JP2023547854A - 移送ポートを通って対象物を移送するための移送機構 - Google Patents

Abstract

本出願は、支持ベース（４１）と、１つ以上の対象物（Ｏ）のための保持手段（４７）のためのマウント（４３）を、または１つ以上の対象物のための保持手段を、有するシャトル（４２）と、支持ベース（４１）とシャトル（４２）とを収容し、１つ以上の対象物（Ｏ）を収容するように構成されており、コンテナ（４４）の軸方向（Ｘ）における端部にある少なくとも１つの開口（４５）を有するコンテナ（４４）とを含む、１つ以上の対象物（Ｏ）を移送ポート（Ｒ）を通って移送するための移送機構／装置（４０）に関する。シャトル（４２）は、軸方向（Ｘ）の並進運動のために支持ベース（４１）に設置されており、これにより、1つ以上の対象物（Ｏ）を伴う保持手段（４７）をこれによって動かすように構成され、コンテナ（４４）は、移送ポート（Ｒ）にカップリングされて、シャトル（４２）が軸方向（Ｘ）に並進運動することで、少なくとも１つの開口（４５）を通って、前記1つ以上の対象物（Ｏ）がコンテナ（４４）の内部に持ち込まれまたは内部から取り出されることを許容するように構成されている。

Description

本出願は、清浄な処理領域への、またはそれからの、移送ポートを通って１つ以上の対象物を移送するための移送装置に関する。本出願は、とりわけ、医薬及び食品加工における検査分野、より詳しくは、清浄または超清浄処理領域の環境的監視の分野に関する。それは、処理領域の清浄性または環境が決定されまた監視されることになっているような、他の処理の場面、例えば半導体、電子装置または航空機製造の分野、に対しても適用可能である。

上述した種類の閉鎖した処理領域における環境的状態を監視するために、受動的空気サンプリングにおいて、取り巻く空気中の粒子の最大量を捕捉するために、１つ以上の媒体板（media plate）を清浄な製造領域または遮断装置（両用語はこの明細書において入替可能に用いられるであろう）の活動ゾーンに置いて取り巻く空気に晒すことは通常おこなわれてきた方法であった。より大きい粒子は重力によって媒体板上により速く定着する傾向にある。より小さい粒子は、気流のような因子によって、定着するまでにいくらか時間を要する。媒体板は動きのない領域において最も良く機能する。微生物は、単独またはコロニーとなって、空気から媒体板上に定着する。

製造領域の空気の能動的監視においては、特定の時間の間、空気を強制的に採集媒体内または採集媒体上に送り込む微生物空気採集装置（microbial air sampler）が用いられる。採集媒体は、通常のペトリ皿、たとえば栄養寒天基材の試験媒体その他の要求に応じた適切な試験媒体を含むペトリ皿であることができる。

採集媒体、例えば媒体板、ペトリ更または定着板（本明細書においてはこれら用語は相互に取り換え可能に使われる）の形の採集媒体は、製造領域の中へ、またさらなる取り扱いおよび評価のために製造領域から、繰り返し移送され、取り外される。これは一般に手作業でおこなわれ、１つ以上の板またはペトリ皿は、製造領域の内部へまたは内部から、無菌移送ポートを通って人手によって運搬される。しかしながらこのペトリ皿の手作業の取り扱いは、媒体板を取り扱う際、すなわち、持ち込み、設置および取り外しを含む取り扱い中に蓋が不注意に開けられたり、媒体板からずらされたりまたは取り除かれたりして、それによって検出結果、とりわけ複数の媒体板がセットで、積み重ねで、または一団で取り扱われた際の検出結果を危うくすることとなって、汚染の高いリスクを含むものである。

無菌性を損なうことのない、バルブを通しての清浄処理領域への選択的アクセスのための無菌移送ポートは公知である。そのようなシステムは、「ＲＴＰ」または「高速移送ポート（rapid transfer ports）」としても知られており、本発明は、そのような移送ポートと共同して有用である移送装置、すなわち、移送ポートのバルブの設計のそれぞれに、しかし既存の設計にも広く、適合するように構成されている、移送装置を志向するものである。

例えば、ＧＢ２２３７８１６ Ａ１は、コンテナと遮断装置すなわち清浄な処理領域との間の、密閉された移送を可能とする二重扉移送ポートを開示している。コンテナは、コンテナの閉じたポートによってドッキングされ、次に遮断装置の内部の側からポートの扉が開けられる。コンテナの、遮断装置の移送ポートへのドッキングは、コンテナをその軸周りにひねることによってポート位置で定位置にドッキングするという、バヨネットシステムによって達成されてよい。コンテナを物理的に回転させなければならないので、コンテナの内容物もやはり回転の対象となり、液体を漏洩させるか、デリケートな機器を損傷するかもしれない。この従来技術においては、コンテナの、蓋とバヨネット式閉鎖機構の全体は、コンテナ自体に気密スリップリングジョイントを介して装着された、コンテナの短箱または襟状の延長部に格納されている。このような構成においては、延長部は、コンテナをポートの定位置にドッキングするために回動されるが、スリップリングジョイントのおかげで、コンテナは回動する必要がない。この装置は、遮断装置の内部側からのアクセスが可能な解放型コンテナを提供するにすぎないので、対象物の取り扱いは、とりわけ移送されるべき対象物が媒体板、ペトリ皿または定着板である場合、前述の理由により困難なものとなる。

本出願は、移送すべき複数の対象物を保持したコンテナを、遮断装置の高速移送ポートにドッキングして、ポートを開けて対象物をコンテナから遮断装置内へ、またその逆方向へ、移送するという概念の適用を考慮している。
本出願は、１つ以上の対象物、とりわけ移送される対象物としてのペトリ皿を、無菌性を損なうことのない能動的過程で移送ポートを通して移送する移送機構または装置を提供することを目的としている。

この課題を解決するために、本出願は、１つ以上の対象物、とりわけペトリ皿、を移送ポートを通って移送するための請求項１の構成要件を有する移送機構または装置を提供する。好適な実施態様は従属請求項において規定される。

本出願は、１つ以上の対象物を移送ポートを通って移送するための移送機構／装置であって、
支持ベース、前記1つ以上の対象物のための保持手段を取り付けるためのマウントを、または前記1つ以上の対象物のための保持手段を、有するシャトル、および前記支持ベースおよび前記シャトルを収容し、前記1つ以上の対象物を収容するように構成され、少なくとも１つの開口を、コンテナの軸方向における端部に有しているコンテナを含む、前記移送機構／装置を特に提供するものである。
シャトルは、軸方向の並進運動のために支持ベースに設置されており、1つ以上の対象物を伴う保持手段をこれによって動かすように構成され、コンテナは、移送ポートにカップリングされて、少なくとも１つの開口を通って、シャトルが軸方向に並進することで前記1つ以上の対象物がコンテナの内部に持ち込まれまたは内部から取り出されることを許容するように構成されている。

好ましくは、マウントは、1つ以上の対象物のための保持手段をマウントに取り外し可能に接続／取り付けするためのコネクタを含む。
好ましくは、シャトルは、並進運動のために、支持ベース上のおよび／またはコンテナ上の対応した相補的ガイド手段によって、支持ベースにおよび／またはコンテナに沿ってガイドされている。
好ましくは、マウントまたは保持手段は、シャトルに対して相対的な、マウントまたは保持手段の少なくとも１つの回転軸周りの枢動を許容するために、シャトルに関節結合している。

好ましくは、マウントまたは保持手段は、シャトルに対しての、並進運動における特定の軸方向位置に在る少なくとも１つの回転軸周りの、マウントまたは保持手段の枢動を許容するために、シャトルに関節結合している。
好ましくは、マウントまたは保持手段の枢動範囲が、対象物の約９０度の姿勢変化を許容するようなものであり、好ましくは本質的に水平位置から本質的に垂直位置までである、またはその反対であるように構成される。

好ましくは、、少なくとも一つの回転軸は、マウント／保持手段の枢動が並進運動の特定の軸方向位置において重力に補助されるように、配置される。
好ましくは、移送機構は、コンテナの外部からアクセス可能であってシャトルの軸方向に沿った並進運動に影響を与えるように構成された移送アクチュエータをさらに含む。
好ましくは、移送アクチュエータは、並進運動に影響を与えるためにシャトルに接続された第１のロッドを含む。

好ましくは、移送アクチュエータは、シャトルに対する枢動に影響を与えるためにマウント／保持手段に関節結合した第２のロッドを含む。
好ましくは、移送機構は、枢動の終端位置を規定する第１のストッパおよび／または並進運動の終端位置を規定する第２のストッパをさらに含む
好ましくは、並進運動の終端位置は、マウントまたは保持手段のシャトルに対する少なくとも1つの回転軸周りの枢動が可能である特定の軸方向位置と一致する。

好ましくは、シャトルは、並進運動および／又は枢動があるならそれに影響を与えるために、開口の側から引っ張られる／押されるように構成されている。
好ましくは、保持手段は複数のペトリ皿を平行に並んだ位置で保持するように構成されたものである。
好ましくは、移送機構は、コンテナの少なくとも１つの開口を選択的に閉めるように構成された扉、ここにおいて、扉は好ましくは移送ポート、好ましくは「アルファパート扉設計（alpha part door design）」である移送ポート、に連結されるように構成される。

本出願は、１つ以上の対象物を、移送ポートを通して無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内に、移送する方法であって、以下のステップを含む方法も提供する。
（ａ）本出願に規定される、１つ以上の対象物を含む移送機構／装置、前記１つ以上の対象物は好ましくは保持手段内に保持された１つ以上のペトリ皿である、を提供するステップ
（ｂ）移送機構／装置を前記移送ポートに取り付けるステップ
（ｃ）移送ポートを開け、それにより移送機構／装置のコンテナの内部を無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置の内部に露出するステップ
（ｄ）シャトルを並進運動で緯線方向（Ｘ）に沿って、無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置の中に動かすステップ
（ｅ）１つ以上の対象物を保持手段から取り外すステップ

好ましくは、方法のステップ（ｄ）は次のステップを含む。
（ｄ‘）シャトルを、並進運動で緯線方向に沿って、並進運動の軸方向の特定位置まで、無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内に動かすステップ、および
（ｄ“）保持手段を、並進運動の特定の軸方向位置において少なくとも１つの回転軸周りに枢動させ、任意選択で同時にシャトルを並進運動でその緯線方向に沿って並進運動の終端位置まで移動を継続させるステップ。
好ましくは、ステップ（ｄ“）において、マウントまたは保持手段は本質的に９０度枢動され、これにより１つ以上の対象物（Ｏ）を本質的に垂直な方向から本質的に水平な方向へと、またはその逆へと、持ち来す。

以下に、添付の典型的説明図を参照することに因って、種々の実施形態が記述される。それらにおいては、

図１は、本機構を移送ポートにドッキングする前の移送機構／装置の一つの実施例の部分切り取り透視図である。 図２は、移送ポートおよび開口にドッキングした後の、ひとつの実施例の移送機構の、図１と同様の部分切り取り図である。 図３は、保持手段がコンテナの外の回転した終端位置に配置された状態の図１および２の移送機構の、部分切り取り図である。 図４は、移送してコンテナから取り出した工程における、保持手段が空の状態である、本移送機構の実施例の部分切り取り図である。 図５は、ペトリ皿の一つに係合した自動取り扱い装置のグリッパーを模式的に示した、図３に示すものと同様な本移送機構の実施例の透視図である。 図６は、ペトリ皿が自動取り扱い装置のグリッパーによって取り除かれているところを示す実施例の図５のものと同様の部分透視図である。 図７は、保持手段が、保持手段から取り外された状態のラックの形態である、図５と同様の本移送機構の透視図である。

図８は、図２のものと同様の本移送機構の、ひとつの変形実施態様の、部分切り取り図である。 図９は、図２の変形実施態様が図４のものと同様の移送位置にある状態の部分切り取り図である。 図１０は、図３のものと同様の移送位置にある状態の、変形実施態様の部分切り取り図である。 図１１は、本移送機構を用いて遮断装置から対象物を取り出すための移送工程の、説明図解である。 図１２は、本移送機構を用いて遮断装置から対象物を取り出す工程の、説明図解である。 図１３は、本移送機構を用いて遮断装置内に対象物を移送する工程の、説明図解である。 図１４は、本移送機構を用いて遮断装置から対象物を取り除く工程の、説明図解である。 図１５は、本移送機構を用いて遮断装置内へおよび遮断装置から対象物を移送する工程の、説明図解である。 図１６は、本移送機構を用いて遮断装置から対象物を取り除く工程の、説明図解である。

本出願における用途として、用語「水平な（horizontal）」、「垂直な（vertical）」、「直角な（perpendicular）」および同様の用語は－明示的にすでに示されている場合を除き－このことが機能性において否定的な影響を与えない限り、「本質的に水平な」、「本質的に垂直な」、「本質的に直角な」を意味するものと理解される。好ましくは、「本質的に」の用語は、それぞれ、水平であること、垂直であることまたは直角であることから、最大１０度のズレを記述するためであり、より好ましくは最大５度、さらにより好ましくは最大４度または３度、その上さらにより好ましくは最大２度または１度のズレを記述するためのものである。

本発明はしたがって、無菌状態で1つ以上の対象物、好ましくはペトリ皿、を高速移送ポートを通って、無菌環境下での完全自動化環境監視に適合した、制御された標準化された方法により移送する事への解決方法を提供する。

本移送機構は、遮断装置およびペトリ皿または定着プレート既存の標準的な高速移送ポートと適合するものであり、手動によりまたは自動のグリップ、例えばロボットのグリップ、のための便利で反復可能な、基本的に水平姿勢で、好ましくは蓋を上にのせて、ペトリ皿の提供をおこなうことができる。これにより、遮断装置の中へおよび中からの移送が、容易に、制御された信頼性の高い態様で実行可能である。

さらに、ペトリ皿を保持するシャトルによる規定された並進運動のおかげで、遮断装置の中へのまたは中からの移送の間にペトリ皿の蓋の意図せざる解放や脱落するリスクは無い。
シャトルを有する設計は、コンパクトな構造と、遮断装置内でのさらなる取り扱いのために対象物（例えばペトリ皿）を提供するのに必要な、小さな占有面積をもたらす。

さらに、ペトリ皿は規定の位置で提供され、それにより手動による処理または取り扱いが必要なら可能でありながら、自動取り扱い装置（例えばロボット）のグリッパーと協働することに資するものである。
以下に、本出願の移送機構を用いた、１つ以上の対象物を遮断装置または清浄な製造領域の中にまたは中から移送する工程の、各種の実施態様が説明される。

１つ以上の対象物Ｏ、好ましくはペトリ皿、を、移送ポートＲに移送するための移送機構／装置４０の実施態様は、その基本的コンポーネントとして、支持ベース４１、および長手方向Ｘにそった並進運動のための、支持ベースに設置されたシャトルまたはスライド４２を含む。シャトル４２には、移送されるべき1つ以上の対象物Ｏのための保持手段４７を取り外し可能に保持する様に構成された、または取り外し可能に既に保持されている、マウント４３またはネストが与えられている。

移送機構４０は、支持ベース４１およびシャトル４２を収容するコンテナ４４をさらに含み、シャトル４２は支持手段４７に支持された１つ以上の対象物Ｏを収容する様に構成されている。コンテナ４４は、少なくとも１つの開口４５を並進運動の長手方向Ｘに一致するコンテナの軸方向端部に有している。

シャトル４２の長手方向／軸方向Ｘに沿った並進運動は、対象物を乗せた保持手段４７の、コンテナ４４の開口４５に向かった、または、からの前へ後ろへの移動を許容する。

コンテナ４４は、高速移送ポートＲに、移送ポートのそれぞれの結合概念に応じた設計の係合構成によって、取り外し可能に結合またはドッキングされるように構成されている。以下に論じられるコンテナの蓋に移送ポートがドッキングされた後、移送ポートは開放され、それによりコンテナの内部を遮断装置の内部へと露出し、また、それにより軸方向にシャトル４２が並進運動して１つ以上の対象物が少なくとも１つの開口４５を通ってコンテナ４４の中へまたは中から移動することを許容する。

移送機構の動作のいくつかの段階、またはより正確にはコンテナの移送ポートへのドッキング、開口４５からの対象物を乗せたシャトルの移送および対象物の遮断装置内部への対象物の提供、が図１から３、５および６の順序に基づいて説明される。

シャトル４３は、支持ベース４１および／またはコンテナ４４、例えばその内壁、に沿って、シャトル４２および支持ベース４１および／またはコンテナ４４上の相補的ガイド手段４８によって並進運動のために摺動可能に案内されている。ガイド手段４８は、相補的係合要素と協働するレールまたは溝の形式であることができる。

移送機構は、コンテナの軸方向における終端部分にある開口４５に向かう並進運動の、終端位置を定義する第１のストッパ５３を含む（図２から４を参照）。移送機構は、軸方向における反対側の終端部分における、コンテナの中への並進運動の終端位置を定義するストッパをさらに含んでも良い。

支持ベース４１はコンテナから分離した要素として、コンテナの内部に設置されるように、またはコンテナと一体化した一部分として形成してもよい。対象物のために保持手段４７に取り外し可能に接続するためのマウント４３は、または保持手段４７（保持手段が移送機構のスライドに接続されており取り外し可能ではなく、１つ以上の対象物を直接保持する場合）は、（保持手段とともに）マウント４３の、または保持手段４７の、シャトル４２に対する少なくとも１つの回転軸、好ましくは本質的に長手方向Ｘに直角な、回転軸Ｙ周りの枢動を可能とするために、好ましくはシャトル４２に関節結合されている。ヒンジまたは関節の形で提供される回転軸Ｙは、例えば図４に示されるように、シャトル４２の前方端に提供される。

好ましくは、図３および４に示されるように、並進運動の途中で定義された軸位置、好ましくはコンテナ４４の開口４５の端部位置における終端位置、にある少なくとも1つの回転軸Ｙ周りに、マウント／保持手段が枢動することを許容するために、マウント４３（または保持手段４７）はシャトル４２に関節結合される。マウント４３／保持手段４７の形状および寸法に依存して、枢動は、終端位置に到達するよりもある距離だけ手前から開始することが出来るが、並進運動中にある地点に到達する以前には禁止される。

マウント４３／保持手段４７の枢動範囲は、対象物の姿勢が約９０度の、好ましくは本質的に垂直配置から本質的に水平配置へ（図１から３に示す様に）の、変化、又はその反対、を許容するように構成される。より小さいまたはより大きい枢動範囲も状況に応じて可能である。

少なくとも１つの回転軸Ｙは、並進運動の定義された軸位置において、マウント４３／保持手段４７の枢動が少なくとも重力によって補助されるように配置される。好ましくは、枢動は力のさらなる外部からの導入が不要であるように、ある地点において重力により開始され完全に遂行される。シャトルをコンテナ内に戻す動きは、妨げられることのないさらなる並進運動のために、マウント／保持手段とコンテナの部分との相互作用に因って、マウント／保持手段を回転軸Ｙの周りに強制的に逆回転させて、本質的に水平な状態へと戻す。

マウント４３は、好ましくは対象物のための保持手段４７をマウント４３に取り外し可能に接続するコネクタ５５を含む（図５を見よ）。この場合、保持手段４７は互いに離隔した対象物（好ましくはペトリ皿）を、整列した方向で安全に保持する複数のレセプタクルの形であることができる。上記したように、保持手段は、対象物が直接移送機構に装填されることができるように、移送機構と一体化したものであっても良い。しかしながら、コネクタ５５を介した取り外し可能な接続は、対象物を保持手段の中に用意しておき、そして迅速に移送機構の中に装填することができるという利点をもたらす。

コンテナの内部から、（移送ポートの扉がコンテナの蓋とともに開放された後に）コンテナの開口を通って遮断装置の中へと完全に移送されてしまった時に、それぞれの対象物（ペトリ皿）は、遮断装置の内部手容易にアクセス可能であり、人の手で、またはロボットの水平グリッパーＧを用いて、簡単に把持されて保持手段から取り出されることができる（図５および６を見よ）。保持手段の寸法に依存して、保持手段を開口から外に持ち来すために必要な移動量を最小化するために、そして遮断装置の内部への侵入を最小化するために、回転軸Ｙは全長の約３分の１の位置に設けられる。寸法次第で、他の位置も可能である。さらに、回転または枢動軸の位置に依存して、保持手段の枢動は、完全に遮断装置の内部に移送されるまでは防止されても良い。

並進運動の終端位置は、好ましくはマウント４３／保持手段４７のシャトル４２に相対的な、少なくとも１つの回転軸Ｙの周りの枢動が可能な規定された軸位置に一致する。

シャトル４２は、並進運動が、および／またはそうなる場合には枢動が、行われるように、開口４５の側から、引っ張られる／押されるように構成されている。引っ張る／押す力は、例えばグリッパーを介して、自動化取り扱い装置によって提供されてもよい。いくつかの場合には、遮断装置の内部から並進および回動のために移送機構を駆動することが不可能であっても良い。

図８～１０に示す好適実施態様の変形例によれば、移送機構において、コンテナ４４の外部からアクセス可能であって、シャトル４２の軸方向Ｘに沿った並進運動を生じさせるような移送アクチュエータ４９が提供されてもよい。変形実施態様の移送アクチュエータ４９は、並進運動を生じさせるためにシャトル４２と連結した第１のロッド５１を含んでもよい。さらに、移送アクチュエータ４９は、シャトル４２に相対的な回転軸Ｙ周りの枢動を開始して実行させる、マウント４３／保持手段４７に連接した第２のロッド５２を含んでも良い。移送アクチュエータ４９の運動は、手によってまたは流体シリンダー、サーボモーターまたは線形駆動装置のような機械的アクチュエータによって操作されてもよい。コンテナから導き出されているこれらロッドは、動作中のコンテナ内部の無菌性を維持するために、コンテナ内部からはシールドされている。ロッドは、移送されるべき１つ以上の対象物を収容するコンテナの内部からシールドするために、ベース４１の部分に一体化しても良い。

並進運動および枢動のためにシャトルを動かす移送機構は、遮断装置の内部からコンテナの内部へと対象物を再装填することを可能にするために、逆転可能である。

移送機構、より詳しくはコンテナ、は、コンテナ４４の少なくとも１つの開口４５を選択的に閉塞する蓋または扉５６を含んでよく、扉５６は、好ましくはバルブ概念、好ましくはアルファパートドア設計による高速移送ポート、に従って、個別の移送ポートに接続可能となるように構成されている。

本出願は、１つ以上の対象物Ｏを移送ポートＲを通って無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置に移送する方法にも関し、次のステップ（１）から（５）を逐次的に含むものであり、ここにおいてそれらは
（１）１つ以上の対象物Ｏを含む本出願に定義される移送機構／装置４０、前記１つ以上の対象物Ｏは好ましくは１つ以上のペトリ皿Ｐであり、保持手段４７に保持されている、が提供されるステップ；（２）前記移送機構／装置４０が前記移送ポートＲに取り付けられるステップ；（３）移送ポートＲが開けられ、それによって移送機構／装置４０のコンテナ４４の内部を無菌のまたは少なくとも清浄な処理空間または遮断装置の内部に露出するステップ；（４）シャトル４２が並進運動で緯線方向（Ｘ）に沿って無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置の内部に動かされるステップ；および（５）１つ以上の対象物Ｏが保持手段４７から取り外され、無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内において、例えば、環境的状態を監視することに意図通りに、例えば空気サンプリングに使用されるステップ、である。

好ましくは、シャトル４２は、無菌または少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内へ、並進運動の定義された軸位置へと（別の表現をすれば、長手方向Ｘに沿って定義された位置に到達するまで）、長手方向Ｘに沿って並進運動で動かされ；そして次に、マウント４３または保持手段４７を、並進運動の定義された軸位置における少なくとも１つの回転軸Ｙの周りに枢動させ、可能ならば／任意選択で同時にシャトル４２を並進運動でその緯線方向Ｘに沿って並進運動の終端位置まで動かすことを継続する。

シャトル４２の前記並進運動は、直接終端位置まで実行され、マウント４３または保持手段４７の枢動がそれに続いてもよい。代替的に、シャトル４２の並進運動の定義された軸位置を、前記並進運動の終端位置の前に、即ちシャトル４２が荷下ろしのために最終位置に到達してしまう前に、位置付けてもよく、その場合には前記並進運動はマウント４３または保持手段４７が同時的に枢動しながら続けられることになる。

好ましくは、ステップ（ｄ“）において、マウント（４３）または保持手段（４７）は、本質的に９０度枢動され、これにより好ましくは１つ以上の対象物（Ｏ）を本質的に垂直な向きから本質的に水平な向きに、またはその反対に、持ち来される。

ここで定義される移送機構／装置４０は、一群のまたは一組のペトリ皿を、清浄な製造環境を代表するひとつの遮断装置の内部の空気を試験するための各種の遮断装置の中にまたは中から移送するために、全体的な無菌環境で実行される工程において、好ましくは使用することができる。そのような大幅に自動化できる工程の概要の１つの例を、図１１から１６と関係づけて以下に説明する。

この工程の要素は、工程において使用するためのペトリ皿を準備するためのスタンドアロン移送遮断装置Ｕ、試験又は監視されるべき正常な生産環境を代表する生産遮断装置Ｖ、本出願の移送機構４０、ブリスターまたは袋１００のような輸送パック内に無菌の手法で提供される一群の又は一組のペトリ皿、および空の輸送パックまたはバッグ１３を含む。

図１１および１２に示す様に、いくつかの群または組Ａ、Ｂ、Ｃの無菌ペトリ皿が、無菌状態を維持するためにシールされたブリスターまたは袋１００の形で、移送遮断装置Ｕの中に供給されてよい。ペトリ皿は、好ましくは、全体の群の取り扱いに便利であり、行程中その群をひとまとめにしておくために、それぞれの輸送パッケージの中の保持手段４７（ラックの様な）内に配置されている。

複数回の使用のためとしてここに定義されたような、空の移送機構４０が、移送遮断装置Ｕの移送ポートＲの扉に接続され、そしてコンテナの扉が移送ポートを開けることによって開けられる。

そして、必要な場合、移送遮断装置の内部および移送機構のコンテナの内部を含む、全体の環境が無菌化される、

輸送パッケージの１つが開けられ、保持手段上のバッチＡのペトリ皿がブリスターまたは袋から取り出され、手動で、または自動化取り扱い装置によって、移送機構のコンテナの内部に配置される。

そして、移送ポートを閉じることにより移送機構の扉が閉鎖され、保持手段内にペトリ皿を収容している移送機構が遮断装置から切り離される。

次に、図１３および１４に示す様に、移送機構／装置４０は、製造遮断装置Ｖの移送ポートにドッキングされ、扉が開放される。シャトルを並進運動方向（軸方向Ｘ）に動かすことにより、バッチＡのペトリ皿を持つ保持手段が、製造遮断装置Ｖの内部に移送され、図１３に示す様に、自動化取り扱い装置のグリッパーＧによって独立に把持されるように提示される。ペトリ皿は処理（例えば導入部で説明したように、能動的または受動的空気監視）され、保持手段内に置き戻される。ひとたびバッチの全てが処理されると、保持手段は移送機構／装置のシャトルを介してコンテナ内に引き戻され、コンテナの扉が移送ポーロＲによって閉鎖され、移送機構／装置４０は製造遮断装置から取り外されあるいはドッキングが解かれる（図１５を見よ）。

図１５および１６に示すさらなる工程において、バッチＡの使用済ペトリ皿を持つ移送機構／装置４０は再び移送遮断装置Ｕにドッキングされ、これらの保持手段上の使用済ペトリ皿は、コンテナから取り外され、再び、プリスターまたは他の輸送パッケージ内に置かれる。保持手段上の新鮮なバッチのペトリ皿が、移送機構／装置４０の中に移送され、そして移送機構／装置は閉鎖され図１２のようにドッキングが解かれる（図１５を見よ）。

すべてのバッチのペトリ皿が使用されてしまった時には、使用者は移送遮断装置Ｕを開けることができ、使用済みのペトリ皿をさらなる分析／培養のために取り外すことが出来る。所望するならば、分析は、すべてのバッチが処理されてしまうことを待つことなしに開始することが出来る。使用済のペトリ皿を更なる処理のために移送遮断装置Ｕから取り外すために、本出願の移送機構／装置４０または単純な高速移送ポート袋１３を使用して、図１６に示す様に、移送遮断装置Ｕの移送ポートＲにドッキングすることが出来る。

Claims (18)

1. １つ以上の対象物（Ｏ）を移送ポート（Ｒ）を通って移送するための移送機構／装置（４０）であって、
   支持ベース（４１）；
   前記1つ以上の対象物（Ｏ）のための保持手段（４７）を取り付けるためのマウント（４３）を、または前記1つ以上の対象物（Ｏ）のための保持手段（４７）を有するシャトル（４２）；および
   前記支持ベース（４１）および前記シャトル（４２）を収容し、前記1つ以上の対象物（Ｏ）を収容するように構成され、少なくとも１つの開口（４５）を、コンテナ（４４）の軸方向（Ｘ）における端部に有しているコンテナ（４４）を含み、
   ここにおいて、
   シャトル（４２）は、軸方向（Ｘ）に沿った並進運動のために支持ベース（４１）に設置されており、1つ以上の対象物（Ｏ）を伴う保持手段（４７）をこれによって動かすように構成され、そして
   ここにおいて、コンテナ（４４）は、移送ポート（Ｒ）にカップリングされて、少なくとも１つの開口（４５）を通って、シャトル（４２）が軸方向（Ｘ）に並進することで前記1つ以上の対象物（Ｏ）がコンテナ（４４）の内部に持ち込まれまたは内部から取り出されることを許容するように構成されている、前記移送機構／装置（４０）。
2. マウント（４３）が、1つ以上の対象物（Ｏ）のための保持手段（４７）をマウント（４３）に取り外し可能に接続するためのコネクタ（５５）を含む、請求項１に記載の移送機構（４０）。
3. シャトル（４３）が、シャトル（４２）および、支持ベース（４１）および／またはコンテナ（４４）上の対応した相補的ガイド手段（４８）によって、支持ベース（４１）におよび／またはコンテナ（４４）に沿っての並進運動のために、ガイドされている、請求項１または２に記載の移送機構（４０）
4. マウント（４３）または保持手段（４７）が、シャトル（４２）に対して相対的な、マウント（４３）または保持手段（４７）の少なくとも１つの回転軸（Ｙ）周りの枢動を許容するために、シャトル（４２）に関節結合している、請求項１～３のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
5. マウント（４３）または保持手段（４７）が、並進運動における特定の軸方向位置に在る少なくとも１つの回転軸（Ｙ）周りのマウント（４３）または保持手段（４７）の枢動を許容するために、シャトル（４２）に関節結合している、請求項４に記載の移送機構（４０）。
6. 少なくとも１つの回転軸（Ｙ）が、マウント（４３）／保持手段（４７）の枢動が並進運動の特定の軸方向位置において重力に補助されるような配置とされる、請求項５に記載の移送機構（４０）。
7. マウント（４３）または保持手段（４７）の枢動範囲が、対象物（Ｏ）の約９０度の姿勢変化を許容するようなものであり、好ましくは本質的に水平位置から本質的に垂直位置までである、またはその反対であるように構成される、請求項４～６のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
8. 枢動の終端位置を規定する第１のストッパ（５４）および／または並進運動の終端位置を規定する第２のストッパ（５３）をさらに含む、請求項１～７のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
9. 並進運動の終端位置が、マウント（４３）または保持手段（４７）のシャトル（４２）に相対的な少なくとも1つの回転軸（Ｙ）周りの枢動が可能である特定の軸方向位置と一致する、請求項８に記載の移送機構（４０）。
10. コンテナ（４４）の外部からアクセス可能であってシャトル（４２）の軸方向（Ｘ）に沿った並進運動に影響を与えるように構成された移送アクチュエータ（４９）をさらに含む、、請求項１～９のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
11. 移送アクチュエータ（４９）が、並進運動に影響を与えるためにシャトル（４２）に接続された第１のロッド（５１）を含む、請求項１０に記載の移送機構（４０）。
12. 移送アクチュエータ（４９）が、シャトル（４２）に相対的な枢動に影響を与えるためにマウント（４３）／保持手段（４７）に関節結合した第２のロッド（５２）を含む、請求項４～９のいずれか一項との組み合わせでの請求項１０または１１に記載の移送機構（４０）。
13. シャトル（４２）が、並進運動および／または枢動があるならそれに影響を与えるために、開口（４５）の側から引っ張られる／押されるように構成されている、請求項１～１２のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
14. 保持手段（４７）が、複数のペトリ皿（Ｐ）を平行に並んだ位置で保持するように構成されたものである、請求項１～１３のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
15. コンテナ（４４）の少なくとも１つの開口（４５）を選択的に閉めるように構成された扉（５６）、ここにおいて、扉は好ましくは移送ポート（Ｒ）、好ましくは「アルファパート扉設計（alpha part door design）」である移送ポート（Ｒ）、に連結されるように構成される、請求項１～１４のいずれか一項に記載の移送機構（４０）。
16. １つ以上の対象物（Ｏ）を、移送ポート（Ｒ）を通して無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内に移送する方法であって、方法は
    （ａ）保持手段（４７）内に保持された１つ以上の対象物（Ｏ）、前記対象物（Ｏ）は好ましくはペトリ皿（Ｐ）であり、を含む、請求項１～１５のいずれか一項に記載の移送機構／装置（４０）を提供するステップ、
    （ｂ）前記移送機構／装置（４０）を前記移送ポート（Ｒ）に取り付けるステップ、
    （ｃ）移送ポート（Ｒ）を開け、それにより移送機構／装置のコンテナ（４４）の内部を無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置の内部に開放するステップ、
    （ｄ）シャトル（４２）を並進運動で緯線方向（Ｘ）に沿って無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置の中に動かすステップ、および
    （ｅ）１つ以上の対象物（Ｏ）を保持手段（４７）から取り外す工程、
    を、含む前記方法。
17. 請求項１６に記載の方法であって、ステップ（ｄ）が次のステップ
    （ｄ‘）シャトル（４２）を、並進運動で緯線方向（Ｘ）に沿って、並進運動の軸方向の特定位置まで、無菌のまたは少なくとも清浄な処理領域または遮断装置内に動かすステップ、および
    （ｄ“）マウント（４３）または保持手段（４７）を、並進運動の特定の軸方向位置において少なくとも１つの回転軸（Ｙ）周りに枢動させ、任意選択で同時にシャトル（４２）を並進運動でその緯線方向（Ｘ）に沿って並進運動の終端位置まで移動を継続させるステップを含む、前記方法。
18. 請求項１７に記載の方法であって、
    ステップ（ｄ“）において、マウント（４３）または保持手段（４７）は本質的に９０度枢動され、これにより１つ以上の対象物（Ｏ）を本質的に垂直な方向から本質的に水平な方向へと、またはその逆へと、持ち来す、前記方法。