JP2023539913A - 腹膜透析中の人の状態評価 - Google Patents

腹膜透析中の人の状態評価 Download PDF

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Abstract

試験方法は、腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定する。状態パラメータは、腹膜の輸送特性、張性、または、残存ボリュームを含みうる。試験方法は、1つ以上の液体交換サイクルを含む試験手順中に、人の腹膜アクセスを介して、腹膜腔へ出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データ(54A)と、試験手順中の時点における腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプルを含む第2データ(54B)と、を入力する装置によって実施される。第1演算モジュール(52)は、第1データ(54A)に基づいて、かつ、腹膜の数学的輸送モデル(52’)を使用して、その時点における腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す推定データサンプルを演算する。第2演算モジュール(53)は、測定データサンプルおよび推定データサンプルに応じて状態パラメータを決定する。【選択図】図5A

Description

本開示は、一般に、腹膜透析に関して、特に腹膜透析中の人の状態、例えば、人の腹膜の機能性を評価するための技術に関する。
急性または慢性の腎機能障害に苦しむ人の治療では、透析療法が必要とされうる。透析療法の1つのカテゴリが、腹膜透析(PD)である。PDにおいて、治療液(”透析液”)が人の腹膜腔に注入される。この腔は、血管が多い腹膜(peritoneal membrane)(”腹膜(peritoneum)”)で覆われている。物質は、主に腹膜を越えて治療液中に拡散することによって、患者の血液から除去される。過剰な液(水)は、また、高張性である治療液によって誘起される浸透によって除去される。
腹膜の溶質輸送能力および限外濾過能力には、患者間および患者内でかなりのばらつきがある。このばらつきは、PD療法のための患者に最適化された処方を開発することを困難にする。さらに、治療液への連続的な暴露は、腹膜の機能的な変化をもたらしうる。したがって、腹膜の機能性を評価するために、腹膜試験を実施することが標準的な手順である。腹膜平衡試験(PET)を含む、腹膜試験のための多数の選択肢がある。PETには多くの変形例があるが、いわゆる標準PETが、現在最も広く使用されており、以下に簡単に説明する。
このプロセスは、8~12時間の長い夜通しの滞留から始まりうる。患者が、PETの朝にクリニックに到着すると、患者が少なくとも20分間座っている間に、夜通しの滞留がドレインされる。ドレインの量を最大にするために、排出の最後に、患者は横になり、左右にロールしうる。PETのために、所定の濃度の浸透剤を含む2Lの治療液が、10分間かけて注入される。2分毎に、患者は、治療液を混合するために左右にロールする。注入が完了すると、200mLの治療液が、腹腔からバッグにドレインされ、ドレインされた治療液は、バッグを数回反転させることによって混合される。次いで、無菌技術を用いて10mLのサンプルが取得され、残りの治療液は患者に再注入される。4時間の滞留の残りについては、患者は直立し、歩行可能である。2時間の時点で、別の10mLのサンプルが取得され、血清測定のために血液サンプルが採取される。4時間の滞留後、患者は、直立した状態で、少なくとも20分間完全にドレインされる。ドレインボリュームは、10mLの治療液のサンプルを収集する前に、秤量することによって測定される。PETサンプルが収集されると、血清および治療液サンプルの両方が、尿素、クレアチニンおよびグルコースの濃度について分析される。尿素およびクレアチニンについては、透析液/血漿濃度(D/P)比が、各治療液サンプルについて計算される。グルコースについては、D/D0比が、各治療液サンプルについて計算される。これらの平衡比から、腹膜は、4つの輸送タイプ:ハイ、ハイアベレージ、ローアベレージ、ローのうちの1つに分類される。
標準PETは、腹膜の粗く情報に乏しい分類をもたらすだけでなく、試験の実行、ラボでの分析の実施、データの解釈など、著しく時間およびリソースを必要とする。標準PETは、医療スタッフによって実施され、患者にとって時間がかかり、専門のクリニックまたは病院で少なくとも半日を過ごす必要がある。
従来技術は、血液サンプルおよびラボでの分析の必要性を排除する腹膜機能性試験を提案する欧州特許出願公開第2623139号明細書を含む。提案された試験は、腹膜腔から平衡化された治療液の第1サンプルを抽出し、その伝導度を測定することと、腹膜腔からドレインすること、腹膜腔に未使用の治療液を注入することと、設定された滞留時間、例えば1時間後に腹膜腔から平衡化された治療液の第2サンプルを抽出し、その伝導度を測定することと、を含む。サンプル間の伝導度の差は、腹膜を介した輸送の不良、正常、最適のクラス分けに使用される。標準PETよりもかなり単純であるが、提案された試験は腹膜の機能性のさらに粗い分類をもたらす。さらに、提案された試験は、残存ボリューム、すなわち、ドレイン後に腹膜腔内に残りうる治療液の量を考慮していない。患者ごとの、または、同じ患者に対する試験ごとの残存ボリュームのばらつきは、分類の精度に著しく負のインパクトを及ぼす。
先行技術の1つ以上の制限を少なくとも部分的に克服することが目的である。
1つの目的は、腹膜の機能性のより詳細な分類を可能にする技術を提供することである。
別の目的は、血清サンプルの必要性を排除するような技術を提供することである。
さらに別の目的は、残存ボリュームを定量化することができる技術を提供することである。
これらの目的のうちの1つ以上、および、以下の説明から現れうるさらなる目的は、少なくとも部分的には従属請求項によって定義される、独立請求項による、腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための装置、腹膜透析装置、少なくとも1つの状態パラメータを決定する方法、コンピュータ可読媒体、および、モニタリング方法によって達成される。
第1態様は、腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための装置であり、装置は、
1つ以上の液体交換サイクル中に、人の腹膜アクセスを介して、腹膜腔に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データであって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含む、第1データ、および、1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプルを含む第2データを受信するための入力と、
第1データに基づいて、かつ、腹膜腔内の腹膜を通る水および溶質の輸送の数学的モデルを使用して、2つ以上の時点における腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す推定データサンプルを演算するように構成された第1演算モジュールと、
測定データサンプルおよび推定データサンプルに応じて、少なくとも1つの状態パラメータを決定するように構成された第2演算モジュールと、を備える。
第2態様は、腹膜透析装置であり、
治療液を腹膜腔からまたは腹膜腔へ運ぶための人の腹膜アクセスに接続可能な体外液体回路と、
体外液体回路内に配され、治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表すデータサンプルを提供するように構成された少なくとも1つのセンサデバイスと、
体外液体回路を動作させ、センサデバイスからデータサンプルを取得するように構成された制御装置と、
制御装置から第1データおよび第2データを受信するように接続された、第1態様の装置と、を備える。
第3態様は、腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための方法であり、方法は、
1つ以上の液体交換サイクル中に、人の腹膜アクセスを介して、腹膜腔に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データを取得することであって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含むことと、
1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における腹膜腔内の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプルを含む第2データを取得することと、
第1データに基づいて、かつ、腹膜腔内の腹膜を通る水および溶質の輸送の数学的モデルを使用して、2つ以上の時点における腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す推定データサンプルを演算することと、
測定データサンプルおよび推定データサンプルに応じて、少なくとも1つの状態パラメータを決定することと、を含む。
第4態様は、1つ以上のプロセッサによって実行された場合に、1つ以上のプロセッサに第3態様の方法を実行させるコンピュータ命令を含む、コンピュータ可読媒体である。
第5態様は、モニタリング方法であり、
少なくとも1つの状態パラメータを決定するために、第1態様の装置を操作することと、
腹膜の潜在的な不全を検出するために、少なくとも1つの状態パラメータを評価することと、を含む。
これらの態様は、従来技術と比較して基本的に異なるアプローチをとる。腹腔内の腹腔液中の1つ以上の溶質の測定された濃度、または、導電率などの同等の特性は、濃度に影響を及ぼす1つ以上の状態パラメータを決定するためのリファレンスデータとして使用される。それぞれの状態パラメータは、液体交換サイクル中に既知の時間依存性を有すると推定され、腹膜腔内の治療液の量および/または腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度に影響を及ぼす人の特性である。具体的には、これらの態様は、溶質の濃度が状態パラメータによって影響を受けるため、腹腔内の治療液中の溶質の濃度のシミュレーションを行い、1つ以上の溶質(または導電率)の得られた(「推定された」)濃度を測定濃度(または導電率)と比較することによって、状態パラメータを決定することが可能であるという洞察に基づく。推定および測定された濃度(または伝導度)が実質的に一致する場合、シミュレーションで使用されるそれぞれの状態パラメータの値は実際の値に近い。腹膜腔内の治療液中の濃度または伝導度をシミュレートするために、腹膜を通る溶質および水の輸送の数学的モデルが使用される。シミュレーションは、液体交換サイクルの間の腹膜アクセスを介した腹膜腔に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データを使用することによって実行される。当業者は、シミュレーションが充填フェーズ中に腹膜腔に注入される治療液の組成および/または伝導度、治療液中の1つ以上の溶質の種々の特性、状態パラメータの初期値などのさらなる入力データを使用しうることを理解する。決定された状態パラメータの合理的な精度のために、リファレンスデータは、液体交換サイクル中の異なる時点でこのようにして取得される少なくとも2つの測定データサンプルを含むべきである。データサンプルがより多くの時点で測定される場合、状態パラメータの精度が高められうり、および/または、追加の状態パラメータが決定されうる。この時点は、決定されるべき状態パラメータに応じて異なるように選択されてもよい。状態パラメータの例は、腹膜の輸送特性、特定の時点における腹膜腔内の治療液のボリューム(例えば、残存ボリューム)、または、人の張性パラメータを含む。
したがって、前述の態様は、状態パラメータを決定することによって、腹膜の機能性のより詳細な分類または定量化を可能にすることが理解される。さらに、これは、腹膜腔内の治療液中の濃度または伝導度を測定する簡単な手順によって、例えば、腹膜腔から液体サンプルを抽出することによって達成され、血清サンプルを採取して分析する必要がない。いくつかの実施形態において、測定されたデータサンプルのうちの少なくとも1つは、ドレインフェーズのために好都合に取得されうる。さらに、前述の態様は、通常のPD治療セッション中に状態パラメータを決定することを可能にする。そのようなPD治療セッションの治療効率は、液体交換サイクル中の1つ以上の時点での濃度または伝導度測定のための腹膜腔からの液体サンプルの可能な抽出によって、ほどほどのインパクトを受けるだけである。
さらに他の目的、態様および技術的効果、ならびに、実施形態、特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、ならびに、図面から明らかになりうる。本明細書で見出される第1態様の任意の実施形態は、第2~第5態様の実施形態として適合され、実装され得ることに留意されたい。
以下、添付の図面および概略図を参照して、実施形態をより詳細に説明する。
図1は、自動腹膜透析(APD)のための例示的な装置を示す。 図2は、APD療法における液体交換サイクルのシーケンス中の腹腔内ボリュームと時間との例示的なプロットである。 図3は、腹膜腔内の溶質の濃度および治療液の濃度に影響を及ぼす輸送プロセスを示す。 図4A~4Cは、それぞれ、限外濾過係数、グルコースの透過係数と表面積との積(permeability surface area product)、および残存ボリュームの異なる値についての、時間に応じた腹膜腔内の治療液の伝導度のプロットである。 図5A~図5Bは、PD患者の状態パラメータを決定するための例示的な演算装置のブロック図であり、図5Cは、演算装置における腹膜輸送モデルの例示的な実装のブロック図である。 図6Aは、PD患者の状態パラメータを決定するための例示的な方法のフローチャートであり、図6Bは、腹膜不全を検出するための例示的なモニタリング方法である。 図7Aは、時間に対する伝導度、ナトリウム濃度、グルコース濃度、および、腹腔内ボリュームのシミュレーションされたプロットの組合せであり、短い試験手順中の伝導度測定の例を示し、図7Bは、長い試験シーケンスについてシミュレーションされたプロットの対応する組合せである。 図8Aは、異なるトランスポータータイプおよび異なるグルコース濃度について、図7Aに示されるタイプの短い試験手順に基づいて決定される、PSGにおける相対誤差のボックスプロットであり、図8B~8Dは、異なる輸送タイプおよび異なるグルコース濃度について、図7Bに示されるタイプの長い試験手順に基づいて決定される、それぞれ、PSG、LpSおよびfCpwにおける相対誤差のボックスプロットであり、図8Eは、異なる推定技術によって計算される、異なるトランスポータータイプについての残存ボリュームにおける絶対誤差のボックスプロットである。 図9は、計算装置によって決定される状態パラメータに基づいて、標準化PET手順のシミュレートされた出力パラメータを計算するためのシミュレーションモジュールのブロック図である。 図10A~10Bは、図9のシミュレーションモジュールによって計算された時間に対する標準PETパラメータのシミュレーションされたプロットである。 図11A~11Bは、それぞれ、低トランスポータータイプおよび高トランスポータータイプについて、正常および上昇したPS値を有する患者のPD治療中の治療液の伝導度と時間とのシミュレートされたプロットである。 図12A~12Bは、修正された試験手順による、経時的に採取された腹腔内ボリュームおよびデータサンプルの例示的なプロットである。 図13は、例示的なサンプルのプル手順中の腹腔内ボリュームと時間とのプロットである。 図14は、本明細書で説明される方法、手順、および、機能を実装しうる例示的なマシンのブロック図である。
以下、実施形態を、すべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照しながら、より完全に説明する。実際、本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化されうり、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たしうるように提供される。
また、可能であれば、本明細書に記載および/または企図される実施形態のいずれかの利点、特徴、機能、デバイス、および/または、動作態様のいずれかは、本明細書に記載および/または企図される他の実施形態のいずれかに含められうり、および/または、その逆もありうることが理解されよう。追加して、可能な場合、本明細書において単数形で表現された任意の用語は、別段の明示的な記載がない限り、複数形も含むこと、および/または、その逆も含むことを意味する。本明細書で用いられる場合、「少なくとも1つ」は、「1つ以上」を意味し、これらの語句は、交換可能であることが意図される。したがって、「a」および/または「an」という用語は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味するものとするが、「1つ以上の」または「少なくとも1つの」というフレーズも本明細書で使用される。本明細書で用いられる場合、文脈が言葉または必要な含意を表現するために別途必要とする場合を除き、単語「含む(comprise)」、または、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を特定するが、種々の実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除しないように使用される。
本明細書で用いられる場合、「マルチプル(multiple)」、「複数(plural)」および「複数(plurality)」という用語は、2つ以上の要素の提供を意味することを意図しているのに対し、要素の「セット(set)」という用語は、1つ以上の要素の提供を意味することを意図している。「および/または」という用語は、関連する列挙された要素のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
角括弧([ ])内のパラメータまたは変数は、パラメータまたは変数の一連の値を示す。また、パラメータまたは変数のアスタリスク(*)は、パラメータまたは変数の値が測定によって取得されたことを示す。
さらに、第1、第2などの用語は種々の要素を説明するために本明細書で使用されうるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲を逸脱することなく、第1要素は第2要素とすることができ、同様に、第2要素は第1要素とすることができる。
よく知られている機能または構成は、簡潔さおよび/または明瞭さのために詳細に説明されない場合がある。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を指す。
図1は、腹膜透析治療のための例示的な装置1の概略図である。装置(またはシステム)1は、一般に、適切な治療液を用いた患者Pの現場での治療を目的とする。具体的には、PD装置1は、特に自動腹膜透析(APD)サイクラ3を用いて、腎機能障害を患う患者を治療するために設計される。
APDサイクラ3は、腹膜透析(PD)ユニット3aと、「使い捨てラインセット」と呼ばれることもある対応する使い捨てユニット3bと、を備える。PDユニット3aは、使い捨てユニット3bの液体回路で液体を移動させるためのポンプ機構を形成するアクチュエータ5に接続された制御システム3’を含む。
使い捨てユニット3bは、PDユニット3aのポンプ機構5による係合のために、PDユニット3aに接続可能である。患者ライン12は、使い捨てユニット3bに含まれるか、または、使い捨てユニット3bに接続され、患者Pに埋め込まれたカテーテルまたは他のアクセスデバイス12’に接続するように構成される。アクセスデバイス12’は、以下では「アクセス」と呼ばれる。
PD装置1は、図1の例では、それぞれの供給ラインを介して、使い捨てユニット3bの対応する処理ポート7、8、9に接続される3つの容器6を含む治療液の供給源Sを含む。供給源Sの容器6の数は、PD治療の過程で腹膜腔(PC)内に注入される治療液に応じて異なりうる。例えば、異なる容器は、異なる組成の治療液を保持しうる。別の方法では、供給源Sは、例えば精製水と1つ以上の濃縮液とを混合することにより、治療液のオンライン調製のための装置を備える。
治療液は、少なくとも1つの浸透圧剤を備えうる。当該技術分野において周知であるように、血液に対する治療液の浸透濃度は、治療液と血液との間でどの程度の液体が交換されるかを決定する。治療液中の高い浸透濃度は、高い勾配を作り出す。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいて、浸透圧剤は、グルコース(またはポリグルコース)、L-カルニチン、グリセロール、イコデキストリンまたは任意の他の適切な薬剤であってもよく、または、それらを含んでいてもよい。代わりの浸透圧剤は、フルクトース、ソルビトール、マンニトールおよびキシリトールであってもよい。グルコースは、PD分野においてデキストロースと呼ばれることもあることに留意されたい。用語グルコースは、ここではデキストロースを含むことを意図する。
図1に示される例において、使い捨てユニット3bは、供給源Sから未使用の治療液を受け取るように構成された「加熱バッグ」と呼ばれることもある送達容器11をさらに含むか、または、供給容器11に接続される。送達容器11は、PDユニット3aのヒータ(図示せず)上に配される。ヒータは、患者PのPCに圧送される前に、治療液の温度を所定の温度に調整するように動作される。使い捨てユニット3bは、使い捨てユニット3b上のドレインポート10を通して使用済みの治療液を受け取るように構成されたドレインライン13をさらに含むか、または、ドレインライン13に接続される。ドレインライン13は、ドレイン15まで延びる。図示されていない別の方法では、ドレインライン13が、使用済みの治療液の受容可能なものまで延びていてもよい。
PD装置1は、使い捨てユニット3b内、または、使い捨てユニット3bと流体接続されたラインまたは容器、例えば、ドレインライン13内を流れる液体の特性を検出するための少なくとも1つのセンサ14をさらに含む。いくつかの実施形態において、センサ14は、通過する液体の導電率を測定するための伝導度センサである。いくつかの実施形態において、センサ14は、通過する液体の1つ以上の物質の濃度を測定するための濃度センサである。センサ14は、ドレインライン14に取り付けられる必要はなく、治療液のオンライン生成のために、使い捨てユニットまたは上述の供給源Sのどこかに取り付けられうる。さらに、PD装置1は、2つ以上のそのようなセンサ14を備えていてもよい。いくつかの実施形態において、PD装置1は、患者のPCからドレインされた治療液の特性を検知するように配された1つのそのようなセンサ14を備える。いくつかの実施形態において、PD装置1は、患者のPCに注入されることが意図される未使用の治療液の特性を検知するように配された別のそのようなセンサ14を備える。いくつかの実施形態において、ドレインされた治療液の特性を検知するように配されたセンサ14は、また、未使用の治療液のサンプルをセンサ14に圧送することによって、未使用の治療液の特性を検知するように配される。
図1には示されていないが、PD装置1は、液体の他の特性を検出するためのさらなるセンサ、例えば、患者PのPCに出入りする治療液の流量を測定するための1つ以上の流量センサ、治療液の温度を測定するための温度センサなどを備えていてもよい。流量センサは、PD装置内の任意の位置を有することができ、例えば、重量変化、容積スループット、またはポンプストロークのデッドレコニングによって液体の流量を判定してもよい。しかしながら、計算のために使用される流量は、1つ以上の流量計によって測定される必要はなく、PD装置1のための設定値によって与えられてもよいことを理解されたい(図5Aの試験レジメンデータ54A参照)。
PD装置1は、制御部3’によって、1つ以上の液体交換サイクルを含むPD治療を実行するように動作可能である。それぞれの交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズのシーケンスを含む。充填フェーズにおいて、PD装置1は、患者ライン12およびアクセス12’を介して、送達容器11から患者PのPCに未使用の治療液を圧送するように動作する。滞留フェーズにおいて、治療液は、PC内に存在する。ドレインフェーズにおいて、PD装置1は、使用済みの治療液をPCから、アクセス12’およびライン12、13を介して、ドレイン15に圧送するように動作する。使用済み治療液は、当該技術分野において「廃液」としても知られている。
図2は、時間に応じた腹腔内ボリュームIPVに関してPD治療を概略的に表す。IPVは、PC内に存在する治療液の量を示し、本明細書ではVpとも表される。図示のPD治療は、6回の連続交換サイクルを含む。充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズは、F、DWおよびDと呼ばれ、3回目の交換サイクルに示される。交換サイクル間で異なりうる滞留フェーズの持続時間は、ΔT1~ΔT6によって示される。示される例において、患者は、Vresと示される、開始時のPC内の残存ボリュームを有する。1回目の交換サイクルにおいて、量Vfの治療液がPCに注入される。フェーズF、DWおよびDの間、PC中の治療液の量は、限外濾過(UF)として知られる、患者の血液から腹膜を介してPCへの液体の輸送によって増加する。浸透圧勾配に応じて、正および負のUFの両方が可能である。説明のために、UFは、図2の滞留フェーズDWについてのみ示されている。ドレインフェーズの間、使用済みの治療液がPCから抽出され、残存ボリュームが残る。この残存ボリュームは、PD治療の開始時の残存ボリュームとは異なりうり、また、ドレインごとに異なりうる。
図2の例において、PD治療はドレインフェーズで完了し、次のPD処理が充填フェーズで開始される。しかしながら、図2には示されていないが、PD処理は、PC内に治療液を残す充填フェーズによって完了することが一般的である。その後、患者は、PD装置1から切り離され、次の治療セッションまで、または、選択された滞留時間後に手動ドレインを行うまで、PC内に治療液を携行しうる。APDは、一般に、患者が睡眠中に夜間に行われ、患者が昼間に自由に動くことを可能にする。このことから、PD治療は、図2には示されていないドレインフェーズ(「最初のドレイン」)によって開始されてもよく、このドレインフェーズは、残留ボリュームVresを残す。
図3は、患者の血液側32からPC31を分離する腹膜(「腹膜」)30の概略図である。図3において、時間に応じた血液側32のそれぞれの溶質(i)の濃度がCbi(t)と示され、時間に応じた腹腔内ボリュームがVp(t)と示され、時間に応じた治療液中のそれぞれの溶質(i)の濃度がCpi(t)と示される。溶質は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、乳酸塩、リン酸塩、アルブミン、重炭酸塩、尿素、クレアチニン、塩化物などを含むが、これらに限定されるものではない。溶質は、また、例えば、上述の例のいずれかによる浸透圧剤を含んでいてもよい。以下の例において、浸透圧剤は、グルコースであると仮定される。図3は、また、Vp(t)およびCpi(t)に影響を及ぼしうるプロセスを示す。プロセスは、Jf(t)で示される充填フェーズ中にアクセス12’を介してPC31への治療液の流れ、Jd(t)で示されるドレインフェーズ中にアクセス12’を介してPC31からの治療液の流れ、Js(t)で示されるアクセス12’を介してPC31内の治療液の液体サンプル(以下を参照)が採取されたときにPC31からの治療液の損失を含む、アクセス12’を通る液体の流れを含む。プロセスは、さらに、Jv(t)で示される全液体の流れ、Ji(t)で示されるそれぞれの溶質の流れ、Lで示されるリンパの流れを含む、腹膜30を通る液体の流れを含む。それぞれの物質は、膜30を横切っていずれかの方向に移動しうり、図3の矢印は、それぞれの流れの正の符号に対応する方向を示すに過ぎないことを理解されたい。
腹膜30は、その輸送特性によって分類されうる。図3は、2つのそのような輸送特性、LpSおよびPSを示す。特性LpSは、メンブレン30の水圧コンダクタンスであり、液体透過性または限外濾過率としても知られている。特性LpSは、例えば、mL/min/mmHgで表されうる。特性PSは、総括物質移動面積係数または拡散総括物質移動面積係数としても知られ、膜30を通る溶質(分子)の流れを表す、透過係数と表面積との積(permeability surface area product)である。特性PSは、例えば、mL/minで表すことができる。特性PSは、一般に、溶質間で異なり、したがって、本明細書ではPSiと表される。いくつかの実施形態において、すべての溶質についてPSiの間に所定の関係があると仮定され、したがって、1つの溶質についてPSiが既知である場合、任意の溶質についてPSiが計算されうる。複数の異なる溶質についてのPSiを決定することは、PSi=fPS・PSiG(ここで、PSiGは、溶質iのための一般的なPS値)に従って、異なる溶質PSiGのためのPS値の一般的なセットをスケーリングするスケール因子fPSを決定することに還元されうるため、この仮定は、演算を容易にする。一般的なセットは、上述の所定の関係を表し、「一般的な患者」を表すPS値を含むと見なされうる。fPSが決定されると、任意のPSiは、対応するPSiGをfPSでスケーリングすることによって決定されうる。
図3は、また、さらなるスケール因子fCpwを示し、これは、患者の張性を表し、等張状態からの患者の逸脱を示しうる。いくつかの実施形態において、患者の血清サンプルを採取する必要性を避けるために、溶質の血中濃度Cbi(t)は、標準(公称)患者のための固定(時間不変)値に設定されうる。張性が患者間で異なりうるという事実を考慮するために、fCpwが、公称血中濃度値をスケーリングするために適用されうる。したがって、スケール因子fCpwは、患者の実際の血漿水分率について考慮することが分かる。
説明される実施形態は、PC31内の治療液中の溶質の濃度の力学モデルを使用することによって、患者Pの1つ以上の状態パラメータを推定する技術を提供する。力学モデルは、1つ以上の状態パラメータに依存し、図3のJf(t)、Jd(t)、Js(t)によって示される治療液の流れのタイムダイナミクス、ならびに、膜30を通る液体の流れJv(t)および溶質の流れJi(t)のタイムダイナミクスを考慮する。そのような実施形態は、一連の時点での力学モデルによって推定された治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す推定データサンプルと、一連の時点で測定された溶質の実際の濃度を表す測定データサンプルと、を比較することによって、状態パラメータを推定することが可能であるという洞察に依存する。
この文脈における「濃度を表す」は、任意のおよびすべての等価な特性を含むことに留意されたい。1つの例において、データサンプルは、治療液中の少なくとも1つの溶質、例えば浸透圧剤またはナトリウムの濃度値を含む。別の例において、データサンプルは、1つ以上の伝導度センサ(図1の14参照)によって測定された伝導度値を含む。簡単化のために、以下の説明では、データサンプルは、伝導度値であると仮定する。濃度値に基づく対応する実施形態は、当業者には容易に明らかである。
提案された実施形態の有用性が、図4A~4Cに示されており、これは、300分の期間にわたるPC内の治療液の伝導度のシミュレーションされたグラフである。図4Aは、15.27mL/minの固定PSGを有するLpSの異なる値についての伝導度を示し、ここで、PSGは、グルコースについてのPS値である。図4Bは、0.074mL/min/mmHgの固定LpSを有するPSGの異なる値についての伝導度を示す。図4Cは、LpSおよびPSGの固定値を有する残留ボリュームVresの異なる値についての伝導度を示す。図4A~図4Cから理解されるように、PCにおける腹膜の輸送特性および治療液の残留ボリュームは、それぞれ、経時的に、治療液の結果として生じる伝導度(およびその中の様々な溶質の濃度)に大きな影響を及ぼす。同様の影響が、スケール因子fCpwについて実証されうる。
いくつかの実施形態において、力学モデルは、腹膜の周知のThree-Pore Model(TPM)に基づく。TPMは、腹膜の血管壁が異なる細孔半径を有する3つのタイプの細孔を有し、異なるサイズ特性を有する分子の受動的輸送を可能にすると仮定する輸送モデルである。アクアポリン-1(AQP-1)と呼ばれる最小の細孔タイプは、水選択性の細孔構造である。AQP-1孔は、水の受動輸送、すなわち浸透力によって駆動されるUFを可能にする。中間の細孔タイプは、液体およびより小さな溶質の輸送を可能にする。膜のタンパク質輸送の大部分は、大きな細孔のタイプによって可能になる。TPMの例は、国際公開第2018/041760号およびC. OebergおよびB. Rippeによる論文「Optimizing Automated Peritoneal Dialysis Using an Extended 3-pore Model」、Kidney Int Rep、2(5):943-951 (2017)に見出され、これらは両方とも、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
図3のプロセスを表す式が、付録Aに詳細に示される。これらの式は、TPMに基づくが、当業者によって容易に理解されるように、他の力学モデル、例えば、Two-Pore Model、Dual Barrier Membrane Model、または、Distributed Modelを代わりに使用することができる。
付録Aの式1~4は、腹膜を通る液体の流れJ(t)、腹膜を通る溶質iの流れJi(t)、腹腔内ボリュームの時間的変化dV/dt、および、PC中の治療液の溶質iの濃度の時間的変化dCpi/dtのための基本的な時間依存の管理関数(governing functions)に一般化されうる。
Figure 2023539913000002
ここでCp1..N(t)は、時間tにおける含まれるすべての溶質の濃度値の集合体を示し、PS1..Nは含まれるすべての溶質のPS値の集合体を示す。
付録Aから分かり、理解されるように、管理関数は、図3に示される時間依存変数、ならびに、輸送特性LpSおよびPSiに、複雑かつ混合された依存性を有する。管理関数f1、f2、f3、f4は、図5A~5Cを参照して以下で例示されるように、腹膜輸送モデルを定義するために組み合わせられうる。
上述のスケール因子fCpwは、J(t)およびJ(t)の両方の演算に用いられるCbi(図3参照)に含まれる(付録Aの式2および式4参照)ことに留意されたい。したがって、管理関数f1およびf2は、使用される場合、fCpwにも依存する。
付録Aから、関数f2は、細孔のタイプ特有の数値を示すPSi,mでオペレートしうることに留意されたい。いくつかの実施形態において、大きな細孔(PSi,3)のPS値は、例えば、上述の一般的なセットによって与えられる一般的な値に設定され、スケール因子fPSは、小さな細孔(PSi,2)のPS値のみに適用されうる。特定の溶質についてのPS値は、次いで、小さなおよび大きな細孔について対応する一般的なPS値の合計をスケール因子fPSによってスケーリングすることによって計算されうる。この単純化は、結果の精度にほとんど影響しないことが分かっている。しかしながら、他の実施形態において、スケール因子fPSは、小さな細孔(PSi,2)および大きな細孔(PSi,3)の両方のPS値に適用されうる。さらなる簡略化として、特定の溶質についてのPS値は、小さな細孔についての対応するPSiGをスケール因子fPSによってスケーリングし、したがって大きな細孔からの寄与を省くことによって計算されうる。このさらなる単純化は、大きな細孔からのPSiへの寄与が事実上無視できるような、例えば、グルコースまたはナトリウムなどの小さな溶質に少なくとも適用可能である。
図5Aは、例えば、患者Pに関して図1に示されるようなPD装置1によって実行される試験手順の間に行われる測定に基づいて、人の1つ以上の状態パラメータを決定するための例示的な腹膜試験装置50(「PT装置」)のブロック図である。試験手順は、1つ以上の液体交換サイクルを含む。PT装置50は、任意のフォーマットで入力データを受信するように構成された任意のタイプのハードウェアおよび/またはソフトウェア構造を含みうる入力51を含む。例えば、入力51は、1つ以上のセンサ(図1の14参照)、制御部(図1の3’参照)、記憶メモリ、または、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、コンピュータマウスなどの入力部から信号を受信するように構成されたインターフェースでありうる。図示の例では、PT装置50は、入力51を介して、試験レジメンデータ54A、測定データ54B、治療履歴データ56A、一般的な患者データ56B、患者固有データ56C、および、溶質特性データ56Dを受信するように構成される。PT装置50は、プレゼンテーション、記憶、さらなるプロセスなどのために出力されうる1つ以上の状態パラメータ55を決定するために協働的に動作される、第1演算モジュール52および第2演算モジュール53をさらに備える。第1演算モジュール52は、腹膜輸送モデル(PTM)52’を定義または備え、これは、人のPCにおける腹膜を通る水および溶質の輸送の数学的モデルであり、アクセス12’を通り、PCに出入りする治療液の輸送も説明する。例えば、PTM52’は、管理関数f1~f4の実装形態でありうる。第1演算モジュール52は、入力51を介して受信された入力データの少なくとも一部に対してPTM52’を動作させ、測定データ54Bに対応する推定データサンプルを生成するように構成される。第2演算モジュール53は、パラメータフィッティングアルゴリズム(PFA)53’を定義または備え、これは第1演算モジュール52および測定データ54Bからの推定データサンプルに対して動作し、人の候補特性データを決定するように構成される。候補特性データは、推定データサンプルの生成のためにPTM52’によって処理される1つ以上のパラメータを含む。PFA53’が、候補特性データが収束基準を満たすこと、または、期限が切れることを見出すまで、第1および第2演算モジュール51、52は、推定データサンプルおよび候補特性データを交互に生成するように構成される。次いで、PT装置50は、候補特性データに基づいて、状態パラメータ55を生成する。PFA53’は、非線形最適化問題を解くことができ、実験データをシミュレートされたデータにフィッティングすることを可能にする任意のアルゴリズムでありうる。そのようなアルゴリズムは、最小二乗最小化法のためのアルゴリズムなどの任意の非線形計画法(NLP)アルゴリズムを含む。本明細書に提示される結果は、MATLABにおける標準関数Lsqnonlinの使用によって生成された。
図5Aに提示された入力データをより詳細に見ると、試験レジメンデータ54Aは、試験手順の間、アクセス12’を介して、PCの内外への時間に応じた治療液の流量を表す。したがって、図3の表記において、試験レジメンデータ54Aは、Jf(t)、Jd(t)およびJs(t)、ならびに、試験手順の開始時間および終了時間を示す。試験レジメンデータは、未使用の治療液の成分を示すこともできる(付録Aの式3のCIiを参照)。未使用の治療液の組成は、液体交換サイクル間で異なりうることに留意されたい。
以下の例において、測定データ54Bは、1つ以上の液体交換サイクル中の一連の時点におけるPC内部の治療液の測定された伝導度を表す。測定データ54Bは、また、事前定義されていない場合、一連の時点を識別しうる。図1の例において、伝導度は、図7を参照して以下でさらに詳細に説明するように、センサ14によって測定されうる。
治療履歴データ56Aは、例えば、試験手順の12~48時間以内に、先行する期間に人に対して実行された1つ以上の液体交換サイクルの試験レジメンデータを含みうる。
一般的な患者データ56Bは、上述のPSi値の一般的なセット、ならびに、溶質の血漿濃度の一般的な値を含みうる(図3のCbi参照)。いくつかの実施形態において、少なくとも約0.5mmol/Lの濃度で血液または治療液中に存在すると予想されるすべての溶質がPTM52’に含まれ、したがって、一般的な患者データ56Bにも含まれる。一般的な値は、母集団平均値として与えられうる。一般的な患者データ56Bは、α(付録Aを参照)など、PTM52’によって使用される他のパラメータ値も含みうることが理解される。
患者固有データ56Cは、PT装置50による計算に関連する患者の任意の既知のまたは推定された特性を含みうる。例えば、患者固有データは、患者の血液中の1つ以上の溶質の濃度、または、Vres、LpS、PSiもしくはfCpw(図3参照)の以前に決定された値を含みうる。患者固有データ56Cの提供は、PT装置50による演算の複雑さを低減しうり、および/または、演算の精度を高めうることが理解される。
溶質特性データ56Dは、PTM52’によって使用される管理関数に含まれる溶質の任意の既知の特性データを含みうる。付録Aにおいて、溶質特性データ56Dは、浸透係数(φ)、溶質の電荷(z)などのうちの1つ以上を含みうる。
図5Aに示され、上述された入力データは、限定を意図するものではなく、例としてのみ提供される。追加の入力データが使用されること、および/または、データ項目56A~56Dのうちの1つ以上が省略されることが考えられる。例えば、患者固有データ56Cは、利用可能でなくてもよい。別の例において、溶質特性データ56Dのすべてまたは一部は、PTM52’に統合されうる。さらに、治療履歴データ56Aは、すべて省略されてもよい。
図5Bは、PT装置50(図5A)における第1および第2演算モジュール52、53のより詳細な例のブロック図である。図5Bにおいて、PT装置50は、上述の一連の時点におけるPC内の治療液の伝導度を表すために測定されたデータサンプルのセット[Kp*]を含む入力データ54を受信するように構成される。入力データ54は、図5Aの測定データ54Aの一部であってもよい。PTM52’は、管理関数における変数の初期値を含む初期データセット52Aを受け取り、初期データセット52A上で動作し、PC内の治療液中の溶質の濃度[Cpi]に関する一連の推定値を含むデータセット57Aを生成するように構成される。推定値は、[Kp*]の一連の時点に少なくともほぼ一致する時点について生成される。示される例において、PT装置50は、各時点における溶質の推定濃度[Cpi]を、治療液の対応する推定伝導度[Kp]に変換するように構成された変換モジュール57をさらに備える。変換モジュール57は、それらの濃度によって与えられる、すべての荷電溶質の伝導度寄与を集約するように構成されてもよく、場合によってはグルコースおよび尿素(存在する場合)などの非荷電溶質の影響についても考慮する。したがって、変換モジュール57は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0018379号明細書および国際公開第2016/188950号に記載されるような周知の標準的な式に従って構成されてもよい。[Kp]を含む変換モジュール57の出力データ57Bは、[Kp]と[Kp*]とにおける対応する値の間の差、すなわち、推定された伝導度の値と一連の時点で測定された伝導度の値の間の差を計算するように構成される減算モジュール58によって受信される。結果は、図5Bにおいて、残差データ53Aとして表される、一連の時点についての差分値の配列である。PFA53’は、図5Bにおいて、LpSおよびPSiとして例示される上述の候補特性データ53Bを生成するために、残差データ53Aに対して動作するように構成される。PTM52’は、次いで、候補特性データ53Bに対して、場合によっては初期データセット52Aの少なくとも一部に対して動作して、更新された[Cpi]を含む新しいデータセット57Aを生成するように構成される。上記から理解されるように、PFA53’が、収束基準が満たされること、例えば、残差データ53Aが十分に小さいことを見出すまで、データの演算およびフローは継続しうる。図5BのPT装置は、第1演算モジュール52が制御されるシステムに対応し、入力データ54が設定値に対応し、出力データ57Bが実際の値に対応し、PFA53’がコントローラに対応するフィードバック制御システムを表すことが分かる。
いくつかの実施形態において、候補特性データ53Bは、試験手順中に時間不変(一定)であると推定され、演算を容易にしうる。しかしながら、候補特性データ53B内の1つ以上のパラメータは、それぞれのパラメータのための事前定義された時間依存性を含むことによって、時間的に変化することも可能である。例えば、PD中のPSiおよび/またはLpSの減少する時間依存性をモデル化することは、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれているASAIO J 1996;42:M518-523に公開されているWaniewskiらによる論文「Diffusive Mass Transfer Coefficients Are Not Constant During a Single Exchange In Continuous A Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis」に記載されているように、以前から知られている。
候補特性データ53Bは、PTM52’の管理関数に含まれる任意の未知の特性を含みうることも理解されたい。図5Bの例において、fCpwが既知であり、LpSおよびPSiがPFA53’によってフィッティングされていると推定される。別の例において、候補特性データ53Bは、fCpw、LpSおよびPSiを含む。他の例において、LpS、PSiおよびfCpwのうちの1つのみがPFA53’によってフィッティングされ、他は固定値および既知値に設定される。
いくつかの実施形態において、上述のように、PSiはスケール因子fPSによって表されうる。したがって、スケール因子fPSは、PFA53’によってフィッティングされてもよく、または、固定された既知の値に設定されてもよい。
変換モジュール57および減算モジュール58は、図5Bに示されるように、第1演算モジュール52に含まれる必要はないが、モジュール57、58の一方または両方は、代わりに、第2演算モジュール53または第3演算モジュールに含まれてもよい。
図5Cは、PTM52’のより詳細な例のブロック図である。一般に、PTM52’は、管理関数f1~f4を実装するように構成される。示される例において、PTM52’は、現在の時間ステップで変数の値を生成するために、1つ以上の前の時間ステップでの変数の導関数(「時間変化」)の値に対して動作するように構成された微分方程式解法サブモジュール(DES)71を備える。例えば、DESサブモジュール71は、線形マルチステップ法、ルンジクッタ法または一般線形法(GLM)などの、微分方程式に対する数値解を得るための任意の既知の回帰法を実施しうる。本明細書に提示される結果は、従来のODE(一般微分方程式)解法、具体的にはMATLABにおけるode45関数をPTM52’に実装することによって生成された。
示される例において、PTM52’は、腹腔内ボリュームVpの値の時系列と、PC内の治療液中の溶質の濃度Cpiの値の対応する時系列と、を生成するように構成される。この目的のために、PTM52’は、それぞれの管理関数f1~f4を実施する管理サブモジュール72~75をさらに備える。動作中、DESサブモジュール71は、前の時間ステップのVpおよびCpiの導関数を含むデータセット74B、75Bに基づいて、現在の時間ステップのVp、Cpiを含むデータセット71Bを生成する。管理サブモジュール72は、現在の時間ステップのためのVp、Cpi上で動作し、現在の時間ステップのためのJvを生成する。管理サブモジュール73は、現在の時間ステップのためのJv、Vp、Cpi上で動作し、現在の時間ステップのためのJiを生成する。管理サブモジュール74は現在の時間ステップについてのVpの導関数を生成するために、現在の時間ステップについてのJvに対して動作する。管理サブモジュール75は、Jv、Ji、Cpi、Vpに対して動作し、現在の時間ステップに対するCpiの導関数を生成する。開始時間(t=0)から終了時間までFTM52’を動作させることによって、VpおよびCpiのそれぞれの値の時系列が生成されることが理解される。Cpi値の時系列に基づいて、FTM52’は、一連の時点のCpi値を抽出し、[Cpi]をもたらし、これは、変換モジュール57によって使用するためのデータセット57Aとして出力される(図5B参照)。
PTM52’の動作が最初に開始されると、DESサブモジュール71は、初期データセット52Aから、開始時間における腹腔内ボリュームVp(0)、および、開始時間におけるPC内の治療液の溶質の濃度Cpi(0)を取得する。図5Cの例において、初期データセット52Aは、開始データモジュール76によって提供される。次いで、Vp(0)、Cpi(0)の値が、開始時間(t=0)にデータセット71Bとして供給される。管理関数f1~f4から理解されるように、サブモジュール72は、LpS(および、場合によってfCpw)で動作し、サブモジュール73は、LpSおよびPS1..N(および、場合によってfCpw)で動作する。LpS、PSiおよびfCpwは候補特性データ53Bに含まれ、したがって、PT装置50によって決定される範囲で、初期データセット52Aは、PTM52’の動作が最初に開始されるときにサブモジュール72、73、75によって使用されるLpS、PSiおよびfCPwのための初期値を含みうる。図5Cの例において、それぞれのサブモジュール72、73は、初期データセット52Aから初期値LpS0およびPSi0を取り出しうる。初期値LpS0、PSi0は、例えば、一般的な患者データ56Bまたは患者固有データ56C(図5A)から開始データモジュール76によって取得されうる。
初期値Vp(0)、Cpi(0)は、また、一般的な患者データ56Bまたは患者固有データ56C(図5A)から開始データモジュール76によって取得されうる。しかしながら、初期値Cpi(0)のうちの1つ以上が患者の実際の値と著しく異なる場合、一般的な患者データ56Bの使用は、結果として生じる状態パラメータの精度を低下させうる。いくつかの実施形態において、この潜在的な問題を軽減するために、開始データモジュール76は、治療履歴データ56A(図5A)内の1つ以上の最近のレジメンに関する情報に基づいてシミュレーションを実行するように構成される。シミュレーションは、患者の想定される残留ボリューム基づいてCpi(0)を計算し、最近のレジメンを考慮し、支配関数f1~f4を使用することによって実行されうる。このシミュレーションのための残留ボリューム中の溶質の濃度の初期値は、任意に、例えば、大きな溶質の含有量を減少させることによって、および/または、ドナン平衡に従ってナトリウムおよび塩化物を調整することによって、血漿水からわずかに修正された血漿水濃度として取られうる。
代わりに、開始データモジュール76は、初期値Cpi(0)を血漿水濃度に等しく設定してもよく、任意に、アルブミンなどの大きな溶質に対して低減係数を適用する。別の代わりに、開始データモジュール76は、初期値Cpi(0)を、未使用の治療液中のそれぞれの溶質の濃度に等しく設定してもよい。
PFA53’が初期データセット52AについてPTM52’によって生成されたデータセット57Aに基づいて候補特性データ53Bを計算したときに、PTM52’は、VpおよびCpiのそれぞれの時系列の値を生成するように再度動作される。PTM52’は、Vp(0)およびCpi(0)を初期値として再度使用することができるが、ここではPFA53’からの候補特性データ53BにおいてLpSおよびPSiを使用する(図5B)。
図4Cに示されるように、残留ボリュームは、PC中の治療液の伝導度に深刻な影響を及ぼしうる。これは、初期値Vp(0)の誤差が、推定濃度値[Cpi]の精度に、それによって推定伝導度[Kp]に著しい影響を及ぼしうることを意味する。いくつかの実施形態において、そのような誤差の影響を軽減するために、PFA53’は、フィッティングされるパラメータのうちの1つ以上の時点における腹腔内ボリュームを含むように構成される。換言すると、1つ以上の時点におけるVpは、候補特性データ53Bに含まれる。いくつかの実施形態において、ドレインサイクルの終了時の腹腔内ボリューム、すなわち、残存ボリュームVresは、候補特性データ53Bに含まれる。
図6Aは、PD透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための例示的な方法600のフローチャートである。例示的な方法600は、図5A~図5Cに示され、本明細書において上記で説明された例示的なPT装置50によって実行されうる。ステップ601において、第1データが入力される。第1データは、1つ以上の液体交換サイクル中の、人の腹膜アクセス12’(図1)を介した、腹膜腔31(図3)に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す。第1データは、試験レジメンデータ54A(図5A)に対応するか、または、それに含まれうる。ステップ602において、第2データが入力される。第2データは、1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点での腹膜腔31内の治療液の伝導度を表す測定データサンプル[Kp*](図5B)を含む。第2データは、測定データ54B(図5A)に対応するか、または、それに含まれうる。ステップ603は、第1データに基づいて数学的腹膜輸送モデル52’(図5A~5C)を評価し、2つ以上の時点での腹膜腔31内の治療液の伝導度を表す推定データサンプル[Kp](図5B)を演算するサブステップ603Aを含む。ステップ604は、第2データによって与えられる測定データサンプル[Kp*]と、ステップ603によって与えられる推定データサンプル[Kp]と、に応じて少なくとも1つの状態パラメータを決定する。
例示的な方法600は、図5A~5Cの例示的なPT装置50とは大幅に異なるPT装置によって実行されうることが理解される。したがって、本開示は、図1~図5を参照して提示される特徴の特定の組合せに限定されない。例えば、場合によっては精度を犠牲にするが、PT装置50によって実行される演算を単純化するように、管理関数f1~f4の複雑さを低減することが考えられる。測定データサンプルおよび推定データサンプルに基づいて、状態パラメータの代数的演算を許容するように、管理関数を定義することさえ可能でありうる。
その一方で、上記の例は単独で、または、組み合わせて、例えば、精度を高め、処理効率を高めるなどのために、明確な技術的利点を提供し得る特徴を備えることを認識されたい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの状態パラメータは、腹膜の1つ以上の輸送特性を含む。そのような輸送特性の知識は、腹膜の状態の詳細な評価を可能にする。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの状態パラメータは、腹膜を通る溶質の拡散能力および/または腹膜を通る水の濾過能力を含む。これらの輸送特性の両方は、腹膜の状態に関連する指標である。上記から理解されるように、拡散能力は、治療液中の薬剤の透過係数と表面積との積PSiを含みうる。薬剤は、未使用または使用済みの治療液中に存在する任意の溶質、例えば、浸透剤であってもよい。上記から理解されるように、濾過能力は、例えば、限外濾過率によって与えられる水圧コンダクタンスを含みうる。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの状態パラメータは、選択された時点における腹膜腔内の治療液のボリュームを含む。例えば、選択された時点は、1つ以上の液体交換サイクルのうちの少なくとも1つのドレインフェーズの完了時であってもよく、その結果、残留ボリュームが生じる。図5Cを参照して上述したように、1つ以上の時点での腹腔内ボリュームは、測定および推定データサンプルに基づいて決定されるパラメータとして含まれうる。したがって、時点を適切に選択することによって、残留ボリュームの改善された推定値を得ることが可能である。残留ボリュームは、腹膜の状態を評価するための関連する特徴であり、PD治療を最適化するためにも使用されうる。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの状態パラメータは、人の張性パラメータ、例えば、上述のスケール因子fCpwを含む。そのような張性パラメータは、患者の状態を評価するために使用されうる。
いくつかの実施形態において、図5A~5Cに例示されるように、PT装置50は、測定されたデータサンプルと推定されたデータサンプルとの間の差を最小化するために、数学的腹膜輸送モデル52’に含まれるパラメータのセットのそれぞれの候補値を決定するように動作可能なパラメータフィッティングアルゴリズム53’を備える。パラメータのセットは、少なくとも1つの状態パラメータを含む。したがって、それぞれの状態パラメータは、少なくとも差が閾値を下回る程度まで、差を最小化する対応する候補値によって与えられうる。パラメータフィッティングアルゴリズム53’の使用は、より複雑で、あるいは、より正確な腹膜輸送モデル52’の使用を可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Bに例示されるように、パラメータのセットは、腹膜を通る1つ以上の溶質の拡散能力(例えば、PSiまたはfPS)および腹膜を通る水の濾過能力(例えば、LpS)を表す。
いくつかの実施形態において、図5Bを参照して説明したように、パラメータのセットは、さらに、人の張性(例えば、fCpw)を表す。
いくつかの実施形態において、図5A~5Cに例示されるように、第1演算モジュール52は、第2演算モジュール53によって交互に決定されたパラメータ値のセットのそれぞれの候補値(候補特性データ53Bを参照)に基づいて、推定データサンプル[Kp]を交互に演算するように構成される。したがって、第2演算モジュール53は、第1演算モジュール52からの推定データサンプル[Kp]に基づいて、パラメータのセットのそれぞれの候補値を交互に決定するように構成されうる。第2演算モジュール53は、収束基準が満たされたとき、または、制限時間に達したときに、少なくとも1つの状態パラメータを出力するように構成されうる。それによって、第1および第2演算モジュール52、53は、パラメータのセットのための最良の値、および、それによって少なくとも1つの状態パラメータのための最良の値を反復的に見出すように動作する上述のフィードバック制御システムを定義するように構成される。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第1演算モジュール52は、第1データ(試験レジメンデータ54Aを参照)に基づいて、数学的腹膜輸送モデル52’の使用によって、1つ以上の液体交換サイクル中の時点の腹膜腔内の治療液の推定量の時間シーケンスを演算するように構成される。上記の説明から理解されるように、Vp値の時系列を算出は、対応するCpi値の高精度な計算を可能にする。
いくつかの実施形態において、数学的腹膜輸送モデル52’は、腹膜を通して輸送するためのthree-pore model TPMである。TPMは、確立された信頼できるモデルである。
いくつかの実施形態において、数学的腹膜輸送モデル52’は、腹膜の両側での溶解イオンの量の差および腹膜による大きな荷電溶質の反発を原因とする、腹膜を横切る静電力によるイオン輸送を考慮するように構成される。このような数学的腹膜輸送モデル52’の例は、付録Aに示されている。腹膜輸送モデルにおける静電力の組込みのさらなる例が、Oeberg、Carl、(1 ed.)による刊行物「Analysis of Transvascular Transport Phenomena in the glomerular and peritoneal microcirculation」、ルンド大学、医学部、ルンド、ISBN 978-91-7619-372-3の第17章(pp 33-36)に見出される。現在、静電力を考慮することによって、より正確な結果が得られると考えられている。例えば、いわゆるドナン係数を使用することによって、静電力によるイオン輸送を考慮するための代替的および/またはより単純な技術が存在することに留意されたい。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第1演算モジュール52は、現在の時間ステップについて、腹膜腔内の治療液の量の先行する時間的変化に基づいて、腹膜腔内の治療液の量(71B参照)を計算するように構成された微分方程式解法(DES)サブモジュール71を備える(74B参照)。DESサブモジュール71は、現在の時間ステップについて、腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度の先行する時間的変化に基づいて(75B参照)、腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度を計算するようにさらに構成されうる(71B参照)。上記の説明から理解されるように、これは、Cpi値の時系列を高精度に算出することを可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第1演算モジュール52は、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の現在の濃度(71B参照)と、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液の現在の量(71B参照)と、に応じて、腹膜腔内の治療液の量の現在の時間的変化(74B参照)を演算するように構成される、第1変化演算システムをさらに備える。上記の説明から理解されるように、これは、Cpi値の時系列を高精度に算出することを可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第1変化演算システムは、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液の現在の量(71B参照)に応じて、腹膜を通る水の現在の流量(72B参照)を演算するように構成される、第1流量計算サブモジュール72を備える。第1変化演算システムは、腹膜を通る水の現在の流量(72B参照)に応じて、腹膜腔内の治療液の量の現在の時間的変化(74B参照)を演算するように構成された第1変化演算サブモジュール74をさらに備えうる。上記の説明から理解されるように、これは、Cpi値の時系列を高精度に算出することを可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第1演算モジュール52は、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の現在の濃度(71B参照)と、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液の現在の量(71B参照)と、に応じて、腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の濃度の現在の時間的変化(75B参照)を計算するように構成される、第2変化演算システムをさらに備える。上記の説明から理解されるように、これは、Cpi値の時系列を高精度に算出することを可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Cに例示されるように、第2変化演算システムは、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の現在の濃度(71B参照)と、DESサブモジュール71によって計算される腹膜腔内の治療液の現在の量(71B参照)と、に応じて、腹膜を通る1つ以上の溶質の現在の流量(73B参照)を演算するように構成される、第2流量演算サブモジュール73を備える。第2変化演算システムは、腹膜を通る1つ以上の溶質の現在の流量(73B参照)、腹膜を通る水の現在の流量(72B参照)、DESサブモジュール71によって計算された腹膜腔内の治療液中の1つ以上の溶質の現在の濃度(71B参照)、および、DESサブモジュール71によって計算された腹膜腔内の治療液の現在の量(71B参照)に応じて、腹膜腔内の1つ以上の溶質の濃度の現在の時間的変化(75B参照)を演算するように構成されうる、第2変化演算サブモジュール75をさらに備えうる。上記の説明から理解されるように、これは、Cpi値の時系列を高精度に算出することを可能にする。
いくつかの実施形態において、図5Bに例示されるように、第1演算モジュール52は、腹膜腔内の治療流中の少なくとも1つの溶質の推定濃度値の時間シーケンスCpiを生成し、推定濃度値の時間シーケンスを伝導度値の時間シーケンスに変換し、伝導度値の時間シーケンスから推定データサンプルKpを決定するように構成される。濃度値から伝導度値への変換は、第1演算モジュール52が腹膜腔内の溶質濃度の力学モデルを適用することを可能にし、これは次に、腹膜腔内の治療液の伝導度に対する状態パラメータの影響の物理的に正確なモデル化を可能にする。最終的に、これは、決定された状態パラメータの精度を保護する。
図5Cに例示されるいくつかの実施形態において、PT装置50は、1つ以上の液体交換サイクルの前の先行する期間において、人のための液体交換データを受信するようにさらにアレンジされる(図5Aの図56A参照)。PT装置50は、液体交換データに基づいて、評価開始時点における腹腔内の治療液中の1つ以上の溶質の初期濃度Cpi(0)を推定するようにさらに構成されうる。第1演算モジュール52は、初期濃度に基づいて、推定データサンプルKpを計算するように構成されうる。上記から理解されるように、先行する時点における人の液体交換データから推定される初期濃度値は、一般的な濃度値よりも評価開始時点における患者をより代表する可能性が高いため、初期濃度値の推定は、推定データサンプルKpの精度の向上を可能にする。
以下、図7~図11に示すシミュレーションデータを参照して、上述した技術の動作および使用について説明する。
図7A~7Bは、PSi、LpS、fCpwおよびVresの既知の値を有するシミュレートされた患者のための第1演算モジュール52によって生成された例示的な変数のグラフである。図7Aは、充填フェーズ、滞留フェーズ、ドレインフェーズ、充填フェーズ、および、滞留フェーズの一部を順に含む短い試験手順を示す。図7Bは、6つの完全な液体交換サイクルと、それに続く充填フェーズおよび滞留フェーズの一部と、を含む長い試験手順を示す。図7Aおよび図7Bのそれぞれにおいて、グラフは、上から下に、腹腔内の治療液の伝導度(K)、腹腔内の治療液中のナトリウムの濃度(CpNa)、腹腔内の治療液中のグルコースの濃度(CpG)、および、腹腔内ボリューム(Vp)を示す。シミュレーションは、最初のドレインフェーズ(不図示)の終了時に開始し、最後の滞留フェーズに入る期間で終了する試験手順で行われている。図7Aの縦の点線は、異なる相間の遷移時点を示すために追加されている。変数Vp、CpNaおよびCpGは、Cpiの例であるCpNaおよびCpGを用いて、第1演算モジュール52内のPTM52’によって生成され、変数Kは、Cpi(CpNaおよびCpGを含む)に基づいて変換モジュール57によって生成される。
図7A~7Bは、また、試験手順中の伝導度を測定する時点の例を示す。図7Aの短い試験手順において、5つの時点におけるデータサンプルが示されている。データサンプルKp0*は、最初のドレインフェーズの終わり、すなわち、最初の充填フェーズの開始前に採取される。データサンプルKp1*は、最初の充填フェーズの完了後の所定の時間(Δt1)での次の滞留フェーズで採取される。データサンプルKp2*は、次のドレインフェーズ中に取得される。このデータサンプルは、ドレインフェーズの間の任意の明確に定義された時間で、または、2つ以上の時間で採取されうる。図7Aにおいて、データサンプルKp2*は、ドレインフェーズの開始および完了時に示される。データサンプルKp3*は、次の充填フェーズの完了後、すなわち、次の滞留フェーズにおいて、所定のΔt2で採取される。非限定的な例では、Δt1およびΔt2は、0~20分または0~10分の範囲でありうる。図7Aは、また、それぞれの充填フェーズにおいて腹膜腔に注入される未使用の治療液で測定される伝導度データサンプルKd0*およびKd1*を示す。上述のように、PTM52’は、未使用の治療液中の公称溶質濃度に対して動作しうる(付録Aの式3のCIiを参照)。しかしながら、状態パラメータの精度は、利用可能であれば実際の濃度で動作することによって、または、未使用の治療液中の実際の濃度の推定によって、改善されうる。例えば、既製の治療液は、成分の比較的大きな公差限度で生産される。例えば、ナトリウムの濃度は、±2.5%の公差限度を有しうる。これは、伝導度が治療液のバッチごとに変化し、状態パラメータの計算に誤差を導入することを意味する。未使用の治療液の伝導度(Kd0*)を測定し、その公称伝導度を知ることによって、公称濃度は、実際の濃度をより良く表すように調整されうる。この調整は当業者によって容易に理解されるように、異なる方法で実行されてもよい。一例において、未使用の治療液中の水分率は、治療液中の電荷の合計がゼロであることを確実にしながら、公称伝導度と測定伝導度との間の差を最小化するように計算されうり、その結果、公称濃度は水分率によってスケーリングされる。
図1のPD装置1に戻ると、データサンプルKd0*、Kd1*などは、PD装置におけるセンサ14または他の伝導度センサによって測定されうる。全ての液体交換サイクルにおいて同じ治療液が使用される場合、未使用の治療液の伝導度の1つの測定データサンプルのみを取得することで十分でありうる。
図7Bにおいて、長い試験手順のためのデータサンプルの例が示されている。図7Aと比較して、Kp3*は、最初の液体交換サイクル後の滞留フェーズから、最後に完了する液体交換サイクル後の滞留フェーズに移動されている。データサンプルKd12*、Kd13*、Kd14*、Kd15*、Kd16*は、Kd1*に対応し、治療液が液体交換サイクル間で同じである場合、省略されうる。データサンプルKp22*、Kp23*、Kp24*、Kp25*、Kp26*は、Kp2*に対応し、それぞれの液体交換サイクルで測定される。
図1のPD装置1に戻ると、データサンプルは、センサ14によって測定されうる。ドレインフェーズの間のデータサンプルKp2*は、治療液(廃液)がドレインライン13を通って腹膜腔からポンピングされる間に、センサ14が治療液の伝導度を測定することによって容易に得られることが理解される。データサンプルKp0*についても同様である。他のデータサンプルKp1*、Kp3*は、APDサイクラ3がセンサ14による測定のために、患者ライン12を介して腹膜腔から少量の治療液をドレインライン13に引き出すように動作することによって得られうる。代わりに、データサンプルKp0*、Kp1*、Kp3*は、PD装置1の液体回路内の他の伝導度センサによって測定されてもよい。治療液の抽出は、腹腔内の治療液のわずかな損失をもたらし、これは、図3のJs(t)によって表され、図7A~7Bのそれぞれの測定時点でのVpのわずかな減少として示される。
試験手順の間に取得され、状態パラメータの計算に使用されるデータサンプルの個数は、状態パラメータの必要な精度(信頼度)、状態パラメータの個数、および、場合によっては計算される状態パラメータのタイプに依存する。単一の状態パラメータが計算される場合、2つのデータサンプルで十分でありうる。データサンプルのタイミングは、計算される状態パラメータに依存しうる。データサンプルKp2*およびKp3*の使用は、例えば、図7Aに示されるように、状態パラメータPSi、LpS、fCpwまたはVresのいずれか1つの計算を可能にすると現在考えられている。例えば、図7Aに示されるように、Kp0*およびKp1*の一方または両方を含むことによって、精度が著しく改善されうり、および/または、さらなる状態パラメータが計算されうる。精度は、例えば、図7BのデータサンプルKd12*、Kd13*、Kd14*、Kd15*、Kd16*、Kp22*、Kp23*、Kp24*、Kp25*、Kp26*のうちの1つ以上によって示されるように、2つ以上の完全な交換フェーズを含む試験手順のための演算を実施すること、および、さらなるデータサンプルを採取することによって、向上しうることもまた理解される。
データサンプルは、ドレインフェーズ中に取得するのが最もシンプルなため、可能な限りKp2*を使用することが望ましい場合がある。上述のように、2つ以上の時間分離されたKp2*サンプルが、計算に使用されうる。驚くべきことに、1つのKp2*サンプルと対応するシミュレートされたKp2サンプルとの間の差だけでなく、ドレインフェーズ中の伝導度の測定された時間的変化と対応するシミュレートされた時間的変化との間の差も含むように、残差データ53A(図5B)を生成することによって、状態パラメータの精度を高めうることが見出された。一例において、測定された時間的変化は、2つのKp2*サンプル間の伝導度の差をKp2*サンプル間の時間で割った値によって与えられる。
Kp1*は、図7Bに示されるように、最初の交換サイクルで取る必要はなく、任意の後続の交換サイクルで取ってもよいことに留意されたい。しかしながら、例えば、図7Bの上のグラフに見られるように、ドレインフェーズと後続の滞留フェーズとの間の測定された伝導度の変化は、試験手順の間に減少すると予想される。現在、計算は、最初の交換サイクルにおいてKp1*を取得することによって改善され、それによって、測定された伝導度の変化を最大にすると考えられている。
図8A~8Dは、PSi、LpS、fCpwおよびVresを含み、PSiが上述のスケール因子fPSによって表される候補特性データを用いて、図5A~5Cに示される実装のために生成されたシミュレーション結果を提示する。シミュレーションは、それぞれ1.36%w/v、2.27%w/v、および、3.86%w/vのグルコースを含有する、未使用の治療液の3つの異なるグルコース組成物について行った。シミュレーションは、測定された伝導度のシミュレーションに対して0.01mS/cm(標準偏差)のランダム誤差を加え、公称流量に対して0.45%(標準偏差)のランダム誤差を加えた。シミュレーションは、4つの異なるトランスポータータイプH、HA、LA、Lに属する患者について、図7Aの短い試験手順および図7Bの長い試験手順について行った。
図8Aのボックスプロットは、短い試験手順について計算した場合の、それぞれのトランスポータータイプについてのグルコースについてのPSiの相対誤差(RE)を示す。それぞれのトランスポータータイプについて、ボックスは、左から右に、1.36%、2.27%および3.86%のグルコース含有量を有する未使用の治療液を表す。すべてのトランスポータータイプおよびすべてのグルコース含量について合理的な精度が達成され、HおよびHAトランスポーターについては精度がより良好である。図8Bのボックスプロットは、図8Aに対応するが、長い試験手順について計算される。見られるように、PSiにおける精度は、長い試験手順において著しく改善される。
図8Cのボックスプロットは、長い試験手順について計算した場合の、それぞれのトランスポータータイプについてのLpSにおける相対誤差(RE)を示す。見られるように、良好な精度は、全てのトランスポータータイプおよびグルコース含有量について達成されうる。
図8Dのボックスプロットは、長い試験手順について計算した場合の、それぞれのトランスポータータイプについてのfCpwにおける相対誤差(RE)を示す。見られるように、良好な精度は、全てのトランスポータータイプおよびグルコース含有量について達成されうる。
図8Eのボックスプロットは、短い試験手順(Iによって示される)および長い試験手順(IIによって示される)について計算した場合の、それぞれのトランスポータータイプについてのVresにおける絶対誤差(mL)を示す。見られるように、良好な精度は、両方のシナリオにおいて、全てのトランスポータータイプおよびグルコース含有量について達成されうる。ボックスプロットは、また、IIIにより、異なるトランスポータータイプおよびグルコース含有量について従来の希釈式に従って計算した場合のVresにおける絶対誤差(mL)を示す。希釈式は、ドレインフェーズにおける治療液の測定された伝導度、後続の充填フェーズの完了時の治療液の測定された伝導度、未使用の治療液の伝導度、および、充填フェーズ中に注入される治療液の量に応じてVresを計算する。そのような計算の例は、例えば、前述の欧州特許出願公開第2623139号明細書に見出される。希釈式は、腹膜を通る輸送が常に、すなわち、充填フェーズ中にも進行しているという事実を説明せず、したがって、トランスポータータイプおよびグルコース含有量に非常にセンシティブである。この依存性は、図8Eに明確に見られ、希釈式は、Vresの決定をほとんど信頼できないものにする。
本明細書に記載される試験手順および計算技術は、多くの利点を有する。試験手順および計算技法は、自動化されてもよく、ケアの時点で実行されてもよい。さらに、試験手順は、定期的かつ処方された治療の一部として実行されてもよい。これは、患者の処方にかかわらず、未使用の治療液の特定の組成を必要とする4時間の手順である標準PETとは全く対照的である。
計算技術は、透過係数表面積PSiなどの腹膜の小さな溶質輸送特性を決定することができる。標準PETは、H/HA/LA/Lに分類するためのD/D0グルコースおよびD/Pクレアチニンとしての小さな溶質輸送特性を生成し、これは腹膜の状態についての有意に低い情報である。さらに、計算技法は、荷電溶質および非荷電溶質の両方を考慮するように構成されてもよく、一方、標準PETは、両方とも非荷電であるグルコースおよびクレアチニンのみを測定する。
計算技術は、限外濾過率LpSなどの腹膜を通る水の濾過能力を決定することができる。患者の輸送の分類H/HA/LA/Lを行う際に限外濾過特性を考慮する標準PETの能力は限られている。標準PETは、注入されたボリュームを差し引いた後に、患者の液体輸送速度を決定するために使用されうる総ドレインボリュームを測定することを伴う。しかしながら、残留ボリュームに関する正確な情報の欠如、ならびに、液体の注入量および回収量を決定する際の測定誤差に起因して、誤差マージンは大きい。同様に、標準PETは、注入の前後に成分の濃度を測定するなどの追加的かつ非従来的な手順が標準PET試験に追加されない限り、残留ボリュームに関する情報を提供しないが、本明細書に提示される計算技術は、任意の時間、例えば、任意のドレインサイクルの完了時に、腹膜腔内の治療液の量を決定することができる。
試験手順および計算技術は、頻繁に、例えば、毎日実行されてもよい。毎日の試験は、例えば、可能性のある膜不全を検出するために、長時間スケールおよび短時間スケールの両方で腹膜の状態の進行の評価を可能にする。標準PETは、多くても年に2回程度である。
計算技術は、全体的な血漿電解質濃度の尺度である、患者の張性を決定することができる。張性は、患者の診断および/または分類のために、ならびに、処方を最適化するかまたはシフトを検出するために有用な特性でありうる。標準PETは、そのような情報を提供しない。
図9は、PT装置50によって計算された状態パラメータ55に基づいて標準PET手順をシミュレートするためにPT装置50に含まれうる追加のモジュール90のブロック図である。標準PET手順は、標準化されたプロトコル(レジメン、サンプリングなど)によって与えられる任意のPET手順であってよく、標準PETを含むが、これに限定されない。シミュレーションモジュール90は、PTM52’を備えうり、PTM52’を、PT装置50によって計算された状態パラメータによる特性を有する患者のために、交換サイクルのタイミングおよび数、アクセス12’を通る時間に応じた流量、および、未使用の治療液の組成を含む、標準PET手順に特有の試験レジメンデータ上で動作するように構成されうる。それによって、モジュール90内のPTM52’は、腹腔内の治療液中の溶質の濃度をシミュレートし、特定の時点で特定の溶質の濃度値を抽出し、標準PET手順の出力パラメータ、例えば、標準PETのD/D0およびD/Pを算出するように動作する。パラメータD/D0は、開始時点と特定の時点との間の腹腔内の治療液中のグルコース濃度の相対的変化を示す。パラメータD/Pは、腹腔内の治療液と患者の血漿との間の特定の時点におけるクレアチニンの濃度比を示しうる。代わりに、または、追加して、パラメータD/Pは、尿素について計算されてもよい。1つ以上の特定の時点におけるD/D0および/またはD/Pの計算されたパラメータ値は、状態パラメータの代わりに、またはそれに追加して、例えば、試験手順に基づいて患者およびその腹膜の状態を評価することを望む医師に提示されうる。図10A~10Bは、H、HA、LAおよびLトランスポータータイプに関する標準PETによる試験レジメンについて、本明細書に記載のPTM52’を含むシミュレーションモジュール90によって生成されたクレアチニンについてのD/D0およびD/Pのプロットである。
いくつかの実施形態において、PT装置50は、例えば、腹膜炎としても知られる炎症および/または感染によって引き起こされる、腹膜の潜在的な不全を検出するために、試験手順について計算された1つ以上の状態パラメータを処理するようにさらに構成される。膜不全の早期の検出は、医療従事者が患者の健康に有益となる、腹膜炎に早期に対処し、PD治療からの脱落を避けることを可能にする。潜在的な不全が検出されると、PT装置50は、例えば、視覚的、聴覚的または触覚的フィードバックデバイスを作動させることによって、専用アラームを生成し、および/または、任意の適切な通信チャネルを介して、例えば、医師への電子メッセージなどのアラートを生成するように構成されうる。PSi、LpS、VresおよびfCpwのいずれか1つ、または、それらの任意の組合せが、膜不全の検出のためにモニタされうる。
いくつかの実施形態において、PT装置50は、変化の検出のために1つ以上の状態パラメータのトレンドを分析し、潜在的な不全の検出のために変化を評価するように構成される。トレンドは、いくつかの試験手順にわたって広がりうり、変化は、突然、例えば、段階的でありうり、または、より長い期間、例えば、1週間以上にわたって現れうる。
いくつかの実施形態において、潜在的な不全は、状態パラメータの値が閾値を超えるときはいつでも検出されうり、閾値は、例えば、移動平均に関連して、状態パラメータの1つ以上の以前に計算された値に関連して設定されうる。一例では、状態パラメータの値が移動平均を少なくとも20%、30%、40%または50%上回る場合に、潜在的な不全が検出されうる。PSiの50%の増加の効果を説明するために、図11A~11Bは、正常PSi値をK1として、正常PSi値を50%増加させた値をK2として、腹腔内の治療液の伝導度のシミュレーション結果を示し、ここで、図11AはHトランスポーターについて与えられ、図11BはLトランスポーターについて与えられる。膜の不全は、治療液の測定された伝導度の著しい変化をもたらす可能性が高く、それによって、PT装置50によって計算された状態パラメータからも検出可能である可能性が高いことが理解される。
図6Bは、膜不全のための例示的なモニタ方法610のフローチャートである。例示的な方法610は、PT装置50によって実行することができ、2段階評価を含む。第1段階では、現在の試験手順の1つ以上の状態パラメータが、図6Aの例示的な方法600に従って決定されるが、現在の試験手順の液体交換サイクルのサブセットに対してのみ決定される。ステップ611は、第1時間的変化を検出するための状態パラメータのトレンドを評価する。第1時間的変化が検出されない場合、ステップ612は、方法610の終了に進む。第1時間的変化が検出された場合、ステップ612は、第2段階の評価に進み、現在の試験手順のさらなる交換サイクルにおける伝導度の測定値を含めながら、図6Aの例示的な方法600に従って、同じまたは任意の他の状態パラメータが決定される。上記から理解されるように、液体交換サイクルの数を増加させることによって、計算される状態パラメータの精度は向上する。ステップ613は、ステップ611において第1時間的変化を検出するために使用される基準と同じであっても異なっていてもよい基準によって、第2時間的変化を検出するための状態パラメータのトレンドを評価する。第2時間的変化が検出されない場合、ステップ614は、方法610の終了に進む。そうでなければ、ステップ614は、アラームを生成するように進む。いくつかの実施形態において、ステップ611は、第1時間的変化を、現在の試験手順で生じる状態パラメータの段階的変化として検出するように構成される。このような段階的な変化は、測定誤差によって引き起こされうるため、第2段階の評価は、誤警報を発生させるリスクを低減する。
上述の議論から理解されるように、数学的腹膜輸送モデルを使用する、本明細書に記載される計算技術は、PD治療中のIPVを推定するために適用されうる。この情報は、PD治療中にIPVが限界内に維持されることを確実にするためにモニタされうる。PC内の残留ボリュームが、完全なドレイン後に、または、例えば、タイダル治療の間など、完全なドレインが行われない場合に変化しうることを考慮すると、IPVは、現代のAPDではほとんど知られていない。したがって、患者を過剰充填する危険性がある。このリスクを軽減するために、PD治療中に完全なドレインが頻繁に行われる。しかしながら、これは、APDにおける一般的な合併症でいわゆる「ドレイン痛」の発生を増加させうる。ドレイン痛の原因は、科学界によって完全には理解されていない。ドレイン痛は、非常にセンシティブな体腔壁の腹膜に各ドレインサイクルの終わりの少し前に陰圧をかけることによって引き起こされると考えられるものもある。これは、直腸または生殖器の領域においてしばしば非常に不快に感じられる、関連する疼痛をもたらす。他の人は、ドレイン痛が外腸壁の負の吸引に関連すると推測する。原因に関わらず、ドレイン痛の管理は課題である。
図7Aを参照すると、本出願人は少なくとも、ドレインフェーズ中に採取されたデータサンプル(Kp0*またはKp2*参照)と、後続の充填フェーズ、例えば、後続の滞留フェーズの後に採取されたデータサンプル(Kp1*またはKp3*参照)とに基づいて、充填フェーズ後のIPVを決定することが可能であることを見出した。IPVに基づいて、先行するドレインフェーズの後の残留ボリュームが決定されうる。このタイプの計算によって、例えば図7Bの試験手順において、APDサイクラが過剰充填を回避するように注入ボリュームを調整することによって、および、APDサイクラが後続のドレインフェーズにおいて、ドレインボリュームを調整してドレイン痛のリスクを軽減することによって、1つのドレインフェーズ後の残留ボリュームが、推定され、後続の充填フェーズにおいて考慮することができる。この計算は、一連の交換サイクルにおいて、ドレインフェーズおよび充填フェーズの各シーケンスについて繰り返されてもよい。それによって、例えば、それぞれの交換サイクルのための一連の交換サイクルを含む試験手順中に、断続的に残留ボリュームを推定することが可能である。本出願人は、また、滞留フェーズで採取されたデータサンプルのうちの1つを除く全てを省くことが可能であることを見出した。したがって、一連の交換サイクルにおける各ドレインフェーズ後の残留ボリュームは、ドレインフェーズ中に採取されたデータサンプル(例えば、Kp0*)、後続の充填フェーズ後の滞留フェーズ中に採取されたデータサンプル(例えば、Kp1*)、および、一連の交換サイクル中の少なくとも1つの後続のドレインフェーズ中に採取されたデータサンプル(例えば、Kp2*、Kp22*、Kp23*など)を使用することによって、試験手順中に断続的に推定されうる。
したがって、いくつかの実施形態において、PT装置(図5Aの50)は、APDサイクラ(図1の3)による受領のための交換サイクルにおいて、推定されたIPV、例えばVresを提供するように構成されうり、それによって、推定されたIPVに基づいて、後続の交換サイクルのドレインフェーズおよび充填フェーズのうちの少なくとも1つの調整を実行する。調整は、治療液の注入量を減少または増加させることを伴いうる。
上述のように、PD治療は、患者がAPDサイクラに接続されたときにPC内に大量の治療液を保持していると仮定される場合、最初のドレインから開始されうる。いくつかの実施形態において、残留ボリュームが、最初のドレイン中に採取されたデータサンプルと、後続の充填フェーズの後に採取されたデータサンプルと、に少なくとも基づいて、上述の計算によって推定される。それによって、PD治療中の過剰充填および/またはドレイン痛のリスクが、さらに軽減されうる。
本出願人は、以下においてIRPCと略記される最初が制限されたプロービングサイクルを提供することによって、過剰充填および/またはドレイン痛のリスクをさらに軽減することが可能であることをさらに理解した。IRPCは順に、ドレインフェーズおよび充填フェーズを含む。IRPCは、PD治療に先立ってAPDサイクラによって実施されてもよく、最大充填ボリュームの一部のみが腹膜腔から抽出されるという点で「制限」される。最大充填ボリュームは、患者または一般的な値について測定されうる。IRPC中に採取された伝導度(または濃度)の2つ以上のデータサンプルに基づいて、腹腔内容積(IPV)は、数学的腹膜輸送モデルの使用によって、例えば、付録Aの式および/または上述の管理関数に基づいて計算されうる。それによって、PD治療のまさに最初にIPVの推定が利用可能になる。これは、APDサイクラが、このように推定されたIPVに基づいてその動作を自動的に調整し、ドレイン痛および/または過剰充填のリスクを軽減することを可能にする。
IRPCおよびその使用の一例が、時間に応じたIPV(Vp)を示す図12Aを参照して説明される。患者がAPDサイクラに接続されているとき、残存ボリュームは未知であると仮定される。IRPCは、ΔVpによって示される、制限された量の治療液をPCから排出するためにAPDサイクラが作動される、ドレインフェーズによって開始する。いくつかの実施形態において、ΔVpは、ドレイン痛のリスクを制限するように設定される。例えば、ΔVpは、例えば履歴データに基づいて、患者または患者のグループについて決定されうる公称残存ボリュームに等しくまたはそれ未満に設定されうる。いくつかの実施形態において、ΔVpは、最大充填ボリュームの10%~25%未満に設定される。いくつかの実施形態において、ΔVpは、50~400mLまたは100~300mLの範囲である。ドレインフェーズの後に充填フェーズが続き、この段階では、PCに未使用の治療液が注入される。過剰充填のリスクを避けるために、注入される治療液の量は、ΔVp以下に設定されてもよい。IRPCの間、第1データサンプルKpi0*は、上述のKp0*およびKp2*との類似によって、ドレインフェーズにおける1つ以上の測定値によって与えられる。第2データサンプルKpi1*は、充填フェーズの完了後、所定の期間Δtiで採取される。期間Δtiは、0~20分または0~10分の範囲であってもよい。第2データサンプルKpi1*は、上述のKp1*およびKp3*との類似によって、APDサイクラを操作して、PCから少量の治療液をドレインすることによって取得されうる。したがって、Kpi1*は、図12Aに示されるように、PCにおける治療液のわずかな損失をもたらす。短い計算時間の後、時点C1において、IPV(Vp)は、抽出されたボリューム(ΔVp)、注入されたボリュームKpi0*およびKpi1*に基づいて計算されている。図示の例において、IPVが大きいことが見出され、APDサイクラは、従来の実施に従って最初のドレインを実行するように動作する。しかしながら、最初のドレインは、例えば、PCが最初ドレインによって完全に空にならないことを確実にするようにドレインボリュームを設定することによって、ドレイン痛を軽減するように制御される。同様に、後続の充填フェーズにおける注入体積は、過剰充填を避けるために、推定IPVおよびドレインボリュームに基づいて設定される。図12Aに示されるように、APDサイクラは、次いで、さらなるデータサンプル、例えば、Kp0*、Kp1*などを取得しながら、1つ以上の交換サイクルを実行することによって、図7A~7Bの例による試験手順を進めうる。試験手順のための計算は、上述の状態パラメータのうちの1つ以上を生成しうる。上述のように、それぞれのドレインフェーズの後の残留ボリュームを決定するために、Kp0*、Kp2*、Kp22*などのドレインフェーズの間にデータサンプルを取得することが十分でありうる。
図12Bは、IRPCの使用の別の例を示す。図12Bは、患者が小さなIPVで始まる点で図12Aと異なる。これは、図12Aと同じ計算によって、時間C1において検出される。制限された量(ΔVp)の採取は、IRPC中のドレイン痛の危険性を低減することが理解される。図示の例において、IPVが小さいことが見出されているため、APDサイクラは充填フェーズを実行するように動作する。さらに、時点C1におけるIPVは既知であるため、充填フェーズは、過剰充填を防止するように制御されうる。充填フェーズは、上述のような試験手順の一部であってもよく、上述の状態パラメータのうちの少なくとも1つは、試験手順中に採取されたデータサンプルのセットに基づいて生成されてもよい。例えば、図12BのKp1*は、データサンプルのセットの中に含まれていてもよい(ただし、必ずしも含まれなくてもよい)。
図12A~12Bから理解されるように、APDサイクラの動作は、IRPCについて推定されるIPVに基づいて制御されうる。いくつかの実施形態において、APDサイクラは、推定IPVが限界値未満である場合(図12B参照)、IRPCの後に充填フェーズを実行し、推定IPVが限界値を超える場合(図12A参照)、ドレインフェーズを実行するように構成される。一例において、限界値は300~700mLの範囲である。限界値は患者固有であってもよく、例えば、介護者によって設定されてもよい。
したがって、いくつかの実施形態において、PT装置(図5Aの50)は、APDサイクラ(図1の3)による受領のために、推定されたIPV、例えばVresを表す出力データを提供するように構成され、それによって、推定されたIPVに応じてIPRCの後にドレインフェーズまたは充填フェーズを選択的に開始させる。
上述のように、IPVの計算は、試験手順中に繰り返されうり、試験手順中の離散的な時点で計算されたIPV値をもたらしうる。そのような実施形態は、例えば、IPVが制限内に留まることを確実にするために、IPVが経時的に追跡されることを可能にする。これは、腹膜の輸送特性がまだ知られていない場合、または、輸送特性が、例えば感染の結果としてドリフトしていることが疑われる場合、重要でありうる。
IPVの計算は、公称伝導度/濃度の代わりに、Kd0*(図7A~7B参照)、すなわち、測定された未使用の治療液の伝導度/濃度にさらに基づいてもよいことを理解されたい。
いくつかの実施形態において、IRPCについてのIPVの計算は、上述のように、しかし、固定値に設定された腹膜の1つ以上の輸送特性を用いて行われる。したがって、いくつかの実施形態において、PT装置は、IPVを計算するときに、数学的腹膜輸送モデル(図5Aの52’)に含まれるように、腹膜の1つ以上の輸送特性を固定値に設定するように構成される。当業者は、PSi、LpSおよびfCpwのうちの少なくとも1つの固定値を仮定することによって、計算が大幅に単純化されることを理解する。例えば、パラメータフィッティングアルゴリズム(図5Bの53’)の複雑さが低減されうる。固定値は、患者の履歴値によって与えられてもよく、例えば、1つ以上の先行する試験手順の計算によって生成されてもよい。代わりに、または、追加して、固定値は、一般的な輸送特性、例えば、患者群の平均値によって与えられてもよい。また、患者に対して実施される標準PETからの情報を使用して、患者へのそのような一般的な輸送特性を調整することも考えられる。
上記のように、残存ボリュームを計算するために数学的腹膜輸送モデルを使用する代わりに、残存ボリュームは、従来の希釈式の使用によって推定されてもよい。そのような推定は、例えば、IRPCの間、または、通常のPD治療の間、ドレインフェーズおよび充填フェーズの任意のシーケンスに対して実行されうる。上述のように、そのような式は、3つの伝導度値、すなわち、ドレインフェーズにおける治療できの伝導度、後続の充填フェーズの完了時(任意に遅延期間後)における治療できの伝導度、および、未使用の治療液の伝導度に応じて、残留ボリュームを演算する。
本出願人は、また、PD治療の前のIRPC、または、PD治療の最初の交換サイクルのいずれかのために、数学的腹膜輸送モデルまたは希釈式の使用によって推定されるIPVのさらなる使用を想定する。
そのようなさらなる用途の1つは、推定IPVによって与えられる残留ボリュームVresに基づいて、未使用の治療液の組成を修正することである。未使用の治療液は、PC内の残留ボリュームと混合し、治療液を希釈させ、治療の有効性を潜在的に低下させる。いくつかの実施形態において、APDサイクラは、推定されたVresに基づいて、PC内部の残留ボリュームと混合されたときに処方された組成をほぼもたらす、治療液の調整された組成を計算するアルゴリズムを含む。APDサイクラは、IRPCの後の1つ以上の充填フェーズの間に、調整された組成物を用いて治療液を取得し、注入するようにさらに構成されうる。したがって、いくつかの実施形態において、PT装置(図5Aの50)は、APDサイクラ(図1の3)による受領のために、Vresを表す出力データを提供するように構成され、それによって、Vresによって与えられる、PC中の残留液による未使用の治療液の希釈について考慮するために、APDサイクラによって生成される未使用の治療液の組成を調整する。組成物は、希釈に少なくとも部分的に対処するように調整されうる。
別の用途は、完全なドレイン後の推定IPVによって与えられる残存ボリュームVresに基づいて、腹膜アクセスに関する問題を検出することである。アクセス問題は、Vresの異常な増加をもたらし、したがって、Vresが患者の安全限界、例えば、600~900mLの範囲を超える場合、APDサイクラによって検出され、警告されうる。アクセス問題は、カテーテルの閉塞もしくは移動、または、便秘を原因としうる。アクセス問題の検出は、IRPCについて決定されたIPVに基づきうるが、必ずしもそうである必要はないことに留意されたい。変形例において、アクセス問題は、例えば、図7A~7Bを参照して説明したように、試験手順のために決定されるVresに基づいて検出される。したがって、いくつかの実施形態において、PT装置(図5Aの50)は、腹膜アクセスに関する問題の検出のためにIPVを評価し、アクセス問題の検出時に介護者に警告する警告信号を出力するように構成されうる。
図13は、腹腔内ボリュームに対する影響を最小限に抑えて、腹腔から治療液をサンプリングする技術を概略的に示す。サンプリングは、抽出フェーズD’、測定フェーズ、および、リターンフェーズF’を含む。サンプリングの持続時間Δtは、約1~5分でありうる。抽出フェーズD’において、治療液が腹膜腔からPD装置のラインを通って伝導度センサまで引き出される(図1参照)。治療液の抽出量は、ΔV1+ΔV2であり、例えば200mLである。リターンフェーズF’において、抽出量の少なくとも一部が、図13にΔV2で示されるように、腹膜腔内にポンプで戻される。リターンフェーズF’を実施することによって、ΔV1のみが除去されるため、腹腔内ボリュームに対するサンプリングの影響が最小限に抑えられる。図3に戻って、Js(t)は、Js(t)が試験レジメンデータ(図5Aの54A)の一部としてPT装置50に入力されるとき、試料抽出中の時間に応じた治療液の流量を再現しうることに留意されたい。
本明細書で説明されるPT装置50は、例えば、APDサイクラに統合されたPD装置の一部であってもよい。代わりに、PT装置50が、PD装置1とは別個のデバイス上に実装されてもよい。そのようなデバイスは、ローカルコンピュータデバイスまたはリモートコンピュータデバイスであってもよく、クラウド内に位置していてもいなくてもよい。さらに、PT装置50は、図5Aに示される入力データの少なくとも一部を自動的に取得するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、PT装置50は、伝導度センサ14またはAPDサイクラ3から測定データ(図5Aの54B)を取得するように構成され、接続されうる。他の実施形態において、測定データ54Bは、PT装置50に接続された入力ユニットを介してオペレータによって手動で入力されてもよい。
本明細書に開示される構造および方法は、連続周期的腹膜透析(CCPD)、間欠的腹膜透析(IPD)、タイダル腹膜透析(TPD)、持続注入腹膜透析(CFPD)を含むが、これらに限定されない、自動腹膜透析(APD)の任意の様式に適用可能である。これらの様式の全ては、充填フェーズ、滞留フェーズ、および、ドレインフェーズを含む少なくとも1つの液体交換サイクルを含む。
本明細書で開示される構造および方法は、ハードウェア、または、ソフトウェアとハードウェアとの組合せによって実装されうる。いくつかの実施形態において、ハードウェアが、1つ以上のソフトウェア制御コンピュータリソースを備える。図14は、処理システム201、コンピュータメモリ202、データの入力および/または出力のための通信インターフェースまたは回路203を備える、そのようなコンピュータリソース200を概略的に示す。通信インターフェース203は、有線および/または無線通信のために構成されうる。上記から理解されるように、コンピュータリソース200は、APDサイクラの一部であってもよいし、一部でなくてもよい。処理システム201は、例えば、CPU(「中央演算処理装置」)、DSP(「デジタル信号プロセッサ」)、GPU(「グラフィック処理装置」)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC(「特定用途向け集積回路」)、個別のアナログおよび/またはデジタルコンポーネントの組合せ、FPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ」)などの何らかの他のプログラマブル論理デバイスのうちの1つ以上を含みうる。コンピュータ命令を備える制御プログラム202Aは、メモリ202に記憶され、処理システム201によって実行され、上記で説明された方法、手順、機能またはステップのいずれかを実行するロジックを実装する。制御プログラム202Aは、有形(非一時的)製品(例えば、磁気媒体、光ディスク、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリなど)、または、伝搬信号でありうるコンピュータ可読媒体205上のコンピュータリソース200に供給されうる。図14に示されるように、メモリ202は、また、処理システム201によって使用される制御データ202B、例えば、試験レジメンデータ54A、治療履歴データ56A、一般的な患者データ56B、患者固有データ56C、または、溶質特性データ56D(図5A)のすべてまたは一部を記憶しうる。
本開示の主題は、現在最も実際的な実施形態であると考えられるものに関連して説明されたが、本開示の主題は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の特許請求の均等物の趣旨および均等物内に含まれる種々の変形態および均等な構成を包含することが意図されることを理解されたい。
さらに、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは望ましい結果を達成するために、そのような動作が示されている特定の順序で、または、連続的な順序で実行されること、またはすべての示されている動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。
以下では、上記で開示された、いくつかの態様および実施形態を要約するために項目が列挙される。
項目1
腹膜透析中の人(P)の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための装置であって、1つ以上の液体交換サイクル中に、前記人(P)の腹膜アクセスを介して、腹膜腔(31)に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データ(54A)であって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含む、第1データ(54A)、および、前記1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプル([Kp*])を含む第2データ(54B)を受信するための入力(51)と、前記第1データ(54A)に基づいて、かつ、前記腹膜腔(31)内の腹膜(30)を通る水および溶質の輸送の数学的モデル(52’)を使用して、前記2つ以上の時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度を表す推定データサンプル([Kp])を演算するように構成された第1演算モジュール(52)と、前記測定データサンプル([Kp*])および前記推定データサンプル([Kp])に応じて、前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するように構成された第2演算モジュール(53)と、を備える、装置。
項目2
項目1に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記腹膜(30)の輸送特性を含む、装置。
項目3
項目1または2に記載の装置であって、前記第2演算モジュール(53)は、パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を備え、前記パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を使用することによって、前記測定データサンプル([Kp*])と前記推定データサンプル([Kp])との間の1つ以上の差を最小化するために、前記数学的モデル(52’)に含まれるパラメータのセットのそれぞれの候補値(53B)を決定するように動作可能であり、前記パラメータのセットは、前記少なくとも1つの状態パラメータを含む、装置。
項目4
項目3に記載の装置であって、前記第2演算モジュール(52)は、前記測定データサンプル([Kp*])と前記推定データサンプル([Kp])とに応じて、前記1つ以上の液体交換サイクルの前記ドレインフェーズ中の伝導度の測定される時間的変化および推定される時間的変化を演算するようにさらに構成され、前記第2演算モジュール(52)は、前記パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を使用することによって、前記測定される時間的変化と前記推定される時間的変化との間の差をさらに最小化するために、前記それぞれの候補値(53B)を決定するように動作可能である、装置。
項目5
項目3または4に記載の装置であって、前記パラメータのセットは、前記腹膜(30)を通る1つ以上の溶質の拡散能力、および、前記腹膜(30)を通る水の濾過能力を表す、装置。
項目6
項目4または5に記載の装置であって、前記パラメータのセットは、前記人(P)の張性(fCpw)をさらに表す、装置。
項目7
項目2乃至6の何れか1項目に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記第2演算モジュール(53)によって決定された前記パラメータ値のセットの前記それぞれの候補値(53B)に基づいて、前記推定データサンプル([Kp])を繰り返し演算するように構成され、前記第2演算モジュール(53)は、前記第1演算モジュール(52)からの前記推定データサンプル([Kp])に基づいて、前記パラメータのセットの前記それぞれの候補値(53B)を繰り返し決定するように構成され、前記第2演算モジュール(53)は、収束基準が満たされるか、または、制限時間に達した場合に、前記少なくとも1つの状態パラメータを出力するように構成される、装置。
項目8
項目1乃至7の何れか1項目に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記第1データ(54A)に基づいて、かつ、前記数学的モデル(52’)を使用することによって、前記1つ以上の液体交換サイクル中の期間について、前記腹膜腔(31)内の治療液の推定量の時間シーケンスを演算するようにさらに構成される、装置。
項目9
項目1乃至8の何れか1項目に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)は、前記腹膜(30)を通る輸送のためのthree-pore modelである、装置。
項目10
項目1乃至9の何れか1項目に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)は、前記腹膜(30)の両側での溶解イオンの量の差および前記腹膜(30)による大きな荷電溶質の反発を原因とする、前記腹膜(30)を横切る静電力によるイオン輸送について考慮するように構成される、装置。
項目11
項目1乃至10の何れか1項目に記載の装置であって、前記腹膜(30)の潜在的な不全の検出のために前記少なくとも1つの状態パラメータを評価し、前記潜在的な不全の検出時に、アラームまたは警告を生成するようにさらに構成される、装置。
項目12
項目11に記載の装置であって、変化の検出のために前記少なくとも1つの状態パラメータのトレンドを分析し、前記潜在的な不全の検出について前記変化を評価するように構成される、装置。
項目13
項目11に記載の装置であって、第1時間的変化を検出するために前記少なくとも1つの状態パラメータのトレンドを分析し、前記第1時間的変化の検出時に前記少なくとも1つの状態パラメータを高い精度で決定し、前記トレンドにおける前記高い精度での前記少なくとも1つの状態パラメータを含み、第2時間的変化を検出するために前記トレンドを分析し、前記潜在的な不全を検出するために前記第2時間的変化を評価するように構成される、装置。
項目14
項目13に記載の装置であって、前記第1データ(54A)に含まれ、かつ、前記推定データサンプル([Kp])を演算するために前記第1演算モジュール(52)によって使用される交換サイクルの数を増加させることによって、前記高い精度で前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するように構成される、装置。
項目15
項目1乃至14の何れか1項目に記載の装置であって、標準化PET手順によって与えられる前記少なくとも1つの状態パラメータおよび1つ以上の時点に応じて、前記腹膜腔(30)内の前記治療液と前記人の血漿との間の尿素およびクレアチニンのうち少なくとも1つの濃度比(D/P)、および、前記1つ以上の液体交換サイクルの開始時点からの前記腹膜腔(30)内の前記治療液中のグルコースの濃度の相対的変化(D/D0)のうちの少なくとも1つを演算するように構成されたシミュレーションモジュール(90)をさらに備える、装置。
項目16
項目1乃至15の何れか1項目に記載の装置であって、前記第2データ(54B)は、前記1つ以上の液体交換サイクルの前記充填フェーズ中に、前記腹膜腔(30)に注入される前記治療液中の前記1つ以上の溶質の濃度を表す1つ以上の測定データサンプル(Kd0*、Kd1*、Kd12*、Kd13*、Kd14*、Kd15*、Kd16*)をさらに含む、装置。
項目17
項目1乃至16の何れか1項目に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、最初の時点から終了の時点まで、中間時間ステップを含む前記最初の時点から前記終了の時点までの前記腹膜腔(31)内の治療液の量(71B)を計算し、前記中間時間ステップを含む前記最初の時点から前記終了の時点までの前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度(71B)を計算するように構成された微分方程式解法サブモジュール(71)を備える、装置。
項目18
項目17に記載の装置であって、前記微分方程式解法サブモジュール(71)は、それぞれの時間ステップについて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の先行する時間的変化(74B)に基づいて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)を計算し、前記それぞれの時間ステップについて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度の先行する時間的変化(75B)に基づいて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)を計算するように構成される、装置。
項目19
項目18に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の時間的変化(74B)を演算するように構成された第1変化演算システム(72、74)をさらに備える、装置。
項目20
項目19に記載の装置であって、前記第1変化演算システム(72、74)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜(30)を通る水の流量(72B)を演算するように構成された第1流量演算サブモジュール(72)を備え、前記第1変化演算システム(72、74)は、前記腹膜(30)を通る水の前記流量(72B)に応じて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の前記時間的変化(74B)を演算するように構成された第1変化演算サブモジュール(74)をさらに備える、装置。
項目21
項目19または20に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度の時間的変化(75B)を演算するように構成された第2変化演算システム(73、75)をさらに備える、装置。
項目22
項目21に記載の装置であって、前記第2変化演算システム(73、75)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜(30)を通る前記1つ以上の溶質の流量(73B)を演算するように構成された第2流量演算サブモジュール(73)を備え、前記第2変化演算システム(73、75)は、前記腹膜(30)を通る前記1つ以上の溶質の前記流量(73B)、前記腹膜(30)を通る水の前記流量(72B)、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)、および、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)に応じて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度の前記時間的変化(75B)を演算するように構成された第2変化演算サブモジュール(75)をさらに備える、装置。
項目23
項目1乃至22の何れか1項目に記載の装置であって、前記測定データサンプル([Kp*])は、測定された伝導度値を含む、装置。
項目24
項目1乃至23の何れか1項目に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の少なくとも1つの溶質の推定濃度値の時間シーケンス([Cpi])を生成し、前記推定濃度値の時間シーケンス([Cpi])を伝導度値の時間シーケンスに変換し、前記伝導度値の時間シーケンスから前記推定データサンプル([Kp])を決定するように構成される、装置。
項目25
項目1乃至24の何れか1項目に記載の装置であって、前記1つ以上の液体交換サイクルは、2つの連続する交換サイクルを含み、前記2つ以上の時点は、第1液体交換サイクルの前記ドレインフェーズ中の時点と、前記第1交換サイクルの後の第2液体交換サイクルの前記滞留フェーズ中の時点と、を含む、装置。
項目26
項目25に記載の装置であって、前記2つ以上の時点は、前記第1液体交換サイクルの前記滞留フェーズ中の時点と、第1液体交換サイクルに先行するドレインフェーズ中の時点と、のうちの少なくとも1つをさらに含む、装置。
項目27
項目1乃至26の何れか1項目に記載の装置であって、前記入力(51)は、前記1つ以上の液体交換サイクルの前の先行する期間において前記人(P)の液体交換データを受信するようにさらにアレンジされ、前記装置は、前記液体交換データに基づいて、評価開始時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の初期濃度を推定するようにさらに構成され、前記第1演算モジュール(52)は、前記初期濃度に基づいて、前記推定データサンプル([Kp])を演算するように構成される、装置。
項目28
項目1乃至27の何れか1項目に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記腹膜(30)を通る溶質の拡散能力と、前記腹膜(30)を通る水の濾過能力と、のうちの少なくとも1つを含む、装置。
項目29
項目28に記載の装置であって、前記溶質の拡散能力は、前記治療液中の薬剤の透過係数と表面積との積(PSi)を含み、前記水の濾過能力は、水圧コンダクタンス(LpS)を含む、装置。
項目30.
項目1乃至29の何れか1項目に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、選択された時点における前記腹膜腔(31)内の治療液のボリュームを含む、装置。
項目31
項目30に記載の装置であって、前記選択された時点は、前記1つ以上の液体交換サイクルのうちの少なくとも1つの前記ドレインフェーズの完了に対応する、装置。
項目32
項目30または31に記載の装置であって、前記第2データ(53B)の前記測定データサンプルは、ドレインフェーズ中に採取された第1データサンプルと、前記ドレインフェーズの後の充填フェーズの完了後に採取された第2データサンプルと、を含み、前記第2演算モジュール(53)は、前記選択された時点で前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定するように構成される、装置。
項目33
項目32に記載の装置であって、前記第1データサンプルおよび前記第2データサンプルは、前記ドレインフェーズおよび前記充填フェーズを含み、かつ、前記腹膜腔(31)内の制限された量(ΔVp)の治療液が前記ドレインフェーズで抽出される最初のプロービングサイクル(IRPC)中に採取され、前記制限された量(ΔVp)は、前記腹膜腔(31)の最大充填ボリュームの一部分に対応する、装置。
項目34
項目33に記載の装置であって、前記制限された量は、前記最大充填ボリュームの10%~25%未満である、装置。
項目35
項目33または34に記載の装置であって、前記制限された量は、50~400mLまたは100~300mLの範囲である、装置。
項目36
項目33乃至35の何れか1項目に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するために動作する腹膜透析装置(3)が、前記治療液のボリュームが制限値を上回る場合に、前記最初のプロービングサイクル(IPRC)の後にドレインフェーズを開始させ、前記治療液のボリュームが制限値を下回る場合に、前記最初のプロービングサイクル(IPRC)の後に充填フェーズを開始させるように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
項目37
項目32乃至36の何れか1項目に記載の装置であって、前記第2データ(54B)の前記測定データサンプルは、後続のドレインフェーズ中に採取されたデータサンプルをさらに含み、前記第2演算モジュール(53)は、前記後続のドレインフェーズの前記終了時に前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定するようにさらに構成される、装置。
項目38
項目30乃至37の何れか1項目に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)に含まれる前記腹膜(31)の1つ以上の輸送特性を、前記選択された時点で前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定する際に固定値に設定するように構成される、装置。
項目39
項目30乃至38の何れか1項目に記載の装置であって、前記腹膜透析中に間欠的に、それぞれの液体交換サイクルについて前記治療液のボリュームを決定し、出力するように構成される、装置。
項目40
項目39に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するように動作する腹膜透析装置(3)が、前記それぞれの液体交換サイクルのための前記治療液のボリュームに基づいて、前記それぞれの液体交換サイクルの後の液体交換サイクルのドレインフェーズおよび充填フェーズのうちの少なくとも1つを調整するように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、前記それぞれの液体交換サイクルの前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
項目41
項目30乃至40の何れか1項目に記載の装置であって、前記腹膜アクセスに関する問題を検出するために、前記選択された時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを評価し、前記問題が検出された際に警告信号を出力するようにさらに構成される、装置。
項目42
項目30乃至41の何れか1項目に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するために動作する腹膜透析装置(3)が、前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームによる未使用の治療液の希釈について考慮するために前記腹膜透析装置(3)によって生成される前記未使用の治療液の組成を調整するように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、ドレインフェーズの完了後の前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
項目43
項目1乃至42の何れか1項目に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記人(P)の張性パラメータ(fCpw)を含む、装置。
項目44
腹膜透析装置であって、治療液を腹膜腔(31)からまたは腹膜腔(31)へ運ぶための人(P)の腹膜アクセスに接続可能な体外液体回路(3b)と、前記体外液体回路(3b)内に配され、前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表すデータサンプルを提供するように構成された少なくとも1つのセンサデバイス(14)と、前記体外液体回路(3b)を動作させ、前記センサデバイス(14)から前記データサンプルを取得するように構成された制御装置(3a)と、前記制御装置(3a)から前記第1データおよび前記第2データを受信するように接続された、項目1乃至31の何れか1項目に記載の装置と、を備える、腹膜透析装置。
項目45
腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定する方法であって、1つ以上の液体交換サイクル中に、前記人の腹膜アクセスを介して、腹膜腔に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データを取得する(601)ことであって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含むことと、前記1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における前記腹膜腔内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプルを含む第2データを取得する(602)ことと、前記第1データに基づいて、かつ、前記腹膜腔内の腹膜を通る水および溶質の輸送の数学的モデルを使用して、前記2つ以上の時点における前記腹膜腔内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度を表す推定データサンプルを演算する(603、603A)ことと、前記測定データサンプルおよび前記推定データサンプルに応じて、前記少なくとも1つの状態パラメータを決定する(605)ことと、を含む方法。
項目46
1つ以上のプロセッサ(201)によって実行された場合に、前記1つ以上のプロセッサ(201)に項目45に記載の方法を実行させるコンピュータ命令(202A)を含む、コンピュータ可読媒体。
項目47
モニタリング方法であって、前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するために、項目1乃至43の何れか1項目に記載の装置を動作させることと、前記腹膜の潜在的な不全を検出するために、前記少なくとも1つの状態パラメータを評価することと、を含む、モニタリング方法。
付録A
腹腔内ボリュームの変化は、
Figure 2023539913000003
によって与えられ、ここで、J(t)は、充填フェーズ中の流量であり、J(t)は、ドレインフェーズ中の流量であり、J(t)は、試料抽出中の液体の損失であり、Lは、例えば、0.3mL/分で一定であると仮定されうる、リンパ管吸収である。
腹膜の全液体の流れは、アクアポリン(m1)、小さな細孔(m2)および大きな細孔(m3)を通る流れの合計であり、
Figure 2023539913000004
ここで、αは、α=0.02、α=0.90、α=0.08と仮定されうる、それぞれの細孔タイプの水圧コンダクタンスの割合であり、Rは、理想気体定数であり、Tは、体温であり、Nは、異なる溶質の数である。
面積係数A(t)は、交換のための実効面積が腹腔内の液体のボリュームに依存することを説明するために導入されうる。面積係数は、
Figure 2023539913000005
によって与えられうる。
腹腔と毛細血管との間の静水圧差ΔP(t)は、ΔP(t)=Pcap(t)-IPP(t)として計算されうり、ここで、IPP(t)は、腹腔内ボリュームの関数であると仮定されうる腹腔内圧であり、
Figure 2023539913000006
である。
毛細血管圧Pcap(t)は、平均動脈圧MAP、および、IPP(t)に等しいと仮定されうる静脈圧に依存するように設定されうる。
Figure 2023539913000007
異なる溶質に対する浸透係数φは、表の値で与えられてもよく、異なる溶質に対する反発係数σm,iは、
Figure 2023539913000008
によって与えられ、ここで、λm,iは、溶質iの流体力学的半径と、それぞれの細孔タイプ(m=1,2,3)の細孔半径と、の商である。異なる溶質の流体力学的半径は、サイズの有効な尺度であり、これは、分子質量/幾何学的形状ならびに電荷に依存する。アクアポリンの場合、σ1,i=1であることにも留意されたい。
各溶質の濃度差は、溶質の流れおよび膜上の液の流れからの希釈、ならびに、充填フェーズ中の希釈に依存し、
Figure 2023539913000009
Iiは、未使用の治療液中の溶質iの濃度である。溶質iの流れは、
Figure 2023539913000010
によって与えられ、ここで、Pei,m(t)は、空孔タイプmを通る溶質iの無次元のペクレ数(拡散による対流)であり、
Figure 2023539913000011
によって計算され、ここで、σi,mは、細孔タイプmにおける溶質iの反発係数であり、表の値で与えられる。最後の項は、溶質Ziの電荷と、膜30を横切る電位ΔE(t)と、による静電効果である。しかしながら、腹膜腔31と血液側32との間に電流はないため、
Figure 2023539913000012
ここで、Ji,m2(t)およびJi,m3(t)は、それぞれ小さな細孔(m2)および大きな細孔(m3)を通る溶質iの流れである。これは、それぞれの時点において、電流ゼロを満たす電位ΔE(t)が存在することを意味する。電位の大きさ、したがってPei,m(t)は、任意の好適なルート発見アルゴリズム、例えば、二等分法などのブラケティング法、または、ニュートン法、ニュートン様法などの反復法を使用することによって決定され得る。

Claims (47)

  1. 腹膜透析中の人(P)の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための装置であって、
    1つ以上の液体交換サイクル中に、前記人(P)の腹膜アクセスを介して、腹膜腔(31)に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データ(54A)であって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含む、第1データ(54A)、および、前記1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプル([Kp*])を含む第2データ(54B)を受信するための入力(51)と、
    前記第1データ(54A)に基づいて、かつ、前記腹膜腔(31)内の腹膜(30)を通る水および溶質の輸送の数学的モデル(52’)を使用して、前記2つ以上の時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度を表す推定データサンプル([Kp])を演算するように構成された第1演算モジュールと、
    前記測定データサンプル([Kp*])および前記推定データサンプル([Kp])に応じて、前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するように構成された第2演算モジュール(53)と、を備える、装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記腹膜(30)の輸送特性を含む、装置。
  3. 請求項1または2に記載の装置であって、前記第2演算モジュール(53)は、パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を備え、前記パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を使用することによって、前記測定データサンプル([Kp*])と前記推定データサンプル([Kp])との間の1つ以上の差を最小化するために、前記数学的モデル(52’)に含まれるパラメータのセットのそれぞれの候補値(53B)を決定するように動作可能であり、前記パラメータのセットは、前記少なくとも1つの状態パラメータを含む、装置。
  4. 請求項3に記載の装置であって、前記第2演算モジュール(52)は、前記測定データサンプル([Kp*])と前記推定データサンプル([Kp])とに応じて、前記1つ以上の液体交換サイクルの前記ドレインフェーズ中の伝導度の測定される時間的変化および推定される時間的変化を演算するようにさらに構成され、前記第2演算モジュール(52)は、前記パラメータフィッティングアルゴリズム(53’)を使用することによって、前記測定される時間的変化と前記推定される時間的変化との間の差をさらに最小化するために、前記それぞれの候補値(53B)を決定するように動作可能である、装置。
  5. 請求項3または4に記載の装置であって、前記パラメータのセットは、前記腹膜(30)を通る1つ以上の溶質の拡散能力、および、前記腹膜(30)を通る水の濾過能力を表す、装置。
  6. 請求項4または5に記載の装置であって、前記パラメータのセットは、前記人(P)の張性(fCpw)をさらに表す、装置。
  7. 請求項2乃至6の何れか1項に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記第2演算モジュール(53)によって決定された前記パラメータ値のセットの前記それぞれの候補値(53B)に基づいて、前記推定データサンプル([Kp])を繰り返し演算するように構成され、前記第2演算モジュール(53)は、前記第1演算モジュール(52)からの前記推定データサンプル([Kp])に基づいて、前記パラメータのセットの前記それぞれの候補値(53B)を繰り返し決定するように構成され、前記第2演算モジュール(53)は、収束基準が満たされるか、または、制限時間に達した場合に、前記少なくとも1つの状態パラメータを出力するように構成される、装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記第1データ(54A)に基づいて、かつ、前記数学的モデル(52’)を使用することによって、前記1つ以上の液体交換サイクル中の期間について、前記腹膜腔(31)内の治療液の推定量の時間シーケンスを演算するようにさらに構成される、装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)は、前記腹膜(30)を通る輸送のためのthree-pore modelである、装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)は、前記腹膜(30)の両側での溶解イオンの量の差および前記腹膜(30)による大きな荷電溶質の反発を原因とする、前記腹膜(30)を横切る静電力によるイオン輸送について考慮するように構成される、装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置であって、前記腹膜(30)の潜在的な不全の検出のために前記少なくとも1つの状態パラメータを評価し、前記潜在的な不全の検出時に、アラームまたは警告を生成するようにさらに構成される、装置。
  12. 請求項11に記載の装置であって、変化の検出のために前記少なくとも1つの状態パラメータのトレンドを分析し、前記潜在的な不全の検出について前記変化を評価するように構成される、装置。
  13. 請求項11に記載の装置であって、第1時間的変化を検出するために前記少なくとも1つの状態パラメータのトレンドを分析し、前記第1時間的変化の検出時に前記少なくとも1つの状態パラメータを高い精度で決定し、前記トレンドにおける前記高い精度での前記少なくとも1つの状態パラメータを含み、第2時間的変化を検出するために前記トレンドを分析し、前記潜在的な不全を検出するために前記第2時間的変化を評価するように構成される、装置。
  14. 請求項13に記載の装置であって、前記第1データ(54A)に含まれ、かつ、前記推定データサンプル([Kp])を演算するために前記第1演算モジュール(52)によって使用される交換サイクルの数を増加させることによって、前記高い精度で前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するように構成される、装置。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載の装置であって、標準化PET手順によって与えられる前記少なくとも1つの状態パラメータおよび1つ以上の時点に応じて、前記腹膜腔(30)内の前記治療液と前記人の血漿との間の尿素およびクレアチニンのうち少なくとも1つの濃度比(D/P)、および、前記1つ以上の液体交換サイクルの開始時点からの前記腹膜腔(30)内の前記治療液中のグルコースの濃度の相対的変化(D/D0)のうちの少なくとも1つを演算するように構成されたシミュレーションモジュール(90)をさらに備える、装置。
  16. 請求項1乃至15の何れか1項に記載の装置であって、前記第2データ(54B)は、前記1つ以上の液体交換サイクルの前記充填フェーズ中に、前記腹膜腔(30)に注入される前記治療液中の前記1つ以上の溶質の濃度を表す1つ以上の測定データサンプル(Kd0*、Kd1*、Kd12*、Kd13*、Kd14*、Kd15*、Kd16*)をさらに含む、装置。
  17. 請求項1乃至16の何れか1項に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、最初の時点から終了の時点まで、中間時間ステップを含む前記最初の時点から前記終了の時点までの前記腹膜腔(31)内の治療液の量(71B)を計算し、前記中間時間ステップを含む前記最初の時点から前記終了の時点までの前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度(71B)を計算するように構成された微分方程式解法サブモジュール(71)を備える、装置。
  18. 請求項17に記載の装置であって、前記微分方程式解法サブモジュール(71)は、それぞれの時間ステップについて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の先行する時間的変化(74B)に基づいて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)を計算し、前記それぞれの時間ステップについて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度の先行する時間的変化(75B)に基づいて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)を計算するように構成される、装置。
  19. 請求項18に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の時間的変化(74B)を演算するように構成された第1変化演算システム(72、74)をさらに備える、装置。
  20. 請求項19に記載の装置であって、前記第1変化演算システム(72、74)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜(30)を通る水の流量(72B)を演算するように構成された第1流量演算サブモジュール(72)を備え、前記第1変化演算システム(72、74)は、前記腹膜(30)を通る水の前記流量(72B)に応じて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液の前記量の前記時間的変化(74B)を演算するように構成された第1変化演算サブモジュール(74)をさらに備える、装置。
  21. 請求項19または20に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度の時間的変化(75B)を演算するように構成された第2変化演算システム(73、75)をさらに備える、装置。
  22. 請求項21に記載の装置であって、前記第2変化演算システム(73、75)は、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)と、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)と、に応じて、前記それぞれの時間ステップについて前記腹膜(30)を通る前記1つ以上の溶質の流量(73B)を演算するように構成され第2流量演算サブモジュール(73)を備え、前記第2変化演算システム(73、75)は、前記腹膜(30)を通る前記1つ以上の溶質の前記流量(73B)、前記腹膜(30)を通る水の前記流量(72B)、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度(71B)、および、前記それぞれの時間ステップについて前記微分方程式解法サブモジュール(71)によって計算された前記腹膜腔(31)内の前記治療液の量(71B)に応じて、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度の前記時間的変化(75B)を演算するように構成された第2変化演算サブモジュール(75)をさらに備える、装置。
  23. 請求項1乃至22の何れか1項に記載の装置であって、前記測定データサンプル([Kp*])は、測定された伝導度値を含む、装置。
  24. 請求項1乃至23の何れか1項に記載の装置であって、前記第1演算モジュール(52)は、前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の少なくとも1つの溶質の推定濃度値の時間シーケンス([Cpi])を生成し、前記推定濃度値の時間シーケンス([Cpi])を伝導度値の時間シーケンスに変換し、前記伝導度値の時間シーケンスから前記推定データサンプル([Kp])を決定するように構成される、装置。
  25. 請求項1乃至24の何れか1項に記載の装置であって、前記1つ以上の液体交換サイクルは、2つの連続する交換サイクルを含み、前記2つ以上の時点は、第1液体交換サイクルの前記ドレインフェーズ中の時点と、前記第1交換サイクルの後の第2液体交換サイクルの前記滞留フェーズ中の時点と、を含む、装置。
  26. 請求項25に記載の装置であって、前記2つ以上の時点は、前記第1液体交換サイクルの前記滞留フェーズ中の時点と、第1液体交換サイクルに先行するドレインフェーズ中の時点と、のうちの少なくとも1つをさらに含む、装置。
  27. 請求項1乃至26の何れか1項に記載の装置であって、前記入力(51)は、前記1つ以上の液体交換サイクルの前の先行する期間において前記人(P)の液体交換データを受信するようにさらにアレンジされ、前記装置は、前記液体交換データに基づいて、評価開始時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液中の1つ以上の溶質の初期濃度を推定するようにさらに構成され、前記第1演算モジュール(52)は、前記初期濃度に基づいて、前記推定データサンプル([Kp])を演算するように構成される、装置。
  28. 請求項1乃至27の何れか1項に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記腹膜(30)を通る溶質の拡散能力と、前記腹膜(30)を通る水の濾過能力と、のうちの少なくとも1つを含む、装置。
  29. 請求項28に記載の装置であって、前記溶質の拡散能力は、前記治療液中の薬剤の透過係数と表面積との積(PSi)を含み、前記水の濾過能力は、水圧コンダクタンス(LpS)を含む、装置。
  30. 請求項1乃至29の何れか1項に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、選択された時点における前記腹膜腔(31)内の治療液のボリュームを含む、装置。
  31. 請求項30に記載の装置であって、前記選択された時点は、前記1つ以上の液体交換サイクルのうちの少なくとも1つの前記ドレインフェーズの完了に対応する、装置。
  32. 請求項30または31に記載の装置であって、前記第2データ(53B)の前記測定データサンプルは、ドレインフェーズ中に採取された第1データサンプルと、前記ドレインフェーズの後の充填フェーズの完了後に採取された第2データサンプルと、を含み、前記第2演算モジュール(53)は、前記選択された時点で前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定するように構成される、装置。
  33. 請求項32に記載の装置であって、前記第1データサンプルおよび前記第2データサンプルは、前記ドレインフェーズおよび前記充填フェーズを含み、かつ、前記腹膜腔(31)内の制限された量(ΔVp)の治療液が前記ドレインフェーズで抽出される最初のプロービングサイクル(IRPC)中に採取され、前記制限された量(ΔVp)は、前記腹膜腔(31)の最大充填ボリュームの一部分に対応する、装置。
  34. 請求項33に記載の装置であって、前記制限された量は、前記最大充填ボリュームの10%~25%未満である、装置。
  35. 請求項33または34に記載の装置であって、前記制限された量は、50~400mLまたは100~300mLの範囲である、装置。
  36. 請求項33乃至35の何れか1項に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するために動作する腹膜透析装置(3)が、前記治療液のボリュームが制限値を上回る場合に、前記最初のプロービングサイクル(IPRC)の後にドレインフェーズを開始させ、前記治療液のボリュームが制限値を下回る場合に、前記最初のプロービングサイクル(IPRC)の後に充填フェーズを開始させるように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
  37. 請求項32乃至36の何れか1項に記載の装置であって、前記第2データ(54B)の前記測定データサンプルは、後続のドレインフェーズ中に採取されたデータサンプルをさらに含み、前記第2演算モジュール(53)は、前記後続のドレインフェーズの前記終了時に前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定するようにさらに構成される、装置。
  38. 請求項30乃至37の何れか1項に記載の装置であって、前記数学的モデル(52’)に含まれる前記腹膜(31)の1つ以上の輸送特性を、前記選択された時点で前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを決定する際に固定値に設定するように構成される、装置。
  39. 請求項30乃至38の何れか1項に記載の装置であって、前記腹膜透析中に間欠的に、それぞれの液体交換サイクルについて前記治療液のボリュームを決定し、出力するように構成される、装置。
  40. 請求項39に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するように動作する腹膜透析装置(3)が、前記それぞれの液体交換サイクルのための前記治療液のボリュームに基づいて、前記それぞれの液体交換サイクルの後の液体交換サイクルのドレインフェーズおよび充填フェーズのうちの少なくとも1つを調整するように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、前記それぞれの液体交換サイクルの前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
  41. 請求項30乃至40の何れか1項に記載の装置であって、前記腹膜アクセスに関する問題を検出するために、前記選択された時点における前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを評価し、前記問題が検出された際に警告信号を出力するようにさらに構成される、装置。
  42. 請求項30乃至41の何れか1項に記載の装置であって、前記腹膜透析を実行するために動作する腹膜透析装置(3)が、前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームによる未使用の治療液の希釈について考慮するために前記腹膜透析装置(3)によって生成される前記未使用の治療液の組成を調整するように、前記腹膜透析装置(3)による受領のために、ドレインフェーズの完了後の前記腹膜腔(31)内の前記治療液のボリュームを表す出力データを提供するように構成される、装置。
  43. 請求項1乃至42の何れか1項に記載の装置であって、前記少なくとも1つの状態パラメータは、前記人(P)の張性パラメータ(fCpw)を含む、装置。
  44. 腹膜透析装置であって、
    治療液を腹膜腔(31)からまたは腹膜腔(31)へ運ぶための人(P)の腹膜アクセスに接続可能な体外液体回路(3b)と、
    前記体外液体回路(3b)内に配され、前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表すデータサンプルを提供するように構成された少なくとも1つのセンサデバイス(14)と、
    前記体外液体回路(3b)を動作させ、前記センサデバイス(14)から前記データサンプルを取得するように構成された制御装置(3a)と、
    前記制御装置(3a)から前記第1データおよび前記第2データを受信するように接続された、請求項1乃至31の何れか1項に記載の装置と、を備える、腹膜透析装置。
  45. 腹膜透析中の人の少なくとも1つの状態パラメータを決定するための方法であって、
    1つ以上の液体交換サイクル中に、前記人の腹膜アクセスを介して、腹膜腔に出入りする治療液の時間に応じた流量を示す第1データを取得する(601)ことであって、それぞれの液体交換サイクルは、充填フェーズ、滞留フェーズおよびドレインフェーズを含むことと、
    前記1つ以上の液体交換サイクル中の2つ以上の時点における前記腹膜腔内の前記治療液中の1つ以上の溶質の濃度を表す測定データサンプルを含む第2データを取得する(602)ことと、
    前記第1データに基づいて、かつ、前記腹膜腔内の腹膜を通る水および溶質の輸送の数学的モデルを使用して、前記2つ以上の時点における前記腹膜腔内の前記治療液中の前記1つ以上の溶質の前記濃度を表す推定データサンプルを演算する(603、603A)ことと、
    前記測定データサンプルおよび前記推定データサンプルに応じて、前記少なくとも1つの状態パラメータを決定する(605)ことと、を含む、方法。
  46. 1つ以上のプロセッサ(201)によって実行された場合に、前記1つ以上のプロセッサ(201)に請求項45に記載の方法を実行させるコンピュータ命令(202A)を含む、コンピュータ可読媒体。
  47. モニタリング方法であって、
    前記少なくとも1つの状態パラメータを決定するために、請求項1乃至43の何れか1項に記載の装置を動作させることと、
    前記腹膜の潜在的な不全を検出するために、前記少なくとも1つの状態パラメータを評価することと、を含む、モニタリング方法。
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