JP2023546383A - アネキシンa5組成物及び方法 - Google Patents

アネキシンa5組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用するため、ならびに/又はコロナウイルス感染症を予防及び/もしくは処置するためのアネキシンA5が、態様で本明細書に記載されている。ACE2媒介性感染症及び/又はコロナウイルス感染症を予防及び/又は処置する方法であって、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法も記載されている。

Description

本発明は、ACE2に関する。特に、本発明は、ACE2及びアネキシンA5の相互作用、ならびに関連する組成物及び方法に関する。
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、新規コロナウイルス、SARS-CoV-2によって引き起こされる気道感染症である。重篤な場合、疾患は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症及び敗血症性ショック、ならびに肺及び心臓を含む多臓器不全を併発する。研究により、内皮損傷、敗血症及び血栓性の炎症応答が、COVID-19患者におけるARDS及び多臓器不全の発症の重要な原因であることが示されている。6,7 現在、COVID-19を効果的に予防又は処置するための実証された治療法はない。レムデシビルが、有意な生存ベネフィットなしに回復までの時間を短縮することが示された1,2が、ヒドロキシクロロキンは、臨床的回復までの時間がより長く、全体的な臨床的回復が少なかった。
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、肺、動脈、心臓、腎臓、及び腸に位置する細胞の細胞膜に結合された酵素である。ACE2は、SARS-CoV-2などのいくつかのコロナウイルスの細胞への侵入点として作用する。ACE2はまた、アンジオテンシンII(血管収縮ペプチド)のアンジオテンシン(血管拡張剤)への加水分解を触媒することによって血圧を低下させることが公知である。
アネキシンA5(又はアネキシンV)は、アネキシン群の細胞タンパク質である。フローサイトメトリーでは、アネキシンVは、原形質膜の外葉にある場合にアポトーシスのマーカーであるホスファチジルセリンに結合する能力によって、アポトーシス細胞を検出するために一般的に使用される。アネキシンA5(A5)は、強力な抗炎症及び抗アポトーシス及び抗凝固/抗血栓特性を有する内因性タンパク質である。加えて、A5はまた、内皮グリコカリックスの主な構成要素であるヘパラン硫酸にも結合し、それによってトロンビンの内皮産生を阻害する。組換えヒトA5は、細菌性敗血症の齧歯類モデルにおいて炎症誘発性応答を阻害し、動物の生存を改善する。米国特許第9,192,649号は、炎症性障害の処置で使用するための、及び臓器機能の改善で使用するための、有効量のアネキシンA5を含む組成物を記載している。動物の処置のためにそのような組成物を投与するための方法も提供されている。
一態様によれば、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用するためのアネキシンA5が提供される。
一態様では、アネキシンA5はACE2に結合する。
一態様では、ACE2に結合するアネキシンA5は、ACE2の酵素活性に実質的に影響を及ぼさない。
一態様では、アネキシンA5は、ウイルス又はウイルスタンパク質などの別の分子のACE2との相互作用を阻害する。
一態様では、アネキシンA5は、コロナウイルス又はコロナウイルスタンパク質のACE2との相互作用を阻害する。
一態様では、アネキシンA5は、コロナウイルススパイクタンパク質のACE2との相互作用を阻害する。
一態様によれば、SARS-CoV-2の研究ツールとしてのアネキシンA5が提供される。
一態様によれば、ACE2の研究ツールとしてのアネキシンA5が提供される。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1:

に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様によれば、本明細書に記載のアネキシンA5及び薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。
一態様では、組成物は吸入可能な組成物又は鼻腔用スプレーである。
一態様によれば、SARS-CoV-2を予防及び/又は処置する方法が提供され、方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1:

に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様では、アネキシンA5は吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである。
一態様では、対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している。
一態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.01~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される。
一態様によれば、コロナウイルス感染症を予防及び/もしくは処置する、ならびに/又はコロナウイルス感染症におけるウイルス負荷を低減させる方法が提供され、方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
一態様では、コロナウイルス感染は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2を含む。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1:

に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様では、アネキシンA5は吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである。
一態様では、対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している。
一態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.01~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される。
一態様によれば、コロナウイルス感染症の症候を予防及び/又は処置する方法が提供され、方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
一態様では、コロナウイルス感染は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2を含む。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1:

に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様では、アネキシンA5は吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである。
一態様では、症候は、敗血症、敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに/又は心不全及び/もしくは肺不全などの臓器不全を含む。
一態様では、対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している。
一態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.01~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される。
一態様によれば、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合する方法が提供され、方法は、アネキシンA5をインビトロ又はインビボで投与することを含む。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1:

に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.01~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される。
一態様によれば、ACE2媒介性感染症を予防及び/又は処置する方法が提供され、方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
一態様では、ACE2媒介性感染はコロナウイルスである。
一態様では、コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2である。
一態様では、アネキシンA5はヒト型である。
一態様では、アネキシンA5は組換え型である。
一態様では、アネキシンA5は、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はその活性断片を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
一態様では、アネキシンA5は配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一態様では、アネキシンA5は、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により部分はペプチド又は小分子である。
一態様では、アネキシンA5は吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである。
一態様では、対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している。
一態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.01~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される。
本発明の新規な特徴は、本発明の以下の詳細な説明を検討することによって当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明の詳細な説明及び提示されている具体例は、本発明のある特定の態様を示しているが、本発明の趣旨及び範囲内で様々な変更及び改変が本発明の詳細な説明及び以下の特許請求の範囲から当業者に明らかになり得るので、例示目的でのみ提供されていることを理解されたい。
本発明は、図を参照して以下の説明からさらに理解されるであろう。
ACE2細胞外ドメイン(青色のカートゥーンリボン)は、三次元空間において凹状のクレフトを形成する。 A5に推定的に結合する残基は、ACE2クレフト内に連続する領域を作り出す(マゼンタ色の球)。 連続するA5相互作用領域を形成する20残基を特定する拡大図。 A5(緑色のカートゥーンリボン)ヘリックスは、構造の長軸に垂直に配置されている。 ACE2(マゼンタ色の球)と推定的に相互作用する表面は、A5の一方の面に局在している。この面は、A5の4つのカルシウム(Ca2+)結合部位と同じ側に位置しており、Ca2+が相互作用を調節し得ることを示唆している。 A5の26残基は、ACE2との相互作用を媒介すると予測される。 SARS-COV2スパイクタンパク質のC末端ドメイン(オレンジ色のカートゥーンリボン)との複合体中のACE2細胞外ドメイン(青色のカートゥーンリボン)の結晶構造。 組換えヒトアネキシンA5によるスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)への結合の阻害。データは、ACE2:スパイクRBD(SARS-CoV-2)阻害剤スクリーニングアッセイキット(カタログ#79936、BPS Bioscience、San Diego、CA)を使用した3回の独立した試験の平均±SEMである。2.5μg/mlのアネキシンA5は、スパイク-RBDのACE2への結合を46%阻害した。 組換えヒトアネキシンA5(A5)の存在下でSARS-CoV-2に感染させた、又は感染させていないヒト293T-ACE2細胞の代表的な画像。細胞を、A5の非存在下、0.01のMOIで2時間、SARS-CoV-2に感染させた。2時間後、ウイルスを除去し、細胞をA5を含有する新鮮な培地で72時間インキュベートした。明視野画像を、EVOS M7000イメージングシステム(Thermo Fisher Scientific)を使用して、感染の72時間後に得た。6つの独立した隣接する画像を各ウェルの中心で撮影し、ImageJ(v2.1.0/1.53c)を使用してつなぎ合わせた。 SARS-CoV-2に感染させたヒト293T-ACE2細胞の生存に対する組換えヒトアネキシンA5(A5)の効果。細胞を、A5の非存在下、0.01のMOIで2時間、SARS-CoV-2に感染させた。2時間後、ウイルスを除去し、細胞を、A5の2倍希釈物を含有する新鮮な培地で72時間インキュベートした。生存パーセントを、Cell Titer Glo(Promega)を使用して測定した。 スパイクタンパク質:ACE2相互作用に対するアネキシンA5の効果の溶液核磁気共鳴(NMR)分光分析。A.この研究で使用するための、成功したヒトACE2及びスパイク-RBDタンパク質発現を示すクーマシーブルー染色SDS-PAGEゲル。B.試料の非常に優れた収率及び非凝集及び主に単分散性を強調する、15N-スパイク-RBDのサイズ排除クロマトグラフィー。C.単離(青色)、ACE2との複合体(マゼンタ色)及びACE2+Anx5との混合(緑色)における15N-スパイク-RBDのアミドの(H-15N)化学環境に大きな差を示すH-15N-HSQC重ね合わせスペクトル。直接的なACE2の結合は、H-15Nピークの強度及び位置の変化によって示されている(黒色の矢印)。15N-スパイク-RBD:ACE2相互作用に対するアネキシンA5の構造的効果は、複合体特異的H-15Nピークパータベーション(白抜き矢印)によって示されている。 SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子発現に対するヒト組換えアネキシンA5の効果。ヒト293T-ACE2細胞を、それぞれ0.01又は0.001のMOIで、アネキシンA5(0~5μg/ml)の存在下において48時間、WT(A)又はB.1.1.7バリアント(B)SARS-CoV-2に感染させた。N遺伝子のmRNAレベルを、2回の独立した実験からのqPCRによって分析した(WT:IC50=0.036μg/ml;B.1.1.7バリアント:IC50=0.010μg/ml)。データは、アネキシンA5がWT及びB.1.1.7バリアント感染細胞の両方においてウイルス負荷を効果的に低下させることを示す。
定義
別段の説明がない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、(Oxford University Pressにより公表)、1994(ISBN0-19-854287-9);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、(Blackwell Science Ltd.により公表)、1994(ISBN0-632-02182-9);及びRobert A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference、(VCH Publishers,Inc.により公表)、1995(ISBN1-56081-569-8)に見出すことができる。本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の試験の実践において使用することができるが、典型的な材料及び方法は本明細書に記載されている。本発明の説明及び特許請求の範囲において、以下の専門用語が使用される。
本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明する目的であり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。記載された態様の理解を助けるために、多くの特許出願、特許、及び刊行物が本明細書で参照され得る。これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願の範囲を理解する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つ又は複数の要素があることを意味することを意図している。さらに、「含む(comprising)」という用語及びその派生語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程の存在を指定するが、他の述べられていない特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程の存在を排除しないオープンエンドの用語であることを意図している。上記はまた、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語などの同様な意味を有する単語にも適用される。
ある特定の構成要素を「含む(comprising)」として記載される任意の態様はまた、「からなる(consist of)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」であってもよく、「からなる(consisting of)」は、クローズドエンド又は制限的な意味を有し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、指定された構成要素を含むが、不純物として存在する材料、構成要素を提供するために使用される方法の結果として存在する不可避の材料、及び本発明の技術的効果を達成すること以外の目的で追加される構成要素を除く他の構成要素を除外することを意味することが理解されよう。例えば、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句を使用して定義される組成物は、任意の既知の許容される添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。典型的には、構成要素のセットから本質的になる組成物は、5重量%又は体積%未満、典型的には3重量%未満、より典型的には1%未満、さらにより典型的には0.1重量%未満の特定されていない構成要素(複数可)を含み得る。
含まれるとして本明細書で定義される任意の構成要素が、条件又は否定的な限定によって特許請求される発明から明示的に除外され得ることが理解されよう。
さらに、本明細書で与えられるすべての範囲は、明示的に述べられているか否かにかかわらず、範囲の端部及び任意の中間範囲点も含む。
本明細書で使用される、「実質的に(substantially)」、「約(about)」、及び「およそ(approximately)」などの程度の用語は、最終結果が大きく変化しないように、修飾された用語の妥当な偏差の量を意味する。これらの程度の用語は、この偏差が修飾する単語の意味を否定しない場合、修飾された用語の少なくとも±5%の偏差を含むと解釈されるべきである。
本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を、本開示の実践又は試験において使用することができるが、適切な方法及び材料を以下に記載する。略語「e.g.」は、ラテン語exempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すために本明細書で使用される。したがって、略語「e.g.」は、用語「例えば(for example)」と同義である。「又は(or)」という単語は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、「及び(and)」を含むことを意図している。
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに連結された2つ又はそれを超えるアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、用語は、例えば、当技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとも呼ばれる短鎖、及び当技術分野で一般にタンパク質と呼ばれる長鎖の両方を指し、その多くの種類がある。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
「バリアント」は、比較配列内の1つ又は複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、改変及び/又は置換によってコンパレーター配列とは異なるアミノ酸配列を有する、生物学的に活性な構築物、ポリペプチド、又はそれらの断片である。バリアントは、一般に、比較配列と100%未満の配列同一性を有する。しかしながら、通常、生物学的に活性なバリアントは、比較配列と少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性、例えば少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するであろう。バリアントは、コンパレーター配列の生物学的活性のある程度のレベルを保持する少なくとも10個のアミノ酸のペプチド断片を含む。バリアントはまた、1つ又は複数のアミノ酸残基が比較配列のN末端又はC末端に、又は比較配列内に付加されているポリペプチドも含む。バリアントはまた、いくつかのアミノ酸残基が欠失され、場合により1つ又は複数のアミノ酸残基によって置換されたポリペプチドも含む。バリアントはまた、例えば天然に存在するアミノ酸以外の部分を用いた置換によって、又はアミノ酸残基を改変して天然に存在しないアミノ酸を生成することによって共有結合的に改変され得る。
「アミノ酸配列同一性パーセント」は、最大配列同一性パーセントを達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、本発明のポリペプチドなどの目的の配列中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書で定義される。N末端、C末端、又は内部伸長、欠失又は候補配列への挿入のいずれも、配列同一性又は相同性に影響を及ぼすと解釈されないものとする。アライメントのための方法及びコンピュータプログラムは、「BLAST」など、当技術分野で周知である。
本明細書に記載の構築物は、改変を含み得る。そのような改変には、以下に限定されないが、エフェクター分子へのコンジュゲーションが含まれる。改変にはさらに、以下に限定されないが、検出可能なレポーター部分へのコンジュゲーションが含まれる。半減期を延長する改変(例えば、ペグ化)も含まれる。タンパク質及び非タンパク質剤は、当技術分野で公知の方法によって構築物にコンジュゲートされ得る。コンジュゲーション方法には、直接連結、共有結合したリンカーを介した連結、及び特異的結合ペアメンバー(例えば、アビジン-ビオチン)が含まれる。そのような方法には、例えば、Greenfieldら、Cancer Research 50、6600-6607(1990)(参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されているもの、ならびにAmonら、Adv.Exp.Med.Biol.303、79-90(1991)及びKiselevaら、Mol.Biol.(USSR)25、508-514(1991)(その両方ともが参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されているものが含まれる。
本明細書の目的のための「活性な」又は「活性」は、本明細書に記載のアネキシンA5の生物学的活性を指し、「生物学的」活性は、アネキシンA5によって引き起こされる生物学的機能(阻害性又は刺激性のいずれか)、例えば、ACE2への結合及び/又は病原体のACE2への結合の阻害を指す。
「治療有効量」、「有効量」又は「十分量」という用語は、哺乳動物、例えばヒトを含む対象に投与される場合、所望の結果を達成するのに十分な量、例えば感染症又はその症候を処置及び/又は予防するのに有効な量を意味する。本明細書に記載の化合物の有効量は、病原体、又は対象の年齢、性別、及び体重などの要因によって変動し得る。当業者によって理解されるように、投与量又は処置レジメンは、最適な治療応答をもたらすように調整され得る。例えば、本明細書に記載されている治療有効量のアネキシンA5の投与は、態様では、感染症(例えば、SARS-COV-2)及び/又はその症候を処置及び/又は予防するのに十分である。
さらに、治療有効量を用いた対象の処置レジメンは、単回投与からなり得るか、又は代替的に一連の適用を含み得る。処置期間の長さは、病原体、対象の年齢、薬剤の濃度、薬剤に対する患者の応答性、又はそれらの組み合わせなどの様々な要因に依存する。処置のために使用される薬剤の有効投与量は、特定の処置レジームの経過にわたって増加又は減少し得ることも理解されよう。投与量の変化は、当技術分野で公知の標準的な診断アッセイによって生じ、明らかになり得る。本明細書に記載のアネキシンA5は、態様では、当該疾患又は障害のための従来の治療(例えば、抗ウイルス剤)を用いた処置の前、間又は後に投与され得る。
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物界の任意のメンバー、典型的には哺乳動物を指す。「哺乳動物」という用語は、ヒト、他の高等霊長類、家畜及び農場動物、ならびに動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。
1つ又は複数のさらなる治療剤「と組み合わせて」の投与には、任意の順序での併用(同時)及び連続投与が含まれる。
「薬学的に許容される」という用語は、化合物又は化合物の組み合わせが医薬用途の製剤の残りの成分と適合性であり、米国食品医薬品局によって公布されたものを含む確立された政府基準に従ってヒトに投与することが一般に安全であることを意味する。
「薬学的に許容される担体」という用語は、以下に限定されないが、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張及び/又は吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される担体の使用は周知である。
組成物及び方法
アネキシンA5と、宿主細胞侵入のためのSARS-CoV-2及び他の病原体の受容体であるヒトアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)との間の推定的な相互作用を示すインシリコ分析が本明細書に記載されている。A5及びACE2の間の予測された相互作用は、ACE2へのSARS-CoV-2結合に対するアロステリック阻害を引き起こし得る。アネキシンA5のこの新規な作用機序のために、アネキシンA5は、このような病原体による感染から保護するために使用することができる予防剤として、また新規な処置モダリティとして同定されている。
アネキシンA5は、ACE2への結合ならびに炎症誘発性応答、凝固、及び血栓の阻害を含む多面的な作用を有するので、COVID-19に対する処置としての使用によく適している。したがって、アネキシンA5は、SARS-CoV-2の細胞への侵入を防ぎ、したがって感染を直接予防及び処置することができ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症及び敗血症性ショック、ならびに肺及び心臓を含む多臓器不全などのCOVID-19に関連する有害症候のいくつかを標的とすることもできる。
したがって、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用するためのアネキシンA5が本明細書に記載されている。アネキシンA5が、この目的のためにインビトロ又はインビボで使用され得、アネキシンA5が、SARS-CoV-2などのコロナウイルスを研究するため、及び/又はACE2を研究するための研究ツールとして使用され得ることが理解されよう。
本明細書に記載のアネキシンA5は、ACE2への直接的な結合を介して、ACE2と直接的に相互作用し得る。態様では、この結合は、ACE2の酵素活性にほとんど又は全く影響を及ぼさない可能性がある。追加の又は代替の態様では、アネキシンA5は、それ自体がACE2と相互作用する別の分子との相互作用を介して、ACE2と間接的に相互作用し得る。例えば、いくつかのウイルス又はウイルスタンパク質は、細胞に侵入するためにACE2を使用することが公知である。アネキシンA5は、ACE2と直接的に相互作用して、ウイルス侵入を低減又は防止し得るか、又はウイルス自体と相互作用して、ウイルス侵入を低減又は防止し得る。典型的な態様では、アネキシンA5は、コロナウイルス又はコロナウイルスタンパク質のACE2との相互作用を阻害する。より典型的な態様では、アネキシンA5は、コロナウイルススパイクタンパク質のACE2との相互作用を阻害する。
本明細書に記載のアネキシンA5は任意の種のものであり得るが、典型的には、対象がヒトである場合、ヒトアネキシンA5が使用される。アネキシンA5は、典型的には組換え型であり、配列番号1:

に対して少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
又はその活性断片を含む。
態様では、アネキシンA5は単独で提供され、他の態様では、アネキシンA5は別の部分に結合、例えば共有結合している。例えば、アネキシンA5は、アネキシンA5のアミノ酸配列が別の配列に結合している融合タンパク質として提供され得る。態様では、他の部分は、例えば、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤である。他の部分は、アネキシンA5に結合することができる任意の種類の部分であり得、例えば、ペプチド又は小分子であり得る。
アネキシンA5及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物、例えば治療用組成物も本明細書で提供される。組成物は、任意の使用形態のために構成され得る。しかしながら、典型的な態様では、組成物は吸入可能な組成物又は鼻腔用スプレーである。
アネキシンA5に関する方法及び使用も本明細書に記載されている。例えば、SARS-CoV-2を予防及び/又は処置する方法が本明細書で提供される。方法は、本明細書に記載のアネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。態様では、対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状に罹患している可能性がある。追加の又は代替の態様では、対象は約60歳を超えていてもよい。追加の又は代替の態様では、対象はACE阻害剤を服用していてもよい。
コロナウイルス感染症を予防及び/又は処置する方法も本明細書で提供される。コロナウイルス感染症におけるウイルス負荷を低減させる方法がさらに提供される。コロナウイルス感染症の予防及び/もしくは処置に関連し得る、又はコロナウイルス感染症の予防及び/もしくは処置から独立であり得る、コロナウイルス感染症の症候を予防及び/又は処置する方法も提供される。これらの方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合させるための方法も本明細書で提供される。方法は、アネキシンA5をインビトロ又はインビボで投与することを含む。ACE2に結合させるための方法は、疾患を処置及び/もしくは予防する目的、又は研究もしくは診断目的のためであり得ることが理解されよう。他の態様では、ACE2媒介性感染症を予防及び/又は処置する方法が本明細書で提供される。この方法は、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む。
本明細書に記載のACE2媒介性感染症は、ACE2が感染因子によって使用されて細胞に侵入、及び/又は疾患の症候を引き起こす任意の感染症であり得る。ACE2媒介性感染症の例は、コロナウイルス感染症である。例えば、コロナウイルス感染は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、及び/又はSARS-CoV-2であり得る。任意のそのようなコロナウイルスのバリアントは、例えば以下のものも本明細書では包含される:
・アルファ(B.1.1.7及びQ系統)
・ベータ(B.1.351及び子孫系統)
・デルタ(B.1.617.2及びAY系統)
・ガンマ(P.1及び子孫系統)
・イプシロン(B.1.427及びB.1.429)
・イータ(B.1.525)
・イオタ(B.1.526)
・カッパ(B.1.617.1)
・1.617.3
・ミュー(B.1.621、B.1.621.1)
・ゼータ(P.2)
アネキシンA5がコロナウイルスの症候を処置及び/又は予防するために使用される方法では、症候は、例えば敗血症、敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに/又は心不全及び/もしくは肺不全などの臓器不全であり得る。凝固、血栓、及び炎症反応も企図される。
特定の態様では、アネキシンA5を投与される対象は、任意の年齢であり得、併存症を有し得るか、又は他の点で健康であり得る。いくつかの態様では、対象は小児対象又は成人対象である。いくつかの態様では、対象は、60歳以上、例えば65、70、又は75歳以上などの高齢な対象である。態様における対象は、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し得、態様では、別の症状を処置するために医薬品を服用していてもよい。いくつかの態様では、対象はACE阻害剤を服用している。
アネキシンA5は、処置/予防するための所望の用途及び条件に応じて、任意の適切な用量で投与され得ることが理解されよう。態様では、アネキシンA5は、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、又は9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10μg/mlの用量で使用される。例えば、約0.1~約1μg/ml。同様に、投与の頻度は、対象、用途、及び症状に応じて所望するように漸増され得る。例えば、投与は、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回であり得る。態様では、アネキシンA5は、ACE2媒介性感染症もしくはコロナウイルス感染症の症候が出現した時、及び/又はそのような感染に曝露した疑いがあるもしくは認知された時に投与され得る。
上記の配列と実質的に同一である配列は、例えば、少なくとも約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%同一である配列も企図される。配列の断片又は実質的に同一なバリアント配列も本明細書で企図される。
実質的に同一な配列は、1つ又は複数の保存的アミノ酸変異を含み得る。参照配列に対する1つ又は複数の保存的アミノ酸変異が、参照配列と比較して生理学的、化学的、又は機能的特性に実質的な変化がない変異ペプチドをもたらし得ることは、当技術分野で公知である;そのような場合、参照及び変異配列は「実質的に同一」なポリペプチドとみなされ得る。保存的アミノ酸変異は、アミノ酸の付加、欠失、又は置換を含み得;保存的アミノ酸置換は、本明細書では、類似の化学的特性(例えば、サイズ、電荷、又は極性)を有する別のアミノ酸残基へのアミノ酸残基の置換として定義される。
非限定的な例では、保存的変異はアミノ酸置換であり得る。そのような保存的アミノ酸置換は、塩基性、中性、疎水性、又は酸性アミノ酸を同じ群の別のものと置換し得る。「塩基性アミノ酸」という用語は、7を超える側鎖のpK値を有する親水性アミノ酸を意味し、これらは典型的には生理的pHで正に帯電している。塩基性アミノ酸には、ヒスチジン(His又はH)、アルギニン(Arg又はR)、及びリジン(Lys又はK)が含まれる。「中性アミノ酸」(「極性アミノ酸」でもある)という用語は、生理的pHでは帯電していないが、2つの原子によって共通して共有されている電子対が原子のうちの一方によってより密接に保持されている少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸を意味する。極性アミノ酸には、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、システイン(Cys又はC)、チロシン(Tyr又はY)、アスパラギン(Asn又はN)、及びグルタミン(Gln又はQ)が含まれる。「疎水性アミノ酸」(「非極性アミノ酸」でもある)という用語は、Eisenbergの正規化コンセンサス疎水性スケール(1984)に従って0より大きい疎水性を示すアミノ酸を含むことを意味する。疎水性アミノ酸には、プロリン(Pro又はP)、イソロイシン(Ile又はI)、フェニルアラニン(Phe又はF)、バリン(Val又はV)、ロイシン(Leu又はL)、トリプトファン(Trp又はW)、メチオニン(Met又はM)、アラニン(Ala又はA)、及びグリシン(Gly又はG)が含まれる。
「酸性アミノ酸」は、7未満の側鎖のpK値を有する親水性アミノ酸を指し、これらは典型的には生理的pHで負に帯電している。酸性アミノ酸には、グルタミン酸(Glu又はE)、及びアスパラギン酸(Asp又はD)が含まれる。
配列同一性は、2つの配列の類似性を評価するために使用される;それは、2つの配列が残基の位置間で最大対応関係のためにアラインされた時に同じである残基のパーセントを計算することによって求められる。任意の公知の方法を使用して配列同一性を計算することができる;例えば、コンピュータソフトウェアが配列同一性を計算するために利用可能である。限定することを望むものではないが、配列同一性は、Swiss Institute of Bioinformatics(及び、ca.expasy.org/tools/blast/で見られるように)によって維持されているNCBI BLAST2サービス、BLAST-P、Blast-N、もしくはFASTA-Nなどのソフトウェア、又は当技術分野で公知の任意の他の適切なソフトウェアによって計算され得る。
本発明の実質的に同一な配列は、少なくとも85%同一であり得る;別の例では、実質的に同一な配列は、本明細書に記載の配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であり得る。特定の態様では、実質的に同一な配列は、参照配列の活性及び特異性を保持する。非限定的な実施形態では、配列同一性の違いは、保存的アミノ酸変異(複数可)に起因し得る。
様々な方法論を使用して表面に固定化された、単離又は精製されたポリペプチド、又はその断片も本明細書に包含され;例えば、限定することを望むものではないが、ポリペプチドは、His-タグカップリング、ビオチン結合、共有結合、吸着などを介して表面に連結又はカップリングされ得る。固体表面は、任意の適切な表面、例えば、以下に限定されないが、マイクロタイタープレートのウェル表面、表面プラズモン共鳴(SPR)センサーチップのチャネル、膜、ビーズ(例えば、磁気ベースもしくはセファロースベースのビーズ、又は他のクロマトグラフィー樹脂)、ガラス、フィルム、又は任意の他の有用な表面であり得る。
本明細書に記載の構築物をコードする核酸分子、ならびに核酸分子を含むベクター及びベクターを含む宿主細胞も本明細書に記載されている。
本明細書に記載のアネキシンA5は、追加のアミノ酸残基に融合され得る。そのようなアミノ酸残基は、例えば、単離を容易にするためのペプチドタグであり得る。抗体を特定の臓器又は組織にホーミングするための他のアミノ酸残基も企図される。
本明細書に記載のアネキシンA5を投与するために、任意の適切な方法又は経路を使用することができる。投与の経路には、例えば、経口、静脈内、腹腔内、皮下、又は筋肉内投与が含まれる。特に、SARS-CoV-2感染症などの呼吸器感染症を処置及び/又は予防するための、鼻腔用スプレー及び吸入可能な組成物などの経鼻及び吸入投与経路が企図される。
本明細書に記載のアネキシンA5は、予防又は処置の目的のために哺乳動物で使用される場合、典型的には、薬学的に許容される担体を追加で含む組成物の形態で投与され得ることが理解される。適切な薬学的に許容される担体には、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つ又は複数、及びそれらの組み合わせが含まれる。薬学的に許容される担体は、アネキシンA5の貯蔵寿命又は有効性を増強する、湿潤もしくは乳化剤、保存剤又は緩衝剤などの少量の補助物質をさらに含み得る。注射の組成物は、当技術分野で周知なように、哺乳動物への投与後に活性成分の迅速な、持続的な、又は遅延的な放出をもたらすように配合され得る。
本明細書に記載の組成物は、処置される感染症もしくは他の症状の重症度及び種類、再発の可能性があると考えられるかどうか、又は感染症もしくは他の症状を予防することなどを含むいくつかの要因に応じて、数時間、数日、数週間又は数ヶ月にわたって投与され得る。投与は、一定、例えば、数時間、数日、数週間、数ヶ月にわたって一定の注入であり得る。あるいは、投与は断続的であり得、例えば、組成物は、数日間にわたって1日1回、数時間にわたって1時間1回、又は適切と考えられる任意の他のスケジュールで投与され得る。
本明細書に記載の組成物は、有効量の活性物質を薬学的に許容されるビヒクルと混合して組み合わせるように、対象に投与することができる薬学的又は外見的に許容される組成物を調製するためのそれ自体公知な方法によって調製され得る。適切なビヒクルは、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Additives」(Michael及びIrene Ash(編)、Gower Publishing Limited、Aldershot、England(1995))に記載されている。これに基づいて、組成物は、排他的ではないが、1つ又は複数の薬学的に許容されるビヒクル又は希釈剤と組み合わせた物質の溶液を含み、適切なpHの緩衝溶液に含まれ得、及び/又は生理液と等浸透圧であり得る。これに関して、米国特許第5,843,456号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照することができる。
薬学的に許容される担体は当業者に周知であり、例えば、滅菌生理食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストリン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、大麻油、及び水を含む。さらに、組成物は、1つ又は複数の安定化剤、例えば、ソルビトール、マンニトール、スターチ、スクロース、デキストリン及びグルコースを含む炭水化物、アルブミン又はカゼインなどのタンパク質、ならびにアルカリホスファートのような緩衝液を含み得る。
本明細書に記載の組成物は、実施形態では、例えば、非経口、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼内、脳室内、嚢内、髄腔内、大槽内、腹腔内、鼻腔内、直腸内、膣内、吸入、経鼻、エアロゾル、経口、局所、又は経皮投与によって投与され得る。典型的には、本発明の組成物は、吸入又は経鼻的に投与される。
本明細書に記載の組成物は、例えば対象における感染症の予防及び/又は処置のための公知な療法と組み合わせて使用され得ることが当業者によって理解される。本明細書に記載の組成物は、実施形態では、感染症及び/又はそれらの症候に対する従来の処置と組み合わせて、同時に又は逐次的に投与され得る。本明細書に記載の組成物は、必要に応じて、そのような従来の処置と共に処方され得る。
以下の例は、ベクター及びプラスミドの構築、そのようなベクター及びプラスミドへのポリペプチドをコードする遺伝子の挿入、又は宿主細胞へのプラスミドの導入に用いるものなど、従来の方法の詳細な説明を含まない。そのような方法は、当業者に周知であり、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.(1989)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを含む多数の刊行物に記載されている。
さらなる説明がなければ、当業者は、前述の説明及び以下の例示的な例を使用して、本発明の化合物を作製及び利用し、特許請求される方法を実践することができると考えられる。したがって、以下の作業例は、本発明の典型的な態様を具体的に指摘しており、決して本開示の残りの部分を限定するものと解釈されるべきではない。

例1:ヒトアンジオテンシン変換酵素関連カルボキシペプチダーゼ(ACE2)及びヒトアネキシンA5の間の推定される相互作用.
方法:
インシリコ分析:ヒトACE2(1R42.pdb)及びCa2+負荷ヒトアネキシンV(1ANX.pdb)結晶構造の原子座標をインシリコ予測の入力として使用し、デフォルトパラメータを使用して実行した。ヒトACE2:SARS-COV2スパイクタンパク質複合体構造(6LZG.pdb)を使用して、ACE2上のA5及びスパイクタンパク質結合部位の相対位置を比較した。構造の画像を、PyMOL(Schrodinger、LLC)において、1R42、1ANX及び6LZG座標ファイルを使用してレンダリングした。
結果:
図1は、ヒトアンジオテンシン変換酵素関連カルボキシペプチダーゼ(ACE2)及びヒトアネキシン5(A5)の間の推定相互作用を示し、SARS-COV2スパイクタンパク質結合のアロステリック阻害を示唆している。(A)ACE2細胞外ドメイン(青色のカートゥーンリボン)は、三次元空間において凹状のクレフトを形成する。(B)A5に推定的に結合する残基は、ACE2クレフト内に連続する領域を作り出す(マゼンタ色の球)。(C)連続するA5相互作用領域を形成する20残基を特定する拡大図。(D)A5(緑色のカートゥーンリボン)ヘリックスは、構造の長軸に垂直に配置されている。(E)ACE2(マゼンタ色の球)と推定的に相互作用する表面は、A5の一方の面に局在している。この面は、A5の4つのカルシウム(Ca2+)結合部位と同じ側に位置しており、Ca2+が相互作用を調節し得ることを示唆している。(F)A5の26残基は、ACE2との相互作用を媒介すると予測される。(G)SARS-COV2スパイクタンパク質のC末端ドメイン(オレンジ色のカートゥーンリボン)との複合体中のACE2細胞外ドメイン(青色のカートゥーンリボン)の結晶構造。(A~F)において、ACE2:A5相互作用部位はBIPSPIウェブサーバーを使用してインシリコで識別された。1(B及びC)において、破線のボックスはACE2の同様の領域を包含する。(D~F)において、Ca2+イオンは黄色の球として示されている。(A及びD)において、分子は、水平面に沿った移動によって、適合可能な相互作用モードを示すように配向されている。(G)において、推定のA5相互作用部位(マゼンタ色の球)はACE2クレフト内にある一方、SARS-COV2スパイクタンパク質相互作用部位はクレフト外にある。ヒトACE2(1R42.pdb)及びCa2+負荷ヒトアネキシンV(1ANX.pdb)結晶構造の原子座標をインシリコ予測の入力として使用し、デフォルトパラメータを使用して実行した。ヒトACE2:SARS-COV2スパイクタンパク質複合体構造(6LZG.pdb)を使用して、ACE2上のA5及びスパイクタンパク質結合部位の相対位置を比較した。構造の画像を、PyMOL(Schrodinger、LLC)において、1R42、1ANX及び6LZG座標ファイルを使用してレンダリングした。
参考文献:
例2:結合実験
方法:
ヒトアネキシンA5のmRNA配列(アクセッション#NM_001154):

コーディング配列(963bp)がハイライトされている。
大腸菌(E.coli)細菌における完全長ヒトアネキシンA5タンパク質発現のためのコドン最適化配列(963bp)を作製し、Blue Heron Biotech(Bothell、WA、USA)によって合成した。
コドン最適化配列を、N末端Hisタグ(pEX-N-His、カタログ#PS100030)を有するOriGene(www.origene.com)細菌発現ベクターに挿入した。このプラスミドを大腸菌(E.coli)細菌にトランスフェクトして、組換えヒトアネキシンA5タンパク質を産生させた。N末端Hisタグは、TEVを使用して切断可能である。
全長組換えヒトアネキシンA5配列は以下の通りである:
ACE2結合阻害剤に対するSARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)スクリーニングアッセイを、製造業者の説明書(BD Bioscience、San Diego、CA、USA)に従って行った:簡潔には、SARS-CoV-2スパイクRBDを96ウェルプレートにコーティングした。次に、ACE2-Hisを、アネキシンA5(0~10μg/ml)と一緒に、プレート上のSARS-CoV-2スパイクRBDと共にインキュベートした。最後に、プレートを抗His-HRPで処理し、続いてHRP基質を添加して化学発光を生じさせ、次いで、これを化学発光リーダーを使用して測定した。
ウイルス感染細胞アッセイ:ヒト293T-ACE2細胞を、様々な濃度のアネキシン5の存在下又は非存在下において、0.01のMOIで2時間、SARS-CoV-2(Wuhan株)に感染させた。このMOIは、培養の72時間後にほぼ完全な細胞病原性を誘導する。感染の2時間後、ウイルスを除去し、細胞を、アネキシン5を含有する新鮮な培地で72時間インキュベートした。細胞の明視野画像を、EVOS M7000イメージングシステム(Thermo Fisher Scientific)を使用して、感染の72時間後に得た。生存パーセントを、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して測定した。
結果:
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)結合に関するスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)に対する組換えヒトアネキシンA5の効果を調べた。図2は、アネキシンA5が、約0.02μg/mlという低い用量でスパイクRBDのACE2への結合を阻害し、1μg/mlが試験された最も有効な用量であることを示す。
SARS-CoV-2に感染したヒト293T-ACE2細胞の生存に対する組換えヒトアネキシンA5の効果を調べた。図3及び図4は、未処理細胞及び未感染細胞が健康であったことを示す。アネキシンA5で処理しなかった感染細胞は、生存が非常に低かった(図2には示さず)。約0.02μg/ml又はそれを超えるアネキシンA5用量で処理した細胞は、85%以上の生存を示した。
これらのデータは、組換えヒトアネキシンA5がACE2へのスパイク-RBD結合を阻害し、SARS-CoV-2感染によって引き起こされる細胞死から保護することを示す。本発明者らの結果は、アネキシンA5がSARS-CoV-2感染症の予防において、及びCOVID-19の処置として治療的可能性を有し得ることを示唆する。
例3:スパイクタンパク質:ACE2相互作用に対する組換えヒトアネキシンA5の効果
高レベルの均一に15N標識されたスパイク-RBD及びヒトACE2細胞外ドメインが首尾よく発現された(図5A、図5B)。溶液NMRモニターアミド(H-15N)の化学シフト変化によって、これらのタンパク質間の直接的な相互作用が実証された(図5C)。特に、組換えヒトアネキシンA5を二成分混合物に添加することは、複合体に固有ないくつかのH-15Nピークの位置及び強度を変化させ、スパイク-RBD:ACE2相互作用に対するアネキシンA5の大きな効果と一致した。
例4:組換えヒトアネキシンA5は、293T細胞においてSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子発現を阻害する.
ヒト293T-ACE2細胞を、アネキシンA5(0~5μg/ml)の存在下又は非存在下において、SARS-CoV-2野生型(WT、オリジナルのWuhan株)又はB.1.1.7バリアント株に感染させた。ウイルス負荷を評価するために、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子レベルのqPCR分析を、ウイルス感染の48時間後に行った。図6は、組換えヒトアネキシンA5が、WT(A)又はB.1.1.7バリアント(B)のいずれかに感染させた293T-ACE2細胞において、N遺伝子発現を90%超阻害したことを示し、アネキシンA5が、ヒト293T-ACE2細胞におけるWT及びB.1.1.7バリアント感染の両方において、ウイルス負荷を低減させることを示唆している。
上記の開示は、本発明を一般的に説明している。本明細書では特定の用語が用いられているが、そのような用語は説明的な意味が意図されており、限定を目的とするものではない。
上記で引用されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願が、その全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい実施形態を本明細書で詳細に説明したが、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、変形がなされ得ることが当業者には理解されよう。

Claims (61)

  1. アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用するためのアネキシンA5。
  2. アネキシンA5がACE2に結合する、請求項1に記載のアネキシンA5。
  3. ACE2に結合するアネキシンA5が、ACE2の酵素活性に実質的に影響を及ぼさない、請求項2に記載のアネキシンA5。
  4. アネキシンA5が、ウイルス又はウイルスタンパク質などの別の分子のACE2との相互作用を阻害する、請求項1に記載のアネキシンA5。
  5. アネキシンA5が、コロナウイルス又はコロナウイルスタンパク質のACE2との相互作用を阻害する、請求項4に記載のアネキシンA5。
  6. アネキシンA5が、コロナウイルススパイクタンパク質のACE2との相互作用を阻害する、請求項5に記載のアネキシンA5。
  7. SARS-CoV-2の研究ツールとしてのアネキシンA5。
  8. ACE2の研究ツールとしてのアネキシンA5。
  9. アネキシンA5がヒト型である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアネキシンA5。
  10. アネキシンA5が組換え型である、請求項1~9のいずれか一項に記載のアネキシンA5。
  11. アネキシンA5が、配列番号1:

    に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    又はその活性断片
    を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のアネキシンA5。
  12. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のアネキシンA5。
  13. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項12に記載のアネキシンA5。
  14. アネキシンA5が、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により前記部分がペプチド又は小分子である、請求項1~13のいずれか一項に記載のアネキシンA5。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のアネキシンA5及び薬学的に許容される担体を含む組成物。
  16. 組成物が吸入可能な組成物又は鼻腔用スプレーである、請求項15に記載の組成物。
  17. SARS-CoV-2を予防及び/又は処置する方法であって、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  18. アネキシンA5がヒト型である、請求項17に記載の方法。
  19. アネキシンA5が組換え型である、請求項17又は18に記載の方法。
  20. アネキシンA5が、配列番号1:

    に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    又はその活性断片
    を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。
  22. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項21に記載の方法。
  23. アネキシンA5が、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により前記部分がペプチド又は小分子である、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. アネキシンA5が吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 対象が、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. アネキシンA5が、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.1~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. コロナウイルス感染症を予防及び/もしくは処置する、ならびに/又はコロナウイルス感染症におけるウイルス負荷を低減させる方法であって、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  28. コロナウイルス感染が、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2を含む、請求項27に記載の方法。
  29. アネキシンA5がヒト型である、請求項27又は28に記載の方法。
  30. アネキシンA5が組換え型である、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. アネキシンA5が、配列番号1:

    に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    又はその活性断片
    を含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
  33. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項32に記載の方法。
  34. アネキシンA5が、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により前記部分がペプチド又は小分子である、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. アネキシンA5が吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 対象が、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. アネキシンA5が、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.1~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. コロナウイルス感染症の症候の予防及び/又は処置する方法であって、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  39. コロナウイルス感染が、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2を含む、請求項38に記載の方法。
  40. アネキシンA5がヒト型である、請求項38又は39に記載の方法。
  41. アネキシンA5が組換え型である、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. アネキシンA5が、配列番号1:

    に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
    又はその活性断片
    を含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項42に記載の方法。
  44. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項43に記載の方法。
  45. アネキシンA5が、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により前記部分がペプチド又は小分子である、請求項38~44のいずれか一項に記載の方法。
  46. アネキシンA5が吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである、請求項38~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 症候が、敗血症、敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに/又は心不全及び/もしくは肺不全などの臓器不全を含む、請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 対象が、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. アネキシンA5が、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.1~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される、請求項38~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. ACE2媒介性感染症を予防及び/又は処置する方法であって、アネキシンA5をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  51. ACE2媒介性感染がコロナウイルスである、請求項50に記載の方法。
  52. コロナウイルスが、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2である、請求項51に記載の方法。
  53. アネキシンA5がヒト型である、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. アネキシンA5が組換え型である、請求項50~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. アネキシンA5が、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はその活性断片を含む、請求項50~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項55に記載の方法。
  57. アネキシンA5が配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項56に記載の方法。
  58. アネキシンA5が、治療剤、検出可能な薬剤、及び/又は標的化剤などの部分に結合しており、場合により前記部分がペプチド又は小分子である、請求項50~57のいずれか一項に記載の方法。
  59. アネキシンA5が吸入されるか、又は鼻腔用スプレーである、請求項50~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 対象が、高血圧又は糖尿病などの慢性症状を有し、60歳を超えており、及び/又はACE阻害剤を服用している、請求項50~59のいずれか一項に記載の方法。
  61. アネキシンA5が、約0.001~約10μg/ml、例えば約0.001、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9~約0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10μg/ml、例えば約0.1~約1μg/ml、1日に1回、2回、3回、もしくは4回以上、又は週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回の用量で、又は症候が出現した時、又は疑わしいもしくは認知された曝露時に使用される、請求項50~60のいずれか一項に記載の方法。
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