JP2023543970A - リニアモーターの動作方法 - Google Patents

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Abstract

リニアモーターの運搬ユニットの動きを制御するために、能動的な駆動コイル4の制御変量SGの関数として、品質項JTkGを有する品質汎関数JSGが使用され、この品質汎関数JSGが、固定子2に沿った運搬ユニット3の動きを制御するために、動き制御のそれぞれの時間ステップにおいて最適な制御変量SGoptを特定するように、制御変量SGに関して最適化されて、これらの特定された最適な制御変量SGoptに基づき能動的な駆動コイル4が電流を流され、固定子2に沿った運搬ユニット3の移動中に、少なくとも二つの運動フェーズが規定され、これらの少なくとも二つの運動フェーズにおいて、最適な制御変量SGoptを特定するために異なる品質汎関数JSGが使用され、これらの異なる品質汎関数JSGが、使用される品質項JTkSGの数k、品質項JTkSG及び重み係数kkの中の一つ以上が異なると規定される。

Description

本発明は、複数の駆動コイルが配置された固定子と、この固定子に沿って動かされる、複数の駆動磁石が配置された運搬ユニットとを備えたリニアモーターの動作方法であって、運搬ユニットの駆動磁石の領域内の駆動コイルに電流を流すことによって、運搬ユニットを動かすために運搬ユニットの駆動磁石と協力して動作する電磁界を発生させる方法に関する。
リニアモーターでは、一次部分と、その一次部分に対して相対的に移動可能な形で配置された二次部分(電機子)とが配備されている。一次部分には、駆動コイルが配置され、二次部分には、駆動磁石が配置されているか、或いはその逆である。駆動磁石は、永久磁石、電気コイル又は短絡巻線として実現される。駆動コイルは、電磁界を発生させるために電流を流される電気コイルである。駆動磁石と駆動コイルの(電)磁界の協力した動作によって、二次部分を一次部分に対して相対的に動かす力が二次部分に作用する。リニアモーターは、例えば、同期機械として、或いは非同期機械として実現することができる。リニアモーターは、(平面モーターとも呼ばれる)平坦なリニアモーターとして実現することもできる。リニアモーターの駆動コイルは、移動方向に沿って配置されるか、或いは平面モーターの場合、二つの移動方向に沿って、即ち、移動平面内に配置される。二次部分は、その一つの移動方向に沿って動かすか、或いは移動平面内を二つの移動方向に自由に動かすことができる。短固定子リニアモーターと長固定子リニアモーターの間を区別することもでき、長固定子リニアモーターでは、二次部分が一次部分よりも短く、短固定子リニアモーターでは、一次部分が二次部分よりも短い。平面モーターでは、通常一次部分が二次部分よりも大きい。
リニアモーターは、運搬課題を実施するために運搬ユニットを動かす電磁式運搬システムに採用されている。運搬ユニットは、二次部分又は一次部分として実現することができる。そのような電磁式運搬システムは、通常長固定子リニアモーター又は平面モーターの形で実現される。
長固定子リニアモーターでは、固定子に沿って、多数の電気駆動コイルが並んで固定位置に配置されている。運搬ユニットには、空隙を介して駆動コイルから分離された、駆動コイルと協力して動作する一定数の駆動磁石が、永久磁石として、或いは電気コイル又は短絡巻線として配置されている。駆動磁石と駆動コイルの(電)磁界の協力した動作によって、運搬ユニットを固定子に沿って動かす力が運搬ユニットに作用する。平面モーターでは、固定子の駆動コイルが平面内に配置されている。同じく、運搬ユニットには、平面内に配置された駆動磁石がある。
多くの場合、所定の数の駆動コイルが個々の固定子セグメントに配置されている。それらの固定子セグメントは、例えば、直線、曲線、転轍機などの異なる幾何学的な形状を有することもできる。そして、固定子セグメントは、それらを互いに接して並べることによって所望の固定子として組み立てることができる。しかし、本発明のリニアモーターに関しては、そのような固定子セグメントの使用とそのような固定子セグメントの数は重要ではなく、固定子セグメントにおける駆動コイルの数及び配置構成も重要ではない。
運搬ユニットの駆動磁石の領域内の駆動コイルに電流を流すことによって、運搬ユニットに作用する(固定子に沿った移動方向への、或いは平面モーターでは、固定子に沿った移動平面内の移動方向への)推進力及び/又は(移動方向に対して交差した方向への)垂直力を発生させるために、駆動磁石の磁界と協力して動作する磁界を発生させることができる。発生させた磁束を制御するために、個々の駆動コイルを駆動することによって、発生させた力に調整することができる。それによって、駆動コイルの駆動により移動方向に動く磁界を発生させることによって、所望の手法で運搬区間(平面モーターの場合には、運搬平面を含む区間)に沿って運搬ユニットを動かすことができる。その場合、運搬区間に沿って多数の運搬ユニットを配置することも可能であり、それらの動きは、それぞれ運搬ユニットと協力して動作する駆動コイルに電流を流すことによって、一般的には電圧を印加することによって、個々に互いに独立してコントロールすることができる。
長固定子リニアモーターの例は、特許文献1~4から読み取ることができる。特許文献5は、例えば、平面モーターの基本的な構造と動作形態を開示している。
運搬ユニットの動きを制御するために、一般的には(回転モーターと同様に)運搬ユニットと一緒に動くdq座標が使用される。また、平面モーターの場合には、二つの移動方向に分けられる。そして、移動方向における(しばしばq成分とも呼ばれる)電流成分と、場合によっては、垂直方向における(即ち、移動方向に対して交差する、しばしばd成分とも呼ばれる)電流成分とから成るdq座標における所望の動きに必要な駆動電流が計算される。その場合、q成分は、推進力を発生させる役割を果たし、d成分は、推進力に対して交差した垂直力を発生させる役割を果たす。しかし、固定子に沿った標準的な動きに関しては、通常(即ち、駆動コイルに電流を流すことによる)能動的な垂直力は不要である。そして、回転モーターと同様に、dq座標系における駆動電流は、逆パーク変換により、力の発生に関与する駆動コイルのコイル電流に換算された後、パワーエレクトロニクスを用いて、それに対応する駆動コイルに電圧を印加することによって、コイル電流を発生させている。それは、典型的には、1/10ミリ秒の範囲内の制御に関して予め与えられた時間ステップで繰り返される。運搬ユニットの動きに起因して、移動中に異なる駆動コイルが関与することもある。その制御は、運搬ユニットの両側で力を発生させるのか、或いは片側だけで発生させるのかに依存しない。
そのような長固定子リニアモーターのdqモデルに基づく制御は、例えば、非特許文献1に記載されている。非特許文献1には、移動方向に見て両側に駆動コイルを配置した長固定子リニアモーターが記載されており、運搬ユニットを中央位置に置いて、中心で案内するために、垂直力が両側で利用されている。
特許文献6には、垂直力を運搬区間の状況に適合させることができるように、推進力と垂直力を互いに独立して制御する長固定子リニアモーターが記載されている。特許文献7では、転轍機において運搬ユニットの動きを制御するために垂直力又はモーメントが使用されている。
運搬ユニットに作用する力及び/又はモーメントの制御に関して、所与の目標変量、例えば、目標位置又は目標速度と実際の変量、例えば、実際の位置又は実際の速度の間の偏差を解消するために、コントローラが使用され、しばしば複数の連続するコントローラから成るカスケード式コントローラも使用されている。多くの場合、(特許文献8に記載されている通り)固定子に沿って、多数のコントローラが、例えば、固定子セグメント毎に一つのコントローラが配備されている。コントローラは、そのために、実装された制御規則、多くの場合、PIコントローラ又はPIDコントローラに基づき、目標変量、例えば、駆動コイルに印加される電圧を特定した後、それをリニアモーターにおいて転換している。例えば、目標変量は、パワーエレクトロニクスによって駆動コイルのために転換されて、即ち、生成されて、駆動コイルに印加される。従来のコントローラはコントローラパラメータを有し、それらのパラメータは、例えば、制御誤差、オーバーシュート、安定性、応答挙動などの所望の制御挙動を調整するために、それぞれの制御区間、ここでは、駆動コイルを備えた固定子と駆動磁石を備えた運搬ユニット及びそれらの磁気結合に適合させなければならない。従って、コントローラは、パラメータ値を決めなければならず、それは、コントローラパラメータに対応する値を対応付けられていないことを意味する。それらのコントローラパラメータは、通常固定的に与えられて、動作時に変更されない。
特許文献9は、長固定子リニアモーターにおけるコントローラパラメータのパラメータ決定形態を記載している。その場合、異なる運搬ユニット又は運搬区間の異なる場所に関して、例えば、異なる荷重、摩耗状態、実現形態などのために、制御挙動を出来る限り良好に異なる運搬ユニットに適合させることができるように、異なるコントローラパラメータセットを使用すると規定することもできる。パラメータ値を決めるために、目標変量に重畳された励起信号により制御区間を励起して、その励起に対する制御区間の周波数応答の形の反応を評価して、そのことから、コントローラパラメータを導き出している。それは、一方において負担がかかり、他方において、運搬区間の所定の場所で所定の運搬ユニットに関してしか行うことができない。そのアプローチでは、確かに制御を改善できるが、依然として柔軟でない。
国際特許公開第2013/143783号明細書 米国特許登録第6,876,107号明細書 米国特許公開第2013/0074724号明細書 国際特許公開第2004/103792号明細書 米国特許登録第9,202,719号明細書 欧州特許公開第3385110号明細書 欧州特許登録第3109998号明細書 欧州特許公開第3422558号明細書 欧州特許公開第3251986号明細書 欧州特許公開第3249803号明細書
Khong, P.C., et al., "Magnetic Guidance of the Mover in a Long-Primary Linear Motor", IEEE Transactions on Industry Applications, Vol.47, No.3, May/June 2011, S.1319~1327 Deng, Z., et al., "Forces and Parameters of Permanent Magnet Linear Synchronous Machines", IEEE Transaction of Magnetics, Vol. MAG-23, No.1, Jan, 1987 Boldea, I., et al., "Linear Electric Actuators and Generators", Cambrige University Press, 1997
本発明の課題は、リニアモーターの運搬ユニットの動き制御を改善する、特に、より柔軟にすることである。
この課題は、独立請求項1の特徴によって解決される。
出来る限り精密な動き制御のために、品質汎関数が、制御の所与の目標変量とその目標変量に依存する制御の実際の変量の偏差を評価する品質項を含む。これは、運搬ユニットの動き制御の高い制御品質を可能にする。運搬ユニットの動きの異なる運動フェーズにおいて異なる品質汎関数を使用することによって、制御をそれぞれの動きに柔軟に適合させるとともに、それらの運動フェーズにおいて異なる制御目標を追求することができる。これらの運動フェーズは、運動フェーズにおける品質汎関数と同様に、固定子に沿って柔軟に構成することができる。このことは、異なる品質汎関数だけを最適化するので、運搬ユニットの動き制御の基本的なフローにおいて何も変更しない。
この運搬ユニットの最適化に基づく動き制御は、品質汎関数のオンラインの最適化とオフラインの最適化の両方を可能にする。これは、動き制御の柔軟性を一層向上させる。
オフラインの最適化では、目標運動変量、特に、駆動力と能動的な駆動コイルに対して相対的な運搬ユニットの位置を最適な目標変量にマッピングする運動特性曲線を異なる品質汎関数に関して事前に作成するのが特に有利である。それにより、オンラインでは、運搬ユニットの動き制御のための最適な目標変量を正しい運動特性曲線から読み取るだけでよいこととなる。
有利には、この品質汎関数は、運搬ユニットを動かすのに必要な電力を評価する品質項を含む。これは、運搬ユニットの動きが出来る限り少ない電力損失で行われる運動フェーズを規定することを可能にする。これは、リニアモーターのエネルギー効率の良い動作を可能にする。
この品質汎関数が目標変量の合計を評価する品質項を含む場合、目標変量を転換するパワーエレクトロニクスのコンポーネントの熱負荷と固定子の発熱を低減することができる。
有利には、リニアモーターの数学モデルが使用され、このモデルを用いて、品質項の変数を特定することができるか、或いはこのモデルを最適化の付帯条件のために使用することができる。このモデルを用いて、所定の変数又は変量をリニアモーターで測定する代わりに、それらを計算することができる。このモデルを用いて、リニアモーターの状態変量も、全ての所要の出力変量も特定することができる。付帯条件を使用した場合、リニアモーターの物理的な合法則性を考慮することが保証され、このことは、全く一般的に制御品質を改善することができる。
特に有利には、リニアモーターが、リラクタンス網により、即ち、そのリラクタンス網から導き出される、物理的な合法則性を反映した方程式体系により数学的にモデル化される。リラクタンスモデルを用いて、モデルの複雑さと比べて、高いシステム品質(精度)を達成することができる。
以下において、本発明の実施例を模式的に図示した、本発明を限定するものではない図1~9を参照して本発明を詳しく説明する。
駆動コイルを備えた歯を有する固定子と駆動磁石を有する運搬ユニットとを備えた長固定子リニアモーターの考え得る構造の模式図 駆動コイルを備えた歯を有する固定子と駆動磁石を有する運搬ユニットとを備えた長固定子リニアモーターの考え得る構造の模式図 固定子のリラクタンス網の模式図 固定子のリラクタンス網の模式図 電機子及びその固定子との結合部のリラクタンス網の模式図 品質汎関数の最適化による運搬ユニットの動き制御の模式図 運搬ユニットの動き制御の考え得る実施形態の模式図 運搬ユニットの動き制御の考え得る実施形態の模式図 運動特性曲線の例の模式図
リニアモーターの実施形態として長固定子リニアモーターを例にして本発明を説明するが、例えば、平面モーター又は短固定子リニアモーターなどのリニアモーターの別の実施形態にも同様の手法で適用することができる。
図1には、例えば、長固定子リニアモーター1の一部が非常に簡略化されて図示されている。この長固定子リニアモーター1は、一つの固定子2と、この固定子2に沿って移動方向xに動かすことができる少なくとも一つの運搬ユニット3とから構成されている。図示された実施例では、固定子2がリニアモーターの一次部分であり、運搬ユニット3が二次部分である。通常は、多数の運搬ユニット3が(異なる運搬ユニットも)同時に互いに独立して固定子2に沿って動かされる。これらの固定子2と運搬ユニット3の具体的な構造と幾何学的な形状は、本発明に関して何らの役割も果たさないが、当然のことながら、リニアモーター1の以下で説明するモデルの構造に影響する。同様に、運搬ユニット3が固定子2に沿って如何にして案内及び保持されるのかは、本発明に関して僅かな役割しか果たさない。
多数の駆動コイル4が、移動方向xに固定子2に沿って並んで配置されている。通常は、一つの駆動コイル4が、固定子ヨーク6を介して互いに接続された、例えば、鉄などの高透磁性材料から成る固定子歯5に配置されている。駆動コイル4を有する二つの固定子歯5の間に、駆動コイル4の無い隣歯7を配備することもできる。しかし、これらの隣歯7を省くこともできる。運搬ユニット3には、一定数の駆動磁石9から成る駆動磁石配列8が配置されている。駆動磁石配列8の移動方向xに並んで配置された駆動磁石9は、通常は正反対の極性である。この駆動磁石配列8は、駆動コイル4の方を向いており、空隙14を介して駆動コイルから分離されている。一般的に、この空隙14の維持は、図示されていない通常は固定子2における運搬ユニット3の機械式ガイド部及び/又は磁気式ガイド部によって保証されている。
既に言及した通り、平面モーターでは、駆動コイル4が固定子2の移動平面内に配置されている。同様に、駆動磁石9は一つの平面内に配置されている。平面モーターでは、通常運搬ユニット3の機械式ガイド部は無いが、運搬ユニット3は、通常磁気的に浮遊して保持される。
運搬ユニット3の駆動磁石配列8の領域内の一定数の駆動コイル4が、運搬ユニット3を動かすために駆動磁石配列8の駆動磁石9と協力して動作する。運搬ユニット3を動かすために如何なる数の駆動コイル4が使用されるのかが既知であることを前提にすることができるとともに、定めることができるが、固定子2に対して相対的な運搬ユニット3の位置に依存することもでき、しかし、以下で説明する最適化に依存して定めることができる。それにより、駆動コイル4の数は、最適化の結果として判明することもでき、それによって、この最適化は、運搬ユニット3の周辺における如何なる数の駆動コイル4に如何なる電流を流すべきであるのかを決定する。以下において能動的な駆動コイルとも呼ばれる、これらの電流を流される駆動コイル4は、制御ユニット10によって制御される。駆動コイル4の中のどれが、能動的な駆動コイルであるのかは、当然のことながら、固定子2に対して相対的な運搬ユニット3の移動中に変化する。
しかし、駆動磁石配列8の領域内の全ての駆動コイル4が必ずしも常に能動的な駆動コイルである必要がないことを補足しておきたい。駆動磁石配列8の領域内の或る駆動コイル4だけが能動的な駆動コイルとして使用される状況が考えられる。例えば、一つの駆動コイル4が故障する可能性があり、それにより運搬ユニット3の動きに関して使用できなくなる。それにも関わらず、駆動磁石配列8の領域内の別の駆動コイル4を能動的な駆動コイルとして運搬ユニット3を動かすことができる。
一つの駆動コイル4の故障時に長固定子リニアモーター1が故障することを防止するために、制御ユニット10が故障した駆動コイル4を単純に無視すると規定することができる。しかし、それは、運搬ユニット3の動きを或る程度妨げる可能性はあるが、その妨げは、或る状況では、例えば、運搬ユニット3の動きに関する精度要件の無い移動区域においては無視することができる。しかし、制御ユニット10は、長固定子リニアモーター1が故障することを防止するために、一つの駆動コイル4の故障を残る能動的な駆動コイルを用いて補うこともできる。そのためには、どの駆動コイル4が故障しているのかを制御ユニット10に通報することだけが必要である。これは、以下において更に詳述する通り、本発明の範囲内において非常に簡単に行うことができる。
駆動コイル4の故障を確認するために、この駆動コイルにコイル電流又はコイル電圧を加えることができる。そして、コイル電圧又はコイル電流の測定によって、駆動コイル4が短絡しているのか、或いは開路しているのかを確認することができ、このことは、その駆動コイルが最早動作可能ではないので、故障と同じである。これは、長固定子リニアモーター1の動作時に、運搬ユニット3の動きの制御中に持続的に行うこともできる。
移動方向xに見て運搬ユニット3の両側に駆動コイル4を配置することもできる。この場合、運搬ユニット3は、同じく移動方向xに見て両側に駆動磁石配列8を備えることができる。それにより、そのような構造において、運搬ユニット3の両側に運搬ユニット3に作用する力を発生させることができる。しかし、このことは、以下で説明する本発明による制御に関して何も変更しない。
制御ユニット10は、図1に示されている通り、例えば、データ通信バスを介して、例えば、設備制御ユニット11によって予め与えられる目標運動変量BSを使用する。この設備制御ユニット11は、例えば、固定子2上での複数の運搬ユニット3の動きを同時に制御して監視する。通常は1/10ミリ秒の範囲内の制御の各時間ステップにおいて、制御ユニット10によって、そこに実装された(例えば、プロセッサベースのハードウェア上で動く制御ソフトウェアの形の)制御部を用いて、目標運動変量BSに基づき、運搬ユニット3の動きに関与する一定数又は各々の能動的な駆動コイル4に関する制御変量SGが特定される。しかし、駆動コイル4毎に制御ユニット10を配備することもできる。能動的な駆動コイル4の制御変量SGは、通常同じではない。
この制御変量SGは、駆動コイル4に電流を流すためのコイル電流i又はコイル電圧vであるとすることができる。コイル電流i又はコイル電圧vは、関与する各駆動コイル4に対して、例えば、特許文献10に記載されている通り、図示されていないパワーエレクトロニクスによって生成して、駆動コイル4に印加することができる。この制御変量SGは、通常能動的な駆動コイル4に印加されるコイル電圧vである。
コイル電流iを制御変量SGとする場合、以下で更に詳述する通り、コイル電圧vへの換算部又はコイル電流iを調節する電流コントローラを更に配備することもできる。これは、制御ユニット10で、さもなければパワーエレクトロニクスで行うことができる。
目標運動変量BS、例えば、固定子2に沿った運搬ユニット3の目標位置、目標速度、さもなければ目標力は、制御の時間ステップ毎に予め与えることができる。しかし、目標運動変量BSは、例えば、固定子2に沿って(例えば、時間又は道程に関する運搬ユニット3の位置又は速度の推移として)計画された動きに基づき制御ユニット10自体で特定することもできる。例えば、固定子2に沿って予め与えられた目標位置に到達するために、この計画された動きを制御ユニット10に予め与えることができるが、制御ユニット10で計算することもできる。
運搬ユニット3の動きを制御するために、例えば、固定子2に沿って配置された(図1に示された)既知の位置センサー13に基づき、固定子2に沿った運搬ユニット3の動きの実際の変量、例えば、実際の位置を特定すると規定することもできる。
通常は、運搬ユニット3が所望の予め与えられた動きを実行するようするために、制御の各時間ステップにおいて、運搬ユニット3に関して前置された運動コントローラ内の目標運動変量BSから、運搬ユニット3に加える所要の駆動力及び/又は駆動モーメントが特定される。この運動コントローラは、制御ユニット10に実装することができるが、独自のユニットにすることもできる。そして、加えるべき駆動力及び/又は駆動モーメントから、能動的な駆動コイル4に関する制御変量SGが特定される。そのため、動きの転換において、能動的な駆動コイル4は、所与の動きに必要な駆動力及び/又は駆動モーメントを発生させるように電流を流される。
この場合、制御ユニット10は、場合によっては故障している駆動コイル4を考慮して、能動的な駆動コイル4に関する目標変量SGを特定することもでき、その結果、所望の予め与えられた動きを実現するために、駆動磁石配列8の領域内の故障している駆動コイル4が補われる。それにより、運搬ユニット3の動きに必要な電磁界は、故障したコイルを除いた能動的な駆動コイル4を用いて発生される。
このことは、複数の駆動コイル4が配置された固定子2と、この固定子2に沿って動かされる、複数の駆動磁石9が配置された運搬ユニット3とを有するリニアモーター1の動作方法であって、運搬ユニット3の駆動磁石9の領域内の能動的な駆動コイル4に電流を流すことによって、運搬ユニット3を動かすために運搬ユニット3の駆動磁石9と協力して動作する電磁界を発生させる方法を可能にする。制御ユニット10は、能動的な駆動コイル4に関する制御変量SG、有利には、コイル電流i又はコイル電圧vを特定する。能動的な駆動コイル4は、運搬ユニット3の動きを制御するために、特定された制御変量SGに基づき電流を流される。このことは、動き制御の所与の時間ステップにおいて行うことができる。制御ユニット10は、故障した駆動コイル4に関する情報を有するか、或いは駆動磁石配列8の領域内の故障した駆動コイル4自体を検知する。故障した駆動コイル4の作用は、運搬ユニット3を動かすために、残る能動的な駆動コイル4によって補われる。制御ユニット10は、そのために、残る能動的な駆動コイル4に関する制御変量SGを生成し、その結果、故障した駆動コイル4は、運搬ユニット3を動かすために補われる。このことは、以下で説明する、請求項で請求する通りの最適化によって実施することができる。
制御ユニット10及び/又は運動コントローラは、マイクロプロセッサベースのハードウェアであり、その上で制御ソフトウェアが実行されるとすることができる。しかし、制御ユニット10及び/又は運動コントローラは、入手可能なコンピュータハードウェアにインストールされて、実行されるコンピュータソフトウェアとして実装することもできる。制御ユニット10及び/又は運動コントローラは、マイクロプロセッサを実装することもできる、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲートアレー(FPGA)などの集積回路として実現することもできる。しかし、制御ユニット10は、アナログ回路として、例えば、アナログコンピュータとして実現することもできる。それらの組合せも可能である。
そのため、運搬ユニット3の動きを制御するために、制御の各時間ステップにおいて、能動的な駆動コイル4毎に、制御変量SG、コイル電流i、或いは有利には、コイル電圧vが特定されて、これを用いて、動きに必要な磁束を発生させるために、能動的な駆動コイル4に電流が流される。
例えば、能動的な駆動コイル4のコイル電流i又はコイル電圧vなどの制御変量SGを特定するために、能動的な駆動コイル4の少なくとも一つの特定すべき制御変量SGの関数である品質汎関数J、即ち、J=f(SG)が使用され、ここで、SGは、それぞれ個々の関与する能動的な駆動コイル4の特定すべき制御変量から成るベクトルである。具体的には、品質汎関数Jは、重み係数kで重み付けされた一定数k≧1の品質項JTの合計である、即ち、
Figure 2023543970000002
である。少なくとも一つの、有利には、各々の品質項JTは、能動的な駆動コイル4の制御変量SGの関数である。有利には、二次関数が使用され、その理由は、この関数がグローバル最小値を有し、従って、最適化に好適であるからである。しかし、品質汎関数Jは、そのため品質項JTも、更にリニアモーター1の別の変量、例えば、固定子2に対して相対的な運搬ユニット3の位置又は固定子2における(磁束などの)磁気変量にも依存することができる。
制御ユニット10が、駆動コイル4が故障しているのか、如何なる駆動コイル4が故障しているのを知っている場合、このことを品質汎関数J内の制御変量SGのベクトルにおいて考慮することができる。それにより、駆動コイル4の故障も自動的に補われる。
この制御の品質汎関数J(SG)は、それぞれの時間ステップにおいて生成される、関与する能動的な駆動コイル4に関する制御変量SGを特定して、駆動コイル4に電流を流すために、最適化(最大化又は最小化)される、通常は最小化される。最適化とは、品質汎関数J(SG)を最小化又は最大化するような制御変量SGを探し出すことを意味する。これらの制御変量SGは、最適な制御変量SGoptとも呼ばれる。
この最適化はオンラインで、即ち、制御の各時間ステップにおいて実行するか、或いはオフラインで実行することもできる。オフラインの最適化では、運搬ユニット3の所定の予め与えられた(例えば、時間又は道程に関する運搬ユニット3の位置又は速度の時間推移としての)運動シナリオに関して、この運動シナリオの実行中に設定すべき制御変量SGを事前に計算することができる。そのために、この運動シナリオを或る時間ステップで離散化して、これらの各時間ステップにおいて、最適化を実行することができる。時間ステップの間を補間することもできる。それにより、制御変量SGは、運搬ユニット3の動きの所要の各時点において、特に、制御の各時間ステップにおいて出現する。運搬システムでは、通常運搬ユニット3の動きが事前に計画されているので、この運動シナリオは既知である。運動シナリオが既知でないか、或いは部分的にしか既知でない場合、運搬ユニット3の実際の動きを遅らせることができ、その結果、再び動きに関する十分な情報が判明する。
オフラインの最適化では、運動特性曲線を作成することもできる。運搬ユニット3が所定の速度で固定子2に沿って動く場合(これは、所定の駆動力が移動方向に運搬ユニット3に作用することに相当する)、運搬ユニット3の駆動磁石8が、駆動コイル4の所を通過して動かされる。しかし、それにより、能動的な駆動コイル4に加えるべきコイル電圧v又はコイル電流iが繰り返し発生する。このことは、位置と駆動力の組合せの形の所定の運動シナリオに対して、コイル電圧v又はコイル電流iに関する運動特性曲線をオフラインで作成することを可能にする。そして、運搬ユニット3の移動中に、その時々の所要の駆動力とその時々の位置に依存して、運動特性曲線において所要のコイル電圧v及び/又はコイル電流iを読み取るだけでよいこととなる。そのような運動特性曲線は、異なる品質汎関数J(SG)に対して作成することもできる。
数学的に、この最適化は、一般的に
Figure 2023543970000003
として記述することができる(ここで、この費用関数Jは、言及した通り、更に制御変量SGとは別の変量に依存することもできる)。
この最適化は、付帯条件gを考慮して行うこともできる。この付帯条件gは、リニアモーター1の物理的な合法則性を記述する。これらの合法則性は、リニアモーター1の数学モデルの形で、有利には、同じくリニアモーター1の制御変量SG、場合によっては、(状態変量などの)別の変量の関数として公式化される。この数学モデルは、リニアモーター1の基本となる物理的な合法則性、例えば、コイル電流i又はコイル電圧vと磁束などの磁気変量の間の関係をモデル化したモデルであるとすることができる。しかし、この数学モデルは、トレーニングモデル、例えば、ローカルモデルネットワーク又はニューラルネットワークであるとすることもできる。一般的に、このモデルを用いて、リニアモーター1の出力変量又は状態変量(両方とも通常はベクトル)が、さもなければこれらの両方の形の反応が、入力変量(通常はベクトル)にマッピングされる。この入力変量は、通常制御変量SG、例えば、コイル電流i又はコイル電圧vである。この出力変量は、例えば、運搬ユニット3に作用する駆動力(推進力及び/又は垂直力)又は駆動モーメントであるか、さもなければ固定子2に沿った位置、移動方向x及び/又は法線方向yの速度又は移動方向x及び/又は法線方向yの加速度などの運搬ユニット3の運動変量であるとすることができる。平面モーターでは、駆動力は移動平面内、即ち、xz平面内において作用することができる。出力変量は、関与する駆動コイル4の(q電流又はd電流などの)合計電流であるとすることもできる。運動力学的な法則に基づき、駆動力/駆動モーメントと運動変量は等価であるか、或いは言い換えると、得られた運動変量は、作用する力/モーメントの結果である。駆動力/駆動モーメントは、合計電流に対応する。長固定子リニアモーター1の状態を記述する状態変量は、例えば、長固定子リニアモーター1において作用する入力変量に起因して生じる、例えば、磁束、磁位又は電圧などの磁気変量である。
故障している駆動コイル4は、追加の付帯条件gとして、例えば、「番号xyの駆動コイルが故障している」との数学的な式の形で公式化することもできる。このことは、例えば、全ての駆動コイル4に関して、駆動コイル4毎に一つの二進数値を有する一つのベクトルによって実現することができ、そこで、例えば、「0」が故障していることを表し、「1」が故障していないことを表すことができる。
数学的に、この最適化は、付帯条件gを考慮して、一般的に以下の通り記述することができる(ここで、この費用関数J及び/又は付帯条件gは、言及した通り、更に制御変量SGとは別の変量に依存することもできる)。
Figure 2023543970000004
そのような最適化問題を解くために、多様な既知の解法アルゴリズムが在り、その幾つかだけを挙げると、例えば、勾配手法、ニュートン手法、進化的手法又は逐次二次計画法などが在る。しかし、解法アルゴリズムの選定は、本発明に関して何らの役割も果たさないが、当然のことながら、(特に、オンラインの最適化では)計算負荷及び計算時間に関して有利な手法が選定される。この解法は、通常定義された停止基準に到達するまで繰り返されて、最適化問題の考え得る解を探し出すことが共通している。この停止基準は、例えば、繰返し回数又は最適化問題の二つの連続する繰返し工程の解の差が限界値を下回ることであるか、さもなければそれ以外の停止基準であるとすることができる。各繰返し工程での解(即ち、制御変量SG)の選定は、解法の規則により行われ、第一の繰返し工程では、開始値として解の好適な選択肢を予め与えることができる。勾配法では、例えば、品質汎関数の勾配(制御変量に関する品質汎関数の微分)を特定して、この勾配に沿って次の繰返し工程に関する制御変量を選定し、その際、その時々の制御変量から次の制御変量のステップ幅が解法の所与の規則により決定される。
固定子2に沿った運搬ユニット3の動きを制御すべきであることから、この品質汎関数J(SG)は、以下において更に詳しく説明する通り、制御変量SGに依存する制御の実際の変量IS、有利には、実際の運動変量からの運搬ユニット3の動き制御の所与の目標運動変量BSの偏差を評価する品質項JT(SG)を含む。この場合、制御の際に制御の各時間ステップにおいて、制御変量SGが生成されて、その制御変量SGによって生じる実際の変量ISを所与の目標運動変量BSに、通常は所定の最大制御誤差に出来る限り一致させるような形態が一般的である。この実際の変量ISは、通常測定されるか、或いは別の測定された変量から特定される。
運搬システムのリニアモーター1では、固定子2に沿った或る道程に渡って、また、転轍機を介して繋がった複数の道程に渡って運搬ユニット3を移動できることが一般的である。一つの道程は、事前に、さもなければ移動中に運搬ユニット3毎に計画され、これは、運動プロファイル(時間又は道程に関する、速度などの運動変量)の計画を包含することもできる。この道程に沿って、処理ステーションを配備して、そこで、運搬ユニット3と一緒に動かされる物体を処理することもできる。運搬ユニット3は、道程に沿った移動中に、例えば、充填される瓶などの異なる物体又は変化する物体を運ぶこともできる。要するに、運搬ユニット3の動きに対する要件がリニアモーター1の道程に沿った移動中に変わる可能性がある。
運搬ユニット3の動き制御において簡単にマッピングできるようにするために、運搬ユニット3が道程に沿って動く際に、少なくとも二つの運動フェーズが存在し、これらの運動フェーズにおいて、異なる品質汎関数J(SG)が使用されると規定される。これらの品質汎関数J(SG)は、使用する品質項JT(SG)の数k、使用する品質項JT(SG)及び重み係数kの中の一つ以上が異なるとすることができる。それにより、異なる運動フェーズにおける運搬ユニット3の動き制御を異なる要件に状況に応じて柔軟に適合させることができる。それどころか、リニアモーター1の動作中に、これを実行することが可能である。
例えば、運搬ユニット3の動き制御に特別な精度が必要でない第一の運動フェーズでは、長固定子リニアモーター1のエネルギーに関して最適な動作を追求することができる一方、精確な動き制御が必要な第二の運動フェーズでは、駆動力の精確な制御が望ましいとすることができる。例えば、転轍機の領域では、(移動方向xに対して交差したy方向における)垂直力の制御に、より大きな重みを付けて、運搬ユニット3の動き制御を行うことができる。しかし、転轍機外では、エネルギー効率をより高くする。
品質項JT(SG)は、有利には、偏差の二乗、即ち、例えば、JT(SG)=k(BS-IS(SG))、又はJT(SG)=k(BS-IS(SG))(ここで、kは重み係数である)として、制御の実際の変量ISからの目標制御変量BSの偏差を評価する。そのような品質項JT(SG)は、特に、(例えば、測定により)その時々の実際の変量ISが入手可能であるオンラインの最適化で使用することができる。この実際の変量ISは、例えば、位置センサー13を用いて測定できるが、例えば、オブザーバーにより、既存の既知の測定変量から特定することもでき、その際、リニアモーター1の数学モデルをオブザーバーに関するベースとすることもできる。オフラインの最適化では、実際の変量ISは、リニアモーター1の数学モデル(即ち、モデルの出力変量又は状態変量)から特定することもできる。実際の変量ISが制御変量SGに依存することから、この品質項JT(SG)も間接的に制御変量SGに依存する。そこで、例えば、実際の速度からの目標速度の偏差又は実際の位置からの目標位置の偏差、実際の駆動力(さもなければ駆動モーメント)からの目標駆動力(さもなければモーメント)の偏差又は実際の磁束からの目標磁束の偏差を評価することができる。それ故、この品質項JT(SG)は、制御誤差を評価する。当然のことながら、位置及び速度は運搬ユニット3に加わる駆動力及び駆動モーメントの結果であり、駆動力及び駆動モーメントが磁束に依存することから、前記の偏差は等価である。
この場合、運搬ユニット3に作用する駆動力又は作用する駆動モーメントは、付帯条件g(SG)の数学モデルから得ることができ、この駆動力は、(また、xz運動平面における)推進力及び/又は垂直力であるか、さもなければz方向の力であるとすることができる。この駆動モーメントも、全く一般的にx,y,z軸の周りのモーメントであるとすることができる。この駆動力及び駆動モーメントは、異なるx,y,z軸の成分から成るベクトルであるとすることができる。そして、このモデルから、実際の駆動力又は実際の駆動モーメントを計算することができる。目標駆動力又は目標駆動モーメントは、例えば、制御の目標運動変量BSから特定されるか、或いは目標変量として直接予め与えることもできる。有利には、実装された制御規則(例えば、PI又はPIDコントローラ)に基づき目標運動変量BSと(実際の位置又は実際の速度などの)その時々の実際の運動変量ISから必要な目標駆動力又は必要な目標駆動モーメントを特定する運動コントローラが実装される。
別の品質項JT(SG)は、例えば、運搬ユニット3を動かすために必要な電力を評価することができる。コイル電流i又はコイル電圧vを制御変量SGとして使用できることから、この電力を制御変量SGから簡単に特定することができる。コイル電流i又はコイル電圧vを制御変量SGとして使用できることから、関与する電流を流す能動的な駆動コイル4の(一つのベクトルに纏めることができる)目標変量SGのユークリッドノルムの二乗
Figure 2023543970000005
が、電力を評価する品質項JT(SG)として機能する、即ち、例えば、
Figure 2023543970000006
であり、ここで、kは重み係数である。このユークリッドノルムは、周知の通り、制御変量SGのベクトル成分の二乗の合計の平方根である。従って、この二乗は、ベクトル成分の二乗の合計である。電力は、電流又は電圧の二乗に比例することから、このユークリッドノルム
Figure 2023543970000007
の二乗を用いて、転換された電力が評価され、そのため、エネルギー効率も評価される。
別の品質項JT(SG)は、運搬ユニット3の動きに関与する駆動コイル4の制御変量SGの値の合計SGΣであるとするか、或いはこの合計の二乗であるとすることできる、即ち、例えば、
Figure 2023543970000008
であり、ここで、kΣは重み係数である。それにより、制御変量の合計を評価する形態を達成できる。この制御変量SGの合計が小さくなるほど、制御変量SGを生み出すパワーエレクトロニクスの負荷が小さくなる。このことは、パワーエレクトロニクスに出来る限り一定の負荷がかかることとなるので、長固定子リニアモーター1の長期間の動作に関して有利であるとすることができる。特に、それにより、損失が小さくなるため、パワーエレクトロニクスの熱負荷又はパワーエレクトロニクスの回路要素を低減することもできる。それにより、固定子2の加熱を小さくすることも達成でき、このことは、固定子2の冷却も簡略化するか、或いは不要にすることができる。
それにより、考え得る品質汎関数J(SG)は、以下の通り定義することができる。
Figure 2023543970000009
推進力F及び垂直力Fを制御する場合、品質汎関数J(SG)は、例えば、以下の通り記述することができる。
Figure 2023543970000010
平面モーターでは、駆動力Fがz方向に作用する可能性もあり、それに対応する品質項JTを品質汎関数J(SG)において規定することもできる。そこでは、FxS,FyS,FzSが予め与えられた力の目標値であり、F(SG),F(SG),F(SG)が数学モデルを用いて特定された力の実際値である。当然のことながら、推進力F,Fだけを、或いは垂直力Fだけを品質汎関数J(SG)に導入することもできる。当然のことながら、同じ手法で、駆動力、さもなければ駆動モーメントの追加的な成分又は別の成分を考慮することもできる。
例えば、k,kΣ,k,k,k,kなどの重み係数kの変更と、例えば、
Figure 2023543970000011
などの所定の品質項JT(SG)の追加又は削除との中の一つ以上によって、制御目標及び制御挙動を容易に変更できることは明らかである。当然のことながら、上述した通りの別の品質項又は追加的な品質項JT(SG)も可能である。
従って、制御変量SGに関する品質汎関数J(SG)の(オンライン又はオフラインの)最適化によって、品質汎関数J(SG)を最小化(さもなければ最大化)する最適な制御変量SGoptを特定することができる。これらの最適な制御変量SGoptは、図6に模式的に図示されている通り、運搬ユニット3の動き制御の各時間ステップにおいてリニアモーター1において転換される。目標運動変量BSは、例えば、運搬ユニット3の所望の推進力F,F及び垂直力Fに関する基準量又は運ぶべき位置又は設定すべき速度である。この目標運動変量BSの遵守は、例えば、品質項
Figure 2023543970000012
、さもなければ駆動力又は駆動モーメントの別の成分又は追加的な成分によって保証され、これを遵守する精度は、付属する重み係数k,k,k,kによって調整することができる。この場合、それ以外の品質項は全く存在する必要がないか、或いはそれと比べてより小さい重みを付けることができる。高い精度が要求されない場合、出来る限りエネルギーを節約した動作を可能にするために、電力、特に、電力損失を特徴付ける品質項
Figure 2023543970000013
に、より高い重みを付けるか、或いはこの品質項を追加することができる。それにより、品質汎関数J(SG)は、運搬ユニット3の移動中に異なる運動フェーズにおいて変更される。異なる品質汎関数J(SG)を有する異なる運動フェーズは、例えば、設備制御ユニット11によって、事前に構成するか、或いは移動中に漸く定めることもできる。
当然のことながら、更に別の品質項JTを規定することによって、リニアモーター1の動作の別の側面を考慮することもできる。
図6と図7を参照して、リニアモーター1又はリニアモーター1の能動的な駆動コイル4での特定された最適な制御変量SGoptの転換に関する考え得る実施例を説明する。
図7による例では、最適化によって特定された最適な制御変量SGopt、例えば、能動的な駆動コイル4のコイル電圧vC,optが、(図示されていない)パワーエレクトロニクスによって直接生成されて、駆動コイル4に印加される。この例では、目標運動変量BSは、運搬ユニット3の目標位置xsetである。この目標位置xsetは、最適化において、例えば、費用項
Figure 2023543970000014
に関して使用することもできる。そのために、運動変量の実際値IS、この場合、例えば、その時々の実際の位置xsetを特定(例えば、測定又は計算)して、最適化に使用することもできる。運動コントローラRB、この例では、位置コントローラで、目標運動変量BSと運動変量の実際値ISから、制御のその時々の時間ステップにおいて実際値ISと目標運動変量BSの間の制御誤差を最小化するために設定しなければならない駆動力FxSが特定される。この駆動力FxSは、最適化において、例えば、費用項(FxS-F(SG))に関して使用することができる。しかし、駆動力の目標値FxSは、目標運動変量BSとして予め与えることもできる。この場合、運動コントローラRBは、制御ユニット10から切り離されて、例えば、ソフトウェアがその上で進行する、マイクロプロセッサベースのハードウェアとして、或いは集積回路又はアナログ回路として実装することもできる。最適化、特に、最適化の付帯条件g(SG)に関するリニアモーター1の数学モデルにおいて、更に能動的な駆動コイル4のコイル電流iの(測定するか、或いは別の既知の変量から特定することができる)実際値を使用することもできる。この制御ユニット10の実現形態は、制御の各時間ステップにおいて、その時々の実際値、例えば、実際の位置x及び/又はコイル電流i(さもなければコイル電圧v)の実際値がリニアモーター1で検出されるので、特に、オンラインの最適化に適している。しかし、この実施形態は、オフラインの最適化に使用することもできる。
図8による実施例では、特定される最適な制御変量SGoptは、直接生成されて転換されるのではなく、リニアモーター1において調節される。この最適化により特定される最適な制御変量SGoptは、例えば、能動的な駆動コイル4の最適なコイル電流iC,optである。これらの最適なコイル電流iC,optは、制御ユニット10において、制御変量コントローラRSでの制御変量として使用される。この制御変量コントローラRSは、最適な制御変量SGopt、ここでは、コイル電流iC,optと、制御変量SGのその時々の実際値、ここでは、能動的な駆動コイル4のコイル電流iとから、具体的には、これらの偏差から、実装された制御規則(例えば、PI又はPIDコントローラ)に基づき、制御の各時間ステップにおいて、制御変量SG、ここでは、能動的な駆動コイル4のコイル電圧vを特定する。これらの制御変量SG、ここでは、コイル電圧vが、(図示されていない)パワーエレクトロニクスによって生成されて、駆動コイル4に印加される。当然のことながら、能動的な駆動コイル4の各々に関して、そのような制御変量コントローラRSが在る。制御変量コントローラRSは、ソフトウェア、マイクロプロセッサベースのハードウェアとして、或いは集積回路又はアナログ回路として実現することができる。しかし、制御変量コントローラRSは、パワーエレクトロニクスの一部であるとすることもできる。更に、最適化において、最適なコイル電圧vC,optを最適な制御変量SGoptとして特定することもできる。そして、図8に点線で示されている通り、これらの最適なコイル電圧vC,optを制御変量コントローラRSの前置制御部として使用することができる。この場合、最適なコイル電圧vC,optと制御変量コントローラRSを用いて特定されたコイル電圧が制御変量SGである印加すべきコイル電圧vに追加される。この実施例においても、図7による実施形態と同様に、目標運動変量BS、例えば、目標位置から駆動力FxSを特定するために、運動コントローラRBを配備することができる。
図8による制御ユニット10の実施形態は、特に、オフラインの最適化に適しているが、オンラインの最適化に使用することもできる。
オフラインの最適化では、既に前に説明した通り、駆動コイル4に対して相対的な運搬ユニット3の駆動力F(及び/又はF,F)と位置xを最適な制御変量SGopt、例えば、コイル電流iC,opt及び/又はコイル電圧vC,optにマッピングする事前に作成された運動特性曲線12を使用することができる。図9は、例えば、複数の駆動コイル4に対して相対的な運搬ユニット3の位置xと駆動力Fを能動的な駆動コイルのコイル電流iにマッピングする、そのような運動特性曲線12を図示している。この場合、当然のことながら、異なる運動フェーズにおいて最適な制御変量SGoptを特定するために、定義された異なる品質汎関数J(SG)に関する運動特性曲線12を使用することができる。運動特性曲線12は、制御ユニット10又は外部のメモリユニットに保存することができる。そして、運搬ユニット3の動きを制御するためには、正しい運動特性曲線において最適な制御変量SGoptを読み取るだけでよいこととなる。そのために必要な計算能力は非常に小さい。
この運動特性曲線12は、表の形で保存することができる。そして、表の記入値の間を補間することができる。しかし、例えば、補償計算方法によって、数学の関数、例えば、所定の次数の多項式を運動特性曲線12における特定された記入値に適合させることも可能である。この場合、運動特性曲線12に関して、所定の数学の関数だけを保存すれば良く、補間は、最早不要である。
当然のことながら、別の移動方向に関して、例えば、y方向又はz方向において、同等の制御を実現することができる。
品質項J(SG)の(FxS-F(SG)),(FyS-F(SG)),(FzS-F(SG))における変数、例えば、F(SG)、F(SG)又はF(SG)は、リニアモーター1の数学モデルを用いて特定することができる。この場合、制御変量SGがモデルの入力変量としての役割を果たし、この変数が、モデルの出力変量又は状態変量である。
リニアモーター1の最適化の付帯条件g(SG)に関する数学モデル化及び/又は物理的な実情に基づく品質汎関数JT(SG)の変数を特定するための数学的なモデル化は、異なる手法により行うことができる。リニアモーター1の通例の十分に知られたモデルは、dqモデル又は有限要素法(FEM)モデルである。
dqモデルは、例えば、冒頭で述べた非特許文献1、さもなければ非特許文献2又は非特許文献3の4章に記載されている。このdqモデルは、dq座標系における電流、電圧及び磁束と制御変量SG(コイル電流i及びコイル電圧v)の間の関係を記述して、移動方向xに作用する力(駆動力)、交差方向yに作用する力(垂直力)及びそれ以外の力又はモーメント成分に関する方程式も含む。
リニアモーター1の挙動のモデル化の別の有利な手法は、コイル電流i又はコイル電圧vと磁束の間の関係を記述でき、発生した駆動力、推進力及び/又は垂直力及び駆動モーメントも記述できるリラクタンス網による手法である。リラクタンス網を用いたモデル化の利点は、正弦形状の基本波だけでなく全ての形状のエンジン変量が考慮されることである。それによって、例えば、飽和などの非線形効果も、さもなければラッチ力(コギング力)などの効果も、系統的であるが、なおも十分に抽象化してモデル化することができ、その結果、このモデルは、オンラインでも計算することができる。
上述した方法とは別の制御方法とも一緒に、運搬ユニット3の動きを制御するためにリニアモーター1のリラクタンス網モデルを使用することは、それ自体で新しく、進歩性がある。例えば、リラクタンス網モデルは、オブザーバーを作成して、磁束及び/又は力の実際値を推測し、それを制御において使用するために用いることができる。
リラクタンス網は、リラクタンス(磁気抵抗)R、パーミアンスG(導磁度)及び磁位差源から成る網としてリニアモーター1を記述する。リラクタンスは、周知の通り、磁位差と磁束Φの間の関係を記述する。パーミアンスGは、リラクタンスRの逆数である。長さlと横断面積Aの磁気導体のリラクタンスRは、R=l/(μμA)によって与えられ、ここで、μは真空の透磁率であり、μは磁気導体の材料の比透磁率である。
長固定子リニアモーター1をリニアモーター1とする例では、リラクタンス網を用いたモデル化は、図2に図示されている通りの長固定子リニアモーターの構造に基づき記述される。平面モーターなどの別の具体的な構造又は別のリニアモーター1では、リラクタンス網及びモデルでの相応の変更が生じる可能性がある。
固定子2は、i=1,...,n個の歯(固定子歯5及び隣歯7)を有するリラクタンス網RNとしてモデル化される。これは、固定子2に存在する全ての歯に適用されるのではなく、例えば、運搬ユニット3と協力して動作する歯だけに適用すればよい。通常は、運搬ユニット3を動かす目的で電流を流される一定数の駆動コイル4が選定される。そのことから、リラクタンス網RNを用いてモデル化される一定数nの歯が得られる。j=1,...,n(n≦n)個の固定子歯5には、駆動コイル4が配置されており、それらの間には、隣歯7が配置されている。隣歯7が無い場合、それに対応してリラクタンス網RNが簡単になる。固定子2と運搬ユニット3の使用サイズは、図2に示されており、リニアモーター1に関して既知であるとの前提を設けることができる。
各固定子歯5は、ディファレンシャルリラクタンス(単位長さ当たりのリラクタンス)R’(Φ)=l/(μμ(Φ)A)によってモデル化され、ここで、固定子歯5の横断面積はA=w・bである。
磁束Φに依存する比透磁率μによる材料の非線形モデル化によって、固定子歯5の磁気飽和を考慮することができる。同様に、各隣歯7がR’(Φ)=l/(μμ(Φ)A)によってモデル化され、ここで、A=w・bは隣歯7の横断面積である。二つの隣り合う歯の間の幅がwcaである歯の隙間を介した歯の結合は、ディファレンシャルパーミアンスG’=μ/wcaによってモデル化される。j個の駆動コイル4は、ディファレンシャル磁位差u’c,j=(N/l)ic,jとしてモデル化することができ、ここで、Nは駆動コイル4の巻線数を表し、lはy方向(即ち、移動方向xに対して交差した方向)における歯の長さを表す。
そして、y方向における固定子2のディファレンシャル成分dyは、図3に図示されている通り、固定子2のリラクタンス網RNを用いてモデル化することができる。そこでは、各歯が、固定子のリラクタンス網RNの枝を構成し、これらの枝は、ディファレンシャルパーミアンスG’を介して接続されており、その結果、リラクタンス網RNのノードが形成されている。そこでは、Φ(y)がi番目の歯(固定子歯5又は隣歯7)の磁束を表し、φ(y)がi番目の歯に沿ったy方向の磁位を表す。
それにより、固定子のリラクタンス網RNのn個のノードの各々において、y方向に歯に沿った磁束Φ(y)と磁位φ(y)のノード合計を作成することができ、これは、方程式体系として次の二次連立方程式を生み出す。
Figure 2023543970000015
この磁束変量又は磁位変量のローカルなディファレンシャル表現は、特に、歯の隙間における無視できない漏れ磁束を考慮しないことを可能にする。
dyによる方程式の微分とdy→0の考慮によって、次の方程式体系が得られる。
Figure 2023543970000016
n個の磁束と磁位が、これらのベクトルΦ(y)とφ(y)に纏められている、即ち、Φ=[Φ Φ ・・・ Φ及びφ=[φ φ ・・・ φである。このシステム行列A及びAは、次の通り得られ、
Figure 2023543970000017
入力行列Bは、次の通り得られる。
Figure 2023543970000018
固定子2を完全にモデル化するために、図4に基づき説明する通り、境界条件としてy=l(即ち、固定子ヨーク6)及びy=0(即ち、空隙への遷移域)での終端をモデル化する。二つの隣り合う歯の間に在るy=lの場合の固定子ヨーク6は、線形パーミアンスGsyを用いてモデル化され、ここで、Gsy=μμry・2Asy/(w+w+2wca)であり、μryは、固定子ヨーク6の定数と仮定される比透磁率であり、Asy=b・lは固定子ヨーク6の横断面積である。y=0の場合、歯は、例えば、GS0=(μ/π)ln(2l/wca)によりモデル化できる漏れパーミアンスGS0を介して結合されている。これらの線形パーミアンスGsyと漏れパーミアンスGs0は、固定子のリラクタンス網RNの別のノードを形成する形で再び固定子のリラクタンス網RNの枝を接続する。この磁束
Figure 2023543970000019
は、固定子の歯2に流れ込む、運搬ユニット3の磁石9の磁束、即ち、空隙内の磁束を表す。
上述したものと同じ手順で、y=l及びy=0に関する境界条件として、又もや次の連立方程式が得られる。
Figure 2023543970000020
は、方程式体系を補完するものである。
固定子2の歯の材料が磁気的に線形であると仮定すると、磁束ΦへのリラクタンスR’及びR’の依存性が消えて、上記のディファレンシャル方程式体系に関する解析解を提示することができる。そして、固定子2のj=1,...,n個の固定子歯5における結合された磁束
Figure 2023543970000021
が、
Figure 2023543970000022
として得られる。このi次の単位ベクトルeから成る行列
Figure 2023543970000023
は、積分において、各固定子歯5に属する磁束Φ(y)を選定するものである。
それに対して、材料が非線形であり、磁気飽和が生じる場合、解析解が不可能となる。この場合、方程式体系のディファレンシャル方程式を解くために、近似方法を用いることができる。
例えば、歯におけるi番目の磁束Φとi番目の磁位φは、係数
Figure 2023543970000024
を有する近似多項式g(y)を用いて、歯の長さlに沿った(y方向における)N個の制御点に渡って次の形で近似することができる。
Figure 2023543970000025
この近似多項式g(y)を好適に選定することによって、方程式体系の非線形ディファレンシャル方程式の体系を非線形代数方程式の体系に変換でき、それを解くことができる。この近似多項式g(y)の考え得る選択肢は、次の形のラグランジュ補間多項式である。
Figure 2023543970000026
この変換は、yに関して近似多項式g(y)を微分して、N個の制御点において評価することによって得られる。それにより、
Figure 2023543970000027
から一定のディファレンシャル行列Dが得られる。そのため、この行列Dは、次の成分
Figure 2023543970000028
を有する。そして、この方程式体系としての非線形代数方程式の体系は次の通りとなる。
Figure 2023543970000029
この変換後のシステム行列は、次の通り得られる。
Figure 2023543970000030
周縁に関する方程式も、この手法で変換することができ、それから、次の変換後の方程式が得られる。
Figure 2023543970000031
それにより、結合された磁束
Figure 2023543970000032
の近似も、近似された磁束
Figure 2023543970000033
に依存して提示することができ、これは、一般的に
Figure 2023543970000034
として提示することができ、ここで、行列Wは、近似多項式g(y)とN個の制御点の選定から得られる。
運搬ユニット3の駆動磁石9が空隙内に発生する磁束を決定するために、空隙と運搬ユニット3も、図5に基づき説明する通り、電機子のリラクタンス網RNを用いてモデル化される。
運搬ユニット3は、一定数の歯に関する指数i=1,...,nと運搬ユニット3の一定数の駆動磁石9に関する指数j=1,...,pを有する空隙パーミアンスGa,ijを介して、固定子2と結合される。固定子2は、固定子2の周縁(y=0)での磁位φから得られる磁位差
Figure 2023543970000035
によって表される。上で説明した近似により、この磁位差は、例えば、次の通り得られる。
Figure 2023543970000036
駆動磁石9は、例えば、一定の磁位差umsj=H(Iは永久磁石の幅、Hは使用する永久磁石に関して既知である保持力)の磁位差源と線形パーミアンスG=Aμμrm/l(Aは永久磁石の既知である横断面積、μrmは永久磁石の既知である一定の比透磁率)よって記述される永久磁石である。別の駆動磁石9に関しては、磁位差が一定でない別のモデルを使用することもできる。運搬ユニット3における駆動磁石9を接続する磁石ヨークは、線形パーミアンスG=Aμμrt/w(Aは既知である横断面積、μrtは既知である一定の比透磁率、wは、二つの駆動磁石9の間(例えば、図2の通り中心の間)の間隔)よって記述される。運搬ユニット3の固定子2の方を向いた側の漏れ磁束は、次の漏れパーミアンスによって記述される。
Figure 2023543970000037
それ故、各駆動磁石9は、線形パーミアンスGと磁位差源の磁位差umsjを有する、電機子のリラクタンス網RNの枝を構成し、これらは、枝の終端において電機子のリラクタンス網RNのノードを形成する形で空隙の漏れパーミアンスGmlと磁石ヨークの線形パーミアンスを介して接続される。
空隙におけるノードには、電機子のリラクタンス網RNの別の枝が繋がり、そこには、空隙パーミアンスGa,ijが配置されている。p個の駆動磁石9の各々は、それぞれ空隙パーミアンスGa,ijを介して、固定子のリラクタンス網RNのn個の考慮対象の歯の各々と接続されている。空隙パーミアンスGa,ijを有する枝は、それぞれ電機子のリラクタンス網RNの別のノードを構成する形で、固定子2を表す、磁位差uを有する電位差源を介して接続されている。
固定子2と運搬ユニット3の間の磁気的な結合を記述する空隙パーミアンスGa,ij(x,y)は、移動方向x及び交差方向yにおける固定子2に対して相対的な運搬ユニット3の位置x,yに依存する。各駆動磁石9は、固定子2の観察対象の各歯と磁気的に結合されているか、或いは言い換えると、各駆動磁石9は、歯に流れ込む磁束ΦΣに寄与する。この空隙パーミアンスGa,ij(x,y)は、例えば、事前に測定技術的に、或いはシミュレーション計算からこれを特定することによって、既知であるとの前提を設けることができる。そのためには、固定子歯5に対して相対的な位置x,yに依存する駆動磁石9の空隙パーミアンスGa,ij(x,y)を特定することだけが必要である。隣歯7が使用されている場合には、隣歯7に対して相対的な位置に依存する空隙パーミアンスも必要である。そして、この空隙パーミアンスGa,ij(x,y)は、表の形で、数学の公式として、或いは特性曲線として制御ユニット10に保存することができる。
二つの隣り合う運搬ユニット3の間の磁気的な結合を電機子のリラクタンス網RNにマッピングすることも可能である。それにより、そのような依存性も制御によって考慮される。
空隙と運搬ユニット3の磁気的なリラクタンス網RNから、独立した方程式の連立方程式を導き出すために、異なる手法を採用することができる。考え得るアプローチとして、以下において例示して説明する通り、十分に既知であるグラフ理論を使用することが考えられる。グラフ理論の使用は、それが独立変数に関する方程式を作成して解くための体系を提供するので有利である。
この電機子のリラクタンス網RNのトポロジー(図5)は、一つの木と一つの補木に分けられる。この場合、木の網は、網目(枝を介して繋がる循環)を形成することなく全てのノードを接続し、補木は、木の一部ではない全ての構成要素を包含する。この木の選定は、基本的に自由であるが、有利には、全ての磁気差源が、この木の中に存在する。好適な選定は、例えば、最後の空隙パーミアンスGa,npまでの全ての空隙パーミアンスGa,ij(x,y)と補木内の漏れパーミアンスGmlを統合することである。そして、この木の磁束Φと補木の磁束Φは、次のベクトル
Figure 2023543970000038
に統合することができる。これらの木の構成要素は、指数tsを有する固定子2の磁位差源、指数tmを有する駆動磁石9の磁位差源及び指数tgを有する木の中のパーミアンスに分割することができる。従って、次の通り磁束の部分ベクトルが得られる。
Figure 2023543970000039
同様に、磁位差のベクトル
Figure 2023543970000040
から成る木の磁位差uと補木の磁位差uが得られる。これらの木と補木の磁束と磁位差は、行列Vを介してΦ=VΦ及びu=-Vの形で関連付けられ、この行列Vは、リラクタンス網RNのトポロジーと木及び補木への分割から得られる。この行列Vは、上記の分割に基づき再び
Figure 2023543970000041
に分けることができる。この行列Vは、固定子歯要素の選定数に依存する。
この行列Vは、n個の駆動コイル4(そのため、n=2n+1個の歯)に関して、V=[Vs1,0,Vs2,0,Vs3,0,Vs4,0,Vs5,0,0,0,0]として記述することができ、この要素0は、ゼロベクトルを表し、Vsj(j=1,...,5)は、次元dim(Vsj)=(n-1)×(n-1)の下三角行列であり、この三角行列の全ての成分は1である。
この行列Vは、例えば、五つの駆動磁石8(p=5)に関して、次数dim(Vmj)=p×n(j=1,...,p-1)の部分行列から成るV=[Vm1,Vm2,Vm3,Vm4,0,...,0,Vml]として得られる。これらの部分行列は、例えば、次の通り得られる。
Figure 2023543970000042
木と補木の磁束及び磁位差を関連付けた結果、行列Vも得られ、この行列は、又もや0,1を有する。
更に、磁束Φと磁位差uは、木のパーミアンス行列
Figure 2023543970000043
と補木のパーミアンス行列
Figure 2023543970000044
を用いてΦtg=Gtg及びΦ=Gの形でパーミアンスを介して関連付けられる。
リラクタンス網全体RN(RN+RN)に関する方程式体系を得るために、周縁(y=0)での上記の境界条件において、磁束ΦΣが空隙内の磁束によって表現され、それは、次の通りとなる。
Figure 2023543970000045
これらの行列
Figure 2023543970000046
は、n個の歯の各々に関して空隙磁束を選定して、それらを合算する。例えば、次の式が得られる。
Figure 2023543970000047
固定子のリラクタンス網RNと電機子のリラクタンス網RNから得られる上記の式は、纏めることができ、そのことから、リラクタンス網全体RNの全体的な方程式体系は、連立方程式K(x)x-B(i)=0の形で表現することができる。この連立方程式は、リニアモーター1のモデルを表現し、SG=i及び状態ベクトルxから成る付帯条件g(SG,x)として、或いは品質汎関数J(SG)の品質項JT(SG)の変数を特定するために使用することができる。この表現は、任意のトポロジーのリラクタンス網RNに対して提示することができる。
図3、4及び5による実施例に関して、状態変量
Figure 2023543970000048
から成る状態ベクトルと全体システム行列
Figure 2023543970000049
が得られる。入力ベクトルは、次の通りである。
Figure 2023543970000050
明確に定義された連立方程式を得るために、列
Figure 2023543970000051
を全体的な方程式体系に追加することができる。
それにより、このモデルを用いて、全てのシステム変量を計算する、特に、駆動コイル4の結合された磁束Ψをコイル電流iの関数として計算することができる。この全体システムの連立方程式も簡単に転換することができ、その結果、駆動電流iが磁束Ψの関数として特定される。
通常は、リニアモーターでは、入力変量としてコイル電圧vが使用され、その際、パワーエレクトロニクスを用いて、コイル電圧vが生成されて、駆動コイルに印加される。駆動コイル4の既知のオーム抵抗Rと既知のインダクタンスLから成る既知の電磁誘導の法則
Figure 2023543970000052
を用いて、コイル電流iからコイル電圧vを特定することができ、その逆も可能である。
例えば、磁気随伴エネルギーの既知の原理を適用して、リラクタンス網RNの方程式体系から、更に駆動力及び/又は駆動モーメントを、例えば、
Figure 2023543970000053
の形で推進力Fと垂直力Fを導き出すことができる。それにより、固定子2に対して相対的な運搬ユニット3の相対位置[x,y]に依存して、運搬ユニット3に作用する駆動力と駆動モーメントを決定することもできる。これらの駆動力と駆動モーメントは、リニアモーター1としての長固定子リニアモーターのモデルに追加することができる。
ここで説明した長固定子リニアモーターに関するリラクタンスモデルは、当然のことながら、リニアモーター1としての平面モーターの場合に拡張することができる。

Claims (18)

  1. 複数の駆動コイル(4)が配置された固定子(2)と、この固定子(2)に沿って動かされる、複数の駆動磁石(9)が配置された運搬ユニット(3)とを有するリニアモーター(1)の動作方法であって、
    運搬ユニット(3)の駆動磁石(9)の領域内の能動的な駆動コイル(4)に電流を流すことによって、運搬ユニット(3)を動かすために運搬ユニット(3)の駆動磁石(9)と協力して動作する電磁界を発生させる方法において、
    能動的な駆動コイル(4)の制御変量(SG)の関数として品質汎関数J(SG)が使用されて、この品質汎関数J(SG)が、これらの制御変量に依存する、重み係数kにより重み付けされた一定数k≧1の品質項JT(SG)の合計を含むことと、
    この品質汎関数J(SG)が、制御変量(SG)に依存する制御の実際の変量(IS)からの運搬ユニット(3)の動き制御の所与の目標運動変量(BS)の偏差を評価する品質項JT(SG)を含むことと、
    この品質汎関数J(SG)が、固定子(2)に沿った運搬ユニット(3)の動きを制御するために、この動き制御のそれぞれの時間ステップに関して最適な制御変量(SGopt)を特定するように、制御変量(SG)に関して最適化されて、これらの特定された最適な制御変量(SGopt)に基づき、能動的な駆動コイル(9)が電流を流されることと、
    固定子(2)に沿った運搬ユニット(3)の移動中に、少なくとも二つの運動フェーズが提供されていて、これらの少なくとも二つの運動フェーズにおいて、最適な制御変量(SGopt)を特定するために、異なる品質汎関数J(SG)が使用されて、これらの異なる品質汎関数J(SG)は、使用される品質項JT(SG)の数k、品質項JT(SG)及び重み係数kの中の一つ以上が異なることとを特徴とする方法。
  2. 前記の品質汎関数J(SG)が、動き制御のそれぞれの時間ステップにおいて最適な制御変量(SGopt)を特定するために、運搬ユニット(3)の移動中の制御の各時間ステップにおいてオンラインで最適化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記の品質汎関数J(SG)が、移動の実行中に設定すべき最適な制御変量(SGopt)を事前に計算するために、固定子(2)に沿った運搬ユニット(3)の所与の動きに関してオフラインで最適化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記の少なくとも二つの運動フェーズの異なる品質汎関数J(SG)に関して、目標運動変量(BS)と能動的な駆動コイル(4)に対して相対的な運搬ユニット(3)の位置を最適な制御変量(SGopt)にマッピングする運動特性曲線(12)がオフラインの最適化によって事前に作成されることと、
    運搬ユニット(3)の移動の実行中に、能動的な駆動コイル(4)に対して相対的な運搬ユニット(3)の特定された実際の位置と目標運動変量(BS)の所与の目標値に基づき、相応の最適な制御変量(SGopt)が運動特性曲線(12)から読み出されることとを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記の最適な制御変量(SGopt)が制御変量コントローラにおいて調節されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記の品質汎関数J(SG)が、運搬ユニット(3)の移動に必要な電力を評価する品質項JT(SG)を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
  7. 電流を流される駆動コイル(4)の制御変量(SG)から成るベクトルのユークリッドノルムの二乗が品質項JT(SG)として使用される、即ち、
    Figure 2023543970000054
    が使用されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記の品質汎関数J(SG)が、
    Figure 2023543970000055
    の形の品質項JT(SG)を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
  9. 前記の品質汎関数J(SG)が、制御変量(SG)の合計SGΣを評価する、有利には、この合計の二乗として評価する以下の品質項JT(SG)
    Figure 2023543970000056
    を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
  10. 一つの品質項JT(SG)が、リニアモーター(1)の数学モデルにより特定される変数を含むことを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
  11. 前記の最適化の際に、リニアモーター(1)の数学モデルの形の付帯条件g(SG)が考慮されることを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
  12. リニアモーター(1)が、リラクタンスR、パーミアンスG又は磁位差源が配置され、磁束Φが流れる枝から成る網としてのリラクタンス網(RN)によりモデル化されることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
  13. 固定子ヨーク(6)を介して接続された一定数nの歯を有する、リニアモーター(1)の固定子(2)がモデル化されることと、
    前記の固定子のリラクタンス網(RN)の一つの枝を介した、これらの一定数nの歯の各々のディファレンシャル部分dyが、ディファレンシャルリラクタンスR’(Φ),R’(Φ)によりモデル化され、これらの一定数nの歯の中の一つに磁位差源を有する駆動コイルの場合には、ディファレンシャル磁位差u’c,jによりモデル化され、ここで、各枝の終端には、磁位φ(y),φ(y+dy)が印加され、一つの枝には、磁束Φ(y)が流れ、二つの隣り合う枝が、固定子のリラクタンス網(RN)のノードを形成する形で歯の隙間を介した二つの隣り合う歯の磁気結合をモデル化するディファレンシャルパーミアンスG‘を介して接続されることと、
    この固定子ヨーク(6)が、固定子のリラクタンス網(RN)の別のノードを形成する形で固定子のリラクタンス網(RN)の二つの隣り合う枝を接続する線形パーミアンスGsyによりモデル化されることと、
    固定子(2)の固定子ヨーク(6)に対向する終端における空隙が、固定子のリラクタンス網(RN)の別のノードを形成する形で固定子のリラクタンス網(RN)の二つの隣り合う枝を接続する漏れパーミアンスGs0と、この空隙内の磁束ΦΣnとによってモデル化されることとを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 固定子のリラクタンス網(RN)の各ノードにおいて、リニアモーター(1)の固定子(2)をモデル化した連立方程式を固定子(2)の方程式体系として取得するために、枝の磁束Φ(y)と枝の磁位φ(y),φ(y+dy)のノード合計が作成されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 運搬ユニット(3)及び固定子(2)の歯と磁石ヨークを介して接続された運搬ユニット(3)の駆動磁石(9)の間の空隙(14)が電機子のリラクタンス網(RNL)によりモデル化され、この網では、電機子のリラクタンス網(RNL)の枝としてのp個の駆動磁石(9)が、線形パーミアンスGと磁位差源の磁位差umspによりモデル化され、これらの枝の終端が、電機子のリラクタンス網(RNL)のノードを形成する形で空隙(14)での漏れパーミアンスGmlと磁石ヨークでの線形パーミアンスGを介して接続されていることと、
    これらの空隙(14)におけるノードには、空隙パーミアンスGa,ijが配置された、電機子のリラクタンス網(RNL)の別の枝が繋がり、電機子のリラクタンス網(RNL)におけるp個の駆動磁石(9)の各々が、それぞれ一つの空隙パーミアンスGa,ijを介して固定子のリラクタンス網(RNS)におけるn個の歯の各々と接続されていることと、
    これらの空隙パーミアンスGa,ijを有する枝が、それぞれ電機子のリラクタンス網(RNL)の別のノードを形成する形で固定子(2)を表す、磁位差uを有する磁位差源を介して接続されていることとを特徴とする請求項12から14までのいずれか一つに記載の方法。
  16. 前記の電機子のリラクタンス網(RNL)から、空隙(14)と運搬ユニット(3)をモデル化する連立方程式が電機子の方程式体系として作り出されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記のリラクタンス網(RNS),(RNL)から作り出された方程式体系から、運搬ユニット(3)に作用する駆動力及び/又は駆動モーメントが導き出されることを特徴とする請求項14及び16に記載の方法。
  18. 複数の駆動コイル(4)が配置された固定子(2)と、この固定子(2)に沿って動かされる、複数の駆動磁石(9)が配置された運搬ユニット(3)とを備えたリニアモーター(1)であって、
    運搬ユニット(3)の駆動磁石(9)の領域内の能動的な駆動コイル(4)が、電磁界を発生させるために電流を流されて、この電磁界が、運搬ユニット(3)を動かすために運搬ユニット(3)の駆動磁石(9)と協力して動作するリニアモーターにおいて、
    電流を流される能動的な駆動コイル(4)の制御変量(SG)の関数としての品質汎関数J(SG)を実装した制御ユニット(10)が配備されており、この品質汎関数J(SG)が、制御変量に依存する、重み係数kにより重み付けされた一定数k≧1の品質項JT(SG)の合計を含むことと、
    この品質汎関数J(SG)が、制御変量(SG)に依存する制御の実際の変量(IS)からの運搬ユニット(3)の動きを制御するための所与の目標運動変量(BS)の偏差を評価する品質項JT(SG)を含むことと、
    この制御ユニット(10)が、固定子(2)に沿った運搬ユニット(3)の動きを制御するために、この動き制御のそれぞれの時間ステップに関して最適な制御変量(SGopt)を特定するように、品質汎関数J(SG)を制御変量(SG)に関して最適化して、これらの特定された最適な制御変量(SGopt)に基づき、能動的な駆動コイル(4)が電流を流されることと、
    この制御ユニット(10)では、固定子(2)に沿った運搬ユニット(3)の移動中に、少なくとも二つの運動フェーズが規定され、これらの少なくとも二つの運動フェーズに関して、最適な制御変量(SGopt)を特定するために異なる品質汎関数J(SG)が実装され、これらの異なる品質汎関数J(SG)は、使用される品質項JT(SG)の数k、品質項JT(SG)及び重み係数kの中の一つ以上が異なることとを特徴とするリニアモーター。
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