載のコア・シェル粒子。
  3. 前記有機ポリマーコア内の前記有機蛍光色素の種類及び/又は濃度は、粒子コーディングを可能にすることなどのために調節され、異なるコア・シェル粒子の群を含む多重化アッセイを可能にする、請求項2に記載のコア・シェル粒子。
  4. 前記有機蛍光色素は、励起波長及び発光波長を含む蛍光色素である、請求項2又は3に記載のコア・シェル粒子。
  5. 前記磁性材料はナノ粒子を含み、前記ナノ粒子は、Fe、Fe、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO、NiO/Fe、及びYFe12のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  6. 前記ナノ粒子はFe又はFeを含み、前記ナノ粒子は静電相互作用を通じて前記有機ポリマーコアに付着される、請求項5に記載のコア・シェル粒子。
  7. 前記第1無機酸化物シェル及び前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの無機酸化物はシリカである、請求項1から6のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  8. 前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカを含み、
    2次元構造、すなわち、円筒形細孔、又は、3次元構造、すなわち、ケージ型構造、
    約2.5±0.5nmの直径を有する細孔を含むMCM-41型材料;
    約13±7nmの直径を有する細孔を含むSBA型材料;
    約2±0.5nm(第1モード)及び約20±10nm(第2モード)の直径を有する前記細孔の二峰性分布を含むUVM-7型材料;
    約3±1nmの直径を有する細孔を含むHMS型材料;
    約3±1nmの直径を有する細孔を含むFSM-16型材料;
    (約7±3nmの直径を有する細孔を含む)FDU-15型材料;
    (約7±2nmの直径を有する細孔を含む)COK-12型材料;
    約4±2nmの直径を有する細孔を含むMSU-Xなどの立方体対称を有する構造;
    (約3±1nmの直径を有する細孔を含む)MSU-Hなどの立方体対称を有する構造;
    (約4±1.5nmの直径を有する細孔を含む)MCM-48型材料;
    (約10±5nmの直径を有する細孔を含む)SBA-16型材料;
    (約15±5nmの直径を有する細孔を含む)FDU-12型材料;
    (約9±5nmの直径を有する細孔を含む)KIT-5型材料;及び
    より小さいケージ接続ウィンドウによって3次元的に接続される球状又は楕円体ケージを各々が含む、FDU-1(Imm)、SBA-1(Pmn)、及びAMS-8(Fdm)などのケージ型メソケージ固体
    のうちの1つから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  9. 前記層は、前記MCM-41型材料または前記MCM-48型材料を含み、前記MCM-41型材料または前記MCM-48型材料の前記細孔は拡張でき、3nm及び5nmの間の平均直径を有し、又は、
    前記層は、前記SBA型材料を含み、前記SBA型材料の前記細孔は拡張され得、6nm及び20nmの間の平均直径を有する、
    請求項8に記載のコア・シェル粒子。
  10. 前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔が実質的に規則的に配列される、請求項1から9のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  11. 前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔は、内側細孔表面及び/又は外側細孔表面に移植されたインジケータ又は認識ユニットを含み;
    前記インジケータは、蛍光色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、及び電気化学発光活性物質から選択され;
    認識ユニットは、探している対応する核酸配列と対形成することが可能である短い核酸オリゴマーから選択され;
    前記インジケータ、オリゴヌクレオチド、及びハプテンは、分析物又は標識された分析物に結合する、及び/又は、それらを示すように適合される、
    請求項1から10のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  12. 前記分析物は、金属イオン、無機陰イオン、糖、ホルモン、薬物、殺虫剤、毒物、化学兵器剤、及びDNA又はRNA鎖から選択される、請求項11に記載のコア・シェル粒子。
  13. 前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは、外側細孔表面及び/又は内側細孔表面に移植されたアンカー分子を含み;
    (a)前記アンカー分子は、オリゴヌクレオチド、ハプテン、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、有機チオール、ペプチド、及び有機オリゴアミンから選択され、前記アンカー分子は細孔閉鎖材料に結合するよう適合され;又は
    (b)前記アンカー分子は、オリゴアミン、フォトクロミック分子、及び熱応答性分子から選択され、前記アンカー分子は、プロトン、光、及び温度から選択される外的刺激との相互作用により膨潤/解膨潤するよう適合される、
    請求項1から12のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  14. 前記細孔はレポーターを含み、前記レポーターは、色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、又は電気化学発光活性物質から選択される、請求項8に記載のコア・シェル粒子。
  15. 前記色素は、有色色素、蛍光色素、化学発光色素、及び電気化学発光色素から選択される、請求項14に記載のコア・シェル粒子。
  16. 前記細孔は、分析物に特異的に結合するよう適合される細孔閉鎖材料によって閉鎖される、請求項15に記載のコア・シェル粒子。
  17. 前記細孔は、前記細孔閉鎖材料によって、分析物と特異的に結合したときに開放される、又は、
    前記細孔は、前記アンカー分子によって、分析物と特異的に結合したときに開放される、
    請求項13に記載のコア・シェル粒子。
  18. 前記細孔閉鎖材料は、抗体、Fab又はF(ab')、抗体の断片、アプタマー(アプタマーは、分析物に特異的に結合することが可能である合成オリゴヌクレオチド又は合成ペプチドを含むとみなされる)、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、特異的な分析物に結合すること若しくはポリアニオンとしてポリカチオン修飾された細孔表面に静電的に結合することが可能である核酸オリゴマー、有機チオールと反応することが可能である分子、及び、例えばプロトンなどの分析物種の存在下/非存在下において、又は、例えば光若しくは温度などの刺激に応答して膨潤/解膨潤する若しくはそのコンフォメーションを変更し得る分子若しくは材料から選択される、
    請求項17に記載のコア・シェル粒子。
  19. 前記細孔閉鎖材料は、2nm及び25nmの間の直径を有する、金若しくは銀、カーボンナノドット若しくは量子ドット、又は半導体ナノ結晶を含むナノ粒子から選択され、前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの前記細孔の直径と一致するように選択され、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、探している対応する配列と対形成することが可能である若しくは特異的な分析物に結合することが可能である核酸オリゴマー、有機チオールと反応することが可能である分子、並びに、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、及び有機チオールに結合できる分子で修飾される、請求項17に記載のコア・シェル粒子。
  20. 前記細孔閉鎖材料は、ハプテン、オリゴヌクレオチド、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、ペプチド、有機チオール、及び有機オリゴアミンから選択される分子によってメソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔開口に又はその近くに固定される、請求項16から19のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子。
  21. 有機ポリマー材料を含むコアを提供する段階;
    前記コア上に磁性材料を含む第1層を堆積する段階;
    前記磁性材料を含む前記層上に、及び、前記磁性材料を含む前記層によって覆われない前記コアの表面上に直接的に、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む第1無機酸化物シェルを生成し、前記シリカ、前記アルミナ、及び前記チタニアが閉じられたシェルとして前記磁性材料を完全に覆うようにする段階;及び
    メソポーラス第2無機酸化物シェルを生成する段階
    を備え、
    前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは前記第1無機酸化物シェルを覆い;
    前記メソポーラス第2無機酸化物シェルは、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はチタニア(TiO)を含む、
    請求項1から20のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子を生成するための方法。
  22. 前記有機ポリマー材料を含む前記コアを提供することは、ポリビニルピロリドンの存在下でモノマーを重合することを含み、
    前記第1無機酸化物シェルを堆積すること、及び、前記メソポーラス第2無機酸化物シェルを堆積することは、ポリビニルピロリドンの存在下で無機酸化物前駆体から無機酸化物ナノ粒子を生成することを含み、前記ポリビニルピロリドンは、7,000から40,000ドルトンの間、好ましくは、10,000から40,000ドルトンの間のメディアン分子量を有する、
    請求項21に記載の方法。
  23. 前記モノマーは、スチレン又は、2つの重合可能基を含むスチレンの誘導体を含み、前記有機ポリマーコアは、PVP鎖を用いて表面で修飾されている球状ポリスチレン粒子を含み、前記PVP鎖は、前記第1無機酸化物シェルの堆積中に、収束的に肥大化したナノ粒子として無機酸化物を含む収束的に成長したシェルで覆われる、請求項22に記載の方法。
  24. 前記メソポーラス第2無機酸化物シェルを堆積することは、
    ミセル形成界面活性剤及びミセル形成ブロックコポリマーから選択されるミセル形成テンプレート剤を適用すること、並びに、任意選択的に前記ミセル形成テンプレート剤に加えて、NaCl及びMgSOから選択される構造指向メディエーター塩を適用することを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ミセル形成テンプレート剤は、CTAB及びプルロニック(登録商標)123から選択され、任意選択的に細孔拡張剤が前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの堆積中に使用され;
    前記任意選択的に使用される細孔拡張剤は、ミセル膨潤剤を含み、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンのうちの1つを含むアルカン;N,N-ジメチルヘキサデシルアミン;1,3,5-トリメチルベンゼン;トリイソプロピルベンゼン;キシレン;及びテトラプロポキシシランから選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 細孔の内側及び/又は外側においてレポーターを堆積させる及び/又は連結する段階、
    ここで、前記レポーターは、色素、電気化学的活性物質、酸化還元活性物質、蛍光インジケータ、又は、蛍光分子プローブから選択される;又は、
    前記細孔の内側及び/又は外側に認識ユニットを堆積させる及び/又は連結する段階、
    ここで、前記認識ユニットは、探している対応する核酸配列と対形成することが可能な短い核酸オリゴマーから選択される、
    を更に備える、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記レポーターが堆積されているが前記細孔の内側に共有結合で連結されていない場合、
    細孔閉鎖材料を用いて前記細孔を閉鎖する段階、ここで、前記細孔閉鎖材料は、分析物に特異的に結合するように適合される;又は、
    細孔閉鎖材料を用いて前記細孔を閉鎖する段階、ここで、アンカー分子は、分析物に特異的に結合するように適合される、
    を更に備える、請求項26に記載の方法。
  28. 前記細孔閉鎖材料についてのアンカー分子として前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの表面に分子を移植する段階を更に備え、ここで、前記アンカー分子は、ハプテン、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、有機チオール、及び、有機オリゴアミンから選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記細孔閉鎖材料は、金若しくは銀、カーボンナノドット、量子ドット、及び半導体ナノ結晶を含むナノ粒子から選択され、前記ナノ粒子の直径は、2nm及び25nmの間で選択され、前記メソポーラス第2無機酸化物シェルの細孔のメディアン径と一致するよう適合され、
    前記ナノ粒子は、抗体、抗体のFab又はF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、親和性リガンド、探している対応する配列と対形成することが可能である又は特異的な分析物に結合することが可能である核酸オリゴマー、有機チオールと反応することが可能である分子、並びに、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビットウリル、キャビタンド、クラウンエーテル、ピラレーン、及び有機チオールに結合できる分子を保持する、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 前記細孔閉鎖材料は、抗体、抗体のFab若しくはF(ab')断片、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物結合分子、レクチン、酵素、分析物に結合することが可能である親和性リガンド;特異的な分析物に結合すること若しくはポリカチオン修飾された細孔表面にポリアニオンとして静電的に結合することが可能である核酸オリゴマー、及び、例えばプロトン、光刺激、又は温度刺激などの分析物種の存在下/非存在下で膨潤/解膨潤し得る分子又は材料から選択される、請求項27又は28に記載の方法。
  31. 対応する無機酸化物シェルが、ゾルゲル処理における前駆体として、前記第1無機酸化物シェル及び/又は前記メソポーラス第2無機酸化物シェルを生成するためのシリカを含む場合、Si(OCH、Si(OC、Si(O-nC、Si(O-i-C、Si(O-n-C、及びSi(O-i-Cから選択されるケイ素アルコキシドが使用される、請求項21から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 対応する無機酸化物シェルがアルミナを含む場合、ゾルゲル処理において前駆体として前記第1無機酸化物シェル及び/又は前記メソポーラス第2無機酸化物シェルを生成するために、アルミニウムイソプロポキシド、塩化アルミニウム、又は硝酸アルミニウム九水和物から選択される有機アルミニウム化合物が使用され、
    対応する無機酸化物シェルがチタニアを含む場合、ゾルゲル処理において前駆体として前記第1無機酸化物シェル及び/又は前記メソポーラス第2無機酸化物シェルを生成するために、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH)又はチタンn-ブトキシド(Ti[OC)から選択される有機チタン化合物が使用される、
    請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記第1無機酸化物シェル及び/又はメソポーラス第2無機酸化物シェルの生成中のpH値はアンモニアカチオンに起因してアルカリ性であり、前記ミセル形成テンプレート剤は、化学式C2nTA(n=8~18)によるカチオン性アルキルトリメチルアンモニウム、例えばCTABr、CTACl;Na、K、Ca2+、及びMg2+から選択されるカチオンを有する、式C2nSO 2-(n=12~18)によるアニオン性アルキルスルホン酸塩界面活性剤;並びに、Na及びKから選択されるカチオンを有する、式C2nPO 3-(n=12~22)によるアルキルリン酸系界面活性剤から選択される界面活性剤である、又は、
    前記第1無機酸化物シェル及び/又はメソポーラス第2無機酸化物シェルの生成中の前記pH値は酸性であり、前記ミセル形成テンプレート剤はプルロニック(登録商標)から、好ましくは、(PEO)(PPO)(PEO)、EO=CHCHO、及びPO=CH(CH)CHO)から選択される対応するトリブロックコポリマーから選択される、又は、
    前記第1無機酸化物シェル及び/又はメソポーラス第2無機酸化物シェルの生成中の前記pH値は中性であり、前記ミセル形成テンプレート剤は、プルロニック(登録商標)から、好ましくはプルロニック(登録商標)123から選択される、
    請求項24に記載の方法。
  34. 試料における分析物を検出するための方法であって、
    請求項1から20のいずれか一項に記載のコア・シェル粒子を提供する段階;
    未知の濃度の前記分析物を含む試料を用いて前記コア・シェル粒子を湿らせる段階;及び
    前記メソポーラス第2無機酸化物シェルに連結された認識ユニットによる蛍光標識分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階;又は、
    前記メソポーラス第2無機酸化物シェルに連結されたレポーターによる分析物の認識によって生成されたシグナルを検出する段階、ここで、前記レポーターは、分析物結合時に、色、蛍光、電気化学的に生成される発光、又は、酸化還元挙動を変化させる;又は、
    細孔閉鎖材料による分析物認識時に、前記メソポーラス第2無機酸化物シェルから放出されるレポーターによって生成されるシグナルを検出する段階
    を備える方法。
  35. 異なる濃度の色素を含む前記コア・シェル粒子の前記コアのコーディングに関連付けられた段階的蛍光シグナル;
    異なるスペクトル蛍光特性を有する色素を含む前記コア・シェル粒子の前記コアのコーディングに関連付けられた異なる波長範囲に現れる蛍光シグナル、及び/又は、
    異なる蛍光寿命を有する色素を含む前記コア・シェル粒子の前記コアのコーディングに関連付けられた異なる蛍光寿命で減衰する蛍光シグナル
    のいずれかを含む粒子を分離及び/又はカウントする段階
    を更に備える、請求項34に記載の方法。
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