JP2023538445A - X線回折における電荷共有の同定 - Google Patents
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Abstract
X線回折装置、及び、X線回折装置からの信号を処理する方法を開示する。第1検出器セル及び第2検出器セルそれぞれが発生する第1パルスと第2パルスとの間の時間遅延を分析することにより、且つ、第1パルス及び第2パルスそれぞれのエネルギーを分析することにより、電荷共有事象及び光子が同時となる事象を同定することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、X線回折の方法及び装置に関する。
X線回折(XRD)分析は、測定試料から回折されるX線のパターンを測定することにより行われるが、ほとんどの場合、回折角の範囲に亘って一次元で測定することにより行われる。1次元(ストリップ)固体検出器又は2次元固体検出器では、幾つかの角度で同時に測定することが可能であり、これにより測定工程全体が速められる。さらには、センサの読出しのために固体センサ材料及び特定用途向け集積回路(ASIC)を使用することにより、雑音レベルがかなり低くなり、このようにして、ガス封入型検出器をベースにした古めのシステムと比較して、検出されるX線光子のエネルギーの分解能を向上させることができる。
しかしながら、1次元ストリップ検出器等の固体検出器は、単一のX線光子が2つの(通常は隣接する)検出器セルでの応答を引き起こすという電荷共有の問題に悩まされることがある。これが発生すると、光子のエネルギーは2つのセル間で分割されて、エネルギーがより低い2つの光子が出現することがある。これにより、XRD測定のエネルギー分解能を下げてしまうことになる。
2つの隣接する検出器セル内でほぼ同時に生じる信号を除外することによりこの問題に対処しようとしていることが知られている。言い換えると、2つの検出器セルが同時に応答すると、システムは電荷共有が起こったと推測し、両方の応答が無視されるか考慮されなくなる、つまり、光子は、2つのセルのいずれかに到着したものとしては、カウントされない。
隣接する検出器セル内で同時に起こる検出器応答を除外するという、上述の公知の手法では、さらなる問題点が生じる。それは、2つの実際の光子が、隣り合う検出器セルに同時に到着し得る可能性があることである。この可能性は、(光子の入射率全体が高めである、)X線強度が大きめのところで増大する。上述の公知の除外する手法は、純粋に同時となる光子が誤って電荷共有事象として除外されるので、特にこのように強度が高い場合ではカウントレートの線形性が低下することになる。
本発明の或る態様により、請求項1に記載のX線回折装置が提供される。
各パルスのエネルギーを検査し、両方のパルスが正しいエネルギー(VLを上回り且つVHを下回るもの)である事象のみをカウントすることにより、本装置は、電荷共有された光子を除外し且つX線回折測定としてカウントされるのが望ましくない他のエネルギーの光子を除外しつつ、所望の種類のX線放射の、同時となる光子をカウントすることができる。
光子のタイミングの関係だけでなく光子のエネルギーを検査することが、カウントレートの線形性の改良に役立ち得るということを本発明者らは認識した。電荷共有した光子と、正に同時となっている光子とを、エネルギーを基に区別することにより、本装置は、誤ってカウントされない、正に同時となっている光子の数を低減することができる。
2つのパルスの各々のエネルギーを別々に検査することにより、同時となる光子と、電荷共有された光子(及びその他の不用の光子)とをより良好に区別することが可能になり得ることも本発明者らは認識した。例えば、2つのセル内で検出される総エネルギーを検査することでは十分でないということを本発明者らは認識した。その理由は、総エネルギーは、回折測定の対象となるX線光子よりも高いエネルギーの光子により引き起こされる電荷共有の影響を受けやすいことがあるからである。本発明の実施形態はこれに対処しようとするものである。各パルスのエネルギーを個別に検査し、エネルギーの上限ならびに下限を設定することにより、本装置は、(望ましくない)KベータX線放射の光子を除外することができ、これは、電荷共有が起こる場合や、隣接する検出器セルに(望ましい)KアルファX線放射の光子が同時に到着する場合であっても可能である。
個々のパルスエネルギーの検査は、総エネルギーの分析に比べて、雑音に対する堅牢性を改善することができる。その理由は、総測定値(例えば2つのパルスエネルギーの和)を検査する際に、各信号内の雑音を加算的に組み合わせることができるからである。これにより、比較的単純なやり方も利用でき、回路の複雑さが不必要に増大することが避けられる。
検出器は、半導体材料を含む固体検出器であってもよい。
第1及び第2検出器セルは、互いに隣接して配置してもよく、つまり、少なくともこれらの間に他の検出器セルが存在しないように配置してもよい。(各実装例の一部において、検出器セル同士の間に検出器セル以外の電気部品を配置してもよいが、検出器セル同士の間のスペースは極力小さいことが望ましい。)
検出プロセッサは、1つ又は複数の読出し回路とは別の部品として設けられてもよい。1つ又は複数の読出し回路は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)として設けられてもよい。検出プロセッサは、デジタル信号プロセッサ(DSP)等のプログラム可能なプロセッサとして設けられてもよく、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等再構成可能なプロセッサとして設けられてもよい。
電荷共有事象をカウントしないというのは、電荷共有事象が起こったと検出プロセッサが判定したときに、検出プロセッサがパルスのいずれも、到着した光子としてカウントしないということを意味することができる。
第1閾値は、X線源のKアルファ輝線よりも少ない光子エネルギーに対応するように選択されてもよい。第2閾値は、X線源のKアルファ輝線よりも大きい光子エネルギーに対応するように選択されてもよい。選択肢として、X線源のKベータ輝線よりも少ない光子エネルギーに対応するように第2閾値が選択されてもよい。
検出プロセッサ、又は、1つ又は複数の読出し回路、又は、その両方が、第1パルス及び第2パルスの存在を、検出閾値(VD)に基づいて検出するようにさらに構成されていてもよい。この場合、パルスはそのエネルギーが検出閾値を超える場合にのみ検出される。パルスそれぞれのタイミング(及びこれによるパルス間の時間遅延)が、検出閾値を参照することにより判定されてもよい。例えば、2つのパルス間の時間遅延を判定するために、検出プロセッサは、第1パルスが検出閾値と交差した時間と、第2パルスが検出閾値と交差した時間とを比較してもよい。(これに関しては、それぞれのパルスの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジが考慮されてもよい)
目当ての特性X線エネルギー(例えばKアルファ輝線)の、比較的狭いエネルギー「窓」を定めるように第1閾値及び第2閾値を設定するのが望ましいことを本発明者らは発見した。これにより、不用のX線エネルギーを除外することが可能になる。一方、電荷共有を検出し除外するには、検出閾値を比較的低いレベルに(ノイズフロア付近に)設定することが有利であることが分かった。第1閾値及び第2閾値それぞれとは異なる検出閾値を使用することにより、これらの利益を両方とも同時に達成することができる。
パルスのエネルギーは、その振幅を測定することによって判定されてもよい。従って、第1閾値、第2閾値、検出閾値はそれぞれ、実際は振幅閾値として実施されてもよい。
1つ又は複数の読出し信号は、デジタル信号であってもよい。
1つ又は複数の読出し信号は、検出器セルごとに、そのセルにて生成されたパルスが、(i)検出閾値(VD)を上回ったのか、(ii)第1閾値(VL)を上回ったのか、(iii)第2閾値(VH)を上回ったのかを示してもよい。この場合、検出閾値は第1閾値より小さく、第1閾値は第2閾値より小さい。
例えば、読出し信号が、検出器セル当たり2ビットを有してもよく、これで値[0,1,2,3]を符号化する。値0(二進数「00」)は、検出されたパルスがなにも存在しないことを表すことができる。値1(二進数「01」)は、検出閾値を超えるが第1閾値に到達しないパルスを表すことができる。値2(二進数「10」)は、第1閾値を超えるが第2閾値に到達しないパルスを表すことができ、値3(二進数「11」)は、第2閾値を超えるパルスを表すことができる。当然ながら、他の符号化も用いてもよい。
1つ又は複数の読出し回路は、検出器セルのそれぞれの出力信号を周期的にサンプリングし、1つ又は複数の読出し信号を発生させてもよい。
検出器セルごとに、その検出器セルの、連続するサンプリング間の時間周期は、600ns未満、好ましくは400ns未満、最も好ましくは200ns未満であってもよい。複数の光子が同時となることを精密に検出できるようにするには、頻繁なサンプリングが望ましい。
連続するサンプリング間の時間周期は、少なくとも10ns、選択肢として少なくとも20ns、50ns、100ns又は150nsであってもよい。過度に頻繁なサンプリングは、冗長データが大量に収集されるという欠点を有することがある。
検出器は、第3検出器セル及び第4検出器セルを有してもよく、これらの検出器セルは、入ってくるX線光子をそれぞれ、電気パルスに変換するように構成されている。1つ又は複数の読出し回路は、検出器に各々が連結される第1読出し回路及び第2読出し回路を有する。第1読出し回路は、第1検出器セル及び第3検出器セルから電気パルスを受信して検出プロセッサ用の第1読出し信号を発生するように構成されている。第2読出し回路は、第2検出器セル及び第4検出器セルから電気パルスを受信して検出プロセッサ用の第2読出し信号を発生させるように構成されている。
このようにして、検出プロセッサは、異なる読出し回路により読み出されるセル同士の間で起こる電荷共有事象をカウントしないことができる。これは、同時発生検出処理を読出し回路とは別々に実施することの利点である。
検出プロセッサは、第1読出し信号及び第2読出し信号に基づいて、第3検出器セルが発生する第3パルス及び第4検出器セルが発生する第4パルスを分析するように構成されてもよい。この検出プロセッサは、
第3パルスと第4パルスとの間の時間遅延が所定の時間閾値より小さい場合は、電荷共有事象及び光子が同時となる事象のうちの一方が起こったと判定すること、且つ、
第3パルス及び第4パルスのそれぞれのエネルギーが第1閾値(VL)を上回り且つ第2閾値(VH)を下回った場合は、光子が同時となる事象が起こったと判定し、そうでない場合は、電荷共有事象が起こったと判定すること
を含み、
さらに、検出プロセッサは、光子が同時となる事象を、第3検出器セル及び第4検出器セルのそれぞれにX線光子が到着したものとしてカウントし、電荷共有事象をカウントしないように構成されている。
第3パルスと第4パルスとの間の時間遅延が所定の時間閾値より小さい場合は、電荷共有事象及び光子が同時となる事象のうちの一方が起こったと判定すること、且つ、
第3パルス及び第4パルスのそれぞれのエネルギーが第1閾値(VL)を上回り且つ第2閾値(VH)を下回った場合は、光子が同時となる事象が起こったと判定し、そうでない場合は、電荷共有事象が起こったと判定すること
を含み、
さらに、検出プロセッサは、光子が同時となる事象を、第3検出器セル及び第4検出器セルのそれぞれにX線光子が到着したものとしてカウントし、電荷共有事象をカウントしないように構成されている。
第3検出器セルは、検出器において、第4検出器セルに隣接して位置決めされてもよい。第2検出器セルは、検出器において、第1検出器セルと第3検出器セルとの間に位置決めされてもよい。
検出器は、1次元ストリップ検出器であってもよい。
請求項8に記載の、X線回折装置からの信号を処理する方法も開示する。
以下のようなコンピュータプログラムも提供する。コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、1つ又は複数の物理演算装置でプログラムを実行するときに、このコンピュータプログラムコードが、1つ又は複数の物理的演算装置に、或る実施形態による方法のステップを全て実行させるように構成されている。
コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に具現されてもよい。コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。
次に、本発明を、添付の図面を参照し、例示して記載する。
次に、本発明を、添付の図面を参照し、例示して記載する。
これらの図は、図式的なものであり、縮尺通りに描いていないことに留意すべきである。これらの図の一部の相対的寸法及び比率は、図面における明確さ及び利便性のため、大きさを誇張して又は縮小して示している。
本文では、語「サンプル(sample)」が2つの特定の異なる文脈において使用されることに留意すべきである。この語は、一方では、X線回折測定において調査中である物理的な「サンプル」(又は試料)を指す名詞として使用される。他方では、この語は、例えばアナログからデジタルへの変換工程中に実施される、アナログ信号を「サンプリング」するステップを指す動詞として使用される。語の意味は、いずれの場合もその使用の文脈に照らせば明らかになるであろうと確信される。
図1は、或る実施例によるX線回折装置100を図説する。装置はX線源110を備えており、本実施例ではX線源はX線管である。装置は試料台120をさらに備え、試料台は試料ホルダ122を支持し、試料ホルダは試料130を保持する。X線源110は、試料130を照射する入射ビーム112に、X線を放出する。試料130はX線を回折し、回折ビーム114が生成される。回折ビーム114中における試料から回折されるX線を、受光して検出するように構成される検出器140が設けられている。
図2は、検出器140の出力を処理するように構成された装置のブロック図である。検出器140に、第1読出し回路210a及び第2読出し回路210bが連結されている。2つの読出し回路210a、210bは、これらの読出し回路により発生する信号を処理するように構成された検出プロセッサ230と通信する。本実施例においては、検出プロセッサ230は、プログラム可能なマイクロプロセッサとして実装されている。これにより、検出処理については、ソフトウェア又はファームウェア内で少なくとも部分的に規定することが可能になる。これにより、種々の異なる用途や測定用に、処理を再構成可能とすることによって、適応性を増大させることができる。
装置の動作をより詳細に記載する前に、まず、図3を参照して、電荷共有及び同時となる光子の問題を説明することにする。図3は、検出器140上に入射する回折ビーム114の5つのX線光子114a~114eを示している。検出器は、N個の検出器セル1421~142Nを有する。各検出器セル1421~142Nは、それぞれの検出要素1441~144Nを有する。本実施例においては、検出器140はマイクロストリップ検出器であり、検出要素はそれぞれストリップ電極である。各光子114a~114eが到達すると、電荷雲(影付きの灰色の三角形116a~116eにより示す)が発生する。電荷雲は検出要素144により感知され、これにより、入ってきたX線光子が電気パルスに変換される。
第1光子114aについては、変換される電荷116aが全て、単一の検出器セル1422の、単一のストリップにより収集されるため、基本的に問題は無い。発生する電荷は単一の前置増幅器に転送されることになり、対応する信号は唯1つの光子の信号と解釈できる。従って、この信号はその光子のエネルギーを表す(以下を参照、図4を参照)。
第2光子114bの発生する電荷116bは、検出器セル1424と1425との間で共有され、それらのセルのそれぞれのストリップ(即ち検出要素)により感知されることになる。それぞれのストリップにより収集される電荷は、入ってくる光子のエネルギーの一部を表している。このため、単一のチャネルを考慮すると光子のエネルギーを推定することは不可能になり、これにより、エネルギー分解能の低下を引き起こし、低いエネルギーに偏ることになる。同じ現象が第3光子114cの発生する電荷116cに生じる。この電荷は、検出器セル1427と1428との間で共有される。
提起された課題は、X線源110が、銅(Cu)陽極を使用する管である実施例を考慮することにより、説明することができる。この管は、8KeV(Kアルファ)及び8.9KeV(Kベータ)の特性エネルギーを付与する。ストリップ検出器が、良好な固有エネルギー分解能(半値全幅<400eV@8KeV)を有する場合は、(例として)7.6~8.4KeVの間の事象のみを記録することにより、8KeV光子のみを測定することが可能であるはずである。しかし、2つのチャネル間で8.9KeV光子が電荷共有された場合は、一方のチャネルが8KeVの信号と等価の電荷を受信し且つ隣接するチャネルが0.9KeVの信号と等価の電荷を受信することが発生しかねない。これらの両方の事象が同時に起きたと装置が判定できるならば、所望の8KeVエネルギーとは異なるエネルギーをこの光子が有したに違いないと推測可能であり、よってこれを破棄することができる。
一方、上で既に言及したように、入射のタイミングのみを検査して電荷共有を除外することは、特に強度が大きくなると不利になる。2つの8KeV光子が2つの隣接するストリップに同時に到着する可能性は大きくなるが、これらの有効な事象は、上で言及した論理によれば、同時に起こるために破棄されることになる。このことは、カウントレートの線形性が、高カウントレートで大幅に低下することを意味する。以下に記載する実施例は、この現象を軽減することを試みている。図3は、2つの隣接する検出器セル142N-1及び142Nにほぼ同時に到着する、同時となる2つの光子114d及び114eをも示している。これらの光子は、電荷共有事象として(不当に)無視するのではなく、検出しカウントすることが望ましいであろう。
図4は、或る実施例における、各読出し回路210のうちの1つの読出し回路の単一のチャネルの概略図である。本実施例において、読出し回路210は、検出器140に連結されるASICとして実装される。着目している検出器セルiの検出要素144iをダイオードとして描いている。ASIC読出し回路210の、対応するチャネルiは、一定の利得を有する電荷感知前置増幅器212と、成形フィルタ214とを有する。前置増幅器212及び成形フィルタ214は、アナログフロントエンドを作り上げる。成形フィルタ214は時定数を有し、この時定数は、アナログフロントエンドにより出力されるパルスの持続時間に影響を与える。幾つかの実施例においては、選択可能な時定数(又は、異なる時定数を有する選択可能な成形フィルタ)が幾つかあってもよく、この時定数は、必要となるエネルギー分解能と、検出された光子の必要となるカウントレートとに応じて選択することができる。より高いカウントレートに必要となるより短い出力パルスは、通常、電子雑音をより多く含んでおり、このため、エネルギー分解能が悪化する。アナログフロントエンドの後、検出された光子により発生する電圧パルスを3つの比較器216、217、218に通すことにより、この光子のエネルギーが評価される。比較器は、パルス高が閾値レベルを交差したかどうかを検出し、これによって、(光子エネルギーと相関する)パルス振幅をデジタル化する。第1比較器216はパルス振幅と第1閾値VLとを比較し、第2比較器217はパルス振幅と第2閾値VHとを比較し、第3比較器218はパルス振幅と第3閾値、検出閾値VDとを比較する。図5に図説するように、検出閾値VDは第1閾値VLよりも低く、第1閾値VLは第2閾値VHよりも低い。閾値はそれぞれ設定可能であってもよい。これの代わりに、これらの閾値のうちの幾つか又は全てが固定されてもよく、例えばASIC設計に組み込まれてもよい。比較器によりデジタル化された情報は、デジタル部220により、読出し回路210から検出プロセッサ230へ転送される。
図5は、図4の回路を使用して異なるパルス振幅を検出することを図説する。パルス1は、第1閾値VLを超えているが、第2閾値VHを超えていない。これは、対象となるエネルギー範囲(例えばX線源のKアルファ線のエネルギー)である。パルス2は第2閾値VHを超えている。これは、例えば不用であるKベータ線の場合であろう。パルス3は、検出閾値VDを超えており、そのためパルスとして検出される。しかし、第1閾値VLよりも低いエネルギーを有する。本実施例において、パルス1はカウントされるだろうが、パルス2及び3はカウント対象とならない(つまり無視され、カウントされない)だろう。
上述の実施例において、個々の検出器セル142と、2つの読出し回路210a及び210bとの間の厳密な接続を記載しなかったことに留意されたい。この理由は、一般に、装置は、特定の接続配置のいずれにも限定されないからである。2つの読出し回路を使用して、検出器140からデータを読み出す帯域幅を広げることができる。これにより、1つ又は複数の読出し回路210とは別体の検出プロセッサ230において検出処理を実施する利点が強調される。検出プロセッサ230は、検出器セル全てからのデータへのアクセスを有する。その理由は、検出プロセッサがこれらの読出し回路210の両方に接続されているからである。対照的に、個々の読出し回路210a、210bはそれぞれ、検出器セルの一部からなる群からの信号のみを処理する。従って、読出し回路210a、210bはそれぞれ、担当する検出器セル同士の間の電荷共有しか検出することができない。
図6は、隣接する検出器セル同士の間の電荷共有を検出するように検出プロセッサ230が構成された或る実施例を示しており、ここでは、隣接する検出器セルの信号は、異なる複数の読出し回路210により取り扱われる。本実施例においては、第1読出し回路210aに、第1検出器セル3421及び第3検出器セル3423が接続されている。第2読出し回路210bに、第2検出器セル3422及び第4検出器セル3424が接続されている。第2検出器セルは、第1検出器セル及び第3検出器セルに隣接し且つ第1検出器セルと第3検出器セルとの間に位置決めされる。第3検出器セルは、第2検出器セル及び第4検出器セルに隣接し且つ第2検出器セルと第4検出器セルとの間に位置決めされる。
次に、XRD装置100によって行われる方法を、図7のフローチャートを参照して記載する。この実施例の方法は、図6において図説する読出し配置に当てはまるが、より一般的には、任意の読出し配置、例えば図2に包括的に示すものにも当てはまる。
ステップ610において、検出プロセッサ230は、読出し回路210から読出し信号を受信する。本実施例において、読出し回路210a、210bはそれぞれASICとして実装されており、検出プロセッサ230はプログラム可能なマイクロプロセッサとして実装されている。図4を参照して、読出し信号は上述したようにデジタル信号である。特に、読出し回路210はそれぞれ、チャネルごとに2ビットの出力を発生させる。
この2ビットは、4つのレベルを符号化することができるものであり、以下に、パルス振幅に対して別々となる各ケースを示す。
(i)パルスがない場合、つまり、振幅が検出閾値を上回っていない場合
(ii)パルスがあり、その振幅が検出閾値を上回るが第1閾値を下回っている場合
(iii)パルスがあり、その振幅が第1閾値を上回るが第2閾値を下回っている場合、又は、
(iv)パルスがあり、その振幅が第2閾値を上回る場合
この2ビットは、4つのレベルを符号化することができるものであり、以下に、パルス振幅に対して別々となる各ケースを示す。
(i)パルスがない場合、つまり、振幅が検出閾値を上回っていない場合
(ii)パルスがあり、その振幅が検出閾値を上回るが第1閾値を下回っている場合
(iii)パルスがあり、その振幅が第1閾値を上回るが第2閾値を下回っている場合、又は、
(iv)パルスがあり、その振幅が第2閾値を上回る場合
読出し回路当たり、合計で128チャネルある。従って、検出器セルの数は256(128×2)である。読出し回路210はそれぞれ、100MHzのクロックレートにて16ビット出力を提供する。各チャネルは、8個ずつ16のグループにまとめて多重化される。つまり、16ビット出力はそれぞれ、8×2ビットのデジタル値から成る。読出し回路210ごとに、16のグループのチャネルが、16クロックサイクルにわたって出力される。検出プロセッサ230との同期/ハンドシェイク用に、さらなるクロックサイクルが2つ使用され、読出し信号中に出現する、同じ検出器セルからの連続するサンプリングの間に合計18サイクル(180ns)の周期が与えられる。隣接するセルから2つのパルスがほぼ同時に発生したかどうかを判定する精度を確保するには、サンプリングレートが高いことが望ましい。
第1検出セル1427により振幅V1の第1パルスが発生し、第2検出セル1428により振幅V2の第2パルスが発生すると仮定する。
ステップ620において、検出プロセッサ230は、第1パルス及び第2パルスそれぞれの振幅V1及びV2が検出閾値VDより大きいかどうかを評価する。両方の振幅が検出閾値を上回る場合、検出プロセッサ210は第1及び第2パルスの存在を検出する(ステップ630)。考慮すべき2つのパルスがあることが確かになると、検出プロセッサ230は、次に(ステップ640において)、2つのパルス間の時間遅延Δtが所定の時間閾値Tより小さいかどうかを評価する。そうである場合、検出プロセッサは、2つのパルスをほぼ同時に起こったものとして扱う。本実施例においては、各パルスは、読出し信号において互いの640ns以内に検出された場合は、ほぼ同時に起こったものとして扱われる。
電荷共有すると、パルスが2つの検出器セルにおいて同時に発生することになるが、読出し回路210でのデジタル化によって、タイミングの僅かな差異が生じることに留意されたい。上述のように、チャネルの各グループは、180nsの周期にわたって継続的にサンプリングされ読み出される。さらに、閾値振幅と比較することによりパルスが測定されるとき、パルスが閾値と交差する厳密な瞬間は、パルスの振幅に依存するジッタの影響を受ける。その結果、実際には、ほぼ同時のパルスを検出するには、検出プロセッサ230は有限範囲の時間差を考慮する必要がある。
任意の時間閾値Tは、パルス持続時間に関連する。このパルス持続時間は、前置増幅器の後方に統合される成形フィルタの時定数に依存する。本実施例において、装置は、フィルタの選択可能な時定数を4つ有する。時間閾値Tは、電荷共有された光子によって発生する2つのパルス間の最大可能な時間差とほぼ同じ長さとすべきである。さらに、デジタル読出しに起因するジッタを加算すべきである。そのため、高速デジタル読出しが望ましい。成形フィルタの時定数を変更する際には、時間閾値Tをそれに対応して適合されるべきである(電荷共有されたパルス間の最大可能な時間差が成形フィルタの時定数と相関するため)。本実施例では、パルス成形フィルタについて時間閾値T=640ns及び時定数1.1μsで良好な結果が得られた。この定数は、パルスがそのピーク値に到達するまでの立ち上がり時間である(そしてパルスは再び落ち着くまでほぼ同じ時間を必要とする)。実際には、検出閾値VDがゼロレベルではないため、時間閾値Tはこの時定数より小さく設定される。時間閾値Tは、容易に修正することができ、検出閾値のレベルに応じて適宜調整することができる。
完全を期すために、本実施例において、読出し回路210が各パルスを検出するのは、各パルスの立ち上がり(リーディング)エッジではなく、立ち下がり(トレーリング)エッジ上であることに留意されたい。つまり、比較器216~218は、パルスがそれぞれの閾値を上回った後、振幅がそれを再び下回ったときにトリガされる。パルス間の時間遅延は、各パルスの立ち下がりエッジが検出閾値を下回って再び交差する時を基に判定される。
ステップ640において、時間遅延Δtが閾値時間Tより小さいと判定されると、(ステップ650において)検出プロセッサ230は、電荷共有事象又は光子が同時となる事象のいずれかが起こったと判定する。これらの2つの可能性を区別するために、検出プロセッサ230は、第1及び第2閾値に対するパルス振幅を評価する。特に、ステップ660において、検出プロセッサ230は、第1パルスと第2パルスの両方の振幅が第1閾値より大きく且つ第2閾値より小さいかどうかを評価する。そうであると判明した場合、検出プロセッサ230は、光子が同時となる事象が起こったと判定する(ステップ670)。つまり、2つの光子がほぼ同じ瞬間に、隣接する検出器セルに到着した。他方で、ステップ660において、第1及び第2パルスの振幅の両方ともが第1閾値と第2閾値との間にあるわけではないと判定されると、検出プロセッサ230は、電荷共有事象が起こったと判定する(ステップ680)。つまり、少なくとも1つの光子により発生した電荷が、2つの隣接する検出器セルにより回収された。
光子が同時となる事象が起こったと検出プロセッサ230が判定すると、両方のパルスが光子としてカウントされる(ステップ675)。電荷共有事象が起こったと検出プロセッサ230が判定すると、いずれのパルスも光子としてカウントされない(ステップ685)。
第1及び第2閾値は、同時となるX線光子のうち所望のKアルファ特性遷移エネルギーを有するもののみを同時となる光子として受け入れられるように選択されてもよい。これにより、高強度での、カウントレートの線形性の損失を最小にしつつ、電荷共有事象を除外し且つ不用のX線エネルギーを除外することを最大にすることができる。
Δt>Tの場合、パルスがエネルギー窓の内側にあれば(VLより大きく且つVHより小さければ)、パルスが別々の事象により発生するものとして考慮され、パルスはカウントされるということに留意されたい。同時発生の検査は、各パルスを中心に、パルス前の時間Tの間、及び、パルス後の時間Tの間に行われる。本実施例において、検査は、隣接するセル内のみの事象を考慮する。
次に、図6の装置を参照して、本方法の、特定の実施例を記載する。上で検討したように、図6では、第1読出し回路210aは、第1検出器セル3421及び第3検出器セル3423から第1及び第3パルスを読み出し、第1読出し信号を検出プロセッサ230に提供する。第2読出し回路210bは、第2検出器セル3422及び第4検出器セル3424から第2及び第4パルスを読み出し、第2読出し信号を検出プロセッサ230に提供する。検出プロセッサ230は、第1及び第2読出し信号に基づいて、各パルスを分析する。
第1及び第2パルスは、図7を参照して上述したように分析される。第3及び第4パルスは、図8において図説するように分析される。ステップ620’~685’は、第1及び第2パルスではなく第3及び第4パルスが評価されるということを除けば、図7におけるそれぞれのステップ620~685とほぼ同じである。同様の分析を実行して、第2検出器セルからの第2パルスと第3検出器セルからの第3パルスとを比較して評価してもよい。
前述の実施例は、1つ又は複数の読出し回路とは別に提供される検出プロセッサを使用することの利益の一部を示している。これにより、検出プロセッサ230を容易にプログラムすること又は再構成することが可能になる。さらには、これにより、各セルが第1読出し回路210aにより読み出されるのか第2読出し回路210bにより読み出されるのかに関係なく、検出器セルのペアの関連する全ての組で起こり得る電荷共有を検出プロセッサ230が評価することが可能になる。
本開示の範囲から逸脱することなく上述の実施例を変形することが可能である。以下は、可能な変形例の非網羅的な実施例の一部である。
パルスの時間は、その立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによって定められてもよい。上述の実施例においては、信号振幅が少なくとも検出閾値を上回り、その後この閾値を再び下回ったときに、読出し回路がパルスを検出した。言い換えると、各パルスはその立ち下がりエッジで検出された。これの代わりに、パルスをその立ち上がりエッジで検出することができる。
上記の記載は、隣接する検出器セル同士の間の電荷共有の実施例に焦点を当てたものである。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。検出器セルの大きさ及び配置によっては、すぐ隣り合ってはいない検出器セル同士の間で電荷共有が起こり得るということがあり得る。
上の実施例では、2つの読出し回路210a及び210bがあった。しかし、これは必須ではないことが理解されるであろう。他の実施例においては、3つ以上の読出し回路210があってもよく、又は、単一の読出し回路210しかなくてもよい。
上述の実施例において、検出器は1次元ストリップ検出器であった。しかしながら、同じ原則を、2次元固体検出器を使用するXRD測定での電荷共有の検出及び除外に当てはめることができる。
X線源が銅の線源であることは必須ではない。XRDの当業者には、その他の線源が知られているだろう。これらの他の線源に、同様の考慮事項及び分析が当てはまる。
なお、上で言及した実施例は本発明を限定するよりむしろ図説するものであり、当業者は代わりとなる多くの実施例を、添付の請求項の範囲から逸脱することなく設計できる。請求項において、括弧内に記載された任意の参照符号が請求項を限定するものと解してはならない。語「備える、含む(comprising)」は、請求項に記載されたもの以外の要素やステップの存在を除外するものではない。構成要素に先行する「a」又は「an」は、複数のこのような構成要素の存在を除外するものではない。実施例は、幾つかの別個の構成要素を有するハードウェアによって実施されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置クレームにおいては、これらの手段の幾つかは、1つのハードウェアの同じものにより実現されてもよい。複数のある手段が互いに異なる従属請求項に記載されているということだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないということにはならない。さらに言えば、添付の請求項において、「A、B、Cのうちの少なくとも1つ」を含む列記は、(A又はB又はC又はこれらの組み合わせと解釈されるべきである。
さらに、一般に、種々の実施例は、ハードウェア若しくは特殊用途の回路、ソフトウェア、ロジック、又は、これらの任意の組み合わせにおいて実施されてもよい。例えば、幾つかの態様はハードウェアにおいて実施されてもよく、一方で、他の態様が、コントローラ、マイクロプロセッサ又は他の演算素子により実行され得るファームウェア又はソフトウェアにおいて実施されてもよい。ただし、これらは限定的な実施例ではない。本明細書に記載する種々の態様は、ブロック図、フローチャート、又は、他の何らかの図的表現によって図説し記載することができるが、これらのブロック、装置、システム、技術、又は本明細書に記載する方法は、非限定的な実施例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途向け回路若しくはロジック、汎用ハードウェア若しくはコントローラ若しくはその他演算素子、又は、それらの何らかの組み合わせにおいて実施してもよいことがよく理解される。
本明細書に記載する実施例は、検出プロセッサエンティティ等における、本装置のデータプロセッサが実行可能なコンピュータソフトウェアによって実施されるか、又は、ハードウェアによって実施されるか、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実施されるかしてもよい。さらに、これに関連して、図におけるような論理フローのブロックのいずれかが、プログラムステップか、又は、相互接続された論理回路か、ブロック及び機能か、又は、プログラムステップと論理回路とブロックと機能の組み合わせを表してもよいことに留意すべきである。ソフトウェアは物理媒体に保存されてもよく、例として、メモリチップ、プロセッサ内部に実施されたメモリブロック、ハードディスク又はフロッピーディスク等の磁気媒体、CD‐ROM又はDVD等の光学媒体等が挙げられる。
メモリは、ローカルの技術環境にとって適切であれば種類はいずれでもよく、且つ、適切なデータ保存技術であれば、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光学メモリデバイス及びシステム、固定メモリ、リムーバブルメモリ等のいずれを実装してもよい。データプロセッサは、ローカルの技術環境にとって適切であれば種類はいずれでもよい。また、データプロセッサは、非限定的な実施例として、汎用コンピュータ、特殊用途向けコンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、マルチコアプロセッサアーキテクチャを基にしたゲートレベル回路及びプロセッサ、これらのうちの1つ又は複数を備えてもよい。
本明細書において検討するような実施例が、集積回路モジュール等の種々のコンポーネントにおいて実施されてもよい。集積回路の設計は、概して高度に自動化された工程である。論理レベル設計を、半導体基板上にエッチングして形成できるようになっている半導体回路設計に変換するために、複雑で強力なソフトウェアツールが利用可能である。
Claims (12)
- X線回折装置(100)であって、
X線源(110)と、
前記X線源からのX線により照射される対象の試料を受けるための試料台(120)と、
前記試料から回折されるX線を受光するように配置される検出器(140)と、
前記検出器に連結された1つ又は複数の読出し回路(210)と、
前記1つ又は複数の読出し回路により発生する信号を処理して前記検出器に到着する光子の数をカウントするように構成された検出プロセッサ(230)と
を備え、
前記検出器(140)は、第1検出器セル(1427;3421)と、第2検出器セル(1428;3422)とを少なくとも有し、
前記検出器セルはそれぞれ、入ってくる各X線光子をそれぞれ、電気パルスに変換するように構成されており、
前記1つ又は複数の読出し回路(210)は、前記第1検出器セル及び前記第2検出器セルからの前記電気パルスを受信して、前記検出プロセッサ用の1つ又は複数の読出し信号を発生するように構成されており、
前記検出プロセッサ(230)は、前記1つ又は複数の読出し信号に基づいて、前記第1検出器セルが発生する第1パルス及び前記第2検出器セルが発生する第2パルスを分析するように構成されており、
前記検出プロセッサは、
前記第1パルスと前記第2パルスとの間の時間遅延が所定の時間閾値より小さい場合は、電荷共有事象及び光子が同時となる事象のうちの一方が起こったと判定すること(650)、且つ、
前記第1パルス及び前記第2パルスのそれぞれのエネルギーが第1閾値(VL)を上回り且つ第2閾値(VH)を下回った場合は、光子が同時となる事象が起こったと判定し(670)、そうでない場合は、電荷共有事象が起こったと判定すること(680)
を含み、
さらに、前記検出プロセッサは、
前記光子が同時となる事象を、前記第1検出器セル及び前記第2検出器セルのそれぞれにX線光子が到着したものとしてカウントし(675)、
前記電荷共有事象をカウントしない(685)
ように構成されている、
装置。 - 請求項1に記載の装置であって、
前記1つ又は複数の読出し信号は、デジタル信号である、
装置。 - 請求項1又は2に記載の装置であって、
前記1つ又は複数の読出し信号は、検出器セルごとに、そのセルにて生成されたパルスが、
(i)検出閾値(VD)を上回ったのか、
(ii)前記第1閾値(VL)を上回ったのか、
(iii)前記第2閾値(VH)を上回ったのか
を示すものであり、
前記検出閾値は、前記第1閾値より小さく、
前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい、
装置。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の装置であって、
前記1つ又は複数の読出し回路(210)は、前記検出器セル(142)のそれぞれの出力信号を周期的にサンプリングし、前記1つ又は複数の読出し信号を発生させる、
装置。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の装置であって、
前記検出器(140)は、第3検出器セル(3423)と第4検出器セル(3424)とを有し、
前記第3検出器セル(3423)及び前記第4検出器セル(3424)は、入ってくるX線光子をそれぞれ、電気パルスに変換するように構成されており、
前記1つ又は複数の読出し回路は、第1読出し回路(210a)と第2読出し回路(210b)とを有し、
第1読出し回路(210a)及び第2読出し回路(210b)はそれぞれ、前記検出器(140)に連結されており、
前記第1読出し回路(210a)は、前記第1及び第3検出器セル(3421、3423)から電気パルスを受信して前記検出プロセッサ(230)用の第1読出し信号を発生するように構成されており、
前記第2読出し回路は、前記第2及び第4検出器セル(3422、3424)から電気パルスを受信して前記検出プロセッサ(230)用の第2読出し信号を発生するように構成されている、
装置。 - 請求項5に記載の装置であって、
前記第3検出器セル(3423)は、前記検出器において、前記第4検出器セル(3424)に隣接して位置決めされている、
装置。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の装置であって、
前記検出器(140)は、1次元ストリップ検出器である、
装置。 - X線回折装置(100)からの信号を処理する方法であって、
前記装置は、前記試料から回折されるX線を受光するように配置される検出器(140)を備え、
前記検出器は、第1検出器セル(1427;3421)と、第2検出器セル(1428;3422)とを少なくとも有し、
前記検出器セルはそれぞれ、入ってくるX線光子をそれぞれ、電気パルスに変換するように構成されており、
該方法は、
前記第1検出器セルが発生した第1パルスと、前記第2検出器セルが発生した第2パルスとを描く、1つ又は複数の読出し信号を獲得するステップ(610)と、
前記1つ又は複数の読出し信号に基づいて前記第1パルスと前記第2パルスとを分析するステップであって、
前記第1パルスと前記第2パルスとの間の時間遅延が所定の時間閾値より小さい場合は、電荷共有事象及び光子が同時となる事象のうちの一方が起こったと判定するステップ(650)と、
前記第1パルス及び前記第2パルスのそれぞれのエネルギーが第1閾値(VL)を上回り且つ第2閾値(VH)を下回った場合は、光子が同時となる事象が起こったと判定し(670)、そうでない場合は、電荷共有事象が起こったと判定するステップ(680)と
を含むステップと
を含み、
該方法は
前記光子が同時となる事象を、前記第1検出器セル及び前記第2検出器セルのそれぞれにX線光子が到着したものとしてカウントするステップ(675)と、
前記電荷共有事象をカウントしないステップ(685)
をさらに含む、
方法。 - 請求項8に記載の方法であって、
前記1つ又は複数の読出し信号は、デジタル信号である、
方法。 - 請求項8又は9に記載の方法であって、
前記1つ又は複数の読出し信号は、検出器セルごとに、そのセルにて生成されたパルスが、
(i)検出閾値(VD)を上回ったのか、
(ii)前記第1閾値(VL)を上回ったのか、
(iii)前記第2閾値(VH)を上回ったのか
を示すものであり、
前記検出閾値は、前記第1閾値未満であり、
前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい、
方法。 - コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、
1つ又は複数の物理的演算装置で前記プログラムを実行するときに、
前記コンピュータプログラムコードが、前記1つ又は複数の物理的演算装置に、請求項8~10のいずれか1項に記載のステップを全て実行させるように構成されている、
コンピュータプログラム。 - 請求項11に記載のコンピュータプログラムであって、
コンピュータ可読媒体上に具現されたコンピュータプログラム。
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