JP2023545769A - 制御された薬物動態、安全性および忍容性プロファイルを有する中鎖トリグリセリドを送達するための方法 - Google Patents

制御された薬物動態、安全性および忍容性プロファイルを有する中鎖トリグリセリドを送達するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、中鎖トリグリセリド(MCT)の組成物、およびニューロンの代謝の低下に関連する状態、例えばアルツハイマー病を処置するためのそのような組成物による処置のための方法に関する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
[0001]この出願は2020年10月9日に出願された米国仮出願第63/089,797号の利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0002]この開示は、中鎖トリグリセリドの高い薬物負荷量を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に送達するための方法に関する。
[0003]中鎖トリグリセリド(MCT)は、鎖長5~12個の炭素を有する脂肪酸を含む。MCTは、広範に研究され、公知の栄養学的および薬学的使用を有する。MCTは室温で液体である融点を有する。さらに、MCTは、比較的小さく、生理学的条件下でイオン化可能であり、一般的に水溶液に可溶性である。
[0004]医薬組成物として使用されることが意図される場合、意図される処置に基づいて特定の薬物動態特性(例えば、Cmax、Tmaxなど)を達成することが望ましいことが多い。
[0005]したがって、特定の薬物動態特性を達成するMCTの医薬組成物が当技術分野で必要とされている。
[0006]1つの側面では、本開示は、疾患または障害の処置のために、それを必要とする対象に、トリカプリリンを投与する方法に関する。ある特定の態様では、方法は、トリカプリリンの治療有効量を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、トリカプリリンの治療有効量は少なくとも300μmol/Lの総ケトンの最大血清濃度(Cmax)を提供する。ある特定の態様では、総ケトンのCmaxは少なくとも500μmol/L、少なくとも750μmol/L、または少なくとも1000μmol/Lである。
[0007]ある特定の態様では、トリカプリリンの治療有効量は、単回または分割用量として投与される1日当たり30g~80gである。
[0008]一部の態様では、トリカプリリンの治療有効量は少なくとも500ng/mLのトリカプリリンのCmaxを提供する。
[0009]ある特定の態様では、トリカプリリンの治療有効量は、投与後少なくとも1時間、投与後少なくとも1.5時間、投与後少なくとも2時間、投与後少なくとも2.5時間、または投与後少なくとも3時間以内に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)を提供する。
[0010]ある特定の態様では、それを必要とする対象は老齢対象である。ある特定の態様では、老齢対象はApoE4遺伝子型を欠く。
[0011]ある特定の態様では、トリカプリリンの治療有効量は、少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lのb-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmaxを提供する。
[0012]ある特定の態様では、トリカプリリンの治療有効量は、少なくとも50umol/L、少なくとも60umol/L、少なくとも70umol/L、少なくとも80umol/L、少なくとも90umol/L、または少なくとも100umol/Lのアセト酢酸(AcAc)のCmaxを提供する。
[0013]ある特定の態様では、疾患または障害は、認知機能の低下に関連する疾患または障害である。ある特定の態様では、認知機能の低下に関連する疾患または障害は、アルツハイマー病および加齢関連記憶障害から選択される。
[0014]ある特定の態様では、医薬組成物は、投与のためのエマルジョンとして形成される。
[0015]ある特定の態様では、1日当たり30g~80gのトリカプリリンの治療有効用量は、最終治療有効投与量まで漸増すること(titratig)により達成される。ある特定の態様では、漸増は、1週間当たり5g~10gのトリカプリリンの投与量の調整により2~4週間にわたり行われる。
[0016]ある特定の態様では、医薬組成物は、トリカプリリン投与後の総ケトンCmax曝露量における民族性の影響が白人対アジア人対象において観察されないように投与される。
[0017]多数の態様が開示されるが、本開示のさらに他の態様は、本開示の例示的な態様を示し、記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、全てが本開示の主旨および範囲から逸脱することのない様々な側面における改変が可能である。したがって、詳細な説明は、本質的に例示的とみなされ、制限的とみなされないものとする。
[0018]本開示の態様に従う、ヒトPK研究における様々な製剤についての様々なBHB濃度を示すグラフを図示する。 [0019]本開示の態様に従う、ラットPK研究における様々な製剤についての様々なBHB濃度を示すグラフを図示する。 [0020]本開示の態様に従う、変動する投与量のトリカプリリンについての、時間に対するAcAc脳代謝速度を示すモデルを図示する。 [0021]本開示の態様に従う、経時的な平均(±SD)血漿総ケトン濃度を示すグラフを図示する。 [0022]本開示の態様に従う、平均(±SD)未調整(unadjusted)総ケトン血漿濃度-線形目盛-全体を示すグラフを図示する。 [0023]本開示の態様に従う、平均(±SD)未調整トリカプリリン血漿濃度-線形目盛-全体を示すグラフを図示する。 [0024]本開示の態様に従う、平均(±SD)未調整オクタン酸血漿濃度-線形目盛-全体。 [0025]本開示の態様に従う、平均未調整PK濃度-全体-総ケトン(μM)(PK集団)を示すグラフを図示する。 [0026]本開示の態様に従う、平均未調整PK濃度-全体-トリカプリリン(ng/mL)(PK集団)を示すグラフを図示する。 [0027]本開示の態様に従う、平均未調整PK濃度-全体-オクタン酸(μM)(PK集団)を示すグラフを図示する。 [0028]本開示の態様に従う、平均血漿総ケトン濃度を示すグラフを図示する。 [0029]図12Aは本開示の態様に従う、健康な中国人(n-18)または白人(n=14)対象への50gのAC-SD-03(20gのトリカプリリン)の単回投与後の総ケトンのCmaxの散乱プロットを示し、図12Bは、本開示の態様に従う、健康な中国人(n=18)または白人(n=14)対象への50gのAC-SD-03(20gのトリカプリリン)の単回投与後の総ケトンのAUC0-tの散乱プロットを示す。 [0029]図12Aは本開示の態様に従う、健康な中国人(n-18)または白人(n=14)対象への50gのAC-SD-03(20gのトリカプリリン)の単回投与後の総ケトンのCmaxの散乱プロットを示し、図12Bは、本開示の態様に従う、健康な中国人(n=18)または白人(n=14)対象への50gのAC-SD-03(20gのトリカプリリン)の単回投与後の総ケトンのAUC0-tの散乱プロットを示す。 [0030]本開示の態様に従う、MCTの一般的に理解されているin vivo代謝を図示する。
[0031]脳は非常に代謝性であり、したがって、その代謝におけるいずれの不足もエネルギーストレスをもたらし、最終的に細胞死をもたらす。通常、脳は、エネルギー基質としてほとんどグルコースのみに依存する。脳は体重のわずか2%を占めるが、全身グルコースの25%(約120g/日)を利用し、心拍出量の15%を受け取り、全身酸素の20%を使用する。したがって、身体は、低グルコース可用性時の代替エネルギー基質であるケトン体を利用するための高度に保存された生理学的機序を有する。
[0032]グルコースを効率的に代謝できない脳細胞への燃料の代替供給源として作用するケトン体の作用機序に基づいて、本開示は、制御された薬物動態プロファイルおよび転帰を提供するためのMCTを投与する最適化された方法が達成され得ることを予想外に見出した。例として、最適化された方法は、活性剤MCTおよび活性代謝産物ケトン体のin vivo形成の所望の最大(またはピーク)濃度(Cmax)およびCmaxに到達するまでの所望の時間(Tmax)を有する制御された薬物動態プロファイルを提供することができる。より具体的には、MCTおよび活性代謝産物ケトン体のin vivo形成の薬物動態プロファイルは制御され得ることが見出された。さらに他の態様では、本開示の方法は、薬物動態プロファイル(例えば、トリカプリリン投与後の総ケトンCmax曝露量)における民族性の影響が白人対アジア人対象において観察されない臨床転帰を達成することが見出された。
[0033]本明細書に記載されるようなカプリル酸トリグリセリドまたはトリカプリリンを含むMCTは、例えば軽度~中等度のアルツハイマー病(AD)の処置のためのケトン体生成剤である。しかし、本開示はそのように限定されず、開示される投与の方法は、ケトン体生成作用から利益を得ることができる任意の疾患、状態、または障害の処置に使用され得る。本開示の側面に従って、トリカプリリンは、ADならびに他の疾患、状態および障害に特徴的な局所的な脳のグルコース代謝低下を補償するために高い用量で投与され得る。摂取後に、トリカプリリンはケトーシスの誘発をもたらす。理論に縛られることを意図せずに、トリカプリリンの配合が薬物の消化および吸収に影響を及ぼすことができ、したがって、配合の変化が臨床転帰に影響を及ぼし得ることが見出された。背景として、MCTのin vivo代謝が図13に図示される。
[0034]一態様では、制御された薬物動態プロファイルを提供する、トリカプリリンを投与する開示される方法は、体内でケトン濃度の上昇をもたらすことができる。トリカプリリンは、高ケトン血症を誘発するのに有効である量で投与されてもよい。一態様では、高ケトン血症により、ケトン体は脳においてエネルギーとして利用されるようになる。
[0035]一態様では、方法は、対象においてMCT、例えばトリカプリリンの制御された循環濃度を提供するためにトリカプリリンを医薬製剤として投与することができる。循環MCTの量は、投与後のいくつかの時間で測定することができ、一態様では、血清および/または血漿中のピーク濃度(Cmax)に近いと予測される時間で測定されるが、予測ピーク血清および/または血漿濃度レベル前または後に測定されてもよい。次いで、これらのオフピーク時間で測定された量は、予測ピーク時間における予測レベルを反映するように任意選択で調整される。
[0036]1つの態様では、腸から吸収されるMCT化合物であるトリカプリリンまたはオクタン酸(OA)の到達されるピーク血清濃度(Cmax)は、約350ng/mL~約1500ng/mLである。他の態様では、トリカプリリンのピーク血清濃度(Cmax)は約350~約1200ng/mL、約350~約1000ng/mL、約350~約950ng/mLなどであるが、例えば上記のように組成および対象に応じて変動が必ず生じる。一部の態様では、トリカプリリンのピーク血清濃度(Cmax)は約400~約1000ng/mLである。他の態様では、トリカプリリンのピーク血清濃度(Cmax)は少なくとも450ng/mL、少なくとも500ng/mL、少なくとも550ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも650ng/mL、少なくとも700ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも850ng/mL、少なくとも900ng/mL、少なくとも950ng/mL、または少なくとも1000ng/mLである。
[0037]1つの態様では、トリカプリリンのCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は、投与後約0.5時間~約3時間、例えば、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様では、MCTのCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は、約1時間~約2.5時間である。別の態様では、MCTのCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間~約2時間である。別の態様では、Cmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間~約1.5時間である。別の態様では、MCTのCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様では、MCTのCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、または1時間未満である。
[0038]1つの態様では、総ケトンの到達されるピーク血清濃度(Cmax)は約350マイクロモル/リットル(μmol/L)~約1500μmol/Lである。他の態様では、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約350~約1200μmol/L、約350~約1000μmol/L、約450~約1200μmol/L、約500~約1200μmol/L、約500~約1000μmol/Lなどであるが、例えば上記のように組成および対象に応じて変動が必ず生じる。他の態様では、総ケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は少なくとも450μmol/L、少なくとも500μmol/L、少なくとも550μmol/L、少なくとも600μmol/L、少なくとも650μmol/L、少なくとも700μmol/L、少なくとも800μmol/L、少なくともμmol/L、少なくとも900μmol/L、少なくとも950μmol/L、または少なくとも1000μmol/Lである。
[0039]1つの態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間~約3時間である。別の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間~約2.5時間である。別の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間~約2時間である。別の態様では、Cmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間~約1.5時間である。別の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、または1時間未満である。一部の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間である。一部の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1.5時間である。一部の態様では、総ケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約2時間である。
[0040]一態様では、トリカプリリンを投与する開示される方法は、総ケトン体、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)、および/またはアセト酢酸(AcAc)を含む、対象における少なくとも1種類のケトン体の制御された循環濃度を提供することができる。循環ケトン体の量は、投与後のいくつかの時間で測定することができ、一態様では、血清および/または血漿中のピーク濃度(Cmax)に近いと予測される時間で測定されるが、予測ピーク血清および/または血漿濃度レベル前または後に測定されてもよい。次いで、これらのオフピーク時間で測定された量は、予測ピーク時間における予測レベルを反映するように任意選択で調整される。
[0041]1つの態様では、少なくとも1種のケトン体(総ケトン体、ベータ-ヒドロキシ酪酸(BHB)、オクタン酸、および/またはアセト酢酸(AcAc)を含む)の到達されるピーク血清濃度(Cmax)は約350マイクロモル/リットル(μmol/L)~約1000μmol/Lである。他の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約350~約950μmol/L、約350~約900μmol/L、約350~約850μmol/L、約350~約800μmol/L、約350~約750μmol/L、約350~約700μmol/L、約350~約650μmol/L、約350~約550μmol/L、約350~約500μmol/L、または約350~約800μmol/Lであるが、例えば上記のように組成および対象に応じて変動が必ず生じる。他の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約400~約950μmol/L、約400~約900μmol/L、約400~約850μmol/L、約400~約800μmol/L、約400~約750μmol/L、約400~約700μmol/L、約400~約650μmol/L、約400~約600μmol/L、または約400~約550μmol/Lである。一部の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約400~約600μmol/Lである。他の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約450~約550μmol/Lである。他の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は少なくとも350μmol/L、少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、少なくとも500μmol/L、少なくとも550μmol/L、または少なくとも600μmol/Lである。他の態様では、少なくとも1種のケトン体のピーク血清濃度(Cmax)は約20~約180μmol/L、約20~約160μmol/L、約20~約140μmol/L、約20~約120μmol/L、約20~約100μmol/L、約20~約80μmol/L、約20~約60μmol/L、または約20~約40μmol/Lであるが、例えば上記のように組成および対象に応じて変動が必ず生じる。
[0042]1つの態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は投与後約0.5時間~約3時間、例えば、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間~約2.5時間である。別の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間~約2時間である。別の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間~約1.5時間である。別の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、または約3時間である。別の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、または1時間未満である。一部の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1時間である。一部の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約1.5時間である。一部の態様では、少なくとも1種のケトン体のCmaxに到達するまでの時間(Tmax)は約2時間である。
[0043]別の態様では、本開示の方法は、薬物動態プロファイルにおける民族性の影響が白人対アジア人対象において観察されない臨床転帰を達成することが見出された。例えば、トリカプリリン投与後にトリカプリリンCmaxおよびTmax値、総ケトンCmaxおよびTmax値、またはケトン体(例えば、BHBおよびAcAc)のCmaxおよびTmax値において著しい差異は観察されない。
[0044]いくつかの定義が本明細書に記載される。そのような定義は、文法的な均等物を包含することを意図する。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲において使用されるような単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。他に述べられていない限り、「または」の使用は「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、ならびに「含む(includes)」および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素があってもよいことを意味する。また、「要素(element)」または「成分(component)」などの用語は、他に具体的に述べられていない限り、1つのユニットを構成する要素および成分ならびに1つより多くのサブユニットを構成する要素および成分の両方を包含する。
[0045]本明細書で使用される場合、「投与」は、当業者により理解されるように、胃腸管などのin vivo使用環境、摂取もしくは嚥下による送達、または医薬組成物を送達するための他のそのような手段を含む。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000)を参照されたい。水性使用環境がin vitroである場合、「投与」はin vitro試験媒体への医薬組成物の配置または送達を指す。
[0046]本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、「重量%」は「総組成物の重量%」を指す。
[0047]ケトン体測定/定量の分析は、一部の状況では、誤差、ベースライン測定値などを説明するために調整され得ることが当業者により認められる。1種または複数のケトン体の量は全血、血漿、血清、および/またはこれらの組合せから決定されてもよい。1種または複数のケトン体の量は、酵素アッセイおよび液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS)を含むが、これらに限定されない当業者に公知の方法により決定されてもよい。
[0048]本開示の方法に関して有用な医薬組成物は概して、少なくとも1種のMCTを含む活性剤の高い負荷量を含む。本開示のある特定の態様に従って、本開示の医薬組成物は、約95%を超える、例えば、98%、99%、99.5%以上のC8をR、RおよびRに有し、本明細書でカプリル酸トリグリセリドまたはトリカプリリン(「CT」)と称されるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。ある特定の態様では、MCTは、本明細書に記載のようなカプリル酸トリグリセリドまたはトリカプリリンである。CTの例示的な供給源はMIGLYOL(登録商標)808またはNEOBEE(登録商標)895を含む。ある特定の側面では、CTはココナッツまたはパーム核油から得ることができ、オクタン酸のグリセリンなどへの半合成エステル化により作ることができる。
[0049]他の態様では、医薬組成物は、R、R、およびRが6炭素主鎖を含有する脂肪酸(tri-C6:0)であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。tri-C6:0 MCTは、いくつかの動物モデル系において胃腸管により非常に迅速に吸収される。高い吸収速度は、肝臓の迅速な灌流および強力なケトン生成反応をもたらす。別の態様では、医薬組成物は、R、R、およびRが8炭素主鎖を含有する脂肪酸(tri-C8:0)であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様では、医薬組成物は、R、R、およびRが10炭素主鎖を含有する脂肪酸(tri-C10:0)であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様では、医薬組成物は、R、R、およびRがC8:0およびC10:0脂肪酸の混合物であるMCTを含んでもよい。別の態様では、医薬組成物は、R、RおよびRがC6:0、C8:0、C10:0、およびC12:0脂肪酸の混合物であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様では、医薬組成物は、R、RおよびRの95%超が8炭素長であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。さらに別の態様では、医薬組成物は、R、R、およびR炭素鎖が6炭素または10炭素鎖であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。別の態様では、医薬組成物は、R、RおよびRの約50%が8炭素長であり、R、RおよびRの約50%が10炭素長であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。一態様では、医薬組成物は、R、RおよびRが6、7、8、9、10もしくは12炭素鎖長、またはこれらの混合物であるMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤を含んでもよい。
[0050]ある特定の態様では、医薬組成物は、総組成物の少なくとも約30重量%、総組成物の少なくとも約35%、総組成物の少なくとも約40重量%、総組成物の約30重量%~総組成物の約65重量%、総組成物の約30重量%~総組成物の約60重量%、総組成物の約35重量%~総組成物の約60重量%、総組成物の約40重量%~総組成物の約55重量%、総組成物の約40重量%~総組成物の約50重量%のトリカプリリンなどの少なくとも1種のMCTを含むまたはそれから本質的になる活性剤の高い薬物負荷量を含んでもよい。
[0051]ある特定の側面では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1種のMCTを含むまたはそれらから本質的になる活性剤の高い薬物負荷量、少なくとも1種の界面活性剤、ならびに任意選択で吸着剤および/またはフィルム形成ポリマーを含んでもよい。医薬組成物は共界面活性剤も含んでもよい。一部の態様では、医薬組成物は少なくとも2種の界面活性剤を含む。ある特定の態様では、組成物は自己乳化噴霧乾燥組成物である。
[0052]他の側面では、少なくとも1種の界面活性剤は、ポリオキシル硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、ヒドロキシステアリン酸ポリオキシル、レシチン、ホスファチジルコリン、およびこれらの組合せから選択される。ある特定の態様では、固体組成物は、ポリオキシル硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、ヒドロキシステアリン酸ポリオキシル、レシチン、ホスファチジルコリン、およびこれらの組合せから選択され得る少なくとも2種の界面活性剤を含む。ある特定の態様では、少なくとも2種の界面活性剤のうちの少なくとも1種はポリオキシル硬化ヒマシ油またはステアリン酸ポリオキシル界面活性剤である。少なくとも2種の界面活性剤は、互いに対して2:1~1:1の比で存在してもよい。
[0053]ある特定の側面では、吸着剤は、シリカ化合物、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(AEROSIL(登録商標)、CAB-O-SIL(登録商標))、非晶質シリカゲル(SYLOID(登録商標)、SYLYSIA(登録商標))、粒状二酸化ケイ素(AEROPERL(登録商標))、シリカエアロゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(NEUILIN(登録商標))、ケイ酸カルシウム(FLORITE(登録商標))、および規則性メソポーラスシリケートである。
[0054]ある特定の側面では、フィルム形成ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、変動する分子量(例えば、10000、40000、70000、500000など)のデキストランなどであってもよい。ある特定の態様では、フィルム形成ポリマーはPVPまたはPVP-VAであり、他の態様では、フィルム形成ポリマーはPVP-VAである。
[0055]さらに他の側面では、本開示の医薬組成物は、約5μm~約50μmの直径、約5μm~約30μmの直径、約5μm~約20μmの直径、約5μm~約10μmの直径などの平均直径を有する噴霧乾燥粒子を含んでもよい。
[0056]他の側面では、本開示の医薬組成物は、周囲条件で少なくとも約4時間安定である、水性使用環境中のエマルジョンを形成する。ある特定の態様では、エマルジョンは約1000nm未満であるが、約100nmを超える、例えば、約100nm~500nm、約200nm~約300nm、約160nm~約190nmなどの平均液滴直径を有してもよい。
[0057]ある特定の側面では、トリカプリリンは、トリカプリリンの高い薬物負荷量および室温でエマルジョンを形成するのに十分な濃度で存在する1種または複数のエマルジョン形成賦形剤を含む医薬組成物で投与されてもよい。医薬組成物は、本明細書に記載のような量の成分を含んでもよい。一部の態様では、医薬組成物は安定な液体エマルジョンを形成してもよい。
[0058]本明細書に記載のように、本開示の医薬組成物は液体エマルジョンを形成してもよい。エマルジョンは、水または他の水性媒体で希釈され、穏やかに混合された場合、約5μm未満であるが、約100nmを超える(例えば0.35~1.2μm)平均液滴直径を有する安定な油/水エマルジョンを生成し、一般的に多分散である、組成物を指す。そのようなエマルジョンは安定であり、これは目に見えて検出可能な相分離がなく、目に見えて検出可能な結晶化がないことを意味する。
[0059]「穏やかに混合される」は、本明細書で使用される場合、標準の実験室混合機での反復反転などによる穏やかな手動(または機械)混合によるエマルジョンの形成を指すことが、当技術分野において理解される。高剪断混合はエマルジョンを形成するのに必要とされない。そのようなエマルジョン組成物は、水性使用環境に導入された場合、一般的にほぼ自発的に乳化する。
[0060]上記のように、本開示の医薬組成物は、水性使用環境において、例えば、水、薬学的に適切な水溶液において、またはin vivoに投与された場合、安定なエマルジョンを形成することができる。例として、エマルジョンは周囲条件で、少なくとも約24時間、少なくとも約1日、少なくとも約5日、少なくとも約10日、少なくとも約1カ月など安定であってもよい。ある特定の態様では、形成されたエマルジョンは、安定性の持続期間中に相分離しない。ある特定の態様では、エマルジョンは、約5μm未満であるが、約100nmを超える(例えば0.35~1.2μm)平均液滴直径を有してもよい。
[0061]ある特定の態様では、形成されたエマルジョンは、胃のpH、例えば、約1~約3、約1.2~2.9のpHなどで安定であってもよい。ある特定の態様では、形成されたエマルジョンは、腸および/または結腸のpH、例えば、約5~約7、約5.5~約6.9のpHなどで安定であってもよい。ある特定の態様では、形成されたエマルジョンは、約1/2~約1時間後に胃のpHで分解または相分離し始めることがあるが、腸または結腸のpHまで、封入されたトリカプリリンを放出しない。これに関して、理論に縛られることを意図せずに、in-vitro消化アッセイは、封入されたトリカプリリンが、脂質消化酵素の最初の場所である腸および/または結腸のpHでエマルジョンから放出されることを示す。本開示のある特定の側面に従って、胃よりも腸および/または結腸におけるトリカプリリンの優先的な放出は、これらの領域における脂質消化酵素の場所を考慮すると、トリカプリリンのバイオアベイラビリティを増加させることができる。
[0062]本開示のある特定の側面では、医薬組成物は、使用者の下部胃腸管においてトリカプリリンの高い薬物負荷量の優先的放出を提供する。理論に縛られることを意図せずに、結腸を含む下部胃腸管におけるトリカプリリンの優先的放出は、非製剤化MCT油の標準投与と比較して、胃のむかつきおよび関連する有害事象の減少を提供することができる。さらに、トリカプリリンのバイオアベイラビリティの改善は一般的に、非製剤化MCT油の標準投与と比較して、in vivoでのケトン体産生増加をもたらすことができる。
[0063]ある特定の態様では、医薬組成物は、総組成物の少なくとも約20%、総組成物の少なくとも約25%、総組成物の少なくとも約30重量%、総組成物の少なくとも約40重量%、総組成物の約30重量%~総組成物の約65重量%、総組成物の約30重量%~総組成物の約60重量%、総組成物の約40重量%~総組成物の約50重量%、総組成物の約40重量%~総組成物の約45重量%などのトリカプリリンの高い薬物負荷量を含んでもよい。
[0064]ある特定の側面では、本開示の医薬組成物は、1種または複数のエマルジョン形成賦形剤を含む。ある特定の態様では、1種または複数のエマルジョン形成賦形剤は、MCT油とエマルジョンを形成することが可能ないずれの乳化剤であってもよい。例として、レシチン(例えばPhospholipon 90G)、ポリオキシル40ヒマシ油(例えばKolliphor RH40)を含む硬化ヒマシ油、カプリル酸エステル、オレイン酸ナトリウム、グリセロール、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル(例えばCitrem)、プロピレングリコールモノカプリラート(例えばCapmul PG-8)を含む脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリド、ならびにこれらの組合せ。エマルジョン形成賦形剤は、所望のエマルジョン形成を提供するのに十分な量で存在することができる。例えば、ある特定の態様では、エマルジョン形成賦形剤は、総組成物の重量の約1%~約10%、約1.3%~約10%などの量で存在することができる。
[0065]ある特定の態様では、エマルジョン形成賦形剤は、レシチン、Kallichore RH40、およびカプリル酸エステル乳化剤の組合せを含んでもよい。他の態様では、エマルジョン形成賦形剤は、レシチン、オレイン酸ナトリウム、およびグリセロールの組合せを含んでもよい。さらに他の態様では、エマルジョン形成賦形剤は、Citremを単独で、または脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドと組み合わせて含んでもよい。
[0066]一態様では、本開示の医薬組成物は経口投与される。トリカプリリンの治療有効量は、所望の効果をもたらすのに十分ないずれの量または用量であってもよく、一部は、状態の重症度および段階、患者の大きさおよび状態、ならびに当業者に容易にわかる他の因子に依存する可能性がある。投与量は、単回用量として、またはいくつかの用量として、例えば、本明細書の他の箇所で論じられるように、数週間の過程にわたって分割されて与えられてもよい。
[0067]ある特定の側面では、本開示は、認知機能の低下に関連する疾患または障害の処置を必要とする対象において、認知機能の低下に関連する疾患または障害を処置する方法であって、前記対象におけるケトン体濃度を上昇させるのに有効な量の本開示の医薬組成物を対象に投与して、これにより前記疾患または障害を処置するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示の医薬組成物は、ケトン食の文脈とは別に投与され得る。例えば、本開示の文脈では、炭水化物は、本明細書に開示される医薬組成物と同時に消費され得る。
[0068]本開示のある特定の側面に従って、認知機能の低下に関連する疾患および障害は、加齢関連記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ運動失調(FRDA)、GLUT1欠損てんかん、妖精症、およびラブソン・メンデンホール症候群、冠動脈バイパス移植(CABG)認知症、麻酔誘発性記憶喪失、ハンチントン病、および多くの他のものを含む。
[0069]別の態様では、患者は、ニューロンの代謝の低下により引き起こされる疾患関連認知機能低下、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ運動失調(FRDA)、GLUT1欠損てんかん、妖精症、およびラブソン・メンデンホール症候群、冠動脈バイパス移植(CABG)認知症、麻酔誘発性記憶喪失、ハンチントン病、および多くの他のものに関連する認知機能の低下を有するまたは発症するリスクがある。
[0070]別の態様では、対象は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第US8,445,535号に記載のようにApoE4遺伝子型を欠く。
[0071]本明細書で使用される場合、ニューロンの代謝の低下は、ニューロンの代謝の低下につながり得る全ての可能性のある機序を指す。そのような機序は、ミトコンドリア機能不全、フリーラジカル攻撃、活性酸素種(ROS)の生成、ROS誘発性ニューロンアポトーシス、欠陥のあるグルコース輸送または解糖、膜イオン電位における不均衡、カルシウム流出における機能不全などを含むが、これらに限定されない。
[0072]本発明によると、高い血中ケトンレベルは、損なわれたグルコース代謝を有する脳細胞にエネルギー供給源を提供し、認知機能の性能の改善につながる。本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」は、互換可能に使用され、ニューロンの代謝の低下に関連するまたはそれに起因する疾患および状態の処置から利益を得ることができるヒトを含む任意の哺乳動物を指す。
[0073]「有効量」は、特定の生物学的結果を達成するのに有効である、本明細書に記載のような化合物、物質、または医薬組成物の量を指す。前述の状態の処置に対する有効性は、少なくとも1種の神経心理学的検査の結果の改善により判定され得る。これらの神経心理学的検査は、当技術分野で公知であり、とりわけ変化の臨床全般印象度(CGIC)、レイ聴覚性言語学習検査(RAVLT)、ファースト-ラストネーム連想検査(First-Last Names Association Test)(FLN)、電話ダイヤリング検査(Telephone Dialing Test)(TDT)、記憶評価の臨床的自己評価尺度(Memory Assessment Clinics Self-Rating Scale)(MAC-S)、記号数字コーディング(Symbol Digit Coding)(SDC)、SDC遅延再生課題(DRT)、分配性注意検査(DAT)、視覚的配列比較(VSC)、DAT二重課題(DAT Dual)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、および老年期うつ病評価尺度(GDS)を含む。
[0074]用語「認知機能」は、以下のうちの少なくとも1つを限定なしに含む特別な、通常の、または適切な脳の生理的活動を指す:精神的安定性、記憶/思い出す能力、問題解決能力、推理能力、思考能力、判断能力、学習、知覚、直観、注意、および自覚の能力。「認知機能の増強」または「認知機能の改善」は、以下のうちの少なくとも1つを限定なしに含む特別な、通常の、または適切な脳の生理的活動の任意の改善を指す:当技術分野において適した任意の手段により測定されるような、精神的安定性、記憶/思い出す能力、問題解決能力、推理能力、思考能力、判断能力、学習、知覚、直観、注意、および自覚の能力。「認知機能の低下」または「認知機能の障害」は、特別な、通常の、または適切な脳の生理的活動の任意の低下を指す。
[0075]別の態様では、本発明の方法は、患者の遺伝子型または特定の対立遺伝子の決定をさらに含む。一態様では、アポリポタンパク質E遺伝子の患者の対立遺伝子が決定される。非E4保有者は、ケトン体レベルの上昇がMCTで誘発された場合、E4対立遺伝子を有する者より良好な成績を示すことが見出された。また、E4対立遺伝子を有する者は、より高い絶食時ケトン体レベルを有し、レベルは2時間の時間間隔で上がり続けた。したがって、E4保有者は、より高いケトンレベルまたは存在するケトン体を使用する能力を増加させる薬剤を必要とする可能性がある。
[0076]一態様では、本開示の医薬組成物は経口投与される。治療剤の治療有効量は、所望の効果をもたらすのに十分ないずれの量または用量であってもよく、一部は、状態の重症度および段階、患者の大きさおよび状態、ならびに当業者に容易にわかる他の因子に依存する可能性がある。投与量は、単回用量として、またはいくつかの用量として、例えば、本明細書の他の箇所で論じられるように、数週間の過程にわたって分割されて与えられてもよい。
[0077]本開示の医薬組成物は、一態様では、AD、AAMIなどの任意の疾患または加齢関連認知力低下を処置および/またはその発生を防止するのに必要とされるレベルまで血中ケトン体を増加させるのに必要とされる投与量で投与される。適当な投与量は当業者により決定され得る。
[0078]一態様では、本開示の医薬組成物の経口投与は高ケトン血症をもたらす。高ケトン血症により、一態様では、ケトン体はグルコースの存在下でさえ脳においてエネルギーとして利用されるようになる。加えて、高ケトン血症は脳の血流の実質的な(39%)増加をもたらす(Hasselbalch,S.G.ら、Changes in cerebral blood flow and carbohydrate metabolism during acute hyperketonemia、Am J Physiol、1996、270:E746~51)。高ケトン血症は、正常なヒトにおいて、全身性低血糖に関連する認知機能不全を減少させることが報告されている(Veneman,T.ら、Effect of hyperketonemia and hyperlacticacidemia on symptoms,cognitive dysfunction,and counterregulatory hormone responses during hypoglycemia in normal humans、Diabetes、1994、43:1311~7)。全身性低血糖は、AD、AAMIなどの任意の疾患または加齢関連認知力低下において生じるグルコース代謝における局所欠陥とは異なることに留意されたい。
[0079]投与は、必要に応じてまたは所望に応じて、例えば、月1回、週1回、毎日、または1日1回より多くてもよい。同様に、投与は1日おき、1週間おき、または1カ月おき、3日おき、3週間おき、または3カ月おき、4日おき、4週間おき、または4カ月おきなどであってもよい。投与は1日当たり複数回であってもよい。通常の栄養所要量へのサプリメントとして利用される場合、組成物は、患者に直接投与されるまたは他の方法で毎日の飼料もしくは食物と接触もしくは混合されてもよい。
[0080]本明細書で提供される医薬組成物は、一態様では、本明細書で「延長された」期間と称されることがある「長期」の消費が意図される。「長期」投与は、本明細書で使用される場合、一般的に1カ月を超える期間を指す。2、3、または4カ月より長い期間は、本発明の一態様を構成する。5、6、7、8、9、または10カ月より長い期間を含む、より延長された期間を含む態様も含まれる。11カ月または1年を超える期間も含まれる。1、2、3年以上に及ぶ、より長期の使用も本明細書で考えられる。「定期的」は、本明細書で使用される場合、少なくとも毎週の組成物の投薬または消費を指す。週2回または3回などのより頻繁な投薬または消費が含まれる。少なくとも1日1回の消費を含むレジメンも含まれる。当業者は、達成されるケトン体または特定のケトン体の血中レベルが投薬頻度の有益な尺度であり得ることを認めるであろう。本明細書で明確に例示されているかどうかにかかわらず、測定された化合物の血中レベルの許容範囲内での維持を可能にする任意の頻度が、本明細書において有用であるとみなされ得る。当業者は、投薬頻度が、消費または投与されている組成物に関連し、一部の組成物が、測定される化合物(例えばケトン体)の所望の血中レベルを維持するために、より多いまたはより少ない頻度の投与を必要とすることがあることを認めるであろう。
[0081]投与は、定期的に、例えば患者における処置レジメンの一部として行われ得る。処置レジメンは、患者における認知機能、記憶、および挙動を増強するのに有効な量の本開示の医薬組成物の患者による定期的な摂取を引き起こすことを含むことができる。定期的な摂取は、毎日または毎週で、1日1回、または1日当たり2、3、4回以上でもよい。同様に、定期的な投与は、1日もしくは1週間おき、3日もしくは3週間おき、4日もしくは4週間おき、5日もしくは5週間おき、または6日もしくは6週間おきであってもよく、そのようなレジメンにおいて、投与は1日当たり複数回であってもよい。定期的な投与の目標は、患者に本明細書で例示されるような本開示の医薬組成物の最適な用量を提供することである。
[0082]例えばMCTを含むものなど本発明の組成物の投与量は、ニューロンの代謝の低下の疾患に苦しめられている患者の、例えば、AD、AAMIなどの任意の疾患または加齢関連認知力低下を有する患者における認知能力を増加させる有効量で投与され得る。
[0083]MCT、すなわちケトン体濃度を疾患、状態または障害(例えば、ニューロンの代謝の低下により引き起こされる認知機能の喪失)の処置または防止に有効な量で上昇させることができる化合物の投与量の有効量は、当業者に明らかであろう。本明細書の上記のように、そのような有効量は、開示される血中ケトンレベルを踏まえて決定され得る。ケトン体濃度を上昇させることができる化合物がMCTである場合、MCT用量は、一態様では、約0.05g/kg/日~約10g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様では、用量は約0.25g/kg/日~約5g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様では、用量は約0.5g/kg/日~約2g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様では、用量は約0.1g/kg/日~約2g/kg/日の範囲である。他の態様では、MCT用量は少なくとも5g/日、少なくとも10g/日、少なくとも15g/日、少なくとも20g/日、少なくとも25g/日、少なくとも30g/日、少なくとも35g/日、少なくとも40g/日、少なくとも45g/日、少なくとも50g/日、少なくとも55g/日、少なくとも60g/日、少なくとも65g/日、少なくとも70g/日、少なくとも75g/日、少なくとも80g/日などであってもよい。さらに他の態様では、MCT用量は10g/日~80g/日、20g/日~80g/日、30g/日~80g/日、30g/日~60g/日などであってもよい。
[0084]一部の態様では、高い投与量と関連することがある潜在的な安全性および忍容性の問題を減らすために、MCTの最終投与量は、最終治療有効投与量まで漸増することにより達成され得る。例として、漸増は、1週間当たり1g~20g、2g~20g、5g~20g、5g~10gのトリカプリリンの投与量の調整により、1~8週間、1~6週間、1~4週間、2~4週間などにわたり行われてもよい。
[0085]便利な単位投与量容器および/または組成物は、とりわけ、噴霧乾燥粒子のサシェまたは容器、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディー、栄養バー、栄養ドリンク、定量スプレー、クリーム剤、および坐剤を含む。組成物は、ゼラチン、油、および/または他の薬学的活性剤などの薬学的に許容される賦形剤と組み合わされ得る。組成物の一部の例は、全体が参照により組み込まれるWIPO公開2008/170235に記載されている。例えば、組成物は、有利には、本化合物と異なる他の治療または予防剤と組み合わされてもよくおよび/またはそれらと組み合わせて使用されてもよい。多くの場合において、本組成物と併せた投与は、そのような薬剤の有効性を増強する。例えば、化合物は、有利には、抗酸化剤、グルコース利用の効率を増強する化合物、およびこれらの混合物と併せて使用されてもよい。
[0086]一部の態様では、本発明の化合物は、タンパク質の実質的な非存在下で投与されてもよく、またはタンパク質なしで共製剤化されてもよい。
[0087]一部の態様では、MCT製剤はタンパク質と共投与されてもよく、またはタンパク質と共製剤化されてもよい。
[0088]一部の態様では、MCT製剤はタンパク質と共投与されてもよく、またはタンパク質と共製剤化されてもよい。タンパク質は、1種類より多くのタンパク質または1種もしくは複数の供給源が異なるタンパク質を含んでもよい。適当なタンパク質は当技術分野で公知である。共製剤化される場合、使用するタンパク質の量は、少なくとも約0.1g、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gを含んでもよい。タンパク質の量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100gであってもよい。組成物は、乾燥重量基準で約15%~約40%のタンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質の供給源は、マメ科植物、穀物、乳製品、木の実、種子、果実、野菜、動物、昆虫、合成供給源(例えば遺伝子修飾酵母)、またはこれらの混合物を含む。組成物は、乾燥ホエーおよび他の乳製品または副産物などのタンパク質を含む他の成分も任意選択で含む。一部の態様では、MCT製剤は、タンパク質ベースドリンク(例えば、エンシュアならびに同様のタンパク質ベースドリンクおよび栄養サプリメント)の存在下で投与される。
[0089]加えて、一部の態様では、MCT製剤は、炭水化物と共投与されてもよく、または炭水化物と共製剤化されてもよい。炭水化物は、1種類より多くの炭水化物を含んでもよい。適当な炭水化物は、当技術分野で公知であり、コーンシロップ、テンサイなどの従来の供給源からのグルコース、フルクトース、スクロースなどの単糖を含む。共製剤化される場合、使用する炭水化物の量は、少なくとも約0.1g、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gを含んでもよい。カルニチンの量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100gであってもよい。組成物は、乾燥重量基準で約15%~約40%の炭水化物を含んでもよい。そのような炭水化物の供給源は、コメ、トウモロコシ、モロコシ属、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、キャノーラ、エンバク、コムギ、またはこれらの混合物などの穀物または穀類を含む。組成物は、乾燥ホエーおよび他の乳製品または副産物などの炭水化物を含む他の成分も任意選択で含む。
[0090]以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例で開示される技術は、本発明の実践において良好に機能することが本発明者らにより発見された技術を表し、したがって、その実践のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることが当業者により認められるべきである。しかし、当業者は本開示に照らして、多くの変更が、開示される特定の態様において行われてもよく、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく類似のまたは同様の結果を依然として得ることができることを認めるべきである。
実施例1-製剤開発のためのラットモデル
[0091]背景:トリカプリリンの製剤を迅速にスクリーニングするために、ヒト製剤の薬物動態(PK)モデルとしてのラットを調査した。PK研究は、動物における吸収、分布、代謝および排出(ADME)を評価するために行う。PK結果は、本発明者らが用量、投薬頻度、投薬経路および作用発現を定義することを可能にする。
[0092]方法:トリカプリリンのいくつかの製剤をヒトPK研究において研究し、製剤からの放出に関連するCmax、TmaxおよびAUCにおけるいくつかの差異を見出した(本明細書に記載され、図1に示される)。
[0093]本研究において、ラットがヒトの結果を定性的に再現するかどうかを決定するために、これらの同じ製剤のPKプロファイルをラットにおいて調査した。健康な若齢で成体の雄のSprague DawleyラットをこのPK研究の試験系として使用した。群当たり5匹の動物を使用し、動物は9~12週齢であり、動物の体重変動は平均体重の±20%を超えなかった。
[0094]Biological Resource Centre(BRC)、Agency for Science,Technology and Research(A*STAR)、Singaporeにおいて動物に強制経口投与により投薬した。試料分析はAgilex Biolabs Pty Ltd(Thebarton SA、Australia)により行われた。ラット血清中のアセト酢酸およびβ-ヒドロキシ酪酸の濃度は、LC/MSにより決定した。ケトン体濃度(μM)は、アセト酢酸(μM)およびβ-ヒドロキシ酪酸(μM)濃度の合計として計算した。ケトン体データはWinNonlinを使用して分析した。
[0095]結果:ラットは、ヒト研究からの結果を定性的に反映した。ヒトにおいて低速放出を示した製剤は、同様にSDラットにおいて低速放出であることが見出された。ヒトにおいて高速放出を示した製剤は、SDラットにおいて高速放出であることが見出された。ラット研究の結果を図2および下記の表1に示す。
Figure 2023545769000002
[0096]結論:予備研究において、ラットはトリカプリリン製剤開発のためのモデルを代表する。
実施例2-PK-PDモデリングおよび模擬実験
[0097]背景:この実施例は、二重トレーサー(FDG-アセト酢酸)PETイメージングでアルツハイマー病(AD)対象の脳において特定された「代謝的ギャップ」を最適に埋めることに基づいて、どの用量が最大の結果をもたらすと予想されるかを決定するために設計した。この代謝的ギャップは、健康な若齢の脳細胞対AD脳細胞におけるエネルギー消費間のギャップを表す。「ギャップを埋めること」は認知力の改善と相関する。
[0098]方法:高度な分析および薬理学モデリングを使用して、MCTの摂取からの脳の代謝速度データを含む利用可能なデータをフィットさせるPK-PDモデルを開発した。モデルの開発後、代謝的ギャップの25~50%を埋めるのに必要とされる用量を決定するために模擬実験を実行した。
[0099]結果:「ギャップを埋める」ために、20gより多くのカプリル酸トリグリセリドが必要とされる。本発明者らの目標は、代謝的ギャップの25~50%を埋めて臨床効果を確実にすることである。図3を参照して、1日当たり60gのトリカプリリンが目標用量である。
実施例3-トリカプリリンの最適化された製剤のPK研究
[00100]パート1:
[00101]ケトン体産生に対するトリカプリリン(TC)の脂質多粒子(LMP)製剤および噴霧乾燥(SD)製剤の薬物動態、安全性および忍容性を比較するための第1相、無作為化、単一施設、単回用量、プラセボ対照、3ウェイクロスオーバー研究。
[00102]目的:
[00103]主目的:
[00104]健康な男性ボランティアにおいて2つのトリカプリリン製剤(AC-SD-03およびAC-LMP-01)およびプラセボ製剤AC-SD-03Pの各々の単回用量投与の安全性および忍容性を判定すること。
[00105]健康な若齢男性ボランティアにおいてトリカプリリン製剤AC-SD-03およびAC-LMP-01、ならびにプラセボ製剤AC-SD-03Pの各々の単回用量投与後のケトン体レベル(すなわち総ケトン、β-ヒドロキシ酪酸[BHB]、アセト酢酸[AcAc])、トリカプリリンおよびオクタン酸レベルを比較すること。
[00106]副次的/探索的目的
[00107]トリカプリリンBA、代謝およびケトン体産生に対するAPOE4状態の効果を判定すること。
[00108]方法論:
[00109]これは、摂食条件下の健康な男性ボランティアにおいて、安全性および忍容性を判定し、トリカプリリン製剤およびAC-SD-03およびAC-LMP-01、ならびにプラセボ製剤AC SD-03Pの各々の単回用量投与後のケトン体レベル(すなわち総ケトン、BHB、AcAc)、トリカプリリンおよびオクタン酸レベルを比較し、トリカプリリンBA、代謝およびケトン体産生に対するAPOE4状態の効果を判定するためのオープンラベル、無作為化、3ウェイクロスオーバー、パイロット薬物動態(PK)、安全性および忍容性研究であった。
[00110]12(12)人の健康な成人男性対象を2つのコホートの1つ
で投薬されるように登録した。
・コホート1:中国人対象を含む(n=6)
・コホート2:非中国人(白人)の民族集団由来の対象を含む(n=6)
[00111]両方のコホートを同時に行った。期間1の1日目に対象を6つの処置シーケンスのうちの1つに無作為化した。
[00112]期間1、2、および3の1日目に、朝食の完了の30分後に、対象はAC SD-03、AC-LMP-01、およびAC-SD-03Pの単回経口用量を受けた。対象は各処置を一度に受けた。総ケトン、BHB、AcAc、オクタン酸およびトリカプリリンを測定するためのPK試料採取のための血液試料を投薬前および投薬後24時間まで採取する。治験に参加する前に、対象は期間1の-1日目の前の28日以内に適格性を確定するためのスクリーニング訪問を有した。拘束のために到着したら、Syneosにより作成された無作為化スキームに従って、研究薬(AC-SD-03およびAC-LMP-01)またはプラセボ(AC-SD-03P)(1:1:1実薬対プラセボ)の単回用量を受けるように対象を無作為化した。投薬間に2日間の休薬期間があった。臨床研究施設(CRU)により示された時間である期間1の-1日目から期間3の1日目の24時間での採血後まで対象を収容した。総研究期間(スクリーニングは含まないが、3日間の追跡調査期間を含む)は11日であった。
[00113]組入れのための診断および主な基準:
[00114]対象は、ボディマス指数(BMI)≧18.0および<32.0kg/m2を有する18~50歳(両端を含む)の健康な男性/成人の非喫煙者である必要があった。全ての対象は、プロトコールに記載された組入れおよび除外基準に従っている必要があり、病歴および薬歴、人口統計データ(性別、年齢、人種、民族性、体重[kg]、身長[cm]、およびBMI[kg/m2]を含む)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、身体検査、尿中薬物スクリーニング、アルコール呼気検査、および臨床検査(血清化学、血液検査、尿検査、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]、C型肝炎[HCV]抗体、およびB型肝炎表面抗原[HBSAg]、B型肝炎コア抗原[HCsAg]、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、およびヘモグロビンA1c検査)に基づいて、この研究への登録に適格であると判断された。
[00115]処置プロトコール:以下の処置レジメンを用いて以下の製剤を投与した。
Figure 2023545769000003
Figure 2023545769000004
[00116]血液試料採取点:各期間において、ケトン体レベル(すなわち総ケトン、BHB、AcAc)、トリカプリリンおよびオクタン酸のPK解析のために、合計13個の血液試料を各対象から得た。血液試料を-1時間、0時間(投薬前)ならびに投薬の0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、6.0、8.0、12および24時間後に採取した。
[00117]評価のための基準:
[00118]安全性:
[00119]処置下で発現した有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、検査パラメーター(血清化学、血液検査、および尿検査)、12誘導ECG、体重を含む身体検査、胃腸副作用、およびバイタルサイン判定。
[00120]薬物動態:
[00121]標準ノンコンパートメント方法を使用して、以下のPKパラメーターをケトン体レベル(すなわち総ケトン、BHB、AcAc)、トリカプリリンレベルおよびオクタン酸レベル(未調整およびベースライン調整した)について計算することができた:AUC0-t、AUC0-4、AUC0-6、AUC0-8、AUC0-24、AUC0-inf、AUC%extrap、Tmax、Kel、t1/2およびCmax
[00122]未調整およびベースライン調整したデータのAUC0-t、AUC0-4、AUC0-6、AUC0-8、AUC0-24、AUC0-inf(計算される場合)、およびCmaxについての処置比較A/B、A/CおよびB/CのためのパラメトリックANOVA(線形混合モデル)および幾何信頼区間;
[00123]ANOVAモデルにおける因子:シーケンス、シーケンス内の対象、期間および処置;
[00124]Ln変換パラメーター:AUC0-t、AUC0-4、AUC0-6、AUC0-8、AUC0-24、AUC0-inf(計算される場合)、およびCmax
[00125]統計的方法:
[00126]安全性解析:
[00127]人口統計パラメーターは記述的にまとめた。人口統計およびベースラインの特徴(性別、年齢、人種、民族性、喫煙歴、身長、体重およびBMIを含む)を無作為化された処置シーケンスごとにおよび全体でまとめた。
[00128]Medical Dictionary for Regulatory Activities(登録商標)(MedDRA(登録商標))バージョン22.0を使用して、器官別大分類(SOC)および基本語(PT)により、研究中に報告された全てのAEを分類した。
[00129]TEAEは実際の処置ごとにまとめた。AEを経験している対象の数およびパーセンテージならびにTEAEの数を表にした。同じAE(MedDRA基本語に関して)を1回より多く経験した対象は、その事象について1回だけカウントしたが、事象の総数はカテゴリーごとにもカウントした。これは、まとめに示した部分カテゴリーにも当てはまる。
[00130]各TEAEの関係を研究プロトコールに従って、治験薬に関連する可能性がある、おそらく、もしかすると、可能性が低い、または関連しないと分類した。TEAEの重症度を研究プロトコールに従って軽度、中等度、または重度と分類した。
[00131]以下のまとめを提示した。
・TEAEの全体のまとめ
・SOCおよびPTによるTEAE
・SOC、PT、および重症度によるTEAE
・SOC、PT、および治験薬との関係によるTEAE
・SOCおよびPTによる重篤なTEAE
[00132]検査データ(血液検査および血清化学)を、各プロトコール予定訪問で、実際の処置ごとにまとめた。実際の値およびベースラインからの実際の変化を提示した。
[00133]加えて、ベースラインから各ベースライン後訪問の検査範囲結果のカテゴリー変化(低い、正常、高い)を表すシフト表を提示した。
[00134]尿検査結果評価を各プロトコール予定時点で、実際の処置ごとに、頻度表を使用してまとめた。
[00135]バイタルサイン測定値を各プロトコール予定時点で、実際の処置ごとにまとめた。実際の値およびベースラインからの実際の変化を提示した。
[00136]ECG値を各プロトコール予定訪問で、実際の処置ごとにまとめた。実際の値およびベースラインからの実際の変化を提示した。加えて、ベースラインから各ベースライン後訪問のECG結果のカテゴリー変化(正常、臨床的に重大でない異常、または臨床的に重大な異常)を表すシフト表を提示した。
[00137]疼痛数値評価尺度およびBaxter吐き気表情尺度(Baxter Retching Faces Scale)の結果について、平均スコアを各プロトコール予定訪問/時点で、実際の処置ごとにまとめた。実際の値およびベースラインからの実際の変化を提示した。
[00138]薬物動態解析:
[00139]処置ごとに分類した各分析物についての線形目盛を使用して、個々の濃度対時間曲線を提示した。処置ごとに分類した各分析物についての線形目盛および片対数目盛の両方で平均濃度対時間曲線を提示した。
[00140]総ケトン、BHB、AcAc、トリカプリリンおよびオクタン酸の未調整およびベースライン調整したPK濃度を、名目上の試料採取時間およびコホート/実際の処置ごとに列挙し、まとめた。時間に対するケトン体レベル(すなわち総ケトン、BHB、AcAc)、トリカプリリンおよびオクタン酸濃度の記述統計量(算術および幾何平均、標準偏差[SD]、算術および幾何変動係数[CV%]、最小[Min]、最大[Max]、ならびに中央値)、さらに処置ごとに分類されたPKパラメーターも提示した。
[00141]結果
[00142]薬物動態:
[00143]図4を参照して、平均(±SD)血漿総ケトン濃度を示す。概して、ケトン体レベル(AUC総ケトン、BHB、AcAc)は、処置B(AC-LMP-01)と比較して、処置A(AC-SD-03)について同等であった(または一部の場合では高かった)。ケトン体レベルは、プラセボ製剤である処置C(AC-SD-03P)と比較して、処置A(AC-SD-03)および処置B(AC-LMP-01)について著しく高かった。
[00144]図5を参照して、平均(±SD)未調整総ケトン血漿濃度、線形目盛、全体を示す。示されるように、投薬前-1:「朝食前-1時間」;投薬前:「投薬前0時間」;処置A:AC-SD-03、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;処置B:AC-LMP-01、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;および処置C:AC-SD-03P、AC-SD-03に対応するプラセボ、およそ50g。
[00145]AC-SD-03(処置A)およびAC-LMP-01(処置B)についての平均未調整総ケトンCmax全体は、それぞれ1043.6μM(CV%39.2)および632.0μM(CV%70.5)であったが、処置C(AC-SD-03P)について258.7μM(CV%38.0)であった。これらの結果に基づいて、処置AおよびBは、500μMを超える濃度を示し、したがって、AC-SD-03およびAC-LMP-01のケトン体生成状態を確かなものにしたことを結論付けることができる。全体として、Tmaxの中央値は、処置A、BおよびCについてそれぞれ投薬後1.5時間、3.4時間および4.0時間頃に存在した。
[00146]AC-SD-03 20g(処置A)の投与後、コホート2(白人集団)(CV% 18~20%)と比較して、PKパラメーターの高い変動性が、総ケトン、BHBおよびトリカプリリンについてコホート1(中国人集団)(CV% 50~60%)において観察された。ケトン体レベルの外れ値の結果を示した対象037を除く代替分析によると、変動性はコホート1について減少し、これは総ケトンレベルについて2つの集団間の差異を減少させる効果を有した(CV% 40%)。しかし、対象037について得られたこれらの結果の主要な根本原因は明確に特定されなかった。
[00147]図6を参照して、平均(±SD)未調整トリカプリリン血漿濃度、線形目盛、全体を示す。示されるように、投薬前-1:「朝食前-1時間」;投薬前:「投薬前0時間」;処置A:AC-SD-03、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;処置B:AC-LMP-01、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;および処置C:AC-SD-03P、AC-SD-03に対応するプラセボ、およそ50g。
[00148]トリカプリリンの吸収の速度および程度は、AC-LMP-01 20g(処置B)と比較して、AC-SD-03 20g(処置A)の経口単回投与後に著しく大きい(それぞれ3~6倍)。平均T1/2elは、処置Aについては2.4時間であり、処置Bについては2.1時間であった。Tmaxの中央値は、処置Aについては2.5時間頃および処置Bについては投薬後4時間頃に存在した(全体の集団)。
[00149]図7を参照して、平均(±SD)未調整オクタン酸血漿濃度、線形目盛、全体を示す。示されるように、投薬前-1:「朝食前-1時間」;投薬前:「投薬前0時間」;処置A:AC-SD-03、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;処置B:AC-LMP-01、20gのトリカプリリンを送達するための用量、20gのトリカプリリンに相当するおよそ50gの用量;および処置C:AC-SD-03P、AC-SD-03に対応するプラセボ、およそ50g。
[00150]オクタン酸レベルについて、濃度が、研究に登録された12人の対象のうち11人について全て定量限界未満であったので、2つの試験処置AC-SD-03 20g(処置A)およびAC-LMP-01 20g(処置B)、ならびにプラセボ製剤AC-SD-03P(処置C)の間での比較が不可能であった。
[00151]全ての対象がAPOE4陰性であったので、トリカプリリンバイオアベイラビリティ、代謝およびケトン体産生に対するアポリポタンパク質E4(APOE4)状態の効果は本研究において決定できない。
[00152]安全性および忍容性:
[00153]下記の表を参照して、合計9つのTEAEが、少なくとも1つの用量の研究薬を受けた12人の対象(安全性解析対象集団)のうち8人(66.7%)により報告された。TEAEを報告した対象の頻度は全体で、処置B(8.3%)と比較した場合、処置A(58.3%)を受けた対象において少なくとも7倍であった。処置C(プラセボ)を受けた後の対象によりTEAEは報告されなかった。TEAEを報告した対象の頻度は、全ての処置について中国人および白人対象の間で同様であった。最も頻繁に報告されたTEAEは、処置Aを受けた後に5人の対象において報告された(3人の白人および2人の中国人対象)悪心であった。報告された全てのTEAEは、重症度が軽度であり、治験薬に関連があるとみなされた。研究中に死亡はなく、報告されたTEAEのいずれも重度でも重篤でもなかった。TEAEは、投薬後の対象の中止につながらない。
Figure 2023545769000005
[00154]臨床検査結果、バイタルサイン、およびECG結果に関連するTEAEはなかった。臨床検査結果、バイタルサイン、およびECG結果についての平均値およびベースラインからの変化について、関連性のある差異は、処置群間ならびに中国人および白人対象の間に観察されなかった。
[00155]ほとんどの対象は、研究中に評価尺度上の0の疼痛数値評価尺度(NRS)結果を有した。数人の対象は、処置AまたはBの投与後3時間以内に1~3の疼痛NRSを有した。ほとんどの対象は、研究中に評価尺度上の≦4のBaxter吐き気表情(BARF)尺度結果を有した。1以上のBARF尺度結果は、ほとんど処置Aの投与後2時間以内に報告された。疼痛NRSおよびBARF尺度結果について、中国人および白人対象の間に関連性のある差異はなかった。
[00156]結論:
[00157]安全性:
[00158]全体として、トリカプリリン製剤(AC-SD-03およびAC-LMP-01)およびプラセボ製剤の両方は、漸増なしに20gのトリカプリリンに相当する単回用量またはベニバナ油として投与された場合、健康な男性ボランティアにおいて、大きな安全性の懸念なしに、予想された軽度のGI症状は別として、十分に忍容された。トリカプリリンをベニバナ油で置き換えた、処置A(AC-SD-03)と同じ賦形剤を含有するプラセボ製剤(AC-SD-03P、処置C)では、GI有害事象は報告されなかった。
[00159]薬物動態:
[00160]12人の健康なボランティアにおけるAC-SD-03製剤(20gのトリカプリリンを含有する)の単回用量は、2.5時間でピークになる低いトリカプリリン濃度(1μM)をもたらしたが、分解産物および最初の吸収される化合物であるオクタン酸は、1時間後におよそ500μMでピークになった。これは、Tmax1.5時間および1mMのCmax(BHB対AcAcのレベルはおよそ3.5:1であった)を有するケトン体反応をもたらした。T1/2elは2.4時間であり、ケトン体レベルは4時間後にベースラインレベルに戻った。
[00161]白人および中国人対象の間に統計的有意差はなかった。AC-LMP-01製剤(20gのトリカプリリンを含有する)は、AC-SD-03と全体的に同様の総ケトンAUC0-infであるが、より低いCmax(632μM)およびより長いTmax(3.4時間)を有する、より遅い放出プロファイルを有した。代替分析(対象037を除く)は上記の結論を強化した。プラセボ製剤AC-SD-03Pはケトン体生成性でなかった。
[00162]パート2:
[00163]ケトン体産生に対するトリカプリリン(TC)の脂質多粒子(LMP)製剤および噴霧乾燥(SD)製剤の薬物動態、安全性および忍容性を比較するための第1相、無作為化、単一施設、単回用量、プラセボ対照、3ウェイクロスオーバー研究。ケトン体産生に対するトリカプリリン(TC)の2つの噴霧乾燥(SD)製剤の薬物動態、安全性および忍容性を比較するための2ウェイクロスオーバーを含むパート2(パート2)。
[00164]目的:
[00165]健康な男性ボランティアにおいて、トリカプリリン製剤(AC-SD-03、Anthem Bioscience Pvt. Ltd.、Indiaで製造されたものおよびAC-1202)の各々の単回用量投与の安全性および忍容性を判定すること。
[00166]健康な若齢男性ボランティアにおいて、トリカプリリン製剤AC-SD-03(Anthem)およびAC-1202の各々の単回用量投与後のケトン体レベル(すなわち総ケトン、β-ヒドロキシ酪酸[BHB]、アセト酢酸[AcAc])、トリカプリリンおよびオクタン酸レベルを比較すること。
[00167]方法論:
[00168]パート1の完了後、ケトン体産生に対するトリカプリリンの2つの噴霧乾燥(SD)製剤の薬物動態(PK)、安全性、および忍容性を比較するための2ウェイクロスオーバー研究(パート2と称される)を含めるために、プロトコールへの追記を用意した。
[00169]これらは、この研究のパート1およびパート2の間の主な変更である。
・対象は、パート2において、治験製品の2つの製剤を受けた;
・パート2で使用されたAC-SD-03製剤は、パート1で使用されたAC-SD-03製剤の製造場所と異なる製造場所で製造された;
・12誘導心電図(ECG)および安全性検査分析は、パート2におけるスクリーニング訪問時にのみ行った;
・対象のアポリポタンパク質E遺伝子4(APOE4)状態はパート2において決定しなかった;
・疼痛数値評価尺度(NRS)およびBaxter吐き気表情(BARF)尺度による胃腸副作用の測定は、パート2において行わなかった。
[00170]20(20)人の健康な成人男性対象(中国人および非中国人)をパート2に登録することができた。これらはパート1に参加した同じ対象であってもよく、または新しい対象であってもよかった。
・コホート1:中国人対象(最低10人を指定した)
・コホート2:非中国民族集団由来
[00171]研究に入る中国人対象の数を最大にするために、コホート2における対象の代わりに、追加の中国人対象をコホート1に登録することができた。
[00172]期間1の1日目に、対象を2つの処置シーケンスのうちの1つに無作為化した。期間1および2の1日目に、プロトコール指定標準朝食の完了後、対象はAC-SD-03またはAC-1202の単回経口用量を受けた。対象は各処置を一度に受けた。総ケトン、BHB、アセト酢酸、オクタン酸およびトリカプリリンを測定するためのPK試料採取のための血液試料を投薬前および投薬後8時間まで採取した。
[00173]投薬間に2日間の休薬期間があった。総研究期間(スクリーニングを含まないが、3日間の追跡調査期間を含む)は8日であった。
[00174]上記の変更を除いて、パート1と比較して研究手順、安全性モニタリング、拘束、および追跡調査に関して、研究実施において変更はなかった。
[00175]組入れのための診断および主な基準:
[00176]対象は、ボディマス指数(BMI)≧18.0および<32.0kg/mを有する18~50歳(両端を含む)の健康な男性/成人非喫煙者である必要があった。パート1およびパート2の間に選択基準の変更はなかった。
[00177]処置プロトコール:以下の処置レジメンを用いて以下の製剤を投与した。
Figure 2023545769000006
Figure 2023545769000007
[00178]評価のための基準
[00179]安全性および忍容性:
[00180]安全性をバイタルサイン測定値、臨床検査、有害事象(AE)、および身体検査を通してモニタリングした。
[00181]薬物動態:
[00182]以下の主なPKパラメーターを総ケトン、BHB、アセト酢酸、オクタン酸およびトリカプリリンについて計算した:AUC0-t、AUC0-4、Cmax、およびTmax。適当な場合、AUC0-inf、AUC%Extrap、Kel、およびT1/2を算出した。
[00183]PKパラメーターは、実際の時間を使用するノンコンパートメント解析により濃度から得た。
[00184]記述統計量(算術および幾何平均、標準偏差[SD]、変動係数[CV%]、最小[Min]、最大[Max]、および中央値)を、時間に対する総ケトン、BHB、アセト酢酸、オクタン酸およびトリカプリリン濃度ならびにPKパラメーターについて提示した。
[00185]統計分析システム(SAS)において一般化線形モデル(GLM)手法を使用して、分散分析(ANOVA)を未調整および適宜ベースライン調整したものに関して、自然対数(ln)変換AUC0-t、AUC0-4、AUC0-inf(算出される場合)、およびCmaxについて、0.05のアルファレベルで行った。
[00186]ln変換データのANOVAからの最小二乗平均に基づいた幾何平均の比(A/B)および幾何平均の比の90%信頼区間をAUC0-t、AUC0-4、AUC0-inf(算出される場合)、およびCmaxについて計算した。
[00187]統計的方法:
[00188]パート1およびパート2の間に分析計画の変更はなかった。
[00189]結果
[00190]安全性および忍容性:
[00191]下記の表を参照して、合計28個のTEAEが、少なくとも1つの用量の研究薬を受けた21人の対象のうち17人(81.0%)により報告された。11人の対象(52.4%)がAC-SD-03(処置D)を受けた後にTEAEを報告し、12人の対象(60.0%)がAC-1202(処置E)を受けた後にTEAEを報告した。TEAEを報告した対象の頻度は、両方の処置について、中国人よりも白人において少なかった。
Figure 2023545769000008
[00192]この研究中の最もよく報告されたTEAEは、全てSOC胃腸障害に関連した。報告された最も頻繁に報告されたTEAEは、腹部膨満、腹部不快感、および悪心であった。胃腸AEはトリカプリリンの使用により予想される。
[00193]最も頻繁に報告されたTEAEは、AC-SD-03を受けた後の5人の対象(23.8%)(2人の中国人および3人の白人対象)およびAC-1202を受けた後の8人の対象(40.0%)(5人の中国人および3人の白人対象)において報告された腹部膨満であった。報告された全てのTEAEは、重症度が軽度であり、治験薬に関連するとみなされた。死亡はなく、報告されたTEAEはいずれも重度でも重篤でもなかった。TEAEは、投薬後の対象の中止につながらなかった。
[00194]バイタルサインに関連するTEAEはなく、処置間ならびに中国人および白人対象の間に関連性のある差異は観察されなかった。
[00195]薬物動態:
[00196]図8を参照して、平均未調整PK濃度、全体、総ケトン(μM)(PK集団)を示す。示されるように、-1Pre:「朝食前-1時間」;Pre:「投薬前0時間」;処置D:AC-SD-03;処置E:AC-1202。AUCおよびCmaxに基づいて、ケトン体レベル(総ケトン、BHB、AcAc)は、AC-SD-03製剤よりもAC-1202製剤の投与後に概して高かった。実際、到達した最大濃度は、総ケトンについて[AC-1202:1111.56μM(CV%28.79)対AC-SD-03:917.32μM(CV%32.44)、p=0.001](図8)、BHBについて[AC-1202:822.34μM(CV%28.72)対AC-SD-03:675.69μM(CV%32.73)、p=0.001)、およびAcAcについて[AC-1202:292.26μM(CV%33.24)対AC-SD-03:241.41μM(CV%33.74)、p=0.008)AC-SD-03製剤よりもAC-1202が統計的に高かった。統計的に異なるが、AC-SD-03またはAC-1202の投与は、500μMを超えるケトン体濃度をもたらし、したがって、両方の製剤のケトン体生成状態を確かなものにした。
[00197]逆に、トリカプリリン体内レベルは、Cmaxで測定されるように、AC-SD-03製剤後よりもAC-1202製剤の投与後に統計的に有意に低かった[AC-1202:478.90ng/mL(CV%57.14)対AC-SD-03:940.80ng/mL(CV%54.16)、p<0.0001](図9)。図9を参照して、平均未調整PK濃度、全体、総トリカプリリン(ng/mL)(PK集団)を示す。示されるように、-1Pre:「朝食前-1時間」;Pre:「投薬前0時間」;処置D:AC-SD-03;処置E:AC-1202。
[00198]最初の吸収される化合物であるオクタン酸のレベルもAC-SD-03製剤よりもAC-1202製剤の投与後に高かった(図10)。図10を参照して、平均未調整PK濃度、全体、総オクタン酸(μM)(PK集団)を示す。示されるように、-1Pre:「朝食前-1時間」;Pre:「投薬前0時間」;処置D:AC-SD-03;処置E:AC-1202。到達した最大濃度は、AC-SD-03製剤よりもAC-1202製剤が統計的に高かった[AC-1202:604.18μM(CV%31.47)対AC-SD-03:528.91μM(CV%31.38)、p=0.046]。
[00199]総ケトンおよびBHBの最大濃度に到達した時間(Tmax)の中央値(両方について1.5時間)において、2つの製剤間に差異はなかった。しかし、Tmaxの中央値は、AcAc(AC-1202:1.734時間対AC-SD-03:1.5時間)、トリカプリリン(AC-1202:2.5時間対AC-SD-03:2.25時間)、およびオクタン酸(AC-1202:1.5時間対AC-SD-03:1.0時間)について、AC-SD-03を用いるよりもAC-1202を用いる方が到達するのにわずかに長かった。
[00200]AUCおよびCmaxに関する、AC-SD-03の投与後に測定された総ケトンレベルは、それぞれAC-1202製剤の投与後に測定されたレベルのおよそ0.9および0.8倍であった。82%~92%の点推定D/Eに基づいて、ケトン体レベル(AUC総ケトン、BHB、AcAc)は、AC-SD-03およびAC-1202について同等であった。一方、AUCおよびCmaxに関するトリカプリリンレベルは、それぞれAC-1202投与と比べて、AC-SD-03投与後におよそ1.7および2.0倍であった。BHB、AcAc、およびオクタン酸について測定された比は、総ケトンについて測定されたものと同様であった。
[00201]CmaxおよびAUCにおける変動は、総ケトン、BHB、AcAc、トリカプリリン、およびオクタン酸について2つの製剤間で同様であった。変動は、両方の製剤について、他の分析物よりもトリカプリリンが概して高かった。
[00202]各分析物のPKの差異もコホートごとに分析した。総ケトン、BHB、AcAc、トリカプリリン、およびオクタン酸のレベルは、CmaxおよびAUCにより測定して、AC-SD-03製剤を投与した場合、白人対象よりも中国人対象において概して高く、Tmaxは到達するのにわずかに長かった。AC-1202製剤投与後、総ケトン、BHB、AcAc、およびオクタン酸のレベルは、CmaxおよびAUCにより測定して、白人対象よりも中国人対象において高かったが、Tmaxは同様であった(白人対象よりも中国人において長いTmaxを有するようであるAcAcを除いて)。トリカプリリンの全体的なレベルも、AUCにより測定して、白人対象よりも中国人対象において概して高かったが、より低いCmaxに到達した。
[00203]AC-SD-03製剤を投与した場合、PKパラメーターの変動は、総ケトン、BHB、およびAcAcについて、中国人対象よりも白人対象において高かった。オクタン酸についてのPKパラメーターにおいて変動の明らかな差異はなかった。この製剤の投与後にトリカプリリンについて測定されたPKパラメーターは非常に変動的であった。Cmaxの変動は、白人対象における71%と比較して中国人において36%であり、AUCにおける変動は、白人対象における34~43%と比較して中国人において57%であった。
[00204]AC-1202製剤を投与した場合、総ケトン、BHB、AcAc、トリカプリリン、およびオクタン酸について、中国人および白人対象の間にPKパラメーターの変動の明らかな差異はなかった。Cmaxの変動は、この製剤に関する他の分析物よりもトリカプリリンが概して高かった(中国人:63%、白人:50%)。また、トリカプリリンについて、AUCの変動は中国人(25%)対象よりも白人(60%)において著しく高かった。
[00205]結論:
[00206]これらの結果は、両方のトリカプリリン製剤(AC-SD-03およびAC-1202)が、健康な男性ボランティアにおいて、大きな安全性の懸念なしに、予想される軽度の胃腸症状は別として、十分に忍容されたことを示す。
[00207]トリカプリリンの決定的な薬力学的マーカーである総ケトンの産生は、AC-1202製剤を投与した場合、AC-SD-03製剤と比較して増加した。中国人男性における曝露量は、白人男性におけるよりも数値的に大きかったが、各コホート内の個体間の変動性は、これらの民族群間に代謝的差異があるという最終的結論を妨げる。
[00208]
実施例4-健康な高齢対象におけるPK研究
[00209]健康な高齢ボランティアにおいてトリカプリリンのAC-SD-03製剤の安全性、忍容性、および薬物動態を判定するための第1相、単一施設、複数用量、オープンラベル研究
[00210]目的:
[00211]主目的
[00212]健康な高齢ボランティアにおいて、漸増スキームを使用して投与されるAC-SD-03として製剤化されたトリカプリリンの複数用量投与の安全性および忍容性を判定すること。
[00213]副次的目的
[00214]健康な高齢ボランティアにおいて、AC-SD-03の複数用量投与後のケトン体レベル(総ケトン、β-ヒドロキシ酪酸[βHB]、アセト酢酸[AcAc])を決定すること。
[00215]評価項目:
[00216]主要評価項目
[00217]安全性および忍容性の転帰は、心電図(ECG)報告、胃腸(GI)尺度、バイタルサイン測定値、臨床検査、有害事象(AE)報告、および身体検査に基づいた。
[00218]AEおよびGI尺度は表にし、ECG、バイタルサイン、および臨床検査安全性試験の要約統計量は、臨床的に適当と判断された場合に、算出され、提供された可能性がある。
[00219]副次的評価項目
[00220]薬物動態(PK)パラメーター(Cmax、Tmax、AUC0-4、AUC4-8、AUC0-8、およびAUC0-24)は、27日目の24時間でのPK試料採取に関する総ケトン、βHB、およびAcAcについて計算することができた。CmaxおよびTmaxは、15日目および21日目のPK試料採取に関する総ケトン、βHB、およびAcAcについて計算した。
[00221]探索的評価項目
[00222]肝臓転帰に対するAC-SD-03の潜在的な効果は、FibroScan報告、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST):アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)比に基づいた。
[00223]方法論:
[00224]これは、75g1日2回のAC-SD-03(30g1日2回のトリカプリリン)への漸増後のAC-SD-03の安全性、忍容性、および限定されたPKを評価するためのオープンラベル、複数用量研究であった。この研究のための集団は、50歳以上の12人の健康な高齢男性および女性であった。
[00225]28日までのスクリーニング期間後、適格対象は、-1日目にチェックインのために臨床研究ユニット(CRU)に到着した。1日目に、対象は血漿血清の投薬前試料をPKのために採取した。標準朝食の完了の30分後にAC-SD-03の用量1(12.5g)を投与した。標準昼食の完了の30分後に用量2を投与した。
[00226]75g1日2回の用量に到達することを目指して、対象は、漸増スキームに従って用量を徐々に増加させることができた。
Figure 2023545769000009
[00227]対象が4週間の期間の過程にわたり75g1日2回の目標用量に到達できなかった場合、対象は次の最高耐用量に減らし、この用量を続けたであろう。治験責任医師の裁量で、症状が落ち着いたら、用量を漸増する2度目の試みが試されたかもしれない。2度目の失敗した試みの後、対象は研究の残りを最高耐用量で続けた。しかし、対象は予定された通りの用量漸増に忍容性を示し、対象のレジメンは忍容性について改変しなかった。
[00228]対象は-1日目から28日目まで拘束されることになっていたが、対象はCovid-19パンデミックゆえに早く解放された。したがって、最終PK試料を早期に得て、研究終了時の結果を該当する場合は臨床検査、バイタルサイン、およびECGについてまとめた。15および21日目に、対象は血漿の投薬前および投薬後(1、1.5、および2時間)試料をPKのために採取した。24日目に、対象は血漿の投薬前試料をPKのために採取した。24日目の第1の用量後に、24時間でのPK試料採取を行ってケトン体レベル(βHB、AcAc)を測定した。チェックアウトは、予定された判定の完了後の25日目であった。研究を早期に中止した対象は、スポンサーの選択で置き換えられた可能性がある。
[00229]合計12人の対象が研究に登録された。11(11)人の対象はプロトコールに従って処置を完了したが、Covid-19混乱ゆえに研究が25日目に中断したときに離脱し、1人の対象は23日目に離脱した。全ての12人の対象が安全性およびPK解析に含まれた。この研究に登録された全ての対象が、治験責任医師により、全ての組入れ基準を満たし、除外基準のいずれも満たさない正常で健康なボランティアであると判断された。
[00230]試験製品はAC-SD-03(再構成用トリカプリリン経口散剤)、ロット番号A222000035であった。AC-SD-03を秤量し、240mLの水と混合し、投薬容器(蓋付き)を使用して振盪し、経口投与した。投薬直後に、容器内の残りの処置を60mLの水ですすぎ、各投薬で消費される合計およそ300mLの投薬液として対象に投与した。スクリーニング期間を含む参加の合計期間は、各対象についておよそ60日であった。
[00231]評価のための基準:
[00232]薬物動態:
[00233]24日目の24時間でのPK試料採取に関する総ケトン、βHB、およびAcAcについて計算されたPKパラメーター(Cmax、Tmax、AUC0-4、AUC4-8、AUC0-8、およびAUC0-24)に基づいてPKを評価した。CmaxおよびTmaxを15日目および21日目のPK試料採取に関する総ケトン、βHB、およびAcAcについて計算した。
[00234]安全性:
[00235]12誘導ECG報告、GI尺度、バイタルサイン測定値、臨床検査、AE報告、および身体検査に基づいて安全性を評価した。
[00236]統計的方法:
[00237]薬物動態:
[00238]βHB、AcAc、および総ケトンの血漿濃度をPK集団の全ての対象について研究日および時点ごとに列挙し、まとめた。15、21、および24日目についての平均および個々の濃度-時間プロファイルを線形および片対数目盛で提示した。線形平均プロットをSDありおよびなしで提示した。血漿βHB、AcAcおよび総ケトンのPKパラメーターをPK集団の全ての対象について研究日および用量ごとに列挙し、まとめた。推測統計はPKデータについて行わなかった。
[00239]安全性:
[00240]推測統計は安全性データについて行わなかった。試料サイズ(n)、算術平均(平均)、標準偏差(SD)、最小値、中央値、および最大値を使用して適用可能な連続変数をまとめた。適当な場合、頻度数およびパーセンテージをカテゴリーデータについて報告した。
[00241]結果
[00242]安全性および忍容性:
[00243]死亡、重篤な有害事象(SAE)、または研究において報告されたAEに起因する対象の中止はなかった。AC-SD-03製剤は十分に忍容され、全ての対象が最高用量の30gのトリカプリリンBIDまで漸増することができた。下記の表を参照して、最もよくあるAEは本質的に胃腸であり、軽度であり、消散し、主に最高用量で生じた。
Figure 2023545769000010
[00244]全体として、合計32個のTEAEが研究において8人(67%)の対象により報告され、AE発生率の傾向はAC-SD-03用量レベルに関連して認められなかった。胃腸AEは研究においてよく報告された(対象の67%)。最もよくあるGI事象は便秘、上腹部痛、および悪心を含んだ。全体として、研究において報告されたAEの大部分は、重症度が軽度であり、治験薬に少なくとももしかすると関連するとみなされた。全てのAEが研究完了までに消散した。BARFおよび疼痛NRSスコアの大部分は0であり、疼痛も腹部不快感もないことを示した。低度の疼痛および/または不快感が時々報告され、事象の大部分は37.5gのAC-SD-03以上の用量で報告された。この研究におけるバイタルサイン、臨床検査(ALT/AST比を含む)結果、身体検査判定、FibroScan、または安全性ECGデータにおいて認められた処置関連傾向はなかった。
[00245]薬物動態:
[00246]血漿βHB、AcAc、および総ケトンのPKパラメーターのまとめを下記の表に提示する:
75g1日2回のAC-SD-03(30g1日2回のトリカプリリン)への4週間にわたる漸増後の血漿βHBの未調整薬物動態パラメーターのまとめ(PK集団)
Figure 2023545769000011
75g1日2回のAC-SD-03(30g1日2回のトリカプリリン)への4週間にわたる漸増後の血漿AcAcの未調整薬物動態パラメーターのまとめ(PK集団)
Figure 2023545769000012
75g1日2回のAC-SD-03(30g1日2回のトリカプリリン)への4週間にわたる漸増後の血漿総ケトンの未調整薬物動態パラメーターのまとめ(PK集団)
Figure 2023545769000013
[00247]75g1日2回のAC-SD-03(30gのトリカプリリン)への漸増後、代替PKマーカーβHB、AcAc、および総ケトンの最大濃度(図11)を15および21日目に投薬後およそ1~1.5時間の間に観察した。24日目に、両方の投薬機会が試料採取期間中に獲得された場合、最大濃度を第2の用量の投与後およそ1.5時間で観察した。予想された通り、βHBが最も豊富であった。図11を参照して、平均血漿総ケトン濃度を15日目/15g BID、21日目/20g BID、および24日目/30g BIDの漸増期間にわたり示す。
[00248]15日目(15gのトリカプリリン)から24日目(30gのトリカプリリン)の漸増後、βHB、AcAc、および総ケトンの幾何平均Cmaxは、それぞれ2.9倍、2.3倍、および2.7倍増加した。24日目に、第1の用量後の全体の曝露量(AUC0-4)は、同様の時間間隔に基づいた第2の用量後のもの(AUC4-8)と同様であった。
[00249]その日の第1の用量後の濃度は、その日の第2の用量が投与される前にベースラインレベルに戻らなかった。食事間の時間枠中に内因性ケトーシスが生じた可能性は低く、したがって、濃度レベルはトリカプリリンの投与に起因する可能性が高かった。第2の用量後、濃度はおよそ12時間までにベースラインレベルに戻った。
[00250]結論:
[00251]漸増期間中、PKマーカーβHB、AcAc、および総ケトンのTmaxが、15および21日目の投薬後およそ1~1.5時間で観察された。最大用量である24日目の75g1日2回への漸増後、Tmaxは第2の用量後1.5時間であった。
[00252]15日目(15gのトリカプリリン)から24日目(30gのトリカプリリン)の漸増後、βHB、AcAc、および総ケトンの幾何平均Cmaxは、それぞれ2.9倍、2.3倍、および2.7倍増加した。24日目に、第1の用量後の全体の曝露量(AUC0-4)は、同様の時間間隔に基づく第2の用量後のもの(AUC4-8)と同様であった。第2の用量後、濃度は12時間までにベースラインレベルに戻った。
[00253]曲線の視覚的判定に基づいて、ケトーシス(300μMを超える総ケトンのレベルにより定義されるような)は、日中時間のほんとんどの間に存在した(その日の最初の食事後12時間まで)。
[00254]12.5g~75gのAC-SD-03(5g~30gのトリカプリリン)の範囲の用量を用いた漸増スキームを使用して投与された、AC-SD-03として製剤化されたトリカプリリンの複数用量投与は、概して安全であるようであり、この研究の健康な高齢ボランティアにおいて十分に忍容された。全ての対象が最大用量までの漸増予定を完了し、副作用は、重症度が概して軽度であり、ほとんどがGI関連であった。
実施例5-安全性および忍容性の民族性分析
[00255]本実施例は、健康な若齢男性白人およびアジア人ボランティアにおいてトリカプリリンの薬物動態、安全性および忍容性を調査して、2つの集団間の任意の差異を理解し、明らかにし、任意の民族的感受性を少しでも特定する。この実施例において、いくつかの研究からのデータを分析して、トリカプリリンの安全性および忍容性における任意の民族性差異を評価した。分析された研究は白人およびアジア人(中国人)対象を含み、いくつかの分析は白人対アジア人における効果を比較するために行った。民族的中国人参加者は、全ての4人の祖父母が中国人であると定義した。総ケトンのレベルは、有効なLC-MS/MS生体分析アッセイを使用して定量した。
[00256]方法:研究1は、健康な若齢男性において行ったトリカプリリンの噴霧乾燥製剤(AC-SD-01)の食物効果研究であった。研究2は、プロトタイプであるトリカプリリンの低速放出噴霧乾燥製剤(AC-SD-03);トリカプリリンの初期製剤(AC-1202);およびAC-SD-03に対するプラセボを試験した、健康な若齢男性ボランティアにおいて行った2部研究であった。これらの研究の両方が白人およびアジア人(中国人)対象を含み、いくつかの分析は白人対中国人における効果を比較するために行った。民族性がトリカプリリン投与後の総ケトン体曝露量に影響を及ぼすかどうかを探るために、研究2からの薬物動態パラメーターAUC0-tおよびCmaxを調べ、個体の民族性ごとに分類した(中国人または白人)。
[00257]結果:各研究における民族性の間の薬物動態差異はわずかであり、体重について補正した場合あまり明らかでなかった。研究2の2部からのデータを合わせると、中国人参加者における総ケトンの平均Cmaxが965uMであり、白人参加者については1000uMであり(p=0.78)、中国人参加者についての平均総ケトンAUC0-tは3011h*uMであるが、白人参加者についてはAUC0-tは2953h*uMであった。(p=0.89)。(図12A~12Bを参照されたい。アジア人および白人対象の間のAEプロファイルにおいて差異は見られなかった。全ての研究において、軽度~中等度の自然治癒GI有害事象が見られた(鼓脹、悪心、腹部不快感)。さらに、文献レビューに基づいて、白人および中国人の間に中鎖トリグリセリド(MCT)の吸収、代謝、分布および排出に関与するプロセスにおける、または中鎖脂肪酸のケトン体への酸化に関する公知の差異はない。
[00258]結論:トリカプリリン投与後の活性種である総ケトンへの曝露量は、健康な白人と比較して、健康な民族的中国人参加者について異ならなかった。ケトン体を産生するトリカプリリンの吸収もしくは代謝、またはそれらの安全性および忍容性プロファイルにおいて民族的差異は一切ないようである。

Claims (14)

  1. 疾患または障害の処置のために、それを必要とする対象に、トリカプリリンを投与する方法であって、
    トリカプリリンの治療有効量を含む医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与するステップを含み、トリカプリリンの前記治療有効量が、少なくとも300μmol/Lの総ケトンの最大血清濃度(Cmax)を提供し、
    トリカプリリンの前記治療有効量が、単回または分割用量として投与される1日当たり30g~80gである、方法。
  2. トリカプリリンの前記治療有効量が、少なくとも500ng/mLのトリカプリリンのCmaxを提供する、請求項1に記載の方法。
  3. トリカプリリンの前記治療有効量が、投与後少なくとも1時間、投与後少なくとも1.5時間、投与後少なくとも2時間、投与後少なくとも2.5時間、または投与後少なくとも3時間以内に総ケトンの最大血清濃度(Cmax)を提供する、請求項1に記載の方法。
  4. 総ケトンのCmaxが、少なくとも500μmol/L、少なくとも750μmol/L、または少なくとも1000μmol/Lである、請求項1に記載の方法。
  5. それを必要とする前記対象が、老齢対象である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記老齢対象が、ApoE4遺伝子型を欠く、請求項5に記載の方法。
  7. トリカプリリンの前記治療有効量が、少なくとも400μmol/L、少なくとも450μmol/L、または少なくとも500μmol/Lのb-ヒドロキシ酪酸(BHB)のCmaxを提供する、請求項1に記載の方法。
  8. トリカプリリンの前記治療有効量が、少なくとも50umol/L、少なくとも60umol/L、少なくとも70umol/L、少なくとも80umol/L、少なくとも90umol/L、または少なくとも100umol/Lのアセト酢酸(AcAc)のCmaxを提供する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記疾患または障害が、認知機能の低下に関連する疾患または障害である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記認知機能の低下に関連する疾患または障害が、アルツハイマー病および加齢関連記憶障害から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記医薬組成物が投与のためのエマルジョンとして形成される、請求項1に記載の方法。
  12. 1日当たり30g~80gトリカプリリンの治療有効用量が、最終治療有効投与量まで漸増することにより達成される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記漸増が、1週間当たり5g~10gのトリカプリリンの投与量の調整により2~4週間にわたり行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記医薬組成物が、トリカプリリン投与後の総ケトンCmax曝露量における民族性の影響が白人対アジア人対象において観察されないように投与される、請求項1に記載の方法。
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