JP2023549117A - プラズマ加熱のための電子ビームのためのシステム、デバイス、および方法 - Google Patents

プラズマ加熱のための電子ビームのためのシステム、デバイス、および方法 Download PDF

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Abstract

プラズマ加熱のためのプラズマエミッタを用いた長パルス高出力電子ビーム。電子ビームは、アークプラズマ源と、加速グリッドのシステムから成る電子光学システムと、効果的電子ビーム形成、移送、最終的に、着目プラズマ閉じ込めデバイスの中への注入を提供するための磁気システムを含むビームラインと、プラズマ発生器コイルと、プラズマエミッタコイルと、レンズコイルと、ビーム移送コイルとを含む。一実施形態において、電子ビーム源は、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタをさらに備えている。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2020年11月9日に出願された米国仮特許出願第63/111,446号の優先権を主張する。
(技術分野)
本明細書に説明される実施形態は、概して、電子ビームに関し、より具体的に、プラズマ加熱を促進するプラズマエミッタを用いた長パルス高出力電子ビームのためのシステム、デバイス、および方法に関する。
逆磁場配位(FRC)は、コンパクトトロイド(CT)として知られる磁気プラズマ閉じ込めトポロジの分類に属する。それは、主に、ポロイダル磁場を示し、ゼロまたは小規模自己発生トロイダル磁場を保有する(M.Tuszewski,Nucl.Fusion 28、2033(1988)(非特許文献1)参照)。そのような構成の魅力は、構築および保守の容易性のためのその単純な幾何学形状、エネルギーの抽出および灰の除去を促進するための無制限の自然ダイバータ、および非常に高いβ(βは、FRC内側の平均磁場圧力に対する平均プラズマ圧力の比率である)、すなわち、高パワー密度である。高いβの本質は、経済的動作のために、かつD-Heおよびp-B11等の進歩した非中性子燃料の使用のために有利である。
FRCを形成する従来の方法は、磁場反転シータピンチ技術を使用し、高温高密度のプラズマを生成する(A.L.Hoffman and J.T.Slough,Nucl.Fusion33,27(1993)(非特許文献2)参照)。これに関する変形例は、シータピンチ「源」内に作成されたプラズマが、概ね即座に一端を閉じ込めチャンバの中に吐出される、遷移捕捉方法である。そして、遷移するプラズモイドは、チャンバの端部における2つの強力なミラー間に捕捉される(例えば、H.Himura,S.Okada,S.Sugimoto,and S.Goto,Phys.Plasmas 2,191(1995)(非特許文献3)参照)。閉じ込めチャンバ内に入ると、(中性または中和された)ビーム注入、回転磁場、RFまたはオーム加熱等の種々の加熱および電流駆動方法が適用され得る。源と閉じ込め機能のこの分離は、潜在的な将来の核融合炉に対して重要な工学的利点を提供する。FRCは、非常に堅固であり、動的形成、遷移、および激しい捕捉事象に耐性があることが判明している。さらに、それらは、好ましいプラズマ状態を担う傾向を示す(例えば、H.Y.Guo,A.L.Hoffman,K.E.Miller,and L.C.Steinhauer,Phys.Rev.Lett.92,245001(2004)(非特許文献4)参照)。過去10年において、他のFRCの形成方法の開発、すなわち、逆ヘリシティを伴うスフェロマックの融合(例えば、Y.Ono,M.Inomoto,Y.Ueda,T.Matsuyama,and T.Okazaki,Nucl.Fusion 39,2001(1999)(非特許文献5)参照)によって、および追加の安定性も提供する回転磁場(RMF)を用いて電流を駆動すること(例えば、I.R.Jones,Phys.Plasmas 6,1950(1999)(非特許文献6)参照)によって、著しい進歩が成し遂げられてきた。
以前のFRCシステム設計の短所は、中性ビーム注入以外、効率的電子加熱体系を欠くことであり、それは、イオン-電子衝突を通した電子上での電力減衰の機構に起因して、不良電子加熱効率を有する傾向にある。プラズマの電子加熱の1つのアプローチは、電子ビームを使用することであった。FRCシステム内での電子ビームを用いた効率的電子加熱は、長パルス高出力電子ビームを要求する。
長パルス高出力電子ビームを生成することにおける課題は、高ビームパービアンスから結果として生じるカソード劣化および実質的ビーム空間電荷効果に主に関連付けられる。多くの以前の用途では、カソードは、固体材料、または、いわゆる、プラズマエミッタを形成する、グリッド電極のシステムのいずれかから作製される。両場合において、カソードの活性表面と高エネルギー粒子の衝突に起因して、高熱流束の問題が、生じる。ビームの空間電荷効果は、ビームエンベロープが、迅速に拡張すること、または距離に伴って崩壊することにつながり得る。追加の措置が講じられない場合、ビームエンベロープ挙動は、ビームラインに沿って、周囲ガス条件に対して極度に敏感にもなり、事実上、ビーム伝搬を制御し、最終目的地に移送することを不可能にする。
開放プラズマ閉じ込め構成におけるプラズマ加熱の目的のために、電子ビームの注入が、プラズマ閉じ込め設備の対称軸に沿って行われ得るが、それは、ビームを磁気プラグを通して閉じ込め領域の中に移送する問題を伴う。これは、電子ビームの磁気システムおよび(ビームの)プラズマ発生器デバイスに関するいくつかの具体的要件を課す。
記載されるように、以前のアプローチの主要不利点は、カソード劣化であり、それは、低パルス持続時間および低ビーム電流につながる。固体材料から作製されるカソードは、加熱および粒子衝突に関連付けられた高エネルギー束に耐えることができない。したがって、以前のアプローチでは、パルス持続時間は、通常、約100マイクロ秒に限定される。同一理由から、作業サイクルの数も、カソードの交換が必要となる前、約100~1,000パルスに限定される。
加えて、以前のアプローチでは、ビーム電流の密度、故に、ビーム空間電荷は、ビームラインを設計する間、およびビーム移送中、空間電荷効果を無視することが可能であるために、比較的に小値に保たれる。
プラズマ加熱のためのプラズマエミッタを用いた長パルス高出力電子ビームを促進する改良されたシステム、デバイス、および方法が、所望される。
M.Tuszewski,Nucl.Fusion 28、2033(1988) A.L.Hoffman and J.T.Slough,Nucl.Fusion33,27(1993) H.Himura,S.Okada,S.Sugimoto,and S.Goto,Phys.Plasmas 2,191(1995) H.Y.Guo,A.L.Hoffman,K.E.Miller,and L.C.Steinhauer,Phys.Rev.Lett.92,245001(2004) Y.Ono,M.Inomoto,Y.Ueda,T.Matsuyama,and T.Okazaki,Nucl.Fusion 39,2001(1999) I.R.Jones,Phys.Plasmas 6,1950(1999)
システム、デバイス、および方法の例示的実施形態が、FRCプラズマのプラズマ加熱のためのプラズマエミッタを用いた長パルス高出力電子ビームを発生させるために本明細書に提供される。例示的実施形態では、電子ビームは、アークプラズマ源と、加速グリッドのシステムから成る、電子光学システムと、効果的電子ビーム形成、移送、最終的に、着目プラズマ閉じ込めデバイスの中への注入を提供するための磁気システムを含むビームラインと、プラズマ発生器コイルと、プラズマエミッタコイルと、レンズコイルと、ビーム移送コイルとを含む。
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図および発明を実施するための形態の吟味に応じて、当業者に明白であるか、または明白となるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本明細書内に含まれ、本明細書内で説明される主題の範囲内にあり、付随の請求項によって保護されることが意図される。例示的実施形態の特徴は、請求項内にそれらの特徴の明示的列挙がない場合でも、添付の請求項を限定するものとしていかようにも解釈されるべきではない。
本明細書の一部として含まれる付随の図面は、現在の例示的実施形態を図示し、上記に与えられた概要および下記に与えられる例示的実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明および教示する役割を果たす。
図1は、従来のFRC体系(CR)下と対比した、かつ他の従来のFRC実験と対比した、高性能FRC体系(HPF)下における本FRCシステムにおける粒子閉じ込めを図示する。
図2は、本FRCシステムの構成要素および本FRCシステムにおいて生産可能なFRCの磁気トポロジを図示する。
図3Aは、上部から見た本FRCシステムの基本レイアウトを図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、ダイバータと、中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグと、ペレット注入器との好ましい配置を含む。
図3Bは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角である角度で配置された中性ビームを示す。
図3Cは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角未満である角度で配置され、粒子を中心閉じ込め容器の中央平面に向かって注入するように方向づけられた中性ビームを示す。
図3Dおよび3Eは、それぞれ、本FRCシステムの代替実施形態の基本レイアウトの上面図および斜視図を図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、内側および外側ダイバータと、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角より小さい角度で配置される中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグとの好ましい配置を含む。 図3Dおよび3Eは、それぞれ、本FRCシステムの代替実施形態の基本レイアウトの上面図および斜視図を図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、内側および外側ダイバータと、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角より小さい角度で配置される中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグとの好ましい配置を含む。
図4は、形成区分のためのパルス式パワーシステムの構成要素の概略を図示する。
図5は、個々のパルス式パワー形成スキッドの等角図を図示する。
図6は、形成管アセンブリの等角図を図示する。
図7は、中性ビームシステムおよび重要な構成要素の部分的な断面等角図を図示する。
図8は、閉じ込めチャンバ上の中性ビーム配置の等角図を図示する。
図9は、TiおよびLiゲッタリングシステムの好ましい配置の部分的な断面等角図を図示する。
図10は、ダイバータチャンバ内に据え付けられたプラズマガンの部分的な断面等角図を図示する。関連付けられた磁気ミラープラグおよびダイバータ電極アセンブリも、示される。
図11は、閉じ込めチャンバの軸方向端部における環状バイアス電極の好ましいレイアウトを図示する。
図12は、2つの磁場反転シータピンチ形成区分における一連の外部反磁性ループ、および中心金属閉じ込めチャンバの内側に埋設された磁気プローブから取得されるFRCシステム内の除外された磁束半径の進化を図示する。時間は、形成源における同期磁場反転の瞬間から測定され、距離zは、機械の軸方向中央平面に対して与えられる。
図13A、図13B、図13C、および図13Dは、本FRCシステム上の代表的な非HPF非持続的放電からのデータを図示する。時間の関数として、中央平面における除外された磁束半径(図13A)と、中央平面CO干渉計からの6コードの線積分密度(図13B)と、CO干渉計データからのアーベル変換密度半径方向プロファイル(図13C)と、圧力平衡からの合計プラズマ温度(図13D)とが示される。
図14は、図13A、図13B、図13C、および図13Dに示される本FRCシステムの同一の放電に対する選択された時間における除外された磁束軸方向プロファイルを図示する。
図15は、閉じ込めチャンバの外側に搭載された鞍形コイルの等角図を図示する。
図16A、図16B、図16C、および図16Dは、注入された中性ビームのFRC寿命時間およびパルス長の相関を図示する。示されるように、より長いビームパルスは、より長く存続するFRCを生産する。
図17A、図17B、図17C、および図17Dは、FRC性能に及ぼされるFRCシステムの異なる構成要素の個々のおよび組み合わせられた影響と、HPF体系の獲得とを図示する。
図18A、図18B、図18C、および図18Dは、本FRCシステム上の代表的なHPF非持続型放電からのデータを図示する。時間の関数として、中央平面における除外された磁束半径(図18A)と、中央平面CO干渉計からの6コードの線積分密度(図18B)と、CO干渉計データからのアーベル変換密度半径方向プロファイル(図18C)と、圧力平衡からの合計プラズマ温度(図18D)とが示される。
図19は、電子温度(T)の関数として、磁束閉じ込めを図示する。それは、HPF放電のために、新しく確立された優れたスケーリング体系のグラフ表現を表す。
図20は、角度付けられていない、および角度付けられた注入される中性ビームのパルス長に対応するFRC寿命時間を図示する。
図21A、21B、21C、21D、および21Eは、角度付けられた注入される中性ビームのパルス長と、角度付けられた注入される中性ビームのパルス長に対応するプラズマ半径、プラズマ密度、プラズマ温度、および磁束のFRCプラズマパラメータの寿命とを図示する。
図22Aおよび22Bは、コンパクトトロイド(CT)注入器の基本レイアウトを図示する。
図23Aおよび23Bは、中心閉じ込め容器を図示し、それに搭載されたCT注入器を示す。
図24Aおよび24Bは、CT注入器の代替実施形態の基本レイアウトを図示し、CT注入器の代替実施形態は、それに結合されたドリフト管を有する。
図25は、調整可能エネルギービーム出力のための中性ビームシステムおよび重要構成要素の断面等角図を図示する。
図26は、調整可能エネルギービーム出力を伴う中性ビームシステムを図示する、概略図である。
図27は、閉じ込め容器(CV)内のFRCプラズマの軸方向位置制御機構を図示する、概略図である。
図28は、一般的スライディングモード制御スキームのフロー図である。
図29は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの例の複合グラフである。
図30は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの例の複合グラフである。
図31は、イオン源から変換される電子ビーム源の概略図である。
図32は、プラズマからの電子ビーム抽出および加速を示すシミュレーション結果のグラフである。
図33は、電子光学システムの部分的概略である。
図34Aおよび34Bは、中空ビームを生産するためのマスクを伴うプラズマグリッドの実施形態の概略図である。
図35は、プラズマ封じ込めシステムの中への軸方向電子ビーム注入を示す基本構想図である。
図36は、プラズマ封じ込めシステムのダイバータに据え付けられた電子ビームを示す概略斜視図である。
図は、必ずしも縮尺通りではなく、類似構造または機能の要素は、概して、図全体を通して、例示的目的のために、同様の参照番号によって表されることに留意されたい。また、図は、本明細書に説明される、種々の実施形態の説明を促進するためだけに意図されていることに留意されたい。図は、必ずしも、本明細書に開示される教示のあらゆる側面を説明するものではなく、請求項の範囲を限定するものでもない。
本主題が詳細に説明される前、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるであろうから、本明細書内で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためのものであり、限定であることを意図するものではないことも、理解されたい。
本明細書に提供される本実施形態は、優れた安定性だけではなく、粒子、エネルギー、および磁束閉じ込めを伴うFRCの形成および維持を促進するシステムおよび方法を対象とする。本実施形態のいくつかは、調整可能ビームエネルギー能力を伴う中性ビーム注入器を利用して、上昇させられたシステムエネルギーおよび改良された持続性を伴うFRCの形成および維持を促進するシステムおよび方法を対象とする。本実施形態のいくつかは、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向安定性特性から独立したFRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進するシステムおよび方法を対象とする。本実施形態のうちのいくつかは、磁気プラズマ閉じ込めシステムにおけるプラズマ加熱のための高出力電子ビームも対象とする。
その例が、別個および組み合わせの両方において、これらの追加の特徴および教示の多くを利用する本明細書に説明される実施形態の代表的例が、ここで、添付の図面を参照してさらに詳細に説明されるであろう。この詳細な説明は、単に、当業者に、本教示の好ましい側面を実践するためのさらなる詳細を教示することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、以下の詳細な説明において開示される特徴およびステップの組み合わせは、最も広義に、本発明を実践するために必要ではないこともあり、代わりに、本教示の代表的例を特に説明するためだけに教示される。
さらに、代表的例および従属請求項の種々の特徴は、本教示の追加の有用な実施形態を提供するために、具体的かつ明示的に列挙されない方法で組み合わせられ得る。加えて、説明および/または請求項に開示される全ての特徴は、元々の開示の目的のためだけではなく、実施形態および/または請求項における特徴の複合物から独立して、請求される主題を制限する目的のために、互いに別個にかつ独立して開示されることが意図されることに明示的に留意されたい。全ての値範囲またはエンティティの群の指示が、元々の開示の目的のためだけではなく、請求される主題を制限する目的のために、あらゆる可能な中間値または中間エンティティを開示することにも明示的に留意されたい。
半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性およびFRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御を促進するシステムおよび方法に目を向ける前、従来のFRCに優る優れた安定性だけではなく、優れた粒子、エネルギー、および磁束閉じ込めを伴う高性能FRCを形成および維持するためのシステムおよび方法の議論が、提供される。そのような高性能FRCは、(医療用同位体生産、核廃棄物浄化、材料研究、中性子X線撮影、および断層撮影のための)コンパクト中性子源、(化学生産および処理のための)コンパクト光子源、質量分離および濃縮システム、および将来のエネルギー生成のための軽核の融合用炉心を含むあらゆる種々の用途への経路を提供する。
種々の補助的なシステムおよび動作モードが、FRCにおける優れた閉じ込め体系が存在するかどうかを評価するために、探求されてきた。これらの努力は、本明細書に説明される高性能FRCパラダイムの画期的な発見および開発につながってきた。この新パラダイムによると、システムおよび方法は、多数の新規のアイデアおよび手段を組み合わせ、図1に図示されるように、FRC閉じ込めを著しく改良するだけではなく、負の副作用もなく、安定性制御を提供する。下記により詳細に議論されるように、図1は、FRCを形成および維持するための従来の体系(CR)に従って動作することに対比した、かつ他の実験で使用されるFRCを形成および維持するための従来の体系に従って粒子閉じ込めと対比した、FRCを形成および維持するための高性能FRC体系(HPF)に従って動作する下記に説明されるFRCシステム10における粒子閉じ込めを描写する(図2および図3参照)。本開示は、FRCシステム10および方法の革新的な個々の構成要素だけではなく、それらの集合効果についての概要および詳細を述べるであろう。
(FRCシステム)
(真空システム)
図2および図3は、本FRCシステム10の概略図を描写する。FRCシステム10は、2つの正反対である反転磁場シータピンチ形成区分200によって包囲された中心閉じ込め容器100と、形成区分200を越えて、中性密度および不純物汚染を制御するための2つのダイバータチャンバ300とを含む。本FRCシステム10は、超高真空を収容し、10-8トルの典型的なベース圧で動作するように構築された。そのような真空圧は、篏合部品間の二連ポンプ篏合フランジ、金属O環、および高純度内壁の使用だけではなく、物理的かつ化学的洗浄等、組立に先立って、全ての部品の慎重な初期表面調整後の24時間250℃真空焼成および水素グロー放電洗浄を要求する。
反転磁場シータピンチ形成区分200は、標準磁場反転シータピンチ(FRTP)であるが、下記に詳細に議論される、高度パルス式電力形成システム(図4-6参照)を伴う。各形成区分200は、超高純度石英の2ミリメートルの内側裏張りを特徴とする標準不透明工業グレード石英管から作製される。閉じ込めチャンバ100は、鋼鉄から作製され、多数の半径方向および接線方向ポートを可能にし、それは、下記に説明される実験の時間の尺度上の磁束コンサーバとしての役割も果たし、高速磁気過度を限定する。真空は、ドライスクロール粗引きポンプと、ターボ分子ポンプと、低温ポンプとの組を用いて、FRCシステム10内で作成および維持される。
磁気システム
磁気システム400は、図2および図3に図示される。図2は、他の特徴の中でもとりわけ、FRCシステム10によって生産可能なFRC450に関連する(半径方向座標および軸方向座標の関数としての)FRC磁束および密度等高線を図示する。これらの等高線は、FRCシステム10に対応するシステムおよび方法をシミュレーションするために開発されたコードを使用して、2D抵抗ホールMHD数値シミュレーションによって取得されたものであり、測定された実験データと非常に合致する。図2に見られるように、FRC450は、区分線451の内側のFRC450の内部453における閉場線のトーラスと、区分線451のすぐ外側の開場線452上の環状縁層456とから成る。縁層456は、FRCの長さを越えて、ジェット454の中に合体し、自然ダイバータを提供する。
主磁気システム410は、一連の準直流コイル412、414、および416を含み、それらは、構成要素に沿って、すなわち、閉じ込めチャンバ100、FRCシステム10の形成区分200、およびダイバータ300に沿って、特定の軸方向位置に置かれる。準直流コイル412、414、および416は、準直流切り替え電源供給源によって給送され、閉じ込めチャンバ100と、形成区分200と、ダイバータ300との中に、約0.1Tの基本磁気バイアス場を生産する。準直流コイル412、414、および416に加えて、主磁気システム410は、閉じ込めチャンバ100の両端とその近接形成区分200との間に、(切り替え供給源によって送給される)準直流ミラーコイル420を含む。準直流ミラーコイル420は、最大5の磁気ミラー比を提供し、平衡成形制御のために独立して励起されることができる。加えて、ミラープラグ440が、形成区分200の各々とダイバータ300の各々との間に位置付けられる。ミラープラグ440は、コンパクト準直流ミラーコイル430と、ミラープラグコイル444とを備えている。準直流ミラーコイル430は、追加の誘導場を生産し、ミラープラグコイル444を通過する、小径通路442に向かって、磁束表面455を集束させる、3つのコイル432、434、および436(供給源を切り替えることによって給送される)を含む。ミラープラグコイル444は、小径通路442の周囲に巻き付き、LCパルス型電力回路によって給送されるが、最大4Tの強磁気ミラー場を生産する。このコイル配置全体の目的は、磁束表面455および端部荷電プラズマジェット454を緊密に束ね、ダイバータ300の遠隔チャンバ310の中に誘導することである。最後に、鞍形コイル「アンテナ」の組460(図15参照)が、閉じ込めチャンバ100の外側に位置し、中央平面の両側の2つは、直流電源供給源によって給送される。鞍形コイルアンテナ460は、回転不安定性の制御および/または電子電流制御のために、約0.01Tの準静的磁気双極または四重極場を提供するように構成されることができる。鞍形コイルアンテナ460は、印加される電流の方向に応じて、機械の中央平面に対して対称または非対称のいずれかである磁場を柔軟に提供することができる。
(パルス型電力形成システム)
パルス型電力形成システム210は、修正されたシータピンチ原理で動作する。2つのシステムが存在し、各々が、形成区分200のうちの1つに電力を供給する。図4-図6は、形成システム210の主構築ブロックおよび配置を図示する。
形成システム210は、モジュール式のパルス型電力配置から成り、モジュール式のパルス型電力配置は、個々のユニット(=スキッド)220から成り、各々は、形成石英管240の周囲に巻き付くストラップアセンブリ230(=ストラップ)のコイル232の一部を励起する。各スキッド220は、コンデンサ221と、インダクタ223と、高速高電流スイッチ225と、関連付けられたトリガ222およびダンプ回路224とから成る。全体として、各形成システム210は、350~400kJの容量エネルギーを貯蔵し、FRCを形成し、加速させるために、最大35GWの電力を提供する。これらの構成要素の協調された動作は、最先端のトリガおよび制御システム222および224を介して達成され、各形成区分200上の形成システム210の間での同期されたタイミングを可能にし、切り替えジッタを数十ナノ秒まで最小化する。本モジュール式設計の利点は、その柔軟な動作である:FRCは、原位置で形成され、そして、加速され、注入されること(=静的形成)、または、同時に形成され、加速されること(=動的形成)ができる。
(中性ビーム注入器)
中性原子ビーム600が、FRCシステム10上に展開され、加熱および電流駆動を提供するだけではなく、高速粒子圧力を発生させる。図3A、図3B、および図8に示されるように、中性原子ビーム注入器システム610および640を備えている個々のビーム線は、中心閉じ込めチャンバ100の周囲に位置し、標的捕捉ゾーンが十分に区分線451(図2参照)の範囲内にあるような衝突パラメータを伴って、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に(中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して垂直または直角である角度で)注入する。各注入器システム610および640は、20~40keVの粒子エネルギーを用いて、最大1MWの中性ビームパワーをFRCプラズマの中に注入可能である。システム610および640は、正イオン多開口抽出源に基づいており、幾何学的集束、イオン抽出グリッドの慣性冷却、および差動ポンプを利用する。異なるプラズマ源の使用は別として、システム610および640は、主に、側方および上方注入能力をもたらすそれらのそれぞれの搭載場所を満たすようなその物理的設計によって区別される。これらの中性ビーム注入器の典型的な構成要素は、側方注入器システム610に関する図7に具体的に図示される。図7に示されるように、各個々の中性ビームシステム610は、端部を覆う磁気遮蔽614を伴う入力端部(これは、システム640内のアーク源で置き換えられる)におけるRFプラズマ源612を含む。イオン光学源および加速グリッド616は、プラズマ源612に結合され、ゲート弁620は、イオン光学源および加速グリッド616と中性化器622との間に位置付けられる。偏向磁石624およびイオンダンプ628は、中性化器622と出口端部における照準デバイス630との間に位置する。冷却システムは、2つの低温冷凍機634と、2つの低温パネル636と、LN2シュラウド638とを備えている。この柔軟性のある設計は、広範囲のFRCパラメータにわたる動作を可能にする。
中性原子ビーム注入器600のための代替構成は、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に注入するが、角度Aは、中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して90°未満であるそれである。ビーム注入器615のこれらのタイプの向きは、図3Cに示される。加えて、ビーム注入器615は、中心閉じ込め容器100の中央平面の両側のビーム注入器615が、それらの粒子を中央平面に向かって注入するように向けられ得る。最後に、これらのビームシステム600の軸方向位置は、中央平面により近接するように選定され得る。これらの代替注入の実施形態は、より中心における燃料補給選択肢を促進し、それは、ビームのより優れた結合、および注入される高速粒子のより高い捕捉効率を提供する。さらに、角度および軸方向位置に応じて、ビーム注入器615のこの配置は、FRC450の軸方向の伸びおよび他の特性のより直接的かつ独立した制御を可能にする。例えば、ビームを容器の対称長軸に対して浅い角度Aで注入することは、より長い軸方向の延長およびより低い温度を伴うFRCプラズマを作成するであろう一方、より垂直な角度Aを選ぶことは、軸方向により短いが、より高温のプラズマにつながるであろう。この方式では、ビーム注入器615の注入角度Aおよび場所は、異なる目的のために最適化されることができる。加えて、ビーム注入器615のそのような角度付けおよび位置付けは、(概して、より少ないビーム分散を伴うより多くのパワーを堆積させるためにより好ましい)より高いエネルギーのビームが、そうでなければ、そのようなビームを捕捉するために必要となるであろうより低い磁場の中に注入されることを可能にする。これは、(容器の対称長軸に対する注入角度が一定ビームエネルギーで低減させられるにつれて、徐々に小さくなる)高速イオン軌道スケールを決定するのがエネルギーの方位角成分であるという事実に起因する。さらに、中央平面に向かって角度付けられた注入、および中央平面に近接する軸方向ビーム位置は、注入期間中、たとえFRCプラズマが収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。
図3Dおよび図3Eに目を向けると、FRCシステム10の別の代替構成は、角度付けられたビーム注入器615に加え、内側ダイバータ302を含む。内側ダイバータ302は、形成区分200と閉じ込めチャンバ100との間に位置付けられ、外側ダイバータ300と実質的に類似するように構成され、動作する。高速切り替え磁気コイルを含む内側ダイバータ302は、形成プロセス中、事実上、非アクティブであり、形成FRCが閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって平行移動するとき、形成FRCが内側ダイバータ302を通過することを可能にする。形成FRCが、内側ダイバータ302を通して閉じ込めチャンバ100の中に入ると、内側ダイバータは、アクティブにされ、外側ダイバータと実質的に類似するように動作し、閉じ込めチャンバ100を形成区分200から隔離する。
(ペレット注入器)
新しい粒子を注入するための手段を提供し、FRCの粒子保有量(particle inventory)をより良好に制御するために、12バレルのペレット注入器700(例えば、I.Vinyar et al.,“PelletInjectors Developed at PELIN for JET,TAE,and HL-2A,”Proceedings of the 26th Fusion Science and Technology Symposium,09/27 to 10/01(2010)参照)が、FRCシステム10上で利用される。図3は、FRCシステム10上のペレット注入器700のレイアウトを図示する。円筒状ペレット(D約1mm、L約1~2mm)は、150~250km/sの範囲内の速度で、FRCの中に注入される。各個々のペレットは、約5×1019個の水素原子を含み、FRC粒子保有量に匹敵する。
(ゲッタリングシステム)
中性ハロガスが、全ての閉じ込めシステムにおける重大な問題であることは周知である。電荷交換および再生利用(壁からの冷不純物材料の解放)プロセスは、エネルギーおよび粒子閉じ込めに及ぼされる、壊滅的な影響を有し得る。加えて、縁またはその近傍における中性ガスの任意の有意な密度は、注入された大軌道(高エネルギー)粒子(大軌道は、FRCトポロジ規模の軌道または少なくとも特性的磁場勾配長よりかなり大きい軌道半径を有する粒子を指す)の寿命の即座の損失または少なくとも大幅な削減、すなわち、補助的なビーム加熱を介した融合を含む全てのエネルギープラズマ用途にとって有害であるという事実につながるであろう。
表面調整は、中性ガスおよび不純物のその有害な影響が閉じ込めシステム内で制御または低減させられ得る手段である。この目的を達成するために、本明細書に提供されるFRCシステム10は、チタンおよびリチウム堆積システム810および820を採用し、Tiおよび/またはLiのフィルム(数十ミクロンの厚さ)を用いて、閉じ込めチャンバ(または容器)100およびダイバータ300および302のプラズマ対向表面をコーティングする。コーティングは、蒸着技法用いて達成される。固体のLiおよび/またはTiは、蒸発および/または昇華させられ、近傍表面上に噴霧され、コーティングを形成する。源は、誘導ノズルを伴う原子オーブン(Liの場合)822であるか、または、誘導シュラウド(Tiの場合)812を伴う固体の加熱された球体である。Li蒸発器システムは、Ti昇華装置がプラズマ動作の合間に大抵断続的に動作させられている間、連続モードで典型的に動作する。これらのシステムの動作温度は、高速堆積率を取得するために、600℃を上回る。十分な壁有効範囲を達成するために、多数の方略的に配置された蒸発器/昇華装置システムが必要である。図9は、FRCシステム10内のゲッタリング堆積システム810および820の好ましい配置について詳細に示す。コーティングは、ゲッタリング表面としての機能を果たし、原子および分子の水素種(HおよびD)を効果的に圧送する。コーティングはまた、ささいなレベルまで、炭素および酸素等の他の典型的な不純物を低減させる。
(ミラープラグ)
前述したように、FRCシステム10は、図2および図3に示されるように、ミラーコイル420、430、および444の組を採用する。ミラーコイル420の第1の組は、閉じ込めチャンバ100の2つの軸方向端部に位置し、主磁気システム410の直流閉じ込めコイル、形成コイル、およびダイバータコイル、412、414、および416から独立して励起される。ミラーコイル420の第1の組は、主に、融合中、FRC450を操向し、軸方向に含むことに役立ち、持続中、平衡成形制御を提供する。第1のミラーコイルの組420は、中心閉じ込めコイル412によって生産される中心閉じ込め場より、名目上高い磁場(約0.4~0.5T)を生産する。ミラーコイル430の第2の組は、3つのコンパクト準直流ミラーコイル432、434、および436を含むが、形成区分200とダイバータ300との間に位置し、共通の切り替え電力供給源によって駆動される。ミラーコイル432、434、および436は、(容量電力供給源によって給送される)よりコンパクトなパルス型ミラープラグコイル444と、物理的くびれ部442と一緒に、非常に高い磁場(約10~20msの立ち上がり時間を伴って、2~4T)を伴う細い低ガス伝導性経路を提供するミラープラグ440を形成する。最もコンパクトなパルス型ミラーコイル444は、閉じ込めコイル412、414、および416のメータープラススケールボアおよびパンケーキ設計と比較すると、半径方向寸法がコンパクトであり、20cmおよび類似の長さのボアを有する。ミラープラグ440の目的は、多種多様である:(1)コイル432、434、436、および444は、磁束表面452および端部荷電プラズマジェット454を緊密に束ね、遠隔ダイバータチャンバ300の中に誘導する。これは、排出粒子が、適切にダイバータ300に到達すること、かつ中心FRC450の開場線452領域からダイバータ300まで辿る連続磁束表面455が存在することを確実にする;(2)FRCシステム10内の物理的くびれ部442は、それを通して、コイル432、434、436、および444が、磁束表面452およびプラズマジェット454の通過を可能にするが、ダイバータ300内に位置するプラズマガン350からの中性ガス流動に妨害を提供する。同じように、くびれ部442は、形成区分200からダイバータ300へのガスの逆流を阻止し、それによって、FRCの始動を開始するとき、FRCシステム10全体の中に導入される必要がある中性粒子の数を低減させる;(3)コイル432、434、436、および444によって生産される強軸方向ミラーは、軸粒子損失を低減させ、それによって、開場線上の平行粒子の拡散性を低減させる。
図3Dおよび図3Eに示される代替構成では、薄型縮径コイル421の組が、内側ダイバータ302と形成区分200との間に位置付けられる。
(軸方向プラズマガン)
ダイバータ300のダイバータチャンバ310内に搭載されるガン350からのプラズマ流は、安定性および中性ビーム性能を改良することが意図される。ガン350は、図3および図10に図示されるように、ダイバータ300のチャンバ310の内側の軸上に搭載され、ダイバータ300内の開場線452に沿って、閉じ込めチャンバ100の中心に向かって流動するプラズマを生産する。ガン350は、ワッシャスタックチャネル内の高密度ガス放電で動作し、5~10msにわたって、数キロアンペアの完全にイオン化されたプラズマを生成するように設計される。ガン350は、出力プラズマ流を閉じ込めチャンバ100内のプラズマの望ましいサイズに合致させるパルス型磁気コイルを含む。ガン350の技術的なパラメータは、5~13cmの外径および最大約10cmの内径を有するチャネルによって特徴づけられ、0.5~2.3Tのガン内在磁場を伴って、400~600Vで、10~15kAの放電電流を提供する。
ガンプラズマ流は、ミラープラグ440の磁場を貫通し、形成区分200および閉じ込めチャンバ100の中に流動することができる。ミラープラグ440を通したプラズマ伝送の効率は、ガン350とプラグ440との間の距離の減少に伴って、およびプラグ440をより広くかつより短くすることによって、増加する。合理的条件下では、ガン350は、各々、約150~300eVおよび約40~50eVの高いイオンおよび電子温度を伴って、2~4Tのミラープラグ440を通して、約1022個の陽子/秒を送達することができる。ガン350は、FRC縁層456のかなりの補給およびFRC粒子閉じ込め全体の改良を提供する。
プラズマ密度をさらに増加させるために、ガスボックスが、追加のガスをガン350からプラズマ流の中に吐出するために利用されることができるであろう。この技法は、注入されるプラズマの密度を数倍増加させることを可能にする。FRCシステム10では、ミラープラグ440のダイバータ300側に据え付けられたガスボックスは、FRC縁層456の補給、FRC450の形成、およびプラズマ線連結を改良する。
上記に議論される、全ての調節パラメータを所与として、1つのみまたは両方のガンを用いた動作が可能であることも考慮に入れると、広帯域の動作モードが利用可能であることは、容易に明白である。
(バイアス電極)
開磁束面の電気的バイアスは、制御機構を提供する方位角E×B運動を起こす半径方向の電位を提供し、ノブを回すことと同様、速度剪断によって、開場線プラズマのみならず実際のFRCコア450の回転も制御することができる。この制御を遂行するために、FRCシステム10は、機械の種々の部品内に方略的に設置される種々の電極を採用する。図3は、FRCシステム10内の好ましい場所に位置付けられるバイアス電極を描写する。
原則として、4つのクラスの電極がある:(1)局所的充電を提供するためのFRC450の縁内の特定の開場線452と接触する閉じ込めチャンバ100内の点電極905;(2)方位角的対称方式で遠縁磁束層456を充電するための閉じ込めチャンバ100と形成区分200との間の環状電極900;(3)多数の同心磁束層455を充電するためのダイバータ300内の同心電極910のスタック(それによって、層の選択は、適切な電極910上で所望の磁束層456を終端させるように、ダイバータ磁場を調節するためのコイル416を調節することによって制御可能である);および、最後に、(4)(FRC450の区分線の近傍で、内側開磁束面455を奪取する)プラズマガン350自体のアノード920(図10参照)である。図10および図11は、これらの中のいくつかに対して、いくつかの典型的な設計を示す。
全ての場合において、これらの電極は、最大約800Vの電圧で、パルス型または直流電源によって駆動される。電極のサイズおよび横断されている磁束面に応じて、電流は、キロアンペアの範囲で引き込まれることができる。
(FRCシステムの非持続型動作-従来の体系)
FRCシステム10上の標準プラズマ形成は、十分に開発された反転磁場シータピンチ技法に従う。FRCを始動するための典型的なプロセスは、準直流コイル412、414、416、420、432、434、および436を定常状態動作に駆動することによって開始する。パルス型電力形成システム210のRFTPパルス型電力回路が、次いで、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動し、形成区分200内に約0.05Tの一時的な反転バイアスを作成する。この時点で、9~20psiで所定の量の中性ガスが、形成区分200の外側端部上に位置するフランジにおいて方位角的に向けられる吐出谷の組を経由して、(北側および南側の)形成区分200の石英管チャンバ240によって画定される2つの形成容積に注入される。次いで、小規模RF(約数百キロヘルツ)場が、石英管240の表面上にアンテナの組から生成され、中性ガス柱内で、局所的シードイオン化領域の形態で、予備イオン化を作成する。この後、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動する電流上に、シータ共鳴変調を印加し、それは、ガス柱のさらに包括的な予備イオン化につながる。最後に、パルス型電力形成システム210の主パルス型電力バンクが、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動するために始動され、最大0.4Tの順方向バイアス場を作成する。このステップは、時系列であり得、それによって、順方向バイアス場が、形成管240の長さを通して均一に生成されるか(静的形成)、または、連続蠕動場の変調が、形成管240の軸に沿って達成される(動的形成)。
本形成プロセス全体では、プラズマ内で実際の磁場反転が、約5μs内で急速に発生する。形成するプラズマに送達されるマルチギガワットパルス型電力は、容易に高温のFRCを生産し、高温のFRCは、次いで、順方向磁場の時系列変調(磁気蠕動)、または(閉じ込めチャンバ100に向かって、軸方向に指向する、軸方向磁場勾配を形成する)形成管210の軸方向外側端部近傍のコイル組232の最終のコイルにおける一時的に増加された電流のいずれかの印加によって、形成区分200から射出される。そのように形成および加速される、2つの(北側および南側の)形成FRCは、次いで、より大きな直径の閉じ込めチャンバ100の中に拡張し、準直流コイル412は、順方向バイアス場を生産し、半径方向拡張を制御し、平衡外部磁束を提供する。
北側および南側の形成FRCが、閉じ込めチャンバ100の中央平面近傍に到着すると、FRCは衝突する。衝突の間、北側および南側の形成FRCの軸方向運動エネルギーは、FRCが、単一のFRC450内に最終的に融合すると、大きく熱平衡化される。プラズマ診断の大きな組は、FRC450の平衡を研究するために、閉じ込めチャンバ100内で利用可能である。FRCシステム10での典型的な動作条件は、約0.4mの区分線半径および約3mの軸方向延長を伴う合成FRCを生産する。さらなる特性は、約0.1Tの外部磁場、約5×1019のプラズマ密度、および最大1keVの合計プラズマ温度である。任意の持続がない場合、すなわち、中性ビーム注入または他の補助的な手段による加熱および/または電流駆動がない場合、これらのFRCの寿命時間は、約1ms、すなわち、固有の特性的な配位減衰時間に限定される。
(非持続型動作の実験データ-従来の体系)
図12は、区分線半径rに近似する除外された磁束半径rΔΦの典型的な時間進化を示し、FRC450のシータピンチ融合プロセスの動態を図示する。2つの(北側および南側の)個々のプラズモイドは、同時に生産され、次いで、約250km/sの超音速vで、それぞれの形成区分200から外へ加速され、z=0において、中央平面近傍で衝突する。衝突中、プラズモイドは、軸方向に縮み、その後、FRC450を形成するために最終的に融合する前、急速に半径方向および軸方向に拡張する。融合するFRC450の半径方向および軸方向の両方の動態は、詳細な密度プロファイル測定値およびボロメーターベースの断層撮影によって証明される。
FRCシステム10の代表的な非持続型放電からのデータは、図13A、図13B、図13C、および図13Dにおいて時間の関数として示される。FRCは、t=0で始動される。機械の軸方向中央平面における除外された磁束半径は、図13Aに示される。このデータは、閉じ込めチャンバの鋼鉄壁のすぐ内側に位置する磁気プローブの配置から取得され、それは、軸方向磁場を測定する。鋼鉄壁は、この放電の時間の尺度上、優れた磁束コンサーバである。
z=0に位置する、6コードCO/He-Ne干渉計からの線積分密度が、13Bに示される。垂直(y)FRC変位を考慮に入れると、ボロメーター断層撮影によって測定されるように、アーベル変換は、図13Cの密度等高線をもたらす。最初の0.1msの間、いくつかの軸方向および半径方向の振動後、FRCは、白密度プロファイルを伴って落ち着く。このプロファイルは、典型的な2D FRC平衡による要求されるように、極めて平坦であり、軸上に実質的な密度を備えている。
圧力平衡から導出され、トムソン散乱分光計測と完全に合致する合計プラズマ温度が、図13Dに示される。
除外された磁束配置全体からの分析は、(除外された磁束軸方向プロファイルによって近似される)FRC区分線の形状が、レーストラック形から楕円形に徐々に進化することを示す。図14に示されるこの進化は、2つから単一のFRCへの段階的な磁気再結合と合致する。実際に、おおよその推定値は、この特定の瞬間に、2つの初期FRC磁束の約10%が、衝突中に再結合することを示唆する。
FRCの長さは、FRC寿命時間中、3から約1mに至るまで、着実に収縮する。この収縮は、図14で可視化されるように、主に、対流エネルギー損失が、FRC閉じ込めを支配することを示唆する。区分線の内側のプラズマ圧力が、外部磁気圧力より速く減少するので、端部領域内の磁場線緊張は、FRCを軸方向に圧縮し、軸方向および半径方向の平衡を復元する。図13および図14で議論される放電に関して、FRC磁束、粒子保有量、および熱エネルギー(それぞれ、約10mWb、7×1019個の粒子、および7kJ)は、FRC平衡が低下するように現れるとき、最初の1ミリ秒以内におおよそ1桁分減少する。
(持続型動作-HPF体系)
図12-図14の例は、任意の持続を伴わない場合の減衰するFRCの特性である。しかしながら、いくつかの技法が、HPF体系に対するFRC閉じ込め(内側コアおよび縁層)をさらに改良し、構成を持続させるために、FRCシステム10上で展開される。
(中性ビーム)
最初に、高速(H)中性子が、8つの中性ビーム注入器600からビーム内に、Bと垂直に注入される。高速中性子のビームは、北側および南側の形成FRCが、閉じ込めチャンバ100内で、1つのFRC450の中に融合する瞬間から注入される。主に電荷交換によって作成される、高速イオンは、(FRCトポロジ規模のまたは少なくとも特性磁場勾配長スケールよりはるかに大きい一次半径を伴う)ベータトロン軌道を有し、それは、FRC450の方位角電流を増す。放電のある割合後(ショットの中への0.5~0.8ms後)、十分に大きな高速イオン集団は、内側FRCの安定性および閉じ込め特性を大きく改良する(例えば、M.W.Binderbauer and N.Rostoker,Plasma Phys.56,part3,451(1996)参照)。さらに、持続性の観点から、中性ビーム注入器600からのビームは、電流を駆動し、FRCプラズマを加熱するための主要な手段でもある。
FRCシステム10のプラズマ体系では、高速イオンは、主に、プラズマ電子において減速する。放電の初期中、高速イオンの典型的な軌道平均減速時間は、0.3~0.5msであり、それは、結果として、主に、電子のかなりのFRC加熱をもたらす。高速イオンは、内側FRC磁場が、本質的に低い(0.1Tの外部軸方向場に対して平均約0.03T)ため、区分線の外側において、大きな半径方向の逸脱をする。高速イオンは、中性ガス密度が、区分線の外側で非常に高い場合、電荷交換損失の影響を受けやすいであろう。したがって、FRCシステム10上で展開される壁ゲッタリングおよび他の技法(他のものの中でもとりわけ、ガス制御に寄与するようなプラズマガン350およびミラープラグ440等)は、縁部中性子を最小化する傾向があり、高速イオン電流の要求される構築を可能にする。
(ペレット注入)
かなりの高速イオン集団がFRC450内に構築されると、より高い電子温度およびより長いFRC寿命時間を伴って、凍結されたHまたはDペレットが、FRC450の中にペレット注入器700から注入され、FRC450のFRC粒子保有量を持続させる。予期されるアブレーション時間の尺度は、かなりのFRC粒子源を提供するために十分に短い。この率は、ペレット注入器700のバレルまたは注入管の中にある間、および閉じ込めチャンバ100に進入する前(閉じ込めチャンバ100の中へ進入する直前、注入管の最終区画の屈曲半径を厳密にすることにより、注入管のペレットと壁との間の摩擦を増加させることによって達成され得るステップ)、個々のペレットをより小さな断片に分割することにより、注入される一片の表面積を拡大することによって増加させることもできる。12のバレル(注入管)の始動順序および率のみならず断片化も変動させることによって、まさに所望のレベルの粒子保有量の持続を提供するために、ペレット注入システム700を調整することが可能である。次に、これは、FRC450における内部動圧およびFRC450の持続的な動作および寿命時間の維持に役立つ。
アブレートされた原子がFRC450内でかなりのプラズマに遭遇すると、それらは、完全にイオン化される。その結果として生じる冷プラズマ成分は、次いで、固有のFRCプラズマによって、衝突で加熱される。所望のFRC温度を維持するために必要なエネルギーは、最終的に、ビーム注入器600によって供給される。この意味で、ペレット注入器700は、中性ビーム注入器600と一緒に、安定した状態を維持し、FRC4504を持続させるシステムを形成する。
(CT注入器)
ペレット注入器の代替として、コンパクトトロイド(CT)注入器が、主に、逆磁場配位(FRC)プラズマに燃料補給するために提供される。CT注入器720は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備え、図22Aおよび図22Bに示されるように、同軸円筒形内側および外側電極722および724と、内側電極726の内部に位置付けられたバイアスコイルと、CT注入器720の放電の反対の端部上の電気遮断器728とを含む。ガスが、ガス注入ポート730を通して、内側および外側電極722と724との間の空間の中に注入され、スフェロマック型状プラズマが、そこから放電によって生成され、ローレンツ力によってガンから押し出される。図23Aおよび図23Bに示されるように、一対のCT注入器720が、容器100の中央平面の近傍および対向側において、閉じ込め容器100に結合され、CTを閉じ込め容器100内の中心FRCプラズマの中に注入する。CT注入器720の放電端は、中性ビーム注入器615と類似する閉じ込め容器100の縦軸に対してある角度で、閉じ込め容器100の中央平面に向かって方向づけられる。
代替実施形態では、CT注入器720は、図24Aおよび図24Bに示されるように、CT注入器720の放電端に結合された細長い円筒形管を備えているドリフト管740を含む。描写されるように、ドリフト管740は、管の周りに位置付けられ、それに沿って軸方向に間隔を置かれたドリフト管コイル742を含む。複数の診断ポート744が、管の長さに沿って描写される。
CT注入器720の利点は、(1)注入されるCTあたりの粒子保有量の制御および調節性、(2)(極低温ペレットの代わりに)高温プラズマが堆積されること、(3)システムが、連続燃料補給を可能にするように、繰り返し率モードで動作させられることができること、(4)システムがまた、注入されるCTが埋め込まれる磁場を搬送するにつれて、ある程度の磁束を復元することも可能であることにある。実験的使用のための実施形態では、外側電極の内径は、83.1mmであり、内側電極の外径は、54.0mmである。内側電極722の表面は、好ましくは、電極722から生じる不純物を低減させるために、タングステンでコーティングされる。描写されるように、バイアスコイル726が、内側電極722の内側に搭載される。
最近の実験では、最大約100km/秒の超音波CT平行移動速度が、達成された。他の典型的プラズマパラメータは、以下の通り、すなわち、電子密度約5×1,021m、電子温度約30~50eV、および粒子保有量約0.5~1.0×1,019である。CTの高動圧は、注入されるプラズマが、FRCの中に深くまで浸透し、粒子を区分線の内側に堆積させることを可能にする。最近の実験では、FRC粒子燃料補給は、FRC粒子保有量の約10~20%が、CT注入器によって成功裏に提供される結果をもたらし、燃料補給がFRCプラズマを中断させずに容易に実施され得ることを実証した。
(鞍形コイル)
安定した状態の電流駆動を達成し、要求されるイオン電流を維持するために、(衝突イオン電子運動量の伝送から生じる)電子イオン摩擦力に起因する電子のスピンアップを防止またはかなり低減させることが望ましい。FRCシステム10は、革新的な技法を利用し、外部から印加される安定した磁気双極または四重極場によって、電子分割を提供する。これは、図15に描写される外部鞍形コイル460を介して遂行される。鞍形コイル460から横断的に印加される半径方向磁場は、回転FRCプラズマ内の軸方向電場を誘発する。その結果として生じる軸方向電子電流は、半径方向磁場と相互作用し、電子上に、方位角分割力Fθ=-σVeθ<│B>を生産する。<│FRCシステム10での典型的な条件に関し、プラズマの内側で要求される印加される磁気双極(または四重極)場は、十分な電子分割を提供するために、わずか0.001T程度である必要がある。約0.015Tの対応する外部場は、著しい高速粒子損失を引き起こさないか、または、別様に閉じ込めに負の影響を及ぼさないほどに十分小さい。実際、印加される磁気双極(または四重極)場は、不安定性を抑圧することに寄与する。接線方向の中性ビーム注入と軸方向のプラズマ注入とを組み合わせると、鞍形コイル460は、電流の維持および安定性に対する制御の追加のレベルを提供する。
(ミラープラグ)
ミラープラグ440内のパルス型コイル444の設計は、中程度の(約100kJ)容量エネルギーを用いて、高磁場(2~4T)の局所的生成を可能にする。FRCシステム10のこの動作に特有の磁場の形成に関して、形成容積内の全ての場線は、ミラープラグ440において、くびれ部442を通過し、図2で磁場線によって示唆されるように、プラズマの壁接触は発生しない。さらに、準直流ダイバータ磁石416と連動するミラープラグ440は、場線をダイバータ電極910の上へ誘導するように、または場線を端部先端構成(図示せず)内ですそ広がりにするように、調節されることができる。後者は、安定性を改良し、平行電子の熱伝導を抑圧する。
ミラープラグ440自体は、中性ガス制御にも寄与する。ミラープラグ440は、ダイバータ300の中に逆流するガスが、プラグの小さなガス伝導性(わずか500L/s)によって著しく低減させられるので、FRC形成中、石英管の中に吐出される重水素ガスのより優れた利用を可能にする。形成管210の内側に残留する吐出されたガスの殆どは、急速にイオン化される。加えて、ミラープラグ440を通して流動する高密度プラズマは、効率的な中性イオン化、故に、効果的なガス障壁を提供する。結果として、FRC縁層456からダイバータ300内で再生利用される中性子の殆どは、閉じ込めチャンバ100に戻らない。加えて、(下記に議論されるように)プラズマガン350の動作に関連付けられた中性子は、殆どがダイバータ300に閉じ込められるであろう。
最後に、ミラープラグ440は、FRC縁層閉じ込めを改良する傾向がある。20~40の範囲のミラー比(プラグ/閉じ込め磁場)を伴って、北側および南側のミラープラグ440の間に15mの長さを伴って、縁層粒子閉じ込め時間τは、最大1桁分増加する。τの改良は、FRC粒子閉じ込めを容易に増加させる。
区分線容積453からの半径方向の拡散(D)粒子損失が、縁層456からの軸方向損失(τ)によって平衡を保たせられると仮定すると、(2πr)(Dn/δ)=2πrδ)(n/τ)を取得し、そこから、区分線密度勾配長は、δ=(Dτ1/2に書き直され得る。ここで、rs、、およびnは、それぞれ、区分線半径、区分線長、および区分線密度である。FRC粒子閉じ込め時間は、τ=[πr <n>]/[(2πr)(Dn/δ)]=(<n>/n)(ττ1/2であり、式中、τ=a/Dおよびa=r/4である。物理学上、τの改良は、δの増加(区分線密度勾配およびドリフトパラメータの減少)、したがって、FRC粒子損失の低減につながる。FRC粒子閉じ込めにおける改良全体は、nが、τとともに増加するので、概して、二次方程式とは言い難い。
τにおける有意な改良は、縁層456が、極めて安定的な状態なままであること(すなわち、n=1のフルート、ファイアホース、または開放系に特有の他のMHD不安定性がないこと)も要求する。プラズマガン350の使用は、この好ましい縁部の安定性を提供する。この意味で、ミラープラグ440およびプラズマガン350は、効果的な縁部制御システムを形成する。
(プラズマガン)
プラズマガン350は、磁力線連結によって、FRC排出ジェット454の安定性を改良する。プラズマガン350からのガンプラズマは、方位角角運動量を伴うことなく、生成され、それは、FRCの回転不安定性の制御に有用であることを証明する。したがって、ガン350は、より古い四重極安定化技法を必要とすることなく、FRCの安定性を制御するための効果的な手段である。結果として、プラズマガン350は、高速粒子の有益な効果を生かすこと、または本開示において概略されるように、高度混成運動FRC体系にアクセスすることを可能にする。したがって、プラズマガン350は、電子分割にちょうど十分であるが、FRCの不安定性を引き起こすであろう(および/または、劇的な高速粒子拡散につながるであろう)閾値を下回る鞍形コイル電流を伴ってシステム10が動作させられることを可能にする。
上記のミラープラグの議論で言及したように、τが、大きく改良され得る場合、供給されるガンプラズマは、縁層粒子損失率(約1022/s)に匹敵するであろう。FRCシステム10におけるガン生産プラズマの寿命時間は、ミリ秒の範囲内である。実際に、端部ミラープラグ440の間に閉じ込められる、n約1013cmの密度、約200eVのイオン温度を有するガンプラズマを検討する。捕捉長Lおよびミラー比Rは、それぞれ、約15mおよび20である。クーロン衝突に起因するイオン平均自由経路は、λii約6×10cmであり、λiilnR/R<Lであるので、イオンは、ガス動的体系に閉じ込められる。この体系におけるプラズマ閉じ込め時間は、τgd約RL/2V、約2msであり、式中、Vは、イオン音速である。比較のために、これらのプラズマパラメータに対する古典的なイオン閉じ込め時間は、τ約0.5τii(lnR+(lnR)0.5)、約0.7msであろう。異常横断拡散は、原則として、プラズマ閉じ込め時間を短縮し得る。しかしながら、FRCシステム10では、ボーム拡散率を仮定する場合、ガンプラズマに対する推定される横断閉じ込め時間は、τ>τ約2msである。したがって、ガンは、FRC縁層456のかなりの補給およびFRC粒子閉じ込め全体の改良を提供するであろう。
さらに、ガンプラズマ流は、約150~200ミリ秒以内でオンにされることができ、それは、FRCの始動、平行移動、および閉じ込めチャンバ100内への融合における使用を可能にする。t約0でオンにされる(FRC主バンク開始)場合、ガンプラズマは、本動的に形成および融合されるFRC450を持続することに役立つ。形成FRCから、かつガンから、組み合わせた粒子保有量は、中性ビーム捕捉、プラズマ加熱、および長時間持続性に対して十分である。tが-1~0msの範囲でオンにされた場合、ガンプラズマは、石英管210をプラズマで充填する、または石英管の中に吐出されるガスをイオン化することができ、したがって、吐出されるガスが低減させられた状態、または、おそらくゼロでさえある状態でのFRC形成が可能にされる。後者は、反転バイアス磁場の高速拡散を可能にするために、十分に低温の形成プラズマを要求し得る。t<-2msでオンにされた場合、プラズマ流は、FRC到着に先立って、中性ビーム構築を可能にするために十分である数1013cmの標的プラズマ密度を伴って、形成区分200および閉じ込めチャンバ100の形成および閉じ込め領域の約1~3mの場線容積を充填することができるであろう。形成FRCは、次いで、形成され、結果として生じる閉じ込め容器プラズマになることができるであろう。このように、プラズマガン350は、多種多様な動作条件およびパラメータ体系を可能にする。
(電気的バイアス)
縁層456における半径方向電場プロファイルの制御は、種々の点において、FRCの安定性および閉じ込めに対して有益である。FRCシステム10において展開される革新的なバイアス構成要素によって、閉じ込めチャンバ100内の中心閉じ込め領域の十分外側にあるエリアから、機械全体を通して、開磁束面群に対して電位の様々な計画的な分布を印加することが可能である。このように、半径方向電場は、FRC450のすぐ外側で、縁層456を横断して、生成されることができる。これらの半径方向電場は、次いで、縁層456の方位角回転を修正し、E×B速度剪断によってその閉じ込めに影響を及ぼす。縁層456とFRCコア453との間の任意の差動回転は、次いで、剪断によって、FRCプラズマの内側に伝導され得る。結果として、縁層456の制御は、FRCコア453に直接影響を及ぼす。さらに、プラズマ回転における自由エネルギーは、不安定性にも関与し得るので、この技法は、不安定性の開始および成長を制御するための直接的な手段を提供する。FRCシステム10では、適切な縁部バイアスは、開場線の移送および回転だけではなく、FRCコア回転の効果的な制御を提供する。種々の提供される電極900、905、910、および920の場所および形状は、磁束表面455の異なる群のおよび異なるかつ独立した電位における制御を可能にする。このように、異なる電場構成および強度の幅広い配置が実現され、各々は、プラズマ性能上に異なる特性的な影響を及ぼし得る。
全てのこれらの革新的なバイアス技法の重要な利点は、コアおよび縁部プラズマの挙動が、FRCプラズマの十分に外側から影響を及ぼされ得るという事実であり、すなわち、任意の物理的な構成要素を(エネルギー、磁束、および粒子損失に対して重要な関係を有するであろう)中心高温プラズマと接触させる必要がないという事実である。これは、性能およびHPF概念の全ての潜在的な用途に主要かつ有益な影響を及ぼす。
(実験データ-HPF動作)
中性ビームガン600からのビームを用いた高速粒子の注入は、HPF体系を可能にすることにおいて重要な役割を果たす。図16A、図16B、図16C、および図16Dは、この事実を例証する。FRC寿命時間のビームパルス長との相関を示す曲線の組が、描写されている。全ての他の動作条件は、本研究を構成する全ての放電に対して、一定に保たれる。このデータは、多くのショットにわたって平均化され、したがって、典型的な挙動を表す。より長いビーム持続時間が、より長く存続するFRCを生産することは、明白である。本研究中のこの証拠だけではなく、他の診断から判断すると、ビームは、安定性を増加させ、損失を低減させることが実証される。ビームパルス長とFRC寿命時間との間の相関は、ビーム捕捉が、あるプラズマサイズを下回ると非効率的になるので、すなわち、FRC450が物理的なサイズにおいて収縮すると、注入されたビームの全てが、奪取および捕捉されるわけではないので、完璧ではない。FRCの収縮は、主に、放電中のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で約4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約2.5MW)を用いてFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。ビームを容器100の中央平面により近接する場所に配置することは、これらの損失を低減させ、FRC寿命時間を延長させる傾向があるであろう。
図17A、図17B、図17C、および図17Dは、HPF体系を達成するための異なる構成要素の影響を図示する。これは、時間の関数として、FRC450の寿命時間を描写する、典型的な曲線系を示す。全ての場合において、一定かつ中程度の量のビーム電力(約2.5MW)が、各放電の持続期間全体にわたって注入される。各曲線は、構成要素の異なる組み合わせの代表的なものである。例えば、任意のミラープラグ440、プラズマガン350、またはゲッタリングシステム800からのゲッタリングがない状態で、FRCシステム10を動作させると、回転不安定性の急速な開始およびFRCトポロジの損失をもたらす。ミラープラグ440のみを追加すると、不安定性の開始を遅らせ、閉じ込めを増加させる。ミラープラグ440とプラズマガン350とを組み合わせて利用すると、さらに不安定性を低減させ、FRCの寿命時間を増加させる。最後に、ガン350およびプラグ440に加えてゲッタリング(この場合、Ti)を追加すると、最善の結果を産出し、結果として生じるFRCは、不安定性がなく、最長の寿命時間を示す。構成要素の完全な組み合わせが、最善の効果を生産し、最善の標的条件を伴うビームを提供することは、本実験的実証から明白である。
図1に示されるように、新たに発見されたHPF体系は、著しく改良された移送挙動を示す。図1は、従来の体系とHPF体系との間におけるFRCシステム10での粒子閉じ込め時間の変化を図示する。図に示すように、HPF体系においては、5倍を優に超えて改良されている。加えて、図1は、先行する従来のFRC実験における粒子閉じ込め時間と比較して、FRCシステム10における粒子閉じ込め時間を詳細に示す。これらの他の機械に関して、FRCシステム10のHPF体系が、5~約20倍、閉じ込めを改良している。最後に、最も重要なこととして、HPF体系における、FRCシステム10の閉じ込めスケーリングの本質は、全ての先行する測定値とは著しく異なる。FRCシステム10におけるHPF体系の確立前、先行するFRC実験において、閉じ込め時間を予測するために、種々の実験的スケーリング則が、データから導出されていた。全てのそれらのスケーリング法則は、主に、比率R/ρに依存し、式中、Rは、磁場ヌルの半径(機械の物理的なスケールの大まかな評価尺度)であり、ρは、外部から印加された場において評価された、イオンラーモア半径(印加された磁場の大まかな評価尺度)である。図1から、従来のFRCにおける長時間の閉じ込めは、大規模な機械サイズおよび/または高磁場においてのみ可能であることは、明白である。従来のFRC体系CRにおけるFRCシステム10の動作は、図1に示されるように、それらのスケーリング法則に従う傾向がある。しかしながら、HPF体系は、非常に優れており、非常により優れた閉じ込めが、大規模な機械サイズまたは高磁場を伴わずに、獲得可能であることを示す。より重要なこととして、CR体系と比較して、HPF体系は、プラズマのサイズを低減させながら、閉じ込め時間の改良をもたらすことも、図1から明白である。類似の傾向は、下記に説明するように、磁束およびエネルギーの閉じ込め時間に対しても明らかであり、これも同様に、FRCシステム10において、3~8倍を超えて増加している。HPF体系の画期的な進歩は、したがって、FRCシステム10および将来の高エネルギー機械において、FRC平衡を持続および維持するために、中程度のビーム電力、より低い磁場、およびより小規模のサイズの使用を可能にする。これらの改良と併せることで、より低い動作および構築コストだけではなく、エンジニアリングの複雑性の低減をもたらす。
さらなる比較のために、図18A、図18B、図18C、および図18Dは、時間の関数として、FRCシステム10における代表的なHPF体系放電からのデータを示す。図18Aは、中央平面における除外された磁束半径を描写する。これらのより長い時間の尺度に関して、伝導性の鋼鉄壁は、もはや良好な磁束コンサーバではなく、その鉄を通した磁束拡散を適切に考慮するために、その壁の内側にある磁気プローブは、その壁の外側のプローブを用いて増強される。従来の体系CRにおける典型的な性能と比較して、図13A、図13B、図13C、および図13Dに示されるように、HPF体系の動作モードは、400%を超えるより長い寿命時間を示す。
線積分密度のトレースの代表的なコードが、そのアーベル変換補数とともに図18Bに示され、密度等高線とともに図18Cに示される。従来のFRC体系CRと比較して、図13A、図13B、図13C、および図13Dに示されるように、プラズマは、パルスを通してより不活発であり、非常に安定的な動作を示す。ピーク密度はまた、HPFショットにおいて若干低く、それは、図18Dに示されるように、より高温の合計プラズマ温度(最大2倍)から必然的に導かれる結果である。
図18A、図18B、図18C、および図18Dに図示されるそれぞれの放電に関し、エネルギー、粒子、および磁束閉じ込め時間は、それぞれ、0.5ms、1ms、および1msである。放電の中への1msの基準時間において、貯蔵されるプラズマエネルギーは、2kJであるが、損失は、約4MWであり、この標的を中性ビーム持続に非常に好適なものにする。
図19は、新しく確立された実験用HPF磁束閉じ込めスケーリングの形態におけるHPF体系の全利点を要約する。図19から分かるように、t=0.5msの前後、すなわち、t≦0.5msおよびt>0.5msで測定された測定値に基づいて、磁束閉じ込め(同様に、粒子閉じ込めおよびエネルギー閉じ込め)スケールは、所与の区分線半径(r)に対して電子温度(T)のほぼ2乗に伴って変化する。Tの正の指数(負の指数ではない)に伴うこの強スケーリングは、閉じ込めが、典型的に、電子温度のある指数に反比例する従来のトカマクによって示されるものと完全に反対である。このスケーリングの現れは、HPF状態および大軌道(すなわち、FRCトポロジのスケールおよび/または少なくとも特性磁場勾配長スケール上の軌道)イオン集団の直接的結果である。基本に、この新しいスケーリングは、高動作温度に実質的に有利に働き、比較的に中程度のサイズの炉を可能にする。
HPF体系が提示する利点によって、中性ビームによって駆動されるFRC持続または定常状態が、達成可能であり、それは、プラズマ熱エネルギー、総粒子数、プラズマ半径および長さのみならず磁束等の包括的プラズマパラメータ、実質的減衰なしで合理的レベルで持続可能であることを意味する。比較のために、図20は、時間の関数としてのFRCシステム10内の代表的HPF体系放電からのデータをプロットAに示し、時間の関数としてのFRCシステム10における投影された代表的HPF体系放電に関するデータをプロットBに示しFRC450は、中性ビームパルスの持続時間を通して減衰を伴わずに持続される。プロットAに関して、約2.5~2.9MWの範囲内の総パワーを伴う中性ビームが、約6msの活性ビームパルス長のために、FRC450の中に注入された。プロットAに描写されるプラズマ反磁性寿命時間は、約5.2msであった。より最近のデータは、約7.2msのプラズマ反磁性寿命時間が、約7msの活性ビームパルス長を用いて達成可能であることを示す。
図16A、図16B、図16C、および図16Dに関して上記に記載されるように、ビームパルス長とFRC寿命時間との間の相関は、ビーム捕捉が、あるプラズマサイズを下回ると非効率的となるので、すなわち、FRC450の物理的サイズが収縮するにつれて、注入されるビーム全てが、奪取および捕捉されないので、完璧ではない。FRCの収縮または減衰は、主に、放電中のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で約4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約2.5MW)を用いてFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。図3Cに関して記載のように、中央平面に向かって中性ビームガン600から角度付けられたビーム注入は、注入期間中、FRCプラズマが収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。加えて、適切なペレット燃料補給は、必要プラズマ密度を維持するであろう。
プロットBは、約6msの活性ビームパルス長および約10MWを若干上回る中性ビームガン600からの総ビームパワーを使用して行われたシミュレーションの結果であって、中性ビームは、約15keVの粒子エネルギーを伴うH(またはD)中性子を注入するものとする。ビームの各々によって注入される等価電流は、約110Aである。プロットBに関して、デバイス軸に対するビーム注入角度は、約20°、標的半径は、0.19mであった。注入角度は、範囲15°~25°内で変更されることができる。ビームは、方位角的に並流方向に注入されるものとする。正味側方力だけではなく、中性ビーム運動量注入からの正味軸方向力も、最小化されるものとする。プロットAと同様、高速(H)中性子が、北側および南側形成FRCが閉じ込めチャンバ100内で融合する瞬間から、中性ビーム注入器600から1つのFRC450の中に注入される。
プロットBのための基礎となったシミュレーションは、背景プラズマおよび平衡のための多次元ホールMHDソルバと、エネルギー性ビーム成分および全散乱プロセスのための完全運動モンテカルロベースのソルバとだけではなく、全プラズマ種に対して結合された輸送方程式集合も使用して、双方向損失プロセスをモデル化する。輸送成分は、実験的に較正され、実験データベースに対して広範囲にわたってベンチマークされる。
プロットBによって示されるように、FRC450の定常状態反磁性寿命時間は、ビームパルス長となるであろう。しかしながら、重要となる相関プロットBは、ビームがオフにされると、プラズマまたはFRCが、その前ではなく、その時間において、減衰し始めることを示すことに留意することが重要である。減衰は、ビーム支援ではない(おそらく、ビームオフ時間を約1ms超える)、放電中に観察され、単に、固有の損失プロセスによって駆動されるプラズマの特性減衰時間の反映であるものと類似するであろう。
図21A、図21B、図21C、図21D、および図21Eに目を向けると、図に図示される実験結果は、角度付けられた中性ビームによって駆動されるFRC持続性または定常状態の達成を示し、すなわち、プラズマ半径、プラズマ密度、プラズマ温度だけではなく、磁束等の包括的プラズマパラメータは、NBパルス持続時間と相関して減衰なしで一定レベルで持続可能である。例えば、そのようなプラズマパラメータは、本質的に、約5+msにわたって一定に保たれている。持続性特徴を含むそのようなプラズマ性能は、強い相関NBパルス持続時間を有し、蓄積された高速イオンに起因して、NB終端から数ミリ秒後でさえ、反磁性が残存する。図示されるように、プラズマ性能は、NB注入器だけではなく、他のシステム構成要素等の多くの重要なシステムの関連付けられた電力供給源内の有限貯蔵エネルギーから生じるパルス長制約のみによって限定される。
(中性ビーム調整可能ビームエネルギー)
図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、および図8に関して上記に記載されるように、中性原子ビーム600は、FRCシステム10上で展開され、加熱および電流駆動を提供するだけでなく、高速粒子圧力を発生させる。中性原子ビーム注入器システム600を備えている、個々のビーム線は、中心閉じ込めチャンバ100の周囲に位置し、図3C、図3Dおよび図3Eに示されるように、好ましくは、角度付けられ、中性粒子を閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって注入する。
FRC持続性をさらに改良し、高プラズマ温度および上昇させられたシステムエネルギーへのFRC上昇を実証するために、本FRCシステム10は、上昇させられた電力および拡張されたパルス長、例えば、例示的目的のためのみであるが、最大30msパルス長を伴う約20+MWの電力の中性ビーム注入器(NBI)システム600を含む。NBIシステム600は、複数の陽イオンベースの注入器615を含み(図3Dおよび図3E参照)、柔軟性のあるモジュール式設計を特徴とし、NBI注入器615の一部、例えば、8つのNBI注入器615のうちの4つを伴い、ショット中、一定ビーム電流において、初期のより低いビームエネルギーから上昇させられたビームエネルギーに(例えば、約15keVから約40keVに)ビームエネルギーを調整する能力を有する。NBI注入器615のこの能力は、プラズマコア450のより効率的加熱および結果として生じる加圧を達成するために望ましい。特に、この能力は、低エネルギーレベルと比較して、ピークエネルギー動作レベルにおいて、高度に望ましい性能改良を可能にする。例えば、(i)最大2倍の加熱力、(ii)電荷交換損失における約5分の1の低減、および、(iii)最大2倍の加熱効率である。加えて、NBI注入器615によって生産可能な持続的に可変のビームエネルギーは、上昇プロセス中、瞬間磁気圧力プロファイルに対して、注入され、次いで、捕捉される高速イオンの軌道パラメータの最適合致を可能にする。最後に、0.1~10msの上昇持続時間を可能にする高速傾斜率(ramp rate)は、ビームエネルギーおよびNBI注入器615の電力の高速(約1msまたはそれ未満)調整能力とともに、追加の効果的「制御ノブ」、すなわち、ビームエネルギーおよび電力の変調を介したプラズマ成形およびプラズマの能動フィードバック制御のための制御可能特徴を提供する。
十分な加熱電力が、持続性だけではなく、高プラズマ温度および上昇させられたシステムエネルギーへの上昇の両方のために、FRC450の加熱および加圧を可能にするために必要とされる。十分に低損失率であると仮定して、上昇の率は、主に、任意の所与の時間において、NBI注入器615によってFRCコア450内に堆積され得る電力の量の関数である。注入ポートを通るより高い主中性ビーム電力が、したがって、常時、望ましい。
さらに、NBI注入器615に起因する効果的な加熱率は、注入されるビームの特性と、全ての種の温度、電子およびイオン密度、中性濃度だけではなく、FRCコア450を横断する磁場のその時点での持続的瞬間プロファイルとの間の複雑な相互作用である。これらのうち、磁場プロファイルは、上昇中、制御システムによって、サブミリ秒の時間の尺度で慎重に変化させられている一方、動圧関連プロファイルは、自己組織化プロセスから派生する固有の変化および注入プロセスによって堆積されるプラズマだけではなく、エネルギー内の乱流を介して進化する。ビームの調整能力は、これらの変動する条件に最も最適に適合する手段を提供する。
例えば、電荷交換断面(すなわち、中性原子を形成するための高速イオンによる電子捕捉の確率)は、ビームエネルギーの強い関数である。15~40keVの範囲に関して、主電荷交換率は、ビームエネルギーの関数として、著しく減少する。したがって、磁場の任意の所与のレベルにおいて、プラズマにおけるエネルギーの保持は、そのような磁場レベルに関して適合性がある最高エネルギーにおいて、粒子を注入するときに最も高い(他のものの中でもとりわけ、これは、注入される粒子のエネルギーが閉じ込めシステムの内壁内に収まる捕捉イオン軌道半径をもたらすことを要求する)。
全体的加熱効率へのプロファイル効果の別の例は、電力が堆積される場所に関わる。より高いビームエネルギーは、典型的に、コアと比べて、FRC周縁における比較的により高いエネルギー堆積につながるであろう。磁場を上昇させるが、ビームエネルギーを同一に保つことは、より緊密な捕捉イオン軌道、および、それに相応したFRCコアプラズマへのより高い電力結合をもたらすであろう。これらの事実は、次いで、エネルギー保持にも同様に著しく影響を及ぼし、例えば、周辺に堆積されるエネルギーが開場線構造に沿ってシステムからはるかに容易に移送される一方、コアに堆積されるエネルギーは、より低い交差磁場移送時間に起因して、比較的によりゆっくりと損失される。したがって、磁場傾斜とビームエネルギーの適切な増加の緊密な協調が、望ましい。
ビームシステム600は、0.1~10msの範囲内の電圧の高速傾斜のために設計される。これは、それぞれ、2および10倍、イオンおよび電子温度を増加させる潜在性を提供し、時間の尺度上も、典型的巨視的不安定性成長時間より短くなる。したがって、プラズマ安定性は、基本に、動作信頼性および再現性と同様に増加される。
ビームが能動フィードバックシステムの一部として利用され得るように、0.05~1msの可変電圧上昇時間は、十分に迅速応答時間を提供する。この方法で、ビーム変調は、マクロおよびマイクロ安定性を制御するために使用されることができる。例えば、ビームエネルギーを変化させる(およびそれによって、半径方向エネルギー堆積パターンをシフトさせる)ことによって、半径方向電力堆積プロファイルを一時的にシフトさせることは、不安定なプラズマモードの開始を平衡させ得る圧力勾配に影響を及ぼし得る。図3Dおよび図3Eに示されるFRCシステム10は、この能力を高速磁気フィードバックと一緒に利用して、内部傾斜、回転率、ドリフト波発生、および他の動作シナリオを制御する。
図25は、本FRCシステム10のNBI注入器615の例証を描写する。NBI注入器615は、例示的実施形態では、アーク駆動部650;プラズマボックス651;抽出および加速グリッドの三極管または四極管群を備えているイオン光学システム652;照準ジンバル653;例えば、Tiアーク蒸発器等のアーク蒸発器655、例えば、増加される低温ポンピングのために構成されるリブ付き表面構造等の表面構造を有する低温ポンプ656、および非中性化イオンを除去するための偏向磁石656を備えている中性化器654;および、断続ビーム特性評価、診断、および再較正のための挿入可能熱量計659を含むコリメート開口658を含むように示される。
より具体的に、図26を参照すると、調整可能ビームシステムの実装は、示されるように、好ましくは、三極管タイプイオン光学システム(=IOS)660に基づく。概念は、加速-減速スキームである。図26に図示されるように、第1のグリッドG1は、電圧V1に設定される一方、第2のグリッドG2は、電圧V2に設定され、最終グリッドG3は、電圧V3に設定される。抽出されるイオンは、最初に、G1とG2との間の間隙を通して横断する間、エネルギーE1=e×(V1-V2)まで加速される(eは、ここでは、イオンの電荷を指す)。それらは、次いで、E2=E1+e×(V2-V3)となるように、G2とG3との間の間隙で減速される。電圧は、典型的に、V1>V2<V3となるように調節される。適切な個々の電力供給源PS1、PS2、PS3に基づいて、グリッド電圧は、放出されるイオン662の出力を変化させるように、パルス中、徐々に調節されることができる。例えば、水素原子のビームパルスを始めるために、作業電圧は、V1=15kV、V2=-25kV、およびV3=0Vに調節され得る。初期ビームイオンは、次いで、最初に、40keVまで加速され、次いで、15keVのエネルギーを伴って、IOSから現れるであろう。パルスの後半において、電力供給源は、V1=40kV、V2=-1kV、V3=0Vを提供するように切り替えられることができる。第2の間隙におけるビーム減速は、次いで、事実上、無くなり、約40keVの出力ビームエネルギーをもたらすであろう。電力供給源の各々は、個々に、制御可能であり、適切な電圧変調を提供する。初期ビームイオンは、標準的アークまたはRFベースのプラズマ源PSの規模から引き出される。IOS660から現れた後、ビームイオン662は、中性化器664を横断し、高速イオンは、中性化器664内に存在する低温中性ガスから離れた電子の電荷交換によって、中性イオンに変わる。適切な低温ポンピングは、中性ガスが中性化器664の下流オリフィスから漏出することを防止する。中性化器の端部において、非中性化高速イオン663の除去を提供する適切な屈曲磁石666と、高速イオンおよびそのエネルギーを吸収するために関連付けられたイオンダンプ668とも存在する。現れる原子ビーム670は、次いで、ビーム発散を低減させ、良好にコリメートされた中性原子流を反応器のコアに向かって提供するための適切な開口6720を通される。
代替バージョンでは、IOSは、四極管設計に基づく。この場合、IOSは、三極管の場合に関して説明されるように、同じ加速-減速原理を有する4つのグリッドから成る。当業者は、システム構成要素と動作原理との間の類似性を容易に認識するであろう。第4のグリッドの導入は、さらなる微調整の可能性および全体的なより多くの動作柔軟性を提供する。
本明細書に提供される例示的実施形態は、その出願が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/414、574号に説明される。
(プラズマ安定性および軸方向位置制御)
FRCの不安定性に対する従来の解決策は、典型的に、半径方向において不安定であることを犠牲にして、軸方向における安定性を提供するか、または軸方向において不安定であることを犠牲にして、半径方向における安定性を提供するが、同時に両方向における安定性を提供しない。最優先するべきこととして、プラズマの位置が横方向または半径方向に安定している平衡は、軸方向に不安定であることを犠牲にして、軸対称であるという所望の特性を有する。前述を考慮して、本明細書に提供される実施形態は、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向の安定性特性から独立したFRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進するシステムおよび方法を対象とする。しかしながら、軸方向位置の不安定性は、FRCプラズマ軸方向位置を制御する、外部の軸対称コイルの組を使用しながら、能動的に制御される。システムおよび方法は、プラズマと同心円を成す外部コイルの組に印加される電圧に作用し、非線形制御技法を使用することによって、プラズマ平衡の安定性特性から独立したFRCプラズマの軸方向位置のフィードバック制御を提供する。
本明細書に提示される実施形態は、FRCの軸方向に不安定な平衡を利用し、半径方向の安定性を強化しながら、軸方向の不安定性を安定化または制御する。このように、軸方向および半径方向の両方の安定性が取得されることができる。制御方法は、外部または平衡磁場を改変することによって、軸方向に不安定であることを犠牲にして、FRCプラズマを半径方向または横方向に安定させることと、次いで、半径方向場コイル電流に作用することによって、閉じ込めチャンバの中央平面の周囲におけるオーバーシュートおよび/または振動を最小化しながら、FRCプラズマの位置を中央平面に向かって即座に復元することとを行うように設計される。この解決策の利点は、制御のために要求されるアクチュエータの複雑性を低減することである。多自由度を伴う従来の解決策と比較すると、本明細書に提示される実施形態の方法は、1自由度を有するFRCプラズマ回転軸に沿った制御問題に対する複雑性を低減する。
コイル電流の波形、燃料補給、および軸方向に不安定的なプラズマの中に生じる中性ビーム電力の組み合わせは、プラズマを軸方向に不安定な状況の中に置くプラズマ制御シナリオを定義する。このシナリオは、シミュレーションまたは実験の先行する知識、または軸方向に不安定である平衡を維持するために制御されるフィードバックを使用して、予めプログラムされることができる。プラズマの位置は、放電中、平衡の安定性特性から独立して、制御されるべきであり、例えば、制御スキームは、軸方向に安定または軸方向に不安定なプラズマのいずれかのために、限界まで機能するべきである。制御され得る最も軸方向に不安定なプラズマは、容器のスキン時間に匹敵する成長時間を有する。
ここで、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進するシステムおよび方法に目を向けると、図27は、簡略化されたスキームを示し、軸方向位置制御機構510の例示的実施形態を図示する。閉じ込めチャンバ100内に示され、回転FRCプラズマ520は、プラズマ電流522および軸方向変位方向524を有する。平衡場(図示せず)が、例えば、準直流コイル412(図2、図3A、図3D、および図3E参照)等の対称電流構成要素によって、チャンバ100内に生産される。平衡場は、軸変位方向524に正味力を生産しないが、横方向/半径方向または軸方向のいずれかに安定なプラズマを生産するように調整されることができる。本明細書に提示される実施形態の目的のために、平衡場は、横方向/半径方向安定FRCプラズマ520を生産するように調整される。上記に記載されるように、それは、軸方向不安定性、したがって、軸変位方向524におけるFRCプラズマ520の軸変位をもたらす。FRCプラズマ520が、軸方向に移動するにつれて、それは、電流514および516を誘発し、電流514と516とは、反対称であり、すなわち、閉じ込めチャンバ100の中央平面の両側における閉じ込めチャンバ100の壁内で逆の方向におけるものある。FRCプラズマ520は、これらのタイプの電流成分を容器内と、外部コイル内との両方に誘発するであろう。本反対称電流成分514および516は、半径方向場を生産し、それは、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、FRCプラズマ520の移動に対抗する力を生産し、この力の結果は、それがプラズマ軸変位を減速させることである。これらの電流514および516は、閉じ込めチャンバ100の抵抗率に起因して、時間に伴って、徐々に消散する。
中央平面の両側に閉じ込めチャンバ100の周りに配置された半径方向場コイル530および531は、コイル530および531内で逆方向に誘発される電流532および534に起因する追加の半径方向場成分を提供する。半径方向場コイル530および531は、格納容器100の内部または外部に位置付けられ得る軸対称コイルの組を備え得る。半径方向コイル530および531は、準直流コイル412(図2、図3A、図3D、および図3E参照)と同様、格納容器100の外部に位置付けられるように示される。コイル530および531の各々、またはコイルの組は、中央平面の両側のコイルと異なる電流を搬送し得るが、電流は、格納容器100の中央平面に対して反対称であり、中央平面に沿って、B≠0、B=0を伴う磁場構造を生産する。半径方向場コイル530および531は、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、軸方向力を生産する補完的半径方向場成分を生成する。軸方向力は、順に、プラズマを閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって後退させる。
制御機構510は、機械中央平面の付近でのオーバーシュートおよび/または振動を最小化しながら、プラズマ位置を中央平面に向かって即座に復元するために、半径方向場コイル電流に作用するように構成される制御システムを含む。制御システムは、プロセッサを含み、プロセッサは、半径方向場コイル530および531と、準直流コイル412と、それらのそれぞれの電力供給源と、他の構成要素(例えば、磁気センサ等)とに動作可能に結合され、プラズマ位置、プラズマ速度、およびアクティブコイル電流測定値を提供する。プロセッサは、本願に説明される算出および分析を実施するように構成され得、非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体を含む1つ以上のメモリを含み得るか、または、それに通信可能に結合され得る。それは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に説明される各機能を実行可能な任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含むプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含み得る。上記は、例示にすぎず、したがって、用語「プロセッサ」または「コンピュータ」の定義および/または意味をいかようにも限定することを意図するものではない。
プロセッサの機能は、ソフトウェアルーチン、ハードウェア構成要素、またはそれらの組み合わせのいずれかを使用して実装され得る。ハードウェア構成要素は、例えば、集積回路または別々の電子構成要素を含む種々の技術を使用して実装され得る。プロセッサユニットは、典型的に、読み取り可能な/書き込み可能なメモリ記憶デバイスを含み、典型的に、メモリ記憶デバイスに書き込み、および/または、それを読み取るためのハードウェアおよび/またはソフトウェアも含む。
プロセッサは、算出デバイスと、入力デバイスと、ディスプレイユニットと、例えば、インターネットにアクセスするためのインターフェースとを含み得る。コンピュータまたはプロセッサは、マイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは、通信バスに接続され得る。コンピュータまたはプロセッサは、メモリも含み得る。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読み取り専用メモリ(ROM)とを含み得る。コンピュータまたはプロセッサは、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ等、ハードディスクドライブまたは取り外し可能記憶ドライブであり得る記憶デバイスも含み得る。記憶デバイスは、コンピュータプログラムまたは他の命令をコンピュータまたはプロセッサの中にロードするための他の類似手段でもあり得る。
プロセッサは、入力データを処理するために、1つ以上の記憶要素内に記憶された命令の組を実行する。記憶要素は、所望に応じて、または必要に応じて、データまたは他の情報も記憶し得る。記憶要素は、処理機械内の情報源または物理的メモリ要素の形態であり得る。
半径方向場コイルアクチュエータを使用して、軸方向に安定または不安定FRC構成の位置を制御する問題は、スライディングモード制御として知られる非線形制御理論の分野を使用して解決される。システム状態(スライディング表面)の線形関数は、所望の漸近的安定(スライディング)挙動を伴うエラー信号としての機能を果たす。スライディング表面は、広範囲のFRC動的パラメータにおける漸近的安定性を示すためのリアプノフ理論を使用して設計される。提案される制御スキームは、次いで、スライディング表面において使用されるパラメータを再調整する必要なく、軸方向に安定および不安定の両方のプラズマのために使用されることができる。この特性は、上記に記載されるように、平衡が、FRC放電の異なる位相において軸方向に安定平衡と軸方向に不安定平衡との間で遷移する必要があり得るので、有利である。
制御スキーム500の構成は、図28に示される。低域通過フィルタが、所望の制御帯域幅内での切り替え周波数を制限する。1サンプル遅延を伴うサンプリングおよび信号伝送を要求するデジタル制御ループが、仮定される。エラー信号(スライディング表面)は、コイル電流と、プラズマ位置と、プラズマ速度との線形組み合わせである。プラズマのプラズマ位置および速度は、外部磁気測定値から取得される。アクティブコイルシステム内の電流は、標準的方法によって測定されることができる。
コイル電流およびプラズマ位置が、位置制御を実装するために要求される。プラズマ速度が、性能を改良するために要求されるが、随意である。このエラー信号の非線形関数(リレー制御法則)は、中央平面対称コイルに接続された電力供給源の全ての対に関する別々の電圧レベルを生成する。中央平面対称コイルは、同一強度であるが、反対の符号のリレー電圧を供給される。これは、半径方向場成分を作成し、プラズマ位置を中央平面に向かって復元する。
制御スキームの実行可能性を実証するために、精密なプラズマモデルが、プラズマ動態をシミュレートするために使用される。モデルは、磁石幾何学形状を利用する。プラズマ電流分布は、プラズマおよび容器のみが検討されるとき、成長時間2msを伴う軸方向に不安定な平衡に対応する。電力供給源は、典型的に800Vステップで、別々の電圧レベルで機能すると仮定される。
図29は、20cm軸方向に変位させられたプラズマを中央平面に戻すために要求されるコイルピーク電流および傾斜率とともに、コイルに印加される電圧とプラズマ位置整定時間との間の関係を強調するいくつかのプラズマ制御シミュレーションを示す。これらのスライディングモード軸方向位置制御シミュレーション例は、4対の外部トリムコイルを使用して、0.3Tで起動される。4つの例は、200V(黒正方形)、400V(黒円形)、800V(黒三角形)、および1600V(白正方形)のステップにおける別々の電圧レベルを伴う電力供給源と対応するように示される。全ての4つの例に関して、制御帯域幅は、16kHzであり、サンプリング周波数は、32kHzである。プラズマ位置(上)、最外コイル対内の電流(中央)、およびコイル電流傾斜率(下)が示される。プラズマ変位は、20cmに到達するまで、不安定になることが可能にされる。この時点で、フィードバック制御が、適用される。
シミュレーション結果は、以下を示す。
1.5ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒正方形トレース)、0.5MA/秒のコイル傾斜率が十分であり、200V電力供給源を要求する。
2.2.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒円形トレース)、1MA/秒のコイル傾斜率が十分であり、400V電力供給源を要求する。
3.1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒三角形トレース)、2MA/秒のコイル傾斜率が十分であり、800V電力供給源を要求する。
4.1.0ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(白正方形トレース)、4MA/秒のコイル傾斜率が十分であり、1600V電力供給源を要求する。
上記に研究された、第3の場合(2MA/秒傾斜率の場合)に関する全てのトリムコイルのためのピーク電流は、トリムコイル位置の関数として図30にも示される。スライディングモード軸方向位置制御シミュレーション例は、3つのレベル(+800V、0、-800V)を伴う電力供給源と、16kHzの制御帯域幅と、32kHzのサンプリング率とを使用する4対の外部トリムコイルを使用して、0.3Tで起動される。1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために、2MA/秒のコイル傾斜率が、要求される。全てのコイル対において要求されるピーク電流は、1.5kA未満である。要求される実際の切り替え周波数(約2kHz)は、制御システム帯域幅を優に下回る。
制御システムは、プラズマ位置を伴わないコイル電流およびプラズマ速度のみの関数である標的表面を実装されることができる。この場合、軸方向位置制御ループは、制御ではなく、軸方向動態の安定化のみを提供する。これは、プラズマが、準安定状況にあり、その軸に沿ってゆっくりとドリフトし得ることを意味する。位置制御が、次いで、プラズマ区分線と容器との間のプラズマ間隙を制御する追加のフィードバックループを使用して提供され、故に、それは、プラズマ形状および位置制御を同時に実施する。
類似の制御システムが使用される、別のプラズマ閉じ込めデバイスは、トカマクである。プラズマ閉じ込めを維持するために、トカマクにおけるプラズマ電流は、下限と上限との間に保たれなければならず、下限および上限は、それぞれ、プラズマ密度およびトロイダル場にほぼ比例する。高プラズマ密度で動作するために、プラズマ電流は、増加されなければならない。同時に、ポロイダル場は、可能な限り低く保たれなければならず、したがって、q安全係数は、q=2を上回る。これは機械軸方向に沿ってプラズマを引き延ばすことによって達成され、境界磁場をその安全限界を上回って増加させることなく、大プラズマ電流に適合することを可能にする(故に、高プラズマ密度を可能にする)。これらの引き延ばされたプラズマは、(トカマク型用語では、垂直方向として知られる)機械軸方向に沿って不安定であり、プラズマ安定化機構も要求する。トカマクにおける垂直プラズマ位置制御も、半径方向場コイルの組を使用して復元され、したがって、RFC位置制御問題に非常に類似する。しかしながら、トカマクとFRCとにおける安定化を要求する理由は、異なる。トカマクでは、プラズマ垂直不安定性は、大プラズマ電流で動作するために課される犠牲であって、高トロイダル場を伴って動作するためにプラズマ伸長を要求する。FRCの場合、プラズマ不安定性は、横方向安定性を取得するために課される犠牲である。トカマクは、構成を安定にするトロイダル場を有し、したがって、それらは、横方向安定化を必要としない。
(プラズマ加熱のための電子ビーム)
図31-25に目を向けると、磁気プラズマ閉じ込めシステムにおけるプラズマ加熱のための高出力電子ビームの例示的実施形態が、提示される。例示的実施形態では、電子ビームは、パルス持続時間最大約6~10msを伴って、最大約100~120A電子電流を約30kV加速電圧で提供する。電子が、入れ子にされた多開口加速グリッドによって、プラズマエミッタから抽出され、加速される。ビームは、接地されたドリフト管内の注入ポートに移送される。電子のプラズマエミッタは、外部軸方向磁場内に浸され、高磁場を有するプラズマ閉じ込めシステムの中への軸方向注入のための条件を提供する。FRCプラズマを加熱するための長パルス高出力電子ビームの発生を促進するプラズマエミッタを伴う電子ビーム源の例示的実施形態が、本明細書に提示される。
図31に示されるように、電子ビーム750の例示的実施形態は、アークプラズマ源754と、入れ子にされた加速グリッドのシステムから成る電子光学システム770と、ビームラインとを含み、ビームラインは、効果的電子ビーム形成、移送、最終的に、着目プラズマ閉じ込めデバイスの中への注入を提供するための磁気システム760を含む。図31に描写されるように、磁気システム760は、プラズマ発生器コイル762と、プラズマエミッタコイル764と、図36にさらに描写されるように、ビーム移送コイル766と含む。図31に描写されるように、アークプラズマ源754、例えば、アークプラズマ発生器は、プラズマチャンバ758のプラズマ拡張容積756内にプラズマを生産するように位置する。ビーム抽出のためのその入れ子にされた加速グリッドを伴う電子光学システム770は、プラズマチャンバ758に隣接して、プラズマチャンバ758およびプラズマ源754とともに、静電遮蔽体752内に位置付けられる。
例示的実施形態では、電子ビーム形成のプロセスは、以下のステップを含む:プラズマ発生、プラズマ拡張、電子抽出、および加速。初期水素プラズマが、アークプラズマ発生器754によって、プラズマチャンバ758の拡張容積756の内側で生成される。プラズマ発生器754は、プラズマの流体力学的流動を形成し、プラズマは、電子光学システム770の第1のグリッド電極またはプラズマグリッド電極772(図33参照)の表面を覆う。プラズマ発生およびプラズマ拡張は、現代の技術を用いて、達成することが比較的に容易であるが、プラズマからの電子の抽出およびその加速のシミュレーションは、図32に示されるようなコンピュータシミュレーションを用いて達成可能である。
電子電流は、可能な最低エミッタンスを伴う電子ビームを形成するように設計される電子光学システム770において抽出および加速される。すなわち、単一セル開口から最小RMS角度発散を伴う基本ビームを抽出する。グリッド電極の各基本加速セルは、全体的ビームに対する小電流に寄与する。
図33に示されるように、電子光学システム770は、プラズマグリッド電極772と、抑制グリッド電極774と、接地されたグリッド電極776とを含む。グリッド電極772、774、および776の各々は、それぞれ、個々の開口またはセルのアレイ782、792、および794を有する。プラズマグリッド772は、プラズマチャンバ758の拡張容積756内のプラズマと直接接触する。それは、システムの加速電圧である高電位を帯び、特有の湾曲形状のプラズマエミッタメニスカスを形成し、ビームレットの初期集束を抽出領域内に提供する。各プラズマエミッタ開口782は、プラズマグリッド772のプラズマ側778から延びている第1のカウンタボア783と、プラズマグリッド772のビーム側779から延びている第2のカウンタボア785とから形成され、ビーム集束のためのビーム軸Bに対して静電的に解説される60度における内側面取り角Pを伴う環状突出部787を残す特有の形状を有する。抑制グリッド774は、最後の(接地された)グリッド776の直後において、周囲ガスから発生させられる、二次プラズマからのイオンの逆流を抑制する目的を果たす。抑制グリッド774の各開口792は、静電レンズの脱集束電力を低減させ、ビーム形成を促進する0~30度カウンタシンクを含む。
接地されたグリッド776は、電位基準点をビームに提供するために要求され、加速セルのアノードとしての役割を果たす。
電子ビームは、磁気システム760のコイル(例えば、762、764、766参照)によって形成される外部軸方向磁場において移送される。磁気システム760は、少なくとも2つのコイルを含むべきであり、随意に、より多くのコイルを含むことができる。
ビームがそれ自体の磁場を伴う領域の中に注入される必要がある場合、ビームエミッタを覆う軸方向磁場を生成することが、必要である。一般化運動量の保存に起因して、ビームの粒子は、カソードにおいて、非ゼロ軸方向磁場を伴う領域にのみ進入することができる(粒子がビーム対称軸に対して測定される粒子の半径方向座標のサイズの円形の内側にある量の磁束を捕捉していることを所与として)。
プラズマ発生器が、非ゼロ磁場を伴う領域内に位置する場合、外部磁場の大きさに応じて、プラズマ流動は、外部磁場の磁場線に従う傾向にあり得る。電子光学システムの第1の(プラズマ)電極の表面を比較的に均一プラズマ流動で覆う目的のために、強コイルをアークプラズマ発生器754のアノードの場所を覆って設置する必要もあり得る。
例示的実施形態では、図34Aおよび34Bに描写されるように、ビームは、プラズマエミッタグリッド772の一部をマスクし、中空ビームを生産することを含み、中空ビームは、ビーム空間電荷効果を緩和し、一般に、ビーム動態を改良するであろう。図34Aに示されるように、例えば、六角形の形状等におけるマスク784が、複数の開口782を有する開口のアレイ780を覆ってプラズマグリッド772のプラズマ側778上の中心に位置付けられる。マスク784は、中空または環状に成形されたビームの形成を促進する。
より均一な中空または環状に成形されたビームのために、プラズマエミッタ772は、第1のマスク784と同一形状を有し、同じ内側および外側マスクプロファイルをエミッタグリッド772上に形成する第2のマスク786を含むことができる。
図35および36に示されるように、プラズマ封じ込めシステム(例えば、ミラーデバイス)の容器100の中にビームを軸方向に注入するとき、ドリフト管(例えば、図36に示されるような接地されたドリフト管755参照)が存在せず、磁場が、必要より低い場合、ビームをダイバータ300、302の容積を通して移送する課題が存在し得る。この場合、プラズマ支援移送に依拠することが可能である。ダイバータ容積内に存在する、プラズマは、空間電荷およびビーム電流を補償するが、それは、通常、ビームがダイバータ容積等の開放空間を通して伝搬することを防止するであろう効果のかなりの低減をもたらす。
代替例示的実施形態では、ビームは、プラズマカソードの代わりに、LaB6カソードを用いて作製され得る。
従来の電子ビームに優る電子ビームの例示的実施形態の利点は、長パルス、高ビーム電流、および劣化しないプラズマエミッタを含む。例示的実施形態は、固体材料カソードの代わりに、プラズマカソードを使用することによって、カソード劣化の問題を克服する。プラズマエミッタは、単一基本ビームを形成するグリッドの各基本セルを伴うグリッド電極のシステムによって表される。プラズマエミッタは、限定された数のサイクルを有し、ある数のパルス後に劣化する固体カソードとは対照的に、ほぼ非限定ビーム抽出サイクルを可能にする。さらに、プラズマカソードは、受動冷却を用いて、最大約1秒のはるかに長いパルス持続時間に耐えることができ、グリッド電極の能動冷却のために講じられる特殊対策を用いて、さらにより長いパルス持続時間に耐えることができる。
高パービアンス電子ビームの空間電荷効果は、ビームラインに沿って外部磁場を生成する磁気システムの設計によって制御されることができる。これは、本明細書に提供される実施形態が、任意の追加の外部磁場、例えば、プラズマ閉じ込めデバイスの磁場が存在した状態を含む条件に従って、ビームエンベロープを調節し、ビームを必要とされる場所に移送することを可能にする。
本明細書に提供される例示的実施形態は、米国仮特許出願第63/111446号(その出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明される。
本開示のある実施形態によると、逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持する方法は、FRCを閉じ込めチャンバ内のプラズマの周りに形成することと、電子ビームを電子ビーム源からFRCプラズマの中に軸方向に注入することと、複数の中性ビームをFRCプラズマの中にある角度で閉じ込めチャンバの中央平面に向かって注入することとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、電子ビーム源は、アークプラズマ源と、加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、電子ビーム形成、移送、およびFRCプラズマの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、電子ビーム源は、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、エミッタグリッドの中心領域における開口を覆っているマスクとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、エミッタグリッドの中心領域、および中心領域と間隔を置かれた関係にある外側領域における開口を覆っている第1および第2のマスクとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、第2のマスクは、第1のマスクの外側プロファイル形状に合致する内側プロファイル形状を有する。
本開示のさらなる実施形態によると、磁気システムは、プラズマ発生器コイルと、プラズマエミッタコイルと、レンズコイルと、ビーム移送コイルとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、電子ビームを軸方向に注入することは、プラズマを発生させることと、プラズマを拡張させることと、電子をプラズマから抽出することと、抽出された電子を加速させることとを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、方法は、複数の中性ビームのビームエネルギーを第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調整することをさらに含み、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーと異なる。
本開示のさらなる実施形態によると、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーより高い。
本開示のさらなる実施形態によると、複数の中性ビームは、注入ショットの持続時間中、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で切り替わる。
本開示のさらなる実施形態によると、方法は、能動フィードバックプラズマ制御システムから受信されるフィードバック信号によって、複数の中性ビームのビームエネルギーを制御することをさらに含む。
本開示のさらなる実施形態によると、方法は、能動フィードバックプラズマ制御システムから受信されるフィードバック信号によって、複数の中性ビームのビームエネルギーを制御することをさらに含む。
本開示のさらなる実施形態によると、複数の中性ビームのビームエネルギーを制御することは、複数の中性ビームのビームエネルギーを調節し、半径方向ビーム電力堆積プロファイルを調節し、圧力勾配値を調節することを含む。
本開示のさらなる実施形態によると、方法は、閉じ込めチャンバの周りに延びている準直流コイルを用いて、磁場を閉じ込めチャンバ内に、および閉じ込めチャンバの対向端の周りに延びている準直流ミラーコイルを用いて、ミラー磁場を閉じ込めチャンバの対向端内に発生させることをさらに含む。
本開示のさらなる実施形態によると、FRCを形成することは、閉じ込めチャンバに結合された対向第1および第2の形成区分において形成FRCを形成することと、第1および第2の形成区分から閉じ込めチャンバの中央貫通平面に向かって形成FRCを加速させることとを含み、2つの形成FRCは、融合し、FRCを形成する。
本開示のさらなる実施形態によると、方法は、FRCの磁束表面を第1および第2の内側ダイバータの中に誘導することをさらに含む。
本開示のさらなる実施形態によると、逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持するためのシステムは、閉じ込めチャンバと、第1および第2の形成区分に結合された第1および第2のダイバータと、第1および第2のダイバータ、第1および第2の形成区分、および閉じ込めチャンバに動作可能に結合された第1および第2の軸方向プラズマガンと、閉じ込めチャンバに結合され、閉じ込めチャンバの中央平面に向かって、閉じ込めチャンバの縦軸に対して直角より小さい角度で中性原子ビームを注入するように向けられている複数の中性原子ビーム注入器と、閉じ込めチャンバ、第1および第2の形成区分、および第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられた複数の準直流コイルと、閉じ込めチャンバと第1および第2の形成区分との間に位置付けられた第1および第2の準直流ミラーコイルの組と、第1および第2の形成区分と第1および第2のダイバータとの間に位置付けられた第1および第2のミラープラグとを備えている磁気システムと、閉じ込めチャンバおよび第1および第2のダイバータに結合されたゲッタリングシステムと、発生させられたFRCの開磁束面を電気的にバイアスするための1つ以上のバイアス電極であって、1つ以上のバイアス電極は、閉じ込めチャンバ、第1および第2の形成区分、および第1および第2のダイバータのうちの1つ以上内に位置付けられている、1つ以上のバイアス電極と、閉じ込めチャンバに結合された2つ以上のサドルコイルと、第1および第2のダイバータのうちの1つ以上に軸方向に結合された1つ以上の電子ビームとを備えている。
本開示のさらなる実施形態によると、逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持するためのシステムは、閉じ込めチャンバと、第1および第2の形成区分に結合された第1および第2のダイバータと、複数のプラズマガン、1つ以上のバイアス電極、および第1および第2のミラープラグのうちの1つ以上であって、複数のプラズマガンは、第1および第2のダイバータ、第1および第2の形成区分、および閉じ込めチャンバに動作可能に結合された第1および第2の軸方向プラズマガンを含み、1つ以上のバイアス電極は、閉じ込めチャンバ、第1および第2の形成区分、および第1および第2のダイバータのうちの1つ以上内に位置付けられ、第1および第2のミラープラグは、第1および第2の形成区分と第1および第2のダイバータとの間に位置付けられている、複数のプラズマガン、1つ以上のバイアス電極、および第1および第2のミラープラグのうちの1つ以上と、閉じ込めチャンバおよび第1および第2のダイバータに結合されたゲッタリングシステムと、閉じ込めチャンバに結合され、閉じ込めチャンバの軸に対して直角に向けられた複数の中性原子ビーム注入器と、閉じ込めチャンバ、第1および第2の形成区分、および第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられた複数の準直流コイルを備えている磁気システムと、閉じ込めチャンバと第1および第2の形成区分との間に位置付けられた第1および第2の準直流ミラーコイルの組と、第1および第2のダイバータのうちの1つ以上に軸方向に結合された1つ以上の電子ビームとを備え、システムは、中性ビームがプラズマの中に注入されている間、減衰なしでFRCを発生させ、FRCを維持するように構成されている。
本開示のさらなる実施形態によると、電子ビームは、アークプラズマ源、加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、電子ビーム形成、移送、および着目プラズマ閉じ込めデバイスの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインとを備えている。
しかしながら、本明細書に提供される例示的実施形態は、単に、例証的例として意図され、いかようにも限定されない。
本明細書に提供される、任意の実施形態に関して説明される、全ての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能かつ代用可能であるように意図されている。ある特徴、要素、構成要素、機能、またはステップが、一実施形態のみに関して説明される場合、その特徴、要素、構成要素、機能、またはステップは、別様に明示的に記述されない限り、本明細書に説明される全ての他の実施形態とともに使用され得ることを理解されたい。したがって、本段落は、常に、請求項の導入のための先行する基礎および書面による支援としての役割を果たし、それは、たとえ以下の説明が、特定の事例において、そのような組み合わせまたは代用が可能であることを明示的に記述しなくても、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを組み合わせる、または一実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを別のもので代用する。可能な全ての組み合わせおよび代用を明示的に列挙することは、特に、本明細書を読むにあたり、ありとあらゆるそのような組み合わせおよび代用の可能性が、当業者によって容易に認識されるであろうことを考えれば、過度の負担である。
多くの事例では、エンティティは、他のエンティティに結合されるように本明細書に説明される。用語「結合される」および「接続される」(またはその形態のいずれか)は、本明細書では同義的に使用され、両場合では、(任意の無視不可能である(例えば、寄生)介在エンティティを伴わない)2つのエンティティの直接結合、および(1つ以上の無視不可能である介在エンティティを伴う)2つのエンティティの間接結合に包括的であることを理解されたい。エンティティが、一緒に直接結合されるように示される、または任意の介在エンティティの説明を伴わずに、とともに結合されるように説明される場合、それらのエンティティは、文脈が明確に別様に示さない限り、同様に、ともに間接的に結合されることができることを理解されたい。
実施形態は、種々の修正および代替形態を受け入れる一方、その具体的例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明されてきた。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、対照的に、これらの実施形態は、本開示の精神内にある、全ての修正、均等物、および代替案を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素だけではなく、その範囲内にない特徴、機能、ステップ、または要素によって請求項の発明の範囲を定義する消極的限定が、請求項に列挙または追加され得る。

Claims (33)

  1. 逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持する方法であって、前記方法は、
    閉じ込めチャンバ内でプラズマの周りにFRCを形成するステップと、
    電子ビーム源から前記FRCプラズマの中に電子ビームを軸方向に注入するステップと、
    中性ビーム注入器から前記FRCプラズマの中に高速中性原子のビームを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かってある角度で注入することによって、減衰なしで前記FRCプラズマを一定値またはほぼ一定値に維持するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記電子ビーム源は、
    アークプラズマ源と、
    加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、
    電子ビーム形成、移送、および前記FRCプラズマの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインと
    を備えている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記電子ビーム源は、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタをさらに備えている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、前記エミッタグリッドの中心領域における開口を覆っているマスクとを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、第1および第2のマスクとを含み、前記第1および第2のマスクは、前記エミッタグリッドの中心領域および前記中心領域と間隔を置かれた関係にある外側領域における開口を覆っている、請求項3に記載の方法。
  6. 前記第2のマスクは、前記第1のマスクの外側プロファイル形状に合致する内側プロファイル形状を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記磁気システムは、
    プラズマ発生器コイルと、
    プラズマエミッタコイルと、
    レンズコイルと、
    ビーム移送コイルと
    を備えている、請求項2に記載の方法。
  8. 前記電子ビームを軸方向に注入することは、
    プラズマを発生させることと、
    前記プラズマを拡張させることと、
    前記プラズマから電子を抽出することと、
    前記抽出された電子を加速させることと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記高速中性原子のビームを注入するステップは、
    前記複数の中性ビームのビームエネルギーを第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーと異なる、ステップ、または、
    前記複数の中性ビームのビームエネルギーを第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーと異なり、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーより高い、ステップ、または、
    前記複数の中性ビームのビームエネルギーを第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーと異なり、前記複数の中性ビームは、注入ショットの持続時間中、前記第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で切り替わる、ステップ
    のうちの1つを含む、請求項1-5に記載の方法。
  10. 前記チャンバの周りに延びている準直流コイルを用いて、前記チャンバ内に磁場を発生させるステップ、または、
    前記チャンバの周りに延びている準直流コイルを用いて、前記チャンバ内に磁場を発生させ、前記チャンバの対向端の周りに延びている準直流ミラーコイルを用いて、ミラー磁場を前記チャンバの対向端内に発生させるステップ
    のうちの1つをさらに含む、請求項1-5に記載の方法。
  11. 前記FRCプラズマを形成するステップは、
    前記閉じ込めチャンバの対向端に結合された第1および第2の形成区分において第1および第2の形成FRCプラズマを形成するステップと、
    前記チャンバの中央平面に向かって前記形成FRCプラズマを加速させ、前記FRCを形成するステップと
    を含む、請求項1-5に記載の方法。
  12. 前記形成区分の端部に結合されたダイバータの中に前記FRCの磁束表面を誘導するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  13. 逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持するためのシステムであって、前記システムは、
    閉じ込めチャンバと、
    第1および第2の形成区分に結合された第1および第2のダイバータと、
    前記第1および第2のダイバータ、前記第1および第2の形成区分、および前記閉じ込めチャンバに動作可能に結合された第1および第2の軸方向プラズマガンと、
    前記閉じ込めチャンバに結合された複数の中性原子ビーム注入器であって、前記複数の中性原子ビーム注入器は、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって、前記閉じ込めチャンバの縦軸に対して直角より小さい角度で中性原子ビームを注入するように向けられている、複数の中性原子ビーム注入器と、
    磁気システムであって、前記磁気システムは、前記閉じ込めチャンバ、前記第1および第2の形成区分、および前記第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられた複数の準直流コイルと、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2の形成区分との間に位置付けられた第1および第2の準直流ミラーコイルの組と、前記第1および第2の形成区分と前記第1および第2のダイバータとの間に位置付けられた第1および第2のミラープラグとを備えている、磁気システムと、
    前記閉じ込めチャンバおよび前記第1および第2のダイバータに結合されたゲッタリングシステムと、
    発生させられたFRCの開磁束面を電気的にバイアスするための1つ以上のバイアス電極であって、前記1つ以上のバイアス電極は、前記閉じ込めチャンバ、前記第1および第2の形成区分、および前記第1および第2のダイバータのうちの1つ以上内に位置付けられている、1つ以上のバイアス電極と、
    前記閉じ込めチャンバに結合された2つ以上のサドルコイルと、
    前記第1および第2のダイバータのうちの1つ以上に軸方向に結合された1つ以上の電子ビームと
    を備えている、システム。
  14. 前記電子ビームは、
    アークプラズマ源と、
    加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、
    電子ビーム形成、移送、および前記FRCプラズマの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインと
    を備えている、請求項10に記載のシステム。
  15. 前記電子ビームは、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタをさらに備えている、請求項11に記載のシステム。
  16. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、前記エミッタグリッドの中心領域における開口を覆っているマスクとを含む、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、第1および第2のマスクとを含み、前記第1および第2のマスクは、前記エミッタグリッドの中心領域および前記中心領域と間隔を置かれた関係にある外側領域における開口を覆っている、請求項15に記載の方法。
  18. 前記第2のマスクは、前記第1のマスクの外側プロファイル形状に合致する内側プロファイル形状を有する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記磁気システムは、
    プラズマ発生器コイルと、
    プラズマエミッタコイルと、
    レンズコイルと、
    ビーム移送コイルと
    を備えている、請求項14に記載のシステム。
  20. 逆磁場配位(FRC)プラズマを発生させ、維持するためのシステムであって、前記システムは、
    閉じ込めチャンバと、
    第1および第2の形成区分に結合された第1および第2のダイバータと、
    複数のプラズマガン、1つ以上のバイアス電極、および第1および第2のミラープラグのうちの1つ以上であって、前記複数のプラズマガンは、前記第1および第2のダイバータ、前記第1および第2の形成区分、および前記閉じ込めチャンバに動作可能に結合された第1および第2の軸方向プラズマガンを含み、前記1つ以上のバイアス電極は、前記閉じ込めチャンバ、前記第1および第2の形成区分、および前記第1および第2のダイバータのうちの1つ以上内に位置付けられ、前記第1および第2のミラープラグは、前記第1および第2の形成区分と前記第1および第2のダイバータとの間に位置付けられている、複数のプラズマガン、1つ以上のバイアス電極、および第1および第2のミラープラグのうちの1つ以上と、
    前記閉じ込めチャンバおよび前記第1および第2のダイバータに結合されたゲッタリングシステムと、
    前記閉じ込めチャンバに結合され、前記閉じ込めチャンバの軸に対して直角に向けられた複数の中性原子ビーム注入器と、
    前記閉じ込めチャンバ、前記第1および第2の形成区分、および前記第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられた複数の準直流コイルと、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2の形成区分との間に位置付けられた第1および第2の準直流ミラーコイルの組とを備えている、磁気システムと、
    前記第1および第2のダイバータのうちの1つ以上に軸方向に結合された1つ以上の電子ビームと
    を備え、
    前記システムは、前記中性ビームが前記プラズマの中に注入されている間、減衰なしでFRCを発生させ、前記FRCを維持するように構成されている、システム。
  21. 前記電子ビームは、
    アークプラズマ源と、
    加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、
    電子ビーム形成、移送、および前記FRCプラズマの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインと
    を備えている、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記電子ビームは、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタをさらに備えている、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、前記エミッタグリッドの中心領域における開口を覆っているマスクとを含む、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、第1および第2のマスクとを含み、前記第1および第2のマスクは、前記エミッタグリッドの中心領域および前記中心領域と間隔を置かれた関係にある外側領域における開口を覆っている、請求項22に記載の方法。
  25. 前記第2のマスクは、前記第1のマスクの外側プロファイル形状に合致する内側プロファイル形状を有する、請求項24に記載の方法。
  26. 前記磁気システムは、
    プラズマ発生器コイルと、
    プラズマエミッタコイルと、
    レンズコイルと、
    ビーム移送コイルと
    を備えている、請求項22に記載のシステム。
  27. 電子ビームであって、前記電子ビームは、
    アークプラズマ源と、
    加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、
    電子ビーム形成、移送、および着目プラズマ閉じ込めデバイスの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインと
    を備えている、電子ビーム。
  28. 前記電子ビームは、
    アークプラズマ源と、
    加速グリッドのシステムを備えている電子光学システムと、
    電子ビーム形成、移送、および前記FRCプラズマの中への注入をもたらすように構成された磁気システムを含むビームラインと
    を備えている、請求項27に記載のシステム。
  29. 前記電子ビームは、環状ビームをもたらすように構成されたビームエミッタをさらに備えている、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記磁気システムは、
    プラズマ発生器コイルと、
    プラズマエミッタコイルと、
    レンズコイルと、
    ビーム移送コイルと
    を備えている、請求項29に記載のシステム。
  31. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、前記エミッタグリッドの中心領域における開口を覆っているマスクとを含む、請求項29に記載のシステム。
  32. 前記ビームエミッタは、多開口エミッタグリッドと、第1および第2のマスクとを含み、前記第1および第2のマスクは、前記エミッタグリッドの中心領域および前記中心領域と間隔を置かれた関係にある外側領域における開口を覆っている、請求項29に記載の方法。
  33. 前記第2のマスクは、前記第1のマスクの外側プロファイル形状に合致する内側プロファイル形状を有する、請求項32に記載の方法。
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