JP2023539068A - 混合型原子力変換 - Google Patents

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Abstract

混合型原子力変換に関連した製品、機械、製品及び機械の使用プロセス、製品及び機械の製造プロセス、製造プロセスによって生成された生成物、ならびに必要な中間体。

Description

本発明は混合型原子力変換に関する。
優先権
本願は、2020年8月26日に出願された「混合型原子力変換」と題する米国仮特許出願第63/070,587号の利益を主張するものである。この米国仮特許出願第63/070,587号は、本明細書に完全に再び述べられるかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
核融合は一般に、より軽い原子核が合体してより重い原子核を形成するプロセスとして定義される。より軽い原子核に対して、核融合プロセスは、残留粒子(核融合生成物とも呼ばれる)における運動エネルギーの形でエネルギーを遊離させる。核融合反応から電力を生成する過去の試みの大部分は、従来のタービンを駆動するために熱湯を検討している(カルノーサイクルに近似した手段の一例)。これらの過去の試みはしばしば、イオンが衝突して核融合するまで電子及びイオンのプラズマを拘束するために強力な磁場を利用してきた。このような磁気の閉じ込めは不安定さや粒子漏れを起こしやすく、核融合反応を維持するために必要とされるエネルギーが不用意に失われ、しばしば壊滅的な損失をもたらす。
プラズマ内の電子は、独自の一連の難点を呈している。第1に、電子はイオンよりはるかに軽いため、電子とイオンとの間の電磁衝突は核融合プロセスに必要な運動エネルギーのイオンを奪う傾向がある。第2に、これらの散乱電子は光速に近い速度で移動する傾向があり、衝突時又は加速時にフォトニック放射能を放出する。このフォトニック放射能も、核融合反応を維持するために必要とされるエネルギーのプラズマを奪う大きなエネルギー漏洩源である。
核融合反応には、非中性子(aneutronic)と呼ばれるクラスがある。これらの反応では、反応によって解放されるエネルギーのうち、中性子の運動エネルギーの形をしているものはごくわずかである。核融合ベースの発電の広範な使用を検討する際に、中性子はいくつかの問題を提起する。第1に、中性子は非常に厚い材料を通過する熱の形で運動エネルギーを放棄し、熱運動速度で逃げることが多い。第2に、熱中性子は近くの作業員に重大な放射線リスクをもたらし、遮蔽が非常に困難である。第3に、金属に大量の高エネルギー中性子を照射すると、脆化や寸法変化が起こり、原子炉の機能と健全性が損なわれる。第4に、中性子は安定同位体を活性化して短寿命及び長寿命の放射性同位体を生成し、これらは設備の保守や廃棄を阻害する。
大多数の核融合炉は、水素同位体であるトリチウムと重水素の混合物からなる燃料を使用する。トリチウム核(トリトンと呼ばれる)と重水素核(重陽子と呼ばれる)が衝突すると、核融合を起こしてヘリウム核(アルファ粒子と呼ばれる)、中性子及びこれら2つの核融合生成物の運動エネルギーの形である14.1MeVのエネルギーを生成することがある。このタイプの核融合はしばしばDT核融合と呼ばれる。
トリチウムは半減期12.32年の水素の放射性同位体であり、5.68keVのベータ粒子の放出によって崩壊し、ガンマ線は実質的に放出されない。放射線学的観点から、トリチウムの摂取は重大な放射線被曝をもたらしうる。例えば、家庭で使用される標準的な煙探知器は0.9マイクロキュリーのAm-241源を有し、これは許容範囲とみなされる崩壊活性のレベルである。1gのトリチウムは約10,000キュリーの崩壊活性を有し、煙探知器の100億倍も高い。
トリチウムは水素含有化合物間を容易に移動する。トリチウム分子T2が大気中に放出されると、その低い原子質量のために無限に上昇する代わりに、分子は水蒸気と迅速に結合して分子HTOを形成する。トリチウム水HTOの消費は、人体がトリチウムに被曝する主要なメカニズムである。
DT核融合を用いる核融合炉は、大量のトリチウム燃料のインベントリを必要とする。さらに、トリチウムは非常に希少であり、自然界には存在しないため、リチウムからなるブランケット内でトリチウム燃料を「増殖させる(bred)」必要がある。フランスのITERのような大型原子炉では、キログラム単位で測定されるトリチウムのインベントリが必要である。トリチウムのような水素の同位体は、鋼管を含む広範囲の材料中を容易に拡散するため、さらなる工夫がなければ、従来許容されると考えられていたものをはるかに超えるトリチウム損失率が予想される。
DD核融合を用いる核融合炉は、トリチウムの形成に取り組まなければならない。図1にみられるように、トリチウム核(トリトン)(034)は核融合反応のおよそ半分で形成される。硫黄ブランケットを備え、変換効率が40%であるDD核融合に基づいた発電プラントの一実施形態では、1メガワットの電力の連続生産により、1年に約1キログラムの割合でトリチウムが生成される。核融合炉で保たれる真空状態がポンプオイルを利用した粗引きポンプによるものである場合、上記のトリチウム生成率から、これに対応するポンプオイルの照射による汚染率が算出される。トリチウムの半減期は10年以上であるため、トリチウム化したポンプオイルの安全な廃棄は重大かつ高価な問題となる。
したがって、このような過去のアプローチに対する改善が必要である。
以下の開示は、異なる予言的な実施形態を用いて、直接的な原子力変換に関連した製品、装置、製品及び装置の使用プロセス、製品及び装置の製造プロセス、製造プロセスによって生成された生成物、ならびに必要な中間体に関するより広い原理を教示するものである。本概要は、さらに後述するように、概念の選択を簡略化した形で提示する、という本明細書の概念を紹介するために提供されるものである。本概要は、主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また本概要は、特許請求される主題の範囲の限定に用いられることを意図するものでもない。実施例のさらなる態様、特徴及び/又は利点は、一部は以下の説明に示され、一部はその説明から明らかになるか、又は本開示の実施によって知ることができる。
本明細書に引用されている文献は、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。以下の説明及び図面は例示的なものであり、限定的なものとして解釈すべきではない。本開示の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、いくつかの例では、説明が分かりにくくなるのを避けるために公知の又は従来の詳細を説明していない。本開示における一実施形態又はある実施形態への言及は、同一の実施形態への言及でありうるが必ずしもそうではなく、そのような言及は実施形態のうちの少なくとも1つを意味する。
本明細書において、「1つの/一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。「1つの/一実施形態では/において」という言い回しが明細書中の様々な箇所に現れても、全てが必ずしも同一の実施形態について言及しているわけではなく、他の実施形態を互いに除外した個別の又は代わりの実施形態でもない。さらに、いくつかの実施形態によって示すことができるが他の実施形態では示されない種々の特徴が説明される。同様に、いくつかの実施形態の要件とすることができるが他の実施形態の要件ではない種々の要件が説明される。
本教示において指定される量からの変動は、許容可能な製造公差などの公差に対応するように「約」又は「ほぼ」とすることが可能である。本教示における形状の変化も、理想化された形状の説明からの重要でない変化に対応するように「約」又は「ほぼ」とすることが可能である。
本明細書で用いられる用語は一般に、本開示の文脈内で、かつ各用語が用いられる特定の文脈において、当技術分野でのそれらの通常の意味を有する。本開示の説明に用いられる特定の用語は、本開示の説明に関して追加のガイダンスを当業者に提供するために、以下に、又は本明細書の他の箇所で説明される。便宜上、例えばイタリック体及び/又は引用符を用いて特定の用語を強調表示する場合がある。強調表示の使用は用語の範囲及び意味に影響を及ぼさない。用語の範囲及び意味は、強調表示されているか否かにかかわらず同一の文脈において同じである。同一のことを2つ以上の方法で言い表すことが可能であることが理解されるであろう。
したがって、本明細書で説明する用語の1つ以上に代わりの言葉や同義語を用いることができるが、用語が本明細書で詳述又は説明されるか否かに特別な意味はない。ある特定の用語の同義語が記載される。1つ以上の同義語の記載は、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で説明する任意の用語の例を含む、本明細書の任意の箇所での例の使用は例示にすぎず、本開示、又は例示された用語の範囲及び意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は本明細書に記載の種々の実施形態に限定されるものではない。
本開示の範囲の限定を意図するものではないが、本開示の実施形態による器材、装置、方法及びこれらの関連する結果の例を以下に示す。読者の便宜のためにタイトル又はサブタイトルを例において使用することができるが、これは本開示の範囲を決して限定するものではないことに留意されたい。本明細書で用いられる技術用語及び科学用語は全て、特に定義されない限り、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が優先される。
以上を踏まえて、装置への入力電力よりも大きな出力電力(082)を生成するように構成された、前記出力電力(082)を生成する発電プラント(002)を含む装置(製造方法、使用方法)を考慮する。本明細書のいくつかの実施形態において、発電プラント(002)は、(1)イオンの衝突(018)を可能にするか又はこれを高めるために前記イオン(028)のプラズマを拘束する磁場をなくすことができ、(2)核融合反応から放出される荷電粒子の運動エネルギーの少なくとも一部を、カルノーサイクルによって近似されるプロセスによって前記出力電力(082)に変換しないようにすることができ、(3)又は双方を実現することができる。
イオンは帯電した原子として定義される。このような帯電は、先に中性に帯電した原子を周回する1つ以上の電子を追加するか又は取り除くことによって達成される。本願の文脈において、イオンという用語は一般に全ての軌道電子を取り除いた原子核として定義される。
実例として、重水素-重水素(「DD」)核融合の反応を考察し、このような出力電力(082)を生成するより広い概念を教示する。DD核融合は、同様の確率で発生する2つのチャンネルにより(1)トリチウム(034)及び水素(036)のイオンの形成、ならびに(2)ヘリウム3イオン(030)及び中性子(032)の形成を生じることができる。トリチウム(034)、水素(036)及びヘリウム3(032)のイオンの粒子は帯電しており、よってこれらの運動が電流を表すため、これらのイオンの形成は興味深いことに留意されたい。初期のラジオやテレビ用のアンプを作製するための、真空管内での電子運動の使用と同様に、これらの荷電イオンの運動は、カルノーサイクルを近似する手段のような蒸気を発生させてタービンを駆動する中間工程を経ることなく、直接電力に変換されることが可能である。この出力電力(082)の生成方法は、2019年2月27日に出願され、本願の発明者によって発明された米国仮特許出願第62/811,485号において教示した、アルファ粒子を考察したものと同様である。この仮特許は、2020年2月24日に出願された国際特許出願PCT/US20/19449号に変更されている。「直接的原子力変換」と題する仮出願第62/811,485号及び「直接的原子力変換」と題する国際出願PCT/US20/19449号は共に、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。
例として、2020年6月8日に出願され、本願の発明者によって共同発明された米国仮特許出願第63/036,029号に教示するような吸収ブランケット(080)の使用により、ヘリウム3イオン(030)と併せて生成された中性子(032)の運動エネルギーを収集(022)してこれを増加させることができる。この仮特許は、2021年6月7日に出願された国際特許出願PCT/US20/36092号に変更されている。「硫黄ブランケット」と題する仮特許第63/036,029号及び「硫黄ブランケット」と題する国際特許出願PCT/US21/36092号は共に、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。中性子(032)がブランケット(080)を通過すると、中性子(032)は熱中性子化する。これは、大部分の中性子(032)が、ブランケット(080)の材料と熱平衡になるまで運動エネルギーを失うプロセスである。中性子(032)の運動エネルギーは熱に変換され、ブランケット(080)の温度を上昇させる。ブランケット(080)が十分に厚く、核捕獲断面積が十分に大きな原子で構成されている場合、これらの大きな断面積の原子核に中性子が吸収されることによってさらなる熱エネルギーが発生する。吸収プロセスでは、質量が小さく運動エネルギーが過剰な最終状態を形成することにより、ポテンシャルエネルギー(式E=mcによって得られる初期の中性子(032)及び原子核の全質量)を運動エネルギーに変換する。
本開示の非限定的な実施例において、以下を検討されたい。
2つの重陽子(028)が融合する際に生じる2つの融合チャンネルの図である。 トリトン(034)及び陽子(036)を生じる測定されたDD核融合の断面積のグラフである。 ヘリウム3原子核(030)及び中性子(032)を生じる測定された核DD融合の断面積のグラフである。 DD核融合で生成された核融合生成物の運動エネルギーの計算値を、重陽子ビーム(026)に衝突する2つの等しいエネルギーの運動エネルギーの関数として表したグラフである。 2つの重陽子(028)の弾性クーロン散乱の図である。 最小弾性クーロン散乱角0と180度の偏向角との間にある全ての偏向についての、弾性クーロン散乱の断面のグラフである。 2つの重陽子ビーム(026)を含む核融合反応から出力電力(082)を収集する発電プラント(002)の実施形態の図である。 出力電力(082)の生成方法の実施形態の図である。 発電プラント(002)の真空維持システムの実施形態の図である。 陽子(036)による金属表面の衝突(ボンバードメント)による測定された二次電子(038)の収率のグラフ図である。 陽子(036)(白三角形)及びヘリウムイオン(030)(白丸)による金属表面の衝突による測定された二次電子(038)の収率のグラフ図である。 単体でイオン化された原子窒素及び分子窒素によるモリブデン表面の衝突による測定された二次電子(038)の収率のグラフ図である。 二次電子(038)の運動エネルギースペクトルを測定する装置の図である。 イオンによる金属表面の衝突による測定された二次電子(038)の運動エネルギースペクトルのグラフ図である。 相対論的電子による金属表面の衝突による測定された二次電子(038)の収率のグラフ図である。 相対論的電子による金属表面の衝突による測定された二次電子(038)の運動エネルギースペクトルのグラフ図である。 発電プラント(002)の中央電極(008)の負電圧を帯電して維持する手段の一実施形態の図である。 硫黄ブランケット(104)の一実施形態が発電プラント(002)において果たす役割を示す図である。 種々の硫黄同位体の天然同位体の存在量及び特性の図である。 硫黄32(132)原子による中性子(032)の捕獲(024)により、ガンマ線(108)が放出され、全エネルギーの8.64MeVが解放される図である。 核融合反応(102)を取り囲む硫黄ブランケット(104)の実施形態の図である。 硫黄-ナトリウム電池(120)としても機能するように変更された硫黄ブランケット(104)の実施形態の図である。 硫黄-ナトリウム電池(120)におけるエネルギー貯蔵の図である。 プロトン伝導体(100)からなる障壁(090)を用いた発電プラント(002)の実施形態の図である。 内側コーティング(096)と導電性の外側コーティング(098)とを有するプロトン伝導体(100)からなる障壁(090)の一実施形態の図である。 障壁(090)付近の正荷電粒子の運動エネルギーが、中央領域(014)の重陽子ビーム(026)の運動エネルギーに依存することを示す図である。 外側コーティング(098)及びイオン源(006)の電圧が同一の実施形態における、重陽子ビーム(026)の運動エネルギーの関数としてのヘリウム3(030)DD核融合生成物の運動エネルギーの図である。 ヘリウム3(030)の運動エネルギーの関数としての、ヘリウム3核(030)のチタン及びステンレス鋼への浸透飛程の図である。 トリトン(034)の運動エネルギーの関数としての、トリトン(034)のチタン及びステンレス鋼への浸透飛程の図である。 陽子(036)の運動エネルギーの関数としての、陽子(036)のチタン及びステンレス鋼への浸透飛程の図である。 ステンレス鋼の水素拡散係数の依存性を温度の関数として示す図である。 ステンレス鋼の水素濃度を時間の関数として示す図である。
以下の詳細な説明は、核融合反応による出力電力(082)への混合型原子力変換の概念及び技術に関するものであり、予言的な例として教示する。本開示は装置を含み、この装置は、1種のイオンを衝突(018)させて核融合反応を引き起こし、装置に入力される電力よりも大きな出力電力(082)を生成する構造において出力電力(082)を生成する発電プラント(002)を備える。同様に、以下の開示は出力電力(082)の生成方法を教示しており、この方法は、前記装置において、1種のイオンを衝突(018)させて核融合反応を引き起こすことにより、前記装置に入力される電力よりも大きな出力電力(082)を生成することを含む。これらは、このような装置の製造態様と、これらの方法において生成される必要な中間体を示している。
出力電力(082)生成のために核融合で行われた過去の試みとは対照的に、本開示は、出力電力(082)を生成する(058)発電プラント(002)から、衝突(018)した前記イオン(028)からなるプラズマを拘束する磁場をなくすことのできる装置を教示する。また、磁場でプラズマを拘束しなくてもよい態様でイオン(028)を衝突(018)させる方法も記載されている。
さらに、本開示は、中性子(032)の運動エネルギーを吸収し、次いで前記中性子(032)を捕獲し、ブランケット(080)内に蓄積された潜在的エネルギーを、出力電力(082)への変換に利用可能なさらなる原子力エネルギーに変換する装置(002)を記載している。同様に、本開示は、前記出力電力の生成にブランケット(080)が使用され、ブランケット(080)は中性子(032)の運動エネルギーを吸収し、次いでブランケット(080)内に蓄積された潜在的核エネルギーを、出力電力(082)に変換するためのさらなる熱に変換する方法を記載している。
A.重陽子―重陽子核融合
より広い概念を教示するための1つの教示実施形態は重陽子(028)-重陽子(028)(「DD」)核融合に関するものであり、この核融合は、低エネルギー中性子(032)が約半分の時間で生成され、その他に水素(036)、トリチウム(034)及びヘリウム3(030)のイオンが生成される反応である。DD核融合は予言的教示として本明細書で用いられており、重陽子イオン(028)以外の材料を本実施例による予言的教示に合致して核融合させることができることが認識されている。
核融合を利用した正味発電(発電プラント(002)を運転するために費やされる電力を超える余剰出力電力(082)として定義される)の一実施形態は、重陽子のビーム(026)(裸の重陽子核(028))を別の重陽子のビーム(026)に衝突させることによって核融合事象を引き起こすことである。裸の原子核とは、軌道を回る電子を全て取り除いた原子、すなわち実質的に電子を含まない原子である。望ましくない同位体変化を周囲の材料に引き起こすのに十分なエネルギーを有する反応から発せられる中性子(032)が存在しないため、放射能によって引き起こされる安全性の主要な原因及び物質管理の問題が回避される。
「実質的に電子を含まない」といった上記の制限により、原子核の部分的なイオン化が可能である、つまり全ての電子が取り除かれているわけではないことが認識される。衝突及び他の物理的現象を介して、イオンが軌道電子を放出又は蓄積することのできるプロセスがある。この制限は、イオンに全く電子が付着していないことが望ましい一方で少数の電子がいくつかのイオンに付着して存在する可能性があることを意味するが、これは核融合及び出力電力(082)の生成の動作又はプロセスに影響を及ぼすほどではない。
具体的には、本開示は、実質的に電子を含まない2つの重水素ビーム(026)として1種のイオンを衝突させる装置を教示する。本開示はまた、衝突させることが1種のイオンを2つの粒子ビームとして衝突させることを含み、双方の重陽子ビーム(26)が実質的に電子を含まない方法を教示する。
種という単語は単数及び複数の双方であることに留意されたい。本願の文脈において、「1種のイオン」は、前記衝突及び核融合反応に関与する元素及びその同位体が1つのみであることを意味する。例えば、ホウ素11核と水素イオン(陽子)の核融合は、ホウ素11核と陽子といった2種のイオンを要する。DD核融合において、2つの重陽子ビーム(026)は1種のイオン、すなわち重陽子(028)からなる。
図1に示すように、2つの重陽子(028)が核融合すると、2つの結果のうちの1つが同様の確率で生じる。46.5%の平均確率で生じる一方のチャンネルでは、トリトン(034)(トリチウム核(034))及び陽子(036)が生成される。核融合時に重陽子(028)が静止している場合、トリトン(034)及び陽子(036)の運動エネルギーはそれぞれ1.01MeV及び3.02MeVである。平均確率53.5%で生じるもう一方のチャンネルでは、ヘリウム3核(030)(2つの陽子及び1つの中性子)及び中性子(032)が生成される。ここでも、核融合時に重陽子(028)が静止している場合、ヘリウム3核(030)及び中性子(032)の運動エネルギーはそれぞれ0.82MeV及び2.45MeVである。核融合生成物(トリトン(034)、陽子(036)、ヘリウム3核(030)及び中性子(032))の運動エネルギーは、初期状態(2つの重陽子(028))と最終状態(第1のチャンネルにおける陽子(036)/トリトン(032)、及び第2のチャンネルにおける中性子(032)/ヘリウム3(030))との間の質量差から生じる。中性子(032)は陽子(036)よりも著しく大きいため、第2のチャンネルにおける核融合生成物は、より小さい運動エネルギーを有する。
2つの重陽子(028)はそれぞれ1つの陽子の静電荷を有するため、これらは互いに反発する。したがって、2つの重陽子(028)が静止している際に核融合を引き起こす確率はとてつもなく小さい。2つの重陽子(028)が核融合するようにこれらを十分接近させるため、これらの分離を低減するのに十分な相対速度で2つの重陽子(028)を衝突(018)させる(電磁ポテンシャルエネルギーを運動エネルギーと交換)。物理学では、この相対速度を運動エネルギーで定量化することが多い。図2及び図3は、各々が横軸に運動エネルギーを有する、運動エネルギーの等しい2つの重水素ビーム(026)を衝突させた際のDD核融合の確率を示している。加速器物理学では、運動エネルギーの等しい2つのビーム(018)を衝突させる機器を対称型コライダー(衝突型加速器)と呼ぶ。断面積は、特定の核反応に対するターゲットの有効面積の測定値である。入射粒子のフラックスを乗じると、断面積は、その特定の核反応が起こる割合を生じる。
図2では、トリトン(034)及び陽子(36)を生じるDD核融合反応の断面積の測定値がグラフ化されている。予期されるように、ゼロの運動エネルギーでは断面積(確率)はゼロになる。双方の衝突ビームの運動エネルギーが0.5MeVに近づくとピーク断面積が得られる。
図3では、ヘリウム3核(030)及び中性子(032)を生じるDD核融合反応の断面積の測定値がグラフ化されている。ここでも、ゼロの運動エネルギーでは断面積(確率)はゼロになる。双方の衝突ビームの運動エネルギーが0.5MeVに近づくとピーク断面積が得られる。
図1に示した核融合生成物の運動エネルギーは、2つの重陽子(028)がゼロの相対運動エネルギーを有する特定の状況に対応する。図2及び図3に関して述べたように、2つの衝突する重陽子ビーム(026)がゼロでない運動エネルギーを有する場合、より高い確率(断面積)で核融合事象が生じる。図5は、核融合生成物の運動エネルギーを、対称的に衝突する重陽子ビーム(026)運動エネルギーの関数として示したグラフである。ゼロの重陽子ビーム(026)運動エネルギーでは、核融合生成物の運動エネルギーは図1に示したものと同じであることに留意されたい。
B.弾性クーロン散乱
一実施形態では、2つの等しい運動エネルギーの重陽子ビーム(026)が正面衝突する(018)。すなわち、これらの軌道は180度の角度離れている。対向する重陽子(028)が核融合すると、これらはトリトン(034)/陽子(036)の対の核融合生成物粒子、又はヘリウム3(030)/中性子(032)の対の核融合生成物粒子を生成する。いずれの対内の粒子も互いに離れた軌道を有し、これらもまた180度の角度離れている。これらの粒子がたどる線は衝突点から遠ざかるどの方向でもよく、所与の方向の確率は全ての角度に一様に分布している。
衝突時に重陽子(028)が受ける競合効果は弾性クーロン散乱である。各重陽子(028)は1つの陽子によって帯電しているため、互いに接近する任意の2つの重陽子(028)は反発電界を感じることになる。図5に示すように、この反発電界は2つの重陽子(028)の軌道を偏向させる効果を有する。この偏向角は記号θ(ギリシャ文字のシータ)によって表される。偏向角の範囲はゼロから180度(後方散乱)である。衝突パラメータbは、2つの重陽子(028)の軌道が互いに近づいて偏向されるよりもかなり前の、これらの分離である。
反対方向から互いに接近する2つの等しい運動エネルギーの重水素(028)の実施形態では、2つの重水素(028)は、(核融合が起こらないと仮定して)これらが接近したのと同じ運動エネルギーで衝突領域を離れる。これは、物理学のエネルギーの保存及び運動量の保存の原理を、粒子の電磁相互作用に適用した結果である。これらの運動エネルギーは保持されるが、モーメント(移動方向)は変更される。
小角度の偏向が大角度の偏向よりもはるかに高い確率であることは、粒子物理学の分野においてよく知られている。2つの重陽子(028)が、ある最小弾性散乱角θよりも大きい偏向を受ける確率も、断面積によって定量化される。図6は、それぞれ547keVの運動エネルギーを有する2つの衝突する重陽子ビーム(026)の場合の、この断面積のグラフである。このグラフは、横軸の各最小散乱角について、その角度と180度との間の弾性クーロン散乱の断面積を示している。破線は、前述の2つの反応チャンネルを合わせたDD核融合断面積である。例えば、55度から180度の間の弾性クーロン偏向を受ける重陽子(028)の断面積は、合わせたDD融合断面積に等しくなる。つまり、重陽子(028)は、重陽子(028)が核融合するのと同じ頻度で55度を超える弾性クーロン偏向を受けることになる。同様に、0.6度から180度の間の弾性クーロン偏向の断面積は約2000バーンである。つまり、平均的な重陽子(028)は、核融合する前にこのような小角度の偏向を10,000回受けることになる。
この弾性クーロン散乱断面積は、所与の最小角度において、重陽子ビーム(026)の運動エネルギーの二乗と反比例する。重陽子ビーム(026)の運動エネルギーが大きいほど、所与の角度又はそれよりも大きな角度の偏向を受ける断面積は小さくなる。これまでのDD核融合の試みは、10億ケルビンを下回る温度で作動するプラズマの中で起こったものである。この温度のプラズマにおける重陽子(028)の運動エネルギーは通常約50keVであり、図6に予見される実施形態の衝突エネルギーよりも一桁低い。
C.核融合炉の構造
図7は、出力電力(082)を生成する発電プラント(002)の実施形態を示している。中央電極(008)は真空容器壁(004)内に懸架されており、前記中央電極(008)を負電圧に帯電させることによって放射状の電場が確立されている。一実施形態では、中央領域(014)における2つの重陽子ビーム(026)の運動エネルギーは547keVである。一実施形態では、2つの重陽子ビーム(026)が中央領域(014)に向かって加速されるように、2つの重陽子源(016)が前記真空容器壁(004)に隣接して位置している。真空容器壁(014)に対する中央電極(008)の電圧が-547kVのとき、2つの重陽子ビーム(026)はそれぞれ衝突(018)時に547keVの運動エネルギーを有する。
中央電極(008)は、テレビの発明者であるフィロ ティー.ファーンズワース(Philo T.Farnsworth)によって発明された構造を思い起こさせる。彼の場合は、核融合事象を引き起こすために球形に収束する電子ビームが利用された。核融合反応炉の分野の当業者によってフューザー(Fusor)と呼ばれる彼の装置は、1962年1月11日に出願された「核間の相互作用を生じるための放電デバイス」と題する米国特許第3,258,402号、及び1966年6月4日に出願された「核融合反応を生じる方法及び装置」と題する米国特許第3,386,883号の主題であった。双方の特許は、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。フューザーは、静電慣性閉じ込め(「EIC」)と呼ばれる核融合炉のクラスに属する。
フューザーの場合、球形の真空室内のガスはアーク放電を受け、球形室内の正に帯電したアノードによって半径方向内方に電子を放出する。この球形アノードは電子を透過する。ひとたび電子がアノードを通過すると、それらの球対称の電子電荷分布により、それらは半径方向の空間電荷力を経験する。この反発力は、入ってくる電子を減速させ、運動エネルギーの全てが電磁ポテンシャルエネルギーに変換されるまでそれらの半径方向の運動エネルギーを減少させる。電子の大部分がその半径方向の運動を停止する半径を仮想カソードと呼ぶ。次に、仮想カソードにおける電子は、それらのアウトバウンド運動エネルギーと一致するある半径で停止するまで、再び半径方向外方に加速する。
フューザーの従来技術は、本願から離れて教示する重要な構造的相違点及び動作的相違点がいくつかあるため、本願を教示していない。第1に、本願では、内部のワイヤメッシュ電極(008)は、重陽子(028)などの正イオンを直接加速するために負に帯電される。フューザーの特許出願第3,258,402号では、アノード電極21は真空壁20内の重水素及びトリチウムガスをイオン化するために正に帯電され、前記イオン化は、イオン化プロセス自体(電子カスケード)を介して生成された電子を引きつけ、これを増加させることによって起こる。第2に、フューザーにおいて、真空壁20によって画定される室内のトリチウム及び重水素ガスは核融合される燃料である。本願では、燃料は、重陽子源(016)内でのみ生成される2つの重陽子ビーム(026)内に含まれている。このようなイオン源は、2020年6月8日出願の、本願の発明者によって発明された米国仮特許出願第63/036,073号に教示されている。この仮特許は、2021年6月7日に出願された国際特許出願PCT/US21/36115号に変更されている。「イオン源」と題する仮特許第63/036,073号、及び「イオン源」と題する国際特許出願PCT/US21/36115号の双方は、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。第3に、フューザーは、イオン化電子を100keVまで加速することができるアノード電極21の電源50を使用している。電子が仮想カソードを形成すると、仮想カソード内の電子の静電荷はイオン化されたトリチウム及び重水素を引きつける。本願では、加速電極(008)が重陽子ビーム(026)を直接加速する。一実施形態では、加速電極(008)は100kVよりもはるかに高い電圧に充電される。さらに、本願で教示する技術では仮想カソードは形成されない。第4に、フューザーの技術では、イオンの球形流がアノード電極21を貫通し、イオンを中心で圧縮して核融合を引き起こす。本願では、球形ではないが、真空容器壁(004)内の注入時に重陽子源(016)の半径よりも小さい初期最大半径を有する2つのビーム(026)の形態で、重陽子(028)が中央領域(014)で衝突(018)する。
一実施形態において、本願は、出力電力(082)を生成する(058)ように構成された発電プラント(002)であって、前記出力電力の生成が、1種のイオンであるイオン(028)を衝突(018)の状態にして核融合反応を引き起こし、前記発電プラント(002)に入力される電力よりも大きな出力電力(082)を生成する(058)ことによって行われる前記発電プラントを教示している。前記発電プラント(002)は、前記イオン(028)の1つ以上の供給源(016)と、1つ以上の負に帯電した電極(008)であって、前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオン(028)を加速し(010)、磁場のない態様で前記イオン(028)を集束させて(012)前記衝突(018)の状態にし、前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を減速させる(020)、ように構成された、1つ以上の負に帯電した電極(008)と、1つ以上のブランケット(080)であって、前記核融合反応によって形成された中性子(032)から運動エネルギーを収集し(022)、収集した前記運動エネルギーを熱に変換し、前記中性子(032)を捕獲する(024)ことによって追加の核エネルギーを生成し、前記追加の核エネルギーを前記ブランケット(080)内で追加の熱に変換し、前記正荷電粒子の減速(020)後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱として蓄積する(050)、ように構成された、1つ以上のブランケット(080)と、前記ブランケット(080)内の前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を前記出力電力(082)に変換するように構成された変圧器であって、水(070)を受け入れて加圧蒸気(071)を生成する熱交換器(076)と、前記加圧蒸気(071)を回転エネルギーに変換するタービン(072)と、前記タービン(072)に結合され(066)、前記回転エネルギーを前記出力電力(082)に変換する発電機(074)と、を含む変圧器とを備える。
一実施形態において、前段落で教示した装置は、前記イオン(028)が2つの粒子ビーム(026)として前記衝突(018)の状態にされること、前記粒子ビーム(026)が共に実質的に電子を含まないこと、前記粒子ビーム(026)が共にほぼ等しい平均運動エネルギーを有すること、前記粒子ビーム(026)が共に重陽子(028)からなること、前記粒子ビーム(026)が共に約180度の角度で衝突する(018)ことをさらに含む。
一実施形態において、本願はプロセス(058)を教示している。このプロセス(058)は、単一種のイオン(028)を衝突させて(018)核融合反応を引き起こし、前記衝突(018)を生じるために用いられた電力よりも大きな出力電力(082)を生成する(058)ことと、前記イオン(028)を生成することと、前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオン(028)を静電的に加速する(010)ことと、磁場のない態様で前記イオン(028)を静電的に集束させて(012)前記衝突(018)の状態にすることと、前記衝突(018)の間に弾性クーロン散乱によって偏向される前記イオン(028)からの前記運動エネルギーを静電的に再利用する(054)ことと、前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を静電的に減速させる(020)ことと、前記核融合反応によって形成された中性子(032)から運動エネルギーを収集し(022)、前記運動エネルギーを熱に変換することと、追加の核反応により前記中性子(032)を捕獲して(024)余剰エネルギーを生成し、前記余剰エネルギーを追加の熱に変換することと、前記減速(020)後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱に変換する(050)ことと、前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を出力電力(082)に変換する(052)ことと、を含む。前記変換(052)は、前記熱を水に熱交換して(084)蒸気を生成することと、前記蒸気でタービンを回転させる(086)ことと、前記タービンによって発電機を回転させる(088)ことと、を含む。一実施形態では、当該段落に教示したプロセスによって生成物が生成される。
一実施形態において、本願はさらにプロセスを教示している。このプロセスは、発電プラント(002)が出力電力(082)を生成する(058)ように前記発電プラント(002)を組み立てることを含み、前記出力電力の生成が、1種のイオンであるイオン(028)を衝突(018)の状態にして核融合反応を引き起こし、前記発電プラントに入力される電力よりも大きな前記出力電力(082)を生成する(058)ことによって行われる。前記組立を実施することで、前記イオン(028)の供給源が1つ以上あり、1つ以上の負に帯電した電極(008)が、前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオン(028)を加速し(010)、磁場のない態様で前記イオン(028)を集束させ(012)、前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を減速させる(020)、ように位置し、1つ以上のブランケット(080)があり、前記1つ以上のブランケットは、前記核融合反応によって形成された中性子(032)から運動エネルギーを収集して(022)前記運動エネルギーを熱に変換し、前記中性子(032)を捕獲する(024)ことによって追加の核エネルギーを生成し、これにより前記追加の核エネルギーは前記ブランケット(080)内で追加の熱に変換され、前記正荷電粒子が部分的に減速した(020)後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱として蓄積し(050)、前記ブランケット(080)内の前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を前記出力電力(082)に変換する(052)ように構成される。前記変換(052)は、水(070)を受け入れて加圧蒸気(071)を生成する熱交換器(076)と、前記加圧蒸気(071)を回転エネルギー(086)に変換するタービン(072)と、前記タービン(072)に結合され(066)、前記回転エネルギーを前記出力電力(082)に変換する発電機と、を含む。一実施形態では、当該段落に教示したプロセスによって生成物が生成される。
一実施形態において、本願はさらに出力電力(082)の生成(058)プロセスを教示する。このプロセスは、1種のイオンであるイオン(028)を衝突させて(018)核融合反応を引き起こし、前記衝突(018)を生じるために用いられた電力よりも大きな出力電力(082)を生成する(058)ことと、前記イオン(028)を生成する(006)ことと、前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオン(028)を静電的に加速する(010)ことと、磁場のない態様で前記イオン(028)を静電的に集束させて(012)前記衝突(018)の状態にすることと、前記衝突(018)の間に弾性クーロン散乱によって偏向される前記イオン(028)からの前記運動エネルギーを静電的に再利用する(054)ことと、前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を静電的に減速させる(020)ことと、前記核融合反応によって形成された中性子(032)から運動エネルギーを収集し(024)、前記運動エネルギーを熱に変換することと、追加の核反応により前記中性子(032)を捕獲して(024)余剰エネルギーを生成し、前記余剰エネルギーを追加の熱に変換することと、前記減速(020)の後に残る前記正荷電粒子の運動エネルギーをさらなる熱として蓄積する(050)ことと、前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を出力電力(082)に変換する(052)ことと、を含む。一実施形態では、当該段落に教示したプロセスによって生成物が生成される。
一実施形態において、前段落で教示した前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を出力電力(082)に変換する(052)ステップは、前記熱を水(070)に熱交換して(084)蒸気(071)を生成することと、前記蒸気(071)でタービン(072)を回転させる(086)ことと、前記タービン(072)によって発電機(074)を回転させる(088)ことと、を含む。
D.電力の生成
出力電力(082)を生成(058)する発電プラント(002)の一実施形態を図7に示す。負に帯電されたほぼ球形の中央電極(008)は、2つの重陽子ビーム(026)を、出力電力(082)の生成(058)に必要な速度でDD核融合反応が起こるのに十分な運動エネルギーに加速する。2つの重陽子ビーム(026)は、球形の真空容器壁(004)と電気的に連通する1つ以上の重陽子源(016)において生成される(006)。中央電極(008)はほぼ球形で前記重陽子ビーム(026)を透過させ、前記真空容器壁(004)とほぼ同心に配置されている。この実施形態に関連する出力電力(082)の生成(058)方法(058)を図8に示す。
教示実施形態として、1つの重陽子ビーム(026)のみが1つの重陽子源(016)から発電プラント(002)に注入される状況を考察する。重陽子源(016)は、イオンを生成するステップ(006)を実行する。中央電極(008)が真空容器壁(004)に対して-547kVの電圧に充電されると、この重陽子ビーム(026)は、中央領域(014)に到達するまでには547keVの運動エネルギーに加速される。中央電極(008)は、イオンを加速するステップ(010)を実行する。この実施形態において、中央電極(008)及び真空容器壁(004)の同心球形は、中央領域(014)にイオンを集束させるステップ(012)を同時に実行する半径方向に対称の電場を形成する。中央電極(008)内の重陽子ビーム(026)の運動量により、重陽子ビーム(026)は中央電極(008)を通って反対側に運ばれ、そこで重陽子ビーム(026)は再び減速され、運動エネルギーは電気ポテンシャルエネルギーと交換される。したがって、中央電極(008)は、イオン運動エネルギーを再循環させるステップ(054)も実行する。加速器物理学の当業者の能力の範囲内で良好な真空を仮定すると、この重陽子ビーム(026)は、真空容器壁(004)の直径を無限に前後に振動しながら、加速(010)、集束(012)及び再循環(054)のステップを繰り返し経る。また、生成ステップ(006)は、重陽子ビーム(028)が続いて前後に振動する際に重陽子ビーム(026)内の重陽子(028)が重陽子源(016)に衝突しないように重陽子ビーム(026)を注入することを含む。
なお、上記の実施形態では、重陽子ビーム(026)には、初期運動エネルギーという形のエネルギーを投入しなかったことに留意されたい。これは、プラズマが加熱される、すなわちイオン運動エネルギーが増加される核融合の他の試みとは対照的である。プラズマ中の全てのイオンが直ちに核融合するわけではないため、そしてプラズマ電子からの電磁放射及びエネルギー荷電粒子の損失によってプラズマは一般に急速に冷却されるため、過去の核融合の試みでは、プラズマ加熱に投入されるエネルギーはプラズマ内の核融合エネルギー出力よりも大きかった。本願において教示する核融合構造は、出力電力(082)の生成(058)時の核融合の試みにおけるこの従来の致命的な欠点を克服する。本願では、重陽子ビーム(026)は、外部電力の投入なしで、それらの運動エネルギーを中央領域(014)において無限に維持する。
教示実施形態として、第2の重陽子ビーム(026)を発電プラント(002)に入射し、これにより第1及び第2の重陽子ビーム(026)が反対方向に振動し、各振動を中央領域(014)で衝突させる(016)状況を考察する。中央領域(014)内の547keVの運動エネルギーにおいて、2つのビーム(026)は互いに通過してそれらの振動を継続する。図2及び図3に教示した断面積によって定められる速度で、いずれのビーム(026)も重陽子(028)が周期的に衝突し(018)、DD核融合を経る。あるいは、図6に教示した断面積スペクトルによって定められる速度で、いずれのビームも重陽子(028)が周期的に弾性クーロン散乱を経て、元の軌道から偏向される。
図7に示す実施形態では、2つの重陽子ビーム(026)が、2つの重陽子源(016)の中心によって定められた線に沿って真空容器壁(004)の直径を前後に振動する。重陽子源(016)が円形の断面を有し、円形の重陽子ビーム(026)を生成(006)する実施形態において、重陽子ビーム(026)の半径は、初めのうちは重陽子源(016)の半径よりも小さい。中央電極(008)によって重陽子ビーム(026)が中央領域(014)に向かって加速(10)されるにつれ、半径方向の電場も重陽子ビーム(026)を集束(012)させ、ビーム半径を減少させる。衝突(018)ステップの間の重陽子ビーム(026)の半径は、中央領域(014)において最小に近い。
双方の重陽子ビーム(026)からの重陽子(028)が、2つの重陽子源(016)間の線から十分に遠い角度へ重陽子(028)の軌道を偏向させるのに十分に大きい1つ以上の弾性クーロン散乱事象を経ると、重陽子は真空容器壁(004)と接触する。このとき、重陽子(028)はしばしば真空容器壁(004)の内面(又はその付近)に付着する。吸着、吸収又は化学吸着の物理プロセスを含みうる付着プロセスは全て、重陽子(028)を電子で中和して重水素を形成することを含む。重水素原子は、真空容器壁(004)内の他の原子との分子結合で存在することができる。あるいは、重水素はHD、D2又はDT群から分子を形成することができる。これらの水素同位体分子を、真空容器壁(004)の内面に(又はその付近に)付着させることができる。あるいは、これらの水素同位体分子は、真空容器壁(004)を出て、真空容器壁(004)内の真空に入ることができる。
弾性クーロン散乱を経た重陽子(028)が真空容器壁(004)に付着する際、それらは運動エネルギーを殆ど又は全く持たない。重陽子源(028)が真空容器壁(004)に電気的に短絡している実施形態(電気通信の特定の形態)では、重陽子(028)の寿命の間に仕事(電圧差×電荷)は行われなかった。言い換えれば、重陽子(028)をDD核融合エネルギーに加速する(010)ために電力を重陽子(028)に投入する必要がなかった。弾性クーロン散乱を経た重陽子(028)を含むイオン運動エネルギーのこの回収は、イオン運動エネルギーを再循環させるステップ(054)の別の形態である。
前述のように、磁場によって拘束されたプラズマを用いて出力電力(082)を生成するように設計された発電プラント(002)における従来の試みでは、核融合を達成するために必要な温度までプラズマを加熱するためにエネルギーが投入された。本願では、エネルギーの保存も観察する必要があるが、この場合、衝突運動エネルギーの回収は、核融合反応から発せられる荷電粒子からそのエネルギーを収集することによって行われる。言い換えれば、核融合を経る重陽子(028)については、発電プラント(002)の核融合反応を維持するために必要なエネルギーが回収され、荷電核融合生成物の運動エネルギーがそのエネルギーのために収集される。
中央電極が-547kVの電圧に充電される実施形態において、中央電極(008)内のトリトン(034)。ヘリウム3核(030)及び陽子(036)の初期運動エネルギーはそれぞれ1284keV、1094keV及び3843keVである。ヘリウム3核(030)と共に形成される中性子(032)は3270keVの運動エネルギーを有する。これらの値を図4にグラフで示す。これらの荷電粒子を透過させる中央電極(008)では、荷電粒子は、それらの半径方向に発散する軌道によってそれらが真空容器壁(004)に到達するまでに減速される(020)。この壁において、これらの運動エネルギーはそれぞれ737keV、0keV、及び3296keVに減少される。
ヘリウム3核(030)及び中性子(032)を形成するDD融合チャンネルにおいて、ヘリウム3核(030)は、弾性クーロン散乱を経た重陽子(028)の場合と同様に、運動エネルギーなしで真空容器壁(004)に到達する。同様のメカニズムにより、ヘリウム3核(030)はヘリウムガスの同位体に変換される(2つの周回電子を拾って中性の希ガス原子を形成する)。ヘリウム3核(030)の減速によって回収されるエネルギーの量は1094keVであり、これは正確には2つの重陽子(028)の運動エネルギーを合わせたものである。物理学のエネルギー保存の原理が見られる。ブランケット(080)に入る中性子(032)の運動エネルギーは3270keVであり、これは図1に示すその核融合チャンネルからの総エネルギー利得である。
トリトン(034)及び陽子(036)を形成するDD核融合チャンネルにおいて、真空容器壁(004)に向かって移動する双方の粒子の総運動エネルギー減少量は1094keVであり、これも正確には2つの重陽子(028)の運動エネルギーを合わせたものである。ここでも物理学のエネルギー保存の原理が見られる。この荷電粒子の対が壁に衝突した際に有する4030keVの残りの総運動エネルギーは、図1に示すその融合チャンネルからの総エネルギー利得である。
真空容器壁(004)を貫通する737keVのトリトン及び3296keVの陽子の飛程は一般に真空容器壁(004)の厚さよりも短い。このような実施形態では、これらの運動エネルギーの全てが真空容器壁(004)で熱エネルギー(熱)に変換される。これは、運動エネルギーを熱に変換するステップ(050)である。ブランケット(080)が真空容器壁(004)と熱的に連通した(056)実施形態では、真空容器壁(004)内に蓄積された熱がブランケット(080)に伝えられる(056)。
以下にさらに教示するように、ブランケット(080)は、中性子(032)がブランケット(080)材料内の原子と衝突する(018)ことにより、DD核融合反応から発せられる中性子(032)の運動エネルギーを収集する。中性子運動エネルギーを収集するこのステップ(022)は、中性子(032)がブランケット(080)材料と熱平衡に近づくまで行われる。
ブランケット(080)が、中性子(032)の捕獲(024)のために大きな断面積を示す原子から構成される実施形態では、中性子(032)の捕獲(024)によってブランケット(080)内に新しい同位体が作られる。中性子(032)の捕獲(024)は、核分裂及び核融合などの核反応に加え、別のタイプの核反応である。これらの新しい同位体が、初期核と中性子(032)の質量を合わせたものよりも小さい質量を有する場合、エネルギーは光子又はエネルギー粒子の形で放出される。ブランケット(080)内でのこれらの光子の吸収と、エネルギー粒子の残留運動エネルギーの蓄積(050)により、中性子(032)を捕獲して熱を生成するステップ(024)が完了する。
一実施形態において、熱を出力電力に変換するステップ(052)は、ブランケット(080)と熱的に接触する熱交換器(076)を用いて開始する。熱交換器(076)内の冷却液(070)を加熱して高圧蒸気(071)を形成することにより、変換器(072)は、蒸気(071)の機械的ポテンシャルエネルギーを、連結器(066)によって前記変換器(072)に接続された発電機(074)において出力電力(082)に変換する。熱を出力電力に変換するステップ(052)の効率は、ブランケット(080)を断熱材(068)で囲むことによって高められる。
一実施形態において、冷却液(070)は水であり、高圧蒸気(071)は水蒸気であり、変換器(072)はタービンであり、連結器(066)は駆動軸であり、発電機(074)は標準的な発電機又は交流発電機である。別の実施形態において、変換器(072)は熱電素子であり、連結器(066)は銅線であり、発電機はDC-ACコンバータである。
E.真空の維持
電力の生成を教示する先のセクションを通して、弾性クーロン散乱を経た重陽子(028)、ヘリウム3核(030)、トリトン(034)及び陽子(036)は、真空容器壁(004)、中央電極(008)又は任意の他の表面のいずれかと接触すると全て吸収される。このような表面に衝突すると、これらの正荷電粒子は短い深さで材料内に入り込む。これらが(材料中の電子との衝突により)ひとたび停止すると、これらの荷電粒子はそれぞれ電子を拾い、中性原子になる。全ての場合において、これらの中性原子は室温以上で気体の形で存在する。最終的に、この気体は材料から出て真空容器壁(004)内の真空中に拡散する。しばらくの間跳ね返った後、気体は最終的に、真空ポンプに接続されたポート(040)を介して真空容器壁(004)からポンプで送り出される。
水素及びヘリウムの同位体をポンピングすることができる真空ポンプの一実施形態は、イオン(又はイオンスパッタ)ポンプ(044)である。標準のイオンポンプ(044)では、水素又はヘリウム同位体原子は、ポンピングごとに、5kVに1電子の電流を流すことを表している。したがって、核融合事象ごとに、ポンプは、ヘリウム3生成チャンネルでは1e×5kV=5keV(ヘリウム3ガスはイオンポンプ(044)において単独でイオン化されるだけであるため)、トリトン生成チャンネルでは2e×5kV=10keV(トリチウム及び水素ガスの双方がイオンポンプ(044)においてイオン化されるため)の電気エネルギーを消費し、したがって核融合事象ごとに平均で7.33keVの電気エネルギーを消費する。先のセクションで教示したように、DD核融合事象あたりの平均エネルギー利得は3620keVである。したがって、この実施形態では、発電プラント(002)の正味出力電力(082)は7.33keV/3620keV、すなわち0.2%低下する。
したがって、一実施形態において、発電プラント(002)は、少なくとも1つのイオンスパッタ真空ポンプ(044)と、真空を含み、真空容器中央領域(014)及び真空容器壁(004)を含む球形真空容器とを備えている。発電プラント(002)の一実施形態では、1つ以上のイオンスパッタポンプ(044)によって維持される真空中で前記イオンを前記衝突(018)状態にする。別の実施形態は電力の生成方法であり、この方法は、真空容器壁(004)を有する球形体(002)を排気して、前記イオンビームの貯蔵を可能にするのに十分な真空を生成することを含む。前記排気は、イオンスパッタ真空ポンプ(044)を用いて排気することを含む。
イオンポンプ(044)は、ヘリウム及び水素の同位体を無期限にポンピングすることができない。最終的には、イオンポンプ(044)は、イオンポンプ(044)内のチタンゲッタープレートを飽和させ、ポンピング速度に相当する速度で気体を放出する。この制限を克服するために、各イオンポンプ(044)は、真空弁(046)によって発電プラント(002)の真空容器から離れるように配置される。これらの弁が閉じられると、イオンポンプ室周辺のペニングセルの磁石が取り除かれ、ポンプ(044)室が加熱される。別の弁(046)が開かれ、これにより、放出するヘリウム及び水素の同位体を、粗引きポンプ(048)によって真空ライン(042)を介して取り除くことができる。この粗引きポンプ(048)を、機械式ポンプ(ターボ分子ポンプなど)又は極低温トラップとすることができる。この発電プラント(002)の真空維持システムの実施形態を図9に示す。
一実施形態において、発電プラント(002)は、ほぼ球形の形状、容器壁(004)及び中央領域(014)を有し、真空を含むように構成された真空容器と、前記容器壁(004)と同心である中心のほぼ球形の電極アセンブリとして構成され、前記真空容器の前記中央領域(014)において前記粒子ビーム(026)を互いに繰り返し衝突させる(018)ように構成された前記負に帯電した電極(008)と、前記中央電極(008)の電圧を維持するように構成された電極充電器と、少なくとも1つのイオンスパッタ真空ポンプ(044)と、をさらに含む。
F.二次電子の放出
十分な運動エネルギーの電子又はイオンが金属表面に衝突すると、二次電子(038)の放出が観測される。二次電子収率Δ(ギリシャ文字で大文字のデルタ)と呼ばれる、入射電子又はイオンあたりの観測される二次電子(038)の比は、運動エネルギー、イオン電荷、イオン質量及び衝突を受ける材料の組成の関数である。種々の金属表面上の水素イオンの場合、図10は、二次電子(038)の収率が陽子の運動エネルギーに依存することを示している。このデータは、Physical Review、第108巻、第1号、1~12頁、1957年10月1日に掲載された、イー.ジェイ.ステムグラス(E.J.Stemglass)による論文「高速イオンによる二次電子放出の理論(Theory of Secondary Electron Emission by High-Speed Ions)」において発表された。ヘリウムの衝突について図11にプロットしたデータも同じ論文で発表された。この論文は、上記で参照により本明細書に援用された米国仮特許出願第62/995,168号の一部として、参照により本明細書に援用される。
水素イオン(陽子(036)、トリトン(034)及び弾性クーロン散乱を経た重陽子イオン(028))及びヘリウムイオン(ヘリウム3核(030))は、図7の中央電極(008)及び真空容器壁(004)に衝突する2種のイオンである。より重いイオン及びより低い運動エネルギーに関連するデータが図12にグラフで示されており、これは、Journal of Physics D: Applied Physics、第14巻、1707-20頁、1981年に掲載された、ジェイ.フェロンら(J.Ferron et al.)による「イオンの衝突によるモリブデンからの電子放出(Electron Emission from Molybdenum Under Ion Bombardment)」という論文から引用したものである。図12は、原子窒素及び分子窒素による衝突を受けるモリブデンの二次電子(038)の収率を示している。この論文は、上記で参照により援用された米国仮特許出願第62/995,168号の一部として、参照により本明細書に援用される。
一実施形態において、発電プラント(002)の真空容器壁(004)はステンレス鋼からなるか、又は実質的にステンレス鋼からなる。別の実施形態において、真空容器壁(004)はチタンからなるか、又は実質的にチタンからなる。さらに別の実施形態において、真空容器壁(004)はアルミニウムからなるか、又は実質的にアルミニウムからなる。
一実施形態において、二次電子(038)、二次イオン又は双方を抑制するために、真空容器壁(004)及び/又は中央電極(008)の内面にコーティングが配置される。別の実施形態では、気体の脱着を阻止し、イオンの衝突による気体の放出を阻止し、及び/又はゲッター表面を提供することによって真空を改善するために、真空容器壁(004)の内面にコーティングが配置される。
ヘリウム3核(030)が中央電極(008)及び/又は真空容器壁(004)に衝突すると、図11のデータから予想されるように二次電子(038)が生成される。図14に示すような先の測定結果から示されるように、二次電子(038)の運動エネルギースペクトルは100eV未満である。図14のデータ及び図13の図は、Phillips Journal of Research、第39巻、61-76頁、1984年に掲載された、ピー.シー.ザルム(P.C.Zalm)及びエル.ジェイ.ベッカーズ(L.J.Beckers)による「5~20keVの水素イオン又は希ガスイオンによって衝突された清浄多結晶金属表面からの二次電子収率(Secondary Electron Yields from Clean Polycrystalline Metal Surfaces Bombarded by 5-20 keV Hydrogen or Noble Gas Ions)」という論文から再現された。この論文は、上記で参照により援用された米国仮特許出願第62/995,168号の一部として、参照により本明細書に援用される。
図13に示した装置を用いて運動エネルギー分布を測定した。右側のイオン源と、左側の二次電子(038)を放出する表面との間の電場により、これらの二次電子(038)は、接地されたイオン源チューブにおいて失われる前により低いエネルギーの電子を回転させる。この電場を発生させる電圧が高いほど、測定される電子電流は小さくなる。ある電圧では、二次電子(038)は、イオン源チューブに到達するのに十分な運動エネルギーを持たない。
図14にグラフで示したデータはこの傾向を示している。40Vの電圧が印加されると二次電子(038)の電流が観測されないことに留意されたい。つまり、二次電子(038)の最高運動エネルギーは約40電子ボルトである。
本願の発電プラント(002)の形状は図13の装置と機能的に類似している。中央電極(008)の負電圧は、真空容器壁(004)から放出された二次電子を壁(004)に押し戻す電場を発生させる。したがって、真空壁(004)からの二次電子の放出(038)は、発電プラント(002)の動作に影響を及ぼさない。
水素及びヘリウムの同位体が中央電極(008)に衝突すると、二次電子(038)は、真空容器壁(004)に向かって加速する半径方向の電場を経る。極小の運動エネルギーで生じた二次電子(038)でも、二次電子(038)が真空容器壁(004)に衝突するまでに574keVに加速される。図15及び図16は、The Physical Review、第130巻、第6号、2135-41頁、1963年6月15日に掲載された、エー.エー.シュルツ(A.A.Schultz)及びエム.エー.ポメランツ(M.A.Pomerantz)による、「相対論的一次電子によって生じる二次電子の放出(Secondary Electron Emission Produced by Relativistic Primary Electrons)」という論文で発表されたデータを含む。この論文は、上記で参照により援用された米国仮特許出願第62/995,168号の一部として、参照により本明細書に援用される。
図15は、574keV以下の運動エネルギーで金属表面に衝突する電子1つにつき、平均して少なくとも1つの二次電子(038)、多いものでは2つの二次電子(038)が存在することを示している。図16は、これらの二次電子(038)の運動エネルギースペクトルのグラフである。イオンの衝突によって放出される二次電子(038)の場合と同様に、高エネルギー電子の衝突によって放出される二次電子(038)の運動エネルギーも比較的小さく、この場合も40eV未満である。
図15及び図16のデータも、真空容器壁(004)から放出される二次電子が中央電極(008)に到達するのに十分なエネルギーがないことを示している。したがって、この場合も先と同様に、真空容器壁(004)からの二次電子の放出は、発電プラント(002)の動作に影響を及ぼさない。
一方、中央電極(008)から発せられて真空容器壁(004)に運ばれるこれらの二次電子は、電力の消耗、すなわち部分的短絡を表している。図11に教示するように、最悪のケースは、ヘリウム3原子核(030)が中央電極(008)の表面に衝突した場合である。この問題を軽減する1つの手段は、交差する高エネルギー電子ビームのアレイから中央電極(008)を形成することであり、これらの電子ビームとイオンが衝突する確率はとてつもなく小さい。別の実施形態において、その中央電極は、イオンが中央電極(008)の表面に衝突する平均確率が5%であるように構成される。図11によると、入射する1094keVのヘリウム3核(030)あたり平均約10個の二次電子(038)が生じる。平均的な核融合事象の場合、この真空容器壁に到達する二次電子(038)の数は、0.535(ヘリウム3核(030)を生成するDD核融合事象の割合)×0.05(中央電極(008)に衝突する確率)×10(衝突あたりの二次電子(038)の数)、すなわち0.27個の二次電子(038)である。このような発電プラント(002)の実施形態は正味の正の出力電力(082)を生成するが効率はほぼ30%低下することが、この一連の事実によって予測される。
二次電子(038)放出抑制の方法としては、表面粗さの増大、局所的に形成された電場、磁場の印加及びコーティングが挙げられる。コーティングに関しては、炭素及び窒化チタンなどの表面コーティングが特に必要である。
一実施形態において、中央電極(008)を形成する金属ワイヤが炭素コーティングで被覆されており、炭素はダイヤモンド、グラファイト、窒化炭素又は他の炭素含有化合物の形態である。炭素を使用して、二次電子放出収率を1/5に抑えることができる。別の実施形態において、中央電極(008)を形成するワイヤは、共に結合されて複合構造体を形成する炭素繊維からなる。別の実施形態において、中央電極(008)を形成するワイヤは、二次電子の放出(038)を最小限にするように粗面化又は構造化された表面を有する。別の実施形態において、中央電極(008)を形成するワイヤは、二次電子の放出(038)を最小限にするように形状づけられている。別の実施形態において、中央電極(008)を形成するワイヤは、二次電子の放出(038)収率を最小限にするのに十分な形状及び大きさの永久磁化を有する。別の実施形態では、前記ワイヤに電流を流すことによって中央電極(008)表面のごく近傍に磁場が生成される。別の実施形態では、二次電子(038)の収量を最小限にするために複数の表面粗さ、コーティング、局所的に形成された電場及び磁場が一緒に使用される。
G.中央電極の電源
先に教示したように、一実施形態において、真空容器壁(004)内の真空を維持し、よって発電プラント(002)での出力電力(082)の生成を維持するために、イオンポンプ(044)での電力の消費が必要である。出力電力(082)の生成を維持するために電力の消費が必要である前記発電プラント(002)内の別の機能は、重陽子ビーム(026)を生成する(006)際の重水素源(016)内の重水素ガスのイオン化である。
一実施形態において、重水素のイオン化のプロセスは、エネルギー電子を用いた低圧重水素ガスの衝突によって行われる。このようなイオンの生成(006)は、2020年6月8日に出願され、本願の発明者によって発明された米国仮特許出願第63/036,073号に教示されている。この仮特許は、2021年6月7日に出願された国際特許出願PCT/US21/36115に変更されている。「イオン源」と題する仮特許第63/036,073号及び「イオン源」と題する国際特許出願PCT/US21/36115号の双方は、本明細書に完全に述べられるかのように、参照により本明細書に援用される。
出力電力(082)の生成を維持するために電力の消費が必要である前記発電プラント(002)内の第3の機能は、中央電極(008)上の電荷の調節である。本願において先に教示したように、荷電粒子は中央電極(008)に衝突し、二次電子(038)の放出を生じることができる。これらの二次電子(038)は、中央電極(008)の負電圧に関連する電場によって真空容器壁(004)に向かって加速される。置換電子を中央電極(008)に供給する1つ以上の電源(078)が必要である。
図17は、中央電極(008)の帯電システムの一実施形態の図を含む。まず、1つ以上の電子帯電加速器(064)は、1つ以上の負に帯電した中央電極(008)に接続された1つ以上の電子帯電ターゲット(062)に到達することができる運動エネルギーを有する荷電電子(060)の1つ以上の流れ(又はビーム)を真空室内に注入する。図17によって表される実施形態において、電子ターゲットは重陽子ビーム(026)の方向に沿って中空であり、中央領域(014)で生じるDD核融合反応から発せられる荷電粒子に対して最大の透過性(最小の不透明度)を示すように中央領域(014)に向かってテーパー状の表面を有する。電子加速器(064)が真空室壁(004)に電気的に短絡している実施形態において、荷電電子ビーム(060)の運動エネルギーは中央電極(008)と真空室壁(004)との間の電圧差以上である。中央電極(008)が真空室壁(004)に対して-574kVの電圧を有する実施形態において、電子帯電加速器(066)によって放出される電子ビーム(060)の運動エネルギーは574keV以上である。
真空室壁(004)に対して-574kVの電圧に設定された中央電極(008)から二次電子(038)が放出されると、これらの二次電子(038)はそれぞれ574keVの熱エネルギーを真空室壁(002)に堆積させる。その熱エネルギーは次にブランケット(080)へ運ばれる(056)。一実施形態では、熱エネルギーは続いて熱交換器(076)に送られ、出力電力(082)に変換される(052)。電子帯電加速器(064)は、出力電力(082)から電力を取り出して電子加速器(064)を動かし、取り出したその電力を電子ビーム(060)運動エネルギーに変換する。変換ステップ(052)と、電力を電子ビーム(060)運動エネルギーに変えるステップの変換効率がそれぞれ100%である場合、発電プラント(002)による出力電力(082)の減少を被ることはない。実際には、これらの効率はいずれも100%ではないため、ある実施形態における40%の妥当な効率では、中央電極(008)からの二次電子(038)の放出による少量の出力電力(082)の低減が予期される。
H.硫黄ブランケット
より広い概念を教示するための1つの教示実施形態は、中性子(032)が生成される領域を取り囲む硫黄ブランケット(104)を用いて、時には正荷電粒子(106)及び電磁放射(008)の生成と併せて、中性子(032)からエネルギーを収集する方法に関する。電磁放射(108)は一般に、電磁スペクトル全体にわたる電子(154)、陽電子(156)及びガンマ線(158)として定義される。中性子(032)を生成するプロセスと、これに続く、前記中性子(032)、正荷電粒子(106)及び電磁放射(108)からエネルギーを収集する(022)方法を図18に示す。
中性子(032)は一般に、真空容器壁(004)に衝突すると、中性子(032)によって運ばれる運動エネルギーが低減される減速プロセス(022)を経る。失われた運動エネルギーは一般に熱(116)に変換され、続いて熱伝達(114)される。大多数の中性子(032)は、減速プロセス(022)を経てから次の捕獲プロセス(024)を経験し、ここで中性子(032)は、中性子(032)の捕獲(024)とその後のガンマ線(158)の放出といった核子交換反応((n,g)反応と呼ばれる)によって原子に吸収される。他の関連する中性子(032)捕獲(024)チャンネルは、中性子-陽子(n,p)交換及び中性子-アルファ(n,a)交換(アルファ粒子はヘリウム4核である)である。原子による捕獲(024)のプロセスの直前に、中性子(032)の運動エネルギーがこの同じ原子に伝達されることがあり、これも減速(022)とみなされる。捕獲(024)のプロセスはより多くの熱を生成し、それに続く熱伝達(114)及び追加の電磁放射(108)を生じる。
これと並行して、核反応(102)のプロセスは正荷電粒子(106)を生成することもできる。これらの正荷電粒子は一般に停止(050)のプロセスを経て、正荷電粒子によって失われた運動エネルギーは熱に変換され、続いて熱伝達(114)される。次いで、熱伝達(114)及び電磁放射(108)は全て熱交換器(076)による熱交換(084)のプロセスに供される。
一実施形態の予言的教示において、硫黄原子(116)が、中性子(032)を捕獲する(024)ステップのために使用される。図19は、地球上に見られる安定同位体の存在量と熱中性子断面積を示している。天然硫黄の大部分は同位体である硫黄32(132)から構成されることに留意されたい。残りの天然硫黄の大部分は、同位体である硫黄34(134)の形である。同位体である硫黄33(133)及び硫黄35(135)は自然界で微量にしか見られない。
図3に明示した熱中性子断面積は、室温で硫黄原子(116)と熱平衡状態にある中性子(032)の捕獲(024)によって決定される。断面積は、中性子(032)が原子によって吸収される(捕獲(024))確率に比例する。室温は、0.025eVの典型的な中性子運動エネルギーに対応する。
硫黄原子(116)が中性子(032)の捕獲(024)に関与する予言的実施形態は、発生するエネルギー放出が大きいため興味深い。中性子(032)を捕獲(024)する硫黄32(132)の場合について図20に示すように、硫黄33(133)の生成及び電磁放射(108)の放出が結果として生じる。初期状態(自由中性子(032)及び硫黄32(132)原子)と最終状態(硫黄33(133)原子)との質量差は8.64MeV/c2である。エネルギー保存の原理及び有名な方程式E=mcによれば、電磁放射(108)の量はこの質量差、すなわち8.64MeVに等しい。次に、この電磁放射(108)は硫黄ブランケット(104)内で吸収され、さらなる熱が生じる。
同位体分離又は同位体濃縮は一般的に高価なプロセスであるため、1つの実施形態は、天然に存在する硫黄原子(116)を用いて捕獲ステップ(024)を実行することである。この場合、捕獲(024)は、硫黄32(132)、硫黄33(133)、硫黄34(134)及び硫黄36(136)といった同位体からなる(又は、場合によってはこれらを有するか実質的にこれらからなる)硫黄原子(116)を用いて行われる。その簡潔さのため、1つの実施形態は、この場合も硫黄原子(116)を用いて減速する(022)ステップを実行することである。
中性子(032)の減速(022)は、DD核融合プロセスによって付与された中性子(032)から運動エネルギーを取り除くものである。この失われた運動エネルギーは熱に変換され、続いて熱伝達(114)される。DD核融合及び捕獲(024)ステップからの電磁放射(108)は、硫黄原子(116)によって完全に又は部分的に吸収され、電磁放射(108)が熱に変換され、続いて熱伝達(114)される。DD核融合によって放出された正荷電粒子の停止(050)により、残留する正荷電粒子の運動エネルギーが熱に変換され、続いて熱伝達(114)される。この熱伝達(114)の一部又は全部及び残りの(未変換の)電磁放射(108)は、熱交換器(076)における熱交換(084)プロセスで蓄積される。
図21に示す一実施形態において、硫黄ブランケット(080)は溶融硫黄の形態にある。DD核融合反応、停止(050)、減速(022)及び捕獲(024)からの熱及び電磁放射(108)が溶融硫黄内に堆積される。熱交換器(076)における熱交換(084)の目的は、この熱を硫黄ブランケット(104)から取り除き、液水(070)を沸騰させて高圧蒸気(071)を生成することである。一実施形態では、硫黄ブランケット(080)内の溶融硫黄が熱対流を経て、硫黄ブランケットの頂部付近の流水(070)を含む熱交換器(076)の管が硫黄ブランケット(080)から熱を取り除き、熱を水(070)に送って蒸気(071)を生成する。高圧蒸気(071)はタービンを回転させ(086)、タービンは発電機(074)を回転させて(088)出力電力(082)を生成する(058)。このプロセス全体をより効率的にするために、断熱材(138)が硫黄格納容器(118)を取り囲み、熱漏れによるエネルギー損失を防止する。
予言的教示において、硫黄ブランケット(104)の有用性は、DD核融合を核反応(102)とみなすことによって明らかになる。DD核融合は、一方が中性子であり他方が非中性子である、図1に示した2つのほぼ等しい確率のチャンネルを有する。中性子反応からの正味エネルギー利得は0.082MeV+2.45MeVであり、合計で3.27MeVである。非中性子反応からの正味エネルギー利得は1.01MeV+3.02MeVであり、合計で4.03MeVである。したがって、DD核融合反応の平均の正味エネルギー利得は3.65MeVである。
表1は、硫黄ブランケット(104)における捕獲された(024)中性子(032)あたりのエネルギー放出を決定する入力パラメータ及び計算パラメータを含む。4つの列の値は、図19に示した硫黄原子(116)に関連する計算パラメータを含んでいる。図1で示したように、DD核融合では、時間の約53.5%で中性子が放出される。したがって、中性子(032)の捕獲(024)からの核融合あたりの平均エネルギー利得は、8.625×0.535=4.62MeVである。前の段落に示したように、DD核融合あたりの平均エネルギー放出は3.65MeVである。硫黄ブランケット(104)を含む発電プラント(002)の実施形態は、2.27のエネルギー出力増加係数を享受する。
I.電気エネルギーの貯蔵
地球上には、世界の全てのエネルギー需要を供給するのに十分な太陽光と風力がある。問題は、収集した電力をすぐに利用できること(availability)と消費者の瞬間的なエネルギー需要が必ずしも一致しないことである。電力を貯蔵する安価でコンパクトな手段は、人類が直面する最大の課題の1つである。
商用の核分裂炉は安定した電力レベルを生じることができるが、電気グリッド上に示される微小な需要の変化を追跡することができない。需要に応じて蓄積されたエネルギーを安定的に充電し、そして迅速に放電する手段も顕著な利点をもたらす。
硫黄ブランケット(104)を利用するDD核融合に基づいた発電プラント(002)は、商用核分裂炉のものと同様の定常出力電力(082)を提供することができる。図7の装置は、毎時の需要変動に追従するように構成可能であるが、大型電動機を始動させるようなサージ負荷に対して高い瞬時ピーク電力を供給することはできない。
このようなサージ容量を提供するための一実施形態は、発電プラント(002)と電気負荷との間に電池を配置することである。この実施形態の別の有用性は、風力タービン及び太陽電池アレイなどの外部電源からの電力を貯蔵することにある。
何十年にもわたって研究されている電池の1つのタイプは硫黄-ナトリウム電池(120)である。一実施形態では、図21の硫黄格納容器(118)が硫黄-ナトリウム電池(120)を同時に生じるように変更されている。硫黄ブランケット(104)が硫黄-ナトリウム電池(120)としても機能する実施形態を図22に示す。
溶融ナトリウム原子のリザーバ(130)は、固体電解質(146)によって溶融硫黄-ナトリウム混合物(140)から分離されている。一実施形態では、この固体電解質(146)はセラミックb”-アルミナ(BASE)から構成される。溶融ナトリウム原子(130)は負極(142)として機能し、溶融硫黄-ナトリウム混合物(140)は正極(144)として機能する。この硫黄-ナトリウム電池(156)の負端子(143)は溶融ナトリウム(130)と電気的に連通した状態にあり、一方で硫黄-ナトリウム電池(120)の正端子(145)は溶融硫黄-ナトリウム混合物(140)と電気的に連通している。この場合、硫黄格納容器(118)の壁は、溶融ナトリウム(130)もしくは硫黄-ナトリウム混合物(140)のいずれか、又は双方と電気的に連通していない。負端子(143)及び正端子(145)は、電気絶縁体(148)を利用して硫黄格納容器(118)の壁を通過する。ナトリウム原子(130)のリザーバ、固体電解質(146)、負端子(143)及び/又は正端子(145)は2つ以上あってもよい。
この実施形態は、場合によっては、硫黄-ナトリウム電池(120)の過去の実施形態よりも有利となりうるが、それは、他の電池技術と比較して、このような電池(120)を作動させるのに必要な高温と、必要な熱及び断熱(138)を提供するという追加のコスト及び複雑さとがあるためである。核融合発電プラント(002)の出力電力(082)を増加させる手段として硫黄ブランケット(104)が存在するため、これらの追加のコスト及び複雑さは全てすでに存在していた。
硫黄-ナトリウム電池(120)が完全に充電されている場合、ナトリウム原子(130)のほぼ全てがナトリウムリザーバ内にある。図23にプロットされているように、満充電時の正端子(145)及び負端子(143)をわたる電圧は、350℃の電池温度で2.076Vである。硫黄-ナトリウム電池(120)が端子(143、145)をわたって電流を放電すると、ナトリウムイオンは固形電解質(146)を通過し、優先的に化合物Naを形成する。固体電解質(146)付近から、この化合物は、硫黄-ナトリウム混合物(140)の体積中に体積を徐々に増やして形成される。硫黄-ナトリウム混合物(140)中の硫黄原子(116)の割合が約78%に達すると、まずNa、次いでNa、さらにNaが形成され始め、硫黄-ナトリウム電池(120)の電圧が低下し始める。硫黄-ナトリウム混合物(140)中の硫黄原子(116)の濃度が60%になると、硫黄-ナトリウム混合物(140)のほぼ全てがNaで構成され、硫黄-ナトリウム電池(120)の電圧は一定の1.78Vになる。
J.プロトン伝導体
電子を伝導しないが代わりにイオンを伝導する電気絶縁体である材料のカテゴリーがある。材料科学では、このカテゴリーの材料をイオン伝導体と呼ぶ。燃料電池及び電池などの用途では、これらの材料が電解質の役割を果たすことが多い。硫黄-ナトリウム電池(120)の場合、図22に示す前記固体電解質(146)において伝導されるイオンはナトリウムイオンNa+である。自動車の酸素センサでは、セラミック電解質は酸素イオンO+を伝導する。プロトン伝導体(100)と呼ばれる、陽子(036)を伝導するタイプの材料も存在する。化学的類似性を考慮すると、プロトン伝導体(100)は重陽子(028)及びトリトン(034)も伝導する。
図24に示すように、真空容器の容器壁(004)内に含まれる外側真空(094)から内側真空(092)を分離するための障壁(090)としてプロトン伝導体(100)が使用される実施形態を考察する。この実施形態では、中央領域(014)内の核融合反応の動作はもはや真空容器壁(004)のサイズ及び形状に依存しておらず、代わりに障壁(090)のサイズ及び形状に依存している。熱を出力電力(082)に変換する(052)プロセスの際、中央電極(008)は負電圧に帯電される。障壁(090)がプロトン伝導体(100)からなる実施形態では、障壁(090)の半径方向外側の表面にある導電性外側コーティング(098)は中央電極(008)の電荷と等しく、かつ反対の電荷を運ぶことができる。これらの2つの電荷分布は、障壁(090)内の正荷電粒子を加速するほぼ半径方向の電場を生成し、これらの正荷電粒子を外側コーティング(098)に向かって移動させる。
図9に示したようなイオンポンプ(044)の使用は真空ポート(040)及び真空ライン(042)に依存しており、これらの数及びサイズは種々の考慮事項によって制限される。1つの制限は、中央電極(008)上の負電圧によって生成される半径方向の電場の歪みである。別の制限はブランケット(080)からの中性子(032)の損失であり、ブランケット(080)を通過する際の真空ライン(042)の数が多くなるほど、運動エネルギーが収集され(022)、捕獲(024)が可能になる前に失われる中性子(032)の数が多くなる。真空ライン(042)及び真空ポート(040)のサイズ及び数を制限することにより、中央領域(014)からイオンポンプ(044)へのガス流のコンダクタンスも制限される。このような状態では、重陽子ビーム(026)の注入が最終的に真空容器壁(004)内の支配的な材料負荷を表すため、中央領域(014)内の真空圧は、核融合発電のレベルが上がるにつれて上昇する。その結果、重陽子(028)と、生じた核融合生成物である陽子(036)、トリトン(034)及びヘリウム3核(030)のためのより効果的なポンピング機構が必要である。
燃料電池におけるプロトン伝導体の従来の使用法では、水素ガスがプロトン伝導体の一方の側にあり、酸素ガスが反対側に流される。白金系触媒や他のより安価な代替材料によって水素分子はその電子を放し、裸の陽子がプロトン伝導体に伝導する。酸素側では、触媒を用いて陽子を酸素分子と容易に反応させ、水分子を形成する。得られた水分子はポンプによって取り除かれ、プロトン伝導体にわたる水素の個体数の不均衡が維持される。この不均衡と400℃を超える動作温度により、陽子が一方の触媒から他方の触媒に流れて電流が生じ、この電流を使用して電気負荷に電力を供給したり電池を充電したりすることができる。
図24に示す実施形態では、陽子(036)、トリトン(034)及びヘリウム3核(030)を内側真空(092)から外側真空(094)に向けてポンピングするための触媒は不要である。この実施形態において、本願は、前記正荷電粒子が陽子(036)及びトリトン(034)を含み、前記障壁(090)が前記正荷電粒子の少なくとも1つを前記内側真空(092)から前記外側真空(094)に伝導する一方で前記発電プラント(002)が(052)出力電力(082)を生成していることを教示している。第1に、これらの粒子は、すでに分子に結合していない原子の形である。第2に、中央電極(008)と、プロトン伝導体(100)からなる障壁(090)の外側コーティング(098)との間の電場によってポンピング機能が駆動される。一実施形態において、本願はプロトン伝導体(100)からなる障壁(090)を教示する。一実施形態において、本願はステンレス鋼からなる外側コーティング(098)を教示する。第3に、このような触媒は高価である。第4に、天然に存在する白金同位体である白金192は、中性子(032)の捕獲(024)のために10バーンの断面積を有する。この捕獲により、約50年の半減期を有する放射性同位体である白金193が生成される。設備のこのような放射性活性化を避けることが好ましい。一実施形態において、本願は真空容器をさらに含む発電プラント(002)を教示している。前記真空容器は、内側真空(092)と外側真空(094)を含むように構成された容器壁(004)と、前記容器壁(004)内の、ほぼ球形の形状を有する障壁(090)と、前記障壁(090)の半径方向内側の中央領域(014)と、からなり、前記障壁(090)は、前記内側真空(092)が前記障壁(090)内に存在し、前記外側真空(094)が前記容器壁(004)と前記障壁(090)との間に存在し、前記イオン(028)による前記中央領域(014)への移動が妨げられないように前記障壁(090)が前記イオン(028)の前記1つ以上の供給源(006)に取り付けられ、前記内側真空(092)及び前記外側真空(094)が分離され、前記障壁(090)が半径方向外側表面上に導電性の外側コーティング(098)を有するように構成されている。一実施形態において、本願は発電プラント(002)を教示しており、この発電プラント(002)は、前記容器壁(090)と同心である中心のほぼ球形の電極アセンブリとして構成され、粒子ビーム(026)として、そして前記真空容器の前記中央領域(014)において互いに繰り返し衝突する(018)ように構成された前記負に帯電した電極(008)と、前記電極アセンブリ(008)の電圧を維持するように構成された電極充電器(062)と、少なくとも1つのイオンスパッタ真空ポンプ(044)と、をさらに含む。
一実施形態において、障壁(090)の半径方向内側の導電性内側コーティング(096)を追加して、中央電極(008)から発せられる二次電子(038)を取り除くことができる。二次電子(038)を取り除くために、この内側コーティング(096)の厚さを100ナノメートル、すなわち0.1ミクロンまで薄くすることができる。一実施形態において、この内側コーティング(096)はステンレス鋼からなる。別の実施形態において、この内側コーティング(096)はチタンからなることが可能である。一実施形態において、本願は、前記障壁(090)の半径方向内側表面上の導電性内側コーティング(096)を教示する。一実施形態において、本願は、炭素、クロム、マンガン、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金及び金を含む群の少なくとも1つの部材からなる内側コーティング(096)を教示する。
外側コーティング(098)の電圧がイオン源(006)の電圧に等しい実施形態において、DD核融合によって生成された正荷電粒子の運動エネルギーが図26及び図27にプロットされている。陽子(036)、トリトン(034)及びヘリウム3核(030)が障壁(090)に近づく際のこれらの運動エネルギーは全て、衝突(018)の間の中央領域(014)における重陽子ビーム(026)の運動エネルギーに依存している。図27は、図26と同じヘリウム3のデータをプロットしているが、単により細かな運動エネルギーの目盛でプロットしたものである。
ヘリウム3核(030)の場合、チタン又はステンレス鋼からなる内側コーティング(096)へのそれらの飛程が図28にプロットされている。ヘリウム3核(030)が内側コーティング(096)の内側ではなくプロトン伝導体(100)材料内で停止するには、約40keVの入射運動エネルギーが望ましいことに留意されたい。ヘリウム核は標準的なプロトン伝導を経ないが、それらのイオン化状態が持続し、やはり外側真空(094)に向かって移動することが示唆されている。
トリトン(034)の場合、障壁(090)内への予期される運動エネルギーは十分に大きく、水素イオンの優れた浸透能力は、それらの浸透能力がはるかに深いことを示している。図29は、チタン及びステンレス鋼へのトリトン(034)の浸透を、入射運動エネルギーの関数としてプロットしたものを含む。図26によると、500keVの衝突時の重陽子ビーム(026)の運動エネルギーにおいて、障壁(090)におけるトリトン(034)の運動エネルギーは700keV付近となることができ、図29によると、チタン及びステンレス鋼の双方における飛程は2ミクロンよりも大きい。
陽子(036)の場合を図30に示す。予期されるように、DD核融合事象によって生成される陽子(036)の飛程は数十ミクロン単位で測定される。
発電プラント(002)が出力電力(082)を生成している(058)間、DD核融合反応からの熱及び硫黄ブランケット(104)内の二次核反応との組み合わせによって発電プラント(002)の温度が上昇する。一実施形態では、熱交換器(076)において水(070)を沸騰させて蒸気(071)を生成することにより、400℃以上の一定の硫黄ブランケット(104)温度が保たれる。一実施形態では、真空容器壁(004)は硫黄ブランケット(104)と熱的に連通しており、このことは、前記発電プラント(002)が出力電力(082)を生成している(058)間、前記容器壁(004)が400℃を超える温度にあることを示している。少なくとも、真空容器壁(004)内の障壁(090)は、黒体放射を介して真空容器壁(004)と熱的に連通している。一実施形態において、本願は、前記発電プラント(002)が出力電力(082)を生成している(058)間に400℃を超える温度である障壁(090)を教示する。
イオンビーム源(006)が障壁(090)の外側コーティング(098)と同じ電圧である実施形態において、クーロン散乱を経る衝突(018)イオンビーム(026)からの重陽子(028)は、ゼロの運動エネルギーで障壁(090)に到達する。この場合、重陽子の飛程は内側コーティング(096)の厚さ未満である。DD核融合事象ごとに100個の重水素(028)が大きなクーロン散乱偏向を経る実施形態では、内側コーティング(096)上のD2分子の形成によって生じる重水素ガスの負荷が内側真空(092)の圧力を支配する。この状況を回避するための技術がいくつかある。一実施形態では、イオン源(006)の電圧は、前記クーロン散乱された重陽子(028)が内側コーティング(096)を貫通してプロトン伝導体(100)内で停止するのに十分な電圧によって負にバイアスされる。この実施形態では、前記発電プラント(002)が出力電力(082)を生成している間、障壁(090)は前記重陽子(028)を前記内側真空(092)から前記外真空(094)に伝導する。
400℃の温度では、プロトン伝導体(100)は全ての水素同位体を容易に伝導するが、プロトン伝導体(100)を通る移動速度は質量の大きな同位体ほど遅くなる。中央電極(008)と外側コーティング(098)との間の電圧差によって生成される半径方向の電場により、陽子(036)、重陽子(028)及びトリトン(034)は最終的に外側コーティング(098)に到達する。外側コーティング(098)が導電性である実施形態では、これらの原子核は電子を拾って中性原子になる。中性原子の集団密度が十分に高くなると、これらの中性原子は、水素ガス分子であるH2、D2、T2、HD、HT及びDTを形成する。
外側コーティング(098)が400℃以上の温度にある実施形態では、これらの分子はコーティングを通って拡散し、優先的に脱着して外側真空(094)に入る。ステンレス鋼を通るH2の拡散係数は、ステンレス鋼の温度の関数として図31にプロットされている。縦の目盛は対数であることに留意されたい。重陽子(028)又はトリトン(034)を含む他の水素分子の拡散係数はさらに小さい。
図32は、500℃の温度における、ステンレス鋼板にわたる水素(H2)の濃度を時間の関数として示したものである。この計算では、ステンレス鋼板の両側が真空であると仮定し、ここで初期の水素濃度はステンレス鋼板の厚さ0.15cm全体にわたって単一である。図32の曲線は、1分後、10分後、60分後に予期されるH2濃度プロファイルを示している(60分後の曲線は横軸と殆ど区別がつかない)。外側真空(094)へのガスの拡散が、障壁(090)を通って戻る拡散よりもはるかに大きいと仮定すると、図32の曲線は、0.075cmの厚さであった場合の外側コーティング(098)を表すことができ、プロットの中点は障壁(090)と外側コーティング(098)との間の界面の位置である。図31によって示されるように、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃及び700℃以上の外側コーティング(098)の温度であっても、全ての同位体の水素ガスは最終的に外側真空(094)に行き着くことになる。
K.範囲の記述
まとめると、本開示は、狭い範囲の指示や注意書きとしてではなく、徹底的な教示として記されたことを認識することが重要である。本明細書全体を通して、「1つの/一実施形態」、「ある実施形態」又は「特定の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ずしも全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの/一実施形態では/において」、「ある実施形態では/において」、又は「特定の実施形態では/において」という語句のそれぞれの出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、いずれの特定の実施形態の特定の特徴、構造又は特性も、1つ以上の他の実施形態と任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書に記載し、図示した実施形態の他の変形例及び修正例は本明細書の教示に照らして実施可能であり、本主題の精神及び範囲の一部とみなされることが理解されるべきである。
また、図に示す要素のうちの1つ以上を、特定の用途に従って有用であるように、より分離した又は統合した方法で実装することもでき、あるいは、特定の場合において取り除くか又は動作不能にすることもできることが理解されるであろう。さらに、図中の任意の表示矢印は、特に明記のない限りは例示的なものにすぎず、限定的なものではないとみなされるべきである。さらに、本明細書で用いた「又は」という用語は、特に明記のない限り、一般に「及び/又は」を意味するように意図される。構成要素又はステップの組み合わせも留意事項とみなされ、用語は、分離する又は組み合わせる能力を曖昧にするものと想定される。
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して用いられるように、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その/この(the)」は、文脈によって明らかに別のものが示されない限り、複数の参照を含んでいる。また、本明細書の説明及び以下の特許請求の範囲全体で用いられるように、「における(in)」の意味は、文脈によって明らかに別のものが示されない限り「中」及び「上(on)」を含む。本教示で指定された量からの変動を、許容可能な製造公差などの公差に対応するように「約」又は「ほぼ」とすることができる。
要約書及び態様に記載の内容を含む例示した実施形態の前述の説明、全ての開示内容及び関連する産業上の利用可能性は、網羅的であること、又は主題を本明細書に開示された形式そのままに限定することを意図するものではない。主題の特定の実施形態及び主題のための例は、例示による教示の目的でのみ本明細書に記載されているが、当業者が認識し、理解するように、本主題の精神及び範囲内で種々の同等の変更例が実施可能である。示されるように、これらの変更例は、例示した実施形態の前述の説明に照らして行われることが可能であり、この場合においても本明細書に開示される主題の真の精神及び範囲内に含まれる。
産業上の利用可能性は、代表的には、装置、デバイス、製品(特に電気的なもの)、ならびにこれらの製造及び使用プロセスの産業上の利用可能性に関するものである。また、産業上の利用可能性には、上記の産業に従事する産業や、実施に応じてこれらと協力して活動する産業も含まれる。

Claims (22)

  1. 出力電力を生成するように構成された発電プラントであって、前記出力電力の生成が、1種のイオンであるイオンを衝突の状態にして核融合反応を引き起こし、前記発電プラントに入力される電力よりも大きな出力電力を生成することによって行われる前記発電プラントを含む装置であって、前記発電プラントは、
    前記イオンの1つ以上の供給源と、
    1つ以上の負に帯電した電極であって、
    前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオンを加速し、
    磁場のない態様で前記イオンを集束させて前記衝突の状態にし、
    前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を減速させる、
    ように構成された、1つ以上の負に帯電した電極と、
    1つ以上のブランケットであって、
    前記核融合反応によって形成された中性子から運動エネルギーを収集し、収集した前記運動エネルギーを熱に変換し、
    前記中性子を捕獲することによって追加の核エネルギーを生成し、
    前記追加の核エネルギーを前記ブランケット内で追加の熱に変換し、
    前記正荷電粒子の減速後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱として蓄積する、
    ように構成された、1つ以上のブランケットと、
    前記ブランケット内の前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を前記出力電力に変換するように構成された変圧器であって、
    水を受け入れて前記水から加圧蒸気を生成する熱交換器と、
    前記加圧蒸気を回転エネルギーに変換するタービンと、
    前記タービンに結合され、前記回転エネルギーを前記出力電力に変換する発電機と、
    を含む変圧器と、
    を備える、前記装置。
  2. 前記衝突の状態にされた前記イオンを含むプラズマを拘束する磁場がないことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 前記イオンは2つの粒子ビームとして前記衝突の状態にされ、
    前記粒子ビームは共に実質的に電子を含まず、
    前記粒子ビームは共にほぼ等しい平均運動エネルギーを有し、
    前記粒子ビームは共に重陽子からなり、
    前記粒子ビームは共に約180度の角度で衝突する、
    請求項1に記載の装置。
  4. 球形の形状、容器壁及び中央領域を有し、真空を含むように構成された真空容器と、
    前記容器壁と同心である中心の球形の電極アセンブリとして構成され、前記真空容器の前記中央領域において前記粒子ビームを互いに繰り返し衝突させるように構成された前記負に帯電した電極と、
    前記電極アセンブリの電圧を維持するように構成された電極充電器と、
    少なくとも1つのイオンスパッタ真空ポンプと、
    をさらに含む、請求項3に記載の装置。
  5. 前記電極アセンブリは炭素化合物で被覆されている、請求項4に記載の装置。
  6. 出力電力の生成プロセスであって、
    1種のイオンであるイオンを衝突させて核融合反応を引き起こし、前記衝突を生じるために用いられた電力よりも大きな出力電力を生成することと、
    前記イオンを生成することと、
    前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオンを静電的に加速することと、
    磁場のない態様で前記イオンを静電的に集束させて前記衝突の状態にすることと、
    前記衝突の間に弾性クーロン散乱によって偏向される前記イオンからの前記運動エネルギーを静電的に再利用することと、
    前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を静電的に減速させることと、
    前記核融合反応によって形成された中性子から運動エネルギーを収集し、前記運動エネルギーを熱に変換することと、
    追加の核反応により前記中性子を捕獲して余剰エネルギーを生成し、前記余剰エネルギーを追加の熱に変換することと、
    前記減速の後に残る前記正荷電粒子の運動エネルギーをさらなる熱として蓄積することと、
    前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を出力電力に変換することと、
    を含む、プロセス。
  7. 請求項6に記載のプロセスによって生成された生成物。
  8. 発電プラントが出力電力を生成するように前記発電プラントを組み立てることを含む方法であって、前記出力電力の生成が、1種のイオンであるイオンを衝突の状態にして核融合反応を引き起こし、前記発電プラントに入力される電力よりも大きな前記出力電力を生成することによって行われ、前記組み立てることを実施することで、
    前記イオンの供給源が1つ以上あり、
    1つ以上の負に帯電した電極が、
    前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオンを加速し、
    磁場のない態様で前記イオンを集束させ、
    前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を減速させる、
    ように位置し、
    1つ以上のブランケットがあり、前記1つ以上のブランケットは、
    前記核融合反応によって形成された中性子から運動エネルギーを収集して前記運動エネルギーを熱に変換し、
    前記中性子を捕獲することによって追加の核エネルギーを生成し、これにより前記追加の核エネルギーは前記ブランケット内で追加の熱に変換され、
    前記正荷電粒子が部分的に減速した後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱として蓄積し、
    前記ブランケット内の前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を前記出力電力に変換する、
    ように構成され、前記変換は、
    水を受け入れて加圧蒸気を生成する熱交換器と、
    前記加圧蒸気を回転エネルギーに変換するタービンと、
    前記タービンに結合され、前記回転エネルギーを前記出力電力に変換する発電機と、
    を含む、プロセス。
  9. 請求項8に記載のプロセスによって生成された生成物。
  10. 単一種のイオンを衝突させて核融合反応を引き起こし、前記衝突を生じるために用いられた電力よりも大きな出力電力を生成することと、
    前記イオンを生成することと、
    前記核融合反応を引き起こすのに十分な運動エネルギーに前記イオンを静電的に加速することと、
    磁場のない態様で前記イオンを静電的に集束させて前記衝突の状態にすることと、
    前記衝突の間に弾性クーロン散乱によって偏向される前記イオンからの前記運動エネルギーを静電的に再利用することと、
    前記核融合反応によって形成された正荷電粒子を静電的に減速させることと、
    前記核融合反応によって形成された中性子から運動エネルギーを収集し、前記運動エネルギーを熱に変換することと、
    追加の核反応により前記中性子を捕獲して余剰エネルギーを生成し、前記余剰エネルギーを追加の熱に変換することと、
    前記減速の後、前記正荷電粒子の残りの運動エネルギーをさらなる熱に変換することと、
    前記熱、前記追加の熱及び前記さらなる熱を出力電力に変換することであって、
    前記熱を水に熱交換して蒸気を生成することと、
    前記蒸気でタービンを回転させることと、
    前記タービンによって発電機を回転させることと、
    を含む前記変換と、
    を備えるプロセス。
  11. 真空容器をさらに含み、前記真空容器は、
    内側真空と外側真空を含むように構成された容器壁と、
    前記容器壁内の、ほぼ球形の形状を有する障壁と、
    前記障壁の半径方向内側の中央領域と、
    からなり、
    前記障壁は、
    前記内側真空が前記障壁内に存在し、
    前記外側真空が前記容器壁と前記障壁との間に存在し、
    前記イオンによる前記中央領域への移動が妨げられないように前記障壁が前記イオンの前記1つ以上の供給源に取り付けられ、前記内側真空及び前記外側真空が分離され、
    前記障壁が半径方向外側表面上に導電性の外側コーティングを有する、
    ように構成されている、請求項1に記載の装置。
  12. 前記容器壁と同心である中心のほぼ球形の電極アセンブリとして構成され、粒子ビームとして、そして前記真空容器の前記中央領域において互いに繰り返し衝突するように構成された前記負に帯電した電極と、
    前記電極アセンブリの電圧を維持するように構成された電極充電器と、
    少なくとも1つのイオンスパッタ真空ポンプと、
    をさらに含む、請求項11に記載の装置。
  13. 前記障壁の半径方向内側表面上に導電性の内側コーティングをさらに含む、請求項12に記載の装置。
  14. 前記障壁がプロトン伝導体からなる、請求項12に記載の装置。
  15. 前記外側コーティングがステンレス鋼からなる、請求項12に記載の装置。
  16. 前記内側コーティングがチタンからなる、請求項13に記載の装置。
  17. 前記内側コーティングが、炭素、クロム、マンガン、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金及び金を含む群の少なくとも1つの部材からなる、請求項13に記載の装置。
  18. 前記発電プラントが出力電力を生成している間、前記容器壁は400℃を超える温度にある、請求項4に記載の装置。
  19. 前記発電プラントが出力電力を生成している間、前記障壁は400℃を超える温度にある、請求項11に記載の装置。
  20. 前記正荷電粒子は陽子及びトリトンを含み、前記発電プラントが出力電力を生成している間、前記障壁は前記正荷電粒子の少なくとも1つを前記内側真空から前記外側真空に伝導する、請求項11に記載の装置。
  21. 前記イオンは2つの粒子ビームとして前記衝突の状態にされ、
    前記粒子ビームは共に実質的に電子を含まず、
    前記粒子ビームは共にほぼ等しい平均運動エネルギーを有し、
    前記粒子ビームは共に重陽子を含み、
    前記粒子ビームは共に約180度の角度で衝突する、
    請求項11に記載の装置。
  22. 前記発電プラントが出力電力を生成している間、前記障壁は前記内側真空から前記外側真空に前記重陽子を伝導する、請求項21に記載の装置。
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