本願の実施形態は、通信技術の分野に、特に、通信装置及びシステムに関係がある。
地上基地局通信及び衛星通信では、隣接するセルへの干渉及び隣接するセルからの干渉を減らすように、複数のビームを使用することによって選択的な送信及び受信が行われている。更に、複数のビームは、空間分割多重化を実装するのに役立ち、通信システムの容量を向上させる。
現在、複数のビームは、デジタルビームフォーミング、アナログビームフォーミング、及びハイブリッドビームフォーミングにより実施され得る。複数のビームがデジタルビームフォーミングにより形成される場合に、各ビームの方向は独立して柔軟に調整され得る。しかし、デジタルビームフォーミングによって必要とされる無線周波数リンクの数はアンテナアレイ内のアンテナの数に等しく、アンテナアレイの規模が大きくなると、必要とされるアナログ-デジタルコンバータの数及び必要とされるデジタル-アナログコンバータの数も多くなり、電力消費が高くなる。複数のビームがアナログビームフォーミングにより形成される場合に、アナログ-デジタルコンバータ又はデジタル-アナログコンバータは不要であり、電力消費は大幅に低減される。しかし、アナログビームフォーミングにより形成されたビームは、柔軟に調整及び制御することができない。柔軟に調整及び制御することができる複数のビームは、全結合構造を使用することによってハイブリッドビームフォーミングにより形成される。しかし、この方法では、実施のために、大量の位相シフタが必要である。例えば、N×Mのアンテナアレイを含む2次元アレイを使用してT個のビームが同時に生成される場合に、T×N×M個の位相シフタが必要である。既存のビームフォーミングにより形成された複数のビームはサービス要求を満足することができず、フィードネットワークは、柔軟に調整及び制御することができる複数のビームを形成し、低電力消費の条件下で可能な限り位相シフタの数を減らすよう、切実に求められている、ことが分かる。
本願の実施形態は、位相シフタの数を減らし、複数のビームを柔軟に調整及び制御し、かつ各ビームにより独立した走査を実装するように、通信装置及びシステムを提供する。
留意すべきは、本願で述べられている結合は、2つのコンポーネント間の直接接続と理解されてよく、あるいは、2つのコンポーネント間の間接接続と理解されてもよい点である。例えば、第1位相シフタは第1コンバイナへ結合される。直接接続は、第1位相シフタと第1コンバイナとの間の直接的な接続として理解されてよい。間接接続は、第1位相シフタと、任意数の位相シフタが接続された後の第1コンバイナとの間の接続として理解されてよく、あるいは、抵抗を使用することによる第1位相シフタと第1コンバイナとの間の接続として更に理解されてもよい。
第1の態様に従って、本願の実施形態は通信装置を提供する。通信装置は、位相シフトユニット、入力ポート、及び出力ポートを含む。位相シフトユニットは少なくとも1つの第1構造を含む。第1構造は、第1位相差カプラ、第2位相差カプラ、第1位相シフタ、第2位相シフタ、第3位相シフタ、第4位相シフタ、第5位相シフタ、第6位相シフタ、交差カプラ、第1コンバイナ、及び第2コンバイナを含む。第1位相差カプラは、第3位相シフタ及び第4位相シフタへ結合され、交差カプラ及び第1コンバイナへ結合される。第2位相差カプラは、第5位相シフタ及び第6位相シフタへ結合され、第2位相シフタ及び第2コンバイナへ結合される。第1位相差カプラの第2出力ポートは、交差カプラの第1入力ポートへ結合され、第2位相差カプラの第1出力ポートは、第2位相シフタの入力ポートへ結合され、第2位相シフタの出力ポートは、交差カプラの第2入力ポートへ結合される。入力ポートは、第3位相シフタの入力ポート、第4位相シフタの入力ポート、第5位相シフタの入力ポート、及び第6位相シフタの入力ポートへ結合される。出力ポートは、第1位相シフタの出力ポート及び第2コンバイナの出力ポートへ結合される。
本願に従って、通信装置を使用することによってビームフォーミングが行われるとき、ビームフォーミング中に必要な位相シフタの数を減らすために位相差カプラが導入され、異なるチャネルでの信号が第1位相シフタ及び第2位相シフタを共有し得るので、位相シフタの数は減り、ビームフォーミング中のデバイスオーバヘッドは減り、デバイスの電力消費は位相シフタ多重化の場合に減る。更に、位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は調整され、それにより、複数のビームは柔軟に調整及び制御され得、各ビームによる独立した走査が実装され得る。
可能な実施において、位相シフトユニットは第2構造を更に含む。第2構造は、第3位相差カプラ、第7位相シフタ、第8位相シフタ、及び第9位相シフタを含む。第3位相差カプラは、第8位相シフタ及び第9位相シフタへ結合され、第7位相シフタへ結合される。入力ポートは、第8位相シフタの入力ポート及び第9位相シフタの入力ポートへ結合される。出力ポートは、第7位相シフタの出力ポートへ結合される。
このように、位相シフトユニットが第2構造を使用することによってビームフォーミングを行うとき、位相シフタの数はやはり低減され得、複数のビームは柔軟に調整及び制御され、各ビームによる独立した走査が実装され得る。更に、実際のアプリケーションでは、第1構造及び第2構造は、通信装置を使用することによってより多くのビームを柔軟に調整するために、ビームフォーミングを実装するよう組み合わされてもよい。
可能な実施において、位相シフトユニットは第3構造を更に含む。第3構造は、パワースプリッタ、第10位相シフタ、及び第11位相シフタを含む。パワースプリッタは、第10位相シフタ及び第11位相シフタへ結合される。入力ポートは、第11位相シフタの入力ポートへ結合される。出力ポートは、前記第10位相シフタの出力ポートへ結合される。
このように、位相シフトユニットの実際のアプリケーションでは、ビームフォーミングは、通信装置を使用することによってより多くのビームを柔軟に調整するために、第1構造及び第3構造を組み合わせることによって実装されてもよい。
可能な実施において、装置の入力ポートは、パワースプリッタへ結合される。通信装置の入力ポートは、無線周波数ユニットからの信号をマルチチャネル信号に分割し、マルチチャネル信号を通信装置へ入力するために、パワースプリッタへ結合される。
可能な実施において、装置は、第3コンバイナ及び第4コンバイナを更に含む。位相シフトユニットが複数の第1構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよい。位相シフトユニットが少なくとも1つの第1構造及び1つの第2構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第2構造内の第7位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第2構造内の第3位相差カプラの第2出力ポートからの信号とを結合してよい。位相シフトユニットが少なくとも1つの第1構造及び1つの第3構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第3構造内の第10位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第3構造内のパワースプリッタの第2出力ポートからの信号とを結合してよい。
留意すべきは、第3コンバイナ及び第4コンバイナを含む通信装置では、マルチチャネル信号の入力及び2チャネル信号の出力が実装されてもよい点である。
可能な実施において、装置は、第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、第8コンバイナ、第4位相差カプラ、及び第5位相差カプラを更に含む。位相シフトユニットが複数の第1構造を含み、第1構造が位相シフトユニット内で順番に配置される場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
位相シフトユニットが複数の第1構造及び1つの第2構造を含む場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第2構造内の第7位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第2構造内の第3位相差カプラの第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
位相シフトユニットが複数の第1構造及び1つの第3構造を含む場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第3構造内の第10位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第3構造内のパワースプリッタの第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
留意すべきは、位相シフトユニットが、順番に配置されている複数の第1構造、例えば、10個の第1構造を含む場合に、上記の奇数番目の第1構造は、1番目の第1構造、3番目の第1構造、5番目の第1構造、7番目の第1構造、及び9番目の第1構造と理解されてよく、上記の偶数番目の第1構造は、2番目の第1構造、4番目の第1構造、6番目の第1構造、8番目の第1構造、及び10番目の第1構造と理解されてよい点である。
更に、実際のアプリケーションでは、第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、及び第8コンバイナが位相シフトユニット内の信号を結合する場合に、信号結合方法は上記の信号結合方法に制限されない。他の信号結合方法が更に含まれてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。例えば、位相シフトユニットが2n個の第1構造を含む場合に、第5コンバイナは、1番目の構造の第1位相シフタの出力ポートからの信号をn番目の構造に結合してよく、第6コンバイナは、1番目の第1構造の第2コンバイナの出力ポートからの信号をn番目の第1構造に結合してよく、第7コンバイナは、n+1番目の第1構造の第1位相シフタの出力ポートからの信号を2n番目の第1構造に結合してよく、第8コンバイナは、n+1番目の第1構造の第2コンバイナの出力ポートからの信号を2n番目の第1構造に結合してよい。nは整数であり、nは0以上である。位相シフトユニットの出力信号が第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、及び第8コンバイナを使用することによって結合される如何なる方法も、本願に適用可能である。
留意すべきは、第4カプラ及び第5カプラを含む通信装置では、マルチチャネル信号の入力及び4チャネル信号の出力が実装されてもよい点である。
可能な実施において、通信装置はコントローラを更に含む。コントローラは、位相シフトユニットのパラメータを調整するよう構成される。パラメータは、次の:第1位相差カプラのパラメータ、第2位相差カプラのパラメータ、第3位相差カプラのパラメータ、第1位相シフタのパラメータ、第2位相シフタのパラメータ、第3位相シフタのパラメータ、第4位相シフタのパラメータ、第5位相シフタのパラメータ、第6位相シフタのパラメータ、第7位相シフタのパラメータ、第8位相シフタのパラメータ、第9位相シフタのパラメータ、第10位相シフタのパラメータ、及び第11位相シフタのパラメータ、のうちの少なくとも1つを含む。
留意すべきは、コントローラは、位相シフトユニット内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値を調整し得る点である。従って、異なる方向を持ったビームは、通信装置を使用することによって決定される。
第2の態様に従って、本願の実施形態は、複数のアンテナアレイと、第1の態様に従う記載の通信装置とを含む通信システムを更に提供する。アンテナアレイは、通信装置の出力ポートへ接続され、アンテナアレイは、異なる方向を持ったビームを出力するよう構成される。
可能な実施において、通信システムは無線周波数ユニットを更に含む。無線周波数ユニットは、通信装置の入力ポートへ接続され、無線周波数ユニットは、通信装置へ信号を入力するよう構成される。
第3の態様に従って、本願の実施形態は制御方法を提供する。方法は、第2の態様に従う通信システムに適用されてよい。方法は、無線周波数ユニットが、無線周波数ユニットによって送信された無線周波数信号を受信し、無線周波数信号を通信装置へ送信して、アンテナアレイが異なる方向を持ったビームを出力できるようにすることを含む。
加えて、更に留意すべきは、通信装置内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は、必要とされるビームの方向が決定された後にコントローラによって決定され得る点である。
第4の態様に従って、本願の実施形態はシステムを提供する。システムは電子機器であってよい。
第2の態様から第4の態様までの対応する解決法の技術的効果については、第1の態様での対応する解決法に従って得られる技術的効果を参照されたい。繰り返し部分は詳細に記載されない。
本願のこれら及び他の態様は、以下の実施形態の説明では、より簡潔かつ理解しやすい。
本願の実施形態に従う通信システムの構造の模式図である。
本願の実施形態に係る通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に係る通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う調整可能な位相差を持つ位相差カプラの構造の模式図である。
本願の目的、技術的解決法、及び利点をより明らかにするために、以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決法について詳細に記載する。
基地局通信又は衛星通信などの高レート通信のシナリオでは、アンテナアレイの規模がますます大きくなっている。超大規模アンテナ例の電力消費は無視することができない。方向が調整可能である複数のビームは、低電力消費でアナログビームフォーミングにより実施され、全結合アーキテクチャによる位相シフタの数を減らすことは、現在切実に解決される必要がある問題になっている。これに基づき、本願は、ビームフォーミング中に必要とされる位相シフタの数を減らし、方向が柔軟に調整及び制御され得る複数のビームを実施するように、通信装置を提供する。
留意すべきは、本願の実施形態の説明において、「少なくとも1つ」は1つ以上を指し、「複数の・・・」は2つ以上を指す点である。これを考慮して、本発明の実施形態では、「複数の・・・」は「少なくとも2つ」とも理解され得る。「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクト間の関連付け関係を表し、3つの関係が存在する可能性があることを示す。例えば、A及び/又はBは、次の3つの場合:Aのみ存在、AとBの両方が存在、及びBのみ存在、を示し得る。更に、文字「/」は、一般に、別なふうに特定されない限りは、関連するオブジェクト間の「論理和」関係を示す。更に、本願の明細書中、「第1」及び「第2」などの用語は、単に区別及び説明のために使用されているのであって、相対的な重要度を指示又暗示するものとして理解されるべきではなく、また、順番を指示又は暗示するものとして理解されるべきではない、ことが理解されるべきである。
留意すべきは、本願の実施形態において、「結合」は電気的な接続を意味し、2つの電気的要素間の接続は、2つの電気的要素間の直接的又は間接的な接続であってよい点である。例えば、AとBとの間の接続は、A及びBが互いに直接的に接続されか、あるいは、A及びBが、1つ以上の他の電気的要素を使用することによって、互いに間接的に接続されることを表し得る。例えば、AとBとの間の接続はまた、AがCへ直接的に接続され、CがBへ直接的に接続され、A及びBがCを通じて互いに接続されることを表し得る。
図1は、本願の実施形態が適用される通信システムの模式図である。通信システムは、無線周波数ユニット、通信装置、及びアンテナアレイを含む。アンテナアレイは、通信装置の出力ポートへ接続されている。無線周波数ユニットは、通信装置の入力ポートへ接続されている。アンテナアレイは、異なる方向を持ったビームを出力するよう構成される。無線周波数ユニットは、信号を通信装置へ入力するよう構成される。通信装置がT個の入力ポート及びM/N個の出力ポートを含む場合に、ビームフォーミングに必要なフィード信号の位相シフト量は、アンテナアレイ内のアンテナユニットごとに供給され得る。図1に示されるように、無線周波数信号のT個のストリームは、T入力M/N出力通信装置のT個の入力ポートから入力され、信号の各ストリームは、通信装置のM/N個の出力ポートを通じて出力される。出力信号の位相分布は、通信装置へ接続されているアンテナアレイが特定の方向でビームを放射することを可能にし得る。
本願の通信システムにおいて、同時に生成することができるビームの最大数は、通信装置の入力ポートの数に等しい。更に、各ビームの方向は、通信装置内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値を調整することによって、独立にかつ柔軟に変更され得る。
次に、本願の通信装置の構造について、添付の図面を参照して記載され得る。図2に示されるように、通信装置は、位相シフトユニット1、入力ポート2、及び出力ポート3を含む。位相シフトユニット1は、少なくとも1つの第1構造1-0を含む。第1構造1-0は、第1位相差カプラ1-0-1、第2位相差カプラ1-0-2、第1位相シフタ1-0-3、第2位相シフタ1-0-4、第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、第5位相シフタ1-0-7、第6位相シフタ1-0-8、交差カプラ1-0-9、第1コンバイナ1-0-10、及び第2コンバイナ(1-0-11)を含む。
第1位相差カプラ1-0-1は、第3位相シフタ1-0-5及び第4位相シフタ1-0-6へ結合され、交差カプラ1-0-9及び第1コンバイナ1-0-10へ結合される。第2位相差カプラ1-0-2は、第5位相シフタ1-0-7及び第6位相シフタ1-0-8へ結合され、第2位相シフタ1-0-4及び第2コンバイナ1-0-11へ結合される。第1位相差カプラ1-0-1の第2出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合される。第2位相差カプラ1-0-2の第1出力ポートは、第2位相シフタ1-0-4の入力ポートへ結合される。第2位相シフタ1-0-4の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合される。入力ポート2は、第3位相シフタ1-0-5の入力ポート、第4位相シフタ1-0-6の入力ポート、第5位相シフタ1-0-7の入力ポート、及び第6位相シフタ1-0-8の入力ポートへ夫々結合される。出力ポート3は、第1位相シフタ1-0-3の出力ポート及び第2コンバイナ1-0-11の出力ポートへ夫々結合される。
留意すべきは、信号が位相差カプラの異なる入力ポートで入力される場合に、位相差カプラの出力ポートでの出力信号間の位相差は異なる点である。例えば、上側出力ポートと下側出力ポートとの間でx1の位相差を持った位相差カプラについては、信号がその位相差カプラの情報の上側入力ポートから入力される場合に、その位相差カプラの上側出力ポート及び下側出力ポートは、等しい信号振幅及びx1の位相差を有する信号を出力する。信号が位相差カプラの下側入力ポートから入力される場合に、その位相差カプラの上側出力ポート及び下側出力ポートは、等しい信号振幅及び-x1の位相差を有する信号を出力する。
更に、図2に示される第1構造1-0では、第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、第5位相シフタ1-0-7、及び第6位相シフタ1-0-8は、通信装置の入力ポートへ結合されてよい。しかし、実際のアプリケーションでは、第1構造1-0は第6位相シフタ1-0-8を更に含まなくてもよく、第1構造1-0内の第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、及び第5位相シフタ1-0-7は、通信装置の入力ポートへ結合される。
例えば、位相シフトユニット1は、図3に示されるような第2構造1-1を更に含んでもよい。第2構造1-1は、第3位相差カプラ1-1-1、第7位相シフタ1-1-2、第8位相シフタ1-1-3、及び第9位相シフタ1-1-4を含む。第3位相差カプラ1-1-1は、第8位相シフタ1-1-3及び第9位相シフタ1-1-4へ結合され、第7位相シフタ1-1-2へ結合される。入力ポート2は、第8位相シフタ1-1-3の入力ポート及び第9位相シフタ1-1-4の入力ポートへ結合される。出力ポート3は、第7位相シフタ1-1-2の出力ポートへ結合される。
以下は、第3位相差カプラ1-1-1の位相差値及び第7位相シフタ1-1-2の位相シフト値を決定する方法について簡単に説明するために、第2構造1-1を一例として使用する。放射アレイの隣接ユニットの入力信号間の位相差とアレイ放射ビームの方向との間には一対一の対応があり、第2構造1-1における第7位相シフタ1-1-2の出力ポート及び第3位相差カプラ1-1-1の出力ポートは通信装置の信号出力ポートへ結合されているので、放射ビームに必要な目標方向は、第2構造1-1における第3位相差カプラ1-1-1の出力ポートからの出力信号と第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの出力信号との間の位相差を決定するために使用されてよい。
本願の技術的解決法についてより良く説明するために、対応する放射ビームの方向に基づき決定される、必要とされるアレイの隣接ユニット間の位相差は、夫々、PD4n+1及びPD4n+2であり、第7位相シフタ1-1-2の位相シフト値はPS7であり、第8位相シフタ1-1-3の位相シフト値はPS8であり、第9位相シフタ1-1-4の位相シフト値はPS9であり、第3位相差カプラ1-1-1の位相差値はx3である、と仮定される。無線周波数ユニットからの信号は、-PS8の位相シフトで第8位相シフタ1-1-3を通る。信号は、第3位相差カプラ1-1-1の第1入力ポートに入力され、位相変化なしで、つまり、-PS8-0で、第3位相差カプラ1-1-1の第1出力ポートから出力される。次いで、出力された信号は、-PS8-0-PS7の位相シフトで第7位相シフタ1-1-2を通る。無線周波数ユニットからの信号は、-PS8の位相シフトで第8位相シフタ1-1-3を通る。信号は、第3位相差カプラ1-1-1の第1入力ポートに入力され、-x3の位相変化を有して第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートから出力される。従って、信号は-PS8-x3に変化する。-PS8-x3は、-PS8-0-PS7から減じられて、PD4n+1が得られる。つまり、-x3+PS7=PD4n+1である。無線周波数ユニットからの信号は、-PS9の位相シフトで第9位相シフタ1-1-4を通る。信号は第3位相差カプラ1-1-1の第2入力ポートに入力され、-x3の位相変化を有して第3位相差カプラ1-1-1の第1出力ポートから出力されるので、位相シフトは-PS9-x3である。次いで、出力された信号は、第7位相シフタ1-1-2を通り、-PS9-x3-PS7になる。無線周波数ユニットからの信号は、-PS9の位相シフトで第9位相シフタ1-1-4を通る。信号は第3位相差カプラ1-1-1の第2入力ポートに入力され、位相変化なしで第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートから出力されるので、信号は依然として-PS9である。-PS9は、-PS9-x3-PS7から減じられて、x3+PS7が得られる。つまり、x3+PS7=PD4n+2である。x3及びPS7の値は、-x3+PS7=PD4n+1及びx3+PS7=PD4n+2に対して計算を行うことによって決定される。同様に、第1構造1-0では、第1位相差カプラ1-0-1の位相差値、第2位相差カプラ1-0-2の位相差値、第1位相シフタ1-0-3の位相シフト値、及び第2位相シフタ1-0-4の位相シフト値は全て、上記の方法と同様の方法で決定され得る。
例えば、位相シフトユニット1は、図4に示されるような第3構造1-2を更に含んでもよい。第3構造1-2は、パワースプリッタ1-2-1、第10位相シフタ1-2-2、及び第11位相シフタ1-2-3を含む。パワースプリッタ1-2-1は、第10位相シフタ1-2-2及び第11位相シフタ1-2-3へ結合される。入力ポート2は、第11位相シフタ1-2-3の入力ポートへ結合される。出力ポート3は、第10位相シフタ1-2-2の出力ポートへ結合される。
第1構造1-0は、4つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよく、あるいは、3つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてもよい。第2構造1-1は、2つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよい。第3構造1-2は、1つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよい。実際のアプリケーションでは、通信装置は、第1構造1-0、第2構造1-1、及び第3構造1-2に基づき構成されてよい。従って、第3コンバイナ5及び第4コンバイナ6が更に本願では導入される。第1構造1-0、第2構造1-1、及び第3構造1-2によって出力される信号は、図5aから図5cに示されるように、第3コンバイナ5及び第4コンバイナ6を使用することによって結合されてよい。
図5aに示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよい、ことが留意されるべきである。図5bに示されるように、位相シフトユニット1が少なくとも1つの第1構造1-0及び1つの第2構造1-1を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートからの信号とを結合してよい。図5cに示されるように、位相シフトユニット1が少なくとも1つの第1構造1-0及び1つの第3構造1-2を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内の第10位相シフタ1-2-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内のパワースプリッタ1-2-1からの信号とを結合してよい。
実際のアプリケーションでは、通信装置を構成するために具体的に選択される第1構造1-0の数、第2構造1-1の数、及び第3構造1-2の数は、入力ポートの数を4で割ることによって決定され得る(第1構造1-0は最大4つの入力ポートへ結合され得るので、通信装置によって必要とされる第1構造1-0の数、第2構造1-1の数、第3構造1-2の数は、入力ポートの数を4で割ることによってより良く決定され得る)。例えば、入力ポートの数Tが17であり、17を4で割ったときの商が4であり、余りが1である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第3構造1-2、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが18であり、18を4で割ったときの商が4であり、余りが2である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第2構造、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが19であり、19を4で割ったときの商が4であり、余りが3である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第1構造1-0(3つの入力及び2つの出力)、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが20であり、20を4で割ったときの商が5である場合に、5つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。
例えば、図6aに示されるように、8入力3出力ユニットは2つの第1構造1-0から成る。第1の第1構造1-0では、入力ポートaは、位相シフタPS1を通じて位相差カプラX1の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートbは、位相シフタPS2を通じて位相差カプラX1の第2入力ポートへ結合されている。入力ポートcは、位相シフタPS3を通じて位相差カプラX2の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートdは、位相シフタPS4を通じて位相差カプラX2の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX1の第1出力ポートが第1コンバイナ1-0-10の第1入力ポートへ結合された後、第1コンバイナ1-0-10の出力ポートは位相シフタPS9へ結合されている。位相差カプラX1の第2出力ポートが交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合された後、交差カプラ1-0-9の第2出力ポートは、第2コンバイナの第1入力ポートへ結合されている。位相差カプラX2の第1出力ポートは、位相シフタPS10の入力ポートへ結合されている。位相シフタPS10の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX2の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第2入力ポートへ結合されている。交差カプラ1-0-9の第1出力ポートは、第1コンバイナの第2入力ポートへ結合されている。第2の第1構造1-0では、入力ポートeは、位相シフタPS5を通じて位相差カプラX3の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートfは、位相シフタPS6を通じて位相差カプラX3の第2入力ポートへ結合されている。入力ポートgは、位相シフタPS7を通じて位相差カプラX4の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートhは、位相シフタPS8を通じて位相差カプラX4の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX3の第1出力ポートが第1コンバイナ1-0-10の第1入力ポートへ結合された後、第1コンバイナ1-0-10の出力ポートは位相シフタPS11へ結合されている。位相差カプラX3の第2出力ポートが交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合された後、交差カプラ1-0-9の第2出力ポートは、第2コンバイナの第1入力ポートへ結合されている。位相差カプラX4の第1出力ポートは、位相シフタPS12の入力ポートへ結合されている。位相シフタPS12の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX4の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第2入力ポートへ結合されている。交差カプラ1-0-9の第1出力ポートは、第1コンバイナの第2入力ポートへ結合されている。位相シフタPS9の出力ポート及び位相シフタPS11の出力ポートは、第3コンバイナ5へ接続されている。第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートと、第2の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートとは、第4コンバイナ6の出力ポートへ接続されている。
更に、通信装置の入力ポートa~hは、図6bに示されるように、パワースプリッタへ更に結合されてもよく、出力ポートはこのようにして拡張されてよい。図6bは、8チャネル入力信号がパワースプリッタを使用することによってマルチチャネル信号に分割され、マルチチャネル信号が32個の8入力2出力(2つの第1構造1-0(4入力2出力)によって構成される)ユニットに入力される8入力64出力通信装置を示す。図6bに示されている8入力64出力通信装置では、各8入力2出力ユニットの4つの位相差カプラ(2つの第1位相差カプラ1-0-1及び2つの第2位相差カプラ1-0-2)の位相差値及び位相シフタ(2つの第1位相シフタ1-0-3及び2つの第2位相シフタ1-0-4)の位相シフト値は、夫々同じである。具体的な値は、必要とされるビームの方向に基づき決定される。図6aに示されている8入力2出力ユニット内の位相差カプラの入力ポートへ結合されている8つの位相シフタは、異なる8入力2出力ユニットに対応する8つのビームに対応する初期位相を調整するよう構成されてよい。図6bは、同じ2次元アンテナアレイのユニット配置を示す。相応して、j行目i列目にある8入力2出力ユニットのPS1、PS2、PS3、PS4、PS5、PS6、PS7及びPS8は、夫々、PS1=-2(i-1)PD1_column-(j-1)PD1_row、PS2=-2(i-1)PD2_column-(j-1)PD2_row、PS3=-2(i-1)PD3_column-(j-1)PD3_row、PS4=-2(i-1)PD4_column-(j-1)PD4_row、PS5=-2(i-1)PD5_column-(j-1)PD5_row、PS6=-2(i-1)PD6_column-(j-1)PD6_row、PS7=-2(i-1)PD7_column-(j-1)PD7_row、及びPS8=-2(i-1)PD8_column-(j-1)PD8_rowである。PD1_column及びPD1_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム1によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD2_column及びPD2_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム2によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD3_column及びPD3_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム3によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD4_column及びPD4_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム4によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD5_column及びPD5_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム5によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD6_column及びPD6_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム6によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD7_column及びPD7_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム7によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD8_column及びPD8_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム8によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。
本願で、図6bに示されている通信装置は、8×8の2次元アンテナアレイへ接続することによって、独立して調整することができる8つのビームを生成し得る。アレイ内のアンテナ要素が一様に分布するとき、間隔は半波長であり、ビーム1からビーム8のメインローブは全て、φ=0°の平面上にあり(φは球面座標のアジマスである)、必要とされるビームの方向角度が夫々θ
1=-40°、θ
2=-24°、θ
3=-13°、θ
4=16°、θ
5=-16°、θ
6=27°、θ
7=0°、及びθ
8=46°である場合に(θは球面座標のピッチ角度である)、通信装置の各行にあり各ビームによって必要とされる隣接出力ポート間の位相差は0°であり、各列の隣接出力ポート間の位相差は表1に示される、と仮定される。更に、調整可能な位相差を有する各8入力2出力カプラの位相差値及び4つの位相シフタの位相シフト値は、夫々、x
1=-22.5°、x
2=-45°、x
3=-67.5°、x
4=-67.5°、PS
10=-102.5°、PS
9=97.5°、PS
12=-50°及びPS
13=-17.5°である。8入力2出力通信装置のj行目i列目にあるPS
1、PS
2、PS
3、PS
4、PS
5、PS
6、PS
7及びPS
8は、夫々、PS
1=-240(i-1)、PS
2=-150(i-1)、PS
3=-80(i-1)、PS
4=100(i-1)、PS
5=-100(i-1)、PS
6=170(i-1)、PS
7=0、及びPS
8=270(i-1)である。通信装置の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値が上記のデータに基づきセットされる場合に、対応する8×8の2次元アンテナアレイによって生成される8つのビームの分布が図7aに示されている。図7bは、φ=0°平面内のビーム分布図である。図7aには、8つの波ピークがある。すなわち、相応して、図7bの8つのビームは、夫々、ビーム1、ビーム2、ビーム3、ビーム4、ビーム5、ビーム6、ビーム7、及びビーム8である。
通信装置は、各ビームの方向を独立に調整し得る。ビーム1が一例として使用される。図8aから図8dは、ビーム1が他の7つのビームに影響を及ぼさずにx方向で独立した走査を実施することを示す。ビーム1の初期状態は図7bに示されており、ビーム方向(θ,φ)=(-40,0)°である。表2に示されているように、位相差カプラの位相差x
1と位相シフタの位相シフト値PS
10及びPS
11とが同時に調整される場合に、ビーム1は、図8aに示される(θ,φ)=(-9,0)°、図8bに示される(θ,φ)=(5,0)°、図8cに示される(θ,φ)=(19,0)°、及び図8dに示される(θ,φ)=(35,0)°に独立して走査し得る。
更に、図9a及び図9bは、y方向でのビーム7による独立した走査の模式図を示す。ビーム7の方向角度は、図7aに示されている初期位置(θ,φ)=(0,0)°から図9aに示されている(θ,φ)=(19,270)°に、又は図9bに示されている(θ,φ)=(19,90)°に調整される。走査は、図6bのj行目の8入力2出力ユニットの位相シフタ7の位相シフト値をPS7=-60(j-1)°及びSP7=60(j-1)°に調整することによって実施される。
本願で、第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、第8コンバイナ10、第4位相差カプラ11、及び第5位相差カプラ12が更に、図10a-1及び図10a-2に示されるように、通信装置によって必要とされる位相シフタの数を更に減らすよう導入される。位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
図10b-1及び図10b-2に示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0及び1つの第2構造1-1を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
図10c-1及び図10c-2に示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0及び1つの第3構造1-2を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内の第10位相シフタ1-2-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内のパワースプリッタ1-2-1の第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
留意すべきは、位相シフトユニット1が、順にソートされている複数の第1構造1-0、例えば、10個の第1構造1-0を含む場合に、上記の奇数番目は、1番目、3番目、5番目、7番目、及び9番目と理解されてよく、上記の偶数番目は、2番目、4番目、6番目、8番目、及び10番目と理解されてよい点である。
本願で、第4位相差カプラ11及び第5位相差カプラ12は、通信装置の出力ポートの数を増やすために導入されており、それにより、通信装置内の位相シフタの数は更に減らすことができる。
第4位相差カプラ11の位相差値がx4=0であり、第5位相差カプラ12の位相差値がx5=0である場合に、8入力2出力ユニット内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は、図7aのビームに対応する位相シフタの位相シフト値及び位相差カプラの位相差値に基づき設定されてよく、空間分布における8つのビームが取得され得る。x方向での8つのビームによる走査は、図7aのそれと完全に同じであり、つまり、8つのビームは、x方向において独立にかつ自由に走査を行い得る。しかし、8つのビームは、y方向では2つのグループで独立して走査を行う。ビーム1から4がグループを形成し、ビーム5から8がグループを形成する。更に、y方向でのビームによる走査は、位相差カプラx4及びx5の値を調整することによって実施される。図11a及び図11bは、y方向での各グループに対応するビームによって、x4=x5=-45°及びx4=x5=-135°であるときに、異なる位相、異なる値で走査される異なる角度に夫々対応する。
更に、実際のアプリケーションでは、第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、及び第8コンバイナ10が位相シフトユニット1内の信号を結合する場合に、信号結合方法は上記の信号結合方法に制限されない。他の信号結合方法が更に含まれてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。例えば、位相シフトユニット1が2n個の第1構造1-0を含む場合に、第5コンバイナ7は、1番目の構造の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号をn番目の構造に結合してよく、第6コンバイナ8は、1番目の第1構造の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号をn番目の第1構造1-0に結合してよく、第7コンバイナ9は、n+1番目の第1構造の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を2n番目の第1構造1-0に結合してよく、第8コンバイナ10は、n+1番目の第1構造の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を2n番目の第1構造1-0に結合してよい。nは整数であり、nは0以上である。位相シフトユニット1の出力信号が第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、及び第8コンバイナ10を使用することによって結合される如何なる方法も、本願に適用可能である。
例えば、通信装置は、図12に示されるように、コントローラ4を更に含んでもよい。コントローラ4は、位相シフトユニット1へ結合されている。コントローラ4は、上記の方法で通信装置内の位相シフタの位相シフト値及び位相差カプラの位相差値を決定し、決定された位相シフト値及び位相差値に基づいて位相シフトユニット1のパラメータを調整し得る。パラメータは、次の:第1位相差カプラ1-0-1のパラメータ、第2位相差カプラ1-0-2のパラメータ、第3位相差カプラ1-1-1のパラメータ、第1位相シフタ1-0-3のパラメータ、第2位相シフタ1-0-4のパラメータ、第3位相シフタ1-0-5のパラメータ、第4位相シフタ1-0-6のパラメータ、第5位相シフタ1-0-7のパラメータ、第6位相シフタ1-0-8のパラメータ、第7位相シフタ1-1-2のパラメータ、第8位相シフタ1-1-3のパラメータ、第9位相シフタ1-1-4のパラメータ、第10位相シフタ1-2-2のパラメータ、及び第11位相シフタ1-2-3のパラメータ、のうちの少なくとも1つのパラメータを含むが、これに限られない。実際のアプリケーションでは、コントローラ4は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array,FPGA)又はデジタル・シグナル・プロセッシング(digital signal processing,DSP)チップを使用することによって実装されてよく、あるいは、他のハードウェア様式又はソフトウェア様式で実装されてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。
更に、留意すべきは、本願の位相差カプラは、単極多投スイッチを使用することによって位相差を調整可能な位相差カプラ、固定位相差を有する位相差カプラ、及び固定位相シフト値を有する位相シフタを実装してもよい点である。図13は、調整可能な位相差を有する位相差カプラの具体的な構造を示す。当該構造を有している位相差カプラの位相差値の調整範囲は、0°から180°までであり(0°及び180°を含む)、調整ステップは22.5°である。図13に示されるように、構造は、2つの単極8投スイッチA及びBと、-45°の位相差を有する4つの3dB位相差カプラと、45°の位相差を有する4つの3dB位相差カプラと、16個の固定位相シフタと、出力ポートCと、出力ポートDとを含む。位相シフタの位相シフト値の分布も図13に示されている。この構造において、異なる位相差値を有する位相差カプラは、スイッチにより異なる入力ポートを選択することによって実装される。入力ポートと出力ポートとの間の位相差の対応は表1に示されている。実際のアプリケーションでは、表1の一部の行及び列しか適用されなくてもよい、これはここで具体的に制限されない。例えば、単極多投スイッチAが入力ポートbに接続され、単極多投スイッチBが入力ポートjに接続される場合に、当該構造により決定される調整可能な位相差カプラの位相差値は-22.5である。単極多投スイッチAが入力ポートdに接続され、単極多投スイッチBが入力ポートlに接続される場合に、当該構造により決定される調整可能な位相差カプラの位相差値は-45である。
本願に従って、通信装置を使用することによってビームフォーミングが行われる場合に、調整可能な位相差を有する位相差カプラが導入され、それにより、ビームフォーミング中に必要とされる位相シフタの数は減らすことができる。異なるチャネルでの信号は、第1位相シフタ1-0-3及び第2位相シフタ1-0-4と共有し得る。位相シフタ多重化の場合に、位相シフタの数はやはり減らすことができ、ビームフォーミング中のデバイスオーバヘッドは減らすことができ、デバイスの電力消費は更に削減され得る。更に、位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は調整され、それにより、複数のビームは柔軟に調整及び制御することができ、各ビームによる独立した走査が実装され得る。
当業者であれば、本願の実施形態が方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてよいことを理解するはずである。従って、本願は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実施形態の形式を使用する可能性がある。更に、本願は、コンピュータが使用可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータが使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリ、などを含むが限られない)で実装されるコンピュータプログラム製品の形式を使用する可能性がある。
本願は、本願に従う方法、デバイス(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して記載される。コンピュータプログラム命令が、フローチャート及び/又はブロック図内の各プロセス及び/又は各ブロック並びにフローチャート及び/又はブロック図内のプロセス及び/又はブロックの組み合わせを実装するために使用されてよいことが理解されるべきである。コンピュータプログラム命令は、マシンを発生させるよう汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋め込みプロセッサ、又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスのプロセッサに与えられてよく、それにより、コンピュータ又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装するための装置を発生させる。
コンピュータプログラム命令は、代替的に、特定の方法で動作するようにコンピュータ又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスに指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、それにより、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令は、命令装置を含むアーチファクトを発生させる。命令装置は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装する。
コンピュータプログラム命令は、代替的に、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理デバイスにロードされてもよく、それにより、一連の動作及びステップは、コンピュータにより実施される処理を発生させるよう、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスで実行される。従って、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスで実行された命令は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装するステップをもたらす。
当業者であれば、本願の範囲から逸脱せずに、本願に対して様々な変更及び変形を行うことができることは、明らかである。本願は、本願のそれらの変更及び変形が後続の特許請求の範囲及びそれらの同等の技術によって定義される保護の範囲内にあるという条件で、変更及び変形をカバーするよう意図される。
[関連出願への相互参照]
本願は、2020年9月14日に「COMMUNICATION APPARATUS AND SYSTEM」との発明の名称で中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第202010959909.5号に対する優先権を主張するものである。先の中国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。
本願の実施形態は、通信技術の分野に、特に、通信装置及びシステムに関係がある。
地上基地局通信及び衛星通信では、隣接するセルへの干渉及び隣接するセルからの干渉を減らすように、複数のビームを使用することによって選択的な送信及び受信が行われている。更に、複数のビームは、空間分割多重化を実装するのに役立ち、通信システムの容量を向上させる。
現在、複数のビームは、デジタルビームフォーミング、アナログビームフォーミング、及びハイブリッドビームフォーミングにより実施され得る。複数のビームがデジタルビームフォーミングにより形成される場合に、各ビームの方向は独立して柔軟に調整され得る。しかし、デジタルビームフォーミングによって必要とされる無線周波数リンクの数はアンテナアレイ内のアンテナの数に等しく、アンテナアレイの規模が大きくなると、必要とされるアナログ-デジタルコンバータの数及び必要とされるデジタル-アナログコンバータの数も多くなり、電力消費が高くなる。複数のビームがアナログビームフォーミングにより形成される場合に、アナログ-デジタルコンバータ又はデジタル-アナログコンバータは不要であり、電力消費は大幅に低減される。しかし、アナログビームフォーミングにより形成されたビームは、柔軟に調整及び制御することができない。柔軟に調整及び制御することができる複数のビームは、全結合構造を使用することによってハイブリッドビームフォーミングにより形成される。しかし、この方法では、実施のために、大量の位相シフタが必要である。例えば、N×Mのアンテナアレイを含む2次元アレイを使用してT個のビームが同時に生成される場合に、T×N×M個の位相シフタが必要である。既存のビームフォーミングにより形成された複数のビームはサービス要求を満足することができず、フィードネットワークは、柔軟に調整及び制御することができる複数のビームを形成し、低電力消費の条件下で可能な限り位相シフタの数を減らすよう、切実に求められている、ことが分かる。
本願の実施形態は、位相シフタの数を減らし、複数のビームを柔軟に調整及び制御し、かつ各ビームにより独立した走査を実装するように、通信装置及びシステムを提供する。
留意すべきは、本願で述べられている結合は、2つのコンポーネント間の直接接続と理解されてよく、あるいは、2つのコンポーネント間の間接接続と理解されてもよい点である。例えば、第1位相シフタは第1コンバイナへ結合される。直接接続は、第1位相シフタと第1コンバイナとの間の直接的な接続として理解されてよい。間接接続は、第1位相シフタと、任意数の位相シフタが接続された後の第1コンバイナとの間の接続として理解されてよく、あるいは、抵抗を使用することによる第1位相シフタと第1コンバイナとの間の接続として更に理解されてもよい。
第1の態様に従って、本願の実施形態は通信装置を提供する。通信装置は、位相シフトユニット、入力ポート、及び出力ポートを含む。位相シフトユニットは少なくとも1つの第1構造を含む。第1構造は、第1位相差カプラ、第2位相差カプラ、第1位相シフタ、第2位相シフタ、第3位相シフタ、第4位相シフタ、第5位相シフタ、第6位相シフタ、交差カプラ、第1コンバイナ、及び第2コンバイナを含む。第1位相差カプラは、第3位相シフタ及び第4位相シフタへ結合され、交差カプラ及び第1コンバイナへ結合される。第2位相差カプラは、第5位相シフタ及び第6位相シフタへ結合され、第2位相シフタ及び第2コンバイナへ結合される。第1位相差カプラの第2出力ポートは、交差カプラの第1入力ポートへ結合され、第2位相差カプラの第1出力ポートは、第2位相シフタの入力ポートへ結合され、第2位相シフタの出力ポートは、交差カプラの第2入力ポートへ結合される。通信装置の入力ポートは、第3位相シフタの入力ポート、第4位相シフタの入力ポート、第5位相シフタの入力ポート、及び第6位相シフタの入力ポートへ結合される。通信装置の出力ポートは、第1位相シフタの出力ポート及び第2コンバイナの出力ポートへ結合される。
本願に従って、通信装置を使用することによってビームフォーミングが行われるとき、ビームフォーミング中に必要な位相シフタの数を減らすために位相差カプラが導入され、異なるチャネルでの信号が第1位相シフタ及び第2位相シフタを共有し得るので、位相シフタの数は減り、ビームフォーミング中のデバイスオーバヘッドは減り、デバイスの電力消費は位相シフタ多重化の場合に減る。更に、位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は調整され、それにより、複数のビームは柔軟に調整及び制御され得、各ビームによる独立した走査が実装され得る。
可能な実施において、位相シフトユニットは第2構造を更に含む。第2構造は、第3位相差カプラ、第7位相シフタ、第8位相シフタ、及び第9位相シフタを含む。第3位相差カプラは、第8位相シフタ及び第9位相シフタへ結合され、第7位相シフタへ結合される。通信装置の入力ポートは、第8位相シフタの入力ポート及び第9位相シフタの入力ポートへ結合される。通信装置の出力ポートは、第7位相シフタの出力ポートへ結合される。
このように、位相シフトユニットが第2構造を使用することによってビームフォーミングを行うとき、位相シフタの数はやはり低減され得、複数のビームは柔軟に調整及び制御され、各ビームによる独立した走査が実装され得る。更に、実際のアプリケーションでは、第1構造及び第2構造は、通信装置を使用することによってより多くのビームを柔軟に調整するために、ビームフォーミングを実装するよう組み合わされてもよい。
可能な実施において、位相シフトユニットは第3構造を更に含む。第3構造は、パワースプリッタ、第10位相シフタ、及び第11位相シフタを含む。パワースプリッタは、第10位相シフタ及び第11位相シフタへ結合される。通信装置の入力ポートは、第11位相シフタの入力ポートへ結合される。通信装置の
このように、位相シフトユニットの実際のアプリケーションでは、ビームフォーミングは、通信装置を使用することによってより多くのビームを柔軟に調整するために、第1構造及び第3構造を組み合わせることによって実装されてもよい。
可能な実施において、通信装置の入力ポートは、パワースプリッタへ結合される。通信装置の入力ポートは、無線周波数ユニットからの信号をマルチチャネル信号に分割し、マルチチャネル信号を通信装置へ入力するために、パワースプリッタへ結合される。
可能な実施において、通信装置は、第3コンバイナ及び第4コンバイナを更に含む。位相シフトユニットが複数の第1構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよい。位相シフトユニットが少なくとも1つの第1構造及び1つの第2構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第2構造内の第7位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第2構造内の第3位相差カプラの第2出力ポートからの信号とを結合してよい。位相シフトユニットが少なくとも1つの第1構造及び1つの第3構造を含む場合に、第3コンバイナは、第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第3構造内の第10位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナは、第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第3構造内のパワースプリッタの第2出力ポートからの信号とを結合してよい。
留意すべきは、第3コンバイナ及び第4コンバイナを含む通信装置では、マルチチャネル信号の入力及び2チャネル信号の出力が実装されてもよい点である。
可能な実施において、通信装置は、第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、第8コンバイナ、第4位相差カプラ、及び第5位相差カプラを更に含む。位相シフトユニットが複数の第1構造を含み、第1構造が位相シフトユニット内で順番に配置される場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
位相シフトユニットが複数の第1構造及び1つの第2構造を含む場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第2構造内の第7位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第2構造内の第3位相差カプラの第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
位相シフトユニットが複数の第1構造及び1つの第3構造を含む場合に、第5コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号と、第3構造内の第10位相シフタの出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナは、奇数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号と、第3構造内のパワースプリッタの第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第1位相シフタの出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナの出力ポートは、第4位相差カプラの第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナは、偶数番目の第1構造内の第2コンバイナの出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナの出力ポートは、第5位相差カプラの第2入力ポートへ結合される。
留意すべきは、位相シフトユニットが、順番に配置されている複数の第1構造、例えば、10個の第1構造を含む場合に、上記の奇数番目の第1構造は、1番目の第1構造、3番目の第1構造、5番目の第1構造、7番目の第1構造、又は9番目の第1構造と理解されてよく、上記の偶数番目の第1構造は、2番目の第1構造、4番目の第1構造、6番目の第1構造、8番目の第1構造、又は10番目の第1構造と理解されてよい点である。
更に、実際のアプリケーションでは、第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、及び第8コンバイナが位相シフトユニット内の信号を結合する場合に、信号結合方法は上記の信号結合方法に制限されない。他の信号結合方法が更に含まれてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。例えば、位相シフトユニットが2n個の第1構造を含む場合に、第5コンバイナは、1番目の第1構造の第1位相シフタの出力ポートからの信号をn番目の第1構造に結合してよく、第6コンバイナは、1番目の第1構造の第2コンバイナの出力ポートからの信号をn番目の第1構造に結合してよく、第7コンバイナは、n+1番目の第1構造の第1位相シフタの出力ポートからの信号を2n番目の第1構造に結合してよく、第8コンバイナは、n+1番目の第1構造の第2コンバイナの出力ポートからの信号を2n番目の第1構造に結合してよい。nは整数であり、nは0以上である。位相シフトユニットの出力信号が第5コンバイナ、第6コンバイナ、第7コンバイナ、及び第8コンバイナを使用することによって結合される如何なる方法も、本願に適用可能である。
留意すべきは、第4位相差カプラ及び第5位相差カプラを含む通信装置では、マルチチャネル信号の入力及び4チャネル信号の出力が実装されてもよい点である。
可能な実施において、通信装置はコントローラを更に含む。コントローラは、位相シフトユニットのパラメータを調整するよう構成される。パラメータは、次の:第1位相差カプラのパラメータ、第2位相差カプラのパラメータ、第3位相差カプラのパラメータ、第1位相シフタのパラメータ、第2位相シフタのパラメータ、第3位相シフタのパラメータ、第4位相シフタのパラメータ、第5位相シフタのパラメータ、第6位相シフタのパラメータ、第7位相シフタのパラメータ、第8位相シフタのパラメータ、第9位相シフタのパラメータ、第10位相シフタのパラメータ、及び第11位相シフタのパラメータ、のうちの少なくとも1つを含む。
留意すべきは、コントローラは、位相シフトユニット内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値を調整し得る点である。従って、異なる方向を持ったビームは、通信装置を使用することによって決定される。
第2の態様に従って、本願の実施形態は、複数のアンテナアレイと、第1の態様に従う記載の通信装置とを含む通信システムを更に提供する。アンテナアレイは、通信装置の出力ポートへ接続され、アンテナアレイは、異なる方向を持ったビームを出力するよう構成される。
可能な実施において、通信システムは無線周波数ユニットを更に含む。無線周波数ユニットは、通信装置の入力ポートへ接続され、無線周波数ユニットは、通信装置へ信号を入力するよう構成される。
第3の態様に従って、本願の実施形態は制御方法を提供する。方法は、第2の態様に従う通信システムに適用されてよい。方法は、無線周波数ユニットが、無線周波数信号を受信し、無線周波数信号を通信装置へ送信して、アンテナアレイが異なる方向を持ったビームを出力できるようにすることを含む。
加えて、更に留意すべきは、通信装置内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は、必要とされるビームの方向が決定された後にコントローラによって決定され得る点である。
第4の態様に従って、本願の実施形態はシステムを提供する。システムは電子機器であってよい。
第2の態様から第4の態様までの対応する解決法の技術的効果については、第1の態様での対応する解決法に従って得られる技術的効果を参照されたい。繰り返し部分は詳細に記載されない。
本願のこれら及び他の態様は、以下の実施形態の説明では、より簡潔かつ理解しやすい。
本願の実施形態に従う通信システムの構造の模式図である。
本願の実施形態に係る通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に係る通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従うシミュレーション結果の模式図である。
本願の実施形態に従う通信装置の他の構造の模式図である。
本願の実施形態に従う調整可能な位相差を持つ位相差カプラの構造の模式図である。
本願の目的、技術的解決法、及び利点をより明らかにするために、以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決法について詳細に記載する。
基地局通信又は衛星通信などの高レート通信のシナリオでは、アンテナアレイの規模がますます大きくなっている。超大規模アンテナ例の電力消費は無視することができない。方向が調整可能である複数のビームは、低電力消費でアナログビームフォーミングにより実施され、全結合アーキテクチャによる位相シフタの数を減らすことは、現在切実に解決される必要がある問題になっている。これに基づき、本願は、ビームフォーミング中に必要とされる位相シフタの数を減らし、方向が柔軟に調整及び制御され得る複数のビームを実施するように、通信装置を提供する。
留意すべきは、本願の実施形態の説明において、「少なくとも1つ」は1つ以上を指し、「複数の・・・」は2つ以上を指す点である。これを考慮して、本発明の実施形態では、「複数の・・・」は「少なくとも2つ」とも理解され得る。「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクト間の関連付け関係を表し、3つの関係が存在する可能性があることを示す。例えば、A及び/又はBは、次の3つの場合:Aのみ存在、AとBの両方が存在、及びBのみ存在、を示し得る。更に、文字「/」は、一般に、別なふうに特定されない限りは、関連するオブジェクト間の「論理和」関係を示す。更に、本願の明細書中、「第1」及び「第2」などの用語は、単に区別及び説明のために使用されているのであって、相対的な重要度を指示又暗示するものとして理解されるべきではなく、また、順番を指示又は暗示するものとして理解されるべきではない、ことが理解されるべきである。
留意すべきは、本願の実施形態において、「結合」は電気的な接続を意味し、2つの電気的要素間の接続は、2つの電気的要素間の直接的又は間接的な接続であってよい点である。例えば、AとBとの間の接続は、A及びBが互いに直接的に接続されか、あるいは、A及びBが、1つ以上の他の電気的要素を使用することによって、互いに間接的に接続されることを表し得る。例えば、AとBとの間の接続はまた、AがCへ直接的に接続され、CがBへ直接的に接続され、A及びBがCを通じて互いに接続されることを表し得る。
図1は、本願の実施形態が適用される通信システムの模式図である。通信システムは、無線周波数ユニット、通信装置、及びアンテナアレイを含む。アンテナアレイは、通信装置の出力ポートへ接続されている。無線周波数ユニットは、通信装置の入力ポートへ接続されている。アンテナアレイは、異なる方向を持ったビームを出力するよう構成される。無線周波数ユニットは、信号を通信装置へ入力するよう構成される。通信装置がT個の入力ポート及びM/N個の出力ポートを含む場合に、ビームフォーミングに必要なフィード信号の位相シフト量は、アンテナアレイ内のアンテナユニットごとに供給され得る。図1に示されるように、無線周波数信号のT個のストリームは、T入力M/N出力通信装置のT個の入力ポートから入力され、信号の各ストリームは、通信装置のM/N個の出力ポートを通じて出力される。出力信号の位相分布は、通信装置へ接続されているアンテナアレイが特定の方向でビームを放射することを可能にし得る。
本願の通信システムにおいて、同時に生成することができるビームの最大数は、通信装置の入力ポートの数に等しい。更に、各ビームの方向は、通信装置内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値を調整することによって、独立にかつ柔軟に変更され得る。
次に、本願の通信装置の構造について、添付の図面を参照して記載され得る。図2に示されるように、通信装置は、位相シフトユニット1、入力ポート2、及び出力ポート3を含む。位相シフトユニット1は、少なくとも1つの第1構造1-0を含む。第1構造1-0は、第1位相差カプラ1-0-1、第2位相差カプラ1-0-2、第1位相シフタ1-0-3、第2位相シフタ1-0-4、第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、第5位相シフタ1-0-7、第6位相シフタ1-0-8、交差カプラ1-0-9、第1コンバイナ1-0-10、及び第2コンバイナ(1-0-11)を含む。
第1位相差カプラ1-0-1は、第3位相シフタ1-0-5及び第4位相シフタ1-0-6へ結合され、交差カプラ1-0-9及び第1コンバイナ1-0-10へ結合される。第2位相差カプラ1-0-2は、第5位相シフタ1-0-7及び第6位相シフタ1-0-8へ結合され、第2位相シフタ1-0-4及び第2コンバイナ1-0-11へ結合される。第1位相差カプラ1-0-1の第2出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合される。第2位相差カプラ1-0-2の第1出力ポートは、第2位相シフタ1-0-4の入力ポートへ結合される。第2位相シフタ1-0-4の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合される。入力ポート2は、第3位相シフタ1-0-5の入力ポート、第4位相シフタ1-0-6の入力ポート、第5位相シフタ1-0-7の入力ポート、及び第6位相シフタ1-0-8の入力ポートへ夫々結合される。出力ポート3は、第1位相シフタ1-0-3の出力ポート及び第2コンバイナ1-0-11の出力ポートへ夫々結合される。
留意すべきは、信号が位相差カプラの異なる入力ポートで入力される場合に、位相差カプラの出力ポートでの出力信号間の位相差は異なる点である。例えば、上側出力ポートと下側出力ポートとの間でx1の位相差を持った位相差カプラについては、信号がその位相差カプラの情報の上側入力ポートから入力される場合に、その位相差カプラの上側出力ポート及び下側出力ポートは、等しい信号振幅及びx1の位相差を有する信号を出力する。信号が位相差カプラの下側入力ポートから入力される場合に、その位相差カプラの上側出力ポート及び下側出力ポートは、等しい信号振幅及び-x1の位相差を有する信号を出力する。
更に、図2に示される第1構造1-0では、第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、第5位相シフタ1-0-7、及び第6位相シフタ1-0-8は、通信装置の入力ポートへ結合されてよい。しかし、実際のアプリケーションでは、第1構造1-0は第6位相シフタ1-0-8を更に含まなくてもよく、第1構造1-0内の第3位相シフタ1-0-5、第4位相シフタ1-0-6、及び第5位相シフタ1-0-7は、通信装置の入力ポートへ結合される。
例えば、位相シフトユニット1は、図3に示されるような第2構造1-1を更に含んでもよい。第2構造1-1は、第3位相差カプラ1-1-1、第7位相シフタ1-1-2、第8位相シフタ1-1-3、及び第9位相シフタ1-1-4を含む。第3位相差カプラ1-1-1は、第8位相シフタ1-1-3及び第9位相シフタ1-1-4へ結合され、第7位相シフタ1-1-2へ結合される。入力ポート2は、第8位相シフタ1-1-3の入力ポート及び第9位相シフタ1-1-4の入力ポートへ結合される。出力ポート3は、第7位相シフタ1-1-2の出力ポートへ結合される。
以下は、第3位相差カプラ1-1-1の位相差値及び第7位相シフタ1-1-2の位相シフト値を決定する方法について簡単に説明するために、第2構造1-1を一例として使用する。放射アレイの隣接ユニットの入力信号間の位相差とアレイ放射ビームの方向との間には一対一の対応があり、第2構造1-1における第7位相シフタ1-1-2の出力ポート及び第3位相差カプラ1-1-1の出力ポートは通信装置の信号出力ポートへ結合されているので、放射ビームに必要な目標方向は、第2構造1-1における第3位相差カプラ1-1-1の出力ポートからの出力信号と第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの出力信号との間の位相差を決定するために使用されてよい。
本願の技術的解決法についてより良く説明するために、対応する放射ビームの方向に基づき決定される、必要とされるアレイの隣接ユニット間の位相差は、夫々、PD4n+1及びPD4n+2であり、第7位相シフタ1-1-2の位相シフト値はPS7であり、第8位相シフタ1-1-3の位相シフト値はPS8であり、第9位相シフタ1-1-4の位相シフト値はPS9であり、第3位相差カプラ1-1-1の位相差値はx3である、と仮定される。無線周波数ユニットからの信号は、-PS8の位相シフトで第8位相シフタ1-1-3を通る。信号は、第3位相差カプラ1-1-1の第1入力ポートに入力され、位相変化なしで、つまり、-PS8-0で、第3位相差カプラ1-1-1の第1出力ポートから出力される。次いで、出力された信号は、-PS8-0-PS7の位相シフトで第7位相シフタ1-1-2を通る。無線周波数ユニットからの信号は、-PS8の位相シフトで第8位相シフタ1-1-3を通る。信号は、第3位相差カプラ1-1-1の第1入力ポートに入力され、-x3の位相変化を有して第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートから出力される。従って、信号は-PS8-x3に変化する。-PS8-x3は、-PS8-0-PS7から減じられて、PD4n+1が得られる。つまり、-x3+PS7=PD4n+1である。無線周波数ユニットからの信号は、-PS9の位相シフトで第9位相シフタ1-1-4を通る。信号は第3位相差カプラ1-1-1の第2入力ポートに入力され、-x3の位相変化を有して第3位相差カプラ1-1-1の第1出力ポートから出力されるので、位相シフトは-PS9-x3である。次いで、出力された信号は、第7位相シフタ1-1-2を通り、位相シフトは、-PS9-x3-PS7になる。無線周波数ユニットからの信号は、-PS9の位相シフトで第9位相シフタ1-1-4を通る。信号は第3位相差カプラ1-1-1の第2入力ポートに入力され、位相変化なしで第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートから出力されるので、信号の位相シフトは依然として-PS9である。-PS9は、-PS9-x3-PS7から減じられて、x3+PS7が得られる。つまり、x3+PS7=PD4n+2である。x3及びPS7の値は、-x3+PS7=PD4n+1及びx3+PS7=PD4n+2に対して計算を行うことによって決定される。同様に、第1構造1-0では、第1位相差カプラ1-0-1の位相差値、第2位相差カプラ1-0-2の位相差値、第1位相シフタ1-0-3の位相シフト値、及び第2位相シフタ1-0-4の位相シフト値は全て、上記の方法と同様の方法で決定され得る。
例えば、位相シフトユニット1は、図4に示されるような第3構造1-2を更に含んでもよい。第3構造1-2は、パワースプリッタ1-2-1、第10位相シフタ1-2-2、及び第11位相シフタ1-2-3を含む。パワースプリッタ1-2-1は、第10位相シフタ1-2-2及び第11位相シフタ1-2-3へ結合される。入力ポート2は、第11位相シフタ1-2-3の入力ポートへ結合される。出力ポート3は、第10位相シフタ1-2-2の出力ポートへ結合される。
第1構造1-0は、4つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよく、あるいは、3つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてもよい。第2構造1-1は、2つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよい。第3構造1-2は、1つの入力及び2つの出力を備えた構造として理解されてよい。実際のアプリケーションでは、通信装置は、第1構造1-0、第2構造1-1、及び第3構造1-2に基づき構成されてよい。従って、第3コンバイナ5及び第4コンバイナ6が更に本願では導入される。第1構造1-0、第2構造1-1、及び第3構造1-2によって出力される信号は、図5aから図5cに示されるように、第3コンバイナ5及び第4コンバイナ6を使用することによって結合されてよい。
図5aに示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよい、ことが留意されるべきである。図5bに示されるように、位相シフトユニット1が少なくとも1つの第1構造1-0及び1つの第2構造1-1を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートからの信号とを結合してよい。図5cに示されるように、位相シフトユニット1が少なくとも1つの第1構造1-0及び1つの第3構造1-2を含む場合に、第3コンバイナ5は、第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内の第10位相シフタ1-2-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第4コンバイナ6は、第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内のパワースプリッタ1-2-1からの信号とを結合してよい。
実際のアプリケーションでは、通信装置を構成するために具体的に選択される第1構造1-0の数、第2構造1-1の数、及び第3構造1-2の数は、入力ポートの数を4で割ることによって決定され得る(第1構造1-0は最大4つの入力ポートへ結合され得るので、通信装置によって必要とされる第1構造1-0の数、第2構造1-1の数、第3構造1-2の数は、入力ポートの数を4で割ることによってより良く決定され得る)。例えば、入力ポートの数Tが17であり、17を4で割ったときの商が4であり、余りが1である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第3構造1-2、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが18であり、18を4で割ったときの商が4であり、余りが2である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第2構造、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが19であり、19を4で割ったときの商が4であり、余りが3である場合に、4つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第1構造1-0(3つの入力及び2つの出力)、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。入力ポートの数Tが20であり、20を4で割ったときの商が5である場合に、5つの第1構造1-0(4つの入力及び2つの出力)、1つの第3コンバイナ5、及び1つの第4コンバイナ6が、通信装置を構成するために選択され得る。
例えば、図6aに示されるように、8入力3出力ユニットは2つの第1構造1-0から成る。第1の第1構造1-0では、入力ポートaは、位相シフタPS1を通じて位相差カプラX1の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートbは、位相シフタPS2を通じて位相差カプラX1の第2入力ポートへ結合されている。入力ポートcは、位相シフタPS3を通じて位相差カプラX2の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートdは、位相シフタPS4を通じて位相差カプラX2の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX1の第1出力ポートが第1コンバイナ1-0-10の第1入力ポートへ結合された後、第1コンバイナ1-0-10の出力ポートは位相シフタPS9へ結合されている。位相差カプラX1の第2出力ポートが交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合された後、交差カプラ1-0-9の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第1入力ポートへ結合されている。位相差カプラX2の第1出力ポートは、位相シフタPS10の入力ポートへ結合されている。位相シフタPS10の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX2の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第2入力ポートへ結合されている。交差カプラ1-0-9の第1出力ポートは、第1コンバイナ1-0-10の第2入力ポートへ結合されている。第2の第1構造1-0では、入力ポートeは、位相シフタPS5を通じて位相差カプラX3の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートfは、位相シフタPS6を通じて位相差カプラX3の第2入力ポートへ結合されている。入力ポートgは、位相シフタPS7を通じて位相差カプラX4の第1入力ポートへ結合されている。入力ポートhは、位相シフタPS8を通じて位相差カプラX4の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX3の第1出力ポートが第1コンバイナ1-0-10の第1入力ポートへ結合された後、第1コンバイナ1-0-10の出力ポートは位相シフタPS11へ結合されている。位相差カプラX3の第2出力ポートが交差カプラ1-0-9の第1入力ポートへ結合された後、交差カプラ1-0-9の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第1入力ポートへ結合されている。位相差カプラX4の第1出力ポートは、位相シフタPS12の入力ポートへ結合されている。位相シフタPS12の出力ポートは、交差カプラ1-0-9の第2入力ポートへ結合されている。位相差カプラX4の第2出力ポートは、第2コンバイナ1-0-11の第2入力ポートへ結合されている。交差カプラ1-0-9の第1出力ポートは、第1コンバイナ1-0-10の第2入力ポートへ結合されている。位相シフタPS9の出力ポート及び位相シフタPS11の出力ポートは、第3コンバイナ5へ接続されている。第1の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートと、第2の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートとは、第4コンバイナ6の出力ポートへ接続されている。
更に、通信装置の入力ポートa~hは、図6bに示されるように、パワースプリッタへ更に結合されてもよく、出力ポートはこのようにして拡張されてよい。図6bは、8チャネル入力信号がパワースプリッタを使用することによってマルチチャネル信号に分割され、マルチチャネル信号が32個の8入力2出力(2つの第1構造1-0(4入力2出力)によって構成される)ユニットに入力される8入力64出力通信装置を示す。図6bに示されている8入力64出力通信装置では、各8入力2出力ユニットの4つの位相差カプラ(2つの第1位相差カプラ1-0-1及び2つの第2位相差カプラ1-0-2)の位相差値及び位相シフタ(2つの第1位相シフタ1-0-3及び2つの第2位相シフタ1-0-4)の位相シフト値は、夫々同じである。具体的な値は、必要とされるビームの方向に基づき決定される。図6bに示されている8入力2出力ユニット内の位相差カプラの入力ポートへ結合されている8つの位相シフタは、異なる8入力2出力ユニットに対応する8つのビームに対応する初期位相を調整するよう構成されてよい。図6bは、同じ2次元アンテナアレイのユニット配置を示す。相応して、j行目i列目にある8入力2出力ユニットのPS1、PS2、PS3、PS4、PS5、PS6、PS7及びPS8は、夫々、PS1=-2(i-1)PD1_column-(j-1)PD1_row、PS2=-2(i-1)PD2_column-(j-1)PD2_row、PS3=-2(i-1)PD3_column-(j-1)PD3_row、PS4=-2(i-1)PD4_column-(j-1)PD4_row、PS5=-2(i-1)PD5_column-(j-1)PD5_row、PS6=-2(i-1)PD6_column-(j-1)PD6_row、PS7=-2(i-1)PD7_column-(j-1)PD7_row、及びPS8=-2(i-1)PD8_column-(j-1)PD8_rowである。PD1_column及びPD1_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム1によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD2_column及びPD2_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム2によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD3_column及びPD3_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム3によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD4_column及びPD4_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム4によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD5_column及びPD5_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム5によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD6_column及びPD6_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム6によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD7_column及びPD7_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム7によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。PD8_column及びPD8_rowは、夫々、図6bに示されているアンテナアレイの放射ビーム8によって必要とされる、隣接する列の間の入力信号の位相差、及び隣接する行の間の入力信号の位相差である。
本願で、図6bに示されている通信装置は、8×8の2次元アンテナアレイへ接続することによって、独立して調整することができる8つのビームを生成し得る。アレイ内のアンテナ要素が一様に分布するとき、間隔は半波長であり、ビーム1からビーム8のメインローブは全て、φ=0°の平面上にあり(φは球面座標のアジマスである)、必要とされるビームの方向角度が夫々θ
1=-40°、θ
2=-24°、θ
3=-13°、θ
4=16°、θ
5=-16°、θ
6=27°、θ
7=0°、及びθ
8=46°である場合に(θは球面座標のピッチ角度である)、通信装置の各行にあり各ビームによって必要とされる隣接出力ポート間の位相差は0°であり、各列の隣接出力ポート間の位相差は表1に示される、と仮定される。更に、調整可能な位相差を有する各8入力2出力カプラの位相差値及び4つの位相シフタの位相シフト値は、夫々、x
1=-22.5°、x
2=-45°、x
3=-67.5°、x
4=-67.5°、PS
10=-102.5°、PS
9=97.5°、PS
12=-50°及びPS
13=-17.5°である。8入力2出力通信装置のj行目i列目にあるPS
1、PS
2、PS
3、PS
4、PS
5、PS
6、PS
7及びPS
8は、夫々、PS
1=-240(i-1)、PS
2=-150(i-1)、PS
3=-80(i-1)、PS
4=100(i-1)、PS
5=-100(i-1)、PS
6=170(i-1)、PS
7=0、及びPS
8=270(i-1)である。通信装置の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値が上記のデータに基づきセットされる場合に、対応する8×8の2次元アンテナアレイによって生成される8つのビームの分布が図7aに示されている。図7bは、φ=0°平面内のビーム分布図である。図7aには、8つの波ピークがある。すなわち、相応して、図7bの8つのビームは、夫々、ビーム1、ビーム2、ビーム3、ビーム4、ビーム5、ビーム6、ビーム7、及びビーム8である。
通信装置は、各ビームの方向を独立に調整し得る。ビーム1が一例として使用される。図8aから図8dは、ビーム1が他の7つのビームに影響を及ぼさずにx方向で独立した走査を実施することを示す。ビーム1の初期状態は図7bに示されており、ビーム方向(θ,φ)=(-40,0)°である。表2に示されているように、位相差カプラの位相差x
1と位相シフタの位相シフト値PS
10及びPS
11とが同時に調整される場合に、ビーム1は、図8aに示される(θ,φ)=(-9,0)°、図8bに示される(θ,φ)=(5,0)°、図8cに示される(θ,φ)=(19,0)°、及び図8dに示される(θ,φ)=(35,0)°に独立して走査し得る。
更に、図9a及び図9bは、y方向でのビーム7による独立した走査の模式図を示す。ビーム7の方向角度は、図7aに示されている初期位置(θ,φ)=(0,0)°から図9aに示されている(θ,φ)=(19,270)°に、又は図9bに示されている(θ,φ)=(19,90)°に調整される。走査は、図6bのj行目の8入力2出力ユニットの位相シフタ7の位相シフト値をPS7=-60(j-1)°及びSP7=60(j-1)°に調整することによって実施される。
本願で、第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、第8コンバイナ10、第4位相差カプラ11、及び第5位相差カプラ12が更に、図10a-1及び図10a-2に示されるように、通信装置によって必要とされる位相シフタの数を更に減らすよう導入される。位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
図10b-1及び図10b-2に示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0及び1つの第2構造1-1を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第7位相シフタ1-1-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号と、第2構造1-1内の第3位相差カプラ1-1-1の第2出力ポートからの信号とを結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
図10c-1及び図10c-2に示されるように、位相シフトユニット1が複数の第1構造1-0及び1つの第3構造1-2を含む場合に、第5コンバイナ7は、奇数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号と、第3構造1-2内の第10位相シフタ1-2-2の出力ポートからの信号とを結合してよく、第5コンバイナ7の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第1入力ポートへ結合され、第6コンバイナ8は、奇数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第6コンバイナ8の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第1入力ポートへ結合され、第7コンバイナ9は、偶数番目の第1構造1-0内の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を結合してよく、第7コンバイナ9の出力ポートは、第4位相差カプラ11の第2入力ポートへ結合され、第8コンバイナ10は、偶数番目の第1構造1-0内の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を結合してよく、第8コンバイナ10の出力ポートは、第5位相差カプラ12の第2入力ポートへ結合される。
留意すべきは、位相シフトユニット1が、順にソートされている複数の第1構造1-0、例えば、10個の第1構造1-0を含む場合に、上記の奇数番目は、1番目、3番目、5番目、7番目、及び9番目と理解されてよく、上記の偶数番目は、2番目、4番目、6番目、8番目、及び10番目と理解されてよい点である。
本願で、第4位相差カプラ11及び第5位相差カプラ12は、通信装置の出力ポートの数を増やすために導入されており、それにより、通信装置内の位相シフタの数は更に減らすことができる。
第4位相差カプラ11の位相差値がx4=0であり、第5位相差カプラ12の位相差値がx5=0である場合に、8入力2出力ユニット内の位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は、図7aのビームに対応する位相シフタの位相シフト値及び位相差カプラの位相差値に基づき設定されてよく、空間分布における8つのビームが取得され得る。x方向での8つのビームによる走査は、図7aのそれと完全に同じであり、つまり、8つのビームは、x方向において独立にかつ自由に走査を行い得る。しかし、8つのビームは、y方向では2つのグループで独立して走査を行う。ビーム1から4がグループを形成し、ビーム5から8がグループを形成する。更に、y方向でのビームによる走査は、位相差カプラx4及びx5の値を調整することによって実施される。図11a及び図11bは、y方向での各グループに対応するビームによって、x4=x5=-45°及びx4=x5=-135°であるときに、異なる位相、異なる値で走査される異なる角度に夫々対応する。
更に、実際のアプリケーションでは、第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、及び第8コンバイナ10が位相シフトユニット1内の信号を結合する場合に、信号結合方法は上記の信号結合方法に制限されない。他の信号結合方法が更に含まれてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。例えば、位相シフトユニット1が2n個の第1構造1-0を含む場合に、第5コンバイナ7は、1番目の第1構造の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号をn番目の第1構造に結合してよく、第6コンバイナ8は、1番目の第1構造の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号をn番目の第1構造1-0に結合してよく、第7コンバイナ9は、n+1番目の第1構造の第1位相シフタ1-0-3の出力ポートからの信号を2n番目の第1構造1-0に結合してよく、第8コンバイナ10は、n+1番目の第1構造の第2コンバイナ1-0-11の出力ポートからの信号を2n番目の第1構造1-0に結合してよい。nは整数であり、nは0以上である。位相シフトユニット1の出力信号が第5コンバイナ7、第6コンバイナ8、第7コンバイナ9、及び第8コンバイナ10を使用することによって結合される如何なる方法も、本願に適用可能である。
例えば、通信装置は、図12に示されるように、コントローラ4を更に含んでもよい。コントローラ4は、位相シフトユニット1へ結合されている。コントローラ4は、上記の方法で通信装置内の位相シフタの位相シフト値及び位相差カプラの位相差値を決定し、決定された位相シフト値及び位相差値に基づいて位相シフトユニット1のパラメータを調整し得る。パラメータは、次の:第1位相差カプラ1-0-1のパラメータ、第2位相差カプラ1-0-2のパラメータ、第3位相差カプラ1-1-1のパラメータ、第1位相シフタ1-0-3のパラメータ、第2位相シフタ1-0-4のパラメータ、第3位相シフタ1-0-5のパラメータ、第4位相シフタ1-0-6のパラメータ、第5位相シフタ1-0-7のパラメータ、第6位相シフタ1-0-8のパラメータ、第7位相シフタ1-1-2のパラメータ、第8位相シフタ1-1-3のパラメータ、第9位相シフタ1-1-4のパラメータ、第10位相シフタ1-2-2のパラメータ、及び第11位相シフタ1-2-3のパラメータ、のうちの少なくとも1つのパラメータを含むが、これに限られない。実際のアプリケーションでは、コントローラ4は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array,FPGA)又はデジタル・シグナル・プロセッシング(digital signal processing,DSP)チップを使用することによって実装されてよく、あるいは、他のハードウェア様式又はソフトウェア様式で実装されてもよい。これは、本願においてここで具体的に制限されない。
更に、留意すべきは、本願の位相差カプラは、単極多投スイッチを使用することによって位相差を調整可能な位相差カプラ、固定位相差を有する位相差カプラ、及び固定位相シフト値を有する位相シフタを実装してもよい点である。図13は、調整可能な位相差を有する位相差カプラの具体的な構造を示す。当該構造を有している位相差カプラの位相差値の調整範囲は、0°から180°までであり(0°及び180°を含む)、調整ステップは22.5°である。図13に示されるように、構造は、2つの単極8投スイッチA及びBと、-45°の位相差を有する4つの3dB位相差カプラと、45°の位相差を有する4つの3dB位相差カプラと、16個の固定位相シフタと、出力ポートCと、出力ポートDとを含む。位相シフタの位相シフト値の分布も図13に示されている。この構造において、異なる位相差値を有する位相差カプラは、スイッチにより異なる入力ポートを選択することによって実装される。入力ポートと出力ポートとの間の位相差の対応は表
3に示されている。実際のアプリケーションでは、表
3の一部の行及び列しか適用されなくてもよい、これはここで具体的に制限されない。例えば、単極多投スイッチAが入力ポートbに接続され、単極多投スイッチBが入力ポートjに接続される場合に、当該構造により決定される調整可能な位相差カプラの位相差値は-22.5である。単極多投スイッチAが入力ポートdに接続され、単極多投スイッチBが入力ポートlに接続される場合に、当該構造により決定される調整可能な位相差カプラの位相差値は-45である。
本願に従って、通信装置を使用することによってビームフォーミングが行われる場合に、調整可能な位相差を有する位相差カプラが導入され、それにより、ビームフォーミング中に必要とされる位相シフタの数は減らすことができる。異なるチャネルでの信号は、第1位相シフタ1-0-3及び第2位相シフタ1-0-4と共有し得る。位相シフタ多重化の場合に、位相シフタの数はやはり減らすことができ、ビームフォーミング中のデバイスオーバヘッドは減らすことができ、デバイスの電力消費は更に削減され得る。更に、位相差カプラの位相差値及び位相シフタの位相シフト値は調整され、それにより、複数のビームは柔軟に調整及び制御することができ、各ビームによる独立した走査が実装され得る。
当業者であれば、本願の実施形態が方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてよいことを理解するはずである。従って、本願は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実施形態の形式を使用する可能性がある。更に、本願は、コンピュータが使用可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータが使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリ、などを含むが限られない)で実装されるコンピュータプログラム製品の形式を使用する可能性がある。
本願は、本願に従う方法、デバイス(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して記載される。コンピュータプログラム命令が、フローチャート及び/又はブロック図内の各プロセス及び/又は各ブロック並びにフローチャート及び/又はブロック図内のプロセス及び/又はブロックの組み合わせを実装するために使用されてよいことが理解されるべきである。コンピュータプログラム命令は、マシンを発生させるよう汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋め込みプロセッサ、又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスのプロセッサに与えられてよく、それにより、コンピュータ又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装するための装置を発生させる。
コンピュータプログラム命令は、代替的に、特定の方法で動作するようにコンピュータ又は任意の他のプログラム可能データ処理デバイスに指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、それにより、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令は、命令装置を含むアーチファクトを発生させる。命令装置は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装する。
コンピュータプログラム命令は、代替的に、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理デバイスにロードされてもよく、それにより、一連の動作及びステップは、コンピュータにより実施される処理を発生させるよう、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスで実行される。従って、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスで実行された命令は、フローチャート内の1つ以上のプロセスでの及び/又はブロック図内の1つ以上のブロックでの具体的な機能を実装するステップをもたらす。
当業者であれば、本願の範囲から逸脱せずに、本願に対して様々な変更及び変形を行うことができることは、明らかである。本願は、本願のそれらの変更及び変形が後続の特許請求の範囲及びそれらの同等の技術によって定義される保護の範囲内にあるという条件で、変更及び変形をカバーするよう意図される。
[関連出願への相互参照]
本願は、2020年9月14日に「COMMUNICATION APPARATUS AND SYSTEM」との発明の名称で中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第202010959909.5号に対する優先権を主張するものである。先の中国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。