JP2023547040A - ピロロピリジン-アニリン化合物による、認知機能不全の処置方法 - Google Patents

ピロロピリジン-アニリン化合物による、認知機能不全の処置方法 Download PDF

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Abstract

式(I)の化合物を含む鼻内噴霧製剤、および神経線維腫症を有する対象におけるADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置のためにこれらの鼻内噴霧製剤を使用する方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症である。式(I)の化合物は(I)で表され、式中、R1、R2、R2a、R3、R3a、およびR3bは本明細書に定義および記載の通りである。TIFF2023547040000031.tif112153

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月24日出願の米国仮出願第63/082,595号の優先権を主張するものであり、あらゆる目的でその全体が組み入れられる。
発明の背景
神経線維腫症1型(NF1)は、出生数3,500人中約1人において発生しており、ヒトにおける神経機能に影響する最も一般的な常染色体優性遺伝単一遺伝子障害の1つである。臨床的には、NF1疾患は、NF1遺伝子の二対立遺伝子変異を伴うシュワン細胞が関与する、神経線維腫と呼ばれる良性末梢神経腫瘍の存在、ならびに他の腫瘍徴候および非腫瘍徴候の存在を特徴とする。Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015(非特許文献1)参照。NF1は皮膚神経線維腫; 叢状神経線維腫; カフェオレ斑; ならびに腋窩部および鼠径部のしみを含むいくつかの皮膚障害に関連している。皮膚神経線維腫は、NF1患者の95%超において発生するものであり、身体のどこにでも出現して、そう痒、刺激作用、感染症、身体的苦痛、および美観毀損を引き起こしうる。さらに、皮膚神経線維腫は社会的隔離および社会的不安に関連している。
多くの場合、血管、角化細胞、およびメラニン細胞の区画の良性皮膚腫瘍は出生時または小児期に生じる。本出願において「あざ」と呼ばれるこれらの病変は、美容の悩み、外見の劣化、および社会的不安を引き起こすことがある。いくつかの場合では、これらの病変は個人にとって機能低下または将来の悪性腫瘍の素因となることがある。これらのあざは孤発性であることもあれば、基礎神経皮膚症候群の一部として生じることもある。
血管のあざとしては、例えばポートワイン母斑/毛細血管奇形、血管腫、小葉毛細血管腫、動脈血管奇形、リンパ管奇形、血管奇形、血管腫、および他の血管腫が挙げられる。角化細胞性母斑とは角化細胞性表皮母斑および脂腺母斑を意味する。色素性母斑(一般的には黒子として知られる)としては、例えば先天性母斑、多発性黒子(LEOPARDなどの症候群において生じうる)、雀卵斑(そばかす)、および扁平母斑が挙げられる。
NF1患者は、あざの形成以外にも、ADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害(例えばADHD、学習障害、および不安)を示すことがある。
NF1は、RAS経路を不活性化させる遺伝子であるNF1の、1つまたは複数の生殖細胞系列変異により引き起こされる。NF1遺伝子はRas-GAPタンパク質をコードするので、NF1の損失は高Ras-GTPを生じさせる。したがって、NF1研究は、Ras-MAPKカスケードを含むRasシグナル伝達経路中で阻害剤を試験することに専ら重点を置いている。Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015参照。4つの別々のMAPKカスケードがMAPKモジュールに従って同定および命名された。Akinleye et al. Journal of Hematology & Oncology 6:27, 2013(非特許文献2)参照。MEKタンパク質は、4つの各MAPキナーゼシグナル伝達経路中の特定のMAPK標的の上流にある酵素のファミリーに属する。これらのMEKタンパク質のうち2種であるMEK1およびMEK2は、このシグナル伝達経路カスケードに密接に関連し、かつ関与している。MEK1阻害剤およびMEK2阻害剤は、Rasの下流のMEKシグナル伝達を有効に阻害することが示されており、したがってNF1の処置においてMEKを標的とすることの強力な理論的根拠を提供し(Rice et al. Medicinal Chemistry Letters 3:416-421, 2012(非特許文献3))、したがって、あざの処置においてMEKを標的とすることの理論的根拠を提供する。
神経線維腫症1型を有する対象においてあざを標的とするためにMEK阻害剤が開発されたが、これらの処置薬および投与経路は、この状態に同じく関連する認知機能不全(例えばADHD、学習障害、および不安)に対処するものではない。
神経線維腫症1型(NF1)以外に、神経線維腫症2型(NF2)および神経鞘腫症という2種の他の公知の神経線維腫症障害が存在する。神経鞘腫症はこれら3種のなかで最も近年に同定されたものであり、40,000人中約1人が罹患していると考えられており、一方、NF2は25,000人中約1人が罹患していると考えられている。NF1と同様に、NF2および神経鞘腫症を有する個人も、ADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害(例えばADHD、学習障害、および不安)を示すことがある。
したがって、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症を有する対象に関連する認知機能不全に対処しうる有効な治療薬を開発することが、当技術分野において依然として求められている。本開示はこの要求に対処し、関連する利点も同様に提供する。
Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015 Akinleye et al. Journal of Hematology & Oncology 6:27, 2013 Rice et al. Medicinal Chemistry Letters 3:416-421, 2012
発明の簡単な概要
第1の局面では、本発明は、式(I):
Figure 2023547040000002
で表される化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩の鼻内製剤を、神経線維腫症を有する患者に投与することで、該対象において認知機能不全を処置する方法を提供し、
前記式中、R1、R2、R2a、R3、R3a、およびR3bは本明細書に定義および記載の通りである。
いくつかの態様では、神経線維腫症は、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、および神経鞘腫症からなる群より選択される。
第2の局面では、本発明は、ADHDを含む認知障害の処置のための鼻内噴霧製剤を提供する。鼻内噴霧製剤は、式(I):
Figure 2023547040000003
で表される化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩と、
液体鼻内噴霧剤または粉末鼻内噴霧剤としての製剤化に応じて好適な担体と
を含み、
前記式中、R1、R2、R2a、R3、R3a、およびR3bは本明細書に定義および記載の通りである。
本発明は、ADHDを処置するための、またはADHA、認知症、学習障害、てんかんなどの神経変性疾患もしくは神経変性障害および神経発達障害を例えば含む、認知機能不全疾患もしくは認知機能不全障害を処置するための、鼻腔内組成物に関する。本発明の組成物および方法は鼻腔内送達向けに構成される。特に、本発明による式(I)の化合物の鼻内薬物送達は、急速な吸収、早期の作用発現、肝初回通過代謝の回避、および投与の容易性を含むがそれに限定されないいくつかの利点を提供する。
より特別には、本明細書において提供される組成物および方法は、有利なことに、所与の神経発達障害、例えばADHAまたは学習障害の1つまたは複数の中核症状を減少させるかまたは緩和することができる。いくつかの局面では、本明細書において提供される組成物および方法は、有利なことに、式(I)の化合物が持続的に吸収されるようにすることで、より少ない用量および/または長い作用持続時間でバイオアベイラビリティを改善することができる。いくつかの態様では、本明細書において提供される製剤および方法は、副作用の発生率を現行の処置薬および/または送達方法に比べて減少させることができる。
好ましくは、個人は上記の処置を必要としており、神経線維腫症と診断されているが、式(I)の化合物は予防的な意味で投与されてもよい。いくつかの態様では、神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、および神経鞘腫症からなる群より選択される。
図1Aおよび1Bは、実施例1の鼻内製剤Ex. A 50μLの1回の鼻腔内投与後の雌マウスにおける化合物1.003の血漿中濃度および脳中濃度を示す。図1A: 線形スケール; 図1B: 対数スケール。
発明の詳細な説明
I. 概略
式(I)の化合物(MEK阻害剤)が神経線維腫症1型(NF1)において持続的に発生する皮膚神経線維腫(cNF)の腫瘍量の減少において有用であることは既に記載されているが、本発明者らは、驚くべきことに、式(I)の化合物が、鼻内投与される場合に、神経線維腫症を有する対象におけるADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置において有用でありうることを発見した。神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症でありうる。
したがって、式(I)の化合物を含む鼻内噴霧製剤、および神経線維腫症を有する対象におけるADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置のためにこれらの鼻内噴霧製剤を使用する方法が、本明細書において提供される。神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症でありうる。鼻内噴霧製剤は、通常は計量装置によって、処置に有効な特定の投与量を与えるように投与される。
II. 定義
本明細書において使用される略語は化学分野および生物学分野内での通常の意味を有する。
置換基は、左から右に書かれる従来の化学式で規定される場合、構造を右から左に書くことにより得られる置換基も同等に包含し、例えば、-CH2O-は-OCH2-を含むように意図される。
別途具体的に指示がない限り、式(I)の化合物は、ピロロ[2,3-b]ピリジンコアの窒素(N)原子(「*」付き)がメチルで置換された、1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン化合物である。
Figure 2023547040000004
「アルキル」とは、指定数の炭素原子(すなわち、C1~C6とは1~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分岐の飽和脂肪族基を意味する。アルキルは任意の数の炭素、例えばC1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6、C1~C7、C1~C8、C1~C9、C1~C10、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6、およびC5~C6を含みうる。例えば、C1~C6アルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられるがそれに限定されない。アルキルは、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどであるがそれに限定されない最大20個の炭素を有するアルキル基を意味することもある。
「アルキレン」とは、指定数の炭素原子(すなわち、C1~C6とは1~6個の炭素を意味する)を有し、少なくとも2個の他の基を連結する、直鎖または分岐の飽和脂肪族基、すなわち二価炭化水素基を意味する。アルキレンに連結される2個の部分は、アルキレン基の同じ原子に連結されてもよく、異なる原子に連結されてもよい。例えば、直鎖アルキレンは、nが1、2、3、4、5、または6である-(CH2)n-の二価の基でありうる。代表的なアルキレン基としてはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレン、およびヘキシレンが挙げられるがそれに限定されない。
「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有し、かつ指定数の炭素原子(すなわち、C2~C6とは2~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分岐炭化水素を意味する。アルケニルは任意の数の炭素、例えばC2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9、C2~C10、C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4、C4~C5、C4~C6、C5、C5~C6、およびC6を含みうる。アルケニル基は、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上を含むがそれに限定されない任意の好適な数の二重結合を有しうる。アルケニル基の例としてはビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、または1,3,5-ヘキサトリエニルが挙げられるがそれに限定されない。
「アルキニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を有し、かつ指定数の炭素原子(すなわち、C2~C6とは2~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分岐炭化水素を意味する。アルキニルは任意の数の炭素、例えばC2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9、C2~C10、C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4、C4~C5、C4~C6、C5、C5~C6、およびC6を含みうる。アルキニル基の例としてはアセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、または1,3,5-ヘキサトリイニルが挙げられるがそれに限定されない。
「シクロアルキル」とは、3~12個の環原子または指定数の原子を含む飽和または部分不飽和の単環式、縮合二環式、または架橋多環式の環集合体を意味する。シクロアルキルは任意の数の炭素、例えばC3~C6、C4~C6、C5~C6、C3~C8、C4~C8、C5~C8、C6~C8、C3~C9、C3~C10、C3~C11、およびC3~C12を含みうる。飽和単環式シクロアルキル環としては例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが挙げられる。飽和二環式および多環式シクロアルキル環としては例えばノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレン、およびアダマンタンが挙げられる。シクロアルキル基は部分不飽和であって、環中に1個または複数の二重結合または三重結合を有していてもよい。部分不飽和である代表的なシクロアルキル基としてはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-および1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-、1,4-、および1,5-異性体)、ノルボルネン、ならびにノルボルナジエンが挙げられるがそれに限定されない。シクロアルキルが飽和単環式C3~C8シクロアルキルである場合、例示的な基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられるがそれに限定されない。
「シクロアルキルアルキル」とは、アルキル成分およびシクロアルキル成分を有し、アルキル成分がシクロアルキル成分を結合点に連結する、基を意味する。アルキル成分は、シクロアルキル成分および結合点に連結されるように少なくとも二価、すなわちアルキレンであることを除けば、上記定義の通りである。アルキル成分は任意の数の炭素、例えばC1~C6、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6、およびC5~C6を含みうる。シクロアルキル成分は上記定義の通りである。例示的なシクロアルキル-アルキル基としてはシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、およびシクロヘキシルメチルが挙げられるがそれに限定されない。
「アルコキシ」とは、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルキル基、すなわちアルキル-O-を意味する。アルコキシ基は任意の好適な数の炭素原子、例えばC1~C6を有しうる。アルコキシ基としては例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。
「ヒドロキシアルキル」とは、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられた、上記定義のアルキル基を意味する。アルキル基と同様に、ヒドロキシアルキル基は任意の好適な数の炭素原子、例えばC1~C6を有しうる。ヒドロキシ基と同様に、ヒドロキシアルキル基は1個、2個、3個、または4個のヒドロキシ基を有しうる。「モノヒドロキシアルキル」とは、1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基を意味する。「ジヒドロキシアルキル」とは、2個のヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基を意味する。例示的なヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(ヒドロキシが1位または2位にある)、ヒドロキシプロピル(ヒドロキシが1位、2位、または3位にある)、ヒドロキシブチル(ヒドロキシが1位、2位、3位、または4位にある)、ヒドロキシペンチル(ヒドロキシが1位、2位、3位、4位、または5位にある)、ヒドロキシヘキシル(ヒドロキシが1位、2位、3位、4位、5位、または6位にある)、1,2-ジヒドロキシエチルなどが挙げられるがそれに限定されない。
「アルコキシアルキル」とは、アルキル成分およびアルコキシ成分を有し、アルキル成分がアルコキシ成分を結合点に連結する、基を意味する。アルキル成分は、アルコキシ成分および結合点に連結されるように少なくとも二価、すなわちアルキレンであることを除けば、上記定義の通りである。アルキル成分は任意の数の炭素、例えばC1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6、およびC5~C6を含みうる。アルコキシ成分は上記定義の通りである。アルコキシ-アルキル基の例としては2-エトキシ-エチルおよびメトキシメチルが挙げられるがそれに限定されない。
「ハロゲン」または「ハロ」とはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
「アルコール」とは、ヒドロキシ基が鎖の炭素に結合した、本明細書に定義のアルキル基(例えばC2~6アルキル)を意味する。例えば、本発明において有用なアルコールとしてはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールが特に挙げられるがそれに限定されない。本発明において有用なアルコールは完全飽和している。いくつかの態様では、アルコールはC2~6アルコールである。
「アルキレングリコール」とは、式H-[O-アルキレン]-OHを有し、アルキレン基が2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する、化合物を意味する。いくつかの態様では、アルキレングリコールはC2~6アルキレングリコールである。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールはプロピレングリコール(1.2-プロパンジオール)である。
「ジ-アルキレングリコール」とは、式HO-(アルキレン-O)2-Hを有し、アルキレン基が2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する、化合物を意味する。いくつかの態様では、ジ-アルキレングリコールはジ-(C2~6アルキレン)グリコールである。いくつかの態様では、ジ-(C2~6アルキレン)グリコールはジプロピレングリコールである。ジプロピレングリコールは1つまたは複数の異性体、例えば4-オキサ-2,6-ヘプタンジオール、2-(2-ヒドロキシ-プロポキシ)-プロパン-1-オール、2-(2-ヒドロキシ-1-メチル-エトキシ)-プロパン-1-オール、および3,3'-オキシビス(プロパン-1-オール)を含みうる。
「ポリエチレングリコール」とは、添字「n」が多様である式HO-(CH2CH2O)n-OHを有するポリマーを意味する。好適なポリエチレングリコールは、遊離ヒドロキシル基をポリマー分子の各末端に有してもよく、低級アルキル基、例えばメチル基でエーテル化された1個または複数のヒドロキシル基を有してもよい。エステル化可能なカルボキシ基を有するポリエチレングリコールの誘導体も好適である。本発明において有用なポリエチレングリコールは、任意の鎖長または分子量のポリマーでありうるし、分岐を含みうる。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200~約9000である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200~約5000である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約200~約1500である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約400である。好適なポリエチレングリコールとしてはPEG-200、PEG-300、PEG-400、PEG-600、PEG-900、PEG-1450が挙げられるがそれに限定されない。名称中の「PEG」に続く数字はポリマーの平均分子量を指す。
「超精製」賦形剤とは、不純物が除去された賦形剤を意味する。超精製によって、化学組成を改変することなく、賦形剤から極性不純物(一次および二次酸化生成物を含む)が除去される。これらの不純物の除去は、賦形剤-医薬品有効成分(API)相互作用、およびその後のAPI分解を減少させ、それにより薬物および最終製剤の両方の安定性を維持することを助長する。さらに、これらの不純物の除去により細胞刺激作用を最小化することができ、このことは様々な薬物投与経路に理想的である。本発明の超精製賦形剤としては超精製PEG-400および超精製プロピレングリコールが挙げられる。
「超精製PEG-400」または「S.R. PEG-400」とは、薬物の活性および製剤の安定性を強化しうる高純度グレードのポリエチレングリコール400を意味する。いくつかの態様では、「S.R. PEG-400」は約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%以上の純度を有する。いくつかの態様では、S.R. PEG-400は約99.8%または99.9%以上の純度を有する。
「超精製プロピレングリコール」または「S.R.プロピレングリコール」とは、薬物の活性および組成物(または製剤)の安定性を強化しうる高純度プロピレングリコールを意味する。いくつかの態様では、S.R.プロピレングリコールは約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%以上の純度を有する。いくつかの態様では、S.R.プロピレングリコールは約99.8%または99.9%以上の純度を有する。
「Transcutol」は、式CH3CH2OCH2CH2OCH2CH2OHで表され、好ましいIUPAC名2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを有する。2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの他の名称としてはジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGMEもしくはDEGEEと略す)、ジエチレングリコールエチルエーテル(DEGEEと略す)、エチルジグリコール、ジオキシトール、3,6-ジオキサ-1-オクタノール、カルビトール、カルビトールセルソルブ、Polysolv DE、またはDowanal DEが挙げられる。Transcutolは「Transcutol P」および「Transcutol HP」を含む。
「Transcutol P」とは高純度グレードの2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを意味する。「Transcutol HP」とは、薬物の活性および組成物(または製剤)の安定性を強化しうる高純度グレードの2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを意味する。いくつかの態様では、Transcutol PまたはHPは約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の純度を有する。いくつかの態様では、Transcutol PまたはHPは約99.8%または99.9%以上の純度を有する。いくつかの態様では、Transcutol HPは約99.90%の純度を有する。
「ポリソルベート」とは、エトキシ化ソルビタン(ソルビトールのポリエチレングリコール誘導体)および脂肪酸から得られる脂肪酸エステルの一種を意味する。ポリソルベートの例としてはポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、およびポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)が挙げられる。好適なポリソルベートとしては、Tween 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween 60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、およびTween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を含む、Tween(商標)シリーズ(Uniqemaより入手可能)が挙げられるがそれに限定されない。他の好適なポリソルベートとしては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるR. C. Rowe and P. J. Shesky, Handbook of pharmaceutical excipients, (2006), 5th ed.に列挙されているものが挙げられる。
「塩」とは、本発明の化合物の酸性塩または塩基性塩を意味する。薬学的に許容される塩の実例としては鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩がある。薬学的に許容される塩は無毒であるものと理解されよう。好適な薬学的に許容される塩に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に見ることができる。
「異性体」とは、同じ化学式を有するが構造的に区別可能である化合物を意味する。本発明の特定の化合物は不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有するものであり、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、および個々の異性体はすべて本発明の範囲内に包含されるように意図されている。
「互変異性体」とは、平衡状態で存在しかつ1つの形態から別の形態に容易に変換される、2つ以上の構造異性体のうちの1つを意味する。
「溶媒和物」とは、非共有結合的分子間力によって結合している化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本明細書において提供される化合物またはその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
「水和物」とは、水分子と複合体形成される化合物を意味する。本発明の化合物は1/2個の水分子または1~10個の水分子と複合体形成されうる。
本明細書において使用される「組成物」は、所定の成分を所定量で含む生成物、および、所定量での所定の成分の組み合わせにより直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するように意図されている。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が必ず製剤の他の成分と適合性があって、そのレシピエントに有害でないことを意味する。
「薬学的に許容される賦形剤」とは、有効剤の対象への投与および対象による吸収を支援する物質を意味する。本発明において有用な薬学的賦形剤としては結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香料、および着色料が挙げられるがそれに限定されない。本発明において経皮/局所送達に有用な薬学的賦形剤としては促進剤、可溶化剤、抗酸化剤、可塑化剤、増粘剤、ポリマー、および感圧接着剤が挙げられるがそれに限定されない。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識するであろう。
本明細書に記載の任意の1つの液体鼻内噴霧製剤では、平均分子量約200~1500Daを有するポリエチレングリコール(例えばPEG400または超精製PEG400)の含有量とは、pH調整溶液(例えばPEG-400または超精製PEG-400中0.1Mクエン酸溶液)に由来する部分および最終Q.S. 100(Q.Sとは十分量を意味する)を含む、重量比の総量を指す。同様に、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH(例えば2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはTranscutol HP)の含有量とは、pH調整溶液(例えば2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはTranscutol HP中0.1Mクエン酸溶液)に由来する部分および最終Q.S. 100を含む、重量比の総量を指す。同様に、水の含有量とは、pH調整溶液(例えば一塩基性リン酸ナトリウム/二塩基性リン酸ナトリウム溶液)に由来する部分および最終Q.S. 100を含む、重量比の総量を指す。
別途具体的に指示がない限り、本明細書に記載の製剤のpH値とは、見かけのpH値を指す。鼻内製剤は非水性製剤でも水を含んでもよいが、製剤は相当量の他の賦形剤(例えば1つまたは複数の吸収促進剤)を含む。したがって、非水性製剤または部分水溶液剤のpH値は見かけのpH値としてのみ見なされる。USP第<791>章によれば、非水溶液剤もしくは非水性懸濁液剤の見かけのpH値または部分水溶液の見かけのpH値は、最大約1pH単位となりうる変動が予想される。あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられるUSP第<791>章を参照。
「~を実質的に含まない」とは、いずれも本明細書に定義および記載の他の賦形剤、例えばC2~6アルコール、C2~6アルキレングリコール、またはそれらの組み合わせを1重量%を超えて含まない製剤を意味する。ポリエチレングリコール(例えばPEG-400)および/あるいはC1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH(例えば2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはTranscutol PもしくはHP)は、エチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールを含む不純物を含む。ポリエチレングリコール(例えばPEG-400)および/あるいはC1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH(例えば2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはTranscutol PもしくはHP)が製剤に存在する場合、製剤は不純物としてのエチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールを0.5重量%を超えて含まない。いくつかの態様では、ポリエチレングリコール(例えばPEG-400)および/あるいはC1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH(例えば2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはTranscutol PもしくはHP)が製剤に存在する場合、製剤は不純物としてのエチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールを0.25重量%を超えて含まない。
「約」とは、所定値に相当に類似していると当業者が見なすであろう、所定値を含む値の範囲を意味する。いくつかの態様では、「約」という用語は、当技術分野において一般に許容される測定値を使用する標準偏差の範囲内であることを意味する。いくつかの態様では、約とは、所定値の±10%に及ぶ範囲を意味する。いくつかの態様では、約とは所定値を意味する。
「阻害」、「阻害する」、および「阻害剤」とは、特定の作用または機能を禁止する化合物または禁止する方法を意味する。
「投与すること」とは、対象への鼻腔内投与を意味する。
「処置する」、「処置すること」、および「処置」とは、損傷、病態、または状態の処置または寛解の成功に関する任意の証拠を意味するものであり、この証拠は、軽減; 軽快; 症状を低減させること、または損傷、病態、もしくは状態に対する患者の耐容性を高めること; 変性または減退の速度を遅くすること; 最終変性点の衰弱性を減少させること; 患者の身体的または精神的健康を改善することなどの、任意の客観的または主観的パラメータを含む。症状の処置または寛解は、身体診察、神経精神医学的検査、および/または精神医学的評価の結果を含む、客観的または主観的パラメータに基づきうる。
「患者」または「対象」とは、本明細書において提供される薬学的組成物の投与により処置可能な疾患または状態に罹患しているかまたは罹患しやすいヒトを意味する。いくつかの態様では、患者は子どもである。
「治療有効量」とは、同定された疾患もしくは状態を処置するかもしくは寛解させるために、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために有用な、化合物または薬学的組成物の量を意味する。正確な量は、処置の目的に依存するものであり、当業者が公知の技術を使用することで確認可能である(例えばLieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999); およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)。
「認知機能不全疾患または認知機能不全障害」とは、情報を学習および記憶する能力、組織する能力、計画する能力、問題解決する能力、集中する能力、必要に応じて注意を維持および転換する能力、言語を理解および使用する能力、環境を正確に知覚する能力、ならびに計算を実行する能力を含むがそれに限定されない、高次脳機能を実行する能力の低下を特徴とする、一連の状態を維持する。いくつかの態様では、認知機能不全は神経変性疾患または神経変性障害である。いくつかの態様では、認知機能不全は神経発達障害である。
「神経変性疾患または神経変性障害」とは、神経細胞の変性変化によって神経系が機能を喪失する状態を意味する。神経変性疾患または神経変性障害は、運動または感覚の問題を引き起こす状態、および記憶に影響するかまたは認知症に関連する状態という2つの群に分けることができる。神経変性疾患はアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、ハンチントン病、アレキサンダー病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、毛細血管拡張症、脊髄小脳失調症、カナバン病、コケイン症候群、ケネディ病、クラッベ病、マシャド・ジョセフ病、前頭側頭型認知症、ピック病、サンドホフ病、シルダー病、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー病、脊髄癆、ギラン・バレー症候群ならびに末梢神経障害、例えば外傷性(神経切断または神経挫滅)、虚血性、代謝性(糖尿病、尿毒症)、感染性、アルコール性、医原性、および遺伝性神経障害、ペリツェウス・メルツバッハ病、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、大脳皮質基底核変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症、ならびに脊髄性筋萎縮症からなる群より選択されうるが、それに限定されない。
「神経発達障害」とは、注意処理および知覚処理、実行機能、抑制制御(例えば感覚ゲーティング)、社会的認知、ならびにコミュニケーション行動および親和行動を含む、神経発達および/または基本的生物行動プロセスの異常を特徴とする、状態を意味する。いくつかの態様では、神経発達障害は学習障害である。学習障害としては、読み、書き、数理、および記憶の困難が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、神経発達障害は注意欠陥障害である。例示的な神経発達障害としては注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、アルパース病、統合失調症、強迫性障害(OCD)、および自閉症スペクトラム障害が挙げられる。いくつかの態様では、神経発達障害はてんかんなどの発作性障害である。
本明細書において置換基(substituent)または「置換基(substituent group)」の群に関して使用される場合の「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「1つの(a(n))」とは、少なくとも1個を意味する。例えば、化合物が「1個の」アルキルまたはアリールで置換されている場合、該化合物は少なくとも1個のアルキルおよび/または少なくとも1個のアリールで置換されていてもよく、ここで各アルキルおよび/またはアリールは異なっていてもよい。別の例では、化合物が「1個の」置換基で置換されている場合、化合物は少なくとも1個の置換基で置換されており、ここで各置換基は異なっていてもよい。
III. 鼻内製剤
有効剤、すなわち以下に記載の式(I)の化合物を含む、鼻内噴霧製剤が、本明細書において提供される。認識されるように、鼻内噴霧製剤は薬学的製剤であり、賦形剤をさらに含み、いくつかの賦形剤は複数の機能を有しうる。例えば、所与の物質は溶媒と粘膜送達促進成分(例えば粘膜送達促進剤または吸収促進剤)との両方として作用しうる。鼻内噴霧製剤は液体形態または粉末形態でありうる。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物が完全にまたは部分的に可溶化されている、液体鼻内噴霧製剤(例えば水溶液剤、水性懸濁液剤、水性乳剤、非水溶液剤、非水性懸濁液剤、または非水性乳剤)である。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物が担体粒子との混合物として存在する、粉末鼻内噴霧製剤である。
A. 液体鼻内噴霧製剤
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、液体鼻内噴霧製剤であり、以下に記載の式(I)の化合物、および1つまたは複数の吸収促進剤; ならびに任意で、防腐剤、抗酸化剤、pH調整剤、粘度調整剤、および安定化剤より選択される1つまたは複数の剤を含む。いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は水をさらに含む。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤のpHは約2.0~約8.0である。いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤はpH約3.0~約7.5を有する。いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤はpH約6.0~約7.0を有する。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、1用量当たり約5mg/mL~約40mg/mLの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.4mg~約2.4mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.9mg~約2.4mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.5mg~約2.0mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.9mg~約1.5mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.75mg~約1.5mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約0.45mg~約1.15mgの量で含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、式(I)の化合物またはその塩を、該化合物を含む装置から分配される1用量当たり約1.0mg~約2.0mgの量で含む。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は液体鼻内噴霧製剤に無塩および無水基準で約0.005重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.1重量%~約3重量%、または約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約0.01重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約0.1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約1重量%~約3重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、化合物1.003は液体鼻内噴霧製剤に無塩および無水基準で約0.005重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.005重量%~約3重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.1重量%~約3重量%、または約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.005重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.01重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.005重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.01重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.25重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.5重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約2重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、アルコール、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジニウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイル、ジメチルスルホキシド、モノオレイン酸グリセリル、グリコフロール、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリチルレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407またはF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、ライトミネラルオイル、リノール酸、メントール、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、キラヤサポニン、サリチル酸ナトリウム塩、β-シトステロールβ-D-グルコシド、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、およびアルキルサッカライドより選択される1つまたは複数の吸収促進剤を含む。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はC2~6アルコール、ポリエチレングリコール、C2~6アルキレングリコール、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH、またはそれらの組み合わせより選択される。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、C2~6アルキレングリコール、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH、またはそれらの組み合わせより選択される。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH、またはそれらの組み合わせより選択される。
いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは平均分子量約200~約5000Daを有する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは平均分子量約200~約2000Daを有する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは平均分子量約200~約1500Daを有する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは平均分子量約200~約900Daを有する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-200、PEG-300、PEG-400、PEG-600、PEG-900、PEG-1450である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-1450である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400およびPEG-1450の混合物である。
いくつかの態様では、C2~6アルコールはエタノールである。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールはプロピレングリコールである。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは2-(2-エトキシエトキシ)エタノールである。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、およびそれらの組み合わせより選択される。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400、PEG-1450、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、PEG-1450、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、およびそれらの組み合わせより選択される。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、およびそれらの組み合わせより選択される。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコールおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコールおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの混合物である。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの混合物である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400、PEG-1450、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの混合物である。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、PEG-1450、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、PEG-1450、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はPEG-400、PEG-1450、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの混合物である。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はエタノール、プロピレングリコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は2-(2-エトキシエトキシ)エタノールである。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はエタノールおよびプロピレングリコールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はエタノールおよびプロピレングリコールの混合物である。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はエタノール、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤はエタノール、プロピレングリコール、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールの混合物である。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約50重量%~約95重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約60重量%~約95重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約70重量%~約95重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約80重量%~約95重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約90重量%~約95重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約70重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約30重量%~約70重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約40重量%~約70重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約50重量%~約70重量%の量で存在する。いくつかの態様では、1つまたは複数の吸収促進剤は液体鼻内噴霧製剤に約60重量%~約70重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に約30重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは約40重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約60重量%、または約60重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールは約60重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400である。いくつかの態様では、ポリエチレングリコールはPEG-400およびPEG-1450の混合物である。
いくつかの態様では、PEG-400は液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は液体鼻内噴霧製剤に約30重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約60重量%、または約60重量%~約80重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約60重量%~約80重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは約30重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは約40重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは約20重量%~約30重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは2-(2-エトキシエトキシ)エタノールである。
いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは液体鼻内噴霧製剤に約20重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約30重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約20重量%~約30重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に存在しない。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に約5重量%~約30重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールは約5重量%~約20重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールは約10重量%~約15重量%の量で存在する。いくつかの態様では、C2~6アルキレングリコールはプロピレングリコールである。
いくつかの態様では、プロピレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に存在しない。いくつかの態様では、プロピレングリコールは液体鼻内噴霧製剤に約5重量%~約30重量%の量で存在する。いくつかの態様では、プロピレングリコールは約5重量%~約20重量%の量で存在する。いくつかの態様では、プロピレングリコールは約10重量%~約15重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、PEG-400は超精製PEG-400である。
いくつかの態様では、プロピレングリコールは超精製プロピレングリコールである。
いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールはTranscutol HPである。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは純度99.90%超を有するTranscutol HPである。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は、ドデシルマルトシド、塩化ベンザルコニウム、オレイン酸またはその塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、およびラウリル硫酸ナトリウムより選択される1つまたは複数の吸収促進剤を含む。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド; 約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム; 約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩; 約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドと約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムとの組み合わせ; 約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドと約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩との組み合わせ; または約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムと、約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩と、約0.001~約1%の抗酸化剤(例えばメタ重亜硫酸ナトリウム)との組み合わせを含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシド; 約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウム; 約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩; 約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドと約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムとの組み合わせ; 約0.005%(w/v)~約2.5%(w/v)のドデシルマルトシドと約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩との組み合わせ; または約0.001(w/v)~約1%(w/v)の塩化ベンザルコニウムと約0.001(w/v)~約1%(w/v)のオレイン酸もしくはその塩との組み合わせを含む。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は約0.005%(w/v)~約0.08%(w/v)の塩化ベンザルコニウム; 約0.01%(w/v)~約0.06%(w/v)の塩化ベンザルコニウム; または約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の塩化ベンザルコニウムを含み、塩化ベンザルコニウムは鼻内噴霧製剤中の唯一の吸収促進剤であるか、または該製剤に1つもしくは複数のさらなる吸収促進剤と共に存在する。
いくつかの態様では、抗酸化剤が液体鼻内噴霧製剤に存在する。好適な抗酸化剤としてはブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビルエステル、またはそれらの組み合わせが挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、抗酸化剤はブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、抗酸化剤はブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソールの混合物である。いくつかの態様では、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビルを含むアスコルビルエステルである。いくつかの態様では、抗酸化剤はαトコフェロールである。いくつかの態様では、抗酸化剤はパルミチン酸アスコルビルおよびαトコフェロールの混合物である。
いくつかの態様では、抗酸化剤は液体鼻内噴霧製剤に約0.01重量%~約1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、抗酸化剤は約0.01重量%~約0.5重量%の量で存在する。いくつかの態様では、抗酸化剤は約0.01重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、抗酸化剤は約0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する。いくつかの態様では、抗酸化剤はブチルヒドロキシトルエンである。いくつかの態様では、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビルを含むアスコルビルエステルである。いくつかの態様では、抗酸化剤はαトコフェロールである。いくつかの態様では、抗酸化剤はパルミチン酸アスコルビルおよびαトコフェロールの混合物である。
いくつかの態様では、ブチルヒドロキシトルエンは液体鼻内噴霧製剤に約0.01重量%~約0.5重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ブチルヒドロキシトルエンは約0.01重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、ブチルヒドロキシトルエンは約0.05重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルを含むアスコルビルエステルは液体鼻内噴霧製剤に約0.01重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは液体鼻内噴霧製剤に約0.01重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは約0.05重量%の量で存在する。いくつかの態様では、αトコフェロールは液体鼻内噴霧製剤に約0.001重量%~約0.05重量%の量で存在する。いくつかの態様では、αトコフェロールは液体鼻内噴霧製剤に約0.001重量%~約0.01重量%の量で存在する。いくつかの態様では、αトコフェロールは約0.002重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、防腐剤は液体鼻内噴霧製剤に存在しない。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は防腐剤を含む。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、ベンジルアルコールである。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、フェノキシエタノールである。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、ベンジルアルコールおよびフェノキシエタノールの混合物である。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、塩化ベンザルコニウムである。
いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、約0.1重量%~約5重量%の量である。いくつかの態様では、防腐剤は、存在する場合、約0.5重量%~約2重量%の量である。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤はpH調整剤を含む。いくつかの態様では、pH調整剤は酸、塩基、緩衝液、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、酸はアジピン酸、塩化アンモニウム、クエン酸、酢酸、塩酸、乳酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、または酒石酸であり; 塩基は水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムであり; 緩衝液はリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、またはクエン酸緩衝液である。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤は安定化剤をさらに含む。いくつかの態様では、安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩である。いくつかの態様では、EDTAはEDTA二ナトリウムである。いくつかの態様では、EDTAは約0.001重量%~約1重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、粘度調整剤は、増粘剤またはゲル化剤として作用する成分である。例としてはセルロースならびにその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、多糖、カルボマー、アクリルポリマー、例えばCarbopol、ポリビニルアルコールおよび他のビニルポリマー、ポビドン、コポリビドン(Kollidon VA64)、コロイド性二酸化ケイ素、例えばAerosil(登録商標)200またはCab-O-Sil(登録商標)、例えばCab-O-Sil(登録商標)M-5P、親油性二酸化ケイ素、例えばAerosil(登録商標)R972、セチルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、ロウ、ミツロウ、15ワセリン、トリグリセリド、ラノリン、ならびにそれらの好適な混合物が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、粘度調整剤はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。
いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースは平均分子量約80,000Da、95,000Da、100,000Da、140,000Da、180,000Da、280,000Da、370,000Da、700,000Da、850,000Da、1,000,000Da、または1,150,000Daを有する。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースは平均分子量約140,000Da、180,000Da、280,000Da、370,000Da、700,000Da、850,000Da、1,000,000Da、または1,150,000Daを有する。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースは平均分子量約140,000Da、370,000Da、850,000Da、または1,150,000Daを有する。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースは平均分子量約700,000Da~約1,150,000Daを有する。
いくつかの態様では、粘度調整剤は、平均分子量約1000~約3000Daを有するポリエチレングリコールである。いくつかの態様では、粘度調整剤はPEG-1000、PEG-1450、PEG-1500、PEG-2000、PEG-2500、またはPEG-3000である。いくつかの態様では、粘度調整剤はPEG-1450である。いくつかの態様では、粘度調整剤はPEG-1500である。
本明細書に記載のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)としてはHY117、HY119、HY121、Nisso SSL、Nisso SL、Nisso L、Nisso LM、Nisso LMM、Nisso M、Nisso H、Nisso VH、Klucel ELF、Klucel EF、Klucel LF、Klucel JF、Klucel GF、Klucel MF、およびKlucel HFが挙げられる。HY117は平均分子量約95,000Daを有し; HY119は平均分子量約370,000Daを有し; HY121は平均分子量約850,000Daを有する。Nisso SLは平均分子量約100,000Daを有し; Nisso Lは平均分子量約140,000Daを有し; Nisso LMは平均分子量約180,000Daを有し; Nisso LMMは平均分子量約280,000Daを有し; Nisso Mは平均分子量約700,000Daを有し; Nisso Hは平均分子量約1,000,000Daを有する。ゲル局所製剤中のNisso HPC(すなわちNisso SSL、Nisso SL、Nisso L、Nisso LM、Nisso LMM、Nisso M、Nisso H、およびNisso VH)の好適な粒径としては通常粉末(約40メッシュ)、微粉末(約100メッシュ)、および超微粉末(約300メッシュ)が挙げられる。あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられるNisso HPCの技術データシートを参照。Klucel EFは平均分子量約80,000Daを有し; Klucel LFは平均分子量約95,000Daを有し; Klucel JFは平均分子量約140,000Daを有し; Klucel GFは平均分子量約370,000Daを有し; Klucel MFは平均分子量約850,000Daを有し; Klucel HFは平均分子量約1,150,000Daを有する。局所製剤中のKlucel HPCの好適な粒径としては通常グレードおよび微細グレードが挙げられる。あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられるKlucel HPC製品の技術データシートを参照。
任意の1つの液体鼻内噴霧製剤のいくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel JF、Klucel GF、Klucel MF、またはKlucel HFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel JF、Klucel MF、またはKlucel HFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel MFまたはKlucel HFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel JFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel GFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel MFである。いくつかの態様では、ヒドロキシプロピルセルロースはKlucel HFである。
いくつかの態様では、粘度調整剤は液体鼻内噴霧製剤において使用されない。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤の粘度は約10,000cP以下である。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤の粘度は約5,000cP以下である。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約5,000cP、約1cP~約4,000cP、約1cP~約3,000cP、約1cP~約2,000cP、約1cP~約1,000cP、または約1cP~約500cPである。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約2,000cP、約1cP~約1,000cP、または約1cP~約500cPである。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約2,000cPである。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約1,000cPである。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約500cPである。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤(A)は、
a) 式(I)の化合物;
b) PEG-400、抗酸化剤、任意で防腐剤、および任意で安定化剤;
c) C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OH; ならびに
d) 任意で粘度調整剤
を含む。
いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤(A)は、いずれも本明細書に定義および記載されているC2~6アルコール、C2~6アルキレングリコール、それらの組み合わせを実質的に含まない。いくつかの態様では、液体鼻内噴霧製剤(A)はエタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、またはそれらの組み合わせを実質的に含まない。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、PEG-400は約30重量%~約70重量%、約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、または約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、または約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約70重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約50重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約50重量%~約55重量%の量で存在する。いくつかの態様では、PEG-400は約52重量%の量で存在する。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、C1~3アルキル-(OCH2CH2)1~5-OHは2-(2-エトキシエトキシ)エタノールである。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約30重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%、または約40重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約40重量%~約60重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約40重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの態様では、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールは約45重量%の量で存在する。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビルを含むアスコルビルエステル、およびαトコフェロールである。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは約0.01重量%~約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは約0.01重量%~約0.1重量%、約0.02重量%~約0.08重量%、または約0.03重量%~約0.07重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは約0.03重量%~約0.07重量%の量で存在する。いくつかの態様では、パルミチン酸アスコルビルは約0.05重量%の量で存在する。いくつかの態様では、αトコフェロールは約0.001重量%~約0.005重量%の量で存在する。いくつかの態様では、αトコフェロールは約0.002重量%の量で存在する。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、防腐剤は存在しない。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、安定化剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩である。いくつかの態様では、EDTAはEDTA二ナトリウムである。いくつかの態様では、EDTAは約0.001重量%~約1重量%の量で存在する。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、粘度調整剤は存在しない。液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、粘度調整剤はヒドロキシプロピルセルロースである。
液体鼻内噴霧製剤(A)のいくつかの態様では、粘度は約1cP~約2,000cP、約1cP~約1,000cP、または約1cP~約500cPである。いくつかの態様では、粘度は約1cP~約2,000cPである。
i. 粘膜送達促進剤
上記のように、いくつかの賦形剤は、複数の機能を示すこともあれば、2つ以上の用語で該賦形剤が特徴づけられるように使用されることもある。したがって、いくつかの態様では、本明細書において提供される液体鼻内噴霧製剤は粘膜送達促進成分を含む。「粘膜送達促進成分」または粘膜送達促進剤という用語は、化合物(例えば生物活性化合物)の放出または溶解性(例えば製剤送達媒体からの)、拡散速度、透過の能力およびタイミング、取り込み、滞留時間、安定性、有効半減期、ピークのもしくは持続的な濃度レベル、クリアランス、ならびに他の所望の粘膜送達特性(例えば送達部位において、または選択される標的活性部位、例えば血流もしくは中枢神経系において測定)を強化する成分を意味する。粘膜送達の促進は、化合物の拡散、輸送、残留性、または安定性を増加させること、膜流動性を増加させること、細胞内浸透または傍細胞浸透を制御するカルシウムおよび他のイオンの利用可能性または作用を調節すること、粘膜成分(例えば脂質)を可溶化すること、粘膜組織中の非タンパク質およびタンパク質スルフヒドリルレベルを変化させること、粘膜表面を横切る水分流動を増加させること、上皮移行部の生理機能を調節すること、粘膜上皮を覆う粘液の粘度を減少させること、粘液線毛クリアランス速度を減少させること、ならびに他の機構を例えば含む、種々の機構のうちいずれかによって行われうる。
例示的な粘膜送達促進成分としては以下が挙げられる: (a) 凝集阻害剤; (b) 電荷調整剤; (c) pH調整剤; (d) 分解酵素阻害剤; (e) 粘液溶解剤または粘液除去剤; (f) 線毛運動停止剤; (g) 以下より選択される膜透過促進剤: (i) 界面活性剤、(ii) 胆汁酸塩、(ii) リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム、または担体、(iii) アルコール、(iv) エナミン、(v) NO供与化合物、(vi) 長鎖両親媒性分子、(vii) 低分子疎水性透過促進剤、(viii) ナトリウムまたはサリチル酸誘導体、(ix) アセト酢酸グリセロールエステル、(x) シクロデキストリンまたはβ-シクロデキストリン誘導体、(xi) 中鎖脂肪酸、(xii) キレート剤、(xiii) アミノ酸またはその塩、(xiv) N-アセチルアミノ酸またはその塩、(xv) 選択される膜成分を分解する酵素、(ix) 脂肪酸合成阻害剤、(x) コレステロール合成阻害剤、および(xi) (i)~(x)に記載の膜透過促進剤の任意の組み合わせ; (h) 上皮移行部生理機能調節剤; (i) 血管拡張剤; (j) 選択的輸送促進剤; ならびに(k) 本化合物が有効にそれに組み合わせられ、結びつき、収容され、封入され、または結合されることで、鼻内粘膜送達の促進のために本化合物が安定化される、安定化送達媒体、担体、粘膜付着剤、支持体、または複合体形成種。鼻腔内送達促進剤による本化合物の製剤化によって、対象の血漿中の本化合物のバイオアベイラビリティが増加する。
さらなる粘膜送達促進剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、プロピレングリコール、グリセリン、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。例えば、EDTAまたはその塩(例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩)は、アルキルサッカライド防腐剤を含む組成物の約0.01重量%~約2重量%の範囲の量で使用される。
B. 粉末鼻内噴霧製剤
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、以下に説明される式(I)の化合物と、担体粒子とを含む、粉末鼻内噴霧製剤である。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は粉末鼻内噴霧製剤に無塩および無水基準で約0.005重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.1重量%~約3重量%、または約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約0.01重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約0.1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、式(I)の化合物は無塩および無水基準で約1重量%~約3重量%の量で存在する。
いくつかの態様では、化合物1.003は粉末鼻内噴霧製剤に無塩および無水基準で約0.005重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.005重量%~約3重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.1重量%~約3重量%、または約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.005重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.01重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.005重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.01重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.25重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約0.5重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約1重量%の量で存在する。いくつかの態様では、化合物1.003は無塩および無水基準で約2重量%の量で存在する。
本明細書に記載の粉末鼻内噴霧製剤中の担体粒子は、粉末鼻内噴霧製剤に好適な任意の賦形剤を含む。例示的な担体粒子としてはグルコース、アラビノースなどの単糖; 乳糖、マルトース、ショ糖などの二糖; デンプン、デキストリン、またはデキストランなどの多糖; ソルビトール、マンニトール、およびキシリトールなどのポリアルコール; ならびにそれらの水和物が挙げられるが、必ずしもそれに限定されない。いくつかの態様では、単糖または二糖が使用され、本発明の別の態様では、乳糖が使用され、さらに別の態様では、乳糖一水和物が使用される。
C. 鼻内送達装置
本明細書に記載の製剤を含む鼻内薬物送達装置も提供される。いくつかの態様では、装置は予備プライミングされている。いくつかの態様では、装置は使用前にプライミング可能である。いくつかの態様では、装置は片手で作動可能である。
鼻内送達は、とりわけ急速な吸収および効果が望まれる場合に、無針の全身薬物送達のための魅力的で安全かつ投与が容易な経路であると考えられる。さらに、鼻内送達は、胃腸管内での低いバイオアベイラビリティ、遅い吸収、薬物分解、および有害事象(AE)に関連する問題に対処することを助長し、肝内での初回通過代謝を回避する。
液体鼻内噴霧製剤は水溶液剤または非水溶液剤でありうるが、懸濁液剤、乳剤、リポソーム剤、およびマイクロスフェア剤を送達してもよい。他の液体製剤としてはリポソーム剤、マイクロスフェア剤、混合水性-有機製剤、非水性製剤、乾燥散剤、および保持性製剤(ゲル剤)を挙げることができる。伝統的な噴霧ポンプシステムでは、液体製剤中の微生物安定性を維持するために、通常は抗菌防腐剤が必要である。定量噴霧ポンプは、導入されてから鼻内薬物送達市場を支配している。このポンプは、通常は噴霧1回当たり100μL(25~250μL)を送達し、インビトロ試験において放出用量およびプルーム形状の高い再現性を示す。
標準的な定量噴霧ポンプの例としては、Aptar Pharma, Inc.が提供するポンプ、例えば多回投与型「古典的技術プラットフォーム」鼻内噴霧装置、およびBD Medical-Pharmaceutical Systemsが提供するポンプ、例えばAccusprayr(登録商標)システムが挙げられる。これらの装置は、複数用量(例えば50、100、150、200、60、または120用量)の鼻内噴霧製剤を保持するリザーバと、閉鎖部(例えばスクリュー、クリンプ、またはスナップオン)と、1つの用量を含むように作動1回当たり45~1000μL(例えば50、100、140、150、または200μL)の流体をどこかに送達するアクチュエータとを含む。アクチュエータは、用量をカウントするか、ゲル製剤を送達するか、上下逆の構成で送達するなどするように構成されうる。
伝統的な多回使用型噴霧ポンプシステムでは、液体製剤中の微生物安定性を維持するために、通常は抗菌防腐剤が必要である。しかし、無防腐剤のシステム、例えばAptarのAdvanced Preservative Free(APF)システムも利用可能である。APFシステムは、通気孔が設けられ、汚染を防止する気流用濾過膜を含み、製剤を酸化するための無金属の流体経路を有し、任意の配向で使用可能である。Aptarおよび他社のさらなる鼻内噴霧装置は、目詰まりを防止するディスペンサー先端部(高粘度製剤および高揮発性製剤に有用である)、長期の使用中断後に再プライミングを必要としないアクチュエータなどによって最適化されている。さらなる鼻内噴霧装置は噴射剤駆動型である。なおさらなる鼻内噴霧装置は乾燥粉末吸入器を含む。
粒径およびプルーム形状は一定の限界の範囲内で異なりうるし、ポンプの特性、製剤化、アクチュエータのオリフィス、および加えられる力に依存しうる。鼻内噴霧剤の液滴径分布は、鼻腔内での薬物のインビボ沈着に著しく影響することから、決定的なパラメータである。液滴径は、装置の作動パラメータ、および製剤化に影響される。一般的な液滴径中央値は約30μm~約100μmであるはずである。液滴が大きすぎると(約120μm超)、沈着が主に鼻の前部において生じ、液滴が小さすぎると(約10μm未満)、液滴が吸入されて肺および口腔に到達するおそれがあり、これは安全性の理由から回避すべきである。界面活性剤として、塩化ベンザルコニウムおよびアルキルマルトシド(例えばテトラデシルマルトシド(TDM)、ドデシルマルトシド(DDM)など)は、送達された鼻内噴霧プルームからの液滴の表面張力に作用することで、狭い液滴径分布(DSD)を有する球状または実質的に球状の粒子を生成することができ、また、液体製剤の粘度に作用することができる。
噴霧後の送達プルームのプルーム形状、液滴径、およびDSDを、特定の実験条件および機器条件下で、当技術分野において公知である適切でかつ検証済みおよび/または較正済みの分析手順によって測定することができる。これらの手順としては写真、レーザー回折、およびインパクションシステム(カスケードインパクション、NGI)が挙げられる。プルーム形状、液滴径、およびDSDはCmax、Tmax、および用量比例性などの薬物動態結果に影響しうる。
液滴径分布をD10、D50、D90、スパン[(D90-D10)/D50]、および10mm未満の液滴のパーセントの範囲に関して制御することができる。いくつかの態様では、製剤は狭いDSDを有する。いくつかの態様では、製剤は30~70μmのD(v,50)および100μm未満のD(v,90)を有する。
いくつかの態様では、10μm未満の液滴のパーセントは10%未満である。いくつかの態様では、10μm未満の液滴のパーセントは5%未満である。いくつかの態様では、10μm未満の液滴のパーセントは2%未満である。いくつかの態様では、10μm未満の液滴のパーセントは1%未満である。
いくつかの態様では、作動によって装置から分配される際の製剤は、1に近い楕円率比で均一な円形のプルームを生じさせる。楕円率比は、噴霧流の方向(例えば「上」からの)に直交する噴霧パターンの最大径(Dmax)と最小径(Dmin)との商として計算される。いくつかの態様では、楕円率比は±2.0未満である。いくつかの態様では、楕円率比は±1.5未満である。いくつかの態様では、楕円率比は±1.3未満である。いくつかの態様では、楕円率比は±1.2未満である。いくつかの態様では、楕円率比は±1.1未満である。
様々な種類の鼻内エアロゾル装置に関する粒子生成の詳細および機械的原理が記載されている。Vidgren and Kublik, Adv. Drug Deliv. Rev. 29:157-77, 1998を参照。伝統的な噴霧ポンプでは、放出液体の代わりに空気が流入し、したがって、汚染を防止するために防腐剤が必要になる。しかし、防腐剤の負の影響の可能性を示唆する研究に動機づけられて、ポンプ製造者は、防腐剤の必要性を回避する様々な噴霧システムを開発した。これらのシステムでは、放出液体量を埋め合わせるための折りたたみ式バッグ、可動式ピストン、または圧縮ガスが使用されている。放出液体量を埋め合わせる折りたたみ式バッグおよび可動式ピストンによる解決策は、空気をディップチューブに吸い込んだ後、噴霧が劣化するという危険性なしで、上下逆に放出することができるというさらなる利点を示す。このことは、患者が寝たきりである場合、および頭低位での適用が推奨される場合の、いくつかの製品に有用でありうる。防腐剤を回避するために使用される別の方法は、放出液体の代わりに流入する空気を無菌空気フィルターを通じて濾過するというものである。さらに、いくつかのシステムは、アプリケーター先端部の内側の液体の汚染を回避するためのボール弁を先端部に有する。近年、サイドアクチュエーションを備えたポンプが設計された。敏感な粘膜表面との接触を回避するために先端部を短くしたポンプが設計された。プライミングおよび再プライミングの必要性を減少させる新規設計、ならびに、用量再現性を向上させるための圧力点特徴部と、用量カウンターと、用量管理および安全性の強化のためのロックアウト機構とを組み込んだポンプが利用可能である(Aptarの供給品リストを参照)。
伝統的で単純な単回投与型、二回投与型、および多回使用型の定量噴霧ポンプでは、ラベル表示された回数の投与について用量の一致性を維持するためにプライミングおよび何らかの程度の過剰充填が必要になる。これらのポンプは、薬物を長期にわたって毎日投与するには非常に適しているが、プライミング手順、および投与制御の限界が理由で、特殊装置が選択されない限り、とりわけ頻繁に使用されない場合、装置を使用する狭い治療時間窓での薬物にはそれほど適していない。高価な薬物、単回投与または散発的使用が意図される薬物、ならびに用量および製剤化の厳格な管理が重要である薬物では、単回投与型(UDS)または二回投与型(BDS)噴霧装置が好ましい(ワールドワイドウェブではaptar.com)。単回投与型噴霧装置の単純な変形(MAD(登録商標))をLMA(LMA、米国ユタ州ソルトレイクシティ; ワールドワイドウェブではlmana.com)が提供している。噴霧先端部を備えたノーズピースが標準的シリンジに取り付けられる。送達すべき液体薬物が最初にシリンジに引き込まれた後、噴霧先端部がシリンジ上に取り付けられる。この装置は、慢性副鼻腔炎を有する患者において例えば局所ステロイドを送達するための学術研究、およびワクチン研究において使用されている。1回投与または2回投与用の同じ原理に基づく予備充填装置(Accuspray(登録商標)、Becton Dickinson Technologies、米国ノースカロライナ州Research Triangle Park; ワールドワイドウェブではbdpharma.com)が、米国市場において成人用および子ども用の両方について承認されているインフルエンザワクチンFluMist(登録商標)(ワールドワイドウェブではflumist.com)を送達するために使用されている。2回投与用の同様の装置が10年前に別のインフルエンザワクチンの送達用にスイスの企業により販売された。
予備プライミングされた単回投与型装置および2回投与型装置も利用可能であり、リザーバ、ピストン、および渦流室からなる(例えばAptar(旧Pfeiffer)のUDS UnitDose(登録商標)およびBDS BiDose(登録商標)装置を参照)。液体が渦流室を通じて押し出されるときに噴霧剤が形成される。これらの装置は中指と薬指との間に保持され、親指がアクチュエータ上にある。いくつかの装置に組み込まれている圧力点機構により、作動力および放出プルーム特性の再現性が確保される。現在、Imitrex(登録商標)(ワールドワイドウェブではgsk.com)およびZomig(登録商標)(ワールドワイドウェブではaz.com; Pfeiffer/Aptar単回投与型装置)のような市販の鼻内偏頭痛薬、市販のインフルエンザワクチンFlu-Mist(ワールドワイドウェブではflumist.com; Becton Dickinson単回投与型噴霧装置)、ならびにオピオイド過剰摂取からのレスキュー用のナロキソンの鼻腔内製剤Narcan Nasal(登録商標)(ワールドワイドウェブではnarcan.com; Adapt Pharma)が、この種類の装置によって送達される。
いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の90%信頼区間は±約2%である。いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
歴史的に、例えば粘膜アトマイザー装置(MAD)が取り付けられたシリンジからの大量の薬物の鼻腔内投与は、製剤の一部分が鼻孔を逆方向に滴り出るかまたは上咽頭を滴り落ちるという傾向により、困難に直面している。したがって、いくつかの態様では、前記患者への前記薬学的製剤の鼻内送達時に、前記薬学的製剤の約20%未満がドレナージによって鼻腔から上咽頭または体外に出る。いくつかの態様では、前記患者への前記薬学的製剤の鼻内送達時に、前記薬学的製剤の約10%未満がドレナージによって鼻腔から上咽頭または体外に出る。いくつかの態様では、前記患者への前記薬学的製剤の鼻内送達時に、前記薬学的製剤の約5%未満がドレナージによって鼻腔から上咽頭または体外に出る。
吸入用噴霧薬品向けの現行の容器閉鎖システム設計は、噴霧プルームの生成のために機械的補助もしくは動力補助、および/または患者の吸気によるエネルギーを使用する、予備定量式および装置定量式の両方の提供形態を含む。予備定量式の提供形態は、既に測定された用量または用量の一部分を何らかの種類のユニット(例えば1個または複数のブリスターまたは他の空洞)に収容するものであり、このユニットは後になって製造中にまたは使用前の患者により装置に挿入される。典型的な装置定量式のユニットは、患者によって作動される際に装置それ自体により定量噴霧剤として複数用量を送達するために十分な製剤を収容するリザーバを有する。
無菌技術では、防腐剤の使用が予備プライミング装置において必要ではないことがあるが、過剰充填が必要であり、これにより定量多回投与型噴霧と同様の廃棄部分が生じる。100μLを放出するために、鼻腔内偏頭痛薬Imitrex(登録商標)(スマトリプタン)およびZomig(登録商標)(ゾルミトリプタン)に使用される装置(Pfeiffer/Aptar単回投与型装置)に125μL量が充填され、二回投与型設計ではその約半量が充填される。滅菌薬品を無菌処理または終末滅菌を使用して製造することができる。通常、終末滅菌は、高品質環境条件下で製品容器に充填し、それを密封することを包含する。この種類の環境下で製品を充填および密封することで、インプロセス製品の微生物および微粒子の含有量が最小化され、その後の滅菌プロセスが確実に成功することが助長される。大部分の場合では、製品、容器、および閉鎖部はバイオバーデンが低いが、滅菌であるわけではない。次に、最終溶液中の製品を熱、放射線照射、または化学物質(ガス)などの滅菌プロセスに供する。無菌処理では、薬品、容器、および閉鎖部を最初に滅菌方法に別々に適宜供した後、一緒にまとめる。最終容器中の製品を滅菌するためのプロセスが存在しないことから、効率的で高品質の環境下で容器を充填および密封することが重要である。無菌処理は終末滅菌よりも多くの変動要素を包含する。一般に、最終製品を無菌的に構築する前に、最終製品の個々の部分を様々な滅菌プロセスに供することができる。例えば、ガラス容器を乾熱に供し、ゴム閉鎖部を湿熱に供し、液体剤形を濾過に供する。これらの各製造プロセスは検証および管理を必要とする。
本明細書に記載の装置は、任意の前記薬学的製剤を使用することができ、本明細書に開示の方法において有用である。
したがって、治療有効量の式(I)の化合物を有するリザーバを含む、患者への薬学的製剤の鼻内送達に適応した装置が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、式(I)の化合物は薬学的製剤中の唯一の薬学的に有効な化合物である。いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤の量は約140μL以下である。
いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤の量は約125μL超および約140μL未満である。
いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤約100μLが1回の作動で患者に送達される。
いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤約100μLが1回の作動で患者に送達され、式(I)の化合物約2.5mg未満を含む。いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤約100μLが1回の作動で患者に送達され、式(I)の化合物約0.5mg~約2.5mgを含む。いくつかの態様では、リザーバ中の薬学的製剤約100μLが1回の作動で患者に送達され、式(I)の化合物約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、約2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、または約2.5mgを含む。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、水、EDTA、および塩化ナトリウムより選択される1つまたは複数の賦形剤をさらに含む。いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は塩化ベンザルコニウムをさらに含む。
いくつかの態様では、リザーバ中の液体鼻内噴霧製剤約100μLが1回の作動で患者に送達され、式(I)の化合物、ドデシルマルトシドもしくは塩化ベンザルコニウムまたはドデシルマルトシドと塩化ベンザルコニウムとの組み合わせ、EDTA、およびNaClを含む。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は抗菌防腐剤を実質的に含まない。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、防腐剤、吸収促進剤、および/またはカチオン性界面活性剤として作用する化合物; 等張化剤; 安定化剤; ならびにpH 約3.5~約6.0を実現するために十分な量の酸または塩基をさらに含む。アルキルサッカライド、シクロデキストリン、およびキトサンなどの吸収促進剤の使用により、式(I)の化合物が吸収される速度を増加させることができる。一般に、吸収促進剤は、吸収促進剤を含まない筋肉内製剤および鼻腔内製剤の両方に比べて薬物動態結果を改善し、例えばCmaxを増加させ、Tmaxを減少させ、用量比例性を改善する。理論に拘束されるものではないが、通常、これらの吸収促進剤は、鼻内吸収の2つの主要な機構、すなわち、細胞間のタイトジャンクションの開口による傍細胞輸送、および小胞担体による細胞を通じた経細胞輸送またはトランスサイトーシスに作用することで機能する。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は本明細書に記載の任意の1つの液体噴霧製剤である。
いくつかの吸収促進賦形剤は傍細胞経路および/または経細胞経路を改変することができ、他の吸収促進賦形剤は鼻腔内での滞留時間を延長するかまたは代謝変化を防止することができる。吸収促進剤がなければ、鼻内吸収の分子量限界は約1kDaであり、一方、薬物を吸収促進剤との組み合わせで投与することで1~30kDaの分子吸収が可能になりうる。しかし、大部分の吸収促進剤の鼻腔内投与は鼻粘膜損傷を引き起こしうる。Maggio, J. Excipients and Food Chem.5(2):100-12, 2014。吸収促進剤の例としてはアプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジニウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイルカルニチン、EDTA、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコフロール、グリコシル化スフィンゴシン、グリチルレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウレス-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、硫酸ラウリル、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407、ポロキサマーF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリソルベート80、プロピレングリコール、キラヤサポニン、サリチル酸、β-シトステロール-β-D-グルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、ならびにアルキルサッカライド、例えばドデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、およびスクロースドデカノエートが挙げられる。
いくつかの態様では、滅菌充填を使用して装置に鼻内噴霧製剤が充填される。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、約25℃および相対湿度約60%で約12ヶ月間、ならびに約40℃および相対湿度約75%で約6ヶ月間、化学的貯蔵安定性を示す。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は水溶液剤、水性懸濁液剤、水性乳剤、非水溶液剤、非水性懸濁液剤、非水性乳剤、ハロゲン化炭化水素噴射剤を伴う溶液剤、または乾燥散剤として送達される。いくつかの態様では、水性製剤が鼻孔内に噴霧される。いくつかの態様では、水性製剤が液圧霧化または超音波霧化を使用して液体ネブライザーによってエアロゾル化される。いくつかの態様では、非水性製剤が鼻孔内に噴霧される。いくつかの態様では、非水性製剤が液圧霧化または超音波霧化を使用して液体ネブライザーによってエアロゾル化される。噴射剤をベースとするシステムは、好適な加圧式定量吸入器(pMDI)を利用することができる。乾燥散剤は、原薬を有効に分散可能な乾燥散剤吸入装置(DPI)を利用することができる。
通常使用される噴射剤としてはクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素、および圧縮ガスが挙げられる。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は、鼻内用加圧式定量吸入器(pMDI)により生成される鼻内エアロゾルとして送達される。いくつかの態様では、pMDIはハイドロフルオロアルカン(HFA)をベースとする鼻内用pMDIである。噴霧ポンプと同様に、鼻内用pMDIは鼻前庭の前方非線毛上皮および狭い鼻弁の前方部分において局所的な沈着を生じさせるが、pMDIによって送達される噴霧剤が速やかに蒸発することから、目立った「鼻汁」がさほど問題にならないことがある。
いくつかの態様では、式(I)の化合物はネブライザーによって送達される。ネブライザーは、圧縮ガス(空気、酸素、および窒素)または超音波力もしくは機械力を使用して、医療用の溶液剤および懸濁液剤を、鼻内に直接吸入可能な小さいエアロゾル液滴に分解する。ネブライザーによるエアロゾルは、粒子が比較的小さく、速度が遅いことから、中鼻道および上鼻道ならびに副鼻腔内の標的部位に対する透過性が高まっている。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は、穿孔振動膜によって生成される振動エアロゾルによって送達される。いくつかの態様では、振動膜ネブライザーはVibrENT(PARI Pharma GmbH)である。いくつかの態様では、式(I)の化合物は、振動エアロゾルと呼吸技術との組み合わせによって送達される。
いくつかの態様では、式(I)の化合物はBi-Directional(登録商標)送達技術(例えばBi-Directional(登録商標)呼気送達システム(EDS); OptiNose)によって送達される。
いくつかの態様では、式(I)の化合物はアトマイザーによって送達される。いくつかの態様では、アトマイザーは、鼻内薬物送達が意図される手持ち型電池駆動アトマイザーである。いくつかの態様では、アトマイザーは、液滴が装置を出る際に液滴上で渦巻流を生じさせることで液体を霧化する。これらの装置としてはViaNase(登録商標)アトマイザー(Kurve Technology Inc.、米国ワシントン州Lynnwood)が挙げられる。いくつかの態様では、アトマイザーは、高圧窒素ガスにより駆動される鼻内アトマイザーである。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は鼻内粉末装置によって送達される。いくつかの態様では、鼻内粉末装置は鼻内粉末吸入器、鼻内粉末噴霧器、または鼻内粉末吹入器である。通常、粉末噴霧器は、放出の際に液体噴霧剤のプルームと相当に類似した粉末粒子のプルームを作り出す圧力を生じさせるための、圧縮可能な区画を有する。呼吸作動型吸入器では、ユーザーが自身の呼吸を使用して粉末をブリスターまたはカプセルから鼻孔に吸入することが必要になる。鼻内吹入装置は、流体接続されたマウスピースおよびノーズピースからなる。対象がマウスピースに息を吐き出して軟口蓋を閉じ、気流が粉末粒子を装置のノーズピースを通じて鼻内に運ぶとき、送達が行われる。
いくつかの態様では、鼻内粉末吸入器はブリスターをベースとする粉末吸入器である。通常、使用前にブリスターに穴を開け、装置のノーズピースを一方の鼻孔内に配置する。対象は指で他方の鼻孔を閉じ、粉末を鼻内に吸入する。代表的な装置としてはBiDose(登録商標)/Prohaler(登録商標)、およびTwin-lizer(登録商標)が挙げられる。
代表的な鼻内粉末装置としてはUnidoseDP(登録商標)、Fit-lizer(登録商標)、Monopowder(登録商標)、SoluVent(登録商標)が挙げられるがそれに限定されない。
いくつかの態様では、鼻内粉末噴霧器はカプセルをベースとする単回投与型粉末装置である。このような一態様では、カプセルをベースとする単回投与型粉末装置は、挿入の際にカプセルの上部と下部とを切り離すチャンバからなる。プラスチックチャンバが手で圧縮され、作動中に圧縮空気が一方向弁およびカプセルを通過し、粉末が放出される。
いくつかの態様では、鼻内粉末噴霧器は、粉末プルームを放出する圧力を開放するようにピンが膜を破壊するまで圧縮される、空気充填区画からなる。
いくつかの態様では、鼻内粉末噴霧器は、押される際に粉末を排出するように膜を破壊する陽圧を作り出す、プランジャからなる。
いくつかの態様では、鼻内粉末吹入器は、チューブの一端が鼻孔の前庭に挿入されている間に、対象が他端に吹き入れることを必要とする。
いくつかの態様では、式(I)の化合物は呼吸駆動型Bi-Directional(登録商標)送達装置によって送達される。呼吸駆動型Bi-Directional(登録商標)鼻内送達装置では、鼻内に薬物を送達するために呼気が利用される。呼吸駆動型Bi-Directional(登録商標)装置は、マウスピースと、鼻弁の第1の部分を機械的に拡張する、最適化された円錐台形状および快適な表面を有するシーリングノーズピースとからなる。ユーザーは、一方の鼻孔内にシーリングノーズピースを、それが鼻孔開口部の柔軟な軟部組織とシールを形成するまで摺動させ、その時点でノーズピースは三角形の鼻弁の狭いスリット形の部分を機械的に拡張する。次にユーザーは取り付けられたマウスピースを通じて呼気する。装置の抵抗に逆らってマウスピース内に呼気するとき、軟口蓋が中咽頭の陽圧によって自動的に上昇することで、鼻腔を呼吸器系の残りから隔離する。シーリングノーズピースによって、マウスから装置を通じて鼻に移される動圧が、スリット様の鼻道をさらに拡張する。この「呼吸駆動型」機構によって、一方の鼻孔に入って、鼻中隔全体を通過して、反対側の鼻孔から出る気流中への、液体または粉末粒子の放出が可能になる。このアプローチを使用する装置における薬物放出の作動では、手動での起動、または流動および/もしくは圧力により自動的に起動される機構が使用される。
i. 単回投与型装置
いくつかの態様では、装置は単回投与型装置であり、この装置では、鼻内噴霧製剤が1個のリザーバに存在し、治療有効量の式(I)の化合物が本質的に装置の1回の作動によって送達される。
本明細書に開示の液体鼻内噴霧製剤約100μLを含む1個のリザーバを有する、患者の一方の鼻孔内に対する装置の1回の作動による患者への薬学的製剤の鼻内送達に適応した、単回使用型予備プライミング装置も、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、装置は片手で作動可能である。
いくつかの態様では、送達時間は約30秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約25秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約20秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約15秒未満である。
いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の90%信頼区間は±約2%である。いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
いくつかの態様では、上記に示したように、患者への製剤の鼻内送達時に、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の製剤がドレナージによって鼻腔から上咽頭または体外に出る。
いくつかの態様では、鼻内噴霧製剤は、約25℃および相対湿度約60%で約12ヶ月間、ならびに/または約40℃および相対湿度約75%で約6ヶ月間、化学的貯蔵安定性を示す。
ii. 2回投与型装置
いくつかの態様では、前記装置は2回投与型装置であり、この装置では、第1の量の前記製剤が第1のリザーバに存在し、第2の量の前記製剤が第2のリザーバに存在し、前記治療有効量が本質的に前記患者の第1の鼻孔内に対する前記装置の第1の作動および前記患者の第2の鼻孔内に対する前記装置の第2の作動によって送達される。
いくつかの態様では、前記第1の量と前記第2の量との組み合わせは約400μL以下に等しい。
いくつかの態様では、前記第1の量の前記製剤約100μLが前記第1の作動によって送達される。
いくつかの態様では、前記第2の量の前記製剤約100μLが前記第2の作動によって送達される。
いくつかの態様では、前記2回投与型装置は片手で作動可能である。
いくつかの態様では、送達時間は約30秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約25秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約20秒未満である。いくつかの態様では、送達時間は約15秒未満である。
いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の90%信頼区間は±約2%である。いくつかの態様では、作動1回当たりの送達用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
いくつかの態様では、患者への製剤の鼻内送達時に、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の製剤がドレナージによって鼻腔から上咽頭または体外に出る。
D. 他の鼻内製剤
有効剤、すなわち式(I)の化合物を含む鼻内製剤は、他の形態、例えば1) 粘膜付着性薬物送達システム(粘膜付着剤として例えばペクチン、キトサン、またはキトサン-ポロキサマー188); 2) ナノ粒子(例えばキトサンおよびポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア)による鼻から脳への薬物送達; ならびに3) 噴霧剤の代替物としての鼻腔内ゲル剤でありうる。
粘膜付着性薬物送達システムは、水和時に付着性を帯び、したがって薬物を長期間にわたって身体の特定領域(例えば鼻)に向けるために使用可能な、特定のポリマー(ペクチン、キトサン、またはキトサン-ポロキサマー188)の生物付着性を利用する、送達システムである。粘膜付着性薬物送達システム(または製剤)は粘膜付着剤(例えばペクチン、キトサン、またはキトサン-ポロキサマー188)を含む。鼻粘膜との接着時に、製剤は、鼻汁または鼻水を制限しながら、ゲルを形成し、薬物(例えば式(I)の化合物)の吸収を調節する。「VII. 参考文献」の参考文献11~12参照。
血液脳関門および血液脳脊髄液関門は、大部分の分子が脳に流入することを阻止することから、中枢神経系(CNS)薬物送達における主要な障壁となっている。鼻から脳への送達は、薬物が鼻腔から脳に向けられる際に血液脳関門をバイパスする、最小侵襲性の薬物投与経路である。鼻腔内薬物送達は、初回通過代謝を回避し、低用量で中枢神経系(CNS)中の薬物の濃度増加を実現することから、非常に有益である。鼻から脳への送達に好適な製剤としてはナノ粒子(NP)、マイクロエマルジョン、インサイチューゲルなどを挙げることができる。「VII. 参考文献」の参考文献13~15参照。
鼻腔内ゲル(例えばインサイチュー系ゲル)は、血液脳関門をバイパスし、治療薬を所望の部位に送達し、末梢毒性を減少させ、薬物放出動態を制御することができる。「VII. 参考文献」の参考文献16~17参照。鼻腔内ゲルは好適な鼻内アプリケーター、例えばMetP Pharma AGの単回投与型装置Lecticulaにより送達可能である。鼻内ゲルの市販製品の例としては、鼻汁の出ないテストステロン含有ゲルであるNatestoが挙げられる。
IV. 化合物
本発明は、ADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置用の鼻内製剤における使用のための化合物を提供する。本明細書に定義および記載の化合物は、式(I):
Figure 2023547040000005
で表されるか、またはその立体異性体、立体異性体混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩であり、
式中、
R1は-OR4、-NR5R5a、または-N(OR5b)R5aであり;
R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R2aはハロまたはC1~C6アルキルであり;
R3、R3a、およびR3bは独立して水素、ハロ、C1~C6アルキル、またはC1~C6アルコキシであり;
R4はC1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
R5は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
R5aは水素またはC1~C6アルキルであり;
R5bは水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルである。
いくつかの態様では、式(I)に示されるシクロアルキル基は飽和単環式C3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様では、C3~C8シクロアルキル基は、単独で、またはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルの一部として、シクロプロピルまたはシクロブチルである。いくつかの態様では、C3~C8シクロアルキル基は、単独で、またはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルの一部として、非置換である。
いくつかの態様では、R3、R3a、およびR3bはそれぞれ独立して水素、ハロ、またはC1~C6アルコキシである。いくつかの態様では、R3、R3a、およびR3bはそれぞれ独立して水素またはC1~C6アルコキシである。いくつかの態様では、R3、R3a、およびR3bはそれぞれ独立して水素、フルオロ、またはメトキシである。
いくつかの態様では、R3は水素である。
いくつかの態様では、R3aは水素、ハロ、またはC1~C6アルコキシである。いくつかの態様では、R3aは水素である。いくつかの態様では、R3aはハロである。いくつかの態様では、R3aはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの態様では、R3aはフルオロである。いくつかの態様では、R3aはC1~C6アルコキシである。いくつかの態様では、R3aはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシである。いくつかの態様では、R3aはメトキシである。
いくつかの態様では、R3bは水素である。
いくつかの態様では、R3、R3a、およびR3bはそれぞれ水素である。いくつかの態様では、R3およびR3bはそれぞれ水素であり、R3aはハロまたはC1~C6アルコキシである。いくつかの態様では、R3およびR3bはそれぞれ水素であり、R3aはフルオロまたはメトキシである。いくつかの態様では、R3およびR3bはそれぞれ水素であり、R3aはフルオロである。いくつかの態様では、R3およびR3bはそれぞれ水素であり、R3aはメトキシである。
いくつかの態様では、化合物は式(Ia):
Figure 2023547040000006
で表され、式中、R1、R2、およびR2aは本明細書に定義および記載の通りである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は-OR4である。いくつかの態様では、R4はC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R4はC3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様では、R4はC3~C6シクロアルキルである。いくつかの態様では、R4はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R4はC3~C6シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R4はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C3アルキル、またはシクロブチル-C1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R4はシクロプロピルメチルである。いくつかの態様では、R4はC1~C6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C6モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C6ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はHOCH2-C1~C5アルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C3ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C3モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はC1~C3ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R4はHOCH2-C1~C2アルキルである。いくつかの態様では、R4はCH2CH2OHである。いくつかの態様では、R4はCH2CH(OH)CH2OHである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は以下:
Figure 2023547040000007
からなる群より選択される。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は-NR5R5aである。いくつかの態様では、R5は水素である。いくつかの態様では、R5はC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R5はC3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様では、R5はC3~C6シクロアルキルである。いくつかの態様では、R5はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5はC3~C6シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C3アルキル、またはシクロブチル-C1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R5はシクロプロピルメチルである。いくつかの態様では、R5はC1~C6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C6モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C6ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はHOCH2-C1~C5アルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C3ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C3モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はC1~C3ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5はHOCH2-C1~C2アルキルである。いくつかの態様では、R5はCH2CH2OHである。いくつかの態様では、R5はCH2CH(OH)CH2OHである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は-NR5R5aであり; R5aは水素であり; R5は本明細書に定義および記載の通りである。いくつかの態様では、R1は-NR5R5aであり; R5aはC1~C6アルキルであり; R5は本明細書に定義および記載の通りである。いくつかの態様では、R1は-NR5R5aであり; R5aはC1~C3アルキルであり; R5は本明細書に定義および記載の通りである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は以下:
Figure 2023547040000008
からなる群より選択される。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は-N(OR5b)R5aである。いくつかの態様では、R5bは水素である。いくつかの態様では、R5bはC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R5bはC3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC3~C6シクロアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5bはC3~C6シクロアルキル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R5bはシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C3アルキル、またはシクロブチル-C1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R5bはシクロプロピルメチルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C6モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C6ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはHOCH2-C1~C5アルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはHOCH2-C1~C2アルキルである。いくつかの態様では、R5bはCH2CH2OHである。いくつかの態様では、R5bはCH2CH(OH)CH2OHである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は-N(OR5b)R5aであり; R5aは水素であり; R5bは本明細書に定義および記載の通りである。いくつかの態様では、R1は-N(OR5b)R5aであり; R5aはC1~C6アルキルであり; R5bは本明細書に定義および記載の通りである。いくつかの態様では、R1は-N(OR5b)R5aであり; R5aはC1~C3アルキルであり; R5bは本明細書に定義および記載の通りである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R1は以下:
Figure 2023547040000009
からなる群より選択される。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルである。いくつかの態様では、R2はハロまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R2はハロ、-CH3、-SCH3、C2~C3アルケニル、またはC2~C3アルキニルである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はハロである。いくつかの態様では、R2はフルオロである。いくつかの態様では、R2はヨードである。いくつかの態様では、R2はクロロである。いくつかの態様では、R2はブロモである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R2はC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R2はメチルである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2は-S-C1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R2は-S-C1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R2は-SCH3である。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はC3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様では、R2はシクロプロピルである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はC2~C6アルケニルである。いくつかの態様では、R2はC2~C4アルケニルである。いくつかの態様では、R2はビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、またはブタジエニルである。いくつかの態様では、R2はビニルである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2はC2~C6アルキニルである。いくつかの態様では、R2はC2~C3アルキニルである。いくつかの態様では、R2はアセチレニルまたはプロピニルである。いくつかの態様では、R2はアセチレニルである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2aはハロまたはC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R2aはハロまたはCH3である。いくつかの態様では、R2aはフルオロまたはCH3である。いくつかの態様では、R2aはヨードまたはCH3である。いくつかの態様では、R2aはクロロまたはCH3である。いくつかの態様では、R2aはブロモまたはCH3である。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2aはフルオロである。いくつかの態様では、R2aはヨードである。いくつかの態様では、R2aはクロロである。いくつかの態様では、R2aはブロモである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2aはC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R2aはC1~C3アルキルである。いくつかの態様では、R2aはCH3である。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、R2およびR2aはそれぞれハロである。いくつかの態様では、R2はハロであり、R2aはC1~C6アルキルである。いくつかの態様では、R2はC1~C6アルキルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2は-S-C1~C6アルキルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2は-SCH3であり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2はC3~C8シクロアルキルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2はシクロプロピルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2はC2~C6アルケニルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2はC2~C6アルキニルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2はアセチレニルであり、R2aはハロである。いくつかの態様では、R2およびR2aはそれぞれ独立してフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの態様では、R2はヨードであり、R2aはフルオロである。いくつかの態様では、R2はハロであり、R2aは-CH3である。いくつかの態様では、R2はブロモであり、R2aは-CH3である。いくつかの態様では、R2はヨードであり、R2aは-CH3である。いくつかの態様では、R2は-SCH3であり、R2aはフルオロである。いくつかの態様では、R2はアセチレニルであり、R2aはフルオロである。
式(I)または(Ia)のいくつかの態様では、化合物は式(Ib):
Figure 2023547040000010
で表され、式中、R2、R2a、およびR5bは本明細書に定義および記載の通りである。
式(Ib)のいくつかの態様では、R2はヨードであり、R2aはフルオロである。いくつかの態様では、R2はヨードであり、R2aはメチルである。いくつかの態様では、R2はアセチレニルであり、R2aはフルオロである。いくつかの態様では、R2は-SCH3であり、R2aはフルオロである。上記構造のいくつかの態様では、R2は-SCH3であり、R2aはメチルである。
いくつかの態様では、化合物は式(Ib-1):
Figure 2023547040000011
で表され、式中、R5bは本明細書に定義および記載の通りである。
式(Ib)または(Ib-1)のいくつかの態様では、R5bはシクロプロピルメチルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3モノヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはC1~C3ジヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R5bはHOCH2-C1~C2アルキルである。いくつかの態様では、R5bはCH2CH2OHである。いくつかの態様では、R5bはCH2CH(OH)CH2OHである。
式(Ib)または(Ib-1)のいくつかの態様では、R5bは以下:
Figure 2023547040000012
からなる群より選択される。
いくつかの態様では、化合物は下記式:
Figure 2023547040000013
で表され、2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボキサミドという名称を有する。
例示的な式(I)の化合物を表1に列挙する。
(表1)式(I)の化合物
Figure 2023547040000014
Figure 2023547040000015
Figure 2023547040000016
Figure 2023547040000017
Figure 2023547040000018
式(I)の化合物を、あらゆる目的で参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT/US2018/033547に従って調製することができる。
本発明の化合物は塩として存在しうる。本発明はこれらの塩を含む。適用可能な塩形態の例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸などのアミノ酸による塩が挙げられる。これらの塩は当業者に公知の方法により調製可能である。ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩などの塩基付加塩も含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、該化合物の中性形態と十分な量の所望の酸とを無溶媒でまたは好適な不活性溶媒中で接触させることで、酸付加塩を得ることができる。許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などのような無機酸から誘導される塩、および酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などのような有機酸の塩も含まれる。本発明の特定の化合物は塩基性官能基および酸性官能基の両方を含み、これらの官能基により該化合物は塩基付加塩または酸付加塩に変換可能になる。
他の塩は、本発明の方法において使用される化合物の酸性塩または塩基性塩を含む。薬学的に許容される塩の実例としては鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、および第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩がある。薬学的に許容される塩は無毒であるものと理解されよう。好適な薬学的に許容される塩に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に見ることができる。
薬学的に許容される塩は、本明細書に記載の化合物上に見られる特定の置換基に応じて、相対的に無毒の酸または塩基によって調製される、有効化合物の塩を含む。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、該化合物の中性形態と十分な量の所望の塩基とを無溶媒でまたは好適な不活性溶媒中で接触させることで、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としてはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、該化合物の中性形態と十分な量の所望の酸とを無溶媒でまたは好適な不活性溶媒中で接触させることで、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などのような無機酸から誘導される塩、および酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような相対的に無毒の有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などのような有機酸の塩も含まれる(例えばBerge et al., "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本発明の特定の化合物は塩基性官能基および酸性官能基の両方を含み、これらの官能基により該化合物は塩基付加塩または酸付加塩に変換可能になる。
本化合物の中性形態を、従来の様式で塩と塩基または酸とを接触させ、親化合物を単離することで再生することが好ましい。本化合物の親形態は、特定の物理特性、例えば極性溶媒中での溶解性に関して、様々な塩形態と異なる。
本発明の特定の化合物は非溶媒和形態、および水和形態を含む溶媒和形態で存在しうる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定の化合物は複数の結晶形または非晶形で存在しうる。一般に、すべての物理的形態は、本発明に包含される使用に関して同等であり、本発明の範囲内であるように意図されている。
本発明の特定の化合物は不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有しており、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、絶対立体化学配置に関してI-もしくは(S)-と規定されうるか、またはアミノ酸に関して(D)-もしくは(L)-と規定されうる立体異性形態、ならびに個々の異性体が本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、合成および/または単離するにはあまりに不安定であることが当技術分野において知られている化合物を含まない。本発明は、ラセミ形態および光学的に純粋な形態の化合物を含むように意図されている。光学活性I-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製されてもよく、従来の技術を使用して分割されてもよい。
異性体は、同じ原子数および原子の種類を有し、したがって同じ分子量を有するが、原子の構造配置または立体配置に関して異なる、化合物を含む。
当業者には、本発明の特定の化合物が互変異性形態で存在しうることは明らかであろう。本化合物のすべてのこれらの互変異性形態は本発明の範囲内である。互変異性体とは、平衡状態で存在しかつ1つの異性形態から別の異性形態に容易に変換される、2つ以上の構造異性体のうちの1つを意味する。
別途記載がない限り、本明細書に示される構造は、該構造のすべての立体化学形態、すなわち各不斉中心に対するR配置およびS配置を含むようにも意図されている。したがって、本化合物の単一の立体化学的異性体ならびに鏡像異性体混合物およびジアステレオマー混合物は本発明の範囲内である。
別途記載がない限り、本発明の化合物は、該化合物を構成する1つまたは複数の原子において、非天然割合の原子同位体を含んでもよい。例えば、本発明の化合物は放射性同位体または安定同位体、例えば重水素(2H)、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)、フッ素18(18F)、窒素15(15N)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、炭素13(13C)、または炭素14(14C)で標識されてもよい。本発明の化合物のすべての同位体変種は、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
本発明は、塩形態に加えて、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を経ることで本発明の化合物を生じさせる化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境中で化学的または生化学的方法により本発明の化合物に変換されうる。例えば、プロドラッグは、好適な酵素または化学試薬の入った経皮パッチリザーバに入れられる際に、本発明の化合物にゆっくりと変換されうる。
V. 方法 - 適応症
神経線維腫症を有しかつ処置を必要とする対象においてADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害を処置する方法であって、式(I)で表される化合物(上記参照)を含む鼻内噴霧製剤を該対象に鼻腔内投与する段階を含む方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症からなる群より選択される。
本明細書に記載のように、式(I)の化合物を鼻内投与することで、本発明者らは、これらの化合物が、神経線維腫症を有する対象におけるADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置において有用でありうることを発見した。神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症でありうる。
認知機能不全疾患または認知機能不全障害としては、正常な高次脳機能を実行する対象の能力を損なう状態が挙げられる。これらの状態としては、情報を学習および記憶する能力、組織する能力、組織する能力、計画する能力、問題解決する能力、集中する能力、注意を維持および転換する能力の低下を挙げることができる。
いくつかの態様では、認知機能不全は神経変性疾患または神経変性障害である。神経変性疾患は、神経系の機能喪失を引き起こす神経細胞の変性変化を特徴とする。いくつかの態様では、神経変性疾患は、運動または感覚の問題を引き起こす疾患である。いくつかの態様では、神経変性疾患は、記憶に影響するかまたは認知症に関連する疾患である。
いくつかの態様では、認知機能不全は神経発達障害である。神経発達障害としては、注意処理および知覚処理、実行機能、抑制制御などの神経発達の異常を包含する状態が挙げられる。いくつかの態様では、神経発達障害は学習障害である。学習障害としては、読み、書き、数理、および記憶の困難が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、神経発達障害は注意欠陥障害である。注意欠陥障害としてはADD、ADHD、および関連する臨床診断が挙げられる。いくつかの態様では、神経発達障害は発作性障害である。いくつかの態様では、発作性障害はてんかんである。
本明細書において提供される製剤および方法に従って処置可能である例示的な状態としてはADHD、学習障害、注意欠陥障害(ADD)、アルパース病、強迫性障害(OCD)、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病、またはハンチントン病が挙げられるがそれに必ずしも限定されない。
VI. キット
神経線維腫症を有する、ADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害の処置を必要とする対象における、該処置の方法における使用のためのキットも提供される。いくつかの態様では、神経線維腫症は神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症からなる群より選択される。キットは、本明細書において提供される式(I)の化合物、および任意で第2の剤または組成物を含む、鼻内噴霧製剤と、応答性のある障害または疾患を処置するための使用に関して医療従事者に情報を提供する説明書とを含みうる。説明書は、印刷形態で、またはフロッピーディスク、CD、もしくはDVDなどの電子媒体の形態で、または該説明書を得ることができるウェブサイトアドレスの形態で提供可能である。本明細書において提供される化合物もしくは鼻内噴霧製剤、または任意的な第2の剤もしくは組成物の単位用量は、対象に投与される際に該化合物の治療的または予防的に有効な血漿中レベルが対象中で少なくとも1日間維持されうる投与量を含みうる。
いくつかの態様では、好適な包装が提供される。本明細書において使用される「包装」は、システムにおいて慣習的に使用され、かつ対象への投与に好適な本明細書において提供される化合物および/または任意的な第2の剤を一定の限界の範囲内で保持可能な、固体マトリックスまたは固体材料を含む。これらの材料としてはガラスビンならびにプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリカーボネート)ビン、バイアル、紙、プラスチック、ならびにプラスチック箔積層包装袋などが挙げられる。電子線滅菌技術を使用する場合、包装は、内容物の滅菌を可能にする上で十分に低い密度を有するべきである。
VII. 参考文献
Figure 2023547040000019
Figure 2023547040000020
Figure 2023547040000021
VIII. 実施例
実施例1
鼻内製剤の調製
以下の実施例では、本開示の例示的な液体鼻内噴霧製剤の調製を記述する。
本発明の液体鼻内噴霧製剤を、以下に示す手順に従って調製することができる。以下の手順に示されない反応条件、工程、および反応物は当業者には自明または公知であろう。
賦形剤(すなわち吸収促進剤、抗酸化剤、および/または防腐剤)を個々のバイアル中にアリコートまたは秤量して混合物を形成した。混合物に式(I)の化合物(例えば化合物1.003)を加えて所望の濃度または飽和度を実現した。次に粘度調整剤(例えばHPC)を適切に加えた。pHをPEG-400または一塩基性リン酸ナトリウム/二塩基性リン酸ナトリウム中0.1Mクエン酸溶液で約6~7に調整した。最後に、PEG-400(または水)の2回目の添加を使用して製剤を100重量%まで漸増した。バイアルを終夜ボルテックスして混合し、回転させた。その後、粘度および目視検査結果を直ちに記録し、続いて周囲条件で7日間保管した。
表2は、3つの別々の製剤の製剤成分および相対使用量(wt/wt%)の概要を示す。
(表2)例示的な鼻内製剤
Figure 2023547040000022
*化合物1.003の添加量は、API純度/効力に基づいて調整することができる。
**pH調整溶液および最終Q.S. 100の添加を相殺するためにPEG-400の一部を調整した。
略語: S.R. - 超精製; HP - 高純度; Q.S. - 十分量
実施例2
鼻腔内投与による化合物1.003の脳内への透過
本試験は、化合物1.003を含む鼻内製剤の1回の鼻腔内投与後に該化合物が脳内に透過する潜在的可能性を調査するために行った。化合物1.003を実施例1のEx. Aに従って用量強度2.3%で製剤化した。
目的
雌無胸腺マウスの1つの群に、化合物1.003をそれぞれ1回鼻腔内投与した。投与後、間隔を空けて動物を屠殺し、血液試料および脳試料を採取した。化合物1.003の濃度を血漿および脳中で測定し、脳試料をリン酸化ERK(p-ERK)の発現の測定に使用した。
試験動物
以下の動物を使用して試験を行った。
・種: マウス
・系統: Charles RiverのNCr mu/mu無胸腺ヌードマウス
・性別: 雌
・年齢: 投与時に7週齢
・体重: 20.1~27.0g
・使用数: 12匹
動物を現地の手順に従って実験施設に維持した。処置前および試験中、動物に食物および水を自由に与えた。
試験設計
概要: 12匹の雌無胸腺マウスの1つの群に、化合物1.003(実施例1のEx. A鼻内製剤)をそれぞれ1回鼻腔内投与した。投与後4つの時点で各3匹の動物を屠殺し、血漿試料および脳試料を剖検で採取した。化合物1.003の濃度を血漿中および脳中で液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)により測定し、p-ERKの発現を脳試料中で測定した。
投与: 各動物に、化合物1.003を含む鼻内製剤Ex. A(50μL)を1回投与した。この用量を各動物に鼻腔内投与した。
試料採取: 化合物1.003を含む鼻内製剤Ex. Aを12匹の雌マウスに投与した後、投与後0.25時間、0.5時間、1時間、および4時間の時点で各3匹の動物を屠殺し、以下の試料を採取した。
・血液採取: イソフルラン麻酔下で致死的心穿刺により血液全量を採取。
・血漿の血液処理: 抗凝固剤 - K2EDTA、保存 - -80℃で凍結、輸送条件 -80℃(ドライアイス)。試料を化合物1.003の血漿中濃度のLC-MS/MS分析に送った。
・脳採取: 脳(正中矢状面で2つの部分に分割); 部分1: 保存 - スナップ凍結、化合物1.003のLC-MS/MS分析のために-80℃(ドライアイス)で輸送; 部分2: 保存 - 10%中性緩衝ホルマリン中で少なくとも24時間固定。24時間後、試料を、70% EtOHの入った1.5mLエッペンドルフチューブに移し、p-ERKの発現のために輸送まで周囲条件で保管した。
実験手順
生物分析法: 化合物1.003に関するラットの血漿試料および脳試料の生物分析を、LC-MS/MS分析を使用して行った。本試験では、目的に適合した既存の生物分析法を使用して分析を行った。血漿試料を血漿検量線(0.5~5000ng/mLの10個の標準)に対して未希釈で分析した。化合物1.003の濃度の分析前に、脳試料を秤量し、5体積の水と混合した後、ホモジナイズした。次に、ホモジナイズ試料を血漿中に2倍希釈した後、血漿検量線に対して分析した(最終希釈率10倍)。次にすべての結果を希釈係数について補正した。
p-ERKの免疫組織化学的検査: p-ERKに関するマウス脳切片の免疫組織化学的染色を、HistoWiz Inc.(ニューヨーク州ブルックリン)が標準的操作手順および完全自動化ワークフローを使用して行った。試料を処理し、パラフィンに包埋し、4μmの切片に分けた。免疫組織化学的検査をBond Rx自動染色装置(Leica Biosystems)上で酵素処理(1:1000)によって標準的プロトコルを使用して行った。抗体としてはウサギp-ERK(Cell Signaling、4307S、1:100)を使用した。Bond Polymer Refine抗ウサギHRP検出キット(Leica Biosystems)を、製造者のプロトコルに従って使用した。次に切片をヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、TissueTek-PrismaおよびCoverslipper(Sakura)を使用してフィルムにカバーガラスを付けた。ホールスライドスキャニング(40倍)をAperio AT2(Leica Biosystems)上で行った。画像をCytoNuclearモジュールを用いるHalo画像解析ソフトウェア(Indica Labs)を使用して定量化した。
結果
血漿: 鼻内製剤Ex. Aの1回の鼻腔内投与後の化合物1.003の血漿中濃度を表3に示す。
(表3)化合物1.003の血漿中濃度
Figure 2023547040000023
鼻腔内投与後、化合物1.003が比較的速やかに吸収され、最初の時点である15分時点で測定された最大血漿中濃度(Cmax)は996ng/mLであった。Cmax後、全身濃度は1時間まで速やかに低下し、その後4時間にわたってゆっくりと低下した。
: 鼻内製剤Ex. Aの1回の鼻腔内投与後の化合物1.003の脳中濃度を表4に示す。
(表4)化合物1.003の脳中濃度
Figure 2023547040000024
化合物1.003の脳中濃度は血漿中濃度と同様のプロファイルを辿った。脳中Cmaxは投与0.5時間後であり、その後、濃度は血漿中よりも遅い速度で低下したが、同じ傾向を辿った。
化合物1.003の脳:血漿比を表5に示す。血漿からのクリアランスが脳からのクリアランスよりも速やかであったことから、この比は経時的に増加する傾向にあり、投与15分後の0.38から投与1時間後および4時間後の1.7まで増加した。
(表5)化合物1.003の脳中濃度:血漿中濃度比
Figure 2023547040000025
図1Aおよび図1Bは、化合物1.003 2.3%を含む鼻内製剤Ex. A 50μLの1回の鼻腔内投与後の雌マウスにおける化合物1.003の血漿中濃度および脳中濃度を示す。
マウス試験片1、2、3(15分)および10、11、12(4時間)中でのp-ERKの免疫組織化学的染色は、海馬中での強固なp-ERK核染色を検出した。これはラット海馬中でのp-ERKの公知の発現と一致している。
要約: 1回の鼻腔内投与後に、化合物1.003は脳および体循環の両方において検出され、脳中濃度および血漿中濃度は同様であった。化合物1.003の脳中対血漿中比は、投与15分後の0.38から投与1時間後および4時間後の1.7であった。免疫組織化学的検査により、マウス海馬の矢状脳切片中でp-ERKが検出された。
結語
鼻腔内投与後、化合物1.003を2.3%含む鼻内製剤Ex. Aは、薬物をマウス脳組織中に送達することができる。化合物1.003の脳中レベルを測定するための生物分析法が開発された。p-ERKの免疫組織化学アッセイを、マウス脳中の化合物1.003の薬力学解析のために使用することができる。
以上の発明を、理解を明確にする目的で例証および例示を用いていくらか詳細に説明してきたが、当業者は、特定の変更および修正を添付の特許請求の範囲内で実施することができることを認識するであろう。さらに、本明細書に示される各参考文献は、各参考文献が個々に参照により組み入れられる場合と同程度に、全体として参照により組み入れられる。本出願と本明細書に示される参考文献との間に矛盾が存在する場合は本出願が優先するものとする。

Claims (31)

  1. 神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症を有しかつ処置を必要とする対象においてADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害を処置する方法であって、式(I):
    Figure 2023547040000026
    で表される化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩を含む鼻内噴霧製剤を該対象に鼻腔内投与する段階を含み、
    前記式中、
    R1が、-OR4、-NR5R5a、または-N(OR5b)R5aであり;
    R2が、ハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
    R2aが、ハロまたはC1~C6アルキルであり;
    R3、R3a、およびR3bが、独立して水素、ハロ、C1~C6アルキル、またはC1~C6アルコキシであり;
    R4が、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
    R5が、水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
    R5aが、水素またはC1~C6アルキルであり;
    R5bが、水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルである、
    方法。
  2. 化合物が式(Ib)または(Ib-1):
    Figure 2023547040000027
    で表される、請求項1記載の方法。
  3. 化合物が下記式:
    Figure 2023547040000028
    で表される、請求項1のいずれか一項記載の方法。
  4. 化合物が定量で投与される、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  5. 対象が神経線維腫症1型を有する、請求項1記載の方法。
  6. 対象が神経線維腫症2型を有する、請求項1記載の方法。
  7. 対象が神経鞘腫症を有する、請求項1記載の方法。
  8. 対象がADHDと診断されている、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  9. 対象が認知機能不全疾患または認知機能不全障害と診断されている、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  10. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害が神経変性疾患または神経変性障害である、請求項9記載の方法。
  11. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害が神経発達障害である、請求項9記載の方法。
  12. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害が学習障害である、請求項9記載の方法。
  13. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害が注意欠陥障害である、請求項9記載の方法。
  14. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害がてんかんである、請求項9記載の方法。
  15. 鼻内噴霧製剤が、鼻内噴霧装置の1回の作動で対象に送達される、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
  16. 鼻内噴霧製剤が液体鼻内噴霧製剤または粉末鼻内噴霧製剤である、請求項15記載の方法。
  17. 鼻内噴霧製剤が液体鼻内噴霧製剤である、請求項15記載の方法。
  18. 鼻内噴霧製剤が粉末鼻内噴霧製剤である、請求項15記載の方法。
  19. a) 式(I)の化合物;
    b) 1つまたは複数の吸収促進剤; ならびに
    c) 任意で、抗酸化剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、および安定化剤からなる群より選択される1つまたは複数の剤
    を含む、液体鼻内噴霧製剤であって、
    該製剤が、鼻内送達装置により送達される際に定量の該化合物を与え、式(I)の化合物が下記式:
    Figure 2023547040000029
    で表されるか、またはその立体異性体、立体異性体混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩であり、
    前記式中、
    R1が、-OR4、-NR5R5a、または-N(OR5b)R5aであり;
    R2が、ハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
    R2aが、ハロまたはC1~C6アルキルであり;
    R3、R3a、およびR3bが、独立して水素、ハロ、C1~C6アルキル、またはC1~C6アルコキシであり;
    R4が、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
    R5が、水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルであり;
    R5aが、水素またはC1~C6アルキルであり;
    R5bが、水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、またはC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルである、
    液体鼻内噴霧製剤。
  20. 化合物が下記式:
    Figure 2023547040000030
    で表される、請求項19記載の液体鼻内噴霧製剤。
  21. 1つまたは複数の吸収促進剤が、エタノール、プロピレングリコール、PEG-400、および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールからなる群より選択される、請求項19または20記載の液体鼻内噴霧製剤。
  22. 1つまたは複数の吸収促進剤が、PEG-400および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを含む、請求項21記載の液体鼻内噴霧製剤。
  23. PEG-400が、液体鼻内噴霧製剤の約10重量%~約30重量%、約40重量%~約60重量%、または約60重量%~約80重量%の量で存在し; 2-(2-エトキシエトキシ)エタノールが、液体鼻内噴霧製剤の約10重量%~約30重量%、または約30重量%~約50重量%の量で存在する、請求項22記載の液体鼻内噴霧製剤。
  24. プロピレングリコールが、液体鼻内噴霧製剤の約5重量%~約30重量%、約5重量%~約15重量%、または約10重量%~約30重量%の量で存在する、請求項21記載の液体鼻内噴霧製剤。
  25. 1つまたは複数の剤が、存在する場合、抗酸化剤を含み; 抗酸化剤がパルミチン酸アスコルビルおよびαトコフェロールの混合物であり、その各々が、液体鼻内噴霧製剤にそれぞれ約0.01重量%~約0.1重量%および約0.001重量%~約0.01重量%の量で存在する、請求項19~24のいずれか一項記載の液体鼻内噴霧製剤。
  26. 1つまたは複数の剤が、存在する場合、防腐剤を含み; 防腐剤が、液体鼻内噴霧製剤の約1重量%の量のフェノキシエタノールである、請求項19~25のいずれか一項記載の液体鼻内噴霧製剤。
  27. 製剤のpHがpH約6.0~約7.0に調整される、請求項19~26のいずれか一項記載の液体鼻内噴霧製剤。
  28. 式(I)の化合物と、担体粒子とを含む、粉末鼻内噴霧製剤。
  29. 式(I)の化合物が、約0.01重量%~約5重量%または約0.01重量%~約3重量%の量で存在する、請求項28記載の粉末鼻内噴霧製剤。
  30. 神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、または神経鞘腫症を有しかつ処置を必要とする対象においてADHDまたは認知機能不全疾患または認知機能不全障害を処置する方法であって、請求項19~29のいずれか一項記載の鼻内噴霧製剤を該対象に鼻腔内投与する段階を含む、方法。
  31. 認知機能不全疾患または認知機能不全障害が学習障害、注意欠陥障害、またはてんかんである、請求項30記載の方法。
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