JP2023550324A - 量子誤差軽減ための仮想抽出 - Google Patents
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Abstract
ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減期待値を決定するための方法、システムおよび装置。一態様では、方法は、ノイズのある量子状態の複数のコピーを取得するステップと、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップであって、M≧1であり、もつれた量子状態のスペクトル分解におけるノイズのある量子状態の非支配的な固有ベクトルに対応する固有値が、Mの指数関数的に抑制される、ステップと、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの計算された期待値を使用して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減期待値を決定するステップとを含む。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、2020年11月11日に出願した米国仮出願第63/112,593号の優先権の利益を主張するものである。
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、2020年11月11日に出願した米国仮出願第63/112,593号の優先権の利益を主張するものである。
本明細書は量子計算に関する。
量子誤差補正コードは、デコヒーレンスおよび他の量子ノイズによる誤差から量子情報を保護するために、量子計算において使用される。量子誤差補正コードは、いくつかの物理量子ビットのうち高度にもつれた状態の1つの論理量子ビットにおいて符号化された情報を拡散する。たとえば、Shorコードは、1量子ビットを補正するために8つの補助量子ビットを必要とする9量子ビットの回路を使用して位相反転誤差およびビット反転誤差を補正することができる量子誤差補正コードである。
本明細書は、仮想の量子状態抽出を使用して、ノイズのある量子計算における誤差を軽減するための技法を説明する。
一般に、本明細書で説明される主題の革新的な態様の1つは、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を決定するための方法において実施され得るものである。この方法は、ノイズのある量子状態の複数のコピーを取得するステップと、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップであって、M≧1であり、もつれた量子状態のスペクトル分解におけるノイズのある量子状態の非支配的な固有ベクトルに対応する固有値が、Mの指数関数的に抑制される、ステップと、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの計算された期待値を使用して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減期待値を判定するステップとを含む。
この態様の他の実装形態には、それぞれがこの方法のアクションを遂行するように構成された、対応する古典的コンピュータシステムと量子コンピュータシステム、装置、および1つまたは複数のコンピュータ記憶デバイスに記録されたコンピュータプログラムが含まれる。量子コンピュータおよび古典的コンピュータの1つまたは複数のシステムは、動作において同システムにアクションを実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せをインストールすることによって特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つまたは複数のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されたときこの装置にアクションを実行させる命令を含むことにより、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。
前述の実施形態および他の実装形態は、それぞれが、任意選択で、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独で、または組合せで含むことができる。いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のそれぞれのコピーが経験するノイズは同一の形態および強度を含む。
いくつかの実装形態では、もつれた量子状態はρM/Tr(ρM)によって与えられ、ρはノイズのある量子状態を表す。
いくつかの実装形態では、この方法は、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関する恒等作用素の期待値を計算するステップをさらに含み、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの計算された期待値を使用してノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減期待値を決定するステップは、i)もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を、ii)もつれた量子状態に関する恒等作用素の期待値で割るステップを含む。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップは、測定繰返しの1回目の各々について、i)ターゲットオブザーバブルと、ii)ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積を測定して、第1の測定結果を取得するステップと、第1の測定結果を使用して、i)ターゲットオブザーバブルと、ii)ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積の期待値を計算するステップと、i)ターゲットオブザーバブルと、ii)ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積の期待値を正規化して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を取得するステップとを含む。
いくつかの実装形態では、ターゲットオブザーバブルの期待値を正規化するステップは、測定繰返しの2回目の各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子を測定して第2の測定結果を取得するステップと、第2の測定結果を使用して、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、i)ターゲットオブザーバブルと、ii)ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積の期待値を、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子の期待値で割るステップとを含む。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップは、並行測定を実行するステップを含む。
いくつかの実装形態では、M≧2であり、ターゲットオブザーバブルは単一の量子ビットに対して作用する。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップは、K回の測定繰返しの各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に対角化演算子を適用して、進化した量子状態を取得するステップであって、対角化演算子が、i)循環シフト演算子、およびii)対称バージョンのターゲットオブザーバブルと循環シフト演算子との積を対角化する、ステップと、ターゲットオブザーバブルと進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積を測定して、進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの測定結果を取得するステップとを含む。
いくつかの実装形態では、この方法は、測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルと、進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積の期待値を計算するステップと、進化した量子状態に関する測定結果を使用して、循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、ターゲットオブザーバブルと進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積の期待値を、進化した量子状態に関する循環シフト演算子の期待値で割るステップとをさらに含む。
いくつかの実装形態では、循環シフト演算子を適用することにより、ノイズのある量子状態の第1のコピーにおける量子ビットを、ノイズのある量子状態のそれぞれの他のコピーにおける対応する量子ビットに結合する。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップは、順次測定を実行するステップを含む。
いくつかの実装形態では、M≧2であり、ターゲットオブザーバブルは2つ以上の量子ビットに作用し、ターゲットオブザーバブルは、1つの量子ビット演算子の複数のテンソル積を含む。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップは、1つの量子ビット演算子のそれぞれのテンソル積に関して、測定繰返しの1回目の各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に第1の対角化演算子を適用して、進化した量子状態を取得するステップであって、第1の対角化演算子が、i)1つの量子ビット演算子のテンソル積と、ii)循環シフト演算子との積を対角化する、ステップと、1量子ビット演算子のテンソル積と進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積を測定して、進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第1の測定結果を取得するステップと、測定繰返しの2回目の各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に第2の対角化演算子を適用して、第2の進化した量子状態を取得するステップであって、第2の対角化演算子が循環シフト演算子を対角化する、ステップと、第2の進化した量子状態に関する循環シフト演算子を測定して、第2の進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第2の測定結果を取得するステップとを含む。
いくつかの実装形態では、この方法は、第1の測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルと循環シフト演算子との積の期待値を計算するステップと、第2の測定結果を使用して、循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、ターゲットオブザーバブルと循環シフト演算子との積の期待値を循環シフト演算子の期待値で割るステップとをさらに含む。
いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップは、アンシラ支援測定を実行するステップを含む。
いくつかの実装形態では、ターゲットオブザーバブルは任意のオブザーバブルを含む。
いくつかの実装形態では、M≧2であり、アンシラ支援測定を実行するステップは、複数の測定繰返しの各々について、2つの量子レジスタを準備するステップであって、それぞれの量子レジスタがノイズのある量子状態と、0状態に準備されたアンシラ量子ビットとを含む、ステップと、循環シフト演算子の非破壊測定を実行するステップであって、アンシラ量子ビットにアダマールゲートを適用し、アンシラ量子ビットが1状態である2つの量子レジスタに循環シフト演算子を適用して、Xベースでアンシラ量子ビットを測定して、第1のそれぞれの測定結果を取得することを含む、ステップと、対称バージョンのターゲットオブザーバブルに関する2つの量子レジスタにおける量子ビットを測定して、それぞれの第2の測定結果を取得するステップとを含む。
いくつかの実装形態では、この方法は、第2の測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップと、第1の測定結果を使用して、循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、ターゲットオブザーバブルの期待値を循環シフト演算子の期待値で割るステップとを含む。
本明細書で説明された主題は、以下の利点のうち1つまたは複数を実現するように特定のやり方で実施され得る。
近々の量子コンピュータを使用して意味のある計算を実行することは、これらのデバイスの誤り率が比較的高いので、難易度が高くなり得る。量子誤差を補正すれば、便宜的に小さいノイズレベルでの量子計算を可能にする見込みがあるが、現在実用的になるためには計算上のオーバヘッドが過大になってしまう。現在説明された誤差軽減技法は、従来の量子誤差補正の大きいオーバヘッドはなしで、ノイズのある計算の品質を高めるものである。この誤差軽減方策は、たとえば近々のデバイスにおけるノイズから生じる確率的誤差の影響、ならびに誤差のないデバイス上で実施されるランダム化された量子アルゴリズムに生来の確率的誤差の影響を軽減することができる。加えて、この誤差軽減方策は、たとえばNISQデバイスといった近々のデバイス上の実装形態に特に適するので、分子および材料のシミュレーション、最適化プロセス、および量子ニューラルネットワークを含む広範な技術的用途に適用され得る。
本明細書の主題の1つまたは複数の実装形態の詳細を、添付図面および以下の記述において説明する。主題の他の特徴、態様、および利点が、記述、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
様々な図面における類似の参照番号および名称は、類似の要素を示す。
本明細書は、ノイズのある量子計算において誤差を軽減するための技法を説明する。詳細には、現在説明された技法は、ノイズがない状態で生成される計算上の出力の効率的な近似を可能にするものである。ノイズのある量子状態のほぼ浄化されたバージョンに関するオブザーバブルの期待値は、浄化された量子状態を明示的に準備することなく再構成される。この手法は、本明細書では「仮想抽出」と称され、「仮想」という語は、量子状態の浄化されたバージョンが(従来の抽出方式のように)実際に準備されているわけではないことを強調するために使用される。より具体的には、次式で表される、もつれた量子状態に関するオブザーバブルの期待値を測定するために、ノイズのある量子状態ρのM個のコピーの集合的な測定が使用され、
ここで、ρ=Σipi|i〉〈i|はノイズのある量子状態ρのスペクトル分解(たとえば密度行列)であり、Trはトレース動作を表す。この手法では、非支配的な固有ベクトルの相対的な重み
が、Mの指数関数的に抑制される。このことは、ほぼ浄化された状態を明示的に準備することを必要とする、一般的にはMの直線的な抑制しか達成しない他の手法に対する改善を表す。したがって、仮想抽出は、オブザーバブルとノイズのある量子状態のスペクトル分解のM個のコピーとの積のトレースを、ノイズのある量子状態のスペクトル分解のM個のコピーのトレースで割って、たとえば次式のように、オブザーバブルOの補正された期待値(たとえばインコヒーレント誤差が抑制された期待値)を近似するものである。
もたらされる推定器は、Mの増加とともに、ρに最も近い純粋な状態の方へ指数関数的に迅速に収斂する。これは、補正された状態への直線的な収斂しか達成しない他の手法と対照的である。したがって、現在説明された技法は、補正された状態がより短い時間で達成され得るので、これらの他の手法を上回る技術的改善を提供するものである。
本明細書では、説明された動作は、同一の、ノイズのある状態の複数のコピーに対して作用する動作である。個別のコピーによって経験されるノイズが、同一の形態および強度を有すると想定される。この想定が緩和したとしても、仮想抽出に先立ってコピーが混乱していない限り、個々のコピーの密度行列の積に対応する有効状態は引き続き測定される。文字Nは個々のシステムにおける量子ビットの数を指し、文字Mはコピー(サブシステムと称されることもある)の数を指示する。括弧を伴う上つき文字は、複数のシステムに作用する演算子を指示する。たとえば、M個のコピーの間の循環シフト演算子はS(M)によって表される。括弧なしの太字の上つき文字は演算子/オブザーバブルが作用するコピーを示し、たとえばO1はオブザーバブルOがサブシステム1に作用することを指示する。太字でないフォントすなわち括弧なしの上つき文字は、通常通り累乗を指示する。演算子における添字は、一般に、演算子が作用する、システムの内部の量子ビットを指示する。添字が、より属的に、合計におけるインデックスとして使用されるときは例外であり、このことは、当業者には文脈およびΣ記号の存在から明らかであろう。
例示の動作環境
図1は、ノイズのある量子状態に関する観測可能な期待値を計算するとき、誤差を軽減するための仮想抽出を実行する例示のシステムのブロック図100を示す。量子計算システム102は、ノイズのある量子状態の複数のコピー104を取得する。たとえば、量子計算システム102は、量子計算を実行している量子コンピュータを含み得る。量子計算の一部は、たとえばターゲットオブザーバブルの期待値といった量子状態の特性を決定して、量子計算の結果を取得するために、出力量子状態を測定するステップを含み得る。ノイズがなければ、出力量子状態には誤差がないはずである。したがって、出力量子状態の準備および測定を繰り返すことによって誤差なしの期待値を取得することができるはずである。しかしながら、たとえば量子コンピュータがNISQデバイスである場合には、量子コンピュータによって実行される量子計算は、現実的に、ノイズのある量子計算になる可能性が高い。したがって、出力量子状態は、一般的にはノイズのある量子状態であり、出力量子状態の準備および測定を繰り返すことによって取得された期待値にはノイズがあるはずである。したがって、量子コンピュータは、より正確でより意味のある量子計算の結果を取得するために期待値を補正する必要がある。
図1は、ノイズのある量子状態に関する観測可能な期待値を計算するとき、誤差を軽減するための仮想抽出を実行する例示のシステムのブロック図100を示す。量子計算システム102は、ノイズのある量子状態の複数のコピー104を取得する。たとえば、量子計算システム102は、量子計算を実行している量子コンピュータを含み得る。量子計算の一部は、たとえばターゲットオブザーバブルの期待値といった量子状態の特性を決定して、量子計算の結果を取得するために、出力量子状態を測定するステップを含み得る。ノイズがなければ、出力量子状態には誤差がないはずである。したがって、出力量子状態の準備および測定を繰り返すことによって誤差なしの期待値を取得することができるはずである。しかしながら、たとえば量子コンピュータがNISQデバイスである場合には、量子コンピュータによって実行される量子計算は、現実的に、ノイズのある量子計算になる可能性が高い。したがって、出力量子状態は、一般的にはノイズのある量子状態であり、出力量子状態の準備および測定を繰り返すことによって取得された期待値にはノイズがあるはずである。したがって、量子コンピュータは、より正確でより意味のある量子計算の結果を取得するために期待値を補正する必要がある。
量子コンピュータは、補正された期待値を計算するために、ノイズのある量子状態ρのM個のコピーの集合的な測定を実行して、上記の式(1)によって与えられるもつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を決定する。すなわち、量子コンピュータは、上記の式(2)によって与えられる期待値を決定する。
式(2)の分子および分母を計算するために、次式が使用される。
式(3)において、Oiは、サブシステムiに作用する(任意の)オブザーバブルOを指示し、S(M)は、M個のシステムに作用する循環シフト演算子を指示し、すなわち
となる。この恒等式は右辺を展開することによって証明され得、インデックスの推移を把握する。一般性を失うことなく、インデックスiを1に選択することができ、次式をもたらす。
Oを恒等作用素
に等しく設定すると式(2)の分母と等価な表現を与え、すなわち、
となる。
したがって、式(2)の分子および分母を計算するために、量子コンピュータは、
および
の量を計算するための演算を実行するように構成される。これらの演算は、ノイズのある量子状態、すなわち状態
のM個のコピーのテンソル積106を準備するステップと、たとえばターゲットオブザーバブルとテンソル積106に関する循環シフト演算子OS(M)との積を測定するように設計された量子回路、またはテンソル積106に関する循環シフト演算子を測定するように設計された量子回路である量子回路108を、テンソル積106に対して適用するステップとを含む。量子コンピュータは、複数の測定繰返し110の後、取得された測定結果の後処理112を実行して、ターゲットオブザーバブルとノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積の期待値すなわち
と、対応する正規化係数すなわち
とを決定することができる。正規化係数は、もつれた量子状態に関する恒等作用素の期待値に相当し得る。オブザーバブルの期待値の誤差軽減された推定114は、式(2)によって与えられるように、ターゲットオブザーバブルとノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積の期待値oを正規化係数で割ることによって取得され得る。
上記で論じられたように、量子コンピュータがテンソル積106に適用する量子回路108は、循環シフト演算子S(M)を対角化するかまたは表すゲートを含む。いくつかの実装形態では、量子回路108は、式(2)の分子および分母の評価を最適化するための追加の量子ゲートを含み得る。たとえば、例示の量子回路116は、図5を参照しながら以下でより詳細に説明されるように、並行して適用され得る2量子ビットの対角化ゲート118の単一の層をさらに含む。一般に、量子回路108は、テンソル積106に含まれるノイズのある状態のコピーの数、たとえばターゲットオブザーバブルが単一量子ビット演算子なのかそれともマルチ量子ビット演算子なのかといった、ターゲットオブザーバブルのタイプ、および、たとえばアンシラ支援測定が実験デバイスにおいて実現可能かどうかといった、量子コンピュータに対する追加の量子計算リソースの利用可能性などの様々な要因に依拠して変化する可能性がある。仮想抽出の変形形態が、図5を参照しながら以下でより詳細に説明される。
図2は、ノイズのある量子状態に関するオブザーバブルの期待値を計算するとき、誤差を軽減するための仮想抽出を実行する例示の量子計算システム200を表す。例示の量子計算システム200は、1つまたは複数の場所における、1つまたは複数の古典的コンピュータ上の古典的コンピュータプログラムおよび1つまたは複数の量子計算デバイス上の量子コンピュータプログラムとして実施されたシステムの一例であり、本明細書で説明されたシステム、構成要素、および技法を実施することができる。
例示の量子計算システム200は量子計算デバイス202を含む。量子計算デバイス202は、いくつかの実装形態によって、本明細書で説明された量子計算動作を実行するように使用され得る。量子計算デバイス202は、量子計算デバイスの様々な形態を表すように意図されている。いくつかの実装形態では、量子計算デバイス202は、たとえばNISQデバイスといったノイズのある量子計算デバイスである。ここで示された構成要素、それらの接続および関係、およびそれらの機能は例示でしかなく、本明細書において説明され、かつ/または特許請求された本発明の実装形態を制限するものではない。
例示の量子計算デバイス202は、量子ビットアセンブリ252と制御および測定のシステム204とを含む。量子ビットアセンブリは、たとえば量子ビット206である複数の量子ビットを含み、これはアルゴリズムの演算または量子計算を実行するために使用される。図2に示される量子ビットは長方形配列であるが、これは概略描写であり、限定する意図はない。量子ビットアセンブリ252は、結合された量子ビットの間の相互作用を可能にする、たとえば結合器208といった調節可能な結合要素をも含む。図2の概略描写では、それぞれの量子ビットが、それぞれの結合要素によって、隣接した4つの量子ビットの各々に対して調節可能に結合されている。しかしながら、これは量子ビットおよび結合器の例示の機構であり、非長方形の機構、隣接していない量子ビットの間の結合を可能にする機構、および3つ以上の量子ビットの間の調節可能な結合を含む機構を含む他の機構が可能である。
各量子ビットが、物理的な2レベルの量子システムまたは0および1の論理値を表すレベルを有するデバイスになり得る。複数の量子ビットおよびそれらの相互作用のやり方の特定の物理的実現は、例示のシステム200に含まれる量子計算デバイスのタイプまたは量子計算デバイスが実行する量子計算のタイプを含む様々な要因に依拠する。たとえば量子ビットは、原子の量子コンピュータでは、原子、分子、またはたとえば超微細の原子の状態であるソリッドステート量子のシステムによって実現され得る。別の例として、量子ビットは、超伝導量子コンピュータでは、超伝導量子ビット、またはたとえば超伝導トランズモン状態の半伝導量子ビットで実現され得る。別の例として、NMR量子コンピュータでは、量子ビットは核スピン状態によって実現され得る。
いくつかの実装形態では、量子計算は、たとえば各量子ビットをリセットするかまたはターゲットの量子状態を取得するように量子ビットに関する量子演算を実行することによって初期状態を準備するステップと、初期状態に対して一連のユニタリ演算子を適用するステップとによって、進行することができる。量子状態に対してユニタリ演算子を適用するステップは、量子ビットに対して量子論理ゲートの対応するシーケンスを適用するステップを含み得る。例示の量子論理ゲートは、たとえばパウリX、パウリY、パウリZ(X、Y、Zとも称される)である単一量子ビットのゲート、アダマールゲートおよび3進論理限界ゲート、たとえばSWAPゲートである2量子ビットゲート、Xコントロール、Yコントロール、Zコントロール(CX、CY、CZとも称される)、および3つ以上の量子ビットを包含するゲート(たとえばトフォリゲート)を含む。量子論理ゲートは、制御および測定のシステム204によって生成された制御信号210を量子ビットおよび結合器に印加することによって実施され得る。
たとえば、いくつかの実装形態では、量子ビットアセンブリ252における量子ビットは、周波数調整可能であり得る。これらの例において、各量子ビットは、量子ビットに結合された1つまたは複数の駆動ラインを通じて電圧パルスを印加することによって調節され得る関連した動作周波数を有し得る。例示の動作周波数は、量子ビットアイドリング周波数、量子ビット相互作用周波数、および量子ビット読出し周波数を含む。別々の周波数は、量子ビットが実行することができる別々の動作に対応する。たとえば、動作周波数を対応するアイドリング周波数に設定すると、その量子ビットは他の量子ビットと強く相互作用せず、単一量子ビットゲートを実行するように使用され得る状態になり得る。別の例として、量子ビットが結合器を介して固定連結で相互作用する場合には、量子ビットは、それぞれの動作周波数を、それらの共通の相互作用周波数から離調する何らかのゲート依存周波数に設定することによって、互いに相互作用するように構成され得る。他の場合には、たとえば、量子ビットが調整可能な結合器を介して相互作用するときには、量子ビットは、それぞれの結合器のパラメータを、量子ビット間の相互作用を可能にするように設定し、次いで、量子ビットのそれぞれの動作周波数を、それらの共通の相互作用周波数から離調する何らかのゲート依存周波数に設定することによって、互いに相互作用するように構成され得る。そのような相互作用は、マルチ量子ビットゲートを実行するために実行され得る。
使用される制御信号210のタイプは、量子ビットの物理的実現に依拠する。たとえば、制御信号は、NMRまたは超伝導の量子コンピュータシステムにおけるRFまたはマイクロ波パルス、または原子の量子コンピュータシステムにおける光パルスを含み得る。
量子計算は、たとえばXまたはZなどの量子オブザーバブルを使用し、それぞれの制御信号210を使用して、量子ビットの状態を測定することによって完成され得る。測定によって生じる読出し信号212が、制御および測定のシステム204に通信される測定結果を表す。読出し信号212は、量子計算デバイスおよび/または量子ビットの物理的方式に依拠して、RF信号、マイクロ波信号、または光信号を含み得る。便宜上、図2に示される制御信号210および読出し信号212は、量子ビットアセンブリの選択された要素(すなわち最上行および最下行)のみアドレス指定するように表されているが、動作中に、量子ビットアセンブリ252における各要素をアドレス指定することができる。
制御および測定のシステム204は、上記で説明されたような、量子ビットアセンブリ252上の様々な動作、ならびに他の古典的サブルーチンまたは計算を実行するように使用され得る古典的コンピュータシステムの一例である。制御および測定のシステム204は、たとえば、古典的プロセッサ214である1つまたは複数の古典的プロセッサと、たとえば記憶デバイス216である1つまたは複数の記憶デバイスと、たとえば1つまたは複数のデータバスによって接続されたI/Oユニット218である1つまたは複数のI/Oユニットとを含む。制御および測定のシステム204は、たとえば測定動作を実行するステップの一部として、たとえば選択された一連の量子ゲート動作を実行するための制御信号210のシーケンスを量子ビットアセンブリに送って、量子ビットアセンブリから読出し信号212のシーケンスを受け取るようにプログラムされ得る。
プロセッサ214は、制御および測定システム204の内部で実行するための命令を処理するように構成されている。いくつかの実装形態では、プロセッサ214はシングルスレッドプロセッサである。他の実装形態では、プロセッサ214はマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ214は、記憶デバイス216に記憶された命令を処理することができる。
記憶デバイス216は、制御および測定のシステム204の内部で情報を記憶する。いくつかの実装形態では、記憶デバイス216は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、および/または不揮発性メモリユニットを含む。場合によっては、記憶デバイス216は、たとえばハードディスクデバイス、光学ディスクデバイス、複数のコンピュータデバイス、ネットワークを通じて共有される記憶デバイス(たとえばクラウド記憶デバイス)、および/または他のいくつかの大容量記憶デバイスといった、システム204に大量記憶をもたらすことができる記憶デバイスを含むことができる。
入出力デバイス218は、制御および測定のシステム204に関する入出力動作をもたらす。入出力デバイス218は、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、およびRF/マイクロ波/光信号の発生器、送信器、および受信器を含むことにより、量子コンピュータの物理的方式に適するように、量子ビットアセンブリに制御信号210を送って読出し信号212を受け取ることができる。いくつかの実装形態では、入出力デバイス218はまた、たとえばイーサネットカードである1つまたは複数のネットワークインターフェースデバイス、たとえばRS-232ポートであるシリアル通信デバイス、および/またはたとえば802.11カードである無線インターフェースデバイスを含むことができる。いくつかの実装形態では、入出力デバイス218は、たとえばキーボード、プリンタ、表示デバイスといった他の外部デバイスから入力データを受け取り、外部デバイスに出力データを送るように構成された駆動デバイスを含むことができる。
例示の制御および測定のシステム204は図2に表されているが、本明細書で説明された主題および機能動作の実装形態は、他のタイプのデジタル電子回路、もしくはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、または本明細書で開示された構造体およびそれらの構造的等価物を含むハードウェア、あるいはそれらの複数の組合せで実施され得る。
例示のシステム200は、例示の古典的プロセッサ250をさらに含む。古典的プロセッサ250は、いくつかの実装形態によって、本明細書で説明された古典的計算動作を実行するように使用され得る。図2では、古典的プロセッサ250は量子計算デバイス202から分離して示されているが、いくつかの実装形態では量子計算デバイス202に含まれ得、たとえばプロセッサ214に含まれ得る。
ハードウェアのプログラム:仮想抽出
図3は、ノイズのある量子状態ρに関するターゲットオブザーバブルOの誤差軽減された期待値〈O〉correctedを決定するための例示のプロセス300の流れ図である。便宜上、プロセス300は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス300を実行することができる。
図3は、ノイズのある量子状態ρに関するターゲットオブザーバブルOの誤差軽減された期待値〈O〉correctedを決定するための例示のプロセス300の流れ図である。便宜上、プロセス300は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス300を実行することができる。
システムは、ノイズのある量子状態ρを多数取得する(ステップ302)。たとえば、システムは、量子計算を実行して、ノイズのある量子状態のコピーを準備するかまたは量子メモリからノイズのある量子状態のコピーを回復することができる。いくつかの実装形態では、ノイズのある量子状態のそれぞれのコピーが経験するノイズは同一の形態および強度を有する。コピーの数は、プロセス300を実行する量子デバイスの能力、ターゲットオブザーバブルのタイプ、および/または出力の誤差軽減された期待値の目標精度を含む様々な要因を基に選択され得る。
システムは、たとえば
であるノイズのある量子状態のM≧1のコピーのテンソル積に関する測定を実行して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算する(ステップ304)。たとえば、システムは、上記の式(3)によって示されたように
を計算する。もつれた量子状態は、もつれた量子状態のスペクトル分解におけるノイズのある量子状態の非支配的な固有ベクトルに対応する固有値が、Mの指数関数的に抑制される量子状態である。たとえば、もつれた量子状態は、上記の式(1)で与えられる量子状態ρMであり得る。
システムは、測定を実行するために、測定繰返しの1回目の各々について、i)ターゲットオブザーバブルと、ii)ノイズのある量子状態
のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積を測定して(たとえばOiS(M)を測定して)、第1の測定結果を取得することができる。そこで、システムは、第1の測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値、たとえば
を計算することができる。
式(3)を参照しながら上記で説明されたように、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値は、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値に等しい。したがって、ステップ304において、システムは、もつれた量子状態を明示的に準備する必要なく、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算する。
システムは、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の計算された期待値を使用して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を決定する(ステップ306)。たとえば、システムは、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値を、
に関する循環シフト演算子の期待値で割ることによって、この期待値を正規化することができる。正規化された期待値は、式(1)~(3)を参照しながら上記で説明されたように、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値に対する近似をもたらす。
に関する循環シフト演算子の期待値を計算するために、システムは、ステップ304で説明されたものに類似のプロセスを実行し、オブザーバブルは恒等作用素に等しく設定される。すなわち、システムは、測定繰返しの2回目の各々について、ノイズのある量子状態
のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子を測定して、第2の測定結果を取得する。次いで、システムは、第2の測定結果を使用して、量子状態
に関する循環シフト演算子の期待値、たとえば
を計算する。
例示のプロセス300は、仮想抽出の一般的な用途を説明するものである。しかしながら、いくつかの実装形態では、式2の分子および分母の量は複数の別々のやり方で評価され得る。たとえば、プロセスのいくつかの実装形態では、ステップは、並行して、かつ/または組み合わせて実施され得る。例示のプロセス300の例示の変形形態が、図5を参照しながら以下で詳細に説明される。
ハードウェアのプログラム:対角化による測定を用いる仮想抽出
図4は、対角化による測定を用いて仮想抽出を実行するための例示のプロセス400の流れ図である。便宜上、プロセス400は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス400を実行することができる。
図4は、対角化による測定を用いて仮想抽出を実行するための例示のプロセス400の流れ図である。便宜上、プロセス400は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス400を実行することができる。
例示のプロセス400は、ターゲットオブザーバブルOが単一の量子ビットに作用する、M=2の実装形態に特に適する。便宜上、例示のプロセス400は、ターゲットオブザーバブルOが単一の量子ビットに作用するパウリZ演算子である事例について説明される。しかしながら、例示のプロセス400は、たとえば仮想抽出プロシージャの前に適切な単一量子ビット回転を適用することによって、他の単一量子ビットオブザーバブルにも適用され得る。たとえば、パウリX演算子は、各コピーにおける適切な量子ビットに対してアダマールゲートを適用した後に、パウリZ演算子を測定するためのプロシージャを使用して測定され得る。
システムは、ノイズのある量子状態ρのコピーを多数取得する(ステップ402)。ステップ402は例示のプロセス300のステップ302に類似であり、簡潔さのために詳細は繰り返されない。
システムは、ノイズのある量子状態、たとえば
の2つのコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算する。例示のプロセス300のステップ304では、必要な期待値を計算するために式(3)の関係が使用された。例示のプロセス400では、システムは、式(3)の関係を直接使用するのではなく、ターゲットオブザーバブルの対称バージョン
を決定する。ターゲットオブザーバブルOが単一の量子ビットに作用するパウリZ演算子であるという特定の事例については、
であることを意味する。次いで、
であることを示すために式(3)が使用され得る。対称オブザーバブルを使用すると、
[O(M),S(M)]=0 (9)
であるので有利であり、またはこの場合、
[O(M),S(M)]=0 (9)
であるので有利であり、またはこの場合、
である。
S(2)と
との両方が、i番目の対が各システムのi番目の量子ビットから成るそれぞれの対の量子ビットに対して別個に作用する演算子のテンソル積に因数分解され得る。したがって、S(2)と
とが、同一の構造を用いて因数分解できる演算子を使用して同時に対角化され得る。i番目の対に対してこの対角化を実行する2量子ビットユニタリは、
と表される。このゲートの行列表現は次式で与えられ、
ここで、行列要素に関する位相の選択は変化し得る。次いで、演算子B(2)は次式で定義され得る。
このユニタリは、オブザーバブルを構成する個々の係数を希望通りに対角化した。
この対角化は、ρの第1のコピーからの各量子ビットが第2のコピーからの対応する量子ビットに隣接しているときは、実施するのが特に容易である。
式(8)の分子および分母を推定するために必要なオブザーバブルを測定するためのプロシージャは、次いで、N個の2量子ビットゲートの単一の層を並行して適用し、計算ベースで測定することによって軽減する(ステップ404)。実際には、B(2)が、kのN個の値のすべてについて、
を対角化するので、N個の演算子Zkのすべてについて、誤差軽減された期待値を推定するために必要なデータが同時に収集される。仮想抽出を実行する前に適切な単一の量子ビット回転を適用することにより、各量子ビット上の任意の単一量子ビットオブザーバブルにアクセスすることができる。
いくつかの洞察を発展させるために、ρのスペクトル分解を使用して
を表現し、結果として生じる合計
の2つの個別の構成要素を考慮に入れることが有用である。測定確率および期待値の計算は密度行列上の線形動作であり、したがって、これらの2つの構成部分は別々に検討され得る。i=jの状態の構成要素は、S(2)の+1の固有空間にあってS(2)の測定に通じ、確率
の、+1の固有値を与える。i≠jである場合には、
は、対称な状態と反対称な状態の対等な重ね合わせ
である。この状態の構成要素について、S(2)の測定は、+1と-1との等確率および〈S(2)〉=0をもたらす。これらの2つの場合を組み合わせると、予期された等式
を与える。S(2)O(2)の測定は類似パターンをたどる。
この挙動を量子誤差補正のスタビライザ理論と対比することは興味深いことである。スタビライザ形式では、誤差は、測定を1つまたは複数の対称の-1の固有空間に投影することによって検知される。現在説明された手法では、誤差は、測定される対称の固有空間において同様にサポートされる。
図4に戻って、ノイズのある量子状態の2つのコピーのテンソル積に関する測定を実行して、もつれた量子状態に関するターゲットオブザーバブルの期待値を計算するために、システムは、複数の測定繰返しの各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に、i)循環シフト演算子、およびii)対称バージョンのターゲット演算子と循環シフト演算子との積を対角化する対角化演算子を適用して、進化した量子状態を取得する。システムは、次いで、ターゲットオブザーバブルと進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積を測定して、ノイズのある量子状態の2つのコピーにおける各量子ビットに関するそれぞれの測定結果を取得する。
次いで、システムは、測定結果を使用して、式(8)で与えられた期待値を計算し、そしてまた、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を計算する(ステップ406)。たとえば、システムは、測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値を計算し、測定結果を使用して、
に関する循環シフト演算子の期待値を計算し、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値を、
に関する循環シフト演算子の期待値で割ることができる。
M=2およびO=Ziの状況で対角化による測定を用いて仮想抽出を実行するための例示のアルゴリズムは、以下のように与えられる。
入力:測定の繰返し数K、ノイズのある量子状態ρのN量子ビットの2K個のコピー(同時に2つもたらされる)。
出力:ρにおける各量子ビットに関する〈Zi〉の誤差軽減された推定
入力:測定の繰返し数K、ノイズのある量子状態ρのN量子ビットの2K個のコピー(同時に2つもたらされる)。
出力:ρにおける各量子ビットに関する〈Zi〉の誤差軽減された推定
。
各量子ビットi∈1,...,NについてEi=0に設定する。
D=0に設定する。
for k∈K do
ρの第1のコピーにおける各量子ビットと第2のコピーにおける対応する量子ビットとの結合を可能にするために必要なあらゆるSWAP操作を実行する。
第1のコピーにおける各量子ビットiと第2のコピーにおける対応する量子ビットとの間に、式(10)で定義された2量子ビットゲート
各量子ビットi∈1,...,NについてEi=0に設定する。
D=0に設定する。
for k∈K do
ρの第1のコピーにおける各量子ビットと第2のコピーにおける対応する量子ビットとの結合を可能にするために必要なあらゆるSWAP操作を実行する。
第1のコピーにおける各量子ビットiと第2のコピーにおける対応する量子ビットとの間に、式(10)で定義された2量子ビットゲート
を適用する。
両方の状態を計算ベースで測定する。
ρの第1のコピーにおけるi番目の量子ビットに関する測定結果を
両方の状態を計算ベースで測定する。
ρの第1のコピーにおけるi番目の量子ビットに関する測定結果を
で表し、ρの第2のコピーにおけるi番目の量子ビットに関する測定結果を
で表す。
for i∈1,...,N do
for i∈1,...,N do
end for
end for
return {〈Zi〉corrected:=Ei/D}
return {〈Zi〉corrected:=Ei/D}
ハードウェアのプログラム:別々の仮想抽出プロトコルの選択
図5は、仮想抽出プロトコルを選択するための例示のプロセス500の流れ図である。便宜上、プロセス500は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス500を実行することができる。
図5は、仮想抽出プロトコルを選択するための例示のプロセス500の流れ図である。便宜上、プロセス500は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス500を実行することができる。
システムは、有効な実験デバイスにおいてアンシラ支援測定が利用可能かどうかを判定する(ステップ502)。アンシラ支援測定が利用可能ではないと判定することに応答して、システムは、ターゲットオブザーバブルが単一の量子ビットオブザーバブルかどうかを判定する(ステップ504)。ターゲットオブザーバブルが単一の量子ビットオブザーバブルではないと判定することに応答して、システムは、ノイズのある量子状態の2つ以上のコピーに対する順次測定を用いる仮想抽出プロトコルを実行する(ステップ506)。
複数の量子ビットをサポートする状況でオブザーバブルを測定することは難易度が高くなってしまう。難易度が高くなるのは、式8を使用するため、詳細には(式6で定義された)オブザーバブルの対称バージョンの使用を選択したためである。マルチ量子ビットオブザーバブルの対称バージョンを使用することは、それぞれの対の量子ビットにわたって、分離したユニタリのテンソル積を使用して必要な対角化を実行することが不可能であることを意味する。一例として、オブザーバブルO=ZiZjを検討する(この解析は、(複数の)単一量子ビットのパウリ演算子のテンソル積から成る他の演算子についても同様に有効である)。対称オブザーバブルとM=2に関するスワップ演算子との積は、
をもたらす。この演算子を、個々の対の量子ビット上のサポートを用いて演算子のテンソル積に因数分解することはできず、このように因数分解できる演算子によって対角化することも不可能である。
しかしながら、Oの補正された期待値を決定するために、式(8)を使用するのではなく、式(2)で導入された非対称の形態が使用され得る。O=ZiZjである例に戻って、課題は、次式の分子および分母を計算することである。
式(16)の対称オブザーバブルと異なり、演算子
は、量子ビットのN個の対(第1のシステムからの1つの量子ビットと第2のシステムからの対応する量子ビットとの対)にわたるテンソル積に因数分解できる。
はエルミート行列ではなくユニタリであるので、量
は、これを対角化するための回路を適用して計算ベースで測定することによって推定され得る。
は、2量子ビット演算子の積に因数分解できるので、これを対角化する回路も機能する。対角化の詳細は、測定される演算子に依拠する。
なお、
はS(2)と可換ではないので、式(17)の分子と分母とを同時に計算することはできない。異なるiとjとの選択に対応する補正された期待値を同時に測定することも不可能である。より一般的には、1量子ビット演算子のいかなる単一のテンソル積も、作用する量子ビットの数に関係なく、同時に測定することは不可能である。
図6は、ノイズのある量子状態において2つ以上のコピーに対する順次測定を用いる仮想抽出のための例示のプロセス600の流れ図であり、ターゲットオブザーバブルは2つ以上の量子ビットに対して作用する。便宜上、プロセス600は、1つまたは複数の場所にある1つまたは複数の古典的計算デバイスおよび量子計算デバイスのシステムによって実行されるものと説明される。たとえば、本明細書による、適切にプログラムされた図2の量子計算デバイス200は、プロセス600を実行することができる。以下で説明されるステップのいくつかは、例示のプロセス300を参照しながら説明されたステップに類似であり、簡潔さのために、詳細は繰り返されない。
システムは、ノイズのある量子状態のコピーを多数取得する(ステップ602)。システムは、ターゲットオブザーバブルを、それぞれが単一の量子ビットの演算子を含む複数のテンソル積に分解する(ステップ604)。システムは、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する順次測定を実行する(ステップ606)。単一の量子ビット演算子のテンソル積の各々について、システムは、測定繰返しの1回目を実行する。それぞれの測定繰返しが、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に第1の対角化演算子を適用して、第1の進化した量子状態を取得するステップであって、第1の対角化演算子が、i)1つの量子ビット演算子のテンソル積およびii)循環シフト演算子の積を対角化し、1量子ビット演算子のテンソル積と第1の進化した量子状態に関する循環シフト演算子との積を測定して、第1の進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第1の測定結果を取得する、ステップ(ステップ606a)を含む。
加えて、システムは、測定繰返しの2回目の各々について、ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に、循環シフト演算子を対角化する第2の対角化演算子を適用して、第2の進化した量子状態を取得する。システムは、第2の進化した量子状態に関する循環シフト演算子を測定して、第2の進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第2の測定結果を取得する(ステップ606b)。
システムは、取得した測定結果を使用して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を計算する(ステップ608)。たとえば、システムは、第1の測定結果を使用して、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値を計算し、第2の測定結果を使用して、
に関する循環シフト演算子の期待値を計算し、ターゲットオブザーバブルと、
に関する循環シフト演算子との積の期待値を、
に関する循環シフト演算子の期待値で割ることができる。
図5に戻って、ターゲットオブザーバブルが単一の量子ビットオブザーバブルではないと判定することに応答して、システムは、ノイズのある量子状態の2つ以上のコピーに対する並行測定を用いる仮想抽出プロトコルを実行する(ステップ508)。
たとえば、システムは、上記の例示のプロセス400において説明されたように、M=2での対角化による測定を用いて仮想抽出を実行することができる。別の例として、システムは、例示のプロセス400を、より大きい累乗のρへと一般化することにより、M>2での対角化による測定を用いて仮想抽出を実行することができる。
M個のN量子ビットシステムの間の循環シフト演算子S(M)は、スワップ演算子と同様に、N個のM量子ビットゲートのテンソル積に因数分解できる。具体的には、この演算子は、N個の単一の量子ビットの循環シフト演算子のテンソル積に因数分解できる。対称演算子
は、演算子S(M)と可換である。したがって、
とS(M)とは、S(M)が、ユニタリであるもののM>2のエルミート行列ではなくても、同時に対角化できる。
とS(M)とが、どちらも、N個のMタプルの量子ビットにわたるテンソル積に因数分解できるので、これらの演算子を対角化するユニタリは、同様に、M量子ビット演算子のテンソル積に因数分解できる。したがって、図4に関して上記で説明されたプロセス400が適用され得る。
ステップ506を参照しながら上記で説明されたマルチ量子ビットオブザーバブルの補正された期待値の決定に関する類似の関係が、2つのコピー(M=2)の場合に関するこの一般化されたプロトコルに当てはまる。ここまでに開発されたツールは、mのすべての値についてのTr(ZkρM)およびTr(ρM)の同時推定を可能にする。Tr(PρM)が、いくつかのマルチ量子ビットのパウリ演算子P用に再構成される場合には、式(17)の一般化が使用され得るが、特定のP用に必要な演算子の測定は、一度に1つに制限されることになる。
M=3の特定の場合については、対応する回路は、
と
とを同時に対角化するように最適化され得る(M=3での例示のプロセス400の適用を可能にする)。図7は、対角化ゲート
(たとえば式(10)で定義されたゲートと類似の特性のゲート)を数的に最適化するための例示の仮説を示すものであり、このゲートは、
および
を対角化する。図7において、
は、i番目の任意の2量子ビットゲートに関する2量子ビットゲートパラメータを表す。次式が使用されるとき、4つの2量子ビットゲートに関するパラメータは、約5E-5の誤差(正確な行列と近似行列との間の差のフロベニウスノルムにおいて測定される)を許容する。
図5に戻って、システムは、ステップ502においてアンシラ支援測定が利用可能であると判定することに応答して、ノイズのある量子状態の任意数Mのコピーに対する並行測定を用いて、任意のオブザーバブルに関する仮想抽出を実行する(ステップ510)。
アンシラ支援測定を用いて仮想抽出を実行するとき、測定されるオブザーバブルの形態は制限されず、量子ビットのオーバラップするサブセットに作用する演算子の同時測定が可能である。したがって、アンシラ支援測定を用いる仮想抽出は、可換演算子の大群を効率的に測定するための既知技術と互換性がある。
システムは、ノイズのある量子状態のM=2のコピーに対してアンシラ支援測定を用いる仮想抽出を実行するために、スワップ演算子S(2)の非破壊測定を使用して式8の分子および分母を近似することができる。システムは、複数の測定繰返しの各々について2つの量子レジスタを準備し(そうでなければ取得し)、各レジスタは、ノイズのある量子状態ρにおいて準備され、0の状態で準備されたアンシラ量子ビットを含む。システムは、たとえばスワップテストまたはアダマールテストを使用して、S(2)の非破壊測定を実行する。具体的には、システムは、アンシラ量子ビットにアダマールゲートを適用し、アンシラ量子ビットが1つの状態であることを必要とされる2つのレジスタに循環シフト演算子を適用し、アンシラ量子ビットをXベースで測定して、第1の測定結果を取得する。S(2)は、2量子ビットのスワップゲートのテンソル積に因数分解できるので、その制御バージョンも、同様に、一連のN個のフレドキンゲート(制御されたスワップゲート)に因数分解できる。いくつかの実装形態では、この回路をコンパイルするステップは、近々のデバイスの接続性の制限に対処するために、いくつかの追加のステップ(一連のCNOTゲートを使用して、単一のアンシラ量子ビットをGHZ状態へと発展させるステップなど)を必要とする可能性がある。
例示のプロセス400を参照しながら上記で説明されたようにターゲットオブザーバブルが対称になり得るとの想定の下で、システムは、次いで、ターゲットオブザーバブルO(2)に関する2つのレジスタにおける量子ビットを測定することにより積O(2)S(2)を測定して、それぞれの第2の測定結果を取得することができる。システムは、次いで、別々の測定繰返しからの第1の測定結果および第2の測定結果を使用して、ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減された期待値を計算することができる。詳細には、システムは、第2の測定結果を使用してターゲットオブザーバブルの期待値を計算し、第1の測定結果を使用して循環シフト演算子の期待値を計算し、ターゲットオブザーバブルの期待値を循環シフト演算子の期待値で割ることができる。
このプロトコルは、Tr(ρO)の個別の推定を必要としない。その上、ρの両方のコピーに関するOの測定が使用され得、式(8)の分子と分母とが同時に推定され得て、比較的サンプル効率的な方式をもたらす。
ノイズのある量子状態のM>2のコピーに対するアンシラ支援測定を用いる仮想抽出に関して、S(N)は、N>2についてはエルミート行列ではない。しかしながら、上記の方策に対する自然な一般化は、依然として期待通りに機能する。具体的には、期待値が
に等しいオブザーバブルをサンプリングするために、循環シフト演算子S(N)の制御バージョンが使用され得る。対称オブザーバブルO(N)は、S(N)と可換であるので、スワップテストのこの一般化によって測定されたオブザーバブルとも可換である。したがって、期待値が
であるオブザーバブルは、高次スワップテストをしてからO(N)を測定することによってサンプリングされ得る。
アルゴリズムの誤差の軽減
大抵の誤差軽減方法は、デコヒーレンスまたは制御偏差など、デバイスの実装形態における不完全性に起因する誤差の低減に的を絞る。これらの技法のうちいくつかは、他の場合にはノイズがない、ランダム化されたアルゴリズムの実装形態が招く、アルゴリズムの誤差に適用され得る。ハミルトニアンシミュレーションにおける進化により、qDRIFT、ランダムトロッタ、およびこれらの組合せなどのランダム化された発展法が進化して、場合によっては、それらの決定論的な相当物を上回る利益を有する。これらの方法は、ランダム化されているので、ノイズがなくても、純粋な状態ではなく混合状態を出力する。なおまた、これらの方法は、正確な発展によって生成された純粋な状態に収斂する自然な制限を伴う近似パラメータに依拠する。以下で説明されるように、qDRIFTに仮想抽出を適用すると、正確な発展からのこの偏差を抑制することができる。以下で検討される特定のモデルシステムについては、仮想抽出は、標準的なqDRIFTと比較して、特定の精度閾値に達するために必要とされるコヒーレントな時空ボリュームを1/8以下に縮小できることが判明している。
大抵の誤差軽減方法は、デコヒーレンスまたは制御偏差など、デバイスの実装形態における不完全性に起因する誤差の低減に的を絞る。これらの技法のうちいくつかは、他の場合にはノイズがない、ランダム化されたアルゴリズムの実装形態が招く、アルゴリズムの誤差に適用され得る。ハミルトニアンシミュレーションにおける進化により、qDRIFT、ランダムトロッタ、およびこれらの組合せなどのランダム化された発展法が進化して、場合によっては、それらの決定論的な相当物を上回る利益を有する。これらの方法は、ランダム化されているので、ノイズがなくても、純粋な状態ではなく混合状態を出力する。なおまた、これらの方法は、正確な発展によって生成された純粋な状態に収斂する自然な制限を伴う近似パラメータに依拠する。以下で説明されるように、qDRIFTに仮想抽出を適用すると、正確な発展からのこの偏差を抑制することができる。以下で検討される特定のモデルシステムについては、仮想抽出は、標準的なqDRIFTと比較して、特定の精度閾値に達するために必要とされるコヒーレントな時空ボリュームを1/8以下に縮小できることが判明している。
qDRIFT法は、ランダム化された選択ルールを使用して積公式を構成することにより、ハミルトニアンHの下で時間発展をシミュレートするものである。各項は、ハミルトニアンにおけるそれらの相互作用の強度に比例した選択確率で、Hから無作為に選択される。次いで、システムは、このハミルトニアン項の下で、一定の時間ステップで発展する。このプロセスは複数回繰り返され、時間発展演算子に対する近似をもたらす積公式を生成する。qDRIFTは、(相互作用項の選択において)古典的無作為性にわたって平均されたとき、個々の積公式よりも、正確な発展を精密に近似する量子チャネルを生成する。重要なことには、この手法のスケーリングは、大部分の決定論的トロッタ法と異なって、ハミルトニアンにおける項の数に明示的に依拠するのではなく、係数の1ノルムに依拠する。
H=ΣihiHiと分解され得るハミルトニアンを考える(すべてのhiは、符号をHiに吸収にすることによって正の実数とすることができ、Hiのスペクトルのノルムは1に制限される)。λ=Σihiを定義すると、qDRIFTチャネルと真の時間発展との間のダイヤモンドノルム距離は∈=2λ2t2/ηによって制限され、ηは、qDRIFTチャネルの各インスタンスを生成するために実行されるqDRIFT選択ステップの数であり、よって、必要とされるコヒーレントな発展の合計を制御する。ηが増加すると、もたらされる量子チャネルは、正確な発展に対応するユニタリに収斂する。
現在説明された仮想抽出技法は、実際に同一の誤差を達成するために必要なこの係数ηを減少することによって、必要とされるコヒーレントな時空ボリュームを縮小することができる。詳細には、仮想抽出は、目標精度に達するために必要な、コヒーレントなステップの数ηに影響を与えることができる。このことに関して、1つのコピーごとに6つまでの量子ビットを有するハイゼンベルグハミルトニアンを検討する。このハミルトニアンは
によって与えられ、hi∈{-h,h}は無作為に選択されたZ磁界強度であり、周期的境界条件は、N+1がサイト1になるように適用される。現在説明された調査についてはt=Nの時間発展の長さが考えられ、h=1とする。そのようなハイゼンベルグモデルの下で、0.01から発展の理想状態までのトレース距離を達成するために必要とされるコヒーレントなqDRIFTステップの数が数的に調査された。
図8はこの解析の結果を示す。詳細には、図8は、ハイゼンベルグモデルにおける仮想抽出によるqDRIFTのコヒーレントなコスト低減を示す。2つのコピーを使用した仮想抽出がある場合とない場合の、目標トレース距離に達するのに必要なコヒーレントなqDRIFTステップの数が示されている。必要なステップ数において少なくとも16倍の一貫した減少が見られる。2つのコピーを使用するオーバヘッドを担うとき、これは、同一の誤り率を達するために使用されるコヒーレントな時空ボリュームにおける8倍の低減になる。これらの結果は、現在説明された誤差軽減技法を使用すると、特にNISQ様式における実システム用の実用的なアルゴリズムの改善が可能であることを示す。たとえば、現在説明された誤差軽減技法を組み込むことにより、アルゴリズムは、たとえば量子誤差補正コードに関連付けられたオーバヘッドといった縮小されたオーバヘッドで、より正確な結果を生成することができる。
本明細書で説明されたデジタルおよび/または量子の主題、ならびにデジタル機能動作および量子動作の実装形態は、デジタル電子回路、適切な量子回路もしくは、より一般的には、量子計算システムで、実体的に具現されたデジタルおよび/もしくは量子のコンピュータソフトウェアもしくはファームウェアで、本明細書で開示された構造体およびそれらの構造的な等価物を含むデジタルおよび/もしくは量子コンピュータハードウェアで、またはそれらの1つもしくは複数の組合せで、実施され得る。「量子計算システム」という用語は、それだけではないが、量子コンピュータ、量子情報処理システム、量子暗号システム、または量子シミュレータを含み得る。
本明細書で説明されたデジタルおよび/または量子の主題の実装形態は、1つまたは複数のデジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置によって実行するため、またはその動作を制御するために、有体の非一時的記憶媒体上に符号化された、デジタルコンピュータプログラム命令および/または量子コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実施され得る。デジタルコンピュータの記憶媒体および/または量子コンピュータの記憶媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、ランダムアクセスメモリデバイスもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、1つもしくは複数の量子ビット、またはそれらの1つもしくは複数の組合せであり得る。代わりに、またはそれに加えて、プログラム命令は、デジタル情報および/または量子情報を、データ処理装置によって実行するために、適切な受信装置に送信するように符号化するために、人為的に生成されて伝搬する、デジタル情報および/または量子情報を符号化することができる、たとえば機械生成された電気信号、光信号、または電磁気信号といった信号上に符号化され得る。
量子情報および量子データという用語は、量子システムによって搬送される、量子システムに保持または記憶される情報またはデータを指し、最も小さい非自明なシステムは量子ビット、すなわち量子情報の単位を定義するシステムである。「量子ビット」という用語は、対応する状況において2レベルシステムとして適切に近似され得るすべての量子システムを包含することが理解される。そのような量子システムは、たとえば2つ以上のレベルを有するマルチレベルシステムを含み得る。例として、そのようなシステムは、原子、電子、光子、イオンまたは超伝導量子ビットを含むことができる。多くの実装形態において、計算の基礎状態はグラウンドおよび第1の励起状態を用いて識別されるが、計算上の状態は、より高いレベルの励起状態を伴って識別される他のセットアップも可能であることが理解される。「データ処理装置」という用語は、デジタルおよび/または量子のデータ処理ハードウェアを指し、デジタルデータおよび/または量子データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス、およびマシンを包含し、例として、プログラマブルデジタルプロセッサ、プログラマブル量子プロセッサ、デジタルコンピュータ、量子コンピュータ、複数のデジタルや量子のプロセッサまたはコンピュータ、およびこれらの組合せを含む。装置はまた、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、または量子シミュレータ、すなわち特定の量子システムに関する情報をシミュレートするかまたは生成するように設計された量子データ処理装置といった、専用論理回路であり得、またはこれをさらに含むことができる。詳細には、量子シミュレータは、汎用の量子計算を実行する能力はない、専用の量子コンピュータである。データ処理装置は、ハードウェアに加えて、たとえばプロセッサのファームウェア、プロトコルのスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つもしくは複数の組合せを構成するコードといった、デジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムの実行環境を生成するコードを、任意選択で含むことができる。
デジタルコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードと称されるかまたは記述されることもあり、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語、宣言型言語、または手続き型言語を含む任意の形式のプログラム言語で書かれ得、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはデジタルコンピュータ環境で用いるのに適切な他のユニットを含む任意の形態として、配布され得る。量子コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードと称されるかまたは記述されることもあり、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語、宣言型言語、または手続き型言語を含む任意の形式のプログラム言語で書かれてから適切な量子プログラム言語に変換され得るか、またはたとえばQCLもしくはQuipperといった量子プログラム言語で書かれ得る。
デジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムは、ファイルシステムの中のファイルに対応し得るが、これは必須ではない。プログラムは、たとえばマークアップ言語のドキュメントに記憶された1つもしくは複数のスクリプトといった他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部に、対象となるプログラム専用の単一ファイルに、または、たとえば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を記憶するファイルといった複数の統合されたファイルに、記憶され得る。デジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムは、1台のデジタルコンピュータまたは量子コンピュータ、あるいは1つのサイトに配置された、または複数のサイトにわたって分配されてデジタルデータ通信ネットワークおよび/もしくは量子データ通信ネットワークによって相互接続された複数のデジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータ上で実行されるように配備され得る。量子データ通信ネットワークは、たとえば量子ビットである量子システムを使用して量子データを送信するネットワークであると理解される。一般に、デジタルデータ通信ネットワークは量子データを送信できないが、量子データ通信ネットワークは量子データもデジタルデータも送信し得る。
本明細書で説明されたプロセスおよび論理フローは、必要に応じて1つまたは複数のデジタルプロセッサおよび/または量子プロセッサを用いて動作する、1つまたは複数のプログラム可能なデジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータによって実行され得、これらのコンピュータは、1つまたは複数のデジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムを実行して、入力のデジタルデータおよび量子データに作用することによって機能を実行し、出力を生成するものである。処理の流れや論理の流れは、たとえばFPGA、ASICといった専用論理回路、もしくは量子シミュレータによって、または、専用論理回路もしくは量子シミュレータと、1つもしくは複数のプログラムされたデジタルコンピュータおよび/もしくは量子コンピュータとの組合せによっても実行され得、装置もこれらとして実施され得る。
特定の動作またはアクションを実行する「ように構成された」1つまたは複数のデジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータのシステムは、動作において、システムに動作またはアクションを実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せがインストールされているシステムを意味する。特定の動作またはアクションを実行するように構成された1つまたは複数のデジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムは、デジタルデータ処理装置および/または量子データ処理装置によって実行されたとき、同装置にその特定の動作またはアクションを実行させる命令を含む、1つまたは複数のプログラムを意味する。量子コンピュータは、デジタルコンピュータから、量子計算装置によって実行されたとき同装置に動作またはアクションを実行させる命令を受け取ってよい。
デジタルコンピュータプログラムおよび/または量子コンピュータプログラムの実行に適するデジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータは、汎用もしくは専用または両方のデジタルプロセッサおよび/または量子プロセッサ、あるいは他の種類の中央のデジタル処理ユニットおよび/または量子処理ユニットに基づき得る。一般に、中央のデジタル処理ユニットおよび/または量子処理ユニットは、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、もしくは量子データの送信に適する、たとえば光子である量子システム、またはこれらの組合せから、命令ならびにデジタルデータおよび/または量子データを受け取る。
デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータの必須要素は、命令を実施または実行するための中央処理デバイスならびに命令およびデジタルデータおよび/または量子データを記憶するための1つまたは複数の記憶デバイスである。中央処理デバイスおよび記憶デバイスは、専用論理回路もしくは量子シミュレータを追加され得、またはこれらに組み込まれ得る。一般に、デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータは、デジタルデータおよび/または量子データを記憶するための、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、または量子情報の記憶に適する量子システムといった、1つまたは複数の大容量記憶装置との間で、デジタルデータおよび/または量子データをやり取りするかまたは転送するために、これらの大容量記憶装置をも含むか、またはこれらに対して動作可能に結合される。しかしながら、デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。
デジタルコンピュータプログラム命令および/または量子コンピュータプログラム命令ならびにデジタルデータおよび/または量子データを記憶するのに適切なデジタルコンピュータ可読媒体および/または量子コンピュータ可読媒体は、例として、たとえばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスといった半導体メモリデバイスと、たとえば内蔵ハードディスクまたは取外し可能ディスクといった磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクと、たとえばトラップ原子またはトラップ電子の量子システムとを含む、すべての形式の、不揮発性のデジタルメモリおよび/または量子メモリを含む。量子メモリは、光が、重ね合わせまたは量子コヒーレンスなどの量子データの量子特徴の伝送のため、ならびに記憶および保護のために使用される、たとえば光インターフェースといった、量子データを高忠実度かつ高効率で長時間記憶し得るデバイスであることが理解される。
本明細書で説明された様々なシステムまたはその一部の制御は、1つまたは複数の非一時的機械可読記憶媒体に記憶された命令を含むデジタルコンピュータプログラム製品および/または量子コンピュータプログラム製品において実施され得、1つまたは複数のデジタル処理デバイスおよび/または量子処理デバイス上で実行可能である。本明細書で説明されたシステムまたはその一部は、それぞれが、本明細書で説明された動作を実行するための実行可能命令を記憶する1つまたは複数のデジタル処理デバイスおよび/または量子処理デバイスならびに記憶装置を含み得る装置、方法、またはシステムとして実施され得る。
本明細書は多くの特定の実装形態の詳細を含むが、これらは、特許請求され得るものの範囲に対する限定としてではなく、特定の実装形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書の個別の実装形態の文脈で説明された特定の特徴は、1つの実装形態の中で組み合わせて実施することもできる。反対に、1つの実装形態の文脈で説明された様々な特徴はまた、複数の実装形態で別個に実施され得、または任意の適切な部分組合せで実施され得る。その上に、各特徴は、上記ではある組合せにおいて作用するように記載されており、場合によっては最初からそのように請求されているが、請求された組合せの1つまたは複数の特徴は、場合によってはその組合せから実現されてもよく、請求された組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変形形態を対象とするものでもよい。
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示された特定の順序もしくは連続した順序で実行されること、またはすべての図示の動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。ある特定の環境では、マルチタスキングおよび並行処理が有利であり得る。その上に、上記で説明した実装形態における様々なシステムモジュールと構成要素との分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とするものと理解されるべきでなく、説明されたプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において互いに統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
主題の特定の実装形態が説明されてきた。他の実装形態は、以下の特許請求の範囲に入る。たとえば、特許請求の範囲で列挙される作用は、異なる順序で実行しても、望ましい結果を達成することができる。一例として、添付図に示された処理は、望ましい結果を達成するのに、示された特定の順番または順序を必ずしも必要とするわけではない。場合によっては、マルチタスキングおよび並行処理が有利であり得る。
102 量子計算システム
104 ノイズのある量子状態の複数のコピー
106 ノイズのある量子状態のテンソル積
108 量子回路
110 測定繰返し
112 後処理
114 オブザーバブルの期待値の誤差軽減された推定
116 例示の量子回路
202 量子計算デバイス
204 制御および測定のシステム
206 量子ビット
208 結合器
210 制御信号
212 読出し信号
214 プロセッサ
216 記憶デバイス
218 I/Oユニット
250 古典的プロセッサ
252 量子ビットアセンブリ
104 ノイズのある量子状態の複数のコピー
106 ノイズのある量子状態のテンソル積
108 量子回路
110 測定繰返し
112 後処理
114 オブザーバブルの期待値の誤差軽減された推定
116 例示の量子回路
202 量子計算デバイス
204 制御および測定のシステム
206 量子ビット
208 結合器
210 制御信号
212 読出し信号
214 プロセッサ
216 記憶デバイス
218 I/Oユニット
250 古典的プロセッサ
252 量子ビットアセンブリ
Claims (20)
- ノイズのある量子状態に関するターゲットオブザーバブルの誤差軽減期待値を決定するためのコンピュータ実施方法であって、
前記ノイズのある量子状態の複数のコピーを取得するステップと、
前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップであって、M≧1であり、前記もつれた量子状態のスペクトル分解における前記ノイズのある量子状態の非支配的な固有ベクトルに対応する固有値が、Mの指数関数的に抑制される、ステップと、
もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記計算された期待値を使用して、前記ノイズのある量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記誤差軽減期待値を決定するステップと
を含む方法。 - 前記ノイズのある量子状態のそれぞれのコピーが経験するノイズが同一の形態および強度を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記もつれた量子状態がρM/Tr(ρM)によって与えられ、ρは前記ノイズのある量子状態を表す、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関する恒等作用素の期待値を計算するステップであって、
前記もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記計算された期待値を使用して前記ノイズのある量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記誤差軽減期待値を決定するステップが、i)前記もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記期待値を、ii)前記もつれた量子状態に関する前記恒等作用素の前記期待値で割るステップを含む、ステップ
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップが、
測定繰返しの1回目の各々について、i)前記ターゲットオブザーバブルと、ii)前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する循環シフト演算子との積を測定して、第1の測定結果を取得するステップと、
前記第1の測定結果を使用して、i)前記ターゲットオブザーバブルと、ii)前記ノイズのある量子状態のM個のコピーの前記テンソル積に関する循環シフト演算子との前記積の期待値を計算するステップと、
i)前記ターゲットオブザーバブルと、ii)前記ノイズのある量子状態のM個のコピーの前記テンソル積に関する循環シフト演算子との前記積の前記期待値を正規化して、前記ノイズのある量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの前記誤差軽減期待値を取得するステップと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ターゲットオブザーバブルの前記期待値を正規化するステップが、
測定繰返しの2回目の各々について、前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する前記循環シフト演算子を測定して、第2の測定結果を取得するステップと、
前記第2の測定結果を使用して、前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する前記循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、
i)前記ターゲットオブザーバブルと、ii)前記ノイズのある量子状態のM個のコピーの前記テンソル積に関する前記循環シフト演算子との前記積の前記期待値を、前記ノイズのある量子状態のM個のコピーの前記テンソル積に関する前記循環シフト演算子の前記期待値で割るステップと
を含む、請求項5に記載の方法。 - 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップが並行測定を実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- M≧2であり、前記ターゲットオブザーバブルが単一の量子ビットに対して作用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に対して測定を実行するステップが、K回の測定繰返しの各々について、
前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に対角化演算子を適用して、進化した量子状態を取得するステップであって、前記対角化演算子が、i)循環シフト演算子、およびii)対称バージョンの前記ターゲットオブザーバブルと前記循環シフト演算子との積を対角化する、ステップと、
前記ターゲットオブザーバブルと前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子との積を測定して、前記進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの測定結果を取得するステップと
を含む、請求項8に記載の方法。 - 前記測定結果を使用して、前記ターゲットオブザーバブルと、前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子との前記積の期待値を計算するステップと、
前記測定結果を使用して、前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、
前記ターゲットオブザーバブルと前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子との前記積の前記期待値を、前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子の前記期待値で割るステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。 - 前記循環シフト演算子を適用することにより、前記ノイズのある量子状態の第1のコピーにおける量子ビットを、前記ノイズのある量子状態のそれぞれの他のコピーにおける対応する量子ビットに結合する、請求項9または10に記載の方法。
- 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップが順次測定を実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- M≧2であり、前記ターゲットオブザーバブルが、2つ以上の量子ビットに作用し、1量子ビット演算子の複数のテンソル積を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積に関する測定を実行するステップが、
1量子ビット演算子のそれぞれのテンソル積に関して、
測定繰返しの1回目の各々について、
前記ノイズのある量子状態の前記M個のコピーのテンソル積に第1の対角化演算子を適用して、進化した量子状態を取得するステップであって、前記第1の対角化演算子が、i)前記1量子ビット演算子のテンソル積と、ii)前記循環シフト演算子との積を対角化する、ステップと、
前記1量子ビット演算子の前記テンソル積と前記進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子との積を測定して、前記進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第1の測定結果を取得するステップと、
測定繰返しの2回目の各々について、
前記ノイズのある量子状態の前記M個のコピーのテンソル積に第2の対角化演算子を適用して、第2の進化した量子状態を取得するステップであって、前記第2の対角化演算子が前記循環シフト演算子を対角化する、ステップと、
前記第2の進化した量子状態に関する前記循環シフト演算子を測定して、前記第2の進化した量子状態における各量子ビットに関するそれぞれの第2の測定結果を取得するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。 - 前記第1の測定結果を使用して、前記ターゲットオブザーバブルと前記循環シフト演算子との積の期待値を計算するステップと、
前記第2の測定結果を使用して、前記循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、
前記ターゲットオブザーバブルと前記循環シフト演算子との前記積の前記期待値を前記循環シフト演算子の前記期待値で割るステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。 - 前記ノイズのある量子状態のM個のコピーのテンソル積を測定して、もつれた量子状態に関する前記ターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップが、アンシラ支援測定を実行するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ターゲットオブザーバブルが任意のオブザーバブルを含む、請求項16に記載の方法。
- M≧2であり、アンシラ支援測定を実行するステップが、複数の測定繰返しの各々について、
2つの量子レジスタを準備するステップであって、それぞれの量子レジスタが前記ノイズのある量子状態と、0状態に準備されたアンシラ量子ビットとを含む、ステップと、
循環シフト演算子の非破壊測定を実行するステップであって、
前記アンシラ量子ビットにアダマールゲートを適用するステップと、
前記アンシラ量子ビットが1状態である前記2つの量子レジスタに前記循環シフト演算子を適用するステップと、
Xベースで前記アンシラ量子ビットを測定して、第1のそれぞれの測定結果を取得するステップと
を含む、ステップと、
対称バージョンの前記ターゲットオブザーバブルに関する前記2つの量子レジスタにおける量子ビットを測定して、それぞれの第2の測定結果を取得するステップと
を含む、請求項16または17に記載の方法。 - 前記第2の測定結果を使用して前記ターゲットオブザーバブルの期待値を計算するステップと、
前記第1の測定結果を使用して、前記循環シフト演算子の期待値を計算するステップと、
前記ターゲットオブザーバブルの前記期待値を前記循環シフト演算子の前記期待値で割るステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。 - 1つまたは複数の古典的プロセッサと、
前記1つまたは複数の古典的プロセッサとデータ通信する1つまたは複数の量子計算デバイスとを備える装置であって、量子計算ハードウェアが、
それぞれが1つまたは複数の量子ビットを備える1つまたは複数の量子ビットレジスタと、
前記1つまたは複数の量子ビットレジスタを作動させるように構成された複数の制御デバイスと
を備え、
前記装置が請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、装置。
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