JP2023544942A - ナノ粒子プローブ及び核酸検出におけるその使用 - Google Patents
ナノ粒子プローブ及び核酸検出におけるその使用 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子を用いて、サンプル中の標的核酸分析物(例えば、病原体、又はウイルス核酸)の存在を検出するための方法を提供し、少なくとも3つの異なるオリゴヌクレオチドプローブの標的分析物中の少なくとも3つの異なる標的配列へのハイブリダイゼーションは、ナノ粒子の凝集及び目に見える色の変化を引き起こす。また、本発明は、そのようなオリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団及び標的核酸分析物の検出のための関連キットを提供する。【選択図】図1D
Description
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年6月9日に提出されたEP20382499.0の優先権を主張し、その内容及び要素は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
本願は、2020年6月9日に提出されたEP20382499.0の優先権を主張し、その内容及び要素は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、標的核酸の検出に関し、特に、SARS-CoV-2などの微生物又はウイルスの核酸の検出に関する。
「COVID-19」
COVID-19は、コロナウイルス重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる重度の呼吸器疾患である。2019年12月に中国の湖北省の省都、武漢で最初に確認された。その発生から急速に広がって世界的に定着し、現在のパンデミックを引き起こし、数万人が死亡し、数十万人ないしは数百万人が感染しており、そして普遍的な混乱と世界的な経済不況を引き起こしている。
COVID-19は、コロナウイルス重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる重度の呼吸器疾患である。2019年12月に中国の湖北省の省都、武漢で最初に確認された。その発生から急速に広がって世界的に定着し、現在のパンデミックを引き起こし、数万人が死亡し、数十万人ないしは数百万人が感染しており、そして普遍的な混乱と世界的な経済不況を引き起こしている。
新たな流行又はパンデミックの管理に成功するためのカギは、症状があるかどうかに関わらず、感染した個人を特定し、隔離することである。パンデミックの発生と確立に伴い、社会の継続的な機能を確保するためには、開発とその後、疾患に対する特異的抗体の検出により、すでに感染しているが、軽症、混乱又は症状がないために気付いていない個人を、免疫ができた個人として特定する必要がある。効果的なワクチン又は治療法を欠く場合に、感染管理の最前線にあるのは検査である。
現在、SARS-CoV-2検査には主に3つのタイプ(抗原、抗体、遺伝子)があり、特性、長所、短所が大きく異なる。抗原検査は、ウイルスの部分(通常はタンパク質)を検出するもので、現在採用されている最も一般的な迅速検査でもある。しかし、他の関連タンパク質との交差反応性のために、これらの検査は遺伝子検査に比べてかなり正確さが低い傾向にある。抗体検査の方も、ウイルスに対する抗体(IgG又はIgM)の存在を検出する迅速な検査であり、一般に抗原検査よりも特異的であるが、感染後10~14日までに抗体が現れないため、最も感染力の強い時期の患者を検出できない。ウイルス検査のゴールド・スタンダードは、依然としてウイルスの特異的核酸(RNA)配列を検出する遺伝子検査である。現在、市場に出回っている全ての遺伝子検査はPCRに基づく。当該技術のターン・アラウンド・タイムが徐々に改善されるとしても、PCRベースの検査は、専門の実験室、高価な装置、試薬、訓練を受けた人員を必要とするため、その拡張性に限界がある。
必要な時にいつどこでも使用できる基礎設備を必要とせずに拡張可能な迅速な遺伝子検査が緊急に必要とされている。本発明は、これら及び他の要望を解決し、本明細書に記載の関連の利点を提供する。
「検出技術」
ナノ粒子を使用する比色センサーは、タンパク質、核酸から小さな有機分子、金属イオンまで、複数の分析物を検出するために使用されている。溶液中の球状の金ナノ粒子(AuNP)は、約520nmまでは局在表面プラズモン共鳴が強いため、赤く見える。AuNPの凝集は、電気双極子-双極子相互作用及び隣接する粒子のプラズモン間の結合を誘導し、表面プラズモンバンドが523nmから610~670nmにシフトすることに対応して、色はピンクから青/紫又は透明に変化する(図1)。
ナノ粒子を使用する比色センサーは、タンパク質、核酸から小さな有機分子、金属イオンまで、複数の分析物を検出するために使用されている。溶液中の球状の金ナノ粒子(AuNP)は、約520nmまでは局在表面プラズモン共鳴が強いため、赤く見える。AuNPの凝集は、電気双極子-双極子相互作用及び隣接する粒子のプラズモン間の結合を誘導し、表面プラズモンバンドが523nmから610~670nmにシフトすることに対応して、色はピンクから青/紫又は透明に変化する(図1)。
比色センサーは多くの利点を有する。それが使用しやすく、一般には、訓練を受けた人員を必要とせずに1つのステップだけで済む。吸光係数が非常に高いため、目に見える色の変化を生じるのに数個のナノ粒子だけを必要とするので感度が高い。さらに、色の変化は肉眼でも検出できるため、複雑なあるいは高価な分析機器を必要としない。最近、SARS-CoV-2のN遺伝子の一部を検出するために、比色測定が用いられている(参考文献6)。
しかしながら、単一のプローブ又は2つのプローブの集団に基づく現在の検出システムの殆どは、主要な汚染物質の検出には十分な感度があるが、病原体の検出には感度が不十分であるという感度の制限により、容易に適応するものではない。SARS-CoV-2などの病原体の標的分析物を検出するための改善された方法が必要である。本発明は、これら及び他の要望を解決し、本明細書に記載の関連の利点を提供する。
本発明は、概ね、サンプル中の標的核酸を検出するためのナノ粒子ベースの検出プラットフォームに関する。当該検出プラットフォームは、目に見える色の変化を生じるナノ粒子の標的核酸依存性凝集に基づくものである。驚くべきことに、本発明者らは、標的配列が離間した又は連続的かつ重畳しないよう、標的核酸中の標的配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブ配列を入念に選択することにより、サンプル中の標的核酸の存在又は非存在を迅速で効率的に示すよう、当該検出プラットフォームに十分な感度及び特異度を提供できるということを見出した。たとえ複雑な分析機器がなくても、例えば、場合によっては、数時間又は数分以内に肉眼で見える反応溶液の明確な色の変化を提供する。これは、WO2005/008222に記載されているような、固定されたガラススライドスポットと、導波路と、CMOSセンサーとを必要とする従来の検出プラットフォームに対する喜ばしい改善である。さらに、Moitra et al.,2020では、目に見える色の変化を生じるためにRNAse処理(結果的に高温でのインキュベーション)を必要とする方法が説明されている。
したがって、本発明の第1態様において、サンプル中の標的核酸分析物の存在を検出するための方法を提供し、前記標的核酸分析物は、少なくとも第1、第2及び第3の標的配列を含み、これらの標的配列は、離間した又は連続的かつ重畳せず、当該方法は、オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団を提供することであって、前記集団は、少なくとも、前記第1標的配列にハイブリダイズする第1オリゴヌクレオチドプローブと、前記第2標的配列にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブと、前記第3標的配列にハイブリダイズする第3オリゴヌクレオチドプローブとを含むことと、前記サンプルを含む溶液を前記ナノ粒子の集団に接触させることであって、前記オリゴヌクレオチドプローブ配列と前記標的配列との間の複数の特異的な結合事象が前記ナノ粒子の凝集を引き起こすことにより、前記溶液は標的核酸分析物に依存する目に見える色の変化を生じることとを含む。したがって、本発明の方法は、従来技術の方法で教示されているように基質に固定されるものではなく、「自由浮遊」溶液の中で接触するナノ粒子と標的核酸分析物の検出を採用している。これにより、シンプルなチューブ(例えば、固体及び液体のサンプルと試薬を調製、混合、遠心分離、輸送、保存するためのポリプロピレン製の使い捨てチューブ)でもナノ粒子とサンプルを混合するために使用でき、且つ、検出結果は単純な混合又は振とう後、数分又は数十分以内に肉眼で見える色の変化によって示されるため、検出プラットフォームの製造と使用を大幅に簡素化させる。
いくつかの実施形態において、各タイプのナノ粒子は、1つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブの複数のコピーで機能化される。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、少なくとも3つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブのいずれかの複数のコピーでそれぞれ機能化された複数の異なるタイプのナノ粒子を含む。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、標的分析物中の少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、95個、又は少なくとも100個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列にハイブリダイズする、少なくとも4つのタイプ、5つのタイプ、6つのタイプ、7つのタイプ、8つのタイプ、9つのタイプ、10タイプ、11タイプ、12タイプ、13タイプ、14タイプ、15タイプ、16タイプ、17タイプ、18タイプ、19タイプ、20タイプ、21タイプ、22タイプ、23タイプ、24タイプ、25タイプ、30タイプ、35タイプ、40タイプ、45タイプ、50タイプ、55タイプ、60タイプ、65タイプ、70タイプ、75タイプ、80タイプ、95タイプ、又は少なくとも100タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される。
特定の実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、前記標的分析物中の10個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列に結合する10タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される。
いくつかの実施形態において、前記オリゴヌクレオチドプローブの1つ又は複数(例えば、全て)は、それがハイブリダイズする前記標的配列に完全に相補的である。しかしながら、前記標的配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、例えば、1つ又は複数のミスマッチ(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の塩基のミスマッチ)があるにもかかわらず、特定の実施形態では使用できることが特に考えられる。
いくつかの実施形態において、標的と全ナノ粒子のモル比は、標的特異的なナノ粒子の凝集を可能にするよう選択される。特に、前記標的と全ナノ粒子のモル比は、1:1~0.001:1の範囲にあってもよい。特定の実施形態において、前記モル比は、0.1~0.001の範囲にあってもよい。本明細書において、当該比とは、特定のナノ粒子-プローブのタイプ(「バッチ」)の濃度と標的分析物のモル比である。これは累積プローブ濃度とは異なる。したがって、例えば、10タイプのオリゴヌクレオチドプローブ(10バッチのNP)を有する実施形態では、前記累積比は10:1のプローブ:分析物である可能性があるが、個々のNP-プローブの前記モル比は1:1である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記標的核酸分析物を2つ以上の断片に分解する断片化ステップを含む。場合によっては、前記断片化ステップは、前記サンプルに対する一定時間の超音波処理を含んでもよい。例えば、超音波処理は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、又は少なくとも60秒実施してもよい。
いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、ウイルスRNAを含む。特に、前記標的分析物は、ウイルスゲノムRNA、ウイルスサブゲノムmRNA又はウイルスmRNAを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2 RNAを含む。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2のEタンパク質及び/又はNタンパク質のゲノム配列を含む。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2のE遺伝子及び/又はN遺伝子のsgmRNAを含む。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、リーダーE遺伝子及び/又はリーダーN遺伝子及び/又は融合配列を含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号1~15から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号1、2、3、4、5から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号10、11、12、13、14から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号6、7、8、9、10から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号11、12、13、14、15から選択される。いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、金属コアを有する。特に、前記金属コアは、金又は銀を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、実質的に球状である。いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、非球状である。特に、前記非球状のナノ粒子は、多分岐であってもよい。例えば、前記多分岐ナノ粒子は、ナノウニ(nano-urchin)であってもよい。いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、楕円体又は両錐体の形態であってもよい。異なる形態を有するナノ粒子の混合物が特に考えられる。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、13~65nm、20~60nm、例えば、約30nmの直径(例えば、平均直径)を有する。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、DNA又は非天然核酸を含む。特に、前記プローブは、ロック核酸(LNA)、2’-H核酸、2’-OMe核酸、2’-F核酸又はペプチド核酸(PNA)を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子-プローブ結合は、前記オリゴヌクレオチドプローブの5’末端にある。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、C6-チオール結合を含む。いくつかの実施形態において、前記プローブは、C6-チオール5’結合を含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、10~100個のヌクレオチド、10~50ヌクレオチド個を含み、任意に12~30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分は、20個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分の上流にヌクレオチド尾部を含む。特に、前記ヌクレオチド尾部は、5~20個のヌクレオチド、例えば、10個のヌクレオチドを含んでもよい。場合によっては、前記ヌクレオチド尾部は、ポリチミン(「ポリT」)尾部である。特に、前記ヌクレオチド尾部は、10個のチミンを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、5~30nmである。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、10~18nmである。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、12nmである。
いくつかの実施形態において、前記方法は、追加で塩を添加するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びプロテイナーゼKを添加するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、SDSの最終濃度は、少なくとも0.5%である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、45℃未満で実施される。例えば、前記方法は、40℃未満、35℃未満、25℃未満、又は20℃未満で実施されてもよい。
いくつかの実施形態において、前記方法は、RNAseの添加を伴わない。例えば、NP凝集後にRNAseが添加されない。
本発明の第2態様において、標的核酸分析物中の少なくとも第1、第2及び第3の離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列にハイブリダイズする少なくとも第1、第2及び第3のオリゴヌクレオチドプローブを含むオリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団を提供する。
いくつかの実施形態において、前記オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団は、本発明の第1態様の方法で使用するためのものである。
前記オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団は、本発明の第1態様において定義されるとおりであってもよい。
いくつかの実施形態において、各タイプのナノ粒子は、1つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブの複数のコピーで機能化される。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、少なくとも3つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブのいずれかの複数のコピーでそれぞれ機能化された複数の異なるタイプのナノ粒子を含む。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、標的分析物中の少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、95個、又は少なくとも100個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列にハイブリダイズする、少なくとも4つのタイプ、5つのタイプ、6つのタイプ、7つのタイプ、8つのタイプ、9つのタイプ、10タイプ、11タイプ、12タイプ、13タイプ、14タイプ、15タイプ、16タイプ、17タイプ、18タイプ、19タイプ、20タイプ、21タイプ、22タイプ、23タイプ、24タイプ、25タイプ、30タイプ、35タイプ、40タイプ、45タイプ、50タイプ、55タイプ、60タイプ、65タイプ、70タイプ、75タイプ、80タイプ、95タイプ、又は少なくとも100タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される。
特定の実施形態において、前記ナノ粒子の集団は、前記標的分析物中の10個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列に結合する10タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される。
いくつかの実施形態において、前記オリゴヌクレオチドプローブの1つ又は複数(例えば、全て)は、それがハイブリダイズする前記標的配列に完全に相補的である。しかしながら、前記標的配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、例えば、単一の塩基のミスマッチがあるにもかかわらず、特定の実施形態では使用できることが特に考えられる。
いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、ウイルスRNAを含む。特に、前記標的分析物は、ウイルスゲノムRNA、ウイルスサブゲノムmRNA又はウイルスmRNAを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2 RNAを含む。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2のEタンパク質のゲノム配列を含む。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、SARS-CoV-2のE遺伝子のsgmRNAを含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号1、2、3、4、5、6から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号10、11、12、13、14から選択される。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号7、8、9から選択される。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、金属又はダイヤモンドを含むコアを有する。特に、前記コアは、金を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、実質的に球状である。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子は、13~65nm、40~60nm、例えば、約50の直径(例えば、平均直径)を有する。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、DNA又は非天然核酸を含む。特に、前記プローブは、ロック核酸(LNA)、2’-H核酸、2’-OMe核酸又は2’-F核酸を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記ナノ粒子-プローブ結合は、前記オリゴヌクレオチドプローブの5’末端にある。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、C6-チオール結合を含む。いくつかの実施形態において、前記プローブは、C6-チオール5’結合を含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブ配列は、10~100個のヌクレオチド、10~50ヌクレオチド個を含み、任意に12~30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分は、20個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、前記プローブは、前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分の上流にヌクレオチド尾部を含む。特に、前記ヌクレオチド尾部は、5~20個のヌクレオチド、例えば、10個のヌクレオチドを含んでもよい。場合によっては、前記ヌクレオチド尾部は、ポリチミン(「ポリT」)尾部である。特に、前記ヌクレオチド尾部は、10個のチミンを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、5~30nmである。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、10~18nmである。
いくつかの実施形態において、前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、12nmである。
本発明の第3態様において、サンプル中の標的核酸分析物を検出するためのキットを提供し、前記キットは、本発明の第2態様のナノ粒子の集団と、溶液を保持するための反応容器であって、少なくとも壁と密閉可能な開口部とを含み、可視光は前記壁の少なくとも一部を通過できる前記反応容器と、本発明の第1態様の方法を実施するための1つ又は複数の試薬又は溶液とを含む。
いくつかの実施形態において、前記キットは、サンプルから標的核酸を分離するための1つ又は複数の試薬又は溶液をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記溶液は、サンプルから標的核酸を分離及び/又は精製するためのものであってもよい。ARCIS Biotechnology(イギリス・デアズベリー)のコロナウイルスRNA抽出研究キットにおいて提供されているのは、そのような例示的な溶液の1つである。場合によっては、当該キットは、URL:https://arcisbio.com/wp-content/uploads/2020/03/SARS-CoV-2-Protocols-V3-20200328-1.pdfにて利用可能な2020年3月28日付のマニュアルに記載されているように、前記コロナウイルスRNA抽出研究キットの「試薬1(Reagent 1)」及び/又は「試薬2a(Reagent 2a)」を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットは、前記標的核酸分析物の陽性検出時に予想される色の変化に対応する色基準(例えば、カラーカード)をさらに含む。これは、例えば、前記反応容器を色基準の位置まで持ち上げることにより、使用者による色の変化の認識に役立つために用いることができる。
本発明の第4態様において、サンプル中の標的核酸分析物の存在を検出するための装置を提供し、当該装置は、サンプルを受け取るための入口と、前記サンプルが前記入口から、試薬一式が予め装填された保管室に到達するための通路であって、前記試薬は本発明の第2態様によるナノ粒子の集団を含む前記通路と、色基準を含む検出窓とを含み、使用時は、前記サンプルが保管室内の試薬に接触することにより、標的核酸分析物の陽性検出は、前記検出窓を通して見える、色基準における予想される色の変化を引き起こす。
いくつかの実施形態において、前記装置は、蓋部品をさらに含む。特に、前記蓋部品はNaClを含んでもよく、前記蓋部品を閉めるとNaClは前記保管室に添加される。
いくつかの実施形態において、前記装置は、本発明の第1態様による方法において使用することができる。
表1は、23ntのRNA分析物及び50nmのNPを用いるRNA分析物の検出である。
表2は、70ntのRNA分析物及び25nmのNPを用いるRNA分析物の検出である。
表3は、オリゴヌクレオチド標的配列及び捕捉プローブである。
表4は、捕捉プローブのオリゴヌクレオチド配列である。
表5は、測定で使用する異なる濃度のAu0及び異なる濃度の標的に対する標的分子の割合及び金ナノ粒子の数である。
表6は、分析物配列中の1、2又は3ntの変化及び変化の位置に基づく、異なるプローブ配列の融解曲線の計算である。
表2は、70ntのRNA分析物及び25nmのNPを用いるRNA分析物の検出である。
表3は、オリゴヌクレオチド標的配列及び捕捉プローブである。
表4は、捕捉プローブのオリゴヌクレオチド配列である。
表5は、測定で使用する異なる濃度のAu0及び異なる濃度の標的に対する標的分子の割合及び金ナノ粒子の数である。
表6は、分析物配列中の1、2又は3ntの変化及び変化の位置に基づく、異なるプローブ配列の融解曲線の計算である。
本発明は、ウイルス又は細菌病原体などの病原体の核酸配列に特異的に結合するナノ粒子(NP)に付着した複数(例えば、3つ以上)の連続的かつ重畳しない標的プローブ配列を使用するという原理に基づく。複数の特異的な結合事象により、NPが互いに極めて近接することで効果的にNPの凝集を引き起こす。分析物の存在下でのみ、前記凝集は肉眼で検出できる視覚的な色の変化をもたらす。任意に、例えば、NPがダイヤモンドを含む場合に、当該凝集は発光の変化をもたらし、当該変化は光学的に検出可能であり、肉眼で検出できる視覚的変化に変換できる。RNA又はDNA分析物の異なる領域を標的とする複数のプローブの混合物は、シグナルの分子間増幅を引き起こして、検出システムの感度を高める。
有利なことに、視覚的な色の変化をもたらす分析物結合の感度及びシグナル増幅は、特異的な長いRNA/DNA配列に対する複数のプローブの使用によって増強される。プローブの数は3からnであってもよい。より多くのプローブを添加すると、検出システムの感度の更なる向上をもたらす(図1A)。
本発明は、異なるNP-プローブの集団の混合物を使用してもよく、各NPは同じプローブの複数のコピーを有する(図1B)。任意に、本発明は、同じNPにおいて異なるプローブの複数のコピーを使用してもよい(図1C)。NPの機能化を行う時に、図1Cに示されるNPは、単一の配列ではなくDNAプローブの混合物を使用して作製することができる。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、これによりNPにプローブのランダムな分布が生じ、親和性の最も高いNP-プローブが親和性のより低いNP-プローブよりも優先的に結合するように選択されるため、より高い感度を提供すると考えている。NP-プローブの異なる集団は、本明細書の特定の文脈で「バッチ」とも記載される。
本発明は、異なるNP-プローブの集団の混合物を使用してもよく、各NPは同じプローブの複数のコピーを有する(図1B)。任意に、本発明は、同じNPにおいて異なるプローブの複数のコピーを使用してもよい(図1C)。NPの機能化を行う時に、図1Cに示されるNPは、単一の配列ではなくDNAプローブの混合物を使用して作製することができる。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、これによりNPにプローブのランダムな分布が生じ、親和性の最も高いNP-プローブが親和性のより低いNP-プローブよりも優先的に結合するように選択されるため、より高い感度を提供すると考えている。NP-プローブの異なる集団は、本明細書の特定の文脈で「バッチ」とも記載される。
本発明は、プラットフォーム技術を提供する。本発明は、複数の分析物に対する用途を見出している。好ましい実施形態において、本発明は、ヒト、動物、食物又は環境中のウイルス又は細菌などの病原体からの核酸の検出に使用するためのものであってもよい。本発明は、臨床的に得られたサンプルからのSARS-CoV-2ウイルスの迅速かつシンプルで経済的な検出に使用することができる。
「SARS-CoV-2」
コロナウイルス科(Coronaviridae)は、コロナウイルス亜科(Coronavirinae)とトロウイルス亜科(Torovirinae)の2つの亜科を含むニドウイルス目(Nidovirales)の一部を構成する。コロナウイルス亜科(Coronavirinae)のウイルスは、ネガティブ染色された標本で太陽コロナに視覚的に似ていることから名付けられた。コロナウイルスには、アルファ-コロナウイルス、ベータ-コロナウイルス、ガンマ-コロナウイルスの3つの属がある。SARS-CoV-2ウイルスは、重症急性呼吸器症候群関連ウイルス(SARS)に密接に関連するベータ-コロナウイルスである。
コロナウイルス科(Coronaviridae)は、コロナウイルス亜科(Coronavirinae)とトロウイルス亜科(Torovirinae)の2つの亜科を含むニドウイルス目(Nidovirales)の一部を構成する。コロナウイルス亜科(Coronavirinae)のウイルスは、ネガティブ染色された標本で太陽コロナに視覚的に似ていることから名付けられた。コロナウイルスには、アルファ-コロナウイルス、ベータ-コロナウイルス、ガンマ-コロナウイルスの3つの属がある。SARS-CoV-2ウイルスは、重症急性呼吸器症候群関連ウイルス(SARS)に密接に関連するベータ-コロナウイルスである。
コロナウイルスは、26~32kbの一本鎖プラスセンスRNAゲノムを持つエンベロープウイルスであり、あらゆるRNAウイルスの中の最大のゲノムを代表しており、そのうちSARS-CoV-2ウイルスは2万9903個のヌクレオチドのゲノムを持っている(RefSeq NC_045512)。当該ゲノムは核タンパク質(N)に結合して、ウイルス粒子内で螺旋状のヌクレオキャプシドを形成させる。これらは、スパイク(S)糖タンパク質、膜(M)タンパク質及びエンベロープ(E)タンパク質を含む脂質エンベロープに封入されている。ベータ-コロナウイルスのゲノム構成は、図2に示されるとおりである。
コロナウイルスは、タンパク質翻訳のテンプレートとして直接機能できるプラス鎖RNAゲノムを含んでいるが、感染サイクルにおいて、連続転写中にゲノム全体のマイナス鎖コピーと、非連続サブゲノム(sg)マイナス鎖mRNAのサブセットの両方を生成する。これらのsgmRNAは、ネストされたsgmRNA断片の生成につながる転写プロセスの一時停止又はプロセスの終了のいずれかを引き起こす転写調節配列(TRS)の存在によって生成される。sgmRNAの転写はコロナウイルスゲノムの3’(マイナス鎖の5’)末端で開始されるため、E、M、Nタンパク質を含む3’遺伝子の方が、ORF1、Sなどの5’遺伝子よりも確率的に多量に存在する。実際には、プラス鎖ゲノムRNAゲノムと比べて、感染細胞にはsgmRNA転写産物が大幅に増加しており、70倍の増加が報告されている(Hofmann et al.,J Virol 64;4108-4114)。本発明のNPのプローブは、ゲノムのプラス鎖配列及び/又は非重畳mRNA又はsgmRNA配列を標的とし得ることが、本明細書では明確に考えられることである。
「検出キット」
本発明は、精製された分析物が溶液に添加される検出キットを提供する。溶液1は、第三者による精製溶液である。特定の実施形態において、溶液1は、ARCIS Biotechnology(イギリス・デアズベリー)のコロナウイルスRNA抽出研究キットにおいて提供されているものであってもよい。場合によっては、当該キットは、溶液1は、URL:https://arcisbio.com/wp-content/uploads/2020/03/SARS-CoV-2-Protocols-V3-20200328-1.pdfにて利用可能な2020年3月28日付のマニュアルに記載されているように、前記コロナウイルスRNA抽出研究キットの「試薬1(Reagent 1)」及び「試薬2a(Reagent 2a)」の2つの試薬を含んでもよい。「溶液2」は、本発明のナノ粒子及び検出用の溶媒/バッファーを含む。別の実施形態において、本発明は、検出表面へのNP-プローブの固定化によるラテラルフロー測定の形態であってもよい。
本発明は、精製された分析物が溶液に添加される検出キットを提供する。溶液1は、第三者による精製溶液である。特定の実施形態において、溶液1は、ARCIS Biotechnology(イギリス・デアズベリー)のコロナウイルスRNA抽出研究キットにおいて提供されているものであってもよい。場合によっては、当該キットは、溶液1は、URL:https://arcisbio.com/wp-content/uploads/2020/03/SARS-CoV-2-Protocols-V3-20200328-1.pdfにて利用可能な2020年3月28日付のマニュアルに記載されているように、前記コロナウイルスRNA抽出研究キットの「試薬1(Reagent 1)」及び「試薬2a(Reagent 2a)」の2つの試薬を含んでもよい。「溶液2」は、本発明のナノ粒子及び検出用の溶媒/バッファーを含む。別の実施形態において、本発明は、検出表面へのNP-プローブの固定化によるラテラルフロー測定の形態であってもよい。
「SDS及びプロテイナーゼK」
SalivaDirect(商標)法を利用し、即ちSDS/プロテイナーゼKを添加する場合に、別のRNA抽出ステップが不要になり、標的分析物に対するワンステップ検出法が可能となる(https://publichealth.yale.edu/salivadirect/)。検査前にSDS及びプロテイナーゼKの両方を除去する必要があるPCRと異なっており、SDSはよく知られているNP安定剤である。PCRは、酵素の存在を必要とするため、プロテイナーゼKの除去が必要となる。有利なことに、当システムにはタンパク質が存在しないため、プロテイナーゼKを除去する必要はない。SDS/プロテイナーゼK法の利用のもう1つの利点は、SDSはウイルスを不活性化し、ウイルスを完全に破壊するのに濃度0.5%のSDSが十分だということである。
SalivaDirect(商標)法を利用し、即ちSDS/プロテイナーゼKを添加する場合に、別のRNA抽出ステップが不要になり、標的分析物に対するワンステップ検出法が可能となる(https://publichealth.yale.edu/salivadirect/)。検査前にSDS及びプロテイナーゼKの両方を除去する必要があるPCRと異なっており、SDSはよく知られているNP安定剤である。PCRは、酵素の存在を必要とするため、プロテイナーゼKの除去が必要となる。有利なことに、当システムにはタンパク質が存在しないため、プロテイナーゼKを除去する必要はない。SDS/プロテイナーゼK法の利用のもう1つの利点は、SDSはウイルスを不活性化し、ウイルスを完全に破壊するのに濃度0.5%のSDSが十分だということである。
サブチリシンA、メタロプロテアーゼなどの他のセリンエンドペプチダーゼと混合し得る他の酵素は、プロテイナーゼKの代替として使用することができる。
「ナノ粒子」
検出キットにおいて使用されるナノ粒子は、金を含むことが好ましいが、銀又は任意の他の金属でもよい。NPはダイヤモンドをさらに含んでもよい。NPは、中空でもよいし中実でもよい。NPは、球状であることが好ましいが、星、棒又は他の形状など非球状であってもよい。非球状のNPは、ナノウニ(Sigma)であってもよい。場合によっては、NPの直径は、5~200nmであってもよく、20~100nmであることが好ましく、30~70nmであることがより好ましく、例えば、直径は約50nmである。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、25nmの平均直径を有するなどより小さいナノ粒子は溶液中でより安定的であり、約65nmの平均直径を有するなどより大きいナノ粒子は測定の感度を高める可能性があると考えている。NPは、Turkevich法、種結晶成長法、又は当業者によく知られる他の適切な方法を用いて作製することができる。ナノダイヤモンドの使用は、本明細書では明確に考えられる。特に、蛍光ナノダイヤモンドの使用が本明細書で考えられる(参考文献8)。ナノダイヤモンドは、ダイヤモンドカーボンのコアと部分的にグラファイト系である表面シェルを持つ炭素系ナノ粒子である(参考文献9)。これらのサイズの範囲は、1~100nmである。DNAなどの生体分子によるダイヤモンド膜の表面修飾が既に説明されている(参考文献10)。
検出キットにおいて使用されるナノ粒子は、金を含むことが好ましいが、銀又は任意の他の金属でもよい。NPはダイヤモンドをさらに含んでもよい。NPは、中空でもよいし中実でもよい。NPは、球状であることが好ましいが、星、棒又は他の形状など非球状であってもよい。非球状のNPは、ナノウニ(Sigma)であってもよい。場合によっては、NPの直径は、5~200nmであってもよく、20~100nmであることが好ましく、30~70nmであることがより好ましく、例えば、直径は約50nmである。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、25nmの平均直径を有するなどより小さいナノ粒子は溶液中でより安定的であり、約65nmの平均直径を有するなどより大きいナノ粒子は測定の感度を高める可能性があると考えている。NPは、Turkevich法、種結晶成長法、又は当業者によく知られる他の適切な方法を用いて作製することができる。ナノダイヤモンドの使用は、本明細書では明確に考えられる。特に、蛍光ナノダイヤモンドの使用が本明細書で考えられる(参考文献8)。ナノダイヤモンドは、ダイヤモンドカーボンのコアと部分的にグラファイト系である表面シェルを持つ炭素系ナノ粒子である(参考文献9)。これらのサイズの範囲は、1~100nmである。DNAなどの生体分子によるダイヤモンド膜の表面修飾が既に説明されている(参考文献10)。
「プローブ」
検出キットにおいて使用されるプローブは、DNA、又はPNA、LNA、2’-H、2’-OMe、2’-Fなどの修飾核酸から作製することができる。当該プローブは、例えば、チオールリンカーを介して、ナノ粒子の表面に共有結合してもよい。場合によっては、プローブは、C6-チオールの5’結合を介して付着されてもよいが、3’又は内部のものでもよい。プローブは、チオール結合を介して付着され、非特異的な凝集を最小に抑えるためにPEG又は類似するスペーサー分子を含んでもよい。場合によっては、プローブは、鎖長が10~50原子のスペーサーを介してナノ粒子に結合されてもよい。例えば、C18スペーサーである。スペーサーは、チオールリンカーに加えて使用されてもよい。例えば、プローブは、C6-チオールリンカー及びC18スペーサーを介してナノ粒子の表面に結合されてもよい。
検出キットにおいて使用されるプローブは、DNA、又はPNA、LNA、2’-H、2’-OMe、2’-Fなどの修飾核酸から作製することができる。当該プローブは、例えば、チオールリンカーを介して、ナノ粒子の表面に共有結合してもよい。場合によっては、プローブは、C6-チオールの5’結合を介して付着されてもよいが、3’又は内部のものでもよい。プローブは、チオール結合を介して付着され、非特異的な凝集を最小に抑えるためにPEG又は類似するスペーサー分子を含んでもよい。場合によっては、プローブは、鎖長が10~50原子のスペーサーを介してナノ粒子に結合されてもよい。例えば、C18スペーサーである。スペーサーは、チオールリンカーに加えて使用されてもよい。例えば、プローブは、C6-チオールリンカー及びC18スペーサーを介してナノ粒子の表面に結合されてもよい。
プローブ配列は、長さが12~30個のヌクレオチドの間で変動してもよいが、20-merであることが好ましい。プローブ配列は、中又は高ストリンジェンシー条件下で標的配列にハイブリダイズすることができる。場合によっては、塩濃度は、100~500μMであってもよく、例えば、100~500μMのNaClである。特定の実施形態において、塩濃度は、150μMのNaClであってもよい。特定の実施形態において、ハイブリダイゼーションが可能な温度は、25~30℃の範囲にあってもよい。プローブ配列は標的配列に相補的であることが好ましい。しかしながら、本明細書に示されるように、ハイブリダイゼーションは、標的-プローブ配列が1つ、2つ又は3つのミスマッチなど、1個又は複数の塩基のミスマッチを示している時でも、標的分析物の検出を可能にするのに十分に強力な場合がある。非特異的な標的、自己相補性、Tm値及び標的の進化的な保存についてプローブ配列をスクリーニングする。例えば、コロナウイルス又は類似するものである場合に、それらは、病原体のゲノム配列、サブゲノム断片又はmRNAを標的にすることができる。
標的核酸分析物は、少なくとも第1、第2及び第3の非重畳標的配列を含み、それらの標的配列は異なり、離間したもの又は連続的ものであってもよい。したがって、本発明の少なくとも第1、第2及び第3のオリゴヌクレオチドプローブ配列は異なる。
ナノ粒子-プローブは、NP@DNAとも呼ばれる。ナノ粒子が金コアを有するナノ粒子-プローブは、Au@DNAとも呼ばれる。
「ナノ粒子-プローブ間の間隔」
標的分析物に結合する時の隣接するナノ粒子の間の間隔は、5~30nmであってもよい。標的分析物に結合する時の隣接するナノ粒子の間の間隔は、13~18nmであってもよい。隣接するナノ粒子間の間隔は、電子顕微鏡によって測定することができる。任意に又はさらに、隣接するナノ粒子の間の間隔は、標的配列の長さ及び標的配列間の距離に基づいて理論的に決定してもよい。ヌクレオチドの平均長さは0.6nmであるため、20-merの標的配列に対して、NP間の理論的な距離は12nmになる。この距離は、例えば、プローブ配列の結合位置を変化させるか、又はプローブの長さを物理的に延長することにより調整することができる。
標的分析物に結合する時の隣接するナノ粒子の間の間隔は、5~30nmであってもよい。標的分析物に結合する時の隣接するナノ粒子の間の間隔は、13~18nmであってもよい。隣接するナノ粒子間の間隔は、電子顕微鏡によって測定することができる。任意に又はさらに、隣接するナノ粒子の間の間隔は、標的配列の長さ及び標的配列間の距離に基づいて理論的に決定してもよい。ヌクレオチドの平均長さは0.6nmであるため、20-merの標的配列に対して、NP間の理論的な距離は12nmになる。この距離は、例えば、プローブ配列の結合位置を変化させるか、又はプローブの長さを物理的に延長することにより調整することができる。
「サンプル」
サンプルは、あらゆる生物学的液体又は組織サンプル及び/又は環境サンプルを含んでもよい。特定の実施形態において、当該サンプルは、唾液又は鼻咽頭サンプルであってもよい。当該サンプルは、SARS-CoV-2に感染した個体からであってもよい。サンプルは、唾液サンプルに入っている、SARS-CoV-2に感染した個体からのRNAであってもよい。サンプルは、細胞培養物から取得してもよい。例えば、サンプルは、SARS-CoV-2に感染した細胞を使用して確立された細胞培養物から取得してもよい。
サンプルは、あらゆる生物学的液体又は組織サンプル及び/又は環境サンプルを含んでもよい。特定の実施形態において、当該サンプルは、唾液又は鼻咽頭サンプルであってもよい。当該サンプルは、SARS-CoV-2に感染した個体からであってもよい。サンプルは、唾液サンプルに入っている、SARS-CoV-2に感染した個体からのRNAであってもよい。サンプルは、細胞培養物から取得してもよい。例えば、サンプルは、SARS-CoV-2に感染した細胞を使用して確立された細胞培養物から取得してもよい。
(実施例)
実施例1:金ナノ粒子の合成と機能化
種結晶成長法を用いて金ナノ粒子(AuNP)を合成した。種結晶成長プロセスは、金属前駆体の周期的な添加と粒子の抽出を含む。典型的なプロセスにおいて、種結晶溶液を90℃に冷却し、次にHAuCl4溶液(25mM)を添加し、続いて30分後、2回目に添加する。さらに30分後、成長溶液を抽出し、クエン酸ナトリウム溶液(60mM)を添加する。当該プロセスを繰り返すことにより、最終的なAuNPのサイズを増加させる。
実施例1:金ナノ粒子の合成と機能化
種結晶成長法を用いて金ナノ粒子(AuNP)を合成した。種結晶成長プロセスは、金属前駆体の周期的な添加と粒子の抽出を含む。典型的なプロセスにおいて、種結晶溶液を90℃に冷却し、次にHAuCl4溶液(25mM)を添加し、続いて30分後、2回目に添加する。さらに30分後、成長溶液を抽出し、クエン酸ナトリウム溶液(60mM)を添加する。当該プロセスを繰り返すことにより、最終的なAuNPのサイズを増加させる。
Hurstらの方法に従って、チオール化オリゴヌクレオチドプライマー(例示的なオリゴヌクレオチドプローブ配列「プライマー」については実施例2を参照する)でAuNPを機能化する。簡単に言えば、コロイドAuNPを含むSDS(0.1%)及びPB(0.01M)を3.6μMのオリゴヌクレオチド溶液に添加する。オリゴヌクレオチドとAuNPの混合物を室温で20分間インキュベートし、オリゴヌクレオチドの結合を改善するために、塩熟成プロセスを実施する。NaCl(2M)、SDS(0.01%)、PB(0.01M)を含む溶液をこの順に混合物に添加して、最終のNaCl濃度を0.2Mにする。各塩熟成ステップは、超音波処理(10秒)及びインキュベーション(20分)と交互に行い、続いて12時間インキュベーションする。過剰なオリゴヌクレオチドを除去するために、溶液を3回遠心分離し、そのたびにSDS(1mL、0.01%)に再分散させる。
最新の操作マニュアル(Mirkin et al.,Anal Chem,2006,Vol.7,pp8313-8318を参照により本明細書に組み込む)に従って、一本鎖DNA(ssDNA)で、クエン酸で安定化したAuNPを機能化した。DNAで安定化したAuNPは、陰イオン界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.01wt%含む水溶液においてコロイド安定性を示しており、これは紫外-可視分光法で確認している。DNA結合後、全てのサンプルにおけるプラズモンバンドの赤方偏移-3は、ナノ粒子の表面の周りに分子シェルが形成されていることを示唆している。TEM分析は、厚さが1.4nm以下の分子シェルの形成を確認している。
実施例2:特異的な分析物に応答する比色変化
凝集プロセスは、分析物への結合時に特異的なプローブを含むコロイドナノ粒子の色の変化をもたらす(図3)。場合によっては、色の変化は数時間又は数十分又は数分にわたって発生することがある。最適化した特定の状況において、色の変化は10~20分以内で発生する。しかしながら、より長い時間も考えられる。
凝集プロセスは、分析物への結合時に特異的なプローブを含むコロイドナノ粒子の色の変化をもたらす(図3)。場合によっては、色の変化は数時間又は数十分又は数分にわたって発生することがある。最適化した特定の状況において、色の変化は10~20分以内で発生する。しかしながら、より長い時間も考えられる。
実施例3:DNA分析物を使用する時の結合特異度
ナノ粒子ベースのプローブシステムは、単一のヌクレオチドだけが変わっても、DNA分析物を区別するために利用できることを本発明者らは実証した。図4は、野生型BRAF配列と比べて、設計された変異BRAFプローブは変異BRAF遺伝子配列に優先的に結合することを示している。これは、設計されたプローブが対象となる変異配列に特異的に結合できることを示している。
ナノ粒子ベースのプローブシステムは、単一のヌクレオチドだけが変わっても、DNA分析物を区別するために利用できることを本発明者らは実証した。図4は、野生型BRAF配列と比べて、設計された変異BRAFプローブは変異BRAF遺伝子配列に優先的に結合することを示している。これは、設計されたプローブが対象となる変異配列に特異的に結合できることを示している。
実施例4:NPのサイズに応じる感度
検出の特異度は、システムで使用されるナノ粒子のサイズに従って増加する(図5)。
検出の特異度は、システムで使用されるナノ粒子のサイズに従って増加する(図5)。
実施例5:分析物のサイズに応じる感度
分析物の標的長さを比較して分かるように、標的長さが長いほど、より短い長さと比べて効率的で結合速度論が速い(データは示されていない)。
分析物の標的長さを比較して分かるように、標的長さが長いほど、より短い長さと比べて効率的で結合速度論が速い(データは示されていない)。
実施例6:異なる核酸プローブ化学物質のssDNA及びdsDNA分析物を検出する能力の比較
直径25nm又は50nmのナノ粒子に付着した3つの異なる核酸化学物質(即ち、未修飾DNA、2’-OMe、2’-F)に対して、ssDNA又はdsDNA分析物を検出する能力について比較した(図6)。
直径25nm又は50nmのナノ粒子に付着した3つの異なる核酸化学物質(即ち、未修飾DNA、2’-OMe、2’-F)に対して、ssDNA又はdsDNA分析物を検出する能力について比較した(図6)。
2’-F修飾は、ssDNA検出の感度を改善しており、特に小さなNPの場合はそうである。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、2’-OMe修飾の方がdsDNAの検出に有益で、2’-F修飾の方がssDNAの検出に有益であると推定している。
ペプチド核酸(PNA)による金ナノ粒子の機能化も試みたが、ペプチド鎖に沿った電荷が不足しているため、この修飾オリゴヌクレオチドを用いて溶液中の粒子を安定化させることができなかった。
実施例7:NP凝集体の温度に従う安定性
形成させた凝集体が温度に対してどれだけ安定しているかを確認するために、3つの異なる実験を実施した。図7A~図7Cの結果は、形成させた凝集体が、レーザー照射(600nm)の有無にかかわらず、室温又は高温(37℃)で少なくとも1時間安定していたことを示している。
形成させた凝集体が温度に対してどれだけ安定しているかを確認するために、3つの異なる実験を実施した。図7A~図7Cの結果は、形成させた凝集体が、レーザー照射(600nm)の有無にかかわらず、室温又は高温(37℃)で少なくとも1時間安定していたことを示している。
実施例8:複数の分析物に対する検出システムの適応性
EGFR及びBRCA1遺伝子に自然に発生する変異を含む単一のヌクレオチドのミスマッチを含む多くの異なる分析物において検出システムをテストした。図8は、2つの異なる標的の間でマッチとミスマッチ結合の反応速度論に明らかな違いがあるものの、両方の遺伝子とも当該検出技術に基づいて区別できることを示している。
EGFR及びBRCA1遺伝子に自然に発生する変異を含む単一のヌクレオチドのミスマッチを含む多くの異なる分析物において検出システムをテストした。図8は、2つの異なる標的の間でマッチとミスマッチ結合の反応速度論に明らかな違いがあるものの、両方の遺伝子とも当該検出技術に基づいて区別できることを示している。
実施例9:RNA分析物の検出
23nt及び70ntのRNA分析物の組み合わせを利用し、2’-F修飾核酸配列を使用してナノ粒子-プローブの能力をテストした。
23nt及び70ntのRNA分析物の組み合わせを利用し、2’-F修飾核酸配列を使用してナノ粒子-プローブの能力をテストした。
最初の実験では、23ntのRNA分析物及び50nmのナノ粒子を使用した(表1を参照する)。単一の塩基のミスマッチする分析物を用いて、約15以内で迅速な視覚的な色の違いが観察された(データは示されていない)。
同じ実験を繰り返し、今度はより小さなナノ粒子サイズ(25nm)及び70ntのRNA分析物を使用した(表2を参照する)。このプロセスは最初の実験より遅かったが、分析物の存在下で光学的な色に明らかな違いがあった(データは示されていない)。
実施例10:標的の選択とプライマーの設計
本明細書で提供されている実験的証拠に基づいて、Eタンパク質遺伝子を標的とする連続的かつ重畳しないプライマーを設計した。他の遺伝子(例えば、SARS-CoV-2のNタンパク質遺伝子)の他の非保存配列もこの目的で使用できることが、本明細書で明確に考えられる。他の核酸の検出に使用するためのプライマーを設計する場合、例えば、別の病原体の核酸の検出のためのプライマーを設計する場合に、本明細書で開示されているプライマー設計の基準を適用することができる。
本明細書で提供されている実験的証拠に基づいて、Eタンパク質遺伝子を標的とする連続的かつ重畳しないプライマーを設計した。他の遺伝子(例えば、SARS-CoV-2のNタンパク質遺伝子)の他の非保存配列もこの目的で使用できることが、本明細書で明確に考えられる。他の核酸の検出に使用するためのプライマーを設計する場合、例えば、別の病原体の核酸の検出のためのプライマーを設計する場合に、本明細書で開示されているプライマー設計の基準を適用することができる。
E遺伝子を最初の標的として選択する理由は、次のとおりであった。
1.コロナウイルスファミリーのメンバーの間では非保存的である。即ち、特異的である。また、密接に関連するウイルス配列と交差反応する可能性が低い。
2.それはゲノムの3’末端に位置するため、sgmRNAの形態で非常に豊富である可能性がある。
3.技術は異なるが、比較qRT-PCRの研究により、E遺伝子の検出は他の遺伝子よりも高い感度が得られることが分かった(Cormanら)。
4.E遺伝子は小さい(228nt)ため、実験にウイルス由来の又はDNA分析物を使用しなくても、技術の最適化のために合成RNAゲノムプラス鎖及び相補的なマイナス鎖sgmRNAを作製することが実用的である。
SARS-CoV-2の他の配列を標的にしてもよいということが、本明細書では明確に考えられる。例えば、上記の理由1と2は、SARS-CoV-2のN遺伝子に適している。
E遺伝子配列をカバーする連続的な20-mer配列であることに基づいて、原理証明実験のための最初のプライマーを選択した。プライマーは次の特性を有することが望ましい。
1.SARS-CoV-2ウイルスに特異度があり、想定される適応症に対して潜在的な汚染物質になる可能性が低い場合、特定の交差反応性が許容できる。例えば、コウモリSARS又は植物由来の配列との交差反応性は許容される。
2.検査で偽陽性を示す生じる可能性のある他のプローブ配列と有意な相補性がない。
3.融解温度(TM)として理想的に55~68℃であるが、他の温度でもよい。
表3は、本発明者らによって設計された標的配列及び捕捉プローブを特徴付けている。235ntウイルス配列と108ntサブゲノムE遺伝子配列である2つのSARS-CoV-2標的配列を選択した。3群の捕捉プローブを設計した。E1~E5は、235ntウイルス配列の一方の末端に相補的である。E12~E16は、235ntウイルス配列のもう一方の末端に相補的である。E7~E11及びE17は、108ntサブゲノムE遺伝子配列に相補的である。表4は、これらの捕捉プローブのオリゴヌクレオチド配列を提供している。
全てのプライマーは、i)NPへの付着のための5’-チオール修飾及びC6スペーサーと、ii)相補的な20-mer配列の上流の10(t)5’尾部を有する。
プライマーE#1~6及びE#12~17の少なくとも一部は連続的であり、且つSARS-CoV-2配列のE遺伝子のプラス鎖RNA配列(参照配列NC_045512.2)に逆相補的である。
プライマーE#R7~R11及びE17は、E遺伝子のマイナス鎖sgmRNAを標的とする。
実施例11:捕捉プローブの二次構造分析
表3に記載されている各捕捉プローブの二次構造をシミュレートし、これらの二次構造3の自由エネルギーを計算した。ほぼ全ての捕捉プローブが25℃で安定的な二次構造を形成することが観察された。
表3に記載されている各捕捉プローブの二次構造をシミュレートし、これらの二次構造3の自由エネルギーを計算した。ほぼ全ての捕捉プローブが25℃で安定的な二次構造を形成することが観察された。
E4は、25℃で安定的な二次構造を形成しなかった。「塩熟成」法により捕捉プローブE4を用いてナノ粒子の表面を機能化することにより、これらのナノ粒子のコロイド安定性が制限された。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、E4の二次構造がナノ粒子の表面へのその効率的な吸着を妨げると推定した。したがって、本発明者らは、捕捉プローブの配列、とりわけ安定的な二次構造を形成できるかどうかが、ナノ粒子-プローブの安定性にとって重要であると推定している。これらのナノ粒子を0.01%SDSに再分散させることで、ナノ粒子の安定性は完全に回復した。
実施例12:標的配列の二次構造分析
ウイルスの235nt及びサブゲノムの108nt標的配列の二次構造をシミュレートした。各標的配列は、25℃、1M NaClにおいて比較的低エネルギーの構造を形成できることが観察された。ウイルスの235nt二次構造の自由エネルギーは-77.17kcal/molであったが、サブゲノムの108nt二次構造の自由エネルギーは-25.78kcal/molであった。
ウイルスの235nt及びサブゲノムの108nt標的配列の二次構造をシミュレートした。各標的配列は、25℃、1M NaClにおいて比較的低エネルギーの構造を形成できることが観察された。ウイルスの235nt二次構造の自由エネルギーは-77.17kcal/molであったが、サブゲノムの108nt二次構造の自由エネルギーは-25.78kcal/molであった。
実施例13:235ntと108nt及び捕捉プローブを含むハイブリッドの二次構造のシミュレーション
捕捉配列と標的配列間の結合に関してより詳細な情報を得るために、25℃で最も可能性の高い二次構造をシミュレートした。235ntウイルス配列とE1、E2、E3、E4又はE5捕捉プローブのハイブリッドの二次構造をシミュレートした。全てのハイブリッドのエネルギーは同等で、-105.59~-100.41kcal/molと変化していた。
捕捉配列と標的配列間の結合に関してより詳細な情報を得るために、25℃で最も可能性の高い二次構造をシミュレートした。235ntウイルス配列とE1、E2、E3、E4又はE5捕捉プローブのハイブリッドの二次構造をシミュレートした。全てのハイブリッドのエネルギーは同等で、-105.59~-100.41kcal/molと変化していた。
235ntウイルス配列とE12、E13、E14、E15又はE16捕捉プローブのハイブリッドについて、同様の二次構造が観察された。自由エネルギーは、-110.46~-95.28kcal/molと少し大きく変化していた。E1-E5と比べると、E12~E16は、235ntウイルス配列の反対側の末端に結合する。
108ntサブゲノム配列は捕捉プローブE7、E8、E9、E10及びE11と安定的なハイブリッドを形成することも観察された。自由エネルギーは、-67.12~-46.78kcal/molと変化していた。
実施例14:108ntサブゲノム配列の検出
108ntサブゲノム配列の検出を評価するために、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのNP@DNAバッチを用いて測定組成物をテストし、各バッチは異なるNP@DNA集団を含む。各測定の粒子総数は一定にした(Au0のモル濃度は150μMと表記する)。各測定組成物に対して、10000pM、1000pM、100pM、10pM、1pM、0.1pMの濃度の標的配列を使用した。混合物を48時間インキュベートした。
108ntサブゲノム配列の検出を評価するために、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのNP@DNAバッチを用いて測定組成物をテストし、各バッチは異なるNP@DNA集団を含む。各測定の粒子総数は一定にした(Au0のモル濃度は150μMと表記する)。各測定組成物に対して、10000pM、1000pM、100pM、10pM、1pM、0.1pMの濃度の標的配列を使用した。混合物を48時間インキュベートした。
図9Aは、5つ、4つ、3つ、2つ、1つのNPの測定に対して、異なる標的濃度における溶液のUV-Vis-NIRスペクトルを示す。1つ、2つのNPを含むバッチに対して、スペクトルは標的濃度の全範囲にわたって変化しないままであることが観察された。逆に、3つ、4つ、5つのバッチを含む測定では、UV-Vis-NIRスペクトルの急激な変化が観察された。これは、4つ、5つのバッチを含むサンプルでは特に顕著であった。
スペクトルデータのより詳細な分析は、1つ、2つのバッチを含む混合物が標的濃度の全範囲にわたって安定したままであり、3つ、4つ、5つのバッチを含む混合物だけが100pM以上で凝集が起きていることを示した(図9B)。また、目視でスペクトルデータを確認したところ、標的濃度が低いほど、サンプルの色強度は低いことが分かった。1つと2つのバッチでは、色の変化は見られなかった(データは示されていない)。3つ、4つ、5つのバッチでは色の変化が見られ、4つ、5つのバッチは3つのバッチより効果が顕著であった。
この実験では、ナノ粒子の総濃度を150μMに固定していた。したがって、使用するバッチの数から、各集団の濃度を計算できる。例えば、2つのバッチの場合、各集団の濃度は75μMであった。3つのバッチの場合、各集団の濃度は50μMであった。
測定性能を改善できるかどうかを確認するために、1つのパラメータだけを変更して実施例14の実験を繰り返した。ナノ粒子の総濃度は100μMに設定した(図10A、図10B)。以前の実験と同様に、1つ又は2つのバッチを含むサンプルのプラズモンバンドは、分析物濃度の変化に対して変化しない不変のままであった(図10A)。しかし、3つ、4つ、5つのバッチでは、光学特性は分析物濃度の増加に伴って変化した。
これらのデータは、ナノ粒子の総濃度(又はナノ粒子と標的のモル比)を下げることで、5つのバッチのシステムの検出限界を100pMまで改善できることも示している(図10B)。したがって、分析物に対してプローブの濃度を変化させることにより、システムの感度を高めることができる。
実施例15:異なる総数の粒子を用いる測定による108ntサブゲノム配列の検出
108ntサブゲノム配列の検出を評価するために、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのNP@DNAバッチを用いて測定組成物をテストし、各バッチは異なるNP@DNA集団を含む。各測定における粒子の総数(Au0のモル濃度として表記する)は、150μM(図11)、100μM(図12)、又は50μM(図13)に固定していた。各測定組成物に対して、10000pM、1000pM、100pM、10pM、1pMの濃度の標的配列を使用した。各サンプルには、48時間のインキュベーション時間が保たれた。
108ntサブゲノム配列の検出を評価するために、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのNP@DNAバッチを用いて測定組成物をテストし、各バッチは異なるNP@DNA集団を含む。各測定における粒子の総数(Au0のモル濃度として表記する)は、150μM(図11)、100μM(図12)、又は50μM(図13)に固定していた。各測定組成物に対して、10000pM、1000pM、100pM、10pM、1pMの濃度の標的配列を使用した。各サンプルには、48時間のインキュベーション時間が保たれた。
図11A~図11Eは、それぞれ、1つ、2つ、3つ、4つ、5つのバッチの測定に対して、異なる標的濃度における溶液のUV-vis-NIRスペクトルを示す。本発明者らは、1つのタイプ、2つのタイプのナノ粒子を含むバッチ(図11A、図11B)に対して、スペクトルは標的濃度の全範囲にわたって変化しないままであることを観察した。逆に、3つ、4つ、5つのバッチを含む測定(図11C、図11D、図11E)では、UV-vis-NIRスペクトルの急激な変化が観察された。これは、4つ、5つのバッチを含むサンプルでは特に顕著であった。
また、目視でスペクトルデータを確認した(図11F)。スペクトルデータのより詳細な分析は、1つ、2つのバッチを含む混合物が標的濃度の全範囲にわたって安定したままであり、3つ、4つ、5つのバッチを含む混合物だけが1nMの標的濃度で凝集が起きていることを示した。図11G、図11H、図11Iは、異なる数のナノ粒子のバッチに対して、標的濃度に対する凝集度、吸光度、プラズモンバンドシフトの変化をそれぞれ示す。5つのNP(150μM)のバッチでは、10nM、1nMの標的濃度が検出された。3つ、4つのNPのバッチでは、1nMの標的濃度が検出された。より高い標的濃度(10nM)では、NPは安定したままでしあった。
この実験では、ナノ粒子の総濃度を150μMに固定していた。したがって、使用するバッチの数から、各集団の濃度を計算できる。例えば、2つのバッチの場合、各集団の濃度は75μMであった。3つのバッチの場合、各集団の濃度は50μMであった。
測定性能を改善できるかどうかを確認するために、1つのパラメータだけを変更して上記の実験を繰り返した。ナノ粒子の総濃度は100μMに設定した(図12)。2つ以上のバッチを含むサンプルの場合に、ナノ粒子の凝集は1nMの標的でより顕著である。同様に、標的の量が多い場合(10nM)、粒子は安定したままであり、凝集の欠如により不利な結果をもたらす。これは、標的分子が各ナノ粒子の表面を飽和させるためである。
ナノ粒子の総濃度を50μMに下げて上記の実験を繰り返した(図13)。このナノ粒子の濃度は準最適であることが観察され、2つ以上のバッチのナノ粒子を使用する実験では目に見える違いが観察されなかったためである。
標的のさらに高い量を検出できないことは、標的分子による各ナノ粒子の飽和、さらには凝集の阻害に関係している。一般に、コロイド測定が適切に機能することは、標的とナノ粒子のモル比に依存している。比値が低い場合には、粒子のごく一部が凝集するが、ナノ粒子の殆どは分散したままであるため、色の変化が起きない。比値が高い場合には、標的分子はナノ粒子の表面を飽和させるため、同様に凝集を引き起こさない。表4は、標的とナノ粒子のモル比の値を提供している。
実施例16:超音波処理を用いる分析物の断片化による235ntウイルス配列の検出
235nt標的配列を検出するために、2つの異なる捕捉プローブセットを用いた。標的配列の5’末端から中間までの捕捉プローブE1~E5と、標的配列の3’末端の中間からの捕捉プローブE12~E16である。235nt配列の断片化を誘導するために、NP(150μM)、標的配列235nt(1nM)、NaCl 0.3Mを含む溶液を、超音波浴(1200W)に30秒、60秒、150秒入れていた。続いて、サンプルを48時間インキュベートした。E1~E5の結果を図14A、14Bに、E12~E16の結果を図14Cにそれぞれ示す。
235nt標的配列を検出するために、2つの異なる捕捉プローブセットを用いた。標的配列の5’末端から中間までの捕捉プローブE1~E5と、標的配列の3’末端の中間からの捕捉プローブE12~E16である。235nt配列の断片化を誘導するために、NP(150μM)、標的配列235nt(1nM)、NaCl 0.3Mを含む溶液を、超音波浴(1200W)に30秒、60秒、150秒入れていた。続いて、サンプルを48時間インキュベートした。E1~E5の結果を図14A、14Bに、E12~E16の結果を図14Cにそれぞれ示す。
これらのデータは、1つ、2つのバッチの金ナノ粒子を含むシステムは、超音波処理時間に関係なく不変のままであることを示唆している。4つ、5つのバッチを含むシステムでは、超音波処理の効果がより顕著である。興味深いことに、捕捉プローブと標的配列のハイブリダイゼーション断片は、このタイプの検出方式にとって重要なようである。超音波処理は捕捉プローブE1~E5によって安定化されたNPの凝集を誘導するが、E12~E16によって安定化されたNPを使用すると、安定性に影響がない(図14C)。
これらの実験は、0秒、60秒、300秒の超音波処理時間で繰り返すことができることが、本明細書では明確に考えられる。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、超音波処理を延長させると標的配列の断片化を引き起こし、凝集が起こらないと推定している。
これらの実験は、標的分析物の長さがプラズモン共鳴にとって重要であることを示唆しており、108ntのサブゲノム標的分析物では色の変化が示されていたが、235ntのウイルス標的分析物では示されなかったためである。本発明者らは、超音波処理を用いて、235ntのウイルス標的分析物を分解させた。
SARS-CoV-2(29kbを超える)のゲノムRNAなどの長い分析物には、断片化ステップ(例えば、超音波処理又は他の適切なプロセスによる)が必要であるかもしれないことが、本明細書では明確に考えられる。超音波処理の有効性は配列特異的であるかもしれないことが、本明細書では明確に考えられる。例えば、本発明者らは、E1~E5は超音波処理に感受性があったが、E12~E16はそうではなかったことを見出した。超音波処理の効果は、4つ以上又は5つ以上のNPのバッチでは向上していたが、3つのNPを使用する場合に殆ど差がなかった。
実施例17:235nt配列の検出
235ntの標的配列を検出するために、2つの異なる捕捉プローブセットを用いた。配列の5’末端から中間までの捕捉プローブE1~E5と、3’末端の中間からの捕捉プローブE12~E16である。NP(150μM)、標的配列235nt(1nM)、NaCl 0.3Mを含むサンプルを48時間インキュベートした(図15A~図15C)。これらのデータは、1つ、2つのバッチの金ナノ粒子を含むシステムは不変のままであることを示唆した。4つ、5つのバッチを含むシステムでは、凝集がより顕著であった。興味深いことに、捕捉プローブと標的配列のハイブリダイゼーション断片は、このタイプの検出方式にとって重要なようである。捕捉プローブE1~E5によって安定化されたNPでは凝集が起こるが、E12~E16によって安定化されたNPでは効果が観察された(図15D~図15F)。
235ntの標的配列を検出するために、2つの異なる捕捉プローブセットを用いた。配列の5’末端から中間までの捕捉プローブE1~E5と、3’末端の中間からの捕捉プローブE12~E16である。NP(150μM)、標的配列235nt(1nM)、NaCl 0.3Mを含むサンプルを48時間インキュベートした(図15A~図15C)。これらのデータは、1つ、2つのバッチの金ナノ粒子を含むシステムは不変のままであることを示唆した。4つ、5つのバッチを含むシステムでは、凝集がより顕著であった。興味深いことに、捕捉プローブと標的配列のハイブリダイゼーション断片は、このタイプの検出方式にとって重要なようである。捕捉プローブE1~E5によって安定化されたNPでは凝集が起こるが、E12~E16によって安定化されたNPでは効果が観察された(図15D~図15F)。
図15D、図15Eは、捕捉プローブE1~E5について、2つを超えるナノ粒子を含む測定では凝集が起こることを示している。逆に、捕捉プローブE12~E16については、粒子数の増加に伴う凝集がない。
実施例18:UV-Visスペクトルと凝集に対する異なるバッチ数の影響
このタイプの凝集測定で使用する粒子数の重要性を実証するために、i)2つのNPの異なる組み合わせ(図16A)、ii)3つ、4つ又は5つの粒子(図16B)を使用して測定を実施した。
このタイプの凝集測定で使用する粒子数の重要性を実証するために、i)2つのNPの異なる組み合わせ(図16A)、ii)3つ、4つ又は5つの粒子(図16B)を使用して測定を実施した。
図16Aは、2つのバッチのNPを使用した測定のUV-Visスペクトル及び凝集度を示している。235ntウイルス分析物の異なる位置に結合するナノ粒子の集団の4つの異なる組み合わせを使用した。図16Bは、2つ、3つ、4つ又は5つのナノ粒子の集団を使用した測定のUV-Visスペクトル及び凝集度を示す。これらの測定で用いる条件は、標的配列235nt 1nM、[Au]150μM、NaCl 0.3Mであった。
これらの結果は、使用するプローブ配列の組み合わせに関わらず、2つのプローブの集団だけを使用する場合に、UV-Visスペクトルは変化しないことを示している。4つ又は5つのプローブの集団を使用する場合に、UV-Visスペクトル及び凝集度は明らかな変化を示した。
実施例19:融解温度に対するミスマッチの影響
捕捉プローブ配列E1~5、E7~11(データは示されていない)及びE12~16に対して、それらの標的分析物の配列における1、2又は3ntの変化及び変化の位置から、融解曲線を計算した。これらの実験の結果を表5に示し、E1~E5については図17Aに、E12~E16については図17Bにそれぞれ示す。
捕捉プローブ配列E1~5、E7~11(データは示されていない)及びE12~16に対して、それらの標的分析物の配列における1、2又は3ntの変化及び変化の位置から、融解曲線を計算した。これらの実験の結果を表5に示し、E1~E5については図17Aに、E12~E16については図17Bにそれぞれ示す。
1又は2ntの変化では、結合親和性はほぼ変化がなかった。捕捉プローブの20-mer配列の15%を占める3ntの変化は、許容度が低かった。3ntの変化は標的分析物における捕捉プローブ配列の中間に相補的な位置で発生した場合に、許容度が低かった。
実施例20:非球状のナノ粒子を用いる合成E遺伝子分析物の検出
非球状のナノ粒子を用いてSARS-CoV-2 E遺伝子の検出を改善できるかどうかを決定するために、SARS-CoV-2のサブゲノムE遺伝子に相補的な3つの単独なDNAプローブ(E9~E11)を用いて、非球状の50nm Auナノウニ(Sigma)(図18A、図18B)、又は球状の30nm AuNP(NanoComposix)(図19A、図19B)を機能化し、結果を比較した。標的分析物、即ちE遺伝子の3’側半分(長さが120ntのサブゲノムRNA配列)を1ウェルあたり10nMの濃度で添加した。対照ウェルは、AuNP-プローブに非相補的な長さが108ntのRNA配列を1ウェル当たり10nMの濃度で含んでいた。2分後に目視で色の変化を検出し、UV-Visスペクトルで確認した。
非球状のナノ粒子を用いてSARS-CoV-2 E遺伝子の検出を改善できるかどうかを決定するために、SARS-CoV-2のサブゲノムE遺伝子に相補的な3つの単独なDNAプローブ(E9~E11)を用いて、非球状の50nm Auナノウニ(Sigma)(図18A、図18B)、又は球状の30nm AuNP(NanoComposix)(図19A、図19B)を機能化し、結果を比較した。標的分析物、即ちE遺伝子の3’側半分(長さが120ntのサブゲノムRNA配列)を1ウェルあたり10nMの濃度で添加した。対照ウェルは、AuNP-プローブに非相補的な長さが108ntのRNA配列を1ウェル当たり10nMの濃度で含んでいた。2分後に目視で色の変化を検出し、UV-Visスペクトルで確認した。
図18は、ナノウニが標的分析物を特異的かつ迅速に検出できることを示しており、標的分析物を添加してから2分後のピンク色から青/透明への明確な色の変化が示されており(図18A)、明確なスペクトルシフトに対応する(図18B)。
ナノウニを使用して観察された迅速な色の変化とは対照的に、球状のナノ粒子を使用する場合に、色の変化とスペクトルシフトはそれほど顕著ではなかったが、十分であった(図19)。
これらの結果は、非球状のナノ粒子がSARS-CoV-2 E遺伝子の検出を増強できることを示している。
実施例21:30nmのナノスフェアを用いる合成N遺伝子RNAの検出
7つ(N1~7)又は6つ(N8~20)のプローブの混合物を用いて、30nmの金ナノスフェア(NanoComposix)を機能化した。標的分析物は、合成的に生成したSARS-CoV-2の完全なN遺伝子配列(1260nt)であった(図20)。30μLの総量に対して、100~0.1nMの間の異なる濃度の1μLを用いた。
7つ(N1~7)又は6つ(N8~20)のプローブの混合物を用いて、30nmの金ナノスフェア(NanoComposix)を機能化した。標的分析物は、合成的に生成したSARS-CoV-2の完全なN遺伝子配列(1260nt)であった(図20)。30μLの総量に対して、100~0.1nMの間の異なる濃度の1μLを用いた。
この実験の結果は、プローブの混合物で機能化された30nmのナノスフェアが、長いRNA配列を、この場合にはSARS-CoV-2のN遺伝子配列を検出できることを示している。この実験は、ナノ粒子を同じナノ粒子上の複数のプローブの混合物で機能化できることも実証しており、これによりナノ粒子はより製造しやすくなるという利点がある。
実施例22:SARS-CoV-2の全ゲノム検出
AuNPを用いてSARS-CoV-2の全ゲノムを検出できるかどうかをテストするために、SARS-CoV-2感染細胞の細胞培養物(スロバキア科学アカデミー生物医学研究センター・ウイルス学研究所、スロバキア)から完全長のゲノムRNA(3万ntまで)を取得して標的分析物として使用した。7つ(N1~7)若しくは6つ(N8~20)のプローブの混合物(図21)、E遺伝子プローブの混合物(E7~17)(図22)、又はN及びE遺伝子プローブの混合物(図23)で、30nmの金ナノ粒子を機能化した。添加した標的分析物の量は、30μLの最終容量中、10nM又は1nMが1μLであった。25分後及び120分後に目に見える色の変化があったかどうかを決定することにより標的分析物の検出をテストし、UV-Visスペクトルで確認した。
AuNPを用いてSARS-CoV-2の全ゲノムを検出できるかどうかをテストするために、SARS-CoV-2感染細胞の細胞培養物(スロバキア科学アカデミー生物医学研究センター・ウイルス学研究所、スロバキア)から完全長のゲノムRNA(3万ntまで)を取得して標的分析物として使用した。7つ(N1~7)若しくは6つ(N8~20)のプローブの混合物(図21)、E遺伝子プローブの混合物(E7~17)(図22)、又はN及びE遺伝子プローブの混合物(図23)で、30nmの金ナノ粒子を機能化した。添加した標的分析物の量は、30μLの最終容量中、10nM又は1nMが1μLであった。25分後及び120分後に目に見える色の変化があったかどうかを決定することにより標的分析物の検出をテストし、UV-Visスペクトルで確認した。
これらの実験の結果は、AuNPはSARS-CoV-2の全長RNA配列の検出を可能にすることを明確に示している。さらに、これらの実験は、ウイルスから直接取得したRNAを検出できることを示している。
AuNPがSARS-CoV-2を特異的に検出することを実証するために、関連するコロナウイルス(ネコ科アルファコロナウイルスVR-989)を標的分析物として使用し、SARS-CoV-2と比較した(図24)。E遺伝子プローブ(E7~17)の混合物で30nmのAuNPを機能化し、0.03nM(総量30μL中1nMが1μL)のSARS-CoV-2又は猫科アルファコロナウイルス株VR-989(ATCCから取得)からのゲノムRNAを標的分析物として添加した。水を対照として使用した。
目に見える色の変化から示されるように、機能化されたAuNPは25分間のインキュベーション後にSARS-CoV-2を検出できたが(図24A)、VR-898は120分間のインキュベーション後でも色の変化又はスペクトルシフトを引き起こさなかった(図24B)。
この実験は、本発明の機能化されたAuNPはSARS-CoV-2に特異的であり、密接に関連するコロナウイルスを検出しないことを実証している。
検出速度を向上させるために、AuNPを添加した後に、測定には追加で塩を添加した。AuNPには、プローブの異なる混合物として、E遺伝子であるE7~17(図25A)及びE1~E6(図25B)、N遺伝子であるN1~N7及びN8~N20(図25C)並びにN13(図25D)を共有結合させ、次にSARS-CoV-2の全長RNA配列又は陰性対照として水を使用して測定した。AuNPを添加した後、追加で0.7M NaClを添加し、1.5Mの最終濃度にした。追加の塩の添加により、わずか20分後に、プローブの混合物で機能化されたAuNPのいずれかを使用して検出することが可能になり(図25A~図25D)、これは吸光度の低下及び明確なスペクトルシフトによって実証された。
結論として、AuNPの添加後に追加で塩を添加すると、測定の特異度に影響を与えることなく、その感度を改善している。
実施例23:検出限界(LOD)の改善
検出限界を決定するために、既知の濃度範囲で108のコピー、107のコピー、106のコピー、105のコピーを含む完全長ゲノムSARS-CoV-2 RNAでAuNPをテストした。プローブE7~E17で機能化されたAuNPは、15分後に107のコピー以上のウイルスにおいて明確な色の変化を生じた(図26)。E7~17サブゲノム(6)、E1~5ゲノム(5)、N遺伝子の混合物(10)、及びリーダー配列プローブ(17)に対するプローブで機能化したAuNPは、15分後に105のコピー以上のウイルスにおいて明確な色の変化を生じた(図27)。
検出限界を決定するために、既知の濃度範囲で108のコピー、107のコピー、106のコピー、105のコピーを含む完全長ゲノムSARS-CoV-2 RNAでAuNPをテストした。プローブE7~E17で機能化されたAuNPは、15分後に107のコピー以上のウイルスにおいて明確な色の変化を生じた(図26)。E7~17サブゲノム(6)、E1~5ゲノム(5)、N遺伝子の混合物(10)、及びリーダー配列プローブ(17)に対するプローブで機能化したAuNPは、15分後に105のコピー以上のウイルスにおいて明確な色の変化を生じた(図27)。
これらのデータは、AuNPは105のコピーという低い濃度でも標的分析物を検出できることを示している。
実施例24:唾液基質からのタンパク質の除去
これまでの実験は、唾液基質中のタンパク質成分がナノ粒子に非特異的に結合することで、ナノ粒子は標的分析物に結合できなくなることを示した。したがって、基質からタンパク質を除去する方法を検討する必要があった。
これまでの実験は、唾液基質中のタンパク質成分がナノ粒子に非特異的に結合することで、ナノ粒子は標的分析物に結合できなくなることを示した。したがって、基質からタンパク質を除去する方法を検討する必要があった。
プロテイナーゼKは最良の効果を示した。これは、プロテイナーゼK処理とSDSの組み合わせは、qRT-PCRでの使用に備え、SARS-CoV-2ウイルスを直接不活化しRNAを抽出することに利用できることを示すエール大学によって提供された情報と一致していた(https://publichealth.yale.edu/salivadirect/)。
SDS/プロテイナーゼKを使用すると、別のRNA抽出ステップが不要になり、標的分析物のワンステップ検出が可能になる。検査前にSDS及びプロテイナーゼKの両方を除去する必要があるPCRと異なっており、SDSはよく知られているNP安定剤である。PCRは、酵素の存在を必要とするため、プロテイナーゼKの除去が必要となる。有利なことに、当システムにはタンパク質が存在しないため、プロテイナーゼKを除去する必要はない。SDS/プロテイナーゼK法の利用のもう1つの利点は、SDSはウイルスを不活性化し、ウイルスを完全に破壊するのに濃度0.5%のSDSが十分だということである。
当測定で用いるSDS/プロテイナーゼK処理をテストするために、本発明者らは、10μgのプロテイナーゼKと最終濃度0.5%のSDS(粉末形態)の組み合わせを使用し、唾液を用いて同様の結果を得た。即ち、15分以内にSARS-CoV-2 RNAを検出した(図28)。当実験では、E7~17のAuNP-プローブを用い、65μLの最終容量において260pMの標的分析物を1μL使用した。
唾液に加えた患者由来の鼻咽頭サンプル(PCR用に抽出されたRNA)を用いて、当実験を繰り返し(図29)、同様の結果が示された。
結論として、これらの実験は、サンプルにSDSとプロテイナーゼKを添加してタンパク質を除去することで、唾液中のタンパク質成分が測定に干渉するという問題を解決しており、患者由来のサンプルにおけるウイルスRNAの検出が可能になるということを実証している。
実施例25:個体のサンプルの臨床検査
当測定は臨床サンプル中のSARS-CoV-2を検出できるかどうかを決定するために、ギプスコア県のCOVID-19テストセンタから、PCRでCOVID-19を検出した175件の鼻咽頭臨床サンプルを取得した。これらは、6人の独立な観察者が盲検法で、目視でサンプルを陽性か陰性とマークして検査する例であった(図30)。統一した見解を認め、Medcalcを用いて、臨床検査パラメータについて集計結果を計算した(図30B)。
当測定は臨床サンプル中のSARS-CoV-2を検出できるかどうかを決定するために、ギプスコア県のCOVID-19テストセンタから、PCRでCOVID-19を検出した175件の鼻咽頭臨床サンプルを取得した。これらは、6人の独立な観察者が盲検法で、目視でサンプルを陽性か陰性とマークして検査する例であった(図30)。統一した見解を認め、Medcalcを用いて、臨床検査パラメータについて集計結果を計算した(図30B)。
本発明は感度が92.86%で特異度が96.10%であるため、その性能は標準的なPCR検査とラテラルフロー検査の間にある。ラテラルフロー検査はウイルスに感染し症状が出ている人を72%、病気になって最初の1週間にある人を78%検出することができる。しかし、症状のない人では、58%に低下している(参考文献7)。PCR検査よりも利用しやすいが、従来のラテラルフロー検査の1つの主な欠点は感度の低さである。PCR検査はより高い感度を提供するが、拡張性が欠如している。本発明の検査の感度は、ラテラルフロー検査をはるかに上回り、PCR検査の感度よりわずかに低いだけである。このように本発明は、大量生産が可能で、従来のラテラルフロー検査と比べて改善された感度を有しており、便利で使いやすい検査を有利に提供する。
図31は、本発明の測定のプロトタイプの例を提供する。当該プロトタイプは、AuNP及びSDS/プロテイナーゼを含むチューブと、追加で塩を含む蓋部品を含む。使用者は、漏斗状の構造に唾液を入れ、蓋を閉め、追加でチューブに塩を添加して、チューブを振る。発色後に、指示窓から結果が見える。赤から青への色の変化は、SARS-CoV-2検査が陽性であることを示し、色の変化がないことは検査が陰性であることを示す。
実施例26:ナノ粒子としてのナノダイヤモンドの使用
本発明の感度をさらに高めるために、本明細書ではナノ粒子としてのナノダイヤモンドの使用が考えられる。ナノダイヤモンドはチオール化オリゴヌクレオチドプローブで機能化し、標的分析物の存在はナノダイヤモンドの凝集を引き起こして、例えば、蛍光など、発光の変化をもたらす。この発光の変化は光学的に検出可能であり、視覚的な指標/変化に変換できる。
本発明の感度をさらに高めるために、本明細書ではナノ粒子としてのナノダイヤモンドの使用が考えられる。ナノダイヤモンドはチオール化オリゴヌクレオチドプローブで機能化し、標的分析物の存在はナノダイヤモンドの凝集を引き起こして、例えば、蛍光など、発光の変化をもたらす。この発光の変化は光学的に検出可能であり、視覚的な指標/変化に変換できる。
「結論」
要するに、本明細書で提供される結果は、108nt及び235ntの標的を検出するために混合物中には2つ以上のバッチのAU@DNAナノ粒子を必要とすることを示唆している。本発明の方法は、235ntの標的配列の検出を可能にする。E1~E6は、235ntの標的配列に対する最適な検出を示した。さらに、AU@DNAナノ粒子は、SARS-CoV-2の全長RNA配列を特異的に検出できる。結果は、患者サンプル中のSARS-CoV-2を検出するための測定でAU@DNAナノ粒子を使用することで、大量生産が可能で、先行技術による検査と比べて改善された感度を有する、より便利な検査を提供することをさらに示している。
要するに、本明細書で提供される結果は、108nt及び235ntの標的を検出するために混合物中には2つ以上のバッチのAU@DNAナノ粒子を必要とすることを示唆している。本発明の方法は、235ntの標的配列の検出を可能にする。E1~E6は、235ntの標的配列に対する最適な検出を示した。さらに、AU@DNAナノ粒子は、SARS-CoV-2の全長RNA配列を特異的に検出できる。結果は、患者サンプル中のSARS-CoV-2を検出するための測定でAU@DNAナノ粒子を使用することで、大量生産が可能で、先行技術による検査と比べて改善された感度を有する、より便利な検査を提供することをさらに示している。
本明細書に引用された全ての参考文献は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が全体として参照により組み込まれることが具体的かつ個別に指示される場合と同じ程度に、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載された特定の実施形態は、限定ではなく例として提供される。本明細書の見出しは、取り扱いやすさのために含まれているものに過ぎず、本開示を何らかの形で限定するものと解釈されるべきではない。
「参考文献」
「参考文献」
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Claims (53)
- サンプル中の標的核酸分析物の存在を検出するための方法であって、前記標的核酸分析物は、少なくとも第1、第2及び第3の標的配列を含み、これらの標的配列は、離間した又は連続的かつ重畳せず、
a)オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団を提供することであって、前記集団は、少なくとも、前記第1標的配列にハイブリダイズする第1オリゴヌクレオチドプローブと、前記第2標的配列にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブと、前記第3標的配列にハイブリダイズする第3オリゴヌクレオチドプローブとを含むことと、
b)前記サンプルを含む溶液を前記ナノ粒子の集団に接触させることであって、前記オリゴヌクレオチドプローブ配列と前記標的配列との間の複数の特異的な結合事象が前記ナノ粒子の凝集を引き起こすことにより、前記溶液は標的核酸分析物に依存する目に見える色の変化を生じることとを含む、方法。 - 前記ナノ粒子の集団は、少なくとも3つのタイプ、少なくとも4つのタイプ、又は少なくとも5つのタイプのナノ粒子を含み、各タイプのナノ粒子は、1つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブの複数のコピーで機能化される、請求項1に記載の方法。
- 前記ナノ粒子の集団は、少なくとも3つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブのいずれかの複数のコピーでそれぞれ機能化された複数の異なるタイプのナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ナノ粒子の集団は、標的分析物中の少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、又は少なくとも25個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列にハイブリダイズする、少なくとも4つのタイプ、5つのタイプ、6つのタイプ、7つのタイプ、8つのタイプ、9つのタイプ、10タイプ、11タイプ、12タイプ、13タイプ、14タイプ、15タイプ、16タイプ、17タイプ、18タイプ、19タイプ、20タイプ、21タイプ、22タイプ、23タイプ、24タイプ、又は少なくとも25タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ナノ粒子の集団は、前記標的分析物中の10個の対応する離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列に結合する10タイプのオリゴヌクレオチドプローブで機能化される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチドプローブの1つ又は複数は、それがハイブリダイズする標的配列に完全に相補的であるか又は1個から3個の塩基のミスマッチを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- 標的と全ナノ粒子のモル比は、標的特異的なナノ粒子の凝集を可能にするよう選択される、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的と全ナノ粒子のモル比は、1~0.001の範囲にある、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記方法は、前記標的核酸分析物を2つ以上の断片に分解する断片化ステップを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記断片化ステップは、サンプルに対する一定時間の超音波処理を含む、請求項9に記載の方法。
- 超音波処理の時間は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、又は少なくとも60秒である、請求項10に記載の方法。
- 前記標的分析物は、ウイルスRNAを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的分析物は、ウイルスゲノムRNA、ウイルスサブゲノムmRNA、又はウイルスmRNAを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的分析物は、SARS-CoV-2 RNAを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的分析物は、SARS-CoV-2のEタンパク質又はNタンパク質のゲノム配列を含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的分析物は、SARS-CoV-2のE遺伝子又はN遺伝子のsgmRNAを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブ配列は、配列番号1、2、3、4、5から選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記プローブ配列は、配列番号11、12、13、14、15から選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記プローブ配列は、配列番号6、7、8、9、10から選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記ナノ粒子は、金属又はダイヤモンドを含むコアを有する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記金属を含むコアは、金又は銀を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記ナノ粒子は、球状、非球状、楕円体又は両錐体である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ナノ粒子は、13~65nmの直径を有する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ナノ粒子の平均直径は、20~60nmであり、任意に、前記ナノ粒子の平均直径は、約30nmである、請求項18に記載の方法。
- 前記プローブは、DNA、非天然核酸、又はペプチド核酸(PNA)を含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブは、ロック核酸(LNA)、2’-H核酸、2’-OMe核酸、又は2’-F核酸を含む、請求項25に記載の方法。
- ナノ粒子-プローブ結合は、前記オリゴヌクレオチドプローブの5’末端にある、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブは、ナノ粒子の表面へのチオール結合を含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブは、C6-チオール5’結合を含む、請求項28に記載の方法。
- 前記プローブ配列は、10~100個のヌクレオチドを含み、任意に12~30個のヌクレオチドを含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分は、20個のヌクレオチドを含む、請求項30に記載の方法。
- 前記プローブは、前記プローブ配列の標的配列にハイブリダイズする部分の上流にヌクレオチド尾部を含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ヌクレオチド尾部は、10個のヌクレオチドを含む、請求項32に記載の方法。
- 前記ヌクレオチド尾部は、ポリT配列を含み、任意にT10配列を含む、請求項32又は33に記載の方法。
- 前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、5~30nmである、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、10~18nmである、請求項35に記載の方法。
- 前記プローブが前記標的分析物の前記標的配列にハイブリダイズされる時の隣接するナノ粒子間の間隔は、12nmである、請求項36に記載の方法。
- 前記方法は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びプロテイナーゼKを添加するステップをさらに含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- SDSの最終濃度は、少なくとも0.5%である、請求項38に記載の方法。
- 前記方法は、追加で塩を添加するステップ(c)をさらに含む、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 45℃未満で実施される、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記方法は、RNAseの添加を伴わない、請求項41に記載の方法。
- 標的核酸分析物中の少なくとも第1、第2及び第3の離間した又は連続的かつ重畳しない標的配列にハイブリダイズする少なくとも第1、第2及び第3のオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団。
- 請求項1~42のいずれか1項に記載の方法における請求項43に記載のオリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団の使用。
- 請求項43又は請求項44に記載のオリゴヌクレオチドプローブで機能化されたナノ粒子の集団であって、前記ナノ粒子は、請求項1~42のいずれか1項において定義されるとおりである、ナノ粒子の集団。
- サンプル中の標的核酸分析物を検出するためのキットであって、
請求項43~45のいずれか1項において定義されるナノ粒子の集団と、
溶液を保持するための反応容器であって、少なくとも壁と密閉可能な開口部とを含み、可視光は前記壁の少なくとも一部及び/又は前記密閉可能な開口部を通過できる前記反応容器と、
請求項1~42のいずれか1項に記載の方法を実施するための1つ又は複数の試薬又は溶液とを含む、キット。 - サンプルから標的核酸を分離するための1つ又は複数の試薬又は溶液をさらに含む、請求項46に記載のキット。
- 前記標的核酸分析物の陽性検出時に予想される色の変化に対応する色基準をさらに含む、請求項46又は47に記載のキット。
- サンプル中の標的核酸分析物の存在を検出するための装置であって、
サンプルを受け取るための入口と、
前記サンプルが前記入口から、試薬一式が予め装填された保管室に到達するための通路であって、前記試薬は請求項43~45において定義されるナノ粒子の集団を含む前記通路と、
色基準を含む検出窓とを含み、
使用時は、前記サンプルが保管室内の試薬に接触することにより、標的核酸分析物の陽性検出は、前記検出窓を通して見える、色基準における予想される色の変化を引き起こす、装置。 - 前記サンプルは、唾液サンプルである、請求項49に記載の装置。
- 蓋部品をさらに含む、請求項49又は50に記載の装置。
- 前記蓋部品はNaClを含み、前記蓋部品を閉めるとNaClは前記保管室に添加される、請求項51に記載の装置。
- 請求項1~42において定義される方法における、いずれか1項の請求項に記載の装置の使用。
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