JP2023538400A - 高シアル化免疫グロブリン - Google Patents
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Abstract
高シアル化ヒト免疫グロブリンG(hsIgG)調製物を調製する方法が本明細書に記載される。
Description
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月21日に出願された米国特許仮出願第63/068,796号の利益を主張するものである。前述仮出願の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、2020年8月21日に出願された米国特許仮出願第63/068,796号の利益を主張するものである。前述仮出願の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
高シアル化ヒト免疫グロブリンG(hypersialylated human immunoglobulin G、hsIgG)調製物を調製する方法が本明細書に記載される。
高シアル化ヒト免疫グロブリンG(hypersialylated human immunoglobulin G、hsIgG)調製物を調製する方法が本明細書に記載される。
Fcドメインのシアル化の重要な役割が同定されたことによって、強力な免疫グロブリン療法を開発する機会が提示された。免疫グロブリンのある市販の供給源は、静脈内免疫グロブリン(intravenous immunoglobulin、IVIg)であり、これは、ヒトドナーのプールされた血漿(例えば、少なくとも1,000人のドナーからのプールされた血漿)から調製され、様々な炎症性障害を治療するために使用される。市販のIVIg調製物は、一般に、存在する抗体のFcドメイン上で低レベルのシアル化を示す。具体的には、これらの調製物は、Fc領域における分岐グリカンの低レベルのジシアリル化を示す。更に、IVIg調製物は、有効性のばらつき、高いコスト、及び供給が限定されるなどの明確な限定を有する。
いくつかの実施形態では、分画された血漿から、高レベルのFcシアル化を有する免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)を調製するための方法が、とりわけ、本明細書に記載される。本明細書に記載の方法は、Fcドメインにおける分岐グリカンの50%超が両方の分岐(すなわち、アルファ1,3分岐及びアルファ1,6分岐)でシアル化されている、高シアル化IgG(hypersialylated IgG、hsIgG)を提供し得る。
HsIgGは、IgG抗体、主にIgG1抗体の多様な混合物を含む。これらの抗体の多様性は高い。本明細書に記載の方法を使用してhsIgGを調製するために使用される免疫グロブリンは、例えば、プールされたヒト血漿(例えば、少なくとも1,000~30,000人のドナーからのプールされた血漿)から得ることができる。免疫グロブリンは、プールされたヒト血漿又は血清、CohnII/III画分、CohnI/II/III画分、寒冷沈降物が除去されている血漿、及びプールされたヒト血清又は血漿のエタノール沈殿物を含む様々な供給源から得ることができる。本方法は、他のタンパク質、例えば、ヒト血清又は血漿中に存在する他のタンパク質を含む組成物中にあるプールされたIgGをシアル化するのに有用である。例えば、本明細書に記載の方法は、少なくとも5%(10%、20%、30%、40%以上)wt/wtのタンパク質がIgGではない組成物中にあるプールされたIgGをシアル化するのに有用である。したがって、本方法は、タンパク質の95%(90%、80%、70%、又は60%)wt/wt未満がIgGである組成物中のプールされたIgGをシアル化するのに有用である。本組成物中に存在する他のタンパク質は、ヒト血漿又は血清中に存在する非IgGタンパク質であり得る。本方法は、例えば、市販のIVIgよりも純度が低い出発材料の効率的な使用を可能にする。
HsIgGは、Fc領域における分岐グリカンにおいてIVIgよりもはるかに高いレベルのシアル酸を有する。これにより、構造及び活性の両方においてIVIgとは異なる組成物が得られる。HsIgGは、国際公開第2014/179601号又はWashburn et al.((Proceedings of the National Academy of Sciences,USA112:E1297-E1306(2015))に記載されているように調製することができ、これらの両方は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。多くの場合、hsIgGは、Fab領域に存在する分岐グリカンの高レベルのジシアリル化を有する。
ガンマグロブリンは、Cohn et al.,J.Clin.Invest.23,417-32(1944)、J.Amer.Chem.Soc.68,459-75(1946)の血漿画分II~IIIに濃縮されていることが知られており、これらは、本出願を通して互換的に「CohnII/III」又は「CohnII、III」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、血漿の分画によって、ガンマグロブリン濃縮物が得られる。いくつかの実施形態では、CohnII/III画分からhsIgG調製物を調製する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、CohnII/IIIからhsIgG調製物を調製する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、CohnII/III可溶性部分(CohnIV/V)からhsIgG調製物を調製する方法が本明細書に記載される。HsIgGはまた、寒冷沈降物が除去されている血漿(寒冷上清、寒冷欠乏血漿、寒冷沈降物枯渇血漿、又は寒冷沈降物低減血漿と呼ばれることもある)を使用して調製され得る。
(a)プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む組成物を提供する工程であって、本組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、IgGではない、工程と、(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β1,4-Galactosyltransferase I、β4GalT)及びウリジン5’-ジホスホガラクトース(uridine 5’-diphosphogalactose、UDP-Gal)を、一緒に又は逐次的に、本組成物に添加して、反応混合物を作製する工程であって、反応混合物が、緩衝液中にある、工程と、(c)反応混合物をインキュベートする工程と、(d)ST6ベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6 beta-galactoside alpha-2,6-sialyltransferase 1、ST6Gal1)及びシチジン-5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(cytidine-5’-monophospho-N-acetylneuraminic acid、CMP-NANA)を、一緒に又は逐次的に、反応混合物に添加する工程と、(e)反応混合物をインキュベートし、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む、高シアル化ヒト免疫グロブリンG(hsIgG)調製物を調製する方法が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、工程(c)は、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は18~22時間実行され、工程(e)は、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は30~32時間実行される。
いくつかの実施形態では、工程(d)は、ST6Gal1及びCMP-NANAを工程(a)の反応混合物に添加する工程を含む。
(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、本組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、緩衝液中でIgGではない、工程と、(b)緩衝液中でβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)、UDP-Gal、ST6Gal1、及びCMP-NANAを含む反応混合物中の本組成物をインキュベートし、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む、高シアル化(hsIgG)を調製する方法も本明細書に記載される。
(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、本組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、IgGではない、工程と、(b)本組成物をβ4GalT及びST6Galと組み合わせて、反応混合物を作製する工程であって、反応混合物が、緩衝液中にあり、UDP-Gal及びCMP-NANAを含有する、工程と、反応混合物をインキュベートし、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む、高シアル化(hsIgG)を調製する方法も本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ0トリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis(2-hydroxyethyl)amino0tris(hydroxymethyl)methane、BIS-TRIS)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(3-(N-morpholino)propanesulfonic acid、MOPS)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid、MES)、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(1,4-Piperazinediethanesulfonic acid、PIPES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-2-aminoethanesulfonic acid、BES)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(3-morpholino-2-hydroxypropanesulfonic acid、MOPSO)、トリエタノールアミン(Triethanolamine、TEA)、ピペラジン-N-N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(Piperazine-N-N’-bis(2-hydroxypropanesulfonic acid、POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinepropanesulfonic acid、EPPS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、IgG抗体の混合物を提供する工程は、(a)少なくとも1000人のヒト対象からのプールされた血漿を提供する工程、及び(b)プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程、を含む。
いくつかの実施形態では、β4GalT及びST6Gal及び同時に又はいずれかの順序で逐次的に添加される。いくつかの実施形態では、追加のCMP-NANAは、CMP-NANAの第1の添加後の時点で反応物に添加される。いくつかの実施形態では、追加のCMP-NANAは、CMP-NANAの第2の添加後の時点で反応物に添加される。いくつかの実施形態では、CMP-NANAの第1の添加と第2の添加とは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14時間の間があいている。いくつかの実施形態では、CMP-NANAの第2の添加と第3の添加とは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18時間の間があいている。
いくつかの実施形態では、β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galは、同時に反応物に添加される。いくつかの実施形態では、β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galは、同時に反応物に添加されない。いくつかの実施形態では、ST6Gal1及びCMP-NANAは、同時に反応物に添加される。いくつかの実施形態では、ST6Gal1及びCMP-NANAは、同時に反応物に添加されない。
いくつかの実施形態では、本方法は、hsIgG調製物を1つ以上の精製工程に供することを更に含む。
いくつかの実施形態では、β4GalTを含む反応混合物をインキュベートする工程は、ヒトIgG上に存在する分岐グリカンのガラクトシル化を可能にする条件下及び時間にわたって実行される。いくつかの実施形態では、ST6Gal1を含む反応混合物をインキュベートする工程は、ヒトIgG上に存在するガラクトシル化分岐グリカンのシアル化を可能にする条件下及び時間にわたって実行される。
いくつかの実施形態では、プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む組成物中のタンパク質の少なくとも60%、70%、80%、又は90%wt/wtは、IgGである。いくつかの実施形態では、プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む組成物中のタンパク質の少なくとも10%、15%、20%、又は30%wt/wtは、IgGではない。
いくつかの実施形態では、プールされたヒトIgGを含む組成物は、プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清、寒冷沈降物枯渇血漿、エタノール沈殿されているプールされたヒト血清若しくは血漿、ヒトCohnII/III血漿画分、又はヒトCohn血漿I/II/III画分からなる群から選択される組成物である。いくつかの実施形態では、プールされたヒトIgGを含む組成物は、ヒトCohnII/III画分又はヒトCohnI/II/III画分である。
いくつかの実施形態では、ヒトCohnII/III血漿画分又はヒトCohnI/II/III血漿画分を提供する工程は、少なくとも100人のドナー、少なくとも500人のドナー、又は少なくとも1000人のドナーからプールされたヒト血清からのタンパク質の冷エタノール沈殿を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCohnII/III血漿画分を提供する工程は、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、脱脂、病原体不活性化、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を更に含む。
いくつかの実施形態では、プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程は、プールされたヒトIgGを含む組成物を緩衝液に交換する工程、又はプールされたヒトIgGを含む組成物を緩衝液に可溶化する工程を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、BIS-TRISである。
いくつかの実施形態では、β4GalT1は、配列番号12又は配列番号13と少なくとも85、90、95、96、97、98、99、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、ST6Gal1が、配列番号14、配列番号15、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21と少なくとも85、90、95、96、97、98、99、若しくは100%同一であるアミノ酸配列、配列番号19のアミノ酸23~320の部分、配列番号19のアミノ酸13~320の部分、配列番号19のアミノ酸11~320の部分、配列番号19のアミノ酸6~320の部分、配列番号19のアミノ酸5~320の部分、又は配列番号19のアミノ酸4~320の部分を含む。
いくつかの実施形態では、反応混合物中の塩濃度は、150mM未満、125mM未満、100mM未満、50mM未満、25mM未満、10mM未満、又は5mM未満である。
いくつかの実施形態では、β4GalTを含む反応混合物をインキュベートする工程は、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は18~22時間実行され、ST6Gal1を含む反応混合物をインキュベートする工程は、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は30~32時間実行される。
いくつかの実施形態では、CohnII/III血漿画分又はCohnI/II/III血漿画分を緩衝液中に提供する工程は、CohnII/III又はCohnI/II/III材料を緩衝液中に可溶化する工程と、未溶解材料を除去する工程と、得られた溶液を緩衝液への緩衝液交換に供する工程とを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、BIS-TRISである。いくつかの実施形態では、本方法は、緩衝液交換の前に、脱脂剤、高純度珪藻岩濾過媒体、又はヒュームドシリカのうちの1つ以上を溶液に添加することを更に含む。いくつかの実施形態では、ケイ酸カルシウム水和物、二酸化ケイ素、及びヒュームドシリカのうちの1つ以上が、緩衝液交換の前に溶液に添加される。いくつかの実施形態では、本方法は、溶液を深層濾過することを更に含む。
いくつかの実施形態では、反応は、pH5.5~8.5で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、10~500mM、pH5.5~8.5のBIS-TRIS中で行われる。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、1~20mMのMnCl2を含む。
いくつかの実施形態では、UDP-Galを含む反応混合物中のUDP-Galの初期濃度は、20~500μmolのUDP-Gal/g IgG抗体である。いくつかの実施形態では、CMP-NANAを含む反応混合物中のCMP-NANAの初期濃度は、100~3000μmolのCMP-NANA/g IgG抗体である。
いくつかの実施形態では、インキュベーションは、20~50℃で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、30~45℃又は35~39℃で行われる。
いくつかの実施形態では、IgG抗体は、少なくとも1000人のドナーから単離されたIgG抗体を含む。
いくつかの実施形態では、IgG抗体の少なくとも50%、55%、60%、65%、又は70%w/wは、IgG1抗体である。
いくつかの実施形態では、hsIgG調製物は、更に処理されて、ST6Gal1及びβ4GalTが除去される。
いくつかの実施形態では、hsIgG調製物中の分岐グリカンの約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。いくつかの実施形態では、hsIgG調製物中の分岐Fcグリカンの約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。いくつかの実施形態では、Fabドメイン上の分岐グリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン上の分岐グリカンの最も少ない50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、β4GalTを含む反応混合物をインキュベートする工程は、12~30時間実行される。いくつかの実施形態では、ST6Gal1を含む反応混合物をインキュベートする工程は、20~40時間実行される。
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の追加の精製工程を更に含み、非IgGタンパク質が、低減又は除去される。いくつかの実施形態では、IgGではないタンパク質は、ヒト血漿又は血清中に存在するタンパク質である。
いくつかの実施形態では、β4GalTは、5、10、20、30、50、又は100mU/mg超のIgGで、β4GalTを含む反応混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、ST6Ga1は、5、10、20、50、100、又は200mU/mg超のIgGで、ST6Gal1を含む反応混合物中に存在する。
いくつかの実施形態では、hsIgG調製物中のIgG抗体における分岐グリカンの50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%超は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、β4GalTを含む反応混合物をインキュベートする工程は、ガラクトシル化IgG抗体を産生するのに十分な期間にわたって進行する。いくつかの実施形態では、ST6Gal1を含む反応混合物をインキュベートする工程は、ジシアリル化IgG抗体を産生するのに十分な期間にわたって進行する。
高シアル化(hsIgG)を調製する方法も本明細書に記載され、本方法は、(a)プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清、寒冷沈降物枯渇プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清若しくは血漿のエタノール沈殿物、プールされたヒト血漿若しくは血清のCohnII/III画分、プールされたヒト血清若しくは血漿のCohnIV/V画分、又はプールされたヒト血清若しくは血漿のCohnI/II/III画分を含む組成物を提供する工程と、(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galを含む反応混合物中の本組成物をインキュベートして、ガラクトシル化IgG抗体を産生する工程と、(c)ガラクトシル化IgG抗体を、ST6Gal1及びCMP-NANAを含む反応混合物中でインキュベートし(ガラクトシル化反応混合物及びシアル化反応混合物は、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)緩衝液を含む)、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む。
高シアル化(hsIgG)を調製する方法も記載され、本方法は、(a)プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清、寒冷沈降物枯渇プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清若しくは血漿のエタノール沈殿物、プールされたヒト血漿若しくは血清のCohnII/III画分、プールされたヒト血清若しくは血漿のCohnIV/V画分、又はプールされたヒト血清若しくは血漿のCohnI/II/III画分を含む組成物を提供する工程と、(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)、UDP-Gal、ST6Gal1、及びCMP-NANAを含む反応混合物中の本組成物を、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)緩衝液中で少なくとも24時間インキュベートし、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む。
高シアル化(hsIgG)を調製する方法が本明細書に記載され、本方法は、(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、本組成物中のタンパク質の少なくとも5%(10%、20%、30%、40%、又は50%)wt/wtが、IgGではない、工程と、(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galを含む反応混合物中の本組成物をインキュベートして、ガラクトシル化IgG抗体を産生する工程と、(c)ガラクトシル化IgG抗体を、ST6Gal1及びCMP-NANAを含む反応混合物中でインキュベートし(ガラクトシル化反応混合物及びシアル化反応混合物は、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)緩衝液を含む)、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む。
高シアル化(hsIgG)を調製する方法も記載され、本方法は、(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、本組成物中のタンパク質の少なくとも5%(10%、20%、30%、40%、又は50%)wt/wtが、IgGではない、工程と、(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)、UDP-Gal、ST6Gal1、及びCMP-NANAを含む反応混合物中の本組成物を、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)緩衝液中で少なくとも24時間インキュベートし、それによってhsIgG調製物を作製する工程と、を含む。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、CohnII/III画分は、プールされた血漿のエタノール沈殿によって得られる凍結乾燥固体であり、これは次いで、BIS-TRISに再懸濁される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、CohnII/III画分は、プールされた血漿のエタノール沈殿によって得られる凍結乾燥固体であり、これは次いで、反応混合物中でIgG抗体の混合物をインキュベートする前に、BIS-TRISに緩衝液交換される。
様々な実施形態では、β4GalT1は、配列番号12又は配列番号13と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99、又は100%同一であり、ST6Gal1は、配列番号14又は配列番号19と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、工程(b)は、少なくとも8、12、18、24、30、又は40時間実行され、工程(c)は、少なくとも8、12、18、24、30、又は40時間実行され、工程(c)は、ST6Gal1及びCMP-NANAを工程(a)の反応混合物に添加する工程を含み、反応は、10~500mMのpH5.5-8.5のBIS-TRIS中で行われ、反応混合物は、1~20mMのMnCl2を含み、反応は、25~75mMのpH6.5~7.3のBIS-TRIS、2.5~7.5mMのMnCl2中で行われ、UDP-Galは、95μmolのUDP-Gal/タンパク質gで存在し、UDP-Galは、40~200μmolのUDP-Gal/タンパク質gで存在し、CMP-NANAは、700μmolのCMP-NANA/タンパク質gで存在し、CMP-NANAは、200~2200μmolのCMP-NANA/タンパク質gで存在し、β4GalTは、23UのB4GalT/タンパク質gで存在し、β4GalTは、10~95UのB4GalT/タンパク質gで存在し、ST6Gal1は、94UのST6/タンパク質gで存在し、ST6Gal1は、20~300UのST6/タンパク質gで存在し、インキュベーションは20~50℃で行われ、インキュベーションは、30~45℃で行われ、IgG抗体は、少なくとも1000人のドナーから単離されたIgG抗体を含み、IgG抗体の少なくとも70%、80%、90%w/wは、IgG1抗体であり、ドナー対象の少なくとも90%は、ウイルスに曝露されたことがあり、hsIgG調製物中の分岐グリカンの約60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有し、hsIgG調製物中の分岐Fcグリカンの約60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有し、Fabドメイン上の分岐グリカンの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有し、Fcドメイン上の分岐グリカンの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有し、工程(b)におけるインキュベーションは、12~30時間であり、工程(c)におけるインキュベーションは、20~40時間である。
タンパク質の97%超がIgGである組成物の場合、UDP-Galは、15~60umol/タンパク質gm(例えば、38umolのUDP-Gal/タンパク質g)で存在し、CMP-NANAは、110~600umol/タンパク質g(例えば、220umol/タンパク質g)、及び4~20UのB4GalT/タンパク質g(例えば、7.5U/タンパク質g)、7.5~45UのST6/タンパク質g(例えば、15U/タンパク質g範囲)で存在する。
いくつかの実施形態では、組成物は、グリカンの少なくとも50%がα1,3分岐及びα1,6分岐の両方でシアル化されているシアル化IgGを含むシアル化IgGを含む。いくつかの実施形態では、Fcグリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方でシアル化されている。いくつかの実施形態では、Fcグリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方でシアル化されており、Fabグリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方でシアル化されている。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリンは、分画血漿、例えば、少なくとも100人、500人、又は1,000人のドナーからプールされたヒト血漿に由来する。特定の実施形態では、免疫グロブリンの50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%超がIgGポリペプチド(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4、又はそれらの混合物)であるが、他の免疫グロブリンサブクラスの量が存在し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかは、1つ以上の追加の精製工程を更に含み得、非IgGタンパク質が、低減又は除去される。
いくつかの実施形態では、本発明は、障害を治療するための方法に関し、本方法は、障害に関連する少なくとも1つの症状を緩和する用量で対象にhsIgGを含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、約4、5、6、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、975、又は1000mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、シアル化hsIgGを含む組成物は、毎日、週1回、週2回、隔週、毎月、半月ごとに、隔月、3日ごとに、4日ごとに、5日ごとに、6日ごとに、7日ごとに、14日に1回、21日に1回、28日に1回、28日間周期で連続2日間につき1日1回、又はFDA認可IVIG用量と同じ投与頻度で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、静脈内、皮下、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、複数回用量で投与される。
いくつかの実施形態では、疾患は、炎症性疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、自己抗体の存在に関連する。
いくつかの実施形態では、疾患は、神経疾患である。いくつかの実施形態では、神経疾患は、皮膚筋炎、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy、CIDP)、多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy、MMN)、重症筋無力症及び全身硬直症候群からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患は、血管炎、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosis、SLE)、粘膜類天疱瘡及びブドウ膜炎からなる群から選択され、皮膚科学において、川崎症候群、皮膚筋炎、中毒性表皮壊死症、及び水疱症を治療するために最も一般的に使用される。
いくつかの実施形態では、疾患は、IVIGによる治療のためにFDAに認可されている。いくつかの実施形態では、用量は、障害に対するFDA認可IVIG用量未満、ほぼ同等である。いくつかの実施形態では、IVIGのFDA認可用量は、200mg/kg、400mg/kg、500mg/kg、600mg/kg、1000mg/kg、又は2000mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、約4、5、6、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、975、又は1000mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、障害に対するFDA認可IVIG用量の一部、例えば、障害に対するFDA認可用量の3/4、1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、又は1/10で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、毎日、週1回、週2回、隔週、毎月、半月ごとに、隔月、3日ごとに、4日ごとに、5日ごとに、6日ごとに、7日ごとに、14日に1回、21日に1回、28日に1回、28日間周期で連続2日間につき1日1回、又はFDA認可IVIG用量と同じ投与頻度で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物は、静脈内、皮下、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、複数回用量で投与される。
いくつかの実施形態では、障害は、心筋炎、急性運動性軸索型神経障害、脂肪過多ドロザ、抗糸球体基底膜腎炎;グッドパスチャ症候群、抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome、APS、APLS)、抗シンセターゼ症候群;筋炎、ILD、失調性神経障害(急性及び慢性)、自己免疫性腸疾患(Autoimmune enteropathy、AIE)、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性網膜症、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性じんま疹、疱疹状皮膚炎、後天性表皮水疱症、本態性混合型クリオグロブリン血症、多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiitis、GPA)、混合性結合組織病(Mixed connective tissue disease、MCTD)、神経性筋強直症、視神経炎、傍腫瘍性小脳変性症、抗N-メチル-D-アスパルテート(Anti-N-Methyl-D-Aspartate、抗NMDA)受容体脳炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、皮膚筋炎、妊娠性類天疱瘡、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、IgG4に関連する疾患、ランバート・イートン筋無力症症候群、ループス腎炎、筋炎、多巣性運動神経障害、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、多発性筋炎、全身性紅斑性狼瘡(Systemic Lupus Erythematosus、SLE)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、障害は、急性散在性脳脊髄炎(Acute disseminated encephalomyelitis、ADEM)、自己免疫性血管浮腫(後天性血管浮腫II型)、自己免疫性肝炎(I型及びII型)、自己免疫性下垂体炎;リンパ性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患(Autoimmune inner ear disease、AIED)、エバンス症候群、グレーブス眼症、橋本脳症、IgA血管炎(IgA vasculitis、IgAV)、潜在性自己免疫性肝炎、線状IgA病(Linear IgA disease、LAD)、ループス血管炎、膜性糸球体腎炎、顕微鏡的多発血管炎(Microscopic polyangiitis、MPA)、モーレン潰瘍、モルヘア、オプソクローヌスミオクローヌス症候群、Ord甲状腺炎、回帰性リウマチ、神経芽腫を伴う傍腫瘍性眼球クローヌス-ミオクローヌス運動失調、連鎖状球菌を伴う小児自己免疫性神経精神障害(Pediatric Autoimmune Neuropsychiatric Disorder Associated with Streptococcus、PANDAS)、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis、PBC)、ラスムッセン脳炎、リウマチ性血管炎、シュニッツラー症候群、シデナム舞踏病、未分化結合組織疾患(Undifferentiated connective tissue disease、UCTD)、ミラーフィッシャ症候群、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、組成物は、Fabドメイン上の分岐グリカンの少なくとも50%が、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結によってα1,3アーム及びα1,6アームの両方でシアル化されており、Fcドメイン上の分岐グリカンの少なくとも50%が、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結によってα1,3アーム及びα1,6アームの両方でシアル化されているhsIgGを含む。
いくつかの実施形態では、発明は、IVIGの有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、CIDPを有する対象においてCIDPを治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は200~2000mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、発明は、IVIGの有効用量有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、免疫性血小板減少症を有する対象において免疫性血小板減少症を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は1000~2000mg/kg mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、発明は、IVIGの有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、wAISHAを有する対象においてwAISHAを治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は1000mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、発明は、IVIGの有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、ギラン・バレー症候群を有する対象においてギラン・バレー症候群を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は、1000~2000mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、本発明は、IVIGの有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、PID(primary humoral immunodeficiency disease、一次体液免疫不全症)を有する対象においてPIDを治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は、200~800mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、発明は、IVIGの有効用量以下でhsIgGを投与することを含む、川崎病を有する対象において川崎病を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IVIGの有効用量は、1000~2000mg/kgである。いくつかの実施形態では、hsIgGは、IVIGの有効用量の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%の用量で投与される。いくつかの実施形態では、hsIgGは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、975、又は1000mg/kgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、hsIgGを含む組成物を投与することは、有効用量のIVIGを含む組成物を投与することと同様の有効性を有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、血漿、例えば、ヒト血漿に由来するポリペプチドを含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、圧倒的多数がIgGポリペプチド(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4、又はそれらの混合物)であるが、微量の他の免疫グロブリンサブクラスを含有する微量のその他のポリペプチドも存在し得る。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチド、例えば、免疫グロブリン可変ドメイン又は免疫グロブリン可変ドメイン配列を提供するアミノ酸配列を指す。例えば、抗体は、重(heavy、H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)及び軽(light、L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)を含み得る。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は、抗体の抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、Fab、F(ab’)2、Fd、Fv、及びdAb断片)、並びに完全な抗体、例えば、タイプIgA、IgG、IgE、IgD、IgM(及びそれらのサブタイプ)のインタクトな免疫グロブリンを包含する。免疫グロブリンの軽鎖は、カッパ又はラムダタイプであり得る。
本明細書で使用される場合、「定常領域」という用語は、抗体の1つ若しくは2つ以上の定常領域免疫グロブリンドメインに対応するか、又はそれに由来するポリペプチドを指す。定常領域は、以下の免疫グロブリンドメインのうちのいずれか又は全てを含み得る:CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン、CH3ドメイン(IgA、IgD、IgG、IgE、又はIgMに由来)、及びCH4ドメイン(IgE又はIgMに由来)。
本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、各「Fcポリペプチド」が、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除くが、抗体の定常領域を含む、2つの「Fcポリペプチド」のダイマーを指す。いくつかの実施形態では、「Fc領域」は、1つ若しくは2つ以上のジスルフィド結合、化学リンカー、又はペプチドリンカーによって結合された2つのFcポリペプチドを含む。「Fcポリペプチド」は、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指し、また、これらのドメインに対してN末端に存在する可撓性ヒンジの一部又は全てを含み得る。IgGの場合、「Fcポリペプチド」は、免疫グロブリンドメインCガンマ2(Cgamma2、Cγ2)及びCガンマ3(Cgamma3、Cγ3)、並びにCガンマ1(Cgamma1、Cγ1)とCγ2との間のヒンジの下部を含む。Fcポリペプチドの境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fcポリペプチドは、通常、T223又はC226又はP230から開始してそのカルボキシル末端までの残基を含むように規定され、この番号付けは、Kabatら(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Services,Springfield,VA)におけるEUインデックスに従う。IgAの場合、Fcポリペプチドでは、免疫グロブリンドメインCアルファ2(Calpha2、Cα2)及びCアルファ3(Calpha3、Cα3)、並びにCアルファ1(Calpha1、Cα1)とCα2との間のヒンジの下部を含む。Fc領域は、合成であり得るか、組換えであり得るか、又はIVIgなどの天然源から生成され得る。
本明細書で使用するとき、「グリカン」は、糖であり、少なくとも3つの糖などの糖残基のモノマー又はポリマーであり得、直鎖状又は分岐状であり得る。「グリカン」は、天然糖残基(例えば、グルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、ヘキソース、アラビノース、リボース、キシロースなど)及び/又は修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース、ホスホマンノース、6’スルホN-アセチルグルコサミンなど)を含み得る。「グリカン」という用語は、糖残基のホモ及びヘテロポリマーを含む。「グリカン」という用語はまた、複合糖質の(例えば、ポリペプチド、糖脂質、プロテオグリカンなどの)グリカン成分も包含する。この用語は、開裂された又はそうでなければ複合糖質から放出されたグリカンを含む遊離グリカンも包含する。
本明細書で使用するとき、「糖タンパク質」という用語は、1つ以上の糖部分(すなわち、グリカン)に共有結合したペプチド骨格を含有するタンパク質を指す。糖部分は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、及び/又は多糖類の形態であり得る。糖部分は、単一の非分岐鎖の糖残基を含み得るか、又は1つ若しくは2つ以上の分岐鎖を含み得る。糖タンパク質は、O-結合糖部分及び/又はN-結合糖部分を含有し得る。いくつかの場合では、本明細書における「糖タンパク質」という用語は、1つ以上の糖部分に共有結合している免疫グロブリンを指す。
本明細書で使用される場合、「IVIg」は、少なくとも1,000人のヒトドナーの血漿から抽出された、4つ全てのIgGサブグループを含むプールされた多価IgGの調製物である。IVIgは、免疫不全患者のための血漿タンパク質置換療法として承認されている。IVIg Fcグリカンシアル化のレベルは、IVIg調製間で変化するが、概して20%未満である。ジシアリル化のレベルは概してはるかに低い。本明細書で使用される場合、「IVIgに由来する」という用語は、IVIgの操作から得られるポリペプチドを指す。例えば、IVIg(例えば、シアル化IgGが富化された)又は修飾IVIg(例えば、酵素的にシアル化されたIVIg IgG)から精製されたポリペプチド。
本明細書で使用される場合、「FcポリペプチドのN-グリコシル化部位」は、グリカンがN-結合されるFcポリペプチド内のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、Fc領域は、Fcポリペプチドのダイマーを含有し、Fc領域は、各Fcポリペプチド上に1つの2つのN-グリコシル化部位を含む。
本明細書で使用される場合、「分岐状グリカンのパーセント(%)」は、存在するグリカンの総モルに対するグリカンXのモル数を指し、Xは、対象とするグリカンを表す。
「医薬的に有効な量」又は「治療上有効な量」という用語は、本明細書に記載される障害又は病態を有する患者の治療に有効な量(例えば、用量)を指す。本明細書では、「医薬的に有効な量」は、単独で又は他の治療薬と組み合わせて一回服用されるか、又は任意の投与量若しくは経路で摂取されるかのいずれかで、所望の治療効果を与える量として解釈され得ることも理解されたい。
「医薬製剤」及び「医薬製品」は、製剤又は製品及び使用説明書を含むキットに含まれ得る。
「医薬製剤」及び「医薬製品」は、概して、最終的な所定レベルのシアル化が達成され、プロセス不純物を含まない組成物を指す。そのため、「医薬製剤」及び「医薬製品」は、ST6Galシアリルトランスフェラーゼ及び/若しくはシアル酸ドナー(例えば、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸)、並びに/又はその副産物(例えば、シチジン5’一モノホスフェート)を実質的に含まない。
「医薬製剤」及び「医薬製品」は、概して、組換えの場合、糖タンパク質が産生された細胞の他の成分(例えば、小胞体又は細胞質タンパク質及びRNA)を実質的に含まない。
「精製される」(又は「単離される」)は、天然環境に存在する他の成分から除去又は分離されるポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。例えば、単離ポリペプチドは、産生された細胞の他の成分(例えば、小胞体又は細胞質タンパク質及びRNA)から分離されたものである。単離されたポリヌクレオチドは、他の核成分(例えば、ヒストン)及び/又は上流若しくは下流核酸から分離されたものである。単離されたポリヌクレオチド又はポリペプチドは、示されるポリヌクレオチド又はポリペプチドの天然環境中に存在する他の成分を60%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%含まなくてもよい。
本明細書で使用される場合、「シアル化」という用語は、末端シアル酸を有するグリカンを指す。「モノシアリル化」という用語は、例えば、α1,3分岐又はα1,6分岐に1つの末端シアル酸を有する分岐グリカンを指す。「ジシアリル化」という用語は、2本のアーム、例えば、α1,3アーム及びα1,6アームの両方に末端シアル酸を有する分岐グリカンを指す。
本出願全体を通して、様々な実施形態が範囲形式にて提示され得る。範囲形式の説明は単に便宜上及び簡潔さのためのものであり、本開示の範囲上の確固とした制限として解釈されるべきではない、と理解すべきである。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示される部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有するとみなされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に単数であることを指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「試料」という用語は、その混合物を含む複数の試料を含む。
「決定すること」、「測定すること」、「評価すること」、「査定すること」、「アッセイすること」、及び「分析すること」の用語は、測定の形態を指すために、本明細書においてしばしば互換的に使用される。これらの用語は、要素が存在するか否かを決定することを含む(例えば、検出)。これらの用語は、定量的、定性的、又は定量的及び定性的決定を含み得る。査定することは、相対的であっても絶対的であってもよい。「の存在を検出すること」は、文脈によって存在するか不在であるかを決定することに加えて、存在する何かの量を決定することを含み得る。
本明細書で使用される場合、「約」数という用語は、その数が、その数にプラス又はマイナス10%されることを指す。「約」範囲という用語は、その範囲が、その最低値に10%マイナスされ、その最大値に10%プラスされることを指す。
特に定義されない限り、本明細書で使用されている全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有している。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載され、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用することもできる。材料、方法、及び実施例は、単に例示的なものであり、限定を意図したものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。不一致である場合、定義を含め本明細書が適用される。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
本開示は、(例えば、NeuAc-α2,6-Gal末端連結で)分岐グリカンのアームの両方においてシアル化された特定のレベルの分岐グリカンを有する、Fc領域を有する免疫グロブリン(例えば、ヒトIgG)を調製する方法を、部分的に包含する。レベルは、個々のFc領域について測定され得る(例えば、Fc領域における分岐グリカンのα1,3アーム、α1,6アーム、若しくは両方でシアル化された分岐グリカンの数)か、又はポリペプチドの調製物の全体組成について測定され得る(例えば、ポリペプチドの調製物におけるFc領域内の分岐グリカンのα1,3アーム、α1,6アーム、若しくは両方でシアル化された分岐グリカンの数若しくは割合)。いくつかの実施形態では、本開示は、hsIgGを使用する治療の方法に関する。
免疫グロブリンは、重鎖の定常領域内の保存位置でグリコシル化される。例えば、IgG抗体は、CH2ドメインのAsn297に単一のN-結合グリコシル化部位を有する。IVIG及びhsIgG中に存在する抗体のタイプであるヒトIgGについて、コアオリゴ糖は、通常、GlcNAc2Man3GlcNAc及びコアフコースからなり、異なる数の外側残基を有する。個々のIgG間の変動は、末端GlcNAcの一方若しくは両方におけるガラクトース及び/又はガラクトース-シアル酸の結合、又は第3のGlcNAcアーム(バイセクトGlcNAc)の結合を介して生じ得る。IVIGの様々な市販の調製物は、CH2ドメインのAsn297において一般的な10%未満シアル化されているか、又は更に5%未満シアル化されている。
高シアル化IgGを調製するために使用され得る天然由来ポリペプチドとしては、例えば、ヒト血清中のIgG(例えば、1,000人を超えるドナーからプールされたヒト血清)、ヒト血清に由来するIgG、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、及びIVIgに由来するポリペプチド(例えば、IVIg(例えば、シアル化IgGが富化された)、又は修飾IVIg(例えば、酵素的にシアル化されたIVIg IgG)から精製されたポリペプチド)が挙げられる。
シアル化のレベルは、個々のFc領域について測定され得る(例えば、Fc領域における分岐グリカンのα1,3アーム、α1,6アーム、若しくは両方でシアル化された分岐グリカンの数)か、又は糖タンパク質の調製物の全体組成について測定され得る(例えば、糖タンパク質の調製物におけるFc領域内の分岐グリカンのα1,3アーム、α1,6アーム、若しくは両方でシアル化された分岐グリカンの数若しくは割合)。
高シアル化IgGは、Fc領域のグリカンの少なくとも40%がジシアリル化されている、すなわち、α1,3アーム(例えば、NeuAc-α2,6-Gal末端連結を有する)上及びα1,6アーム(例えば、NeuAc-α2,6-Gal末端連結を有する)上にシアル酸を有する、免疫グロブリンを含む組成物である。
いくつかの実施形態では、シアル化レベルは、糖タンパク質調製物中の1つ以上のグリカン(例えば、α1,3アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,3アーム及びα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン)の絶対レベル又は範囲(例えば、そのモル数又はパーセント)である。いくつかの実施形態では、所定又は標的レベルは、糖タンパク質調製物中のグリカンの総レベルに対する、糖タンパク質調製物中の1つ以上のグリカン(例えば、α1,3アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,3アーム及びα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン)のレベル又は範囲である。いくつかの実施形態では、所定又は標的レベルは、糖タンパク質調製物中のシアル化グリカンの総レベルに対する、糖タンパク質調製物中の1つ以上のグリカン(例えば、α1,3アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン、並びに/又はα1,3アーム及びα1,6アーム上にシアル酸を有する分岐グリカン)のレベル又は範囲である。いくつかの実施形態では、所定又は標的レベルは、パーセントとして表される。
ST6ベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6又はST6Gal1)(例えば、ヒトST6)は、本明細書に記載の方法で使用される。有用なST6は、そのアミノ酸配列が、α2,6連結を介したグリカンの末端ガラクトースへのシアル酸の移動に関与するタンパク質(例えば、ヒトST6Gal1又はST6)の少なくとも1つの特徴的な配列を含み、かつ/又はそれと少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、又は70%の同一性を示すポリペプチド、例えば、配列番号1及び4~9のいずれかと少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、又は70%同一性であるポリペプチドを含む。多種多様なST6シアリルトランスフェラーゼ配列は、本明細書に記載されるものなど、当該技術分野において既知であり、いくつかの実施形態では、ST6シアリルトランスフェラーゼは、本明細書に記載されるST6シアリルトランスフェラーゼ(その各々は、「参照」ST6シアリルトランスフェラーゼとみなされる)のうちの1つと、少なくとも1つの特徴的配列を共有し、かつ/又は本明細書に記載されるST6シアリルトランスフェラーゼのうちの1つとの特定の程度の全体的な配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるST6シアリルトランスフェラーゼは、本明細書に記載される参照ST6シアリルトランスフェラーゼと少なくとも1つの生物活性を共有する。いくつかのこのような実施形態では、共有生物活性は、グリカンへのシアル酸の移動に関する。いくつかの実施形態では、ST6シアリルトランスフェラーゼは、ヒトシアリルトランスフェラーゼである。
ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(Beta-1,4-galactosyltransferase 1、B4GalT)、例えば、ヒトB4GalTが、本明細書に記載の方法で使用される。有用なB4GalTは、そのアミノ酸配列が、ウリジン5’-ジホスホセガラクトース(UDP-Gal)からGlcNAcへのβ-1,4連結としての移動ガラクトースの移動に関与するタンパク質の少なくとも1つの特徴的な配列を含み、かつ/又はそれと少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、又は70%の同一性を示すポリペプチドであり得る。幅広い様々なベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ配列は、本明細書に記載のものなど、当該技術分野において既知であり、いくつかの実施形態では、ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼは、本明細書に記載のベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(その各々は、「参照」ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼとみなされ得る)のうちの1つの少なくとも1つの特徴的な配列を共有し、かつ/又はそれと特定の程度の全体的な配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼは、本明細書に記載の参照ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼと少なくとも1つの生物活性を共有する。いくつかのこのような実施形態では、共有生物活性は、グリカンへのガラクトースの移動に関する。いくつかの実施形態では、ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼは、ヒトガラクトシルトランスフェラーゼである。
CohnII/III及び/又はCohnI/II/IIIは、hsIgGを調製するためのIgGの供給源として使用され得る。CohnII/III及び/又はCohnI/II/IIIを調製するための様々な方法は、Cohn et al.(J.Amer.Chem.Soc.68,459-75(1946))に記載されている。例えば、Cohn画分Iは、プールされた血漿から沈殿され、低温でエタノールを添加することによって除去される(例えば、-3℃で血漿に対して0.027モル分率で)。上清(Cohn画分II/III/IV/V)のpHは、緩衝液及び塩を添加することによって低減され(例えば、上清のpHは、1.77の酸に対する塩のモル比で酢酸ナトリウム-酢酸緩衝液を添加することによって約6.8に低減される)、エタノール中0.091モル分率で-5℃で沈殿すると、CohnII/IIIが得られる。
CohnII/IIIは、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)及び血漿製品の様々な供給業者から購入することができる。
いくつかの実施形態では、第1の分画/沈殿を実行して、Cohn画分Iを沈殿させ、全ての他の成分を可溶性のままにすることができる。その後の沈殿によって、CohnII/IIIを得ることができる。いくつかの実施形態では、最初の分画によって、CohnI/II/IIIを得ることができる。
酵素
ガラクトシル化酵素
ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT)、例えば、ヒトB4GalT、例えば、ヒトB4Galt1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントの酵素活性部分を含む、ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT)、例えば、ヒトB4GalT、例えば、ヒトB4Galt1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントは、それを含む融合タンパク質及びポリペプチドと共に、本明細書に記載の方法で使用するのに好適である。B4Galt1は、ドナー基質UDP-ガラクトースに対して排他的な特異性を有すると思われるII型膜結合糖タンパク質を各々コードする、7つのβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β4GalT)遺伝子のうちの1つであり、これらは全て、β1,4結合のガラクトースを類似アクセプター糖:GlcNAc、Glc、及びXylに転移する。B4Galt1は、単糖又は糖タンパク質炭水化物鎖の非還元末端のいずれかにあるN-アセチルグルコサミン残基にガラクトースを付加する。B4GalT1は、GGTB2とも呼ばれる。B4GALT1の4つのアイソフォームをコードしている4つの代替転写物(NCBI遺伝子ID2683)を表1に記載する。
ガラクトシル化酵素
ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT)、例えば、ヒトB4GalT、例えば、ヒトB4Galt1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントの酵素活性部分を含む、ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT)、例えば、ヒトB4GalT、例えば、ヒトB4Galt1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントは、それを含む融合タンパク質及びポリペプチドと共に、本明細書に記載の方法で使用するのに好適である。B4Galt1は、ドナー基質UDP-ガラクトースに対して排他的な特異性を有すると思われるII型膜結合糖タンパク質を各々コードする、7つのβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β4GalT)遺伝子のうちの1つであり、これらは全て、β1,4結合のガラクトースを類似アクセプター糖:GlcNAc、Glc、及びXylに転移する。B4Galt1は、単糖又は糖タンパク質炭水化物鎖の非還元末端のいずれかにあるN-アセチルグルコサミン残基にガラクトースを付加する。B4GalT1は、GGTB2とも呼ばれる。B4GALT1の4つのアイソフォームをコードしている4つの代替転写物(NCBI遺伝子ID2683)を表1に記載する。
B4GalT1の可溶性形態は、タンパク質分解処理による膜形態に由来する。切断部位は、B4GALT1アイソフォーム1の77~78位にある(配列番号5)。
いくつかの実施形態では、B4GALT1アイソフォーム1(配列番号5)のアミノ酸113、130、172、243、250、262、310、343、又は355に対応するB4GalT1のアミノ酸のうちの1つ以上は、(配列番号5)と比較して保存されている。
いくつかの実施形態では、酵素は、例えば、B4GalT1の酵素活性部分である。いくつかの実施形態では、酵素は、B4GALT1アイソフォーム1(配列番号5)、又は配列番号5のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。いくつかの実施形態では、酵素は、B4GALT1アイソフォーム2(配列番号6)、又は配列番号6のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。いくつかの実施形態では、酵素は、B4GALT1アイソフォーム3(配列番号7)、又は配列番号7のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。いくつかの実施形態では、酵素は、B4GALT1アイソフォーム4(配列番号8)、又は配列番号8のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。
いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、細胞質ドメイン、例えば、配列番号9を含まない。いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、膜貫通ドメイン、例えば、配列番号10を含まない。いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、細胞質ドメイン、例えば、配列番号9も、膜貫通ドメイン、例えば、配列番号10を含まない。
いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、管腔ドメイン、例えば、配列番号11、又はそのオルソログ、変異体、若しくはバリアントの全部又は一部分を含む。
いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、配列番号5のアミノ酸109~398、又はそのオルソログ、変異体、若しくはバリアントを含む。いくつかの実施形態では、B4GalT1の酵素活性部分は、配列番号5、又は配列番号5のオルソログ、変異体、若しくはバリアントからなる。
B4GalT1の好適な機能的部分は、配列番号12と少なくとも80%(85%、90%、95%、98%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含み得るか、又はそれからなり得る。
また、本明細書に記載の方法で使用するのに好適なのは、配列番号13と少なくとも80%(85%、90%、95%、98%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるアミノ酸配列である。
シアル化酵素
ST6Gal1、例えば、ヒトST6Gal1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントの酵素活性部分を含む、ST6、例えば、ST6Gal1、例えば、ヒトST6Gal1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントは、それを含む融合タンパク質及びポリペプチドと共に、本明細書に記載の方法で使用するのに好適である。アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(Alpha-2,6-sialyltransferase 1、ST6)は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA)からGalにα-2,6連結としてシアル酸を移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。ST6Gal1は、ST6N又はSIAT1とも呼ばれる。ST6GAL1の2つのアイソフォームをコードしている4つの代替転写物(NCBI遺伝子ID6480)を表5に記載する。
ST6Gal1、例えば、ヒトST6Gal1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントの酵素活性部分を含む、ST6、例えば、ST6Gal1、例えば、ヒトST6Gal1、並びにそのオルソログ、変異体、及びバリアントは、それを含む融合タンパク質及びポリペプチドと共に、本明細書に記載の方法で使用するのに好適である。アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(Alpha-2,6-sialyltransferase 1、ST6)は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA)からGalにα-2,6連結としてシアル酸を移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。ST6Gal1は、ST6N又はSIAT1とも呼ばれる。ST6GAL1の2つのアイソフォームをコードしている4つの代替転写物(NCBI遺伝子ID6480)を表5に記載する。
ST6Gal1の可溶性形態は、タンパク質分解処理による膜形態に由来する。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1アイソフォームa(配列番号14)のアミノ酸142、149、161、184、189、212、233、335、353、354、364、365、369、370、376、又は406に対応するST6Gal1のアミノ酸のうちの1つ以上は、配列番号14と比較して保存されている。
また、例えば、ST6Gal1の酵素活性部分も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、酵素は、ST6Gal1アイソフォームa(配列番号14)、又は配列番号14のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。いくつかの実施形態では、酵素は、ST6Gal1アイソフォームb(配列番号15)、又は配列番号15のオルソログ、変異体、若しくはバリアントの酵素活性部分である。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、細胞質ドメイン、例えば、配列番号16を含まない。いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、膜貫通ドメイン、例えば、配列番号17を含まない。いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、細胞質ドメイン、例えば、配列番号16又は、膜貫通ドメイン、例えば、配列番号17を含まない。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、管腔ドメイン、例えば、配列番号18、又はそのオルソログ、変異体、若しくはバリアントの全部又は一部分を含む。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、配列番号14のアミノ酸87~406(配列番号19)、又はそのオルソログ、変異体、若しくはバリアントを含む。いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、配列番号19、又は配列番号19のオルソログ、変異体、若しくはバリアントからなる。
ST6Gal1の好適な機能的部分は、配列番号19と少なくとも70%(80%、85%、90%、95%、98%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含み得るか、又はそれからなり得る。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1は、配列番号19、配列番号19のアミノ酸23~320の部分、配列番号19のアミノ酸13~320の部分、配列番号19のアミノ酸11~320の部分、配列番号19のアミノ酸6~320の部分、配列番号19のアミノ酸5~320の部分、又は配列番号19のアミノ酸4~320の部分を含むか、又はそれらからなる。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、配列番号14のアミノ酸109~406(配列番号20)、又はそのオルソログ、変異体、若しくはバリアントを含む。いくつかの実施形態では、ST6Gal1の酵素活性部分は、配列番号20、又は配列番号20のオルソログ、変異体、若しくはバリアントからなる。
ST6Gal1の好適な機能的部分は、配列番号20と少なくとも70%(80%、85%、90%、95%、98%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含み得るか、又はそれからなり得る。
また、本明細書に記載の方法で使用するのに好適なのは、配列番号21と少なくとも70%(80%、85%、90%、95%、98%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるアミノ酸配列である。
バリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の酵素は、(例えば、本明細書で提供される)例示的な配列のアミノ酸配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%、又は100%同一であり、例えば、例示的な配列の残基の最大1%、2%、5%、10%、15%、又は20%が、例えば本明細書に記載の変異を含むか又はそれに加えて、例えば、保存的変異で置換されている差異を有する。好ましい実施形態では、バリアントは、親の所望の活性、例えば、β-ガラクトシドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ活性又はβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を保持している。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の酵素は、(例えば、本明細書で提供される)例示的な配列のアミノ酸配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%、又は100%同一であり、例えば、例示的な配列の残基の最大1%、2%、5%、10%、15%、又は20%が、例えば本明細書に記載の変異を含むか又はそれに加えて、例えば、保存的変異で置換されている差異を有する。好ましい実施形態では、バリアントは、親の所望の活性、例えば、β-ガラクトシドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ活性又はβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を保持している。
2つの核酸配列の同一性パーセントを求めるために、最適に比較する目的でこれらの配列をアライメントする(例えば、最適にアライメントするために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップが導入され得、また、比較目的のために非相同配列は無視され得る)。比較目的のためにアライメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも80%であり、いくつかの実施形態では、少なくとも90%又は100%である。次いで、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置におけるヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチドによって占められる場合、分子はその位置で同一である(本明細書で使用される場合、核酸の「同一性」は核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列を最適にアライメントするために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、配列が共有している同一の位置の数の関数である。
対象ポリペプチド又は核酸配列(すなわち、クエリ)と第2のポリペプチド又は核酸配列(すなわち、標的)との間の同一性パーセントは、例えば、以下のような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技能の範囲内である様々な方式で求められる:Smith Waterman Alignment(Smith,T.F.and M.S.Waterman(1981)J Mol Biol 147:195-7)、「BestFit」(Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,482-489(1981))as incorporated into GeneMatcher Plus(商標),Schwarz and Dayhof(1979)Atlas of Protein Sequence and Structure,Dayhof,M.O.,Ed,pp353-358、BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool、(Altschul,S.F.,W.Gish,et al.(1990)J Mol Biol 215:403-10)、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTAL、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア。加えて、当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。概して、標的タンパク質又は核酸について、比較の長さは、最長で標的の全長(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%)である任意の長さであってもよい。本開示の目的のために、同一性パーセントは、クエリ配列の全長に対するものである。
本開示の目的のために、2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、及びフレームシフトギャップペナルティ5のBlossum62スコアリングマトリックスを使用して達成することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の配列と100%同一ではない配列を有する酵素は、アミノ酸置換又は欠失によって異なる。置換の場合、差異は、1つ以上のアミノ酸残基の保存的又は非保存的置換であり得る。保存的置換は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸を類似の特徴の別のアミノ酸で置換するものである。典型的な保存的置換は、以下の置換である:アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンなどの脂肪族アミノ酸の、別の脂肪族アミノ酸による置換、セリンのトレオニンによる置換又はその逆、アスパラギン酸及びグルタミン酸などの酸性残基の、別の酸性残基による置換、アスパラギン及びグルタミンなどのアミド基を有する残基の、アミド基を有する別の残基による置換、リジン及びアルギニンなどの塩基性残基の、別の塩基性残基による交換、並びにフェニルアラニン及びチロシンなどの芳香族残基の、別の芳香族残基による置換。保存的置換は、典型的には、以下のグループ内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン、及びフェニルアラニン、チロシン。
いくつかの実施形態では、B4GalT又はST6シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基上に置換基を含む。更に他の有用なポリペプチドは、別の部分(例えば、ペプチド又は分子)と会合(例えば、融合、結合、又はカップリング)している。例えば、B4GalT又はST6シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、アミノ酸配列(例えば、リーダー配列、分泌配列、プロタンパク質配列、第2のポリペプチド、又はポリペプチドの精製、富化、若しくは安定化を容易にする配列)に融合、結合、又はカップリングすることができる。
グリカン
インビボ、N-結合オリゴ糖鎖は、小胞体の内腔内のタンパク質、例えば、免疫グロブリンに添加される。具体的には、初期オリゴ糖(典型的には14糖)を、Asn-X-Ser/Thrの標的コンセンサス配列内に含有されるアスパラギン残基の側鎖上のアミノ基に添加し、式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸であり得る。この初期オリゴ糖の構造は、殆どの真核生物に共通であり、3つのグルコース、9つのマンノース、及び2つのN-アセチルグルコサミン残基を含有する。この初期オリゴ糖鎖は、小胞体中の特定のグリコシダーゼ酵素によりトリミングすることができ、2つのN-アセチルグルコサミン及び3つのマンノース残基からなる短い分岐状コアオリゴ糖を得ることができる。分岐のうちの1つは、図3に示されるように、当該技術分野において「α1,3アーム」と称され、第2の分岐は「α1,6アーム」と称される。
インビボ、N-結合オリゴ糖鎖は、小胞体の内腔内のタンパク質、例えば、免疫グロブリンに添加される。具体的には、初期オリゴ糖(典型的には14糖)を、Asn-X-Ser/Thrの標的コンセンサス配列内に含有されるアスパラギン残基の側鎖上のアミノ基に添加し、式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸であり得る。この初期オリゴ糖の構造は、殆どの真核生物に共通であり、3つのグルコース、9つのマンノース、及び2つのN-アセチルグルコサミン残基を含有する。この初期オリゴ糖鎖は、小胞体中の特定のグリコシダーゼ酵素によりトリミングすることができ、2つのN-アセチルグルコサミン及び3つのマンノース残基からなる短い分岐状コアオリゴ糖を得ることができる。分岐のうちの1つは、図3に示されるように、当該技術分野において「α1,3アーム」と称され、第2の分岐は「α1,6アーム」と称される。
N-グリカンは、「高マンノース型」、「ハイブリッド型」、及び「複合型」と呼ばれる3つの異なる群に細分化することができ、共通の五糖コア(Man(α1,6)-(Man(α1,3))-Man(β1,4)-GlcNAc(β1,4)-GlcNAc(β1,N)-Asn)は全ての3つの群で生じる。
IVIgに存在するより一般的なFcグリカンは、図4に示されるものを含む。
小胞体における初期処理の後、ポリペプチドはゴルジに転移され、更なる処理が行われ得る。グリカンが、コア五糖構造に完全にトリミングされる前にゴルジに移されると、「高マンノースグリカン」が得られる。
追加的に又は代替的に、N-アセチルグルコサミンの1つ以上の単糖単位が、コアマンノースサブユニットに添加されて、「複合グリカン」を形成し得る。ガラクトースをN-アセチルグルコサミンサブユニットに添加してもよく、シアル酸サブユニットをガラクトースサブユニットに添加してもよく、その結果、シアル酸、ガラクトース、又はN-アセチルグルコサミン残基のいずれかが末端となる鎖が得られる。追加的に、フコース残基が、コアオリゴ糖のN-アセチルグルコサミン残基に添加され得る。これらの添加の各々は、特定のグリコシルトランスフェラーゼにより触媒される。
「ハイブリッドグリカン」は、高マンノース及び複合グリカンの両方の特徴を含む。例えば、ハイブリッドグリカンの1つの分岐は、主に又は排他的にマンノース残基を含み得、別の分岐は、N-アセチルグルコサミン、シアル酸、ガラクトース、及び/又はフコース糖を含み得る。
シアル酸は、複素環構造を有する9-炭素単糖のファミリーである。これらは、環に結合したカルボン酸基を介した負電荷、並びにN-アセチル基及びN-グリコリル基を含む他の化学的装飾を有する。哺乳類発現系で産生されるポリペプチドに見出される2つの主なタイプのシアル残基は、N-アセチル-ノイラミン酸(N-acetyl-neuraminic acid、NeuAc)及びN-グリコリルノイラミン酸(N-glycolylneuraminic acid、NeuGc)である。これらは、通常、N-及びO-結合グリカンの両方の非還元末端でガラクトース(galactose、Gal)残基に結合した末端構造として生じる。これらのシアル基についてのグリコシド結合構成は、α2,3又はα2,6のいずれかであり得る。
Fc領域は、保存されたN-結合グリコシル化部位でグリコシル化される。例えば、IgG抗体の各重鎖は、CH2ドメインのAsn297で単一のN-結合グリコシル化部位を有する(Jefferis,Nature Reviews 8:226-234(2009)を参照されたい)。IgA抗体は、CH2及びCH3ドメイン内にN-結合グリコシル化部位を有し、IgE抗体は、CH3ドメイン内にN-結合グリコシル化部位を有し、IgM抗体は、CH1、CH2、CH3、及びCH4ドメイン内にN-結合グリコシル化部位を有する(Arnold et al.,J.Biol.Chem.280:29080-29087(2005)、Mattu et al.,J.Biol.Chem.273:2260-2272(1998)、Nettleton et al.,Int.Arch.Allergy Immunol.107:328-329(1995)を参照されたい)。
各抗体アイソタイプは、定常領域において異なる様々なN-結合炭水化物構造を有する。例えば、IgGは、Fc領域の各FcポリペプチドにおけるCH2ドメインのAsn297に単一のN-結合二分岐炭水化物を有し、これはまた、C1q及びFcγRの結合部位も含有する(Jefferis et al.,Immunol.Rev.163:59-76(1998)、及びWright et al.,Trends Biotech 15:26-32(1997)を参照されたい)。ヒトIgGの場合、コアオリゴ糖は、通常、異なる数の外側残基を有するGlcNAc2Man3GlcNAcからなる。個々のIgG間の変動は、末端GlcNAcの一方若しくは両方におけるガラクトース及び/又はガラクトース-シアル酸の結合、又は第3のGlcNAcアーム(バイセクトGlcNAc)の結合、及び/又はフコースの結合を介して生じ得る。
抗体
本明細書に記載の方法において有用な抗体としては、例えば、免疫グロブリン、例えば、IgG抗体が挙げられる。抗体、例えば、IgG抗体をプールすることができる。例えば、IgG抗体は、プールされた血漿中に存在し得る。いくつかの実施形態では、IgG抗体は、少なくとも1000人のドナーから単離されたIgG抗体を含む。いくつかの実施形態では、IgG抗体の少なくとも50%、55%、60%、65%、又は70%w/wは、IgG1抗体である。いくつかの実施形態では、ドナー対象の少なくとも90%は、ウイルスに曝露されたことがある。
本明細書に記載の方法において有用な抗体としては、例えば、免疫グロブリン、例えば、IgG抗体が挙げられる。抗体、例えば、IgG抗体をプールすることができる。例えば、IgG抗体は、プールされた血漿中に存在し得る。いくつかの実施形態では、IgG抗体は、少なくとも1000人のドナーから単離されたIgG抗体を含む。いくつかの実施形態では、IgG抗体の少なくとも50%、55%、60%、65%、又は70%w/wは、IgG1抗体である。いくつかの実施形態では、ドナー対象の少なくとも90%は、ウイルスに曝露されたことがある。
いくつかの場合では、プールされたIgG抗体は、分画、例えば、冷エタノール分画を使用して産生される(例えば、Cohn-Oncley手順(Cohn et al.,「Preparation and Properties of Serum and Plasma Proteins:IV.A System for the Separation into Fractions of the Protein and Lipoprotein Components of Biological Tissues and Fluids,」J Am Chem Soc 68:459-75(1946)を参照されたい))。例えば、Ofosu et al.,「Plasma-Derived Biological Medicines Used to Promote Haemostasis,」Thromb Haemost 99:851-62(2008)を参照されたく、Cai et al.,「Ensuring the Biological Safety of Plasma-Derived Therapeutic Proteins:Detection,Inactivation,and Removal of Pathogens,」BioDrugs 19(2):79-96(2005)も参照されたい。いくつかの場合では、分画は、凍結血漿を(例えば、約2℃~4℃で)ゆっくり解凍し、遠心分離して、寒冷沈降物を除去した後、例えば、エタノールの濃度、温度、pH、及び/又はイオン強度を操作することによって、上清中に残存するタンパク質の可溶度を変化させることを含む。いくつかの場合では、分画は、遠心分離、濾過(例えば、ナノ濾過)、及び/又は病原体低減処理を更に含む(例えば、Cai et al.を参照されたい)。
いくつかの場合では、プールされたIgG抗体、プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清、寒冷沈降物枯渇血漿、エタノール沈殿されているプールされたヒト血清若しくは血漿、ヒトCohnII/III血漿画分、又はヒトCohn血漿I/II/III画分。いくつかの場合では、プールされたIgG抗体は、ヒトCohnII/III血漿画分、又はヒトCohn血漿I/II/III画分である。
いくつかの場合では、ヒトCohnII/III血漿画分は、(a)寒冷分離工程と、(b)、アルコール沈殿工程と、(c)沈殿物を回収し、それによってヒトCohnI血漿画分を得る工程と、を含むプロセスによって得られる。いくつかの場合では、アルコール沈殿は、エタノール沈殿、例えば、冷エタノール沈殿、例えば、約-3℃~約-5℃のエタノール沈殿である。いくつかの場合では、アルコール沈殿は、8%又は約8%(v/v)アルコール、例えば、8%又は約8%(v/v)エタノールでのアルコール沈殿を含む。いくつかの場合では、アルコール沈殿は、pH7.2又は約pH7.2で実行される。いくつかの場合では、ヒトCohnII/III血漿画分は、(a)ヒトCohnI血漿画分上清を提供する工程と、(b)第2のアルコール沈殿工程と、(c)沈殿物を収集し、それによってヒトCohnII/III血漿画分を得る工程と、を含むプロセスによって得られる。いくつかの場合では、第2のアルコール沈殿は、20%又は約20%(v/v)アルコール、例えば、20%~又は約20%~約25%(v/v)エタノールでのアルコール沈殿を含む。いくつかの場合では、第2のアルコール沈殿は、pH6.9又は約pH6.9で実行される。いくつかの場合では、ヒトCohnI/II/III画分は、ヒトCohnI血漿画分及びヒトCohnII/III血漿画分を組み合わせることによって得られる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、IgG抗体の混合物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、IgG抗体の混合物を提供する工程は、(a)少なくとも1000人のヒト対象からのプールされた血漿を提供する工程、及び(b)プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程、を含む。いくつかの実施形態では、IgG抗体の混合物は、静脈内免疫グロブリンから単離される。いくつかの実施形態では、IgG抗体の混合物は、静脈内免疫グロブリンである。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離することは、沈殿(例えば、カプリル酸沈殿及び/又はポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)沈殿)、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、親水性相互作用クロマトグラフィ、例えば、親水性相互作用液体クロマトグラフィ、及び/又は高速液体クロマトグラフィ、例えば、C18高速液体クロマトグラフィ)、濾過、脱脂、病原体不活性化、例えば、ウイルス不活性化(例えば、洗剤処理及び/又はカプリル酸沈殿)、又はこれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程は、エタノール沈殿及び/又はカプリル酸(オクタン酸とも呼ばれる)沈殿を含む。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程は、PEG-4000及び/又はPEG-6000沈殿を含む。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程は、エタノール沈殿又はカプリル酸沈殿、それに続くPEG-4000及び/又はPEG-6000沈殿、例えば、カプリル酸沈殿、それに続くPEG-4000沈殿を含む。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程は、IgG抗体をイオン交換カラムに結合すること、及びIgG抗体をイオン交換カラムから溶出することを含む。
いくつかの実施形態では、プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程は、脱脂剤、高純度珪藻岩濾過媒体、又はヒュームドシリカのうちの1つ以上をIgG抗体の混合物に添加することを含む。いくつかの実施形態では、脱脂剤、高純度珪藻岩濾過媒体、又はヒュームドシリカは、緩衝液交換の前にIgG抗体の混合物に添加される。
いくつかの場合では、IgG抗体の混合物、例えば、CohnI/II/III画分又はCohnII/III画分を単離することは、非IgGタンパク質の量を低減することを含む。いくつかの場合では、IgG抗体の混合物、例えば、CohnI/II/III画分又はCohnII/III画分を単離することは、非タンパク質成分の量を低減することを含む。いくつかの場合では、IgG抗体の混合物、例えば、CohnI/II/III画分又はCohnII/III画分を単離することは、ウイルス不活性化を含む。
非IgGタンパク質及び/又は非タンパク質成分の量を低減するのに好適な精製技術は、当該技術分野において既知であり、記載されている。例えば、Ofosu et al.,「Plasma-Derived Biological Medicines Used to Promote Haemostasis,」Thromb Haemost 99:851-62(2008)を参照されたい。
好適なウイルス不活性化方法は、当該技術分野において既知であり、記載されている。例えば、Cai et al.,「Ensuring the Biological Safety of Plasma-Derived Therapeutic Proteins:Detection,Inactivation,and Removal of Pathogens,」BioDrugs 19(2):79-96(2005)を参照されたい。
酵素的ガラクトシル化及びシアル化
本明細書に記載の方法に好適な酵素的ガラクトシル化及びシアル化反応は、例えば、国際出願第US2021/033150号に記載されている。
本明細書に記載の方法に好適な酵素的ガラクトシル化及びシアル化反応は、例えば、国際出願第US2021/033150号に記載されている。
本明細書に記載の方法は、ガラクトシル化工程を含むことができる。例示的なガラクトシル化反応は、図5に示される。したがって、本明細書には、抗体、例えば、本明細書に記載の抗体と、ガラクトシル化酵素、例えば、B4GalT又はその酵素活性部分若しくはバリアントの、本明細書に記載のガラクトシル化酵素と、UDP-gal又はその塩と、を含む組成物(ガラクトシル化混合物)を提供すること、及び、例えば、本明細書に記載されるように、抗体をガラクトシル化するのに有効な条件下で組成物をインキュベートし、それによってガラクトシル化抗体を生成すること、によって、抗体、例えば、本明細書に記載される抗体をガラクトシル化する方法が提供される。
本明細書に記載の方法は、シアル化工程を含むことができる。例示的なシアル化反応は、図5に示される。したがって、本明細書には、例えば、本明細書に記載されるようなガラクトシル化抗体と、シアル化酵素、例えば、ST6Gal1又はその酵素活性部分若しくはバリアントの、本明細書に記載のシアル化酵素と、CMP-NANA又はその塩と、を含む組成物(シアル化反応混合物)を提供すること、例えば、本明細書に記載されるように、抗体をシアル化するのに有効な条件下で組成物をインキュベートすること、によって、高シアル化抗体、例えば、本明細書に記載の抗体をシアル化する方法が提供される。
いくつかの実施形態では、ガラクトシル化工程及びシアル化工程は、同じ反応混合物中で逐次実行される、すなわち、ガラクトシル化反応混合物は、シアル化酵素及びCMP-NANA又はその塩を添加するとシアル化反応混合物になる。いくつかの実施形態では、ガラクトシル化反応混合物は、シアル化工程の前に濾過、分画、又は精製されない。いくつかの実施形態では、ガラクトシル化工程及びシアル化工程は別々に実行され、例えば、プレガラクトシル化抗体が提供されるが、それらは、シアル化工程の前に処理(例えば、濾過、分画、又は精製)及び/又は保管されていてもよい。
したがって、本明細書に記載の方法はまた、逐次的なガラクトシル化及びシアル化工程も含むことができる。例示的なガラクトシル化及びシアル化反応は、図5に示される。したがって、本明細書には、a)抗体、例えば、本明細書に記載の抗体と、ガラクトシル化酵素、例えば、B4GalT又はその酵素活性部分若しくはバリアントの、本明細書に記載のガラクトシル化酵素と、UDP-gal又はその塩と、を含む組成物を提供する工程、b)例えば、本明細書に記載されるように、抗体をガラクトシル化するのに有効な条件下で組成物をインキュベートする工程、c)シアル化酵素、例えば、本明細書に記載のシアル化酵素、例えば、ST6Gal1又はその酵素活性部分若しくはバリアント及びCMP-NANA又はその塩をガラクトシル化反応混合物に添加し、それによって、シアル化反応混合物を生成する工程、及びd)例えば、本明細書に記載されるように、ガラクトシル化抗体をシアル化するのに有効な条件下で組成物をインキュベートする工程、によって、抗体、例えば、本明細書に記載の抗体をガラクトシル化及びシアル化する、例えば、高シアル化する方法が提供される。
本明細書にはまた、抗体、例えば、本明細書に記載の抗体と、ガラクトシル化酵素、例えば、B4GalT又はその酵素活性部分若しくはバリアントの、本明細書に記載のガラクトシル化酵素と、UDP-gal又はその塩と、シアル化酵素、例えば、ST6Gal1又はその酵素活性部分若しくはバリアントの、本明細書に記載のシアル化酵素と、CMP-NANA又はその塩と、を含む組成物を提供すること、及びd)例えば、本明細書に記載されるように、抗体をガラクトシル化及びシアル化するのに有効な条件下で組成物をインキュベートすること、によって、抗体、例えば、本明細書に記載の抗体をガラクトシル化及びシアル化する、例えば、高シアル化する方法が提供される。
いくつかの実施形態では、ガラクトシル化反応混合物及び/又はシアル化反応混合物は、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、ガラクトシル化反応混合物及び/又はシアル化反応混合物は、MnCl2を含む。
いくつかの実施形態では、反応混合物のうちの1つ以上の1つ以上の成分は、インキュベーション中に補充される。すなわち、反応混合物は、反応の開始時の成分量(反応の経過中に変化し得る)を含んでもよいが、反応中に追加量の成分が補充されてもよい。
いくつかの実施形態で、B4GalTは、配列番号12又は配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、ST6Gal1は、配列番号19又は配列番号21と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体上の分岐グリカンの少なくとも又は約60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体上の分岐Fcグリカンの約又は少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
更に、いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体のFabドメイン上の分岐グリカンの約又は少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体上の分岐Fcグリカンの約又は少なくとも80%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体のFabドメイン上の分岐グリカンの約又は少なくとも60%、65%、70%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体上の分岐Fcグリカンの約又は少なくとも85%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体のFabドメイン上の分岐グリカンの約又は少なくとも60%、65%、70%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体上の分岐Fcグリカンの約又は少なくとも90%は、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する。
いくつかの実施形態では、例えば、hsIgGなどのシアル化抗体のFabドメイン上の分岐グリカンの約又は少なくとも60%、65%、70%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
いくつかの場合では、hsIgGは、例えば、国際出願第US2021/033156号に記載されているように精製され得る。
例示的なガラクトシル化及びシアル化反応を以下の表に示す。
緩衝液
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するのに好適な緩衝液としては、表9に示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、緩衝液は、10~500mM、例えば、10~100mM、例えば、約50mMで本組成物又は反応混合物中に存在する。いくつかの場合では、緩衝液は、5.5~8.5、例えば、6.5~7.5、例えば、約7.0のpHを有する。
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するのに好適な緩衝液としては、表9に示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、緩衝液は、10~500mM、例えば、10~100mM、例えば、約50mMで本組成物又は反応混合物中に存在する。いくつかの場合では、緩衝液は、5.5~8.5、例えば、6.5~7.5、例えば、約7.0のpHを有する。
グリカンの評価
上記のように、免疫グロブリン、例えば、IgG抗体は、ガラクトシル化工程に続いてシアル化工程を実行することによってインビボでシアル化され得る。ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(B4GalT)は、ウリジン5’-ジホスホセガラクトース(UDP-Gal)からGlcNAcにβ-1,4連結としてガラクトースを移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6又はST6Galとも称される)は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA)からGalにα-2,6連結としてシアル酸を移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。概略的には、反応は、図5に示されるように進行する。
上記のように、免疫グロブリン、例えば、IgG抗体は、ガラクトシル化工程に続いてシアル化工程を実行することによってインビボでシアル化され得る。ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(B4GalT)は、ウリジン5’-ジホスホセガラクトース(UDP-Gal)からGlcNAcにβ-1,4連結としてガラクトースを移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6又はST6Galとも称される)は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA)からGalにα-2,6連結としてシアル酸を移動させるII型ゴルジ膜結合糖タンパク質である。概略的には、反応は、図5に示されるように進行する。
ポリペプチドのグリカンは、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて評価することができる。例えば、グリカン組成物のシアル化(例えば、α1,3分岐及び/又はα1,6分岐においてシアル化された分岐グリカンのレベル)は、国際公開第2014/179601号に記載の方法を使用して特徴付けることができる。
本明細書に記載の方法によって調製されるhsIgG組成物のいくつかの実施形態では、Fcドメインにおける分岐グリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。加えて、いくつかの実施形態では、Fabドメインにおける分岐グリカンの少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%は、NeuAc-α2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。全体として、いくつかの実施形態では、分岐グリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%は、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する。
糖タンパク質のグリカンは、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して評価することができる。例えば、グリカン組成物のシアル化(例えば、α1,3アーム及び/又はα1,6アーム上でシアル化されている分岐グリカンのレベル)は、例えば、Barb,Biochemistry 48:9705-9707(2009)、Anumula,J.Immunol.Methods 382:167-176(2012)、Gilar et al.,Analytical Biochem.417:80-88(2011)、Wuhrer et al.,J.Chromatogr.B.849:115-128(2007)に記載されている方法を使用して特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、グリカンのシアル化の評価に加えて、表9に記載の1つ以上のパラメータが評価される。
いくつかの例では、本明細書に記載のグリカン構造及び組成物は、例えば、1つ以上の、酵素、クロマトグラフィ、質量分析(mass spectrometry、MS)、MSが続くクロマトグラフィ、電気泳動法、MSが続く電気泳動法、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)法、及びこれらの組み合わせによって分析される。例示的な酵素方法には、1つ以上のグリカン(例えば、1つ以上の露出グリカン)を放出するのに十分な条件下及び時間で糖タンパク質製剤を1つ以上の酵素と接触させることが含まれる。いくつかの例では、1つ以上の酵素には、PNGase Fが含まれる。例示的なクロマトグラフィ方法としては、パルスドアンペロメトリ検出を使用する強陰イオン交換クロマトグラフィ(Strong Anion Exchange chromatography using Pulsed Amperometric Detection、SAX-PAD)、液体クロマトグラフィ(liquid chromatography、LC)、高性能液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography、HPLC)、超高性能液体クロマトグラフィ(ultra performance liquid chromatography、UPLC)、薄層クロマトグラフィ(thin layer chromatography、TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な質量分析法(MS)としては、タンデムMS、LC-MS、LC-MS/MS、マトリックス支援型レーザ脱着イオン化質量分析法(matrix assisted laser desorption ionization mass spectrometry、MALDI-MS)、フーリエ変換質量分析法(Fourier transform mass spectrometry、FTMS)、質量分析によるイオンモビリティ分離(ion mobility separation with mass spectrometry、IMS-MS)、電子移動解離(electron transfer dissociation、ETD-MS)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な電気泳動法としては、キャピラリ電気泳動(capillary electrophoresis、CE)、CE-MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、特定のグリカン構造を認識する抗体を使用するウエスタンブロッティングが続くSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-polyacrylamide gel electrophoresis、SDS-PAGE)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な核磁気共鳴(NMR)としては、一次元NMR(one-dimensional NMR、1D-NMR)、二次元NMR(two-dimensional NMR、2D-NMR)、相関分光磁気角度スピニングNMR(correlation spectroscopy magnetic-angle spinning NMR、COSY-NMR)、全相関分光NMR(total correlated spectroscopy NMR、TOCSY-NMR)、異核種単一量子コヒーレンスNMR(heteronuclear single-quantum coherence NMR、HSQC-NMR)、異核間多量子コヒーレンス(heteronuclear multiple quantum coherence、HMQC-NMR)、回転核オーバーハウザ効果分光NMR(rotational nuclear Overhauser effect spectroscopy NMR、ROESY-NMR)、核オーバーハウザ効果分光法(nuclear Overhauser effect spectroscopy、NOESY-NMR)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの例では、本明細書に記載される技術は、グリカン又は糖タンパク質の検出、分析、及び/又は単離のための1つ以上の他の技術と組み合わされてもよい。例えば、特定の例では、グリカンは、1つ以上の利用可能な方法を使用して、本開示に従って分析される(ただし、いくつかの例では、Anumula,Anal.Biochem.,350(1):1,2006、Klein et al.,Anal.Biochem.,179:162,1989、及び/又はTownsend,R.R.Carbohydrate Analysis「High Performance Liquid Chromatography and Capillary Electrophoresis.,Ed.Z.El Rassi,pp181-209,1995、国際公開第2008/128216号、国際公開第2008/128220号、国際公開第2008/128218号、国際公開第2008/130926号、国際公開第2008/128225号、国際公開第2008/130924号、国際公開第2008/128221号、国際公開第2008/128228号、国際公開第2008/128227号、国際公開第2008/128230号、国際公開第2008/128219号、国際公開第2008/128222号、国際公開第2010/071817号、国際公開第2010/071824号、国際公開第2010/085251号、国際公開第2011/069056号、及び国際公開第2011/127322号を参照されたい)。例えば、いくつかの例では、グリカンは、クロマトグラフィ方法、電気泳動法、核磁気共鳴法、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を使用して特徴付けられる。いくつかの例では、例えば、糖タンパク質製剤における1つ以上の標的タンパク質特異的パラメータを、例えば、本明細書に開示されるパラメータのうちの1つ以上を評価するための方法は、以下の方法のうちの1つ以上によって実行され得る。
いくつかの例では、例えば、糖タンパク質製剤における1つ以上の標的タンパク質特異的パラメータを、例えば、本明細書に開示されるパラメータのうちの1つ以上を評価するための方法は、以下の方法のうちの1つ以上によって実行され得る。
上記の文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるか、又は代替的に、それらが本明細書に記載されるパラメータを決定するための方法のうちの1つ以上に関連する程度まで組み込まれる。
薬学的組成物及び投与
高シアル化IgGは、薬学的組成物に組み込むことができる。例えば、薬学的組成物は、hsIgGを、無菌水及び生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味賦形剤、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤などの薬学的に許容されるビヒクル又は媒体と好適に組み合わせ、続いて概して許容される薬学的慣行に必要な単位用量形態で混合することによって製剤化され得る。医薬製剤に含まれる有効成分の量は、指定範囲内の好適な用量が提供されるようなものである。
高シアル化IgGは、薬学的組成物に組み込むことができる。例えば、薬学的組成物は、hsIgGを、無菌水及び生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味賦形剤、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤などの薬学的に許容されるビヒクル又は媒体と好適に組み合わせ、続いて概して許容される薬学的慣行に必要な単位用量形態で混合することによって製剤化され得る。医薬製剤に含まれる有効成分の量は、指定範囲内の好適な用量が提供されるようなものである。
hsIgGは、静脈内投与用に製剤化され得る。
注射用無菌組成物は、ビヒクルとしての注射のために蒸留水を使用して、従来の薬学的慣行に従って製剤化することができる。例えば、グルコース並びに、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムなどの他のサプリメントを含有する生理食塩水又は等張溶液を、注射のための水溶液として、任意選択的に、好適な可溶化剤、例えば、エタノールなどのアルコール、及びプロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのポリアルコール、及びポリソルベート80(商標)、HCO-50などの非イオン性界面活性剤と組み合わせて、使用してもよい。
油性液体の非限定的な例としては、ゴマ油及び大豆油が挙げられ、可溶化剤としての安息香酸ベンジル又はベンジルアルコールと組み合わされ得る。含まれ得る他のアイテムは、リン酸緩衝液、又は酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、プロカイン塩酸塩などの無痛化薬、ベンジルアルコール又はフェノールなどの安定剤、及び酸化防止剤である。製剤化された注射剤は、好適なアンプルにパッケージされ得る。
好適な投与手段は、患者の年齢及び状態に基づいて選択され得る。本明細書に記載の方法によって調製されるhsIgGの好適な用量は、市販のIVIg調製物の好適な用量又は認可用量とほぼ同じか又はそれ未満(例えば、20%、35%、40%、50%、60%、70%、又は80%少ない)であり得る。用量及び投与方法は、患者の体重、年齢、状態などに応じて変化し、当業者が必要に応じて適宜選択することができる。
本発明を以下の実施例に更に記載するが、これは、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:CohnII/III画分からのIgGの高シアル化
全分岐グリカンの50%超がジシアリル化されているIgGは、以下のように調製することができる。
全分岐グリカンの50%超がジシアリル化されているIgGは、以下のように調製することができる。
簡単に述べると、IgG抗体(例えば、CohnII/III又はCohnI/II/IIIから)の混合物を、β1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ1(B4GalT)及びα2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6Gal1)酵素を使用する酵素反応に曝露する。ST6Gal1を添加する前に反応からB4GalTを除去する必要はなく、酵素反応間に生成物を部分的又は完全に精製する必要もない。したがって、反応は、逐次的であっても同時であってもよい。
ガラクトシルトランスフェラーゼ酵素は、既存のアスパラギン結合グリカンに選択的にガラクトース残基を付加する。得られるガラクトシル化グリカンは、シアル酸残基を選択的に付加して、タンパク質に結合するアスパラギン結合グリカン構造をキャップする、シアル酸トランスフェラーゼ酵素に対する基質として機能する。したがって、ジシアリル化のために、シアル化反応全体では、2つの糖ヌクレオチド(ウリジン5’-ジホスホガラクトース(UDP-Gal)及びシチジン-5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA))を用いた。後者を定期的に補充して、モノシアリル化生成物に対してジシアリル化生成物を増加させることができる。反応物は、共因子塩化マンガン(II)を含む。
IVIgから開始するこのような反応及び反応生成物のIgG-Fcグリカンプロファイルの代表的な例を図6に示す。左図は、IgGをhsIgGに転換するための酵素的シアル化反応の概略図であり、右図は、出発IVIg及びhsIgGのIgG Fcグリカンプロファイルである。この試験では、グリコペプチド質量分光分析を介して、異なるIgGサブクラスのグリカンプロファイルが得られる。異なるIgGサブクラスについてのグリコペプチドを定量化するために使用したペプチド配列は、IgG1=EEQYNSTYR(配列番号1)、IgG2/3=EEQFNSTFR(配列番号2、IgG3/4=EEQYNSTFR(配列番号3)、及びEEQFNSTYR(配列番号4)であった。
グリカンデータは、IgGサブクラスごとに示される。IgG3及びIgG4サブクラスからのグリカンは、別々に定量化することができない。示されるように、IVIgについて、全ての非シアル化グリカンの合計は80%超であり、全てのシアル化グリカンの合計は<20%である(上のグラフ)。反応生成物について、全ての非シアル化グリカンの合計は<20%であり、全てのシアル化グリカンの合計は80%超である(下のグラフ)。グリコプロファイルに列挙されている異なるグリカンの命名法は、N結合型グリカンのOxford表記を使用する。
以下の実施例のための出発材料は、Sigma Aldrichから供給されるCohnII、IIIの凍結乾燥固体(G2388;78重量%のタンパク質、主にγ-グロブリン及びβ-グロブリン)であった。材料の一部分は、選択した反応緩衝液(BIS-TRIS)にも、選択した濃度(>100mg/mL)でも完全に可溶性ではなかった。不溶性材料は、概して、おそらくリポタンパク質の存在に起因して、固体沈殿物ではなくゲル様であった。
CohnII/III材料の5つの異なる調製物を作成し(調製物A~E)、hsIgGを調製するために使用した。濃度を、IgGの吸光係数(1.37)を使用してA280によって推定した。IgG濃度をA280での吸収によって評価したが、このシグナルは、非IgGタンパク質、並びに非タンパク質材料の存在を反映している可能性が高いことに留意すべきである。したがって、実際のIgG濃度は、示されたものよりも低い可能性がある。
調製物A:Cohn画分II、IIIを50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に溶解して、109mg/mLの測定(A280)濃度とした。未溶解材料を沈降させた。
調製物B:Cohn画分II、IIIを50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に溶解して、97mg/mLの測定(A280)濃度とした。未溶解材料を沈降させた。
調製物C:Cohn画分II、III(640mg)を30mLの50mM、pH6.9のBIS-TRIS緩衝液(21.3mg/ml)に溶解し、無菌濾過(0.2μm)して、未溶解材料を除去し、次いで次いでG25脱塩カラムを使用して50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に緩衝液交換した。得られた材料を静置し、沈降した固体から液体をデカントし、10kDaのMWCO Vivaspin Turbo15装置を使用して液体を50.6mg/mLに濃縮した。
調製物D:Cohn画分II、IIIを50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に溶解し、10kDaのG2透析カセットを使用して50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に緩衝液交換した。未溶解材料を沈降させ、上清をデカントして除いた。上清中の濃度は、37mg/mLであった。
調製物E:Cohn画分II、III材料(622mg)を9mLの50mM、pH6.9のBIS-TRIS緩衝液(691mg/ml)に溶解し、10kDaのG2透析カセットを使用して54時間かけて、50mMのpH6.9のBIS-TRIS緩衝液に緩衝液交換し、透析緩衝液を1回交換した。材料を遠心分離して、未溶解材料を沈降させ、上清をデカントして除いた。上清中の濃度は、38mg/mLであった。
pH6.9のBIS-TRIS緩衝液中のヒトB4GalT酵素、UDP-Gal糖ヌクレオチドドナー、及び塩化マンガン(II)(MnCl2)を使用するガラクトシル化を、最初に37℃で18~22時間行った。これに続いて、配列番号14のアミノ酸109~406(配列番号20)を含むヒトST6シアリルトランスフェラーゼの欠失変異体及びCMP-NANA糖ドナーの総量の半分を添加してシアル化を行った。CMP-NANAの第2の半分を、シアル化開始の約9時間後に添加した。総シアル化時間は、30~32時間であった。反応スケールは、20mgのタンパク質であった。試薬の量を反応全体にわたって変化させた。
Fcガラクトシル化及びシアル化の程度を、以下のようにグリコペプチド分析によって決定した。50μgの試料を変性させ、還元し、アルキル化した。得られた材料をトリプシン消化及びLCMSによる分析に供した。Fcグリコペプチド上の以下のグリカンを定量化した。
総シアル化を、完全にガラクトシル化及びシアル化されたグリカン(A2、A2F、及びA2F+バイセクト_GlcNAc)についてのLCMSピーク面積の合計として定義した(図7)。
表11の条件を使用して、BIS-TRIS緩衝液に直接溶解したCohnII/III画分材料に対して、第1のセットの反応を行った。図8、図10、及び図11は、各反応についてジシアリル化されている分岐グリカンの割合を示す。
表12の条件を使用して、BIS-TRIS緩衝液に交換したCohnII/III画分材料緩衝液上で、第2のセットの反応を行った。図9、図12、及び図13は、各反応についてジシアリル化されている分岐グリカンの割合を示す。
出発材料は、完全にシアル化されたと定義される種(A2F、A2、A2F+バイセクトGlcNAc)を本質的に有しなかった。しかしながら、いくつかの反応条件下では、90%超の完全なシアル化(分岐グリカンの両方のアーム上でのシアル化)を達成することができた。BIS-TRISに直接溶解した材料で行った反応は、直接溶解した材料を使用した反応をより高いタンパク質濃度で実施した場合であっても、緩衝液交換した材料を使用した場合よりも著しくより低いレベルの完全シアル化IgGを達成した。これは、出発材料中の塩化ナトリウムがシアル化反応に悪影響を有するためであり得る。興味深いことに、NaClは、非IgGタンパク質のシアル化に著しい影響を与えないようであった。
実施例2:CohnII/III沈殿物は約65%IgGである
Sigma-Aldrichから供給されたCohn画分II/IIIを、10kDaのMWCOフィルターを通してBIS-TRISに透析し、かつ/又は脱塩カラム(G25)を使用してBIS-TRISに更に緩衝液交換した。
Sigma-Aldrichから供給されたCohn画分II/IIIを、10kDaのMWCOフィルターを通してBIS-TRISに透析し、かつ/又は脱塩カラム(G25)を使用してBIS-TRISに更に緩衝液交換した。
LC-MSを使用して、出発材料中、市販のIVIG調製物であるPrivigen(登録商標)の出発材料における、並びに透析後のCohnII/IIIの可溶性画分及び不溶性画分の両方におけるタンパク質の相対量を、分子量補正正規化ペプチドスペクトルマッチ(normalized peptide spectral match、nPSM)に基づいて定量化した。
図1は、CohnII/III及びPrivigen(登録商標)におけるタンパク質分布を示し、図2は、CohnII/III及びPrivigen(登録商標)における非IgGタンパク質分布を示す。
正規化ペプチドスペクトルマッチに基づいて、CohnII/IIIは、約65%IgG及び35%非IgGであり、これは、報告された値と一致する。Privigen(登録商標)は、99%超IgGであった。したがって、hsIgGを調製するために実施例1で使用された材料は、タンパク質のかなりの部分がIgG以外であったことが理解され得る。
図10~図13は、BIS-TRISに直接溶解されたAldrich CohnII、III材料に対する表11(図10、図11)及び12(図12、図13)に示されるシアル化反応においてジシアリル化されているIgG2/3(図10、図12)及びIgG3/4(図11、図13)分岐グリカンの画分を示す。グリカンを、IgGのトリプシン消化からのグリコペプチドのLCMS分析によって定量化した。ジシアリル化は、A2F、A2F+バイセクト、A2の合計として定義される。
実施例3:脱脂
沈殿工程を使用しないが、BIS-TRISへの緩衝液交換の前に脱脂を使用するCohnII/IIIペーストの処理を、以下のように実行した。
沈殿工程を使用しないが、BIS-TRISへの緩衝液交換の前に脱脂を使用するCohnII/IIIペーストの処理を、以下のように実行した。
CohnII/IIIペーストを4℃で水に再懸濁し、0.5Mの酢酸を使用してpHを4.81に調整した。撹拌を4℃で一晩継続した。2.4MのBIS-TRIS塩基緩衝液を使用してpHを7.00に調整した。遠心分離後、上清を0.45um、次いで0.22umのフィルターを使用して濾過し、4℃で置いた。脂質除去剤(Lipid removal agent、LRA、Advanced Minerals Corp)及びCelpure(登録商標)P-100(Advanced Minerals Corp)を添加し、懸濁液を周囲温度で1.5時間撹拌し、4℃で1.5時間撹拌し、次いで0.22umで濾過した。5MのNaCl溶液を使用して導電率を9.2mS/cmに調整した。ヒュームドシリカ350~420m2/g(Thermo Fisher)及びCelpure(登録商標)P-100を添加し、溶液を周囲温度で1時間撹拌し、0.22umで濾過し、次いで0.1umで濾過した。
溶液を濃縮し、6ダイア容量の50mMのBIS-TRIS7.20緩衝液を使用するTFF(Pellicon3膜、EMD Millipore)によって緩衝液交換した。TFFシステムから溶出した後、材料を、Vivaspin Turbo15装置(Sartorius)において100mg/mL(1.37の吸光係数を使用する)に更に濃縮した。材料「F」を指定する。
図14は、AldrichのCohnII/III材料のタンパク質純度プロファイルをCohnII/IIIペーストの可溶性画分と比較するSDS-PAGEゲルを示す。
上で得られたCohnII/III材料Fをガラクトシル化反応に供した。
次いで、反応JS1212-1材料をシアル化した。
ガラクトシル化(JS1212-1化学量論)及びシアル化(JS1212-4化学量論)反応を実行し、2つの酵素反応を以下に記載するように同時に又は逐次的に行った。
逐次的反応:
BIS-TRIS中の処理済みCohnII/III(8.0mL、800mg)を、38umolのUDP-Gal、9.0UのB4GalT、5.0mMの塩化マンガン(II)と混合し、37℃で24時間インキュベートした。120umolのCMP-NANA及び28.8UのST6を添加し、インキュベーションを継続した。9時間の時点で、追加の120umolのCMP-NANAを添加した。反応を31時間で停止した。
BIS-TRIS中の処理済みCohnII/III(8.0mL、800mg)を、38umolのUDP-Gal、9.0UのB4GalT、5.0mMの塩化マンガン(II)と混合し、37℃で24時間インキュベートした。120umolのCMP-NANA及び28.8UのST6を添加し、インキュベーションを継続した。9時間の時点で、追加の120umolのCMP-NANAを添加した。反応を31時間で停止した。
同時反応において、上に示した全ての試薬量をT=0で混合した。9時間の時点で、追加の120umolのCMP-NANAを添加した。31時間の総反応時間で反応を停止した。
両方とも同じ高レベルのガラクトシル化及びシアル化を示した。この材料に対する反応は、実施例1よりも少ない酵素で進行した。これは、低い塩含量で達成される高いタンパク質濃度に部分的に起因する。
配列
配列番号1(IgG1)
EEQYNSTYR
配列番号1(IgG1)
EEQYNSTYR
配列番号2(IgG2/3)
EEQFNSTFR
EEQFNSTFR
配列番号3(IgG3/4)
EEQYNSTFR
EEQYNSTFR
配列番号4(IgG3/4)
EEQFNSTYR
EEQFNSTYR
配列番号5(NP_001488.2 B4GALT1[生物=ヒト][GeneID=2683][アイソフォーム=1])
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配列番号6(NP_001365424.1 B4GALT1[生物=ヒト][GeneID=2683][アイソフォーム=2])
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配列番号7(NP_001365425.1 B4GALT1[生物=ヒト][GeneID=2683][アイソフォーム=3])
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配列番号8(NP_001365426.1 B4GALT1[生物=ヒト][GeneID=2683][アイソフォーム=4])
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配列番号9
MRLREPLLSGSAAMPGASLQRACR
MRLREPLLSGSAAMPGASLQRACR
配列番号10
LLVAVCALHLGVTLVYYLAG
LLVAVCALHLGVTLVYYLAG
配列番号11
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配列番号12(B4GalT)
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GPASNLTSVPVPHTTALSLPACPEESPLLVGPMLIEFNMPVDLELVAKQNPNVKMGGRYAPRDCVSPHKVAIIIPFRNRQEHLKYWLYYLHPVLQRQQLDYGIYVINQAGDTIFNRAKLLNVGFQEALKDYDYTCFVFSDVDLIPMNDHNAYRCFSQPRHISVAMDKFGFSLPYVQYFGGVSALSKQQFLTINGFPNNYWGWGGEDDDIFNRLVFRGMSISRPNAVVGRCRMIRHSRDKKNEPNPQRFDRIAHTKETMLSDGLNSLTYQVLDVQRYPLYTQITVDIGTPS
配列番号13(B4GalT)
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gssplldmGPASNLTSVPVPHTTALSLPACPEESPLLVGPMLIEFNMPVDLELVAKQNPNVKMGGRYAPRDCVSPHKVAIIIPFRNRQEHLKYWLYYLHPVLQRQQLDYGIYVINQAGDTIFNRAKLLNVGFQEALKDYDYTCFVFSDVDLIPMNDHNAYRCFSQPRHISVAMDKFGFSLPYVQYFGGVSALSKQQFLTINGFPNNYWGWGGEDDDIFNRLVFRGMSISRPNAVVGRCRMIRHSRDKKNEPNPQRFDRIAHTKETMLSDGLNSLTYQVLDVQRYPLYTQITVDIGTPSprdhhhhhhh
配列番号14(NP_001340845.1(NP_003023.1、NP_775323.1)ST6GAL1[生物=ヒト][GeneID=6480][アイソフォーム=a])
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配列番号15(NP_775324.1 ST6GAL1[生物=ヒト][GeneID=6480][アイソフォーム=b])
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MNSQLVTTEKRFLKDSLYNEGILIVWDPSVYHSDIPKWYQNPDYNFFNNYKTYRKLHPNQPFYILKPQMPWELWDILQEISPEEIQPNPPSSGMLGIIIMMTLCDQVDIYEFLPSKRKTDVCYYYQKFFDSACTMGAYHPLLYEKNLVKHLNQGTDEDIYLLGKATLPGFRTIHC
配列番号16
MIHTNLKKK
MIHTNLKKK
配列番号17
FSCCVLVFLLFAVICVW
FSCCVLVFLLFAVICVW
配列番号18
KEKKKGSYYDSFKLQTKEFQVLKSLGKLAMGSDSQSVSSSSTQDPHRGRQTLGSLRGLAKAKPEASFQVWNKDSSSKNLIPRLQKIWKNYLSMNKYKVSYKGPGPGIKFSAEALRCHLRDHVNVSMVEVTDFPFNTSEWEGYLPKESIRTKAGPWGRCAVVSSAGSLKSSQLGREIDDHDAVLRFNGAPTANFQQDVGTKTTIRLMNSQLVTTEKRFLKDSLYNEGILIVWDPSVYHSDIPKWYQNPDYNFFNNYKTYRKLHPNQPFYILKPQMPWELWDILQEISPEEIQPNPPSSGMLGIIIMMTLCDQVDIYEFLPSKRKTDVCYYYQKFFDSACTMGAYHPLLYEKNLVKHLNQGTDEDIYLLGKATLPGFRTIHC
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配列番号19(ST6Gal1)
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配列番号20(ST6Gal1)
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配列番号21(ST6Gal1)
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他の実施形態
本発明はその詳細な説明と関連して記載されてきたが、前述の説明は本発明の範囲を例示したものであって、発明の範囲を限定することを意図したものではなく、発明の範囲は添付の特許請求の範囲の範囲により定義されると理解される。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。
本発明はその詳細な説明と関連して記載されてきたが、前述の説明は本発明の範囲を例示したものであって、発明の範囲を限定することを意図したものではなく、発明の範囲は添付の特許請求の範囲の範囲により定義されると理解される。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。
Claims (58)
- 高シアル化ヒト免疫グロブリンG(hsIgG)調製物を調製する方法であって、
(a)プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む組成物を提供する工程であって、前記組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、IgGではない、工程と、
(b)β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びウリジン5’-ジホスホガラクトース(UDP-Gal)を、一緒に又は逐次的に、前記組成物に添加して、反応混合物を作製する工程であって、前記反応混合物が、緩衝液中にある、工程と、
(c)前記反応混合物をインキュベートする工程と、
(d)ST6ベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6Gal1)及びシチジン-5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸(CMP-NANA)を、一緒に又は逐次的に、前記反応混合物に添加する工程と、
(e)前記反応混合物をインキュベートし、それによって前記hsIgG調製物を作製する工程と、を含む、方法。 - 高シアル化(hsIgG)を調製する方法であって、
(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、前記組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、緩衝液中でIgGではない、工程と、
(b)緩衝液中でβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)、UDP-Gal、ST6Gal1、及びCMP-NANAを含む反応混合物中の前記組成物をインキュベートし、それによって前記hsIgG調製物を作製する工程と、を含む、方法。 - 高シアル化(hsIgG)を調製する方法であって、
(a)プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程であって、前記組成物中のタンパク質の少なくとも5%又は少なくとも10%wt/wtが、IgGではない、工程と、
(b)前記組成物をβ4GalT及びST6Galと組み合わせて、反応混合物を作製する工程であって、前記反応混合物が、緩衝液中にあり、かつUDP-Gal及びCMP-NANAを含有する、工程と、前記反応混合物をインキュベートし、それによって前記hsIgG調製物を作製する工程と、を含む、方法。 - 前記緩衝液が、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ0トリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-TRIS)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、トリエタノールアミン(TEA)、ピペラジン-N-N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- IgG抗体の混合物を提供する工程が、(a)少なくとも1000人のヒト対象からのプールされた血漿を提供する工程と、(b)前記プールされた血漿からIgG抗体の混合物を単離する工程と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalT及びST6Gal及び同時に又はいずれかの順序で逐次的に添加される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 追加のCMP-NANAが、CMP-NANAの第1の添加後の時点で前記反応物に添加される、請求項6に記載の方法。
- 追加のCMP-NANAが、CMP-NANAの第2の添加後の時点で前記反応物に添加される、請求項6に記載の方法。
- CMP-NANAの前記第1及び第2の添加が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14時間離れている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
- CMP-NANAの前記第2及び第3の添加が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18時間離れている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
- β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galが、同時に前記反応物に添加される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
- β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼI(β4GalT)及びUDP-Galが、同時に前記反応物に添加されない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Gal1及びCMP-NANAが、同時に前記反応物に添加される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Gal1及びCMP-NANAが、同時に前記反応物に添加されない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記hsIgG調製物を1つ以上の精製工程に供する工程を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalTを含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、前記ヒトIgG上に存在する分岐グリカンのガラクトシル化を可能にする条件下及び時間にわたって実行される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Gal1を含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、前記ヒトIgG上に存在するガラクトシル化分岐グリカンのシアル化を可能にする条件下及び時間にわたって実行される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
- プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む前記組成物中の前記タンパク質の少なくとも60%、70%、80%、又は90%wt/wtが、IgGである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
- プールされたヒト免疫グロブリンG(IgG)を含む前記組成物中の前記タンパク質の少なくとも10%、15%、20%、又は30%wt/wtが、IgGではない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
- プールされたヒトIgGを含む前記組成物が、プールされたヒト血漿、プールされたヒト血清、寒冷沈降物枯渇血漿、エタノール沈殿されているプールされたヒト血清若しくは血漿、ヒトCohnII/III血漿画分、又はヒトCohn血漿I/II/III画分からなる群から選択される組成物である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
- プールされたヒトIgGを含む前記組成物が、ヒトCohnII/III画分又はヒトCohnI/II/III画分である、請求項20に記載の方法。
- 前記ヒトCohnII/III血漿画分又は前記ヒトCohnI/II/III血漿画分を提供する工程が、少なくとも100人のドナー、少なくとも500人のドナー、又は少なくとも1000人のドナーからプールされたヒト血清からのタンパク質の冷エタノール沈殿を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記ヒトCohnII/III血漿画分を提供する前記工程が、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、脱脂、病原体不活性化、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を更に含む、請求項22に記載の方法。
- プールされたヒトIgGを含む組成物を提供する工程が、プールされたヒトIgGを含む組成物を緩衝液に交換する工程、又はプールされたヒトIgGを含む組成物を緩衝液に可溶化する工程を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記緩衝液が、BIS-TRISである、請求項24に記載の方法。
- 前記β4GalT1が、配列番号12又は配列番号13と少なくとも85、90、95、96、97、98、99、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、前記ST6Gal1が、配列番号14、配列番号15、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21と少なくとも85、90、95、96、97、98、99、若しくは100%同一であるアミノ酸配列、配列番号19のアミノ酸23~320の部分、配列番号19のアミノ酸13~320の部分、配列番号19のアミノ酸11~320の部分、配列番号19のアミノ酸6~320の部分、配列番号19のアミノ酸5~320の部分、又は配列番号19のアミノ酸4~320の部分を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応混合物中の塩濃度が、150mM未満、125mM未満、100mM未満、50mM未満、25mM未満、10mM未満、又は5mM未満である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalTを含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は18~22時間実行され、ST6Gal1を含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は30~32時間実行される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(c)が、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は18~22時間実行され、工程(e)が、少なくとも8、12、18、24、30、40、又は30~32時間実行される、請求項1に記載の方法。
- 前記CohnII/III血漿画分又は前記CohnI/II/III血漿画分を緩衝液中に提供する工程が、前記CohnII/III又は前記CohnI/II/III材料を緩衝液中に可溶化する工程と、未溶解材料を除去する工程と、前記得られた溶液を緩衝液への緩衝液交換に供する工程と、を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
- 前記緩衝液が、BIS-TRISである、請求項29に記載の方法。
- 緩衝液交換の前に、脱脂剤、高純度珪藻岩濾過媒体、又はヒュームドシリカのうちの1つ以上を前記溶液に添加する工程を更に含む、請求項30又は31に記載の方法。
- ケイ酸カルシウム水和物、二酸化ケイ素、及びヒュームドシリカのうちの1つ以上が、緩衝液交換の前に前記溶液に添加される、請求項32に記載の方法。
- 前記溶液を深層濾過する工程を更に含む、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(d)が、ST6Gal1及びCMP-NANAを工程(a)の前記反応混合物に添加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記反応が、pH5.5~8.5で行われる、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応が、10~500mM、pH5.5~8.5のBIS-TRIS中で行われる、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
- 反応混合物が、1~20mMのMnCl2を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
- UDP-Galを含む前記反応混合物中のUDP-Galの初期濃度が、20~500μmolのUDP-Gal/g IgG抗体である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
- CMP-NANAを含む前記反応混合物中のCMP-NANAの初期濃度が、100~3000μmolのCMP-NANA/g IgG抗体である、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インキュベーションが、20~50℃で行われる、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インキュベーションが、30~45℃又は35~39℃で行われる、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IgG抗体が、少なくとも1000人のドナーから単離されたIgG抗体を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IgG抗体の少なくとも50%、55%、60%、65%、又は70%w/wが、IgG1抗体である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記hsIgG調製物が、更に処理されて、ST6Gal1及びβ4GalTが除去される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
- 前記hsIgG調製物中の前記分岐グリカンの約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%が、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
- 前記hsIgG調製物中の前記分岐Fcグリカンの約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%が、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
- Fabドメイン上の前記分岐グリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%が、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
- Fcドメイン上の前記分岐グリカンの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%が、NeuAc-α 2,6-Gal末端連結を通して接続されるα1,3アーム及びα1,6アームの両方にシアル酸を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalTを含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、12~30時間実行される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Gal1を含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、20~40時間実行される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
- 1つ以上の追加の精製工程を更に含み、非IgGタンパク質が、低減又は除去される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
- IgGではない前記タンパク質が、ヒト血漿又は血清中に存在するタンパク質である、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalTが、5、10、20、30、50、又は100mU/mg IgG超でβ4GalTを含む前記反応混合物中に存在する、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Ga1が、5、10、20、50、100、又は200mU/mg IgG超でST6Gal1を含む前記反応混合物中に存在する、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
- 前記hsIgG調製物中の前記IgG抗体における前記分岐グリカンの50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%超が、α1,3分岐及びα1,6分岐の両方にシアル酸を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
- β4GalTを含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、ガラクトシル化IgG抗体を産生するのに十分な期間にわたって進行する、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
- ST6Gal1を含む前記反応混合物をインキュベートする工程が、ジシアリル化IgG抗体を産生するのに十分な期間にわたって進行する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
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