JP2023537838A - マイクロ流体細胞培養装置 - Google Patents
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Abstract
マイクロ流体細胞培養装置が記載される。装置は、基材、マイクロ流体チャネル及び覆い並びにマイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画を含むマイクロ流体ネットワークを含む。基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定する。開口は、少なくとも1つの支持区画と流体接触し、且つ少なくとも1つの支持区画を通して少なくとも1つの灌流区画と流体接触する。装置を使用して、流体流体界面を作成する方法及び刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法も記載される。【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロ流体細胞培養装置並びに、マイクロ流体装置を使用して、流体流体界面を作成する方法及び刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法に関する。
細胞培養におけるこれまで以上に生理学的に適切な条件をシミュレートする動きにおいて、例えば灌流の流れをシミュレートし、薬効及び/又はADME安全性を査定するための前臨床細胞ベースモデルを共培養する多くのモデルが開発されている。
マイクロ流体工学は、複雑なマイクロ流体ネットワークの作製を促進し、可能にするマイクロエンジニアリング技法の進歩に伴い、使用中の液体又は培地の固有の流れに起因して、そのようなインビトロ細胞培養モデルに人気のプラットフォーム技術になった。しかしながら、人間又は動物の身体の種々の臓器における細胞環境をシミュレート又は再現するモデルの生成に対する大きい関心が依然として存在する。
肺の腫瘍特性を高スループットモデルに移すうえで、課題が残っている。気道上皮は、血中酸素の取り込みを担い、それにより人体の全細胞をサポートする。これらの気道上皮細胞は、頂端で外気と接触し、栄養素が取得される、下にある間質に基底底側で接続される。肺は、内部環境への物理的障壁も形成し、保護粘液層に捕獲された吸入された粒子及び/又は病原体に対する防御の最前線である。
高スループット肺モデルの作成は、標的、例えば肺のウイルス又は細菌感染に対する潜在的な治療薬の高速試験を許容する一方、高スループット消化管モデルの作成は、薬剤吸収及び治療活性を理解するために等しく重要である。現実の細胞環境をインビトロでシミュレートする改良された装置及び方法が必要とされている。
本発明の第1の態様において、マイクロ流体装置が提供され、本装置は、
マイクロ流体ネットワーク
を含み、マイクロ流体ネットワークは、
基材、マイクロ流体チャネル及び覆いと、
マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの灌流区画と、
マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの支持区画と
を含み、
基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、及び
導管は、少なくとも1つの支持区画と流体接触し、且つ少なくとも1つの支持区画を通して少なくとも1つの灌流区画と流体接触する。
マイクロ流体ネットワーク
を含み、マイクロ流体ネットワークは、
基材、マイクロ流体チャネル及び覆いと、
マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの灌流区画と、
マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの支持区画と
を含み、
基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、及び
導管は、少なくとも1つの支持区画と流体接触し、且つ少なくとも1つの支持区画を通して少なくとも1つの灌流区画と流体接触する。
本発明の第2の態様において、基材、マイクロ流体チャネル及び覆いを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体細胞培養装置に流体流体界面を作成する方法が提供され、マイクロ流体チャネルの内部には、少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画があり、基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、本方法は、
導管に面する足場表面を形成するために、支持足場を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞が足場表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
導管に面する足場表面を形成するために、支持足場を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞が足場表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
本発明の第3の態様によれば、マイクロ流体チャネルの支持区画内に支持足場が設けられた第1の態様の装置を含むアッセイプレートが提供され、任意選択的に、支持足場は、好ましくは、導管に面するその表面と並ぶ、1つ又は複数の細胞又は細胞集合体を含む。
本発明の第4の態様において、刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法が提供され、本方法は、
第2の態様の方法によるマイクロ流体装置に流体流体界面を作成するステップと、
導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップと
を含む。
第2の態様の方法によるマイクロ流体装置に流体流体界面を作成するステップと、
導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップと
を含む。
本発明の第5の態様において、刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法が提供され、本方法は、
第3の態様のアッセイプレートを使用するステップと、
導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップと
を含む。
第3の態様のアッセイプレートを使用するステップと、
導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップと
を含む。
他の好ましい実施形態は、以下の説明及び従属請求項に規定される。
従来の研究は、細胞培養環境で肺モデルを作成しようとしてきた。しかしながら、播種された細胞を取り除くことなく空気液体界面を作成し、次いで播種された細胞に栄養素を高スループットで供給することは、これまで困難であると証明されてきた。上記の態様の何れかによる装置は、意外にも肺モデルでの空気液体界面の作成を可能にし、したがって、薬効又はADME安全性を査定するために、改良されたインビトロ又はエクスビボモデルシステムの開発を切り開く。
定義
本発明のデバイス、方法、使用及び他の態様に関連する種々の用語が本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。そのような用語には、別記されない限り、本発明が関連する技術分野における通常の意味が与えられるべきである。他の特に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一貫して解釈されるべきである。本明細書に記載されるものと同様の又は均等な任意の方法及び材料は、本発明を試験するための実施で使用可能であるが、好ましい材料及び方法を本明細書に記載する。
本発明のデバイス、方法、使用及び他の態様に関連する種々の用語が本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。そのような用語には、別記されない限り、本発明が関連する技術分野における通常の意味が与えられるべきである。他の特に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一貫して解釈されるべきである。本明細書に記載されるものと同様の又は均等な任意の方法及び材料は、本発明を試験するための実施で使用可能であるが、好ましい材料及び方法を本明細書に記載する。
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」という単数形は、文脈により明らかに別のことが示されない限り、複数の言及も含む。したがって、例えば、「1つの細胞」への言及は、2つ以上の細胞の組合せ等を含む。
本明細書で使用される場合、「実質的に」、「約」及び「概ね」は、量、持続時間等の測定可能な値を参照する場合、指定された値からの±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更に好ましくは±1%、なお更に好ましくは±0.1%の変動を包含することが意味され、したがって、変動は、開示される方法の実行に適切である。
本明細書で使用される場合、「含む」は、排他的ではなく、包含的であり、非限定的であるものと解釈される。具体的には、この用語及びその変形は、指定された特徴、ステップ又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を排除するものとして解釈されるべきではない。
本明細書で使用される場合、「例示的」は、「例、事例又は例示としての役割を果たすこと」を意味し、本明細書に開示される他の構成を排除するものとして解釈されるべきではない。
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体チャネル」という用語は、長さ、幅又は高さの寸法の少なくとも1つがサブミリメートル範囲にある、上部基板若しくは覆いによって覆われている材料の層の上若しくはそうした層を通るチャネル又は下部基板若しくは基材の上に配置された材料の下若しくはそうした材料を通るチャネルを指す。この用語は、線状チャネルであるチャネル及び分岐しているか、又はそれらの経路内に曲がり若しくは角を有するチャネルを包含することが理解されるであろう。マイクロ流体チャネルは、典型的には、ある容量の液体を投与するための入口を含む。マイクロ流体チャネルによって囲まれた容積は、典型的には、マイクロリットル又はサブマイクロリットルの範囲にある。マイクロ流体チャネルは、典型的には、下にある材料の上部表面であり得る基材と、2つの側壁と、マイクロ流体チャネルの上に重なる上部基板又は覆いの下部表面であり得る天井とを含み、必要に応じて任意の構成の入口、出口及び/又は通気口を含む。基材、側壁及び天井は、それぞれマイクロ流体チャネルの内面と称することができ、まとめて内面と称することができる。幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、円形又は半円形の断面を有し得、そのため、それぞれ1つ又は2つの内面を有すると見なされる。
本明細書で用いる場合の「液滴保持構造」及び「毛細管圧力障壁」は、同義で使用され、液体空気又は他の流体流体メニスカスを毛細管力によって特定の位置に固定したままにする装置の特徴に関連して使用される。毛細管圧力障壁は、容積V0を有するマイクロ流体チャネルを、異なる流体を導入することができる2つの副容積V1及びV2に分割するものと見なすことができる。要するに、毛細管圧力障壁は、2つの副容積間の境界に位置することにより、マイクロ流体チャネルの1つ又は複数の副容積を少なくとも部分的に画定する。
特に毛細管圧力障壁に関して、本明細書で用いる場合の「閉じた幾何学的構成」は、毛細管圧力障壁が、2つの端部を有する線状の毛細管圧力障壁と異なり、代わりに閉ループを形成する構成である。例えば、上方から見た場合、閉じた幾何学的構成を有する毛細管圧力障壁は、円形の毛細管圧力障壁又は多角形の毛細管圧力障壁、例えば三角形の毛細管圧力障壁、若しくは正方形の毛細管圧力障壁、若しくは五角形の毛細管圧力障壁等を含み得る。幾つかの例では、毛細管圧力障壁の閉じた幾何学的構成は、2つの線状の毛細管圧力障壁であって、ともにマイクロ流体チャネルの同じ1つの壁又は複数の壁と交差し、それにより2つの線状の毛細管圧力障壁及び壁によって境界が画されたマイクロ流体チャネルの領域を閉鎖又は画定するように構成された2つの線状の毛細管圧力障壁も指すことができる。
本明細書で用いる場合の「同心」という用語は、任意の閉じた幾何学的構成を指すものであり、円形構成のみを含むものではない。例えば、「同心」という用語は、2つの正方形であって、一方の正方形の中心が他方の正方形の中心と整列するように整列した同じ又は異なる寸法の2つの正方形を指すものとして理解することもできる。
本明細書で用いる場合の「同心」という用語は、任意の閉じた幾何学的構成を指すものであり、円形構成のみを含むものではない。例えば、「同心」という用語は、2つの正方形であって、一方の正方形の中心が他方の正方形の中心と整列するように整列した同じ又は異なる寸法の2つの正方形を指すものとして理解することもできる。
本明細書で用いる場合の「線状の」毛細管圧力障壁は、直線として解釈されるべきではなく、代わりに閉じた幾何学的構成以外、即ち2つの端部を有するが、1つ又は複数の曲がり又は角を有することがある線として解釈されるべきである。線状の毛細管圧力障壁は、典型的には、各端部においてマイクロ流体チャネルの側壁又は内面と交差する。
本明細書で用いる場合の「内皮細胞」という用語は、内皮起源の細胞又は細胞を内皮細胞として特定するマーカーを発現する状態に分化した細胞を指す。
本明細書で用いる場合の「上皮細胞」という用語は、上皮起源の細胞又は細胞を上皮細胞として特定するマーカーを発現する状態に分化した細胞を指す。
本明細書で用いる場合の「液滴」という用語は、マイクロ流体チャネルの高さを超えることも又は超えないこともあり、必ずしも丸い球形状を表すとは限らない、ある容量の液体を指す。具体的には、ゲル液滴と言及する場合、指示区画内のある容量のゲルへの言及である。
本明細書で用いる場合の「生物学的組織」という用語は、本明細書に記載される方法において培養及び/又はアッセイされる同一の、同様の又は異なる型の機能的に相互接続された細胞の集合を指す。細胞は、細胞集合体及び/又は患者由来の特定の組織サンプルであり得る。例えば、「生物学的組織」という用語は、オルガノイド、組織生検、腫瘍組織、切除された組織材料、スフェロイド及び胚様体を包含する。
本明細書で用いる場合の「細胞集合体」という用語は、典型的には単層で増殖する表面付着細胞とは対照的に、細胞の3Dクラスターを指す。細胞の3Dクラスターは、典型的には、よりインビボ様の状況に関連する。対照的に、表面付着細胞は、基板の性質によって強く影響を受ける可能性があり、脱分化又は他の細胞型への移行を受ける可能性がある。
本明細書で用いる場合の「管腔細胞成分」という用語は、管腔を有する生物学的組織(即ち細胞から構成される)、例えば先端面及び基底面を有する微細血管を指す。
ここで、本発明について図を参照して、単なる例として説明する。
ここで、本発明について図を参照して、単なる例として説明する。
<<マイクロ流体装置>>
マイクロ流体装置が記載される。マイクロ流体装置は、好ましくは、マルチアレイフォーマット/マルチウェルフォーマットであり、インビトロ細胞ベースのアッセイ、医薬的スクリーニングアッセイ、毒性アッセイ等、特に高スループットスクリーニングフォーマットでのその使用を可能にする。そのようなマルチウェル培養プレートは、矩形マトリクスに配置された6個、12個、24個、48個、96個,384個及び1536個のサンプルウェルで利用可能であり、本発明に関連して、本明細書に記載されるマルチアレイ構成のマイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体装置に存在する。一例では、マイクロ流体装置は、標準ANSI/SLASマイクロタイタープレートフォーマットの1つ又は複数の寸法と互換性を有する。代替の実施形態では、マイクロ流体装置は、顕微鏡ガラススライドの寸法を有するマルチアレイフォーマットである。幾つかの例では、マイクロ流体装置は、電気実験を行うための1つ又は複数の電極、透明材料、光学測定を行うことを可能にするための窓又は他の改変を含む1つ又は複数の機能を提供される。
マイクロ流体装置が記載される。マイクロ流体装置は、好ましくは、マルチアレイフォーマット/マルチウェルフォーマットであり、インビトロ細胞ベースのアッセイ、医薬的スクリーニングアッセイ、毒性アッセイ等、特に高スループットスクリーニングフォーマットでのその使用を可能にする。そのようなマルチウェル培養プレートは、矩形マトリクスに配置された6個、12個、24個、48個、96個,384個及び1536個のサンプルウェルで利用可能であり、本発明に関連して、本明細書に記載されるマルチアレイ構成のマイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体装置に存在する。一例では、マイクロ流体装置は、標準ANSI/SLASマイクロタイタープレートフォーマットの1つ又は複数の寸法と互換性を有する。代替の実施形態では、マイクロ流体装置は、顕微鏡ガラススライドの寸法を有するマルチアレイフォーマットである。幾つかの例では、マイクロ流体装置は、電気実験を行うための1つ又は複数の電極、透明材料、光学測定を行うことを可能にするための窓又は他の改変を含む1つ又は複数の機能を提供される。
したがって、マイクロ流体装置は、好ましくは、本明細書に記載される複数のマイクロ流体ネットワークを有する。一例では、複数のマイクロ流体ネットワークは、互いに流体的に分離され、換言すれば、各マイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体装置上に存在する任意の他のマイクロ流体ネットワークから独立して動作する。他の例では、後述するように、マイクロ流体ネットワークは、1つ又は複数の接続チャネルによって接続され得る。
一般に、マイクロ流体装置は、少なくとも、マイクロ流体チャネルを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体装置である。様々な構成のマイクロ流体チャネル又はマイクロ流体ネットワークが本発明の範囲内で可能であるが、例えばゲル、例えば細胞外マトリクスを受け取り、閉じ込めるために、マイクロ流体チャネル内にあるか又はそれと流体連通する容積又は副容積を含み得る。
マイクロ流体装置は、一般に、ここで詳細に説明するマイクロ流体ネットワークを含む。
<マイクロ流体ネットワーク>」
マイクロ流体装置のマイクロ流体ネットワークは、一般に、基材、マイクロ流体チャネル又はマイクロ流体層及び本明細書で覆い層としても呼ばれる覆いを含み、多様な様式で作製することができる。
マイクロ流体装置のマイクロ流体ネットワークは、一般に、基材、マイクロ流体チャネル又はマイクロ流体層及び本明細書で覆い層としても呼ばれる覆いを含み、多様な様式で作製することができる。
基材は、本明細書では基材層又は下部基板とも呼ばれ、好ましくはガラス又はプラスチック等の実質的に剛性の材料から形成され、支持表面をマイクロ流体ネットワークの残りの部分に提供するように機能する。一例では、基材は、標準ANSI/SLASマイクロタイタープレートのウェル領域と同じ又は同様の寸法である。幾つかの例では、基材は、マイクロ流体ネットワークのマイクロ流体層又はチャネルへの開口を含む。幾つかの例では、基材は、内部に配置された接続チャネルを含む。接続チャネルは、基材の開口を介してマイクロ流体ネットワークを、本明細書に記載されるマイクロ流体装置の少なくとも1つの他のマイクロ流体ネットワークに接続する。幾つかの例では、接続チャネルは、基材の開口への流体の入口により、マイクロ流体ネットワークの導管に接続されて、導管を通した流体の流れを許容する。
マイクロ流体装置又はネットワークは、基材上に配設されるマイクロ流体チャネル又はマイクロ流体層を含む。幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、例えば、本明細書に記載されるように毛細管圧力障壁の存在により、サブ容積を含み得るか又はサブ容積に分割され得る。幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、支持区画と呼ばれることもある第1の副容積を含み得る。幾つかの例では、支持区画は、一部分において毛細管圧力障壁及び/又は基材の開口のリムの存在によって画定され得る。
幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、流れチャネル又は灌流区画を含む第2の副容積を更に含む。幾つかの例では、第2の副容積の灌流区画は、使用中の流れチャネルである。
マイクロ流体チャネルの典型的な作製方法は、ポリジメチルシロキサン等の成形可能材料を型に流し込み、そうしてマイクロ流体チャネルをシリコンゴム材料に型押し、それによりマイクロ流体層を形成することである。チャネルが型押しされたゴム材料は、続けて、ガラス又は同じ材料の基材層上に配置され、そうして封止を作成する。代替的に、チャネル構造は、ガラス又はシリコン等の材料にエッチングすることができ、それに続けて上部基板又は下部基板(本明細書では覆い層及び基材層とも呼ばれる)に接合される。プラスチックの射出成形又はエンボス加工、それに続く接合は、マイクロ流体チャネルネットワークを作製する別の様式である。マイクロ流体チャネルネットワークを作製する更に別の技法は、SU-8又は種々の他のドライフィルム若しくは液体フォトレジスト等のフォトパターンニング可能なポリマーにマイクロ流体チャネルネットワークをフォトリソグラフィパターニングし、それに接合ステップが続くことによる。接合に言及する場合、覆い又は基材によるチャネルの閉鎖が意味される。接合技法には、とりわけ、陽極接合、共有結合、溶剤接合、接着接合及び熱接合がある。
上記の種々の作製方法から推定されるように、マイクロ流体層は、基材層上に配設されたマイクロ流体チャネルを含む副層を含み得るか、又は覆い若しくは基材層の何れかにパターニングされる。使用時の向きにおいて、マイクロ流体副層は、基材層の上面に配設される。マイクロ流体チャネルは、基材層上に配設された材料の副層を通るチャネルとして形成され得る。一例では、副層の材料は、基材層上に配設されたポリマーであり、その中にマイクロ流体チャネルがパターニングされる。幾つかの例では、マイクロ流体層は、互いに流体連通し得る2つ以上のマイクロ流体チャネルを含む。
マイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体チャネルを覆う覆い又は覆い層を含む。覆い又は覆い層は、当技術分野で既知である任意の適した材料、例えばマイクロ流体チャネルを含む副層に接合されたガラス層から形成することができる。一例では、覆い層は、画定された複数箇所に予め形成された孔又は開口を設けられる。幾つかの例では、覆いにおける開口は、基材における開口と実質的に整列する。幾つかの例では、接続チャネルが覆いに提供され、覆いにおける各開口を介して複数のマイクロ流体ネットワークのうちの少なくとも2つのマイクロ流体ネットワークの導管を接続する。幾つかの例では、接続チャネルは、覆いにおける開口への流体の入口によってマイクロ流体ネットワークの導管に接続されて、導管を通した流体の流れを許容する。
覆い及び基材における開口は、マイクロ流体層のマイクロ流体チャネルと、その表面上又はその下に配設されたマイクロ流体装置の他の構成要素との流体連通を許容する。概して、開口は、外界又は覆いの上部に配設されたウェルとのインターフェースとしての機能を果たす。幾つかの例では、覆い及び基材における開口は、毛細管圧力障壁として機能するように構成される。例えば、覆い及び基材における開口は、リムを有し、リムは、毛細管圧力障壁として機能して、液体を固定し、液体が開口を通して流れることを防ぎ得る。
覆い及び基材における開口は、マイクロ流体層のマイクロ流体チャネルと、その表面上又はその下に配設されたマイクロ流体装置の他の構成要素との流体連通を許容する。概して、開口は、外界又は覆いの上部に配設されたウェルとのインターフェースとしての機能を果たす。幾つかの例では、覆い及び基材における開口は、毛細管圧力障壁として機能するように構成される。例えば、覆い及び基材における開口は、リムを有し、リムは、毛細管圧力障壁として機能して、液体を固定し、液体が開口を通して流れることを防ぎ得る。
幾つかの例では、覆いは、内部に配設された接続チャネルを含む。接続チャネルは、覆いにおける開口を通して、マイクロ流体ネットワークを、本明細書に記載されるマイクロ流体装置の少なくとも1つの他のマイクロ流体ネットワークに接続する。このようにして、例えば、各マイクロ流体ネットワークは、個々に、灌流チャネルを介して薬剤候補を提供され得るが、全てのマイクロ流体ネットワークは、次いで、個々の導管への接続チャネルを介して同じ流体の流れを提供され得る。
幾つかの例では、接続チャネルは、基材に提供され、第2の接続チャネルは、覆いに提供され、基材及び覆いにおける開口への1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口を提供して、マイクロ流体ネットワークの導管を通した流体の流れを許容する。幾つかの例では、接続チャネルは、基材及び覆いにおける開口への1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口を提供して、複数のマイクロ流体ネットワークの導管を通した流体の流れを許容する。
幾つかの例では、接続チャネルは、基材に提供され、第2の接続チャネルは、覆いに提供され、基材及び覆いにおける開口への1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口を提供して、マイクロ流体ネットワークの導管を通した流体の流れを許容する。幾つかの例では、接続チャネルは、基材及び覆いにおける開口への1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口を提供して、複数のマイクロ流体ネットワークの導管を通した流体の流れを許容する。
マイクロ流体チャネルは、マイクロ流体装置のマイクロ流体ネットワークの任意の特定の用途での必要に応じて、1つ又は複数の流体の入口及び1つ又は複数の出口又は通気口を設けられ得る。マイクロ流体ネットワークを通した流体の充填、排出及び灌流を許容するために、マイクロ流体チャネルは、好ましくは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口又は通気口を設けられる。一例では、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口又は通気口の各々は、好ましくは、覆い層に予め形成された開口である。典型的には、入口と出口との間に幾何学的区別がなく、多くの場合、それらは、入口又は出口として交換して使用できることが理解されるであろう。
幾つかの例では、マイクロ流体装置は、上記覆い層上に配設された上層を更に含み、上層は、マイクロ流体装置の残りの部分と流体連通する1つ又は少なくとも1つのウェル又はリザーバを有する。幾つかの例では、上層は、複数のそのようなウェルを有し、少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ、例えば少なくとも3つのウェルは、装置のマイクロ流体ネットワーク又はチャネルと連通する。例えば、上層は、マイクロ流体ネットワークの覆い層に提供された入口開口を介してマイクロ流体ネットワークと流体連通するウェル又はリザーバを含み得、それによりSLAS準拠ウェルプレートを形成する。幾つかの例では、少なくとも1つのウェル及びマイクロ流体層を有する上層は、一体形成される。例えば、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのウェルを有する射出成形されたマイクロタイタープレートの下側にパターニングされ得る。
幾つかの例では、マイクロ流体装置は、上記覆い層上に配設された上層を更に含み、上層は、マイクロ流体装置の残りの部分と流体連通する1つ又は少なくとも1つのウェル又はリザーバを有する。幾つかの例では、上層は、複数のそのようなウェルを有し、少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ、例えば少なくとも3つのウェルは、装置のマイクロ流体ネットワーク又はチャネルと連通する。例えば、上層は、マイクロ流体ネットワークの覆い層に提供された入口開口を介してマイクロ流体ネットワークと流体連通するウェル又はリザーバを含み得、それによりSLAS準拠ウェルプレートを形成する。幾つかの例では、少なくとも1つのウェル及びマイクロ流体層を有する上層は、一体形成される。例えば、マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのウェルを有する射出成形されたマイクロタイタープレートの下側にパターニングされ得る。
<支持区画>
マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つの支持区画を含む。本明細書での支持区画への言及は、少なくとも1つの支持区画として及び2つ以上の支持区画に全般的に適用可能なものとして理解されるであろう。支持区画は、概して、マイクロ流体チャネル内の基材及び覆いにおける開口の近傍に配設され得る。幾つかの例では、支持区画は、マイクロ流体チャネル内の、灌流区画と、基材及び覆いにおける開口によって形成された導管との間に配設される。本開示に関連して、支持区画は、マイクロ流体装置の他の構成要素、例えば灌流チャネル及び導管に開かれ、流体連通するマイクロ流体チャネルの領域として理解されるべきである。したがって、支持区画は、マイクロ流体チャネルの内面(例えば、2つの側壁、上部基板及び下部基板)によって一部分において画定され得るが、多少なりとも、マイクロ流体チャネルの他の領域及び装置の他の領域に向かって「開かれ」ており、その境界は、以下で述べるように画定される。
マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つの支持区画を含む。本明細書での支持区画への言及は、少なくとも1つの支持区画として及び2つ以上の支持区画に全般的に適用可能なものとして理解されるであろう。支持区画は、概して、マイクロ流体チャネル内の基材及び覆いにおける開口の近傍に配設され得る。幾つかの例では、支持区画は、マイクロ流体チャネル内の、灌流区画と、基材及び覆いにおける開口によって形成された導管との間に配設される。本開示に関連して、支持区画は、マイクロ流体装置の他の構成要素、例えば灌流チャネル及び導管に開かれ、流体連通するマイクロ流体チャネルの領域として理解されるべきである。したがって、支持区画は、マイクロ流体チャネルの内面(例えば、2つの側壁、上部基板及び下部基板)によって一部分において画定され得るが、多少なりとも、マイクロ流体チャネルの他の領域及び装置の他の領域に向かって「開かれ」ており、その境界は、以下で述べるように画定される。
幾つかの例では、支持区画は、基材における開口、覆いにおける開口及びマイクロ流体チャネルに位置する毛細管圧力障壁の1つ又は複数によって少なくとも一部分において画定される。幾つかの例では、基材及び覆いにおける開口は、毛細管圧力障壁として機能して、何れの開口を通しても溢れ出ないように流体を支持区画内に固定するか又は閉じ込める。幾つかの例では、支持区画は、支持区画と灌流区画との間の境界を画定する毛細管圧力障壁を含む。このようにして、支持区画内の流体は、内部に閉じ込めることができ、灌流区画に溢れ出ない。当然ながら、毛細管圧力障壁は、支持区画と灌流区画との間の全ての流体の流れを阻止するようにマイクロ流体チャネルを完全に封止する構造ではないことが理解されるであろう。代わりに、毛細管圧力障壁は、メニスカス固定を通して流体メニスカスの位置を制御するように機能し、それによりマイクロ流体チャネルの異なる領域を区切る。
幾つかの例では、支持区画は入口及び出口を含み、それらは支持区画のすぐ近傍にあり得る。幾つかの例では、入口及び出口は、支持区画から空間的に隔てられ、フローチャネルによってリンクされる。
幾つかの例では、支持区画は、基材及び覆いにおける開口並びにマイクロ流体チャネル内の毛細管圧力障壁によって区切られるマイクロ流体チャネルの領域として画定される。幾つかの例では、支持区画は、膜を含まない。他の例では、支持区画は、多孔性膜を含み、多孔性膜は、膜の孔に配設されたゲルを有し得る。更に他の例では、支持区画は、膜を含まず、ゲル又はゲル前駆体を受けるように構成される。ゲル又はゲル前駆体は、本明細書に記載されるようなものであり得、例えば細胞を支持することが可能な細胞外マトリクスを含むゲルであり得る。
幾つかの例では、支持区画は、構造支持体又は支持足場を提供するか又は含み、細胞又は細胞集合体の層を形成して、流体流体界面を作成することを許容する。幾つかの例では、支持区画は、内部にゲルを受けて閉じ込め、導管に面するゲルの表面上に細胞又は細胞集合体の層を形成するように構成され、ゲルは、支持足場の機能を実行する。幾つかの例では、支持区画は、孔内にゲルが配設された多孔性膜を含み、細胞又は細胞集合体は、支持足場の機能を実行する膜とゲルとの組合せを用いて、ゲル含有多孔性膜の表面上に層を形成する。したがって、ゲルを有する支持区画は、細胞を成長させることができる表面を提供し、ゲルを通して細胞に栄養素を流すことにより、構造的支持及び機能的支持を細胞の層に提供する。
幾つかの例では、支持区画は、支持がもはや必要なくなるのに十分に細胞が培養されるときまで、支持区画に存在するゲル又は他の細胞外マトリクスを通して、播種された細胞に初期構造支持を提供する。これらの例では、ゲル又は他の細胞外マトリクスは、経時劣化して、それ自体によって支持される細胞細管を残す犠牲材料又は分解性材料であり得る。したがって、幾つかの例では、培養された細胞は、それ自体、灌流チャネルと導管とを隔てる構造ネットワークを支持区画内に提供し、それにより支持足場の構造的完全性又は機能を強化する。これらの例は、必要とされ得るように、直接空気空気界面又は直接空気液体界面の形成を可能にする。
幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、2つ以上の支持区画を含む。例えば、マイクロ流体チャネルは、覆い及び基材に形成された開口の両側に1つずつ支持区画を含み得る。各支持区画は、流体供給のためにそれ自体のリザーバと流体連通し得るか、又は各支持区画は、流体供給のために共通リザーバと流体連通し得る。
<灌流区画>
マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つの灌流区画を含む。本明細書での灌流区画への言及は、少なくとも1つの灌流区画への言及として及び2つ以上の灌流区画に全般的に適用可能なものとして理解されるであろう。灌流区画は、概して、マイクロ流体チャネル内の支持区画の近傍に配設される。幾つかの例では、灌流区画は、支持区画が、灌流区画と、基材及び覆いにおける開口によって形成された導管との間に配設された状態でマイクロ流体チャネル内に配設される。幾つかの例では、灌流区画及び支持区画は、互いに隣接し、且つマイクロ流体ネットワークの同じ面にある。
マイクロ流体チャネルは、少なくとも1つの灌流区画を含む。本明細書での灌流区画への言及は、少なくとも1つの灌流区画への言及として及び2つ以上の灌流区画に全般的に適用可能なものとして理解されるであろう。灌流区画は、概して、マイクロ流体チャネル内の支持区画の近傍に配設される。幾つかの例では、灌流区画は、支持区画が、灌流区画と、基材及び覆いにおける開口によって形成された導管との間に配設された状態でマイクロ流体チャネル内に配設される。幾つかの例では、灌流区画及び支持区画は、互いに隣接し、且つマイクロ流体ネットワークの同じ面にある。
幾つかの例では、灌流区画は、マイクロ流体チャネルに位置する1つ又は複数の毛細管圧力障壁によって少なくとも一部分において画定される。幾つかの例では、1つ又は複数の毛細管圧力障壁は、支持区画と灌流区画との間の流体の流れを制御する(しかし、防ぎはしない)境界を画定する。このようにして、支持区画内の流体のメニスカスは、毛細管圧力障壁に固定することができ、それにより毛細管圧力障壁内に閉じ込められ、灌流区画に溢れ出ず、またその逆も同様である。支持区画における第1の液体の固定及び灌流区画への第2の液体の導入は、2つのメニスカスを融合させ、支持区画と灌流区画との間に流体を流すことが理解されるであろう。したがって、1つ又は複数の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネル内の流体の流れを制御するが、完全には妨げないようにするために使用される。
幾つかの例では、灌流区画は、入口及び出口を含み、これらは、灌流区画のすぐ近傍にあり得る。幾つかの例では、入口及び出口は、灌流区画から空間的に隔てられ、フローチャネルによってリンクされる。
幾つかの例では、灌流区画は、栄養素の流れを支持区画に提供して、細胞又は細胞集合体の層を形成、成長させて、流体流体界面を作成するように構成される。
幾つかの例では、灌流区画は、1つ又は複数のタイプの細胞又は細胞集合体を含む培地を受けて、灌流区画の表面上に細胞又は細胞集合体の層を形成するように構成される。幾つかの例では、灌流区画は、1つ又は複数のタイプの細胞又は細胞集合体を含む培地を受けて、灌流区画の近傍の支持区画の表面上に細胞の層を形成するように構成される。
幾つかの例では、1つ又は複数のタイプの細胞又は細胞集合体は、潜在的にチューブ若しくは血管を形成する、灌流区画を並べるための上皮細胞若しくは内皮細胞;好ましくは管腔構造を形成し、より好ましくは血管床を形成する、ゲル、細胞外マトリクス若しくは足場内部に置かれる上皮細胞若しくは内皮細胞;ゲル、細胞外マトリクス若しくは足場内若しくはその表面上の間質細胞;ゲル、細胞外マトリクス若しくは足場内若しくはその表面上の筋肉細胞;又は所望のインビトロモデルシステムを作成するために必要とされ得る他の任意のタイプの細胞から選択され得る。
幾つかの例では、マイクロ流体チャネルは、2つ以上の灌流区画を含む。例えば、マイクロ流体チャネルは、覆い及び基材に形成された開口の両側に1つずつ灌流区画を含み得る。各灌流区画は、流体供給のためにそれ自体のリザーバと流体連通し得るか、又は各灌流区画は、流体供給のために共通リザーバと流体連通し得る。
<開口>
本明細書に記載されるように、基材層及び覆い層は、それぞれ開口を含む。開口は、装置のマイクロ流体層への開口であり得る。幾つかの例では、開口は、互いに実質的に整列する。幾つかの例では、開口は、互いに実質的に同心である。幾つかの例では、開口は、マイクロ流体装置を通る導管を画定するように配置される。
本明細書に記載されるように、基材層及び覆い層は、それぞれ開口を含む。開口は、装置のマイクロ流体層への開口であり得る。幾つかの例では、開口は、互いに実質的に整列する。幾つかの例では、開口は、互いに実質的に同心である。幾つかの例では、開口は、マイクロ流体装置を通る導管を画定するように配置される。
一例では、覆いにおける開口によって画定される直径又は面積は、基材における開口によって画定される直径又は面積よりも大きく、換言すれば、覆いの開口は、基材の開口の周方向にあり、基材の開口よりも大きい - 又は基材における開口の直径は、覆いにおける開口の直径よりも小さい。別の例では、基材における開口の外周によって画定される直径又は面積は、覆いにおける開口の外周によって画定される直径又は面積よりも大きく、換言すれば、基材における開口は、覆いにおける開口の周りを取り囲み、覆いにおける開口よりも大きい。形状を問わず、基材の開口及び覆いの開口の一方又は両方は、支持区画に導入される液体又はゲル組成物の接触許容面積を画定し得る。
幾つかの例では、基材における開口は、覆いにおける開口よりも小さく、それにより、画定された導管は、基材に向かって先細りする円錐台状の断面を有する。この例では、支持区画内のゲルは、基材における開口に向かって下方傾斜する、導管に面する表面を有し、それにより細胞の層を形成することができる非垂直表面を提供する。
幾つかの例では、基材における開口及び覆いにおける開口は、それぞれ約2mm以下、例えば約1.5mm未満、例えば約1mm未満、例えば約500μm未満、例えば約250μm未満の直径又は最大寸法を有する。幾つかの例では、基材における開口及び覆いにおける開口は、それぞれ約1mm又は500μmの直径又は最大寸法を有する。幾つかの例では、基材における開口は、1mm又は500μmの直径を有し、覆いにおける開口は、1mmの直径又は最大寸法を有する。基材における開口は、好ましくは、安定した毛細管圧力障壁を形成するのに十分に小さいが、隙間の流れを通して満杯になるのを防ぐのに十分に大きい寸法であり、例えば約500μm以下の直径である。
幾つかの例では、基材の開口及び覆いの開口の一方又は両方は、毛細管圧力障壁として機能することにより、支持区画に導入された液体又はゲル組成物の接触許容面積を画定し得る。幾つかの例では、開口のリムは、更なる変更なしで毛細管圧力障壁として機能するように構成され得る。幾つかの例では、開口のリムは、毛細管圧力障壁として機能する、マイクロ流体チャネル内に延出するリップの形態の隆起セクションを供え得る。本明細書に記載される等の、開口のリムに形成される他の構成の毛細管圧力障壁も企図される。
幾つかの例では、基材における開口は、毛細管圧力障壁として機能して、導管に導入された液体が開口を通して基材に流れることを防ぐ。このようにして、細胞を含む培地は、基材における開口を通して培地(及び細胞)が失われることなく、覆いにおける開口を介して導管に導入することができる。
<導管>
本明細書に記載されるように、基材層及び覆い層は、それぞれ開口を含む。幾つかの例では、開口は、本明細書に記載のように配置されて、マイクロ流体装置を通して延びる導管を画定する。幾つかの例では、導管は、マイクロ流体層の面に垂直であるか又は直交する。例えば、使用中の向きでは、マイクロ流体層は、実質的に水平の向きであり得、導管は、実質的に垂直の向きであり得る。開口が互いにオフセットされて、マイクロ流体層の面に斜めの角度で導管を画定し得ることが理解されるであろう。幾つかの例では、導管は、例えば、基材の開口に向かって先細ることにより、円錐台状の断面である。この形態を有する導管は、ゲル表面の先細りに起因して、初期播種に有利であるとともに、後続実験中、播種された表面の撮像に有利である。
本明細書に記載されるように、基材層及び覆い層は、それぞれ開口を含む。幾つかの例では、開口は、本明細書に記載のように配置されて、マイクロ流体装置を通して延びる導管を画定する。幾つかの例では、導管は、マイクロ流体層の面に垂直であるか又は直交する。例えば、使用中の向きでは、マイクロ流体層は、実質的に水平の向きであり得、導管は、実質的に垂直の向きであり得る。開口が互いにオフセットされて、マイクロ流体層の面に斜めの角度で導管を画定し得ることが理解されるであろう。幾つかの例では、導管は、例えば、基材の開口に向かって先細ることにより、円錐台状の断面である。この形態を有する導管は、ゲル表面の先細りに起因して、初期播種に有利であるとともに、後続実験中、播種された表面の撮像に有利である。
幾つかの例では、導管は、覆いにおける開口及び/又は基材における開口を介して流体、例えば空気、気体又は液体の流れを受けるように構成される。流体の流れは、覆いにおける開口の上に配設されるウェル又はリザーバを介し得る。流体の流れは、開口と流体連通する装置の1つ又は複数の入口又は出口を介し得る。装置は、概して、流体(例えば圧縮空気若しくは気体又は分散粒子の流れ)の供給に接続するように構成される。例えば、装置は、取り外し可能なマニフォルドに接続されて、流体の流れを1つ又は複数のマイクロ流体ネットワークの1つ又は複数の導管に提供するように構成され得る。幾つかの例では、マニフォルドは、単一の流体供給を複数のマイクロ流体ネットワークの各導管に接続する、単一の流体の入口からの1つ又は複数の分岐を有し得る。幾つかの例では、マニフォルドは、単一のマイクロ流体ネットワークの導管に複数の流体供給を接続する1つ又は複数の分岐を有し得る。幾つかの例では、装置は、上述したように、それぞれ分岐された流路を有する2つ以上のマニフォルドに接続するように構成され得、1つのマニフォルドの流路は、マイクロ流体ネットワークの覆いの開口で終端し、第2のマニフォルドの流路は、マイクロ流体ネットワークの基材の開口で終端する。流体の供給は、正圧又は負圧の供給を含み、圧力の性質に応じて一方向又は逆方向への流れを生じさせる。したがって、両方向における導管を通る流体の流れを達成することができる。
<毛細管圧力障壁>
マイクロ流体装置のマイクロ流体ネットワークは、毛細管圧力障壁を含み得る。
マイクロ流体装置のマイクロ流体ネットワークは、毛細管圧力障壁を含み得る。
幾つかの例では、毛細管圧力障壁は、覆いにおける開口と実質的に整列する。幾つかの例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルを第1のサブ容積及び第2の副容積、例えば灌流区画及び支持区画又は支持区画及び導管に分割する。幾つかの例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの副容積を少なくとも部分的に画定する。
毛細管圧力障壁の機能及びパターニングについては、例えば国際公開第2014/038943 A1号パンフレットにおいて既に説明されている。以下で説明する例示的な実施形態から明らかになるように、毛細管圧力障壁は、本明細書では液滴保持構造とも呼ばれ、例えば液体を充填することができる壁又はキャビティとして理解されるべきではなく、そのような液滴が表面張力に起因して拡散しないことを保証する構造からなるか又はそれを含む。この概念は、メニスカス固定と呼ばれる。したがって、装置のマイクロ流体チャネルの領域、例えば支持区画への液体の安定した閉じ込めを達成することができる。一例では、毛細管圧力障壁は、閉じ込めフェーズガイドと呼ぶことができ、これは、細胞培養装置の通常の使用中又は第1の液体が細胞培養装置に最初に充填されている間、溢れ出ないように構成される。液体の閉じ込めの性質について、本発明の方法の説明と併せて後に説明する。幾つかの例では、開口は、毛細管圧力障壁として機能することができる。例えば、基材における開口は、毛細管圧力障壁として機能して、液体を固定することができるか、又は覆いにおける開口は毛細管圧力障壁として機能することができる。
一例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの内面から突出する材料のリム若しくは稜又はマイクロ流体チャネルの内面における溝を含むか又はそれからなる。リム又は稜の側壁は、好ましくは、可能な限り大きい、リム又は稜の上部との角度αを有し得る。良好な障壁を提供するために、角度αは、70°よりも大きい角度、典型的には90°前後であるべきである。稜の側壁と、毛細管圧力障壁が位置するマイクロ流体チャネルの内面との間の角度αに対しても同じことが当てはまる。同様の要件は、溝として形成される毛細管圧力障壁にも課される。
代替の形態の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの内面と異なる濡れ性の材料の領域であり、毛管力/表面張力に起因して拡散ストップとして作用する。一例では、マイクロ流体チャネルの内面は、親水性材料を含み、毛細管圧力障壁は、疎水性材料又は親水性のより低い材料の領域である。一例では、マイクロ流体チャネルの内面は、疎水性材料を含み、毛細管圧力障壁は、親水性材料又は疎水性のより低い材料の領域である。
一例では、毛細管圧力障壁は、リム若しくは稜、溝、孔、疎水性系列の材料又はそれらの組合せから選択される。他の例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの拡幅又は選択された間隔の柱により作成することができ、その配置は、ゲルによって占められる支持区画を画定することができる。一例では、柱は、マイクロ流体チャネルの全高に延びる。
毛細管圧力障壁の存在の結果として、液体は、毛細管圧力障壁を越えて流れることを防がれ、マイクロ流体チャネル、例えば第1、第2又は第3の副容積の1つ又は複数において安定して閉じ込められた容積を形成できるようにし、それらの何れかは、支持区画、灌流区画又は導管と呼ばれ得るか、又はそれらとして機能し得る。
一例では、毛細管圧力障壁は、覆い層の下側に位置し、開口から離間される。一例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体層の基材上又は覆いにおける開口とは逆若しくは開口に面するマイクロ流体チャネルの内面上に提供される。一例では、毛細管圧力障壁は、基材層上に位置し、開口から離間される。一例では、毛細管圧力障壁は、先に定義したように存在し、流体の液滴を、覆いの開口と整列したマイクロ流体層の副容積に閉じ込める。
一例では、毛細管圧力障壁は、支持区画と呼ばれることもある、マイクロ流体チャネルの第1の副容積の表面、例えば床を少なくとも一部分において画定する。毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの第1の副容積に流体を閉じ込めるように構成される。一例では、毛細管圧力障壁は、閉じられた幾何学的構成を有する。一例では、毛細管圧力障壁は、覆い層の開口と同心である。
一例では、毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの全幅に広がり、マイクロ流体チャネルの側壁と各端部で交わる実質的に線状の毛細管圧力障壁である。
<第2の毛細管圧力障壁>
幾つかの例では、装置のマイクロ流体ネットワークは、第2の毛細管圧力障壁を設けられ、この形態及び機能については、実質的に上述したようなものである。誤解を避けるために、「毛細管圧力障壁」への言及は、第2の毛細管圧力障壁が装置に存在する場合、「第1の毛細管圧力障壁」への言及として理解されたい。幾つかの例では、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体ネットワーク内、例えば支持区画内の流体の液滴の拡散を制限するように構成され、位置する。
幾つかの例では、装置のマイクロ流体ネットワークは、第2の毛細管圧力障壁を設けられ、この形態及び機能については、実質的に上述したようなものである。誤解を避けるために、「毛細管圧力障壁」への言及は、第2の毛細管圧力障壁が装置に存在する場合、「第1の毛細管圧力障壁」への言及として理解されたい。幾つかの例では、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体ネットワーク内、例えば支持区画内の流体の液滴の拡散を制限するように構成され、位置する。
一例では、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの内面上に提供される。例えば、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの内面上のマイクロ流体層の基材上又はマイクロ流体チャネルの内面上のマイクロ流体層の覆い上に存在する。一例では、第2の毛細管圧力障壁は、開口と整列したマイクロ流体層の領域に流体の液滴を閉じ込めるために、先に定義したように存在する。
一例では、第2の毛細管圧力障壁は、第1の毛細管圧力障壁と組み合わせて、マイクロ流体チャネルの基材上の支持区画の表面を少なくとも一部分において画定する。第2の毛細管圧力障壁は、第1の毛細管圧力障壁と組み合わせて、支持区画に流体を閉じ込めるように構成される。
一例では、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体チャネルの全幅に広がり、マイクロ流体チャネルの側壁と各端部で交わる実質的に線状の毛細管圧力障壁である。この例では、第1及び第2の毛細管圧力障壁は、それらが交わる壁と併せて、覆い層の開口と整列するとともに、覆いの開口と同心でもあり得る領域を画定し得る。代替又は追加として、第1及び第2の毛細管圧力障壁は、それらが交わる壁と併せて、基材層の開口と整列するとともに、基材の開口と同心でもあり得る領域を画定し得る。これらの例では、第1の毛細管圧力障壁は、支持区画を含む第1の副容積及び第1の灌流区画を含む第2の副容積にマイクロ流体ネットワークを分割するものと見なすことができ、第2の毛細管圧力障壁は、マイクロ流体ネットワークを、支持区画を含む第1の副容積及び第2の灌流区画を含む第3の副容積に分割する。換言すれば、1つの毛細管圧力障壁は、少なくとも1つの支持区画と、少なくとも1つの灌流区画との間の境界を少なくとも一部分において画定し、及び/又は1つの毛細管圧力障壁は、少なくとも1つの支持区画と導管との間の境界を少なくとも一部分において画定する。
<リザーバ>
幾つかの例では、マイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体チャネルへの培地入口と流体連通するリザーバ又はウェルを含む。リザーバは、マイクロ流体ネットワークの覆い層の上に配設されたリザーバ層に存在し得る。リザーバは、液体、例えば培養培地の容積を保持するために存在し得る。典型的な実施形態では、リザーバは、マイクロ流体チャネルによって保持されるか、又は保持することができるよりも大きい容積の流体を保持することが可能である。リザーバは、マイクロ流体層の上部に配設された底のないマイクロタイタープレート上の導管と整列したウェルへの近傍ウェルであり得、灌流区画と流体接触し得る。リザーバは、マイクロ流体層の上部に配設された底のないマイクロタイタープレート上の導管と整列したウェルの近傍ウェルであり得、支持区画に流体接触し得る。他の例では、リザーバは、同じマイクロタイタープレート上にあるが、導管のウェルから空間的に離れたウェルであり得る。導管のウェル及びリザーバがそれぞれマイクロ流体層と流体連通する限り、導管のウェルへのリザーバの近接性が装置の動作にとって重要ではないことが理解されるであろう。
幾つかの例では、マイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体チャネルへの培地入口と流体連通するリザーバ又はウェルを含む。リザーバは、マイクロ流体ネットワークの覆い層の上に配設されたリザーバ層に存在し得る。リザーバは、液体、例えば培養培地の容積を保持するために存在し得る。典型的な実施形態では、リザーバは、マイクロ流体チャネルによって保持されるか、又は保持することができるよりも大きい容積の流体を保持することが可能である。リザーバは、マイクロ流体層の上部に配設された底のないマイクロタイタープレート上の導管と整列したウェルへの近傍ウェルであり得、灌流区画と流体接触し得る。リザーバは、マイクロ流体層の上部に配設された底のないマイクロタイタープレート上の導管と整列したウェルの近傍ウェルであり得、支持区画に流体接触し得る。他の例では、リザーバは、同じマイクロタイタープレート上にあるが、導管のウェルから空間的に離れたウェルであり得る。導管のウェル及びリザーバがそれぞれマイクロ流体層と流体連通する限り、導管のウェルへのリザーバの近接性が装置の動作にとって重要ではないことが理解されるであろう。
幾つかの例では、マイクロ流体ネットワークは、マイクロ流体層の入口又は出口と適宜呼ばれ得る、覆い層における開口を介してマイクロ流体層と流体連通する2つ以上、例えば2つ又は3つ以上のリザーバを含む。少なくとも2つのリザーバがマイクロ流体ネットワークに存在する実施形態では、第1のリザーバは、流体、例えば培養培地をマイクロ流体ネットワークに導入するのに使用され得る一方、第2のリザーバは、通気口として又は本発明の方法の実行中に流体を受けるための溢出区画として機能し得る。
<囲い>
幾つかの例では、マイクロ流体細胞培養装置は、基材の外部、覆いの外部又は両方を少なくとも部分的に囲むか又は覆う囲いを含む。幾つかの例では、囲いは、リザーバ層、例えばマイクロ流体ネットワークの覆い上に配設されたマイクロタイタープレートを少なくとも部分的に囲むか又は覆う。囲いは、細胞培養が滅菌された状態を維持することができるように、マイクロ流体ネットワーク内の環境の分離を可能にし、埃及び他の小さい/超微細粒子を排除できるようにする。幾つかの例では、囲いは、その縁部から延びるリムを有するプレートの形態を有する。幾つかの例では、囲いは、装置の当接面と係合して、封止を形成するように構成される。幾つかの例では、囲いのリムは、装置の当接面と係合する。幾つかの例では、囲いは、装置と非気密で係合するように構成される。幾つかの例では、囲いは、装置と非気密で係合するが、囲い及び/又は装置への困難な又は曲がりくねった流路を提供するように装置と係合するように構成される。
幾つかの例では、マイクロ流体細胞培養装置は、基材の外部、覆いの外部又は両方を少なくとも部分的に囲むか又は覆う囲いを含む。幾つかの例では、囲いは、リザーバ層、例えばマイクロ流体ネットワークの覆い上に配設されたマイクロタイタープレートを少なくとも部分的に囲むか又は覆う。囲いは、細胞培養が滅菌された状態を維持することができるように、マイクロ流体ネットワーク内の環境の分離を可能にし、埃及び他の小さい/超微細粒子を排除できるようにする。幾つかの例では、囲いは、その縁部から延びるリムを有するプレートの形態を有する。幾つかの例では、囲いは、装置の当接面と係合して、封止を形成するように構成される。幾つかの例では、囲いのリムは、装置の当接面と係合する。幾つかの例では、囲いは、装置と非気密で係合するように構成される。幾つかの例では、囲いは、装置と非気密で係合するが、囲い及び/又は装置への困難な又は曲がりくねった流路を提供するように装置と係合するように構成される。
幾つかの例では、マイクロ流体装置は、基材の外部を少なくとも部分的に囲うか又は覆う第1の囲いと、覆い又は覆い上に配設されたリザーバ層の外部を少なくとも部分的に囲うか又は覆う第2の囲いとを含む。幾つかの例では、囲いは、基材の外部及び覆い又はリザーバ層の外部を完全に囲う単一の囲いである。幾つかの例では、囲いは、マイクロ流体装置全体を完全に囲う単一の囲いである。幾つかの例では、囲いの全て又は一部は、装置から取り外し可能である。誤解を避けるために、ある囲い、その囲い又はその少なくとも1つの囲のいかなる特定の特徴への本明細書での言及も、基材を覆う囲い、覆いを覆う囲い又は両方の囲いへの言及である。
幾つかの例では、囲いは、流体交換のためのポートを設けられる。幾つかの例では、囲いは、流体の流れを導くためのチューブを設けられる。幾つかの例では、囲いは、光アクセスのための窓又は透明部を設けられる。幾つかの例では、囲いは、汚染なしで流体を交換するためのフィルターを設けられる。幾つかの例では、囲いは、汚染なしで気体流体を交換するための屈曲路を設けられる。囲いがマイクロ流体装置と係合する場合、屈曲路は、囲いと、基材若しくは覆い又はリザーバ層の外部との間に提供され得る。幾つかの例では、屈曲路は、囲い自体内に提供される。屈曲路は、細菌、微粒子及びマイクロ流体細胞培養装置内で実行中の細胞培養実験に悪影響を及ぼす恐れのある他の物質の流れを有効に制限する。
幾つかの例では、囲いは、2つ以上の流体の入口及び2つ以上の流体の出口を含む。幾つかの例では、2つ以上の流体の入口及び2つ以上の流体の出口は、接続チャネルを介して複数のマイクロ流体ネットワークの導管に接続される。幾つかの例では、流体の入口の数は、出口の数及び/又は接続された導管の数と異なり、それにより流路の分割及び/又は統合を許容する。そのような構成は、装置の単一の入口から複数の導管及び/若しくは出口を通る流体のルーティング又は複数の入口及び/若しくは導管から単一の出口への流体のルーティングを可能にする。幾つかの例では、囲いは、本明細書に記載のように正又は負の圧力源に接続される。
<<方法>>
<流体流体界面を作成する方法>
一例では、基材、マイクロ流体チャネル及び覆いを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体細胞培養装置に流体流体界面を作成する方法が提供され、マイクロ流体チャネルの内部には、少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画があり、基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、本方法は、
導管に面する足場表面を形成するために、支持足場を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞が足場表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
<流体流体界面を作成する方法>
一例では、基材、マイクロ流体チャネル及び覆いを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体細胞培養装置に流体流体界面を作成する方法が提供され、マイクロ流体チャネルの内部には、少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画があり、基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、本方法は、
導管に面する足場表面を形成するために、支持足場を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞が足場表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
幾つかの例では、支持足場は、膜を含む。幾つかの例では、支持足場は、ゲルを含み、及び支持足場を少なくとも1つの支持区画に導入するステップは、液体ゲル前駆体を導入するステップを含む。幾つかの例では、液体前駆物質は、支持区画に固定されて、導管に面する足場表面を形成する。
したがって、一例では、基材、マイクロ流体チャネル及び覆いを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体細胞培養装置に流体流体界面を作成する方法が提供され、マイクロ流体チャネルの内部には、少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画があり、基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それによりマイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、本方法は、
ゲル又はゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
導管に面するゲル表面を形成するために、ゲル又はゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に固定するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞がゲル表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
ゲル又はゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
導管に面するゲル表面を形成するために、ゲル又はゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に固定するステップと、
細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップと、
細胞がゲル表面上に層を形成することを許容するステップと、
細胞を暴露するために、導管から培地を除去するステップと
を含む。
幾つかの例では、本明細書に記載の方法は、
ゲル又は液体ゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
導管に面する硬化したゲル表面を形成するために、ゲル又は液体ゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画内に固定し、且つゲル又は液体ゲル前駆体の容量の硬化又はゲル化を許容するステップと
を含む。
ゲル又は液体ゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
導管に面する硬化したゲル表面を形成するために、ゲル又は液体ゲル前駆体を少なくとも1つの支持区画内に固定し、且つゲル又は液体ゲル前駆体の容量の硬化又はゲル化を許容するステップと
を含む。
幾つかの例では、本明細書に記載される方法は、ゲル又は液体ゲル前駆体の容量を支持区画に導入し、且つゲル又は液体ゲル前駆体の容量の毛細管圧力障壁による閉じ込めを許容するステップと、導管に面する硬化したゲル表面を形成するためにゲル又は液体ゲル前駆体の容量の硬化又はゲル化を許容するステップとを含み得る。幾つかの例では、ゲル又は液体ゲル前駆体の容量は、単一の液滴又は液滴サイズの容量のゲル又は液体ゲル前駆体であり得る。
ゲル又は液体ゲル前駆体は、細胞培養に適した当技術分野で既知の任意のヒドロゲルを含む。細胞培養に使用されるヒドロゲルは、広範囲の天然材料及び合成材料から形成することができ、広範な機械的及び化学的性質を提供する。ヒドロゲル合成に使用される材料及び方法の概説については、Lee及びMooney(Chem Rev 2001;101(7):1869-1880)を参照されたい。適したヒドロゲルは、天然材料から形成された場合、細胞機能を促進し、合成材料から形成された場合、細胞機能を許容する。細胞培養のための天然ゲルは、典型的には、コラーゲン、フィブリン、ヒアルロン酸又はマトリゲル等のタンパク質及びECM成分並びにキトサン、アルギン酸塩又はシルク線維等の他の生体源に由来する材料から形成される。それらは、天然源由来であるため、これらのゲルは、本質的に生体適合性であるとともに、生体活性がある。許容される合成ヒドロゲルは、純粋な非天然分子、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)で形成することができる。PEGヒドロゲルは、包まれた細胞の生存能力を維持し、分解するにつれてECM沈着を許容することが示されており、合成ゲルが、インテグリン結合リガンドがなくても3D細胞培養プラットフォームとして機能し得ることを実証している。このような不活性ゲルは、再現性が高く、機械的性質の容易な調整を許容し、簡単に加工及び製造される。
ゲル又はゲル前駆体は、マイクロ流体細胞培養装置、例えば上述したような装置の支持区画に提供することができる。ゲル又はゲル前駆体が提供された後、例えば更なる流体が灌流区画に導入される前に、ゲル化が引き起こされるか又はゲル化が生じる。適した(前駆体)ゲルは、当技術分野で周知である。例として、ゲル前駆体は、ヒドロゲルであり得、典型的には細胞外マトリクス(ECM)ゲルである。ECMは、例えば、コラーゲン、フィブリノゲン、フィブロネクチン及び/又はMadrigel若しくは合成ゲル等の基底膜抽出物を含み得る。ゲル前駆体は、例として、支持区画と流体連通するウェル又はリザーバを介して、ピペットを用いて支持区画に導入され得る。
ゲル又はゲル前駆体は、基底膜抽出物、ヒト又は動物の組織又は細胞培養由来の細胞外マトリクス、動物組織由来の細胞外マトリクス、合成細胞外マトリクス、ヒドロゲル、コラーゲン、軟寒天、卵白及びMadrigel等の市販の製品を含み得る。
基底板を含む基底膜は、インビボで上皮細胞の下にある薄い細胞外マトリクスであり、タンパク質及びプロテオグリカン等の細胞外マトリクスで構成される。一例では、基底膜は、コラーゲンIV、ラミニン、エンタクチン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン及び多数の他の微量成分で構成される(Quarantaら,Curr.Opin.Cell Biol.6,674-681,1994)。無傷の基底膜とともに、これらの成分も単体で生物学的に活性であり、細胞接着、移動並びに多くの場合に増殖及び分化を促進する。基底膜に基づくゲルの一例は、Matrigel(米国特許第4829000号明細書)と呼ばれる。この材料は、上皮細胞の基層としてインビトロで生物学的に非常に活性である。
本発明の方法で使用するのに適した多くの種々のゲルは、市販されており、そうしたゲルとしては、限定されないが、Matrigel rgf、BME1、BME1rgf、BME2、BME2rgf、BME3(全てMatrigel多様体)、コラーゲンI、コラーゲンIV、コラーゲンI及びIVの混合物、コラーゲンI及びIVの混合物並びにコラーゲンII及びIIIの混合物)、プラマトリクス(puramatrix)、ヒドロゲル、Cell-Tak(商標)、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel(登録商標)マトリクス、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、オステオポンチン、ポリリジン(PDL、PLL)、PDL/LM及びPLO/LM、PuraMatrix(登録商標)又はビトロネクチンが挙げられる。好ましい一実施形態では、マトリクス成分は、市販のCorning(登録商標)MATRIGEL(登録商標)マトリクス(Corning、NY14831、USA)として得られる。
ゲル又はゲル前駆体は、本明細書に記載される装置に導入され、マイクロ流体装置内の毛細管圧力障壁により、例えば支持区画に閉じ込められ、その後、必要に応じてゲル化が引き起こされるか又はゲル化が生じる。
一例では、硬化したゲルが、マイクロ流体層内にある支持区画内に実質的に完全に位置するように、十分な容量の液滴が導入される。一例では、ゲル化した液滴は、マイクロ流体覆い層における開口を閉鎖せず、その場合、開口の閉鎖されない又は開放された領域を通気口として使用することができる。したがって、通気口は、概して、入口を通してマイクロ流体チャネルに装填するときに排気を許容する覆い層の開口部又は開口を含む。一例では、それぞれ毛細管圧力障壁として機能することもできる、液滴が支持区画と灌流区画との間の境界において毛細管圧力障壁により、且つ/又は覆いにおける開口のリムにより、且つ/又は基材における開口のリムにより閉じ込められるように、十分な容量の液滴が導入される。
幾つかの例では、基材開口のリムは、培地が追加されるとき、導管からの培地の流れを防ぐための毛細管圧力障壁として機能する。幾つかの例では、細胞を含む培地が導管に導入されている間、取り外し可能なポリマーフィルムが基材層の下側と接触して、基材開口を覆い得る。マイクロ流体装置が「使用中」の向きであるとき、導管を充填することが最も好都合であり、基材開口を通る流れが阻止されている間、導管が覆い開口を介して最も好都合に充填されることを意味することが理解されるであろう。しかしながら、マイクロ流体装置を反転させて、覆い開口を通した流れを防ぎながら、基材開口を介して導管を充填することも等しく可能であることを当業者であれば即座に認識可能である。
方法は、細胞を含む培地を、基材における開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、覆いにおける開口を介して導管に導入するステップを含む。しかしながら、同様に容易に、細胞を含む培地を、覆いにおける開口を介した導管からの培地の流れを防ぎながら、基材における開口を介して導管に導入し得ることが明らかになるでろう。
幾つかの例では、培地の少なくとも一部分は、細胞とは別個に導管に導入され、細胞は、基材開口及び/又は覆い開口を介して別個に培地の少なくとも一部分に追加される。音響的液滴ディスペンサ等の非接触分注技法を含め、任意の液体取り扱い技法を使用して、細胞を導管に導入することができる。幾つかの例では、特に細胞を含む小量の培地が導入されている場合、細胞の追加に先立ち、培地の一部分で導管をプリウェットする。
細胞を含む培地が導管に加えられると、存在する細胞は、導管をライニングするゲルの表面上に定着させることができる。幾つかの例では、細胞は、重力及び/又はマイクロ流体装置の傾斜を通して層を形成することができる。傾斜の程度は、基材開口及び覆い開口の相対位置並びに結果として生成されるそれらの2つの間のゲル表面の勾配に依存し得る。幾つかの例では、任意の時点での傾斜の程度は、水平から90°まで、例えば80°まで、例えば70°まで、例えば60°まで、例えば50°まで、例えば40°まで、例えば30°まで、例えば20°までであり得る。
幾つかの例では、細胞は、上皮細胞、例えば肺上皮細胞、皮膚上皮細胞、消化管上皮細胞、角膜上皮細胞又は粘液生成上皮細胞を含む。幾つかの例では、細胞は、インビボで流体流体界面に見られる任意の上皮細胞を含む。
細胞がゲル表面に付着すると、残りの培地は、導管から入念に除去することができる。培地の除去は、いかなる付着細胞の取り外しも回避しながら、慎重に実行され得る。幾つかの例では、培地は、圧力パルス、慣性、基材の開口に固定された培地の表面張力の変化、培地と導管の固体部分との間の接触角の変化、吸引、装置の上又は下からの受けレセプタクルとの培地の接触、機械的、音響的、静電的、電磁的又は他の作動及び蒸発の1つ又は複数によって導管から除去される。培地の表面張力及び培地と導管の固体部分との接触角は、例えば、界面活性剤の追加又は基板の表面荷電の変更(エレクトロウェッティング)により変更され得る。培地を除去すると、細胞が暴露され、導管及び灌流区画の両方が空であるため、まず空気空気界面が作成される。したがって、幾つかの例では、流体流体界面は、空気空気界面である。他の例では、流体流体界面は、実験の性質並びに灌流区画及び/又は導管が液体又は空気/気体で充填されているか否かに応じて、空気液体界面又は液体液体界面である。
幾つかの例では、栄養素の供給は、灌流区画を介して、付着した細胞に提供される。例えば、細胞に提供される栄養素の供給は、少なくとも1つの灌流チャネルから少なくとも1つの支持区画を通して細胞に、拡散又は支持区画の透過性インターフェースを通る間隙流を介して輸送することができる。透過性インターフェースは、本明細書に記載される1つ又は複数の毛細管圧力障壁(開口のリムを含む)又は孔にECMゲルを有し得る透過性膜によって固定された細胞外マトリクスであり得る。幾つかの例では、付着した細胞は、導管の境界全体の周囲に延びるように、支持区画の表面上に形成することができる。例えば、導管が円形断面を有する状況では、付着した細胞は、導管を囲む完全な細管を形成することができ得る。
幾つかの例では、1つ又は複数のタイプの細胞が灌流区画に導入され、層又は細胞集合体を形成することができる。幾つかの例では、1つ又は複数のタイプの細胞又は細胞集合体は、潜在的に管若しくは血管を形成する、灌流区画をライニングする上皮細胞若しくは内皮細胞;好ましくは管腔構造を形成し、より好ましくは血管床を形成する、ゲル、細胞外マトリクス若しくは足場内部に配置される上皮細胞若しくは内皮細胞;ゲル、細胞外マトリクス若しくは足場内若しくは上の間質細胞;又は所望のインビトロモデルシステムの作成に必要であり得る他の任意のタイプの細胞から選択され得る。
毛細管圧力障壁の使用により、例えばマイクロ流体ネットワークの支持区画に安定して閉じ込められたゲルの形成が可能になり、それにより、灌流区画への第2の流体の追加は、ゲル又は灌流区画の内容物を変位せずに行うことができる。したがって、本発明の装置は、上述したように、他の細胞との空間的に制御された共培養を行うように構成され、周囲の培地の組成を制御する手段を提供する。記載される方法内において、リザーバ(本明細書ではウェルとも呼ばれる)に装填される流体は、細胞培養培地、試験液、バッファー、更なるヒドロゲル等の何れかであり、任意選択的に細胞又は細胞集合体を含み得る。
毛細管圧力障壁の使用により、例えばマイクロ流体ネットワークの支持区画に安定して閉じ込められたゲルの形成が可能になり、それにより、灌流区画への第2の流体の追加は、ゲル又は灌流区画の内容物を変位せずに行うことができる。したがって、本発明の装置は、上述したように、他の細胞との空間的に制御された共培養を行うように構成され、周囲の培地の組成を制御する手段を提供する。記載される方法内において、リザーバ(本明細書ではウェルとも呼ばれる)に装填される流体は、細胞培養培地、試験液、バッファー、更なるヒドロゲル等の何れかであり、任意選択的に細胞又は細胞集合体を含み得る。
リザーバに導入される組成物を制御することにより、本発明の細胞培養装置は、様々な細胞培養モードを可能にする。例えば、リザーバ又はウェルに導入される流体の組成は、変更することができる。そのような交換は、新しい組成物をリザーバの1つに導入し、それと同時に、完全な交換が行われるまで、同じマイクロ流体ネットワーク内の別のリザーバから流体を除去することによる勾配交換であり得る。そのような交換は、流体をリザーバから吸引し、そこに新しい組成物を充填することにより、不連続でもあり得る。リザーバ内の流体容量は、マイクロ流体チャネル内の流体容量よりもはるかに大きく、リザーバ間のレベリングは、略瞬時に生じ、それにより、手順中、マイクロ流体チャネルネットワークを空にする必要なしにマイクロ流体ネットワークを新しい流体でフラッシュすることを保証する。
<刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法>
一例では、刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法は、本明細書に記載される方法に従い、マイクロ流体装置に流体流体界面を作成するステップと、導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップとを含む。
一例では、刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法は、本明細書に記載される方法に従い、マイクロ流体装置に流体流体界面を作成するステップと、導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップとを含む。
一例では、刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法は、本明細書に記載されるアッセイプレートを使用するステップと、導管を通して流体の流れを進めることにより、暴露された細胞を流体の流れに当てるステップとを含む。
上述したように流体流体界面が作成されると、刺激薬に対する細胞の応答を調査するために、培養された細胞に対して実験を実行することが可能になる。例えば、細胞の細管を有する導管を通して進められる流体の流れは、空気、煙、蒸気、煙霧、病原体、超微粒子、分析物、
医薬品候補又は関心のある他の化合物の1つ又は複数を含み得る。流体の流れは、ガスの流れ又は液体流であり得る。典型的には、肺モデルが作成され、調査中である場合、肺環境を再現するために、界面は、空気液体界面であるため、流体の流れは、通常、ガスの流れである。
医薬品候補又は関心のある他の化合物の1つ又は複数を含み得る。流体の流れは、ガスの流れ又は液体流であり得る。典型的には、肺モデルが作成され、調査中である場合、肺環境を再現するために、界面は、空気液体界面であるため、流体の流れは、通常、ガスの流れである。
幾つかの例では、導管を通して進められた流体の流れは、刺激薬を有さず、代わりに細胞の層から細胞のサンプルを集めるか、又は細胞の層の剪断応力を誘導する。換言すれば、流体の流れは、サンプル収集及びサンプル調査の目的にも役立ち得る。幾つかの例では、導管を通して進められた流体の流れは、単に培養培地であり、支持区画を介して灌流区画から細胞に栄養素を輸送するのではなく、細胞に栄養素を直接提供する。
幾つかの例では、実験は、第1の流体の流れ内の刺激薬に細胞を当てることと、その後、細胞に対する刺激薬の影響を特定するために、第1の流体の流れと異なる第2の流体の流れを使用して細胞を集めることとを含み得る。幾つかの例では、刺激薬への細胞の応答は、導管から細胞を除去せずにインサイチューでモニタすることができる。幾つかの例では、細胞の応答を特定することは、調査の性質に応じて、細胞の表現型、細胞の形態学及び細胞の機能の1つ又は複数をアッセイすることを含み得る。
幾つかの例では、導管を通して進められた流体の流れは、少なくとも部分的に集められ、2回目又は複数回、導管を通して少なくとも部分的に再循環され得る。再循環は、ポンプの使用によって達成され得る。
幾つかの例では、方法は、流体流体界面を形成する方法と併せて上述したように、少なくとも1つの灌流区画を介して栄養素の供給を細胞に提供することを含む。例えば、栄養素の供給は、少なくとも1つの灌流チャネルから少なくとも1つの支持区画を通して細胞に、拡散又は支持区画の透過性インターフェースを通る間隙流を介して提供され得る。
幾つかの例では、方法は、任意選択的に暴露された細胞が流体の流れに当たる前又は後に、1つ又は複数のタイプの細胞を少なくとも1つの灌流区画に導入し、1つ又は複数のタイプの細胞が層又は細胞集合体を形成することを許容するステップを含む。
<<アッセイプレート>>
本発明の更なる態様は、本明細書に記載される装置の何れかを含むアッセイプレートを提供する。
本発明の更なる態様は、本明細書に記載される装置の何れかを含むアッセイプレートを提供する。
一例では、支持区画内に足場又は他の支持構造を有する、本明細書に記載されるマイクロ流体装置を含むアッセイプレートが提供される。幾つかの例では、アッセイプレートのマイクロ流体ネットワークは、例えば、導管に面する足場若しくは支持構造の内部若しくは上、及び/又はマイクロ流体チャネル内に存在する1つ又は複数の細胞又は細胞集合体を含む。幾つかの例では、足場又は支持構造は、ゲル、細胞外マトリクス及び/又は膜を含む。幾つかの例では、細胞又は細胞集合体は、導管と少なくとも部分的に並ぶ。幾つかの例では、細胞は、上皮細胞、例えば肺上皮細胞である。幾つかの例では、細胞又は細胞集合体は、導管と少なくとも部分的に並び、それにより本明細書に記載されるように調査することができる流体流体界面を形成する。
アッセイプレートは、本明細書に記載される方法によって培養された1つ又は複数の細胞又は細胞集合体を含み得る。アッセイプレートの寸法は、標準ANSI/SLASマイクロタイタープレートフォーマットに合致するか又はそれと互換性がある。特に、アッセイプレートのフットプリント又は外周の寸法は、マイクロタイタープレートのANSI/SLAS標準と一貫し得る。
また説明されるのは、アッセイプレート又は本明細書に記載される方法の何れかによって製造される細胞培養装置である。
<キット>
本開示は、本明細書に記載されるマイクロ流体装置及びアッセイプレートを使用するためのキット及び製品も提供する。幾つかの例では、キットは、本明細書に記載される装置又はアッセイプレートと、ゲル、ゲル前駆体組成物又は他の細胞外マトリクス組成物と;1つ又は複数の細胞又は細胞タイプと;成長培地と;1つ又は複数の試薬組成物の1つ又は複数とを含み得る。
本開示は、本明細書に記載されるマイクロ流体装置及びアッセイプレートを使用するためのキット及び製品も提供する。幾つかの例では、キットは、本明細書に記載される装置又はアッセイプレートと、ゲル、ゲル前駆体組成物又は他の細胞外マトリクス組成物と;1つ又は複数の細胞又は細胞タイプと;成長培地と;1つ又は複数の試薬組成物の1つ又は複数とを含み得る。
キットは、パッケージ材料と、使用指示を提供する、パッケージ材料内に含まれるラベル又はパッケージインサートとを更に含み得る。
キットは、細胞導入に適した培地を含む第2の容器等の組立体構成要素と、培地の使用についての指示とを更に含み得る。
<<<図の詳細な説明>>>
ここで、本発明について、図面を参照して単に例として説明する。
ここで、本発明について、図面を参照して単に例として説明する。
図1~図3にマイクロ流体装置の第1の例を概略的に示す。図1に示す装置100は、概して、基材101と、マイクロ流体層内のマイクロ流体チャネル102と、覆い103とを含む(全て実線で示す)。マルチウェル底なしプレートの形態の上層104は、覆い層の上部に配設され、ウェル又はリザーバ105を含む。培地入口106は、マイクロ流体層の覆い層に存在する。2つの毛細管圧力障壁112a及び112bは、装置の基材101上に存在し、基材の開口109及び覆い層103の開口110を介してアクセス可能である。この例では、1つのウェル又はリザーバ105が、基材開口109及び覆い開口110の上に位置する。別個のウェルが培地入口106の上に提供される。導管111は、マイクロ流体装置を通して提供され、基材開口109及び覆い開口110によって画定される。
図2及び図3から分かるように、マイクロ流体チャネル102は、毛細管圧力障壁112a及び112bによって3つの副容積に分割される。毛細管圧力障壁112aの左側には、第1の灌流区画107aがあり、フローチャネルがその専用培地入口及び出口に繋がる。毛細管圧力障壁112bの右側において、対応する第2の灌流区画107bを見出すことができる。第1及び第2の毛細管圧力障壁112a及び112b内のマイクロ流体チャネル102の領域は、支持区画108を画定し、この例では、支持区画108は、基材開口109及び覆い開口110並びにそれにより画定された導管111を囲む。支持区画108は、専用フローチャネルによって接続されたそれ自体の培地入口も有する。この例では、材料が支持区画108に導入されるとき、導管111が通気口として機能するため、支持区画108の専用培地出口は必要ない。
図2における基材開口109及び覆い開口110は、後続の図でも同様に、円形開口として示されている。しかしながら、開口は、任意の形状を有することができ、円形及び正方形が好ましいことが理解されるであろう。
図4A~図4Dは、毛細管圧力障壁の配置及び開口寸法に関して異なる構成のマイクロ流体細胞培養装置の更なる例を示す。
図4Aは、基材開口109が覆い開口110よりもはるかに狭い一例の装置を示す。その結果、支持区画108がゲルで充填されると、開口111に面するゲル表面は、基材開口109に向かって下方に傾く。換言すれば、開口109及び110、支持区画108内のゲルの表面並びに上のリザーバによって画定された導管111は、円錐台状の断面を有し、基材開口109に向かって先細る。図4Aの装置では、毛細管圧力障壁112a及び112bは、基材101上に置かれ、マイクロ流体チャネル内に突出する。この図でのように基材開口の幅を狭めることには、基材開口を通る漏れ(の可能性)を低減する効果、即ち重力による下向きの力を低減する効果がある。幅の広い覆い開口ほど、導管へのアクセスが改善されるという利点がある。
図4Bは、基材開口109が覆い開口110よりもはるかに広い一例の装置を示す。その結果、支持区画108がゲルで充填されると、開口111に面するゲル表面は、基材開口109に向かって外に広がる。換言すれば、開口109及び110、支持区画108内のゲルの表面並びに上のリザーバによって画定された導管111は、砂時計型断面を有する。図4Bの装置では、毛細管圧力障壁112a及び112bは、覆い103上に置かれ、マイクロ流体チャネル内に突出する。この図に示されるのと同様に、基材開口が広いほど、例えば底部開口を通して細胞を播種するとき又は導管から1つ又は複数の細胞を抽出するとき、装置の底部からのアクセスをより容易にすることができる。更に、広い基材開口を有することで、細胞と撮像装置との間に底部基板がない場合、撮像品質を改善し得る。
図4Cは、基材開口109が覆い開口110よりもはるかに狭い一例の装置を示す。その結果、支持区画108がゲルで充填されたとき、開口111に面するゲル表面は、基材開口109に向かって下方に傾く。換言すれば、開口109及び110、支持区画108内のゲルの表面並びに上のリザーバによって画定された導管111は、円錐台状の断面を有し、基材開口109に向かって先細る。図4Cの装置では、毛細管圧力障壁112a及び112bは、基材101上に置かれ、マイクロ流体チャネル内に突出するが、図4Aの例よりも基材開口109にはるかに近い。図4Cのレイアウトのように、覆い開口よりもはるかに広い基材開口を有することにより、図5の細胞層向きとは逆の細胞層向きが可能になる。これは、流体の流れが基材開口を通して下から到来する場合、細胞層の周囲で異なる流体の流れパターンを有するため又は細胞層に沿って同じ流体の流れを有するために有利であり得る。
図5A~図5Cは、本明細書に記載されるマイクロ流体装置に流体流体界面を作成する方法のステップを示す。
図5Aは、支持区画108に充填され、基材開口109、覆い開口110並びに第1及び第2の毛細管圧力障壁112a及び112bによって所定位置に固定されたゲル又はゲル前駆体114を示す。
図5Bは、導管111(付番なし)に導入された培地115を示す。培地115内に懸濁した細胞116は、培地115の下位に向かって沈下し始めているものとして示されている。基材開口109は、毛細管圧力障壁として機能して示されており、培地115を導管111内の所定位置に固定し、流れ出ることを防ぐ。
図5Cは、導管111に面するゲル114の表面上に層を形成する細胞116を示し、培地116は、依然として基材開口109によって固定されている。図5Dは、代替のセットアップを示し、犠牲、即ち一時的なフィルム117が基材開口109上に置かれて、培地115が基材開口を通して流れることを防ぐ。
図5Eは、吸引器120によって導管111から除去されている培地115を示す。培地115が入念に除去されると、図5Fに示されるように、培地115のメニスカスは、基材開口109から引き出され、細胞116は、空気に暴露される。図5Fは、灌流区画107a及び107bに導入された第2の培地118も示す。第2の培地118は、支持区画108内のゲル114を通した輸送を介して栄養素を細胞116に提供するための細胞培養培地であり得る。
図5Gは、灌流区画107a内の培地118a及び灌流区画107b内の培地118bを示す。この例では、培地118a/bは、細胞119も含み、細胞119は、各灌流区画内に管腔構造を形成した。
図6A、図6B及び図7は、図5A~図5Gの方法と同様の流体流体界面セットアップにおける細胞の応答を調査する方法を示す。図6Aでは、流体121は、液体の形態であり、導管を通して進められて、細胞116を流体及びその内容物に当てる。図6Bでは、流体121は、導管を通して進められてるガスの流れである。流体121は、液体であるか又はガスであるかを問わず、刺激薬への細胞の応答の調査を目的として、細胞116が暴露される刺激薬を含み得る。図7は、図6Bと同様に、導管を通して進められている流体121を示す。図7では、灌流区画107a及び107bは、細胞層、例えば上皮管腔又は内皮管腔、灌流区画を通る第2の流体の流れ及び管腔構成要素と並ぶ。したがって、本明細書に記載される装置は、必要であり得るように、2つの異なる流体が異なる流速及び異なる組成で別個のチャネルを流れることを可能にする。したがって、灌流区画107a及び107bを通る培地の流れは、流体121に含まれる刺激薬を問わず、その刺激薬への細胞の応答の調査の持続時間にわたって細胞116を培養することを可能にする。これらの図は、流体121の流れる方向を、覆い開口108を介して装置に入り、基材開口107を通して出る下方向であるものとして示すが、必要に応じて流れる方向を逆にし、同じ結果を達成することも可能であることが理解されるであろう。
図8は、マルチウェル構成の本明細書に記載される複数のマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体装置(100)の平面図を示す。記載したように、装置は、好ましくは、図15に示されるように、ANSI/SLAS寸法によって規定されるマイクロタイタープレートフットプリントと互換であるか又はそれに基づき、図15は、例えば、図1に記載される等の40個の別個のマイクロ流体ネットワークを含む、そのようなプレートの底面図を示す。各マイクロ流体ネットワークの中心に導管111が示されている。図9は、図8のマルチウェル構成の断面を示し、導管は、各マイクロ流体ネットワークにおける覆い開口及び基材開口を通して延在する。
図10は、囲い124a及び124bが設けられた、本明細書に記載されるマイクロ流体装置100を示す。囲い124aは、装置100の上側に提供され、装置100のリザーバ層(付番なし)の上部に静止する。囲い124bは、装置100の下側に提供され、基材の外縁部における2つの支台内に着座する。各事例において、囲い124a及び124bは、装置100と完全な気密封止を形成せず、代わりに各囲い上の延出するリムによって装置100への屈曲流路を提供する。屈曲路は、矢印で示されるように、細菌を含む微粒子の装置への侵入を防ぐか又は少なくとも最小に抑えられるようにする。
図11は、囲いが設けられたマイクロ流体装置の別の例を示す。この例では、下部囲い124bは、窓125の形態の透明表面を設けられて、個々のマイクロ流体ネットワークの1つ又は複数への光アクセスを許容する。この例では、個々のマイクロ流体ネットワークで実行中の実験の視覚的モニタリングが窓125の使用によって促進される。
図12A~図12Dは、記載のような囲いを有するマイクロ流体装置の種々の例を示す。図12Aでは、上部囲い124aは、フィルター126を設けられる一方、図12Bでは、フィルター126が設けられるのは、下部囲い124bである。図12Cでは、マイクロ流体装置は、両方ともフィルター126が設けられた上部囲い124a及び下部囲い124bを設けられる一方、図12Dでは、1つの囲い124が提供され、1つの囲い124は、マイクロ流体装置を完全に囲み、上面及び下面にフィルター126を設けられる。(選択透過性)膜、炭素フィルター等の吸収カラム、ウォーターロック、ジオメトリックトラップ構造又は弁の形態であり得るフィルターの使用により、マイクロ流体装置内又は外への流体の選択的通過が可能になる。例えば、フィルター126は、ガス交換及び/又は圧力平衡を可能にしながら、有機体、ウイルス、病原体、粒子、水又は周囲湿分がマイクロ流体装置に入らないように排除するように選択又は構成され得る。
図13及び図14は、囲い及びマイクロ流体装置を通る流体の流れ、例えばガス流の流れを示す。図13では、上部囲い124aにおけるフィルター126は、特定の流体のみを装置に通し、次いで、それらの流体は、単一のマイクロ流体ネットワークの単一の導管を通り、第2のフィルター126を介して下部囲い124bから出る。しかしながら、この例の装置では、全てのマイクロ流体ネットワークは、互いに連通するため、流体の流れは、図13に示される簡易化された流れではなく、図14に示されるものでより正確に表される。図14では、上部囲い124aにおけるフィルター126を介してマイクロ流体装置に入る流体は、示されている各マイクロ流体ネットワークの導管を通り、それからマイクロ流体ネットワークの基材と下部囲い124bとの間の間隙で結合され、下部囲い124bにおけるフィルター126を通して出るものとして示されている。したがって、単一の流体の入口を介してマイクロ流体装置に導入された流体の流れは、全ての個々のマイクロ流体ネットワークに到達することができ、例えば個々の導管内の複数の細胞サンプルに対する単一の試験化合物の効果の高スループットスクリーニングを可能にする。
それとは対照的に、図15の装置例は、導管へのそれ自体の専用の流体の入口を有する各マイクロ流体ネットワークを示す。特に、上部囲いは、リザーバ層と係合して、個々のマイクロ流体ネットワークの導管を互いに分離する複数の封止部材127を設けられる。したがって、個々又は専用の流体の入口128は、各マイクロ流体ネットワーク内の細胞サンプルのみに流体を提供する。例では、専用入口128は、ポンプを備えられて、流体の流れを制御し、自動化を許容する。基材の開口を介して導管から出た流体の流れは、基材と下部囲い124bとの間の間隙において結合され、示されるように屈曲路を介して装置から出る。この例では、下部囲い124bは、窓125を更に設けられて、マイクロ流体装置の下側への光アクセスを提供する。そのような装置は、細胞サンプルに対する複数の試験化合物の高スループットスクリーニングを可能にし、廃棄物流は、例えば、廃棄物流の単一の流体の出口として効率的に結合され、除去される。
図16は、高スループットスクリーニングに向けた装置の別の構成を示す。この装置では、単一の流体の入口128は、装置のリザーバ層の上の共通空間へのフィルターを通して流体の流れを制御する。したがって、流体の流れは、図14に示されるものと同様に、全てのマイクロ流体ネットワークの導管を通ることができる。図14の装置とは対照的に、図16の装置は、下部囲い124bに複数の封止部材127を設けられ、各導管は、それ自体の専用の流体の出口129を有する。したがって、異なるマイクロ流体ネットワーク内の別個の細胞サンプルは、共通の試験流体に暴露することができ、出ていく流体の流れが互いを相互汚染しないようにする。
図17は、図15と同様の一例のマイクロ流体装置を示すが、装置の端に提供された屈曲路がなく、囲い124a及び124bは、装置のリザーバ層及び基材と気密封止を形成する。複数の封止部材127は、専用の流体の入口128を介して個々の流体の流れを個々の導管に導入することを許容し、個々の導管を出る流体の流れは、結合され、共通の流体の出口129を介して出る。
図15~図17は、流体の流れを効率的に多重化及び逆多重化を行うために、異なる数の流体の入口及び出口を有する装置例を示す。図18は、装置の各マイクロ流体ネットワークが他のネットワークから完全に分離され、複数の封止部材127が上部囲い124a及び下部囲い124bに提供される装置の代替の構成を示す。各ネットワークは、専用の流体の入口128及び専用の流体の出口129を設けられ、即ち1:1:1の比の導管:入口:出口がある。
図に示された装置は、本開示のマイクロ流体細胞培養装置をどのように構築し得るかの例にすぎず、他の構成も可能であり得ることが理解されるであろう。
図1~図3の例によるマイクロ流体装置は、0.5mmの基材開口直径及び1mmの覆い開口直径を用いて構築され、以下のプロトコルで使用した。
<プロトコル1>
・ステップ1
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲン1(コラーゲンI5mg/ml、ヘペス及びNaHCO3を8:1:1で混合し、次いでHBSSで3mg/mlに希釈)を支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填し、チャンバ内で開口及び毛細管圧力障壁によって固定する。
・ゲルを10分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・ステップ2
・培養培地中の解離された5-106/mlの肺オルガノイドの懸濁液を0.5μlの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・プレートを90°角度で置いて、導管の片側に沈降させた。
上記からの顕微鏡分析により、固定を示す、基材開口におけるマニスカスの存在が確認され、それにより基材層への漏れの兆候がないことも確認された。メニスカスは、光の屈折を生じさせる空気液体界面に起因した位相コントラストで可視であり、それによりメニスカスが黒く見えた。ECMゲルへの細胞播種も可視であった。
・ステップ1
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲン1(コラーゲンI5mg/ml、ヘペス及びNaHCO3を8:1:1で混合し、次いでHBSSで3mg/mlに希釈)を支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填し、チャンバ内で開口及び毛細管圧力障壁によって固定する。
・ゲルを10分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・ステップ2
・培養培地中の解離された5-106/mlの肺オルガノイドの懸濁液を0.5μlの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・プレートを90°角度で置いて、導管の片側に沈降させた。
上記からの顕微鏡分析により、固定を示す、基材開口におけるマニスカスの存在が確認され、それにより基材層への漏れの兆候がないことも確認された。メニスカスは、光の屈折を生じさせる空気液体界面に起因した位相コントラストで可視であり、それによりメニスカスが黒く見えた。ECMゲルへの細胞播種も可視であった。
プロトコル2
・ステップ1
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲン1を3mg/mlで支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填させ、開口及び毛細管圧力障壁によって固定した。
・ゲルを10分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・ステップ2
・培養培地中の206/mlのCaco2細胞の懸濁液を0.3μLの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・2つの方法を試験した。
・方法1:プレートを30分間平置きした。大半の細胞がECM上に定着しないことが観測され、そのため、次いでプレートを1時間、90°反転させた。
・方法2:プレートを1時間、90°角にし、次いで更に1時間、逆側に反転させた。
・プレートの底部への固定が破られないように、最低分注速度の電子ピペットを用いた25μLの2ステップで50μLの培地を導管に添加した。
・ステップ1
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲン1を3mg/mlで支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填させ、開口及び毛細管圧力障壁によって固定した。
・ゲルを10分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・ステップ2
・培養培地中の206/mlのCaco2細胞の懸濁液を0.3μLの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・2つの方法を試験した。
・方法1:プレートを30分間平置きした。大半の細胞がECM上に定着しないことが観測され、そのため、次いでプレートを1時間、90°反転させた。
・方法2:プレートを1時間、90°角にし、次いで更に1時間、逆側に反転させた。
・プレートの底部への固定が破られないように、最低分注速度の電子ピペットを用いた25μLの2ステップで50μLの培地を導管に添加した。
<培地除去 - エアリフト>
・プロトコル2からのプレートから、基材開口に触れずに吸引器を使用して(隅における吸引先端部)、全ての培地を完全に空にした。
・プレートを上下逆にしてフローキャビネットに置いた。
・数分後、導管がエアリフトされたが、乾かないことが観測された。
・20μLの培養培地を全ての側の入口及び出口に添加して、灌流区画を充填した。
・プレートをインキュベータに戻し、ロッカー上でECMを通して培地を灌流させた。
・プロトコル2からのプレートから、基材開口に触れずに吸引器を使用して(隅における吸引先端部)、全ての培地を完全に空にした。
・プレートを上下逆にしてフローキャビネットに置いた。
・数分後、導管がエアリフトされたが、乾かないことが観測された。
・20μLの培養培地を全ての側の入口及び出口に添加して、灌流区画を充填した。
・プレートをインキュベータに戻し、ロッカー上でECMを通して培地を灌流させた。
72時間後、播種されエアリフトされた全てのマイクロ流体ネットワークは、そのままであった。培養3日後、Actin-Red(Thermofisher Scientific #R37112)を使用して細胞を染色し、導管周囲の細管におけるCaco2細胞の存在を確認した。共焦点顕微鏡法を使用して、形成された管の像を作成し、その代表的な例を図19A及び図19Bに示す。
<プロトコル3>
・ステップ1 - ヒドロゲル播種
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲンIを5mg/mlで支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填させ、開口及び毛細管圧力障壁によって固定した。
・ゲルを20分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・使用するまで、プレートを室温で貯蔵した。
・ステップ2 - 細胞播種
・培養培地中の20-106/mlのヒト気管支上皮細胞(NHBE)の懸濁液を0.25μlの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・50μlの培地を全ての灌流チャネルに添加し、プレートを2時間、90°角度で置いて、導管の片側に沈降させた。
・プレートを180°回転させ、2時間、逆側をインキュベートした。
・50μlの培地を導管チャンバに添加した(電子マルチチャネルでの最低速度)。
・ステップ1 - ヒドロゲル播種
・培地入口を介して2.5μLのコラーゲンIを5mg/mlで支持区画に播種した。
・チャンバを通してゲルを充填させ、開口及び毛細管圧力障壁によって固定した。
・ゲルを20分間インキュベートし、HBSSを灌流区画に添加する。
・使用するまで、プレートを室温で貯蔵した。
・ステップ2 - 細胞播種
・培養培地中の20-106/mlのヒト気管支上皮細胞(NHBE)の懸濁液を0.25μlの容量で導管に播種し、ゲル表面上に層を形成させた。
・50μlの培地を全ての灌流チャネルに添加し、プレートを2時間、90°角度で置いて、導管の片側に沈降させた。
・プレートを180°回転させ、2時間、逆側をインキュベートした。
・50μlの培地を導管チャンバに添加した(電子マルチチャネルでの最低速度)。
<培地除去 - エアリフト>
・基材開口に触れずに吸引器を使用して、プレートから全ての培地を空にした。
・プレートをフローキャビネット内で約3分間、上下逆に置き、チップを乾燥させた。
・顕微鏡下において、エアリフトが確立された否かをチェックした。
・50μLの培養培地を全ての側の入口及び出口に添加して、灌流区画を充填した。
・基材開口に触れずに吸引器を使用して、プレートから全ての培地を空にした。
・プレートをフローキャビネット内で約3分間、上下逆に置き、チップを乾燥させた。
・顕微鏡下において、エアリフトが確立された否かをチェックした。
・50μLの培養培地を全ての側の入口及び出口に添加して、灌流区画を充填した。
エアリフトは、経時的に安定していた。培養28日後、培養をDNA色分けした。共焦点顕微鏡法を使用して、形成された管の像を作成し、ヒドロゲルを背にして合流細胞層を示す。代表的な例を図20に示す。
上記の説明は、本発明を実施する方法を当業者に教示することを目的とし、説明を読むと明らかになるであろう全ての変更形態及び変形形態を詳述することを意図していない。しかしながら、こうした全ての変更形態及び変形形態は、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
Claims (49)
- マイクロ流体細胞培養装置であって、該マイクロ流体細胞培養装置は、
少なくとも1つのマイクロ流体ネットワークを含み、前記マイクロ流体ネットワークは、
基材、マイクロ流体チャネル及び覆いと、
前記マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの灌流区画と、
前記マイクロ流体チャネルの内部の少なくとも1つの支持区画とを含み、
前記基材及び前記覆いは、それぞれ開口を含み、それにより前記マイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、且つ、
前記導管は、前記少なくとも1つの支持区画と流体接触し、且つ前記少なくとも1つの支持区画を通して前記少なくとも1つの灌流区画と流体接触する、マイクロ流体細胞培養装置。 - 複数のマイクロ流体ネットワークを含む、請求項1に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記導管は、前記マイクロ流体ネットワークの面に実質的に直交する、請求項1又は2に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材における前記開口は、前記覆いにおける前記開口と実質的に整列する、請求項1~3の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材における前記開口は、前記覆いにおける前記開口と実質的に同心である、請求項1~4の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材における前記開口の直径は、前記覆いにおける前記開口の直径よりも小さい、請求項1~5の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材における前記開口及び前記覆いにおける前記開口の何れか一方又は両方は、前記少なくとも1つの支持区画内の流体を固定するように構成されるリムを有する、請求項1~6の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材における前記開口の前記直径は、2mm~250μmである、請求項1~7の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの支持区画は、
前記基材における前記開口、
前記覆いにおける前記開口、及び
前記マイクロ流体チャネルに位置する1つ又は複数の毛細管圧力障壁
の何れか1つ又は複数によって少なくとも一部分において画定される、請求項1~8の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。 - 前記毛細管圧力障壁の前記1つ又は複数のうちの1つの毛細管圧力障壁は、前記少なくとも1つの支持区画と、前記少なくとも1つの灌流区画との間の境界を少なくとも一部分において画定し、且つ/又は前記1つ又は複数の毛細管圧力障壁のうちの1つの毛細管圧力障壁は、前記少なくとも1つの支持区画と前記導管との間の境界を少なくとも一部分において画定する、請求項9に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの支持区画及び/又は前記少なくとも1つの灌流区画は、1つ若しくは複数の各入口及び/又は1つ若しくは複数の各出口にそれぞれ流体接触する、請求項1~10の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの灌流区画及び前記少なくとも1つの支持区画は、互いに隣接し、且つ前記マイクロ流体ネットワークの同じ面にある、請求項1~11の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記支持区画は、細胞の層を支持するための膜を含まない、請求項1~12の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 好ましくは1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口を前記覆いの前記開口及び前記基材の前記開口に接続することにより、前記導管を通した流体の流れを許容するように構成される、請求項1~13の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 2つ以上の流体の入口及び2つ以上の流体の出口を含み、任意選択的に、流体の入口の数は、流体の出口の数と異なる、請求項14に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記基材の外部及び/又は前記覆いの外部を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの囲いを更に含む、請求項1~15の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの囲いの全て又は一部分は、除去可能である、請求項16に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの囲いは、
流体交換のためのポート、
前記流体の流れを導くためのチューブ、
光アクセスのための窓、
汚染なしに流体を交換するためのフィルター、及び
汚染なしに気体流体を交換するための屈曲路
の1つ又は複数を含む、請求項17又は18に記載のマイクロ流体細胞培養装置。 - 前記少なくとも1つの囲いは、前記複数のマイクロ流体ネットワークのうちの少なくとも2つのマイクロ流体ネットワークの前記導管を、前記基材におけるそのそれぞれの開口を介して接続する接続チャネルを画定し、且つ/又は
前記少なくとも1つの囲いは、前記複数のマイクロ流体ネットワークのうちの少なくとも2つのマイクロ流体ネットワークの前記導管を、前記覆いにおけるそのそれぞれの開口を介して接続する接続チャネルを画定する、請求項16~18の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。 - 前記少なくとも1つの囲いは、1つ又は複数の流体の入口及び/又は流体の出口を含み、任意選択的に、前記囲いは、正又は負の圧力源に接続される、請求項17~19の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記1つ又は複数の流体の入口は、任意選択的にポンプを通して、前記マイクロ流体ネットワークの外部の前記1つ又は複数の流体の出口に接続され、それにより少なくとも部分的な循環流を可能にする、請求項20に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つの囲いにおける1つ又は複数の流体の入口及び/又は出口に接続された1つ又は複数の投薬及び又はサンプリングシステムを更に含む、請求項20又は21に記載のマイクロ流体細胞培養装置。
- 前記1つ又は複数の毛細管圧力障壁それぞれが、
前記マイクロ流体チャネルの内面から突出する材料の稜、
前記マイクロ流体チャネルの拡幅、
前記マイクロ流体チャネルの内面における溝、
前記マイクロ流体チャネルの内面と異なる濡れ性の材料の領域、又は
一定間隔の複数の柱
をそれぞれ含む、請求項8~21の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置。 - 基材、マイクロ流体チャネル及び覆いを有するマイクロ流体ネットワークを含むマイクロ流体細胞培養装置に流体流体界面を作成する方法であって、前記マイクロ流体チャネルの内部には、少なくとも1つの灌流区画及び少なくとも1つの支持区画があり、前記基材及び覆いは、それぞれ開口を含み、それにより前記マイクロ流体チャネルを通る導管を画定し、前記方法は、
前記導管に面する足場表面を形成するために、支持足場を前記少なくとも1つの支持区画に導入するステップと、
細胞を含む培地を、前記基材における前記開口を介した前記導管からの前記培地の流れを防ぎながら、前記覆いにおける前記開口を介して前記導管に導入するステップと、
前記細胞が前記足場表面上に層を形成することを許容するステップと、
前記細胞を暴露するために、前記導管から前記培地を除去するステップとを含む、方法。 - 前記支持足場は、ゲルを含み、及び前記支持足場を前記少なくとも1つの支持区画に導入するステップは、液体前駆物質を前記ゲルに導入するステップを含む、請求項24に記載の方法。
- 前記液体前駆物質は、前記支持区画に固定されて、前記導管に面する足場表面を形成する、請求項25に記載の方法。
- 前記支持足場は膜を含む、請求項24に記載の方法。
- 前記基材における前記開口は、前記導管からの培地の流れを防ぐ毛細管圧力障壁として構成されるリムを有する、請求項24~27の何れか一項に記載の方法。
- 前記基材における前記開口及び前記覆いにおける前記開口は、それぞれリムを有し、前記液体前駆物質は、
前記基材における前記開口の前記リム、
前記覆いにおける前記開口の前記リム、及び
前記マイクロ流体チャネルに位置する1つ又は複数の毛細管圧力障壁
の何れか1つ又は複数により、前記少なくとも1つの支持区画内に固定される、請求項25~28の何れか一項に記載の方法。 - 前記細胞は、重力及び/又は前記マイクロ流体細胞培養装置の傾斜を通して層を形成することを許容される、請求項24~29の何れか一項に記載の方法。
- 前記細胞は、上皮細胞、例えば肺上皮細胞、皮膚上皮細胞、消化管上皮細胞、角膜上皮細胞又は粘液生成上皮細胞を含む、請求項24~30の何れか一項に記載の方法。
- 前記培地は、
圧力パルス、
慣性、
前記基材の前記開口に固定された前記培地の表面張力の変化、
前記培地と前記導管の固体部分との間の接触角の変化、
吸引、
受け器への液滴の接触、
機械的、音響的、静電的、電磁的又は他の作動、及び
蒸発
の1つ又は複数によって前記導管から除去される、請求項24~31の何れか一項に記載の方法。 - 前記流体流体界面は空気液体界面である、請求項24~32の何れか一項に記載の方法。
- 前記ゲルは細胞外マトリクスを含む、請求項2526~33の何れか一項に記載の方法。
- 前記マイクロ流体細胞培養装置は、請求項1~23の何れか一項で画定される、請求項24~34の何れか一項に記載の方法。
- アッセイプレートであって、該アッセイプレートは、
請求項1~23の何れか一項に記載のマイクロ流体細胞培養装置を含み、
支持足場は、前記マイクロ流体細胞培養装置の前記支持区画内に提供される、アッセイプレート。 - 前記導管に面する前記支持足場内若しくは前記支持足場上に存在する1つ若しくは複数の細胞若しくは細胞集合体及び/又は前記マイクロ流体チャネル内の1つ若しくは複数の細胞若しくは細胞集合体を更に含み、任意選択的に、前記細胞は、上皮細胞、例えば肺上皮細胞である、請求項36に記載のアッセイプレート。
- 前記足場又は支持構造は、ゲル、細胞外マトリクス及び/又は膜を含む、請求項37に記載のアッセイプレート。
- 前記細胞又は細胞集合体は、少なくとも部分的に前記導管と並ぶ、請求項37又は38に記載のアッセイプレート。
- 刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法であって、該方法は、
請求項24~35の何れか一項に記載の方法により、マイクロ流体装置に流体流体界面を作成するステップと、
前記導管を通して流体の流れを進めることにより、前記暴露された細胞を前記流体の流れに当てるステップとを含む方法。 - 刺激薬に対する細胞の応答を調査する方法であって、該方法は、
請求項37又は38に記載のアッセイプレートを使用するステップと、
前記導管を通して流体の流れを進めることにより、前記暴露された細胞を前記流体の流れに当てるステップとを含む方法。 - 前記少なくとも1つの灌流区画を介して栄養素の供給を前記細胞に提供するステップを更に含む、請求項40又は41に記載の方法。
- 前記栄養素の供給は、前記少なくとも1つの灌流チャネルから前記少なくとも1つの支持区画を通して前記細胞に提供される、請求項42に記載の方法。
- 任意選択的に前記暴露された細胞を流体の流れに当てる前又は後に、1つ又は複数のタイプの細胞を前記少なくとも1つの灌流区画に導入し、前記1つ又は複数のタイプの細胞が層又は細胞集合体を形成することを許容するステップを更に含む、請求項24~35又は40~43の何れか一項に記載の方法。
- 前記流体の流れは、空気、煙、蒸気、煙霧、病原体、超微粒子、分析物、医薬品候補又は関心のある他の化合物の1つ又は複数を含む、請求項40~44の何れか一項に記載の方法。
- 前記導管を通して進められた前記流体の流れは、
前記細胞の層から細胞サンプルを集め、
前記細胞の層に剪断応力を誘導し、且つ/又は
前記細胞の層の表面上の培地を新しくする、請求項40~44の何れか一項に記載の方法。 - 前記流体の流れは、第1の流体の流れであり、且つ、第2の流体の流れは、前記第1の流体の流れの後、予め定義された時間期間、前記導管を通して進められ、前記第2の流体の流れは、請求項41で画定される、請求項40~44の何れか一項に記載の方法。
- 前記導管を通して進められた前記流体の流れは、少なくとも部分的に集められ、少なくとももう一度、前記導管を通して再循環される、請求項40~47の何れか一項に記載の方法。
- 細胞の表現型、細胞の形態学及び細胞の機能の1つ又複数をアッセイするステップを更に含む、請求項40~48の何れか一項に記載の方法。
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