JP2023541007A - ウイルス感染処置のための化合物および方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、インフルエンザ、ライノウイルスまたはヒトコロナウイルス、例えばSARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスおよびCOVID-19などのβコロナウイルス感染を含むウイルス感染により生じる、ウイルス感染に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む症状または後遺症を処置するための、化合物および方法に関する。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2020年9月4日出願の米国仮出願第63/074,602号および2021年1月28日出願の米国仮出願第63/142,669号の35 U.S.C.第119条(e)に基づく優先権を主張し、これら両方の開示は出典明示により本明細書の一部とする。
(発明の分野)
本開示は、インフルエンザ、ライノウイルスまたはヒトコロナウイルス、例えばSARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスおよびCOVID-19などのβコロナウイルス感染を含むウイルス感染により生じる、ウイルス感染に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む症状または後遺症を処置するための、化合物および方法に関する。
ウイルス感染は、ヒト集団で最も蔓延している健康リスクの1つである。ウイルス感染は、インフルエンザ、コロナウイルス、ライノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、発疹性ウイルス、肝臓ウイルスなどを含む様々なウイルスに由来する。ウイルス感染から生じる病気の重症度は、最小限または軽度から致死の臨床結果までの範囲であり得る。コロナウイルス、特にβコロナウイルスは、ヒトに影響を及ぼし、軽度から致死までの範囲の呼吸器感染を引き起こし得る、関連RNAウイルスのグループである。ヒト疾患を引き起こすβコロナウイルス(ヒトコロナウイルス、HCoV)は、SARS-CoV-1(SARS)、MERS-CoV(MERS)、HCoV-HKU1、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-229E、および直近のSARS-CoV-2(COVID-19)として表される7つの構成員を含む。ヒトでの軽度の病気は、一般的な風邪(コロナウイルスによって引き起こされ、他のウイルス、主にライノウイルスによっても引き起こされる)のいくつかのケースを含み、一方、より致死的な種類は、SARS、MERSおよびCOVID-19を引き起こし得る。
COVID-19は、主に感染者が呼吸、咳またはくしゃみをしたときに生成される呼吸器飛沫を介して、人から人へと広がると考えられている。新たなデータは、COVID-19の重症度が患者の肺のウイルス量と相関している可能性があることを示唆している。吸入後、SARS-CoV-2は、鼻腔の上皮細胞に感染し、複製を開始する。感染した細胞は、ウイルス粒子を放出し、それが隣接する細胞に感染する。疾患が進行するにつれて、ウイルス粒子が肺のII型肺胞細胞に感染する。これらの細胞は、大量のウイルス粒子を産生し、最終的には死に、肺の上皮層に損傷を引き起こす。この損傷とそれに対応する免疫反応により、肺炎の一種が引き起こされる。2020年8月の時点で、世界の少なくとも200か国で2,500万人以上が感染しており、ほとんどの症例は米国、ブラジルおよびインドで報告されており、ウイルスによる世界の死者数は急速に85万人に近づいている。
COVID-19の感染の臨床所見は、主に悪性肺炎として現れる。疾病管理センター(CDC)によって特定されたCOVID-19の現在の症状のリストには、発熱、咳、息切れまたは呼吸困難、悪寒、悪寒を伴う繰り返しの震え、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、味覚または嗅覚の喪失、持続的な胸部の痛みまたは圧迫感、混乱または覚醒不可、蒼白の唇または顔、下痢または嘔吐が含まれる。COVID-19の重症度レベルは、一般的に3つのレベルに分類される:軽度の病気(一般的に無症状);重度の病気(測定可能な呼吸困難を含む);および重篤な病気(呼吸不全、ショックまたは多臓器不全を特徴とする)。COVID-19の全体的な死亡率は低いが(1.4~2.3%)、併存疾患のある患者は重症化して死亡する可能性が高くなる。利用可能なほとんどの研究は、真性糖尿病(DM)がより深刻な疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARD)、および死亡率の増加と関連していることを示している。
今日まで、SARS-CoV-2またはSARS-CoV-2感染により生じる病気の効果的な処置または予防は、開発または承認されていない。したがって、SARS-CoV-2を含む、インフルエンザおよびβコロナウイルスなどのウイルス感染の処置(ウイルス感染により生じるまたは悪化する疾患および障害の処置を含む)が必要とされている。
一態様において、本開示は、治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を投与することを含む、ウイルス感染、例えばインフルエンザ、ライノウイルスまたはβコロナウイルス感染を有する対象体を処置する方法を提供する。
別の態様において、本開示は、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体、および所望により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、ウイルス感染、例えばインフルエンザ、ライノウイルスまたはβコロナウイルス感染を処置するための治療有効量である、医薬組成物を提供する。
別の態様において、本開示は、ウイルス感染、例えばインフルエンザ、ライノウイルスまたはβコロナウイルス感染を有する対象体を処置するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の使用を提供する。
本開示の更なる実施態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および本開示の実施を通じて明らかになる。本開示の化合物、方法および組成物は、以下に挙げる項のいずれかにおける実施態様として記載され得る。本明細書に記載の実施態様のいずれも、実施態様が互いに矛盾しない範囲で、本明細書に記載の他の実施態様と関連して用い得ると理解される。
1. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を投与することを含む、ウイルス感染、例えばインフルエンザ、ライノウイルスまたはβコロナウイルス感染を有する対象体を処置する方法。
2. βコロナウイルス感染が、SARS-CoV-2感染である、項1に記載の方法。
3. βコロナウイルス感染が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)および血糖値上昇の1つ以上を対象体において引き起こしたかまたは悪化させた、項1または2に記載の方法。
4. 治療有効量が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を処置する、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
5. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮または経鼻投与される、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
6. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、経口投与される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、約200mg~約2100mgの範囲である、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
8. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、1日1回(QD)、1日2回(BID)または1日3回(TID)投与される、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、1回の投与当たり約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの用量にて1日2回(BID)投与される、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
10. 1つ以上の更なる補助剤の投与をさらに含む、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
11. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、項10に記載の方法。
12. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、項10または11に記載の方法。
13. 処置を受ける患者の臨床結果が、ICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下および/またはホスピス開始率の低下である、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
14. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体、および所望により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、ウイルス感染、例えばβコロナウイルス感染を処置するための治療有効量である、医薬組成物。
15. N-アセチルグルコサミンが、組成物中約200mg~約2100mgの量である、項14に記載の医薬組成物。
16. N-アセチルグルコサミンが、組成物中約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの量である、項14または15に記載の医薬組成物。
17. 1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、項14~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
18. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、項17に記載の医薬組成物。
19. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、項17または18に記載の医薬組成物。
20. ウイルス感染、例えばβコロナウイルス感染を有する対象体を処置するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の使用。
21. βコロナウイルス感染が、SARS-CoV-2感染である、項20に記載の使用。
22. βコロナウイルス感染が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、および血糖値上昇の1つ以上を対象体において引き起こしたかまたは悪化させた、項20または21に記載の使用。
23. 医薬が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を処置するのに有効なN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の量を含む、項20~22のいずれか一項に記載の使用。
24. 医薬が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮または経鼻投与される、項20~23のいずれか一項に記載の使用。
25. 医薬が、経口投与される、項20~24のいずれか一項に記載の使用。
26. 医薬が、約200mg~約2100mgの範囲のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の量を含む、項20~25のいずれか一項に記載の使用。
27. 医薬が、1日1回(QD)、1日2回(BID)または1日3回(TID)投与される、項20~26のいずれか一項に記載の使用。
28. 医薬が、1日2回(BID)投与され、医薬中に約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を含む、項20~27のいずれか一項に記載の使用。
29. 医薬が、1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、項20~28のいずれか一項に記載の使用。
30. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、項29に記載の使用。
31. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、項29または30に記載の使用。
32. 処置を受ける患者の臨床結果が、ICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下および/またはホスピス開始率の低下である、項20~31のいずれか一項に記載の使用。
33. 式
Figure 2023541007000002
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
図1は、IL-1βの存在下および非存在下での様々な濃度のヒト軟骨細胞に対するCpd1、Cpd2およびGlnの細胞増殖(細胞毒性)アッセイの結果を示すグラフである。*P<0.05対対照(Con)。各化合物および濃度について、左側のバーはIL-1βが存在しない場合、右側のバーはIL-1βが存在する場合である。
図2は、様々な濃度(1、3.3および10mM)のCpd1およびCpd2、ならびに1および10mMのGlnによるNO産生の阻害についてのアッセイの結果を示す図である。*P<0.05対IL-1β。
図3は、様々な濃度のCpd2での処理による炎症誘発性遺伝子IL-6の発現の用量依存的阻害についてのアッセイの結果を示す図である。*P<0.05対IL-1β。
図4は、様々な濃度のCpd2での処理による炎症誘発性遺伝子COX-2の発現の用量依存的阻害についてのアッセイの結果を示す図である。*P<0.05対IL-1β。
図5は、IL-1βで刺激されたヒト軟骨細胞におけるIL-6の産生に対するCpd1、Cpd2およびGlnの様々な濃度での投与の結果を示す図である。*P<0.05対IL-1β。
本開示をさらに説明する前に、本開示は、記載する特定の実施態様に限定されず、当然変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で用いる用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではないことも理解されたい。
簡潔にするために、本明細書で引用する特許を含む刊行物の開示は、出典明示により本明細書の一部とする。他に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈で明確に示されない限り、複数形の言及を含む。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草できることに留意されたい。そのため、この記載は、請求項の構成要素の記載と関連して「だけ(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」限定の使用のための先行詞として機能することを意図している。
本明細書で用いる用語「含む(including)」、「含む(containing)」、および「含む(comprising)」は、オープンで非限定的な意味で用いる。
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載されている量的表現の一部は、用語「約」で修飾されていない。用語「約」が明示的に使用されているかどうかにかかわらず、本明細書で与えられているすべての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、当業者に基づいて合理的に推測されるそのような所与の値の近似値(そのような所与の値の実験および/または測定条件による等価物および近似値を含む)を指すことも意図されることが理解される。
他に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および材料も、本開示の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料をここで説明する。
明確にするために、別個の実施態様の文脈で記載される本開示の特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施態様の文脈で説明される本開示の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
(代表的な実施態様)
いくつかの実施態様において、本開示は、治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を投与することを含む、βコロナウイルス感染を有する対象体を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、βコロナウイルス感染を有する対象体を処置するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の使用を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体、および所望により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、βコロナウイルス感染を処置するための治療有効量である、医薬組成物を提供する。本明細書で用いる用語「N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体」(化合物とも称する)は、式
Figure 2023541007000003
で示される、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((2R,3R,4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)、式
Figure 2023541007000004
で示される、2-(アセチルアミノ)-1,2,3-トリデオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((3R,5S,6R)-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)(化合物1またはCpd1とも称する)、式
Figure 2023541007000005
で示される、2-(アセチルアミノ)-2,4,6-トリデオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((2R,3R,4S,6R)-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)(化合物2またはCpd2とも称する)
またはその医薬的に許容される塩を含む。
いくつかの実施態様において、本開示は、式
Figure 2023541007000006
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施態様において、本開示は、式
Figure 2023541007000007
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施態様において、本開示は、式
Figure 2023541007000008
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物を提供する。
本明細書で用いる用語「対象体」は、ヒト、または獣医学的適用の場合には、実験動物、農業用動物、家庭用動物もしくは野生動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒト、実験動物、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジー、家庭用動物、例えばイヌ、ネコおよびウサギ、農業用動物、例えばウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギを含むがこれらに限定されない、対象体に適用できる。
本明細書で用いる用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって対象(すなわち、組織系、動物またはヒト)において求められている生物学的または医学的応答(処置すべき疾患または障害の症状の軽減を含むがこれらに限定されない)を誘発する薬物または薬剤の量を指す。いくつかの実施態様において、治療有効量は、任意の医学的処置に適用可能な合理的なリスク・ベネフィット比で疾患または疾患の症状を処置または軽減し得る活性物質の量である。いくつかの実施態様において、治療有効量は、通常の代謝プロセスを介して変換されたときに、求められている対象において生物学的または医学的応答を誘発できる量の活性薬物を生成する不活性プロドラッグの量である。
本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、インフルエンザ、コロナウイルスおよびライノウイルスなどを含むがこれらに限定されない様々なウイルス感染により生じる病気に適用できると理解されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、ヒトに影響を及ぼし、軽度から致死までの範囲の呼吸器感染を引き起こし得る、インフルエンザ、ライノウイルス、またはコロナウイルス、特にβコロナウイルスから生じる病気に適用できる。いくつかの実施態様において、βコロナウイルスは、SARS-CoV-1(SARS)、MERS-CoV(MERS)、HCoV-HKU1、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-229E、SARS-CoV-2(COVID-19)などを含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いるCOVID-19は、SARS-CoV-2コロナウイルスにより引き起こされるコロナウイルス病2019を指す。炎症を引き起こす病原性細胞の集団は、例えば、COVID-19をもたらすSARS-CoV-2感染の結果として、対象体に肺炎などの様々な病気および症状を引き起こし得ると理解されたい。いくつかの実施態様において、インフルエンザ、ライノウイルスまたはコロナウイルス、特にSARS-CoV-2感染を経験している対象体の病気または症状は、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、全身性炎症反応症候群、例えばサイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、炎症、多臓器炎症症候群、血管炎、発熱、悪寒を伴う発熱、疲労、食欲不振、筋肉痛、関節痛、悪心、嘔吐、頭痛、発疹、腎疾患、腸疾患、肝疾患、下痢、頻呼吸、低酸素血症、頻脈、脈圧拡大、低血圧、心拍出量増加、心拍出量の潜在的な減少、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、血糖値上昇、D-ダイマーの上昇、低フィブリノゲン血症、出血を伴う低フィブリノゲン血症、高窒素血症、トランスアミノ炎、高ビリルビン血症、精神状態の変化、混乱、せん妄、喚語困難、幻覚、振戦、測定障害、歩行の変化、および発作を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2感染を経験している対象体の病気または症状は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、および血糖値上昇を含むが、これらに限定されない。
いくつかの例において、SARS-CoV-2を含むインフルエンザ、ライノウイルスまたはコロナウイルス感染の結果として対象体が経験する病気および/または症状は、挿管または人工呼吸または死亡に至り得る。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、グルコサミン受容体との相互作用によってウイルスRNA複製を減少させ、これがウイルス量の減少を引き起こし、最終的に挿管または人工呼吸または死亡の発生率の低下を引き起こすことができると考えられる。
本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、所定の処置を受ける患者の臨床結果、例えばICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下、ホスピス開始率の低下、挿管率の低下、死亡率の低下などを生じるかまたは提供することができると理解されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法および組成物による処置を受ける患者の臨床結果は、ICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下およびホスピス開始率の低下を含む。
本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、当該技術分野で知られているあらゆる投与様式で投与され得ると理解されたい。本明細書に記載の「投与する」または「投与される」は、経口(po)、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、吸入、バッカル、眼、舌下、鼻、膣、直腸などを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の化合物および組成物を対象体へ導入するすべての手段を含む。本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、従来の無毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよび/またはビヒクルを含む、単位剤形および/または製剤で投与され得る。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、経口投与され得る。経口投与に適する製剤は、固形製剤、例えば錠剤、粒子を含有するカプセル剤、液剤、または散剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、咀嚼錠、ナノ多粒子剤、ゲル剤、固溶液剤、リポソーム剤、フィルム剤、丸剤(ovules)、スプレー剤および液体製剤を含む。
液体製剤は、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。このような製剤は、軟または硬カプセル剤中に充填剤として用いられ得て、典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油、および1つ以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、例えば小袋から、固体の再構成により調製され得る。
結合剤は、一般的に、錠剤の製剤に凝集性を付与するために用いられる。適切な結合剤としては、結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、結晶セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物を含み得る。
錠剤はまた、所望により、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および流動促進剤、例えば二酸化ケイ素およびタルクを含む。存在するとき、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%~5重量%を構成し得て、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%~1重量%を構成し得る。
錠剤はまた、一般的に、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。滑沢剤は、一般的に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%を構成する。
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、着香剤、防腐剤および味マスキング剤を含む。例示的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%~25 約90重量%の結合剤、約0重量%~約85重量%の希釈剤、約2重量%~約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%~約10重量%の滑沢剤を含む。
錠剤混合物を、直接またはローラーにより圧縮して、錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤混合物または混合物の一部を、打錠前に、湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固または押出し得る。最終製剤は、1つ以上の層を含み得て、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。カプセル化されてもよい。錠剤の製剤は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1, by H. Lieberman and L. Lachman (Marcel Dekker, New York, 1980)に説明されている。
経口投与用の固形製剤を、即時および/または調節放出製剤に製剤化し得る。調節放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、血流、筋肉または内臓に直接投与され得る。非経腸投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下投与手段を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、1つ以上の更なる補助剤、例えばビタミン、必須ミネラル、薬物などと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、1つ以上の更なる補助剤は、ビタミンA、ビタミンB、例えば葉酸、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である。
本明細書に記載の化合物および組成物を投与するためのあらゆる効果的なレジメンを用い得る。例えば、本明細書に記載の化合物および組成物を、単回投与として投与することができ、または投与を、1日に複数回投与のレジメンとして分割して、投与することができる。また、時差レジメン、例えば週に1~5日が、毎日の処置に代わって用いられ得る。いくつかの実施態様において、対象体は、本明細書に記載の方法、使用、化合物または組成物を複数回用量で投与される。いくつかの実施態様において、対象体は、本明細書に記載の化合物または組成物を複数回用量(好ましくは約2~約80用量)で、例えば8~72時間間隔または8~12時間間隔にて投与される。
本明細書に記載のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体でのあらゆる適切な治療コースを用い得る。一実施態様において、個々の用量および投与レジメンは、ある1日の間に約200mg~約2100mg;または約500mg~約1500mgの総用量が投与されるように選択される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、1日1回投与(QD)または1日2回投与(BID)または1日3回投与(TID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、1回の投与当たり約300mg~約900mgの用量にて1日2回投与(BID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、約600mg~約800mgの用量にて1日2回投与(BID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、約700mgの用量にて1日2回投与(BID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、数日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間など続くサイクルで投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、10~45日間、または処置の中止が処置している医者によって観察される患者の状態により示されるまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、10~20日間、または処置の中止が処置している医者によって観察される患者の状態により示されるまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、25~35日間、または処置の中止が処置している医者によって観察される患者の状態により示されるまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体は、本明細書に記載の方法または使用において、約30日間、または処置の中止が処置している医者によって観察される患者の状態により示されるまで、毎日投与される。
本明細書に記載のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の単位1日用量は、患者の状態、処置されるウイルス、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の投与経路、および本明細書に記載の更なる補助剤の共投与の可能性に応じて著しく変化させ得ると理解される。患者に投与される有効量は、体表面積、体重および患者の状態の医師による評価に基づく。
(化合物合成)
以下で提供される実施例および製造は、本開示の実施態様の特定の態様をさらに説明および例示する。本開示の範囲は、以下の実施例の範囲により決して限定されないと理解されるべきである。
実施例1:2-(アセチルアミノ)-1,2,3-トリデオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((3R,5S,6R)-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)の製造
化合物1をスキーム1に従って製造した。
Figure 2023541007000009
工程1:化合物1-2の製造
Figure 2023541007000010
化合物1-1(200g)のAcCl(600mL)中の溶液を、30℃にて48時間撹拌した。反応混合物をDCM(2L)で希釈し、氷水(2L)に注いだ。混合物をDCM(1L×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(1L×2)および食塩水(800mL×3)で乾燥した。合わせた有機層を無水Na2SO4で洗浄し、その後ろ過し、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE:EA、1:0~1:1)により精製して、化合物1-2(162.6g、49%)を淡黄色の固体として得た。TLC:PE:EA = 1:2、I2 ;Rf (化合物1-2) = 0.5。LC-MS:366.25 [M+1]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.17 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.31 (dd, J = 10.7, 9.4 Hz, 1H), 5.19 (t, J = 9.7 Hz, 1H), 4.56 - 4.47 (m, 1H), 4.31 - 4.21 (m, 2H), 4.15 - 4.07 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 2.03 (s, 6H), 1.97 (s, 3H)。
工程2:化合物1-3の製造
Figure 2023541007000011
化合物1-2(162.5g、442.3mmol、1.0当量)のトルエン(1.6L)中の懸濁液に、AIBN(7.3g、44.2mmol、0.1当量)および水素化トリ-n-ブチルすず(193.2g、663.5mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を118℃にてN2下で16時間撹拌した。反応混合物をKF水溶液(2N、1.6L)に注ぎ、1時間撹拌した。混合物をろ過し、ろ液をDCM(1L×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(900mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE:EA、3:1~0:1)により精製して、化合物1-3(134.0g、91%)を白色の固体として得た。TLC:PE:EA = 0:1、UV;Rf (化合物1-2) = 0.7、Rf (化合物1-3) = 0.4。LC-MS:332.25 [M+1]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.66 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 5.07 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 4.93 (t, J = 9.7 Hz, 1H), 4.17 (m, 4H), 3.57 - 3.49 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 2.10 - 2.02 (m, 9H), 1.93 (s, 3H)。
工程3:化合物1-4の製造
Figure 2023541007000012
化合物1-3(134.0g、404.4mmol、1.0当量)のメタノール(1.4L)中の溶液に、NaOCH3(132g、2.42mol、6.0当量)を加えた。混合物を室温にてN2下で16時間撹拌した。反応混合物を中和した。混合物をろ過し、ろ液を真空で濃縮して、粗製化合物1-4(154g)を淡黄色のガムとして得て、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 3.89 (dd, J = 10.9, 5.2 Hz, 1H), 3.84 - 3.75 (m, 2H), 3.60 (m, 1H), 3.38 - 3.32 (m, 1H), 3.24 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.14 (m, 1H), 3.09 (t, J = 10.9 Hz, 1H), 1.94 (s, 3H)。
工程4:化合物1-6の製造
Figure 2023541007000013
化合物1-4(98.0g、407.6mmol、1.0当量)のベンズアルデヒド(1-5、950mL)中の懸濁液に、ZnCl2(130.0g、955.1mmol、2.3当量)を加えた。反応混合物を室温にてN2下で16時間撹拌した。水(800mL)および石油エーテル(PE、500mL)を加えた。混合物をろ過し、ろ過ケーキをPEで洗浄し、乾燥して、化合物1-6(85.0g、2工程で88%)を白色の固体として得た。LC-MS:294.20 [M+1]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.53 - 7.43 (m, 2H), 7.39 - 7.26 (m, 3H), 5.57 (s, 1H), 4.26 - 4.18 (m, 1H), 3.97 - 3.88 (m, 2H), 3.77 - 3.62 (m, 2H), 3.48 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 3.33 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 3.21 (s, 1H), 1.95 (s, 3H)。
工程5:化合物1-8の製造
Figure 2023541007000014
化合物1-6(102.0g、347.7mmol、1.0当量)のアセトニトリル(1.8L)中の懸濁液に、DMAP(127.4g、1043.1mmol、5.0当量)および化合物1-7(90.0g、521.6mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温にてN2下で3時間撹拌した。混合物をろ過した。ろ液をaq HCl(1M、600mL×3)で洗浄し、有機相を濃縮した。残渣を、PE:EA(5:1)でトリチュレートして、化合物1-8(98.0g、68%)をオフホワイトの固体として得た。TLC:PE:EA = 1:2、UV;Rf (化合物1-6) = 0.15、Rf (化合物1-8) =0.6。LC-MS:430.2 [M+1]+、452.2 [M+Na]+1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.42 - 7.33 (m, 7H), 7.27 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.68 (s, 1H), 4.26 - 4.19 (m, 2H), 3.93 (s, 1H), 3.81 (dd, J = 11.3, 5.7 Hz, 1H), 3.74 (s, 1H), 3.48 (d, J = 11.3 Hz, 2H), 1.80 (s, 3H)。
工程6:化合物1-9の製造
Figure 2023541007000015
化合物1-8(78.0g、181.7mmol、1.0当量)のトルエン(780mL)中の懸濁液に、AIBN(9.0g、54.5mmol、0.3当量)および水素化トリ-n-ブチルすず(264.6g、908.5mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を118℃にてN2下で16時間撹拌した。反応混合物をKF水溶液(2N、1.6L)に注ぎ、混合物を1時間撹拌した。その後混合物をろ過し、ろ液をDCM(800mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(900mL×3)で洗浄し、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE:EA、3:1~0:1)により精製して、化合物1-9(28.8g、57%)を白色の固体として得た。TLC:PE:EA = 1:2、I2;Rf (化合物1-8) = 0.5、Rf (化合物1-9) = 0.3。LC-MS:278.25 [M+1]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43 (m, 2H), 7.32 (m, , 3H), 5.58 (s, 1H), 4.20 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 3.98 - 3.91 (m, 1H), 3.68 (t, J = 10.4 Hz, 1H), 3.63 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 3.26 - 3.19 (m, 1H), 3.12 (t, J = 10.8 Hz, 1H), 2.30 - 2.22 (m, 1H), 1.91 (s, 3H), 1.58 (q, J = 11.6 Hz, 1H)。
工程7:化合物1の製造
Figure 2023541007000016
化合物1-9(12.0g、42.3mmol、1.0当量)の酢酸(150mL)中の懸濁液に、水(300mL)を加えた。反応混合物を95℃にてN2下で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。残渣をトルエン(100mL)中に溶解させ、混合物を水(30mL)で洗浄した。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH、50:1~15:1)により精製して、化合物1(7.0g、85%)を白色の固体として得た。LC-MS:190.20 [M+1]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 3.94 - 3.79 (m, 3H), 3.61 - 3.52 (m, 1H), 3.48 - 3.41 (m, 1H), 3.05 - 2.95 (m, 2H), 2.25 - 2.18 (m, 1H), 1.90 (s, 3H), 1.37 (q, J = 11.7 Hz, 1H)。
実施例2:2-(アセチルアミノ)-2,4,6-トリデオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((2R,3R,4S,6R)-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)の製造
化合物1をスキーム2に従って製造した。
Figure 2023541007000017
工程1:化合物2-2の製造
Figure 2023541007000018
化合物2-1(59g、147.7mmol)のピリジン(413mL)中の溶液に、酢酸無水物(60mL)を室温(25~30℃)にて加えた。添加後、得られた混合物を室温(25~30℃)にて一晩撹拌した。反応をTLCによりモニターした。化合物2-1が完全に消費された後、反応混合物を減圧下50℃にて濃縮した。残渣を減圧下トルエン(300mL×4)と共濃縮して、化合物2-2(64g、98%)を白色の固体として得た。
工程2:化合物2-3の製造
Figure 2023541007000019
化合物2-2(64g)の80%HOAc(500mLの水中1.9LのHOAc)中の溶液を加熱し、65~70℃にて3時間撹拌した。反応をLC-MSによりモニターした。化合物2-2が完全に消費された後、反応混合物を減圧下50℃にて濃縮した。残渣を減圧下トルエン(300mL×3)と共濃縮して、化合物2-3(58.8g)を固体として得た。
工程3:化合物2-4の製造
Figure 2023541007000020
化合物2-3(58.8g、166.4mmol)のピリジン(420mL)中の溶液に、N2雰囲気下で-10℃にて塩化スルフリル(56.2g、416mmol)を0℃未満で滴下した。反応混合物を0℃にて30分間撹拌し、その後室温(25~30℃)まで温め、さらに3時間撹拌した。反応をLC-MSによりモニターした。化合物2-3が完全に消費された後、反応混合物を減圧下50℃にて濃縮し、その後トルエン(300mL)を残渣に加えて、共濃縮して、ピリジンを除去した。残渣にクロロホルム(500mL)、水(350mL)およびクロロホルム(300mL)を加えた。分離後、有機層を水(300mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。トルエン(200mL)を加え、共濃縮した。残渣を、PE/EA(10/1、420mL)で室温にて4時間トリチュレートして、化合物2-4(39.8g)を黄色の固体として得た。
工程4:化合物2-5の製造
Figure 2023541007000021
化合物2-4(39.8g、101.98mmol)のトルエン(800mL)中の溶液に、N2雰囲気下でn-Bu3SnH(59.2g、204.1mmol)およびAIBN(8.4g、51.2mmol)を加えた。混合物を110℃(内部温度)に加熱し、8時間撹拌した。
反応をLC-MSによりモニターした。モノ-Cl中間体がLCMS(m/z:356)により残り、その後n-Bu3SnH(0.5当量)およびAIBN(0.1当量)を、モノ-ClがLCMSにより残らなくなるまで5時間ごとに加えた。LCMSはまた、少量の脱アセチル化合物(化合物2-6)を示した。
反応混合物を50℃にて濃縮し、その後石油エーテル(100mL×3)と共濃縮した。残渣を石油エーテル(200mL)で-30℃にて1時間トリチュレートし、粘性固体が形成した。上清を採取し、粘性固体を石油エーテル(200mL)で-30℃にて1時間再トリチュレートした。トリチュレート処理を、砂状の固体が得られるまで3~4回繰り返した。固体をろ過して、化合物5(40g)を得て、一方、合わせた上清をフラッシュカラム(PE/EA=5/1~1/1)により精製して、別のバッチの化合物2-5(2g)(100%)を得た。
工程5:化合物2-6の製造
Figure 2023541007000022
2Lの3首フラスコに、乾燥メタノール(820mL)を入れ、0℃までN2雰囲気下で冷却し、その後ナトリウムメトキシド(11.1g、205.6mmol)を加え、澄明な溶液が形成されるまで撹拌した。乾燥メタノール(100mL)中に溶解させた化合物2-5(32.8g、102.1mmol、理論量)を、上記溶液に0℃にて滴下した。添加後、混合物を室温(25~30℃)まで温め、2時間撹拌した。反応をLC-MSによりモニターした。化合物2-5が完全に消費された後、混合物を減圧下50℃にて濃縮した。水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。粗製物をフラッシュカラム(PE/EA、5/1~2/1~1/3)により精製して、化合物2-6(19g、67%)を得た。
工程6:化合物2の製造
Figure 2023541007000023
化合物2-6(8g、28.64mmol)のメタノール(800mL)中の溶液に、10%Pd/C(40g、50%の水分含量)を加えた。反応物を室温(25~30℃)にて一晩撹拌した。反応混合物をLC-MSによりモニターした。化合物2-6が完全に消費された後、混合物をセライトパッドによりろ過し、MeOH/H2O(1/1、400mL×3)で洗浄した。ろ液を濃縮し、メタノール(100mL)中に再溶解させ、その後セライトによりろ過した。ろ液を濃縮し、メタノール(50mL×3)と共濃縮して、5gの白色の固体を得た。固体を酢酸エチル(50mL)でトリチュレートして、化合物2(4.0g、74%)を得た。LCMS:190.20 [M+H]+1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.55 (s, 1 H), 6.24 (s, 1 H), 4.89 (s, 1 H), 4.54 (s, 1 H), 3.98-3.95 (m, 1 H), 3.66-3.62 (m, 1 H), 3.45-3.40 (m, 1 H), 1.87-1.83 (m, 1 H), 1.79 (s, 3 H), 1.13-1.07 (m, 1 H) 1.03 (s, 3 H)。
(生物学的実施例)
(インビトロ実施例)
材料とデータ分析:
初代ヒト軟骨細胞の単離と培養:
正常な軟骨を、治験審査委員会によって承認された、バージニア大学病院の剖検サービスから入手した。関節軟骨は、大腿顆および脛骨プラトーから採取した。軟骨削り屑は、手術室で採取し、組織培養培地(DMEM、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン)に入れ、4℃で実験室に発送した。軟骨細胞は、軟骨断片を0.01%コラゲナーゼNB4(Fisher Scientific、カタログ番号50-204-1257)と37℃で4時間インキュベートすることにより単離した。細胞は、10%FBSを含むDMEM中で連続単層培養を維持した。実験を、3継代未満の細胞で実施した。必要に応じて、トリプシンを細胞継代に用いた。
データ分析:
各実験を2回繰り返した。各アッセイのすべての群を3回繰り返し、得られた値を平均±SDとして示し、一元配置分散分析とその後のボンフェローニ/ダンネット検定を用いて分析した。2群間の統計的有意性のレベルを、P<0.05に設定した。
実施例3:細胞毒性アッセイ
材料のセクションで調製した細胞を96ウェルプレート(6×104/ウェル)に播種し、培養培地で一晩インキュベートした。その後、細胞を、2%FBS含有DMEM中様々な濃度(0.1、1および10mM)の化合物1、化合物2またはグルコサミン(Gln)で24時間処理した。WST-1試薬(Fisher Scientific、カタログ番号50-100-3295)を、製造業者が提供する指示書に従って、細胞毒性アッセイに使用した。結果を図1に示す。
実施例4:一酸化窒素生成の検出
材料のセクションで調製した細胞を96ウェルプレート(6×104/ウェル)に播種し、培養培地で一晩インキュベートした。その後、細胞を、2%FBS含有DMEM中様々な濃度(1、3.3および10mM)の化合物1または化合物2で24時間、または2%FBS含有DMEM中様々な濃度(1または10mM)のグルコサミン(Gln)で24時間処理した。上清を、Griess試薬システム(Fisher Scientific、カタログ番号G7921)を用いることによる亜硝酸アッセイのために採取した。光学密度(OD)を、30分以内にマイクロプレートリーダーで530nmにて測定した。結果を図2に示す。
実施例5:遺伝子発現分析
材料のセクションで調製した細胞を24ウェルプレート(3×105/ウェル)に播種し、培養培地で一晩インキュベートした。その後、細胞を、2%FBS含有DMEM中様々な濃度(1または10mM)の化合物2で24時間処理した。製造業者が提供する手順に従って、RNeasyキット(QIAGEN Sciences、Valencia、CA)を用いて、全RNAを細胞から抽出および精製した。全RNAからのcDNAの合成および定量的PCRを、それぞれiscriptTM cDNA合成キットおよびiQTM SYBR Green Supermixキット(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いて実施した。標的遺伝子には、COX-2とIL-6が含まれた。18sリボソームRNAの遺伝子を内部対照として用いた。閾値サイクル(CT)値を、増幅プロットから計算した。18s rRNAをリファレンスとして2-ΔΔCT法を用いてデータを分析した。遺伝子発現を、各実験で対照群(NT)に対して正規化し、倍率変化として表した。結果を図1~3に示す。
実施例6:IL-6レベルの検出
材料のセクションで調製した細胞を96ウェルプレート(6×104/ウェル)に播種し、培養培地で一晩インキュベートした。その後、細胞を、2%FBS含有DMEM中様々な濃度(0.1または1mM)の化合物1、化合物2またはグルコサミン(Gln)で24時間処理した。製造業者が提供する指示書に従って、InvitrogenTM IL-6ヒトELISAキット(Fisher Scientific、カタログ番号5018008)を用いてIL-6の産生をアッセイするために上清を採取した。得られた溶液をマイクロプレートリーダーで450nmにて読み取った。結果を図5に示す。
(インビボ実施例)
実施例7:
N-アセチルグルコサミンの使用を評価するために、COVID-19の症状を呈し、Valley Baptist Medical Center(ハーリンゲン、テキサス州、米国)の救急部門に来院した成人患者において、単一施設の前向き観察コホート試験を実施した。連続した患者に、入院時の第1選択処置として、12時間ごとに700mgのNAGが直ちに投与された。その後、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によってCOVID-19陽性と判定された患者は、同意を得て、試験に登録された。COVID-19陰性と判例された患者は、この試験には含まれていない。NAGに加えて、処置群の患者は、担当医の判断で、抗生物質、抗ウイルス薬、コルチコステロイドおよび回復期血漿を含む標準治療を受けた。患者はNAGの投与を受け続け、試験終了(満了、退院または30日で生じる)まで追跡調査された。
試験の期間中変更されていない組入れ基準は、すべての患者が18歳以上でなければならない;第1選択処置としてNAGを投与される;息切れがあり、所望により他のCOVID-19症状(発熱、咳、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、頭痛、筋肉痛、味覚および/または嗅覚の喪失、下痢および嘔吐を含む)を呈する;RT-PCRによるCOVID-19の臨床診断;COVID-19による入院;入院前と試験への登録前の挿管なしと規定した。入院時に18歳未満であるか、NAGまたは甲殻類にアレルギーがあるか、現在ワルファリンを服用しているか、または現在妊娠中または授乳中の患者は除外された。
入院時に、研究チームは、患者の人口統計、併存疾患、症状、疾患の重症度(世界保健機関(WHO)の臨床改善のための順序尺度による評価;表1)、酸素補給の必要性、および症状の発症から病院到着までの時間を記録した。研究チームはまた、入院時に次の血液検査を収集した:白血球数(WBC)、ヘマトクリット(HCT)、ヘモグロビン(HBG)、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、インターロイキン-6(IL-6)、および赤血球沈降速度(ESR)。試験期間中、裁量による治療と介入を試験終了まで毎日記録した。
Figure 2023541007000024
対象とする主要評価項目は、COVID-19関連の症状に対する700mgのNAGの急速投与後の挿管率、病院のLOSおよび死亡率であった。対象とする副次評価項目には、集中治療室(ICU)への入室、ICUのLOS、酸素補給期間、ホスピス開始率、不良な臨床転帰(死亡/ホスピス開始の組合せとして定義)が含まれた。
比較群と統計分析
試験開始日から、Valley Baptist Medical Centerに入院した過去100名のCOVID-19陽性の連続した患者を、対照群としての役割を果たすようにカルテレビューによって遡って特定した。これらの患者のデータを、NAG試験の開始前に収集した。単変量解析を、最初にすべての主要評価項目および副次評価項目に対して実施し、続いて主要評価項目について多変量解析を行い、有意性に近づき、意味を持つのに十分な発生頻度を持つ副次評価項目を選択した。第I相パイロット試験としての状況とCOVID-19に関する情報公開の緊急性から、この試験では先験的なサンプルサイズの計算は実施されなかった。代わりに、サンプルは、コスト、患者の利用可能性、限られたタイムライン、および試験責任者の観点からのベストプラクティスに基づいた。
アンダーソン-ダーリング検定、ダゴスティーノ-ピアソンのオムニバス検定、シャピロ-ウィルク検定およびコルモゴロフ-スミルノフ検定を用いた交差検証に基づいて、連続パラメーターの正規性を評価した。群間の正規分布データの比較を、対応のないスチューデントのt検定を用いて分析した。t検定の効果量を、正規近似に基づく95%信頼区間(CI)の平均差として示した。群間のノンパラメトリックデータの比較を、マン-ホイットニーのU検定を用いて分析された。ノンパラメトリック検定の効果量を、ホッジス-リーマン差(HL Diff)およびそれぞれの95%CIとして示した。群間の二値データの比較を、フィッシャーの正確確率二項検定を用いて分析した。フィッシャーの正確確率検定の効果量を、バプティスタ-パイク法を用いて計算した95%CIのオッズ比(OR)として示した。共変量と結果間の相関の強さおよび方向を示す相関行列を、Rの「corrplot」パッケージによってスピアマンの順位相関検定を用いて生成した。スピアマンの順位相関検定を用いて、高レバレッジ外れ値に直面した場合に相関のより頑健な測定を提供する。単一線形回帰またはロジスティック回帰を用いて、主要評価項目および副次評価項目の潜在的な予測因子を評価した。最適サブセット選択を用いた多変量回帰を、調整済みR2値(線形回帰)または調整済み疑似R2値(ロジスティック回帰)を用いたモデル比較に基づいて実施した。多重線形回帰のモデル予測性能をまた二乗平均平方根誤差(RMSE)値により評価し、多重ロジスティック回帰を受信者動作特性曲線(ROC)の下の面積によって評価された。多変量解析で考慮される共変量の完全なセットを含むモデルとの最良のサブセット選択の比較も実施した。Rの「leaps」パッケージを用いて、最良のサブセット選択を実施した。P値≦0.05をすべての分析で有意とみなした。すべての統計をRStudio(Version 1.3.959、RStudio、PBC、Boston、MA)で実施した。
前向きコホート試験に登録された50名の患者のうち、48名の患者が追跡データを入手可能であった。処置群の年齢の中央値は63歳(範囲:29~88)で、50.0%(24/48)が男性であり、一方、対照群の患者の年齢の中央値は68歳(範囲:23~95)で、62.0%(62/100)が男性であった。NAG群は、対照群より有意に若かった(H-L Diff:5.0 [95%CI:0.0;10.0]、p=0.049)。症状発生から入院までの時間は、対照群と比較してNAG群で有意に長かった(H-L Diff:-3.0 [95%CI:-6.0;-1.0]、p=0.008)。高血圧の発症率は、対照群と比較してNAG群で低かった(OR:0.35 [95%CI:0.18;0.71]、p=0.004)。抗ウイルス投与は、対照群と比較してNAG群でより頻繁に行われた(OR:2.58 [95%CI:0.88;7.55]、p=0.001)。入院時の人口統計と臨床的特徴の完全なリストは、表2にある。正規性検定の結果を表3に示す。
Figure 2023541007000025

Figure 2023541007000026

Figure 2023541007000027
単変量解析の結果
すべての主要評価項目および副次評価項目の初期分析を表4に示す。NAG群は、対照群と比較して死亡率が有意に低いと考えられた(それぞれ12.5%対28.0%;OR:0.37 [95%CI 0.15;0.91]、p=0.039)および臨床転帰不良(OR:0.30 [95%CI 0.12;0.80]、p=0.015)。単変量解析に基づいて、対照群とNAG群の間で、挿管率、病院のLOS、ICU入室、ICUのLOS、酸素使用の期間またはホスピス開始に有意差はなかった(表4)。
Figure 2023541007000028
主要評価項目の多変量解析
共変量のすべてのペア間の相関係数のすべてのペアの相関行列を作成した。調整済みR2値を最大化するための多変量解析の最良のサブセット選択に続いて、NAGは、病院のLOSの減少の有意な独立予測因子であることが示された(β:-4.27 [95%CI:-5.67;-2.85]、p=<0.001)(表5;多変量線形回帰、背景特性および併存疾患を入院期間に対して回帰させる)。
Figure 2023541007000029
選択した副次評価項目の多変量解析
多変量解析を、対象とする2つの副次評価項目である臨床転帰不良およびICU入室について実施した。多重ロジスティック回帰では、NAGは、臨床転帰不良率の減少の有意な独立予測因子であることが示された(OR:0.30 [95%CI:0.09;0.86]、p=0.034;表6参照)およびICU入室数の削減(OR:0.32 [95%CI:0.10;0.96]、p=0.049;表7参照)。
Figure 2023541007000030

Figure 2023541007000031
実施例8
N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の単独での使用、またはビタミンもしくは必須ミネラルなどの1つ以上の更なる補助剤と組み合わせた使用を評価するために、処置する医師は、標準的な臨床評価または利用可能な診断試験の使用を含む、インフルエンザ感染の徴候について臨床環境で被験者(または患者)を検査する。
被験者(または患者)集団は、年齢、性別、人種または民族的起源に関係なく一般集団であり、肥満、糖尿病、心臓疾患、自己免疫疾患などの既存の状態を有する被験者(または患者)を含んでもよく、または他の免疫が低下していてもよい。
N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体で処置するための被験者(または患者)として特定されると、被験者(または患者)は、少なくともN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を含む組成物をある用量(500mg、600mg、700mg、800mg、900mgまたは1000mgなど)で1日2回(BID投与)、10~30日間経口投与される。被験者(または患者)を、処置サイクルの終了前に処置する医師によって決定される中間期間に、標準的な臨床評価または利用可能な診断検査によって臨床状態を評価し得る。処置する医師の決定において、被験者(または患者)は、処置する医師によって決定される標準用量および間隔で、ビタミンC、葉酸および/または亜鉛を含む1つ以上の更なる補助剤を同時投与され得る。処置結果を収集し、標準治療と比較する。結果は、回復率、死亡率および/または平均回復時間を含むがこれらに限定されない指標によって、標準治療に対してベンチマークされる。

Claims (33)

  1. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を投与することを含む、ウイルス感染、例えばインフルエンザ、ライノウイルスまたはβコロナウイルス感染を有する対象体を処置する方法。
  2. βコロナウイルス感染が、SARS-CoV-2感染である、請求項1に記載の方法。
  3. βコロナウイルス感染が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)および血糖値上昇の1つ以上を対象体において引き起こしたかまたは悪化させた、請求項1または2に記載の方法。
  4. 治療有効量が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を処置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮または経鼻投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、経口投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、約200mg~約2100mgの範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、1日1回(QD)、1日2回(BID)または1日3回(TID)投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 治療有効量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、1回の投与当たり約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの用量にて1日2回(BID)投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 1つ以上の更なる補助剤の投与をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、請求項10に記載の方法。
  12. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、請求項10または11に記載の方法。
  13. 処置を受ける患者の臨床結果が、ICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下および/またはホスピス開始率の低下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体、および所望により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体が、ウイルス感染、例えばβコロナウイルス感染を処置するための治療有効量である、医薬組成物。
  15. N-アセチルグルコサミンが、組成物中約200mg~約2100mgの量である、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. N-アセチルグルコサミンが、組成物中約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの量である、請求項14または15に記載の医薬組成物。
  17. 1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、請求項17または18に記載の医薬組成物。
  20. ウイルス感染、例えばβコロナウイルス感染を有する対象体を処置するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の使用。
  21. βコロナウイルス感染が、SARS-CoV-2感染である、請求項20に記載の使用。
  22. βコロナウイルス感染が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、および血糖値上昇の1つ以上を対象体において引き起こしたかまたは悪化させた、請求項20または21に記載の使用。
  23. 医薬が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を処置するのに有効なN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の量を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の使用。
  24. 医薬が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮または経鼻投与される、請求項20~23のいずれか一項に記載の使用。
  25. 医薬が、経口投与される、請求項20~24のいずれか一項に記載の使用。
  26. 医薬が、約200mg~約2100mgの範囲のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体の量を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の使用。
  27. 医薬が、1日1回(QD)、1日2回(BID)または1日3回(TID)投与される、請求項20~26のいずれか一項に記載の使用。
  28. 医薬が、1日2回(BID)投与され、医薬中に約300mg~約900mg;または約600mg~約800mg;または約700mgの量のN-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の使用。
  29. 医薬が、1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の使用。
  30. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、請求項29に記載の使用。
  31. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である、請求項29または30に記載の使用。
  32. 処置を受ける患者の臨床結果が、ICU入室率の低下、入院期間(LOS)の短縮、死亡率の低下および/またはホスピス開始率の低下である、請求項20~31のいずれか一項に記載の使用。

  33. Figure 2023541007000032
    で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩。
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