JP2023547445A - 誤差検出機能を有する用量ロギングセンサシステム - Google Patents

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Abstract

薬剤送達システムであって、薬剤排出手段と、排出される薬剤の量を決定するよう適合された、センサシステムを有する電子回路と、を備え、センサシステムが、オフ状態とオン状態との間でセンサシステムを作動させるためのスイッチを備える、薬剤送達システム。電子回路は、エネルギーを節約するために所与の時間の後、センサシステムを高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させるように適合され、センサシステムが低電力スリープ状態にある状態では、スイッチがオン状態からオフ状態に作動されるときを検出し、これが誤差期間を作り出す。誤差期間が検出されたとき、ディスプレイは、センサシステムが、少なくとも誤差期間に対応する期間、誤差状態にあったことをユーザに示す。【選択図】図25

Description

本発明は一般に、データの生成、収集、および保存が関連した医療装置に関する。特定の実施形態では、本発明は、信頼性の高い、そして効率的なやり方で薬剤送達用量データを捕捉するための装置、システム、および方法に関する。
本発明の開示では、回転駆動部材によって駆動されるねじピストンロッドを含む薬剤送達装置が主に参照され、このような装置は、例えば、インスリン送達による糖尿病の治療において使用されるが、これは単に本発明の例示的使用である。
薬剤注射装置は、薬剤および生物学的薬剤を自己投与する必要がある患者の生活を大幅に改善した。薬剤注射装置は、注射手段を有するアンプルにすぎない単純な使い捨て装置を含む多くの形態を取る場合があり、または予め充填されたカートリッジと併用するように適合された耐久性のある装置であってもよい。それらの形態およびタイプに関わらず、注射可能な薬剤および生物学的薬剤を自己投与するための患者の補助においては大きな助けであることが証明されている。また、それらは、介護者が自己注射を実施することができない者に注射可能な医薬品を投与するのを大いに支援する。
必要量のインスリン注射を適切な時点に適切なサイズで実施することは、糖尿病を管理するために必要不可欠であり、すなわち指定されたインスリンレジメンを遵守することが重要である。医療従事者が、処方された用量パターンの有効性を決定することを可能にするために、糖尿病患者は各注射のサイズおよび時間のログを記録することを推奨される。しかしながら、こうしたログは通常手書きのノートに記録され、そしてログ付けされた情報はデータ処理のためにコンピュータに簡単にはアップロードされない場合がある。さらに、患者によって記載される事象のみがログ付けされるため、ノートシステムは、ログ付けされた情報が患者の疾患の治療において何らかの価値を持つとすれば、患者は各注射をログ付けすることを覚えておく必要がある。ログ中の欠如した記録または誤った記録は、注射履歴の実態が誤ったものとなり、ひいては、将来の薬剤治療に関する医療従事者の意思決定の土台が誤ったものとなる。したがって、医薬品送達システムからの注射情報のログ付けを自動化することが望ましい場合がある。
一部の注射装置は、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されているように、このモニタリング/取得機構を装置自体に一体化するが、今日のほとんどの装置はそれがない。最も広く使用されている装置は、耐久性があるかまたは予め充填されたかのいずれかである、単なる機械的な装置である。後者の装置は、空になった後に廃棄されるため、安価であり、装置自体内に内蔵電子データ取得機能を構築することはコスト的に見合わない。この問題に対処するため、所与の医療用装置の使用を表すデータをユーザが生成、収集、および分散するのに役立つであろう多くの解決策が提案されてきた。
例えば、特許文献3は、ペンタイプの薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように適合された電子補助装置(「アドオンモジュール」または「アドオン装置」とも称される)を第1の実施形態で説明している。装置は、カメラを含み、薬剤送達装置の投薬ウィンドウを通して見える回転スケールドラムから捕捉された画像の光学文字認識(OCR)を実施し、薬剤送達装置にダイヤルされた薬剤の用量を決定するように構成されている。特許文献3はまた、設定用量に対応する装置から近位側に延びる打込みねじを含むペンタイプの薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように適合された電子補助装置の第2の実施形態を記述している。補助装置は、打込みねじの軸方向延長を決定するためのセンサ手段、ならびに近位側送達ボタンの動作を検出するためのセンサ手段を含む。特許文献4は、ペンタイプの薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように適合された電子補助装置を開示する。装置は、カメラを含み、OCRに基づいてスケールドラム値を決定するように構成されている。排出された用量のサイズを適正に決定するために、補助装置は、用量サイズが設定、修正、または送達されているかどうかを決定するための追加的な電気機械的センサ手段をさらに備える。ペン式装置用のさらなる外部装置が、特許文献5に示されている。
特許文献6は、センサシステムおよびスイッチを備える電子アドオン容量ロギング装置を開示し、スイッチは、ロギング装置が薬剤送達ペン式装置に取り付けられたときに、ペンキャップが取り付けられた位置にあるときのオフ状態と、キャップが取り外されたときのオン状態との間で操作されるように適合されている。センサシステムは、スイッチがオフ状態からオン状態に操作されたときにオンになり、スイッチがオン状態からオフ状態に操作されたときにオフになる。エネルギーを節約するために、センサシステムは、所定の時間が経過したときに、自動的にオフになる。センサシステムが自動的にオフになり、ペンキャップが取り付けられ、したがって、スイッチがオン状態からオフ状態に操作されたとき、警告メッセージが、排出された用量が捕捉されていない可能性があることをユーザに示す。
上記に関して、本発明の目的は、排出された薬剤の量のサイズを決定するためのセンサ手段を含む薬剤送達組立品の信頼できる効率的な操作を可能にする装置および方法を提供することである。センサ手段は、例えば、薬剤送達装置に組み込まれてもよく、またはユーザが取り付け可能なアドオン装置として提供されてもよい。軸方向に移動するインジケータの回転特性を信頼できる安全なやり方で測定され得るセンサ組立品を提供することは、本発明の特定の目的である。
米国特許公開第2009/0318865号 国際公開第2010/052275号 国際公開第2014/037331号 国際公開第2014/020008号 国際公開第2014/161952号 米国特許第10,159,797号
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または以下の開示から、および例示的な実施形態の説明から明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
所与の用量ロギングセンサシステムを操作するとき、ユーザは、(不注意により)システムを不正確に操作する場合があり、結果として、システムが意図されたように機能しない場合がある。排出された用量の不正確なまたは欠如した検出またはロギングを防止するために、システムは、そのような状況を識別し、それに応じてユーザに警告するように設計され得る。
しかしながら、本発明は、センサシステムの誤動作が、それが隠され、断続的であり得るのと同様に、直接的なユーザ操作にも無関係であり得、これが所与の排出された用量を検出することに失敗するリスクを結果的にもたらすという認識に基づく。
したがって、本発明の第1の態様では、薬剤貯蔵部または薬剤貯蔵部を受容するための手段、薬剤排出手段、および電子回路を備える薬剤送達システムが提供される。用量排出手段は、ユーザが薬剤貯蔵部から排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする、用量設定部材と、近位位置と遠位位置との間で作動可能な解放部材であって、近位位置は、投与量が設定されることを可能にし、遠位位置は、薬剤排出手段が設定用量を排出することを可能にする解放部材と、を備える。電子回路は、排出された投与量のサイズを示す、薬剤排出中の薬剤排出手段の特性を測定するように適合されたセンサシステムであって、センサシステムが、低電力オフ状態と高電力オン状態との間で作動可能である、センサシステムと、オフ状態およびオン状態を有するスイッチであって、スイッチが、オフ状態とオン状態との間で作動されるときに、センサシステムをオフ状態とオン状態との間で作動させるように適合され、スイッチは、解放部材が近位位置と遠位位置との間で作動されるときに作動される、スイッチと、(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、ユーザにログデータを表示するためのディスプレイと、を備える。
電子回路は、スイッチがオン状態にある状態で、所与の時間後にセンサシステムを高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させ、対応する誤差開始タイムスタンプをメモリに記憶することと、センサシステムが低電力スリープ状態にある状態で、(i)スイッチがオン状態からオフ状態に作動されるか、または(ii)スイッチがオフ状態からオン状態に作動されるときを検出し、対応する誤差終了タイムスタンプをメモリに記憶することであって、これが誤差期間を作り出す、記憶することと、少なくとも誤差期間に対応する期間、センサシステムが誤差状態にあったことをユーザに示すようにディスプレイを制御することと、を行うように適合されている。
この配置によって、センサシステムが誤差状態にあったこと、およびセンサシステムが誤差状態にあった時間の間に、またはその近傍で発生した可能性がある用量排出事象がロギングされていないことが、ユーザに通知され得ることが確保される。
明らかであるように、2つの異なるスイッチ事象が誤差期間を作り出し得る。第1の事象タイプについて、電子回路は、低電力スリープ状態の間に適合され、断続的に再起動し、スイッチが解放され、オフ状態に戻ったかどうかを検出するように適合され、これは、一定量のエネルギーを必要とする。第2の事象タイプについて、電子回路は、ユーザによってオフ状態からオン状態に作動されたときに、解放されたスイッチの正常な操作を待機するように適合され、これは、より少ないエネルギーを必要とし得る。
センサシステムが、誤差期間に対応する時間の間、誤差状態にあったことをユーザに示してもよいが、示された期間は、登録された誤差期間自体の前および/または後の時間をカバーするように延長されてもよい。例えば、誤差期間の直前または直後に作り出された用量ログエントリが不正確に決定されている可能性があることを防止するために、隔離期間が追加され得る。簡潔さを提供するために、2つの「正常」な用量ログエントリの間にロギングされたいくつかの誤差期間は、2つの「正常」な用量ログエントリの間の全期間が、少なくとも1つのロギングされた誤差期間を含有する場合、それが誤差期間として示され得るように、単一の誤差期間に組み合わせられ得る。
例示的な実施形態では、薬剤送達システムは、薬剤送達組立品と、薬剤送達組立品からデータを無線で受信するように適合されたディスプレイ装置と、を備える。薬剤送達組立品が、薬剤貯蔵部または薬剤貯蔵部を受容するための手段と、センサシステムと、スイッチと、(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合された第1のメモリと、無線送信機手段と、を備える。ディスプレイ装置が、第2のメモリと、無線送信機手段からログデータを受信し、ログデータを第2のメモリに記憶するように適合された無線受信機手段と、ディスプレイと、を備える。
薬剤送達組立品が、薬剤送達装置と、薬剤送達装置上に取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオン装置と、を備え、薬剤送達装置が、薬剤貯蔵部または薬剤貯蔵部を受容するための手段と、薬剤排出手段と、を備え、アドオン装置が、センサシステムと、スイッチと、を備える。
例示的な実施形態では、薬剤送達組立品は、少なくとも直前に記憶されたデータを送信して、それによって、第2のメモリを更新するように作動されるように適合され、ディスプレイ装置は、ログデータを表示するための要求を受信することと、ログデータを表示するための要求が受信されるとき、ユーザに、薬剤送達組立品を作動させて、少なくとも直前に記憶されたデータを送信することによってログメモリを更新することを促すことと、誤差ログデータが受信されるときに、スリープ状態の開始と誤差期間の時間との間の期間、センサシステムが誤差状態にあったことをユーザに示すようにディスプレイを制御することと、を行うように適合されている。
本発明の第2の態様では、薬剤送達装置上に取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオン装置が提供され、薬剤送達装置が、ハウジングと、薬剤貯蔵部または薬剤貯蔵部を受容するための手段と、薬剤排出手段であって、ユーザが薬剤貯蔵部から排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする、用量設定部材と、近位位置と遠位位置との間で作動可能な解放部材であって、近位位置は、投与量が設定されることを可能にし、遠位位置は、薬剤排出手段が、設定された用量を排出することを可能にする、解放部材と、を備える。アドオン装置は、電子回路を備え、電子回路が、排出された投与量のサイズを示す、薬剤排出中の薬剤排出手段の特性を測定するように適合されたセンサシステムであって、センサシステムが、低電力オフ状態と高電力オン状態との間で作動可能である、センサシステムと、オフ状態とオン状態との間でセンサシステムを作動するためのスイッチであって、スイッチは、解放部材が、近位位置と遠位位置との間で作動されるときに作動される、スイッチと、(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、外部受信装置にデータを送信するための無線送信機手段と、を備える。
電子回路は、スイッチがオン状態にある状態で、所与の時間後にセンサシステムを高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させ、対応する誤差開始タイムスタンプをメモリに記憶することと、センサシステムが低電力スリープ状態にある状態で、(i)スイッチがオン状態からオフ状態に作動されるか、または(ii)スイッチがオフ状態からオン状態に作動されるときを検出し、対応する誤差終了タイムスタンプをメモリに記憶することであって、これが誤差期間を作り出す、記憶することと、(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを送信するように無線送信機手段を制御することと、を行うように適合されている。このようにして、外部受信装置は、センサシステムが、少なくとも誤差期間に対応する期間、誤差状態にあったことをユーザに示すことができる。
事象が回転可能である例示的な実施形態では、アドオン装置は、薬剤送達装置ハウジングに取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオンハウジングと、直接的または間接的に、用量設定部材と係合するように適合されたアドオン用量設定部材と、作動可能なアドオン解放部材と、さらに備える。アドオン解放部材は、アドオンハウジングに対して、(i)アドオン装置が薬剤送達装置に取り付けられた状態で、アドオン用量設定部材が、用量設定部材を回転させて、用量を設定するように操作され得る、近位用量設定位置と、(ii)アドオン装置が薬剤送達装置に取り付けられた状態で、解放部材が、その遠位位置に移動して、設定された用量を解放する、遠位用量排出位置との間で、軸方向に移動可能である。スイッチは、アドオン解放部材が近位位置と遠位位置との間で作動されるときに、作動される。
アドオン装置は、薬剤用量ログデータを表示するように適合されたディスプレイ装置、例えば、スマートフォンと組み合わせて提供され得、ディスプレイ装置は、薬剤用量ログデータを記憶するように適合されたメモリと、ユーザにログデータを表示するためのディスプレイと、外部薬剤用量ロギングシステムから、(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを受信するように適合された無線受信機手段と、を備える。
スリープ状態では、システムは、スイッチがオン状態からオフ状態に作動される(すなわち、動かないオン位置から解放される)ことを検出するように適合され得るが、これに対し、低電力オフ状態では、システムは、スイッチがオフ状態からオン状態に作動されることを検出するように適合される。電子回路は、誤差期間が作り出されたときに、センサシステムを低電力スリープ状態から低電力オフ状態に作動するように適合され得る。あるいは、センサシステムは、スイッチがオフ状態からオン状態に作動されるときに、センサシステムが低電力スリープ状態と高電力オン状態との間で作動可能である状態で、スリープ状態のままであってもよい。
作動スイッチが、投与事象中に適切な操作に戻る場合があるため、すなわち、薬剤送達装置およびアドオンロギング装置は、ユーザが(断続的な)誤動作またはタイムアウト事象を認識せずに使用される場合があるため、所与の投与量が不正確に登録される場合がある。これに対応して、誤差期間がロギングされた前および/または後に、所与の時間にわたって「隔離期間」が確立され得る。隔離期間中に検出された任意の用量事象は、「未知の用量サイズおよび薬剤タイプ」として示され得る。
本発明のさらなる態様では、薬剤用量ログデータを表示するように適合されたディスプレイ装置、例えば、スマートフォンが提供され、ディスプレイ装置は、(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、ユーザにログデータを表示するためのディスプレイと、ユーザ要求入力手段と、外部薬剤用量ロギングシステムから、(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを受信するように適合された無線受信機手段と、電子回路と、を備える。電子回路は、メモリに記憶されたログデータを表示するための要求を受信することと、ログデータを表示するための要求が受信されるとき、ユーザに、外部薬剤用量ロギングシステムを作動することによってメモリを更新して、その中に記憶された少なくとも直前のデータを送信することを促すことと、誤差期間に関連するログデータが受信されるときに、少なくとも誤差期間に対応する期間、センサシステムが誤差状態にあったことをユーザに示すようにディスプレイを制御することと、を行うように適合されている。
例示的な実施形態では、電子回路は、ユーザにメモリを更新するように促した後、および所与の時間内に用量ログデータが受信されない場合、ユーザがオーバーライド要求を行うことを可能にすることと、オーバーライド要求を受信した後、更新されていないログデータを表示することと、を行うように適合されている。
本発明のさらなる態様では、ログメモリに記憶されたログデータの表示を制御する方法が提供され、方法は、(a)ユーザからログデータの表示に対する要求を受信する工程と、(b)ユーザに、ロギング装置から、更新されたログデータを送信することによって、ログメモリを更新するように促す工程と、(c)ロギング装置から、(i)更新されたログデータ、および/または(ii)ロギング装置に対する誤差期間に関連する更新されたログデータを受信する工程と、(d)(i)更新されたログデータ、および/または(ii)ロギング装置が少なくとも誤差期間に対応する期間、誤差状態にあったことの指示を表示することを表示する工程と、を含む。
ユーザにログメモリを更新するように促した後、および所与の時間内に用量ログデータが受信されない場合、方法は、ユーザがオーバーライド要求を行うことを可能にする工程と、オーバーライド要求を受信した後、更新されていないログデータを表示する工程と、を含み得る。
本明細書で使用される場合、「インスリン」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液などの、制御された様式でカニューレまたは中空針などの送達手段を通過することができ、血糖コントロール効果を有する任意の薬剤含有流動性医薬品、例えば、ヒトインスリンおよびその類似物、ならびにGLP-1およびその類似体のような非インスリンを包含することを意味する。例示的な実施形態の説明では、インスリンの使用に対して参照がなされるが、しかし説明されるモジュールは、その他のタイプの薬剤(例えば成長ホルモン)のログを作り出すためにも使用することが可能である。
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、ペン式装置を示している。 図1Bは、ペンキャップが取り外された状態の図1Aのペン式装置を示している。 図2は、図1Aのペン式装置の構成要素の分解組立図を示している。 図3Aおよび図3Bは、2つの状態における排出機構の断面図を示す。 図4Aおよび図4Bは、アドオン装置および薬剤送達装置の概略的な表現を示す。 図4Cは、用量ロギング機能を備える一体型薬剤送達装置の概略的な表現を示す。 図5は、薬剤送達装置のハウジング上に取り付けられたアドオン装置を断面図で示す。 図6は、薬剤送達装置と組み合わせたアドオン装置の第2の実施形態を示す。 図7Aおよび図7Bは、図6のアドオン装置の断面図を示す。 図7Cは、図7Aのアドオン装置に組み込まれた電子センサ回路の詳細を示す。 図8A~図8Dは、断面図で異なる動作状態における、薬剤送達装置に取り付けられた図6のアドオン装置を含む組立品を示す。 図9は、アドオン装置の第3の実施形態の構成要素の分解組立図を示す。 図10Aおよび図10Bは、ペン式装置上に設置された図9のアドオン装置の、異なる状態における構成要素を示す。 図11Aおよび図11Bは、図10Aおよび図10Bに示される装置の断面図を示す。 図12Aおよび図12Bは、組み立てられた状態の第3の実施形態を部分切り欠き図で示す。 図13A~図13Fは、一連の動作状態における第3の実施形態を断面図で示す。 図14は、リング形態のトレーサー構成要素内に等距離で配設された個別の双極子磁石を示す。 図15Aは、個別の磁石の間に組み合わせて配設された、磁化可能な材料から製造されたトレーサー構成要素を示す。 図15Bは、多極電磁場内に配設された磁化可能な材料から製造されたトレーサー構成要素を示す。 図16は、トレーサー構成要素に対して配設された磁気計を含むセンサシステムの異なる実施形態を示す。 図17Aは、第1のセンサセットアップと組み合わせた双極トレーサー磁石に対する角度測定値を示す。 図17Bは、第2のセンサセットアップと組み合わせた四重極トレーサー磁石の角度測定値を示す。 図18は、磁石の完全な一回転にわたる四重極磁石からの信号を示す。 図19は、図18からの信号の周波数成分のマップを示す。 図20は、四重極磁石および7つの磁気計の組立品を示す。 図21は、薬剤送達装置上に取り付けられたアドオン装置のさらなる実施形態を示す。 図22は、薬剤送達装置上に取り付けられたアドオン装置のまたさらなる実施形態を示す。 図23Aおよび図23Bは、静的サンプリング戦略の第1および第2の実施例を示す。 図24は、動的サンプリング戦略の一実施例を示す。 図25は、センサシステム誤動作を伴うシナリオを例示する。 図26および図27は、センサシステム誤動作およびユーザ警告を伴うシナリオを例示する。
図中、同様の構造物は、主として同様の参照番号によって識別される。
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは一般的に、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「組立品」という用語は、説明された構成要素が所与の組立手順の間に一体型の、または機能的組立品を提供するために組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類される構成要素を説明するために使用されるにすぎない。
本発明それ自体の実施形態へ戻る前に、予め充填された薬剤送達の一実施例が説明され、このような装置は本発明の例示的な実施形態の基盤を提供する。図1~図3に示されるペン型の薬剤送達装置100は、「一般的な」薬剤送達装置を表す場合があり、実際に示される装置は、Novo Nordisk A/S、Bagsvaerd,Denmarkによって製造および販売される、FlexTouch(登録商標)の予め充填された薬剤送達ペンである。
ペン式装置100は、キャップ部品107と、薬剤排出機構がその中に配設または一体化されているハウジング101を有する近位本体または駆動組立品部分を有する主要部分と、遠位の針貫通可能な隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ113が、近位部分に付着された取り外し不可能なカートリッジホルダーによって定位置に配設され保持される遠位カートリッジホルダー部分とを備え、カートリッジホルダーは、カートリッジの一部分が検査されるのを可能にする開口部、および針組立品が取り外し可能に取り付けられるのを可能にする遠位連結手段115を有する。カートリッジには、排出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが提供されており、例えば、インスリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を含んでもよい。多数の軸方向に向けられた溝182を有する最も近位の回転可能な用量設定部材180は、表示ウィンドウ102に示される望ましい用量の薬剤を手動で設定し、その後、ボタン190が作動されたときにこれを排出することができるように機能する。下記の説明から明らかとなるように、示される軸方向に向けられた溝182は、「駆動溝」と称されてもよい。用量設定部材180は、概して円筒状の外表面181を有し(すなわち、用量設定部材はわずかにテーパー状であってもよい)、示された実施形態では、外表面は、用量設定中の指のつかみを改善するために、複数の軸方向に向けられた微細溝を含むことによって質感が与えられている。ウィンドウは、面取りされた縁部分109および用量ポインタ109Pによって囲まれたハウジング内の開口部の形態であり、ウィンドウは、螺旋状に回転可能なインジケータ部材170(スケールドラム)の一部分を観察することを可能にする。薬剤送達装置内に具体化される排出機構のタイプに応じて、排出機構は、実施形態に示されるように、用量設定中に変形され、その後、解放ボタンが作動するときに解放されてピストンロッドを駆動するばねを備えてもよい。別の方法として、排出機構は完全に手動であってもよく、その場合、例えば、Novo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlexPen(登録商標)のように、設定された用量サイズに対応する用量設定中に、用量部材および作動ボタンを近位に移動し、次に、設定用量を排出するためにユーザによって遠位に移動する。
図1は、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示し、すなわち、これは予め取り付けられたカートリッジを有して供給され、カートリッジが空になったとき廃棄されるが、代替的な実施形態では、薬剤送達装置は、充填されたカートリッジと交換することが可能であるように、例えば、カートリッジホルダーが装置主要部分から取り外されるように適合された「後方装填式」薬剤送達装置の形態で、または別の方法として、カートリッジが遠位開口部を通して装置の主要部分に取り外し不可能に付着されたカートリッジホルダー内に挿入される、「前方充填式」装置の形態で設計されてもよい。
本発明は、薬剤送達装置と相互作用するように適合された電子回路に関するため、このような装置の例示的な実施形態を、本発明をより良好に理解するために説明する。
図2は、図1に示すペン型の薬剤送達装置100の分解組立図を示している。より具体的には、ペンは、ウィンドウ開口部102を有する管状ハウジング101を備え、そしてその上にカートリッジホルダー110が固定的に取り付けられ、薬剤充填済みカートリッジ113がカートリッジホルダー内に配設される。カートリッジホルダーには、針組立品116が取り外し可能に取り付けられることを可能にする遠位連結手段115と、キャップ107が、カートリッジホルダーおよび取り付けられた針組立品を覆って、取り外し可能に取り付けられることを可能にする2つの対向する突出部111の形態の近位連結手段と、例えばテーブルの上面上でペンが転がるのを防止する突出部112と、が提供される。ハウジング遠位端には、ナット要素125が固定的に取り付けられ、ナット要素は中央ねじ穴126を備え、またハウジング近位端には中央の開口部を有するばね基部部材108が固定的に取り付けられる。駆動システムは、2つの対向する長軸方向の溝を有し、ナット要素のねじ穴内に受容されるねじピストンロッド120と、ハウジング内に回転方向に配設されたリング形態のピストンロッド駆動要素130と、駆動要素(下記参照)と回転係合し、その係合がクラッチ要素の軸方向移動を可能にするリング形態のクラッチ要素140とを含む。クラッチ要素には、ハウジング内表面上の対応するスプライン104(図3Bを参照)と係合するように適合された外側スプライン要素141が提供され、これは、スプラインが係合している回転方向に係止された近位位置とスプラインが係合から外れている回転方向に自由な遠位位置との間でクラッチ要素が移動することを可能にする。今まさに述べたように、両方の位置では、クラッチ要素は駆動要素に対して回転方向に係止される。駆動要素は、ピストンロッドの溝と係合している2つの対向する突出部131を有する中央の穴を備え、それによって駆動要素の回転は、ピストンロッドとナット要素との間のねじ係合のために、ピストンロッドの回転をもたらし、それによって遠位の軸方向移動をもたらす。駆動要素は、ハウジング内表面上に配設された対応するラチェット歯105に係合するように適合された、一対の対向する円周方向に延びる可撓性のラチェットアーム135をさらに含む。駆動要素およびクラッチ要素は、それらを一緒に回転方向に係止するが、クラッチ要素が軸方向に移動することを可能にする協働する連結構造を備え、これはクラッチ要素が、回転することができるその遠位位置へと軸方向に移動することを可能にし、それによってダイヤルシステム(下記参照)から駆動システムへと回転移動を伝達する。クラッチ要素、駆動要素、およびハウジング間の相互作用は、図3Aおよび図3Bを参照しながらより詳細に示され、かつ説明される。
ピストンロッド上には、内容量終了(EOC)部材128が螺着されており、また遠位端上にはワッシャー127が回転方向に取り付けられている。EOC部材は、リセットチューブと係合するための一対の対向する半径方向の突起129を含む(下記参照)。
ダイヤルシステムは、ラチェットチューブ150と、リセットチューブ160と、外側に螺旋状に配設された用量を示す列を形成するパターンを有するスケールドラム170と、排出される薬剤の用量を設定するためにユーザ操作されるダイヤル部材180と、解放ボタン190と、トルク駆動ばね155とを含む(図3参照)。ダイヤル部材には、リセットチューブ上に配設された多数の対応する外側歯161に係合する円周の内側歯構造181が提供され、これは、リセットチューブが用量設定中に近位位置にあるときに係合状態にあり、リセットチューブが用量排出中に遠位側に移動するときに係脱状態にあるダイヤル連結を提供する。リセットチューブはラチェットチューブの内側に軸方向に係止されて取り付けられるが、数度回転することができる(下記参照)。リセットチューブは、その内表面上に、EOC部材の半径方向の突起129と係合するように適合された2つの対向する長軸方向の溝169を含み、それによってEOCはリセットチューブによって回転することができるが、軸方向に移動することが可能である。クラッチ要素は、ラチェットチューブ150の外側遠位端部分上に軸方向に係止されて取り付けられており、これにより、ラチェットチューブは、クラッチ要素を介してハウジングと回転係合に入り、かつ回転係合から外れるように、軸方向に移動することができる。ダイヤル部材180は軸方向に係止されて取り付けられるが、ハウジング近位端上で回転方向に自由であり、ダイヤルリングは,通常動作の下では、リセットチューブに回転方向に係止され(下記参照)、それによってダイヤルリングの回転はリセットチューブ160の、かつこれによってラチェットチューブの対応する回転をもたらす。解放ボタン190は、リセットチューブに対して軸方向に係止されているが、自由に回転することができる。戻りばね195は、ボタン上およびそこに取り付けられたリセットチューブに対して近位に方向付けられた力を提供する。スケールドラム170は、ラチェットチューブとハウジングとの間の円周方向の空間内に配設され、ドラムは協働する長軸方向スプライン151、171を介してラチェットチューブに回転方向に係止され、かつ協働するねじ構造103、173を介してハウジングの内表面と回転ねじ係合となっており、それによってドラムがラチェットチューブによってハウジングに対して回転するときに数字の列がハウジング内のウィンドウ開口部102を通る。トルクばねは、ラチェットチューブとリセットチューブとの間の円周方向の空間内に配設され、その近位端において、ばね基部部材108に固定され、かつその遠位端において、ラチェットチューブに固定され、それによってラチェットチューブがダイヤル部材の回転によってハウジングに対して回転されたときにばねは変形される。ラチェットチューブとクラッチ要素との間に可撓性のラチェットアーム152を有するラチェット機構が提供され、クラッチ要素には円周方向の内側歯構造142が提供され、各歯は、用量が設定されたときにリセットチューブを介してユーザによって回転された位置にラチェットチューブが保持されるように、ラチェット停止部を提供する。設定用量の減少を可能にするため、ラチェット解放機構162がリセットチューブ上に提供され、かつラチェットチューブに作用し、これによって、ダイヤル部材を反対方向に旋回させることにより、1つ以上のラチェットの刻みだけ設定用量を減少させることが可能になり、リセットチューブがラチェットチューブに対して上述の数度だけ回転されるとき、解放機構が作動される。
排出機構の異なる構成要素およびそれらの機能的関係について説明してきたが、次に機構の動作について、主として図3Aおよび図3Bを参照しながら説明する。
ペン式機構は、上述のとおり、用量システムおよびダイヤルシステムの2つの相互作用システムとみなすことができる。用量設定中、ダイヤル機構は回転し、ねじりばねに負荷がかけられる。用量機構はハウジングに係止され、移動することができない。押しボタンが押下されたとき、用量機構はハウジングから解放され、かつダイヤルシステムへの係合に起因して、ねじりばねはここでダイヤルシステムを開始点に戻すように回転させ、また用量システムをそれとともに回転させる。
用量機構の中央部分はピストンロッド120であり、ピストンの実際の変位はピストンロッドによって行われる。用量送達中、ピストンロッドは、駆動要素130によって回転し、かつハウジングに固定されたナット要素125とのねじの相互作用によって、ピストンロッドが遠位方向で前方に移動する。ゴムピストンとピストンロッドとの間に、ピストンワッシャー127が定置され、これは回転ピストンロッドの軸方向軸受として機能し、かつゴムピストン上の圧力を均一にする。ピストンロッドは、ピストンロッド駆動要素がピストンロッドと係合する非円形断面を有するため、駆動要素はピストンロッドに対して回転方向に係止されているが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。結果として、駆動要素の回転は、ピストンの直線的に前方に移動をもたらす。駆動要素には、駆動要素が(押しボタンの端から見て)時計回りに回転することを防止する小さいラチェットアーム134が提供される。したがって、駆動要素との係合に起因して、ピストンロッドは前方にのみ移動することができる。用量送達中、駆動要素は反時計回りに回転し、ラチェットアーム135は、ラチェット歯105と係合することによってユーザに小さなクリック音、例えば、排出されたインスリン一単位当たり1クリック音も与える。
ダイヤルシステムに目を移すと、ダイヤル部材180を旋回させることによって用量が設定され、かつリセットされる。ダイヤルを旋回させると、リセットチューブ160、EOC部材128、ラチェットチューブ150、およびスケールドラム170は、ダイヤル連結が係合状態にあることに起因して、全てダイヤルとともに旋回する。ラチェットチューブはトルク駆動ばね155の遠位端に接続されているため、ばねに負荷がかかる。用量設定中に、ラチェットのアーム152は、クラッチ要素の内側歯構造142との相互作用に起因して、ダイヤルが回されるユニットごとにダイヤルクリックを実施する。示された実施形態では、クラッチ要素には、ハウジングに対して360度の完全な回転に対して24回のクリック(刻み)を提供する24個のラチェット停止部が提供される。ばねは組立中に予め負荷がかけられており、これによって機構は小用量および大用量の両方を許容可能な速度間隔内で送達することが可能になる。スケールドラムはラチェットチューブと回転方向に係合しているが、軸方向に移動可能であり、かつスケールドラムはハウジングとねじ係合しているため、ダイヤルシステムが旋回すると、スケールドラムは螺旋状パターンで移動し、設定用量に対応する数字がハウジングウィンドウ102に示される。
ラチェットチューブとクラッチ要素140との間のラチェット152、142は、ばねが部品の旋回を戻すことを防止する。リセット中、リセットチューブはラチェットアーム152を移動させ、これによってクリックごとにラチェットを解放し、1つのクリックは、説明した実施形態ではインスリンの1単位IUに対応する。より具体的には、ダイヤル部材が時計回りに回転されたとき、リセットチューブは単にラチェットチューブを回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯構造142と自由に相互作用することを可能にする。ダイヤル部材を反時計回りに旋回すると、リセットチューブはラチェットクリックアームと直接相互作用し、クラッチ内の歯から離れてペンの中心に向かってクリックアームを押し、それゆえにラチェット上のクリックアームが、負荷がかけられたばねによって生じるトルクに起因して「1クリック」後方に移動することを可能にする。
設定用量を送達するために、図3Bに示すように、押しボタン190はユーザによって遠位方向に押される。ダイヤル連結161、181は係脱され、またリセットチューブ160はダイヤル部材から連結が外され、その後クラッチ要素140はハウジングスプライン104と係脱される。ここで、ダイヤル機構は、駆動要素130とともに「ゼロ」に戻り、これが排出される薬剤の用量につながる。薬剤送達中いつでも押しボタンを解放または押すことにより、いつでも用量を停止し開始することが可能である。ゴムピストンが非常に迅速に圧縮されるとゴムピストンの圧縮につながり、その後、ピストンが元の寸法に戻るときにインスリンの送達が行われるため、通常、5IU未満の用量は一時停止することができない。
EOC機能は、ユーザがカートリッジ内に残されているより大きい用量を設定することを防止する。EOC部材128は、リセットチューブに対して回転方向に係止され、これは用量設定中、リセット中、および用量送達中にEOC部材を回転させ、その間、ピストンロッドのスレッドのねじに従い、軸方向に前後に移動することができる。ピストンロッドの近位端に達すると、停止が提供され、これはダイヤル部材を含む全ての接続された部品が用量設定方向にさらに回転するのを防止する。すなわち、ここで設定用量はカートリッジ内の残りの薬剤含有量に対応する。
スケールドラム170には、ハウジング内表面上の対応する停止表面と係合するように適合された遠位停止表面174が提供され、これは、スケールドラムに対する最大用量での停止を提供し、ダイヤル部材を含む全ての接続された部品が用量設定方向にさらに回転されることを防止する。示された実施形態では、最大用量は80IUに設定される。これに応じて、スケールドラムには、ばね基部部材上の対応する停止表面と係合するように適合された近位停止表面が提供され、これは、ダイヤル部材を含む全ての接続された部品が、用量排出方向にさらに回転されることを防止し、これによって排出機構全体に「ゼロ」停止を提供する。
ダイヤル機構に何か障害があり、スケールドラムがゼロ位置を越えて移動することを可能にする場合、偶発的な過剰投薬を防止するために、EOC部材はセキュリティシステムを提供するように機能する。より具体的には、満杯のカートリッジを有する初期状態では、EOC部材は、駆動要素と接触する軸方向で最遠位側の位置に位置付けられる。所与の用量が排出された後、EOC部材は再び駆動要素と接触するように位置付けられる。これに応じて、機構がゼロ位置を超えて用量を送達しようとする場合には、EOC部材は駆動要素に対して係止する。機構の様々な部品の許容誤差および可撓性に起因して、EOCが短距離を進むことにより、薬剤の少量の「過剰用量」(例えば、3~5IUのインスリン)が排出されることがある。
排出機構は、排出用量の終了時に明確なフィードバックを提供して、薬剤の全量が排出されたことをユーザに知らせる用量終了(EOD)クリック機能をさらに含む。より具体的には、EOD機能は、ばね基部とスケールドラムとの間の相互作用によってなされる。スケールドラムがゼロに戻ると、ばね基部上の小さいクリックアーム106は、前進するスケールドラムによって後向きに強制される。「ゼロ」の直前に、アームが解放され、アームはスケールドラム上の皿穴面を打つ。
示された機構には、ダイヤル部材を介してユーザによって加えられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッターがさらに提供される。この機能は、ダイヤル部材とリセットチューブとの間の境界面によって提供され、これは上述のように、相互に回転方向に係止される。より具体的には、ダイヤル部材にはいくつかの対応する外側歯161と係合する円周の内側歯構造181が提供され、この内側歯構造は、リセットチューブの可撓性の担体部分上に配設される。リセットチューブ歯は、所与の指定された最大サイズのトルク(例えば、150~300Nmm)を伝達し、それを上回ると、可撓性の担体部分および歯が内向きに曲がり、ダイヤル機構の残りの部分を回転させることなく、ダイヤル部材を旋回させるように設計されている。したがって、ペンの内側の機構は、トルクリミッターが歯を介して伝達するよりも高い負荷でストレスを受けることはない。
機械式薬剤送達装置の運転原理を説明したので、アドオン用量ロギング装置の実施形態を説明する。
図4Aおよび図4Bは、予め充填されたペン形状の薬剤送達装置200の第1の組立品、およびそのために適合されたアドオン用量ログ付け装置300の概略図を示している。アドオン装置は、ペン式装置ハウジングの近位端部分上に取り付けられるように適合され、図4Bに示す取り付けられた状態でのペン式装置上の対応する手段を覆う用量設定および用量解放手段380が提供される。示される実施形態で、アドオン装置は、薬剤送達ハウジング上に軸方向に取り付けられ回転方向に係止されるように適合された連結部分385を含む。アドオン装置は、回転可能な用量設定部材380を備え、これは、用量設定中に、アドオン用量設定部材の回転移動がいずれの方向でもペン式用量設定部材に伝達されるように、ペン式用量設定部材280に直接的または間接的に連結される。用量排出中および用量サイズ決定中に外部からの影響を低減するために、外側アドオン用量設定部材380は、図5の実施形態を参照しながらより詳細に説明されるように、用量排出中、ペン式用量設定部材280から回転方向に連結を外されていてもよい。アドオン装置は、遠位側に移動し、これによってペン式解放部材290を作動させることができる用量解放部材390をさらに含む。図5を参照して以下でより詳細に説明されるように、ユーザによってつかまれ回転されるアドオン用量設定部材は、それと回転方向で係合するペン式ハウジングに直接取り付けられてもよい。アドオン用量ロギング装置は、用量ログデータが、外部装置、例えば、タッチスクリーンディスプレイ351を備え、対応する用量ログアプリ実行する、ペアリングされたスマートフォン350に転送されることを可能にし、用量ログデータが、表示され、分析され、さらなる使用または処理のために、例えば、コンピュータネットワークまたはクラウドサービスにアップロードされることを可能にする、無線送信機手段を備える。
図4Cは、用量ログ機能を提供し、薬剤貯蔵部を受容するように適合され、したがって、再使用される一体化されたセンサシステムを備える、一体型薬剤送達装置250の概略図を示す。
図5に目を移すと、ペン型の薬剤送達装置100上に設置されるように適合されたアドオン用量ロギング装置400の第1の例示的な実施形態をより詳細に説明する。薬剤送達装置は、図1~図3を参照しながら説明した薬剤送達装置に本質的に対応し、それゆえにハウジング101と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材180と、近位用量設定位置と遠位用量解放位置との間で作動可能な解放部材190と、スケールドラム170と、リセットチューブ160とを含む。アドオンロギング装置と協働するために、薬剤送達装置は、リセットチューブ近位端に取り付けられているかまたはリセットチューブ近位端と一体的に形成されている概してリング形態のトレーサー磁石160Mを含むように修正され、磁石は投与量の排出中に回転するインジケータとして機能し、回転移動の量は排出された投与量のサイズを示すものである。さらに、ハウジングには、用量設定部材のすぐ遠位に円周方向の溝101Gが提供され、アドオン装置のための連結手段として機能する。
アドオン装置は、薬剤送達装置ハウジングに取り外し可能に取り付け可能な外側組立品410だけでなく内側組立品480も含む。内側組立品および外側組立品は、用量設定中に相互に回転方向に係止されているが、用量排出中は相互から回転方向で連結を外される。示された実施形態は実験的なプロトタイプに基づき、そのため構造の一部は多数の組み立てられた部品から形成される。
外側組立品410は、アドオン装置に対する一般軸を画定し、かつアドオン用量設定部材として機能する概して円筒状のハウジング部材411と、ペン式ハウジングの連結溝101Gと係合するように適合された遠位に配設された連結手段415と、ハウジング部材411に連結され、かつ初期の近位位置と作動した遠位位置との間で軸方向に移動可能な近位に配設された用量解放部材490とを含む。示された実施形態では、連結手段415は、アドオン装置が薬剤送達装置100の近位端の上にスライドしたときに、スナップ作用によってハウジング溝101G内に取り外し可能に受容されるように適合された多数のばね付勢連結部材の形態であり、これによって連結手段はアドオン装置をペン式装置へと軸方向に係止する。連結手段は、例えば、引く動作または解放機構の作動によって解放されてもよい。ハウジングは、近位部分に、内円周フランジ412および軸方向に向けられた多数の案内溝413を含む。用量解放部材490は、案内溝413内に受容された、軸方向に配向され周辺に配設された多数のフランジ493を備え、溝は近位停止部を提供し、これに対して用量解放部材は、ハウジングフランジ412と用量解放部材490との間に支持されている第1の戻りばね418によって付勢される。用量解放部材は、遠位内側フランジ部分494を有する内側の円筒状スカート部分492を備え、内側フランジ部分は遠位円周リップ495および軸方向に配向された係止スプライン496の近位アレイを含む。
内側組立品480は、内側ハウジング481と、その中に配設されたセンサモジュール460の形態の軸方向に移動可能なセンサシステムとを含む。内側ハウジングは、そこから中空の伝達チューブ483が近位に延びる近位壁部分482と、第2の付勢ばね468のための支持として機能する内円周フランジ部分484と、ペン式用量設定部材の駆動溝182(図1Aを参照)内に受容されるように適合された、軸方向に配向された多数の内側突出部が提供される遠位に延びる円周方向のスカート部分487とを備え、これによって2つの部材を相互に回転方向に係止し、係合はアドオン装置の設置および動作中にいくらかの軸方向の遊びを与える。別の方法として、スカート部分487には、下記に説明するタイプの半径方向内向きに付勢された駆動構造が提供されてもよい。中空チューブ483は、近位端に、円周リップ495と係合するように適合された遠位に面する停止表面を有するディスク型の部分と、用量解放部材490上の係止スプライン496と係合し、これによって内側組立品を用量解放部材に回転方向に係止し、それゆえに外側組立品を回転方向に係止するように適合された、軸方向に配向されたスプライン486の円周方向アレイとを含む。
センサモジュール460は、センサ部分および近位に延びる作動ロッド部分462を含む。センサ部分は、概して円筒状のセンサハウジング461を備え、その中に電子回路465が配設される(図5に概略的に示す)。センサハウジングは、ペン式作動部材190と係合するように適合された遠位作動表面を含む。初期用量設定モード(すなわち、用量解放部材490が初期近位位置にある)では、センサハウジングは、内側ハウジング近位壁部分482と係合するように第2の付勢ばね468によって近位に付勢され、かつ作動ロッド462は、伝達チューブ483から用量解放部材490の内部へと延び、作動ロッドの近位端463と用量解放部材の内側作動表面との間に軸方向の間隙が形成される。
電子回路465は、プロセッサ手段と、1つ以上のセンサと、1つ以上のスイッチと、無線送信機/受信機手段と、エネルギー源と含む電子構成要素を含む。センサは、ペントレーサー磁石160Mによって生成される磁場を測定するように適合された1つ以上の磁力計を備え、これにより、ペンリセットチューブの回転運動が可能になり、したがって、排出された用量サイズが決定される(例えば、国際公開第WO2014/161952号を参照)。装置のタイプを認識することを可能にするさらなるセンサ手段が提供されてもよく、例えば、発光体およびペン式解放部材の色を判断するように適合された色センサなどであり、色は、予め充填されたペン式装置に含有される薬剤タイプの識別子の役割を果たす。プロセッサ手段は、一般的マイクロプロセッサまたはASIC、埋め込みプログラムコードのための記憶装置を提供するROMなどの不揮発性プログラムメモリ、データのためのフラッシュメモリおよび/またはRAMなどの書き込み可能メモリ、ならびに送信機/受信機用のコントローラの形態であってもよい。
図5に示すペン式薬剤送達装置100上に設置されたアドオン装置400とともに使用する状況では、ユーザは、ハウジング部材411(すなわち、アドオン用量設定部材)およびそれとともに用量解放部材490も回転させることによって望ましい用量の設定を開始する。用量設定中に、用量解放部材はその初期近位位置に向かって付勢され、それによって、係止スプライン486、496を介して内側組立品480に回転方向に係止され、これはアドオン用量設定部材の回転移動を内側ハウジング461へと、それゆえにペン式用量設定部材180へと伝達することを可能にする。
用量が設定されると、ユーザは、第1の付勢ばね418の力に逆らって用量解放部材を遠位に移動することによって、用量解放部材490を作動させる。初期解放移動中に、係止スプライン486、496は係脱され、これは内側組立品480が用量解放部材から、それゆえに、アドオン用量設定ハウジング部材411から回転方向に連結を外される。さらなる解放移動中に、用量解放部材490は作動ロッド近位端463と係合し、それによってさらなる解放移動中に、センサモジュール460はペン式用量解放部材190に向かって遠位に移動し、その後ペン式解放部材と接触する。作動ロッド462およびアドオン用量解放部材490の係合表面は、回転移動の最小限の伝達のために最適化されている。最後に、アドオン解放部材490のさらなる遠位移動がペン式解放部材190の作動をもたらし、これによって設定用量が排出され、これによってセンサモジュール460はアクチュエータとして機能する。
排出された用量サイズを決定するために、トレーサー磁石160M、それゆえにリセットチューブ160の回転の量が決定される。より具体的には、センサモジュールの初期移動はセンサスイッチ(図示せず)を起動させ、これが次にセンサ電子機器465を起動し、磁気計からのデータのサンプリングを開始させ、これによって解放機構の解放前にトレーサー磁石160Mの回転開始位置を決定することが可能になる。この間、ペン式解放部材の色、したがってカートリッジに含有される薬剤のタイプも決定され得る。リセットチューブは、薬剤の用量の解放中に360度を超えて回転し得るので、解放中の回転運動が検出され、完全回転の数(ある場合)が決定される。リセットチューブの回転が停止したことが検出されたとき、例えば、設定用量を完全に排出されたとき、またはユーザによって外部投薬が一時停止されたとき、回転終了位置が決定され、これは排出された用量のサイズを決定することを可能にする。別の方法として、回転終了位置は、センサモジュール460がその初期位置に戻ったことをセンサスイッチが検出したときに決定されてもよい。
示されるように、薬剤排出中に外側組立品480から内側組立品460の回転方向で連結が外れることに起因して、アドオン装置の外側部品の移動がリセットチューブ160の回転移動および回転位置の正確な決定に悪影響を与えることが高度に防止される。
決定された用量サイズ(または用量サイズを後で計算することができるデータ)は、タイムスタンプおよび薬剤タイプ識別子(検出された場合)とともにログメモリに保存される。次いで、ログメモリの内容は、NFC、Bluetooth(登録商標)またはその他の無線手段によって、アドオンロギング装置とペアリングされた外部装置、例えば、対応するロギングアプリを実行するスマートフォンに送信されてもよい。送信は、排出事象後、および/またはユーザによって所望されるとき、例えば、用量が設定されずに解放ボタンを作動させることによって、自動的に行われ得る。好適なペアリングプロセスの一例は、欧州特許出願第17178059.6号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
図6を参照すると、ペン型の薬剤送達装置600上に設置するように適合されたアドオン用量ロギング装置700の第2の例示的な実施形態をより詳細に説明する。薬剤送達装置は、図1~図3を参照しながら説明した薬剤送達装置に本質的に対応し、それゆえに薬剤貯蔵部613が配設されるハウジング601と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材680と、近位用量設定位置と遠位用量解放位置との間で作動可能な解放部材690と、スケールドラム670と、リセットチューブ660とを含む。アドオンロギング装置700と協働するために、薬剤送達装置は、リセットチューブ近位端に取り付けられているかまたはリセットチューブ近位端と一体的に形成された概してリング形態の磁石660Mを含むように修正されており、磁石は投与量の排出中に回転するインジケータとして機能し、回転移動の量は排出された投与量のサイズを示すものである。さらに、ハウジング近位部分602には、用量設定部材のすぐ遠位に多数の突起601Pが提供され、アドオン装置のための連結手段として機能する。示された実施形態では、3つの連結突出部がハウジング上に等距離で位置する。
アドオン装置700は、薬剤送達装置ハウジングに取り外し可能に取り付け可能な外側組立品710、および内側組立品を含む(下記参照)。外側組立品710は、アドオン装置の一般軸を画定する概して円筒状の遠位連結部分719(図4Aの実施形態にあるように)を備え、連結部分は、薬剤送達ペンの対応する概して円筒状の連結部分を受容するように適合された概して円筒状の穴702を有し、ペン式ハウジング上の対応する連結突起601Pと係合し、かつ係合へと取り外し可能にスナップ留めされるように適合された多数のバヨネット連結構造715によって、薬剤送達ハウジング上で軸方向および回転方向に係止されて設置されるように適合されている。アドオン装置は、連結部分上で自由に回転可能に設置された近位用量設定部材711をさらに備え、これは図5の実施形態にあるように、アドオン用量設定部材711の回転移動がいずれの方向でもペン式用量設定部材に伝達されるように、ペン式用量設定部材680に連結される。アドオン装置は、用量設定中に用量設定部材とともに回転する用量解放部材790をさらに含む。用量設定部材上の内円周フランジ712上に支持された第1の付勢ばね718は、用量解放部材上に近位に方向付けられた付勢力を提供する。図5の実施形態にあるように、内側組立品および外側組立品は、用量設定中に相互に回転方向に係止されているが、用量排出中は相互に回転方向に連結を外される。
内側組立品780は、概して、図5の実施形態の内側組立品480に対応し、それゆえに概して、同一の機能を提供する同じ構造を含む。これに応じて、内側組立品は(図7Aを参照)、内側ハウジング781およびその中に配設された軸方向に移動可能なセンサモジュール760を含む。内側ハウジングは、中空の伝達チューブ構造783がそこから近位に延びる近位壁部分782と、第2の付勢ばね768のための支持として機能する遠位内円周フランジ部分784と、ペン式用量設定部材の駆動溝682(図6を参照)に係合するように適合された遠位に延びる周囲のスカート部分787とを備え、これによって2つの部材は相互に回転方向に係止し、係合はアドオン装置の設置および動作中にいくらかの軸方向の遊びを可能にする。示される実施形態では、用量設定部材の駆動溝682を係合する構造は、可撓性の指751の形態であり、以下でより詳細に説明するように設置を容易にすることができる。指は、示されるように、例えば、金属板部材の一部として形成された、スカート部分787に設置されてもよく、またはスカート部分と一体的に形成されてもよい。中空チューブ783は、近位端に、用量解放部材790の円周内側フランジ795と係合するように適合された遠位に面する停止表面を有する多数のフランジ部分788だけでなく、用量解放部材790上の係止スプライン796と係合し、これによって内側組立品を用量解放部材に、それゆえに外側組立品に回転方向で係止するように適合された、軸方向に配向された多数のスプラインも含む。
センサモジュール760は、センサ部分および近位に延びる作動ロッド部分762を含む。センサ部分は、概して円筒状のセンサハウジング761を備え、その中に電子回路765(下記参照)が配設される。センサハウジングは、磁石センサを覆い、かつペン式作動部材690と係合するように適合された遠位スペーサーキャップ764を含む。初期用量設定モード(すなわち、用量解放部材790が初期近位位置にある)では、センサハウジングは、内側ハウジング近位壁部分782と係合するように第2の付勢ばね768によって近位に付勢され、かつ作動ロッド762は、伝達チューブ783から用量解放部材790の内部へと延び、作動ロッドの近位端763と用量解放部材の内側作動表面との間に軸方向の間隙が形成される。
電子回路765は、プロセッサ手段、センサ、起動スイッチ(例えば、作動ロッド部分762上に加えられる軸方向力によって作動するドームスイッチ)、無線送信機/受信機手段およびエネルギー源を含む電子構成要素を含む。より具体的には、示された実施形態では、電子回路765は、遠位端から、その上に多数のセンサ構成要素(例えば、磁気計766M)が配設された第1のPCB 766A、一対のコインセルのための一対のコネクタディスク766B、その上に電子構成要素の大部分が取り付けられている第2のPCB 766C(例えば、プロセッサ、送信機/受信機およびメモリ)、および作動ロッド部分762がPCBに取り付けられた起動スイッチ766Sに接触して作動させることを可能にするスロットを有する上部ディスク766Dを含む、層状構造を備え、5つの部材は可撓性のリボンコネクタによって相互接続されている。
センサは、ペン磁石660Mによって生成される磁場を測定するように適合された多数の磁気計を備え、これにより、ペンリセットチューブの回転運動が可能になり、したがって、解放用量サイズが決定され、例えば、国際公開第2014/0161952号を参照されたい。装置のタイプを認識することを可能にするさらなるセンサ手段が提供されてもよく、例えば、発光体およびペン式解放部材の色を判断するように適合された色センサなどであり、色は、予め充填されたペン式装置に含有される薬剤タイプの識別子の役割を果たす。色センサおよび発光体は、(ヒトの目に対する)可視光または可視スペクトルの完全に外または部分的に外の光で作動し得る。プロセッサ手段は、一般的マイクロプロセッサまたはASIC、埋め込みプログラムコードのための記憶装置を提供するROMなどの不揮発性プログラムメモリ、データのためのフラッシュメモリおよび/またはRAMなどの書き込み可能メモリ、ならびに送信機/受信機用のコントローラの形態であってもよい。
ペン式薬剤送達装置600上に設置されたアドオン装置700と使用する状況では、ユーザは、用量設定部材711(すなわち、アドオン用量設定部材)およびそれとともに用量解放部材790も回転させることによって望ましい用量の設定を開始する。用量設定中に、用量解放部材はその初期近位位置に向かって付勢され、それによって、係止スプライン786、796を介して内側組立品780に回転方向に係止され、これはアドオン用量設定部材の回転移動を内側ハウジング761へと、それゆえにペン式用量設定部材680へと伝達することを可能にする。
用量が設定されると、ユーザは、第1の付勢ばね718の力に逆らって用量解放部材を遠位に移動することによって、用量解放部材790を作動させる。初期解放移動中に、係止スプライン786、796は係脱され、これは電子機器を有する内側組立品780を用量解放部材790から、それゆえにアドオン用量設定部材711から回転方向の連結を外される。さらなる解放移動の間、用量解放部材790は、作動ロッド近位端763と係合し(図8Aを参照)、それによってさらなる解放移動中にセンサモジュール760がペン式解放部材690に向かって遠位に移動し、その後ペン式解放部材と接触する(図8B参照)。作動ロッド762およびアドオン用量解放部材790の係合表面は、回転移動の最小限の伝達のために最適化されている。最後に、アドオン解放部材790のさらなる遠位の移動がペン式解放部材690の作動をもたらし(図8C参照、ここではリセットチューブ外側歯661が遠位に移動されている)、これによって設定用量が排出され(図8D参照)、これによってセンサモジュール760はアクチュエータとして機能する。
排出された用量サイズを決定するために、磁石660M、それゆえにリセットチューブ660の回転の量が決定される。より具体的には、センサモジュールの初期移動は、センサスイッチ766Sを起動させ、これが次にセンサ電子機器765を起動させ、磁気計からのデータのサンプリングを開始し、これによって解放機構の解放前に、磁石計660Mの回転開始位置を決定することができる。この間、ペン式解放部材の色、したがってカートリッジに含有される薬剤のタイプも決定され得る。リセットチューブ660は、薬剤の用量の解放中に360度を超えて回転するので、解放中の回転運動が検出され、(ある場合は)完全回転の数が決定される。リセットチューブの回転が停止したことが検出されたとき、例えば、設定用量を完全に排出されたとき、またはユーザによって外部投薬が一時停止されたとき、回転終了位置が決定され、これは排出された用量のサイズを決定することを可能にする。別の方法として、回転終了位置は、センサモジュール760がその初期位置に戻ったことをセンサスイッチが検出したときに決定されてもよい。
上記の説明から分かるように、いくつかの事象は、センサモジュールの軸方向移動の間に発生し、その後、センサモジュールおよびリセットチューブの組み合わせられた軸方向移動を発生させる。センサモジュールは、最初にその初期近位位置から離れて移動される。比較的短い移動の後、センサスイッチ766Sが起動され、センサ電子機器がオンになり、これは、センサシステムがリセットチューブの移動を示す値の測定を開始することを可能にする。センサスイッチが実際に起動されるときは、バイアスばね768およびスイッチの特性、例えば、ドームタイプスイッチを起動するために必要な力に依存する。
その後、センサモジュールは、センサモジュールおよびリセットチューブが軸方向に一緒に移動する点からペン式解放部材と接触するように移動される。ペン式解放部材のさらなる軸方向移動は、ばね駆動排出機構を解放し、リセットチューブは、回転を開始することになる(軸方向位置は、中間位置と呼ばれ得る)。排出機構が安全に解放されることを確保するために、センサモジュールおよびリセットチューブは、リセットチューブが遠位ストップに到達するまでさらに遠くまで移動することになる。したがって、リセットチューブは、リセットチューブの回転移動の大部分が発生することになる場所で遠位ストップに向かって移動する際に、回転を開始したことになる。設定用量が完全に排出されることをユーザが可能にする場合、リセットチューブは、その最遠位位置にあるときに、その回転終了位置に到達することになる。回転移動が停止していることが検出されたとき、リセットチューブの回転終了位置が決定され得る。ユーザが排出を一時停止することを望む場合、ユーザは、アドオン解放部材の圧力を解放することになり、リセットチューブが近位に移動し始めることになるが、リセットチューブが中間軸方向位置に到達するまで、それは、回転し続けることになる。
上記の実施形態では、センサ構成要素(センサモジュール全体と一緒に)は、移動の測定中にインジケータ(例えば、上記の実施形態におけるような磁石を備えるリセットチューブ)と一緒に軸方向に移動する。システムの実際の機械的および電子的な設計に依存して、2つの構造は、移動の測定中に完全にまたは部分的に軸方向に一緒に移動することになる。例示的な実施形態の上記説明から分かるように、センサモジュールは、リセットチューブの回転中にリセットチューブと一緒に移動し、これは、回転中にセンサシステムに対して本質的に一定の測定条件を提供する。リセットチューブの回転開始位置および回転終了位置を測定するときに、センサシステムに対応する本質的に一定の条件を提供するために、これらの位置は、センサモジュールがペン式解放部材と接触し、したがって、それと一緒に移動している間に、測定されなければならない。これを確保するために、センサモジュールは、センサモジュールとペン式解放部材との間の接触を可能にする、スイッチまたは検出手段を備え得る。実際に、リセットチューブの初期回転位置は、排出機構が解放されて、リセットチューブが回転し始める前に決定されなければならない。あるいは、センサモジュールは、センサモジュールがペン式解放部材と係合する前に、リセットチューブの初期回転位置を測定するように設計され得る。これは、結果的に、リセットチューブの回転開始位置および終了位置を測定するときに、センサシステムに対してわずかに異なる条件をもたらすが、そのようなセットアップは、リセットチューブが回転を開始する前に、回転開始位置が適切に決定されるためのより多くの時間を提供することになる。
示されるように、薬剤排出中に外側組立品780から内側組立品760の回転方向で連結が外れることに起因して、アドオン装置の外側部品の移動がリセットチューブ660の回転移動および回転位置の正確な決定に悪影響を与えることが高度に防止される。
図9を参照すると、ペン型の薬剤送達装置800上に設置するように適合されたアドオン用量ロギング装置900の第3の例示的な実施形態をより詳細に説明する。わずかに修正された薬剤送達ペン式装置800を、図10Aおよび図10Bを参照しながら説明する。
アドオン用量ロギング装置900は、図6~図8を参照しながら説明したアドオン用量ロギング装置600に本質的に対応し、それゆえに、薬剤送達装置ハウジングに取り外し可能に取り付け可能な外側組立品、センサモジュールを有する内側組立品だけでなく、解放部材組立品も含む。上記の実施形態とは対照的に、図9の分解組立図は、組立品が形成される個別の構成要素を示す。
外側組立品は、遠位ハウジング連結部分901と、そこに取り付け可能な近位ハウジング部分919と、近位ハウジング部分上に自由に回転可能に取り付けられるように適合されたアドオン用量設定部材911と、用量設定部材に設置されて解放部材組立品を封入するように適合された係止リング916とによって形成されている。係止組立品は、解放スライダー908、捕捉部材905、付勢ばね906だけでなく、スライダーのための一対の戻りコイルばね909を備え、係止組立品構成要素はハウジング連結部分901内に設置されるように適合されている。
より具体的には、遠位ハウジング連結部分901は、薬剤送達ペン式装置の対応する円筒状連結部分を滑り嵌めで受容するように適合された円筒状の穴902を含む(下記参照)。穴には、アドオン装置がペン式装置上に軸方向に取り付けられたときに、ペン式ハウジング係止突起805を受容するように適合された、遠位に面しかつ軸方向に配向された溝が、提供されている。遠位ハウジング連結部分の近位部分は、より大きい直径へと外向きにテーパー状であり、かつ各々が近位に面する端面を有する複数の長軸方向のリブ907を備え、端面は内側組立品のための遠位停止部として機能する。連結部分901は、取り付けられたときにペン式装置表示ウィンドウを覆うように適合されており、それゆえに表示ウィンドウを観察することを可能にし、それゆえにスケールドラムを観察することを可能にするウィンドウ開口部904を含む。ウィンドウ開口部の反対側には、係止組立品構成要素を受容するように適合された第2の開口部903が提供されている。捕捉部材905は、第2の開口部内に旋回可能に設置され、かつ付勢ばね906によって内向きに付勢され、これはアドオン装置がペン式装置上に軸方向に設置されたときに、捕捉部材がペン式ハウジング係止突起805の遠位の定位置にスナップ止めできるようにする。係止手段はウィンドウ開口部904の反対側に配設されているので、ユーザが設置中にアドオン装置を簡単に回転方向に配向することができるように確実にする。解放スライダー908は、第2の開口部内に摺動可能に設置され、戻りばね909によって遠位方向に付勢される。ユーザが解放スライダーを近位に動かすと、これは捕捉部材905を持ち上げてハウジング係止突起805との係合が外れ、アドオン装置を近位方向に移動できるようにし、それゆえにペン式装置から取り外すことが可能になる。近位ハウジング部分919は、例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段によって連結部分901に固定的に取り付けられ、また用量設定部材911をスナップ作用によって自由に回転可能に設置することを可能にする円周の隆起部917を含む。用量設定部材は、組み立てられた状態では、内側組立品の近位停止部および解放部材戻りばね918の遠位停止部として機能する円周の内側フランジ912だけでなく、解放部材組立品のための多数のガイドトラック913を形成する多数の軸方向に延びる内側フランジとを含む。係止リング916は、示されるように例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段によって用量設定部材に軸方向に固定されて設置され、これによって用量設定部材911とキャップ部材998との間の間隙をシールするように適合される。
内側組立品は、概して円筒状の内側ハウジング部材981と、内側ハウジング部材上に設置されるように適合された円筒状の係止部材950と、内側ハウジング部材に取り付けられてそこに設置されたセンサモジュールを封入するように適合された近位壁または蓋部材982とを含む。壁部材は、近位フランジ部材988を受容するように適合された近位に延びるチューブ部分983を含む。
より具体的には、内側ハウジング部材981は、多数の開口部989を有するより大きい直径の遠位スカート部分987と、センサモジュールのための多数のガイドトラックを形成する多数の軸方向に延びる壁セクション985を有するより小さい直径の近位部分とを含む。2つの部分間の移行部は、センサばね968のための外円周遠位サポート984を形成する(下記参照)。示された実施形態では、円筒状の係止部材950は金属板の単一片から形成され、その中に、半径方向に内向きに延びる近位自由端部分を各々が有する、第1の複数の軸方向に延びる可撓性のダイヤル係止アーム951、および半径方向に内向きに延びる近位自由端部分を各々が有する、第2の複数の軸方向に延びる可撓性の設置アーム955が形成される。設置アームは、係止部材が内側ハウジング部材981上に設置されたときに、対応する設置開口部989との係合へとスナップ留めされるように機能し、これは2つの部材を軸方向および回転方向に係止する。ダイヤル係止アーム951の遠位端は、内向きに丸みが付けられ、かつペン式用量設定部材の駆動溝882と係合するように適合されている(下記参照)。近位壁部材982は、例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段によって内側ハウジングフランジに固定的に取り付けられるように適合され、そして組み立てられた状態でセンサモジュールのための近位停止部として機能する。近位方向に延びるチューブ部分983は、近位端において、組み立てられた状態で解放部材上の対応するスプラインと係合するように適合された複数の軸方向に向けられた係止スプライン986を各々が含む、一対の対向する半径方向の延長部を含む。近位フランジ部材988は、示されるように、例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段によってチューブ部分983に固定的に取り付けられるように適合される。フランジ部材は、作動ロッド962のより大きな直径の遠位端よりも小さい直径を有する中央の穴を備え(下図参照)、これは、作動ロッドの近位停止部を提供する。
センサモジュール960は、遠位に面するセンサ構成要素966M(図12B参照)を有する電子回路965が取り付けられた概して円筒形のセンサハウジング961と、センサモジュールハウジング遠位端に取り付けられて、センサ構成要素を覆って封入するように適合されたスペーサーキャップ964と、壁部材チューブ部分983内に配設されるように適合された作動ロッド962とを含む。センサモジュールの戻りばね968は、内側ハウジング部材981とセンサハウジング961との間に配設されて、センサモジュールに近位方向への付勢力を提供するように適合されている。
より具体的には、スペーサーキャップ964は、例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段によってセンサハウジングに固定的に取り付けられるように適合されており、組み立てられた状態ではセンサ構成要素を保護し、かつペン式装置解放部材890と係合するように適合された遠位に面する接触面として機能する(図13Aを参照)。センサハウジングは、内側ハウジング部材ガイドトラック内に、回転可能ではないが軸方向に自由に受容されるように適合された、多数の半径方向に突出する遠位および近位ガイドフランジ967を含む。遠位ガイドフランジはまた、センサばね968のための近位停止表面を提供する。センサモジュールのための遠位停止部は、ガイドトラックの遠位端および/または圧縮されたセンサばねに対応する内側ハウジングによって提供される。作動ロッド962は、ロッドがチューブ部分983内に自由に受容されるのを可能にするより大きい直径の遠位部分と、フランジ部材988の穴を通して突出するように適合されたより小さい直径の近位部分とを含む。作動ロッドは、丸みを付けられた近位端963を備え、作動ロッドおよびキャップ部材998の係合表面は回転移動の最小限の伝達のために最適化される。センサモジュールは、作動ロッドによって作動されるように適合された、近位に面する中央に配設された作動スイッチ966(例えば、ドームスイッチ)を含む。
解放部材組立品は、本体部材990およびその上に設置可能なキャップ部材998を含む。解放部材の戻りばね918は、用量設定部材フランジ912と解放本体部材990との間に配設されて、解放本体部材上に近位に方向付けられた付勢力を提供するように適合される。
より具体的には、解放本体部材990は、組み立てられた状態でチューブ部分983上の係止スプライン986と係合するように適合された軸方向に向けられたスプライン996の内円周方向アレイを有する遠位リング部分994だけでなく、用量設定部材ガイドトラック913内に回転可能ではないが軸方向に自由に受容されるように適合された多数の半径方向に突出するガイドフランジ993も含む。キャップ部材998は、示されるように、例えば、溶接、接着剤、またはスナップ手段995によって本体部材に軸方向に固定的に取り付けられるように適合される。組み立てられた状態で、フランジ部材988は、解放本体部材990のための近位停止部として機能し、かつ解放部材の戻りばね918はリング部分遠位表面上に作用する。
図10Aおよび図10Bに目を移すと、わずかに修正されたペン式薬剤送達装置800の近位部分が、アドオン装置とペン式用量設定部材との間に回転方向の係合を提供するアドオン装置の内側組立品の部品と組み合わせて示されている。
より具体的には、ペン式ハウジング801は概して図6の実施形態に対応するが、しかしわずかにテーパー状のハウジングの代わりに、ウィンドウ809を含むハウジングの近位連結部分802は、アドオン装置の円筒状の穴の中に受容されるように適合された「真の」円筒状の形態を有する。別の方法として、両方の構造は軽いテーパーを有してもよい。さらに、連結手段は、軸方向の簡単な設置のために、捕捉部材905と協働するように適合された単一の係止突起805の形態である。また、概して円筒状の外表面881を有し(すなわち、用量設定部材はわずかにテーパー状であってもよい)、示された実施形態では、外表面が、用量設定中の指のつかみを改善するために、複数の軸方向に向けられた微細溝を含むことによって質感が与えられている用量設定部材880だけでなく、図6の実施形態に対応する多数の軸方向に向けられた駆動溝882も示される。
図9Aおよび図9Bを参照しながら上述したように、内側組立品は、多数の開口部989を有する遠位スカート部分987を有するハウジング部材981だけでなく、その上に設置された円筒状の係止部材950も備え、係止部材は多数の可撓性のダイヤル係止アーム951および多数の可撓性の設置アームを含む(後者は図10Aおよび図10Bには示されていない)。
図10Aでは、内側ハウジング981は、その軸方向に設置された位置で示されている(アドオン装置の図示されていない部分によって決定されるように)。外側アドオンハウジング901が回転方向で所定の位置に設置されている一方で、設置されていない状態で外側ハウジングに対して自由に回転できる内側ハウジング組立品の場合はそうではなく、これは、内側ハウジング、それゆえに係止アーム951が用量設定部材の駆動溝882と回転方向に位置合わせされていないように、「無作為な」回転位置に取り付けられているものと仮定する。さらに、用量設定部材880は、用量が設定されていないことに対応する初期の「駐車している」回転「ゼロ」位置を有するが、ランダム位置に設定されていてもよい。さらに、ゼロ位置に駐車している場合でも、用量設定機構のゆるみが、用量設定部材の駆動溝の回転位置のわずかな変動をもたらす場合がある。
それゆえに、アドオン装置がペン式装置上に設置されたとき、可撓性のダイヤル係止アーム951は、用量設定部材の駆動溝882と回転方向に位置合わせされていない場合がある。しかしながら、ダイヤル係止アームは可撓性であることに起因して、用量設定部材によってこれらは外向きに移動され、かつ図10Aに示すように、駆動溝と平行に用量設定部材の外周上で軸方向にスライドする。可撓性の係止アームによって提供される抵抗は小さいので、ユーザはほとんどの場合、アドオン装置の設置中に何が起こったかに気付かず、アドオン装置がまだペン式装置の用量設定部材と回転方向に係合していないという事実に気付かないであろう。示された実施形態では、係止アーム951の自由端は近位側に向けられているが、しかし別の方法として、それらは遠位に配向されてもよく、係止アームの自由端およびペン式装置の用量設定部材880の近位縁は、アドオン装置の設置中に係止アームを外向きに移動させるように構成されてもよい。
その後、ユーザが用量を設定することを希望する場合、ユーザは、アドオン装置用量設定部材911を回転し始め、これによって内側ハウジングが係止アーム951とともに回転して次に用量設定部材の駆動溝882と位置合わせされ、それゆえに図10Bに示すように、内向きに曲がって駆動溝と回転方向に係合することができる。係止アームが駆動溝と簡単に係合することを確実にするために、それらは駆動溝よりもわずかに狭く形成される。アドオン装置の用量設定部材911のさらなる移動は、次にペン式装置の用量設定部材をこれに応じて回転させ、これはユーザが通常どおり用量を設定および調整することを可能にする。実際、多くの事例では、係止アームは駆動溝の中へと直接移動される。
係止アーム951の数および機械的特性は、アドオン装置の安全かつ堅牢な動作を可能にするように寸法形成されるべきである。これを確実にするため、組み合わせ組立品、すなわちペン式装置およびアドオン装置は、ユーザがゼロを下回る、または最大設定可能投与量を上回るようにダイヤルしようとした場合に備えて、オーバートルク機構を含んでいてもよい。アドオン装置については、内側ハウジング組立品とアドオン用量設定部材との間のスプライン係合にオーバートルク機構を組み込んでもよいが、しかしほとんどの場合、アドオン装置のためのこうした機構は、ペン式装置には一般的にはオーバートルク保護機構(例えば、FlexTouch(登録商標)薬剤送達ペンで知られているように)が提供されるので、省くことができる。実際、係止アーム951および用量設定部材の駆動溝882は、ペン式装置オーバートルク機構に対する制限を上回るトルクに耐えるように設計および寸法設定されるべきである。
図11Aおよび図11Bは、係止アーム951がそれぞれ、ペン式装置の用量設定部材880の外円周と係合したとき、ペン式装置の用量設定部材の駆動溝882と係合したときを断面図で示す。
図12Aおよび図12Bを参照すると、図9Aの構成要素が、初期の非設置および非作動状態に対応する組み立てられた状態で示されている。
より具体的には、図12Aは、内側組立品の内側に配設され、かつ内側ハウジングばねサポート984とセンサハウジングの遠位ガイドフランジ967との間に作用するセンサばね968によってその最も近位の位置に向かって付勢されているセンサモジュール960を示す。ダイヤル係止アーム951は、内側ハウジングスカート部分987の内部へと突出しているのが分かる。解放本体部材990は、用量設定部材の内側フランジ912と解放本体部材のリング部分994との間に作用する解放部材の戻りばね918によって、その最も近位の位置に向かって付勢される。作動ロッド962は、内側ハウジングチューブ部分983の内側に配設され、フランジ部材988によって軸方向に定位置に保持され、軸方向のギャップが作動ロッド近位端963とキャップ部材998の遠位表面との間に形成される。内側ハウジングおよび解放部材組立品は、チューブ部分983と解放本体部材990との間のスプライン係合を介して相互に回転方向に係止される(図12Aでは分からない)。
図13A~図13Fを参照して、ペン型の薬剤送達装置800と組み合わせたアドオン用量ロギング装置900の第3の例示的な実施形態の異なる動作状態を説明する。示されるペン式装置は、Novo Nordisk A/S社製のFlexTouch(登録商標)の予め充填された薬剤送達装置の形態である。
図13Aは、ペン型の薬剤送達装置800上に設置される前のアドオン用量ロギング装置900を示す。上述のように、薬剤送達装置は、アドオン装置の円筒状の穴に受容されるように適合された「真の」円筒状形態を有する近位連結部分802と、ウィンドウ809と、アドオン装置の捕捉部材905と協働するように適合された係止突起805と、軸方向に向けられた多数の駆動溝882を持つ概して円筒状の外表面881を有する用量設定部材880と、近位に配設された解放部材890とを含む。アドオン装置900は、ペン式装置の円筒状連結部分802を受容するように適合された円筒状の穴902と、係止突起805と係合するように適合された捕捉部材905と、ペン式装置のウィンドウ809と位置合わせして設置されるように配設されたウィンドウ開口部904と、用量設定部材911と、用量解放部材998とを含む。穴902の中へとダイヤル係止アーム951が突出しているのが分かる。図12Aに対応して、アドオン装置は、その初期の非設置かつ非作動状態にある。
図13Bでは、アドオン装置900はペン式装置800上に設置されており、捕捉部材905は、係止突起805の遠位側に位置し、また2つのウィンドウ904、809は整列している。図10Aに示す状況に対応して、ダイヤル係止アーム951はまだ駆動溝882と係合していない。
図13Cでは、アドオン用量設定部材911、およびこれによって内側組立品が回転されており、ダイヤル係止アーム951は駆動溝882と係合しており、用量が設定されている。
図13Dでは、アドオン用量解放部材998は、作動ロッドの丸み付き近位端963と単に係合するように部分的に作動されており、この状態では、解放本体部材990上の軸方向に配向されたスプライン996の内周アレイは、チューブ部分983のロッキングスプライン986と係脱されており、これによって用量設定部材911を内側組立品から回転方向に分離し、したがってセンサモジュール960から回転方向に分離する。アドオン用量解放部材998のさらなる遠位方向移動は、作動ロッド962を遠位方向に移動し始め、これによって最初は、近位に面して中央に配設された作動スイッチ966(図9参照)が作動ロッドによって作動し、これによりセンサモジュールがその動作状態に変化する。作動スイッチ966は、例えば、ドームスイッチなどの機械力を作動させる必要があるばね部材を含む電気機械スイッチの形態であってもよく、作動スイッチがリリース部材998上の軸力およびそれゆえ作動ロッド962が緩和されたときにそのオフ状態に戻るような設計である。代替的にまたは追加的に、作動ロッドを近位方向に付勢する(示される実施形態では実装されない)戻りばねが提供され得る。
図13Eでは、アドオン用量解放部材998がさらに作動されて、センサモジュールスペーサーキャップ964が移動してペン式装置解放部材890と係合している。
図13Fでは、アドオン用量解放部材998は完全に作動されており、またセンサモジュールおよびこれによってペン式装置の解放部材890は最も遠位の動作位置へと移動しており、これが排出機構を解放し、それによって薬剤充填済みカートリッジ上に設置された中空針を通して設定用量の薬剤が排出される。図8A~図8Dを参照しながら上述したように、排出された用量のサイズの決定が行われてもよい。設定用量が解放されると、ユーザはアドオン用量解放部材998上の圧力を解放してもよく、戻りばね968、918によって構成要素がその初期の軸方向位置に戻る。加えて、作動ロッド962は、電気機械スイッチのばね特性によって近位に移動され、次いで、オフ状態に戻ることになる。
示されるように、センサモジュールおよび互いに対するリセットチューブによって実施される軸方向移動は、図13A~図13Fを参照して説明された実施形態に関して図8A~図8Dを参照して説明された実施形態と同じであり、このため、移動の測定中に、センサモジュールが、完全にまたは部分的に、リセットチューブと軸方向に一緒に移動することに関して、同じ考慮事項が適用される。
例示的な実施形態の上記説明から分かるように、センサモジュールは、ばねベースの作動スイッチがそのオフ状態に戻り、それによって作動ロッド962を近位に押すときにオフになる。
しかしながら、機械的または電子的な任意のシステムの場合と同様に、作動スイッチ配置は、誤動作し、オフ状態に戻ることに失敗する場合がある。これは、例えば、製造上の欠陥に起因するか、またはモジュールに入った汚れに起因する、一次スイッチの故障に起因するか、または作動ロッド962がチューブ部分983の穴に嵌まり込むことに起因し得る。これは、結果的に、センサシステムが高電力オン状態でオンのままにするため、磁気計の比較的高い電力消費量は、コイン電池を急速に消費することになる。これに応じて、電子回路は、所与の時間、例えば、60秒の期間の後にタイムアウトし、低電力スリープ状態に入るように設計される。スイッチの故障は、断続的であり得るため、スイッチは、ある期間(数分、数時間、または数日)後に、オン状態からオフ状態の正常操作に戻り、これは、アドオン装置が意図されるように再び機能することを可能にする。しかしながら、一時的な誤動作は、用量事象が正しく検出されず、したがって、ユーザに伝達されず、これは、不正確な情報に基づいて、ユーザに追加の用量を摂取させ得る。
図25に図示される例示的な使用シナリオでは、ユーザは、受信装置、例えば、自身のスマートフォンを近くに有することなく、薬剤の用量を摂取するために取り付けられた一時的に動作しないアドオンロギング装置を有するペン式装置を使用する。スマートフォンが再び到達範囲内にあるとき、ユーザは、図25~図27の矢印で例示されるように、アドオン解放ボタンを作動させることによって、ロギングアプリを更新し得る。アドオン装置が再び動作を開始した場合、用量データは、スマートフォンに送信され、これは、用量ログが更新されたことをユーザに示すが、上記のように、センサシステムが故障していた期間では、1回以上の薬剤の用量がロギングされることなく排出されている場合があり、これは、図25に例示されるように不正確な情報をユーザに提供する。NISという用語は、針注射システムに対応する。
同様の状況は、ユーザがシステムを正しく操作しないことによって引き起こされ得る。より具体的には、所与の投与量の薬剤が完全に排出(および注射)された後、ユーザは、針を挿入して保持し、解放ボタンを短期間、例えば、5秒間、作動して保持することを推奨される。しかしながら、解放ボタンが、タイムアウト期間よりも長い、例えば、60秒よりも長い間、作動されて保持される場合、電子回路は、タイムアウトすることになり、排出用量が、用量登録が正確に終了しなかった際に、用量ログに記憶されないことになり、ペン式解放ボタンの色が登録されていなかった場合と同様に、破損したデータを生じさせている可能性がある。
この問題に対処するために、電子回路は、スイッチがオン状態にある状態で、エネルギーを節約するために、所与の時間、例えば、60秒後にセンサシステムを高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させ、同時に、対応する誤差開始タイムスタンプをメモリに記憶する。センサシステムが低電力スリープ状態にある状態で、電子回路は、例えば、1秒または5秒ごとに1回、スイッチの状態を検出することによって、スイッチがオン状態からオフ状態に作動(すなわち、解放)されるときを検出するように適合される。オフ状態が検出されたとき、対応する誤差終了タイムスタンプがメモリに記憶され、これが誤差期間を作り出す。このようにして、開始および終了タイムスタンプを有する誤差期間がロギングされ、少なくとも誤差期間に対応する期間、センサシステムが誤差状態であったこと、およびその期間の間の用量排出事象が、記録されずに発生した可能性があることを、スマートフォンがユーザに示すことを可能にする。そのようなシナリオが図26に例示される。
作動スイッチが、投与事象中に適切な操作に戻る場合があるため、すなわち、薬剤送達装置およびアドオンロギング装置は、ユーザが(断続的な)誤動作を認識せずに使用される場合があるため、所与の投与量が不正確に登録される場合がある。あるいは、上記の実施例にあるように、システムは、別様に正しく開始された用量登録が中断される前にタイムアウトしてもよい。これに対応して、誤差期間が検出された後または前に、所与の時間にわたって「隔離期間」が確立され得る。隔離期間中に検出された任意の用量事象は、「未知の用量サイズおよび薬剤タイプ」として示され得る。そのようなシナリオが図27に例示される。
代替的な実施形態では、「アドオン」装置は、一体型(耐久性)薬剤送達装置に一体化され得る。
図5、図7Aおよび図12Aのアドオン用量ログ装置の機械的概念および作動原理について説明してきたので、センサおよびトレーサーシステムそれ自体をより詳細に説明する。基本的に、センサおよびトレーサーシステムは、移動する磁気トレーサー構成要素と、1つ以上の磁気計、例えば3Dコンパスセンサを含むセンサシステムと、を備える。
例示的な実施形態では、磁気トレーサー構成要素は、4つの極を有する多重極磁石(すなわち、四重極磁石)の形態である。図14では、4つの双極子標準磁石661は、リング型のトレーサー構成要素660M内に等距離で配設され、4つの別個の双極子磁石は、90度ごとの四重極オフセットを有する組み合わされた四重極磁石を提供する。実際に、双極子磁石の各々は、同じ方向に向けられた非常に多くの個々の磁性粒子によって形成される。個々の磁石は、同じ平面内に配設されてもよく、または相互に軸方向にオフセットされていてもよい。
別の方法として、多重極磁石660Mは、図15Aに示すように、個々の強力な磁石の使用、または図15Bに示すように、電磁場の使用を通していずれかによって磁化可能な材料を磁化することによって作り出すことができる。
所与のセンサシステムは、図16に図示されるようにトレーサー構成要素660Mに対して配設された、例えば4、5、6、または8個の磁気計766Mを使用してもよい。センサは、例えば、図7Bに示すように同一の平面内に配設されてもよく、または相互に軸方向にオフセットされてもよい。センサがより多く、センサ間の間隔がより小さいと、それゆえにより良好な信号対雑音比を有するより多くのデータを収集することができる。しかしながら、センサがより多いと、より多くのデータ処理が必要となり、そしてより多くの電力が消費される。
一部の事例では、取り扱いが必要なのは外部場からの妨害だけではない。上述のような使い捨て装置内の用量排出モーターを駆動するためのトルク提供ばねは、外部磁場を受けたときに磁化される場合があり、それゆえに内部妨害磁場をもたらす。
外部妨害は全てのセンサに多かれ少なかれ等しくかつ同じ方向で影響するので、外部妨害が信号処理アルゴリズムによって大幅に相殺され得る場合、磁化されたトルクばねは、トレーサー磁石と同じようにセンサに影響を与え、したがって測定値をオフセットし、誤差を発生させる可能性がより高い。
しかしながら、図17Aおよび図17Bから分かるように、双極子トレーサー磁石の代わりに四重極トレーサー磁石を使用すると、トレーサー磁石の位置を決定する上で誤差を著しく低減する。
より具体的には、図17Aおよび図17Bは、磁化の4つの異なるレベル(TS1~TS4)における磁化されたトルクばねの、投与設定(DS)および外部投薬(D)の両方に対する影響のシミュレーションを示す。図17Aは、4個のセンサセットアップと組み合わせた双極子トレーサー磁石の計算された角度測定誤差(すなわち、計算された角度と真の角度との差)を図示し、図17Bは、8個のセンサセットアップと組み合わせた四重極トレーサー磁石の計算された角度測定誤差を図示する。外部投薬中はセンサがトレーサー磁石により近いため(例えば、図8Aおよび図8Cを参照)、角度誤差は外部投薬中の方がわずかにより小さい。つまり、上述の実施形態では、センサ測定は外部投薬中にのみ行われる。四重極トレーサー磁石における個々の極間のより小さい円周方向の間隔は、センサシステムへのより高い入力率を提供し、これは4個センサの代わりに8個のセンサによってより正確に捕捉することができるので、四重極トレーサー磁石については8個のセンサが使用されたが、しかし4個のセンサセットアップと組み合わせた四重極トレーサー磁石に対しても同等の結果が予期されることになる。示されるように、四重極トレーサー磁石の使用は、角度誤差を約4~8度から約0.5~1度へと、およそ8倍低減した。
示されたFlexTouch(登録商標)薬剤送達装置では、リセットチューブ660、そしてそれゆえにトレーサー磁石660Mは、排出されるインスリンの各単位に対して15度回転する。それゆえに、4~8度の範囲で起こる可能性がある角度誤差は、排出された投与量の誤った決定をもたらす場合がある。
それゆえに、四重極トレーサー磁石は、外部場からだけでなく内部場からの妨害に対するシステムの感受性も低減する。これは多重極トレーサー磁石の使用の重要な側面であるが、その理由は、鉄含有金属シートを使用することによる外部ソースの従来の磁気遮蔽を、外部場の影響を減少するために使用する場合があるが、トレーサー磁石と内部妨害磁場との間に適合することはできない場合があるからである。さらに、磁気シールドを組み込むことは場所を取り、追加費用が発生することになる。
別の方法として、磁化可能でない材料のばねを使用することによって、これを軽減できる場合があるが、しかし今日市販されている現在のばね駆動ペンは、磁化可能なトルクばねを備えており、ばねの他の要件に起因して取り換えは実現可能ではない場合がある。
回転する四重極トレーサー磁石を組み込んだセンサ組立品に対する構造セットアップについて説明してきたが、以下ではこうした組立品に対して実際の移動を決定する例示的な方法が説明される。
四重極磁石からの信号は定期的であり、一周期に磁石の1回の完全回転にわたって2回の信号がある。これは、接線方向、半径方向、および軸方向の磁場レベルが描写されている図18から見ることができる。
信号の周波数成分をマッピングすると、磁石からのほとんどの信号が周波数の2つの信号に適合することが分かる(図19参照)。
四重極場で使用する用量サイズを決定するには、四重極磁石の静的開始角度および終了角を決定する必要がある。磁石は用量が送達される前および後は静的であるため、磁場は経時的にサンプリングされる代わりに、空間にわたってサンプリングされる。例示的な実施形態では、測定システムは、円形状のレイアウトおよび等間隔を用いたN=7個のセンサで構成され、図20を参照すると、四重極磁石660Mに対するセンサ766Mの配置を示す。
磁石の向きを決定するために、離散フーリエ変換(DFT)がセンサで測定された磁場について計算された。
ここで、Bjkは、k番目のセンサのj番目のチャネルのフィールドであり、j=1は、接線フィールドであり、j=2は、半径方向であり、j=3は、軸方向であり、
は、虚数単位であり、
は、j番目のチャネル内の信号のn番目の周波数成分である。
上記のように、四重極磁石からの信号は、周期n=2の信号であり、そのため、
の位相を見ることによってセンサボードに対する磁石の配向を決定することができる。
異なる周波数でのサインおよびコサインのサンプルは直交するので、例えば、周期n=0、1、または3である信号に対するあらゆる妨害は、フーリエ変換によって除去される。
これは、外部妨害および内部妨害の両方に関連する。自動用量ペン式注射器内の内部構成要素は、用量機構を駆動するための金属ねじりばねである。これが磁化されている場合、ばね磁場は主に、センサ位置で周期1信号のように見える。センサの付近にある双極子磁石のような外部妨害もまた、周期0または1の信号を有する傾向にある。DFTを使用して、その他の周波数からの妨害を除去し、かつ周波数2信号からのみ磁石の向きを決定することが可能である。
したがって、四重極磁石とDFTとの組み合わせは、その周期1信号が共通妨害の周波数と類似している双極子磁石と比較して優れている。
DFTベースのアルゴリズムを使用すると、ルックアップベースのアルゴリズムと比較して、任意の数のセンサを選ぶより大きい自由度が与えられる。選ばれるセンサの数は、ナイキストの標本化定理により、少なくとも5であることが好ましい。それ以外に、エイリアシング効果を防止することを目的として信号の特定の周波数を除去するために、センサの数を自由かつ積極的に使用することができる。
上記の例示的な実施形態を参照して、センサモジュールの初期移動はセンサスイッチを起動し、これは次にセンサ電子機器を起動し、そして磁気計からのデータのサンプリングを開始させ、これは排出機構の解放前に磁石の回転方向の開始位置を決定することを可能にすることを説明してきた。リセットチューブの回転が停止したことが検出されたとき、例えば、設定用量を完全に排出されたとき、またはユーザによって外部投薬が一時停止されたとき、回転終了位置が決定され、これは排出された用量のサイズを決定することを可能にする。別の方法として、回転終了位置は、センサモジュールがその初期位置に戻ったことはセンサスイッチが検出したときに決定されてもよい。
サンプリング周波数は、回転移動を確実に検出し、可能な限り電力効率が良いように選択されなければならない。しかしながら、ばね駆動装置における外部投薬中の回転速度の分析は、リセットチューブの回転速度が一定ではないことを示した。特に、排出事象の開始において、リセットチューブの回転速度が非常に高い場合があることが見出された。高速回転速度の2つの理由が特定されている。第1の理由は、カートリッジゴムピストンが、外部投薬開始前に非圧縮状態であることである。駆動ばね内のエネルギーが突然解放されると、ゴムピストンは、カートリッジ内で遠位に動き始める前に圧縮され始める。カートリッジに十分な圧力が蓄積されると、ピストンが動き始め、カートリッジの内容物が針から流れ出始める。プランジャーの圧縮は、非常に速く起こるが、圧縮中に速度が低下する。
さらなる理由は、ピストンロッドとカートリッジピストンとの間にエアギャップが存在する場合である。これは、例えば、ユーザが使用後に薬剤送達装置上に針を放置した場合、またはそれがサイクル温度に起因する場合などに発生する場合がある。ゴムピストンからの反力がないため、ピストンロッドがピストンに当たった後、上述のピストンの圧縮が開始されるまで、排出機構は非常に速く回転する。
排出用量体積を推定するために構成要素の回転を検出する場合、全ての回転を正確に計数することが重要である。そうでない場合、これは、より少ない用量を推定することにつながる可能性があり、これにより、ユーザは、別の用量を摂取し、重度の過剰摂取を負うことを引き起こす可能性がある。
アクティブセンサを使用して、例えば、磁界の変化を測定することによって、構成要素の位置をサンプリングする場合、高い回転速度は、全ての回転を見るために、高いサンプリング周波数を必要とする。しかしながら、高いサンプリング周波数を使用すると、非常に多くの電力が消費され得、保存する必要のある大量のデータを収集することができる。これにより、高電力使用およびメモリ不足の問題が発生する可能性がある。これは特に、代替不可能なエネルギー源が提供されているメモリ装置にとって問題である。対照的に、周波数が低すぎる場合、1つ以上の信号サイクルが検出されない可能性がある。2つの状況が、それぞれ図23Aおよび図23Bに示されている。
この問題に対処するために、動的サンプリングスキームは、(i)システム挙動に関する知識、および(ii)測定された構成要素の実際の回転速度の検知に基づいて使用され得る。システムは、以下のように動作することが予期され得る。排出機構の高速回転の期間で、その後、正常/中程度の回転速度の期間で開始し、設定された用量が完全に排出されたときに、または排出がユーザによって停止されたときに、回転のない状態で終了する。したがって、回転速度が変化して、高いサンプリング周波数で開始する際にモードを適合させる適応サンプリングスキームを実施することができる。
上述の実施形態に対応する例示的な使用シナリオを、図24に示す。より具体的には、排出される薬剤の投与量を設定した後、ユーザは、アドオン解放ボタンを押して、センサモジュールの連続的なの軸移動がセンサスイッチをトリガーし、サンプリング周波数を最初に「高」に設定した状態で、連続サンプリングおよび回転速度の評価を開始する。センサモジュールはその後、ペン解放ボタンと係合し、ペン排出機構を解放する。プランジャーの圧縮および/またはピストンとピストンロッドとの間のエアギャップのため、排出機構は、初期段階で、より短いまたはより長い期間にわたって高速で回転し得る。排出機構がその後減速すると、回転速度が第1の閾値(閾値)よりも低いことが検出され得、これにより、サンプル周波数を「低」に調整することができる。最終的に、回転が停止していること、すなわち、回転速度が第2の閾値(閾値)よりも低いことが検知されると、電力を節約するためにサンプリングは停止する。他の実施形態では、2つより多くの閾値を使用してもよい。
実際に、他の適応サンプリングスキームを利用してもよい。例えば、サンプリング周波数は、所定の範囲の回転速度に対して回転速度とともに連続的に変化し得る。
上記の開示では、外部妨害磁場とペン式装置のトルクばねからの内部妨害磁場との両方の問題は、多数の磁気計を含むセンサアレイと組み合わせた四重極トレーサー磁石の使用によって対処された。以下において、この問題は異なるアプローチによって対処され、これは上述の四重極設計の代替として、または上述の四重極設計に加えて使用されてもよい。
磁気システムを外側干渉から遮蔽するために磁気シールドを使用することは一般的に知られており、かつ使用されている。通常、シールドは磁場を封じ込めて磁場がその他のシステムに影響を与えることを防止するためのバリアとして、またはシステムを封じ込めて外部の(遮蔽されていない)磁場によって影響を受けないように保護するバリアとして使用される。妨害磁場をもたらし得るシステムの内部構成要素は通常、システムの遮蔽された容積の外側に設置される。実際に、磁化可能な材料から製造された駆動ばねを含む薬剤送達装置内にシールドを組み込むことが可能である場合があるが、しかしこれはペン式装置の主要な再設計が必要となる場合があり、これは費用効果の高いオプションではない場合がある。
それゆえに、解決すべき技術的問題は、磁気計に基づいて捕捉装置または組立品の磁気センサの測定値を妨害する内部磁場を防止/低減する磁気シールドを提供することである。さらに、こうしたシールドは、「通常の」外部磁場からの妨害を防止/低減するためにも機能する場合がある。
提示される解決策は、センサシステムを外部磁場から遮蔽するだけでなく、トルクばねによってもたらさせるあらゆる意図しない内部磁場もシールドに向かってそらし、かつトレーサー磁石の磁場の妨害を低減するために、ミューメタルのシールドを導入することである。トルクばねからの妨害磁場の強度を低減することによって、必要とされる精度および冗長性を得るためのより少ないセンサの使用、ひいてはより少ない信号処理要件が可能になる場合があり、これによってコストおよび電力消費量の両方を低減することが可能になる場合がある。
ミューメタルは、非常に高い透磁率を有するニッケル鉄軟磁性合金である。これはいくつかの組成を有し、およそ80%のニッケル、15%数パーセントのモリブデンを含み、またいくつかの組成では少量の銅およびクロムを含む。ミューメタルは非常に延性があり、かつ加工可能であり、磁気シールドのために必要な薄いシートへと簡単に形成することができる。しかしながら、ミューメタル物品は、最終形態に加工された後に熱処理を必要とする。ミューメタルで作製された磁気シールドは、遮蔽された区域の周りに封鎖する代わりに磁力線のための経路を提供することによって機能する。ミューメタルは、ずっと低い比透磁性を有する空気を通るより「簡単な」経路のようなものを提供し、それゆえに磁場をわきにそらす。しかしながら、ミューメタルは非常に低い飽和レベルを有し、したがってより強力な磁場に対して遮蔽するのに適していない。
図21は、薬剤送達装置トルク駆動ばね655が示されているが、図8Aに示す組立品に本質的に対応する組立品を示しており、アドオン用量ロギング装置1000には、センサの軸方向長さおよびトレーサー磁石容積、ならびにトルク駆動ばね655の近位部分を覆う、ミューメタルで作製された円筒状のシールド1020が提供されている。円筒状のミューメタルシールドは本質的に、磁化されているトルクばねからの磁力線を吸収し、かつそれらを円周状のシールドに向かってガイドし、これによって軸方向、それゆえにセンサに向かうトルクばねの妨害磁場の程度を制限する。同時に、円筒状のシールドは、円筒容積の内部に配設されたセンサ電子機器上の外部磁場EMFの影響を低減させるのに役立つ。
円筒状のミューメタルシールド1020は基本的にトレーサー磁石660Mからの磁力線も吸収するが、(i)トルク駆動ばね655はトレーサー磁石よりも磁気センサ1066Mから軸方向でより遠くに配設されている、また(ii)トルクばねはトレーサー磁石よりもシールドに半径方向でより近くに配設されているので、これが測定性能に与える影響の程度はより小さい。このようにして、センサシステムは、磁場の小さい部分のみがシールドによって吸収されるので、トレーサー磁石からの磁場を測定できる一方で、上述の幾何学的特性は、トルクばねからの磁場がシールドによって高度に吸収されることを可能にし、それゆえに、センサへの影響の程度がより小さくなる。
図22は、飽和することなくより強力な磁場を取り扱うことができる鋼の外側シールド1121が適用されて、外部磁場に対する経路を提供する、アドオン用量ロギング装置1100の実施形態を示す。ミューメタルによる内側シールド1122は、強力な外部磁場によって飽和されることなく、トルクばねによってもたらされた比較的弱い内部磁場に経路を提供するように配設されている。
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。

Claims (13)

  1. 薬剤送達システム(200、300、350、600、700)であって、
    -薬剤貯蔵部(613)または薬剤貯蔵部を受容するための手段と、
    -薬剤排出手段であって、
    -ユーザが前記薬剤貯蔵部から排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする、用量設定部材(711)と、
    -近位位置と遠位位置との間で作動可能な解放部材(790)と、を備え、前記近位位置は、投与量が設定されることを可能にし、前記遠位位置は、前記薬剤排出手段が、設定された用量を排出することを可能にする、薬剤排出手段と、
    -電子回路(760)であって、
    -排出された前記投与量のサイズを示す、薬剤排出中の前記薬剤排出手段の特性を測定するように適合されたセンサシステムであって、前記センサシステムが、低電力オフ状態と高電力オン状態との間で作動可能である、センサシステムと、
    -オフ状態およびオン状態を有するスイッチ(766S)であって、前記スイッチが、前記オフ状態と前記オン状態との間で作動されるときに、前記センサシステムを前記オフ状態と前記オン状態との間で作動させるように適合され、前記スイッチが、前記解放部材が前記近位位置と前記遠位位置との間で作動されるときに作動される、スイッチと、
    -(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、
    -ユーザにログデータを表示するためのディスプレイ(351)と、を備える、電子回路と、を備え、
    前記電子回路が、
    -前記スイッチが前記オン状態にある状態で、所与の時間後に前記センサシステムを前記高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させ、対応する誤差開始タイムスタンプを前記メモリに記憶することと、
    -前記センサシステムが前記低電力スリープ状態にある状態で、(i)前記スイッチが前記オン状態から前記オフ状態に作動されるか、または(ii)前記スイッチが前記オフ状態から前記オン状態に作動されるときを検出し、対応する誤差終了タイムスタンプを前記メモリに記憶することであって、これが誤差期間を作り出す、記憶することと、
    -少なくとも前記誤差期間に対応する期間、前記センサシステムが誤差状態にあったことを前記ユーザに示すように前記ディスプレイを制御することと、を行うように適合されている、薬剤送達システム。
  2. 薬剤送達組立品(200、300、600、700)と、前記薬剤送達組立品からデータを無線で受信するように適合されたディスプレイ装置(350)と、を備え、前記薬剤送達組立品が、
    -前記薬剤貯蔵部(613)または薬剤貯蔵部を受容するための前記手段と、
    -前記薬剤排出手段と、
    -前記センサシステム(760)と、
    -スイッチ(766S)と、
    -(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合された第1のメモリと、
    -無線送信機手段と、を備え、
    前記ディスプレイ装置(350)が、
    -第2のメモリと、
    -前記無線送信機手段からログデータを受信し、前記ログデータを前記第2のメモリに記憶するように適合された無線受信機手段と、
    -前記ディスプレイ(351)と、を備える、請求項1に記載の薬剤送達システム。
  3. 前記薬剤送達組立品が、薬剤送達装置(600)と、前記薬剤送達装置上に取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオン装置(700)と、を備え、前記薬剤送達装置が、
    -前記薬剤貯蔵部(613)または薬剤貯蔵部を受容するための前記手段と、
    -前記薬剤排出手段と、を備え、
    前記アドオン装置が、
    -前記センサシステム(760)と、
    -前記スイッチ(766S)と、を備える、請求項2に記載の薬剤送達システム。
  4. (a)前記薬剤送達組立品(600、700)が、
    -少なくとも直前に記憶されたデータを送信して、それによって、前記第2のメモリを更新するように作動されるように適合され、
    (b)前記ディスプレイ装置(350)が、
    -ログデータを表示するための要求を受信することと、
    -ログデータを表示するための要求が受信されるとき、前記ユーザに、前記薬剤送達組立品を作動させて、少なくとも前記直前に記憶されたデータを送信することによってログメモリを更新することを促すことと、
    -誤差ログデータが受信されるときに、少なくとも前記誤差期間に対応する期間、前記センサシステムが誤差状態にあったことを前記ユーザに示すように前記ディスプレイを制御することと、を行うように適合されている、請求項2または3に記載の薬剤送達システム。
  5. -隔離期間が、誤差期間の前および/または後で所与の時間にわたって確立され、示される、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
  6. -前記隔離期間中に検出された用量事象が、その指示とともに表示される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
  7. 薬剤送達装置(100、600、800)上に取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオン装置(400、700、900)であって、前記薬剤送達装置が、
    -薬剤送達装置ハウジング(101、601、801)と、
    -薬剤貯蔵部(113、613)または薬剤貯蔵部を受容するための手段と、
    -薬剤排出手段であって、
    -ユーザが前記薬剤貯蔵部から排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする、用量設定部材(180、680、880)と、
    -近位位置と遠位位置との間で作動可能な解放部材(190、690、890)であって、前記近位位置が、投与量が設定されることを可能にし、前記遠位位置が、前記薬剤排出手段が設定用量を排出することを可能にする解放部材と、を備える、薬剤排出手段と、を備え、
    前記アドオン装置が、
    -電子回路(760、960)であって、
    -排出された前記投与量のサイズを示す、薬剤排出中の前記薬剤排出手段の特性を測定するように適合されたセンサシステムであって、前記センサシステムが、低電力オフ状態と高電力オン状態との間で作動可能である、センサシステムと、
    -前記オフ状態とオン状態との間で前記センサシステムを作動するためのスイッチ(766S、966)であって、前記スイッチが、前記解放部材が前記近位位置と前記遠位位置との間で作動されるときに、作動される、スイッチと、
    -(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、
    -外部受信装置にデータを送信するための無線送信機手段と、を備える、電子回路と、を備え、
    前記電子回路が、
    -前記スイッチが前記オン状態にある状態で、所与の時間後に前記センサシステムを前記高電力オン状態から低電力スリープ状態に作動させ、対応する誤差開始タイムスタンプを前記メモリに記憶することと、
    -前記センサシステムが前記低電力スリープ状態にある状態で、(i)前記スイッチが前記オン状態から前記オフ状態に作動されるか、または(ii)前記スイッチが前記オフ状態から前記オン状態に作動されるときを検出し、対応する誤差終了タイムスタンプを前記メモリに記憶することであって、これが誤差期間を作り出す、記憶することと、
    -(i)測定された特性値に関連するログデータ、および(ii)前記誤差期間に関連するログデータを送信するように前記無線送信機手段を制御することと、を行うように適合され、
    それによって、外部受信装置(350)が、前記センサシステムが少なくとも前記誤差期間に対応する期間、誤差状態にあったことをユーザに示すことができる、アドオン装置。
  8. 前記用量設定部材(180、680、880)が回転可能であり、前記アドオン装置が、
    -前記薬剤送達装置ハウジングに取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオンハウジング(610、710、901)と、
    -直接的または間接的に、前記用量設定部材と係合するように適合されたアドオン用量設定部材(411、680、780、911)と、
    -作動可能なアドオン解放部材(490、690、790、998)であって、前記アドオンハウジングに対して、
    (i)前記アドオン装置が前記薬剤送達装置に取り付けられた状態で、前記アドオン用量設定部材(680、780)が、前記用量設定部材を回転させて、用量を設定するように操作され得る、近位用量設定位置と、
    (ii)前記アドオン装置が前記薬剤送達装置に取り付けられた状態で、前記解放部材が、その遠位位置に移動して、設定された用量を解放する、遠位用量排出位置との間で、軸方向に移動可能である、作動可能なアドオン解放部材と、をさらに備え、
    前記スイッチが、前記アドオン解放部材が前記近位位置と前記遠位位置との間で作動されるときに、作動される、請求項7に記載のアドオン装置。
  9. 薬剤用量ログデータを表示するように適合されたディスプレイ装置(350)との組み合わせにおいて、ディスプレイ装置が、
    -薬剤用量ログデータを記憶するように適合されたメモリと、
    -ユーザにログデータを表示するためのディスプレイ(351)と、
    -外部薬剤用量ロギングシステムから、(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを受信するように適合された無線受信機手段と、を備える、請求項7または8に記載のアドオン装置。
  10. 薬剤用量ログデータを表示するように適合されたディスプレイ装置(350)であって、
    -(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを記憶するように適合されたメモリと、
    -ユーザにログデータを表示するためのディスプレイ(351)と、
    -ユーザ要求入力手段(351)と、
    -外部薬剤用量ロギングシステムから、(i)薬剤用量ログデータ、および(ii)誤差期間に関連するログデータを受信するように適合された無線受信機手段と、
    -電子回路であって、
    -前記メモリに記憶されたログデータを表示するための要求を受信することと、
    -ログデータを表示するための要求が受信されるとき、前記ユーザに、前記外部薬剤用量ロギングシステムを作動することによって前記メモリを更新して、その中に記憶された少なくとも直前のデータを送信することを促すことと、
    -誤差期間に関連するログデータが受信されるときに、少なくとも前記誤差期間に対応する期間、前記センサシステムが誤差状態にあったことを前記ユーザに示すように前記ディスプレイを制御することと、を行うように適合されている、電子回路と、を備える、ディスプレイ装置。
  11. 前記電子回路が、
    -前記ユーザに前記メモリを更新するように促した後、および所与の時間内に用量ログデータが受信されない場合、前記ユーザがオーバーライド要求を行うことを可能にすることと、
    -オーバーライド要求を受信した後、更新されていないログデータを表示することと、を行うように適合されている、請求項10に記載のディスプレイ装置。
  12. ログメモリに記憶されたログデータの表示を制御する方法であって、
    -ユーザからログデータの表示に対する要求を受信する工程と、
    -前記ユーザに、ロギング装置から、更新されたログデータを送信することによって、前記ログメモリを更新するように促す工程と、
    -前記ロギング装置から、(i)更新されたログデータ、および/または(ii)前記ロギング装置に対する誤差期間に関連する更新されたログデータを受信する工程と、
    -(i)更新されたログデータ、および/または(ii)前記ロギング装置が少なくとも前記誤差期間に対応する期間、誤差状態にあったことの指示を示すことを表示する工程と、を含む、方法。
  13. -前記ユーザに前記ログメモリを更新するように促した後、および所与の時間内に用量ログデータが受信されない場合、前記ユーザがオーバーライド要求を行うことを可能にする工程と、
    -オーバーライド要求を受信した後、更新されていないログデータを表示する工程と、を含む、請求項12に記載の方法。
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