JP2023549432A - 不能なラムノース代謝を有する宿主細胞において組み換えタンパク質を産生する方法、ならびにその発現ベクター、宿主細胞、および組み換えタンパク質 - Google Patents

不能なラムノース代謝を有する宿主細胞において組み換えタンパク質を産生する方法、ならびにその発現ベクター、宿主細胞、および組み換えタンパク質 Download PDF

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Abstract

本発明は、細菌宿主細胞において組み換えタンパク質を発現させるのに適切なDNA構築物であって、DNA構築物は、rhaBADプロモータ、RhaR転写活性化因子、RhaS転写活性化因子、抗生物質耐性マーカ、抗生物質耐性マーカをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモータ、rrnB T1ターミネータ、rrnB T2ターミネータ、およびpMB1複製の起点をコードするヌクレオチド配列を含む、DNA構築物に関する。DNA構築物は、rhaBADプロモータに作動可能に連結された、組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列も含んでもよい。本発明は、DNA構築物を含むベクターおよび細菌宿主細胞、ならびに細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによって組み換えタンパク質の発現を誘導することによる、組み換えタンパク質を産生する方法にさらに関する。

Description

本発明は、細菌宿主細胞において組み換えタンパク質を発現させるのに適切なDNA構築物であって、DNA構築物は、rhaBADプロモータ、RhaR転写活性化因子、RhaS転写活性化因子、抗生物質耐性マーカ、少なくとも1種のターミネータ、および複製の起点をコードするヌクレオチド配列を含む、DNA構築物に関する。DNA構築物は、抗生物質耐性マーカをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモータ、およびrhaBADプロモータに作動可能に連結された、組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列も含んでもよい。少なくとも1種のターミネータは、rrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータであり得る。組み換えタンパク質はラニビズマブであり得る。本発明は、DNA構築物を含むベクターおよび細菌宿主細胞、ならびに細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによって組み換えタンパク質の発現を誘導することによる、組み換えタンパク質を産生する方法にさらに関する。
ラムノースの代謝は、L-ラムノースがパーミアーゼRhaTを介して細胞内に取り込まれ、次いでL-ラムノースイソメラーゼ(RhaA)によってL-ラムヌロースに異性化され、次いでL-ラムヌロースはラムヌロキナーゼ(RhaB)によってさらにリン酸化され、最終的にラムヌロース-1-リン酸アルドラーゼ(RhaD)によって加水分解されて、ジヒドロキシアセトンリン酸およびL-ラクトアルデヒドを与えることを伴う[1]。遺伝子rhaA、rhaB、およびrhaDは、rhaBADと称されるオペロンを形成し、rhaBADプロモータの助けで転写される[1]。他のシステムと比較して、ラムノース代謝経路は、下で説明されるように、RhaSおよびRhaRとして公知の2種の転写活性化因子が調節に要されるという事実によって区別される[1]。
rhaBADオペロンは、それらそれぞれの転写開始部位を分離するおよそ240bpのDNAを有する、rhaSRオペロンから分岐して、上述のrhaB、rhaA、およびrhaD遺伝子を転写する正の調節性異化オペロンである[1]。rhaSRオペロンはRhaSおよびRhaRをコードし、二量体RhaSおよびRhaRタンパク質の各単量体は、2つのヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフを含有し、DNAの2つの大きな溝と接する。RhaRは、rhaSR転写開始部位に対して-32~-82塩基におよぶプロモータDNAに結合することによって、rhaSRの転写を調節する[1]。rhaSR発現に続いて、RhaSは、転写開始部位に対して-32~-81塩基におけるrhaBADオペロンの上流にあるDNAに結合して、rhaBAD発現を増加させる[1]。さらに、rhaSR-rhaBAD遺伝子間領域は、rhaBADオペロンの転写開始部位に対して-92.5(CRP1)の位置にCRP結合部位、ならびにrhaSRオペロンの転写開始部位に対して-92.5(CRP2)、-115.5(CRP3)、および-116.5(CRP4)の位置にCRP結合部位を含有する[1]。サイクリックAMP受容体タンパク質(CRP)は、Escherichia coliにおいて100種を上回るプロモータの発現を調節する。
RhaS、RhaR、およびrhaBADプロモータをコードするDNA配列を含むDNA構築物は、当技術分野において公知である。特許文献1は、RhaS、RhaR、およびrhaBADプロモータをコードするDNA配列を含むpTACO-およびpLEMO由来プラスミド(すなわち、DNA構築物)を開示する。しかしながら、特許文献1は、不能なラムノース代謝を有する宿主細胞を使用することについては無言である。
RhaS、RhaR、およびrhaBADプロモータをコードするDNA配列を含むpRha由来プラスミドに基づくDNA構築物も、当技術分野において、例えばジャカローネら(Giacalone et al.)[5]またはイェルムら(Hjelm et al.)[2]から公知である。Giacaloneらは、例えばプラスミドpRha67AおよびpRha109Aを記載し、一方でHjelmらはプラスミドpRha67Kを開示する。
RhaS、RhaR、およびrhaBADプロモータをコードするDNA配列を含むDNA構築物は、当技術分野において公知であるものの、組み換えタンパク質、特にモノクローナル抗体またはそのフラグメントのとりわけ産業規模の産生において、依然として多くの課題がある。主な課題は:
(i)宿主細胞が、膜、タンパク質、および核酸等の細胞高分子への損傷をもたらすストレスに供されること;
(ii)宿主細胞の成長不良;
(iii)産生された組み換えタンパク質の活性不良;ならびに/または
(iv)低収量の組み換えタンパク質を獲得すること
である。
したがって、改善されたDNA構築物、ならびに、特にそのような組み換えタンパク質が治療的適用を意図される場合の、高収量のモノクローナル抗体またはそのフラグメント等の組み換えタンパク質の効率的な産生に適切な宿主細胞および方法の必要性がある。
米国特許第8138324号明細書
ゆえに、本発明の目的は、改善されたDNA構築物、ならびに、特にそのような組み換えタンパク質が治療的適用を意図される場合の、高収量の、細菌宿主細胞におけるモノクローナル抗体またはそのフラグメント等の組み換えタンパク質の効率的な産生に適切な細菌宿主細胞および方法を提供することであった。組み換えタンパク質はラニビズマブであり得る。
本発明の第1の態様は、細菌宿主細胞においてラニビズマブを発現させるためのDNA構築物であって、ラニビズマブは、(i)配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖、および(ii)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、DNA構築物は、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列を含み、DNA構築物は、ラニビズマブの軽鎖および/またはラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列に転写方向で作動可能に連結されている、シグナルペプチドをコードする少なくとも1種のヌクレオチド配列をさらに含み、DNA構築物は、
- rhaBADプロモータ、
- RhaR転写活性化因子、
- RhaS転写活性化因子、
- 抗生物質耐性マーカ、
- 少なくとも1種のターミネータ、および
- pMB1複製の起点
をコードするヌクレオチド配列を含む、DNA構築物に関する。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、rrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、
- 抗生物質耐性マーカが、カナマイシン耐性マーカ、好ましくは配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータが、AmpRプロモータ、好ましくは配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むAmpRプロモータであり;
- 配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むrrnB T1ターミネータ;
- 配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むrrnB T2ターミネータ;および/または
- 配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むpMB1複製の起点
によって特徴付けられる。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、
- 配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカである抗生物質耐性マーカ;
- 抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータが、配列番号13のヌクレオチド配列を含むAmpRプロモータであり;
- 配列番号14のヌクレオチド配列を含むrrnB T1ターミネータ;
- 配列番号15のヌクレオチド配列を含むrrnB T2ターミネータ;および/または
- 配列番号16のヌクレオチド配列を含むpMB1複製の起点
によって特徴付けられる。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、
- 配列番号8のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むrhaBADプロモータ;
- 配列番号9のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むRhaR転写活性化因子;
- 配列番号11のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むRhaS転写活性化因子;
- 抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むAmpRプロモータ;
- 配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むrrnB T1ターミネータ;
- 配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むrrnB T2ターミネータ;および
- 配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むpMB1複製の起点
によって特徴付けられる。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、
- 配列番号8のヌクレオチド配列を含むrhaBADプロモータ;
- 配列番号9のヌクレオチド配列を含むRhaR転写活性化因子;
- 配列番号11のヌクレオチド配列を含むRhaS転写活性化因子;
- 抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 配列番号13のヌクレオチド配列を含むAmpRプロモータ;
- 配列番号14のヌクレオチド配列を含むrrnB T1ターミネータ;
- 配列番号15のヌクレオチド配列を含むrrnB T2ターミネータ;および
- 配列番号16のヌクレオチド配列を含むpMB1複製の起点
によって特徴付けられる。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、制限酵素EcoRI、NdeI、NotI、XhoI、PspXI、PaeR71、BbsI、StyI、AvrII、BanI、Acc65I、KpnI、Eco53kI、SacI、BamHI、XbaI、SalI、AccI、PstI、SbfI、SphI、およびHindIIIによって切断可能な17箇所の制限部位を含む多重クローニングサイトを含む。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
好ましい実施形態において、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列は、rhaBADプロモータに作動可能に連結されている。
好ましい実施形態において、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに好ましい実施形態において、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。
一実施形態において、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号5および配列番号6のヌクレオチド配列のいずれか一方または両方に転写方向で作動可能に連結されている。
一実施形態において、シグナルペプチドはPelB(ペクチン酸リアーゼB)である。好ましい実施形態において、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;より好ましくは、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号7の配列を含む。
1つの実施形態において、結果として生じたPelBシグナルペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列:
を含む[6]。
好ましい実施形態において、DNA構築物は、配列番号17の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、好ましくは配列番号17の配列を含む。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に従ったDNA構築物のいずれかを含む発現ベクターに関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に従ったDNA構築物または本発明の第2の態様に従った発現ベクターを含む細菌宿主細胞であって、細菌宿主細胞は、好ましくはEscherichia coli細胞、より好ましくはE.coli K-12細胞である、細菌宿主細胞に関する。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、(i)RhaBを不活性の状態にする、rhaB遺伝子の核酸配列における変異を含む染色体、または(ii)RhaBをコードするヌクレオチド配列が欠失している染色体、のいずれかを含む。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、RhaBをコードするヌクレオチド配列にフレームシフト変異を含む染色体を好ましくは含むEscherichia coli W3110細胞である。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、配列番号2のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を含むEscherichia coli W3110細胞であり、任意選択で、細菌宿主細胞の染色体は、RhaTをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様に従った細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによってラニビズマブの発現を誘導する工程を含む、ラニビズマブを産生する方法に関する。好ましい実施形態において、方法は、細菌宿主細胞からラニビズマブを回収する工程をさらに含み;任意選択で、回収されたラニビズマブを、好ましくは1つまたは複数のクロマトグラフィー工程によって精製する1つまたは複数の工程をさらに含む。
本発明の第5の態様は、
ラニビズマブタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、rhaBADプロモータに作動可能に連結されるように、組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、配列番号1のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号1のヌクレオチド配列を含むDNA構築物にクローニングする工程;および
a.結果として生じたヌクレオチド配列を、ラムノース代謝を不能にする変異または改変を含む染色体を含む細菌宿主細胞に導入する工程、
を含む、ラニビズマブを産生する方法に関する。
好ましい実施形態において、方法は、細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによって組み換えタンパク質の発現を誘導する工程をさらに含む。
別の実施形態において、方法は、細菌宿主細胞からラニビズマブを回収する工程をさらに含み;任意選択で、回収されたラニビズマブを、好ましくは1つまたは複数のクロマトグラフィー工程によって精製する1つまたは複数の工程をさらに含む。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、Escherichia coli細胞、より好ましくはE.coli K-12細胞、最も好ましくはE.coli W3110細胞である。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、(i)RhaBを不活性の状態にする、rhaB遺伝子のヌクレオチド配列における変異を含む染色体、または(ii)RhaBをコードするヌクレオチド配列が欠失している染色体、のいずれかを含む。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、RhaBをコードするヌクレオチド配列にフレームシフト変異を含む染色体を含むE.coli W3110細胞である。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞は、配列番号2のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を含むE.coli W3110細胞であり、任意選択で、細菌宿主細胞の染色体は、RhaTをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
好ましい実施形態において、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含み;好ましくは、組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。
好ましい実施形態において、配列番号5および/または配列番号6を含むヌクレオチド配列は、配列番号5および/または配列番号6のヌクレオチド配列に転写方向で作動可能に連結されている、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
好ましい実施形態において、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列であり、好ましくは、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;好ましくは、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号7の配列を含み、ラニビズマブの軽鎖および/または重鎖をコードするヌクレオチド配列に融合される。
好ましい実施形態において、細菌宿主細胞に導入される対象となる、結果として生じたヌクレオチド配列は、配列番号17の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、好ましくは配列番号17の配列を含む。
本発明の第6の態様は、E.coli W3110細胞であり、RhaBをコードするヌクレオチド配列にフレームシフト変異を含む染色体を含む、細菌宿主細胞に関する。一実施形態において、E.coli W3110宿主細胞は、配列番号2のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を含む。さらなる実施形態において、細菌宿主細胞の染色体は、RhaTをコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明の様々な態様(およびその実施形態)についての上で示される配列番号1~18のうちの1つまたは複数は、それと少なくとも90%の配列同一性を有する配列によって置き換えられ得る。本明細書において使用される「配列同一性」という用語は、アミノ酸またはヌクレオチド配列に関して使用され、配列同一性は、指定された配列の全長にわたるものである。ゆえに、配列は、指定されたアミノ酸またはヌクレオチド配列と配列が少なくとも90パーセント、少なくとも92パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセント、または少なくとも99パーセント同一であり得る。ゆえに、本発明のそのような配列は、本発明の配列に対する単一のまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸の変更(付加、置換、挿入、または欠失)を含む。アミノ酸レベルにおいて、上で規定される配列同一性を有する好ましい配列は、本発明の配列に、最高5つ、例えば1つのみ、2、3、4、または5つ、好ましくは1、2、または3つ、より好ましくは1つまたは2つの、変更されたアミノ酸を含有する。
KTXHISに関するプラスミドマップの図。 KTXHISの多重クローニングサイト(MCS)のヌクレオチド配列の図。 KTXHIS-PelbLC-PelbHCのプラスミドマップの図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における滴定可能性比較の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における滴定可能性比較の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における滴定可能性比較の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における滴定可能性比較の図。 抗FAB抗体を使用したCapto L樹脂ウェスタンブロットを用いた、収穫された材料から浄化されホモジナイズされた溶解物サンプルからの小規模バッチ精製の図。ゲルローディング:XB17/67A(低い収量に起因して、0.2μgのみの産物をアプライした)を除いて、3μgの産物をアプライした。18.4~116kDaのマーカ。 アフィニティーHPLC力価データの要約の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における発現の制御の比較の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における発現の制御の比較の図。 抗FAB抗体を使用したウェスタンブロット-小規模実験における発現の制御の比較の図。
詳細な説明
本発明は、組み換えタンパク質のL-ラムノースrhaBADプロモータに基づく産生を調節することに関する。
より具体的には、本発明は、
a.組み換えタンパク質、好ましくはラニビズマブをコードするヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列がrhaBADプロモータに作動可能に連結されるように、DNA構築物にクローニングする工程、および
b.結果として生じたヌクレオチド配列を、ラムノース代謝を不能にする変異または改変を含む染色体を含む細菌宿主細胞に導入する工程
を含む、組み換えタンパク質、好ましくはラニビズマブを産生することに関する。
上の方法に開示されるDNA構築物は、rhaBADプロモータをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明の一実施形態において、rhaBADプロモータのヌクレオチド配列は、配列番号8の配列:
を含む(配列は、図1および3において「rhaBAD」と称される)。
DNA構築物は、RhaR転写活性化因子をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明の一実施形態において、RhaR転写活性化因子のヌクレオチド配列は、配列番号9の配列:
を含む(配列は、図1および3において「rhaR」と称される)。
DNA構築物は、欠けた終止コドンが理由でRhaRとインフレームにあるRhaR転写活性化因子の伸長をコードするヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。本発明の一実施形態において、RhaR転写活性化因子の伸長のヌクレオチド配列は、配列番号10の配列:
を含む(配列は、図1および3において「rhaR伸長(rhaR extended)」と称される)。
DNA構築物は、RhaS転写活性化因子をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明の一実施形態において、RhaS転写活性化因子のヌクレオチド配列は、配列番号11の配列:
を含む(配列は、図1および3において「rhaS」と称される)。
DNA構築物は、「抗生物質耐性マーカ」または「選択マーカ」をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。そのようなマーカは、産物が抗生物質(例えば、クロラムフェニコール、アンピシリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、カナイシン、ネオマイシン)に対する耐性、または選択培地(例えば、ura(ウラシル)、leu(ロイシン)、trp(トリプトファン)、his(ヒスチジン))で成長する能力を付与する遺伝子を含有するDNAのフラグメントである。通常、プラスミドは、細菌細胞にプラスミドを維持させる抗生物質耐性マーカを含有する。本発明の一実施形態において、DNA構築物は、カナマイシン耐性マーカのヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明の具体的な実施形態において、カナマイシン耐性を付与するためのヌクレオチド配列は、配列番号12の配列:
を含む(配列は、図1および3において「KanR」と称される)。
DNA構築物は、抗生物質耐性マーカをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモータをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。そのようなプロモータは、以前の段落において論じられた抗生物質耐性マーカの発現を増加させ得る。本発明の一実施形態において、アンピシリン耐性に対するプロモータは、アンピシリン耐性マーカの発現を促進し得るだけでなく、カナマイシン耐性マーカの発現も促進し得るAmpRプロモータである。本発明の具体的な実施形態において、AmpRプロモータの核酸配列は、配列番号13の配列:
を含む(配列は、図1および3において「AmpRプロモータ」と称される)。
DNA構築物は、少なくとも1種のターミネータをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。DNA構築物は、rrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータの両方をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。rrnB T1およびT2ターミネータは、両方とも、単離された形態の効率的な転写ターミネータであるが、しかしながら、一緒に使用される場合、rrnB T1およびT2ターミネータは、転写をより効率的に終結させ得る。
本発明の具体的な実施形態において、rrnB T1ターミネータのヌクレオチド配列は、配列番号14の配列:
を含む。
本発明の具体的な実施形態において、rrnB T2ターミネータのヌクレオチド配列は、配列番号15の配列:
を含む。
DNA構築物は、DNA複製が始動される特定のヌクレオチド配列である複製の起点をさらに含んでもよい。DNA複製は、双方向にまたは一方向にこの地点から進み得る。一部のよく使用される複製の起点は、ColE1、pMB1、pSC101、R6K、pBR322、R6K、p15A、およびpUCである。本発明の一実施形態において、複製の起点は、pMB1またはその誘導体である。本発明の具体的な実施形態において、pMB1の核酸配列は、配列番号16の配列:
を含む。
本発明の代替的な実施形態において、DNA構築物は、
- rhaBADプロモータ、
- RhaR転写活性化因子、
- RhaS転写活性化因子、
- 抗生物質耐性マーカ、
- 少なくとも1種のターミネータ、および
- 複製の起点
のうちの1種または複数をコードするヌクレオチド配列を含む発現プラスミドであり、DNA構築物は、任意選択で、制限酵素EcoRI、NdeI、NotI、XhoI、PspXI、PaeR71、BbsI、StyI、AvrII、BanI、Acc65I、KpnI、Eco53kI、SacI、BamHI、XbaI、SalI、AccI、PstI、SbfI、SphI、およびHindIIIによって切断可能な17箇所の制限部位を含む多重クローニングサイトを含む。任意選択で、DNA構築物は、抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータをコードするヌクレオチド配列、ならびに/またはrrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
本発明の一実施形態において、上で開示される発現プラスミドは、
- rhaBADプロモータ、
- RhaR転写活性化因子、
- RhaS転写活性化因子、
- 抗生物質耐性マーカ、
- 少なくとも1種のターミネータ、および
- 複製の起点
をコードするヌクレオチド配列を含む。
任意選択で、DNA構築物は、抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータをコードするヌクレオチド配列、ならびに/またはrrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
本発明の一実施形態において、上で開示される発現プラスミドは、
- rhaBADプロモータ、
- RhaR転写活性化因子、
- RhaS転写活性化因子、
- カナマイシン耐性マーカ、
- AmpRプロモータ、
- 少なくとも1種のターミネータ、および
- pMB1複製の起点
をコードするヌクレオチド配列を含む。
任意選択で、AmpRプロモータをコードするヌクレオチド配列は、カナマイシン耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され、かつ/またはDNA構築物は、rrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
本発明の一実施形態において、上で開示される発現プラスミドは、
- 配列番号8のヌクレオチド配列を含むrhaBADプロモータ、
- 配列番号9のヌクレオチド配列を含むRhaR転写活性化因子、
- 配列番号11のヌクレオチド配列を含むRhaS転写活性化因子、
- 配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカ、
- 配列番号13のヌクレオチド配列を含むAmpRプロモータ、
- 配列番号14のヌクレオチド配列を含むrrnB T1ターミネータ、
- 配列番号15のヌクレオチド配列を含むrrnB T2ターミネータ、および
- 配列番号16のヌクレオチド配列を含むpMB1複製の起点
をコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態において、DNA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むプラスミドであり、DNA構築物は、本発明においてKTXHISとも称される。
上で記載されるDNA構築物にクローニングされる対象となる、組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、モノクローナル抗体またはそのフラグメント、好ましくはラニビズマブまたはそのフラグメントをコードする核酸を含んでもよい。本発明の具体的な実施形態において、ラニビズマブをコードする核酸は、ラニビズマブの重鎖および軽鎖をコードする核酸を含む。ラニビズマブは、加齢に関連した失明のよく見られる形態である「滲出」型の加齢黄斑変性症を治療するために承認されている、抗血管新生性であるモノクローナル抗体フラグメント(Fab)である。
本発明の具体的な実施形態において、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6の配列:
を含む。
本発明の具体的な実施形態において、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号5の配列:
を含む。
本発明のさらなる実施形態において、ラニビズマブの重鎖および軽鎖をコードする核酸は、ラニビズマブの重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列のいずれか一方または両方に作動可能に連結された、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。シグナルペプチドをコードする核酸配列は、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列であり得る。本発明の具体的な実施形態において、PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7の配列:
を含む。
結果として生じたヌクレオチド配列(すなわち、DNA構築物に、組み換えタンパク質、好ましくはラニビズマブをコードするヌクレオチド配列をクローニングすることの産物)は、好ましくは、本発明においてKTXHIS-PelbLC-PelbHCとも称される配列番号17のヌクレオチド配列である。
組み換えタンパク質を産生するために使用される対象となる細菌宿主細胞は、ラムノース代謝を不能にする(disable)変異または改変を有する染色体を含む。細菌宿主細胞はE.coli細胞であり得る。好ましい実施形態において、細菌宿主細胞はE.coli K-12細胞、より好ましくは、細菌宿主細胞はE.coli W3110細胞である。不能なラムノース代謝は、RhaBを不活性の状態にする、RhaBをコードするヌクレオチド配列における変異によって達成される。代替的に、不能なラムノース代謝は、RhaBをコードするヌクレオチド配列が欠失している染色体を有する細菌宿主細胞を使用することによって達成され;これは、例えば、RhaBをコードするヌクレオチド配列を欠失させることによって達成され得る。好ましくは、細菌宿主細胞の染色体は、RhaTをコードする核酸配列を含む、すなわちRhaT遺伝子は無傷である。
本発明の一実施形態において、不能なラムノース代謝は、RhaBをコードするヌクレオチド配列におけるフレームシフト変異によって達成される。そのような変異は、配列番号2のヌクレオチド配列:
を含む染色体を有する細菌宿主細胞をもたらす。
配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を有する細菌宿主細胞は、本発明においてXdevKと称される。
本発明の1つの実施形態において、XdevK宿主細胞を開発するための方法は、
a)pRhaBFSプラスミドを構築する工程、および
b)RhaBフレームシフト変異体を構築する工程、
を含む。
pRhaBFSプラスミドを構築することに関して、E.coli BL21系統の染色体からrhaBADオペロンの一部をPCR増幅するための2種のプライマー(丸括弧内にプライマーの名前)は、好ましくは:
- (SBamHI1680-配列番号19)
- (BSalI1681-配列番号20)
である。
以下の実施形態も網羅される。
1.細菌宿主細胞において組み換えタンパク質を発現させるのに適切なDNA構築物であって、
- rhaBADプロモータ、
- RhaR転写活性化因子、
- RhaS転写活性化因子、
- 抗生物質耐性マーカ、
- 該抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータ、
- rrnB T1ターミネータ、
- rrnB T2ターミネータ、および
- pMB1複製の起点
をコードするヌクレオチド配列を含む、DNA構築物。
2.- 前記抗生物質耐性マーカが、カナマイシン耐性マーカ、好ましくは配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 前記抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータが、AmpRプロモータ、好ましくは配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むAmpRプロモータであり;
- 前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;
- 前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;かつ/または
- 前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、
実施形態1に記載のDNA構築物。
3.- 前記抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 前記抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータが、配列番号13のヌクレオチド配列を含むAmpRプロモータであり;
- 前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;
- 前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列を含み;かつ/または
- 前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列を含む、
実施形態1または2に記載のDNA構築物。
4.- 前記rhaBADプロモータが、配列番号8のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号8のヌクレオチド配列を含み;
- 前記RhaR転写活性化因子が、配列番号9のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号9のヌクレオチド配列を含み;
- 前記RhaS転写活性化因子が、配列番号11のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号11のヌクレオチド配列を含み;
- 前記抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
- 前記AmpRプロモータが、配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号13のヌクレオチド配列を含み;
- 前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号14のヌクレオチド配列を含み;
- 前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号15のヌクレオチド配列を含み;
- 前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号16のヌクレオチド配列を含む、
実施形態1~3のいずれか1つに記載のDNA構築物。
5.制限酵素EcoRI、NdeI、NotI、XhoI、PspXI、PaeR71、BbsI、StyI、AvrII、BanI、Acc65I、KpnI、Eco53kI、SacI、BamHI、XbaI、SalI、AccI、PstI、SbfI、SphI、およびHindIIIによって切断可能な17箇所の制限部位を含む多重クローニングサイトを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載のDNA構築物。
6.配列番号1のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号1のヌクレオチド配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のDNA構築物。
7.前記組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列をさらに含むDNA構築物であって、該組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、前記rhaBADプロモータに作動可能に連結されており、該組み換えタンパク質はモノクローナル抗体またはそのフラグメントであり;好ましくは該組み換えタンパク質はラニビズマブまたはそのフラグメントであり;より好ましくは該組み換えタンパク質は、(i)配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖、および/または(ii)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖を含むラニビズマブである、実施形態1~4のいずれか1つに記載のDNA構築物。
8.前記組み換えタンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含み;好ましくは、該組み換えタンパク質をコードする該ヌクレオチド配列は、(i)配列番号5の配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態7に記載のDNA構築物。
9.前記組み換えタンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、配列番号5および配列番号6のヌクレオチド配列のいずれか一方または両方に転写方向で作動可能に連結されている、シグナルペプチドをコードする少なくとも1種のヌクレオチド配列をさらに含み、好ましくは、該シグナルペプチドはPelBであり;より好ましくは、該PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;最も好ましくは、該PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号7の配列を含む、実施形態8に記載のDNA構築物。
10.配列番号17の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、好ましくは配列番号17の配列を含む、実施形態9に記載のDNA構築物。
11.実施形態1~10のいずれか1つに記載のDNA構築物を含む、発現ベクター。
12.実施形態1~10のいずれか1つに記載のDNA構築物または実施形態11に記載の発現ベクターを含む細菌宿主細胞であって、好ましくはEscherichia coli細胞、より好ましくはE.coli K-12細胞である、細菌宿主細胞。
13.(i)RhaBを不活性の状態にする、rhaB遺伝子のヌクレオチド配列における変異を含む染色体、または(ii)RhaBをコードするヌクレオチド配列が欠失している染色体、のいずれかを含む、実施形態12に記載の宿主細胞。
14.RhaBをコードするヌクレオチド配列にフレームシフト変異を含む染色体を好ましくは含むEscherichia coli W3110細胞である、実施形態12または13に記載の宿主細胞。
15.前記宿主細胞は、配列番号2のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を含むEscherichia coli W3110細胞であり;任意選択で、該宿主細胞の該染色体は、RhaTをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態12~14のいずれか1つに記載の宿主細胞。
16.実施形態12~15のいずれか1つに記載の細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによって前記組み換えタンパク質の発現を誘導する工程を含む、組み換えタンパク質を産生する方法。
17.前記細菌宿主細胞から前記組み換えタンパク質を回収する工程をさらに含み;任意選択で、該回収された組み換えタンパク質を、好ましくは1つまたは複数のクロマトグラフィー工程によって精製する1つまたは複数の工程をさらに含む、実施形態16に記載の方法。
本発明は、下の非限定的な実施例の節における実施例1~8に例示される複数の態様を有する。XdevK宿主細胞および/またはKTXHISプラスミドの使用に関するこれらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものの、単なる例示として与えられることが理解されるべきである。本発明の上で開示される実施形態および以下の実施例から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を突き止めることができ、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変化および改変を行って、それを様々なタイプの治療用抗体および免疫グロブリンに適応させることができる。ゆえに、本明細書に示されかつ記載されるものに加えた本発明の様々な改変は、前述の記載から当業者に明らかであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。そのような改変の例は、上で示される配列番号1~18のうちの1つまたは複数が、それと少なくとも90%の配列同一性を有する配列によって置き換えられ得るということである。
実施例
実施例1は、XdevK宿主細胞の構築に関する。
実施例2は、KTXHIS-PelbLC-PelbHC発現ベクターの構築に関する。
実施例3は、実施例2における発現ベクターによって発現されるラニビズマブの軽鎖および重鎖に関する。
実施例4は、先行技術文献に記載される方法によって産生されるラニビズマブの力価(titer)と比較した場合の、本発明に従って産生されるラニビズマブの優れた力価を示している。
実施例5は、本発明に従って産生されるラニビズマブがバクテリオファージ不含であることを示している。
実施例6は、先行技術宿主細胞および/またはプラスミドと比較した場合の、本発明の優れた滴定可能性(titratability)を示した比較実験である。
実施例7は、先行技術宿主細胞および/またはプラスミドと比較した場合の、本発明の優れた品質、純度、および力価を示した比較実験である。
実施例8は、先行技術宿主細胞および/またはプラスミドと比較した場合の、本発明の発現の優れた制御を示した比較実験である。
系統開発
XdevK宿主細胞は、それがラムノースを炭素供給源として利用することを不可能にする、RhaBの染色体コピーにおけるフレームシフトを有するE.coli W3310誘導体である。関心対象の組み換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、KTXHISプラスミドにクローニングされかつラムノース誘導性プロモータの制御下で発現されるラムノース誘導性システムに対する系統として、XdevK宿主細胞を開発した。
XdevK宿主細胞に対する開始系統はE.coli W3110であり、XdevK宿主細胞を産生する同様の方法は、「産生系統E.coli W3110の構築(Construction of the Production Strain E.coli BW3110)」と題された節においてウィルムスら(Wilms et al.)[3]に記載される。
XdevK宿主細胞を開発するための方法は、
c)pRhaBFSプラスミドを構築する工程、および
d)RhaBフレームシフト変異体を構築する工程
を含む。
工程(a)-pRhaBFSプラスミドの構築:
以下の2種のプライマーを使用して、E.coli BL21系統の染色体からrhaBADオペロンの一部をPCR増幅した(丸括弧内にプライマーの名前)。
- (SBamHI1680)
- (BSalI1681)
PCR産物を精製し、BamHIおよびSalIで消化し、BamHIおよびSalIで消化されているpLemoプラスミド(米国特許第8138324号明細書に記載されるpLemo等)にライゲートした。インサートを有するpLemoプラスミドを、次いでClaIで消化した。消化物をT4ポリメラーゼとインキュベートして平滑末端にし、次いでライゲートした。2つの付加的な塩基を有する挿入されたrhaBADオペロンゲノム領域を有する、結果として生じたpLemoプラスミドをBamHIおよびSalIとインキュベートした。2つの付加的な塩基を有するrhaBADオペロンゲノム領域を含有するフラグメントを精製し、BamHIおよびSalIで消化されたpmak705プラスミドとライゲートした。ライゲーションにより生じたプラスミドをpRhaBFSと名付け、配列をシーケンシングによって検証した。
工程(b)-RhaBフレームシフト変異体の構築
E.coli W3110細胞を、遺伝子置き換えプラスミドpRhaBFSで形質転換し、次いでクロラムフェニコール(20μg/ml)を含有するLB寒天vegitone上に播種し、30℃で20時間インキュベートした。単一コロニーを採取し、LB vegitone中に入れ、OD600が0.5に到達するまで30℃で成長させた。5μlを、培養物からクロラムフェニコール(20μg/ml)を含有するLB寒天vegitoneプレートに移し、43℃で16時間インキュベートした。コロニーを、PCRを使用して、染色体への正しいインサートについて試験した。正しいインサートを有するコロニーを、クロラムフェニコール(20μg/ml)を含有するLB vegitone中で飽和まで3回成長させ、次いでLB vegitone中で20時間成長させた。次いで、1μlをLB vegitoneプレート上に播種した。LB vegitoneプレートを、1%ラムノースを補給されたマッコンキー寒天プレート上へのレプリカ播種の鋳型として使用して、細胞がラムノースを炭素供給源として利用できないことを検証した。1つのコロニーを採取し、LB vegitone(Sigma)中で成長させ、次いで等分し、XdevK発現系統と名付けた。XdevK由来のrhaB遺伝子の染色体コピーをPCRによって増幅した。PCR産物をシーケンシングし、2つの塩基(CG)の正しい挿入を確認した(配列番号2における下線を引かれたCG塩基を参照されたい):
KTXHIS-PelbLC-PelbHC
配列番号7のヌクレオチド配列を含むPelBシグナルペプチドを、ラニビズマブの軽鎖および重鎖の両方をコードする核酸の前に融合し、次いでKTXHIS発現プラスミドにクローニングした。結果として生じたヌクレオチド配列は、配列番号17のヌクレオチド配列を含み、本発明においてKTXHIS-PelbLC-PelbHCと称される。さらに、KTXHIS-PelbLC-PelbHCのプラスミドマップは、図3に例示される。
配列番号17のヌクレオチド配列は下に開示され、PelBシグナル配列に融合された軽鎖をコードする核酸の配列は下線を引かれ、PelBシグナル配列に融合された重鎖をコードする核酸の配列は太字である(ラニビズマブの軽鎖および重鎖に対するPelBの配置に関しては図3も参照されたい):
組み換えタンパク質-ラニビズマブ
発現ベクターKTXHIS-PelbLC-PelbHCによって発現されるラニビズマブの軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号3の配列:
を含む。
発現ベクターKTXHIS-PelbLC-PelbHCによって発現されるラニビズマブの重鎖のアミノ酸配列は、配列番号4の配列:
を含む。
さらに、結果として生じたPelBシグナルペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列:
を含む[6]。
先行技術力価と比較した、本発明に従って産生されるラニビズマブの優れた力価
ラニビズマブを含む3つの異なるバッチを、下で記載される方法に従って産生した。
最小培地を調製し、振とうフラスコから、発現ベクターKTXHIS-PelbLC-PelbHCを含むXdevK宿主細胞の一晩の培養物を接種した。発酵温度を30℃に設定し、培養物をバッチ相で22時間成長させた。この相の後に10時間の成長相が続いた。温度を28.5℃に調整し、次いで、グルコース供給を制御することによって成長速度を減少させた。発酵槽に注入される500μMのラムノースにより、培養を誘導した。誘導相を通じた連続的誘導のために、グルコース供給にラムノースも補給した。36時間の誘導の後に材料を収穫した。総発酵時間は68時間であり、収穫された容量は8530mlであった。
収穫の後、すべての材料、培地、および細胞をホモジナイズした。5500mlを-80℃に保管し、3000mlを浄化し、TFFを使用して洗浄した。産物の放出の増加のために、初回容量の3倍の容量で細胞を洗浄した。ラニビズマブを含む結果として生じた産物を、クマールら(Kumar et al.)[4](クマールら(Kumar et al.)における第2.4節および第3.2節を参照されたい)において使用されたクロマトグラフィー法でもあるcapto Lアフィニティークロマトグラフィーを使用することによって精製し、次いで精製されたラニビズマブの濃度を判定した。
第1、第2、および第3のバッチは、それぞれ531mg/L、487mg/L、および518mg/Lのラニビズマブ力価を含んだ。
比較として、先行技術文献のKumarら(同様の精製法を開示する)において、ラニビズマブ力価は、この文献[4]の図6および要約に示されるように、5mg/L~25mg/Lに及ぶ。
その結果として、本発明に従った方法(ならびに、その中のXdevK宿主細胞および発現ベクターKTXHIS-PelbLC-PelbHCの使用)は、先行技術方法と比較した場合に、予想外により高いレベルのラニビズマブ力価を提供する。
細胞バンク
XdevKをKTXHIS-PelbLC-PelbHCで形質転換した。単一コロニーを採取し、規定バイオリアクター培地(DBM:Defined Bioreactor Medium)中で一晩成長させ、翌日20%グリセロールを添加し、培養物を等分し、-80℃に保管した。1つのアリコート(50μl)を使用して、100mlの規定バイオリアクター培地(DBM)に接種し、30℃で24時間培養し、温度を35℃に変え、細胞を付加的に6時間培養してODを増加させた。OD A600nm=4,44。20%のグリセロールを添加し、培養物を等分し(100μlアリコート)、RCB100として-80℃において凍結した。
系統のアリコートを、Charles River Laboratoriesにおけるファージ試験および微生物純度試験のために送付した。報告書は、「RCB100は、溶原性プロファージおよび遊離バクテリオファージの両方について試験した場合に、バクテリオファージ不含であると結論付けられた。遊離バクテリオファージの数の限界は、一晩の培養物mLあたり1プラーク形成単位未満である」と述べた。
優れた滴定可能性を示した比較実験
材料および方法
以下の3種の系統を比較実験において使用した:
1.上の実施例1に記載されるXdevK宿主細胞;言い換えれば、それは、
- F-、λ-、IN(rrnD-rrnE)1、rph-1の遺伝子型を有するW3110系統バックグラウンドを有し;
- K-系統誘導体でありかつRhaB遺伝子における変異を含有し、それがラムノースを分解するのを不可能にしかつラムノースを炭素供給源として使用するのを不可能にする、
系統である。
2.
- 遺伝子型:F-dompt hsdSB(rB-、mB-)gal dcm(DE3)を有するBL21(DE3)系統であり;
- B-系統誘導体でありかつRhaB遺伝子における変異およびラムノース輸送体遺伝子(RhaT)の欠失を含有し、それがラムノースを活発に輸送して分解するのを不可能にし、かつラムノースを炭素供給源として使用するのを不可能にし;
- 染色体に挿入されたDE3プロファージの一部を含有し、lonプロテアーゼまたはOmpTプロテアーゼを発現しない、
イェルムら(Hjelm et al.)[2]に記載されるXB210;ならびに
3.E.coli野生型K-系統である、ジャカローネら(Giacalone et al.)[5]に記載されるMG1655。
以下の4種の発現プラスミドを使用して、ラニビズマブに対する核酸配列を発現させた、すなわちラニビズマブの重鎖および軽鎖をコードする配列を、以下の発現プラスミドにクローニングした:
1.KTXHIS;
2.ジャカローネら(Giacalone et al.)[5]に記載されるpRha109A;
3.ジャカローネら(Giacalone et al.)[5]に記載されるpRha67A;および
4.イェルムら(Hjelm et al.)[2]に記載されるpRha67K。
結果として生じた発現ベクターを、全シーケンシングによって確認した。
さらに、結果として生じた発現ベクターを、XdevK、XB201、およびMG1655系統(すなわち、宿主細胞)に導入して、系統およびプラスミドの種々の組み合わせを試験して、滴定可能性、力価、品質、および発現の制御に対する影響を理解した。
滴定可能性比較のための実験セットアップ
ラニビズマブの重鎖および軽鎖を含む発現ベクターを、標準的プロトコールを使用してXdevK、XB201、およびMG1655に形質転換した。構築物に応じて100μg/mlアンピシリンまたは50μg/mlカナマイシンを含有する3mlのLB-veg液体培地に単一コロニーを接種することによって、一晩の培養物を調製した。培養物を、振とうしながら15mlファルコンチューブにて37℃で16時間インキュベートした。次いで、培養物を、24ウェル成長プレートにて5mlのLB-veg+抗生物質に戻し希釈し(back-diluted)(1:50)、およそ0.3~0.5のOD600に到達するまで、前のとおりインキュベートした。5、50、100、250、500、5000μMラムノースの添加によって発現を誘導し、振とうしながらの30℃で5時間のインキュベーションが後に続いた。0,2単位のOD600に相当する容量の細胞を回収し、20μlの2×Laemlliローディングバッファーに再懸濁し、5分間煮沸し、その後7.5μlを12%ミニSDS-PAGEによって分析した。次いで、ウェスタンブロット分析のために、ゲルを直ちにニトロセルロース/PVDF膜に移し、抗Fab抗体を使用してプローブした。
結果および考察-滴定可能性
図4a、4b、4c、および4dは、滴定可能性比較に対するウェスタンブロットを示している。対照レーンのそれぞれは、精製ラニビズマブがロードされている。
図4aは、
- KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha67K(67K)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図4bは、
- pRha67K(67K)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XB201における、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha67A(67A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図4cは、
- pRha109A(109A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha67A(67A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統MG1655における、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図4dは、
- XdevKおよびKTXHIS-PelbLC-PelbHCセットアップの併用における滴定可能性を可視化するための、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積を示した実験の繰り返し
を示している。
図4a、4b、4c、および4dは、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevKを用いたセットアップが、
- ラニビズマブの発現は、5、50、100、250、500、5000μMラムノースの添加につき、XdevK/KTXHIS-PelbLC-PelbHCに対して漸進的に増加し;
- ラニビズマブの発現は、任意の他の組み合わせにおいて漸進的に増加しない(例えば「ショルダー」、すなわち漸進的な増加、しかしその後漸進的な減少を生じさせるXB201/67Kの組み合わせを参照されたい)、
という理由で、滴定可能性を比較した場合に、他のセットアップよりも優れた技術的効果を有することを明白にかつ明確に示している。
さらに、図4a、4b、4cは、pRha109AまたはpRha67Aプラスミドに基づく発現ベクターを持つ細胞が、KTXHIS-PelbLC-PelbHC、またはpRha67Kプラスミドに基づく発現ベクターのいずれかを使用した他のセットアップよりも少なくとも100倍少ない、ごく少量のラニビズマブを蓄積したことも示している(該倍変化は、ロードされた陽性対照の量を比較することによって観察された)。
- MG1655、およびpRha109Aプラスミドに基づく発現ベクター(図6を参照されたい)、
- MG1655、およびpRha67Kプラスミドに基づく発現ベクター(図7bを参照されたい)、
- MG1655およびKTXHIS-PelbLC-PelbHC(図7bを参照されたい)
の組み合わせは、ラニビズマブの検出可能な産生を生じさせず、それゆえ、滴定可能性実験は、該組み合わせに対して行われなかったことに留意すべきである。
これゆえ、結論として、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevKは、先行技術から公知のセットアップと比較して優れた滴定可能性を提供する。ゆえに、これは、組み換えタンパク質産生速度の正確な調整を可能にし、それゆえ、組み換えタンパク質産生速度は正確にかつ安定に設定され得る。
優れた品質および力価を示した比較実験
力価および品質実験のための実験セットアップ
ラニビズマブの重鎖および軽鎖を含む発現ベクターを、標準的プロトコールを使用してXdevK、XB201、およびMG1655に形質転換して、系統およびプラスミドのそれぞれの組み合わせの研究細胞バンク(RCB:Research Cell Bank)を産生した。前培養物(振とうフラスコ中)にRCBの単一バイアルから接種し、既定リアクター培地;17.1mL無菌60%(v/w)グルコース溶液、2.432mL 2.5M MgSO・7HO、1mL 50mg/mLカナマイシン溶液に添加されたリン酸2水素カリウム(KHPO)4.5g/L、リン酸水素2カリウム(KHPO)3.0g/L、硫酸アンモニウム((NHSO)3.75g/L、クエン酸3ナトリウム2水和物(HOC(COONa)(CHCOONa)・2HO)1.88g/L、塩化鉄(III)6水和物(FeCl・6HO)0,0525g/L、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)0.0158g/L、硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)0.00397g/L、硫酸マグネシウム1水和物(MnSO・1HO)0.0198g/L、塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)0.0207g/L、中で一晩(O/N)成長させた。1.5mL 25%水酸化アンモニウム溶液を添加することによって、pHを調整した(おおよそ6.95まで)。DASボックス発酵槽を、既定リアクター培地を用いて調製し、O/N前培養物を接種した。培養物に60%(v/w)無菌グルコースを供給することによって、細胞成長を制御した。誘導因子としてのラムノースの添加により、産生相を始動した。必要な場合には、供給プロファイルを調整し、塩を培養物に添加した。20~42時間の誘導の後に細胞を収穫し、その後にバッチ精製が続いた。収穫サンプルを、事前に凍結させた水を有するウェルを含有する96ウェル深底マイクロタイタープレートに添加して、サンプルの冷却を保証した。空のウェルをMilliQ水(MQ)で満たした。超音波処理を、サイクルの合間に30秒間の休止を有して、それぞれ40%の振幅で20秒間の3サイクルに対して、sonics vibra-cell装置で24-エレメントプローブを使用して実施した。超音波処理されたサンプルを2mLスピンチューブに移し、遠心分離機5430Rにおいて4℃で20000×gにて20分間遠心分離した。上清をピペッティングによって慎重に取り出し、事前に平衡化されたCapto Lアフィニティー樹脂の50%スラリーに添加した。平衡化は、20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.2(EQ)を用いて3回実施されていた。1.9mLの上清を使用して100μLのCapto Lスラリーをロードし、それは9.5mL/mL樹脂のロード率に相当する。上清および樹脂を、ThermoMixer Cにて1500rpmで振とうしながら、室温(RT)で15分間インキュベートし、その後にRTで2000×gでの1分間の遠心分離が続いた。上清を捨てた。500μLのEQを添加し、上記のように2000×gでの遠心分離によって樹脂を分離することによって、樹脂を2回洗浄した。300μLのEQを使用した3回目の洗浄工程の間、樹脂を、400μLに適切な酢酸セルロースフィルタースピンカップに移し、上記のように遠心分離した。4回目の洗浄工程を、150μL EQを用いて実施した。スピンカップを新しい回収チューブに移し、50mM酢酸ナトリウムpH3.0を用いた溶出を、合計でμL樹脂あたり0.4μL(例えば、使用された50μLスラリーに対して3×40μL)を使用して3サイクルで実施した。溶出液におけるタンパク質濃度を、アフィニティーHPLCセットアップを使用して分析した。サンプルの品質をSDS-PAGEおよびSCX-HPLCによって分析した。
力価および品質実験に関する結果および考察
サンプルを、図5に例示されるようにSDS-PAGEを使用して分析した。検出可能な品質の差、バンドパターンの増加、または遊離軽鎖もしくは重鎖の量の増加は検出され得なかった。しかしながら、pRha67Aプラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせたXdevK系統を使用したセットアップは、ごく少量の材料しか与えず、バンドは検出され得なかった。さらに、pRha109Aプラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKを使用したセットアップは、ごく不良に成長し、それゆえより短い誘導時間の後に収穫された(20時間の、一方ですべての他のサンプルは42時間後に収穫された)。
産生された材料の量をアフィニティーHPLCを使用して査定し、図6に要約し、それは、最も高い収量を産生したセットアップが、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統であったことを明白に示す。
バッチ精製された材料の品質をSCX-HPLCを用いて査定し、表1に要約している。pRha67Aプラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせたXdevK系統を用いたセットアップから分析された材料は、このセットアップが、分析するのが難しい極めて少量の材料しか産生しないことから信頼性がない。pRha109Aプラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせたXdevK系統を用いたセットアップからの材料を、細胞が他の細胞と比較して非常にゆっくり成長することから、より短い誘導時間の後に収穫した。表1に要約されたSCX HPLCデータは、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統において産生されかつそれから精製された材料の品質が、他のセットアップと比較して優れた純度(すなわち、品質)のものであることを明白に示している。
これゆえ、結論として、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統は、産生されたラニビズマブの品質および産生されたラニビズマブの収量の両方において、他のセットアップと比較して優れている。
発現の優れた制御を示した比較実験
発現の制御を査定するための実験セットアップ
ラニビズマブの重鎖および軽鎖を含む発現ベクターを、標準的プロトコールを使用してXdevKおよびMG1655に形質転換した。使用されたプラスミドに応じて100μg/mlアンピシリンまたは50μg/mlカナマイシンを含有する3mlのLB-veg液体培地に単一コロニーを接種することによって、一晩の培養物を調製した。培養物を、振とうしながら15mlファルコンチューブにて37℃で16時間インキュベートした。次いで、培養物を、24ウェル成長プレートにて5mlのLB-veg+抗生物質に戻し希釈し(1:50)、およそ0.3~0.5のOD600に到達するまで、前のとおりインキュベートし、種々の発現条件を分析した。培養物の1つのセットを、0.2%グルコースの存在下で成長させた。培養物のサブセットにおいて、250μMラムノースの添加によって発現を誘導し、振とうしながら30℃でインキュベートした。0,2単位のOD600に相当する容量の細胞を24時間後に回収し(スピンダウンし)、20μlの2×Laemlliローディングバッファーに再懸濁し、5分間煮沸し、12%ミニSDS-PAGEによって分析した(7,5μl)。次いで、ゲルを直ちにニトロセルロース/PVDF膜に移し、抗Fab抗体を使用してプローブした。
発現の制御に関する結果および考察
図7a、7b、および7cは、発現制御の比較のためのウェスタンブロットを示している。対照レーンのそれぞれは、ラニビズマブがロードされている。各セットアップからのレーン1におけるサンプルは、0.2%グルコースの存在下で成長し、250μmラムノースを用いて誘導された。各セットアップからのレーン2におけるサンプルは、0.2%グルコースの存在下で成長した。各セットアップからのレーン3におけるサンプルは、250μmラムノースを用いて誘導された。各セットアップからのレーン4におけるサンプルは、いかなる添加もなしで成長した。
図7aは、
- KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha67K(67K)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha67A(67A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図7bは、
- pRha109A(109A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統XdevKにおける、発現したラニビズマブの蓄積;
- KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせた系統MG1655における、発現したラニビズマブの蓄積;
- pRha67K(67K)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統MG1655における、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図7cは、
- pRha67A(67A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統MG1655における、発現したラニビズマブの蓄積;および
- pRha109A(109A)プラスミドに基づく発現ベクターと組み合わせた系統MG1655における、発現したラニビズマブの蓄積
を示している。
図7a~7cにおける異なるセットアップ間でラニビズマブの蓄積を比較した場合、レーン3に示される250μMラムノースの添加によって誘導されるラニビズマブの最も高い発現が、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統において検出されたことは明白である。
興味深いことに、図7bおよび7cにおけるレーン3に示されるように、MG1655系統を伴うセットアップのいずれも、ラニビズマブの目に見える発現をもたらさなかった。
さらに、レーン3においてラニビズマブの発現をもたらしたセットアップ(すなわち、XdevK系統が使用されたセットアップ)のうち、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統は、レーン2に示される0.2%グルコースの存在下で成長した場合、ラニビズマブの最も低い発現をもたらした。これは、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統が、誘導因子の非存在下において漏れやすい発現の傾向が低いことを示唆する。漏れやすい発現(Leakey expression)は、細胞の成長に負の効果を有し得、より低い全体的収量につながる。漏れやすい発現は、産生された材料の品質にも影響を及ぼし得、下流の精製工程における取り扱いにとって問題となり得る、蓄積した発現タンパク質の異なる種の混合につながり、それゆえより低い収量および複雑な精製過程につながり得る。
これゆえ、KTXHIS-PelbLC-PelbHCと組み合わせたXdevK系統におけるラニビズマブ発現の制御は、他のセットアップと比較した場合に優れている。
結論として、実施例4、6、7、および8に示される実験結果は、本発明が、先行技術発現ベクターおよび/または宿主細胞と比較した場合に、以下の利点および予想外の効果を提供し、それゆえ、組み換えタンパク質の産業的産生に特に適切であることを実証する。
- 優れた滴定可能性(実施例6);
- 優れた純度および品質(実施例7);
- 優れた力価(実施例4、7、および8);および
- 発現の優れた制御(実施例8)。
参考文献
1.ホルクロフト(Holcroft) CCら、環状AMP受容体タンパク質、RNAポリメラーゼαサブユニットC末端ドメインおよびrhaRによるrhaSRでの活性化の相互依存性(Interdependence of activation at rhaSR by cyclic AMP receptor protein,the RNA polymerase alpha subunit C-terminal domain, and rhaR.)、J Bacteriol.、2000;182(23):6774-6782
2.イェルム(Hjelm),A.ら.、1-ラムノースPBADプロモータに基づく膜および分泌タンパク質の産生のための大腸菌の調整(Tailoring Escherichia coli for the l-Rhamnose PBAD Promoter-Based Production of Membrane and Secretory Proteins.)、ACS synthetic biology、2017;6 6:985-994
3.ウィルムス(Wilms),B.ら、大腸菌rhaBADプロモータを用いた発現系によるL-N-カルバモイル酵素の高細胞密度発酵生産(High-cell-density fermentation for production of L-N-carbamoylase using an expression system based on the Escherichia coli rhaBAD promoter.)、Biotechnol.Bioeng.、2001;73:95-103
4.クマール(Kumar),D.ら、大腸菌によるFabフラグメント製造のためのQbDに基づく培地開発(QbD Based Media Development for the Production of Fab Fragments in E. coli.)、Bioengineering、2019;6,29.
5. ジャカローネ(Giacalone) MJら、ラムノースベースで厳密に制御された可変プロモーターシステムを用いた大腸菌での毒性タンパク質発現(Toxic protein expression in Escherichia coli using a rhamnose-based tightly regulated and tunable promoter system.)、Biotechniques.、2006;40(3):355-364.
6. チェ(Choi), J.H.ら、大腸菌を用いた組換えタンパク質の分泌・細胞外生産(Secretory and extracellular production of recombinant proteins using Escherichia coli.)、Appl Microbiol Biotechnol、2004;64,625-635

Claims (20)

  1. 細菌宿主細胞においてラニビズマブを発現させるためのDNA構築物であって、ラニビズマブは、(i)配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖、および(ii)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、該DNA構築物は、ラニビズマブをコードするヌクレオチド配列を含み、該DNA構築物は、ラニビズマブの該軽鎖および/またはラニビズマブの該重鎖をコードするヌクレオチド配列に転写方向で作動可能に連結されている、シグナルペプチドをコードする少なくとも1種のヌクレオチド配列をさらに含み、
    該DNA構築物は、
    - rhaBADプロモータ、
    - RhaR転写活性化因子、
    - RhaS転写活性化因子、
    - 抗生物質耐性マーカ、
    - 少なくとも1種のターミネータ、および
    a.pMB1複製の起点
    をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、DNA構築物。
  2. 前記DNA構築物は、前記抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載のDNA構築物。
  3. 前記DNA構築物は、rrnB T1ターミネータおよびrrnB T2ターミネータをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1または2に記載のDNA構築物。
  4. - 前記抗生物質耐性マーカが、カナマイシン耐性マーカ、好ましくは配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
    - 前記抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記プロモータが、AmpRプロモータ、好ましくは配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むAmpRプロモータであり;
    - 前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;
    - 前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;かつ/または
    - 前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、
    請求項3に記載のDNA構築物。
  5. - 前記抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
    - 前記抗生物質耐性マーカをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータが、配列番号13のヌクレオチド配列を含むAmpRプロモータであり;
    - 前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;
    - 前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列を含み;かつ/または
    - 前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列を含む、
    請求項3または4に記載のDNA構築物。
  6. a.前記rhaBADプロモータが、配列番号8のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号8のヌクレオチド配列を含み;
    b.前記RhaR転写活性化因子が、配列番号9のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号9のヌクレオチド配列を含み;
    c.前記RhaS転写活性化因子が、配列番号11のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号11のヌクレオチド配列を含み;
    d.前記抗生物質耐性マーカが、配列番号12のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号12のヌクレオチド配列を含むカナマイシン耐性マーカであり;
    e.前記AmpRプロモータが、配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号13のヌクレオチド配列を含み;
    f.前記rrnB T1ターミネータが、配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号14のヌクレオチド配列を含み;
    g.前記rrnB T2ターミネータが、配列番号15のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号15のヌクレオチド配列を含み;
    h.前記pMB1複製の起点が、配列番号16のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号16のヌクレオチド配列を含む、
    請求項3または4に記載のDNA構築物。
  7. ラニビズマブをコードする前記ヌクレオチド配列が、前記rhaBADプロモータに作動可能に連結されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  8. ラニビズマブをコードする前記ヌクレオチド配列が、(i)配列番号5の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  9. ラニビズマブをコードする前記ヌクレオチド配列が、(i)配列番号5の配列を含む、ラニビズマブの軽鎖をコードするヌクレオチド配列、および/または(ii)配列番号6の配列を含む、ラニビズマブの重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  10. シグナルペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号5および配列番号6のヌクレオチド配列のいずれか一方または両方に転写方向で作動可能に連結されている、請求項9に記載のDNA構築物。
  11. 前記シグナルペプチドがPelBである、請求項1~10のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  12. 前記PelBシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、配列番号7の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、好ましくは、該PelBシグナルペプチドをコードする該ヌクレオチド配列は配列番号7の配列を含む、請求項11に記載のDNA構築物。
  13. 前記DNA構築物は、配列番号17の配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、好ましくは配列番号17の配列を含む、請求項11または12に記載のDNA構築物。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載のDNA構築物を含む、発現ベクター。
  15. 請求項1~13のいずれか1項に記載のDNA構築物または請求項14に記載の発現ベクターを含む細菌宿主細胞であって、好ましくはEscherichia coli細胞、より好ましくはE.coli K-12細胞である、細菌宿主細胞。
  16. 前記宿主細胞は、(i)RhaBを不活性の状態にする、rhaB遺伝子のヌクレオチド配列における変異を含む染色体、または(ii)RhaBをコードするヌクレオチド配列が欠失している染色体、のいずれかを含む、請求項15に記載の宿主細胞。
  17. 前記宿主細胞は、RhaBをコードするヌクレオチド配列にフレームシフト変異を含む染色体を好ましくは含むEscherichia coli W3110細胞である、請求項15または16に記載の宿主細胞。
  18. 前記宿主細胞が、配列番号2のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列、好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列を含む染色体を含むEscherichia coli W3110細胞であり;任意選択で、該宿主細胞の該染色体は、RhaTをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  19. 請求項15~18のいずれか1項に記載の細菌宿主細胞をラムノースに曝露し、それによってラニビズマブの発現を誘導する工程を含む、ラニビズマブを産生する方法。
  20. 前記細菌宿主細胞からラニビズマブを回収する工程をさらに含み;任意選択で、該回収されたラニビズマブを、好ましくは1つまたは複数のクロマトグラフィー工程によって精製する1つまたは複数の工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
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