この出願は、太陽光発電技術の分野に関し、特に、太陽光発電システム、並びに太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法及び装置に関する。
現在、太陽光発電がますます評価されるようになっている。太陽光発電アレイによって出力される直流がインバータによって交流に変換され、そして、該交流が交流送電網に返され得る。電力出力を向上させるために、太陽光発電アレイは、一般に、直列及び並列に接続された複数の太陽光発電ストリングを含む。
実際の適用において、太陽光発電アレイは、接地故障としても知られる地絡を起こしがちである。太陽光発電アレイの地絡の一般的な原因は、太陽光発電アレイのケーブル絶縁損傷、太陽光発電ストリングにおけるアースへの回路短絡、天候若しくは他の理由による太陽光発電アレイにおけるアースへの一時的な回路短絡、又はこれらに類するものを含む。太陽光発電アレイが地絡に遭遇すると、大きい漏れ電流が発生し、それが安全上の事故を引き起こし得る。
IEC 62109-2標準によれば、太陽光発電インバータが電力投入される前に、太陽光発電アレイの対地直流絶縁抵抗(direct current insulation resistance to earth)を検出する必要がある。非絶縁式の適用シナリオにおいて、直流絶縁抵抗が低い(これは漏れ電流要件を満たすことができない)とき、直流絶縁抵抗が正常値に回復するまで、インバータに電力投入することができない。
現在、太陽光発電システムが、直流絶縁抵抗を検出することによって、地絡が発生していると判定するとき、地絡の具体的な位置を割り出すことができず、現場で太陽光発電ストリングを1つずつ手動で検査する必要があり、これは時間がかかり非効率的である。
この出願は、太陽光発電ストリングに地絡があるかを検出し、具体的な障害位置を自動的に割り出し、それにより効率を向上させるための、太陽光発電システム、並びに太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法及び装置を提供する。
この出願の一実施形態は太陽光発電システムを提供し、当該太陽光発電システムは、太陽光発電アレイと、太陽光発電装置と、コントローラとを含む。太陽光発電アレイは、m個の太陽光発電ストリングを含み、mは1以上の整数である。太陽光発電装置は、m個の電力変換回路を含む。電力変換回路は太陽光発電ストリングと一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。コントローラは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧、つまり、PV+又はPV-の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、ここで、太陽光発電ストリング内で地絡が発生した場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧は電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
太陽光発電装置はインバータとすることができ、太陽光発電装置は、直流/直流(DC/DC)変換回路と直流/交流(DC/AC)変換回路とを含む。太陽光発電ストリングが直流/直流(DC/DC)変換回路の入力端子に接続され、DC/DC変換回路の出力端子がインバータ回路に接続するように構成される。DC/DC変換回路とインバータ回路をインバータに統合することができ、インバータのコントローラを用いて太陽光発電ストリングの地絡を検出する。確かなことには、コントローラは代わりに、太陽光発電ストリングの地絡を検出するために独立して配設されてもよい。インバータ内にDC/DC回路は存在しないとすることができ、DC/AC変換回路のみが存在する。インバータは、単相インバータであってもよいし、3相インバータであってもよい。
電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
好ましくは、乱れ前の端子電圧から乱れ後の端子電圧を減算するのか、乱れ後の端子電圧から乱れ前の端子電圧を減算するのかは制限されない。主に電圧の変化の絶対値が問題となる。電圧乱れは、増加方向に変化するように端子電圧を制御してもよいし、減少方向に変化するように端子電圧を制御してもよい。コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御するように構成される。
好ましくは、開路電圧は一般的に最大の電圧である。従って、デフォルト状態では開放電圧が用いられ、制御の必要はない。コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御するように構成され、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
好ましくは、一般的に、電流及び電圧スキャンが実行されるとき、開路電圧が短絡電圧に変化するように制御される。換言すれば、電圧が大きい値から小さい値に変化する。コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御するように構成される。
好ましくは、太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルは全て直列に接続され、直列に接続された太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリングの両端の電圧に対して分圧を行う。従って、比率を用いることによって地絡の具体的な位置を得ることができる。コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
好ましくは、コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この出願の一実施形態は更に、太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法を提供し、当該方法は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ことを含む。
電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
好ましくは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定することは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定することを含む。
好ましくは、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行することは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御することを含む。
好ましくは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
好ましくは、電圧乱れは、電圧を増加方向に変化させてもよいし、電圧を減少方向に変化させてもよい。各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行することは、一般に、電流及び電圧スキャンの間に開路電圧を短絡電圧まで変化するように制御し、つまりは、電圧を大きい値から小さい値に変化させ、具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御することを含む。
好ましくは、太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルは全て直列に接続され、直列に接続された太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリングの両端の電圧に対して分圧を行う。従って、比率を用いることによって地絡の具体的な位置を得ることができる。電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
好ましくは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得する、
ことを含み、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
好ましくは、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
好ましくは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得する、
ことを含み、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この出願の一実施形態は更に、地絡を検出する太陽光発電装置を提供し、当該装置は、電力変換回路と、コントローラと、電圧検出回路とを含む。電力変換回路と太陽光発電ストリングとが一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。電圧検出回路は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成され、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。コントローラは、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行するように構成される。電圧検出回路は更に、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成される。コントローラは更に、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
好ましくは、電圧乱れ方向は、この出願のこの実施形態において限定されない。例えば、コントローラは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御する。
好ましくは、コントローラは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御し、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。具体的には、プリセット電圧を設定することができ、乱れによって出力電圧がプリセット電圧まで変化される。
好ましくは、コントローラは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得する。
上述の技術的ソリューションによれば、この出願の実施形態が以下の利点を有することが分かる。
太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。変化前の太陽光発電ストリングの端子電圧と変化後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。太陽光発電ストリングの端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。太陽光発電ストリングに地絡が発生している場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧が、電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化する。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
この出願の一実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングの地絡の概略図である。
図1に対応する抵抗モデルの概略図である。
この出願の一実施形態に従った2つの太陽光発電ストリングの概略図である。
この出願の一実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更なる他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った普遍的な太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する他の太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更に他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電装置の概略図である。
この出願の一実施形態に従った他の太陽光発電装置の概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの概略図である。
この出願の実施形態で提供される技術的ソリューションを当業者にいっそう十分に理解させるために、以下では、地絡が発生したときの動作状態を説明するための例として1つの太陽光発電ストリングを使用し、地絡に関して、この出願の実施形態で提供される技術的ソリューションが基づく動作原理を分析する。
先ず、地絡を説明する。標準によって規定されているように、直流絶縁抵抗が低い(これは漏れ電流要件を満たすことができない)ときにインバータに電力供給することは許されない。この出願の実施形態において、地絡は、標準に従ってインバータに電源投入することを許されるのに対応する抵抗よりも直流絶縁抵抗が低いことを意味する。例えば、アースへの短絡という障害は地絡の特別なケースである。
方法実施形態1
図1は、この出願のこの実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングの地絡の概略図である。
図1に示す太陽光発電ストリングは、太陽光発電パネル1、2、…、x、…、N-1、及びNを含んだ、直列に接続されたN個の太陽光発電パネルを含んでいる。太陽光発電ストリングの正極がPV+であり、太陽光発電ストリングの負極がPV-である。Nは、2以上の整数である。
図1に対応する抵抗モデルについて、図2を参照されたい。
太陽光発電ストリングが地絡を有しないとき、太陽光発電パネルの内部抵抗R0の抵抗値は、太陽光発電パネルの対地抵抗Rgよりも遥かに小さい。
太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルに地絡(十中八九、対地絶縁抵抗が低い障害障である)が発生すると、太陽光発電パネルの対地抵抗Rgが0に近い小さい抵抗に変化する。この場合、UpvとPV+の対地電圧Upv+及びPV-の対地電圧Upv-との間には比例関係が存在し、Upvは太陽光発電ストリングの正極と負極との間の電圧であり、Upv+ - Upv- = Upvである。
N個の太陽光発電パネルが直列に接続されている。ある太陽光発電パネルに地絡が発生すると、接地障害あり太陽光発電パネルの電位が基準ゼロ電位に近づく。従って、障害位置の太陽光発電パネルのシリアル番号を次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)、又はx=N*(Upv+/Upv)
に従って計算し得る。
この出願のこの実施形態で提供される技術的ソリューションを当業者にいっそう完全に理解させるために、2つの太陽光発電ストリングのうちの一方で地絡が発生する例を用いて以下の説明を提供する。
図3は、この出願のこの実施形態に従った2つの太陽光発電ストリングの概略図である。
各太陽光発電ストリングが、直列に接続された6つの太陽光発電パネルを含んでいる。図3に示すように、第1太陽光発電ストリング100は太陽光発電パネル1乃至6を含み、第2太陽光発電ストリング200は太陽光発電パネル1乃至6を含む。第1太陽光発電ストリング100及び第2太陽光発電ストリング200は、同一の太陽光発電システム内にあり、同じ基準グランドを持つ。しかしながら、第1太陽光発電ストリング100の正極及び負極は、第2太陽光発電ストリング200のそれらと独立している。換言すれば、PV1+とPV2+は共に接続されず、PV1-とPV2-は共に接続されない。
第1太陽光発電ストリング100の4番目の太陽光発電パネル4で地絡が発生する。第2太陽光発電ストリング200に地絡は発生していない。
この場合、PV1-の対地電圧は、電池の内部抵抗R0による分圧によって得られる。換言すれば、|Upv1-|/Upv1=2/6=1/3である。
第2太陽光発電ストリング200の対地電圧は、依然として、第2太陽光発電ストリング200の対地抵抗Rgによって決定される。この場合、Upv2が不変のままであり、且つUpv1の電圧値が変化すると、それに従って第1太陽光発電ストリング100の対地電圧が変化し、Upv1-の値は-1/3Upv1に等しい。例えば、Upv1=0である場合、第1太陽光発電ストリング100の対地電圧も0Vに変化する。Upv1が不変のままであるがUpv2が変化する場合、Upv1-の電圧はなおもUpv1と比例関係にある。
従って、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルを正確に割り出すために、この出願の本実施形態で使用される技術的ソリューションでは、太陽光発電システム内の太陽光発電ストリングの電圧を乱し、太陽光発電ストリングの対地電圧(つまりは端子電圧)をサンプリングし、乱れの前後の端子電圧を比較して、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかを判定する。太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定された場合、PV+の対地電圧又はPV-の対地電圧とPVの電圧との間の比例関係に基づいて、具体的な障害位置を更に取得する。
理解を容易にするために、以下にて、先ず、1つの太陽光発電ストリングの地絡を決定することについて説明する。太陽光発電ストリングが直流/直流(DC/DC)変換回路の入力端子に接続され、DC/DC変換回路の出力端子がインバータ回路に接続するように構成される。DC/DC変換回路とインバータ回路をインバータに統合することができ、インバータのコントローラを用いて太陽光発電ストリングの地絡を検出する。確かなことには、コントローラは代わりに、太陽光発電ストリングの地絡を検出するために独立して配設されてもよい。インバータ内にDC/DC回路は存在しないとすることができ、DC/AC変換回路のみが存在する。インバータは、単相インバータであってもよいし、3相インバータであってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
以下では、説明のための例として3相インバータを使用する。具体的には、インバータの出力端子は、それぞれL1、L2、及びL3である3相交流電流を出力する。
図4は、この出願のこの実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、説明のための例として1つの太陽光発電ストリングを使用する。太陽光発電ストリング100はインバータ300の入力端子に接続される。具体的には、PV+がDC/DC変換回路301の正の入力端子に接続され、PV-がDC/DC変換回路301の負の入力端子に接続され、DC/DC変換回路301がインバータ回路302の入力端子に接続され、インバータ回路302の出力端子が交流送電網に接続され得る。
太陽光発電ストリングは、直列に接続されたN個の太陽光発電パネルを含む。図4では、N=5である例を単に説明のために使用する。例えば、5つの太陽光発電パネルのうちの2番目で地絡が発生する。太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリング100の正極PV+に近い一端から始めて番号を付けられている。具体的には、PV+に接続された太陽光発電パネルが1番目の太陽光発電パネルであり、PV-に接続された太陽光発電パネルが5番目の太陽光発電パネルである。一般に、Nは2以上である。換言すれば、1つの太陽光発電ストリングが、直列に接続された少なくとも2つの太陽光発電パネルを含む。地絡は、太陽光発電ストリング内のいずれの位置でも発生し得る。この出願のこの実施形態では、説明のための例として、1つの太陽光発電ストリング内の一箇所でのみ地絡が発生する。
DC/DC変換回路301及びインバータ回路302の具体的な実装は、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。例えば、DC/DC変換回路301は、ブースト回路、バック回路、又はバック-ブースト回路とし得る。代わりに、DC/DC回路はなくてもよく、太陽光発電モジュールがDC/AC回路に直接接続される。同様に、インバータ回路302の具体的なトポロジ形態はこの実施形態において特に限定されることではない。
この実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法は、インバータ300のコントローラに適用されてもよいし、例えば太陽光発電所のコントローラといった別のコントローラに適用されてもよい。
図5は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法のフローチャートである。
当該方法は以下のステップを含む。
S501: 電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。
図4に示す太陽光発電ストリングで、電圧乱れ前の端子電圧、すなわち、乱れ前のPV+の対地電圧又はPV-の対地電圧が取得される。
具体的な実施において、電圧乱れ前の最も単純な制御方式は、太陽光発電ストリングに対していかなる制御も行わないことである。太陽光発電ストリングの出力電圧が制御されないとき、太陽光発電ストリングの出力電圧は、一般に、太陽光発電ストリングの開路電圧である。
S502: 各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得する。
図4に示すように、1つの太陽光発電ストリングのみが含まれている。この場合、太陽光発電ストリング100の出力電圧は、DC/DC変換回路301の入力電圧を制御することによって制御されることができ、これは具体的に、インバータ300のコントローラによって実装されてもよいし、別のコントローラによって実装されてもよい。これは、この実施形態において特に限定されることではない。
複数の特定の電圧乱し方式が利用可能である。例えば、太陽光発電ストリング100の出力電圧が大きい値から小さい値に変化するように制御され、あるいは、太陽光発電ストリング100の出力電圧が小さい値から大きい値に変化するように制御されたり、開路電圧から短絡電圧に変化するように制御されたりする。一般に、太陽光発電モジュールの電流-電圧IVカーブに沿ってスキャンすることによって制御を実装することができ、それ故に、太陽光発電ストリング100は該カーブ上のある点で動作する。
例えば、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、
電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
第1のプリセット電圧は、開路電圧よりも低い、任意の動作点に対応する電圧とし得る。
S503: 電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定する。
太陽光発電ストリング100内の太陽光発電パネルに地絡が発生しているとき、太陽光発電ストリング100の正極PV+の対地電圧Upv+は、乱れ前の対地電圧と明らかに異なる。同様に、乱れ前の太陽光発電ストリング100の負極PV-の対地電圧Upv-も、乱れ後のものと明らかに異なる。
太陽光発電ストリング100に地絡が発生しているかについて、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ後のUpv+との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができ、あるいは、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができる。
例えば、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定される。
プリセットの閾値は、実際の適用シナリオに従って設定されることができ、具体的な値はこの実施形態において特に限定されるものではない。
以下では、説明のための具体例として3つの制御方式を使用する。
第1の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を大きい値から小さい値に変化するように制御する。
開路電圧と短絡電圧との間で電圧乱れを行って、太陽光発電ストリングの出力電圧を短絡電圧点まで300Vだけジャンプするように制御し、端子電圧のジャンプを決定する。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が最初に600Vになるように制御され、サンプリングされた端子電圧はUpv1である。電圧乱れを行って太陽光発電ストリングの出力電圧を300Vになるように制御する。換言すれば、電圧が300Vだけ減少される。この場合、サンプリングされた端子電圧はUpv2である。Upv2とUpv1との間の差が取得される。太陽光発電ストリングの出力電圧は減少されている。従って、Upv2はUpv1よりも低く、Upv2-Upv1の値は負である。故に、Upv2とUpv1との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きい場合、太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定される。
なお、Upv1及びUpv2は、正極の対地電圧であってもよいし、負極の対地電圧であってもよい。
第2の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を小さい値から大きい値に変化するように制御する。
太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧にジャンプするように制御される。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が最初に600Vになるように制御され、サンプリングされた端子電圧はUpv1である。電圧乱れを行って太陽光発電ストリングの出力電圧を900Vになるように制御する。換言すれば、電圧が300Vだけ増加される。この場合、サンプリングされた端子電圧はUpv2である。Upv2とUpv1との間の差が取得される。太陽光発電ストリングの出力電圧は増加されている。従って、Upv2はUpv1よりも高く、Upv2-Upv1の値は正である。Upv2とUpv1との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きい場合、太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定される。
第3の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を開路電圧から短絡電圧に変化するように制御する。
電圧乱れを行って、太陽光発電ストリングの出力電圧を開路電圧から短絡電圧に変化するように制御する。換言すれば、電圧乱れ後の短絡電圧は0であり、つまり、出力電圧が大きい値から0に変化する。サンプリングされた端子電圧も0に近い。この場合、太陽光発電ストリングが地絡を有すると判定される。
S504: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いることによって地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いることによって地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
1つの太陽光発電ストリングでは、地絡が一箇所のみで発生した場合、太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間に比例関係が存在する。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルの位置を得ることができる。
太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率は、電圧乱れ前の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよいし、乱れ後の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよい。
例えば、図4では、5つの太陽光発電パネルがPV+とPV-との間に直列に接続されている。従って、2番目の太陽光発電パネルで地絡が発生していると仮定すると、電圧乱れの前であるか電圧乱れの後であるかにかかわらず、Upv+の絶対値とUpvとの間の比率が2/5であること、又はUpv-の絶対値とUpvとの間の比率が3/5であることが検出されるとき、それは、地絡が2番目の太陽光発電パネルで発生していることを示す。なお、ここでの2番目の太陽光発電パネルは、PV+端から数えて2番目の太陽光発電パネルである。加えて、一部の太陽光発電アレイにおいて、各太陽光発電ストリングに含まれる太陽光発電パネルの数が未知である場合、ここでのN及びxはパーセンテージを表す。具体的には、Nは100%を表し、xは、太陽光発電ストリング内の障害が発生している位置からPV+までの百分率での距離を表す。例えば、x=20%である場合、それは、約20%の位置で地絡が発生していることを示す。より正確に地絡を位置特定するため、短絡点付近での電圧サンプリングはできるだけ避ける。
例えば、地絡あり太陽光発電パネルは、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ前のUpvとの間の比率を用いて取得される。
なお、以上では特定の一実装のみを説明している。ストリング全体の出力電圧と端子電圧との間に特定の比例関係が存在する限り、地絡の具体的な位置を割り出すことができる。上述の割合は必ずしも厳密に2/5でなくてもよい。サンプリングは、実際の動作環境とは異なり得る。従って、たとえ僅かな逸脱が生じても、その逸脱が予め定められた逸脱範囲内であれば、対応する地絡あり太陽光発電パネルをなおも割り出すことができる。
なお、太陽光発電パネルの地絡は、その太陽光発電パネルでアースへの短絡が発生していることを意味するだけでなく、その太陽光発電パネルの前又は後に直列に接続されたケーブルへの絶縁損傷によって引き起こされるアースへの短絡であってもよい。
この実施形態で提供される方法によれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。変化前の太陽光発電ストリングの端子電圧と変化後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所で地絡が発生しているとき、地絡の位置の電位が基準グランドに略等しい。この場合、太陽光発電ストリングの一端から障害位置までの全ての太陽光発電パネルに割り当てられる電圧が端子電圧であると考えることができる。従って、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
方法実施形態2
前述の実施形態は、インバータが1つの太陽光発電ストリングに対応する例を用いて説明されている。以下の説明では、1つのインバータが複数の太陽光発電ストリングに対応するとともに、各太陽光発電ストリングがそれぞれのDC/DC変換回路に対応する。換言すれば、太陽光発電ストリングがDC/DC変換回路と一対一に対応する。また、DC/DC変換回路は互いに独立であり、正の入力端子同士又は負の入力端子同士が共に短絡されていない。太陽光発電ストリングは互いに独立であり、それぞれ対応するDC/DC変換回路に接続される。従って、太陽光発電ストリングの入力制御及びサンプリングは、別の太陽光発電ストリングのそれらに影響を及ぼさず、電圧乱れは各太陽光発電ストリングに対して独立に実行され得る。換言すれば、同時に電圧乱れを行ってもよいし、時分割方式で電圧乱れを行ってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
図6は、この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、説明のための例として3つの太陽光発電ストリングを用い、それらは、それぞれ、第1太陽光発電ストリング100a、第2太陽光発電ストリング100b、及び第3太陽光発電ストリング100cである。第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの両方が地絡を有している。また、これら3つの太陽光発電ストリングの各々は、直列に接続された5つの太陽光発電パネルを含んでおり、それらは、それぞれ、PV+からPV-への順序で第1乃至第5太陽光発電パネルである。
第1太陽光発電ストリング100aは、第1DC/DC変換回路301aの入力端子に接続される。
第2太陽光発電ストリング100bは、第2DC/DC変換回路301bの入力端子に接続される。
第3太陽光発電ストリング100cは、第3DC/DC変換回路301cの入力端子に接続される。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子が全て、インバータ回路302の入力端子に接続される。第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子は、同じバスに並列に接続され得る。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、第3DC/DC変換回路301c、及びインバータ回路302がインバータへと統合され得る。
第1太陽光発電ストリング100a内の第4太陽光発電パネルで地絡が発生するとともに、第2太陽光発電ストリング100b内の第1太陽光発電パネルで地絡が発生している。
第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bを決定する具体的な実装については、方法実施形態1で説明した方式を使用することができ、詳細をここで再び説明することはしない。例えば、地絡が発生しているかは、電圧乱れの前後でUpv+を検出することによって判定されることができ、あるいは、地絡が発生しているかは、電圧乱れの前後でUpv-を検出することによって判定されることができる。
電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、
地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
具体的には、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに地絡が発生していると判定されたると、乱れ前の第1太陽光発電ストリング100aの端子電圧と乱れ前の第1太陽光発電ストリング100aの出力電圧との間の比率を用いて、及びN=5に基づいて、地絡が発生している位置が割り出される。同様に、乱れ前の第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧と乱れ前の第2太陽光発電ストリング100bの出力電圧との間の比率を用いて、及びN=5に基づいて、地絡が発生している位置が割り出される。
図7は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する他の方法のフローチャートである。
S701からS703は、それぞれ、S501からS503と同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。
S704: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
このステップは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得する、
ことを含み、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUpv+/Upvはx/Nである。Upv+及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルである。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Upv-|/Upv)はx/Nである。Upv-及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
例えば、電圧乱れの前に、開回路における第1太陽光発電ストリング100aの開路電圧U1と、開回路における第2太陽光発電ストリング100bの開路電圧U2とが別々に収集される。電圧乱れの前に、第1太陽光発電ストリング100aが開回路にあるときのPV-の対地電圧U1-と、第2太陽光発電ストリング100bが開回路にあるときのPV-の対地電圧U2-とが別々に収集される。
この場合、第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx1=(1-U1-|/U1)*Nであり、
第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx2=(1-|U2-|/U2)*Nである。
図7は、乱れ前の端子電圧と乱れ前の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明している。次に、乱れ後の端子電圧と乱れ後の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明する。
図8は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更なる他の方法のフローチャートである。
S801からS703は、それぞれ、S501からS503と同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。
S804: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
このステップは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得する、
ことを含み、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUv+/Uvはx/Nである。Uv+及びUvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルである。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Uv-|/Uv)はx/Nである。Uv-及びUvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
以下、一具体例を参照して説明を提供する。例えば、電圧乱れの前、太陽光発電ストリングはいかなる制御も受けず、開路電圧に対応する動作点で動作している。電圧乱れの間、太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧から減少するように制御される。
図6では、3つの太陽光発電ストリングが3つのDC/DC変換回路に対応し、各ストリングが5つの太陽光発電パネルを含む例のみを説明のために用いている。太陽光発電ストリングの具体的な数及び太陽光発電パネルの具体的な数は、この実施形態で提供される技術的ソリューションにおいて限定されることではない。図9は、この出願のこの実施形態に従った普遍的な太陽光発電システムの概略図である。
この太陽光発電システムは、合計でm個の太陽光発電ストリングを含み、mは2以上の整数であり、各太陽光発電ストリングが1つのDC/DC変換回路又はDC/AC変換回路に対応する。各太陽光発電ストリングは、直列に接続されたn個の太陽光発電パネルを含み、nは2以上の整数である。さらに、地絡が発生する太陽光発電ストリングの数は限定されない。各太陽光発電ストリングにおいて1つの地絡のみが発生するのであれば、この実施形態で提供される方法を用いることによって、障害位置を正確に特定することができる。
この実施形態で提供される方法は、インバータが複数の太陽光発電ストリングに対応するときの地絡の検出に適用可能である。複数の太陽光発電ストリングは、正極を共有せず、負極も共有せず、対応するDC/DC又はDC/AC変換回路に別々に接続される。1つ以上のストリングに地絡が発生しているとき、太陽光発電ストリングが地絡を有するかを、電圧乱れ前後における端子電圧の変化に基づいて正確に判定することができる。加えて、太陽光発電ストリングが1つのみの地絡を有するとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを得ることができる。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
方法実施形態3
この実施形態は複数の太陽光発電ストリングを説明する。各太陽光発電ストリングが、それぞれDC/DC又はDC/AC変換回路に対応する。換言すれば、1つの太陽光発電ストリングが1つのDC/DC変換回路に対応する。しかし、各DC/DC変換回路の正の入力端子同士又は負の入力端子同士が共に短絡される。例えば、全ての変換回路の正の入力端子が共に短絡されるか、全ての変換回路の負の入力端子が共に短絡されるかする。
図10は、この出願のこの実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する他の太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、全てのDC/DC変換回路の負の入力端子が共に短絡されている。換言すれば、太陽光発電ストリングのPV-同士が共に短絡され、各太陽光発電ストリングのPV+は、対応するDC/DC変換回路の正の入力端子に独立して接続される。
この実施形態では、説明のための例として3つの太陽光発電ストリングを用い、それらは、それぞれ、第1太陽光発電ストリング100a、第2太陽光発電ストリング100b、及び第3太陽光発電ストリング100cである。第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの両方が地絡を有している。また、これら3つの太陽光発電ストリングの各々は、直列に接続された5つの太陽光発電パネルを含んでおり、それらは、それぞれ、PV+からPV-への順序で第1乃至第5太陽光発電パネルである。
第1太陽光発電ストリング100aは、第1DC/DC変換回路301aの入力端子に接続される。
第2太陽光発電ストリング100bは、第2DC/DC変換回路301bの入力端子に接続される。
第3太陽光発電ストリング100cは、第3DC/DC変換回路301cの入力端子に接続される。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの負の入力端子が全て共に接続され、つまり、PV-が全て共に短絡される。従って、これら3つの太陽光発電ストリングは等しいUpv-を持つ。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの負の入力端子は全て共に接続される。第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子は並列に接続され得る。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、第3DC/DC変換回路301c、及びインバータ回路302がインバータへと統合され得る。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、2つ以上の太陽光発電ストリングに対して同時に電圧乱れを実行することはできず、各太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。
図11は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更に他の方法のフローチャートである。
S1101: 電圧乱れ前の短絡されたPV-の対地電圧Upv-を収集する。
S1102: 第1太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行する。
具体的な電圧乱し方式については、上述の実施形態における説明を参照されたい。残りの太陽光発電ストリングに対しては制御が行われない。例えば、最初に第1太陽光発電ストリング100aに対して電圧乱れが実行される。
S1103:電圧乱れ後のPV-の対地電圧Upv-を収集する。
太陽光発電ストリングが1つずつ乱さを受け得る。この実施形態において、電圧乱れを第1太陽光発電ストリングから開始する必要があることは限定されることではない。換言すれば、これらの太陽光発電ストリングに対する電圧乱れの順番は限定されない。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、PVの対地電圧をサンプリングするのに1つの回路で十分である。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、Upv-は、太陽光発電アレイの負極全体の対地電圧である。
S1104: 電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きいとき、第1太陽光発電ストリングが地絡を有すると判定する。
S1105: 他の太陽光発電ストリングに対してS1102からS1104を実行して、地絡が発生しているかを判定する。
PV-同士が共に短絡されている。従って、地絡が発生しているかを判定するために、各太陽光発電ストリングに対して1つずつ電圧乱れを実行する必要がある。
例えば、電圧乱れが第2太陽光発電ストリングに対して実行されるとき、他の太陽光発電ストリングに対しては制御が行われず、第2太陽光発電ストリングの出力電圧のみが変化するように制御される。
S1106: 全ての太陽光発電ストリングに対して電圧乱れが完了したとき、1つの太陽光発電ストリングのみが地絡を有する場合、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
例えば、全ての太陽光発電ストリングに対して電圧乱れが完了し、第1太陽光発電ストリングのみが地絡を有すると判定されたとき、第1太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルが、次式:x=(1-|Upv-|/U1)*Nに従って取得される。U1は第1太陽光発電ストリングの出力電圧である。
この実施形態で提供される方法によれば、全ての太陽光発電ストリングの正極又は負極が共に接続される。従って、1つのストリングのみが地絡を有するとき、地絡あり太陽光発電パネルの位置を正確に得ることができる。複数のストリングが地絡を有する場合には、地絡あり太陽光発電ストリングを正確に決定することができるのみであり、地絡あり太陽光発電パネルの具体的な位置を正確に得ることはできない。
この実施形態では、太陽光発電ストリングのPV-同士が共に短絡される例のみを説明に用いている。同様に、太陽光発電ストリングのPV-は互いに独立にされてもよく、太陽光発電ストリングのPV+同士が共に短絡される。
この出願のこの実施形態で提供される方法によれば、複数の太陽光発電ストリングが一端で共に短絡される場合、具体的には、太陽光発電アレイ内の複数の太陽光発電ストリングの正極が共に短絡されるか、複数の太陽光発電ストリングの負極が共に短絡されるかする場合、それら太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行することによって、各太陽光発電ストリングが地絡を有するかを正確に判定することができる。一箇所でのみ地絡が発生しているとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
太陽光発電装置実施形態1
上述の実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法に基づいて、この出願のこの実施形態は更に太陽光発電装置を提供する。以下、添付の図面を参照して、太陽光発電装置の動作原理を詳細に説明する。
図12は、この出願のこの実施形態に従った地絡を検出する太陽光発電装置の概略図である。
この出願のこの実施形態で提供される地絡を検出する太陽光発電装置は、電力変換回路と、コントローラ400と、電圧検出回路500とを含む。
電力変換回路は、太陽光発電ストリングと一対一に対応しており、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。換言すれば、1つの電力変換回路が1つの太陽光発電ストリングに対応する。電力変換回路は、DC/DC変換回路であってもよいし、DC/AC変換回路であってもよい。太陽光発電ストリングは、電力変換回路と一対一に対応している。従って、太陽光発電ストリングは独立に制御されることができる。
図12では、説明のための例として、つまりは第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bである2つの太陽光発電ストリングを使用する。
第1太陽光発電ストリング100aは、対応する第1電力変換回路300aに接続され、第2太陽光発電ストリング100bは、対応する第2電力変換回路300bに接続される。
電圧検出回路500は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成され、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。
なお、各太陽光発電ストリングに対して1つの電圧検出回路が配設されてもよいし、複数の太陽光発電ストリングが1つの電圧検出回路を共有してもよい。これはこの実施形態において特に限定されることではない。
コントローラ400は、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行するように構成される。
第1電力変換回路300a及び第2電力変換回路300bの正の入力端子同士及び負の入力端子同士の両方が互いに独立していて、共に接続されない場合、コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対して同時に電圧乱れを実行し得る。第1電力変換回路300a及び第2電力変換回路300bの正の入力端子同士又は負入力端子同士が共に接続される場合、コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。
複数の特定の電圧乱し方式が利用可能である。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が大きい値から小さい値に変化するように制御され、あるいは、太陽光発電ストリングの出力電圧が小さい値から大きい値に変化するように制御されたり、開路電圧から短絡電圧に変化するように制御されたりする。一般に、太陽光発電モジュールの電流-電圧IVカーブに沿ってスキャンすることによって制御を実装することができ、それ故に、太陽光発電ストリング100は該IVカーブ上のある点で動作する。
例えば、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、
電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
第1のプリセット電圧は、開路電圧よりも低い、任意の動作点に対応する電圧とし得る。
電圧検出回路500は更に、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成される。
コントローラ400は更に、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得するように構成される。
なお、電圧乱れ前の電圧パラメータが地絡の位置を特定するために使用される場合、電圧検出回路500は更に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの出力電圧を取得し得る。電圧乱れ後の電圧パラメータが使用される場合、電圧検出回路500は更に、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの出力電圧を取得し得る。
この実施形態において、コントローラ400の位置は特に限定されることではない。コントローラ400は、電力変換回路に対応するコントローラとし得る。換言すれば、各電力変換回路が1つのコントローラに対応する。あるいは、これらの電力変換回路が1つのコントローラを共有してもよく、これらの電力変換回路がコントローラと通信してもよい。
太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルに地絡が発生しているとき、太陽光発電ストリングの正極PV+の対地電圧Upv+は、乱れ前の対地電圧と明らかに異なり、同様に、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極PV-の対地電圧Upv-も、乱れ後のものと明らかに異なる。
太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかについて、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ後のUpv+との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができ、あるいは、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができる。
例えば、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定される。
1つの太陽光発電ストリングでは、地絡が一箇所のみで発生した場合、太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間に比例関係が存在する。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルの位置を得ることができる。
太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率は、電圧乱れ前の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよいし、乱れ後の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよい。
なおも図4を参照するに、5つの太陽光発電パネルがPV+とPV-との間に直列に接続されている。従って、2番目の太陽光発電パネルで地絡が発生していると仮定すると、電圧乱れの前であるか電圧乱れの後であるかにかかわらず、Upv+の絶対値とUpvとの間の比率が2/5であること、又はUpv-の絶対値とUpvとの間の比率が3/5であることが検出されるとき、それは、地絡が2番目の太陽光発電パネルで発生していることを示す。なお、ここでの2番目の太陽光発電パネルは、PV+端から数えて2番目の太陽光発電パネルである。加えて、一部の太陽光発電アレイにおいて、各太陽光発電ストリングに含まれる太陽光発電パネルの数が未知である場合、ここでのN及びxはパーセンテージを表す。具体的には、Nは100%を表し、xは、太陽光発電ストリング内の障害が発生している位置からPV+までの百分率での距離を表す。例えば、x=20%である場合、それは、約20%の位置で地絡が発生していることを示す。
この実施形態において提供される太陽光発電装置は、図4に示した形態であってもよいし、図6に示した形態であってもよいし、図10に示した形態であってもよい。図10の全てのDC/DC変換回路の負の入力端子は共に接続されている。また、代わりに、全てのDC/DC変換回路の正の入力端子が接続されてもよい。
また、電力変換回路がDC/AC変換回路である場合、図13を参照されたい。図13は、この出願のこの実施形態に従った地絡を検出する他の太陽光発電装置の概略図である。
図13に示す太陽光発電装置は、DC/DC変換回路を含んでおらず、DC/AC変換回路のみを含んでいる。換言すれば、太陽光発電装置がインバータである場合、インバータは単段インバータである。図6及び図10に示したインバータは2段インバータであり、2段インバータは、DC/DC変換回路とDC/AC変換回路との両方を含む。
第1太陽光発電ストリング100aは対応する第1DC/AC変換回路300aに接続され、第2太陽光発電ストリング100bは対応する第2DC/AC変換回路300bに接続される。
電圧検出回路500は、電圧乱れ前の第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧及び出力電圧を検出するように構成されるとともに、電圧乱れ後の第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧及び出力電圧を検出するように構成される。電圧検出回路500は、検出した端子電圧及び出力電圧をどちらもコントローラ400に送る。
コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対する電圧乱れを実施するように、第1DC/AC変換回路300aの入力電圧を制御することによって第1太陽光発電ストリング100aの出力電圧を制御するとともに、第2DC/AC変換回路300bの入力電圧を制御することによって第2太陽光発電ストリング100bの出力電圧を制御する。
例えば、地絡あり太陽光発電パネルは、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ前のUpvとの間の比率を用いて取得される。
なお、以上では特定の一実装のみを説明している。ストリング全体の出力電圧と端子電圧との間に特定の比例関係が存在する限り、地絡の具体的な位置を割り出すことができる。上述の割合は必ずしも厳密に2/5でなくてもよい。サンプリングは、実際の動作環境とは異なり得る。従って、たとえ僅かな逸脱が生じても、その逸脱が予め定められた逸脱範囲内であれば、対応する地絡あり太陽光発電パネルをなおも割り出すことができる。
なお、太陽光発電パネルの地絡は、その太陽光発電パネルでアースへの短絡が発生していることを意味するだけでなく、その太陽光発電パネルの前又は後に直列に接続されたケーブルへの絶縁損傷によって引き起こされるアースへの短絡であってもよい。
この実施形態で提供される太陽光発電装置によれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所で地絡が発生しているとき、地絡の位置の電位が基準グランドに略等しい。この場合、太陽光発電ストリングの一端から障害位置までの全ての太陽光発電パネルに割り当てられる電圧が端子電圧であると考えることができる。従って、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
電圧乱れ前の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって、又は電圧乱れ後の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって、障害のある太陽光発電パネルを取得し得る。詳細を以下にて別々に説明する。
第1の方式: 電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ前のストリング全体の出力電圧とが使用される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUpv+/Upvはx/Nである。Upv+及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルである。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Upv-|/Upv)はx/Nである。Upv-及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
例えば、電圧乱れの前に、開回路における第1太陽光発電ストリング100aの開路電圧U1と、開回路における第2太陽光発電ストリング100bの開路電圧U2とが別々に収集される。電圧乱れの前に、第1太陽光発電ストリング100aが開回路にあるときのPV-の対地電圧U1-と、第2太陽光発電ストリング100bが開回路にあるときのPV-の対地電圧U2-とが別々に収集される。
この場合、第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx1=(1-U1-|/U1)*Nであり、
第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx2=(1-|U2-|/U2)*Nである。
以上では、乱れ前の端子電圧と乱れ前の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明している。次に、乱れ後の端子電圧と乱れ後の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明する。
第2の方式: 電圧乱れ後の端子電圧と電圧乱れ後のストリング全体の出力電圧とが使用される。
コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
例えば、電圧乱れの前、太陽光発電ストリングはいかなる制御も受けず、開路電圧に対応する動作点で動作している。電圧乱れの間、太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧から減少するように制御される。
なお、太陽光発電装置と太陽光発電ストリングとの間の接続関係が図4及び図6に示される場合、1つの太陽光発電ストリングが存在するのか複数の太陽光発電ストリングが存在するのかにかかわらず、ストリング内で1つの地絡が発生するのであれば、障害位置を正確に特定することができる。太陽光発電装置と太陽光発電ストリングとの間の接続関係が図10に示される場合、全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、2つ以上の太陽光発電ストリングに対して同時に電圧乱れを実行することはできず、各太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。また、図10に対応する太陽光発電装置では、太陽光発電ストリングの正極又は負極が共に接続される。従って、1つのストリングのみが地絡を有するとき、地絡あり太陽光発電パネルの位置を正確に得ることができる。複数のストリングが地絡を有する場合には、地絡あり太陽光発電ストリングを正確に決定することができるのみであり、地絡あり太陽光発電パネルの具体的な位置を正確に得ることはできない。
図10に示した太陽光発電装置では、複数の太陽光発電ストリングが一端で共に短絡される場合、具体的には、太陽光発電アレイ内の複数の太陽光発電ストリングの正極が共に短絡されるか、複数の太陽光発電ストリングの負極が共に短絡されるかする場合、それら太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行することによって、各太陽光発電ストリングが地絡を有するかを正確に判定することができる。一箇所でのみ地絡が発生しているとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、PVの対地電圧をサンプリングするのに1つの回路で十分である。
上述の実施形態で提供される太陽光発電装置を使用することにより、1つの太陽光発電ストリングのみが存在し、且つその太陽光発電ストリング内で1つの地絡のみが発生する場合、太陽光発電ストリング内の地絡の位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つそれら太陽光発電ストリングの正極同士も負極同士も共に接続されない場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。加えて、1つの太陽光発電ストリングが1つの地絡のみを有する場合、障害位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つ全ての太陽光発電ストリングの正極同士又は負極同士が共に接続される場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。1つの地絡のみが存在する場合、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
システム実施形態
上述の実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する太陽光発電装置に基づき、この出願のこの実施形態は更に太陽光発電システムを提供し、それを添付の図面を参照して詳細に説明する。
図14は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電システムの概略図である。
この出願のこの実施形態は、太陽光発電アレイと、太陽光発電装置と、コントローラとを含む太陽光発電システムを提供する。
太陽光発電アレイはm個の太陽光発電ストリングを含み、mは1以上の整数である。
太陽光発電装置はm個の電力変換回路を含み、電力変換回路は太陽光発電ストリングと一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。
コントローラは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧、つまり、PV+又はPV-の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、ここで、太陽光発電ストリング内で地絡が発生した場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧は電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように、又は電圧減少方向に沿って変化するように制御するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御するように構成され、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この実施形態で提供される太陽光発電システムは、太陽光発電アレイ100と、上述の実施形態で説明した太陽光発電装置1000とを含む。
太陽光発電アレイ100はM個の太陽光発電ストリングを含み、Mは1以上の整数である。
太陽光発電装置100はM個の電力変換回路を含む。
太陽光発電アレイ100内のM個の太陽光発電ストリングと太陽光発電装置1000内のM個の電力変換回路との間には一対一の関係がある。換言すれば、各電力変換回路の入力端子が、当該電力変換回路に対応する太陽光発電ストリングに接続される。
太陽光発電装置は、インバータであってもよいし、コンバイナボックスであってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
太陽光発電装置がインバータである場合、当該インバータは2段インバータとし得る。図6に示したように、インバータは、DC/DC変換回路とDC/AC変換回路とを含み得る。インバータは代わりに、図13に示したように、DC/AC変換回路のみを含むものである単段インバータであってもよい。
当該太陽光発電システムにおいてコントローラによって太陽光発電モジュールの地絡を検出することの具体的な実装については、方法実施形態及び太陽光発電装置実施形態における説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
この出願のこの実施形態で提供される太陽光発電システムは、上述の実施形態で説明した太陽光発電装置を含む。1つの太陽光発電ストリングのみが存在し、且つその太陽光発電ストリング内で1つの地絡のみが発生する場合、太陽光発電ストリング内の地絡の位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つそれら太陽光発電ストリングの正極同士も負極同士も共に接続されない場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。加えて、1つの太陽光発電ストリングが1つの地絡のみを有する場合、障害位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つ全ての太陽光発電ストリングの正極同士又は負極同士が共に接続される場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。1つの地絡のみが存在する場合、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。当該太陽光発電システムは、インバータが系統接続される前に太陽光発電アレイの地絡をモニタし得る。直流絶縁抵抗が低いとき、換言すれば、地絡が発生しているとき、位置特定した障害位置に基づいて障害を遅れずに是正することで、当該太陽光発電システムは可能な限り迅速に正常に稼働して、系統接続発電を行うことができ、それにより動作効率が向上される。
理解されるべきことには、この出願において、“少なくとも1つの(アイテム)”は1つ以上を意味し、“複数の”は2つ以上を意味する。用語“及び/又は”は、関連するオブジェクト間の連関関係を記述するために使用され、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、“A及び/又はB”は、以下の3つのケース、すなわち、Aのみが存在する、Bのみが存在する、及び、AとBの両方が存在するという3つのケースを表し得るものであり、A及びBは単数であっても複数であってもよい。文字“/”は、一般に、関連するオブジェクト間の“又は”の関係を指し示す。“以下のアイテム(ピース)のうち少なくとも1つ”又はこれに類する表現は、単一のアイテム(ピース)又は複数のアイテム(ピース)の任意の組み合わせを含め、それらのアイテムのうちの任意の組み合わせを指す。例えば、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、a及びb、a及びc、b及びc、又は、a及びb及びcを指し示し得るものであり、a、b、及びcは単数であっても複数であってもよい。
上述の実施形態は、この出願を限定するのではなく、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図しているにすぎない。この出願は上述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの精神及び範囲から逸脱することなく、上述の実施形態で説明された技術的ソリューションになおも変更を行ったり、その一部の技術的特徴に対して均等な置換を行ったりすることができる。
この出願は、太陽光発電技術の分野に関し、特に、太陽光発電システム、並びに太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法及び装置に関する。
現在、太陽光発電がますます評価されるようになっている。太陽光発電アレイによって出力される直流がインバータによって交流に変換され、そして、該交流が交流送電網に返され得る。電力出力を向上させるために、太陽光発電アレイは、一般に、直列及び並列に接続された複数の太陽光発電ストリングを含む。
実際の適用において、太陽光発電アレイは、接地故障としても知られる地絡を起こしがちである。太陽光発電アレイの地絡の一般的な原因は、太陽光発電アレイのケーブル絶縁損傷、太陽光発電ストリングにおけるアースへの回路短絡、天候若しくは他の理由による太陽光発電アレイにおけるアースへの一時的な回路短絡、又はこれらに類するものを含む。太陽光発電アレイが地絡に遭遇すると、大きい漏れ電流が発生し、それが安全上の事故を引き起こし得る。
IEC 62109-2標準によれば、太陽光発電インバータが電力投入される前に、太陽光発電アレイの対地直流絶縁抵抗(direct current insulation resistance to earth)を検出する必要がある。非絶縁式の適用シナリオにおいて、直流絶縁抵抗が低い(これは漏れ電流要件を満たすことができない)とき、直流絶縁抵抗が正常値に回復するまで、インバータに電力投入することができない。
現在、太陽光発電システムが、直流絶縁抵抗を検出することによって、地絡が発生していると判定するとき、地絡の具体的な位置を割り出すことができず、現場で太陽光発電ストリングを1つずつ手動で検査する必要があり、これは時間がかかり非効率的である。
この出願は、太陽光発電ストリングに地絡があるかを検出し、具体的な障害位置を自動的に割り出し、それにより効率を向上させるための、太陽光発電システム、並びに太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法及び装置を提供する。
この出願の一実施形態は太陽光発電システムを提供し、当該太陽光発電システムは、太陽光発電アレイと、太陽光発電装置と、コントローラとを含む。太陽光発電アレイは、m個の太陽光発電ストリングを含み、mは1以上の整数である。太陽光発電装置は、m個の電力変換回路を含む。電力変換回路は太陽光発電ストリングと一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。コントローラは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧、つまり、PV+又はPV-の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、ここで、太陽光発電ストリング内で地絡が発生した場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧は電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
太陽光発電装置はインバータとすることができ、太陽光発電装置は、直流/直流(DC/DC)変換回路と直流/交流(DC/AC)変換回路とを含む。太陽光発電ストリングが直流/直流(DC/DC)変換回路の入力端子に接続され、DC/DC変換回路の出力端子がインバータ回路に接続するように構成される。DC/DC変換回路とインバータ回路をインバータに統合することができ、インバータのコントローラを用いて太陽光発電ストリングの地絡を検出する。確かなことには、コントローラは代わりに、太陽光発電ストリングの地絡を検出するために独立して配設されてもよい。インバータ内にDC/DC回路は存在しないとすることができ、DC/AC変換回路のみが存在する。インバータは、単相インバータであってもよいし、3相インバータであってもよい。
電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
好ましくは、乱れ前の端子電圧から乱れ後の端子電圧を減算するのか、乱れ後の端子電圧から乱れ前の端子電圧を減算するのかは制限されない。主に電圧の変化の絶対値が問題となる。電圧乱れは、増加方向に変化するように端子電圧を制御してもよいし、減少方向に変化するように端子電圧を制御してもよい。コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御するように構成される。
好ましくは、開路電圧は一般的に最大の電圧である。従って、デフォルト状態では開放電圧が用いられ、制御の必要はない。コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御するように構成され、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
好ましくは、一般的に、電流及び電圧スキャンが実行されるとき、開路電圧が短絡電圧に変化するように制御される。換言すれば、電圧が大きい値から小さい値に変化する。コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御するように構成される。
好ましくは、太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルは全て直列に接続され、直列に接続された太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリングの両端の電圧に対して分圧を行う。従って、比率を用いることによって地絡の具体的な位置を得ることができる。コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
好ましくは、コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この出願の一実施形態は更に、太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法を提供し、当該方法は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ことを含む。
電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
好ましくは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定することは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定することを含む。
好ましくは、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行することは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御することを含む。
好ましくは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
好ましくは、電圧乱れは、電圧を増加方向に変化させてもよいし、電圧を減少方向に変化させてもよい。各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行することは、一般に、電流及び電圧スキャンの間に開路電圧を短絡電圧まで変化するように制御し、つまりは、電圧を大きい値から小さい値に変化させ、具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御することを含む。
好ましくは、太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルは全て直列に接続され、直列に接続された太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリングの両端の電圧に対して分圧を行う。従って、比率を用いることによって地絡の具体的な位置を得ることができる。電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
好ましくは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得する、
ことを含み、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
好ましくは、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
好ましくは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得する、
ことを含み、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この出願の一実施形態は更に、地絡を検出する太陽光発電装置を提供し、当該装置は、電力変換回路と、コントローラと、電圧検出回路とを含む。電力変換回路と太陽光発電ストリングとが一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。電圧検出回路は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成され、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。コントローラは、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行するように構成される。電圧検出回路は更に、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成される。コントローラは更に、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
好ましくは、コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、太陽光発電ストリングを地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
好ましくは、電圧乱れ方向は、この出願のこの実施形態において限定されない。例えば、コントローラは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように又は電圧減少方向に沿って変化するように制御する。
好ましくは、コントローラは、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御し、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。具体的には、プリセット電圧を設定することができ、乱れによって出力電圧がプリセット電圧まで変化される。
好ましくは、コントローラは、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得する。
上述の技術的ソリューションによれば、この出願の実施形態が以下の利点を有することが分かる。
太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。変化前の太陽光発電ストリングの端子電圧と変化後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。太陽光発電ストリングの端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。太陽光発電ストリングに地絡が発生している場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧が、電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化する。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所でアースへの短絡が発生しているとき、地絡が発生した位置の電位が基準グランドである。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧の基準電位は、地絡が発生した位置でのグランド電位であり、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって高い検出効率が達成される。
この出願の一実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングの地絡の概略図である。
図1に対応する抵抗モデルの概略図である。
この出願の一実施形態に従った2つの太陽光発電ストリングの概略図である。
この出願の一実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更なる他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った普遍的な太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する他の太陽光発電システムの概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更に他の方法のフローチャートである。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電装置の概略図である。
この出願の一実施形態に従った他の太陽光発電装置の概略図である。
この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの概略図である。
この出願の実施形態で提供される技術的ソリューションを当業者にいっそう十分に理解させるために、以下では、地絡が発生したときの動作状態を説明するための例として1つの太陽光発電ストリングを使用し、地絡に関して、この出願の実施形態で提供される技術的ソリューションが基づく動作原理を分析する。
先ず、地絡を説明する。標準によって規定されているように、直流絶縁抵抗が低い(これは漏れ電流要件を満たすことができない)ときにインバータに電力供給することは許されない。この出願の実施形態において、地絡は、標準に従ってインバータに電源投入することを許されるのに対応する抵抗よりも直流絶縁抵抗が低いことを意味する。例えば、アースへの短絡という障害は地絡の特別なケースである。
方法実施形態1
図1は、この出願のこの実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングの地絡の概略図である。
図1に示す太陽光発電ストリングは、太陽光発電パネル1、2、…、x、…、N-1、及びNを含んだ、直列に接続されたN個の太陽光発電パネルを含んでいる。太陽光発電ストリングの正極がPV+であり、太陽光発電ストリングの負極がPV-である。Nは、2以上の整数である。
図1に対応する抵抗モデルについて、図2を参照されたい。
太陽光発電ストリングが地絡を有しないとき、太陽光発電パネルの内部抵抗R0の抵抗値は、太陽光発電パネルの対地抵抗Rgよりも遥かに小さい。
太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルに地絡(十中八九、対地絶縁抵抗が低い障害障である)が発生すると、太陽光発電パネルの対地抵抗Rgが0に近い小さい抵抗に変化する。この場合、UpvとPV+の対地電圧Upv+及びPV-の対地電圧Upv-との間には比例関係が存在し、Upvは太陽光発電ストリングの正極と負極との間の電圧であり、Upv+ - Upv- = Upvである。
N個の太陽光発電パネルが直列に接続されている。ある太陽光発電パネルに地絡が発生すると、地絡あり太陽光発電パネルの電位が基準ゼロ電位に近づく。従って、障害位置の太陽光発電パネルのシリアル番号を次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)、又はx=N*(Upv+/Upv)
に従って計算し得る。
この出願のこの実施形態で提供される技術的ソリューションを当業者にいっそう完全に理解させるために、2つの太陽光発電ストリングのうちの一方で地絡が発生する例を用いて以下の説明を提供する。
図3は、この出願のこの実施形態に従った2つの太陽光発電ストリングの概略図である。
各太陽光発電ストリングが、直列に接続された6つの太陽光発電パネルを含んでいる。図3に示すように、第1太陽光発電ストリング100は太陽光発電パネル1乃至6を含み、第2太陽光発電ストリング200は太陽光発電パネル1乃至6を含む。第1太陽光発電ストリング100及び第2太陽光発電ストリング200は、同一の太陽光発電システム内にあり、同じ基準グランドを持つ。しかしながら、第1太陽光発電ストリング100の正極及び負極は、第2太陽光発電ストリング200のそれらと独立している。換言すれば、PV1+とPV2+は共に接続されず、PV1-とPV2-は共に接続されない。
第1太陽光発電ストリング100の4番目の太陽光発電パネル4で地絡が発生する。第2太陽光発電ストリング200に地絡は発生していない。
この場合、PV1-の対地電圧は、太陽光発電パネルの内部抵抗R0による分圧によって得られる。換言すれば、|Upv1-|/Upv1=2/6=1/3である。
第2太陽光発電ストリング200の対地電圧は、依然として、第2太陽光発電ストリング200の対地抵抗Rgによって決定される。この場合、Upv2が不変のままであり、且つUpv1の電圧値が変化すると、それに従って第1太陽光発電ストリング100の対地電圧が変化し、Upv1-の値は-1/3Upv1に等しい。例えば、Upv1=0である場合、第1太陽光発電ストリング100の対地電圧も0Vに変化する。Upv1が不変のままであるがUpv2が変化する場合、Upv1-の電圧はなおもUpv1と比例関係にある。
従って、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルを正確に割り出すために、この出願の本実施形態で使用される技術的ソリューションでは、太陽光発電システム内の太陽光発電ストリングの電圧を乱し、太陽光発電ストリングの対地電圧(つまりは端子電圧)をサンプリングし、乱れの前後の端子電圧を比較して、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかを判定する。太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定された場合、PV+の対地電圧又はPV-の対地電圧とPVの電圧との間の比例関係に基づいて、具体的な障害位置を更に取得する。
理解を容易にするために、以下にて、先ず、1つの太陽光発電ストリングの地絡を決定することについて説明する。太陽光発電ストリングが直流/直流(DC/DC)変換回路の入力端子に接続され、DC/DC変換回路の出力端子がインバータ回路に接続するように構成される。DC/DC変換回路とインバータ回路をインバータに統合することができ、インバータのコントローラを用いて太陽光発電ストリングの地絡を検出する。確かなことには、コントローラは代わりに、太陽光発電ストリングの地絡を検出するために独立して配設されてもよい。インバータ内にDC/DC回路は存在しないとすることができ、DC/AC変換回路のみが存在する。インバータは、単相インバータであってもよいし、3相インバータであってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
以下では、説明のための例として3相インバータを使用する。具体的には、インバータの出力端子は、それぞれL1、L2、及びL3である3相交流電流を出力する。
図4は、この出願のこの実施形態に従った1つの太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、説明のための例として1つの太陽光発電ストリングを使用する。太陽光発電ストリング100はインバータ300の入力端子に接続される。具体的には、PV+がDC/DC変換回路301の正の入力端子に接続され、PV-がDC/DC変換回路301の負の入力端子に接続され、DC/DC変換回路301がインバータ回路302の入力端子に接続され、インバータ回路302の出力端子が交流送電網に接続され得る。
太陽光発電ストリングは、直列に接続されたN個の太陽光発電パネルを含む。図4では、N=5である例を単に説明のために使用する。例えば、5つの太陽光発電パネルのうちの2番目で地絡が発生する。太陽光発電パネルは、太陽光発電ストリング100の正極PV+に近い一端から始めて番号を付けられている。具体的には、PV+に接続された太陽光発電パネルが1番目の太陽光発電パネルであり、PV-に接続された太陽光発電パネルが5番目の太陽光発電パネルである。一般に、Nは2以上である。換言すれば、1つの太陽光発電ストリングが、直列に接続された少なくとも2つの太陽光発電パネルを含む。地絡は、太陽光発電ストリング内のいずれの位置でも発生し得る。この出願のこの実施形態では、説明のための例として、1つの太陽光発電ストリング内の一箇所でのみ地絡が発生する。
DC/DC変換回路301及びインバータ回路302の具体的な実装は、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。例えば、DC/DC変換回路301は、ブースト回路、バック回路、又はバック-ブースト回路とし得る。代わりに、DC/DC回路はなくてもよく、太陽光発電ストリングがDC/AC回路に直接接続される。同様に、インバータ回路302の具体的なトポロジ形態はこの実施形態において特に限定されることではない。
この実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法は、インバータ300のコントローラに適用されてもよいし、例えば太陽光発電所のコントローラといった別のコントローラに適用されてもよい。
図5は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法のフローチャートである。
当該方法は以下のステップを含む。
S501: 電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。
図4に示す太陽光発電ストリングで、電圧乱れ前の端子電圧、すなわち、乱れ前のPV+の対地電圧又はPV-の対地電圧が取得される。
具体的な実施において、電圧乱れ前の最も単純な制御方式は、太陽光発電ストリングに対していかなる制御も行わないことである。太陽光発電ストリングの出力電圧が制御されないとき、太陽光発電ストリングの出力電圧は、一般に、太陽光発電ストリングの開路電圧である。
S502: 各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得する。
図4に示すように、1つの太陽光発電ストリングのみが含まれている。この場合、太陽光発電ストリング100の出力電圧は、DC/DC変換回路301の入力電圧を制御することによって制御されることができ、これは具体的に、インバータ300のコントローラによって実装されてもよいし、別のコントローラによって実装されてもよい。これは、この実施形態において特に限定されることではない。
複数の特定の電圧乱し方式が利用可能である。例えば、太陽光発電ストリング100の出力電圧が大きい値から小さい値に変化するように制御され、あるいは、太陽光発電ストリング100の出力電圧が小さい値から大きい値に変化するように制御されたり、開路電圧から短絡電圧に変化するように制御されたりする。一般に、太陽光発電ストリングの電流-電圧IVカーブに沿ってスキャンすることによって制御を実装することができ、それ故に、太陽光発電ストリング100は該カーブ上のある点で動作する。
例えば、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、
電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
第1のプリセット電圧は、開路電圧よりも低い、任意の動作点に対応する電圧とし得る。
S503: 電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定する。
太陽光発電ストリング100内の太陽光発電パネルに地絡が発生しているとき、乱れ前の太陽光発電ストリング100の正極PV+の対地電圧Upv+は、乱れ後のそれと明らかに異なる。同様に、乱れ前の太陽光発電ストリング100の負極PV-の対地電圧Upv-も、乱れ後のものと明らかに異なる。
太陽光発電ストリング100に地絡が発生しているかについて、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ後のUpv+との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができ、あるいは、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができる。
例えば、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定される。
プリセットの閾値は、実際の適用シナリオに従って設定されることができ、具体的な値はこの実施形態において特に限定されるものではない。
以下では、説明のための具体例として3つの制御方式を使用する。
第1の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を大きい値から小さい値に変化するように制御する。
開路電圧と短絡電圧との間で電圧乱れを行って、太陽光発電ストリングの出力電圧を短絡電圧点まで300Vだけ変化するように制御し、端子電圧のジャンプを決定する。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が最初に600Vになるように制御され、サンプリングされた端子電圧はUpv1である。電圧乱れを行って太陽光発電ストリングの出力電圧を300Vになるように制御する。換言すれば、電圧が300Vだけ減少される。この場合、サンプリングされた端子電圧はUpv2である。Upv2とUpv1との間の差が取得される。太陽光発電ストリングの出力電圧は減少されている。従って、Upv2はUpv1よりも低く、Upv2-Upv1の値は負である。故に、Upv2とUpv1との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きい場合、太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定される。
なお、Upv1及びUpv2は、正極の対地電圧であってもよいし、負極の対地電圧であってもよい。
第2の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を小さい値から大きい値に変化するように制御する。
太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧にジャンプするように制御される。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が最初に600Vになるように制御され、サンプリングされた端子電圧はUpv1である。電圧乱れを行って太陽光発電ストリングの出力電圧を900Vになるように制御する。換言すれば、電圧が300Vだけ増加される。この場合、サンプリングされた端子電圧はUpv2である。Upv2とUpv1との間の差が取得される。太陽光発電ストリングの出力電圧は増加されている。従って、Upv2はUpv1よりも高く、Upv2-Upv1の値は正である。Upv2とUpv1との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きい場合、太陽光発電ストリングに地絡が発生していると判定される。
第3の方式: 太陽光発電ストリングの出力電圧を開路電圧から短絡電圧に変化するように制御する。
電圧乱れを行って、太陽光発電ストリングの出力電圧を開路電圧から短絡電圧に変化するように制御する。換言すれば、電圧乱れ後の短絡電圧は0であり、つまり、出力電圧が大きい値から0に変化する。サンプリングされた端子電圧も0に近い。この場合、太陽光発電ストリングが地絡を有すると判定される。
S504: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いることによって地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いることによって地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
1つの太陽光発電ストリングでは、地絡が一箇所のみで発生した場合、太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間に比例関係が存在する。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルの位置を得ることができる。
太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率は、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いて計算されてもよいし、乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いて計算されてもよい。
例えば、図4では、5つの太陽光発電パネルがPV+とPV-との間に直列に接続されている。従って、2番目の太陽光発電パネルで地絡が発生していると仮定すると、電圧乱れの前であるか電圧乱れの後であるかにかかわらず、Upv+の絶対値とUpvとの間の比率が2/5であること、又はUpv-の絶対値とUpvとの間の比率が3/5であることが検出されるとき、それは、地絡が2番目の太陽光発電パネルで発生していることを示す。なお、ここでの2番目の太陽光発電パネルは、PV+端から数えて2番目の太陽光発電パネルである。加えて、一部の太陽光発電アレイにおいて、各太陽光発電ストリングに含まれる太陽光発電パネルの数が未知である場合、ここでのN及びxはパーセンテージを表す。具体的には、Nは100%を表し、xは、太陽光発電ストリング内の障害が発生している位置からPV+までの百分率での距離を表す。例えば、x=20%である場合、それは、約20%の位置で地絡が発生していることを示す。より正確に地絡を位置特定するため、短絡点付近での電圧サンプリングはできるだけ避ける。
例えば、地絡あり太陽光発電パネルは、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ前のUpvとの間の比率を用いて取得される。
なお、以上では特定の一実装のみを説明している。ストリング全体の出力電圧と端子電圧との間に特定の比例関係が存在する限り、地絡の具体的な位置を割り出すことができる。上述の割合は必ずしも厳密に2/5でなくてもよい。サンプリングデータは、実際の動作環境のデータとは異なり得る。従って、たとえ僅かな逸脱が生じても、その逸脱が予め定められた逸脱範囲内であれば、対応する地絡あり太陽光発電パネルをなおも割り出すことができる。
なお、太陽光発電パネルの地絡は、その太陽光発電パネルでアースへの短絡が発生していることを意味するだけでなく、その太陽光発電パネルの前又は後に直列に接続されたケーブルへの絶縁損傷によって引き起こされるアースへの短絡であってもよい。
この実施形態で提供される方法によれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。変化前の太陽光発電ストリングの端子電圧と変化後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所で地絡が発生しているとき、地絡の位置の電位が基準グランドに略等しい。この場合、太陽光発電ストリングの一端から障害位置までの全ての太陽光発電パネルに割り当てられる電圧が端子電圧であると考えることができる。従って、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
方法実施形態2
前述の実施形態は、インバータが1つの太陽光発電ストリングに対応する例を用いて説明されている。以下の説明では、1つのインバータが複数の太陽光発電ストリングに対応するとともに、各太陽光発電ストリングがそれぞれのDC/DC変換回路に対応する。換言すれば、太陽光発電ストリングがDC/DC変換回路と一対一に対応する。また、DC/DC変換回路は互いに独立であり、正の入力端子同士又は負の入力端子同士が共に短絡されていない。太陽光発電ストリングは互いに独立であり、それぞれ対応するDC/DC変換回路に接続される。従って、太陽光発電ストリングの入力制御及びサンプリングは、別の太陽光発電ストリングのそれらに影響を及ぼさず、電圧乱れは各太陽光発電ストリングに対して独立に実行され得る。換言すれば、同時に電圧乱れを行ってもよいし、時分割方式で電圧乱れを行ってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
図6は、この出願の一実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、説明のための例として3つの太陽光発電ストリングを用い、それらは、それぞれ、第1太陽光発電ストリング100a、第2太陽光発電ストリング100b、及び第3太陽光発電ストリング100cである。第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの両方が地絡を有している。また、これら3つの太陽光発電ストリングの各々は、直列に接続された5つの太陽光発電パネルを含んでおり、それらは、それぞれ、PV+からPV-への順序で第1乃至第5太陽光発電パネルである。
第1太陽光発電ストリング100aは、第1DC/DC変換回路301aの入力端子に接続される。
第2太陽光発電ストリング100bは、第2DC/DC変換回路301bの入力端子に接続される。
第3太陽光発電ストリング100cは、第3DC/DC変換回路301cの入力端子に接続される。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子が全て、インバータ回路302の入力端子に接続される。第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子は、同じバスに並列に接続され得る。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、第3DC/DC変換回路301c、及びインバータ回路302がインバータへと統合され得る。
第1太陽光発電ストリング100a内の第4太陽光発電パネルで地絡が発生するとともに、第2太陽光発電ストリング100b内の第1太陽光発電パネルで地絡が発生している。
第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bを決定する具体的な実装については、方法実施形態1で説明した方式を使用することができ、詳細をここで再び説明することはしない。例えば、地絡が発生しているかは、電圧乱れの前後でUpv+を検出することによって判定されることができ、あるいは、地絡が発生しているかは、電圧乱れの前後でUpv-を検出することによって判定されることができる。
電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて地絡あり太陽光発電パネルを取得することは具体的に、
地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得することを含む。
具体的には、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに地絡が発生していると判定されたると、乱れ前の第1太陽光発電ストリング100aの端子電圧と乱れ前の第1太陽光発電ストリング100aの出力電圧との間の比率を用いて、及びN=5に基づいて、地絡が発生している位置が割り出される。同様に、乱れ前の第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧と乱れ前の第2太陽光発電ストリング100bの出力電圧との間の比率を用いて、及びN=5に基づいて、地絡が発生している位置が割り出される。
図7は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する他の方法のフローチャートである。
S701からS703は、それぞれ、S501からS503と同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。
S704: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
このステップは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得する、
ことを含み、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUpv+/Upvはx/Nである。Upv+及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルの通し番号である。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Upv-|/Upv)はx/Nである。Upv-及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
例えば、電圧乱れの前に、開回路における第1太陽光発電ストリング100aの開路電圧U1と、開回路における第2太陽光発電ストリング100bの開路電圧U2とが別々に収集される。電圧乱れの前に、第1太陽光発電ストリング100aが開回路にあるときのPV-の対地電圧U1-と、第2太陽光発電ストリング100bが開回路にあるときのPV-の対地電圧U2-とが別々に収集される。
この場合、第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx1=(1-|U1-|/U1)*Nであり、
第2太陽光発電ストリング100b内の地絡あり太陽光発電パネルx2=(1-|U2-|/U2)*Nである。
図7は、乱れ前の端子電圧と乱れ前の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明している。次に、乱れ後の端子電圧と乱れ後の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明する。
図8は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更なる他の方法のフローチャートである。
S801からS803は、それぞれ、S501からS503と同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。
S804: 地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
このステップは具体的に、
端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得し、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得する、
ことを含み、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUv+/Uvはx/Nである。Uv+及びUvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルの通し番号である。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ後の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Uv-|/Uv)はx/Nである。Uv-及びUvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
以下、一具体例を参照して説明を提供する。例えば、電圧乱れの前、太陽光発電ストリングはいかなる制御も受けず、開路電圧に対応する動作点で動作している。電圧乱れの間、太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧から減少するように制御される。
図6では、3つの太陽光発電ストリングが3つのDC/DC変換回路に対応し、各ストリングが5つの太陽光発電パネルを含む例のみを説明のために用いている。太陽光発電ストリングの具体的な数及び太陽光発電パネルの具体的な数は、この実施形態で提供される技術的ソリューションにおいて限定されることではない。図9は、この出願のこの実施形態に従った普遍的な太陽光発電システムの概略図である。
この太陽光発電システムは、合計でm個の太陽光発電ストリングを含み、mは2以上の整数であり、各太陽光発電ストリングが1つのDC/DC変換回路又はDC/AC変換回路に対応する。各太陽光発電ストリングは、直列に接続されたn個の太陽光発電パネルを含み、nは2以上の整数である。さらに、地絡が発生する太陽光発電ストリングの数は限定されない。各太陽光発電ストリングにおいて1つの地絡のみが発生するのであれば、この実施形態で提供される方法を用いることによって、障害位置を正確に特定することができる。
この実施形態で提供される方法は、インバータが複数の太陽光発電ストリングに対応するときの地絡の検出に適用可能である。複数の太陽光発電ストリングは、正極を共有せず、負極も共有せず、対応するDC/DC又はDC/AC変換回路に別々に接続される。太陽光発電ストリングが地絡を有するかを、電圧乱れ前後における端子電圧の変化に基づいて正確に判定することができる。加えて、太陽光発電ストリングが1つのみの地絡を有するとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを得ることができる。この方法は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
方法実施形態3
この実施形態は複数の太陽光発電ストリングを説明する。各太陽光発電ストリングが、それぞれDC/DC又はDC/AC変換回路に対応する。換言すれば、1つの太陽光発電ストリングが1つのDC/DC変換回路に対応する。しかし、各DC/DC変換回路の正の入力端子同士又は負の入力端子同士が共に短絡される。例えば、全ての変換回路の正の入力端子が共に短絡されるか、全ての変換回路の負の入力端子が共に短絡されるかする。
図10は、この出願のこの実施形態に従った複数の太陽光発電ストリングに対応する他の太陽光発電システムの概略図である。
この実施形態では、全てのDC/DC変換回路の負の入力端子が共に短絡されている。換言すれば、太陽光発電ストリングのPV-同士が共に短絡され、各太陽光発電ストリングのPV+は、対応するDC/DC変換回路の正の入力端子に独立して接続される。
この実施形態では、説明のための例として3つの太陽光発電ストリングを用い、それらは、それぞれ、第1太陽光発電ストリング100a、第2太陽光発電ストリング100b、及び第3太陽光発電ストリング100cである。第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの両方が地絡を有している。また、これら3つの太陽光発電ストリングの各々は、直列に接続された5つの太陽光発電パネルを含んでおり、それらは、それぞれ、PV+からPV-への順序で第1乃至第5太陽光発電パネルである。
第1太陽光発電ストリング100aは、第1DC/DC変換回路301aの入力端子に接続される。
第2太陽光発電ストリング100bは、第2DC/DC変換回路301bの入力端子に接続される。
第3太陽光発電ストリング100cは、第3DC/DC変換回路301cの入力端子に接続される。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの負の入力端子が全て共に接続され、つまり、PV-が全て共に短絡される。従って、これら3つの太陽光発電ストリングは等しいUpv-を持つ。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの負の入力端子は全て共に接続される。第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、及び第3DC/DC変換回路301cの出力端子は並列に接続され得る。
第1DC/DC変換回路301a、第2DC/DC変換回路301b、第3DC/DC変換回路301c、及びインバータ回路302がインバータへと統合され得る。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、2つ以上の太陽光発電ストリングに対して同時に電圧乱れを実行することはできず、各太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。
図11は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電ストリングの地絡を検出する更に他の方法のフローチャートである。
S1101: 電圧乱れ前の短絡されたPV-の対地電圧Upv-を収集する。
S1102: 第1太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行する。
具体的な電圧乱し方式については、上述の実施形態における説明を参照されたい。残りの太陽光発電ストリングに対しては制御が行われない。例えば、最初に第1太陽光発電ストリング100aに対して電圧乱れが実行される。
S1103:電圧乱れ後のPV-の対地電圧Upv-を収集する。
太陽光発電ストリングが1つずつ乱さを受け得る。この実施形態において、電圧乱れを第1太陽光発電ストリングから開始する必要があることは限定されることではない。換言すれば、これらの太陽光発電ストリングに対する電圧乱れの順番は限定されない。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、PVの対地電圧をサンプリングするのに1つの回路で十分である。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、Upv-は、太陽光発電アレイの負極全体の対地電圧である。
S1104: 電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差の絶対値がプリセットの閾値よりも大きいとき、第1太陽光発電ストリングが地絡を有すると判定する。
S1105: 他の太陽光発電ストリングに対してS1102からS1104を実行して、地絡が発生しているかを判定する。
PV-同士が共に短絡されている。従って、地絡が発生しているかを判定するために、各太陽光発電ストリングに対して1つずつ電圧乱れを実行する必要がある。
例えば、電圧乱れが第2太陽光発電ストリングに対して実行されるとき、他の太陽光発電ストリングに対しては制御が行われず、第2太陽光発電ストリングの出力電圧のみが変化するように制御される。
S1106: 全ての太陽光発電ストリングに対して電圧乱れが完了したとき、1つの太陽光発電ストリングのみが地絡を有する場合、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得する。
例えば、全ての太陽光発電ストリングに対して電圧乱れが完了し、第1太陽光発電ストリングのみが地絡を有すると判定されたとき、第1太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルが、次式:x=(1-|Upv-|/U1)*Nに従って取得される。U1は第1太陽光発電ストリングの出力電圧である。
この実施形態で提供される方法によれば、全ての太陽光発電ストリングの正極又は負極が共に接続される。従って、1つのストリングのみが地絡を有するとき、地絡あり太陽光発電パネルの位置を正確に得ることができる。複数のストリングが地絡を有する場合には、地絡あり太陽光発電ストリングを正確に決定することができるのみであり、地絡あり太陽光発電パネルの具体的な位置を正確に得ることはできない。
この実施形態では、太陽光発電ストリングのPV-同士が共に短絡される例のみを説明に用いている。同様に、太陽光発電ストリングのPV-は互いに独立にされてもよく、太陽光発電ストリングのPV+同士が共に短絡される。
この出願のこの実施形態で提供される方法によれば、複数の太陽光発電ストリングが一端で共に短絡される場合、具体的には、太陽光発電アレイ内の複数の太陽光発電ストリングの正極が共に短絡されるか、複数の太陽光発電ストリングの負極が共に短絡されるかする場合、それら太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行することによって、各太陽光発電ストリングが地絡を有するかを正確に判定することができる。一箇所でのみ地絡が発生しているとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
太陽光発電装置実施形態1
上述の実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する方法に基づいて、この出願のこの実施形態は更に太陽光発電装置を提供する。以下、添付の図面を参照して、太陽光発電装置の動作原理を詳細に説明する。
図12は、この出願のこの実施形態に従った地絡を検出する太陽光発電装置の概略図である。
この出願のこの実施形態で提供される地絡を検出する太陽光発電装置は、電力変換回路と、コントローラ400と、電圧検出回路500とを含む。
電力変換回路は、太陽光発電ストリングと一対一に対応しており、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。換言すれば、1つの電力変換回路が1つの太陽光発電ストリングに対応する。電力変換回路は、DC/DC変換回路であってもよいし、DC/AC変換回路であってもよい。太陽光発電ストリングは、電力変換回路と一対一に対応している。従って、太陽光発電ストリングは独立に制御されることができる。
図12では、説明のための例として、つまりは第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bである2つの太陽光発電ストリングを使用する。
第1太陽光発電ストリング100aは、対応する第1電力変換回路300aに接続され、第2太陽光発電ストリング100bは、対応する第2電力変換回路300bに接続される。
電圧検出回路500は、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成され、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧である。
なお、各太陽光発電ストリングに対して1つの電圧検出回路が配設されてもよいし、複数の太陽光発電ストリングが1つの電圧検出回路を共有してもよい。これはこの実施形態において特に限定されることではない。
コントローラ400は、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行するように構成される。
第1電力変換回路300a及び第2電力変換回路300bの正の入力端子同士及び負の入力端子同士の両方が互いに独立していて、共に接続されない場合、コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対して同時に電圧乱れを実行し得る。第1電力変換回路300a及び第2電力変換回路300bの正の入力端子同士又は負入力端子同士が共に接続される場合、コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。
複数の特定の電圧乱し方式が利用可能である。例えば、太陽光発電ストリングの出力電圧が大きい値から小さい値に変化するように制御され、あるいは、太陽光発電ストリングの出力電圧が小さい値から大きい値に変化するように制御されたり、開路電圧から短絡電圧に変化するように制御されたりする。一般に、太陽光発電ストリングの電流-電圧IVカーブに沿ってスキャンすることによって制御を実装することができ、それ故に、太陽光発電ストリングは該IVカーブ上のある点で動作する。
例えば、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を電圧減少方向に沿って変化するように制御することは具体的に、
電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御することを含み、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
第1のプリセット電圧は、開路電圧よりも低い、任意の動作点に対応する電圧とし得る。
電圧検出回路500は更に、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得するように構成される。
コントローラ400は更に、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得するように構成される。
なお、電圧乱れ前の電圧パラメータが地絡の位置を特定するために使用される場合、電圧検出回路500は更に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの出力電圧を取得し得る。電圧乱れ後の電圧パラメータが使用される場合、電圧検出回路500は更に、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの出力電圧を取得し得る。
この実施形態において、コントローラ400の位置は特に限定されることではない。コントローラ400は、電力変換回路に対応するコントローラとし得る。換言すれば、各電力変換回路が1つのコントローラに対応する。あるいは、これらの電力変換回路が1つのコントローラを共有してもよく、これらの電力変換回路がコントローラと通信してもよい。
太陽光発電ストリング内の太陽光発電パネルに地絡が発生しているとき、太陽光発電ストリングの正極PV+の対地電圧Upv+は、乱れ前の対地電圧と明らかに異なり、同様に、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極PV-の対地電圧Upv-も、乱れ後のものと明らかに異なる。
太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかについて、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ後のUpv+との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができ、あるいは、電圧乱れ前のUpv-と電圧乱れ後のUpv-との間の差に基づいて短絡障害が発生しているかを判定することができる。
例えば、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定される。
1つの太陽光発電ストリングでは、地絡が一箇所のみで発生した場合、太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間に比例関係が存在する。従って、太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、太陽光発電ストリング内の地絡あり太陽光発電パネルの位置を得ることができる。
太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率は、電圧乱れ前の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよいし、乱れ後の端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いてもよい。
なおも図4を参照するに、5つの太陽光発電パネルがPV+とPV-との間に直列に接続されている。従って、2番目の太陽光発電パネルで地絡が発生していると仮定すると、電圧乱れの前であるか電圧乱れの後であるかにかかわらず、Upv+の絶対値とUpvとの間の比率が2/5であること、又はUpv-の絶対値とUpvとの間の比率が3/5であることが検出されるとき、それは、地絡が2番目の太陽光発電パネルで発生していることを示す。なお、ここでの2番目の太陽光発電パネルは、PV+端から数えて2番目の太陽光発電パネルである。加えて、一部の太陽光発電アレイにおいて、各太陽光発電ストリングに含まれる太陽光発電パネルの数が未知である場合、ここでのN及びxはパーセンテージを表す。具体的には、Nは100%を表し、xは、太陽光発電ストリング内の障害が発生している位置からPV+までの百分率での距離を表す。例えば、x=20%である場合、それは、約20%の位置で地絡が発生していることを示す。
この実施形態において提供される太陽光発電装置は、図4に示した形態であってもよいし、図6に示した形態であってもよいし、図10に示した形態であってもよい。図10の全てのDC/DC変換回路の負の入力端子は共に接続されている。また、代わりに、全てのDC/DC変換回路の正の入力端子が接続されてもよい。
また、電力変換回路がDC/AC変換回路である場合、図13を参照されたい。図13は、この出願のこの実施形態に従った地絡を検出する他の太陽光発電装置の概略図である。
図13に示す太陽光発電装置は、DC/DC変換回路を含んでおらず、DC/AC変換回路のみを含んでいる。換言すれば、太陽光発電装置がインバータである場合、インバータは単段インバータである。図6及び図10に示したインバータは2段インバータであり、2段インバータは、DC/DC変換回路とDC/AC変換回路との両方を含む。
第1太陽光発電ストリング100aは対応する第1DC/AC変換回路300aに接続され、第2太陽光発電ストリング100bは対応する第2DC/AC変換回路300bに接続される。
電圧検出回路500は、電圧乱れ前の第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧及び出力電圧を検出するように構成されるとともに、電圧乱れ後の第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bの端子電圧及び出力電圧を検出するように構成される。電圧検出回路500は、検出した端子電圧及び出力電圧をどちらもコントローラ400に送る。
コントローラ400は、第1太陽光発電ストリング100a及び第2太陽光発電ストリング100bに対する電圧乱れを実施するように、第1DC/AC変換回路300aの入力電圧を制御することによって第1太陽光発電ストリング100aの出力電圧を制御するとともに、第2DC/AC変換回路300bの入力電圧を制御することによって第2太陽光発電ストリング100bの出力電圧を制御する。
例えば、地絡あり太陽光発電パネルは、電圧乱れ前のUpv+と電圧乱れ前のUpvとの間の比率を用いて取得される。
なお、以上では特定の一実装のみを説明している。ストリング全体の出力電圧と端子電圧との間に特定の比例関係が存在する限り、地絡の具体的な位置を割り出すことができる。上述の割合は必ずしも厳密に2/5でなくてもよい。サンプリングは、実際の動作環境とは異なり得る。従って、たとえ僅かな逸脱が生じても、その逸脱が予め定められた逸脱範囲内であれば、対応する地絡あり太陽光発電パネルをなおも割り出すことができる。
なお、太陽光発電パネルの地絡は、その太陽光発電パネルでアースへの短絡が発生していることを意味するだけでなく、その太陽光発電パネルの前又は後に直列に接続されたケーブルへの絶縁損傷によって引き起こされるアースへの短絡であってもよい。
この実施形態で提供される太陽光発電装置によれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が乱される。換言すれば、太陽光発電ストリングの出力電圧が変化するように制御される。電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧とを用いることによって、太陽光発電ストリングに地絡が発生しているかが判定される。電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ後の端子電圧とが明らかに変化する場合、それは、太陽光発電ストリングに地絡が発生していることを示す。太陽光発電ストリング内の全ての太陽光発電パネルが直列に接続される。太陽光発電ストリング内のある箇所で地絡が発生しているとき、地絡の位置の電位が基準グランドに略等しい。この場合、太陽光発電ストリングの一端から障害位置までの全ての太陽光発電パネルに割り当てられる電圧が端子電圧であると考えることができる。従って、地絡が発生している具体的な位置を、端子電圧とストリング全体の出力電圧との間の比率を用いることによって割り出し得る。この装置は、単純で実装容易であり、追加のハードウェア装置を必要としない。太陽光発電ストリングのN個の太陽光発電パネルに対して1つずつ手動で検出を行う必要なしに、地絡あり太陽光発電パネルを自動的に割り出すことができ、それによって効率が向上される。
障害のある太陽光発電パネルは、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって取得されてもよいし、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧と太陽光発電ストリングの出力電圧との間の比率を用いることによって取得されてもよい。詳細を以下にて別々に説明する。
第1の方式: 電圧乱れ前の端子電圧と電圧乱れ前のストリング全体の出力電圧とが使用される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
上述の式は、N個の太陽光発電パネルが直列に接続されるという原理に基づく。x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングのUpv+/Upvはx/Nである。Upv+及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができ、xは、地絡が発生した太陽光発電パネルである。同様に、地絡あり太陽光発電パネルは代わりに、乱れ前の太陽光発電ストリングの負極の対地電圧及び出力電圧を用いることによって取得されてもよい。具体的には、x番目の太陽光発電パネルがアースに短絡しているとき、太陽光発電ストリングの(1-|Upv-|/Upv)はx/Nである。Upv-及びUpvはどちらも電圧検出回路を用いて得ることができ、Nは既知の数である。従って、xを得ることができる。
例えば、電圧乱れの前に、開回路における第1太陽光発電ストリング100aの開路電圧U1と、開回路における第2太陽光発電ストリング100bの開路電圧U2とが別々に収集される。電圧乱れの前に、第1太陽光発電ストリング100aが開回路にあるときのPV-の対地電圧U1-と、第2太陽光発電ストリング100bが開回路にあるときのPV-の対地電圧U2-とが別々に収集される。
この場合、第1太陽光発電ストリング100a内の地絡あり太陽光発電パネルx1=(1-|U1-|/U1)*Nであり、
第2太陽光発電ストリング100b内の地絡あり太陽光発電パネルx2=(1-|U2-|/U2)*Nである。
以上では、乱れ前の端子電圧と乱れ前の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明している。次に、乱れ後の端子電圧と乱れ後の出力電圧との間の比率を用いて地絡の位置をどのように割り出すかを説明する。
第2の方式: 電圧乱れ後の端子電圧と電圧乱れ後のストリング全体の出力電圧とが使用される。
コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
例えば、電圧乱れの前、太陽光発電ストリングはいかなる制御も受けず、開路電圧に対応する動作点で動作している。電圧乱れの間、太陽光発電ストリングの出力電圧が開路電圧から減少するように制御される。
なお、太陽光発電装置と太陽光発電ストリングとの間の接続関係が図4及び図6に示される場合、1つの太陽光発電ストリングが存在するのか複数の太陽光発電ストリングが存在するのかにかかわらず、ストリング内で1つの地絡が発生するのであれば、障害位置を正確に特定することができる。太陽光発電装置と太陽光発電ストリングとの間の接続関係が図10に示される場合、全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、2つ以上の太陽光発電ストリングに対して同時に電圧乱れを実行することはできず、各太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行する必要がある。また、図10に対応する太陽光発電装置では、太陽光発電ストリングの正極又は負極が共に接続される。従って、1つのストリングのみが地絡を有するとき、地絡あり太陽光発電パネルの位置を正確に得ることができる。複数のストリングが地絡を有する場合には、地絡あり太陽光発電ストリングを正確に決定することができるのみであり、地絡あり太陽光発電パネルの具体的な位置を正確に得ることはできない。
図10に示した太陽光発電装置では、複数の太陽光発電ストリングが一端で共に短絡される場合、具体的には、太陽光発電アレイ内の複数の太陽光発電ストリングの正極が共に短絡されるか、複数の太陽光発電ストリングの負極が共に短絡されるかする場合、それら太陽光発電ストリングに対して順番に電圧乱れを実行することによって、各太陽光発電ストリングが地絡を有するかを正確に判定することができる。一箇所でのみ地絡が発生しているとき、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
全ての太陽光発電ストリングのPV-が共に短絡されている。従って、PVの対地電圧をサンプリングするのに1つの回路で十分である。
上述の実施形態で提供される太陽光発電装置を使用することにより、1つの太陽光発電ストリングのみが存在し、且つその太陽光発電ストリング内で1つの地絡のみが発生する場合、太陽光発電ストリング内の地絡の位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つそれら太陽光発電ストリングの正極同士も負極同士も共に接続されない場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。加えて、1つの太陽光発電ストリングが1つの地絡のみを有する場合、障害位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つ全ての太陽光発電ストリングの正極同士又は負極同士が共に接続される場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。1つの地絡のみが存在する場合、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。
システム実施形態
上述の実施形態で提供される太陽光発電ストリングの地絡を検出する太陽光発電装置に基づき、この出願のこの実施形態は更に太陽光発電システムを提供し、それを添付の図面を参照して詳細に説明する。
図14は、この出願のこの実施形態に従った太陽光発電システムの概略図である。
この出願のこの実施形態は、太陽光発電アレイと、太陽光発電装置と、コントローラとを含む太陽光発電システムを提供する。
太陽光発電アレイはm個の太陽光発電ストリングを含み、mは1以上の整数である。
太陽光発電装置はm個の電力変換回路を含み、電力変換回路は太陽光発電ストリングと一対一に対応し、各太陽光発電ストリングが対応する電力変換回路に接続される。
コントローラは、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、端子電圧は、太陽光発電ストリングの正極又は負極の対地電圧、つまり、PV+又はPV-の対地電圧であり、各太陽光発電ストリングに対して電圧乱れを実行して、電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧を取得し、ここで、太陽光発電ストリング内で地絡が発生した場合、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧は電圧乱れ前の端子電圧から明らかに変化し、電圧乱れ前の各太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の各太陽光発電ストリングの端子電圧とに基づいて、地絡あり太陽光発電ストリングを決定し、地絡あり太陽光発電ストリングについて、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、又は、電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧及び出力電圧を用いて、地絡あり太陽光発電パネルを取得する、ように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れ前の太陽光発電ストリングの端子電圧と電圧乱れ後の太陽光発電ストリングの端子電圧との間の差の絶対値がプリセットの閾値を超える場合に、その太陽光発電ストリングは地絡あり太陽光発電ストリングであると決定するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧増加方向に沿って変化するように、又は電圧減少方向に沿って変化するように制御するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の第1のプリセット電圧まで変化するように制御するように構成され、第1のプリセット電圧は開路電圧よりも低い。
コントローラは具体的に、電圧乱れを受ける太陽光発電ストリングの出力電圧を、電圧乱れ前の開路電圧から電圧乱れ後の短絡電圧まで変化するように制御するように構成される。
コントローラは具体的に、電圧乱れ前の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比率を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって、地絡あり太陽光発電パネルを取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Upv+/Upv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Upv-|/Upv)
に従って取得するように構成され、
Upv+は、電圧乱れ前の正極の対地電圧を表し、Upv-は、電圧乱れ前の負極の対地電圧を表し、Upvは、電圧乱れ前の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
コントローラは具体的に、地絡あり太陽光発電パネルを、電圧乱れ後の地絡あり太陽光発電ストリングの端子電圧と出力電圧との間の比を用いることによって、及び太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数Nを用いることによって取得するように構成される。
コントローラは具体的に、端子電圧が正極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(Uv+/Uv)
に従って取得するように構成され、又は
端子電圧が負極の対地電圧である場合に、地絡あり太陽光発電パネルを、次式:
x=N*(1-|Uv-|/Uv)
に従って取得するように構成され、
Uv+は、電圧乱れ後の正極の対地電圧を表し、Uv-は、電圧乱れ後の負極の対地電圧を表し、Uvは、電圧乱れ後の出力電圧を表し、Nは、地絡あり太陽光発電ストリングに含まれた、直列に接続された太陽光発電パネルの数を表し、xは、地絡あり太陽光発電ストリングの正極から始めてx番目の太陽光発電パネルを表す。
この実施形態で提供される太陽光発電システムは、太陽光発電アレイ100と、上述の実施形態で説明した太陽光発電装置1000とを含む。
太陽光発電アレイ100はM個の太陽光発電ストリングを含み、Mは1以上の整数である。
太陽光発電装置1000はM個の電力変換回路を含む。
太陽光発電アレイ100内のM個の太陽光発電ストリングと太陽光発電装置1000内のM個の電力変換回路との間には一対一の関係がある。換言すれば、各電力変換回路の入力端子が、当該電力変換回路に対応する太陽光発電ストリングに接続される。
太陽光発電装置は、インバータであってもよいし、コンバイナボックスであってもよい。これは、この出願のこの実施形態において特に限定されることではない。
太陽光発電装置がインバータである場合、当該インバータは2段インバータとし得る。図6に示したように、インバータは、DC/DC変換回路とDC/AC変換回路とを含み得る。インバータは代わりに、図13に示したように、DC/AC変換回路のみを含むものである単段インバータであってもよい。
当該太陽光発電システムにおいてコントローラによって太陽光発電ストリングの地絡を検出することの具体的な実装については、方法実施形態及び太陽光発電装置実施形態における説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
この出願のこの実施形態で提供される太陽光発電システムは、上述の実施形態で説明した太陽光発電装置を含む。1つの太陽光発電ストリングのみが存在し、且つその太陽光発電ストリング内で1つの地絡のみが発生する場合、太陽光発電ストリング内の地絡の位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つそれら太陽光発電ストリングの正極同士も負極同士も共に接続されない場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。加えて、1つの太陽光発電ストリングが1つの地絡のみを有する場合、障害位置を正確に特定することができる。対応する太陽光発電ストリングが複数存在し、且つ全ての太陽光発電ストリングの正極同士又は負極同士が共に接続される場合、地絡を有する全ての太陽光発電ストリングを特定することができる。1つの地絡のみが存在する場合、端子電圧と出力電圧との間の比例関係を用いることによって、障害ある太陽光発電パネルの位置を正確に特定することができる。当該太陽光発電システムは、インバータが系統接続される前に太陽光発電アレイの地絡をモニタし得る。直流絶縁抵抗が低いとき、換言すれば、地絡が発生しているとき、位置特定した障害位置に基づいて障害を遅れずに是正することで、当該太陽光発電システムは可能な限り迅速に正常に稼働して、系統接続発電を行うことができ、それにより動作効率が向上される。
理解されるべきことには、この出願において、“少なくとも1つの(アイテム)”は1つ以上を意味し、“複数の”は2つ以上を意味する。用語“及び/又は”は、関連するオブジェクト間の連関関係を記述するために使用され、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、“A及び/又はB”は、以下の3つのケース、すなわち、Aのみが存在する、Bのみが存在する、及び、AとBの両方が存在するという3つのケースを表し得るものであり、A及びBは単数であっても複数であってもよい。文字“/”は、一般に、関連するオブジェクト間の“又は”の関係を指し示す。“以下のアイテム(ピース)のうち少なくとも1つ”又はこれに類する表現は、単一のアイテム(ピース)又は複数のアイテム(ピース)の任意の組み合わせを含め、それらのアイテムのうちの任意の組み合わせを指す。例えば、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、a及びb、a及びc、b及びc、又は、a及びb及びcを指し示し得るものであり、a、b、及びcは単数であっても複数であってもよい。
上述の実施形態は、この出願を限定するのではなく、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図しているにすぎない。この出願は上述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの精神及び範囲から逸脱することなく、上述の実施形態で説明された技術的ソリューションになおも変更を行ったり、その一部の技術的特徴に対して均等な置換を行ったりすることができる。