JP2023532879A - 手術中に平滑筋応答を誘起するためのシステムおよび方法 - Google Patents

Abstract

平滑筋刺激デバイスは、組織切除、および非標的組織への損傷リスクがある他の手技で使用されるタイプの様々な電気手術器（ＥＳＵ）のいずれか１つと併用することが意図される。平滑筋刺激デバイスは、典型的には、医学的手技の間、標的生体構造に送達されるとき、標的生体構造における観察可能な応答を誘発する、刺激電気信号を生成するように構成される刺激回路網を伴う、エンクロージャを含む。エンクロージャ上の入力コネクタは、ＥＳＵの電力出力に取外可能に結合され、エンクロージャ上の出力コネクタは、電気手術ツールに取外可能に結合される。エンクロージャ内の切替回路網は、ユーザ入力に応答して、ＥＳＵの電力出力または刺激回路網の刺激電気信号のいずれかを出力コネクタに選択的に接続する。

Description

（関連出願の相互参照）
本願は、その開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる、２０２０年６月３０日に出願された、米国仮出願第６３／０４６，２９４号（弁理士整理番号第５１０１０－７０６．１０１号）の利益を主張する。

（１．本発明の分野）
本発明は、電気的刺激に関し、平滑筋肉構造を識別し、その機能性を判定することに役立てるために、手術中に、これらの信号を標的組織の中に送達するための新規のシステムおよび方法に関する。

（発明の背景）
外科の分野は、急速なペースで進歩し続けている。以前は、子宮摘出、結腸切除、および試験開腹さえも含む、多くの外科的手技の標準治療は、長時間にわたる腹部切開を伴って行われていた。そのような「開腹手術的」手技は、痛みを伴い、長期の回復時間、患者の苦痛を要求し、芳しくない創傷治癒および瘢痕ヘルニア等の望ましくない副次的影響を有し得る。

そのような開腹手術の代替として、様々な腹腔鏡および他の「低侵襲」手術が、開発されてきており、この場合、小さな、典型的には、５～１０ｍｍの切開が、行われ、細長い器具が、身体の中に挿入される一方、操作者は、腹壁を通してもまた挿入される、「検鏡」（カメラ）を介して、手術野を視認する。そのような低侵襲手技は、減少された苦痛およびより短い回復を提供し、今では、多くの定型的なパターンの泌尿器科、産科、婦人科、結腸直腸の手術において優位を占めている。最近では、手術用ロボットの使用が、そのような低侵襲手技の普及をさらに拡大している。

その多種多様な利点にもかかわらず、低侵襲手術は、その実用性を限定してきた、ある欠点を有する。例えば、小アクセス切開の使用は、実際に組織に触れるための外科医の能力を限定し、触覚フィードバックの消失を結果として生じる。開腹手術的手技では、外科医は、多くの場合、患者組織に直接触れ、そうでなければ明白ではない、異なる触感、厚さ、形状、および密度の構造を触診することができる。そのような触覚フィードバックは、多くの場合、血管等の構造の識別および位置特定、ならびに尿管等の他の極めて重要な解剖学的特徴に関する有益な情報を提供し、外科医が、これらの他の不可視な構造に、不用意な損傷を与えることを回避することを可能にしていた。

本願との共通発明者資格を有する、第ＷＯ２０１５／１２３４４１号および第ＷＯ２０１８／０９８４６８号は、観察可能な応答、典型的には、医学的手技中の標的生体構造内の組織収縮を誘発するために、刺激信号を尿管等の標的平滑筋生体構造に近接する組織に送達する、専用電極プローブを有する、電気刺激ユニットを説明する。応答が観察される場所を視覚的にスキャニングまたはマッピングすることによって、外科医は、尿管または他の標的平滑筋生体構造を損傷させ得る、切除等の手技を実施するときに、それらのエリアを回避することができる。

極めて有効である一方、すでに飽和状態の手術環境に、専用電極プローブを有する、さらなる別の電気刺激ユニットを導入する必要性は、ある課題を提示する。第ＷＯ２０１５／１２３４４１号および第ＷＯ２０１８／０９８４６８号の刺激信号および回路網を既存のＥＳＵ設計に導入することは、理論的には可能であろうが、既存のＥＳＵの現在の大量在庫が、経時的に、アップグレードされたものに徐々に置換されるため、そのような移行は、何年もかかるであろう。

したがって、既存の市販のＥＳＵを使用し続け、付加的な機器を手術環境に導入する必要性を最小限にしながら、外科医が、第ＷＯ２０１５／１２３４４１号および第ＷＯ２０１８／０９８４６８号の組織識別手技を採用することを可能にするであろう、デバイス、システム、および方法を提供することが望ましいであろう。特に、刺激信号および切断／凝集力の両方を組織に送達するために、別個の電気手術プローブを採用する必要性を排除することが望ましいであろう。組織を係合するために、同一の電気手術ツールを使用するときは、刺激信号と切断／凝集エネルギーとの間の切替を促進することがさらに望ましいであろう。これらの目標のうちの少なくともいくつかは、以下に説明および請求される、本発明によって満たされるであろう。

（２．背景技術の列挙）
第ＷＯ２０１５／１２３４４１号および第ＷＯ２０１８／０９８４６８号は、以前の組織刺激システムを説明し、本願との共通発明者資格を有する。他の関連特許および特許公開は、第ＵＳ４５３５７７１号と、第ＵＳ５０１０８９５号と、第ＵＳ６２９２７０１号と、第ＵＳ７８７７１５２号と、第ＵＳ８９５４１５３号と、第ＵＳ２００９／０２４７８１２号と、第ＵＳ２０１１／０３０１６６２号と、第ＵＳ２０１２／０１０３２６号と、第ＵＳ２０１５／０００５８４１号とを含む。

国際公開第２０１５／１２３４４１号 国際公開第２０１８／０９８４６８号

（発明の要約）
操作者が、ＥＳＵ出力と新規のシステムとの間を切り換えることを可能にしながら、手術中に、既存の手術器具を通して、刺激信号を生成および送達するための新規のデバイスおよび方法。本方法では、外科医は、彼らの現在の器具を用いて、ＥＳＵ能力を留保する一方、器具を変更し、ワークフローを中断する必要もなく、組織刺激の追加された能力を享受する。

第１の側面では、本発明は、電気手術器（ＥＳＵ）との併用に好適な平滑筋刺激デバイスを提供する。平滑筋刺激ユニットは、その中に刺激回路網を有する、エンクロージャを備える。刺激回路網は、医学的手技の間、標的生体構造に送達されるとき、標的生体構造における観察可能な応答を誘発する、刺激電気信号を生成するように構成される。入力コネクタは、エンクロージャ上に配置され、ＥＳＵの電力出力に取外可能に結合されるように構成される。出力コネクタもまた、エンクロージャ上に配置される。出力コネクタは、低侵襲または他の電気手術手技において、通常採用されるタイプの電気手術ツールに取外可能に結合されるように構成される。エンクロージャ内の切替回路網は、ユーザ入力に応答して、（ＥＳＵからバイパスされる）ＥＳＵの電力出力、または刺激回路網によって生成される、刺激電気信号のいずれかを出力コネクタに選択的に接続するように構成される。本方法では、本発明の平滑筋刺激デバイスは、従来の市販のＥＳＵと組み合わせられ得、組織刺激および観察の利点が、最低限の付加的な機器および手術環境への妨害を伴って、利用可能となることを可能にする。

具体的な実施形態では、刺激回路網は、電気手術ツール上の電極が、低侵襲、開腹手術、または他の手技において、患者の尿管に近接して位置付けられるとき、尿管から蠕動応答を誘出するように構成される。例示的電気手術ツールは、エンクロージャ上の出力コネクタに結合されるように構成される、電極または他の導電性表面を有する、把持鉗子、鋏、潅注器、解離器、切除器、吸引デバイス、および同等物を含む。本列挙は、網羅的であることを意味しない。

本発明の平滑筋刺激デバイスは、最も多くの場合、双極性デバイスであり、他の事例では、平滑筋刺激デバイスは、ＥＳＵが、分散パッドとともに、単極モードで動作されるとき、単極性電気手術器具を用いて動作されるように構成されてもよい。

好ましい実施形態では、本発明の刺激回路網は、パルス制御を伴う、非駆動式容量放電を送達するように構成される、電力供給源を備えてもよい。典型的には、刺激回路網はさらに、電力供給源からのパルス出力を制御するように構成される、コントローラを備えるであろう。

最も多くの事例では、本発明の平滑筋刺激デバイスは、インターフェースを介したユーザ入力に応答して、切替回路網を制御するように構成される、エンクロージャ上のユーザインターフェースを備えるであろう。ユーザインターフェースは、典型的には、電流のために選択された信号を電気手術ツールに送達するために、ユーザが、ＥＳＵの電力または刺激回路網の刺激電気信号のいずれかを出力コネクタに選択的に接続することを可能にする、少なくとも１つのセレクタを含むであろう。いくつかの実施例では、セレクタは、刺激モードを選択するための第１の押ボタンと、電気手術モードを選択するための第２の押ボタンとを備えてもよく、この場合、２つのボタンおよび回路は、典型的には、同時に選択され得ないように、係止解除される。他の事例では、セレクタは、スイッチを位置付けるために、単純であってもよい。

上記に簡潔に議論されるように、本発明の刺激デバイスは、様々な市販のＥＳＵのうちの任意の１つを用いて利用されることが意図される。したがって、本発明の刺激デバイスは、多くの場合、エンクロージャ上の電力入力と、ＥＳＵからの電力出力ケーブルとの間に、ブリッジまたはインターフェースを提供するように構成される、複数の出力プラグアダプタを含むであろう。いくつかの事例では、アダプタは、コネクタケーブルに組み込まれてもよく、この場合、ケーブルの一端が、ＥＳＵにプラグ接続されるように適合され、ケーブルの他端が、刺激デバイスエンクロージャにプラグ接続されるように適合される。

同様に、本発明の平滑筋刺激デバイスはさらに、複数の出力プラグアダプタをさらに備え、この場合、個々の出力プラグアダプタは、刺激デバイスのエンクロージャ上の出力コネクタと、電気手術ツールの接続ケーブルまたはコードとの間に、ブリッジ電気接続を提供するように構成され得る。これらのアダプタは、刺激デバイスおよびエンクロージャが、異なるコネクタパターンおよびプラグを有し得る、多種多様な市販の電気手術ツールに接続されることを有効にする。

ＥＳＵと組み合わせると、特に有用であるが、上記に説明されるように、本発明の平滑筋刺激デバイスは、典型的には、独立型電力供給源を含み、神経の識別および／または位置特定または他の目的のために、標的組織の刺激のための（ＥＳＵまたは他の電気手術装置から独立した）「スタンドアロン」デバイスとしての使用もまた見出されるであろう。独立して使用されるとき、切替構成要素は、刺激回路網の刺激電気信号をツール出力に送達することを有効され、随意に、ＥＳＵ入力（典型的には、空である）の接続を通した通過は、無効にされるであろう。

第２の側面では、本発明は、電力出力を備える、ＥＳＵと組み合わせて、上記に説明されるような平滑筋刺激デバイスを含む、平滑筋刺激システムを提供する。ＥＳＵは、特別に、本発明の平滑筋刺激システムとインターフェースをとるように設計され得るが、さらに多くの場合、本発明の刺激システムから別個に入手される、市販のＥＳＵであるであろう。

第３の側面では、本発明は、平滑筋刺激システムとＥＳＵを組み立て、電気刺激エネルギーおよび電力を選択的に出力するための方法を提供する。本方法は、刺激信号出力を有する、電気刺激装置と、電力出力を有する、ＥＳＵとを備える、エンクロージャを提供することを含む。ＥＳＵの電力出力は、エンクロージャ上の入力コネクタに接続され、電気手術ツールは、エンクロージャの出力コネクタに接続される。出力コネクタは、ユーザ入力に応答して、（１）ＥＳＵの電力出力または（２）刺激回路網の刺激電気信号のいずれかから電流を受け取るために、かつ受け取られた電流を電気手術ツールに送達するために、出力コネクタに選択的に切り替えられる。

具体的な事例では、本方法はさらに、刺激信号を電気手術ツールに送達するために、電気刺激装置に電圧を加えることと、標的平滑筋に近接する標的組織に対して、電気手術ツール上の電極表面を係合することと、係合される組織内またはその近傍での平滑筋の存在を示す、刺激信号によって誘発される、収縮を検出するために、標的組織を観察することとを含む。いったん標的組織の一部が、平滑筋または他の標的生体構造から解放されたと判定されると、電気手術ツールの電極表面は、組織収縮の不在に基づいて、組織表面に対して係合され得る。係合後、ＥＳＵは、電極によって係合される組織に電力、典型的には、切断、凝集、または他の組織変性の結果のための電気手術用電力を送達するために、電圧を加えられ得る。

例示的実施形態では、出力コネクタを選択的に切り替えることは、エンクロージャの内部で、切替回路網を制御するために、エンクロージャ上の外装上に位置付けられる、スイッチを手動で選択することを含む。例えば、切り替えることは、刺激信号を組織に送達するために、電気刺激装置に電圧を加えるための第１のセレクタボタン、またはスイッチが、ＥＳＵからのバイパス電流を電気手術ツールに送達することを可能にするための第２のセレクタボタンのいずれかに選択的に係合することを含んでもよい。代替として、出力コネクタを切り替えることは、患者への送達のために、刺激信号またはＥＳＵからの電力出力のいずれかを選択するための２位置セレクタスイッチを動作させることを含んでもよい。

具体的な事例では、本発明の方法は、尿管、膀胱、胃、食道、腸、および同等物から成る群から選択される、標的組織を治療するために利用されてもよい。例示的実施形態では、刺激出力は、電気手術ツール上の電極が、患者の尿管に近接して位置付けられるとき、尿管から蠕動応答を誘出する。本方法は、双極性手技、単極性手技、把持、切断、吸引、組織解離、組織切除、および同等物を含む、様々な従来的および非従来的電気手術手技のうちの任意の１つを含んでもよい。

図１Ａは、本発明の原理に従って構築される、平滑筋刺激デバイスの斜視図であり、フロントパネルを示す。

図１Ｂは、図１Ａの平滑筋刺激デバイスのバックパネルの図である。

図２は、従来の電気手術器（ＥＳＵ）と相互接続され、さらにスイッチケーブルを介して、従来の電気手術器具およびフットスイッチに接続される、図１Ａおよび１Ｂの平滑筋刺激デバイスを図示する。

図３は、図１Ａおよび１Ｂの平滑筋刺激デバイス内の構成要素および回路網の概略図である。

図４は、本発明の原理に従って構築される、デバイスの構成要素および回路網の一般化された概略図である。

図５は、本発明の平滑筋刺激デバイスによって発生される、筋刺激電位を図示する。

（本発明の詳細な説明）
本発明の平滑筋刺激デバイスは、治療、診断、または他の目的のために、無線周波数または他の電流を患者に送達する、任意の従来または非従来の電気手術器（ＥＳＵ）との併用が意図される。平滑筋刺激デバイスは、外科医が、電気手術手技によって損傷される場合がある、尿管等の平滑筋標的を視覚的に識別することを可能にするために、組織収縮を刺激することで知られるタイプのパルスパターンおよび他の波形を送達するように構成されるであろう。

本発明の平滑筋刺激デバイスは、ＥＳＵと相互接続するように構成され、外科医が、単一のユニットまたはアセンブリとして、その組み合わせを使用することを可能にし、手術を簡素化し、空間を節約し、手術環境における冗長性を排除する。特に、平滑筋刺激デバイスは、ＥＳＵと組み立てられ、単一の占有面積を有することができ、ＥＳＵと一般的に併用される電気手術ツールは、刺激信号を標的組織に送達するためのプローブとして使用され、専用プローブに対する必要性を排除することができる。

本方法では、外科医は、手技中の任意の時点で、組織刺激信号とＥＳ電力出力信号との間で、選択および切替するための選択肢を有し、本変更は、使用中の電気手術ツールの変更を要求しない。外科医は、ツールまたはその視野を変更する必要がなく、したがって、途切れることのないワークフロー体験を提供し、安全かつ効率的な手術環境を維持する。

本新規のデバイスは、新規の平滑筋刺激信号から、往復して、器具への出力を変更するために、内部にリレーを有し、手術室において、電気手術発生器からの電気手術信号の通過を可能にする。新規のデバイスおよび電気手術発生器は両方とも、安全性および精度の両方のために、それ自体のフットペダルを用いて、独立して動作されるであろう。

ここで図１Ａおよび１Ｂを参照すると、本発明の原理に従って構築される、平滑筋刺激デバイス１０は、前面１４および後面１６を有する、エンクロージャ１２を備える。前面は、電力スイッチ１８と、刺激セレクタボタン２０と、ＥＳＵセレクタボタン２２と、ディスプレイ、典型的には、ＬＥＤまたはＬＣＤディスプレイとを含む、ユーザインターフェースを有する。前面はさらに、電気手術ツール出力レセプタクル２６と、アクティブ化カードを受容するように構成される、スロット２８とを含む。アクティブ化カードは、特定の患者および／または特定の手技に対して、システムを利用するための権限を提供するであろう。電気手術ツール出力レセプタクルは、典型的には、様々な従来の電気手術ツールが、以下に説明される手技において使用されるために、プラグを差し込まれることを可能にする、１つ以上のアダプタを受容するように構成されるであろう。

エンクロージャ１２の後面１６は、電気手術器（ＥＳＤ）コネクタを含む。本入力コネクタは、従来のＥＳＵの出力を受信するように構成され、多くの場合、専用ＥＳＵコネクタとインターフェースをとり、エンクロージャ１２上の標準コネクタ２６にブリッジするために、アダプタの使用を要求するであろう。エンクロージャ１２の後面１６はまた、フットスイッチコネクタ３２と、電源コードコネクタ３４とを含む。以下にさらに詳細に説明されるように、フットスイッチ５４は、刺激セレクタボタン２０が、押下されるとき、外科医が、平滑筋刺激デバイス１０から刺激電流をオンおよびオフにすることを可能にするために提供されるであろう。通常、別個のフットスイッチまたはペダルが、ＥＳＵに対して提供されるであろうが、いくつかの事例では、刺激デバイスおよびＥＳＵの両方のためのフットスイッチ機能を単一のコネクタ内に組み合わせることが望ましくあり得る。

ここで図２を参照すると、平滑筋刺激デバイス１０が、標準的または従来的ＥＳＵ３６とのあるアセンブリにおいて示される。ＥＳＵは、電気手術を実施する際に、その通常の性能を可能にする、いくつかの特徴を有するが、本発明に関連するそれらの特徴は、電力スイッチ３８と、ＥＳＵ電力出力レセプタクル４０とを含むであろう。いくつかの他のコネクタ４２は、典型的には、ＥＳＵの前面上で見出されるが、いくつかのディスプレイおよび制御部４４は、ＥＳＵの上部に見出されるであろう。

平滑筋刺激デバイス１０とＥＳＵ３６とを相互接続するために、ケーブル４１が、一端において、ＥＳＵ電力出力レセプタクルに、かつ他端において、図１Ｂに示されるように、平滑筋細胞刺激デバイスの後面上のＥＳＵ入力コネクタ３０にプラグを差し込まれる。したがって、ＥＳＵの通常の電力出力は、刺激デバイスの前面１４上の電気手術ツール出力コネクタ２６にバイパスされるであろう、エンクロージャ１２に指向される。

組織切除器として図２に図示される、従来の電気手術ツール４６は、ケーブル５２およびプラグ５２によって、出力レセプタクル２６に接続される。図３および４に対してさらに詳細に説明されるであろうように、平滑筋刺激デバイス１０は、本発明の方法で使用するための電気手術ツール４６に、刺激デバイスによって生成される、筋刺激電流もしくは信号、またはＥＳＵよって生成される、電力電流のいずれかを選択的に送達するように構成される。

ここで図３を参照すると、平滑筋刺激デバイス１０は、その内部に、電力供給源ＰＳと、コントローラＣＯＮＴと、刺激電流発生器ＳＴＩＭと、スイッチモジュール６２とを含む。電力供給源ＰＳは、電源コードコネクタ３４から直接、線電流を受信し、低電圧直流をコントローラＣＯＮＴおよび刺激電流発生器ＳＴＩＭのそれぞれに送達する。電力供給源ＰＳは、エンクロージャ１２の前面上の電源スイッチ１８によって制御される。

コントローラＣＯＮＴは、刺激セレクタボタン２０およびＥＳＵセレクタボタン２２の両方からの入力を受信するだけではなく、ディスプレイ２４への出力も提供する。本方法では、コントローラＣＯＮＴは、刺激装置ＳＴＩＭの機能を制御するだけではなく、スイッチモジュール６２の切替機能も制御することができる。切替モジュール６２は、単純な単極双投スイッチ（ＳＰＤＴ）として示されるが、通常、低電圧刺激装置ＳＴＩＭの出力または高電圧高電流ＥＳＵ出力のいずれかを電気手術ツール出力コネクタ２６に選択的に指向するために、電力リレーを使用して実装されるであろう。要するに、外科医が、刺激セレクタボタン２０を押すとき、コントローラＣＯＮＴは、切替モジュール６２に、出力２６に指向されることになる、刺激装置ＳＴＩＭの出力を接続させるであろう。ＥＳＵセレクタボタン２２が、押下されるとき、ＥＳＵ入力コネクタ３０を通して入って来るＥＳＵ出力は、電気手術ツール出力レセプタクル２６まで通して通過される。外科医は、したがって、エンクロージャ１２の前面上の適切なボタンを単に選定することによって、電気手術ツール４６を通して印加されることになる電流のタイプを選択することができる。当然ながら、他のタイプのスイッチ、口頭命令、および同等物を含む、他のスイッチおよび手段が、そのような切替を実装するために提供され得る。

ここで図４を参照すると、平滑筋刺激デバイス１０の回路網の代替例証が、提供される。示されるように、ユーザインターフェースが、システムコントローラに接続され、ひいては、刺激装置パルス制御装置およびバイパス制御装置を制御する。刺激装置パルス制御装置およびバイパス制御装置はともに、一事例として、貯蔵コンデンサを伴う発生器電力供給源から、患者リード線出力へ、刺激電流を選択的に送達する、バイパスリレーを動作させる。または、代替事例では、ＥＳＵ入力コネクタの出力を患者のリード線コネクタに送達する。本システムは、ユーザに提供するために、例えば、デバイスの適切な臨床的使用を有効にする情報を提供するために、システムコントローラに情報をフィードバックする、接続品質モニタによって監視される。

図５に示されるように、本発明の平滑筋刺激デバイスは、平滑筋刺激のために具体的に設計される、電気インパルスを生産する。平滑筋、特に尿管は、近位刺激に依拠し、可視蠕動として提示する、収縮カスケードをトリガする。本発明の刺激インパルスは、収縮性カスケード平滑筋をトリガする、初期興奮性信号を模倣する。信号の送達に応じて、尿管の平滑筋は、蠕動として公知の生理的波動同様の移動において、脱分極および収縮する。ギャップ結合を介して、活動電位は、次いで、自然かつ自動的に１つの細胞から別の細胞へと進行し、尿管の長さ全体にわたって自然に延在する、伝搬性可視収縮を結果としてもたらす。

新規のデバイスによって生成される、刺激信号は、非持続性であり、固有の周波数を有せず、脱分極をトリガすることができるように、持続時間が短いが、臨床かつ手術設定における可視蠕動に変換する、平滑筋構造の後続の脱分極カスケードを妨げるほどに長くない、単一の短インパルスである（図５）。刺激信号の持続時間は、波形の減衰が、それが、刺激信号によってトリガされる、活動電位の後続伝搬に干渉するであろうほど延長され得ないため、重要である。

本具体的な刺激信号を生成し、既存の手術器具を通して、手術中に、手術野の中にかつ患者の中に送達されることと併せて、外科医が、所望の組織の中への本信号の正常な送達、ならびに生じ得る任意の誤差（アセンブリまたはユーザ）の両方に気付くことが重要である。

本発明の刺激デバイスは、エンクロージャ内に、小型スピーカを有してもよく、これは、刺激ボタンが、選択され、フットペダルが、押下され、刺激信号が、適切な組織の中に送達されるとき、単一トーンを送達する。接続品質モニタ制御装置は、器具が触れている組織の抵抗、すなわち、その中に刺激信号が送達されたことを検出する、内蔵型インピーダンス監視システムを備える。（低侵襲手術中、その上で手術されるであろうような）身体の内側の組織が、約３００Ωの、中程度の範囲の抵抗を有するという一般常識を用いて、新規のデバイスが、刺激信号が、抵抗の中に、本範囲をはるかに上回って（１，０００Ω未満）または下回って（１０Ω以上）送達されたことを感知する場合、これは、ＬＣＤ画面上の視覚的警告と対になる、複数の短トーン音を与えるであろう。

遭遇される抵抗が高すぎることは、手術器具の両先端が、標的組織に触れていなかった（したがって、開路を伴う無限Ω）か、またはそれらが、極めて高い抵抗を有する、皮膚等の正しくない組織に触れていたかのいずれかを意味するであろう。抵抗が低すぎることは、器具の先端が、相互に触れていた（事実上０Ωまたは短絡）か、または組織表面が、その上に過剰な量の流体を有し、結果として、所望の信号が、標的組織に到達していない可能性があり得るかのいずれかを意味し得る。したがって、電気手術デバイス上の双極性リード線間のインピーダンスを監視することによって、これらの潜在的動作異常のいずれかが、検出され、随意に警告されることができる。

真に途切れることのないワークフロー体験を確実にするために、新規のデバイスが、外科医が可能な限り多くの彼らの既存の器具をそれに接続することを可能にすることを確実にすることが重要であり続ける。市場で販売される多くの器具が、具体的に設計されたプラグを伴って、１回使用後使い捨て可能であるため、一連のプラグアダプタは、配設中に、システムに付随させることができる。本アダプタの設計は、根本的に、器具が、意図されたように使用されるが、所望されるとき、その器具先端／エンドエフェクタを通して、平滑筋刺激信号を送達するために選択され得ることを確実にするためのものである。

最も多くの場合、アダプタは、単に、オス型／メス型ピンの異なる構成および間隔を有する必要があるが、他の場合では、付加的な構成要素が、アダプタ筐体内に存在する必要がある。これらは、ＲＦＩＤ信号拡張装置と、ＥＳＵが読み取るために、器具プラグ上のＱＲコード（登録商標）を捕捉し、アダプタ上の小画面を介してそれを投影する、カメラシステムとを含む。

本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が、一例としてのみ提供されることは、当業者にとって明確であろう。多数の変形例、変更例、および代用例が、本発明から逸脱することなく、ここで、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される、本発明の実施形態に対する種々の代替例が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびその同等物の範囲内の方法および構造は、それによって網羅されることが意図される。

Claims (29)

1. 電気手術器（ＥＳＵ）と併用するための平滑筋刺激デバイスであって、平滑筋刺激ユニットは、
   エンクロージャと、
   医学的手技の間、標的生体構造に送達されるとき、前記標的生体構造における観察可能な応答を誘発する、刺激電気信号を生成するように構成される、前記エンクロージャ内の刺激回路網と、
   前記ＥＳＵの電力出力に取外可能に結合されるように構成される、前記エンクロージャ上の入力コネクタと、
   電気手術ツールに取外可能に結合されるように構成される、前記エンクロージャ上の出力コネクタと、
   ユーザ入力に応答して、前記ＥＳＵの前記電力出力または前記刺激回路網の前記刺激電気信号のいずれかを前記出力コネクタに選択的に接続するように構成される、前記エンクロージャ内の切替回路網と
   を備える、平滑筋刺激デバイス。
2. 前記刺激回路網は、前記電気手術ツール上の電極が、患者の尿管に近接して位置付けられるとき、尿管から蠕動応答を誘出するように構成される、請求項１に記載の平滑筋刺激デバイス。
3. 前記電気手術ツールは、前記エンクロージャ上の前記出力コネクタに結合されるように構成される、導電性表面を有する、把持鉗子、鋏、潅注器、解離器、切除器、吸引デバイスから成る群から選択される、請求項１または２に記載の平滑筋刺激デバイス。
   器具、および電力供給源からのパルス出力。解離器具。
4. 前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、双極性である、請求項１－３のいずれか１項に記載の平滑筋刺激デバイス。
5. 前記刺激回路網は、非駆動式容量放電およびパルス制御を送達するように構成される、電力供給源を備える、請求項１－４のいずれか１項に記載の平滑筋刺激デバイス。
6. 前記刺激回路網は、前記電力供給源からのパルス出力を制御するように構成される、コントローラをさらに備える、請求項５に記載の平滑筋刺激デバイス。
7. 前記コントローラは、前記エンクロージャ上のユーザインターフェースに応答して、前記切替回路網を制御するようにさらに構成される、請求項６に記載の平滑筋刺激デバイス。
8. 前記ユーザインターフェースは、ユーザが、前記ＥＳＵの前記電力出力または前記刺激回路網の前記刺激電気信号のいずれかを前記出力コネクタに選択的に接続することを可能にするために、少なくとも１つのセレクタを備える、請求項７に記載の平滑筋刺激デバイス。
9. 前記少なくとも１つのセレクタは、刺激モードを選択するための第１の押ボタンと、電気手術モードを選択するための第２の押ボタンとを備える、請求項８に記載の平滑筋刺激デバイス。
10. 複数の入力プラグアダプタをさらに備え、各入力プラグアダプタは、前記エンクロージャ上の前記入力コネクタと、複数のＥＳＵのうちの１つの前記電力出力との間に、ブリッジ電気接続を提供するように構成される、請求項１－９のいずれか１項に記載の平滑筋刺激デバイス。
11. 複数の出力プラグアダプタをさらに備え、各出力プラグアダプタは、前記エンクロージャ上の前記出力コネクタと、複数の電気手術ツールのうちの１つとの間に、ブリッジ電気接続を提供するように構成される、請求項１－１０のいずれか１項に記載の平滑筋刺激デバイス。
12. 前記電力出力を備える、電気手術器（ＥＳＵ）と、
    請求項１－１１のいずれか１項に記載の平滑筋刺激デバイスと
    を備える、平滑筋刺激システム。
13. 平滑筋刺激システムと電気手術器（ＥＳＵ）を組み立て、電気刺激エネルギーおよび電力を選択的に出力するための方法であって、前記方法は、
    刺激信号出力を有する、電気刺激装置を備える、エンクロージャを提供することと、
    電力出力を有する、電気手術器（ＥＳＵ）を提供することと、
    前記ＥＳＵの前記電力出力を前記エンクロージャの入力コネクタに接続することと、
    電気手術ツールを前記エンクロージャの出力コネクタに接続することと、
    ユーザ入力に応答して、（１）前記ＥＳＵの前記電力出力または（２）前記刺激回路網の前記刺激電気信号のいずれかから電流を受け取るために、かつ前記受け取られた電流を前記電気手術ツールに送達するために、前記出力コネクタに選択的に切り替えることと
    を含む、方法。
14. 刺激信号を前記電気手術ツールに送達するために、前記電気刺激装置に電圧を加えることと、標的平滑筋生体構造に近接する標的組織に対して、前記電気手術ツール上の電極表面を係合することと、前記係合される組織内またはその近傍での前記標的平滑筋生体構造の存在を示す、前記刺激信号によって誘発される、収縮を検出するために、前記標的組織を観察することとをさらに含む、請求項１３に記載の方法。
15. 組織収縮の不在に基づいて、標的平滑筋がないと判定された、組織表面に対して前記電極を係合することと、電力を前記組織表面に送達するために、前記ＥＳＵに電圧を加えることとをさらに含む、請求項１４に記載の方法。
16. 前記出力コネクタを選択的に切り替えることは、前記エンクロージャを用いて切替回路網を制御するために、前記エンクロージャ上のスイッチ位置を手動で選択することを含む、請求項１３－１５のいずれか１項に記載の方法。
17. 手動で選択することは、前記電気刺激装置のための第１のセレクタボタン、または前記ＥＳＵのための第２のセレクタボタンに選択的に係合させることを含む、請求項１６に記載の方法。
18. 手動で選択することは、前記電気刺激装置を有効にする第１の位置と、前記ＥＳＵを有効にする第２の位置とを有する、セレクタスイッチを動作させることを含む、請求項１６に記載の方法。
19. 前記標的組織は、尿管、膀胱、胃、食道、および腸から成る群から選択される、請求項１３－１８のいずれか１項に記載の方法。
20. 前記刺激信号出力は、前記電気手術ツール上の電極が、患者の尿管に近接して位置付けられるとき、尿管から蠕動応答を誘出する、請求項１３－１９のいずれか１項に記載の方法。
21. 前記電気手術ツールは、把持鉗子、鋏、吸引潅注器、および解離器具から成る群から選択される、請求項１３－２０のいずれか１項に記載の方法。
22. 前記刺激信号出力および前記ＥＳＵの前記電力出力のうちの少なくとも１つは、双極性である、請求項１３－２１のいずれか１項に記載の方法。
23. 前記刺激信号出力および前記ＥＳＵの前記電力出力は両方とも、双極性である、請求項１３－２２のいずれか１項に記載の方法。
24. 前記電気刺激装置は、非駆動式容量放電およびパルス制御を送達するように構成される、電力供給源を備える、請求項１３－２３のいずれか１項に記載の方法。
25. 前記電気刺激装置は、前記電力供給源からのパルス出力を制御するように構成される、コントローラをさらに備える、請求項２４に記載の方法。
26. 前記コントローラは、前記エンクロージャ上のユーザインターフェースに応答して、前記切替回路網を制御するようにさらに構成される、請求項２５に記載の方法。
27. トロカール、カニューレ、内視鏡、またはカテーテルを通して、前記標的組織に、前記電気手術ツールを前進させることをさらに含む、請求項１３－２６のいずれか１項に記載の方法。
28. 前記標的生体構造は、尿管を備え、前記組織内の尿管の経路を判定するために、外科的開口部を通して、前記標的組織を視覚的に観察し、前記組織の収縮を視認することをさらに含む、請求項１４－２６のいずれか１項に記載の方法。
29. 前記電気刺激装置の前記刺激信号出力のインピーダンスを監視することをさらに含み、第１の閾値を下回るインピーダンスは、短絡を示し、第２の閾値を上回るインピーダンスは、開路を示す、請求項１４－２８のいずれか１項に記載の方法。

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