JP2023542340A - 代謝物の免疫学的作用 - Google Patents
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Abstract
本開示は、抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を対象において誘導するために、代謝物であるスペルミジン、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、オレイルエタノールアミド(OEA)、および1-メチルニコチンアミド(1-MNA)のうちの1種または複数種を用いる、組成物および方法を提供する。本明細書に記載される組成物および方法は、対象において、全身の健康状態および疾患の進行に関連する生化学的機能性を増強することが可能であり、長寿および健康寿命を伸長することが可能であり、ならびに/または細胞の加齢プロセスを遅延させるもしくは阻害することが可能である。
Description
関連特許出願の相互参照
本特許出願は、2020年9月21日に提出された米国特許仮出願63/081,205号の優先権の恩典を主張するものであり、該仮出願は、全ての目的に関して参照により組み入れられる。
本特許出願は、2020年9月21日に提出された米国特許仮出願63/081,205号の優先権の恩典を主張するものであり、該仮出願は、全ての目的に関して参照により組み入れられる。
本開示の背景
長時間絶食がモデル生物およびヒト試験の両方において広範囲にわたる機能的な生化学的恩恵を誘導することは、一貫して示されてきており、該恩恵には、抗がん作用、抗炎症作用、心保護作用、抗酸化作用、幹細胞および免疫細胞の再生作用、ならびに長寿伸長作用が含まれる。長時間絶食については多数の恩恵が立証されているが、それにもかかわらず、絶食の生化学作用の全貌も、それらの作用の背後にある詳細なメディエーターおよびメカニズムも、ヒトにおいてはほとんど未研究のままである。
長時間絶食がモデル生物およびヒト試験の両方において広範囲にわたる機能的な生化学的恩恵を誘導することは、一貫して示されてきており、該恩恵には、抗がん作用、抗炎症作用、心保護作用、抗酸化作用、幹細胞および免疫細胞の再生作用、ならびに長寿伸長作用が含まれる。長時間絶食については多数の恩恵が立証されているが、それにもかかわらず、絶食の生化学作用の全貌も、それらの作用の背後にある詳細なメディエーターおよびメカニズムも、ヒトにおいてはほとんど未研究のままである。
本開示の概要
1つの局面において、本開示は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で含む組成物を、提供する。1つの局面において、本開示は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへと、該代謝物の循環レベルを上昇させるのに十分な量で含む組成物を、提供する。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの2種(たとえば、スペルミジンおよび1-MNAか、スペルミジンおよびPEAか、スペルミジンおよびOEAか、1-MNAおよびPEAか、1-MNAおよびOEAか、またはPEAおよびOEA)を含む。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの3種(たとえば、(1) スペルミジン、1-MNA、およびPEAか、(2) スペルミジン、1-MNA、およびOEAか、(3) スペルミジン、PEA、およびOEAか、または(4) 1-MNA、PEA、およびOEA)を含む。いくつかの態様において、組成物は、4種全ての代謝物を含む。
1つの局面において、本開示は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で含む組成物を、提供する。1つの局面において、本開示は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへと、該代謝物の循環レベルを上昇させるのに十分な量で含む組成物を、提供する。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの2種(たとえば、スペルミジンおよび1-MNAか、スペルミジンおよびPEAか、スペルミジンおよびOEAか、1-MNAおよびPEAか、1-MNAおよびOEAか、またはPEAおよびOEA)を含む。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの3種(たとえば、(1) スペルミジン、1-MNA、およびPEAか、(2) スペルミジン、1-MNA、およびOEAか、(3) スペルミジン、PEA、およびOEAか、または(4) 1-MNA、PEA、およびOEA)を含む。いくつかの態様において、組成物は、4種全ての代謝物を含む。
1つの局面において、本開示は、スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で含む組成物を、提供する。1つの局面において、本開示は、スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへと、該代謝物の循環レベルを上昇させるのに十分な量で含む組成物を、提供する。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの2種(たとえば、スペルミジンもしくはその前駆体および1-MNAもしくはその前駆体か、スペルミジンもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体か、スペルミジンもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体か、1-MNAもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体か、1-MNAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体か、またはPEAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体)を含む。いくつかの態様において、組成物は、代謝物のうちの3種(たとえば、(1) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびPEAもしくはその前駆体か、(2) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体か、(3) スペルミジンもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体か、または(4) 1-MNAもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体)を含む。いくつかの態様において、組成物は、4種全ての代謝物を含む。
いくつかの態様において、組成物は、ニコチンアミド、ナイアシンアミド、およびニコチンアミドリボシドからなる群より選択される、1-MNAの前駆体を含む。いくつかの態様において、組成物は、パルミチン酸である、PEAの前駆体を含む。いくつかの態様において、組成物は、オレイン酸である、OEAの前駆体を含む。
この局面のいくつかの態様において、2種の、3種の、または4種の代謝物の比は、約10000:1000:1:1000のスペルミジン:1-MNA:PEA:OEA(w:w:w:w)である。いくつかの態様において、組成物は、5~15 mgのスペルミジン、400~1200 mgのPEA、300~600 mgのOEA、および500~1000 mgのニコチンアミドを含む。
いくつかの態様において、組成物は栄養補助食品として製剤化される。ある特定の態様において、組成物は経口投与用に製剤化される。たとえば、組成物は、丸剤、錠剤、散剤、固形食品コーティンググミ、舌下剤、スプレー、キャンディ、栄養バー、エネルギーショット、飲料、またはシロップとして製剤化され得る。いくつかの態様において、組成物は、静脈内投与用、経皮投与用、舌下投与用、または局所投与用に製剤化される。
別の局面において、本開示は、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するための方法を特色とし、該方法は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で対象に投与する段階を含む。別の局面において、本開示は、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへと代謝物の循環レベルを上昇させるための方法を特色とし、該方法は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへの、該代謝物の循環レベルの上昇を誘導するのに十分な量で対象に投与する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって分泌される腫瘍壊死因子α(TNF-α)の量と比較して、対象においてマクロファージによって分泌されるTNF-αの量を減少させる。ある特定の態様において、対象が代謝物の投与を受けた後にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量は、対象が代謝物の投与を受ける前にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量の、90%未満(たとえば、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、または5%未満)である。
この局面のいくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象の血漿の総抗酸化能と比較して、対象の血漿の総抗酸化能を増大させる。いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象のコレステロール引き抜きと比較して、対象のコレステロール引き抜きを増大させる。
いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって産生される活性酸素種(ROS)の量と比較して、対象においてマクロファージによって産生されるROSの量を減少させる。いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象のマクロファージにおけるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性と比較して、対象のマクロファージにおけるCOX活性を低下させる。いくつかの態様において、方法は、マクロファージの表現型を、炎症誘発性の表現型から離れ、かつ炎症収束性の表現型へと向かうように調節する(これは、対象が代謝物の投与を受ける前の対象のマクロファージにおける一酸化窒素合成酵素(NOS)活性と比較した、対象のマクロファージにおけるNOS活性の低下として測定される)。
いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象におけるマクロファージの極性化と比較して、対象におけるマクロファージのM1極性化を低下させる、および/またはマクロファージのM2極性化を増大させる(これは、対象が代謝物の投与を受ける前の対象のマクロファージにおける一酸化窒素合成酵素(NOS)活性と比較した、対象のマクロファージにおけるNOS活性の低下として測定される、および/または、対象が代謝物の投与を受ける前の対象のマクロファージにおけるアルギナーゼ活性と比較した、対象のマクロファージにおけるアルギナーゼ活性の増大として測定される)。
いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象におけるアルギナーゼ活性と比較して、対象におけるアルギナーゼ活性を増大させる。
いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象におけるマクロファージのM2極性化と比較して、対象におけるマクロファージのM2極性化を増大させる。
他の態様において、方法は、対象の長寿を延伸させる、ならびに/または対象の認知能力および/もしくは身体能力を改善する。
いくつかの態様において、対象は絶食療法中である。ある特定の態様において、対象が絶食療法中(たとえば12時間より長い絶食中(たとえば、12~15時間の、15~20時間の、20~25時間の、25~30時間の、30~36時間の、または36時間より長い絶食中))である場合、ペントース酸、インドールプロピオナート、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートからなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種は、対象において実質的に枯渇する。
いくつかの態様において、対象は炎症性障害を有している。いくつかの態様において、炎症性障害は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ANCA関連血管炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、慢性炎症性脱髄性神経炎、移植片対宿主病(GVHD)、皮膚筋炎、グッドパスチャー症候群、臓器系標的II型過敏症症候群(organ system-targeted type II hypersensitivity syndrome)、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、皮膚筋炎、フェルティ症候群、自己免疫性甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、自己免疫性肝疾患、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、視神経脊髄炎、天疱瘡、シェーグレン症候群、自己免疫性血球減少症、滑膜炎、皮膚筋炎、全身性血管炎、糸球体炎、過敏性腸症候群(IBS)、および血管炎からなる群より選択される。いくつかの態様において、対象は代謝障害を有している。いくつかの態様において、代謝障害は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病、および代謝症候群からなる群より選択される。ある特定の態様において、対象は過体重である。
ある特定の態様において、代謝物は、1日に1回または複数回対象に投与される。ある特定の態様において、代謝物は、食物の摂取中に対象に投与される。ある特定の態様において、代謝物は、少なくとも5時間の絶食の後で(たとえば、5~10時間の、10~15時間の、15~20時間の、20~25時間の、25~30時間の、30~36時間の、または36時間より長い絶食の後で)に対象に投与される。
いくつかの態様において、方法は、代謝物のうちの2種(たとえば、スペルミジンもしくはその前駆体および1-MNAもしくはその前駆体か、スペルミジンもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体か、スペルミジンもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体か、1-MNAもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体か、1-MNAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体か、またはPEAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体)を投与する段階を含む。いくつかの態様において、方法は、代謝物のうちの3種(たとえば、(1) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびPEAもしくはその前駆体か、(2) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体か、(3) スペルミジンもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体か、または(4) 1-MNAもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体)を投与する段階を含む。ある特定の態様において、方法は、4種全ての代謝物またはそれらの前駆体を投与する段階を含む。該方法のある特定の態様において、対象はヒトである。
また、それを必要とする対象において、寿命、健康寿命、健康的加齢を延伸させ、加齢プロセスに関連する、または加齢関連疾患(フレイル、サルコペニア、認知症、アルツハイマー病、認知機能低下、がん、もしくは関節炎を含むが、これらに限定されない)の処置もしくは予防に関連する生化学的経路を変化させる方法も提供され、該方法は、上述のまたは本明細書の他の箇所に記載される組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、対象はヒトである。
また、それを必要とする対象において、血漿のコレステロール引き抜き能を増大させる方法も提供され、該方法は、上述のまたは本明細書の他の箇所に記載される組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、対象は、心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子の、リスクがあるか、または心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子を有する。いくつかの態様において、対象はヒトである。
本開示の詳細な説明
I. 序論
本開示は、男性および女性の若年健常対象20名(年齢:20~40歳、男性:10名、女性:10名、BMI:17~25)から単離されたヒト血漿の機能性に対する、水のみの36時間の絶食の作用を調査するものである。試験は、長時間絶食が、ヒト血漿の生化学的機能性において著しい改善を誘導することを示した。対象の血漿試料の包括的代謝パネルによって同定されたように、ヒト血漿に対する作用は、少なくとも部分的には、絶食中にその血漿濃度が有意に上方制御される、多数の天然の内在性代謝物に起因する。たとえば試験においては、36時間の絶食は、コレステロールをロードされたTHP-1単球からのコレステロール引き抜きを促進するという、対象の血漿の能力を、最大で25%有意に増加させ、かつ36時間の絶食は、炎症誘発性であるシトルリン化フィブリノゲン免疫複合体で刺激された初代マクロファージからのTNF-α分泌を抑制するという、対象の血漿の能力を、最大で62%有意に増加させる。
I. 序論
本開示は、男性および女性の若年健常対象20名(年齢:20~40歳、男性:10名、女性:10名、BMI:17~25)から単離されたヒト血漿の機能性に対する、水のみの36時間の絶食の作用を調査するものである。試験は、長時間絶食が、ヒト血漿の生化学的機能性において著しい改善を誘導することを示した。対象の血漿試料の包括的代謝パネルによって同定されたように、ヒト血漿に対する作用は、少なくとも部分的には、絶食中にその血漿濃度が有意に上方制御される、多数の天然の内在性代謝物に起因する。たとえば試験においては、36時間の絶食は、コレステロールをロードされたTHP-1単球からのコレステロール引き抜きを促進するという、対象の血漿の能力を、最大で25%有意に増加させ、かつ36時間の絶食は、炎症誘発性であるシトルリン化フィブリノゲン免疫複合体で刺激された初代マクロファージからのTNF-α分泌を抑制するという、対象の血漿の能力を、最大で62%有意に増加させる。
さらに本開示は、包括的メタボロームパネルを用いて、絶食中に有意に上方制御される化合物:スペルミジン、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、オレイルエタノールアミド(OEA)、および1-メチルニコチンアミド(1-MNA)を同定した。本開示は、絶食の有益な生物学的作用を誘発するために、全身の健康状態および疾患の進行に関連する生化学的機能性を増強するために、長寿および健康寿命を伸長するために、ならびに/または、細胞の加齢プロセスを遅延させるもしくは阻害するために、該化合物の任意のものを単独でまたは組み合わせて使用する、組成物および方法を指向する。
II. 定義
本明細書において使用される場合、「絶食療法」との用語は、何らかの食物の摂取と摂取の間が少なくとも5時間である(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間である)食事療法を指す。いくつかの態様において、「長時間絶食療法」とは、何らかの食物の摂取と摂取の間が少なくとも24時間である(たとえば、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間である)食事療法を指す。
本明細書において使用される場合、「絶食療法」との用語は、何らかの食物の摂取と摂取の間が少なくとも5時間である(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間である)食事療法を指す。いくつかの態様において、「長時間絶食療法」とは、何らかの食物の摂取と摂取の間が少なくとも24時間である(たとえば、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間である)食事療法を指す。
本明細書において使用される場合、「代謝障害」との用語は、対象の代謝に関連する、疾患、障害、または症候群を指し、代謝とはたとえば、エネルギーを取り出すために、食物中の炭水化物、タンパク質、および脂肪を分解すること、ならびに、エネルギーを使用および/もしくは貯蔵するために、化学物質を他の物質へと変換しそしてそれらを細胞の内側へと輸送することなどである。代謝疾患のいくつかの症状は、血清トリグリセリド高値、低密度コレステロール(LDL)高値、高密度コレステロール(HDL)低値、および/または空腹時インスリンレベル高値、空腹時血漿グルコース高値、腹部肥満(中心性肥満)、ならびに高血圧を含む。本発明において、代謝疾患は、肥満、1型糖尿病、および2型糖尿病を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「炎症性障害」との用語は、対象の免疫系に関連する、疾患、障害、または症候群を指す。炎症性障害は、概して、病気もしくは感染への応答、または他の場合には、身体それ自身の細胞および組織への攻撃(たとえば自己免疫障害)のいずれかにおける、対象の免疫系の活性化に関連する。
本明細書において使用される場合、「過体重」との用語は、25を上回るボディマス指数(BMI)(またはアジア人に関して>23のBMI)として定義され、したがってこれは、25~30のBMIとして定義される前肥満、および30以上のBMIによって定義される肥満を含む。過体重はまた、女性に関して>35インチの腹囲を有すること、および男性に関して>40インチの腹囲を有することとしても、定義することが可能である。
本明細書において使用される場合、「総抗酸化能」との用語は、生物学的試料の抗酸化状態を評価するために使用することが可能であり、かつ所与の疾患において産生されるフリーラジカルに対する抗酸化応答を評価することが可能である、測定値を指す。総抗酸化能を測定するための手法および技術は当技術分野において利用可能であり、これはたとえば、Rubio et al., BMC Vet Res. 12:166, 2016、およびIalongo C. Review Clin Biochem 50(6):356-363, 2017に記載されるようなものである。
本明細書において使用される場合、「コレステロール引き抜き」との用語は、マクロファージまたは他の細胞から、高密度リポタンパク質(HDL)の細胞外アクセプターへと、たとえばアポリポタンパク質A-I(apoA-I)などへと、細胞内コレステロールを輸送する経路を指す。
本明細書において使用される場合、「約」との用語は+/-10%の範囲を指し、たとえば、「約100」は「90~110」と同等である。
本明細書において使用される場合、「対象」との用語は哺乳動物を指し、これはたとえば、好ましくはヒトである。哺乳動物は、ヒト、ならびに飼いならされた動物および家畜、たとえば、サル(たとえばカニクイザル)、マウス、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、およびウシ、家畜、等を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載される代謝物の「前駆体」とは、対象に導入された場合に、1種または複数種の分子反応を介して代謝物へと代謝される分子を指す。
「本明細書において使用される場合、「代謝物」とは化学物質を指す。例示的な代謝物は、スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)を含む。」
III. 組成物
本開示は、スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するのに十分な量で含む組成物を特色とする。これらの化合物は、コレステロール引き抜き能を含めた、長時間絶食後に観察された健康への作用を模倣し、かつ免疫調節能をより抗炎症性の機能的表現型へと変化させて、ヒト血漿の有益な機能性を誘発することが同定された。上に列挙した代謝物のうちの任意の1種または複数種は、それらの前駆体と置き換えられてよく、または対象の体内において該代謝物の任意のもののレベルの上昇を引き起こす分子(たとえば薬剤)と置き換えられてもよい。
本開示は、スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するのに十分な量で含む組成物を特色とする。これらの化合物は、コレステロール引き抜き能を含めた、長時間絶食後に観察された健康への作用を模倣し、かつ免疫調節能をより抗炎症性の機能的表現型へと変化させて、ヒト血漿の有益な機能性を誘発することが同定された。上に列挙した代謝物のうちの任意の1種または複数種は、それらの前駆体と置き換えられてよく、または対象の体内において該代謝物の任意のもののレベルの上昇を引き起こす分子(たとえば薬剤)と置き換えられてもよい。
スペルミジンは天然のポリアミンであり、これは、MAPK経路におけるその活性を介したオートファジーインデューサーとしてのその分子活性によって、複数のモデル生物において、抗炎症作用、抗増殖作用、および有意な長寿伸長作用を有することが示されている。スペルミジンの例示的な前駆体は、アルギニン、オルニチン、およびプトレシンを含むが、これらに限定されない。
パルミトイルエタノールアミド(PEA)は、内在性の脂肪酸メディエーターであってかつPPAR-α経路の刺激因子であり、これは、強力な抗炎症活性および抗アテローム性動脈硬化活性を有するとともに、疼痛、ニューロパチー、ならびにパーキンソン病およびアルツハイマー病を含めた神経変性疾患の症状を、低減させる能力を有することが示されている。PEAの例示的な前駆体はパルミチン酸を含むが、これに限定されない。
オレイルエタノールアミド(OEA)は、内在性の脂肪酸メディエーターであってかつAMPK経路の刺激因子であり、これは、神経保護能および抗炎症能の両方を有する、食欲抑制因子かつ満腹感調節因子として作用することが示されている。OEAの例示的な前駆体はオレイン酸を含むが、これに限定されない。
最後に、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)はニコチンアミドの内在性代謝物であり、これは、COX-2/PGI2経路を介する、抗がん/抗増殖活性、抗炎症活性、および抗血栓活性を含めた、ならびに神経保護作用および抗アルツハイマー作用を含めた、複数の経路を介した広範囲にわたる生化学的活性を有することが示されている。1-MNAの例示的な前駆体は、ナイアシン、ニコチンアミド、ナイアシンアミド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、およびニコチンアミドリボシドを含むが、これに限定されない。
いくつかの態様において、組成物は、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAからなる群より選択される代謝物またはそれらの前駆体のうちの2種を含む。たとえば、組成物は以下を含んでよい:スペルミジンおよび1-MNAか、スペルミジンおよびPEAか、スペルミジンおよびOEAか、1-MNAおよびPEAか、1-MNAおよびOEAか、またはPEAおよびOEA。2種の代謝物またはそれらの前駆体を含む組成物において、2種の代謝物の量(たとえば、モルで、または重量で)は、同じであってよく、または異なっていてもよい。たとえば、スペルミジンの量 対 1-MNAの量(重量:重量)はそれぞれ、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1であってよい。いくつかの態様において、スペルミジンの量 対 PEAの量(重量:重量)はそれぞれ、20,000:1、15,000:1、10,000:1、8,000:1、6,000:1、4,000:1、2,000:1、1,000:1、500:1、または100:1であってよい。いくつかの態様において、スペルミジンの量 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1であってよい。いくつかの態様において、1-MNAの量 対 PEAの量はそれぞれ、1,500:1、1,200:1、1,000:1、800:1、600:1、400:1、200:1、100:1、50:1、30:1、10:1、または1:1であってよい。いくつかの態様において、1-MNAの量 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、または1:2であってよい。いくつかの態様において、PEAの量 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、1:1,500、1:1,200、1:1,000、1:800、1:600、1:400、1:200、1:100、1:50、1:30、1:20、1:10、または1:1であってよい。
いくつかの態様において、組成物は、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAからなる群より選択される代謝物またはそれらの前駆体のうちの3種を含む。たとえば、組成物は以下を含んでよい:(1) スペルミジン、1-MNA、およびPEAか、(2) スペルミジン、1-MNA、およびOEAか、(3) スペルミジン、PEA、およびOEAか、または(4) 1-MNA、PEA、およびOEA。3種の代謝物を含む組成物において、3種の代謝物の量(たとえば、モルで、または重量で)は、同じであってよく、または異なっていてもよい。たとえば、スペルミジン 対 1-MNA 対 PEAの量(重量:重量)はそれぞれ、10000:1000:1であってよい。スペルミジン 対 1-MNA 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、10:1:1であってよい。スペルミジン 対 PEA 対 OEAの量はそれぞれ、10000:1:1000であってよい。1-MNA 対 PEA 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、1000:1:1000であってよい。
いくつかの態様において、組成物は、代謝物であるスペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの4種全て、またはそれらの前駆体を含む。いくつかの態様において、スペルミジン 対 1-MNA 対 PEA 対 OEAの量(重量:重量)はそれぞれ、10000:1000:1:1000である。いくつかの態様において、組成物は、5~15 mgのスペルミジン、400~1200 mgのPEA、300~600 mgのOEA、および500~1000 mgのニコチンアミドを含み、これは任意で、毎日投与される。たとえば、いくつかの態様において、組成物は、5 mgのスペルミジン、400 mgのPEA、300 mgのOEA、および500 mgのニコチンアミドを含むか、あるいは、15 mgのスペルミジン、1200 mgのPEA、600 mgのOEA、および1000 mgのニコチンアミドを含む。
スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAのうちの1種または複数種、またはそれらの前駆体を含む、本明細書に開示される組成物は、栄養補助食品として経口投与され得る。たとえば、組成物は、1個もしくは複数個の丸剤、1個もしくは複数個の錠剤、または1本もしくは複数本の瓶入りシロップとして製剤化され得る。いくつかの態様において、組成物は、長時間絶食療法中の対象に投与され得、ここで長時間絶食療法とは、食事と食事との間が24時間より長い食事療法を指す。
IV. 方法
本開示はまた、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAからなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種、またはそれらの前駆体を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で対象に投与することによって、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するための方法をも特色とする。本明細書に記載されるように、長時間絶食は、ヒト血漿の生化学的機能性の改善を誘導するものであり、該改善は、対象の血漿試料の包括的代謝パネルによって同定されたように、いくつかの内在性代謝物(たとえば、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEA、またはそれらの前駆体)の、絶食中の血漿濃度の増加に起因する。
本開示はまた、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAからなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種、またはそれらの前駆体を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するのに十分な量で対象に投与することによって、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を誘導するための方法をも特色とする。本明細書に記載されるように、長時間絶食は、ヒト血漿の生化学的機能性の改善を誘導するものであり、該改善は、対象の血漿試料の包括的代謝パネルによって同定されたように、いくつかの内在性代謝物(たとえば、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEA、またはそれらの前駆体)の、絶食中の血漿濃度の増加に起因する。
方法のいくつかの態様において、対象は炎症性障害を有しており、かつ代謝物であるスペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAのうちの1種または複数種、またはそれらの前駆体によってもたらされる抗炎症作用から、恩恵を受け得る。炎症性障害の例は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ANCA関連血管炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、慢性炎症性脱髄性神経炎、移植片対宿主病(GVHD)、皮膚筋炎、グッドパスチャー症候群、臓器系標的II型過敏症症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、皮膚筋炎、フェルティ症候群、自己免疫性甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、自己免疫性肝疾患、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、視神経脊髄炎、天疱瘡、シェーグレン症候群、自己免疫性血球減少症、滑膜炎、皮膚筋炎、全身性血管炎、糸球体炎、および血管炎を含むが、これらに限定されない。本明細書において証明されたように、炎症誘発性であるシトルリン化フィブリノゲン免疫複合体で刺激された初代マクロファージからのTNF-αの分泌を抑制するという、対象の血漿の能力を、長時間絶食は有意に増大させた。本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、対象が1種または複数種の代謝物の投与を受けた後にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量は、対象が代謝物の投与を受ける前にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量の、90%未満(たとえば、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、または5%未満)である。
方法のいくつかの態様において、対象は、以下の障害のうちの1種を有しているか、または以下の障害もしくは疾患の炎症作用に苦しめられている:
- ウイルス感染、または病原体(ウイルス、細菌)感染に関連する合併症からの保護によって恩恵を受ける状態(たとえば、敗血症、サイトカインストーム、全身性炎症反応症候群(SIRS)、および重症急性呼吸器症候群(SARS)などであるが、これらに限定されない)。ウイルス感染の例は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、インフルエンザウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルス、HIV、天然痘ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ロタウイルス、SARS-CoV、およびMERS-CoVによる感染を含むが、これらに限定されない。
- 神経変性障害/神経炎症障害。神経変性障害/神経炎症障害の例は、アルツハイマー病(AD)およびこれに関連する認知症(たとえばADRD)、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、またはHIV関連認知症を含むが、これらに限定されない。
- 心血管疾患。心血管疾患の例は、冠状動脈性心疾患(CHD)、冠状動脈疾患(CAD)、急性心筋梗塞、心筋虚血、慢性心不全、末梢動脈疾患、重症下肢虚血、脳卒中(たとえば、虚血性および出血性)を含むが、これらに限定されない。
- 加齢性疾患。加齢性疾患は、慢性炎症(潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、血管疾患、関節炎、糖尿病、肥満、代謝症候群、臨床的炎症マーカーの慢性的上昇)、認知機能低下(認知症、アルツハイマー病、神経変性疾患)、フレイル、サルコペニア、およびがんを含むが、これらに限定されない。
- ウイルス感染、または病原体(ウイルス、細菌)感染に関連する合併症からの保護によって恩恵を受ける状態(たとえば、敗血症、サイトカインストーム、全身性炎症反応症候群(SIRS)、および重症急性呼吸器症候群(SARS)などであるが、これらに限定されない)。ウイルス感染の例は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、インフルエンザウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルス、HIV、天然痘ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ロタウイルス、SARS-CoV、およびMERS-CoVによる感染を含むが、これらに限定されない。
- 神経変性障害/神経炎症障害。神経変性障害/神経炎症障害の例は、アルツハイマー病(AD)およびこれに関連する認知症(たとえばADRD)、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、またはHIV関連認知症を含むが、これらに限定されない。
- 心血管疾患。心血管疾患の例は、冠状動脈性心疾患(CHD)、冠状動脈疾患(CAD)、急性心筋梗塞、心筋虚血、慢性心不全、末梢動脈疾患、重症下肢虚血、脳卒中(たとえば、虚血性および出血性)を含むが、これらに限定されない。
- 加齢性疾患。加齢性疾患は、慢性炎症(潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、血管疾患、関節炎、糖尿病、肥満、代謝症候群、臨床的炎症マーカーの慢性的上昇)、認知機能低下(認知症、アルツハイマー病、神経変性疾患)、フレイル、サルコペニア、およびがんを含むが、これらに限定されない。
さらに、いくつかの態様において、方法は、対象が代謝物の投与を受ける前の対象の血漿の総抗酸化能と比較して、対象の血漿の総抗酸化能を増大させ得る。総抗酸化能とは、生物学的試料の抗酸化状態を評価するために使用される測定値であり、かつこれは、所与の疾患において産生されるフリーラジカルに対する抗酸化応答を評価することが可能である。総抗酸化能を測定するための手法および技術は当技術分野において利用可能であり、これはたとえば、Rubio et al., BMC Vet Res. 12:166, 2016、およびIalongo C. Review Clin Biochem 50(6):356-363, 2017に記載されるようなものである。総抗酸化能を測定するための、市販のツールおよびキットもまた利用可能であり、これはたとえば、Cell Biolabs社のカタログ番号STA-360、およびAbcam社のカタログ番号ab56329などである。他の態様において、方法はまた、対象が代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって産生される活性酸素種(ROS)の量と比較して、対象においてマクロファージによって産生されるROSの量を減少させ得る。いくつかの態様において、対象が1種または複数種の代謝物の投与を受けた後に対象においてマクロファージによって産生されるROSの量は、対象が1種または複数種の代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって産生されるROSの量の、70%未満(たとえば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満)である。ROSの量を測定するためのツールは当技術分野において利用可能であり、これはたとえば、Cell Biolabs社のカタログ番号STA-342として市販されているキットである)。
方法のいくつかの態様において、対象は代謝障害を有している。たとえば代謝障害は、たとえば、肥満、1型糖尿病、2型糖尿病、およびアテローム性動脈硬化症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および代謝症候群を含んでよい。代謝疾患のいくつかの症状は、血清トリグリセリド高値、低密度コレステロール(LDL)高値、高密度コレステロール(HDL)低値、および/または空腹時インスリンレベル高値、空腹時血漿グルコース高値、腹部肥満(中心性肥満)、ならびに高血圧を含む。
いくつかの態様において、方法は、対象のコレステロール引き抜きを増大かつ促進し得、ここでコレステロール引き抜きとは、高密度リポタンパク質(HDL)の細胞外アクセプターへと、たとえばアポリポタンパク質A-I(apoA-I)へと、細胞内コレステロールを輸送することを指す。ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症の防止に、コレステロール引き抜きが大きな役割を果たしていることは、さまざまな証拠によって示されている(たとえば、Phillips M., J Biol Chem. 289(35): 24020-24029, 2014を参照されたい)。対象のコレステロール引き抜きを測定するための手法および技術は当技術分野において利用可能であり、これはたとえば、Shimizu et al., J Lipid Res 60(11):1959-1967, 2019、およびNorimatsu et al., Heart Vessels 32(1):30-38, 2017に記載されるようなものである。コレステロール引き抜きを測定するための、市販のツールおよびキットもまた利用可能であり、これはたとえば、Abcam社のカタログ番号ab196985、およびSigma社のカタログ番号MAK192などである。
方法のいくつかの態様において、対象は、170 mg/dLを上回る総コレステロールレベル(たとえば、180 mg/dLを上回る、190 mg/dLを上回る、200 mg/dLを上回る、210 mg/dLを上回る、220 mg/dLを上回る、230 mg/dLを上回る、240 mg/dLを上回る、または250 mg/dLを上回る総コレステロールレベル)を有し、かつ代謝物であるスペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAのうちの1種または複数種の投与から、恩恵を受け得る。ある特定の態様において、対象は、100 mg/dLを上回る低密度リポタンパク質(LDL)レベル(たとえば、110 mg/dLを上回る、120 mg/dLを上回る、130 mg/dLを上回る、140 mg/dLを上回る、150 mg/dLを上回る、160 mg/dLを上回る、または170 mg/dLを上回る低密度リポタンパク質(LDL)レベル)を有する。ある特定の態様において、対象は、男性に関して40 mg/dLを下回る、または女性に関して50 mg/dLを下回る、高密度リポタンパク質(HDL)レベル(たとえば、35 mg/dLを下回る、30 mg/dLを下回る、25 mg/dLを下回る、20 mg/dLを下回る、15 mg/dLを下回る、または10 mg/dLを下回る高密度リポタンパク質(HDL)レベル)を有する。
他の態様において、対象は過体重である。たとえば対象は、1種または複数種の代謝物の投与の前に、25を上回るボディマス指数(BMI)(もしくはアジア人に関して23を上回るボディマス指数(BMI)、または女性に関して>35インチの腹囲、および男性に関して>40インチの腹囲)を有する。いくつかの態様において、1種または複数種の代謝物の投与を受けた後で、対象のBMIは、18~25に(たとえば、18~24に、18~23に、18~22に、18~21に、18~20に、18~19に、19~25に、20~25に、21~25に、22~25に、23~25に、24~25に)減少する。
さらなる態様において、本明細書に記載される方法は、対象の長寿を延伸させる(たとえば、該方法は、寿命の延伸や、健康寿命の延伸や、健康的加齢を引き起こし、加齢プロセスに関連するかまたは加齢関連疾患の処置もしくは予防に使用される生化学的経路を変化させる)、ならびに/または該方法は、対象の認知能力および/もしくは身体能力を改善する。いくつかの態様において、対象は、1種または複数種の代謝物の投与の前に、ミニメンタルステート検査(MMSE)において24ポイントを下回るスコアを有する。いくつかの態様において、対象は、1種または複数種の代謝物の投与の後で、MMSEにおいて24ポイント以上(たとえば、24~30、24~29、24~28、24~27、24~26、24~25、25~30、26~30、27~30、28~30、または29~30)のスコアを有する。ミニメンタルステート検査(MMSE)とは30ポイント制の質問票であり、認知障害を測定するために、臨床環境および研究環境において広く使用されている(Pangman et al., Applied Nursing Research. 13 (4):209-213, 2000)。これは、医学および保健医療学において、認知能力が低下する症状を伴う疾患、たとえば認知症をスクリーニングするために、一般的に使用されている。これはまた、認知障害の重さおよびその進行を推定するためにも、ならびにある個人における認知機能の変化の経過を経時的に追跡するためにも、使用されている;そのため、ミニメンタルステート検査は、処置へのある個人の応答を記録するのに有効な手段となっている。いくつかの態様において、24以上のスコア(30ポイント満点で)は、認知機能正常を示す。これを下回ると、スコアは、重度認知障害(≦9ポイント)、中等度認知障害(10~18ポイント)、または軽度認知障害(19~23ポイント)を示し得る。いくつかの態様において対象は、代謝物の投与を受ける前に、9ポイント以下(たとえば、8、7、6、5、4、3、2、または1ポイント)のMMSEスコアを有する。いくつかの態様において対象は、代謝物の投与を受ける前に、10~18ポイント(たとえば、10、11、12、13、14、15、16、17、または18ポイント)のMMSEスコアを有する。いくつかの態様において対象は、代謝物の投与を受ける前に、19~23ポイント(たとえば、19、20、21、22、または23ポイント)のMMSEスコアを有する。
一般的に、加齢には9つの特徴があることが知られている:1. 細胞内コミュニケーションの変化、2. 幹細胞の枯渇、3. ミトコンドリアの機能不全、4. 細胞の老化、5. 栄養素送達の調節不全、6. プロテオスタシスの喪失、7. エピジェネティックな変化、8. テロメアの短縮、9. ゲノムの不安定性。加齢のこれらの特徴に関連する分子経路および分子プロセスとは、本発明者らが「加齢プロセスに関連するかまたは加齢関連疾患の予防に関連する経路」に関して述べるものであり得、これらの経路はまた、mTOR、APMK、MAPK、JAK/STAT、NAD/NADH、SIRT、FOXO、オートファジー、マイトファジー、テロメラーゼ活性、ミトコンドリアの機能性、ROS産生、IGF-1、p53、AGEをも含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物は、加齢のこれらの特徴のうちの1種または複数種を改善する。
方法のいくつかの態様において、対象は絶食療法中である。絶食療法とは、何らかの食物の摂取と摂取の間が少なくとも5時間である(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間である)食事療法を指す。いくつかの態様において、1種または複数種の代謝物は、1日に1回または複数回(たとえば、1回、2回、3回、4回、または5回)対象に投与される。いくつかの態様において、代謝物は、食物の摂取中に対象に投与される。他の態様において、代謝物は、少なくとも5時間の絶食の後で(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、または42時間の絶食の後で)対象に投与される。ある特定の態様において、対象が絶食療法中(たとえば12時間より長い絶食中(たとえば、12~15時間の、15~20時間の、20~25時間の、25~30時間の、30~36時間の、または36時間より長い絶食中))である場合、ペントース酸、インドールプロピオナート、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートからなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種は、対象において実質的に枯渇する。
さらに、いくつかの態様において方法は、対象において、シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性を低下させ得、かつ疼痛を軽減させ得る。証明されたように、絶食療法中であった対象から単離された血漿で、マクロファージを処理すると、マクロファージの総COX活性の低下が誘導されたが、これは、免疫調節におけるCOXシグナル伝達の役割を示すものであった。さらに、本明細書に記載される方法はまた、対象において一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性をも低下させ得る。NOS活性の低下は、マクロファージのM1極性化に関連しているが、該マクロファージはしばしば炎症誘発型のマクロファージと称され、また、病原体に対する防御において、および炎症誘発性サイトカインの分泌において重要である。さらに、本明細書に記載される方法はまた、対象においてアルギナーゼの活性を増大させ得る。アルギナーゼ活性の増大は、マクロファージのM2極性化に関連しており、これはしばしば、炎症の制御、および損傷を受けた組織の修復に関与する。
本発明者らはまた、本明細書に記載される4種の代謝物の組み合わせが、ヒト対象において血漿のコレステロール引き抜き能を増大させることを見いだした:血漿の引き抜き能の増大は、血漿の心保護能力の尺度であり、かつ心血管疾患リスクについての標準的な臨床マーカーである。したがって本開示は、本明細書に記載される4種の代謝物またはそれらの前駆体を投与することによって、対象において、心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、または他の心血管疾患リスク因子を、予防または処置する方法を提供する。この作用から恩恵を受け得る例示的な対象は、心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子の、リスクがあるか、または心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子を有する。
V. 薬学的組成物および投与経路
本開示は、代謝物であるスペルミジン、PEA、OEA、および1-MNAのうちの1種または複数種と、1種または複数種の薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む薬学的組成物を特色とし、該薬学的組成物は、当業者に公知の手法によって製剤化されてよい。
本開示は、代謝物であるスペルミジン、PEA、OEA、および1-MNAのうちの1種または複数種と、1種または複数種の薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む薬学的組成物を特色とし、該薬学的組成物は、当業者に公知の手法によって製剤化されてよい。
薬学的組成物において許容される担体および賦形剤は、採用される投薬量および濃度において、レシピエントに対して非毒性である。許容される担体および賦形剤は、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩、HEPES、およびTAEなどといった緩衝剤、たとえば、アスコルビン酸およびメチオニンなどといった抗酸化剤、たとえば、塩化ヘキサメトニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、レゾルシノール、および塩化ベンザルコニウムなどといった保存剤、たとえば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、デキストラン、および免疫グロブリンなどといったタンパク質、たとえば、ポリビニルピロリドンなどといった親水性ポリマー、たとえば、グリシン、グルタミン、ヒスチジン、およびリジンなどといったアミノ酸、ならびに、たとえば、グルコース、マンノース、スクロース、およびソルビトールなどといった炭水化物を含み得る。本開示の薬学的組成物は、滅菌された溶液または任意の薬学的に許容される液体を、ビヒクルとして用いて製剤化され得る。薬学的に許容されるビヒクルは、滅菌水、生理食塩水、および細胞培養培地(たとえば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α改変イーグル培地(α-MEM)、F-12培地など)を含むが、これらに限定されない。製剤方法は当技術分野において公知であり、たとえば、Banga(編) "Therapeutic Peptides and Proteins: Formulation, Processing and Delivery Systems"(第2版) Taylor & Francis Group, CRC Press (2006)などを参照されたい。
本開示の薬学的組成物は、投与様式に応じて、さまざまな形態で調製され得る。いくつかの態様において、本開示の薬学的組成物は、マイクロカプセルとして調製され得、これはたとえば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンのマイクロカプセル、およびポリ-(メチルメタクリラート)のマイクロカプセルなどである。薬学的組成物は、必要に応じて単位剤形として形成され得る。薬学的調製物中に包含される活性成分の量、たとえば、代謝物であるスペルミジン、PEA、OEA、および1-MNAのうちの1種または複数種、またはそれらの前駆体などの量は、指定どおりの範囲内の適切な用量が提供されるような量である。
代謝物の1種または複数種を含む薬学的組成物は、さまざまな投与経路用に製剤化されてよく、これはたとえば、経口投与、静脈内投与、非経口投与、経皮投与、局所投与、または腹腔内投与などである。具体的には、薬学的組成物は経口投与用に製剤化される。たとえば、薬学的組成物は、1個もしくは複数個の丸剤、1個もしくは複数個の錠剤、または1本もしくは複数本の瓶入りシロップもしくは散剤として、経口投与用に製剤化されてよく、これらは、さまざまな食品中および飲料中に混合されてよい。いくつかの態様において、薬学的組成物は、1日に1回または複数回(たとえば、1回、2回、3回、4回、または5回)対象に投与される。ある特定の態様において、薬学的組成物は、絶食療法中(たとえば長時間絶食療法中)の対象に投与され得る。薬学的組成物は、食物の摂取中に対象に投与され得る。他の態様において、薬学的組成物は、食物摂取と食物摂取との間の期間中に、対象に投与され得る。いくつかの態様において、薬学的組成物は、食物摂取後に、たとえば食物摂取の少なくとも1時間後に(たとえば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間後に)、対象に投与され得る。
薬学的組成物の投薬量は、投与経路、処置される疾患、および、たとえば対象の年齢、体重、全身の健康状態などといった対象の身体的特性を含めた因子に応じて、変化する。典型的には、1回量の薬学的組成物における1種または複数種の代謝物の量は、有意な毒性を誘導することなく、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または免疫調節作用を効果的に誘導する量であり得る。本発明の薬学的組成物は、0.01~500 mg/kgの範囲にある(たとえば、0.01~500 mg/kg、0.01~400 mg/kg、0.01~300 mg/kg、0.01~200 mg/kg、0.01~100 mg/kg、0.01~90 mg/kg、0.01~80 mg/kg、0.01~70 mg/kg、0.01~60 mg/kg、0.01~50 mg/kg、0.01~40 mg/kg、0.01~30 mg/kg、0.01~20 mg/kg、0.01~10 mg/kg、0.01~1 mg/kg、0.1~500 mg/kg、1~500 mg/kg、10~500 mg/kg、20~500 mg/kg、30~500 mg/kg、40~500 mg/kg、50~500 mg/kg、60~500 mg/kg、70~500 mg/kg、80~500 mg/kg、90~500 mg/kg、100~500 mg/kg、200~500 mg/kg、300~500 mg/kg、または400~500 mg/kgの範囲にある)投薬量の代謝物を含み得る。投薬量は、一般的な要因、たとえば、疾患の程度および対象のさまざまなパラメーターなどに応じて、医師が変化させてよい。いくつかの態様において、代謝物であるスペルミジン、PEA、OEA、および1-MNAのうちの1種または複数種を含む薬学的組成物は、たとえば、1日につき、1週間につき、1か月につき、半年につき、または1年につき、1回または複数回(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回、またはさらに多い回数)、それを必要とする対象に投与され得る。投薬量は、単回投与レジメンまたは複数回投与レジメンのいずれかとして、提供され得る。投与間の時間調整は、医学的状態が改善した場合に減少し、または、患者の健康状態が悪化した場合に増加する。
以下の実施例は、本開示を例示することを意図するものであって、本開示を限定することを意図するものではない。
実施例1 試験計画および試験方法
PFのヒト臨床試験
ヒト参加者の血漿メタボロームおよびマクロファージの機能性に対する、長時間絶食(PF)の作用を評価するため、20名の若年健常参加者における36時間の絶食1回という、3日間のヒト試験(図1)が実施された。臨床試験の完全なプロトコルは、ClinicalTrialsの「NCT03487679」とのIDにおいて入手可能である。手短に述べると、参加者は、20~40歳であって、19~27 kg/m2の範囲内のBMIを有していて、臨床的に正常な70~100 mg/dLの範囲の空腹時グルコース値を有していて、健康上の異常が確認されておらず、かつ、極端な摂食パターンや極端な運動パターンを有さない場合に、参加者に含められた。関心を持った72名の人々が適格性に関してスクリーニングされ、そして、20名が組み入れ基準および除外基準を満たすことが見いだされ、そして試験に登録された(図2)。脱落者も有害事象もプロトコル違反も発生せずに、20名の参加者は全員、3日間の試験を成功裏に完了して、実験解析に含められた(図2)。臨床試験活動は全て、UC Davis Ragle Human Nutrition Research Centerにおいて実施された。
PFのヒト臨床試験
ヒト参加者の血漿メタボロームおよびマクロファージの機能性に対する、長時間絶食(PF)の作用を評価するため、20名の若年健常参加者における36時間の絶食1回という、3日間のヒト試験(図1)が実施された。臨床試験の完全なプロトコルは、ClinicalTrialsの「NCT03487679」とのIDにおいて入手可能である。手短に述べると、参加者は、20~40歳であって、19~27 kg/m2の範囲内のBMIを有していて、臨床的に正常な70~100 mg/dLの範囲の空腹時グルコース値を有していて、健康上の異常が確認されておらず、かつ、極端な摂食パターンや極端な運動パターンを有さない場合に、参加者に含められた。関心を持った72名の人々が適格性に関してスクリーニングされ、そして、20名が組み入れ基準および除外基準を満たすことが見いだされ、そして試験に登録された(図2)。脱落者も有害事象もプロトコル違反も発生せずに、20名の参加者は全員、3日間の試験を成功裏に完了して、実験解析に含められた(図2)。臨床試験活動は全て、UC Davis Ragle Human Nutrition Research Centerにおいて実施された。
第1日に、一晩(12時間)の絶食状態にある参加者は、ベースライン状態を表す午前8時頃のベースライン採血を提供し、そしてその後、自分の通常の日課を行うように指示を受け、かつ、重要なことに、詳細な食物記録簿を用いて自分の食物摂取(表1)を記録し続けながら、自分の習慣的な食事を取るように指示を受けた。参加者は、第1日の午後6時に1日の最後の食事を取るように指示を受け、そしてその後、摂食状態を表す午後8時の時点の食後2時間の採血のために、Ragle Centerに戻った。参加者はその後、コンプライアンスについてグルコースメーターを利用してモニタリングされながら、第1日のそれ以降の時間と第2日の全日とに相当する、36時間の絶食期間に進んだ。第3日の午前8時頃に、参加者は絶食状態を表す36時間の絶食時採血を提供し、そしてその後、第1日に自分が記録した食物摂取のコピーを受け取った。参加者はその後、第3日の全体を通して、第1日に自分が記録したものと全く同じ食事を取るように指示を受け、そして前回と同様に、午後6時に1日の最後の食事を取り、そして最後となる、再摂食状態を表す食後2時間の採血を受けた。以下の表1において、ベースラインの値は、ベースライン来院の際の、前日の食事についての24時間思い出し法から決定された。摂食時の値は、試験の第1日を通して記録された食物摂取から決定された。再摂食時の値は、試験の第3日を通して記録された食物摂取から決定された。試験の経過全体を通して、いずれの栄養状態の間にも、有意な差は観察されなかった。
この手法は、臨床試験中の食物摂取のモニタリングおよび管理における、「管理された習慣的な食事」と称される。本明細書において実施された、管理された習慣的な食事は、栄養に関する試験に対して、特に、各参加者が自分自身の管理者としての役割を果たすクロスオーバー試験に対して、いくつかの利点をもたらす。重要なことに、これは、多様なヒト集団に対して新規な標準化された食事を導入した際に生じる、周知の破壊的な代謝作用24を回避しつつ、ある栄養状態とある栄養状態との間の栄養摂取を研究者が管理することを可能にする。他の絶食試験とは異なり、管理された習慣的な食事を利用することと、試験の経過全体を通して、各個人の4種類の異なる栄養状態を評価することは、ともに、食後の状態と36時間の絶食状態との鮮明な比較を可能にしたのみならず、典型的な一晩の絶食を超える、PFに特有の作用の評価、および絶食した後での食後という再摂食状態への、PFの潜在的なキャリーオーバー作用の評価をも可能にした。
血液の処理
参加者の血液試料は全てEDTA血漿チューブに採取され、そして速やかに処理されて参加者の血漿が得られた。参加者の血漿は、速やかに-80度で保管された。
参加者の血液試料は全てEDTA血漿チューブに採取され、そして速やかに処理されて参加者の血漿が得られた。参加者の血漿は、速やかに-80度で保管された。
NMRリポプロファイル(NMR Lipoprofile)
血漿のリポタンパク質の粒子サイズおよび濃度は、LabCorp(LipoScience, Inc., モリスビル、NC)においてプロトン核磁気共鳴(NMR)分光法により解析された。この解析は、臨床検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)のEP5-A2ガイドラインにしたがって認証を受けたものであり、小さいものから大きいものまで、VLDL粒子、LDL粒子、およびHDL粒子を含めたリポタンパク質サブクラス中の、リポタンパク質粒子の数およびサイズを、NMRを使用して推定するものであり、算出されたリポタンパク質インスリン抵抗性(Lipoprotein Insulin Resistance)(LP-IR)指数25を出力するものであり、ここで該指数は、インスリン抵抗性についての複数の指数と高度に相関していること、および、多民族コホートでの大規模な試験のそれぞれにおいて、2型糖尿病の発症の予測に役立つことが示されている25-27。出力には、NMRスペクトルデータから算出された、総コレステロール、LDL-C、HDL-C、およびトリグリセリドが含まれる。この試験パネルからの追加の結果にはGlycAが含まれるが、これは、血漿における炎症の全体的な程度を測定するものである、急性期タンパク質に由来するNMRシグナルの測定値であり、かつGlycAは、心血管疾患の、心代謝リスクの、および関節リウマチを含めたいくつかの炎症性病態の、発症に関連することが示されている28,29。最後に、試験パネルはまた、ケトン体、グルコース、および総タンパク質の、濃度をも提供する。
血漿のリポタンパク質の粒子サイズおよび濃度は、LabCorp(LipoScience, Inc., モリスビル、NC)においてプロトン核磁気共鳴(NMR)分光法により解析された。この解析は、臨床検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)のEP5-A2ガイドラインにしたがって認証を受けたものであり、小さいものから大きいものまで、VLDL粒子、LDL粒子、およびHDL粒子を含めたリポタンパク質サブクラス中の、リポタンパク質粒子の数およびサイズを、NMRを使用して推定するものであり、算出されたリポタンパク質インスリン抵抗性(Lipoprotein Insulin Resistance)(LP-IR)指数25を出力するものであり、ここで該指数は、インスリン抵抗性についての複数の指数と高度に相関していること、および、多民族コホートでの大規模な試験のそれぞれにおいて、2型糖尿病の発症の予測に役立つことが示されている25-27。出力には、NMRスペクトルデータから算出された、総コレステロール、LDL-C、HDL-C、およびトリグリセリドが含まれる。この試験パネルからの追加の結果にはGlycAが含まれるが、これは、血漿における炎症の全体的な程度を測定するものである、急性期タンパク質に由来するNMRシグナルの測定値であり、かつGlycAは、心血管疾患の、心代謝リスクの、および関節リウマチを含めたいくつかの炎症性病態の、発症に関連することが示されている28,29。最後に、試験パネルはまた、ケトン体、グルコース、および総タンパク質の、濃度をも提供する。
メタボローム解析
メタボローム解析は、以前に記述されたように30、Metabolon Inc.(モリスビル、ノースカロライナ州)において実施された。手短に述べると、試料はホモジナイズされ、そしてメタノール抽出に供され、その後、ポジティブモード(2手法)およびネガティブモード(2手法)での超高速液体クロマトグラフィー/質量分析(UHPLC/MS)による解析のために、アリコートに分割された。その後代謝物は、以前に記述されたように31、化学標準物質の参照ライブラリーに対し、イオンの特徴をオートメーションで比較することによって同定され、その後に、該同定の品質管理のための目視検査が続いた。統計学的解析およびデータ表示に関し、欠測値はいずれも、検出限界を下回ると推定される;これらの値は、化合物の最小値で補完された(最小値補完)。
メタボローム解析は、以前に記述されたように30、Metabolon Inc.(モリスビル、ノースカロライナ州)において実施された。手短に述べると、試料はホモジナイズされ、そしてメタノール抽出に供され、その後、ポジティブモード(2手法)およびネガティブモード(2手法)での超高速液体クロマトグラフィー/質量分析(UHPLC/MS)による解析のために、アリコートに分割された。その後代謝物は、以前に記述されたように31、化学標準物質の参照ライブラリーに対し、イオンの特徴をオートメーションで比較することによって同定され、その後に、該同定の品質管理のための目視検査が続いた。統計学的解析およびデータ表示に関し、欠測値はいずれも、検出限界を下回ると推定される;これらの値は、化合物の最小値で補完された(最小値補完)。
初代マクロファージの単離
参加者の血漿の機能性についてのインビトロ実験アッセイにおいて使用するための、初代マクロファージは、一晩絶食した状態の健常志願者から単離された。PBMCはフィコール勾配抽出法を用いて単離され、その後、接着を誘導するため、ロズウェルパーク記念研究所培地1640(RMPI)(Thermo Fisher社、11875119)、1xペニシリン・ストレプトマイシン・グルタミン(PSG)(Thermo Fisher社、11875119)を入れたフラスコ中で3時間にわたり培養された。未接着細胞は破棄され、そして接着細胞は、マクロファージの分化を誘導するため、7日間にわたり、20 ng/mL ヒトマクロファージコロニー刺激因子を含む、RPMI、10% ウシ胎児血清(FBS)(Thermo Fisher社、A3160402)、1xPSGの中に置かれた。
参加者の血漿の機能性についてのインビトロ実験アッセイにおいて使用するための、初代マクロファージは、一晩絶食した状態の健常志願者から単離された。PBMCはフィコール勾配抽出法を用いて単離され、その後、接着を誘導するため、ロズウェルパーク記念研究所培地1640(RMPI)(Thermo Fisher社、11875119)、1xペニシリン・ストレプトマイシン・グルタミン(PSG)(Thermo Fisher社、11875119)を入れたフラスコ中で3時間にわたり培養された。未接着細胞は破棄され、そして接着細胞は、マクロファージの分化を誘導するため、7日間にわたり、20 ng/mL ヒトマクロファージコロニー刺激因子を含む、RPMI、10% ウシ胎児血清(FBS)(Thermo Fisher社、A3160402)、1xPSGの中に置かれた。
THP-1マクロファージの分化
ヒト志願者から単離可能な細胞濃度よりも高い細胞濃度を必要とするいくつかのアッセイに関しては、THP-1単球(ATCC、TIB-202)を、RPMI 1640、10% FBS、1x PSGの中で培養し、そして100 nMのホルボール12-ミリスタート-13-アセタート(PMA)を用いて2日間かけてM0マクロファージへと分化させ、それに続いて、PMAなしのRPMI、10% FBS、1xPSGの中での1日間のインキュベーションを行った。
ヒト志願者から単離可能な細胞濃度よりも高い細胞濃度を必要とするいくつかのアッセイに関しては、THP-1単球(ATCC、TIB-202)を、RPMI 1640、10% FBS、1x PSGの中で培養し、そして100 nMのホルボール12-ミリスタート-13-アセタート(PMA)を用いて2日間かけてM0マクロファージへと分化させ、それに続いて、PMAなしのRPMI、10% FBS、1xPSGの中での1日間のインキュベーションを行った。
実施例2 参加者の血漿および単離された代謝物についての機能解析
各タイムポイントからの参加者の血漿についての分子的機能性の解析は、後述のように実施され、かつヒトマクロファージの機能性および活性に対する、参加者の血漿によるインビトロ作用および単離された代謝物によるインビトロ作用の解析も、後述のように実施された。
各タイムポイントからの参加者の血漿についての分子的機能性の解析は、後述のように実施され、かつヒトマクロファージの機能性および活性に対する、参加者の血漿によるインビトロ作用および単離された代謝物によるインビトロ作用の解析も、後述のように実施された。
シトルリン化フィブリノゲン免疫複合体アッセイ
FC-γ受容体の刺激因子であるシトルリン化フィブリノゲン免疫複合体(cFb IC)、および自己免疫疾患のインビトロモデル32への、処理された初代マクロファージの応答性は、以前に記述されたように32実施された。手短に述べると、20 μg/mLのシトルリン化フィブリノゲンは、96ウェルプレートにプレーティングされ、ブロッキングされ、そして、cFb ICを形成させるため、20 μg/mLの抗フィブリノゲン抗体(Agilent社、A008002-2)で処理された。RPMI 1640、1xPSGの中の初代ヒトマクロファージは、最終濃度が10%の参加者の血漿か、単離された代謝物か、または陽性対照としての最終濃度が10%のFBSで、1時間にわたり処理され、そしてその後、5.0 x 105細胞/mLとしてプレーティングされ、そして37度で一晩(およそ18時間)インキュベートされた。RPMI 1640、10% FBS、1xPSGの中にマクロファージを含み、免疫複合体を有さない陰性対照ウェルもまた、アッセイに含めた。処理されたマクロファージからのTNF-αの分泌は、その後、ELISA(PeproTech社、900-K25)によって、細胞上清において測定された。このモデルにおける、マクロファージの反応性に対する参加者の血漿についての最初の実験の結果を、1人の初代細胞ドナーの参画により得た後で、観察された該結果を確認するために、2人目の初代細胞ドナーにおいて追跡実験が実施された。これらの結果から、マクロファージの反応性に対する、参加者の血漿による作用に関して、両方の初代細胞ドナーから同じ有意な作用が見いだされたため、初代マクロファージを利用する解析の残りについては、同じ1人の細胞ドナー由来のマクロファージを使用して進められた(アッセイ間CV:7.8、アッセイ内CV:10.3)。
FC-γ受容体の刺激因子であるシトルリン化フィブリノゲン免疫複合体(cFb IC)、および自己免疫疾患のインビトロモデル32への、処理された初代マクロファージの応答性は、以前に記述されたように32実施された。手短に述べると、20 μg/mLのシトルリン化フィブリノゲンは、96ウェルプレートにプレーティングされ、ブロッキングされ、そして、cFb ICを形成させるため、20 μg/mLの抗フィブリノゲン抗体(Agilent社、A008002-2)で処理された。RPMI 1640、1xPSGの中の初代ヒトマクロファージは、最終濃度が10%の参加者の血漿か、単離された代謝物か、または陽性対照としての最終濃度が10%のFBSで、1時間にわたり処理され、そしてその後、5.0 x 105細胞/mLとしてプレーティングされ、そして37度で一晩(およそ18時間)インキュベートされた。RPMI 1640、10% FBS、1xPSGの中にマクロファージを含み、免疫複合体を有さない陰性対照ウェルもまた、アッセイに含めた。処理されたマクロファージからのTNF-αの分泌は、その後、ELISA(PeproTech社、900-K25)によって、細胞上清において測定された。このモデルにおける、マクロファージの反応性に対する参加者の血漿についての最初の実験の結果を、1人の初代細胞ドナーの参画により得た後で、観察された該結果を確認するために、2人目の初代細胞ドナーにおいて追跡実験が実施された。これらの結果から、マクロファージの反応性に対する、参加者の血漿による作用に関して、両方の初代細胞ドナーから同じ有意な作用が見いだされたため、初代マクロファージを利用する解析の残りについては、同じ1人の細胞ドナー由来のマクロファージを使用して進められた(アッセイ間CV:7.8、アッセイ内CV:10.3)。
抗酸化能
血漿の抗酸化能は、市販のキット(Abcam社、ab65329)を用いて評価された(アッセイ間CV:6.7、アッセイ内CV:9.45)。
血漿の抗酸化能は、市販のキット(Abcam社、ab65329)を用いて評価された(アッセイ間CV:6.7、アッセイ内CV:9.45)。
コレステロール引き抜き能
参加者の血漿のコレステロール引き抜き能であって、初代マクロファージからのコレステロール引き抜き能は、市販のキット(Abcam社、ab196985)を用いて、以下のように改変して測定された:推奨の半分の標識されたコレステロールを用いて、初代マクロファージは4時間かけて脂質ロードされ、その後、最終濃度が1%の参加者の血漿を含有する平衡化緩衝液か、または単離された代謝物を含有する平衡化緩衝液のいずれかと、インキュベートされた。マクロファージからのコレステロール引き抜き能は、2時間のインキュベーション後に測定された(アッセイ間CV:7.3、アッセイ内CV:9.8)。
参加者の血漿のコレステロール引き抜き能であって、初代マクロファージからのコレステロール引き抜き能は、市販のキット(Abcam社、ab196985)を用いて、以下のように改変して測定された:推奨の半分の標識されたコレステロールを用いて、初代マクロファージは4時間かけて脂質ロードされ、その後、最終濃度が1%の参加者の血漿を含有する平衡化緩衝液か、または単離された代謝物を含有する平衡化緩衝液のいずれかと、インキュベートされた。マクロファージからのコレステロール引き抜き能は、2時間のインキュベーション後に測定された(アッセイ間CV:7.3、アッセイ内CV:9.8)。
細胞内ROSアッセイ
初代マクロファージにおける細胞の活性酸素種(ROS)産生に対する作用であって、最終濃度が20%の参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、市販のキット(Cell Biolabs社、STA-342)を用いて評価された(アッセイ間CV:6.7、アッセイ内CV:11.2)。
初代マクロファージにおける細胞の活性酸素種(ROS)産生に対する作用であって、最終濃度が20%の参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、市販のキット(Cell Biolabs社、STA-342)を用いて評価された(アッセイ間CV:6.7、アッセイ内CV:11.2)。
COX活性アッセイ
THP-1マクロファージにおける細胞の総COX活性に対する作用であって、参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、市販のキット(Cayman Chemical社、760151)を用いて測定された。COX-2の発現を誘導するため、THP-1マクロファージは、10 ng/mLのリポ多糖(LPS)(Sigma社、LPS25)を添加した、参加者の血漿を20%で有するRPMI、1xPSGの中か、または、陽性対照としてRMPI、10% FBS、1xPSGのみの中か、もしくは単離された代謝物を有する、RMPI、10% FBS、1xPSGの中のいずれかにおいて、一晩(およそ18時間)インキュベートされ、その後、細胞溶解物の総COX活性が測定された。陰性対照のマクロファージであって、LPSを含まない、RPMI、10% FBS、1xPSGの中のマクロファージについてもまた、実施された(アッセイ間CV:5.4、アッセイ内CV:12.3)。
THP-1マクロファージにおける細胞の総COX活性に対する作用であって、参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、市販のキット(Cayman Chemical社、760151)を用いて測定された。COX-2の発現を誘導するため、THP-1マクロファージは、10 ng/mLのリポ多糖(LPS)(Sigma社、LPS25)を添加した、参加者の血漿を20%で有するRPMI、1xPSGの中か、または、陽性対照としてRMPI、10% FBS、1xPSGのみの中か、もしくは単離された代謝物を有する、RMPI、10% FBS、1xPSGの中のいずれかにおいて、一晩(およそ18時間)インキュベートされ、その後、細胞溶解物の総COX活性が測定された。陰性対照のマクロファージであって、LPSを含まない、RPMI、10% FBS、1xPSGの中のマクロファージについてもまた、実施された(アッセイ間CV:5.4、アッセイ内CV:12.3)。
M1極性化アッセイ
M1極性化の誘導に対する作用であって、参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、マクロファージ細胞溶解物における、一酸化窒素合成酵素(NOS)活性およびアルギナーゼ活性の酵素学的解析によって評価された。M0のTHP-1マクロファージは、20%の参加者の血漿を有するRPMI 1640、1xPSGの中か、または、陽性対照としてRPMI、10% FBS、1xPSGのみの中か、もしくは単離された代謝物を有する、RPMI、10% FBS、1xPSGの中のいずれかにおいて、2日間にわたり、100 ng/mLのLPS、およびM1極性化インデューサーとして知られる33、20 ng/mLのインターフェロンγとインキュベートされた。陰性対照のマクロファージであって、LPSおよびINF-γを含まない、RPMI、10%、1xPSGの中のマクロファージについてもまた、実施された。これらの細胞のNOS活性およびアルギナーゼ活性は、総タンパク質含量を標準化した細胞溶解物において、市販のキット(Abcam社のab211083、ab180877)によって評価された。ROS(アッセイ間CV:8.7、アッセイ内CV:10.6)、アルギナーゼ(アッセイ間CV:9.2、アッセイ内CV:11.0)。
M1極性化の誘導に対する作用であって、参加者の血漿での処理、および個々の代謝物での処理による作用は、マクロファージ細胞溶解物における、一酸化窒素合成酵素(NOS)活性およびアルギナーゼ活性の酵素学的解析によって評価された。M0のTHP-1マクロファージは、20%の参加者の血漿を有するRPMI 1640、1xPSGの中か、または、陽性対照としてRPMI、10% FBS、1xPSGのみの中か、もしくは単離された代謝物を有する、RPMI、10% FBS、1xPSGの中のいずれかにおいて、2日間にわたり、100 ng/mLのLPS、およびM1極性化インデューサーとして知られる33、20 ng/mLのインターフェロンγとインキュベートされた。陰性対照のマクロファージであって、LPSおよびINF-γを含まない、RPMI、10%、1xPSGの中のマクロファージについてもまた、実施された。これらの細胞のNOS活性およびアルギナーゼ活性は、総タンパク質含量を標準化した細胞溶解物において、市販のキット(Abcam社のab211083、ab180877)によって評価された。ROS(アッセイ間CV:8.7、アッセイ内CV:10.6)、アルギナーゼ(アッセイ間CV:9.2、アッセイ内CV:11.0)。
実施例3 C. エレガンスの寿命試験
C. エレガンス変種ブリストル(C. elegans var. Bristol)(N2)は、野生型株として使用された。株は20度で維持され、かつ寿命アッセイは20度で実施された。細菌である大腸菌(Escherichia coli)(OP50)を標準的なNGMプレートに播種してから24時間後、Stratalinker UVクロスリンカー(Stratagene、モデル2400)を用いたUV照射に4分間曝露することにより、該細菌を死滅させた。
C. エレガンス変種ブリストル(C. elegans var. Bristol)(N2)は、野生型株として使用された。株は20度で維持され、かつ寿命アッセイは20度で実施された。細菌である大腸菌(Escherichia coli)(OP50)を標準的なNGMプレートに播種してから24時間後、Stratalinker UVクロスリンカー(Stratagene、モデル2400)を用いたUV照射に4分間曝露することにより、該細菌を死滅させた。
以下の濃度の化合物が使用された:0.2 mMのスペルミジン、0.5 mMの1-MNA、0.01 mMおよび0.1 mMのPEA、ならびに0.01 mMのOEA。スペルミジンおよびMNAは、100 μlの滅菌水中に希釈され、そして寒天培地(3 mlのNGMプレート)の上に添加された。その後、化合物をNGMの表面全体に広げるため、プレートをゆるやかに回転させた。化合物を含まない、同一の溶液は、対照プレートのために使用された。プレートはその後、一晩乾燥させた。この手順は、線虫を新鮮プレートに移動させる際に毎回繰り返した(2~4日ごと)。PEAおよびOEAは、寒天が固化する前に、冷まされた寒天に添加された;組み合わせの場合は、全ての化合物が冷まされた寒天に添加され、そしてプレートは4度で保管された。線虫の同調集団は、抱卵成虫を次亜塩素酸塩で処理することによって産生させ、そして寿命アッセイは、L4ステージ(第0日)から開始して実施された。それぞれ線虫15匹のプレート7~8枚を、示される化合物に曝露させた。線虫は、第1週の間は2日ごとに新鮮プレートに移動させ、そしてその後は3~4日ごとに新鮮プレートに移動させた。線虫は、死亡するまで、タッチ誘発運動および咽頭ポンピングに関して試験された。プレートの縁に這って行って乾燥することにより死亡した線虫は、打ち切りとされた。
実施例4 統計学的解析
メタボローム解析
全ての統計学的解析は、統計用言語であるR(3.6.1)において実施された。Rパッケージの「limma」34を用いて、各対象に個々の切片を付与することによって実験群の間の差を検定するために、線形モデルが使用された:P < 0.05の場合に、有意とみなされる。多重比較は、ベンジャミニ=ホッホバーグ(Benjamini-Hochberg)法を用いて補正された。各代謝物のMS強度は、群比較の前に対数変換された。Metabolonのポータルデータベースを用いた際に特定の経路において有意に増加または減少した(p < 0.05)代謝物の数が多くなったかどうかを検定するために、フィッシャーの正確確率検定が実施された。
メタボローム解析
全ての統計学的解析は、統計用言語であるR(3.6.1)において実施された。Rパッケージの「limma」34を用いて、各対象に個々の切片を付与することによって実験群の間の差を検定するために、線形モデルが使用された:P < 0.05の場合に、有意とみなされる。多重比較は、ベンジャミニ=ホッホバーグ(Benjamini-Hochberg)法を用いて補正された。各代謝物のMS強度は、群比較の前に対数変換された。Metabolonのポータルデータベースを用いた際に特定の経路において有意に増加または減少した(p < 0.05)代謝物の数が多くなったかどうかを検定するために、フィッシャーの正確確率検定が実施された。
インビトロでの機能評価
ANOVA混合モデルは、インビトロ機能アッセイのそれぞれについて、処理群を固定変数として、かつ対象IDを確率変数として用いてフィットさせた。該ANOVAモデルは、Rパッケージの「lme4」(1.1.21)35を用いてフィットさせた。事後比較は、Rパッケージの「multcomp」(1.4.13)36を用いたテューキーの全対比較を使用して、フィットさせたANOVAモデルにおいて実施された。
ANOVA混合モデルは、インビトロ機能アッセイのそれぞれについて、処理群を固定変数として、かつ対象IDを確率変数として用いてフィットさせた。該ANOVAモデルは、Rパッケージの「lme4」(1.1.21)35を用いてフィットさせた。事後比較は、Rパッケージの「multcomp」(1.4.13)36を用いたテューキーの全対比較を使用して、フィットさせたANOVAモデルにおいて実施された。
C. エレガンスの寿命解析
C. エレガンスの寿命を評価するため、カプラン=マイヤー生存曲線が生成された。Rパッケージの「survival」(3.1.8)が、Cox比例ハザード回帰モデルをフィットさせるために使用されて、対照と比べた、各処理群の間での生存率の差が評価された。
C. エレガンスの寿命を評価するため、カプラン=マイヤー生存曲線が生成された。Rパッケージの「survival」(3.1.8)が、Cox比例ハザード回帰モデルをフィットさせるために使用されて、対照と比べた、各処理群の間での生存率の差が評価された。
実施例5 長時間絶食のヒト試験
ヒト参加者のメタボロームに対する、およびマクロファージの機能性に対する、PFによる作用を評価するため、本発明者らは、20名の若年健常参加者(年齢:27.5 ± 4.35歳、BMI:24.1 ± 2.66 kg/m2、男性:n = 10、女性:n = 10)における36時間の絶食の、3日間のヒト試験を実施した。試験全体で、血漿は、4種類の異なる栄養状態の間に採取されたが、これは、一晩絶食したベースラインの状態(ベースライン時)、食後2時間の状態(摂食時)、36時間絶食した状態(絶食時)、および36時間の絶食の後である、2つ目の食後2時間の状態(再摂食時)を含むものであった。試験プロトコルのタイムラインは、図1に見いだすことが可能であり、かつ参加者のベースライン時の特性は、表2に見いだすことが可能である。
ヒト参加者のメタボロームに対する、およびマクロファージの機能性に対する、PFによる作用を評価するため、本発明者らは、20名の若年健常参加者(年齢:27.5 ± 4.35歳、BMI:24.1 ± 2.66 kg/m2、男性:n = 10、女性:n = 10)における36時間の絶食の、3日間のヒト試験を実施した。試験全体で、血漿は、4種類の異なる栄養状態の間に採取されたが、これは、一晩絶食したベースラインの状態(ベースライン時)、食後2時間の状態(摂食時)、36時間絶食した状態(絶食時)、および36時間の絶食の後である、2つ目の食後2時間の状態(再摂食時)を含むものであった。試験プロトコルのタイムラインは、図1に見いだすことが可能であり、かつ参加者のベースライン時の特性は、表2に見いだすことが可能である。
登録された20名の参加者の全員が、いかなるプロトコル違反もなく成功裏に試験プロトコルを完了したので、全員を実験解析に含めた(図2)。絶食に対するコンプライアンスは、絶食期間の覚醒時間全体にわたるパーソナルグルコースモニタリングの使用とともに、絶食時のケトン体の増加の評価によって評価された(表3)。ベースライン時の値を上回る、絶食時におけるケトン体の増加(表3)、および絶食期間全体で一貫して100 mg/dLを下回るグルコース読み取り値によって示されるように、参加者は全て、絶食期間を遵守していたことが見いだされた。絶食の典型例として、各タイムポイントからの核磁気共鳴(NMR)リポプロファイルデータは、ベースライン時と比べて絶食時において、グルコース値の有意な減少とともに、循環ケトン体および循環アミノ酸の有意な増加を示した(表3)。同様に、摂食時と比べて再摂食時において、循環トリグリセリドは有意に減少し、かつケトン体およびグルコースのレベルは有意に上昇したが、これは、丸1日摂食した後でさえも、代謝に関するPFのキャリーオーバー作用が依然として存在することを示す(表3)。興味深いことに、ベースライン時と比べて絶食時において、LDLコレステロールレベルもまた有意に上昇し、一方でHDLコレステロールレベルは変化しなかったが、これは、PFへの応答において、リポタンパク質およびコレステロールの代謝の潜在的な変化を示す(表3)。表3は、各タイムポイントにおける20名の試験参加者の平均のNMRリポプロファイルデータを示す。有意な値は、ベースライン時(A)と絶食時(C)とを比較した場合に、および摂食時(B)と再摂食時(D)とを比較した場合に、もたらされる。ベースライン時と比べて絶食時においてケトン体が上昇している点は、絶食に対するコンプライアンスを示す。
実施例6 PFは血漿の機能性を増強し、かつマクロファージにおいて抗炎症作用を誘導する
参加者の血漿に対する、PFの分子作用を評価するため、各栄養状態における参加者の血漿の機能性についての複数の生化学的評価とともに、ヒトマクロファージの機能性に対する作用であって、参加者の血漿への曝露による作用についての、複数の生化学的評価が実施された。記録された全ての評価に関して、有意な差は、摂食時と絶食時との間のみならず、ベースライン時と絶食時との間でも見いだされたが、これは、通常の一晩の絶食によっては達成されない、PFに特有の作用を示す。第1に、PFは、摂食時およびベースライン時の両方と比べて、ヒト血漿の総抗酸化能を有意に増大させることが可能であること、ならびに特に、この作用はまた、再摂食時においても達成されることが見いだされたが、これらは、習慣的な食事を丸1日取った後でさえも、再摂食時の食後の状態への、PFの強力なキャリーオーバー作用を示す(図3A)。同様に、参加者の血漿で初代ヒトマクロファージを処置すると、ベースライン時および摂食時と比べて絶食時において、細胞の活性酸素種(ROS)産生を有意に低下させることが可能であることが見いだされた(図3C)。絶食時における参加者の血漿の、コレステロールを引き抜く活性であって、脂質をロードされたマクロファージからコレステロールを引き抜く活性は、ベースライン時および摂食時から有意に増大し、かつ、再摂食時には、摂食時よりも有意により優れた引き抜き能を有していることもまた、見いだされた(図3B)。
参加者の血漿に対する、PFの分子作用を評価するため、各栄養状態における参加者の血漿の機能性についての複数の生化学的評価とともに、ヒトマクロファージの機能性に対する作用であって、参加者の血漿への曝露による作用についての、複数の生化学的評価が実施された。記録された全ての評価に関して、有意な差は、摂食時と絶食時との間のみならず、ベースライン時と絶食時との間でも見いだされたが、これは、通常の一晩の絶食によっては達成されない、PFに特有の作用を示す。第1に、PFは、摂食時およびベースライン時の両方と比べて、ヒト血漿の総抗酸化能を有意に増大させることが可能であること、ならびに特に、この作用はまた、再摂食時においても達成されることが見いだされたが、これらは、習慣的な食事を丸1日取った後でさえも、再摂食時の食後の状態への、PFの強力なキャリーオーバー作用を示す(図3A)。同様に、参加者の血漿で初代ヒトマクロファージを処置すると、ベースライン時および摂食時と比べて絶食時において、細胞の活性酸素種(ROS)産生を有意に低下させることが可能であることが見いだされた(図3C)。絶食時における参加者の血漿の、コレステロールを引き抜く活性であって、脂質をロードされたマクロファージからコレステロールを引き抜く活性は、ベースライン時および摂食時から有意に増大し、かつ、再摂食時には、摂食時よりも有意により優れた引き抜き能を有していることもまた、見いだされた(図3B)。
初代ヒトマクロファージに対する、参加者の血漿による作用もまた、以前に記述された自己免疫疾患のインビトロモデル32において評価された。注目すべきことに、cFb ICで刺激しつつ、絶食時血漿で処理された初代ヒトマクロファージからの炎症誘発性のTNF-αの分泌は、ベースライン時血漿および摂食時血漿と比べて非常に有意に低下することが見いだされ、かつこの作用は、摂食時と比べてみると、再摂食時へとキャリーオーバーされていた(図3D)。観察された免疫調節が及ぶ範囲をさらに調査するため、M1極性化をインビトロで誘導した際の33、THP-1マクロファージに対する、参加者の血漿での処理による作用が、評価された。摂食時およびベースライン時と比べて、絶食時の参加者の血漿での処理は、古典的活性化およびM1極性化と高度に関連する活性である33、細胞のNOS活性を有意に低下させることが見いだされたが、これは、ベースライン時および摂食時の血漿で処理された細胞と比べて、絶食時の血漿で処理された細胞において、別の活性化およびM2極性化と高度に関連する活性である33、アルギナーゼ活性が同時に増大することを伴うものであった(図3Fおよび3G)。
これらの結果は、絶食時血漿での処理が、マクロファージの極性化の状態に対して影響を及ぼすことが可能であることを、ヒトにおいて初めて示すものである。さらに、絶食時血漿は、古典的な活性化応答から離れ、かつ別の活性化応答へと向かうように、細胞を調節することが可能である。これらの免疫調節作用に関連し得る細胞の経路をさらに解明するため、LPSで刺激した際の、THP-1マクロファージの総COX活性に対する、参加者の血漿での処理による作用が、評価された。ベースライン時血漿で処理された細胞および摂食時血漿で処理された細胞と比べて、絶食時血漿での処理は、総COX活性を有意に低下させることが可能であることが見いだされたが、これは、PFに誘導される免疫調節における、COXシグナル伝達のこれまで知られていない役割を示す(図3E)。これらの結果は、PFが、ヒト血漿の機能性を有意に変化させること、36時間の絶食時の参加者の血漿で処理することによって、非絶食時マクロファージにおいてさえも、PFの抗炎症作用を誘導可能であること、かつさらに、これらの作用は、典型的な一晩の絶食よりも量的に大きいことを、初めて示すものである。これらの結果は、血漿由来の多数の因子が存在し得ること、該因子は、ベースライン時と絶食時との間で異なって調節されていて、絶食時血漿において観察された機能的作用の増強を媒介していることを示唆した。これらの因子を同定するため、4種類全ての栄養状態のそれぞれからの各参加者の血漿試料において、包括的メタボローム解析が実施された。
実施例7 PFはヒト血漿メタボロームを劇的にかつ独特に変化させる
参加者の血漿の包括的ノンターゲットメタボローム解析は、摂食への応答、絶食への応答、および再摂食への応答における、ヒトメタボロームの顕著な変化を明らかにした(図4A~4J)。しかしながら、食後の応答を解明することによって達成される作用ではなく、PFに特有の作用こそを明らかにするために、本明細書における解析は、ベースライン時と絶食時との間で観察された差に注目した。ベースライン時と絶食時との間においてさえも、有意に異なって調節された代謝物が、多重比較の調整の後でもなお、375種を上回って存在し(図4J)、かつPCA解析は、絶食状態と他の全ての栄養状態との間の差を明らかにした(図4I)。さらに、最も量的に変化した3種の代謝物である、3-ヒドロキシブチリルカルニチン、アセトアセタート、および、抗炎症性のケトン体であることが知られているβ-ヒドロキシブチラート(BHB)38についてのデータによって明らかとなったように、複数の代謝物における有意であってかつ一貫した、PF中の応答が見いだされたが、これは、ヒトにおける急性絶食に対する、複数の必然的な応答を示すものである(図4Bおよび4D)。しかしながら、これらの必然的な応答の中でさえも、参加者間での応答の規模における、考慮すべき個人間での変動もまた存在しており、これは、絶食時の参加者間で、個々の代謝物の最高レベルと最低レベルの間が14倍というものであった(図4C)。このデータは、個人間での変動を評価することおよび特徴付けすることの重要性を明確に示すものであり、かつ、個人間で、および各栄養状態の間で、PFがどのように機能的応答の差異に寄与し得るのかを評価することおよび特徴付けすることの重要性を明確に示すものである。ベースライン時と絶食時との間で最も異なって影響を受けた経路についての経路解析は、脂肪酸およびアミノ酸の、複数の生合成経路および分解経路の変化、ケトン体代謝の変化、トリカルボン酸回路の変化、ならびにニコチンアミド代謝の変化を明らかにした(図4A)。長期間隔日絶食の最近のヒト試験13と一致して、今回の試験により、免疫調節性の多価不飽和脂肪酸のレベルが絶食時に大幅に増大することもまた、見いだされたが、これは、マクロファージの機能性に対する作用であって絶食時血漿による作用の基礎となるメカニズムにおいて、脂肪酸およびエイコサノイドのシグナル伝達の変化が関与している潜在性を示す(図4A)。総合すると、PFは、広範囲であり、非常に有意であり、かつ、いくつかの例では普遍的である、変化であって、典型的な一晩の絶食中に達成されるものを超える、ヒトメタボロームに対する変化を誘導した。これらの大幅な調節を考慮して、絶食時に観察された、増強された血漿の機能性、および誘導可能な免疫調節作用の媒介において、各栄養状態の間での血漿代謝物の差が、どのように重要な役割を果たし得るのかを評価することが試みられた。
参加者の血漿の包括的ノンターゲットメタボローム解析は、摂食への応答、絶食への応答、および再摂食への応答における、ヒトメタボロームの顕著な変化を明らかにした(図4A~4J)。しかしながら、食後の応答を解明することによって達成される作用ではなく、PFに特有の作用こそを明らかにするために、本明細書における解析は、ベースライン時と絶食時との間で観察された差に注目した。ベースライン時と絶食時との間においてさえも、有意に異なって調節された代謝物が、多重比較の調整の後でもなお、375種を上回って存在し(図4J)、かつPCA解析は、絶食状態と他の全ての栄養状態との間の差を明らかにした(図4I)。さらに、最も量的に変化した3種の代謝物である、3-ヒドロキシブチリルカルニチン、アセトアセタート、および、抗炎症性のケトン体であることが知られているβ-ヒドロキシブチラート(BHB)38についてのデータによって明らかとなったように、複数の代謝物における有意であってかつ一貫した、PF中の応答が見いだされたが、これは、ヒトにおける急性絶食に対する、複数の必然的な応答を示すものである(図4Bおよび4D)。しかしながら、これらの必然的な応答の中でさえも、参加者間での応答の規模における、考慮すべき個人間での変動もまた存在しており、これは、絶食時の参加者間で、個々の代謝物の最高レベルと最低レベルの間が14倍というものであった(図4C)。このデータは、個人間での変動を評価することおよび特徴付けすることの重要性を明確に示すものであり、かつ、個人間で、および各栄養状態の間で、PFがどのように機能的応答の差異に寄与し得るのかを評価することおよび特徴付けすることの重要性を明確に示すものである。ベースライン時と絶食時との間で最も異なって影響を受けた経路についての経路解析は、脂肪酸およびアミノ酸の、複数の生合成経路および分解経路の変化、ケトン体代謝の変化、トリカルボン酸回路の変化、ならびにニコチンアミド代謝の変化を明らかにした(図4A)。長期間隔日絶食の最近のヒト試験13と一致して、今回の試験により、免疫調節性の多価不飽和脂肪酸のレベルが絶食時に大幅に増大することもまた、見いだされたが、これは、マクロファージの機能性に対する作用であって絶食時血漿による作用の基礎となるメカニズムにおいて、脂肪酸およびエイコサノイドのシグナル伝達の変化が関与している潜在性を示す(図4A)。総合すると、PFは、広範囲であり、非常に有意であり、かつ、いくつかの例では普遍的である、変化であって、典型的な一晩の絶食中に達成されるものを超える、ヒトメタボロームに対する変化を誘導した。これらの大幅な調節を考慮して、絶食時に観察された、増強された血漿の機能性、および誘導可能な免疫調節作用の媒介において、各栄養状態の間での血漿代謝物の差が、どのように重要な役割を果たし得るのかを評価することが試みられた。
実施例8 PFは複数の免疫調節性代謝物を上方制御する
PFの観察された抗炎症作用に関する、血漿由来の潜在的メディエーターを決定するため、絶食時とベースライン時との間で有意に上方制御された代謝物のデータセットが解析されて、免疫細胞の機能性に対する作用を有することが以前に示されている代謝物が見いだされた。BHBは、その公知の抗炎症作用に起因して、PFの免疫調節作用に関する主要なメディエーターであるとしばしば考えられている38,39が、BHBがPF中に高度に上方制御されていた(図4B)一方で、免疫調節作用を有することが公知であってかつ絶食時に上方制御された、多数の他の代謝物もまた同定された。上述のように、自己免疫疾患のインビトロモデルにおける、さまざまな濃度でのこれら代謝物のスクリーニングにより、4種の特定の化合物:スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEA(図4E~4H)が、1 mM BHBでの処理と比較して、刺激されたマクロファージからのTNF-αの分泌を少なくとも50%かそれ以上低減させることが可能であることが見いだされた(図5A)。
PFの観察された抗炎症作用に関する、血漿由来の潜在的メディエーターを決定するため、絶食時とベースライン時との間で有意に上方制御された代謝物のデータセットが解析されて、免疫細胞の機能性に対する作用を有することが以前に示されている代謝物が見いだされた。BHBは、その公知の抗炎症作用に起因して、PFの免疫調節作用に関する主要なメディエーターであるとしばしば考えられている38,39が、BHBがPF中に高度に上方制御されていた(図4B)一方で、免疫調節作用を有することが公知であってかつ絶食時に上方制御された、多数の他の代謝物もまた同定された。上述のように、自己免疫疾患のインビトロモデルにおける、さまざまな濃度でのこれら代謝物のスクリーニングにより、4種の特定の化合物:スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEA(図4E~4H)が、1 mM BHBでの処理と比較して、刺激されたマクロファージからのTNF-αの分泌を少なくとも50%かそれ以上低減させることが可能であることが見いだされた(図5A)。
これらの結果に基づいて、これらの4種の代謝物が、単独および組み合わせ(コンボ)の両方で、絶食時血漿での処理によって影響を受けることが観察されている同じインビトロ機能解析において、さらに調査された。それぞれの代謝物に関し、最初のスクリーニング中での各代謝物の半数阻害濃度(IC50)に基づいて、1種類の濃度が試験のために選択された。それぞれの解析についての実験結果は、以下の濃度について提供される:スペルミジン(100 μM)、1-MNA(100 μM)、PEA(10 nM)、OEA(10 μM)、およびコンボ(100 μM スペルミジン、100 μM 1-MNA、10 nM PEA、10 μM OEA)。
実施例9 絶食時代謝物はマクロファージにおいて絶食時血漿の抗炎症作用を再現する
cFb ICで刺激しつつ、個々の化合物で、またはそれらの組み合わせで初代ヒトマクロファージを処理すると、絶食時血漿と同様に、ビヒクルで処理された陽性対照と比べてTNF-αの分泌は有意に低下した(図5B)。さらに、代謝物をまとめた組み合わせは、代謝物単独のどの場合よりも大規模なレベルであって、かつ未刺激の陰性対照とほぼ同じレベルにまで、TNF-αのレベルを低下させたが、これは、組み合わせられた代謝物の、強力な相加的抗炎症作用を示す。同様に、個々の代謝物の全て、およびそれらの組み合わせは、初代ヒトマクロファージからの細胞ROS産生を有意に低下させることが可能であり、かつ、組み合わせで処理された細胞におけるROS産生のレベルは、代謝物単独のどの場合よりも有意に低下した(図5C)。この結果はまた、LPSで刺激されたTHP-1マクロファージにおける総COX活性についても同様であり、ビヒクルで処理された陽性対照と比べて、個々の化合物での処理、および組み合わせでの処理は、総COX活性を有意に低下させることが可能であった(図5D)。PEAは、COX活性の強力な阻害剤であり、かつ、組み合わせでの処理は、PEAと比べてCOX活性のレベルの低下を示したが、これは、PEA単独と比べて有意に低いわけではないことが見いだされた(図5D)。
cFb ICで刺激しつつ、個々の化合物で、またはそれらの組み合わせで初代ヒトマクロファージを処理すると、絶食時血漿と同様に、ビヒクルで処理された陽性対照と比べてTNF-αの分泌は有意に低下した(図5B)。さらに、代謝物をまとめた組み合わせは、代謝物単独のどの場合よりも大規模なレベルであって、かつ未刺激の陰性対照とほぼ同じレベルにまで、TNF-αのレベルを低下させたが、これは、組み合わせられた代謝物の、強力な相加的抗炎症作用を示す。同様に、個々の代謝物の全て、およびそれらの組み合わせは、初代ヒトマクロファージからの細胞ROS産生を有意に低下させることが可能であり、かつ、組み合わせで処理された細胞におけるROS産生のレベルは、代謝物単独のどの場合よりも有意に低下した(図5C)。この結果はまた、LPSで刺激されたTHP-1マクロファージにおける総COX活性についても同様であり、ビヒクルで処理された陽性対照と比べて、個々の化合物での処理、および組み合わせでの処理は、総COX活性を有意に低下させることが可能であった(図5D)。PEAは、COX活性の強力な阻害剤であり、かつ、組み合わせでの処理は、PEAと比べてCOX活性のレベルの低下を示したが、これは、PEA単独と比べて有意に低いわけではないことが見いだされた(図5D)。
このデータは、絶食時血漿において観察されたCOX活性の低下に少なくとも部分的に関与する、これらの代謝物の潜在能力を、明確に示すものである。最後に、M1極性化を誘導しつつ、THP-1マクロファージを個々の代謝物で、およびそれらの組み合わせでインビトロ処理すると、ビヒクル処理された陽性対照と比べて、NOS活性の有意な低下と、それに対応するアルギナーゼ活性の有意な増大が示されることが見いだされた(図5Eおよび5F)。NOS活性の低下は、PEAで処理された細胞を除いて全ての代謝物に関して、コンボで処理された細胞において有意に大規模なものであることが観察された(図5E)。コンボで処理された細胞はまた、NOS活性の低下と同時に、個々の代謝物のいずれよりも有意に高いアルギナーゼ活性をも示した(図5F)。総合すると、これらの発見は、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEA、これらは全て絶食時に上方制御されるものであるが、これらでヒトマクロファージを処理すると、絶食時血漿によって誘導されることが観察された免疫調節作用を再現可能であることを示す。さらに、これらの代謝物の組み合わせでの処理は、いくつかの機能的メトリックに対してさらなる恩恵をもたらしたが、これは、インビトロ自己免疫疾患モデルにおける、マクロファージからのTNF-α分泌の有意な低下、細胞ROS産生の有意な低下、およびM1極性化の誘導時のアルギナーゼ活性の有意な増大を含むものであった。したがって、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAは、特に組み合わせて使用される場合に、少なくとも部分的には、PFの有益な免疫調節作用に関する重要な分子メディエーターであり得る。
実施例10 絶食時代謝物はC. エレガンスの寿命を延伸させる
PFはまた、免疫調節以外にも、モデル生物において寿命を有意に延伸させることが示された。PFの寿命延伸作用の媒介における、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの潜在的な関与を評価するため、個々の代謝物でおよびそれらの組み合わせでC. エレガンスを生涯にわたり処理することによって、寿命解析が実施された。特に、スペルミジンでの処理、PEAでの処理、OEAでの処理、ならびに、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの組み合わせ(コンボ)での処理は全て、未処理の対照線虫と比べて、寿命延伸の有意な増大を示すことが見いだされた(図5G)。個々の代謝物のうち、PEAでの処理およびOEAでの処理は、寿命延伸に関して最大の作用を有し、かつスペルミジンで処理された線虫と比べて、寿命を有意に増大させることが見いだされた(図5A~5G)。重要なことに、より低濃度のPEAが、寿命の増大に関して最も効果的であることが見いだされたが、これはPEAが、いずれの濃度であっても有益である一方で、モデル生物において寿命を最も延伸させる適切な用量を決定する場合に評価され得る、収穫逓減点を有することを示す。これは、PEAおよびOEAがC. エレガンスの寿命を延伸させることが可能であることを示す、最初の試験である。インビトロで観察された結果と同様に、コンボで処理された線虫は、全体で最大の寿命延伸を示し、ここで、寿命は対照群から有意に延伸し(p < 0.0001)、寿命中央値は100%増加し、かつ寿命最大値は50%増加した。重要なことに、コンボで処理された線虫の寿命はまた、PEA群およびOEA群の両方と比較して、有意に増大した(p < 0.0001)が、これは、寿命の延伸に関する、これら4種の代謝物の組み合わせの強力な相乗作用を示す。これらのデータは、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの全てが、PFの寿命延伸作用に関する潜在的なメディエーターであることを示すのに十分なものであり、かつさらに、通常の摂食条件であっても、これらの絶食時代謝物での処理が、寿命延伸に対して絶食と同様の恩恵を誘導し得ることを示すのに十分なものである。
PFはまた、免疫調節以外にも、モデル生物において寿命を有意に延伸させることが示された。PFの寿命延伸作用の媒介における、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの潜在的な関与を評価するため、個々の代謝物でおよびそれらの組み合わせでC. エレガンスを生涯にわたり処理することによって、寿命解析が実施された。特に、スペルミジンでの処理、PEAでの処理、OEAでの処理、ならびに、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの組み合わせ(コンボ)での処理は全て、未処理の対照線虫と比べて、寿命延伸の有意な増大を示すことが見いだされた(図5G)。個々の代謝物のうち、PEAでの処理およびOEAでの処理は、寿命延伸に関して最大の作用を有し、かつスペルミジンで処理された線虫と比べて、寿命を有意に増大させることが見いだされた(図5A~5G)。重要なことに、より低濃度のPEAが、寿命の増大に関して最も効果的であることが見いだされたが、これはPEAが、いずれの濃度であっても有益である一方で、モデル生物において寿命を最も延伸させる適切な用量を決定する場合に評価され得る、収穫逓減点を有することを示す。これは、PEAおよびOEAがC. エレガンスの寿命を延伸させることが可能であることを示す、最初の試験である。インビトロで観察された結果と同様に、コンボで処理された線虫は、全体で最大の寿命延伸を示し、ここで、寿命は対照群から有意に延伸し(p < 0.0001)、寿命中央値は100%増加し、かつ寿命最大値は50%増加した。重要なことに、コンボで処理された線虫の寿命はまた、PEA群およびOEA群の両方と比較して、有意に増大した(p < 0.0001)が、これは、寿命の延伸に関する、これら4種の代謝物の組み合わせの強力な相乗作用を示す。これらのデータは、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの全てが、PFの寿命延伸作用に関する潜在的なメディエーターであることを示すのに十分なものであり、かつさらに、通常の摂食条件であっても、これらの絶食時代謝物での処理が、寿命延伸に対して絶食と同様の恩恵を誘導し得ることを示すのに十分なものである。
PFは、ヒト血漿の機能性、および血漿のメタボロームを劇的に変化させることが可能であり、かつ、非絶食時マクロファージを絶食時血漿で処理すると、有意な抗炎症作用を生じさせることが可能であり、かつ、これらの作用は、少なくとも部分的には、36時間の絶食後に上方制御される特定の生物活性代謝物であって、かつC. エレガンスにおいて寿命を延伸させることが可能なこれらの代謝物によって、媒介される。
今回の試験の重要な利点の1つは、ヒト試験についての、厳密であってかつ管理された計画であった。他の絶食試験とは異なり、個人における食物摂取は、管理された習慣的な食事を用いて管理され、絶食に対するコンプライアンスは、パーソナルグルコースモニタリングによって評価され、そして、試験の経過の間の4種類の異なる栄養状態が、各個人から収集された。これらの測定は、他のほとんどの絶食試験においてなされてきたような、食後の状態と36時間の絶食状態との差を高感度で評価する手段を可能にしたのみならず、36時間の絶食状態と一晩の絶食状態との間、および36時間の絶食状態の前後両方の食後の状態の間を、高感度で評価する手段をも可能にした。この点は、典型的な一晩の絶食の際に達成されるものを超える、PFに特有の作用およびPFに関するメディエーターを決定するのに重要であり、かつ、再摂食時へのPFのキャリーオーバー作用を、食物からの影響を混同することなく決定するのに重要であった。これらのアウトカムはいずれも、絶食研究の分野にとって極めて重要であり、特定のアウトカムを達成するのに必要な絶食の持続期間および頻度に関して、健康上および生活様式上の推奨をどのように行えばよいかについてのよりよい理解に役立つ。
今回の試験において、PFは、ベースライン時および摂食時の両方を上回って、血漿の抗酸化能を有意に増大させるとともに、参加者の血漿のコレステロール引き抜き能を有意に増大させることが可能であり、かつさらに、これらの増大は再摂食時へとキャリーオーバーされた。非絶食時マクロファージを絶食時血漿で処理した場合にも、ベースライン時および摂食時と比べて、刺激されたヒトマクロファージのTNF-α分泌、ROS産生、M1極性化応答、および総COX活性を有意に低下させるという、強力な抗炎症作用が誘導された。これらは、PFが、ヒト血漿の機能性を有益なものに改変することが可能であること、およびヒトマクロファージを絶食時血漿で処理すると、一晩の絶食によって達成されるものを超える有意な抗炎症作用を誘導することが可能であることを示す、最初の試験である。
これは、PFがまた、Fc-γ受容体に誘導されるマクロファージの活性化を低減させることも可能であり、かつマクロファージにおける総COX活性を低下させることも可能であり、さらに、PFの免疫調節作用に関与する分子経路を解明することも可能であることを示す、最初の試験である。加えて、PFはまた、ヒトマクロファージにおいてM1極性化応答を急激に低下させることも可能である。これらの解析は、インビトロ解析の際の、参加者の血漿での細胞の処理によって、インビボで予想され得るものと同様の細胞応答を誘導することが可能であることを、明確に示すのに役立つものである。したがって、そのような解析は、臨床試験の経過全体を通して、全身性の機能性についての、高感度であってかつリアルタイムのリードアウトを提供することが可能である。総合すると、これらの発見は、ヒトにおけるPFの全身性作用および細胞性作用について、より明確な全体像を描くのに役立ち、かつ、これらの作用の基礎となる新規な分子メカニズム、特に、Fc-γシグナル伝達経路およびCOXシグナル伝達経路の関与を解明するのに役立つ。重要なことに、これらの結果はまた、PFがヒトマクロファージにおいて抗炎症作用を生じさせることのみならず、該作用を、PFに対する細胞応答の媒介に関与し得る血漿由来のメディエーターによって、非絶食時細胞において誘導可能であることをも示す。
血漿由来のこれらの潜在的メディエーターは、それによってPFの有益な作用が再現され得る直接的な経路となっているために、該メディエーターを調査することの重要性は、絶食を必要とせずに理解することはできない。そのようなメディエーターを発見すること、およびそれらを絶食模倣物とする開発を行うことは、絶食が安全でないかまたは望まれない可能性がある人々において特に、健康および疾患に関する治療的介入または予防的介入としての巨大な潜在能力を有している。これらの潜在的メディエーターの調査において、ベースライン時と比べて絶食時において、ヒト血漿のメタボロームが大幅に変化することが示され、ここで、389種の代謝物が、これら2つの栄養状態の間で有意に異なって調節されており、うちいくつかは、1x10-20のスケールのp値を有していた。絶食時において有意に上方制御された代謝物のさらなる解析およびスクリーニングは、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAが、刺激されたマクロファージに対して有意な抗炎症作用を有することを明らかにしたが、これは、PFによって達成可能な用量を反映した、生理学的に妥当な用量におけるBHBの作用すら、上回るものであった、なおBHBは、PFの際の主要な免疫調節性代謝物であるとしばしば見なされている38,39。
これらの代謝物およびそれらの組み合わせの評価は、それらの全てが、絶食時血漿において観察された抗炎症作用であって、刺激されたヒトマクロファージにおけるTNF-α分泌、ROS産生、総COX活性、およびM1極性化応答を低下させることを含めた抗炎症作用を、再現可能であることを示した。さらに、これらの代謝物の組み合わせは、それら全ての測定のうちで最大の低下を誘導し、かつ、個々の代謝物単独のいずれのものよりも有意に低いTNF-α分泌およびROS産生を誘導することが可能であり、かつ、個々の代謝物単独のいずれのものよりも有意に高い、M2極性化のマーカーである46アルギナーゼ活性を誘導することが可能であった。したがって、これらの代謝物の上方制御は、少なくとも部分的には、絶食時血漿において観察された抗炎症作用に関与しているように見受けられ、かつさらに、これらの代謝物の組み合わせは、PFと同様の機能的作用を達成するために、非絶食時の細胞においてさえも使用可能である。
これは、PF中のヒトにおいて、スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAが明らかに上方制御されていることを示す、最初の試験である。さらにこれは、それら代謝物の、ヒトの自然免疫に対するPFの免疫調節作用への関与を示す、最初の試験でもある。重要なことに、C. エレガンスを生涯にわたり、スペルミジンで、PEAで、OEAで、ならびにスペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAの組み合わせで処理すると、これらは全て、通常の摂食条件下であっても、対照線虫と比べて寿命を有意に伸長させたこともまた示された。これらの結果は、寿命を延伸させるというPFの周知の作用を媒介する際の、これらの代謝物の重要性を示すものであり、かつさらに、これらの化合物に関してPFがより小さい規模の変化しか誘導しない個人において、これらの化合物を絶食模倣物または絶食エンハンサーとして使用することの潜在能力を例示するものである。重要なことに、これはまた、PEAが寿命延伸作用を有することを示す最初の試験でもあり、かつしたがってこれは、長寿研究において調査対象となる、新規な分子の発見を意味する。
結論として、今回の試験の結果は、PFの作用を模倣するように設計される今後の介入を開発するために必要とされる、代謝物および作用機序を同定した。今回の試験は、ヒトにおけるPFによって影響を受ける、新規な機能性および経路を明らかにし、絶食模倣物として使用するための4つの候補を同定し、それらを組み合わせて使用した場合に最も強力となる、それらの作用を示し、そして、これまでは知られていなかった、寿命延伸におけるPEAの役割を発見した。スペルミジン、1-MNA、PEA、およびOEAのヒトへの補給は、単独および組み合わせの両方において、絶食の作用を増強することが可能であり得、これは、該作用を達成するのに必要な絶食の継続期間または頻度を低下させ、絶食することができない人々において絶食の作用を模倣し、そして、食後の状態における炎症誘発性の活性化を低下させる。加えて、該結果はまた、さまざまな絶食レジメンへの応答における個々の差の特徴付けを行うためのプラットフォームとしての、この管理された試験計画の有効性とともに、細胞の機能性に対する作用であってPFに誘導される作用に関する、新規なメディエーターの発見をも、明確に示すものである。
実施例11 天然のマイクロバイオームダイナミクスを試験するための臨床的絶食方法
ヒトのマイクロバイオームは代謝から疾患の進行へ、認知機能へと、広範囲に及ぶ健康への関与を有する、巨大であってかつ高度に複雑なエコシステムである。腸内マイクロバイオームは、摂取される食物および食物の選び方によって大きく影響を受け得るものであるが、マイクロバイオームに対して栄養摂取欠如(長時間絶食中に経験する)がもたらす作用は、まだ決定されていない。この点は特に興味深い、なぜならば、外来の食物からの影響を除外したマイクロバイオームの試験は、食物の選び方からの影響によらず、人体からの影響(すなわち、免疫系の応答、ムチン分泌、等)のみによって選択されかつ維持される微生物集団からなる、いわゆる「天然の」マイクロバイオームを明らかにし得るからである。さらに、マイクロバイオームに対する食物からの影響を除去することにより、天然の微生物機能のベースラインのフレームワークを生成することが可能になり、該フレームワークに照らして、外来の他の食事性因子からの影響を混同せずに、標的化された介入(すなわち、プロバイオティクス、サプリメント、食品、等)を別個に、マイクロバイオームのダイナミクスに対して特異的なそれら介入の作用に関して試験することが可能である。そのような実験は、個々の食物、食物成分、および/またはサプリメントがマイクロバイオームにどのように影響を及ぼすのかを正確に理解するための、道を開くものとなり得る。本試験は、外来の食物からの影響を受けていない、天然のベースラインマイクロバイオーム状態を作り出すための、36時間という期間のゼロカロリー絶食を含む臨床試験計画を確立した。36時間の絶食が、循環している腸由来の微生物代謝物に対して大規模な変化を誘導すること、および天然の微生物活性と外因性の微生物活性とを比較して評価するために使用され得る、代謝物のフレームワークを確立させることが示された。
ヒトのマイクロバイオームは代謝から疾患の進行へ、認知機能へと、広範囲に及ぶ健康への関与を有する、巨大であってかつ高度に複雑なエコシステムである。腸内マイクロバイオームは、摂取される食物および食物の選び方によって大きく影響を受け得るものであるが、マイクロバイオームに対して栄養摂取欠如(長時間絶食中に経験する)がもたらす作用は、まだ決定されていない。この点は特に興味深い、なぜならば、外来の食物からの影響を除外したマイクロバイオームの試験は、食物の選び方からの影響によらず、人体からの影響(すなわち、免疫系の応答、ムチン分泌、等)のみによって選択されかつ維持される微生物集団からなる、いわゆる「天然の」マイクロバイオームを明らかにし得るからである。さらに、マイクロバイオームに対する食物からの影響を除去することにより、天然の微生物機能のベースラインのフレームワークを生成することが可能になり、該フレームワークに照らして、外来の他の食事性因子からの影響を混同せずに、標的化された介入(すなわち、プロバイオティクス、サプリメント、食品、等)を別個に、マイクロバイオームのダイナミクスに対して特異的なそれら介入の作用に関して試験することが可能である。そのような実験は、個々の食物、食物成分、および/またはサプリメントがマイクロバイオームにどのように影響を及ぼすのかを正確に理解するための、道を開くものとなり得る。本試験は、外来の食物からの影響を受けていない、天然のベースラインマイクロバイオーム状態を作り出すための、36時間という期間のゼロカロリー絶食を含む臨床試験計画を確立した。36時間の絶食が、循環している腸由来の微生物代謝物に対して大規模な変化を誘導すること、および天然の微生物活性と外因性の微生物活性とを比較して評価するために使用され得る、代謝物のフレームワークを確立させることが示された。
腸内マイクロバイオームの代謝および機能性に対する、食事を完全に制限した場合の影響を明らかにするため、20名の若年健常者における36時間のゼロカロリー絶食というヒト臨床試験が実施されたが、これは、ベースラインである一晩の絶食状態、36時間の絶食状態、食後である摂食状態、および、食後の状態としては2つ目となる、36時間の絶食後の再摂食状態を含むものであった。ヒト血漿における微生物代謝物の循環レベルに対する大規模な変化は、摂食時と絶食時との間のみならず、ベースライン時と絶食時との間でも観察されたが、これは、動的であってかつ刻々と変化する微生物代謝のプロセスを、明確に示すものである。マイクロバイオームに対する、絶食の主たる作用は、微生物代謝物の合成および循環の、抑制であるように見受けられる。これは、食物摂取の欠如と合致するものである、なぜならば、多くの微生物代謝物が、絶食中に非存在であるかまたは大幅に枯渇するかのいずれかである、外来の前駆体を必要とするからである。絶食中に下方制御されることが見いだされている多数の代謝物のうちいくつかは、参加者全員でほとんど非検出となるところまで普遍的に枯渇したことが示されたが、これらは、ペントース酸、インドールプロピオナート、ピペリン、ゲンチサート、およびヒドロシンナマートを含む(図6A~6E)。これらの代謝物の枯渇は、絶食時にのみ達成され、かつベースライン時には観察されないので、これらは、微生物代謝に対する食物摂取からの影響を完全に除外するには、単なる一晩の絶食では十分ではないことを示す。さらに、これらの代謝物のレベルは、絶食中は枯渇しているが、食物摂取が再開された後、速やかに回復する。再摂食時におけるペントース酸、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートのレベルは全て、最初の摂食時と比べて有意な差はなく、これは、食物摂取に対する、これらの代謝物の感受性および応答性を明確に示すものである。
この点に基づき、これらの代謝物の枯渇は、長時間絶食のための感受性の高いマーカーとして使用され得るものであり、かつ、微生物代謝が、食物摂取由来の外来性食餌供給源から、ムチンおよび微生物分解産物由来の内在性エネルギー供給源へとシフトしたことについての、血漿由来のリアルタイム指標としても使用され得るものである。
ペントース酸、インドールプロピオナート、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートに関して観察されたように、長時間絶食中の微生物代謝物の枯渇は、微生物の代謝および機能性に対する、標的化された個々の介入からの影響を試験するための、魅力的なフレームワークを提供するものである。該結果は、腸内マイクロバイオームおよび微生物代謝に対する食物からの影響の除去、これは単なる一晩の絶食では達成することができないものであるが、そのような除去を介して、管理された習慣的な食事と36時間のゼロカロリー絶食とを用いた臨床試験計画が、該フレームワークを生成することが可能であることを、証明する。さらに、代謝物であるペントース酸、インドールプロピオナート、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートの枯渇は、絶食に対するコンプライアンスの尺度としての役割を果たすことができるとともに、外来性供給源から内在性供給源へと微生物代謝がシフトしたことについての、容易に測定可能な血漿指標としての役割を果たすこともできる。マイクロバイオームに対する食物からの影響の除去は、マイクロバイオームの研究分野にとって興味深いものである、なぜならばそのような除去は、栄養に関する因子の混同を切り離して、マイクロバイオームに対する、個々の介入(すなわち、食物、食物成分、サプリメント、プロバイオティクス/プレバイオティクス、薬剤、等)の作用を研究者が試験することを、可能にするからである。
実施例12:
スペルミジン、1-MNA、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)のバイオアベイラビリティを評価するために、ならびに、絶食時と同様の有益な作用であって、かつインビトロおよびモデル生物において観察されたのと同様の有益な作用を誘導する、それら代謝物の複合的能力を評価するために、若年健常者においてこれらの代謝物の組み合わせを経口補給する、少人数(n = 5)のパイロット臨床試験が実施された。手短に述べると、5名の健常若年男性(年齢:25±2.7歳、BMI:21.4±3.1)は、4アームの反復測定の臨床試験計画に進み、該計画は、1日ずつの試験日が4回というプロトコルからなっていて、標準化された朝食の摂取とともに、スペルミジン、ニコチンアミド、PEA、およびOEAの組み合わせを用量を増加させながら補給した場合の作用を、評価するものであった。補給物のこの組み合わせを、FM-01と称する。試験日それぞれの開始時において参加者は、午前6時頃に、2本のララバー(Larabar)(440カロリー;成分:デーツおよびカシュー)からなる、標準化された朝食を取った。標準化された朝食を取ってから2時間後に、参加者は食後の血液試料(T0)を提供し、そしてその後、4種類の異なる用量アーム中においてFM-01の経口補給を受けたが、これは、低用量、中用量、もしくは高用量(低用量:5 mgのスペルミジン、250 mgのニコチンアミド、400 mgのPEA、200 mgのOEAの等価物に対して標準化された、5 gの小麦胚芽抽出物;中用量:10 mgのスペルミジン、500 mgのニコチンアミド、800 mgのPEA、400 mgのOEAの等価物に対して標準化された、10 gの小麦胚芽抽出物;高用量:15 mgのスペルミジン、750 mgのニコチンアミド、1200 mgのPEA、600 mgのOEAの等価物に対して標準化された、15 gの小麦胚芽抽出物)であるか、またはFM-01の補給を受けない(対照)というものであり、各用量アーム間には、1週間のウォッシュアウト期間が設けられた。次に、FM-01の補給(低用量、中用量、高用量)の後で、またはベースラインのT0タイムポイントの後で(対照)、さらなる血液試料が、1時間(T1)、2時間(T2)、および4時間(T4)の時点で提供された。血液試料は速やかに処理されて参加者の血漿が得られ、そして-80度で保管された。各タイムポイントからの各参加者からの血漿試料は、それらの抗炎症能、抗酸化能、およびコレステロール引き抜き能に関して、上述のように初代ヒトマクロファージを用いたインビトロ細胞アッセイを使用して、実験によって評価された。
スペルミジン、1-MNA、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)のバイオアベイラビリティを評価するために、ならびに、絶食時と同様の有益な作用であって、かつインビトロおよびモデル生物において観察されたのと同様の有益な作用を誘導する、それら代謝物の複合的能力を評価するために、若年健常者においてこれらの代謝物の組み合わせを経口補給する、少人数(n = 5)のパイロット臨床試験が実施された。手短に述べると、5名の健常若年男性(年齢:25±2.7歳、BMI:21.4±3.1)は、4アームの反復測定の臨床試験計画に進み、該計画は、1日ずつの試験日が4回というプロトコルからなっていて、標準化された朝食の摂取とともに、スペルミジン、ニコチンアミド、PEA、およびOEAの組み合わせを用量を増加させながら補給した場合の作用を、評価するものであった。補給物のこの組み合わせを、FM-01と称する。試験日それぞれの開始時において参加者は、午前6時頃に、2本のララバー(Larabar)(440カロリー;成分:デーツおよびカシュー)からなる、標準化された朝食を取った。標準化された朝食を取ってから2時間後に、参加者は食後の血液試料(T0)を提供し、そしてその後、4種類の異なる用量アーム中においてFM-01の経口補給を受けたが、これは、低用量、中用量、もしくは高用量(低用量:5 mgのスペルミジン、250 mgのニコチンアミド、400 mgのPEA、200 mgのOEAの等価物に対して標準化された、5 gの小麦胚芽抽出物;中用量:10 mgのスペルミジン、500 mgのニコチンアミド、800 mgのPEA、400 mgのOEAの等価物に対して標準化された、10 gの小麦胚芽抽出物;高用量:15 mgのスペルミジン、750 mgのニコチンアミド、1200 mgのPEA、600 mgのOEAの等価物に対して標準化された、15 gの小麦胚芽抽出物)であるか、またはFM-01の補給を受けない(対照)というものであり、各用量アーム間には、1週間のウォッシュアウト期間が設けられた。次に、FM-01の補給(低用量、中用量、高用量)の後で、またはベースラインのT0タイムポイントの後で(対照)、さらなる血液試料が、1時間(T1)、2時間(T2)、および4時間(T4)の時点で提供された。血液試料は速やかに処理されて参加者の血漿が得られ、そして-80度で保管された。各タイムポイントからの各参加者からの血漿試料は、それらの抗炎症能、抗酸化能、およびコレステロール引き抜き能に関して、上述のように初代ヒトマクロファージを用いたインビトロ細胞アッセイを使用して、実験によって評価された。
統計値:それぞれのインビトロ機能評価についての統計学的解析は、Prism 7において実施され、そして、それぞれのアームについての、ベースラインのT0タイムポイントと比べた有意性(p < 0.05)は、多重比較についての補正を伴う反復測定ANOVAを用いて決定された。
結果
血漿の抗炎症能
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT1タイムポイントにおいて、cFb ICで刺激された初代マクロファージからのTNF-αの分泌を低下させるという、対象の血漿の能力の、有意な低下を引き起こした。図7A~7Dを参照されたい。これは、食物摂取に伴う食後の周知の炎症性応答の典型的特徴であり、かつ該応答を示すものである。FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT2タイムポイントにおいて、刺激された初代ヒトマクロファージからのTNF-αの分泌を低下させるという、対象の血漿の能力を、有意に増大させることが可能であった。この作用は、高用量アームにおいて最大であった。重要なことに、FM-01の補給はまた、全ての用量レベルにおいて、対照アームにおいて観察された、T1タイムポイントにおける血漿の抗炎症能の有意な喪失を、防止することも可能であったが、これは、FM-01の補給が、補給から1時間以内に血漿の抗炎症作用を生じさせ、これがT2タイムポイントへと続くことを示す。これらの結果は、FM-01の補給が、低用量であっても、食後の食事性炎症を防止するのに役立ち得ること、および、食物と共に摂取された場合であっても、補給直後の数時間、有意な抗炎症作用を生じさせ得ることを示す。
血漿の抗炎症能
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT1タイムポイントにおいて、cFb ICで刺激された初代マクロファージからのTNF-αの分泌を低下させるという、対象の血漿の能力の、有意な低下を引き起こした。図7A~7Dを参照されたい。これは、食物摂取に伴う食後の周知の炎症性応答の典型的特徴であり、かつ該応答を示すものである。FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT2タイムポイントにおいて、刺激された初代ヒトマクロファージからのTNF-αの分泌を低下させるという、対象の血漿の能力を、有意に増大させることが可能であった。この作用は、高用量アームにおいて最大であった。重要なことに、FM-01の補給はまた、全ての用量レベルにおいて、対照アームにおいて観察された、T1タイムポイントにおける血漿の抗炎症能の有意な喪失を、防止することも可能であったが、これは、FM-01の補給が、補給から1時間以内に血漿の抗炎症作用を生じさせ、これがT2タイムポイントへと続くことを示す。これらの結果は、FM-01の補給が、低用量であっても、食後の食事性炎症を防止するのに役立ち得ること、および、食物と共に摂取された場合であっても、補給直後の数時間、有意な抗炎症作用を生じさせ得ることを示す。
血漿の抗酸化能
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、250 uMのTBHPに曝露された初代マクロファージにおける細胞内ROSの量を変化させるという、対象の血漿の能力に対し、有意な変化を引き起こさなかった。図8A~8Dを参照されたい。対照的に、T0ベースライン時と比べてT1タイムポイントおよびT2タイムポイントにおける、細胞内ROSの蓄積の低減によって観察されるように、FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、対象の血漿の抗酸化能を有意に増大させた。血漿の抗酸化能のこの有意な増大は、低用量アームにおいてはT4タイムポイントにおいては消失したが、中用量アームおよび高用量アームの両方については、T4タイムポイントまで維持された。これらの結果は、FM-01が、ヒト血漿の細胞保護性の抗酸化能の有意な改善を誘導することが可能であること、および、食物と共に摂取された場合であっても、高用量においては、補給後少なくとも4時間までは恩恵の維持を生じさせ得ることを示す。
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、250 uMのTBHPに曝露された初代マクロファージにおける細胞内ROSの量を変化させるという、対象の血漿の能力に対し、有意な変化を引き起こさなかった。図8A~8Dを参照されたい。対照的に、T0ベースライン時と比べてT1タイムポイントおよびT2タイムポイントにおける、細胞内ROSの蓄積の低減によって観察されるように、FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、対象の血漿の抗酸化能を有意に増大させた。血漿の抗酸化能のこの有意な増大は、低用量アームにおいてはT4タイムポイントにおいては消失したが、中用量アームおよび高用量アームの両方については、T4タイムポイントまで維持された。これらの結果は、FM-01が、ヒト血漿の細胞保護性の抗酸化能の有意な改善を誘導することが可能であること、および、食物と共に摂取された場合であっても、高用量においては、補給後少なくとも4時間までは恩恵の維持を生じさせ得ることを示す。
血漿のコレステロール引き抜き能
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT1タイムポイントにおいて、参加者の血漿のコレステロール引き抜き能であって、脂質をロードされた初代ヒトマクロファージからのコレステロール引き抜き能の、有意な低下を引き起こしたが、T2タイムポイントとT4タイムポイントにおいては引き起こさなかった。図9A~9Dを参照されたい。対照的に、FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、血漿のコレステロール引き抜き能のT1タイムポイントにおける上記した有意な喪失を、防止することが可能であり、かつ特に高用量アームにおいて、血漿のコレステロール引き抜き能を有意に改善することが可能であった。全ての用量レベルに関して、T2タイムポイントおよびT4タイムポイントは、ベースラインのT0タイムポイントと比べて有意な差はなかった。これらの結果は、FM-01の補給が、食後に起きる血漿のコレステロール引き抜き能の喪失を防止することが可能であること、および驚くべきことに、高用量においては、食後の状態であっても、血漿のコレステロール引き抜き能を有意に改善することが可能であることを示す。血漿のコレステロール引き抜き能は、心血管疾患リスクについての最も予測性の高い臨床的尺度であるため、FM-01の補給は、CVDリスクに対する有意な影響力を有し得る可能性があり、かつ、不適切な栄養摂取からの負の影響を緩和するのを支援することによって、心血管の健全性を改善し得る可能性がある。
標準化された朝食のみの摂取(対照アーム)は、ベースラインのT0タイムポイントと比べてT1タイムポイントにおいて、参加者の血漿のコレステロール引き抜き能であって、脂質をロードされた初代ヒトマクロファージからのコレステロール引き抜き能の、有意な低下を引き起こしたが、T2タイムポイントとT4タイムポイントにおいては引き起こさなかった。図9A~9Dを参照されたい。対照的に、FM-01の補給は全ての用量レベルにおいて、血漿のコレステロール引き抜き能のT1タイムポイントにおける上記した有意な喪失を、防止することが可能であり、かつ特に高用量アームにおいて、血漿のコレステロール引き抜き能を有意に改善することが可能であった。全ての用量レベルに関して、T2タイムポイントおよびT4タイムポイントは、ベースラインのT0タイムポイントと比べて有意な差はなかった。これらの結果は、FM-01の補給が、食後に起きる血漿のコレステロール引き抜き能の喪失を防止することが可能であること、および驚くべきことに、高用量においては、食後の状態であっても、血漿のコレステロール引き抜き能を有意に改善することが可能であることを示す。血漿のコレステロール引き抜き能は、心血管疾患リスクについての最も予測性の高い臨床的尺度であるため、FM-01の補給は、CVDリスクに対する有意な影響力を有し得る可能性があり、かつ、不適切な栄養摂取からの負の影響を緩和するのを支援することによって、心血管の健全性を改善し得る可能性がある。
本明細書に記載される実施例および態様は、例示のみを目的としていることが理解され、かつ本明細書に照らせば、さまざまな改変または変更が当業者に示唆されるであろうこと、ならびに該改変または変更は、本出願の精神および範囲のうちに含まれること、かつ添付の特許請求の範囲のうちにも含まれることが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的に関して、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
Claims (56)
- スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかまたはより高いレベルへと、該代謝物の循環レベルを上昇させるのに十分な量で含む、組成物。
- スペルミジン、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、およびオレイルエタノールアミド(OEA)からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するのに十分な量で含む、組成物。
- 前記代謝物のうちの2種を含む、請求項1または2に記載の組成物。
- 2種の代謝物が、スペルミジンおよび1-MNAであるか、スペルミジンおよびPEAであるか、スペルミジンおよびOEAであるか、1-MNAおよびPEAであるか、1-MNAおよびOEAであるか、またはPEAおよびOEAである、請求項3に記載の組成物。
- 前記代謝物のうちの3種を含む、請求項1または2に記載の組成物。
- 3種の代謝物が、(1) スペルミジン、1-MNA、およびPEAであるか、(2) スペルミジン、1-MNA、およびOEAであるか、(3) スペルミジン、PEA、およびOEAであるか、または(4) 1-MNA、PEA、およびOEAである、請求項5に記載の組成物。
- 4種全ての代謝物を含む、請求項1または2に記載の組成物。
- スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するのに十分な量で含む、組成物。
- スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象における長時間(たとえば少なくとも20時間、たとえば20~72時間)の絶食によって達成される該代謝物の循環レベルと同じかより高いレベルへと、該代謝物の循環レベルを上昇させるのに十分な量で含む、組成物。
- 前記代謝物のうちの2種またはそれらの前駆体を含む、請求項8または9に記載の組成物。
- 2種の代謝物が、スペルミジンもしくはその前駆体および1-MNAもしくはその前駆体であるか、スペルミジンもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体であるか、スペルミジンもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体であるか、1-MNAもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体であるか、1-MNAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体であるか、またはPEAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体である、請求項10に記載の組成物。
- 前記代謝物のうちの3種またはそれらの前駆体を含む、請求項8または9に記載の組成物。
- 3種の代謝物が、(1) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびPEAもしくはその前駆体であるか、(2) スペルミジンもしくはその前駆体もしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体であるか、(3) スペルミジンもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体であるか、または(4) 1-MNAもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体である、請求項12に記載の組成物。
- 4種全ての代謝物またはそれらの前駆体を含む、請求項8または9に記載の組成物。
- ニコチンアミド、ナイアシンアミド、およびニコチンアミドリボシドからなる群より選択される、1-MNAの前駆体
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。 - PEAの前駆体がパルミチン酸である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
- OEAの前駆体がオレイン酸である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
- 2種の、3種の、または4種の代謝物の比が、約10000:1000:1:1000のスペルミジン:1-MNA:PEA:OEA(w:w:w:w)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
- 5~15 mgのスペルミジン、400~1200 mgのPEA、300~600 mgのOEA、および500~1000 mgのニコチンアミドを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
- 栄養補助食品として製剤化されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
- 経口投与用に製剤化されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
- 丸剤、錠剤、グミ、舌下剤、スプレー、キャンディ、栄養バー、エネルギーショット、飲料、またはシロップとして製剤化されている、請求項21に記載の組成物。
- 静脈内投与用に、経皮投与用に、または局所投与用に製剤化されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
- 対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するための方法であって、スペルミジンまたはその前駆体、1-メチルニコチンアミド(1-MNA)またはその前駆体、パルミトイルエタノールアミド(PEA)またはその前駆体、およびオレイルエタノールアミド(OEA)またはその前駆体からなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種を、対象において抗炎症作用、抗酸化作用、および/または抗アポトーシス作用を誘導するのに十分な量で対象に投与する段階を含む、方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって分泌される腫瘍壊死因子α(TNF-α)の量と比較して、対象においてマクロファージによって分泌されるTNF-αの量を低下させる、請求項24に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受けた後にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量が、対象が前記代謝物の投与を受ける前にマクロファージによって分泌されるTNF-αの量の90%未満である、請求項25に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象の血漿の総抗酸化能と比較して、対象の血漿の総抗酸化能を増大させる、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象のコレステロール引き抜きと比較して、対象のコレステロール引き抜きを増大させる、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前に対象においてマクロファージによって産生される活性酸素種(ROS)の量と比較して、対象においてマクロファージによって産生されるROSの量を減少させる、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象におけるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性と比較して、対象におけるCOX活性を低下させる、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象における一酸化窒素合成酵素(NOS)活性と比較して、対象におけるNOS活性を低下させる、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象におけるマクロファージのM1極性化と比較して、対象におけるマクロファージのM1極性化を低下させる、請求項24~31のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象におけるアルギナーゼ活性と比較して、対象におけるアルギナーゼ活性を増大させる、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が前記代謝物の投与を受ける前の対象におけるマクロファージのM2極性化と比較して、対象におけるマクロファージのM2極性化を増大させる、請求項24~33のいずれか一項に記載の方法。
- 対象の長寿を延伸させる、ならびに/または対象の認知能力および/もしくは身体能力を改善する、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が絶食療法中である、請求項24~35のいずれか一項に記載の方法。
- ペントース酸、インドールプロピオナート、ゲンチサート、ピペリン、およびヒドロシンナマートからなる群より選択される代謝物のうちの1種または複数種が、対象において実質的に枯渇している、請求項36に記載の方法。
- 対象が炎症性障害を有している、請求項24~37のいずれか一項に記載の方法。
- 炎症性障害が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ANCA関連血管炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、慢性炎症性脱髄性神経炎、移植片対宿主病(GVHD)、皮膚筋炎、グッドパスチャー症候群、臓器系標的II型過敏症症候群(organ system-targeted type II hypersensitivity syndrome)、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、皮膚筋炎、フェルティ症候群、自己免疫性甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、自己免疫性肝疾患、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、視神経脊髄炎、天疱瘡、シェーグレン症候群、自己免疫性血球減少症、滑膜炎、皮膚筋炎、全身性血管炎、糸球体炎、および血管炎からなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
- 対象が代謝障害を有している、請求項24~38のいずれか一項に記載の方法。
- 代謝障害が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病、および代謝症候群からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
- 対象が過体重である、請求項24~40のいずれか一項に記載の方法。
- 前記代謝物が、1日に1回または複数回対象に投与される、請求項24~42のいずれか一項に記載の方法。
- 前記代謝物が、食物の摂取中に対象に投与される、請求項24~43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記代謝物が、少なくとも5時間の絶食後に対象に投与される、請求項24~44のいずれか一項に記載の方法。
- 前記代謝物のうちの2種を投与する段階を含む、請求項24~45のいずれか一項に記載の方法。
- 2種の代謝物が、スペルミジンもしくはその前駆体および1-MNAもしくはその前駆体であるか、スペルミジンもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体であるか、スペルミジンもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体であるか、1-MNAもしくはその前駆体およびPEAもしくはその前駆体であるか、1-MNAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体であるか、またはPEAもしくはその前駆体およびOEAもしくはその前駆体である、請求項46に記載の方法。
- 前記代謝物のうちの3種を投与する段階を含む、請求項24~45のいずれか一項に記載の方法。
- 3種の代謝物が、(1) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびPEAもしくはその前駆体であるか、(2) スペルミジンもしくはその前駆体、1-MNAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体であるか、(3) スペルミジンもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体であるか、または(4) 1-MNAもしくはその前駆体、PEAもしくはその前駆体、およびOEAもしくはその前駆体である、請求項48に記載の方法。
- 4種全ての代謝物を投与する段階を含む、請求項24~45のいずれか一項に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項24~50のいずれか一項に記載の方法。
- それを必要とする対象において、寿命、健康寿命、健康的加齢を延伸させ、加齢プロセスに関連する、または、フレイル、サルコペニア、認知症、アルツハイマー病、関節炎、およびがんを含むがこれらに限定されない加齢関連疾患の処置もしくは予防に関連する生化学的経路を変化させる方法であって、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、方法。
- 対象がヒトである、請求項52に記載の方法。
- それを必要とする対象において、血漿のコレステロール引き抜き能を増大させる方法であって、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、方法。
- 対象が、心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子の、リスクがあるか、または心臓疾患、脳卒中、動脈プラーク形成、もしくは他の心血管疾患リスク因子を有する、請求項54に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項54または請求項55に記載の方法。
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