JP2023545706A - フミンを含む炭水化物脱水生成物の酸化的前処理 - Google Patents

フミンを含む炭水化物脱水生成物の酸化的前処理 Download PDF

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Abstract

色の形成を発生させる又は原因となるものなどのフミン類の官能基(例えば、アルデヒド基及び/又は共役二重結合を有する基)が、酸化(場合により「漂白」)によって、FDCA形成性フラン類よりも容易に変換させることができるという発見に関連する炭水化物脱水生成物の酸化的前処理方法が開示される。このフミン類の選択的酸化は、フラン環含有化合物の酸化に用いられるそれぞれの条件及び系よりも穏やかな酸化条件及び/又は異なる反応系を用いることができる。酸化的前処理は、有利なことには、FDCA形成性フラン類に対してフミン官能基の選択的酸化を促進することができ、全体的な結果として、多数の改善を得ることができるようにフミン類が変性される。これらは、特に、顕著な例がポリ(エチレンフランジカルボキシレート)、すなわちPEFであるバイオベースのポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)コポリマーの全体的な製造中など、得られた前処理された脱水生成物のさらなる処理中に存在することができる。

Description

発明の分野
本発明は、ヘキソース炭水化物(例えば、フルクトース)の脱水により得られるフラン種の酸化によるバイオベースモノマーの2,5-フランジカルボン酸(FDCA)の製造方法に関し、特に、その中に存在するフミンの存在の原因となるこの酸化ステップの前の粗脱水生成物の処理に関する。
発明の背景
化石燃料の枯渇は、商業的に重要な製品の構成要素として機能することができるいわゆる「プラットフォーム」分子を合成するための石油をベースとする炭素の代替源を探求することの大きな動機となっている。バイオマスは、多くの高価値の化学物質を誘導できる潜在的な代替物の1つと現在見なされているが、再生可能資源からこのような化学物質を製造するための持続可能な技術の開発は、依然として大きな課題である。
バイオベースモノマーの2,5-フランジカルボン酸(FDCA)、及びそのジメチルエステル誘導体の2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)は、それらの周知の大量生産される石油由来の類似体、すなわちポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の代わりになりうるポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーの製造における重要な出発物質として認識されている。ポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーの顕著な例は、FDCA又はFDMEとエチレングリコールとの反応によって得られるポリ(エチレンフランジカルボキシレート)、すなわちPEFである。バイオベースポリマー(バイオプラスチック)のPEFは、特に包装の分野において、その石油由来の類似体のPETよりも多数の点ですぐれた性質を示す。例えば、PEFとPETとのブレンドによって、CO及びOに対する改善されたバリア特性を得ること、純PETを用いて得られるよりも長い保存寿命を得ること、並びに酸化的劣化が起こりやすいビールなどの製品の許容できる容器を提供することが可能となる。PEFの別の包装用途としては、高い機械的強度と再利用性とを有するパウチ、包装材料、及び熱収縮材料の製造に用いられるフィルムが挙げられる。
一般に、FDCA及びFDMEの両方は、プラスチック、繊維、コーティング、接着剤、パーソナルケア製品、及び潤滑剤としての種々の用途を有するポリアミド、ポリウレタン、及びポリエステルの製造における有用なプラットフォーム分子である。これらの分子の商業的重要性は、例えば、米国エネルギー省(U.S. Department of Energy)による2004年の研究において示されており、将来の「グリーン」化学産業を確立するための12の優先化学物質の1つとしてFDCAが認識されている。そのテレフタル酸(TPA)との構造的類似性のため、ポリエステルを合成するための代替モノマーとしてのFDCAの可能性は、早くも少なくとも1946年には、例えば英国特許第621971A号において認識されており、多数の団体が、FDCAを製造するための商業的に実現可能な方法の実現に向けて長年にわたって多大な労力をつぎ込んできた。バイオベース出発物質からのFDCAの合成に関して、米国特許第10,538,499号においてその発展が記載されており、これによると六炭糖単位(例えば、フルクトース)を含む供給材料に対して、統合された処理ステップが行われ、その第1のステップは、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)又はある誘導体、例えばそのエステル又はエーテル誘導体を得るための脱水ステップである。この脱水生成物は次に、コバルト、マンガン、及び臭素成分を含む均一触媒系を用いて、TPAを製造するためのp-キシレンの酸化に用いられるものと同様のMid-Century型酸化により、所望のFDCAまで酸化される。バイオベースモノマーを製造するためのこれらの処理ステップの広範な開発にもかかわらず、FDCAの商業的製造はまだ実現していない。提案されるFDCAへの合成経路の改善には、商業規模での経済的実現可能性の確立が依然として必要である。
概要
本発明の態様は、FDCA及びその誘導体のバイオベース合成における出発物質として炭水化物を利用する方法において、炭水化物の脱水による非常に着色され一般に水不溶性の副生成物であるフミン類の存在に関連する悪影響の改善又はさらには悪影響の解消のための方法の発見に関する。これらの副生成物の高度に着色した性質は、明らかに有害であり、例えば、炭酸飲料のボトル用のPETの代替となるポリエステルを製造するためのモノマーとしてのFDCA及び/又はその誘導体の使用において、色がないことが望ましい、これらのフミン類を含む脱水生成物から調製されるFDCA及び誘導体の意図される使用の場合に明らかに有害である。
しかしながら、六炭糖単位(例えば、ヘキソース糖並びにそれらのオリゴマー及びポリマー)を有する炭水化物の脱水生成物中に含まれるフミン類は、均一Mid-Century酸化触媒の有用な能力を消費又は制限する有害な傾向もある。これらは、上流の脱水において形成される5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はその誘導体(例えば、エステル及び/又はエーテル誘導体)の酸化に関して最も提案され最も徹底的に評価されている触媒である。この点において、副生成物のフミン類が、HMF及び/又はその誘導体とともに酸化供給材料中に存在する場合、作業パラメーターの制約が生じ始めることが明らかとなっている。均一触媒による酸化では、これによって、(i)所望の変換及び収率プロファイルを維持するための高い触媒濃度の必要性が生じたり、且つ/又は(ii)反応又は酸化の「開始」(light off)の減少(例えば、反応の間の酸素消費の測定に基づく)の前に望ましい性能が得られる「操作ウィンドウ」又は条件の組(温度、圧力、操業中の時間)がより狭くなったりする場合がある。残念ながら、FDCAを得るためのHMF及び/又はその誘導体を酸化するために提案されている不均一触媒によるプロセスでは、フミン類は、それらが固体触媒粒子上に堆積する結果として触媒の不活性が起こるという点において問題があることも明らかとなっている。したがって、均一及び不均一の両方の接触酸化ステップにおいて、触媒の供給、回収、及び再利用の量の増加に関連する費用のために、プロセス全体の経済性に悪影響が生じる触媒消費の増加は、フミン類の存在に起因する場合がある。
副生成物のフミン類を有する炭水化物脱水生成物の酸化に関連するこれら及びその他の短所に直面して、これらのフミン類を変性するための穏やかな酸化的前処理が特に有利であることを発見した。一般に、炭水化物の脱水で得られる所望のFDCA形成性フラン類(FDCA-forming furanics)(例えば、特にHMF並びにそのエステル又はエーテル誘導体)からFDCAへの酸化に関して知られている条件と比較して、より穏やかな反応条件下で、酸化的前処理を行うことができる。例えば、酸化的前処理は、より低い温度を用いることができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、酸化的前処理は、所望のFDCA形成性フラン類が、このステップ全体で大部分維持されることを特徴とすることができ、例えば、これらの化合物の収率は比較的変化がない、又は少なくともあまり減少しない。例えば、HMF、又はHMFのエステル若しくはエーテルなどのFDCA形成性フラン類の酸化的前処理によるFDCAへの酸化は、最小限となることができ、又は少なくとも、下流、すなわち後に続く酸化において生じる場合より、比較的にはるかに少なくなることができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、酸化的前処理は、下流の、すなわち後に続く酸化において使用されない酸化剤の使用、及び/又は、下流の、すなわち後に続く酸化において使用されない触媒の使用を特徴とすることができる。別の場合では、異なる酸化剤及び/又は触媒の使用ではなく、酸化的前処理は、下流の、すなわち後に続く酸化において用いられる場合に対して、異なる量又は濃度の酸化剤及び/又は触媒の使用を特徴とすることができる。一般に、比較的高いパーセント値の所望の非オリゴマー及び非重合のFDCA形成性フラン類(HMFなど)をFDCAに変換するための酸化条件と比較して、1つ以上の点(例えば、温度、滞留時間、1つ以上の酸化剤及び/若しくは触媒の濃度、並びに/又は1つ以上の酸化剤及び/若しくは触媒の使用)において異なる酸化的前処理条件下で、酸化的前処理を行うことができる。
酸化的前処理を、このようなFDCA形成性フラン類のFDCAへの酸化と区別する又は境界を定めることができる特定の方法にかかわらず、本明細書に記載の実施形態は、色の形成が生じる又は色の形成の原因となるようなフミン類の官能基(例えば、アルデヒド基及び/又は共役二重結合を有する基)が、ある酸化的前処理条件下で、特にHMF、HMFエステル、又はHMFエーテルよりも、酸化によって容易に変換されうる(場合により「漂白されうる」)という重要な発見に関する。このフミン類の選択的酸化には、従来の研究努力の中心であったFDCAの所望の非オリゴマー及び非重合のフラン前駆体の酸化に用いられるものと比較して、より穏やかな酸化条件及び/又は異なる反応系を用いることができる。酸化的前処理は、有利なことには、フミン官能基の選択的酸化を促進することができ、フミン類の変性によって、特に、得られる前処理された脱水生成物のさらなる処理に関して、多数の改善を得ることができるような全体的な結果が得られる。
すなわち、本明細書に記載の酸化的前処理ステップは、フミン類の「選択的」酸化を引き起こしながら、同時に、この酸化的前処理ステップにおいて有益に変性されているフミン類の存在下で、FDCAへの変換に誘導される引き続く酸化のためのHMF、そのエステル又はエーテルなどの所望の非オリゴマー及び非重合のFDCA形成性フラン類は、実質的に無傷で維持すると考えられる。酸化的前処理ステップに供された、前処理された脱水生成物中のフミン類の変性によって、多数の改善された性質を得ることができる。これらは、前処理された脱水生成物による紫外線又は可視光の吸収の減少により測定可能なフミンの「漂白」のために、優れた色を含むことができる。前処理された脱水生成物の他の改善された性質は、下流処理ステップ(例えば、酸化、エステル化及び/若しくはエステル交換、並びに/又はコポリマー形成ステップ)における色の減少及び/又は改善された色安定性を含むことができ、又はそれらにまで及ぶことができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、さらなる改善された性質としては、(i)前処理された脱水生成物中のフミン類の平均分子量の低下、(ii)この生成物(これによってフミン類の分離が促進される)中の沈殿したフミン類の量の増加、及び/又は(iii)「加工性」、「酸化堅牢性」、又はより安定な操作の提供に関して、下流酸化ステップ中のこの生成物の性能の向上を挙げることができる。
特定の脱水生成物中の溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量(例えば、重量パーセント値)は、フミン含有量が増加する場合に、この前処理の過酷さを増加させるなど、酸化的前処理の操作条件を調節するための基準として使用することができる。例えば、溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量の増加が測定されると、酸化的前処理に加えられる又は供給される脱水生成物の量(又はこの生成物中のFDCA形成性フラン類の量)に対する、この前処理に加えられる又は供給される酸化剤の量を増加させることができる(例えば、連続的前処理の場合)。別の方法では、溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量の増加が測定されると、酸化的前処理中に存在する脱水生成物の量(又はこの生成物中のFDCA形成性フラン類の量)に対する、この前処理中(例えば、酸化的前処理容器又は反応器中)に存在する酸化剤の量を増加させることができる(例えば、バッチ前処理の場合)。別の実施形態では、脱水供給材料中に用いられるヘキソース炭水化物の重量パーセント値に対応する脱水供給材料の乾燥固体含有量を、溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量の使用と同じ方法で、酸化的前処理の操作条件の調節の基準として使用することができる。この乾燥固体含有量は、典型的には、得られる脱水生成物中の溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量に対する相関を、これらのフミンの平均分子量に対する相関に加えて、有する。すなわち、乾燥固体含有量の増加は、フミン含有量とフミン平均分子量との両方の増加につながりうる。
これら及びその他の態様、実施形態、及び関連の利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
実施形態の詳細な説明
本明細書において用いられる「重量%」及び「重量ppm」という用語は、重量を基準としたパーセント値及び重量を基準とした百万分率をそれぞれ示すために用いられる。「モル%」という用語は、モルパーセント値を示すために用いられる。
酸化的前処理ステップと酸化ステップとの両方を用いる2,5-フランジカルボン酸(FDCA)の製造方法が本明細書に記載される。本開示より、FDCA形成性フラン類からFDCAへのより多くの変換が実現される(i)酸化的前処理及び(ii)酸化は、(i)が酸化的前処理容器又は反応器中で行われ、(ii)が別個の酸化容器又は反応器中で行われ、本明細書に記載の酸化的前処理条件を用いて酸化的前処理容器又は反応器が操作される場合などに、別個の容器又は反応器中で行うことができることを認識できるであろう。例えば、連続的プロセスの操作中など、酸化的前処理容器又は反応器から得られる反応生成物の全て又は一部は、下流酸化容器又は反応器まで移送することができる。別の方法では、同じ容器又は反応器内で、(i)が酸化的前処理ゾーン中で行われ、(ii)が酸化ゾーン中で行われ、本明細書に記載の酸化的前処理条件を用いて酸化的前処理ゾーンの操作が行われる場合などに、(i)及び(ii)は、1つの容器又は反応器中の別個のゾーン中で行うことができる。例えば、連続的プロセスの操作中など、酸化的前処理ゾーンから得られる反応生成物を下流酸化ゾーンまで移送することができる。別の方法では、(i)が、前処理された脱水生成物を得るのに有効な第1の初期時間の間、脱水生成物を本明細書に記載の酸化的前処理条件に曝露することによって行われ、(ii)が、FDCAを含む組成物(例えば、酸化的前処理条件下で生じるそのような変換の程度と比較して、より大きな程度の、酸化条件下でのFDCA形成性フラン類からFDCAへの変換によって得られる)を得るのに有効な第2の引き続く時間の間、前処理された脱水生成物を本明細書に記載の異なる酸化条件に曝露することによって行われる場合などに、(i)及び(ii)を同じ容器又は反応器中で行うことができる。同じ容器又は反応器中での(i)及び(ii)の実施は、バッチプロセスの特徴となりうる。
本明細書に記載の方法は、多数のさらなる処理ステップのいずれをも含むことができ、それにもかかわらず、本明細書に記載の酸化的前処理ステップと関連するある利点によって有益となりうる。このようなさらなる処理ステップは、FDCAの1つ以上のエステル誘導体を形成するための「エステル化」のステップを含むことができ、これによってこのジカルボン酸の一方又は好ましくは両方のカルボン酸基が、エステル基、例えばアルキルエステル基(モノ又はジアルキルエステル誘導体の場合)又はアリールエステル基(モノ又はジアリールエステル誘導体の場合)に変換され、メチルエステル基、エチルエステル基、又はフェニルエステル基が具体例である。メチルエステル基の場合、FDCAの好ましいエステル誘導体は、2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)であり、これはFDCAを十分な量のメタノールと反応させることによって形成することができる。
酸化的前処理ステップを含む本明細書に記載の方法を、広範囲の他のFDCA誘導体の製造、又は実際には炭水化物からの脱水生成物の酸化による他の酸化生成物(FDCA以外)の製造、及び/又はこれらの別の酸化生成物の望ましい誘導体、例えば、限定するものではないが、エステル誘導体;ヒドロキシアルキル誘導体を含むヒドロキシル(アルコール)誘導体;アルコキシ誘導体を含むエーテル誘導体;アミノ誘導体;例えば塩化アシル誘導体などのハロゲン化アシル誘導体を含むアシル誘導体;イソシアネート誘導体;アルデヒド誘導体;及びアセタール誘導体の製造にも適用できることを、本開示の知識を有する当業者は認識するであろうし、これらの場合も、未変性のフミン類によって、FDCAを製造するための酸化の場合のような同様の問題が生じる。酸化的前処理ステップが関連しうるこのような他の酸化生成物の一例として、ジアルデヒドジホルミルフラン(フルクトースの脱水において生成される種の酸化によって製造することができる)は、FDCAの場合よりも簡単及び容易にジアミノ誘導体に変換することができる。このような誘導体の場合、より特にFDCAの場合の説明の目的で、2つのカルボキシ置換フラン環部分の一方又は両方を、代わりに、カルボキシ以外のカルボン酸基及び/又は別の基で置換して、例えば、対応するジオール、ジアルカノール(例えば、ジメタノール)、ジアミノ、ジアシル(例えば、ジアシルクロリド)、ジエステル、ジイソシアネート、エーテル-酸、エーテル-エステル、エステル-酸、エステル-アルデヒド、エーテル-アルデヒド、エーテル-アセタール、エステル-アセタール、アセタール-酸、ヒドロキシル-酸、ヒドロキシアルキル-酸、ヒドロキシル-エステル、ヒドロキシアルキル-エステル、ヒドロキシル-アセタール、ヒドロキシアルキル-アセタール、ヒドロキシアルキル-ヒドロキシアルキル、ジアセタール、及び/又はアルデヒド-アセタール誘導体を得ることができ、「酸」置換は、酢酸以外のカルボン酸から形成されたカルボキシ、又はカルボキシメチルなどの基を意味する。
FDCAのエステル及び別の誘導体の形成を越えて、バイオベースコポリマー(例えば、コポリエステルなど)の製造にまで及ぶ、なおもさらなる処理ステップも本明細書に記載される。
脱水生成物及びこれらの生成物中に存在するフミン類
特定の実施形態は、六炭糖単位(例えば、フルクトース)を有する1つ以上の炭水化物の脱水生成物、特定の実施形態ではフミン類を除去するための精製が行われていない脱水生成物(「粗」脱水生成物)の前処理方法を対象とする。すなわち、脱水生成物は、このような1つ以上の炭水化物の脱水によって得られる。六炭糖単位を有する炭水化物は、六炭糖、六炭糖のオリゴマー、又は六炭糖のポリマーを意味する。このような炭水化物としては、デンプン、アミロース、ガラクトース、セルロース、ヘミセルロース、イヌリン、フルクタン、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、及び糖オリゴマーが挙げられる。これらの炭水化物は、ヘキソース炭水化物と呼ばれる場合もあり、湿式若しくは乾式精白又はセルロース/ヘミセルロース加水分解プロセスの生成物、副生成物、若しくは中間生成物の1つ又は組み合わせから得ることができ、このような生成物としては、フルクトースシロップ、結晶フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、粗フルクトース、精製フルクトース、又は糖蜜の1つ以上が挙げられる。好ましい炭水化物は、純粋又は精製された形態(例えば、90%又は95%を超える純度)で脱水ステップに供給することができるフルクトースである。
前述のように、脱水ステップによって、一般に、FDCA形成性フラン類を含む脱水生成物中に副生成物としてのフミン類が形成される。フミン類は、糖の脱水によって得られる、高度に着色され、一般に褐色から黒色の、非晶質又は非結晶性のポリマーを意味する。脱水生成物中のフミン類の濃度は、少なくとも部分的には、脱水ステップに用いられる条件、特に反応の過酷さに依存し、そのためこの濃度は1パス当たりの転化率と相関する場合がある。特定の試料中のフミン類の濃度及びそれらの相対分子量は、屈折率検出器を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC-RID)などの分析方法によって求めることができる。フミン類は、FDCA形成性フラン類の下流での酸化に対して有害であると非常に一般的に考えられ、バイオベースポリマー最終生成物を着色するそれらの能力の観点から望ましくなく、さらには同時に、FDCA及びその誘導体、又は理想的には廃棄物の形態で失われることがないその他の付加価値のある生成物を生成するヘキソース糖の固有の潜在能力の一部を表していると見なす必要がある。
したがって、代表的な方法は、酸化的前処理の前に(例えば、脱水生成物に対してフミン類の濃度が低下した酸化的前処理供給材料を得るために)脱水生成物からのフミン類の少なくとも一部(例えば、不溶性又は沈殿部分)を分離するステップをさらに含むことができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、フミン類が酸化的前処理によって不溶性となりうる程度で、代表的な方法は、酸化的前処理の後に、前処理された脱水生成物からフミン類の少なくとも一部(例えば、酸化的前処理によって不溶性となった又は沈殿した部分などの、不溶性又は沈殿部分)を分離するステップをさらに含むことができる。FDCA形成性フラン類を含む脱水生成物の酸化の前に、フミン類の少なくとも一部を除去することが望ましい場合、脱水生成物又は前処理された脱水生成物に対して、限外濾過(UF)膜の使用などの濾過を行うことができ、これはフミン類の少なくとも一部が水性媒体中で不溶性となりうることを利用している。脱水生成物若しくは前処理された脱水生成物から、又はバイオベースポリマーの全体的な合成における他の中間生成物から、フミン類を除去するための他の方法としては、蒸留及び昇華が挙げられる。フミンを除去するための特定の方法が、例えば、米国特許第10,457,657号、米国特許第10,017,486号、及び米国特許第9,611,241号に記載されており、これらの特許公報は、このような方法の開示のために参照により援用される。
しかしながら、本開示のある態様は、フミン類を変性するための酸化的前処理によって実現される本明細書に記載の有利な効果に関しており、例えば、FDCAを含むモノマー組成物を得るための次の酸化において前処理された脱水生成物を用いることの反応安定化効果に関する。これらの効果によって、フミン類を除去するための補助的なステップの必要性をなくすことができ(フミン類の一部をアップグレードするため又は直接使用するための別のより高価値の選択肢が存在しないと仮定され、これは除去のための独立した理由となる)、したがって、幾つかの実施形態によると、脱水生成物はフミン類を除去するための処理(例えば濾過)が行われず、又は前処理された脱水生成物はフミン類を除去するための処理(例えば濾過)が行われず、又はこれらの生成物はどちらもフミン類を除去するための処理が行われない。
脱水生成物の酸化的前処理
代表的な方法は、酸化的前処理ステップにおいて、脱水生成物を酸化剤に接触させて、脱水生成物中に存在するフミン類の変性によって得られる(例えば、脱水生成物に対して)改善された性質を有する前処理された脱水生成物を得ることを含む。このような変性によって、例えば、脱水生成物中に存在するフミン類のアルデヒド含有官能基(例えば、1つ以上の炭水化物の上流の脱水において形成される)を選択的に変換することができ、それによって別の場合にはアルドール縮合が進行して、前処理された脱水生成物及び/又下流生成物、例えば前処理された脱水生成物の次の酸化によって得られるFDCAを含む組成物が経時により着色する傾向をなくすことができる。酸化的前処理ステップでは、脱水生成物中に存在するFDCA形成性フラン類は、前処理された脱水生成物中に大部分が維持される(未変換のままとなる)ことができ、そのため、酸化的前処理ステップは、フミン類が選択的に変換され、酸化などによってこれらのFDCA形成性フラン類は実質的に変換されないことを特徴とすることができる。例えば、代表的な実施形態では、前処理された脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の収率は少なくとも約80モル%であり、すなわち、前処理された脱水生成物中で回収されるFDCA形成性フラン類のモル数は、酸化的前処理の前に脱水生成物中に存在するモル数の少なくとも約80%となる。別の実施形態では、酸化的前処理で得られるFDCA形成性フラン類の収率は、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、又は少なくとも約95モル%である。
同様に、幾つかの実施形態によると、脱水生成物中に存在するフミン類の重量パーセント値も大部分が維持されうるが、これらのフミン類は酸化的前処理によって実質的に変性されることができ、これによって前処理された脱水生成物の改善された(より薄い)色は、視覚的に感知することができ、且つ/又は本明細書に記載のように定量的に測定することができる。例えば、代表的な実施形態では、前処理された脱水生成物中のフミン類の収率は、少なくとも約85重量%であり、すなわち、前処理された脱水生成物中で回収されたフミン類の重量は、酸化的前処理の前に脱水生成物に存在する重量の少なくとも約85%となる。別の実施形態では、酸化的前処理で得られるフミン類の収率は、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、又は少なくとも約97モル%である。
FDCA形成性フラン類は、本明細書に記載の酸化ステップにおいて接触酸化によってFDCAを形成するフラン環含有単量体及び二量体の分子を意味する。FDCA形成性フラン類は、本来的に均一でも不均一でもよい酸触媒の存在下で高温において六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物の脱水で得られる脱水生成物中に、フミン類とともに得ることができる。FDCA形成性フラン類は、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)を含み、酢酸などの低級カルボン酸の存在下でそれらが形成される場合は、HMFのエステル誘導体、例えば5-(アセトキシメチル)フルフラールを含むことができ、又は低級アルコール溶媒(例えば、メタノール)の存在下でそれらが形成される場合は、HMFのエーテル誘導体、例えば5-(メトキシメチル)フルフラールを含むことができる。他のFDCA形成性フラン類としては、2,5-ジホルミルフラン及び5-ホルミル-2-フランカルボン酸などのHMFの誘導体を挙げることができる。FDCA形成性フラン類としては、HMF二量体の5,5’-[オキシビス(メチレン)]ジ(2-フルアルデヒド)、及びHMFオリゴマーがさらに挙げられる。非FDCA形成性フラン類の例としては、フルフラール、2-(ヒドロキシアセチル)フラン、及び2-(アセトキシアセチル)フランが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では、脱水生成物、及び前処理された脱水生成物は、FDCA形成性フラン類が含むことができるように、1つ以上のHMF及び/又はそれらのエステル若しくはエーテル誘導体を含むことができる。酢酸触媒及び溶媒を用いて脱水が行われる場合、FDCA形成性フラン類は、HMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体を含むことができ、又はこれらから本質的になることができる。
一実施形態では、脱水は、酢酸に加えて臭化水素酸を利用することができ、脱水生成物が直接次の酸化的前処理ステップに供給され、このステップから得られた前処理された脱水生成物が次に、例えば米国特許第10,538,499号に記載の酸化ステップに準じた酸化ステップに供給されるように、本明細書に記載の中間酸化的前処理などを介して、後のMid-Century型酸化ステップと統合することができる。中間酸化的前処理ステップなどを介した脱水する(又は脱水)ステップ及び酸化させる(又は酸化)ステップの統合によって、これらのステップの中の2つ、又は3つ全てにおいて同じ酢酸(又は酢酸及び水)の溶媒を使用することで得られる利点などの利点を得ることができる。さらに、脱水ステップのさらなる酸触媒として使用するための臭化水素酸の適合性に加えて、共通の溶媒を使用することで、酢酸と、場合によりMid-Century酸化ステップの臭素源(典型的には臭化水素酸の形態)の少なくとも一部とを、酸化ステップから再循環(好ましくは実質的に完全に再循環)させて脱水ステップに戻すことができるというさらなる利点が得られる。これらの成分、すなわち臭化水素酸及び酢酸は、酸化ステップと同じ方法で、中間酸化的前処理ステップに同様に使用することができる。これによって、六炭糖単位を有する炭水化物からFDCAへの変換に関して資本コスト及び運転コストが大幅に低下する。
一般に、酸化的前処理の後に、前処理された脱水生成物は、FDCAを含むモノマー組成物を製造するための全体的なプロセスの中で酸化ステップに供されることができる。このプロセスは、前処理された脱水生成物の全て又は一部を(例えば、酸化供給材料として)、酸素(例えば、空気などの酸素含有ガス)の存在下で、酸化触媒と接触させて、FDCAを含む組成物を得ることを含むことができる。酸化ステップにおいて、前処理された脱水生成物中に存在するFDCA形成性フラン類は、大部分を、FDCAを含む組成物に変換(酸化)することができる。例えば、代表的な実施形態では、前処理された脱水生成物中のFDCA形成性フラン類を基準とした酸化ステップ中のFDCAの収率は、少なくとも約60モル%となることができ、すなわち、FDCAを含む組成物中で回収されるFDCAのモル数は、前処理された脱水生成物中のFDCA形成性フラン類のモル数の少なくとも約60%となることができる。別の実施形態では、酸化によって得られるFDCAの収率は、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、又は少なくとも約90モル%である。例えば、FDCAを含む組成物中に残存するFDCA形成性フラン類のモル数は、酸化供給材料、又は酸化前の前処理された脱水生成物中に存在するモル数の約40%未満、約30%未満、約20%未満、又は約10%未満となることができる。酸化ステップは、特に、前処理された脱水生成物の全て又は一部を酸化供給材料として、酸化触媒(例えば、均一又は不均一触媒)と反応物の酸素とが入った酸化反応器に供給することを含むことができる。
酸化的前処理において、脱水生成物と酸化剤との接触は、脱水生成物によって得られるFDCA形成性フラン類のモル数に対する、酸化剤によって得られる酸化当量の特定の比などの所望の量で、これらの酸化的前処理供給材料を容器又は反応器に連続的に加えることによって行うことができる。より一般的には、酸化剤及び脱水生成物がともに容器又は反応器中にそのような所望の量で存在する場合に、接触を行うこともできる。連続操作の場合などで酸化的前処理供給材料が連続的に容器又は反応器に加えられる場合でも、且つ/又はバッチ操作の場合に容器又は反応器に投入される初期の所望の量(前述の特定のモル比)などでこれらの供給材料がともに容器又は反応器中に存在する場合でも、脱水生成物と酸化剤との間の接触は、脱水生成物中に存在するフミン類の選択的変性を実現するのに有効となる適切な酸化的前処理条件下で行われる。このようにして、結果として得られる前処理された脱水生成物は、この生成物中のFDCA形成性フラン類は実質的に変換されることなく、この生成物中に最初に存在するフミン類の変性により得られる、脱水生成物よりも改善された性質を有することができる。
脱水生成物中に存在するフミン類のアルデヒド含有官能基の選択的変換によって得ることができる改善された性質、又は酸化的前処理中に生じる他の変化によって得ることができる改善された性質としては、前処理された脱水生成物の改善された色を挙げることができ、これは、定性的に(例えば、観察によって)測定することができ、又は紫外線若しくは可視光の吸収の減少などによって定量的に測定することができる。例えば、特定の一実施形態によると、前処理された脱水生成物は、460ナノメートル(nm)などの特定の波長で測定される光の吸収の減少を示すことができる。この吸収は、例えば、未処理の脱水生成物の吸収と比較して約80%以下であってよく、すなわち、この吸収は、少なくとも約20%減少することができる。他の実施形態では、この吸収は、脱水生成物の吸収と比較して約70%以下、約60%以下、又は約50%以下であってよい。これとは別に、又はこれと組み合わせて、他の改善された性質としては、色の形成の減少及び/又は色の安定性の増加を有する前処理された脱水生成物を、下流処理ステップにおいて、且つ結果として得られる下流生成物(例えば、FDCA、FDCAのエステル化誘導体、FDCA又はFDCAのエステル化誘導体とコモノマーとの反応生成物であるプレポリマー、及びこのようなプレポリマーの重縮合によって形成されるコポリマー)においてさらに処理する能力が挙げられる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、さらに他の改善された性質としては、酸化的前処理の前の脱水生成物中のフミン類の平均分子量に対する、前処理された脱水生成物中のフミン類の平均分子量の低下を挙げることができる。分子量の低下は、例えば、酸化剤との反応によってフミン類が開裂することによって生じうる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、さらに他の改善された性質としては、酸化的前処理の前の脱水生成物中に存在する(浮遊固体として)量に対する、前処理された脱水生成物中に存在する沈殿(固体)フミン類の量(例えば、重量パーセント値)の増加を挙げることができる。この場合、代表的な方法は、濾過などによって、前処理された脱水生成物から固体フミン類を除去するステップを、この生成物中のFDCA形成性フラン類のFDCAへの酸化などによるさらなる処理の前に含むことができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、さらに他の改善された性質としては、この酸化のための供給材料としての、すなわちFDCAを生成するための酸化供給材料としての前処理された脱水生成物の安定性の向上が挙げられる。すなわち、他のことは同等であるが未処理である脱水生成物に対して、前処理された脱水生成物は、フミン類が存在するために均一又は不均一触媒による酸化において制約が生じる本明細書に記載の操作パラメーター(例えば、前述のパラメーター)のいずれか又はいずれかの組み合わせに対して、改善された性質を得ることができる。例えば、前処理された脱水生成物は、特定の酸化ステップにおける未処理の脱水生成物に対して、触媒消費の減少が必要となりうる。
酸化的前処理中に使用できる代表的な酸化剤としては、1つ以上の酸素原子が-1以下の酸化状態を有する化合物、例えばペルオキシ化合物の場合などの酸素化化合物が挙げられる。特定の種類の適切な酸化剤としては、遷移金属酸化物(例えば、酸化マンガン)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属オキシハロゲン化物(例えば、オキシ塩化ナトリウム)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム)、アルカリ金属塩素酸塩若しくは過塩素酸塩又はアルカリ土類金属塩素酸塩若しくは過塩素酸塩(例えば、過塩素酸カリウム)、アルカリ金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩又はアルカリ土類金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩(例えば、臭素酸カリウム)、アルカリ金属ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩又はアルカリ土類金属ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)、アルカリ金属硫酸塩若しくは過硫酸塩又はアルカリ土類金属硫酸塩若しくは過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸水素カリウム、又はOxone(登録商標))、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸又はメタ-クロロペルオキシ安息香酸)、又は酸素(例えば、空気中に含まれる)が挙げられる。これらの種類及び/又は特定の化合物の組み合わせを酸化剤として使用することができる。したがって、一実施形態では、酸化剤は、MnO、NaOCl、H、KHSO(Oxone(登録商標))、NaCO・1.5H、メタ-クロロペルオキシ安息香酸、過酢酸、KMnO、NaIO、及びKBrOの1つ以上から選択することができる。アルカリ金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩又はアルカリ土類金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩の場合、酸化剤は、Brを発生し、フミン類の選択的「漂白」などの選択的酸化に寄与する臭素源であってよい。臭素源は、アルカリ金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩又はアルカリ土類金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩を単独で用いる場合などに単独で用いることができ、複数の臭素源を用いることができ、又は1つ以上の臭素源を、前述のものなどの1つ以上の非臭素含有酸化剤(例えば、MnO)との組み合わせにおいて用いることができる。臭素源としては、脱水ステップにおけるそれらの使用に関して本明細書に記載のもの(例えば、臭化水素酸)が挙げられ、酸化ステップにおけるそれらの使用に関して本明細書に記載の臭素含有種も挙げられる。好ましい実施形態では、本明細書に記載の酸化剤又は酸化剤の組み合わせのいずれも、酸化的前処理中に、脱水生成物中、又はこの生成物を含む反応混合物中に可溶化させることができる。しかしながら、限定された水溶解性を有する特定の酸化剤は、別の場合に、微細な固体沈殿物の形態などの固体の形態で用いることができ、これは、酸化的前処理の後及び前処理された脱水生成物のさらなる処理の前に、例えば濾過を用いて分離することができる。
酸化的前処理は、本明細書に記載の酸化剤を容器又は反応器に最初に投入することによって、又は連続的に加えることによって行うことができ、この容器又は反応器には、脱水生成物も投入され、且つ/又は連続的に加えられる。有利なことには、酸化剤は、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して(例えば、HMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体のモル数に対して)化学量論量以下(sub-stoichiometric amount)などの比較的少量で用いることができる。幾つかの実施形態では、酸化剤は、FDCA形成性フラン類に対して約85モル%未満(例えば、約5モル%~約85モル%)の酸化当量となる量で、(適切な容器又は反応器中に)存在することができ、又は(適切な容器又は反応器に)加えることができる。酸化当量は、酸化能力を有する特定の酸化剤中の原子(例えば、酸化性酸素原子及び酸化性ハロゲン原子)の数を基準としており、例えば、1モルのNaOClは2モルの酸化当量を示す。他の実施形態では、酸化剤は、約70モル%未満(例えば、約5モル%~約70モル%)の酸化当量となる量で存在することができ、又は加えることができる。例えば、酸化剤は、約10モル%~約70モル%、約10モル%~約50モル%、約25モル%~約70モル%、約35モル%~約70モル%、又は約25モル%~約50モル%の酸化当量となる量で存在することができ、又は加えることができる。一般に、他の全てのパラメーターが同等であれば、脱水供給材料中に用いられるヘキソース炭水化物の重量パーセント値に対応し、脱水生成物中の溶解フミン類及び/又は固体フミン類の含有量の増加と相関がある、脱水供給材料の乾燥固体含有量が増加すると、存在する又は加えられる酸化当量に関して酸化剤の使用量を増加させることができる。
(i)FDCA形成性フラン類を含む脱水生成物と、(ii)酸化剤とが、酸化的前処理を行うために用いられる容器又は反応器に同時供給される場合、これらの供給材料(i)及び(ii)は、分離したストリームとして(例えば、分離した場所で投入される)、同じ容器又は反応器に供給することができる。例えば、分離したストリームによって、容器又は反応器内のより望ましい温度プロファイルを実現することができ、又は別の場合では、発熱性熱放出の位置決め又は操作などによって、この温度プロファイルに対する制御を改善することができる。或いは、供給材料(i)及び(ii)は、酸化剤のストリームと、脱水生成物を含む脱水反応器の流出液とを組み合わせる場合など、1つにまとめた供給ストリームとして容器又は反応器に供給することができる。さらなる実施形態では、供給材料(i)及び(ii)の一部は、プロセス効率及びプロセス制御に関する目的に応じて、容器又は反応器の上流で1つにすることができるし、且つ/又は分離したストリームとして加えることができる。バッチ操作の場合、(i)及び(ii)の同時供給は、最初にこれらの供給材料を例えば前述の相対量で、容器又は反応器に投入し、本明細書に記載のように結果として得られる脱水生成物のフミン含有量を変化させるのに有効な時間及び温度で酸化的前処理を行うことを含むことができる。
酸化的前処理が連続的又はバッチ式のいずれで行われても、脱水生成物及び酸化剤は、前処理された脱水生成物の酸化における使用にも一般的に適切であると本明細書に記載される触媒及び/又は他の成分の存在下で接触させられて、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の酸化によって、又は特に、前処理された脱水生成物中に残存するこれらのFDCA形成性フラン類の少なくとも一部の酸化によって得られるFDCAを含む組成物を得ることができる。例示的な触媒は、周期表(IUPAC版)の5族~11族の1つ以上の金属、例えばこれらの金属のいずれかの可溶性形態を含み、特に触媒は、可溶性の形態のCo及び/又はMnを含む。これらの金属のいずれかは、例えば、酸化的前処理を行うために用いられ、脱水生成物と本明細書に記載の任意の酸化剤とを含む反応混合物中に、このような反応混合物中に存在する脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の約0.1モル%~約10モル%、例えば約1モル%~約5モル%となる量で独立して存在することができ、又は別の場合には組み合わされた量で存在することができる。これとは別に、又はこれに加えて、触媒は硝酸(HNO)などの酸を含むことができ、これは反応混合物中にこれらの範囲内の量で存在することができ、又は別の場合にはより多い量又はより少ない量で存在することができる。例えば、酸は、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の約0.05モル%~約5モル%、例えば約0.1モル%~約1モル%となる量で存在することができる。例示的な触媒、又は触媒系は、反応混合物中に場合により酸(例えば、HNO)とともに存在する可溶性形態のCo及び/又はMnを含み、金属及び任意の酸成分は、FDCA形成性フラン類を基準としてこれらの範囲内の濃度を有する。
幾つかの実施形態では、主としてフミン類を変性するための酸化的前処理及び、主としてFDCA形成性フラン類をFDCAに変換するための次の酸化は、同じ容器又は反応器中で行うことができる。しかしながら、同じ容器又は反応器がこれらのステップに用いられても用いられなくても、酸化的前処理と酸化とは、幾つかの実施形態により、前者が後者よりも穏やかな条件で行われるという点で区別することができる。例えば、酸化的前処理に用いられる酸化的前処理温度は、酸化ステップに用いられる酸化温度よりも低くてよい。脱水生成物及び酸化剤を含み酸化的前処理に適切である反応混合物の代表的な温度又は平均温度は、ほぼ室温(すなわち、約20℃)~約120℃であってよい。他の実施形態では、温度又は平均温度は、約100℃未満(例えば、約20℃~約100℃)、又は約80℃未満(例えば、約20℃~約80℃)であってよい。このような温度又は平均温度は、脱水生成物と酸化剤とが接触して維持される(例えば、バッチプロセス又は連続プロセス)適切な滞留時間、例えば少なくとも1時間(例えば、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、又は約1時間~約6時間)の滞留時間と組み合わせて用いることができる。例えば、バッチプロセスの場合、脱水生成物及び酸化剤は、(i)本明細書に記載の相対量などで容器又は反応器に投入され、(ii)本明細書に記載の、特定の滞留時間における平均温度を含む条件下で酸化的前処理ステップに供され、(iii)この滞留時間の後、FDCAを含む組成物を得るための前処理された脱水生成物の酸化での使用に一般に適切であるとして本明細書に記載される、より高い平均温度及び/又は他の条件を含むより過酷な条件下で酸化ステップを行うことができる。
連続的又はバッチ式のいずれで行われても、酸化的前処理及び酸化は、同じ触媒又は触媒系を使用し、任意により同じ濃度の触媒及び/又はそれぞれの供給材料中のFDCA形成性フラン類に対して同じ比率を用いて行うことができる。幾つかの実施形態では、酸化的前処理と酸化とは、後者では使用されない本明細書に記載の酸化剤が前者で使用されることで区別することができる。これらのステップがこの方法で区別されてもされなくても、両方のステップにおける酸化剤として酸素(例えば、空気中に含まれる)を使用することができる。前述のように、脱水生成物と酸化剤との同時供給を含むことができる酸化的前処理は、同時供給の前の、FDCA形成性フラン類を得るための脱水供給材料中の1つ以上の炭水化物の脱水のさらなるステップと、統合された方法又は統合されない方法で、さらに組み合わせることができる。この脱水は、溶媒として、低級カルボン酸(例えば、酢酸)又は低級アルコール(例えば、メタノール又はエタノール)を含む溶液中の1つ以上の炭水化物(例えば、ヘキソース糖から選択される)を用いて行うことができる。
本発明の特定の実施形態は、酸化的前処理は行われないが、フミン類は脱水生成物から除去されている、又は脱水生成物中に存在せずに行われる比較上(又はベースライン)の酸化を基準として、FDCAを形成するためのFDCA形成性フラン類の酸化における性能(例えば、触媒活性)を部分的又は完全に回復させるために酸化的前処理を用いることで生じる処理の選択肢、及び全体的な処理の自由度を対象としている。有利なことには、性能の回復は、所望のモノマー(例えば、「経路上の」(on path)FDCA形成性フラン類)を酸化することができる部分を基準として脱水生成物に対してごく少量の酸化剤(例えば、モル基準で)を用いて実現することができる。脱水生成物を前処理するための代表的な方法、又はFDCAを含むモノマー組成物を製造するための別の代表的な方法は、酸化的前処理ステップにより六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物の脱水生成物を本明細書に記載の酸化剤と接触させて、前処理された脱水生成物を得ることを含むことができる。このような方法では、加えられる酸化剤の量(例えば、連続操作の場合)、又は存在する酸化剤の量(例えば、バス操作(bath operation)の場合)は、脱水生成物のフミン含有量に基づいて、又はこのフミン含有量の代わりに、脱水供給材料の乾燥固体含有量に基づいて調節することができる。
FDCA形成性フラン類を製造するための炭水化物の脱水
代表的な方法は、酸化的前処理ステップの前に、前述のFDCA形成性フラン類を製造するための脱水ステップを含み、その全て又は一部がこの酸化的前処理ステップに用いられる(例えば、同時供給のための酸化的前処理供給材料の成分として、又は同時供給のためのストリームとして)。脱水ステップは、バッチ式で行うことができ、これによってFDCA形成性フラン類は回収され、断続的に酸化的前処理ステップに移送されるが、好ましくは脱水ステップは、連続的に移送されて連続的に行われる。このため、いずれにしても、この方法の上流ステップは、前述の六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物を含む脱水供給材料を脱水することを含むことができる。この脱水供給材料(例えば、フルクトース水溶液)は、約5重量%~約50重量%、例えば約10重量%~約30重量%、又は約5重量%~約35重量%の乾燥固体濃度を有することができ、且つ/又は少なくとも90重量%の純度を有するフルクトース(例えば、97重量%のフルクトース)などの六炭糖の精製された供給源から調製することができる。
脱水は、ブレンステッド酸源(米国特許第10,538,499号に記載の統合された脱水-Mid Century触媒による酸化の順序の状況で使用され再利用されるHBrなどの臭素源であってよく、又はこれを含むことができる)とFDCA形成性フラン類用の溶媒との存在下で行うことができ、高温において、HMF及び/又はその誘導体などのFDCA形成性フラン類を含む酸化的前処理供給材料を生成するのに十分な時間で行うことができる。溶媒によるが、誘導体としては、エステル誘導体、エーテル誘導体、及び/又はHMF二量体を挙げることができる。脱水ステップで形成された生成物(脱水生成物)の一部及び全てを成分として含む酸化的前処理供給材料は、一般に少なくとも一部の溶媒も含む。すなわち、脱水ステップに用いられる酢酸及び水の混合物などの溶媒の全て又は一部を、このステップで生成する水の全て又は一部に加えて、酸化的前処理ステップに通すことができる。別の場合では、溶媒は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、又は高級アルコール、又は場合により環状若しくは複素環式炭化水素化合物(例えば、ジオキサン)を含むことができる。溶媒は、好ましくは、酸化的前処理ステップの後の酸化ステップ後に分離されて、本明細書に記載のFDCAを含むモノマー組成物に加えて、脱水ステップに戻される溶媒再循環ストリームが得られる。この再循環ストリームは、一般にブレンステッド酸源(例えば、HBr)も含む。溶媒再循環ストリームは、一般にFDCA形成性フラン類をさらに含み、このため脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の総量は、脱水ステップを通過する1パスで新しく生成された部分(すなわち、「1パス当たりの変換」に基づく)と、下流酸化ステップから再循環して戻された部分とを含むことができる。
臭素源が脱水ステップに用いられる場合、その臭素源、及び酸化的前処理ステップにおいて酸化剤として用いることができるあらゆる臭素源は、一般に、反応混合物中に臭化物イオン又はラジカルを形成するあらゆる化合物であってよい。いずれかのステップで用いるための代表的な臭素源としては、臭化水素、臭化水素酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭素分子、臭化ベンジル、及びテトラブロモエタンが挙げられる。臭化水素が用いられる場合(例えば、少なくとも一部が、米国特許第10,538,499号(臭素源が用いられる特定の脱水方法の記述に関して参照により本明細書に援用される)に記載の統合された方法の状況で再循環された臭化水素の形態)、この化合物は、脱水供給材料及び溶媒の存在下で、解離して臭化水素酸を形成して、脱水ステップにおける酸触媒として機能することができる。ある他の実施形態では、臭化1-アルキルピリジニウム及び臭化1,3-ジアルキルイミダゾリウムなどの臭素源は、酢酸及び水を含む溶媒の存在下で促進剤として有用となりうる。したがって、特定の臭素源とは無関係に、脱水ステップによって脱水生成物が得られ、その一部又は全てを次の酸化的前処理ステップの成分として用いることができる。
モノマー組成物を製造するための前処理された脱水生成物の酸化
代表的な方法は、酸化供給材料を、酸素の存在下で、酸化触媒と接触させて、本明細書に記載のFDCAを含むモノマー組成物を得る酸化ステップを含む。酸化供給材料は、本明細書に記載の前処理された脱水生成物、又はこの生成物の少なくとも一部、例えば前述のフミン類の除去の後に得られる部分を含むことができる。酸化供給材料は、最初に脱水供給材料の調製に用いた溶媒の全て又は一部及び/又は少なくとも1つの臭素含有種をさらに含むことができる。酸素は、供給源として、空気、精製酸素、又は他の酸素含有供給材料を用いて得ることができる。酸化ステップは、バッチ式で行うことができるが、好ましくは、少なくとも前処理された脱水生成物(又はその一部)、酸素含有供給材料、及び任意に触媒が、連続的に酸化反応器に供給され、モノマー組成物がこの反応器から連続的に抜き取られて連続的に行われる。
特定の方法は、酸化供給材料を、金属含有触媒及び酸素含有供給材料と、高温において、FDCA及び/又はその誘導体、溶媒、並びに残留触媒を含むモノマー組成物を酸化生成物として得るのに十分な時間接触させることを含むことができる。米国特許第10,538,499号に示されるように、例えば、Mid Centuryプロセス型酸化に必要な臭素の一部又は実質的に全てを、前の脱水ステップで調製された酸化供給材料中の臭素含有種(再循環されるHBrなど)によって供給することができる。代表的な臭素含有種としては、無機臭化物、例えばHBr;金属臭化物、例えば臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化コバルト、及び臭化マンガン;並びに有機臭化物、例えば5-(ブロモメチル)フルフラール及びその誘導体、及び臭素化フランオリゴマーが挙げられる。脱水ステップ及び/又は酸化的前処理ステップからの酸化供給材料中の臭素含有種によって得られる特定の臭素含有量を得るために必要であれば、補助的な臭素源を酸化ステップに導入(例えば、酸化反応器に供給)することができる。
均一(液相)酸化触媒の場合、特に金属含有触媒が、酸化供給材料中のHMF及び/又は他のFDCA形成性フラン類(例えば、HMFエステル及び/又はHMFエーテル)(脱水ステップに用いられる溶媒による)をFDCA及び/又はその誘導体に変換するために有効となりうる。これらの金属含有触媒は、これとは別に、又は同様に、本明細書に記載の脱水生成物中のフミン類を変性するための酸化的前処理に(例えば、モノマーを形成するための酸化に用いられる条件よりも穏やかな条件下で)用いることができる。酸化的前処理及び/又は酸化ステップのいずれか又は両方に用いるための代表的な金属含有触媒は、1つ以上の遷移金属、例えば、Co及びMnのいずれか又は両方を、任意にZr、Ce、Zn、Mo、Bi、V、及び/又はNiとの組み合わせで含むことができる。金属含有触媒は、前述の臭素含有種中に存在する臭素と反応して、その場で金属臭化物を形成することができる。特定の実施形態によると、金属触媒は、酸化的前処理反応器又は酸化反応器(前述のように同じ容器又は異なる容器を含むことができる)中に含まれる反応混合物中に存在することができ、1つ以上の遷移金属の濃度は、独立して、約5重量ppm~約10,000重量ppm、例えば約10重量ppm~約8,000重量ppm、又は約50重量ppm~約5,000重量ppmの範囲内である。例えば、Coは反応混合物中に約10重量ppm~約10,000重量ppm、約10重量ppm~約8,000重量ppm、約59重量ppm~約5,900重量ppm、又は約2,000~約4,000重量ppmの濃度で存在することができる。Mnは反応混合物中に約5重量ppm~約10,000重量ppm、約5重量ppm~約8,000重量ppm、約55重量ppm~約5,500重量ppm、又は約200~約1,000重量ppmの濃度で存在することができる。臭素含有種及び/又は臭素源から得られる臭素は、反応混合物中に約0.1重量ppm~約20,000重量ppm、約200重量ppm~約20,000重量ppm、約10重量ppm~約10,000重量ppm、又は約1,000重量ppm~約2,000重量ppmで存在することができる。
両方のステップで同じ反応器が用いられる場合でも、酸化的前処理に用いられる条件と比較して少なくとも1つの点で一般に異なる、酸化条件、又は酸化反応器中で維持される条件は、約120℃~約250℃、例えば約170℃~約190℃の温度、及び約0.02bar~約100bar、約0.02bar~約21bar、約0.2bar~約100bar、又は約0.2bar~約21barの酸素分圧を含むことができる。酸化反応器中の全絶対圧力は、約1bar~約200bar、例えば約5bar~約100bar又は約10bar~約20barであってよい。酸化ステップからのモノマーのモル収率、例えば酸化供給材料中のFDCA形成性フラン類を基準としたFDCAのモル収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%であってよい。酸化ステップの後、結果として得られるFDCAを含むモノマーは、さらなる精製のために、溶媒を含む酸化反応混合物から分離することができる。モノマーが分離される溶媒の少なくとも一部は、次に、未変換のFDCA形成性フラン類の少なくとも一部とともに脱水反応器に戻して再循環することができる。FDCAは、穏やかな条件下で酢酸又は酢酸と水との混合物を含む溶媒に対しては主として不溶性であるので、このような溶媒を使用する実施形態におけるFDCAの分離は、濾過及び/又は酸化反応混合物からの沈殿の後の遠心分離によって容易に行うことができる。モノマーを形成するための特定の酸化方法は、例えば米国特許第10,538,499号(このような方法の開示に関して参照により援用される)に記載されている。
モノマーのエステル化
エステル誘導体を形成するためのFDCAなどのモノマーのエステル化ステップは、これらのモノマーを、エステル化剤、例えばアルコール、例えばジメチルエステルが望ましい場合はメタノール、又はジエチルエステルが望ましい場合はエタノール、又は場合によりジフェニルエステルが望ましい場合はフェノールと反応させることを含む。FDCA又は別のモノマーと、適切なアルコール、又はフェノールとの反応は、高沸点溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、FDME、γ-ブチロラクトン、イソソルビド又はそのジメチルエーテル、プロピレンカーボネート、アジピン酸、イソホロン、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、aromatic 200 fluid、ブチルフェニルエーテル、メチルヘプチルケトン、エチルフェニルケトン、2’-ヒドロキシアセトフェノン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレンなど)を含むエステル化反応混合物中、適切なエステル化条件下で行うことができる。これらは、約30℃(86°F)~約350℃(662°F)の温度、及びほぼ大気圧から約3.5メガパスカル(MPa)までの圧力を含むことができ、エステル化反応は、FDME又は他のエステル誘導体を分離するために蒸留(反応蒸留プロセスによる)とともに行うことができる。
好ましい実施形態では、酸化により得られるFDCAを含むモノマー組成物のエステル化ステップは、モノマー組成物、又はその分離された分画(例えば、全体として酸化によって直接得られるモノマー組成物に対してFDCAに富む分画)をエステル化剤としてのメタノールと反応させることを含む。これによって、FDMEを含むエステル化モノマー組成物を得ることができ、これは、親ジカルボン酸であるFDCAよりも沸点が低く、FDMEの蒸留による分離を行いやすくなるので、望ましいエステル誘導体モノマーとなりうる。
FDCA又はエステル化誘導体を含むモノマー組成物からのポリマーの形成
FDCA及び/又はその誘導体を含むモノマー組成物は、ポリマー、特にFDCA関連部分(例えば、フランジカルボキシレート部分)を有するバイオベースコポリマーの形成に用いることができる。一般に、ポリエステルを生成するための代表的なポリマー形成ステップは、(i)本明細書に記載のFDCA若しくはその分離された分画を含むモノマー組成物をエステル化すること、又は(ii)本明細書に記載のエステル化モノマー組成物(例えば、FDMEを含む)若しくはその分離された分画のエステル交換を行うことと、(i)若しくは(ii)のいずれかの後に、重縮合によって重合させることとを含むことができる。代表的なポリエステルポリマー形成ステップは、本明細書に記載のモノマー又はエステル誘導体モノマー、例えばモノマーFDCA又はエステル誘導体モノマーFDMEを、ジオールなどの適切なコモノマーと重合させることを含む。例えば、エチレングリコールをコモノマーとして用いて、FDCA又はFDMEからポリ(エチレンフランジカルボキシレート)(PEF)を生成することができる。コモノマーである1,3-プロパンジオールを用いて、FDCA又はFDMEからポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)を生成することができる。
特定の方法は、FDCAとコモノマーとの反応生成物などのエステル化中間体、又はFDMEとコモノマーとの反応生成物などのエステル交換中間体であるプレポリマーを含む前駆体組成物の製造を含むことができる。エステル化中間体又はエステル交換中間体のいずれであってもこのプレポリマーは、末端アルコール基(例えば、FDCAの末端カルボキシレート基又はFDMEの末端メチル基以外)で官能化され、それによって次に重縮合に供されて、本明細書に記載のコポリマー、特にポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーを得ることができる。したがって、ポリエステルポリマー(例えば、コポリエステル)の生成方法は、どちらも中間体(プレポリマー)を生成する第1のエステル化又はエステル交換ステップ、続いて第2の重縮合ステップを含むことができる。第1のステップは、約150℃(302°F)~約250℃(482°F)の温度においてエステル化/エステル交換触媒を用いて、出発モノマー又はエステル誘導体モノマーの濃度が約3モル%未満に低下するまで行うことができる。この触媒は、ポリマー形成反応混合物中、出発モノマー又はエステル誘導体に対して約0.01モル%~約0.2モル%の濃度で存在する有機スズ(IV)化合物を含むことができる。したがって、本明細書に記載のプレポリマーは、2つのジオールモノマーと、結果として得られるポリマーの主鎖中に最終的に存在する、フランジカルボキシレート部分を有する1つのモノマーとの反応生成物であってよい。
中間体(プレポリマー)を形成するための対象となる他のジオールとしては、FDCAのように、イソヘキシド(isohexides)の場合などに、生物由来であってよいジオールが挙げられる。これらの化合物は、C及びCの環位置におけるヒドロキシル基の配向のみが異なる二環式の剛直なジオールであり、これらはヘキシトールの脱水環化によって得ることができる。例えば、イソマンニドはマンニトールから得ることができ(エンド-エンド)、イソソルビド(エクソ-エンド)はソルビトールから得ることができ、イソイジド(エクソ-エクソ)はイジトールから得ることができる。特定のジオールとは無関係に、形成される中間体(プレポリマー)は、任意に、第1の反応ステップの反応混合物から単離することができるが、一般にはこれは必要ではない。重縮合の第2のステップは、触媒を用いて、減圧下(例えば、100パスカル(Pa)以下)で、得られるコポリマーの融点からこの温度より約30℃(54°F)高い温度までの範囲内の温度、好ましくは少なくとも約180℃(356°F)の温度で行うことができる。重縮合触媒は、スズ(II)化合物、例えば酸化スズ(II)又は有機スズ(II)化合物を含むことができる。別の場合では、チタン、又はキレートチタン化合物であって、アルコキシド、例えばプロポキシド若しくはtert-ブトキシドを含むことができる種々の配位子を有するキレートチタン化合物などのチタンをベースとする触媒を用いることができる。したがって、代表的な触媒はチタン(IV)プロポキシド及びチタン(IV)tert-ブトキシドである。
FDCA又はその誘導体は、ポリエステルポリマー以外のポリマーの形成に用いることもできる。例えば、FDCA又はその誘導体を、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えば、ジアミン)と反応させて、FDCA関連部分を有するポリアミドを生成する場合、ポリアミドポリマーを形成することができる。適切なコモノマーとしては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、及びパラフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。また前述のように、ポリエステルポリマーの形成にFDCAの誘導体を用いることができる。例えば、コモノマーとしての、FDCAのヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えば、FDCAのジオール誘導体)を、ポリ酸(例えば、FDCA)と反応させて、FDCA関連部分を有するポリエステルを生成する場合、ポリエステルポリマーを形成することができる。FDCAのヒドロキシル誘導体である適切なコモノマーとしては、フラン2,5-ジオール及びフラン2,5-ジメタノールが挙げられる。
FDCA又はその誘導体は、例えば、コモノマーとしての、FDCAのヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えば、ジオール誘導体)をポリイソシアネートと反応させて、FDCA関連部分を有するポリウレタンを生成する場合、ポリウレタンポリマーの形成に用いることができる。FDCAのヒドロキシル誘導体である適切なコモノマーとしては、ポリエステルポリマーの形成に関して前述したものが挙げられる。適切なポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、特に芳香族ジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、及びポリマーメチレンジイソシアネートが挙げられる。別の実施形態では、コモノマーとしてのFDCAのアミノ誘導体(例えば、ジアミノ誘導体)を、ポリ酸(例えば、FDCA)と反応させて、FDCA関連部分を有するポリアミドを生成する場合、ポリアミドポリマーを形成することができる。FDCAのアミノ誘導体である適切なコモノマーとしては、フラン2,5-ジアミン及びフラン2,5-ジアルキルアミン、例えばフラン2,5-ジメタンアミン(furan 2,5-dimethanamine)が挙げられる。他の実施形態では、FDCAのアシル誘導体(例えば、FDCAのジアシルクロリド誘導体)を、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えば、ジアミン)と反応させて、FDCA関連部分を有するポリアミドを生成する場合、ポリアミドポリマーを形成することができる。FDCAの適切なアシル誘導体としては、フラン2,5-ジホルミルクロリド及びフラン2,5-ジアルキルクロリド、例えばフラン2,5-ジアセチルクロリドが挙げられる。適切なコモノマーとしては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、及びパラフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。他の実施形態では、FDCAのイソシアネート誘導体(例えば、FDCAのジイソシアネート誘導体)を単独で、又は少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー(例えば、ジオール)と組み合わせて反応させて、FDCA関連部分を有するポリウレタンを生成する場合、ポリウレタンポリマーを形成することができる。FDCAの適切なイソシアネート誘導体としては、フラン2,5-ジイソシアネート及びフラン2,5-ジアルキルイソシアネート、例えばフラン2,5-ジメタンイソシアネート(furan 2,5-dimethanisocyanate)が挙げられる。適切なコモノマーとしては、ポリエステルポリマーを最終的に生成するために用いられる中間体(プレポリマー)の形成に関して前述したものなどのジオールが挙げられる。さらに他の実施形態では、FDCAのヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えば、FDCAのジオール誘導体)をホスゲンと反応させて、FDCA関連部分を有するポリカーボネートを生成する場合、ポリカーボネートポリマーを形成することができる。FDCAの適切なヒドロキシル誘導体としては、ポリエステルポリマーの形成のコモノマーに関して前述したものが挙げられる。
前述のように、酸化的前処理におけるフミン類の変性によって得られる利点、特に色の減少及び色安定性の向上などの改善された性質によって得られる利点は、有利なことには、本明細書に記載の下流生成物、例えば、FDCAを含むモノマー組成物、FDCAのエステル化誘導体(例えばFDME)を含む組成物、プレポリマー(例えば、FDCAのエステル化誘導体及びエステル交換誘導体)を含む組成物、及びバイオベースコポリマーにまで及ぶことができる。
以下の実施例は、本発明の代表として示される。これらの実施例は、説明的なものであって、添付の請求項によって規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
実施例
脱水生成物の色に対する酸化剤を用いた酸化的前処理の影響
10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水によって得られる生成物を種々の酸化剤で処理することについての影響を評価するために実験を行った。これらの酸化剤と、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対する(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対する)モルパーセント値及びモル酸化当量パーセント値で表される使用量とを以下の表1にまとめている。
Figure 2023545706000001
それぞれの場合で、酸化剤が、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、5モル%の使用量の試料の場合は内容物を室温で2~3時間撹拌し、10モル%の使用量の試料の場合は内容物を室温で終夜撹拌した。これらの時間の酸化後、試料は、フミン類、及び「経路上の」フラン類、すなわちFDCA形成性フラン類のHMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体に関して分析された。これらの分析に基づくと、フミン類の収率、及びFDCA形成性フラン類の収率への影響は最小限であった。10モル%の使用量の試料の場合でさえも、酸化後に、最初のフミン類の量の約80~95重量%が維持された。5モル%の使用量の試料の場合、これらの収率はさらに高かった。酸化剤を有しない対照試料によって、酸化前後の時間における分析によるフミンの収率が100重量%であることを確認した。さらに、FDCA形成性フラン類の収率は、全ての場合でほぼ100モル%であり、対照試料を分析して、FDCA形成性フラン類に対しても100モル%の収率であることを確認した。
UV波長及び360ナノメートル(nm)~710nmの可視波長にわたるこれらの試料のそれぞれの吸収スペクトルを評価し、対照試料と比較すると、これらの波長にわたってほとんどの場合吸収の減少を示したが、これは一般により薄い色に対応している。10モル%の使用量の試料の特定の吸収測定を460nmで行うと、吸光度が、未処理の脱水生成物又は出発組成物を表す対照試料の約42%までの低い値に減少する結果を示した。この吸光度の最大の減少は、酸化剤としてKBrOを用いて実現された。しかしながら、一般には対照試料と比較して80%以下、場合によっては60%以下の吸光度値が得られた。酸化当量のモル%当たりの460nmにおける吸光度の変化も評価した。これに基づくと、過酸化水素(H)及びmCPBA(メタ-クロロペルオキシ安息香酸)が最も有効な酸化剤であった。
酸化剤としての臭素源
水溶液中でBrイオンを生成する臭素源としての臭素分子(Br)についても、前述の脱水生成物、すなわち、10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水で得られる脱水生成物の色に対する影響を調べた。それぞれの場合で、種々の量のこの臭素源/酸化剤が、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、内容物を室温で終夜撹拌した。これらの種々の量は、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対する(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対する)種々のモル酸化当量パーセント値に対応した。最大50モル%の酸化当量で、酸化後に最初のフミン類の量の95重量%を超えて維持されたので、フミンの収率への影響は最小限であった。この使用量でも、FDCA形成性フラン類の収率は80モル%を超え、460nmの波長を有する光で測定した吸収は、前処理された脱水生成物の場合、出発脱水生成物で測定した吸収の約60%であった。約90モル%の酸化当量の使用量では、フミン類及びFDCA形成性フラン類の収率は、それぞれ約95重量%及び60モル%未満まで低下した。しかしながら、460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約30%であった。したがって、前処理された脱水生成物の色を大幅に減少させることができ、同時にこの生成物中に存在するFDCA形成性フラン類の量に、中程度又は無視できる程度しか影響を与えない限りにおいて、Brの供給源は有効な酸化剤/漂白剤となりうることが分かる。フミン類の量も実質的に維持された。理論によって束縛されるものではないが、水溶液中のBrの供給源は、酸化的前処理/漂白のある段階で酸化してBrになることができ、次にこの酸化した形態はフミン類の選択的漂白に寄与できると考えられる。
触媒及び/又は酸を任意に有する酸化剤としての過酸化水素
触媒金属Co及び/若しくはMnの添加、並びに/又は硝酸(HNO)の添加がある場合及びない場合で、前述の脱水生成物、すなわち、10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水で得られる脱水生成物の色に対する、酸化剤の過酸化水素(H)の影響を特に調べた。触媒又は酸がない場合、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対して)10モル%、15モル%、20モル%、30モル%、及び40モル%となるHの量が、それぞれの場合で、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、内容物を室温で3日間維持した。これらの試料の調製を繰り返し、別々の酸化的前処理ステップを50℃で4時間行った。室温及び高温の両方の実験において、前処理された脱水生成物は、Hの使用量を増加させると、目視観察に基づいて徐々に色が薄くなることを示した。また、30モル%のHの使用量において、室温及び高温の両方の実験で、フミン類及びFDCA形成性フラン類の両方の収率は、好都合なものであり、最初の脱水生成物に対して、それぞれ、80重量%及び90モル%以上であった。またこの使用量において、室温及び50℃の酸化的前処理の後に得られた前処理された脱水生成物の場合、460nmの波長を有する光で測定した吸収は、それぞれの場合で、出発脱水生成物で測定した吸収の約36%であった。40モル%のHの使用量では、FDCA形成性フラン類の収率の低下がさらに顕著となった。
これらの結果を考慮して、触媒金属のCo及び/若しくはMnの添加、並びに/又は硝酸の添加の影響をさらに調べるために、30モル%のHの使用量を選択した。金属はそれらの可溶性酢酸塩の形態で加えた。特に、さらなる実験によると、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対して)30モル%の量のHが、それぞれの場合で、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられた。このHの使用量に加えて、別のバイアルに、(i)FDCA形成性フラン類に対して2モル%となるCo、(ii)FDCA形成性フラン類に対して2モル%となるMn、(iii)FDCA形成性フラン類に対してそれぞれ2モル%となるCo及びMn、(iv)FDCA形成性フラン類に対して0.5モル%となるHNO、(v)FDCA形成性フラン類に対してそれぞれ2モル%及び0.5モル%となるCo及びHNO、(vi)FDCA形成性フラン類に対してそれぞれ2モル%及び0.5モル%となるMn及びHNO、並びに(vii)FDCA形成性フラン類に対してそれぞれ2モル%となるCo及びMn、及びFDCA形成性フラン類に対して0.5モル%となるHNOを加えた。これらのバイアルの内容物を、それぞれの場合で終夜撹拌しながら室温で維持した。脱水生成物を含み、H、触媒、又は金属は加えていない以外は、同じ条件下で維持した対照バイアルと比較すると、バイアル(i)~(vii)は、目視観察に基づいて全て色が薄くなった。
前述の脱水生成物、すなわち10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水で得られる脱水生成物の色に対する、FDCA形成性フラン類に対して2モル%となるCoとの組み合わせにおける、影響に関する、種々の使用量のHの影響をさらなる実験によって調べた。それぞれの場合で、この酸化剤及び触媒が、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、内容物を室温で3日間維持した。Coは、その可溶性酢酸塩の形態で加えた。20モル%のHの使用量において、フミン類及びFDCA形成性フラン類の両方の収率は好都合なものであり、最初は、脱水生成物に対してそれぞれ80重量%及び95モル%以上であった。また、この使用量において、前処理された脱水生成物の460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約40%に減少した。40モル%のHの使用量において、FDCA形成性フラン類の収率は、依然として95モル%を超え、前処理された脱水生成物の460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約20%まで減少した。
より多い乾燥固体含有量を有する脱水供給材料から得られる脱水生成物
この場合は20重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水から得た脱水生成物の色に対する過酸化水素の影響を調べるために、さらなる実験を行った。他の実験で調べたものより多いこの乾燥固体含有量のために、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対して)200モル%となる、より多い量のHが用いられた。それぞれの場合で、この酸化剤が、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、内容物を室温で3日間維持した。50モル%に近いHの使用量において、フミン類及びFDCA形成性フラン類の両方の収率は好都合なものであり、最初は、脱水生成物に対してそれぞれ95重量%及び85モル%以上であった。また、これらの使用量において、前処理された脱水生成物の460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約60%に減少した。80~100モル%のHの使用量において、FDCA形成性フラン類の収率の低下がさらに顕著になった。
前述の乾燥固体のより多い含有量を有する供給材料から得た脱水生成物、すなわち、20重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水から得られた脱水組成物の色に対する、FDCA形成性フラン類に対して20モル%となるCoとの組み合わせにおける、影響に関する種々のHの使用量の影響をさらなる実験によって調べた。この場合も、他の実験で調べたものより多いこの乾燥固体含有量のために、脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して(又は脱水供給材料中のフルクトース糖に対して)200モル%となる、より多い量のHが用いられた。それぞれの場合で、この酸化剤及び触媒が、20mlのシンチレーションバイアル中の1~2mlの脱水生成物に水中で加えられ、内容物を室温で3日間維持した。Coは、その可溶性酢酸塩の形態で加えた。50モル%に近いHの使用量において、フミン類及びFDCA形成性フラン類の両方の収率は好都合なものであり、最初は、脱水生成物に対してそれぞれ80重量%及び95モル%以上であった。また、この使用量において、前処理された脱水生成物の460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約32%に減少した。100モル%のHの使用量において、FDCA形成性フラン類の収率は約90モル%であり、前処理された脱水生成物の460nmの波長を有する光の吸収を測定すると、出発脱水生成物で測定した吸収の約18%に減少した。20重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水から得た脱水生成物の場合、酸化的前処理は、フミン分子量の低下に有効であることが分かり、一方、10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料から得た脱水生成物を用いた実験ではこの効果は確認されなかった。
FDCA形成性フラン類の次の酸化に対する酸化的前処理の影響
酢酸及び水の溶媒系の存在下でのフルクトースの脱水によって得られる生成物の代表のFDCA形成性フラン類、すなわち、「経路上の」フラン類のHMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体の次の酸化に対する酸化的前処理の影響を評価するための実験を行った。未処理(ベースライン)の脱水生成物及び前処理された脱水生成物を比較実験に使用し、それぞれが、この溶媒系の溶液中に8.5重量%のこれらの化合物を含んだ。それぞれの場合で、実験に用いる酸化反応器に、コバルト、マンガン、及び臭素をそれぞれ1000重量ppm、932重量ppm、及び1926重量ppmの濃度で含む均一触媒組成物を投入する。酸化反応条件は、180℃の温度及び15.2bar(220psi)の全圧を含み、脱水生成物及び空気の、酸化反応器への供給速度は、0.9ミリリットル/分(ml/分)及び550標準立方センチメートル/分(sccm)にそれぞれ維持され、目標反応時間は150分であった。この目標反応時間は、すなわち各実験における反応が行われる最大時間であり、酸素消費の減少によって示される「着火」(light off)の減少の場合に、より短い反応時間となる可能性がある。各反応の後、酸化反応器の内容物を分析して、存在するFDCAの量、並びにFDCA形成するためのさらなる酸化が行われる能力に関してそれでも価値のある反応生成物であるFDCA形成性中間体、例えば5-ヒドロキシメチル-2-フランカルボン酸及び5-ホルミル-2-フランカルボン酸の量を求めた。
重要なことには、ベースライン実験は、反応の着火(light off)がなくなり、さらなる変換が起こらない時間である約120分でのみ行われた。対照的に、前処理された脱水生成物を用いると、150分の目標反応時間のほぼ全てまで反応を維持することができた。したがって、この生成物の使用によって、有利には、FDCA形成性フラン類からFDCAへの酸化に対する安定化効果が得られた。
酸化剤/条件の研究による結果
これらの結果を考慮し、酸化前後のフミン類の維持に基づくと、これらの汚染物質の色特性は、化学量論量以下(sub-stoichiometric amount)のときでさえも、研究した化学酸化剤の存在のために(フミンの「漂白」によって)変化することが分かった。酸化条件は、FDCA形成性フラン類に対するフミン官能基の選択的酸化の実現によって調節することができ、多くの場合フミン含有量に対する影響は最小限であった。また、可溶性Co及び/又はMnなどの触媒の使用によって、特定の系の場合で、酸化(漂白)率、及びフミン官能基に対する酸化選択性を増加させることができる。酸化を促進するために、温度上昇を用いることもできる。さらに、より多い乾燥固体含有量の供給材料から得た脱水生成物中により多い量で存在する、より高分子量のフミン類を効果的に酸化するためには、はるかにより多い使用量の酸化剤が必要であった。さらに、10重量%の乾燥固体を有する脱水供給材料を用いたフルクトースの脱水から得た500グラムの脱水生成物にスケールアップして処理するために、FDCA形成性フラン類を基準とするモルパーセント値で1モル%のCo-Mn-HNO触媒系及び30モル%のHを使用する酸化的前処理ステップが選択された。したがって、この触媒系の効率が試験的/実証的規模で示された。
本開示から得られる知識を用いて、当業者は、フミン類の選択的酸化/漂白を実現するために広範囲の酸化剤の使用における条件及び触媒を効果的に調整することができ、それによって、FDCA形成性フラン類からFDCAへの酸化における改善された安定性及び他の有益な効果の実現などの本明細書において教示される利点を得ることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、これら及びその他の利点を得ることにおいて、酸化的前処理の処理ステップ、酸化剤、触媒、及び条件に対して種々の変更が可能であることも認識されよう。

Claims (20)

  1. 六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物の脱水生成物の前処理方法であって:
    酸化的前処理ステップにおいて、前記脱水生成物を酸化剤に接触させて、前記脱水生成物中に存在するフミン類を変性させることによって改善された性質を有する前処理された脱水生成物を得ることを含み、
    前記前処理された脱水生成物中の2,5-フランジカルボン酸(FDCA)形成性フラン類の収率が少なくとも約80モル%である、方法。
  2. 前記改善された性質が、紫外線又は可視光の吸収の減少、下流生成物の色の減少、フミン類の平均分子量の低下、沈殿するフミン類の量の増加、又はFDCAを生成するための酸化供給材料としての安定性の増加である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記改善された性質が、460ナノメートル(nm)の波長を有する光の前記吸収の前記減少である、請求項2に記載の方法。
  4. 460nmの波長を有する光の前記吸収が、前記脱水生成物の吸収の約60%以下である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記酸化剤が、遷移金属酸化物(例えば、酸化マンガン)、アルカリ金属オキシハロゲン化物又はアルカリ土類金属オキシハロゲン化物(例えば、オキシ塩化ナトリウム)、アルカリ金属過炭酸塩又はアルカリ土類金属過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム)、アルカリ金属過マンガン酸塩又はアルカリ土類金属過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム)、アルカリ金属塩素酸塩若しくは過塩素酸塩又はアルカリ土類金属塩素酸塩若しくは過塩素酸塩(例えば、過塩素酸カリウム)、アルカリ金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩又はアルカリ土類金属臭素酸塩若しくは過臭素酸塩(例えば、臭素酸カリウム)、アルカリ金属ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩又はアルカリ土類金属ヨウ素酸塩若しくは過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)、アルカリ金属硫酸塩若しくは過硫酸塩又はアルカリ土類金属硫酸塩若しくは過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸水素カリウム、又はOxone(登録商標))、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸又はメタ-クロロペルオキシ安息香酸)、又は酸素である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記酸化剤が、MnO、NaOCl、H、KHSO(Oxone(登録商標))、NaCO・1.5H、メタ-クロロペルオキシ安息香酸、過酢酸、KMnO、NaIO、KBrO、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酸化剤が臭素源である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記酸化的前処理ステップにおいて、前記脱水生成物中のFDCA形成性フラン類に対して、約5モル%~約70モル%の酸化当量となる量で、前記酸化剤が存在し、又は加えられる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記酸化的前処理ステップにおいて、平均滞留時間が少なくとも1時間である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記酸化的前処理ステップにおいて、平均温度が約20℃~約120℃である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記酸化的前処理ステップにおいて、触媒の存在下で前記脱水生成物及び前記酸化剤を接触させる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記触媒がCo及び/又はMnを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記Co及び/又はMnが、前記脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の約0.1モル%~約10モル%となる、量で独立して存在する、又は総量で存在する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記触媒が酸を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記酸が、前記脱水生成物中のFDCA形成性フラン類の約0.05モル%~約5モル%となる量で存在する、請求項14に記載の方法。
  16. 2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を含むモノマー組成物の製造方法であって:
    酸化的前処理ステップにおいて、六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物の脱水生成物を酸化剤に接触させて、前処理された脱水生成物を得ることと、
    酸化ステップにおいて、前記前処理された脱水生成物を酸素の存在下で、酸化触媒に接触させて、FDCAを含む前記組成物を得ることとを含み、
    前記酸化ステップにおいて、前記前処理された脱水生成物中のFDCA形成性フラン類を基準としたFDCAの収率が、少なくとも約60モル%である、方法。
  17. 前記酸化的前処理ステップに用いられる酸化的前処理温度が、前記酸化ステップに用いられる酸化温度よりも低い、請求項16に記載の方法。
  18. 前記酸化的前処理温度が約20℃~約120℃である、請求項17に記載の方法。
  19. 2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を含むモノマー組成物の製造方法であって:
    酸化的前処理ステップにおいて、六炭糖単位を有する1つ以上の炭水化物の脱水生成物を酸化剤に接触させて、前処理された脱水生成物を得ることと、
    酸化ステップにおいて、前記前処理された脱水生成物を酸素の存在下で、酸化触媒に接触させて、FDCAを含む前記組成物を得ることとを含み、
    前記脱水生成物中のFDCA形成性フラン類を基準とした、加えられる又は存在する前記酸化剤の量が、(i)前記脱水生成物を得るための脱水ステップに供される脱水供給材料の乾燥固体含有量、又は(ii)前記脱水生成物のフミン含有量に基づいて調節される、方法。
  20. 前記脱水供給材料の前記乾燥固体含有量が約5重量%~約35重量%である、請求項19に記載の方法。
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